JPH06228491A - 含フッ素水性分散液 - Google Patents

含フッ素水性分散液

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JPH06228491A
JPH06228491A JP3413693A JP3413693A JPH06228491A JP H06228491 A JPH06228491 A JP H06228491A JP 3413693 A JP3413693 A JP 3413693A JP 3413693 A JP3413693 A JP 3413693A JP H06228491 A JPH06228491 A JP H06228491A
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copolymer
aqueous dispersion
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shell layer
core layer
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JP3413693A
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English (en)
Inventor
Masaru Yamauchi
優 山内
Takao Hirono
高生 廣野
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AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】芯層のフルオロオレフィン系共重合体のガラス
転移温度が30℃以上で殻層のフルオロオレフィン系共
重合体のガラス転移温度が30℃未満である芯層と殻層
の二層構造を有する粒子が分散された水性分散液。 【効果】本発明の水性分散液は、良好な造膜性を与え、
得られた塗膜は耐候性、耐水性、耐汚染性が高いもので
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、常温での造膜性と得ら
れた被膜の耐汚染性が良好な含フッ素水性分散液に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来、フルオロオレフィンとシクロヘキ
シルビニルエーテル及びその他各種の単量体からなる共
重合体が室温で有機溶媒に可溶であり、塗料として用い
た場合に透明で高光沢を有し、しかも高耐候性、撥水撥
油性、耐汚染性、非粘着性などフッ素樹脂の有する優れ
た特性を備えた塗膜を与えることが知られており(例え
ば特開昭55-44083号公報)、建築などの分野で使用が増
大しつつある。
【0003】この一方で、近年大気汚染の観点から有機
溶剤の使用に対して規制が行われつつあるため、有機溶
剤を用いない水性塗料や粉体塗料に対する需要が高まっ
ており、フッ素樹脂についても、そのための検討がなさ
れており、官能基をもたないものについては乳化重合で
製造できることが報告されている(特開昭55-25411号公
報)。
【0004】また、ヒドロキシル基を有する含フッ素共
重合体を乳化重合したものが、特開昭57-34107号公報、
特開昭61-231044 号公報に記載されている。しかし、こ
れらの方法では、乳化剤及び親水性有機溶剤の併用を必
須としていた。これらの方法では乳化剤及び親水性有機
溶剤のいずれか一方あるいは両方を使用しない場合に
は、水性分散液が得られなかったり、水性分散液が得ら
れても、極めて機械的・化学的安定性が悪く、保存中に
凝集、沈降を起こすという問題があった。
【0005】また水性塗料を建築現場で使用するには常
温で造膜することが必要であり、そのためには水性分散
液中の重合体のガラス転移温度Tgは常温以下でなけれ
ばならない。しかしこの場合、得られた塗膜はべたつき
感があり、実用性に欠けるものである。そこでTgが2
0℃から30℃の重合体を含む水性分散液に、造膜助剤
と呼ばれる高沸点有機溶剤を添加し、造膜温度を下げて
使用しているのが実状である。しかし夏場の直射日光下
