JPH08259773A - 含フッ素系重合体水性分散液、それを含有している水性塗料および塗装物品 - Google Patents

含フッ素系重合体水性分散液、それを含有している水性塗料および塗装物品

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JPH08259773A
JPH08259773A JP6319395A JP6319395A JPH08259773A JP H08259773 A JPH08259773 A JP H08259773A JP 6319395 A JP6319395 A JP 6319395A JP 6319395 A JP6319395 A JP 6319395A JP H08259773 A JPH08259773 A JP H08259773A
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暢彦 津田
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龍治 岩切
Yasushi Yonei
康史 米井
Katsuhiko Imoto
克彦 井本
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 成膜性、クリア塗装時の透明性、密着性、耐
候性に優れ、高光沢で機械的特性の優れた塗膜を提供す
ることのできる含フッ素系重合体水性分散液およびそれ
を含有している水性塗料および塗装物品をうる。 【構成】 含フッ素系重合体粒子を含む水性分散液中で
該含フッ素系重合体粒子100重量部の存在下に、アク
リル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸ア
ルキルエステルならびにエチレン性不飽和単量体を含有
している単量体混合物20〜100重量部をシード重合
させてえられる含フッ素系重合体水性分散液であって、
該単量体混合物中にシクロヘキシル基を有する単量体が
0.5〜45重量%含有されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、成膜性、クリア塗装時
の透明性、密着性、耐候性に優れ、高光沢で機械的特性
の優れた塗膜を提供することのできる含フッ素系重合体
水性分散液およびそれを含有している水性塗料および塗
装物品に関する。
【0002】より詳しくは、本発明は含フッ素系重合体
の粒子の存在下に、特定量のアクリル酸アルキルエステ
ルおよび/またはメタクリル酸アルキルエステルならび
にエチレン性不飽和単量体を含有している単量体混合物
をシード重合させてえられる含フッ素系重合体水性分散
液であって、エチレン性不飽和単量体としてシクロヘキ
シル基を有する単量体を特定量用いることを特徴とする
含フッ素系重合体水性分散液、それを含有している水性
塗料および塗装物品に関する。
【0003】
【従来の技術】中低層建物の外装、内装用の耐候性塗料
として含フッ素系塗料が用いられる。このフッ素系塗料
をうるために種々の技術が開発されている。含フッ素系
塗料は有機溶剤分散型のものが多いが、有機溶剤の使用
は安全性、環境保全の点で問題があるので、水性のもの
が望ましい。含フッ素系重合体の水性分散液の製法とし
ては、つぎのような方法が知られている。
【0004】特公平4−55441号公報および特開平
3−7784号公報には、水性媒体中、ビニリデンフル
オライド(VdF)系共重合体粒子の存在下にエチレン
性不飽和単量体を乳化重合させることにより、エマルジ
ョンブレンドではえられない成膜性、フィルムの透明性
がえられることが記載されているが、アルキル基の炭素
数が1〜18の(メタ)アクリル酸エステルとしてヘキ
シルメタクリレートが例示されているだけである。ヘキ
シルの構造が環状であるシクロヘキシル基を含有する
(メタ)アクリル酸エステルおよびビニルエーテル、酢
酸エステルなどの記載はなく、また密着性についても記
載されていない。
【0005】また、特開平2−225550号公報に
は、フルオロオレフィンにアルキルビニルエーテルを共
重合させた水分散性の耐候性塗料用途の水性分散液やア
ルキルビニルエーテルの一例としてシクロヘキシルビニ
ルエーテルの記載があるが、アルキルエステルを後重合
することやシクロヘキシルビニルエーテルを共重合する
ことにより、基材への密着性が向上するという記載や示
唆は見あたらない。
【0006】また、特開平6−228491号公報に
は、フルオロオレフィンにアルキルビニルエーテルを共
重合させた樹脂水性分散体に、フルオロオレフィン系共
重合体を後重合することやこの中で後重合するフルオロ
オレフィン系共重合体の単量体としてシクロヘキシルビ
ニルエーテルを用いることが記載されているが、後重合
するのはフルオロオレフィン系共重合体であり、非フッ
素系アルキルエステルのみを後重合することは記載され
ておらず、また、シクロヘキシルビニルエーテルを共重
合することにより、基材への密着性が向上するという記
載や示唆は見あたらない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記問題点に
鑑みなされたものであり、その目的は、成膜性、クリア
塗装時の透明性、密着性、耐候性に優れ、高光沢で機械
的特性の優れた塗膜を提供することのできる含フッ素系
重合体水性分散液、それを含有している水性塗料および
塗装物品をうることにある。
【0008】本発明者らは、含フッ素系重合体の粒子、
その中でもVdF系重合体、その中でもとくにVdF7
0〜95%(モル%、以下同様)およびCTFE5〜3
0%を含んでなる限定された組成の含フッ素系重合体の
粒子を含む水性分散液中で該含フッ素系重合体の粒子
(以下、シード粒子と呼ぶことがある)の存在下に特定
量のアクリル酸アルキルエステルおよび/またはメタク
リル酸アルキルエステルならびにエチレン性不飽和単量
体とくにシクロヘキシル基を有する単量体の特定量をシ
ード重合させることにより分子レベルの相溶体水性分散
液がえられ、この分散液が前記目的を達成しうること、
ならびにメタクリル酸シクロヘキシル、シクロヘキシル
ビニルエーテルなどと、これらと類似した化学構造を有
しているメタクリル酸ノルマルヘキシルまたはイソヘキ
シル、ノルマルヘキシルまたはイソヘキシルビニルエー
テルなどとの間には、密着性改良効果の点において大き
な違いがあり、驚くべきことに前記のようなシクロヘキ
シル基を有する単量体のみが密着性の改良に著しい効果
を奏することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、含フッ素系重
合体の粒子100重量部の存在下に、アルキル基の炭素
数が1〜18のアクリル酸アルキルエステルおよび/ま
たはアルキル基の炭素数が1〜18のメタクリル酸アル
キルエステルならびにこれらのエステルとの共重合が可
能なエチレン性不飽和単量体を含有している単量体混合
物20〜100重量部を水性媒体中において乳化重合し
てえられ、かつ該乳化重合してえられる重合体の粒子の
平均粒子径が0.05〜3μmである含フッ素系重合体
水性分散液であって、該単量体混合物中にシクロヘキシ
ル基を有する単量体が該単量体混合物の重量基準で0.
