JP3307663B2 - ゲル化微粒子状フッ素樹脂水性分散体及びその製造方法 - Google Patents

ゲル化微粒子状フッ素樹脂水性分散体及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、被覆用ゲル化微粒子状
フッ素樹脂水性分散体及びその製造方法に関するもので
ある。
【0002】更に詳細には、特に無機質建材に被覆され
る、アルカリ物質の浸出防止能にも優れ、しかも、超耐
候性、耐水性、耐アルカリ性ならびに耐汚染性などに優
れた皮膜を形成する特定の組成のゲル化微粒子状フッ素
樹脂水性分散体及びその製造方法に関する。
【0003】
【従来の技術】土木建築分野において、コンクリート躯
体、壁材または屋根材などの無機質建材の表面を被覆す
ることが行なわれるが、これは主として、かかる基材に
対し、耐薬品性、耐水性または耐候性などを付与せしめ
るためである。さらには、保護と美装という面も考慮さ
れてのものである。
【0004】こうした被覆材の中でも、水性の有機ポリ
マー・ベースのものは、被覆処理が簡便であり、したが
って、それらのものが頻繁に用いられている。この種の
ポリマー・ベースとして、アクリル系やアクリル−スチ
レン系共重合体のものが一応の水準に達していて多用さ
れている。
【0005】ところが、特に建築外装材として用いられ
る場合には、寿命も最低で10年以上、さらには、半永
久的なものが要求されるに及んではいるものの、アクリ
ル系やアクリル−スチレン系共重合体の水性ポリマーを
トップコートに用いた場合には、とりわけ、耐候性が充
分であるとは言い難く、したがって、短期間内での再塗
装が必要となる。
【0006】一方、フルオロオレフィン共重合体は、高
耐候性および高耐薬品性をもたらすバインダーとして公
知のものであり、既に、有機溶剤溶液のものが市販され
ている。
【0007】しかしながら、有機溶剤を多量に含むもの
である処から、火災の危険性、有害性ならびに大気汚染
などの面で社会的な問題にもなっている。これに対し
て、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデンまた
は、へキサフルオロプロピレンなどのポリマー(フルオ
ロオレフィン・ポリマー)の水分散体の使用が提唱され
ているが、これらは、何れも、高温での焼付けが必要な
ものであり、たとえば、特開昭57−38845号公報
には、フッ化ビニリデンと、ヘキサフルオロプロピレン
との共重合体が開示されていて、当該共重合体は、その
固有粘度〔η〕が0.1〜0.5なる低分子量物である
にも拘らず、依然として、180〜230℃という高温
の焼付けを必要としている。
【0008】したがって、常温で塗膜を形成させる必要
のある建築用塗料や、強制乾燥に頼る工場塗装用塗料な
どにあっても、上述した如き高温焼付けは、まさに実用
上、不可能であって、こうした用途には適さないもので
ある。
【0009】しかも、フルオロオレフィン単量体類は、
元々、高価なものである処から、共重合体をこのフルオ
ロオレフィン単量体類のみで構成するということは、ま
さに、経済上からも不利である。
【0010】ところで、特開昭61−261367号公
報には、上述した諸々の問題点を解決せしめる方法とし
て、フルオロオレフィン、アルキルビニルエーテル、お
よびカルボン酸ビニルエステルから構成される乳化共重
合体ベースの塗料用樹脂組成物が開示されており、無機
質建材の保護という用途に対しては、一応の処、適応し
うるものであると言えるが、基材への付着性、顔料分散
性ならびに耐汚染性などの面で、不充分なものである。
更に、ビニルエーテル系単量体は、酸性側或はアルカリ
性側で重合を試みると、ビニルエーテル系単量体自身
が、分解したり副反応を惹起するために、限られたpH
領域、具体的には、概ねpH4〜8でしか反応ができな
いという欠点がある。そこで、従来技術では、そのpH
に調節するために大量のpH緩衝剤を添加しなければな
らず、その結果として得られた塗膜の耐水性、耐アルカ
リ性など水が関与する塗膜性能に欠如するという根本的
な問題があった。
【0011】さらに、特開平2−240154号公報及
び特開平2−240155号公報においては、フルオロ
オレフィンと、オレフィンと、ビニルエステルおよび/
またはビニルエーテルと、重合性不飽和酸との組合せに
よるフルオロオレフィン共重合体水性分散体が常温乾燥
