JP2018002951A - 水性分散液の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の課題は、耐水性に優れ、黄変の抑制された塗膜を形成でき、黄変の抑制された水性分散液の製造方法を提供することである。【解決手段】本発明の水性分散液の製造方法は、ノニオン性界面活性剤が実質的に存在しない条件下、水性媒体中にて、アンモニウムイオンを含まない水溶性ラジカル開始剤を用いて、フルオロオレフィンと式(1)で表される単量体とをラジカル重合させて、フルオロオレフィンに基づく構成単位と、式(1)で表される単量体に基づく構成単位と、を有する含フッ素重合体の粒子が水性媒体に分散した水性分散液を得る工程を含む。式(1):CH2=CH−Q−(CmH2mO)n−Z式(1)中、Qは単結合または2価の連結基を表し、mは1〜4の整数を表し、nは10〜40の整数を表し、Zは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表す。【選択図】なし
Description
本発明は、水性分散液の製造方法に関する。
近年、自然環境保護のため、有機溶媒排出による地球温暖化や光化学スモッグ等が問題とされている。そのため、塗料分野においては、合成樹脂を含み、水のみ、または水と水溶性有機溶媒との混合物を媒体とする、水性分散液が開発されている。
水性分散液に含まれる合成樹脂としては、現在、様々なものが提案されているが、耐候性、撥水撥油性、耐汚染性等の点から、架橋性基(ヒドロキシ基、カルボキシ基等)を有する含フッ素重合体が好適に挙げられる。
かかる含フッ素重合体を含む水性分散液の製造方法としては、水性媒体中にて、ラジカル開始剤を用いて、フルオロオレフィンと親水性部位を有する単量体とをラジカル重合させる方法が知られている(特許文献1および2参照)。
水性分散液に含まれる合成樹脂としては、現在、様々なものが提案されているが、耐候性、撥水撥油性、耐汚染性等の点から、架橋性基(ヒドロキシ基、カルボキシ基等)を有する含フッ素重合体が好適に挙げられる。
かかる含フッ素重合体を含む水性分散液の製造方法としては、水性媒体中にて、ラジカル開始剤を用いて、フルオロオレフィンと親水性部位を有する単量体とをラジカル重合させる方法が知られている(特許文献1および2参照)。
一方、近年、塗膜の性能に関して、たとえば、無色透明性と耐水性の向上が求められている。
本発明者らは、特許文献1の具体例で開示される方法を参照して含フッ素重合体を含む水性分散液を製造した結果、得られる含フッ素重合体を含む水性分散液自体が着色し、これを用いて得られる塗膜の着色が生じて、塗膜の無色透明性が昨今の要求レベルを満たさないことを知見した。
また、特許文献2の具体例で開示される方法を参照して含フッ素重合体を含む水性分散液を製造し、得られた水性分散液を用いて塗膜を形成した結果、塗膜の耐水性が昨今の要求レベルを満たさないことを知見した。
ここで、水性分散液自体の着色とは、本来乳白色であるエマルションにおいて、黄変(黄味の着色)が認められる状態をいう。また、塗膜の着色とは、本来無色透明である塗膜において、黄変(黄味の着色)が認められる状態をいう。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、耐水性に優れ、黄変の抑制された塗膜を形成でき、黄変の抑制された水性分散液の製造方法の提供を目的とする。
本発明者らは、特許文献1の具体例で開示される方法を参照して含フッ素重合体を含む水性分散液を製造した結果、得られる含フッ素重合体を含む水性分散液自体が着色し、これを用いて得られる塗膜の着色が生じて、塗膜の無色透明性が昨今の要求レベルを満たさないことを知見した。
また、特許文献2の具体例で開示される方法を参照して含フッ素重合体を含む水性分散液を製造し、得られた水性分散液を用いて塗膜を形成した結果、塗膜の耐水性が昨今の要求レベルを満たさないことを知見した。
ここで、水性分散液自体の着色とは、本来乳白色であるエマルションにおいて、黄変(黄味の着色)が認められる状態をいう。また、塗膜の着色とは、本来無色透明である塗膜において、黄変(黄味の着色)が認められる状態をいう。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、耐水性に優れ、黄変の抑制された塗膜を形成でき、黄変の抑制された水性分散液の製造方法の提供を目的とする。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、ノニオン性界面活性剤が実質的に存在しない条件下、水性媒体中にて、アンモニウムイオンを含まない水溶性ラジカル開始剤を用いて単量体の重合させることにより、所望の効果が得られることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
すなわち、本発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
[1]
ノニオン性界面活性剤が実質的に存在しない条件下、水性媒体中にて、アンモニウムイオンを含まない水溶性ラジカル開始剤を用いて、フルオロオレフィンと式(1)で表される単量体とをラジカル重合させて、上記フルオロオレフィンに基づく構成単位と、上記式(1)で表される単量体に基づく構成単位と、を有する含フッ素重合体の粒子が上記水性媒体に分散した水性分散液を得る工程を含む、水性分散液の製造方法。
式(1):CH2=CH−Q−(CmH2mO)n−Z
式(1)中、Qは単結合または2価の連結基を表し、mは1〜4の整数を表し、nは10〜40の整数を表し、Zは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表す。
[2]
上記水溶性ラジカル開始剤が、過硫酸金属塩である、上記[1]に記載の水性分散液の製造方法。
[3]
上記水溶性ラジカル開始剤が、過硫酸アルカリ金属塩である、上記[1]または[2]に記載の水性分散液の製造方法。
[4]
非フッ素系アニオン性界面活性剤が存在する条件下で行われる、上記[1]〜[3]のいずれか1つに記載の水性分散液の製造方法。
[5]
上記含フッ素重合体が、この含フッ素重合体が有する全構成単位中、構成単位Mを1.5〜15モル%含む、上記[1]〜[4]のいずれか1つに記載の水性分散液の製造方法。
[6]
上記含フッ素重合体の粒子の平均粒子径が100nm以下である、上記[1]〜[5]のいずれか1つに記載の水性分散液の製造方法。
[7]
上記含フッ素重合体の粒子のゼータ電位の絶対値が30mV以上である、上記[1]〜[6]のいずれか1つに水性分散液の製造方法。
ノニオン性界面活性剤が実質的に存在しない条件下、水性媒体中にて、アンモニウムイオンを含まない水溶性ラジカル開始剤を用いて、フルオロオレフィンと式(1)で表される単量体とをラジカル重合させて、上記フルオロオレフィンに基づく構成単位と、上記式(1)で表される単量体に基づく構成単位と、を有する含フッ素重合体の粒子が上記水性媒体に分散した水性分散液を得る工程を含む、水性分散液の製造方法。
式(1):CH2=CH−Q−(CmH2mO)n−Z
式(1)中、Qは単結合または2価の連結基を表し、mは1〜4の整数を表し、nは10〜40の整数を表し、Zは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表す。
[2]
上記水溶性ラジカル開始剤が、過硫酸金属塩である、上記[1]に記載の水性分散液の製造方法。
[3]
上記水溶性ラジカル開始剤が、過硫酸アルカリ金属塩である、上記[1]または[2]に記載の水性分散液の製造方法。
[4]
非フッ素系アニオン性界面活性剤が存在する条件下で行われる、上記[1]〜[3]のいずれか1つに記載の水性分散液の製造方法。
[5]
上記含フッ素重合体が、この含フッ素重合体が有する全構成単位中、構成単位Mを1.5〜15モル%含む、上記[1]〜[4]のいずれか1つに記載の水性分散液の製造方法。
[6]
上記含フッ素重合体の粒子の平均粒子径が100nm以下である、上記[1]〜[5]のいずれか1つに記載の水性分散液の製造方法。
[7]
上記含フッ素重合体の粒子のゼータ電位の絶対値が30mV以上である、上記[1]〜[6]のいずれか1つに水性分散液の製造方法。
本発明によれば、耐水性に優れ、黄変の抑制された塗膜を形成でき、黄変の抑制された含フッ素重合体を含む水性分散液の製造方法が提供できる。