5〜45重量%含有されていることを特徴とする含フッ
素系重合体水性分散液に関する。
【0010】また本発明は、前記含フッ素系重合体水性
分散液を含有している水性塗料に関する。
【0011】また本発明は、前記水性塗料を塗装してえ
られる塗装物品に関する。
【0012】
【作用および実施例】本発明でシード粒子として使用す
る含フッ素系重合体としては、クロロトリフルオロエチ
レン(CTFE)、テトラフルオロエチレン(TF
E)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、ビニリデ
ンフルオライド、トリフルオロエチレン(TrFE)、
ビニルフルオライド(VF)などの単独重合体もしくは
共重合体またはこれらの単量体と共重合可能なエチレン
性不飽和単量体たとえばシクロヘキシルビニルエーテル
(CHVE)、エチルビニルエーテル(EVE)などの
ようなビニルエーテル単量体との共重合体があげられ
る。これらのうちでも、アクリル樹脂との相溶性の面か
ら、CTFE/ビニルエーテル系共重合体、VdF系共
重合体などが好ましく使用される。さらにこれらの共重
合体のうちでも、VdF系共重合体が好ましく、このば
あいVdF70〜95%およびCTFE5〜30%、好
ましくはVdF75〜90%およびCTFE10〜25
%、さらに好ましくはVdF75〜85%およびCTF
E15〜25%を含んでなる重合体が好適に用いられ
る。
【0013】VdFが70%以上になるとシード粒子と
アクリル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル
酸アルキルエステルならびにエチレン性不飽和単量体か
らなる重合体との相溶性がよくなり、エマルジョンを乾
燥させて成膜したフィルム(以下、キャストフィルムと
呼ぶ)の透明性、機械的特性に優れる、といった相溶性
による優れた特性がえられる。またCTFEが5%未満
になるとシード粒子のアクリル酸アルキルエステルおよ
び/またはメタクリル酸アルキルエステルならびにエチ
レン性不飽和単量体への溶解性が低下するばあいもあ
り、シード重合の際にシード粒子への単量体の膨潤が速
やかに行なわれにくくなるばあいもあり、えられたエマ
ルジョンからのキャストフィルムは透明性が低下するば
あいもあり、塗料から塗膜を調製した際にも光沢や密着
性がえられにくいばあいもある。
【0014】前記VdFやCTFEなどの単量体と共重
合可能な単量体の含有量は0〜30%、好ましくは10
〜25%、より好ましくは10〜20%である。
【0015】シード粒子が、とくにCTFEとVdFと
TFEまたはVFとからなるばあいはシード粒子の単量
体への溶解性がよくなり、シード重合の際にシード粒子
への単量体の膨潤が速やかに行われ、えられたエマルジ
ョンからのキャストフィルムは透明性がよくなり、塗料
から塗膜を調製した際にも光沢がえられる。
【0016】またシード粒子が、CTFEとVdFとH
FPまたはTrFEとからなるばあいは、シード粒子が
単量体に溶解しやすくなり、HFP、TrFEとアクリ
ルおよび/またはメタクリル系共重合体との相溶性がよ
くなり、えられたエマルジョンからのキャストフィルム
は透明性がよくなり、高光沢の塗膜がえられる。
【0017】本発明における含フッ素系重合体の平均粒
子径は、シード重合後の含フッ素系重合体の平均粒子径
と密接に関連し、シード重合後の含フッ素系重合体の平
均粒子径を0.05〜3μm、好ましくは0.05〜
0.5μm、さらに好ましくは0.1〜0.2μmにす
るため、0.05〜2.8μm、好ましくは0.05〜
0.48μm、より好ましくは0.09〜0.18μm
にすることが望ましい。
【0018】シード粒子として使用する含フッ素系重合
体は、通常の乳化重合法によってえられる。
【0019】たとえば親水性部位を有するフッ素系反応
性乳化剤を水に対して、0.01〜1.0%およびフッ
素系乳化剤を0〜1.0%をそれぞれ共存させて、フル
オロオレフィンを含む単量体混合物を乳化重合させるこ
とにより調整することができる。
【0020】また、水に対して1.0重量%以下、好ま
しくは0.5重量%以下、より好ましくは0.2重量%
以下(下限は通常0.01重量%)のフッ素系界面活性
剤と水に対して0.001〜0.1重量%、好ましくは
0.01〜0.05重量%のノニオン系非フッ素系界面
活性剤との共存下にフルオロオレフィンを含む単量体混
合物を乳化重合させることにより調製することができ
る。
【0021】これらの方法でえられた水性分散液は、平
均粒子径0.2μm以下のシード粒子を30〜50重量
%の高濃度で安定に含むことができる。
【0022】前記親水性部位を有するフッ素系反応性乳
化剤としては、たとえばCF2=CF−(CF2CFX)
nY(式中、XはFまたはCF3、YはSO3M、COO
M(Mは水素原子、アミン、アンモニウムまたはアルカ
リ金属)、nは整数を表す)、CF2=CF−O(CF
X)nY(式中、X、Yおよびnは前記と同じ)、CH2
=CF−CF2−O(CF(CF3)CF2O)n−CF
(CF3)Y(式中、Yおよびnは前記と同じ)、CF2
=CF−CF2−O(CF(CF3)CF2O)n−CF
(CF3)Y(式中、Yおよびnは前記と同じ)で示さ
れるような構造を有するものがあげられるが、水への溶
解性および界面活性の点から、nは0〜3の範囲にある
ことが好ましい。
【0023】より具体的には、CH2=CF−CF2−O
((CF3)CFCF2O)n−(CF3)CFCOOHの
構造で、nが0〜2のものが用いられる。
【0024】重合温度は20〜120℃、好ましくは3
0〜70℃の温度である。重合温度が20℃より低いと
概して生成ラテックスの安定性が低くなり、重合温度が
120℃より高いと連鎖移動による重合速度の失速が起