用の塗料として適しているとの開示がある。
【0012】しかし、この発明においても、無機質建材
に被覆される場合、アルカリ物質の浸出防止能が充分で
はなく、しかも、長期間にわたる耐水性、耐アルカリ性
に欠如したフッ素樹脂水性分散体しか得られない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来は、
セメントモルタル、セメントコンクリート、セメントア
スベストまたは珪酸カルシウム板などの無機質建材の表
面を被覆した際に、これらの基材が水と接触した場合と
か、水和硬化時において、アルカリ性物質が浸出するの
を封鎖することもできないし、さらには、長期の屋外曝
露に対しても充分なる超耐候性をはじめ、耐水性、耐薬
品性ならびに耐汚染性などの諸々の皮膜性能に優れるよ
うな、極めて有用性の高い被覆用水性樹脂が存在しなか
ったのである。
【0014】そのために、本発明は、無機質建材中のア
ルカリ性物質の浸出封鎖能と、超耐候性、耐水性、耐薬
品性ならびに耐汚染性などに優れた皮膜を形成せしめう
る、極めて有用性の高い、被覆用水性樹脂を提供するこ
とを目的にする。
【0015】言い替えると、本発明は、無機質機材の、
経時による外観変化も少なく、かつ、かかる基材硬化体
の劣化も防止でき、しかも、施工も簡便であって、経済
的にも有利であるような、極めて有用なる、被覆用水性
樹脂エマルジョンを提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者は上述
した如き発明が解決しようとする課題に照準を合わせ
て、鋭意、検討を重ねた結果、特定の組成のゲル化微粒
子状フッ素樹脂の水性分散体をバインダーとする塗装剤
を、無機質建材に塗装せしめた処、それが経時の外観変
化も劣化も共に少なく、しかも保護皮膜が前述した如き
諸々の性能にも優れるし、さらには、施工も簡便であ
り、従って、経済的に有利なる、極めて有用性の高いも
のであることが確認されるに及んで、本発明を完成させ
るに至った。
【0017】即ち、本発明は、架橋性単量体を必須の構
成成分とするフッ素樹脂の水性分散体であって、該フッ
素樹脂がゲル化微粒子であり、かつ該架橋性単量体が、
ヘキサジエン、オクタジエン、デカジエン、テトラデカ
ジエン、2−メチルーオクタジエン、デカトリエンおよ
び加水分解性シリル基含有単量体よりなる群から選ばれ
る1種若しくは2種以上の混合物であり、ゲル化微粒子
のゲル化度が20〜100重量%であることを特徴とす
るゲル化微粒子状フッ素樹脂水性分散体である。また本
発明は、水性媒体中で、乳化剤の存在下に、フッ素原子
を含有する単量体とその他の単量体と、架橋性単量体、
好ましくはヘキサジエン、オクタジエン、デカジエン、
テトラデカジエン、2−メチルーオクタジエン、デカト
リエンおよび加水分解性シリル基含有単量体よりなる群
から選ばれる1種若しくは2種以上の混合物とを重合さ
せることを特徴とするゲル化微粒子状フッ素樹脂水性分
散体の製造方法である。さらにフッ素原子を含有する単
量体がフルオロオレフィンであり、その他の単量体がエ
チレン、炭素原子数5以上の直鎖、分岐又は環状アルキ
ル構造を有するカルボン酸のビニルエステル系単量体お
よび酸基含有単量体であることを特徴とするものであ
る。
【0018】今まで、フルオロオレフィンとの共重合に
検討されてきたビニルエーテル系単量体の利用に起因す
る塗膜性能上の問題点を、特定の単量体組成を採用する
ことにより解決するものである。即ち、フルオロオレフ
ィンと特定の架橋性単量体を重合時に添加しエマルジョ
ン粒子を内部架橋させ粒子内部の全部もしくは一部分を
ゲル化させることにより、一層の塗膜性能上の向上が認
められることを見いだした。さらに、本発明は従来より
共重合する単量体としてカルボン酸ビニルの利用も検討
されてきてはいるけれども、長期間にわたる耐水性や耐
アルカリ性を満足するためには、特定の構造のカルボン
酸のビニルエステルを使用することが特徴である。
【0019】本発明でいう、ゲル化微粒子とは重合時に
架橋性単量体を必須成分として用いることにより、粒子
内部の全部もしくは一部分をゲル化させた粒子のことを
指称する。ゲル化度としては、概ね20〜100重量
%、好ましくは、40〜100重量%であることが好ま
しい。またゲル化度とは、本発明のフッ素樹脂水性分散
体の固形分を粉末状もしくはフイルム状に乾燥せしめア