以下の用語の定義は、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
本発明においては、単量体が重合することで直接形成される繰り返し単位と、単量体の重合によって形成される繰り返し単位の一部を化学変換することで得られる繰り返し単位と、を総称して「構成単位」という。また、重合体中の各構成単位の割合は、各単量体の仕込質量に基づいて算出する。
また、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本発明においては、単量体が重合することで直接形成される繰り返し単位と、単量体の重合によって形成される繰り返し単位の一部を化学変換することで得られる繰り返し単位と、を総称して「構成単位」という。また、重合体中の各構成単位の割合は、各単量体の仕込質量に基づいて算出する。
また、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本発明の水性分散液の製造方法の特徴の1つは、ノニオン性界面活性剤が実質的に存在しない条件下、水性媒体中にて、アンモニウムイオンを含まない水溶性ラジカル開始剤を用いて、フルオロオレフィンと後述する式(1)で表される単量体とをラジカル重合させて、フルオロオレフィンに基づく構成単位(以下、構成単位Fとも記す。)と、後述する式(1)で表される単量体に基づく構成単位(以下、構成単位Mとも記す。)と、を有する含フッ素重合体の粒子が上記水性媒体に分散した水性分散液を得る点にある。
本発明者らは、ノニオン性界面活性剤を含有する水性分散液を用いて得られる塗膜の耐水性が低いことを知見している。その理由は必ずしも明確ではないが、ノニオン性界面活性剤は、水性分散液中の含フッ素重合体の粒子の安定化(たとえば、貯蔵安定性。)に寄与する反面、塗膜からブリードアウトしやすく、結果、塗膜にピンホールを発生させる原因になるためと考えられる。
本発明の水性分散液の製造方法においては、ノニオン性界面活性剤が実質的に存在しない条件下で、−(CmH2mO)n−構造を有する、つまり、所定の長さのポリオキシアルキレン単位を有する親水性マクロモノマーである単量体(1)を使用し、これにより得られる含フッ素重合体は、その構成単位Mを含有する。そのため、本発明の製造方法で得られる水性分散液は、貯蔵安定性に優れるだけでなく、その塗膜の耐水性にも優れる効果がある。
本発明の水性分散液の製造方法においては、ノニオン性界面活性剤が実質的に存在しない条件下で、−(CmH2mO)n−構造を有する、つまり、所定の長さのポリオキシアルキレン単位を有する親水性マクロモノマーである単量体(1)を使用し、これにより得られる含フッ素重合体は、その構成単位Mを含有する。そのため、本発明の製造方法で得られる水性分散液は、貯蔵安定性に優れるだけでなく、その塗膜の耐水性にも優れる効果がある。
さらに、本発明者らが、後述する式(1)で表される単量体を用いて得られる含フッ素重合体を含有する水性分散液について検討を進めた結果、アンモニウムイオンを含む水溶性ラジカル開始剤を使用すると、水性分散液が黄変し、この水性分散液を用いて得られる塗膜に黄変が生じることを知見している。
その理由は必ずしも明確ではないが、水溶性ラジカル開始剤に含まれるアンモニウムイオンまたはアンモニウムイオン由来の窒素含有物(亜硝酸イオン、硝酸イオン、カルバミド等。)と、上記した構成単位Mに含まれるポリオキシアルキレン単位の作用により形成された含フッ素重合体の粒子(エマルション)と、の光学的相互作用(光散乱)により、水性分散液が黄変すると考えられる。
その理由は必ずしも明確ではないが、水溶性ラジカル開始剤に含まれるアンモニウムイオンまたはアンモニウムイオン由来の窒素含有物(亜硝酸イオン、硝酸イオン、カルバミド等。)と、上記した構成単位Mに含まれるポリオキシアルキレン単位の作用により形成された含フッ素重合体の粒子(エマルション)と、の光学的相互作用(光散乱)により、水性分散液が黄変すると考えられる。
そこで、本発明の製造方法では、式(1)で表される単量体を使用しつつ、アンモニウムイオンを含まない水溶性ラジカル開始剤を用いてラジカル重合する構成をとる。これにより、得られる水性分散液の黄変が抑制され、これを用いて得られる塗膜は黄変が抑制されると考えられる。
このように、本発明の水性分散液の製造方法によれば、黄変の抑制された水性分散液が得られ、これを用いて得られる塗膜は耐水性に優れ、黄変も抑制される。
なお、本発明における上述した作用効果は、その好ましい態様において、より顕著に発現するものである。
なお、本発明における上述した作用効果は、その好ましい態様において、より顕著に発現するものである。
本発明の製造方法における水溶性ラジカル開始剤は、アンモニウムイオンを含まない。つまり、本発明の製造方法により得られる水性分散液には、水溶性ラジカル開始剤およびその分解物(残渣)に由来するアンモニウムイオンが含まれない。
なお、本発明において、水溶性ラジカル開始剤とは、標準大気圧(0.101325MPa)、20℃における水に対する溶解度が、0.01mg/g以上のラジカル開始剤を意味する。水溶性ラジカル開始剤の水溶解度の上限は、特に限定されない。
なお、本発明において、水溶性ラジカル開始剤とは、標準大気圧(0.101325MPa)、20℃における水に対する溶解度が、0.01mg/g以上のラジカル開始剤を意味する。水溶性ラジカル開始剤の水溶解度の上限は、特に限定されない。
水溶性ラジカル開始剤は、過硫酸金属塩、亜硫酸水素金属塩、有機過酸化物(たとえば、ジコハク酸パーオキシド、ジグルタール酸パーオキシド等。)およびアゾ系化合物(アゾビスブチロニトリル等。)から選ばれる1種以上のアンモニウムイオンを含まない水溶性ラジカル開始剤が好ましく、過硫酸金属塩がより好ましく、過硫酸アルカリ金属塩がさらに好ましく、過硫酸ナトリウムまたは過硫酸カリウムが特に好ましい。
本発明においては、アンモニウムイオンまたはその酸化物による着色成分が副生しないため、酸化作用のある水溶性ラジカル開始剤(たとえば、上述した過硫酸金属塩等。)も使用できる。
また、本発明においては、重合における水溶性ラジカル開始剤の導入手段も限定されないという利点がある。たとえば、酸化作用のある水溶性ラジカル開始剤を逐次導入した場合においても、重合終期においても着色成分が副生しないため、水性分散液の黄変が抑制される。
また、本発明においては、重合における水溶性ラジカル開始剤の導入手段も限定されないという利点がある。たとえば、酸化作用のある水溶性ラジカル開始剤を逐次導入した場合においても、重合終期においても着色成分が副生しないため、水性分散液の黄変が抑制される。
水溶性ラジカル開始剤の使用量は、ラジカル重合に供する単量体の総質量(100質量部)に対して、0.01〜5質量部が好ましく、0.01〜1質量部がより好ましく、0.01〜0.5質量部がさらに好ましい。
なお、本発明において、ラジカル重合に供する単量体の総質量とは、具体的には、本発明の含フッ素重合体の重合に使用される全ての単量体の使用量(仕込み質量)の総和を指す。
なお、本発明において、ラジカル重合に供する単量体の総質量とは、具体的には、本発明の含フッ素重合体の重合に使用される全ての単量体の使用量(仕込み質量)の総和を指す。
本発明の水性分散液の製造方法では、水性媒体が重合場として用いられる。重合場となる水性媒体は、水のみからなってもよく、水と水溶性有機溶媒との混合物からなってもよい。
水溶性有機溶媒としては、tert−ブタノール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコール等が挙げられる。
水性媒体が上記混合物である場合、水溶性有機溶媒の含有量は、水の全質量(100質量部)に対して、1〜40質量部が好ましく、3〜30質量部がより好ましい。
水性媒体の使用量は、全仕込質量(100質量%)に対して、30〜80質量%が好ましく、40〜70質量%がより好ましい。
ここで、「全仕込質量」とは、水性媒体、単量体、界面活性剤、ラジカル開始剤など、水性分散液の製造に使用する各成分の合計質量を意味する。
水溶性有機溶媒としては、tert−ブタノール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコール等が挙げられる。
水性媒体が上記混合物である場合、水溶性有機溶媒の含有量は、水の全質量(100質量部)に対して、1〜40質量部が好ましく、3〜30質量部がより好ましい。