では塗膜の温度が50℃以上となるため、Tgが20〜
30℃の重合体塗膜では、汚れが付着したとき除去でき
なくなる傾向が強い。一方さらに高いTgの重合体粒子
を均一に造膜させるためには、より多くの造膜助剤が必
要となるが、この場合は著しく水性塗料の安定性が低下
するという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前述の従来
技術の有する課題を解決しようとするものである。すな
わち、造膜性に優れかつ塗膜の耐水性、耐汚染性の向上
された含フッ素水性分散液を新規に提供することを目的
とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は前述の問題点を
解決すべくなされたものであり、芯層及び殻層からなる
二層構造を有する粒子が水性媒体に分散された水性分散
液であって、芯層及び殻層はいずれもフルオロオレフィ
ン及びそれと共重合可能な炭化水素系単量体から得られ
る共重合体によって構成され、芯層の共重合体のガラス
転移温度が30℃以上かつ殻層の共重合体のガラス転移
温度が30℃未満であることを特徴とする含フッ素水性
分散液を提供しようとするものである。
【0008】本発明において、フルオロオレフィンとし
ては、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、クロ
ロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ペ
ンタフルオロプロピレン、ヘキサフルオロプロピレンな
どの炭素数2〜4程度のフルオロオレフィンが好ましく
採用される。特にパーハロオレフィンが好ましい。
【0009】フルオロオレフィンと共重合可能な炭化水
素系単量体としては、エチレン、プロピレンなどのオレ
フィン類、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエー
テル、ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエ
ーテルなどのビニルエーテル類や、ブタン酸ビニルエス
テル、オクタン酸ビニルエステルなどのビニルエステル
類、エチルアリルエステル、ブチルアリルエステル、シ
クロヘキシルアリルエステル等のアリルエステル類、ス
チレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物など
のビニル系化合物類、エチルアリルエーテルなどのアリ
ルエーテル類、アクリル酸ブチルなどのアクリロイル
類、メタクリル酸エチルなどのメタクリロイル類などが
例示される。特に、オレフィン類、ビニルエーテル類、
ビニルエステル類、アリルエーテル類、アリルエステル
類が好ましく採用される。
【0010】ここでオレフィン類としては炭素数2〜1
0程度のものが好ましく、ビニルエーテル類、ビニルエ
ステル類、アリルエーテル類、アリルエステル類として
は、炭素数2〜15程度の直鎖状、分岐状あるいは脂環
状のアルキル基を有するものが好ましく採用される。
【0011】また反応性基を有する炭化水素系単量体と
しては、ヒドロキシブチルビニルエーテルのごときヒド
ロキシアルキルビニルエーテル類、ヒドロキシエチルア
リルエーテルのごときヒドロキシアルキルアリルエーテ
ル類、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチ
ルメタクリレートのごときアクリル酸またはメタクリル
酸のヒドロキシアルキルエステルやヒドロキシアルキル
ビニルエステル、ヒドロキシアルキルアリルエステルな
どの水酸基含有単量体、グリシジルビニルエーテルなど
のエポキシ基含有アルキルビニルエーテル類、グリシジ
ルアリルエーテルなどのエポキシ基含有アルキルアリル
エーテル類、グリシジルアクリレート、グリシジルメタ
クリレートなどのエポキシ基含有アルキルアクリレート
またはメタクリレート類などのエポキシ基含有単量体を
例示しうる。
【0012】さらに炭化水素系単量体の一部として、親
水性部位を有するマクロモノマーを使用すると、水性分
散液の機械的・化学的安定性が著しく向上する。特に殻
