JPH10110131A - 含フッ素共重合体水性分散液の製造方法 - Google Patents

含フッ素共重合体水性分散液の製造方法

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JPH10110131A
JPH10110131A JP28290596A JP28290596A JPH10110131A JP H10110131 A JPH10110131 A JP H10110131A JP 28290596 A JP28290596 A JP 28290596A JP 28290596 A JP28290596 A JP 28290596A JP H10110131 A JPH10110131 A JP H10110131A
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JP
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aqueous dispersion
monomer
dispersion
vinyl
aqueous
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JP28290596A
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Inventor
Etsuzo Marumoto
悦造 丸本
Akihito Iida
晃人 飯田
Hiroshi Inukai
宏 犬飼
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Toagosei Co Ltd
Original Assignee
Toagosei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】光沢に優れ、耐汚染性、耐候性および耐水性に
優れる塗膜を与える含フッ素共重合体水性分散液の貯蔵
安定性を改良させた製造方法を提供する。 【解決手段】乳化重合により得られる含フッ素共重合体
水性分散液のpHとその後の該水性分散液のpHを管理
することを特徴とする含フッ素共重合体水性分散液の製
造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐候性および耐水
性に優れた塗膜を形成し、塗料に有用な含フッ素共重合
体水性分散液の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】塗料の分野において、耐候性に優れる含
フッ素樹脂塗料が注目されており、クロロトリフルオロ
エチレン、シクロヘキシルビニルエーテルもしくはアル
キルビニルエーテルおよびヒドロキシアルキルビニルエ
ーテルからなる含フッ素共重合体(特開昭57−341
07号公報)ならびにクロロトリフルオロエチレン、脂
肪族ビニルエステルおよびヒドロキシル基含有アリルエ
ーテルからなる含フッ素共重合体(特開昭61−576
09号公報)等の有機溶剤型塗料用の含フッ素共重合体
が提案されている。上記有機溶剤型含フッ素共重合体か
らなる塗料組成物からは高光沢な塗膜が得られ、しかも
塗工および塗膜の硬化が容易であるという利点がある
が、有機溶剤を多量に使用するため、人体への有害性や
環境汚染の問題がある。したがって、人体への有害性や
環境汚染の少ない水性の含フッ素樹脂塗料の開発が要望
されている。
【0003】水性の含フッ素樹脂塗料に関しては、既に
幾つかの提案があり、例えば特開平2−225550号
公報に、フルオロオレフィン、ポリオキシエチレン基含
有マクロモノマーおよびヒドロキシル基含有モノマーか
らなる共重合体の水性分散体が開示されている。しかし
ながら、塗料技術分野の全般にわたって共通することで
あるが、水性塗料では、有機溶剤型塗料と同等水準の優
れた物性の塗膜を得ることは容易ではなく、上記公報で
開示された水性分散体においても、得られる塗膜の光沢
および硬度が不十分であり、現在のところ、実用的な性
能を有する水性含フッ素樹脂塗料は得られていない。
【0004】本発明者らは、上記課題の解決策について
検討した結果、フルオロオレフィン単量体、特定のカル
ボン酸ビニルエステル単量体、加水分解性シリル基を有
するエチレン性不飽和単量体および親水性官能基を有す
るエチレン性不飽和単量体を、それぞれ特定の割合で含
有する含フッ素共重合体水性分散液を使用した水性塗料
において、光沢、耐汚染性、耐候性および耐水性に優れ
る塗膜が得られることを見出し、先に特許出願をしてい
る(特願平7−239063号)。しかしながら、さら
に検討を重ねた結果、前記水性塗料の貯蔵安定性につい