水性媒体の使用量は、全仕込質量(100質量%)に対して、30〜80質量%が好ましく、40〜70質量%がより好ましい。
ここで、「全仕込質量」とは、水性媒体、単量体、界面活性剤、ラジカル開始剤など、水性分散液の製造に使用する各成分の合計質量を意味する。
本発明においては、ノニオン性界面活性剤が実質的に存在しない条件下、水性媒体中にて、後述する各単量体をラジカル重合させる。
「ノニオン性界面活性剤が実質的に存在しない条件下」とは、ノニオン性界面活性剤の含有量が、全仕込質量(100質量%)に対して、0.1質量%以下であることを意図し、0.01質量%以下が好ましく、0質量%がより好ましい。
なお、本明細書において、ノニオン性界面活性剤とは、親水基(部位)と親油基(部位)とを一分子内に含む両親媒性の界面活性作用を有する化合物であり、イオン化しない親水基(部位)を有する化合物を意味する。
「ノニオン性界面活性剤が実質的に存在しない条件下」とは、ノニオン性界面活性剤の含有量が、全仕込質量(100質量%)に対して、0.1質量%以下であることを意図し、0.01質量%以下が好ましく、0質量%がより好ましい。
なお、本明細書において、ノニオン性界面活性剤とは、親水基(部位)と親油基(部位)とを一分子内に含む両親媒性の界面活性作用を有する化合物であり、イオン化しない親水基(部位)を有する化合物を意味する。
ノニオン性界面活性剤の具体例としては、脂肪酸系ノニオン性界面活性剤、高級アルコール系ノニオン性界面活性剤、アルキルフェノール系ノニオン性界面活性剤が挙げられ、より具体例には、アルキルフェニルポリオキシエチレン、アルキルポリオキシエチレン、アルキルポリオキシアルキレンポリオキシエチレン、脂肪酸エステル、アルキルアミンオキシエチレン付加体、アルキルアミドオキシエチレン付加体、アルキルアミンオキシエチレンオキシプロピレン付加体、アルキルアミンオキシド等が挙げられる。
本発明の水性分散液の製造方法は、ラジカル重合における、フルオロオレフィンと式(1)で表される単量体との共重合反応と、含フッ素重合体の粒子形成とを促進する観点から、非フッ素系アニオン性界面活性剤が存在する条件下で行われることが好ましい。
なお、本明細書において、非フッ素系アニオン性界面活性剤とは、親水基(部位)と親油基(部位)とを一分子内に含む両親媒性の界面活性作用を有する、フッ素原子を含まない化合物であり、水中で解離して陰イオンを形成する化合物を意味する。また、非フッ素系アニオン性界面活性剤は、アンモニウムイオンを含まないのが好ましい。
なお、本明細書において、非フッ素系アニオン性界面活性剤とは、親水基(部位)と親油基(部位)とを一分子内に含む両親媒性の界面活性作用を有する、フッ素原子を含まない化合物であり、水中で解離して陰イオンを形成する化合物を意味する。また、非フッ素系アニオン性界面活性剤は、アンモニウムイオンを含まないのが好ましい。
非フッ素系アニオン性界面活性剤の具体例としては、脂肪酸系アニオン性界面活性剤、直鎖アルキルベンゼン系アニオン性界面活性剤、高級アルコール系アニオン性界面活性剤アルファオレフィン系アニオン性界面活性剤、およびノルマルパラフィン系アニオン性界面活性剤からなる群から選ばれる、アンモニウムイオンを含まない非フッ素系アニオン性界面活性剤が挙げられ、より具体例には、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム塩、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸ナトリウム塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム塩等が挙げられる。
非フッ素系アニオン性界面活性剤の含有量は、特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、ラジカル重合に供する単量体の総質量に対して、0.001〜5質量%が好ましく、0.05〜2質量%がより好ましく、0.05〜1質量%が特に好ましい。
非フッ素系アニオン性界面活性剤の含有量は、特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、ラジカル重合に供する単量体の総質量に対して、0.001〜5質量%が好ましく、0.05〜2質量%がより好ましく、0.05〜1質量%が特に好ましい。
本発明の水性分散液の製造方法では、単量体としてフルオロオレフィンを使用することにより、該フルオロオレフィンに基づく構成単位Fを含む含フッ素重合体が得られる。
フルオロオレフィンは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
フルオロオレフィンは、炭化水素系オレフィン(式CnH2n)の水素原子の1個以上がフッ素原子で置換された化合物である。
フルオロオレフィンの炭素数nは、2〜8が好ましく、2〜6がより好ましい。
フルオロオレフィンにおけるフッ素原子の数は、2以上が好ましく、3〜4がより好ましい。フッ素原子の数が2以上であれば、塗膜の耐候性がより優れる。フルオロオレフィンにおいては、フッ素原子で置換されていない水素原子の1個以上が塩素原子で置換されていてもよい。
フルオロオレフィンは、CF2=CF2、CF2=CFCl、CF2=CFCF3またはCF2=CH2が好ましく、CF2=CF2またはCF2=CFClが特に好ましい。
フルオロオレフィンは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
フルオロオレフィンは、炭化水素系オレフィン(式CnH2n)の水素原子の1個以上がフッ素原子で置換された化合物である。
フルオロオレフィンの炭素数nは、2〜8が好ましく、2〜6がより好ましい。
フルオロオレフィンにおけるフッ素原子の数は、2以上が好ましく、3〜4がより好ましい。フッ素原子の数が2以上であれば、塗膜の耐候性がより優れる。フルオロオレフィンにおいては、フッ素原子で置換されていない水素原子の1個以上が塩素原子で置換されていてもよい。
フルオロオレフィンは、CF2=CF2、CF2=CFCl、CF2=CFCF3またはCF2=CH2が好ましく、CF2=CF2またはCF2=CFClが特に好ましい。
本発明の製造方法により得られる含フッ素重合体において、構成単位Fの含有量は、含フッ素重合体が有する全構成単位(100モル%)のうち、20〜70モル%が好ましく、30〜60モル%がより好ましく、40〜60モル%がさらに好ましい。構成単位Fの含有量が20モル%以上であれば、塗膜の耐候性がより優れる。構成単位Fの含有量が70モル%以下であれば、含フッ素重合体の粒子の水分散性が優れる。
本発明の製造方法では、単量体として下記式(1)で表される単量体(以下、単に「単量体(1)」とも記す。)を使用することにより、単量体(1)に基づく構成単位Mを含む含フッ素重合体が得られる。
単量体(1)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
単量体(1)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
式(1) CH2=CH−Q−(CmH2mO)n−Z
式(1)中のQは、単結合または2価の連結基を示す。
2価の連結基は、炭素数1〜20の2価の炭化水素基(2価の飽和炭化水素基であっても、2価の芳香族炭化水素基であってもよい。また、2価の飽和炭化水素基は、直鎖状、分岐状または環状であってもよい。)、炭素数1〜20の2価の複素環基、−O−、−S−、−SO2−、−NRL−、−CO−、−COO−、−CONRL−、−SO3−、および−SO2NRL−からなる群から選ばれる基(ただし、RLは、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を示す。)、または、該群から選ばれる基の2種以上組み合わせた基が挙げられる。上記群から選ばれる基を2種以上組み合わせた基の具体例としては、アルキレンオキシ基、アルキレンオキシカルボニル基、アルキレンカルボニルオキシ基が挙げられる。
