JPH08176499A - 水性フッ素樹脂塗料 - Google Patents

水性フッ素樹脂塗料

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JPH08176499A
JPH08176499A JP33720694A JP33720694A JPH08176499A JP H08176499 A JPH08176499 A JP H08176499A JP 33720694 A JP33720694 A JP 33720694A JP 33720694 A JP33720694 A JP 33720694A JP H08176499 A JPH08176499 A JP H08176499A
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JP
Japan
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monomer
polymerization
vinyl
stage
polymer
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Application number
JP33720694A
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English (en)
Inventor
Hiroyuki Sawada
博之 澤田
Etsuzo Marumoto
悦造 丸本
Akihito Iida
晃人 飯田
Tatsuo Nishio
竜生 西尾
Hiroshi Inukai
宏 犬飼
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Toagosei Co Ltd
Original Assignee
Toagosei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 造膜性に優れる水性樹脂分散体からなり、得
られる塗膜が硬度、光沢および耐汚染性に優れる水性フ
ッ素樹脂塗料の提供。 【構成】 下記工程(1)および工程(2)からなる製
法によって得られる含フッ素共重合体の水性分散液から
なる水性フッ素樹脂塗料。 工程(1):フルオロオレフィンおよびカルボン酸ビニ
ルを主成分とし、架橋性単量体を含む単量体混合物を水
性媒体中で乳化重合させて、Tgが40℃以上の含フッ
素共重合体の水性分散液を得る工程。 工程(2):フルオロオレフィンおよびカルボン酸ビニ
ルを主成分とし、Tgが−10〜30℃の含フッ素共重
合体を形成させる単量体混合物を、上記工程(1)で得
られた含フッ素共重合体の水性分散液中で重合させる工
程。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塗料の主成分となる含
フッ素共重合体が水性媒体に分散した水性フッ素樹脂塗
料に関するものであり、本発明による水性フッ素樹脂塗
料は、耐水性および耐汚染性に優れ広範囲な用途に使用
できる。
【0002】
【従来技術およびその問題点】有機溶剤型塗料は、有機
溶剤による大気汚染ならびに人体に対する有害性等の問
題を有しているために、最近では、有機溶剤型塗料に代
わる水性塗料が求められている。水性塗料の代表例とし
て、水性乳化重合による水性エマルジョン塗料があり、
含フッ素共重合体を主成分とする塗料すなわち含フッ素
樹脂塗料に関しても、水性エマルジョン塗料として使用
される水性樹脂分散体についての提案が多くなされてい
る。
【0003】すなわち、特開平2ー225550号公報
には、フルオロオレフィン、ポリオキシエチレン基を有
するビニル単量体および水酸基含有モノマーを乳化重合
させて得られる水性樹脂分散体が提案されており、また
特開平3ー33148号公報には、フルオロオレフィン
単量体等と共重合が可能な反応性乳化剤を用いる乳化重
合法による、含フッ素共重合体水分散液の製造方法が提
案されている。上記公報記載の発明においては、水性塗
料に共通する塗膜の耐水性が劣るという問題の解決のた
めに、乳化剤を使用せず、しかも安定に乳化重合をする
ための技術手段、または重合体エマルジョン中に低分子
量の乳化剤を残存させないように、重合時に乳化剤を共
重合させるという技術手段が採用されている。
【0004】上記のように、フッ素樹脂系の水性エマル