てさらに改良の余地があることがわかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、光沢に優
れ、耐汚染性、耐候性および耐水性に優れる塗膜を与え
る含フッ素共重合体水性分散液の貯蔵安定性を改良させ
た含フッ素共重合体水性分散液の製造方法を提供するも
のである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討した結果、加水分解性シリル
基を有するエチレン性不飽和単量体を含む単量体混合物
を乳化重合させ、得た含フッ素共重合体水性分散液のp
Hとその後の該水性分散液のpHを管理することによっ
て、かかる水性分散液からなる塗料用組成物が耐温水性
に優れ、かつ貯蔵安定性に優れることを見出し、本発明
を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明は、フルオロオレフィン
単量体、カルボン酸ビニルエステル単量体、加水分解性
シリル基を有するエチレン性不飽和単量体および親水性
官能基を有するエチレン性不飽和単量体を必須成分とす
る単量体混合物を水性媒体中で乳化重合させて、pHが
6以下である含フッ素共重合体水性分散液を得た後、該
含フッ素共重合体水性分散液のpHを6.5以上に調整
することを特徴とする含フッ素共重合体水性分散液の製
造方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明について更に詳しく
説明する。本発明におけるフルオロオレフィンとして
は、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチ
レンおよびヘキサフルオロプロピレン等が挙げられ、好
ましくは、取扱いの容易さの点でクロロトリフルオロエ
チレンである。
【0009】本発明におけるカルボン酸ビニルエステル
としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニ
ル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸
ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パル
ミチン酸ビニルおよびステアリン酸ビニル等の直鎖状脂
肪族カルボン酸のビニルエステル;イソ酪酸ビニル、ピ
バリン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、炭素数
が9の分岐状カルボン酸の異性体混合物であるバーサテ
ィック酸ビニルエステルおよび炭素数が10の分岐状カ
ルボン酸の異性体混合物であるバーサティック酸ビニル
エステル等の分岐状カルボン酸のビニルエステル;なら
びに安息香酸ビニル等の芳香族カルボン酸ビニルエステ
ルが挙げられる。これらの中でも、直鎖または分岐状カ
ルボン酸ビニルエステルが好ましい。
【0010】本発明における加水分解性シリル基を有す
るエチレン性不飽和単量体としては、ビニルトリメトキ
シシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルメチ
ルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランおよび
ビニルエチルジエトキシシラン等のアルコキシビニルシ
ラン;γー(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメ
トキシシラン、γー(メタ)アクリロイルオキシプロピ
ルトリエトキシシラン等のγ−(メタ)アクリロイルオ
キシプロピルアルコキシシラン;トリメトキシシリルプ
ロピルビニルエーテルおよびトリエトキシシリルプロピ
ルビニルエーテル等のアルコキシシリルアルキルビニル
エーテル;トリメトキシシリルデカン酸ビニルおよびト
リエトキシシリルデカン酸ビニル等のアルコキシシリル
カルボン酸ビニルが挙げられる。これらの中でも、重合
反応性および安定性に優れる点で、加水分解性基として
エトキシ基を有するアルコキシビニルシランおよびγ−
(メタ)アクリロイルオキシプロピルアルコキシシラン
が好ましい。
【0011】本発明における親水性官能基を有するエチ
レン性不飽和単量体としては、カルボキシル基またはそ
の塩、スルホン基またはその塩ならびに水酸基およびア
ミノ基等を有するエチレン性不飽和単量体等が挙げられ
る。前記カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量
体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、
イタコン酸、マレイン酸、フマル酸およびビニル酢酸等
が挙げられ、また、前記スルホン基を有する単量体とし