こる傾向がある。重合は、重合体の種類によるが、通
常、1.0〜50kgf/cm2 (ゲージ圧)の加圧下
に5〜100時間加熱されて行なわれる。
【0025】シード粒子の乳化重合に用いられる前記フ
ッ素系乳化剤としては、構造中にフッ素原子を含み、界
面活性能をもつ化合物の1種または2種以上の混合物が
あげられる。たとえば、X(CF2 n COOH(nは
6〜20の整数、XはFまたはHを表わす)で示される
酸およびそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン
塩または第四アンモニウム塩:Y(CH2 CF2 m
OOH(mは6〜13の整数、YはFまたはClを表わ
す)で示される酸、そのアルカリ金属塩、アンモニウム
塩、アミン塩または第四アンモニウム塩などがあげられ
る。より具体的には、パーフルオロオクタン酸のアンモ
ニウム塩、パーフルオロノナン酸のアンモニウム塩など
が用いられる。その他、公知のフッ素系界面活性剤を使
用することもできる。
【0026】シード粒子をうるときの乳化重合において
は、フッ素系界面活性剤の存在下少量のノニオン系非フ
ッ素系界面活性剤も用いることができ、その具体例とし
ては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオ
キシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシ
エチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエス
テル類、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステ
ル類、グリセリンエステル類およびその誘導体などがあ
げられる。より具体的には、ポリオキシエチレンアルキ
ルエーテル類のものとしてポリオキシエチレンラウリル
エーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオ
キシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレン
オレイルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテ
ルなどがあげられ、ポリオキシエチレンアルキルフェニ
ルエーテル類のものとしてポリオキシエチレンノニルフ
ェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニル
エーテルなどがあげられ、ポリオキシエチレンアルキル
エステル類のものとしてモノラウリン酸ポリエチレング
リコール、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モ
ノステアリン酸ポリエチレングリコールなどがあげら
れ、ソルビタンアルキルエステル類のものとしてモノラ
ウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルミチ
ン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸
ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ポリオ
キシエチレンソルビタンなどがあげられ、ポリオキシエ
チレンソルビタンアルキルエステル類のものとしてモノ
ラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルミ
チン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン
酸ポリオキシエチレンソルビタンなどがあげられ、グリ
セリンエステル類のものとしてモノミリスチン酸グリセ
リル、モノステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸グ
リセリルなどがあげられる。また、これらの誘導体とし
ては、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシ
エチレンアルキルフェニル−ホルムアルデヒド縮合物、
ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩などがあ
げられる。特に好ましいものはポリオキシエチレンアル
キルエーテル類およびポリオキシエチレンアルキルエス
テル類であってHLB値が10〜18のものであり、具
体的には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(E
O:5〜20、EOはエチレンオキシドユニット数を示
す)モノステアリン酸ポリエチレングリコール(EO:
10〜55)、モノオレイン酸ポリエチレングリコール
(EO:6〜10)があげられる。
【0027】本発明において、シード粒子の存在下に、
アクリル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル
酸アルキルエステルならびにエチレン性不飽和単量体を
含む単量体混合物がシード重合される。
【0028】本発明におけるアルキル基の炭素数が1〜
18であるアクリル酸アルキルエステルとしては、たと
えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸
プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチ
ル、アクリル酸n−アミル、アクリル酸イソアミル、ア
クリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシ
ル、アクリル酸ラウリルなどをあげることができる。こ
れらのうち、アルキル基の炭素数が1〜3のアクリル酸
アルキルエステルが好ましく、特にアルキル基の炭素数
が1または2のアクリル酸アルキルエステルが好まし
い。これらの単量体は、単独でまたは2種以上を混合し
て使用される。
【0029】また、前記アルキル基の炭素数が1〜18
であるメタクリル酸アルキルエステルとしては、たとえ
ばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリ
ル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸
イソブチル、メタクリル酸n−アミル、メタクリル酸イ
ソアミル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2
−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリルなどをあげる
ことができる。これらのうち、アルキル基の炭素数が1
〜3のメタクリル酸アルキルエステルが好ましく、特に
アルキル基の炭素数が1または2のメタクリル酸アルキ
ルエステルが好ましい。これらの単量体は、単独でまた
は2種以上を混合して使用される。
【0030】本発明において、前記アクリル酸アルキル
エステルと前記メタクリル酸アルキルエステルとを併用
するばあいは、両者の比率には特に制約はなく、重合体
粒子の水性分散体の所望の特性に応じて、適宜選定する
ことができる。
【0031】アクリル酸アルキルエステルおよび/また
はメタクリル酸アルキルエステルと共重合可能なエチレ
ン性不飽和単量体としては、たとえばビニル化合物、と
くにシクロヘキシル基を有する単量体などがあげられ
る。
【0032】本発明におけるビニル化合物としては、ア
クリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリル
アミド、N−メチルメタクリルアミド、N−メチロール
アクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N
−アルキルアクリルアミド、N−アルキルメタクリルア
ミド、N,N−ジアルキルアクリルアミド、N,N−ジ
アルキルメタクリルアミドなどのアミド化合物、アクリ
ル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸N,N−ジアル
キルアミノエチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸
フルオロアルキルなどのアクリル酸エステル、メタクリ
ル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸N,N−ジア
ルキルアミノエチル、メタクリル酸グリシジル(GM
A)、メタクリル酸フルオロアルキル、エチレングリコ
ールジメタクリレートなどのメタクリル酸エステル、ア
リルグリシジルエーテルなどのビニルエーテル化合物、
1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどの
共役ジエン、スチレン、α−メチルスチレン、ハロゲン
化スチレン、ジビニルベンゼンなどの芳香族ビニル化合
物、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシア
ン化ビニル化合物などをあげることができる。これらの
単量体は、単独でまたは2種以上を混合して使用され
る。
【0033】また、酢酸ビニル、分岐アルキルのビニル
エステル混合物であるVeova9、Veova10
(シェル化学)などのビニルエステル化合物が例示され
る。
【0034】シクロヘキシル基を有する単量体として
は、たとえばアクリル酸シクロヘキシル(CHA)、メ
タクリル酸シクロヘキシル(CHMA)、シクロヘキシ
ルビニルエーテル(CHVE)などがあげられるが、耐
侯性の点からCHMA、CHVEが好ましい。
【0035】前記シクロヘキシル基を有する単量体の使
用量としては、アクリル酸アルキルエステルおよび/ま
たはメタクリル酸アルキルエステルならびにエチレン性
不飽和単量体の単量体混合物全体に対し0.5〜45重
量%、好ましくは1〜20重量%であり、0.5重量%
未満では、本発明の目的である塗料組成物の基材への密
着性が充分ではなく、45重量%を超えると、シード粒
子との相溶性がわるく、水性分散液乾燥フィルムの透明
性が低下し、またフィルムの伸び、弾性率などの力学特
性が低下する。また塗膜の光沢が低下したり、耐候性が
低下するなどの傾向がある。
【0036】前記エチレン性不飽和単量体とアクリル酸
アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸アルキル
エステルの使用量は合計量で、シード粒子100部(重
量部、以下同様)に対して20〜100部、好ましくは
30〜100部、より好ましくは40〜100部であ
る。20部より少ないと透明性および塗膜化時の光沢と
密着性が低くなる傾向がある。また100部を超えると
耐候性が低下する傾向がある。
【0037】アクリル酸アルキルエステルおよび/また
はメタクリル酸アルキルエステルならびにエチレン性不
飽和単量体のシード重合は、通常の乳化重合と同様の条
件で行なうことができる。たとえば、シード粒子を含む
水媒体中に、界面活性剤、重合開始剤、連鎖移動剤、必
要によりキレート化剤、pH調整剤および溶剤などを添
加して、20〜90℃、好ましくは20〜80℃、より
好ましくは30〜70℃の温度で0.5〜6時間反応を
行なう。
【0038】シード重合において、シード粒子の存在下
に反応系に単量体全量を一括して仕込む方法、単量体の