ジョン塗料に関する従来の検討は、エマルジョン中にで
きる限り乳化剤を残さないようにするというものであっ
た。しかしながら、上記公報記載の発明による含フッ素
共重合体水分散液は、有機溶剤型フッ素樹脂塗料と比較
して、なお造膜性および耐水性等に劣り、用途的に制限
があった。
【0005】本発明者らは、上記課題の解決策について
検討した結果、2段重合によれば、単純な含フッ素共重
合体のブレンドポリマーとは異なる構造を有する2種類
の重合体からなる複合ポリマーの水性分散液が得られ、
該水性分散液からは、造膜性および耐水性の双方に優れ
る水性含フッ素樹脂塗料が得られることを見出し、先に
特許出願している(特願平6−87648号)。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、造膜性お
よび耐水性等の各種物性にさらに優れる水性含フッ素樹
脂塗料を得るために鋭意検討した結果、2段重合におけ
る第1段目の重合による含フッ素共重合体の一構成単位
として、エチレン性不飽和結合を2個以上有する架橋性
単量体単位を導入することにより、得られる水性塗料の
造膜性を低下させることなく、耐水性および塗膜硬度等
が大幅に向上することを見出し、本発明を完成するに至
った。すなわち、本発明における第1発明は、下記工程
(1)および工程(2)からなる製造方法によって得ら
れる含フッ素共重合体の水性分散液からなる水性フッ素
樹脂塗料である。 工程(1):フルオロオレフィン単量体およびカルボン
酸ビニル単量体を主成分とし、エチレン性不飽和基を2
個以上有する架橋性単量体を含む単量体混合物を水性媒
体中で乳化重合させて、Tgが40℃以上の含フッ素共
重合体の水性分散液を得る工程。 工程(2):フルオロオレフィン単量体およびカルボン
酸ビニル単量体を主成分とし、Tgが−10〜30℃の
含フッ素共重合体を形成する単量体混合物を、上記工程
(1)で得られた含フッ素共重合体の水性分散液中で重
合させる工程。 さらに、本発明における第2発明は、上記工程(1)に
おいて用いるエチレン性不飽和基を2個以上有する架橋
性単量体が炭素数2〜9個のアルキレン基を有するアル
キレングリコールジアクリレートである上記水性フッ素
樹脂塗料である。
【0007】以下、本発明についてさらに詳しく説明す
る。本発明における含フッ素共重合体の水性分散液は、
前記のとおり、工程(1)および工程(2)からなる2
段重合によって合成される。工程(1)の重合(以下1
段目の重合という)および工程(2)の重合(以下2段
目の重合という)に用いられる単量体は、いずれもフル
オロオレフィン単量体およびカルボン酸ビニル単量体を
主成分とする単量体混合物であり、該混合物におけるフ
ルオロオレフィン単量体およびカルボン酸ビニル単量体
の好ましい含有割合は、1段目の重合用単量体混合物お
よび2段目の重合用単量体混合物ともに、フルオロオレ
フィン単量体が50〜75モル%およびカルボン酸ビニ
ル単量体が20〜40モル%である。なお、フルオロオ
レフィン単量体のうち、通常仕込んだ量の50%が重合
体に転換する。
【0008】本発明におけるフルオロオレフィンとして
は、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチ
レンおよびヘキサフルオロプロピレン等が挙げられる。
カルボン酸ビニルとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸
ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビ
ニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチ
ン酸ビニル、パルミチン酸ビニルおよびステアリン酸ビ
ニル等の直鎖状脂肪族カルボン酸のビニルエステル、イ
ソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、2−エチルヘキサン
酸ビニル、炭素数が9の分岐状カルボン酸の異性体混合
物であるバーサチック酸のビニルエステルおよび炭素数
が10の分岐状カルボン酸の異性体混合物であるバーサ
チック酸のビニルエステル等の分岐状カルボン酸のビニ
ルエステル、ならびに安息香酸ビニル、p−メチル安息
香酸ビニル、p−エチル安息香酸ビニル、p−メトキシ
安息香酸ビニルおよびp−アセトキシ安息香酸ビニル等