ては、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アリル
スルホン酸および2−アクリルアミド−2−メチルプロ
パンスルホン酸などが挙げられる。上記単量体の塩とし
ては、アンモニア、アミンまたはアルカリ金属による塩
が好ましい。
【0012】前記水酸基を有する単量体としては、ヒド
ロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピ
ル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)ア
クリレート、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロ
キシエチルアリルエーテル、ヒドロキシエチルクロトネ
ートおよびN−メチロールアクリルアミド等が挙げら
れ、また、前記アミノ基を有する単量体としてはメタク
リルアミド、アクリルアミド、ジエチルアミノエチルメ
タクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレートおよ
びアミノプロピルビニルエーテル等が挙げられる。
【0013】これらの親水性官能基を有するエチレン性
不飽和単量体の中でも、カルボキシル基またはその塩を
有する単量体およびスルホン基またはその塩を有する単
量体が好ましく、具体的にはアクリル酸、メタクリル
酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン
酸およびその塩が挙げられる。
【0014】さらに、所望により、本発明における含フ
ッ素共重合体にその他の共重合性単量体を含有させるこ
とができ、かかる単量体としては、フッ化ビニリデン、
フッ化ビニル、塩化ビニリデン、塩化ビニル等のハロゲ
ン化オレフィン;エチレン、プロピレン、イソブチレン
等のα−オレフィン;エチルビニルエーテル、ブチルビ
ニルエーテル等のアルキルビニルエーテル;メチル(メ
タ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレー
ト等の(メタ)アクリレート;酢酸アリル、酪酸アリル
およびエチルアリルエーテル等が挙げられる。
【0015】本発明における含フッ素共重合体は、上記
の単量体から構成されるものであり、その単量体の好ま
しい組成割合は、全単量体単位の合計量を基準としてフ
ルオロオレフィン単量体単位:30〜60モル%、カル
ボン酸ビニルエステル単量体単位:20〜65モル%、
加水分解性シリル基を有する不飽和単量体単位:0.1
〜10モル%、親水性官能基を有するエチレン性不飽和
単量体単位:0.5〜5モル%およびその他の共重合性
単量体単位:0〜30モル%である。フルオロオレフィ
ン単量体単位が30モル%未満であると得られる塗膜の
耐候性が低下する恐れがあり、60モル%を越えると柔
軟性が低下する恐れがある。カルボン酸ビニルエステル
単量体単位が20モル%未満であると耐汚染性に劣る恐
れがあり、65モル%を越えると耐候性が低下する恐れ
がある。また、加水分解性シリル基を有する不飽和単量
体単位が0.1モル%未満であると塗膜の硬度が劣る恐
れがあり、10モル%を越えると水性分散液の安定性が
低下する恐れがある。さらに、親水性官能基を有するエ
チレン性不飽和単量体単位が0.5モル%未満であると
水性分散液の安定性が低下する恐れがあり、5モル%を
越えると塗膜の耐水性が劣る恐れがある。その他の共重
合性単量体単位が30モル%を越えると耐候性に劣る恐
れがある。
【0016】前記含フッ素共重合体は、0℃〜80℃の
ガラス転移温度を有することが好ましく、さらに好まし
くは20℃〜80℃である。ガラス転移温度が、0℃未
満であると夏場の高温時に塗膜が軟化し、汚染物質が付
着し易くなり、一方、80℃を越えると塗膜にクラック
が発生し易い。
【0017】含フッ素共重合体の好ましい分子量は、ゲ
ルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチ
レン換算の数平均分子量で10,000〜1,000,
000である。含フッ素共重合体の数平均分子量が1
0,000未満であると塗膜の機械的強度が不足し易
く、一方1,000,000を越えると、得られる塗料
の成膜性に劣ることがある。
【0018】本発明における含フッ素共重合体水性分散
液は、常法に従い、乳化剤の存在下に重合させることに
より製造させる。該水性分散液における含フッ素共重合
体濃度は、30〜60重量%であることが好ましい。
【0019】乳化重合に使用する乳化剤としては、アニ
オン系乳化剤およびノニオン系乳化剤の併用が好まし
く、それらの好ましい使用量は、仕込みの単量体全量1
00重量部当たり、アニオン系乳化剤が0.5〜5重量