Qは、本発明の効果がより優れる点で、2価の連結基が好ましく、−O−(エーテル性酸素原子)と2価の飽和炭化水素基とを組み合せた基がより好ましく、−O−Q1−O−または−CH2O−Q1−O−がさらに好ましい(ただし、Q1は、炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数1〜12のシクロアルキレン基、または炭素数1〜12のシクロアルキレンアルキレン基を、示す。)。なお、「シクロアルキレンアルキレン基」とは、アルキレン基とシクロアルキレン基とを2つ以上組み合わせた基であり、たとえば、−CH2−cycloC6H10−CH2−基(なお、cycloC6H10は、シクロへキシレン基を示す。)などが挙げられる。
2価の連結基は、炭素数1〜20の2価の炭化水素基(2価の飽和炭化水素基であっても、2価の芳香族炭化水素基であってもよい。また、2価の飽和炭化水素基は、直鎖状、分岐状または環状であってもよい。)、炭素数1〜20の2価の複素環基、−O−、−S−、−SO2−、−NRL−、−CO−、−COO−、−CONRL−、−SO3−、および−SO2NRL−からなる群から選ばれる基(ただし、RLは、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を示す。)、または、該群から選ばれる基の2種以上組み合わせた基が挙げられる。上記群から選ばれる基を2種以上組み合わせた基の具体例としては、アルキレンオキシ基、アルキレンオキシカルボニル基、アルキレンカルボニルオキシ基が挙げられる。
Qは、本発明の効果がより優れる点で、2価の連結基が好ましく、−O−(エーテル性酸素原子)と2価の飽和炭化水素基とを組み合せた基がより好ましく、−O−Q1−O−または−CH2O−Q1−O−がさらに好ましい(ただし、Q1は、炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数1〜12のシクロアルキレン基、または炭素数1〜12のシクロアルキレンアルキレン基を、示す。)。なお、「シクロアルキレンアルキレン基」とは、アルキレン基とシクロアルキレン基とを2つ以上組み合わせた基であり、たとえば、−CH2−cycloC6H10−CH2−基(なお、cycloC6H10は、シクロへキシレン基を示す。)などが挙げられる。
式(1)中の−(CmH2mO)n−のmは、オキシアルキレン基の種類を表し、1〜4の整数を示す。具体的には、mが1の場合はオキシメチレン基(−CH2O−)を、mが2の場合はオキシエチレン基(−CH2CH2O−)を、mが3の場合はオキシプロピレン基(−CH2CH(CH3)O−、−CH(CH3)CH2O−または−CH2CH2CH2O−)を、mが4の場合はオキシブチレン基(−CH2CH2CH2CH2O−等)を示し、本発明の効果がより優れる点で、mは2が好ましい。
式(1)中の−(CmH2mO)n−のnは、オキシアルキレン基の繰り返し数を表し、10〜40の整数を示す。nは、発明の効果がより優れる点で、12〜40の整数が好ましく、13〜40の整数がより好ましく、13〜20の整数がさらに好ましく、15〜20の整数が特に好ましい。
なお、−(CmH2mO)n−におけるmの値は、同一であっても異なっていてもよい。つまり、−(CmH2mO)n−において、mの値が異なり、複数種のオキシアルキレン基が含まれていてもよい。たとえば、−(CmH2mO)n−において、オキシメチレン基とオキシプロピレン基とが含まれていてもよい。また、複数種のオキシアルキレン基が含まれる場合、それらの結合順は特に制限されず、ランダム型でもブロック型でもよい。
式(1)中の−(CmH2mO)n−のnは、オキシアルキレン基の繰り返し数を表し、10〜40の整数を示す。nは、発明の効果がより優れる点で、12〜40の整数が好ましく、13〜40の整数がより好ましく、13〜20の整数がさらに好ましく、15〜20の整数が特に好ましい。
なお、−(CmH2mO)n−におけるmの値は、同一であっても異なっていてもよい。つまり、−(CmH2mO)n−において、mの値が異なり、複数種のオキシアルキレン基が含まれていてもよい。たとえば、−(CmH2mO)n−において、オキシメチレン基とオキシプロピレン基とが含まれていてもよい。また、複数種のオキシアルキレン基が含まれる場合、それらの結合順は特に制限されず、ランダム型でもブロック型でもよい。
式(1)中のZは、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示し、水素原子、メチル基またはエチル基が好ましく、発明の効果がより優れる点で、水素原子がより好ましい。
単量体(1)の具体例としては、たとえば、下記式(11)および式(12)の化合物が挙げられる(式中の、Q1、mおよびnの定義は、上述の通りである。)。
式(11) CH2=CH−O−Q1−O−(CmH2mO)n−H
式(12) CH2=CHCH2−O−Q1−O−(CmH2mO)n−H
式(11) CH2=CH−O−Q1−O−(CmH2mO)n−H
式(12) CH2=CHCH2−O−Q1−O−(CmH2mO)n−H
本発明の製造方法により得られる水性分散液に含まれる含フッ素重合体は、この含フッ素重合体が有する全構成単位(100モル%)中、構成単位Mを1.5〜15モル%含むことが好ましく、2〜15モル%含むことがより好ましく、2〜10モル%含むことがさらに好ましい。これにより、上記効果がより優れる。
本発明の製造方法においては、フルオロオレフィンと単量体(1)以外の単量体(以下、単に「他の単量体」とも称する。)を、さらに使用してもよい。つまり、本発明の水性分散液の製造方法により得られる水性分散液に含まれる含フッ素重合体は、他の単量体に基づく構成単位を有していてもよい。
他の単量体の好適態様としては、フルオロオレフィンと単量体(1)以外の単量体であって、環状炭化水素基を含む単量体(以下、単に「単量体(2)」とも称する。)が挙げられる。単量体(2)は、フッ素原子を含まないことが好ましい。
環状炭化水素基としては、環状構造を少なくとも1つ有する炭化水素基である。
環状炭化水素基の炭素数は特に制限されないが、重合反応性が良好である点から、4〜20が好ましく、5〜10がより好ましい。
環状炭化水素基の具体例としては、たとえば、シクロブチル基、シクロヘプチル基、シクロヘキシル基等の単環式飽和炭化水素基、4−シクロヘキシルシクロヘキシル基等の複環式飽和炭化水素基、1−デカヒドロナフチル基、2−デカヒドロナフチル基等の多環式飽和炭化水素基、1−ノルボルニル基、1−アダマンチル基等の架橋環式飽和炭化水素基、スピロ[3.4]オクチル基等のスピロ炭化水素基等が挙げられる。
環状炭化水素基としては、環状構造を少なくとも1つ有する炭化水素基である。
環状炭化水素基の炭素数は特に制限されないが、重合反応性が良好である点から、4〜20が好ましく、5〜10がより好ましい。
環状炭化水素基の具体例としては、たとえば、シクロブチル基、シクロヘプチル基、シクロヘキシル基等の単環式飽和炭化水素基、4−シクロヘキシルシクロヘキシル基等の複環式飽和炭化水素基、1−デカヒドロナフチル基、2−デカヒドロナフチル基等の多環式飽和炭化水素基、1−ノルボルニル基、1−アダマンチル基等の架橋環式飽和炭化水素基、スピロ[3.4]オクチル基等のスピロ炭化水素基等が挙げられる。
単量体(2)としては、たとえば、上記フルオロオレフィンおよび単量体(1)以外の単量体であって、かつ、環状炭化水素基を有する、ビニルエーテル類、アリルエーテル類、アルキルビニルエステル類、アルキルアリルエステル類、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類等が好ましく挙げられる。より具体的には、シクロアルキルビニルエーテル(たとえば、シクロヘキシルビニルエーテル)が挙げられる。
単量体(2)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
単量体(2)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
単量体(2)に基づく構成単位の含有量は、特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、含フッ素重合体が有する全構成単位(100モル%)中、0〜45モル%が好ましく、1〜40モル%がより好ましく、3〜35モル%がさらに好ましく、5〜30モル%が特に好ましい。
他の単量体の好適態様としては、フルオロオレフィンおよび単量体(1)以外の単量体であって、架橋性基を含む単量体(以後、「単量体(3)」とも称する)が挙げられる。単量体(3)は、フッ素原子を含まないことが好ましい。