の芳香族カルボン酸ビニルが挙げられる。好ましいカル
ボン酸ビニルは、直鎖または分岐状脂肪族カルボン酸ビ
ニルである。
【0009】上記フルオロオレフィンおよびカルボン酸
ビニル以外に、1段目の重合および2段目の重合におい
て共通して使用することが好ましい単量体としては、カ
ルボキシル基もしくはその塩、またはスルホン基もしく
はその塩等の親水性官能基を有するラジカル重合性単量
体(以下親水性単量体という)がある。カルボキシル基
を有する親水性単量体の具体例としては、アクリル酸、
メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、
フマル酸およびビニル酢酸等が挙げられ、スルホン基を
有する親水性単量体の具体例としては、ビニルスルホン
酸、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−アク
リルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等が挙げら
れる。上記単量体の塩としては、アンモニア、アミンま
たはアルカリ金属による塩が好ましい。好ましい親水性
単量体は、アクリル酸、メタクリル酸、2−アクリルア
ミド−2−メチルプロパンスルホン酸またはそれらの塩
が挙げられる。
【0010】親水性単量体の好ましい使用割合は、1段
目の重合および2段目の重合ともに、重合に供する単量
体混合物を基準にして0.5〜3モル%である。単量体
混合物における親水性単量体の割合が、0.5モル%未
満であると得られる重合体の水性分散液が安定性に劣
り、一方3モル%を超えると塗料として用いる場合に耐
水性が低下し易い。
【0011】本発明においては、前記のとおり、1段目
の重合用の単量体混合物の一成分として、エチレン性不
飽和基を2個以上有する架橋性単量体(以下単に架橋性
単量体という)を用いることが必要であり、その好まし
い量は単量体混合物における0.5〜4モル%である。
架橋性単量体の使用量が、0.5モル%未満であると塗
膜の硬度が低下し易く、一方4モル%を超えると塗料の
造膜性が劣ることがある。
【0012】架橋性単量体としては、ジエチレングリコ
ールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニ
ルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテ
ルおよびトリメチロールプロパントリビニルエーテル等
の多官能ビニルエーテル;エチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリ
レート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレ
ート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレー
ト、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、
ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラ
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチ
ロールプロパントリ(メタ)アクリレートおよびペンタ
エリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の2官能
以上の(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0013】本発明において好ましい架橋性単量体は、
エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコ
ールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリ
レートおよび1,6−ヘキサンジオールジアクリレート
等で代表される炭素数が2〜9個のアルキレン基を有す
るアルキレングリコールジアクリレートであり、さらに
好ましくは、炭素数が4〜9個のアルキレン基を有する
アルキレングリコールジアクリレートである。
【0014】1段目の重合または2段目の重合におい
て、所望により上記単量体以外にその他の単量体を使用
しても良く、かかる単量体としては、フッ化ビニリデ