一部を仕込み反応させたのち、残りを連続あるいは分割
して仕込む方法、単量体全量を連続して仕込む方法のい
ずれを用いてもよい。
【0039】アクリル酸アルキルエステルおよび/また
はメタクリル酸アルキルエステルならびにエチレン性不
飽和単量体をシード粒子の存在下に乳化重合法によりシ
ード重合させると、まずこれらの単量体のシード粒子へ
の膨潤が起こり、この時点で単量体にシード粒子が均一
溶解した水性分散体の状態となり、重合開始剤の添加に
よって単量体が重合し、分子鎖のからまりあった相溶体
粒子が形成される。多官能の単量体を共重合することに
よって相互進入網目構造(IPN)を形成することもで
きる。多官能の単量体としては、モノグリコールジメタ
クリレート、ジグリコールジメタクリレートなどがあげ
られる。
【0040】シード重合に用いられる界面活性剤として
は、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、ま
たはそれらが組み合わせて用いられ、両性界面活性剤を
用いることもできる。アニオン性界面活性剤としては、
高級アルコール硫酸塩のエステル、たとえばアルキルス
ルホン酸ナトリウム塩、アルキルベンゼンスルホン酸ナ
トリウム塩、コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸ナ
トリウム塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸
ナトリウム塩などが用いられる。ノニオン性界面活性剤
としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポ
リオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオ
キシエチレンアルキルエステル類、ポリオキシエチレン
アルキルフェニルエステル類、ソルビタンアルキルエス
テル類、グリセリンエステル類、およびその誘導体など
が用いられる。両性界面活性剤としてはラウリルベタイ
ンなどが用いられる。またアクリル酸エステル、メタク
リル酸エステル、エチレン性不飽和単量体と共重合可能
な、いわゆる反応性乳化剤、たとえばスチレンスルホン
酸ナトリウム、アルキルスルホコハク酸ナトリウムなど
を用いることもできる。界面活性剤の使用量は、通常、
アクリル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル
酸アルキルエステルならびにエチレン性不飽和単量体の
合計100部あたり、0.05〜5.0部程度である。
【0041】重合開始剤は、水性媒体中でフリーラジカ
ル反応に供しうるラジカルを20〜90℃の間で発生す
るものであれば特に限定されず、ばあいによっては、還
元剤と組み合せて用いることも可能である。通常、水溶
性の重合開始剤としては、過硫酸塩、過酸化水素、還元
剤としては、ピロ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナト
リウム、L−アスコルビン酸ナトリウムなどをあげるこ
とができる。油溶性の重合開始剤としては、ジイソプロ
ピルパーオキシジカーボネート(IPP)、過酸化ベン
ゾイル、過酸化ジブチル、アゾビスイソブチロニトリル
(AIBN)などがあげられる。重合開始剤の使用量
は、通常、アクリル酸アルキルエステルおよび/または
メタクリル酸アルキルエステルならびにエチレン性不飽
和単量体の合計100部あたり、0.05〜2.0部程
度である。
【0042】重合温度は、20〜90℃、好ましくは3
0〜70℃の範囲がよい。
【0043】連鎖移動剤としてはハロゲン化炭化水素
(たとえばクロロホルム、四塩化炭素など)、メルカプ
タン類(たとえばn−ドデシルメルカプタン、t−ドデ
シルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、チオグ
リコール酸イソオクチルエステルなど)などが用いられ
る。これらのうちでも、連鎖移動効果や臭気の点からチ
オグリコール酸イソオクチルエステル、n−ドデシルメ
ルカプタンが好ましい。連鎖移動剤の使用量は、通常、
アクリル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル
酸アルキルエステルならびにエチレン性不飽和単量体の
合計100部あたり、0〜5.0部程度である。
【0044】溶剤としては、作業性、防災安全性、環境
安全性、製造安全性を損なわない範囲の少量のメチルエ
チルケトン、アセトン、トリクロロトリフルオロエタ
ン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチルなどを使用す
ることができる。溶剤の添加によってシード粒子への単
量体膨潤性が改良されることがある。
【0045】以上のごとく、本発明の含フッ素系重合体
水性分散液はえられるが、本発明の目的である成膜性、
密着性の向上という点から−35℃〜25℃の任意のT
gを有する含フッ素系重合体粒子を含む水性分散体の存
在下に、メタクリル酸アルキルエステルおよびこれらと
共重合可能な単量体とをシード重合させることがより好
ましい。これにより、含フッ素系重合体水性分散液の最
低成膜温度を前記シード粒子のTgの選択によって0℃
〜70℃の範囲で任意に設定することができる。
【0046】側鎖の炭素数が1〜6のメタクリル酸アル
キルエステルは、耐候性の低下に対する影響は小さいた
め好ましいが、側鎖の炭素数が小さくなるにつれてVd
F共重合体樹脂との相溶性が向上するため、側鎖の炭素
数が1〜3のメタクリル酸アルキルエステルがより好ま
しく、さらには側鎖の炭素数が1のメタクリル酸メチル
がより好ましい。
【0047】また、耐溶剤性、耐水性向上の目的でエチ