層に親水性部位を有するマクロモノマーを採用するとそ
の効果が顕著に発現する。
【0013】本発明における親水性単位を有するマクロ
モノマーの、親水性部位とは、親水性基を有する部位、
または親水性の結合を有する部位、及びこれらの組み合
わせからなる部位を表している。
【0014】この親水性基は、イオン性、ノニオン性、
両性及びこれらの組み合わせのいずれであってもよい
が、上記親水性部位がイオン性の親水性基を有する単位
のみからなる場合としては、該含フッ素水性分散液の化
学的安定性に問題があるため好ましくなく、ノニオン性
または両性の親水性基を有する部位と組み合わせるか、
親水性の結合を有する部位と組み合わせることが望まし
い。
【0015】また、マクロモノマーとは片末端にラジカ
ル重合性不飽和基を有する低分子量のポリマーまたはオ
リゴマーのことをいう。すなわち、片末端にラジカル重
合性不飽和基を有し、繰り返し単位を少なくとも2個有
する化合物である。繰り返し単位の種類によって異なる
が、通常は繰り返し単位が100 個以下のものが重合性、
耐水性などの面から好ましく採用される。親水性部位を
有するマクロモノマーとして、例えば、 (1) CH2=CHO(CH2)k[O(CH2)m]nOX ( kは1〜10、m は1〜4、n は2〜20の整数、X はH
または低級アルキル基である) (2) CH2=CHCH2O(CH2)k[O(CH2)m]nOX ( k ,m ,n ,X は(1) 式のものと同等である)
【0016】 (3) CH2=CHO(CH2)k(OCH2CH2)m(OCH2CH(CH3))nOX ( kは1〜10、m は2〜20、n は0〜20の整数、X はH
または低級アルキル基であり、オキシエチレン単位及び
オキシプロピレン単位はブロック、ランダムのいずれの
型で配列されていてもよい) (4) CH2=CHCH2O(CH2)k(OCH2CH2)m(OCH2CH(CH3))nOX (k ,m ,n ,X は(3) 式のものと同様であり、オキシ
エチレン単位とオキシプロピレン単位はブロック、ラン
ダムのいずれの型で配列されていてもよい)
【0017】(5) CH2=CHO(CH2)nO(CO(CH2)mO)kH (n は1〜10、m は1〜10、k は1〜30の整数) などの片末端にラジカル重合性不飽和基を有するポリエ
ーテルポリエステル類などが例示される。
【0018】なかでも、片末端がビニルエーテル型の構
造を有するものがフルオロオレフィンとの共重合性に優
れているため好ましく採用される。特にポリエーテル鎖
部分が、オキシエチレン単位または、オキシエチレン単
位とオキシプロピレン単位からなるものが親水性などに
優れているため好ましい。
【0019】また、オキシエチレン単位を少なくとも2
個有するものでないと、安定性などの諸性質が達成され
ない。また、オキシアルキレン単位の数があまりに大き
いものは、塗膜の耐水性や耐候性などが悪くなり、好ま
しくない。かかる親水性部位を有するマクロモノマー
は、ヒドロキシル基を有するビニルエーテルあるいはア
リルエーテルに、ホルムアルデヒド、ジオールを重合さ
せるか、またはアルキレンオキシドあるいはラクトン環
を有する化合物を開環重合させるなどの方法により製造
することが可能である。
【0020】また、親水性部位を有するマクロモノマー
として、親水性のエチレン性不飽和モノマーがラジカル
重合した鎖を有し、末端にビニルエーテルまたはアリル
エーテルのごときラジカル重合性不飽和基を有するマク
ロモノマーであってもよい。このようなマクロモノマー
は、山下らがPolym.Bull.,5. 335(1981)に述べている方
法などにより製造することができる。即ち、縮合可能な
官能基を有する開始剤及び連鎖移動剤の存在下に親水性
基を有するエチレン性不飽和モノマーをラジカル重合さ
せることにより、縮合可能な官能基を有する重合体を製
造し、ついでこの重合体の官能基にグリシジルビニルエ
ーテル、グリシジルアリルエーテルのごとき化合物を反
応させ、末端にラジカル重合性不飽和基を導入する方法
などが例示される。
【0021】このマクロモノマーの製造に用いられるエ
チレン性不飽和モノマーとしては、アクリルアミド、メ
タクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-メチ
ロールメタクリルアミド、2-メトキシエチルアクリレー
ト、2-メトキシエチルメタクリレート、ジアセトンアク
リルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキ
シプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレー
ト、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロ
ピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレー
ト、多価アルコールのアクリル酸エステル及び多価アル
コールのメタクリル酸エステル及びビニルピロリドンな
どがある。
【0022】この他に、共重合可能なモノマーとして、
アクリルアミドとその誘導体、メタクリルアミドとその
誘導体、N-メチロールアクリルアミド誘導体、アクリル
酸エチルカルビトール、アクリル酸メチルトリグリコー
ル、2-ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、ブ
トキシエチルアクリレートなどがある。また、このマク
ロモノマーの製造に用いられる開始剤として4,4'- アゾ
ビス-4- シアノバレリアン酸、2,2'- アゾビス-2- アミ
ジノプロパン塩酸塩、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニ
ウム、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル
などがある。
【0023】本発明における含フッ素共重合体は、フル
オロオレフィンが20〜80モル%の割合であることが
好ましい。フルオロオレフィンがあまりに少ないと耐候
性が十分に発揮されず、また多すぎると水分散性が極め
て悪くなるため好ましくない。特に30〜70モル%で
あることが好ましい。フルオロオレフィンと共重合可能
な炭化水素系単量体のうち、反応性基を有する炭化水素
系単量体は、25モル%以下であることが好ましい。こ
の割合があまりに大きいと水分散性が低下し、また塗膜
を硬化させたときに硬く脆いものになったり、残存する
反応性基の影響で耐水性が低下したりすることがあるの
で好ましくない。
【0024】本発明では、水性媒体に分散された粒子
が、フルオロオレフィン及びそれと共重合可能な炭化水
素系単量体から得られる共重合体を2種含有し、芯層の
共重合体のTgが30℃以上かつ殻層の共重合体のTg
が30℃未満である二層構造を有することが重要であ
る。芯層の共重合体のTgが30℃未満の場合は、塗膜
の耐汚染性が不十分であり、一方殻層の共重合体のTg
が30℃以上の場合は、造膜助剤を添加しても常温での
造膜性が不良となる。芯層の共重合体のTgは、好まし
くは40〜70℃、さらに好ましくは60〜70℃であ
り、殻層のTgは、好ましくは10〜25℃、さらに好
ましくは15〜25℃である。
【0025】本発明の含フッ素水性分散液の製造法は特
に限定されるものではないが、通常は一種のフルオロオ
レフィン系共重合体(第1段共重合体)粒子が水性媒体
に分散された分散液に、もう一種のフルオロオレフィン
系共重合体(第2段共重合体)を得るための単量体を添
加し重合するシード重合法が採用される。なお最終的な
共重合体粒子の芯層と殻層は、第1段共重合体と第2段
共重合体の親水性の差や、第2段共重合体を得るための
単量体の第1段共重合体に対する溶解性等によってコン
トロールされる。したがって、第1段共重合体粒子の周
囲で第2段共重合体が成長し殻層となる場合もあり、ま
た逆に第1段共重合体粒子の内部で第2段共重合体が生
成し芯層となる場合もある。
【0026】第一段共重合体粒子の分散液に関しても製
造法は特に限定されるものではないが、一般には単量体
や乳化剤の存在下、重合開始剤を開裂させて重合を進行
させる乳化重合法が好適である。
【0027】この乳化重合で使用される乳化剤は公知の