部であり、ノニオン系乳化剤が2〜8重量部である。ア
ニオン系およびノニオン系乳化剤の使用量がそれぞれの
好ましい上限量を越えると、得られる塗膜の耐水性が低
下し易い。また、得られる塗膜の耐水性の面から、乳化
剤の使用量は少ないほど好ましい。
【0020】アニオン系乳化剤としては、ラウリル硫酸
アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウ
ム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアル
キルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンア
ルキルエーテル硫酸ナトリウムおよびアルカンスルホン
酸ナトリウム等の長鎖アルキル基型アニオン系乳化剤、
ならびにパーフルオロオクタノイックアシッドカリウム
塩またはそのアンモニウム塩およびパーフルオロオクタ
ンスルホン酸ナトリウム塩またはそのアンモニウム塩等
のフルオロアルキル基型アニオン系乳化剤等が挙げられ
る。これらの中でも、ラウリル硫酸アンモニウムおよび
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい。
【0021】ノニオン系乳化剤としては、ポリオキシエ
チレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキル
フェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリル
エーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステ
ル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、
グリセリン脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレン脂
肪酸エステル等が挙げられ、これらの中でも、好ましく
はポリオキシエチレンアルキルエーテルおよびポリオキ
シエチレンアルキルフェニルエーテルである。
【0022】重合開始剤としては、ラジカル発生型重合
開始剤が好ましく、具体的には、ジイソプロピルパーオ
キシジカーボネート、ターシャリーブチルパーオキシピ
バレート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパー
オキサイドおよびサクシニックアシドパーオキサイド等
の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビ
スイソバレロニトリルおよびアゾビスアミジノプロパン
塩酸塩などのアゾ化合物ならびに過硫酸アンモニウムお
よび過硫酸カリウム等の無機過酸化物等が挙げられる。
また、レドックス系開始剤を併用しても良く、その場合
には、前記有機または無機過酸化物と共に亜硫酸水素ナ
トリウム、亜硫酸ナトリウム、ロンガリットおよびアス
コルビン酸等の還元剤が使用できる。重合開始剤の好ま
しい使用量は、仕込み単量体の全量100重量部当たり
0.1〜2重量部である。重合開始剤の使用量が2重量
部を越えると、得られる含フッ素共重合体の分子量が低
くなり、塗膜の機械的強度が不足し易い。
【0023】前記乳化重合は、耐圧の重合器を用い、温
度が20〜100℃かつ圧力が1〜200kg/cm2で行う
ことが好ましく、重合時間は3〜40時間が適当であ
る。各単量体の重合器への仕込み方法としては、全単量
体を初期に全量仕込んでも良いし、単量体の一部を重合
の進行と共に逐次添加しても良い。また、逐次添加され
る単量体は、乳化剤によってエマルジョン化されたもの
であることが好ましい。また、重合時にPH調整剤を使
用してもよく、例えば、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリ
ウム、炭酸水素アンモニウムおよびリン酸2−ナトリウ
ム等を使用することができる。さらに、重合操作を2段
階で行い、第1段目の重合により含フッ素共重合体のコ
ア部を形成させ、引き続き第2段目の重合によりシェル
部を形成させたコア/シェル型含フッ素共重合体粒子を
得る方法も可能である。
【0024】本発明における含フッ素共重合体水性分散
液の製造方法は、前記乳化重合を行い、pHが6以下で
ある含フッ素共重合体水性分散液を得た後、該含フッ素
共重合体水性分散液のpHを6.5以上に調整すること
を特徴とする。pHが6以下の含フッ素共重合体水性分
散液を得るために、使用する親水性官能基を有するエチ
レン性不飽和単量体の種類および量、重合開始剤の種類
および量、重合温度、重合時間ならびに乳化重合時に使
用するpH調整剤の種類および量等の重合条件を適宜管
理する。得られた含フッ素共重合体水性分散液のpHが