ン、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、塩化ビニル等のハ
ロゲン化オレフィン類;エチレン、プロピレン、イソブ
チレン等のオレフィン類;エチルビニルエーテル、ブチ
ルビニルエーテル等のビニルエーテル類;メチル(メ
タ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレー
ト等の(メタ)アクリレート類;酢酸アリル、酪酸アリ
ル、エチルアリルエーテル等のアリル化合物;ならびに
スチレン等が挙げられる。上記その他の単量体の好まし
い使用量は、1段目の重合および2段目の重合ともに、
単量体混合物における0〜20モル%である。
【0015】本発明における1段目の重合においては、
得られる含フッ素共重合体のTgが40℃以上になるよ
うに単量体の種類およびその使用量を選択する必要があ
る。1段目の重合で製造する含フッ素共重合体の好まし
いTgは50℃以上である。1段目の重合による含フッ
素共重合体のTgが40℃未満であると、耐汚染性が不
十分で、特に夏場の高温時に塗膜が軟化し、汚染物質が
付着する。また、2段目の重合において用いる単量体
は、Tgが−10〜30℃の含フッ素共重合体、好まし
くはTgが−10〜20℃の含フッ素共重合体が得られ
る構成の単量体混合物である。2段目の重合で得られる
共重合体のTgが30℃より高いと造膜性が低下し、一
方Tgが−10℃未満であると塗膜の耐汚染性に劣る。
本発明におけるTgは、一般にDSC法と称される熱分
析法によって測定される。
【0016】含フッ素共重合体における単量体単位の種
類および割合とTgの関係について幾つか代表的な具体
例を挙げれると、以下のごとくである。本発明における
1段目の重合および2段目の重合に供する単量体の種類
およびその使用量の選択に当たり、以下の関係を参考す
ると良い。なお、CTFEはクロロトリフルオロエチレ
ンを示す略号であり、また各単量体単位の割合はモル%
である。 〇Tgが40℃以上の含フッ素共重合体の例 A.CTFE/バーサチック酸ビニル/ヘキサメチレン
グリコールジアクリレート/アクリル酸=50/42/
5/3───Tg=75℃ B.CTFE/バーサチック酸ビニル/カプロン酸ビニ
ル/ヘキサメチレングリコールジアクリレート/アクリ
ル酸=50/29/14/4/3─────Tg=60
℃ C.CTFE/バーサチック酸ビニル/ラウリン酸ビニ
ル/ヘキサメチレングリコールジアクリレート/アクリ
ル酸=50/38/5/4/3─────Tg=55℃
【0017】〇Tgが−10〜30℃の含フッ素共重合
体の例 a.CTFE/カプロン酸ビニル/アクリル酸=49/
48/3────Tg=9℃ b.CTFE/カプリル酸ビニル/バーサチック酸ビニ
ル/アクリル酸=49/24/24/3────Tg=
11℃ c.CTFE/イソ酪酸ビニル/アクリル酸=49/4
8/3─────Tg=16℃ d.CTFE/カプロン酸ビニル/バーサチック酸ビニ
ル/アクリル酸=49/36/12/3────Tg=
23℃ e.CTFE/バーサチック酸ビニル/ラウリン酸ビニ
ル/アクリル酸=50/31/16/3────Tg=
−8℃
【0018】また、1段目の重合により得られる重合体
(以下1段目重合体という)と2段目の重合により得ら
れる重合体(以下2段目重合体という)の好ましい重量
比は20:1〜1:2であり、さらに好ましくは10:
1〜2:3である。1段目重合体と2段目重合体の比率
が、20:1を下回って2段目重合体が少ないと塗装時
の造膜性が劣り、一方1:2を超えて2段目重合体が多
いと耐汚染性が低下する。1段目重合体および2段目重
合体の好ましい分子量は、いずれもゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフィー(以下GPCという)によるポリ
スチレン換算の数平均分子量で10,000〜1,000,0
00であり、更に好ましくは50,000〜1,000,00
0である。
【0019】1段目および2段目の重合操作について、
概要を説明する。1段目の重合は、乳化剤の存在下に水
性媒体中において、重合温度20〜100℃程度でかつ
圧力1〜200kg/cm2で耐圧オートクレーブを用い、3
〜40時間の反応時間で行うことができる。この工程に
おいて供給すべき単量体は、全量を初期にバッチ仕込み