レングリコールジメタクリレート、プロピレングルコー
ルジメタクリレートなどの多官能性単量体を共重合する
こともできる。
【0048】また、この水性分散体粒子の存在下に乳化
重合させる際に、共重合可能なエチレン性不飽和結合を
有する単量体として、親水性部位を低分子量のポリマー
またはオリゴマーの分子中に含む化合物を用いることも
できる。前記親水性部位とは、親水性基を有する部位ま
たは親水性の結合をあらわしている。この親水性基は、
アニオン性、非イオン性、両性およびこれらの組み合わ
せのいずれであってもよいが、非イオン性、アニオン性
の親水性基が好ましい。また、公知の反応性乳化剤も含
まれる。
【0049】前記単量体、反応性乳化剤の例として市販
されているものでは、ブレンマーPE−350、ブレン
マーPME−400、ブレンマー70PEP350B、
ユニオックスPKA5002、ユニオックスPKA50
03、ユニオックスPKA5004(日本油脂(株)
製)、NKエステルM−40G、NKエステルM−90
G、NKエステルM−230G、NKエステルAMP−
60G、NKエステルCB−1、NKエステルSA、N
KエステルA−SA(新中村化学(株)製)、エレミノ
ールJS2、エレミノールRS30(三洋化成工業
(株)製)などが例示される。
【0050】前記単量体のうち、耐候性の低下に対して
悪影響を与えないアリルエーテル誘導体が好ましい。
【0051】本発明においてシード重合によりえられる
水性分散液中の含フッ素系重合体の粒子の平均粒子径は
0.05〜3μmであることが好ましく、より好ましく
は0.05〜0.5μm、特に0.1〜0.2μmであ
る。平均粒子径が0.05μm未満では、水性分散液の
粘度が上昇し、高濃度の水性分散液がえられない。また
含フッ素系重合体の粒子の平均粒子径が3μmを超える
と水性分散液の保存時に粒子の沈降、さらには凝固を生
じる。また塗膜調製時に光沢がでないなどの問題を生じ
る。
【0052】本発明の含フッ素系重合体水性分散液は、
水性塗料として、顔料、増粘剤、分散剤、消泡剤、凍結
防止剤、成膜助剤など一般に水性エマルジョン型塗料に
用いられている添加剤を配合することによって、またコ
ンクリートの表面保護コーティングとして、さらに塗工
紙用コーティング材などとして用いることができる。
【0053】また本発明の含フッ素系重合体水性分散液
は、中低層建物の外装および/または内装用水性塗料用
としても用いることができる。
【0054】本発明の水性塗料の塗装方法としては従来
の公知の塗装方法が採用できる。塗装には、ハケ、ロー
ラー、ロールコーター、エアースプレー、エアレススプ
レー、静電塗装機、浸漬塗装機、電着塗装機など従来公
知の塗装器具を使用することができる。
【0055】本発明の水性塗料は、鉄、アルミニウム、
銅あるいはこれらの合金類などの金属に限らず、ガラ
ス、セメント、コンクリートなどの無機材料、FRP、
アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹
脂、ポリウレタン樹脂などの樹脂類、木材、繊維などの
種々の基材に適用可能である。また、必要に応じて基材
に予備処理や表面処理を行なってもよく、適宜アンダー
コートやプレコートを施したのちに本発明の塗料組成物
を塗装することができる。塗膜は塗装後、硬化剤の種類
に応じて通常5〜300℃で30秒〜1週間乾燥して硬
化させる。塗膜の膜厚はとくに制限されないが、通常1
〜200μm、好ましくは5〜100μm、より好まし
くは10〜50μm程度である。
【0056】かくしてえられる塗装物は密着性、耐侯
性、耐薬品性に優れ、塗膜表面は潤滑性もあるので幅広
い用途で使用可能である。すなわち、電気製品(電子レ
ンジ、トースター、冷蔵庫、洗濯機、ヘアードライア
ー、テレビ、ビデオ、アンプ、ラジオ、電気ポット、炊
飯機、ラジオカセット、カセットデッキ、コンパクトデ
ィスクプレーヤー、ビデオカメラなど)の内外装、エア
ーコンディショナーの室内機、室外機、吹き出口および
ダクト、空気清浄機、暖房機などのエアーコンディショ
ナーの内外装、蛍光燈、シャンデリア、反射板などの照
明器具、家具、機械部品、装飾品、くし、めがねフレー
ム、天然繊維、合成繊維(糸状のものおよびこれらから
えられる織物)、事務機器(電話機、ファクシミリ、複
写機(ロールを含む)、写真機、オーバーヘッドプロジ
ェクター、実物投影機、時計、スライド映写機、机、本
棚、ロッカー、書類棚、いす、ブックエンド、電子白板
など)の内外装、自動車(ホイール、ドアミラー、モー
ル、ドアのノブ、ナンバープレート、ハンドル、インス
ツルメンタルパネルなど)、あるいは厨房器具類(レン
ジフード、流し台、調理台、包丁、まな板、水道の蛇
口、ガスレンジ、換気扇など)の塗装用として、間仕切
り、バスユニット、シャッター、ブラインド、カーテン
レール、アコーディオンカーテン、壁、天井、床などの
屋内塗装用として、外装用としては外壁、手摺り、門
扉、シャッターなどの一般住宅外装、ビル外装など、窯
業系サイジング材、発泡コンクリートパネル、コンクリ
ートパネル、カーテンウォール、塩ビ鋼板やシートなど
の建築用外装材、窓ガラス、その他に広い用途を有す
る。
【0057】つぎに本発明を実施例をあげて説明する
が、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものでは
ない。
【0058】合成例1 内容量1リットルの撹拌機付耐圧反応容器に、脱イオン
水500ミリリットル、パーフルオロオクタン酸アンモ
ニウム塩0.5gおよびCH2=CF−CF2−OCF
(CF3)CF2O−CF(CF3)COOHで示される
構造の反応性乳化剤0.5gを仕込み、チッ素圧入、脱