含フッ素重合体が架橋性基を有する場合、後述する水性塗料組成物に硬化剤を含ませることで、塗膜を硬化させ、耐候性、耐水性、耐薬品性、耐熱性等をさらに向上させることができる。
なお、本明細書においては、オキシアルキレン基と架橋性基(たとえば、ヒドロキシ基)とを含む単量体であって、上記式(1)に該当する場合には、単量体(1)に含まれる。また、架橋性基と環状炭化水素基とを含み、上記式(1)に該当しない単量体は、単量体(3)に含まれる。
架橋性基としては、活性水素を有する官能基(ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基等)、加水分解性シリル基(アルコキシシリル基等)等が好ましい。
含フッ素重合体が架橋性基を有する場合、後述する水性塗料組成物に硬化剤を含ませることで、塗膜を硬化させ、耐候性、耐水性、耐薬品性、耐熱性等をさらに向上させることができる。
なお、本明細書においては、オキシアルキレン基と架橋性基(たとえば、ヒドロキシ基)とを含む単量体であって、上記式(1)に該当する場合には、単量体(1)に含まれる。また、架橋性基と環状炭化水素基とを含み、上記式(1)に該当しない単量体は、単量体(3)に含まれる。
架橋性基としては、活性水素を有する官能基(ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基等)、加水分解性シリル基(アルコキシシリル基等)等が好ましい。
単量体(3)としては、たとえば、ヒドロキシアルキルビニルエーテル類、ヒドロキシアルキルビニルエステル類、ヒドロキシアルキルアリルエーテル類、ヒドロキシアルキルアリルエステル類、アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類、メタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類等が好ましく挙げられる。より具体的には、ヒドロキシアルキルビニルエーテル類(2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル等)、ヒドロキシアルキルアリルエーテル類(ヒドロキシエチルアリルエーテル等)、アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類(アクリル酸ヒドロキシエチル等)、メタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類(メタクリル酸ヒドロキシエチル等)が好ましく、共重合性に優れ、形成される塗膜の耐候性がより優れる点から、ヒドロキシアルキルビニルエーテル類がより好ましい。
単量体(3)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
単量体(3)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
単量体(3)の好適態様としては、下式(13)で表される単量体が挙げられる。
式(13) CH2=CR11(CH2)n1−Q11−R21−V
式(13)において、R11は、水素原子またはメチル基であり、n1は、0または1であり、Q11は、酸素原子、−C(O)O−または−O(O)C−であり、R21は、分岐構造または環構造を有していてもよい炭素数2〜20のアルキレン基であり、Vは、架橋性基である。
Vとしては、ヒドロキシ基、カルボキシ基またはアミノ基が好ましく、ヒドロキシ基がより好ましい。R21としては、シクロヘキサン−1,4−ジメチレン基またはn−ノニレン基が好ましい。Q11としては、酸素原子が好ましい。
式(13) CH2=CR11(CH2)n1−Q11−R21−V
式(13)において、R11は、水素原子またはメチル基であり、n1は、0または1であり、Q11は、酸素原子、−C(O)O−または−O(O)C−であり、R21は、分岐構造または環構造を有していてもよい炭素数2〜20のアルキレン基であり、Vは、架橋性基である。
Vとしては、ヒドロキシ基、カルボキシ基またはアミノ基が好ましく、ヒドロキシ基がより好ましい。R21としては、シクロヘキサン−1,4−ジメチレン基またはn−ノニレン基が好ましい。Q11としては、酸素原子が好ましい。
単量体(3)に基づく構成単位の含有量は、特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、含フッ素重合体が有する全構成単位(100モル%)中、0〜20モル%が好ましく、0〜18モル%がより好ましく、0〜15モル%がさらに好ましい。
他の単量体の好適態様としては、フルオロオレフィンおよび単量体(1)以外の単量体であって、環状炭化水素基、および、架橋性基を有さない単量体(以後、「単量体(4)」とも称する)が挙げられる。単量体(4)は、フッ素原子を含まないことが好ましい。
単量体(4)としては、フルオロオレフィンおよび単量体(1)以外の単量体であって、環状炭化水素基、および、架橋性基を有さない、ビニルエーテル類、アリルエーテル類、アルキルビニルエステル類、アルキルアリルエステル類、オレフィン類、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル等が挙げられる。
単量体(4)としては、より具体的には、アルキルビニルエーテル(ノニルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル等)、アルキルアリルエーテル(エチルアリルエーテル、ヘキシルアリルエーテル等)、カルボン酸(酢酸、酪酸、ピバリン酸、安息香酸、プロピオン酸等)のビニルエステル、カルボン酸(酢酸、酪酸、ピバリン酸、安息香酸、プロピオン酸等)のアリルエステル、エチレン、プロピレン、イソブチレン等が挙げられる。
単量体(4)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
単量体(4)としては、フルオロオレフィンおよび単量体(1)以外の単量体であって、環状炭化水素基、および、架橋性基を有さない、ビニルエーテル類、アリルエーテル類、アルキルビニルエステル類、アルキルアリルエステル類、オレフィン類、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル等が挙げられる。
単量体(4)としては、より具体的には、アルキルビニルエーテル(ノニルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル等)、アルキルアリルエーテル(エチルアリルエーテル、ヘキシルアリルエーテル等)、カルボン酸(酢酸、酪酸、ピバリン酸、安息香酸、プロピオン酸等)のビニルエステル、カルボン酸(酢酸、酪酸、ピバリン酸、安息香酸、プロピオン酸等)のアリルエステル、エチレン、プロピレン、イソブチレン等が挙げられる。
単量体(4)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
単量体(4)の好適態様としては、下式(14)で表される単量体が挙げられる。
式(14) CH2=CR31(CH2)n2−Q21−R41
R31は、水素原子またはメチル基であり、n2は、0または1であり、Q21は、酸素原子、−C(O)O−または−O(O)C−であり、R41は分岐構造を有していてもよい炭素数2〜20のアルキル基である。
式(14) CH2=CR31(CH2)n2−Q21−R41
R31は、水素原子またはメチル基であり、n2は、0または1であり、Q21は、酸素原子、−C(O)O−または−O(O)C−であり、R41は分岐構造を有していてもよい炭素数2〜20のアルキル基である。
単量体(4)に基づく構成単位の含有量は、特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、含フッ素重合体が有する全構成単位(100モル%)中、0〜50モル%が好ましく、5〜45モル%がより好ましく、15〜40モル%がさらに好ましい。
含フッ素重合体の全構成単位(100モル%)に対して、上記フルオロオレフィンに基づく構成単位F/上記単量体(1)に基づく構成単位M/上記単量体(2)に基づく構成単位/上記単量体(3)に基づく構成単位/上記単量体(4)に基づく構成単位の含有量は、それぞれ20〜70モル%/1.5〜15モル%/0〜45モル%/0〜20モル%/0〜50モル%が好ましい。
各単量体の使用量は、得られる含フッ素重合体を構成する各構成単位の割合が所望の値になるように適宜設定されればよい。