ものを広く採用しうるが、なかでもHLB12〜18の
ノニオン性乳化剤及びアニオン性乳化剤の併用系が好適
である。ノニオン性乳化剤のHLBがこの範囲からはず
れる場合は乳化重合時の安定性が低くなったり、あるい
は得られた分散液の安定性が低下してしまう。特に好ま
しいHLBは14〜16である。またアニオン性乳化剤
単独では、乳化重合時の安定性は高いものの、得られた
分散液は無機物質が加えられたとき凝集しやすく、さら
に塗膜としたときその高い親水性により耐水性が低下し
やすい。
【0028】一方ノニオン性乳化剤単独では、乳化重合
時にごく少量の粘稠物が生成しやすく、水性分散液を長
期に保存したり、高温下で保存したとき、その粘稠物が
引き金となって増粘したり、場合によってはプリン状に
変質することもある。これに対し、HLB12〜18の
ノニオン性乳化剤及びアニオン性乳化剤の存在下に乳化
重合を行うと、塗料配合時の安定性が高く、保存時の安
定性も高く、さらに耐候性や耐水性に優れた塗膜を与え
る。
【0029】またノニオン性乳化剤の親油性基として
は、ポリフルオロアルキル基を含まないものが緻密な塗
膜の形成という観点から好ましい。具体的には、アルキ
ルフェノールエチレンオキサイド付加物、高級アルコー
ルエチレンオキサイド付加物、エチレンオキシドとプロ
ピレンオキシドブロックコポリマーなどを例示しうる。
乳化剤の使用量は条件に応じて適宜変更可能であるが、
通常は乳化重合させるべき単量体 100重量部あたり 0.1
〜5 重量部程度が好ましく採用される。
【0030】同様にアニオン性乳化剤の親油性基も、ポ
リフルオロアルキル基を含まないものが好ましい。具体
的にはアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタ
レンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、アルキル硫酸エステ
ル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、リン酸エステ
ル塩などを例示しうる。
【0031】本発明での乳化重合の開始は、通常の乳化
重合の開始と同様に重合開始剤の添加により行われる。
かかる重合開始剤としては、通常のラジカル開始剤を用
いることができるが、水溶性開始剤が好ましく採用さ
れ、具体的には過硫酸アンモニウム塩などの過硫酸塩、
過酸化水素あるいはこれらと亜硫酸水素ナトリウム、チ
オ硫酸ナトリウムなどの還元剤との組み合わせからなる
レドックス開始剤、さらにこれらに少量の鉄、第一鉄
塩、硫酸銀などを共存させた系の無機系開始剤、または
ジコハク酸パーオキシド、ジグルタル酸パーオキシドな
どの二塩基酸過酸化物、アゾビスイソブチルアミジンの
塩酸塩、アゾビスイソブチロニトリルなどの有機系開始
剤が例示される。
【0032】重合開始剤の使用量は、その種類、乳化重
合条件などに応じて適宜変更可能であるが、通常は乳化
重合させるべき単量体 100重量部あたり 0.005〜 0.5重
量部程度が好ましく採用される。また、これらの重合開
始剤は一括添加してもよいが、必要に応じて分割添加し
てもよい。また乳化物のpHを上昇させる目的で、pH
調整剤を用いてもよい。かかるpH調整剤としては、炭
酸ナトリウム、炭酸カリウム、オルトリン酸水素ナトリ
ウム、チオ硫酸ナトリウム、テトラホウ酸ナトリウムな
どの無機塩基及びトリエチルアミン、トリエタノールア
ミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノール
アミンなどの有機塩基類などが例示される。
【0033】pH調整剤の添加量は、通常乳化重合媒体
100重量部あたり0.05〜2 重量部程度、好ましくは 0.1
〜2 重量部程度である。pHの高い方が重合速度が速く
なる傾向にある。また、乳化重合開始温度は重合開始剤
の種類に応じて適宜最適値が選定されるが、通常は 0〜
100 ℃、特に10〜90℃程度が好ましく採用される。また
反応圧力は適宜選定可能であるが、通常は 1〜100 kg/c
m2、特に 2〜50kg/cm2程度を採用するのが望ましい。
【0034】かかる製造方法において、単量体、水、乳