6を越えると、後述するpHの調整操作を行っても、該
分散液から得られる塗膜の耐温水性が劣る。
【0025】次に得られた含フッ素共重合体水性分散液
のpHを6.5以上に調整するには、含フッ素共重合体
水性分散液にpH調整剤を添加することが好ましい。前
記pH調整剤としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウ
ム、オルトリン酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム
およびテトラホウ酸ナトリウム等の無機塩基ならびにト
リエチルアミン、トリエタノールアミンおよびアンモニ
ア等のアミン類が挙げられ、これらを固体もしくは液体
の状態または水溶液として前記含フッ素共重合体水性分
散液に添加すればよく、これらの中でも、アンモニア水
が特に好ましい。含フッ素共重合体水性分散液の調整後
のpHが6.5未満であると、該分散液自体の貯蔵安定
性が低下する。
【0026】さらに、上記方法により製造された含フッ
素共重合体水性分散液に、ブチルセロソルブアセテート
等の成膜助剤を添加して塗料用組成物とすることが好ま
しく、さらに、顔料、金属粉および各種の塗料添加剤を
配合することができる。好ましい顔料としては、酸化チ
タン、酸化鉄、フタロシアニンブルー、ベンジジンイエ
ローおよびキナクリドン等が挙げられ、好ましい金属粉
としては、ステンレス粉、アルミニウム粉およびブロン
ズ粉等が挙げられる。また、その他の添加剤としては、
顔料分散剤、紫外線吸収剤、表面調整剤、増粘剤、防か
び剤および防錆剤等が挙げられる。
【0027】本発明の含フッ素共重合体水性分散液から
得られる塗料は、鋼板、ステンレス、アルミ、コンクリ
ート、モルタル、プラスチックおよび木材等の基材に好
適に塗布でき、塗装方法としては、スプレー、はけ、ロ
ールまたはバーコーター等のいずれも採用できる。
【0028】
【実施例】以下、実施例を挙げて、本発明をさらに具体
的に説明する。 <実施例1>攪拌機を備えた2リットルの耐圧製の重合
器に、純水386g、アニオン系乳化剤としてパーフル
オロオクタノイックアシッドアンモニウム塩5.5gな
らびにノニオン系乳化剤として、いずれもポリオキシエ
チレンノニルフェニルエーテル系化合物であるエマルゲ
ン910〔花王(株)製〕を12.4gおよびエマルゲ
ン930〔花王(株)製〕を12.4g仕込んだ。
【0029】次に、バーサティック酸ビニルエステル
(炭素数が9個の分岐状脂肪族カルボン酸のビニルエス
テル)(以下、「V−9」という)82g、バーサティ
ック酸ビニルエステル(炭素数が10個の分岐状脂肪族
カルボン酸のビニルエステル)(以下、「V−10」と
いう)132g、ピバリン酸ビニル(以下、「VPV」
という)15g、ビニルトリエトキシシラン(以下、
「VTES」という)23.5g、2−アクリルアミド
−2−メチルプロパンスルホン酸(以下、「ATBS」
という)5.3gおよびpH調整剤として炭酸水素ナト
リウム4.0gを仕込んだ後、脱気と窒素置換を3回繰
り返した後、クロロトリフルオロエチレン(以下、「C
TFE」という)289gを仕込んだ。40℃に昇温し
た後、1時間充分に攪拌し、過硫酸アンモニウム4.1
gおよび亜硫酸水素ナトリウム0.76gからなる重合
開始剤の水溶液を重合容器内に圧入して重合を開始させ
た。その後3時間毎に上記量の2分の1量の重合開始剤
を追加し、8時間重合を継続した後、室温まで冷却する
ことにより、反応を完結させた。得られた含フッ素共重
合体水性分散液は、不揮発分が51重量%で、pHが
4.5であった。次いで、14%アンモニア水によりp
Hを7.5に調整し、平均粒径が0.10μmの含フッ
素共重合体水性分散液を得た。
【0030】JIS−K5663の方法に準じて、上記
水性分散液について次の分散安定性を測定した。 a.機械的安定性:分散液100gをホモディスパーで
5000rpm、5分間攪拌し、1日放置後の凝集量
(単位:ppm)を測定した。 b.高温安定性:分散液を50℃で60日放置し、沈降
物の有無を目視により判定した。 測定結果は機械的安定性が100ppmで、高温安定性
が異常なしであった。
【0031】上記水性分散液の一部をメタノール中に投
入し、洗浄および乾燥することにより単離した含フッ素
共重合体について、フッ素原子の元素分析を行った結果
は19.3重量%であり、また、珪素原子の元素分析を
行った結果は0.9重量%であった。これらの値ならび
1H−NMRおよび13C−NMRスペクトルの測定結
果から、含フッ素共重合体の組成は、CTFE/V−9
/V−10/VPV/VTES/ATBS=47.2/
17.0/25.4/4.7/4.7/1.0(モル
%)であることを確認した。また、含フッ素共重合体の