また、含フッ素重合体の重合に用いられる各単量体の使用量の合計は、得られる水性分散液中の含フッ素重合体の割合が所望の値になるように適宜設定されればよい。
また、含フッ素重合体の重合に用いられる各単量体の使用量の合計は、得られる水性分散液中の含フッ素重合体の割合が所望の値になるように適宜設定されればよい。
本発明の水性分散液の製造方法により得られる水性分散液に含まれる含フッ素重合体の粒子(エマルション)性状について説明する。
含フッ素重合体の粒子の平均粒子径は、100nm以下が好ましく、90nm以下がより好ましく、80nm以下がさらに好ましい。下限は特に制限されないが、通常は、50nm以上である。平均粒子径が100nm以下である場合、水性分散液の黄変がより抑制されるだけでなく、水性分散液の貯蔵安定性とこれを用いて得られる塗膜の耐水性がより向上する。
なお、上記平均粒子径は、ELS−8000(大塚電子株式会社製)を用いて動的光散乱法により求められるD50の値である。ここで、D50は、動的光散乱法により測定した粒子の粒度分布において、小さな粒子側から起算した体積累計50体積%の粒子直径を表す。
なお、上記平均粒子径は、ELS−8000(大塚電子株式会社製)を用いて動的光散乱法により求められるD50の値である。ここで、D50は、動的光散乱法により測定した粒子の粒度分布において、小さな粒子側から起算した体積累計50体積%の粒子直径を表す。
含フッ素重合体の粒子のゼータ電位の絶対値は、30mV以上が好ましく、本発明の効果がより優れる点で、40mV以上がより好ましく、45mV以上がさらに好ましい。上限は特に制限されないが、通常は、60mV以下である。粒子のゼータ電位の絶対値が30mV以上であることで、水性分散液の貯蔵安定性が良好になる。
ゼータ電位の値は正の値でも負の値でもよく、絶対値が上記範囲内であればよいが、本発明の効果がより優れる点で、負の値であることが好ましい。
なお、ゼータ電位は、ELS−8000(大塚電子株式会社製)を用いて電気泳動光散乱法により測定する。
ゼータ電位の値は正の値でも負の値でもよく、絶対値が上記範囲内であればよいが、本発明の効果がより優れる点で、負の値であることが好ましい。
なお、ゼータ電位は、ELS−8000(大塚電子株式会社製)を用いて電気泳動光散乱法により測定する。
特に、含フッ素重合体の粒子の平均粒子径とゼータ電位の絶対値が、上記範囲である場合には、粒子同士の反発が生じやすくなり、水性分散液の貯蔵安定性が向上するだけでなく、塗膜を形成した際に、粒子同士が密にパッキングしやすく、塗膜のピンホール発生が抑制された、耐水性により優れた塗膜を形成する。
含フッ素重合体の数平均分子量(Mn)は、特に制限されないが、30000〜200000が好ましく、50000〜180000がより好ましい。含フッ素重合体の数平均分子量(Mn)は、ポリスチレンを標準物質としてゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定される数平均分子量(Mn)である。
含フッ素重合体は、ブロック重合体、交互重合体、ランダム重合体、グラフト重合体など、いずれの重合体であってもよい。
本発明の製造方法では、上記以外の成分(以下、単に「他の成分」とも称する。)を使用してもよい。
他の成分の一つとしては、緩衝剤(pH調整剤)が挙げられる。緩衝剤は、ラジカル重合中に微量生成し得る酸分(塩化水素、フッ酸等)を除去するために使用される。このような緩衝剤としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、オルトリン酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、テトラホウ酸ナトリウム等のアンモニウムイオンを含まない無機塩基が挙げられる。
他の成分の一つとしては、緩衝剤(pH調整剤)が挙げられる。緩衝剤は、ラジカル重合中に微量生成し得る酸分(塩化水素、フッ酸等)を除去するために使用される。このような緩衝剤としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、オルトリン酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、テトラホウ酸ナトリウム等のアンモニウムイオンを含まない無機塩基が挙げられる。
本発明の製造方法において、各単量体、水性媒体、水溶性ラジカル開始剤等のラジカル重合に使用する成分はそのまま一括して仕込んでもよいし、各単量体と水性媒体とをホモジナイザー等の撹拌機を用いて前乳化させた後に水溶性ラジカル開始剤を仕込んでもよい。
各単量体は、その全量を一括して反応器に装入する方法、連続して装入する方法、分割して装入する方法、一種の単量体の全量を装入し、他種の単量体を連続または分割して装入する方法等、いずれの方法で仕込んでもよい。
本発明の製造方法において、ラジカル重合の方法としては、公知の手法を採用できる。たとえば、ラジカル重合における重合温度は、水溶性ラジカル開始剤の種類に応じて選定され、通常は0〜100℃に設定される。ラジカル重合における重合圧力は、通常は0.1〜5MPaに設定される。
各単量体は、その全量を一括して反応器に装入する方法、連続して装入する方法、分割して装入する方法、一種の単量体の全量を装入し、他種の単量体を連続または分割して装入する方法等、いずれの方法で仕込んでもよい。
本発明の製造方法において、ラジカル重合の方法としては、公知の手法を採用できる。たとえば、ラジカル重合における重合温度は、水溶性ラジカル開始剤の種類に応じて選定され、通常は0〜100℃に設定される。ラジカル重合における重合圧力は、通常は0.1〜5MPaに設定される。
本発明の製造方法により得られた水性分散液は、上記水性媒体と、上記含フッ素重合体の粒子と、を含有し、含フッ素重合体の粒子が上記水性媒体に分散している。
得られる水性分散液に含まれる含フッ素重合体の含有量は、水性分散液の貯蔵安定性がより向上する観点、および、膜の耐水性がより向上する観点から、水性分散液の全質量(100質量%)に対して、10〜70質量%が好ましく、20〜65質量%がより好ましい。
得られる水性分散液に含まれる水性媒体の含有量は、水性分散液の全質量(100質量%)に対して、30〜90質量%が好ましく、35〜80質量%がより好ましい。
得られた水性分散液は、ノニオン性界面活性剤を実質的に含有しない。水性分散液が「ノニオン性界面活性剤を実質的に含有しない」とは、ノニオン性界面活性剤の含有量が、水性分散液の全質量(100質量%)に対して、0.1質量%以下であることを意図し、0.01質量%以下が好ましく、0質量%がより好ましい。
得られた水性分散液は、上述した任意成分(たとえば、アンモニウムイオンを含まない非フッ素系アニオン性界面活性剤等。)を含有していてもよい。
得られる水性分散液に含まれる含フッ素重合体の含有量は、水性分散液の貯蔵安定性がより向上する観点、および、膜の耐水性がより向上する観点から、水性分散液の全質量(100質量%)に対して、10〜70質量%が好ましく、20〜65質量%がより好ましい。
得られる水性分散液に含まれる水性媒体の含有量は、水性分散液の全質量(100質量%)に対して、30〜90質量%が好ましく、35〜80質量%がより好ましい。
得られた水性分散液は、ノニオン性界面活性剤を実質的に含有しない。水性分散液が「ノニオン性界面活性剤を実質的に含有しない」とは、ノニオン性界面活性剤の含有量が、水性分散液の全質量(100質量%)に対して、0.1質量%以下であることを意図し、0.01質量%以下が好ましく、0質量%がより好ましい。
得られた水性分散液は、上述した任意成分(たとえば、アンモニウムイオンを含まない非フッ素系アニオン性界面活性剤等。)を含有していてもよい。
本発明の製造方法で得られた水性分散液は、上述したとおり、黄変が抑制され、耐水性に優れた塗膜の形成が可能であり、容易に水性塗料組成物として使用できる。
水性塗料組成物として使用する場合には、水性塗料組成物は、上記水性分散液の他に、必要に応じて、顔料(たとえば、無機系着色顔料、有機系着色顔料、体質顔料等)、硬化剤、硬化助剤、これら以外の他の添加剤を、さらに含有してもよい。
他の添加剤としては、造膜助剤、増粘剤、消泡剤、光安定剤、意匠剤、表面調整剤、水性媒体等が挙げられる。なお、水性媒体は、水性分散液を希釈するために用いられる。