気を繰返し、溶存空気を除去したのち、VdF/TFE
/CTFEの74/14/12モル%比の混合モノマー
にて、60℃で8kgf/cm2まで加圧した。つぎ
に、酢酸エチル1.5gを圧入し、さらに過硫酸アンモ
ニウム0.2gを仕込み、槽内圧力が8kgf/cm2
となるように該混合モノマーを連続供給し、45時間反
応を行なったのち、槽内を常温、常圧に戻し反応の終了
とした。
【0059】この水性分散液について以下の項目につい
て測定した。
【0060】固形分濃度:150℃真空乾燥器中で1時
間乾燥し、乾燥後の重量を乾燥前の水性分散液重量に対
する百分率で表した。
【0061】平均粒子径:レーザー光散乱粒径測定装置
(大塚電子ELS−3000)により測定した。
【0062】結果を表1に示す。
【0063】合成例2〜5 合成例1において、混合モノマーの組成を表1に示した
組成に変更したこと以外は、合成例1と同様の方法によ
り、合成例2〜5の水性分散液をえ、合成例1と同様の
測定を行った。結果を表1に示す。
【0064】合成例6 200ミリリットルのステンレス製撹拌機付きオートク
レーブに表1に示す組成のシクロヘキシルビニルエーテ
ル(CHVE)20.0gとエチルビニルエーテル(E
VE)11.4gおよび親水性部位を有するマクロモノ
マー(PKA5003、日本油脂製)4.5g、イオン
交換水66.1g、パーフルオロオクタン酸アンモニウ
ム(乳化剤)0.35g、炭酸カリウム(K2CO3
0.35g、亜硫酸水素ナトリウム(NaHSO3
0.02g、過硫酸アンモニウム(開始剤)0.08g
を仕込み、氷で冷却してチッ素ガスを3.5kg/cm
2になるように加圧し脱気する。この加圧脱気を2回繰
り返したのち、10mmHgまで脱気して溶存酸素を除
去したのち、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)
38.0gを仕込み、30℃で12時間反応を行い、合
成例6の水性分散液をえ、合成例1と同様の測定を行っ
た。結果を表1に示す。
【0065】
【表1】
【0066】実施例1 撹拌翼、冷却管、温度計を備えた内容量200ミリリッ
トルの四つ口フラスコに、合成例1でえられた水性分散
液70gを仕込み、これにJS2(三洋化成製)を該水
性分散液の固形分に対して0.5重量%添加した。撹拌
下に水浴中で加温し、槽温が80℃に達したところで、
メタクリル酸メチル(以下MMAと記す)10g、メタ
クリル酸シクロヘキシル(以下CHMAと記す)1.2
g、PKA5003(日本油脂製)1.5gおよびチオ
グリコール酸イソオクチルエステル0.3gをJS2
(三洋化成製)の0.5重量%水溶液で乳化したエマル
ジョンを1時間かけて滴下した。直後に、過硫酸アンモ
ニウムの2重量%水溶液1ミリリットルを添加し反応を
開始した。反応開始後3時間後に、槽内温度を85℃に
上げ、1時間保持したのち冷却し、アンモニア水でpH
を7に調整したのちに、300メッシュの金網で濾過し
て青白色の含フッ素系重合体の水性分散液をえた。
【0067】この水性分散液についてつぎの試験を行っ
た。
【0068】(1)水性分散液特性評価 固形分濃度および平均粒子径:前記と同じ 最低成膜温度(MFT):熱勾配試験装置(理学工業
(株)製)にて連続な膜になった最低温度を測定した。
【0069】(2)水性分散液乾燥フィルム特性評価 透明性:水性分散液を直径10cmのシャーレに、乾燥
フィルムの膜厚が200μmになるように流し込み、8
0℃で24時間乾燥した。このフィルムを800nmの
波長で光線透過率を測定し下記のように評価した。
【0070】A:透過率90%以上 B:透過率80〜90%未満 C:透過率60%〜80%未満 D:透過率60%未満 水性分散液乾燥フィルム力学特性:JIS K6301
に準じて、前記乾燥フィルムを2号ダンベルに切り出し
て、伸びおよび弾性率を測定した。
【0071】(3)塗膜特性評価 実施例1でえられた水性分散液の固形分100部に対し
て、充填剤として酸化チタン(商品名CR90(石原産
業(株)製)50部、分散剤としてノプコスパースSN
5027(サンノプコ(株)製)2部、凍結防止剤とし
てエチレングリコール1部、消泡剤としてFSアンチフ
ォーム013B(日本乳化剤(株)製)0.5部、増粘
剤としてUH420(旭電化(株)製)0.5部、成膜
助剤としてテキサノールCS12(チッソ(株)製)1
5部を加え、ディスパー撹拌機を用いて充分混合し、塗
料を調製した。
【0072】初 期 光沢 :えられた塗料を、アルミ板状にアプリケーター
を用いて、20μmの塗膜厚さになるように伸展し、室
温で一週間乾燥後、光沢計(スガ試験器(株)製)を用
いて反射角60°の光沢を測定した。
【0073】鉛筆硬度:前記アルミ板上にえられた塗膜
をJISK5400鉛筆硬度試験により塗膜硬度を測定
した。
【0074】密着性:実施例1の水性分散液を用いて、
前記調整した塗料を、(1)水性アクリルシーラー モ
ビニール940(ヘキスト合成製)を塗布したスレート
板上に40μmの塗膜厚さになるようにアプリケーター
を用いて伸展し、室温で一週間乾燥した。(2)弾性ア
クリルシーラー ハイプルーフ中塗り(日本特殊塗料
製)を塗布したスレート板上に40μmの塗膜厚さにな
るようにエアレススプレーガンを用いて塗布し、室温で
一週間乾燥した。前記各々についてJIS K5400
に基づき、2mm間隔25コのマス目を作り、テープ剥
離試験を行った。表2中にそれぞれのシーラーを用いた
ばあいの残ったマス目の数を示す。
【0075】水浸漬試験:前記各シーラーを塗布してえ
られた塗板を、イオン交換水に室温で10日間浸漬し、
取り出して1日乾燥後、光沢および密着性を前記と同様
の方法により測定した。
【0076】促進耐侯性試験:アルミ板上にアプリケー