化剤、開始剤などの添加物をそのまま一括仕込みして重
合してもよいが、分散粒子の粒子径を小さくして分散液
の安定性及び塗膜の光沢などの諸物性を向上させる目的
で、重合開始剤を添加する以前にホモジナイザーなどの
撹拌機を用いて前乳化させ、その後に開始剤を添加して
重合してもよい。また、単量体を分割してあるいは連続
して添加してもよく、その際単量体組成は異なってもよ
い。
【0035】本発明の水性分散液は、そのままでも水性
塗料として使用可能であるが、必要に応じて着色剤、可
塑剤、紫外線吸収剤、レベリング剤、ハジキ防止剤、皮
バリ防止剤、硬化剤などを混合してもよい。
【0036】着色剤としては、染料、有機顔料、無機顔
料などが例示される。可塑剤としては、従来公知のも
の、例えばジオクチルフタレートなどの低分子量可塑
剤、ビニル重合体可塑剤、ポリエステル系可塑剤などの
高分子量可塑剤などが挙げられる。硬化剤としては、例
えばヘキサメチレンイソシアネート三量体などのブロッ
クイソシアネートあるいはその乳化分散体、メチル化メ
ラミン、メチロール化メラミン、ブチロール化メラミン
などのメラミン樹脂、メチル化尿素、ブチル化尿素など
の尿素樹脂を挙げることができる。また、水性分散液の
安定性を向上させるためにpH調整剤を添加してもよ
い。
【0037】
【実施例】以下に合成例、実施例を掲げて本発明を具体
的に説明するが、これらの実施例などにより本発明はな
んら限定されるものではない。なお、以下の実施例中の
部数は特に断りのないかぎり重量部を示すものである。
【0038】[合成例1]内容積200mlのステンレ
ス製撹拌機付きオートクレーブ中にエチルビニルエーテ
ル(EVE)33.4g、ヒドロキシエチルビニルエー
テル(HEVE)4.6g、親水性基を有するマクロモ
ノマー[CH2 =CHOC48 O(C24 O)
10H、以下EOVEという]5.5g、イオン交換水1
00.8g、Newcol−1110(日本乳化剤製:
ポリオキシエチレンアルキルエーテル系乳化剤)4.2
g、ラウリル硫酸ナトリウム0.42g、炭酸カリウム
0.31g、過硫酸アンモニウム(APS)0.07
g、亜硫酸水素ナトリウム0.017gを仕込み、氷で
冷却して、窒素ガスを3.5kg/cm2 になるよう加
圧し脱気する。この加圧脱気を2回繰り返した後10m
mHgまで脱気して溶存空気を除去した後、クロロトリ
フルオロエチレン(CTFE)61.3gを仕込み、3
0℃で12時間反応を行い、含フッ素共重合体が分散し
た水性分散液を得た。この共重合体のTgは20℃であ
った。
【0039】[合成例2]EVE、HEVEの代わりに
シクロヘキシルビニルエーテル(CHVE)51.8g
を用い、またCTFEを48.8gにEOVEを4.4
gに変更する以外は合成例1と同様に反応を行い、含フ
ッ素共重合体が分散した水性分散液を得た。この共重合
体のTgは65℃であった。
【0040】[合成例3]内容積200mlのステンレ
ス製撹拌機付きオートクレーブ中に合成例1で得た水性
分散液63.4g、イオン交換水66.6g、CHVE
34.5g、EOVE2.9g、炭酸カリウム0.21
g、APS0.02g、亜硫酸水素ナトリウム0.00
5gを仕込み、氷で冷却して、窒素ガスを3.5kg/
cm2 になるよう加圧し脱気する。この加圧脱気を2回
繰り返した後10mmHgまで脱気して溶存空気を除去
した後、CTFE32.5gを仕込み、30℃で12時
間反応を行った。その結果、合成例1の共重合体を殻
層、合成例2の共重合体を芯層とする二層構造を有する
粒子が分散した水性分散液を得た。
【0041】[合成例4]EVE、HEVE、EOVE
の代わりにCHVE54.5gを用い、またCTFEを
50.3gに変更する以外は合成例1と同様に反応を行
い、含フッ素共重合体が分散した水性分散液を得た。こ
の共重合体のTgは70℃であった。
【0042】[合成例5]合成例1で得られた水性分散
液63.4g、イオン交換水66.6g、CTFE3
3.6g、CHVE36.4g、炭酸カリウム0.21
g、パーブチルPV(日本油脂製:t−ブチルパーオキ
シピバレート)0.21gを用い、合成例3と同様の操
作を行い、50℃で8時間反応を行った。その結果、合