してもよいし、一部の単量体または単量体と乳化剤のプ
レエマルジョンを重合の進行とともに逐次添加すること
もできる。必要に応じて、重合系に炭酸カリウム、炭酸
水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、リン酸2ナト
リウムなどのPH調整剤を加えてもよい。重合媒体の一
部として、水以外に親水性の有機溶媒を併用しても良
い。
【0020】1段目の重合から2段目の重合に移るとき
は、一旦エマルジョンを1段の重合工程から取り出し
て、第2段目の単量体を加えて再重合をしてもよいし、
1段目の単量体の消費量をガスクロマトグラフィー等で
検出することにより反応終了を確認した後、2段目の単
量体を仕込んでそのまま重合してもよい。2段目の重合
条件は、基本的には1段目の重合条件と同一で良い。2
段目の重合においては、新たな乳化剤を加えないのが好
ましい。重合終了時には、通常未反応のフルオロオレフ
ィン単量体が重合系に残存するので、これをパージす
る。パージされた未反応のフルオロオレフィン単量体
は、常法に従い回収して再度重合に供することができ
る。
【0021】上記1段目の乳化重合において使用される
乳化剤としては、アニオン系乳化剤とノニオン系乳化剤
の併用が好ましく、それらの好ましい使用量は、仕込み
の単量体全量100重量部当たり、アニオン系乳化剤が
0.5〜5重量部で、ノニオン系乳化剤が2〜8重量部
である。アニオン系乳化剤の具体例としては、ラウリル
硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリ
ウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジア
ルキルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレン
アルキルエーテル硫酸ナトリウムおよびアルカンスルホ
ン酸ナトリウムなどの高級アルキル基含有アニオン乳化
剤、ならびにパーフルオロオクタノイックアシドカリウ
ム塩またはアンモニウム塩、パーフルオロオクタンスル
ホン酸ナトリウム塩またはアンモニウム塩等のフルオロ
アルキル基含有アニオン乳化剤等が挙げられる。得られ
る水性分散体の粒子径が細かいことおよび基材への密着
性に優れる点から、高級アルキル基含有アニオン乳化剤
が好ましい。
【0022】ノニオン乳化剤としては、ポリオキシエチ
レンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフ
ェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエ
ーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステ
ル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、
グリセリン脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレン脂
肪酸エステル等が挙げられる。また、アクアロンRNシ
リーズ〔第一工業製薬(株)製〕などの反応性乳化剤も
使用できる。水性分散体の粒子径が細かい点で、ポリオ
キシエチレンアルキルエーテルおよびポリオキシエチレ
ンアルキルフェニルエーテルが好ましい。
【0023】1段目および2段目の各重合工程で使用さ
れるラジカル発生型重合開始剤の具体例としては、ジイ
ソプロピルパーオキシジカーボネート、ターシャリーブ
チルパーオキシピバレート、ベンゾイルパーオキサイ
ド、ラウロイルパーオキサイドおよびサクシニックアシ
ドパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチ
ロニトリル、アゾビスイソバレロニトリルおよびアゾビ
スアミジノプロパン塩酸塩等のアゾ化合物;ならびに過
硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムなどの無機過酸化物
が挙げられる。また、レドックス系開始剤を使用しても
よく、その場合には、前記過酸化物とともに亜硫酸水素
ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、ロンガリットまたはア
スコルビン酸等の還元剤を併用する。
【0024】本発明による水性含フッ素共重合体を塗料