水性塗料組成物として使用する場合には、水性塗料組成物は、上記水性分散液の他に、必要に応じて、顔料(たとえば、無機系着色顔料、有機系着色顔料、体質顔料等)、硬化剤、硬化助剤、これら以外の他の添加剤を、さらに含有してもよい。
他の添加剤としては、造膜助剤、増粘剤、消泡剤、光安定剤、意匠剤、表面調整剤、水性媒体等が挙げられる。なお、水性媒体は、水性分散液を希釈するために用いられる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。ただし本発明はこれらの実施例に限定されない。なお、後述する表中における各成分の配合量は、質量基準を示す。
まず、使用した材料と評価方法を以下に示す。
〔使用材料〕
CTFE:クロロトリフルオロエチレン。
CHVE:シクロヘキシルビニルエーテル。
EVE:エチルビニルエーテル。
CHMVE:4−ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル。
CM−15EOVE:CH2=CH−O−CH2−cycloC6H10−CH2−O−(CH2CH2O)n1H(n1:15、平均分子量:830、日本乳化剤社製。−cycloC6H10−は、1,4−シクロヘキシレン基を示す。)
NL−100:ポリオキシエチレンアルキルエーテル(HLB:13.8)(ノニオン性界面活性剤)。
SLS:ラウリル硫酸ナトリウム(アニオン性界面活性剤)(日光ケミカルズ社製)。
炭酸カリウム:緩衝剤。
KPS:過硫酸カリウム(アンモニウムイオンを含まない水溶性ラジカル開始剤)。
APS:過硫酸アンモニウム(アンモニウムイオンを含む水溶性ラジカル開始剤)。
造膜助剤:日本乳化剤社製、EHG。
増粘剤:ローム&ハース社製、プライマル(登録商標)TT−615(ポリアクリル酸系増粘剤)。
消泡剤:BASF社製、デヒドラン(登録商標)1620。
イオン交換水。
CTFE:クロロトリフルオロエチレン。
CHVE:シクロヘキシルビニルエーテル。
EVE:エチルビニルエーテル。
CHMVE:4−ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル。
CM−15EOVE:CH2=CH−O−CH2−cycloC6H10−CH2−O−(CH2CH2O)n1H(n1:15、平均分子量:830、日本乳化剤社製。−cycloC6H10−は、1,4−シクロヘキシレン基を示す。)
NL−100:ポリオキシエチレンアルキルエーテル(HLB:13.8)(ノニオン性界面活性剤)。
SLS:ラウリル硫酸ナトリウム(アニオン性界面活性剤)(日光ケミカルズ社製)。
炭酸カリウム:緩衝剤。
KPS:過硫酸カリウム(アンモニウムイオンを含まない水溶性ラジカル開始剤)。
APS:過硫酸アンモニウム(アンモニウムイオンを含む水溶性ラジカル開始剤)。
造膜助剤:日本乳化剤社製、EHG。
増粘剤:ローム&ハース社製、プライマル(登録商標)TT−615(ポリアクリル酸系増粘剤)。
消泡剤:BASF社製、デヒドラン(登録商標)1620。
イオン交換水。
〔含フッ素重合体の物性〕
(含フッ素重合体の粒子の平均粒子径)
粒子の平均粒子径は、ELS−8000(大塚電子株式会社製)を用いて動的光散乱法により粒子径を測定し、D50の値を平均粒子径とした。
(含フッ素重合体の粒子のゼータ電位)
粒子のゼータ電位は、ELS−8000(大塚電子株式会社製)を用いて電気泳動光散乱法により測定した。
(含フッ素重合体の粒子の平均粒子径)
粒子の平均粒子径は、ELS−8000(大塚電子株式会社製)を用いて動的光散乱法により粒子径を測定し、D50の値を平均粒子径とした。
(含フッ素重合体の粒子のゼータ電位)
粒子のゼータ電位は、ELS−8000(大塚電子株式会社製)を用いて電気泳動光散乱法により測定した。
〔水性分散液の評価〕
(凝集率)
水性分散液を金属メッシュ(目開き74μm)で濾過し、メッシュ上に残った凝集物を乾燥させ、凝集物の質量を測定し、水性分散液に含まれる含フッ素重合体の総質量に対する凝集物質量の比率を、凝集率(質量%)とした。
(貯蔵安定性)
水性分散液50mLを遠沈管に入れ、室温で2週間放置した際、遠沈管の底部に沈んだ沈殿物(含フッ素重合体の粒子)量を目盛より読みとり、以下の基準に従い評価した。
○:0.5cc未満
×:0.5cc以上
(水性分散液の黄変(外観))
水性分散液100mLをスクリュー管ガラスバイヤル(アズワン社製 ラボランスクリュー管瓶No.8)に投入し、目視で以下の基準に従い、外観評価とした。
○:水性分散液が黄色みを帯びておらず、黄変していない。
×:水性分散液が黄色みを帯びて、黄変している。
(凝集率)
水性分散液を金属メッシュ(目開き74μm)で濾過し、メッシュ上に残った凝集物を乾燥させ、凝集物の質量を測定し、水性分散液に含まれる含フッ素重合体の総質量に対する凝集物質量の比率を、凝集率(質量%)とした。
(貯蔵安定性)
水性分散液50mLを遠沈管に入れ、室温で2週間放置した際、遠沈管の底部に沈んだ沈殿物(含フッ素重合体の粒子)量を目盛より読みとり、以下の基準に従い評価した。
○:0.5cc未満
×:0.5cc以上
(水性分散液の黄変(外観))
水性分散液100mLをスクリュー管ガラスバイヤル(アズワン社製 ラボランスクリュー管瓶No.8)に投入し、目視で以下の基準に従い、外観評価とした。
○:水性分散液が黄色みを帯びておらず、黄変していない。
×:水性分散液が黄色みを帯びて、黄変している。
〔塗膜の評価〕
(塗膜の黄変(Δb値))
水性分散液100gとEHG7gとの混合液を、アプリケータで白黒隠蔽紙(モトフジ社製)に塗装し、80℃にて10分乾燥させて得られた塗膜(乾燥膜厚25nm)について、ハンディ型色差計(NF777 日本電色工業社製)を用いて色差(b値)を測定した。塗装後の塗膜のb値から、白黒隠蔽紙のb値を差し引いた値(Δb値の絶対値)を、以下の基準に従い、塗膜の黄変の評価値とした。
◎:Δb値の絶対値が0.7以下
○:Δb値の絶対値が0.7超1未満
×:Δb値の絶対値が1以上
(塗膜の耐水性)
スレート板(縦120mm、横60mm、厚さ15mm)の表面に、Vセラン(登録商標 大日本塗料社製 #700)をエアスプレーにて塗布し、100℃で210秒間乾燥させて下塗り膜(乾燥膜厚20μm)を形成した。つぎに、下塗り膜の上に、水性塗料組成物をエアスプレーにて塗布し、100℃で210秒間乾燥させて塗膜(乾燥膜厚40μm)が形成された試験板を得た。試験板を60℃の温水に18時間浸漬後、5℃の冷水に15時間浸漬し、その後5℃にて乾燥させた。乾燥後、塗膜外観について以下の基準に従い、耐水性評価をした。
○:塗膜面の80%以上の面積に、白化やふくれの発生が認められなかった。
×:塗膜面の20%超の面積に、白化やふくれの発生が認められた。
(塗膜の黄変(Δb値))
水性分散液100gとEHG7gとの混合液を、アプリケータで白黒隠蔽紙(モトフジ社製)に塗装し、80℃にて10分乾燥させて得られた塗膜(乾燥膜厚25nm)について、ハンディ型色差計(NF777 日本電色工業社製)を用いて色差(b値)を測定した。塗装後の塗膜のb値から、白黒隠蔽紙のb値を差し引いた値(Δb値の絶対値)を、以下の基準に従い、塗膜の黄変の評価値とした。
◎:Δb値の絶対値が0.7以下
○:Δb値の絶対値が0.7超1未満
×:Δb値の絶対値が1以上
(塗膜の耐水性)
スレート板(縦120mm、横60mm、厚さ15mm)の表面に、Vセラン(登録商標 大日本塗料社製 #700)をエアスプレーにて塗布し、100℃で210秒間乾燥させて下塗り膜(乾燥膜厚20μm)を形成した。つぎに、下塗り膜の上に、水性塗料組成物をエアスプレーにて塗布し、100℃で210秒間乾燥させて塗膜(乾燥膜厚40μm)が形成された試験板を得た。試験板を60℃の温水に18時間浸漬後、5℃の冷水に15時間浸漬し、その後5℃にて乾燥させた。乾燥後、塗膜外観について以下の基準に従い、耐水性評価をした。
○:塗膜面の80%以上の面積に、白化やふくれの発生が認められなかった。
×:塗膜面の20%超の面積に、白化やふくれの発生が認められた。
[実施例1]
〔水性分散液の製造〕
内容積2500mLのステンレス鋼製撹拌機付きオートクレーブ(耐圧硝子工業社製)中に、CHVE(181g)、EVE(185g)、CM−15EOVE(176g)、イオン交換水(1031g)、炭酸カリウム(2.1g)、SLS(2.1g)を仕込み、氷で冷却して、窒素ガスを0.7MPaになるよう加圧し、脱気した。この加圧脱気を2回繰り返し、0.01MPaまで脱気して溶存空気を除去した後、CTFEの490gと、KPSの0.4質量%水溶液50gとを仕込み、50℃で24時間、ラジカル重合反応を行った。