成例1の共重合体を殻層、合成例4の共重合体を芯層と
する二層構造を有する粒子が分散した水性分散液を得
た。
【0043】[合成例6]合成例2で得られた水性分散
液143.9g、イオン交換水21.1g、CTFE1
7.5g、EVE9.6g、HEVE1.3g、EOV
E1.6g、炭酸カリウム0.09g、APS0.02
g、亜硫酸水素ナトリウム0.005gを用い、CHV
Eを用いない以外は合成例3と同様に反応を行った。そ
の結果、合成例1の共重合体を殻層、合成例4の共重合
体を芯層とする二層構造を有する粒子が分散した水性分
散液を得た。
【0044】[合成例7]EVE、HEVEの代わりに
n−ブチルビニルエーテル(nBVE)13.1gを用
い、またCTFEを54.1gに、EOVEを4.9g
に変更する以外は合成例1と同様に反応を行い、含フッ
素共重合体が分散した水性分散液を得た。この共重合体
のTgは−10℃であった。
【0045】[合成例8]合成例1で得られた水性分散
液143.9g、イオン交換水21.1g、CTFE1
5.5g、nBVE13.1g、EOVE1.4g、炭
酸カリウム0.09g、APS0.02g、亜硫酸水素
ナトリウム0.005gを用い、合成例3と同様に反応
を行った。その結果、合成例1の共重合体を殻層、合成
例7の共重合体を芯層とする二層構造を有する粒子が分
散した水性分散液を得た。
【0046】[実施例1〜3、比較例1〜3]上記によ
り得られた水性分散液71部、造膜助剤3.6部、増粘
剤0.3部、顔料15.4部、分散剤0.8部、消泡剤
0.6部及び純水10.3部を用いて塗料配合を行っ
た。なお、造膜助剤はCs−12(チッソ製:2,2,
4−トリメチルペンタンジオール−1,3−モノイゾブ
チレート)、増粘剤はレオビスCR(ヘキスト合成製:
アクリルエマルジョン系増粘剤)、顔料は酸化チタン
(石原産業製CR−97)、分散剤はノプコスパース4
4−C(サンノプコ製:ポリカルボン酸ナトリウム塩系
分散剤)、消泡剤はFSアンチフォーム90(ダウコー
ニング製:シリコーン系消泡剤)である。
【0047】これらの塗料をスレート板上に、乾燥膜厚
40μmとなるようにエアスプレーで塗布し、20℃で
1週間乾燥して試験片を得た。この試験片について耐候
性、耐水性、及び耐汚染性の試験を行った。耐候性評価
はQUV試験1000時間後に著しく光沢が低下したも
のを×、光沢の低下があまり認められないものを○とし
た。また耐水性評価は60℃の温水に1週間浸漬した
後、塗膜のふくれや剥離の有無で判定を行った。耐汚染
性は屋外で南面45゜にて1カ月暴露を行い、保存板と
の水ぶき後の色差が5以下のものを○、5を超えるもの
を×とした。結果を表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
【発明の効果】本発明の含フッ素水性分散液は、良好な
造膜性を与え、また得られた塗膜は耐候性、耐水性、耐
汚染性が高いものである。これらの優れた性質を有する
本発明の水性分散液は、耐候性水性塗料原料として極め
て有用である。また本発明の水性分散液を用いた水性塗
料は、溶剤規制などの問題にまったく心配がなく、幅広
い用途に適用が可能である。例えば、ガラス、金属、セ
メントなど外装用無機建材の塗装などに有用である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】芯層及び殻層からなる二層構造を有する粒
    子が水性媒体に分散された水性分散液であって、芯層及
    び殻層はいずれもフルオロオレフィン及びそれと共重合
    可能な炭化水素系単量体から得られる共重合体によって
    構成され、芯層の共重合体のガラス転移温度が30℃以
    上かつ殻層の共重合体のガラス転移温度が30℃未満で
    あることを特徴とする含フッ素水性分散液。
  2. 【請求項2】殻層の共重合体を構成するフルオロオレフ
    ィンと共重合可能な炭化水素系単量体が親水性部位を有
    するマクロモノマーである請求項1記載の含フッ素水性
    分散液。
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