として使用する場合には、その水性分散体にブチルセロ
ソルブアセテート等の造膜助剤を添加することが好まし
く、さらにそれ以外に、例えば酸化チタン、酸化鉄、フ
タロシアニンブルー、ベンジジンイエロー、キナクリド
ン等の顔料や、ステンレス粉、アルミニウム粉、ブロン
ズ粉等の金属粉、顔料分散剤、紫外線吸収剤、表面調整
剤、増粘剤、防かび剤および防錆剤等の添加剤を加えて
もよい。斯くして得られる塗料は、鋼板、ステンレス、
アルミ、コンクリート、モルタル、プラスチック、木材
等の基材に、スプレー、はけ、ロール、バーコーター等
により塗装できる。以下、実施例および比較例を挙げ
て、本発明をさらに具体的に説明する。
【0025】なお、各例において、1段目重合体および
2段目重合体の構成単量体単位の割合については、つぎ
の方法によって求めた。 1)1段目重合体の単量体単位について クロロトリフルオロエチレン(以下CTFEという)単
位は、共重合体のフッ素元素分析値を基に算出した。C
TFE以外の共重合単量体単位は、ガスクロマトグラフ
ィーにより未反応単量体を測定し、各単量体の仕込み量
に対する重合転換率を求め、それを基に算出した。 2)2段目重合体の単量体単位について CTFE以外の共重合単量体単位については、1段目重
合体と同様な計算によって求めた。CTFE単位はフッ
素の元素分析値から計算で求めたが、2段目の重合後に
得られる1段目と2段目の複合重合体の2段目重合体だ
けを分離して、フッ素の元素分析を行うことは不可能な
ため、上記複合重合体を対象に元素分析を行い、一旦該
重合体におけるCTFE量を求め、それから1段目重合
体のCTFE量を差し引いた値とした。
【0026】また、得られた水性含フッ素樹脂の塗料と
しての性能評価は、つぎの方法に依った。含フッ素樹脂
水性分散液100重量部当たり、造膜助剤としてブチル
セルソルブアセテート5重量部添加して得られる塗料液
を、厚さ0.6mmのクローメート処理亜鉛メッキ鋼板上
に、乾燥後の膜厚が30μになるように塗布し常温で1
週間乾燥させた。得られた塗膜について以下の試験を行
った。 1)耐水性試験 塗膜を50℃の温水に24時間浸漬した後、塗膜の外観
の変化を目視で観察した。
【0027】2)耐汚染性試験 つぎの人工汚れ剤を用い、それで塗膜を汚染し、60℃
で10分間乾燥した後、200ccの洗浄水をスプレー
するサイクルを5回繰り返した。この試験の前後での色
差(ΔE)を測定した。 3)耐候性 QUV(Qパネル社製蛍光紫外線耐候性試験機)を用い
て連続照射し、1サイクル8時間のうち4時間は塗面裏
側からイオン交換水をスプレーした。500時間試験後
の60度光沢保持率(%)を示した。
【0028】
【実施例1】1段目の重合を以下のように行った。攪拌
機を備えた2リットルのオートクレーブに純水350
g、アニオン乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸
ナトリウム5.5g、ノニオン乳化剤としてエマルゲン
910とエマルゲン930(いずれも花王株式会社製の
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)をそれぞ
れ12.4gを加え、次いでバーサチック酸ビニル〔シ
ェル化学(株)製商品名ベオバ9,炭素数が9の分岐脂
肪族カルボン酸のビニルエステル〕(以下Vー9とい
う)191g、ヘキサメチレングリコールジアクリレー
ト(以下HMDAという)28g、アクリル酸(以下A
Aという)5.3gおよびPH調整剤として炭酸水素ア
ンモニウムを8.0g仕込んだ。その後、脱気と窒素置
換を3回繰り返した後脱気し、クロロトリフルオロエチ
レン(以下CTFEという)289gを仕込み、40℃
まで昇温し1時間攪拌した後、過硫酸アンモニウム2.
7gを水30gに溶解した開始剤水溶液および亜硫酸水
素ナトリウム0.51gを水20gに溶解した還元剤水
溶液を、5.5時間かけて圧入し、全体で7.5時間重
合を行った。
【0029】次いで、反応液の一部をガスクロマトグラ
フィー(以下GCという)で分析してCTFE以外の単
量体の反応率がほぼ100%であることを確認した後、
水性樹脂分散体の一部を取り出し、固形分濃度および共
重合体の単量体単位の分析等の測定を行った。固形分濃
度は50重量%であり、また共重合体のフッ素分析結果
は19.2重量%であった。また、Tgは75℃であっ