ガラス転移温度は52℃であった。
【0032】上記含フッ素共重合体水性分散液100重
量部当たり、成膜助剤としてブチルセロソルブアセテー
ト10重量部を添加して、得られた水性塗料の物性を以
下の方法により評価した。厚さ3mmのフレキシブル板
に、上記塗料を乾燥後の塗膜の厚さが30μmになるよ
うにバーコーターで塗布して、常温で1週間乾燥した。
得られた塗膜について、以下の項目に関する評価を行っ
た。結果は後記表1に記載の通りである。
【0033】1)60゜光沢:JIS−K5400に準
ずる方法による。 2)耐候性:Qパネル社製蛍光紫外線耐候性試験機(一
般的にQUVと略称されている)を用い、連続で8時間
紫外線を照射し、次いで4時間塗面裏側からイオン交換
水をスプレーするというサイクルを繰り返し、2000
時間試験後の60゜光沢保持率を測定した。 3)耐汚染性:下記成分からなる人工汚れ剤を塗膜面に
付け、次いで該塗膜面を水洗するという操作を5回繰り
返した後の汚染の程度をこの試験前後の色差(ΔE)を
測定した。 <人工汚れ剤> (成分) (重量部) 腐葉土 7.6 カオリン 3.4 ケイソウ土 3.4 セメント 3.4 カーボンブラック 0.35 赤錆 0.10 油 1.75 海砂 200 4)耐温水性:塗装板を40℃の水に2週間浸漬した
後、外観と60゜光沢保持率を測定した。 5)鉛筆硬度:JIS−K5400に準ずる方法により
測定し、傷が発生した硬度を測定した。
【0034】<実施例2>アニオン系乳化剤としてラウ
リル硫酸ナトリウムを使用し、単量体としてCTFE/
V−9/VPV/γ−アクリロイルオキシプロピルトリ
エトキシシラン/アクリル酸(以下、「AA」という)
=289/170/18/34.1/3.5gに変えた
以外は、実施例1と同様な方法により、以下の組成を有
しガラス転移温度が56℃の含フッ素共重合体からな
る、平均粒径が0.10μm、pHが7.5の水性分散
液を得た。 含フッ素共重合体;CTFE/V−9/VPV/γ−ア
クリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン/AA=
50.0/39.2/5.0/4.8/1.0(モル
%) 実施例1と同様な方法により、上記水性分散液の分散安
定性を測定した結果、機械的安定性が50ppmで、高
温安定性が異常なしであった。また、実施例1と同様に
上記水性分散液にブチルセロソルブアセテートを添加し
て得た水性塗料の物性評価の結果を表1に記載する。
【0035】<実施例3>コア/シェル型重合体を得る
ために、次の2段階で重合を行った。乳化剤としてドデ
シルベンゼンスルホン酸ナトリウム5.5g、エマルゲ
ン910を12.4gおよびエマルゲン930を12.
4gならびにpH調整剤の炭酸水素アンモニウム4gと
共に次の単量体を重合器に仕込み、実施例1と同様な方
法で重合させた。[単量体]V−9;193g、VP
V;30g、AA;5.2gおよびCTFE;289
g。その結果、平均粒径が0.09μmでガラス転移温
度が68℃の以下の組成を有する含フッ素共重合体を得
た。CTFE/V−9/VPV/AA=50.0/4
2.2/4.9/2.9(モル%)
【0036】次に、第2段階として、新たに乳化剤およ
びpH調整剤を追加することなく、上記の水性樹脂分散
液中で、次の単量体および重合開始剤を仕込み、実施例
1と同様な方法で重合させた。[単量体]V−10;1
8g、VPV;3.0g、VTES;2.3g、AA;
0.2gおよびCTFE;30g。第2段階で得られた
共重合体の組成は、CTFE/V−10/VPV/VT
ES/AA=51.0/39.0/4.5/4.5/
1.0(モル%)で、そのガラス転移温度は17℃であ
った。
【0037】上記の2段階重合で得られた含フッ素共重
合体の組成は、CTFE/V−9/V−10/VPV/
VTES/AA=50.0/38.4/3.6/4.8
/0.5/2.7(モル%)であり、平均粒径が0.1
2μm、pHが7.5である水性分散液を得た。実施例
1と同様な方法により、上記水性分散液の分散安定性を
測定した結果、機械的安定性が250ppm、また、高
温安定性が異常なしであった。また、実施例1と同様に
上記水性分散液にブチルセロソルブアセテートを添加し
て得た水性塗料の物性評価の結果を表1に記載する。
【0038】<実施例4>アニオン系乳化剤としてドデ
シルベンゼンスルホン酸ソーダを使用し、単量体として
CTFE/カプロン酸ビニル(以下、「VCp」とい
う)/V−9/安息香酸ビニル(以下、「VBz」とい
う)/VTES/ATBS=289/95/82/1
8.5/23.5/5.3gを使用した以外は実施例1
と同様な方法により、以下の組成を有しガラス転移温度
が51℃の含フッ素共重合体からなる、平均粒径が0.