ターで20μm厚に塗布した前記光沢測定に用いた試験
板をアイスーパーUVテスター(SUV)(岩崎電気
(株)製)で1000hr暴露後、光沢を測定し、初期
光沢に対する百分率を光沢保持率(%)で表した。ま
た、密着試験時に作製した(1)アクリルシーラー、
(2)弾性アクリルシーラーを塗布した塗板をSUVに
1000hr暴露後、密着性を前記と同様の方法により
測定した。
【0077】結果を表2に示す。
【0078】実施例2〜14 表2に示される合成例の水性分散液および単量体混合物
を用いて、実施例1と同様の方法によりシード重合を行
ない、実施例2〜14の水性分散液をえ、実施例1と同
様の試験を行なった。結果を表2に示す。
【0079】
【表2】
【0080】表2において略号はつぎの単量体を示して
いる。
【0081】*1):メタクリル酸メチル、*2):ア
クリル酸エチル、*3):メタクリル酸シクロヘキシ
ル、*4):アクリル酸シクロヘキシル、*5):シク
ロヘキシルビニルエーテル、*6):メタクリル酸ノル
マルヘキシル、*7):ノルマルヘキシルビニルエーテ
ル、*8):メタクリル酸ヒドロキシエチル、*9):
メタクリル酸グリシジル、*10):メタクリル酸γト
リメトキシシラン、*11)メタクリル酸 表2の結果から明らかなように、シクロヘキシル基を有
する単量体を用いてシード重合することにより、えられ
る塗料の基材への密着性が優れていることがわかる。
【0082】比較例1〜11 表3に示される合成例の水性分散液および単量体または
その混合物を用い、実施例1と同様の方法によりシード
重合を行ない、比較例1〜11の水性分散液をえ、実施
例1と同様の試験を行なった。ただし、比較例5のみは
シード重合を行わなかった。結果を表3に示す。なお、
単量体の略号は表2のばあいと同じである。
【0083】
【表3】
【0084】表3の結果から明らかなように、シクロヘ
キシル基を有する単量体を用いていないばあいは、えら
れる塗料の基材への密着性がえられておらず、シクロヘ
キシル基を有する単量体の使用量が45%を超えると、
フッ素樹脂との相溶性が低下し水性分散液乾燥フィルム
の透明性が損われ、塗膜の光沢も低下していることがわ
かる。
【0085】また、含フッ素系重合体の粒子100重量
部に対して単量体混合物が100重量部を超えると、光
沢保持率がわるくなり、耐侯性が損われることがわか
る。
【0086】
【発明の効果】本発明の含フッ素系重合体水性分散液に
よれば成膜性、クリア塗装時の透明性、密着性、耐候性
に優れ、高光沢で機械的特性の優れた塗膜を提供するこ
とができる。
【0087】また本発明の含フッ素系重合耐水性分散液
を含有している水性塗料によれば成膜性、密着性、耐候
性、耐水性に優れ、高光沢を有する塗膜を提供すること
ができる。
【0088】さらに本発明の前記水性塗料を塗装してえ
られる塗装物品は、密着性、耐候性、耐水性、光沢性に
優れた塗膜を有しており、前記多くの用途に用いられう
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C08L 27/12 LGJ C08L 27/12 LGJ C09D 127/12 PFG C09D 127/12 PFG (72)発明者 米井 康史 大阪府摂津市西一津屋1番1号 ダイキン 工業株式会社淀川製作所内 (72)発明者 井本 克彦 大阪府摂津市西一津屋1番1号 ダイキン 工業株式会社淀川製作所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 含フッ素系重合体の粒子100重量部の
    存在下に、アルキル基の炭素数が1〜18のアクリル酸
    アルキルエステルおよび/またはアルキル基の炭素数が
    1〜18のメタクリル酸アルキルエステルならびにこれ
    らのエステルとの共重合が可能なエチレン性不飽和単量
    体を含有している単量体混合物20〜100重量部を水
    性媒体中において乳化重合してえられ、かつ該乳化重合
    してえられる重合体の粒子の平均粒子径が0.05〜3
    μmである含フッ素系重合体水性分散液であって、該エ
    チレン性不飽和単量体中にシクロヘキシル基を有する単
    量体が該単量体混合物の0.5〜45重量%含有されて
    いることを特徴とする含フッ素系重合体水性分散液。
  2. 【請求項2】 前記含フッ素系重合体が、フッ化ビニリ
    デン系重合体である請求項1記載の分散液。
  3. 【請求項3】 前記フッ化ビニリデン系重合体が、ビニ
    リデンフルオライド70〜95モル%およびクロロトリ
    フルオロエチレン30〜5モル%を含有している単量体
    混合物を重合してえられる重合体である請求項2記載の
    分散液。
  4. 【請求項4】 前記シクロヘキシル基を有する単量体
    が、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘ
    キシルおよびシクロヘキシルビニルエーテルよりなる群
    から選ばれた少なくとも1種である請求項1〜3のいず
    れかに記載の分散液。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の分散液
    を含有している水性塗料。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4のいずれかに記載の分散液
    を含有している中低層建物の外装および/または内装用
    水性塗料。
  7. 【請求項7】 請求項5または6記載の水性塗料を塗装
    してえられる塗装物品。
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