た。フッ素含有量およびCTFE以外の単量体のGC分
析結果から算出した共重合体の組成は、CTFE/V−
9/HMDA/AA=50.3/41.8/4.9/
3.0(モル%)であった。
【0030】次に2段目の重合を行った。すなわち、上
記重合で得られる水性樹脂分散体と、予め過剰に仕込ま
れており未反応のままで残っているCTFEを内在する
オートクレーブに、単量体としてカプロン酸ビニル(以
下VCpという)71gおよびAA2.3gを仕込み、
40℃まで昇温して1時間攪拌した後、過硫酸アンモニ
ウム1.3gを水30gに溶解した開始剤水溶液と、亜
硫酸水素ナトリウム0.25gを水20gに溶解した還
元剤水溶液とを4時間かけて圧入し、重合を5.5時間
行った。重合終了後、未反応のCTFEをパージし、内
圧がー500mmHgになるまで窒素置換と減圧脱気を
行った後オートクレーブを開放して、固形分49重量%
の含フッ素共重合体の水性分散体を得た。得られた水性
分散体中に凝集物は観察されず、また分散体の平均粒径
は0.18μであった。さらに、未架橋の2段目重合体
と架橋された1段目重合体の比率を求めるために、樹脂
分をアセトンに可溶部と不溶部に分離した結果、1段目
重合体:2段目重合体の比は2.3:1(重量比)であ
ることが分かった。
【0031】得られた1段目と2段目の複合重合体につ
いてフッ素含有量を分析した結果は、20.1%であっ
た。この値から得られるCTFEの含有量から前記した
1段目重合体におけるCTFEの含有量を差し引き、2
段目重合体のCTFEの含有量を求め、その他の単量体
については重合転換率に基づいて2段目重合体での含有
量を求めた。その結果、2段目重合体の含フッ素共重合
体の単量体組成は、CTFE/VCp/AA=49.6
/47.4/3.0(モル%)となった。また、複合重
合体についてTgを測定した結果、75℃および10℃
の2点でガラス転移の現象が確認された(DSC法によ
る)。得られた複合重合体の水性分散体を用いて、前記
した方法で塗料化を行い、得られた水性塗料による塗膜
の物性を評価した結果は、表1のとおりである。
【0032】
【実施例2】1段目の重合用に、CTFE/ピバリン酸
ビニル(以下VPvという)/プロピオン酸ビニル(以
下VPrという)/ナノメチレンジアクリレート(以下
NMDAという)/メタクリル酸(以下MAという)=
435g/112g/30g/27g/6.4gの組成
の単量体混合物を仕込み、実施例1と同様にして重合を
行い、CTFE/VPv/VPr/NMDA/MA=4
7.8/33.8/11.6/3.8/2.9(モル
%)の1段目重合体を得た。引き続き、2段目の重合用
にVPr/MA=62g/3.1gを仕込み、さらに重
合を行い、1段目と2段目の重合による複合重合体の水
性分散体(平均粒径は0.15μ)を得た。1段目重合
体と2段目重合体の重量比は2.5:1であった。2段
目重合体の単量体組成を算出した結果は、CTFE/V
Pr/MA=48.8/48.3/2.9(モル%)で
あった。複合重合体に関するTgの測定結果は、67℃
および20℃であった。この例で得られた複合重合体の
水性分散体からなる塗料の塗膜物性は、表1に記載し
た。
【0033】
【実施例3】1段目の重合用に、CTFE/V−9/V
Cp/HMDA/AA=434g/131g/51g/
23g/5.3gの組成の単量体混合物を仕込み、実施
例1と同様にして重合を行い、CTFE/V−9/VC
p/HMDA/AA=50/28.7/14.3/4.
0/3.0(モル%)の1段目重合体を得た。引き続き
2段目の重合用にV−9/VL/AA=72g/44g
/2.7gを仕込み、さらに重合を行い、複合重合体の
水性分散体(平均粒径は0.19μ)を得た。1段目重
合体と2段目重合体の重量比は1.9:1であった。2
段目重合体の単量体組成は、CTFE/V−9/VL/
AA=50/31.3/15.7/3.0(モル%)で
あった。複合重合体についてTgを測定した結果は、6
0℃および10℃であった。この例で得られた複合重合
体の水性分散体からなる塗料の塗膜物性は、表1に記載
した。
【0034】
【実施例4】1段目の重合用に、CTFE/V−9/V
Cp/HMDA/AA=434g/131g/51g/
23g/5.3gの組成の単量体混合物を仕込み、実施
例1と同様にして重合を行い、CTFE/V−9/VC
p/HMDA/AA=50/28.7/14.3/4.