10μm、pHが7.5の水性分散液を得た。 含フッ素共重合体;CTFE/VCp/V−9/VBz
/VTES/ATBS=47.1/25.5/17/
4.7/4.7/1.0(モル%) 実施例1と同様な方法により、上記水性分散液の分散安
定性を測定した結果、機械的安定性は120ppmで高
温安定性が異常なしであった。また、実施例1と同様に
上記分散液にブチルセロソルブアセテートを添加して得
た水性塗料の物性評価の結果を表1に記載する。
【0039】<比較例1>pH調整剤として、炭酸水素
ナトリウム、8.0gを使用した以外、実施例1と同様
な方法により重合を行い、不揮発分が50重量%、pH
が7.5の含フッ素共重合体の水性分散液を得、その後
のpHの調整は行わなかった。該分散液の粒子の平均粒
径は0.10μmであった。含フッ素共重合体のガラス
転移温度は52℃であり、その組成はCTFE/V−9
/V−10/VPV/VTES/ATBS=47.2/
17.0/25.4/4.7/4.7/1.0(モル
%)であることを確認した。実施例1と同様な方法によ
り、上記水性分散液の分散安定性を測定した結果、機械
的安定性が130ppm、また、高温安定性が異常なし
であった。さらに、実施例1と同様に上記水性分散液か
ら得られた水性塗料の物性評価の結果を表1に記載す
る。
【0040】<比較例2>実施例1と同様に重合を行
い、得られた水性分散液のpHを調整せずに、不揮発分
が51重量%、pHが4.5の含フッ素共重合体の水性
分散液を得た。該分散液における粒子の平均粒径は0.
10μmであった。含フッ素共重合体のガラス転移温度
は52℃であり、その組成はCTFE/V−9/V−1
0/VPV/VTES/ATBS=47.2/17.0
/25.4/4.7/4.7/1.0(モル%)である
ことを確認した。実施例1と同様な方法により、上記水
性分散液の分散安定性を測定した結果、機械的安定性が
150ppm、また、高温安定性が沈降物有りであっ
た。さらに、実施例1と同様に上記水性分散液から得ら
れた水性塗料の物性評価の結果を表1に記載する。
【0041】<比較例3>単量体として、CTFE/V
Cp/V−9/ATBS=289/45/167/5.
1gを使用した以外、実施例1と同様な方法により重合
を行い、固形分濃度が49重量%、pHが4.5の含フ
ッ素共重合体の水性分散液を得た。次いでアンモニア水
により水性分散液のpHを7.5に調整した。該分散液
における粒子の平均粒径は0.10μmであった。 含
フッ素共重合体のガラス転移温度は49℃であり、その
組成はCTFE/VCp/V−9/ATBS=50.2
/12.1/36.7/1.0(モル%)であることを
確認した。実施例1と同様な方法により、上記水性分散
液の分散安定性を測定した結果、機械的安定性が130
ppm、また、高温安定性が沈降物有りであった。さら
に、実施例1と同様に上記水性分散液から得られた水性
塗料の物性評価の結果を表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】本発明の製造方法により得られる含フッ
素共重合体水性分散液は貯蔵安定性に優れ、かつ高光沢
で耐汚染性、耐候性および耐水性に優れる塗膜が得られ
るため、各種用途に利用可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C09D 143/04 C09D 143/04

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フルオロオレフィン単量体、カルボン酸ビ
    ニルエステル単量体、加水分解性シリル基を有するエチ
    レン性不飽和単量体および親水性官能基を有するエチレ
    ン性不飽和単量体を必須成分とする単量体混合物を水性
    媒体中で乳化重合させて、pHが6以下である含フッ素
    共重合体水性分散液を得た後、該含フッ素共重合体水性
    分散液のpHを6.5以上に調整することを特徴とする
    含フッ素共重合体水性分散液の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006169448A (ja) * 2004-12-17 2006-06-29 Asahi Glass Co Ltd ポリテトラフルオロエチレン水性分散液

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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