重合反応後、オートクレーブを50℃から20℃まで冷却し、固形分濃度49.7質量%である含フッ素重合体の粒子を含む実施例1に係る水性分散液(D1)を得た。
〔水性分散液の製造〕
内容積2500mLのステンレス鋼製撹拌機付きオートクレーブ(耐圧硝子工業社製)中に、CHVE(181g)、EVE(185g)、CM−15EOVE(176g)、イオン交換水(1031g)、炭酸カリウム(2.1g)、SLS(2.1g)を仕込み、氷で冷却して、窒素ガスを0.7MPaになるよう加圧し、脱気した。この加圧脱気を2回繰り返し、0.01MPaまで脱気して溶存空気を除去した後、CTFEの490gと、KPSの0.4質量%水溶液50gとを仕込み、50℃で24時間、ラジカル重合反応を行った。
重合反応後、オートクレーブを50℃から20℃まで冷却し、固形分濃度49.7質量%である含フッ素重合体の粒子を含む実施例1に係る水性分散液(D1)を得た。
[実施例2、比較例1および2]
各材料の使用量を第1表に示す組成となるように変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2、比較例1〜2に係る水性分散液(D2)〜(D4)を得た。
各材料の使用量を第1表に示す組成となるように変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2、比較例1〜2に係る水性分散液(D2)〜(D4)を得た。
水性分散液(D1)〜(D4)に関して、含フッ素重合体が有する構成単位の含有量(組成)と、他の材料の仕込質量(使用量)と、水性分散液の評価結果とを、以下の第1表にまとめて示す。
第1表中、「含フッ素重合体組成」欄中の「CTFE」欄〜「CM−15EOVE」欄のmol%は、含フッ素重合体中の全構成単位(100モル%)中の各単量体に基づく構成単位の含有量(mol%)を意図する。また、第1表中の「他の成分」欄の各成分における数値は、ラジカル重合に供する単量体の総質量(100質量部)に対する各成分の使用量(質量部、固形分換算値)を表す。
第1表中、「含フッ素重合体組成」欄中の「CTFE」欄〜「CM−15EOVE」欄のmol%は、含フッ素重合体中の全構成単位(100モル%)中の各単量体に基づく構成単位の含有量(mol%)を意図する。また、第1表中の「他の成分」欄の各成分における数値は、ラジカル重合に供する単量体の総質量(100質量部)に対する各成分の使用量(質量部、固形分換算値)を表す。
[水性塗料組成物の作製および評価]
水性分散液(D1)(80g)に対して、造膜助剤(6g)、増粘剤(0.4g)、消泡剤(0.6g)、イオン交換水(13g)を加えて混合し、実施例1に係る水性塗料組成物(D1)を得た。水性分散液(D2)〜(D4)に関しても同様にして、実施例2に係る水性塗料組成物(D2)、比較例1〜2に係る水性塗料組成物(D3)〜(D4)を得た。それぞれの水性塗料組成物を用いて形成された塗膜の耐水性評価の結果を、以下の第1表にまとめて示す。
水性分散液(D1)(80g)に対して、造膜助剤(6g)、増粘剤(0.4g)、消泡剤(0.6g)、イオン交換水(13g)を加えて混合し、実施例1に係る水性塗料組成物(D1)を得た。水性分散液(D2)〜(D4)に関しても同様にして、実施例2に係る水性塗料組成物(D2)、比較例1〜2に係る水性塗料組成物(D3)〜(D4)を得た。それぞれの水性塗料組成物を用いて形成された塗膜の耐水性評価の結果を、以下の第1表にまとめて示す。
[評価結果]
第1表に示すように、ノニオン性界面活性剤が存在しない条件下で、水性媒体中にて、アンモニウムイオンを含まない水溶性ラジカル開始剤を用いて、単量体をラジカル重合させることで、得られる水性分散液の黄変が抑制され、これを用いて得られた塗膜は、黄変が抑制され耐水性にも優れることが示された(実施例)。
一方、ノニオン性界面活性剤が存在しない条件下で、水性媒体中にて、アンモニウムイオンを含む水溶性ラジカル開始剤の作用によって、単量体をラジカル重合させると、得られる水性分散液の黄変が顕著になり、これを用いて得られた塗膜の黄変も顕著になることが示された(比較例1)。
また、ノニオン性界面活性剤が存在する条件下で、水性媒体中にて、アンモニウムイオンを含む水溶性ラジカル開始剤の作用によって、単量体をラジカル重合させると、得られる水性分散液の黄変およびこれを用いて得られる塗膜の黄変は抑制されるが、水性分散液の貯蔵安定性および塗膜の耐水性が劣ることが示された(比較例2)。
第1表に示すように、ノニオン性界面活性剤が存在しない条件下で、水性媒体中にて、アンモニウムイオンを含まない水溶性ラジカル開始剤を用いて、単量体をラジカル重合させることで、得られる水性分散液の黄変が抑制され、これを用いて得られた塗膜は、黄変が抑制され耐水性にも優れることが示された(実施例)。
一方、ノニオン性界面活性剤が存在しない条件下で、水性媒体中にて、アンモニウムイオンを含む水溶性ラジカル開始剤の作用によって、単量体をラジカル重合させると、得られる水性分散液の黄変が顕著になり、これを用いて得られた塗膜の黄変も顕著になることが示された(比較例1)。
また、ノニオン性界面活性剤が存在する条件下で、水性媒体中にて、アンモニウムイオンを含む水溶性ラジカル開始剤の作用によって、単量体をラジカル重合させると、得られる水性分散液の黄変およびこれを用いて得られる塗膜の黄変は抑制されるが、水性分散液の貯蔵安定性および塗膜の耐水性が劣ることが示された(比較例2)。
Claims (7)
- ノニオン性界面活性剤が実質的に存在しない条件下、水性媒体中にて、アンモニウムイオンを含まない水溶性ラジカル開始剤を用いて、フルオロオレフィンと式(1)で表される単量体とをラジカル重合させて、前記フルオロオレフィンに基づく構成単位と、前記式(1)で表される単量体に基づく構成単位と、を有する含フッ素重合体の粒子が前記水性媒体に分散した水性分散液を得る工程を含む、水性分散液の製造方法。
式(1):CH2=CH−Q−(CmH2mO)n−Z
式(1)中、Qは単結合または2価の連結基を表し、mは1〜4の整数を表し、nは10〜40の整数を表し、Zは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表す。 - 前記水溶性ラジカル開始剤が、過硫酸金属塩である、請求項1に記載の水性分散液の製造方法。
- 前記水溶性ラジカル開始剤が、過硫酸アルカリ金属塩である、請求項1または2に記載の水性分散液の製造方法。
- 非フッ素系アニオン性界面活性剤が存在する条件下で行われる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水性分散液の製造方法。
- 前記含フッ素重合体が、該含フッ素重合体が有する全構成単位中、前記構成単位Mを1.5〜15モル%含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の水性分散液の製造方法。
- 前記含フッ素重合体の粒子の平均粒子径が100nm以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の水性分散液の製造方法。
- 前記含フッ素重合体の粒子のゼータ電位の絶対値が30mV以上である、請求項1〜6のいずれか1項に水性分散液の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016134824A JP2018002951A (ja) | 2016-07-07 | 2016-07-07 | 水性分散液の製造方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2018194068A1 (ja) * | 2017-04-18 | 2018-10-25 | Agc株式会社 | 水性分散液、水性塗料、および塗装物品 |
JP2019122423A (ja) * | 2018-01-11 | 2019-07-25 | 株式会社ニューギン | 遊技機 |
-
2016
- 2016-07-07 JP JP2016134824A patent/JP2018002951A/ja active Pending
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