0/3.0(モル%)の1段目重合体を得た。引き続き
2段目の重合用にV−9/VL/AA=49g/80g
/2.7gを仕込み、さらに重合を行い、複合重合体の
水性分散体(平均粒径は0.19μ)を得た。1段目重
合体と2段目重合体の重量比は1.9:1であった。2
段目重合体の単量体組成は、CTFE/V−9/VL/
AA=48.5/20.8/27.8/2.9(モル
%)であった。複合重合体についてTgを測定した結果
は、60℃および−8℃であった。該複合重合体の水性
分散体から得られた塗料の塗膜物性は、表1に記載し
た。
【0035】
【比較例1】1段目の重合用に、CTFE/V−9/A
A=434g/214g/5.3gの組成の単量体混合
物を仕込み、実施例1と同様にして重合を行い、CTF
E/V−9/AA=49.9/47.1//3.0(モ
ル%)の1段目重合体を得た。引き続き2段目の重合用
にVCp/AA=83g/2.7gを仕込み、さらに重
合を行い、複合重合体の水性分散体(平均粒径は0.1
0μ)を得た。1段目重合体と2段目重合体の重量比は
2.3:1であった。2段目重合体の単量体組成は、C
TFE/VCp/AA=49.8/47.2/3.0
(モル%)であった。複合重合体のTgの測定結果は6
8℃および10℃であった。該複合重合体の水性分散体
から得られた塗料の塗膜物性は、表1に記載した。
【0036】
【表1】
【0037】
【発明の効果】本発明における特定な製造方法によって
得られる含フッ素共重合体からなる水性塗料は、優れた
造膜性を有し、かつ得られる塗膜の耐汚染性および硬度
に優れるため、自動車排気ガス等による汚染を受け易い
建築物等の屋外塗料として好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西尾 竜生 愛知県名古屋市港区船見町1番地の1 東 亞合成株式会社名古屋総合研究所内 (72)発明者 犬飼 宏 愛知県名古屋市港区船見町1番地の1 東 亞合成株式会社名古屋総合研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記工程(1)および工程(2)からな
    る製造方法によって得られる含フッ素共重合体の水性分
    散液からなる水性フッ素樹脂塗料。 工程(1):フルオロオレフィン単量体およびカルボン
    酸ビニル単量体を主成分とし、エチレン性不飽和基を2
    個以上有する架橋性単量体を含む単量体混合物を水性媒
    体中で乳化重合させて、Tgが40℃以上の含フッ素共
    重合体の水性分散液を得る工程。 工程(2):フルオロオレフィン単量体およびカルボン
    酸ビニル単量体を主成分とし、Tgが−10〜30℃の
    含フッ素共重合体を形成する単量体混合物を、上記工程
    (1)で得られた含フッ素共重合体の水性分散液中で重
    合させる工程。
  2. 【請求項2】 エチレン性不飽和基を2個以上有する架
    橋性単量体が炭素数2〜9個のアルキレン基を有するア
    ルキレングリコールジアクリレートである請求項1記載
    の水性フッ素樹脂塗料。
JP33720694A 1994-04-01 1994-12-26 水性フッ素樹脂塗料 Pending JPH08176499A (ja)

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JP33720694A JPH08176499A (ja) 1994-12-26 1994-12-26 水性フッ素樹脂塗料
EP95104851A EP0675182B1 (en) 1994-04-01 1995-03-31 Aqueous fluororesin coating composition and process for producing same
DE69500430T DE69500430T2 (de) 1994-04-01 1995-03-31 Wässrige, fluorhaltige Anstrichzusammensetzung und Herstellungsverfahren
US08/863,274 US5898042A (en) 1994-04-01 1997-05-27 Aqueous fluororesin coating composition and process for producing same

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014015533A (ja) * 2012-07-09 2014-01-30 Dic Corp 水性フッ素塗料及び該塗料で塗装された物品

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