セトンによる常温での抽出操作を経た残差分の初期量に
対する重量分率で示されたものと定義される。
【0020】本発明を実施するに当たって使用する単量
体の必須成分は、フッ素原子を含有する単量体と架橋性
単量体である。フッ素原子を含有する単量体とは、重合
性二重結合を有し、かつ重合を経た後、そのポリマーの
主鎖及び/又は側鎖部分に少なくとも1個のフッ素原子
を有する化合物をいう。その具体例としては、フルオロ
オレフィン、フルオロアルキル基を有するビニルエーテ
ル類、ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル
類などを挙げることができる。この中で特にフルオロオ
レフィンが好ましい。更に好ましいものとしては、フル
オロオレフィン、エチレン、炭素原子数5以上の直鎖、
分岐又は環状アルキル構造を有するカルボン酸のビニル
エステル系単量体、酸基含有単量体および架橋性単量体
からなるなるものが挙げられ、このうち被覆用として
は、エチレンの5〜20重量%(単量体総量基準、液状
換算、以下同じ)、フルオロオレフィンの40〜60重
量%、炭素原子数5以上の直鎖、分岐又は環状アルキル
構造を有するカルボン酸のビニルエステル系単量体の3
0〜50重量%、酸基含有単量体の0.5〜3重量%お
よび架橋性単量体の0.1〜2重量%からなる単量体組
成のものが特に好ましい。
【0021】フルオロオレフィンとは、例えばフッ化ビ
ニル、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘ
キサフルオロプロピレン、1,1,3,3,3−ペンタ
フルオロプロピレン、2,2,3,3−テトラフルオロ
プロピレン、1,1,2−トリフルオロプロピレン、
3,3,3−トリフルオロプロピレン、クロロトリフル
オロエチレン、ブロモトリフルオロエチレン、1−クロ
ロ−1,2−ジフルオロエチレン、1,1−ジクロロ−
2,2−ジフルオロエチレン等が挙げられる。
【0022】これらの内、好ましくはヘキサフルオロプ
ロピレン、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリ
デンから選ばれるフルオロオレフィン類が挙げられる。
より好ましくは、重合時の反応制御の点からクロロトリ
フルオロエチレンが使用される。
【0023】炭素原子数5以上の直鎖、分岐又は環状ア
ルキル構造を有するカルボン酸のビニルエステルとして
は、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、バーサチッ
ク酸ビニル(ネオノナン酸ビニル、ネオデカン酸ビニ
ル)、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロ
ヘキサンカルボン酸ビニル、p−t−ブチル安息香酸ビ
ニル、その他「ベオバ」(シェル社製のビニルエステ
ル)等が挙げられる。カルボン酸のビニルエステル系単
量体のカルボン酸は、上記のごとく酸中の炭素原子数が
5以上の直鎖、分岐または環状のアルキル構造を有する
ものが皮膜の耐候性等を高めるためには好ましく、さら
に好ましくは炭素原子数6以上のものがよい。即ち炭素
原子数5以上の直鎖、分岐または環状アルキル構造のカ
ルボン酸のビニルエステル系単量体は分子構造上バルキ
ーなアルキル基を有するために最終的に得られる塗膜の
撥水性を向上させ、高温の水や塩基性物質によるエステ
ル結合の加水分解を抑制する効果がある。従って当該単
量体を使用することにより、造膜させた後の長期間にわ
たる耐沸水性や、高温での耐アルカリ性をより満足する
性能が得られる。一方、炭素数5未満のカルボン酸のビ
ニルエステルの場合には、耐候性の良好な塗膜は得られ
るが、長期にわたる耐水性、耐アルカリ性に欠ける。
【0024】酸基含有単量体としては、(メタ)アクリ
ル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン
酸、もしくはシトラコン酸、無水マレイン酸、無水イタ
コン酸のごとき酸無水基含有単量体とグリコ−ルとの付
加物のごとき不飽和基含有ヒドロキシアルキルエステル
モノカルボン酸のごときカルボキシル基含有単量体若し
くはジカルボン酸類が例示できる。これらの内、好まし
くはクロトン酸、イタコン酸が共重合性の点から好まし
い。
【0025】酸基含有単量体を導入する目的は、水性分
散体の安定性を向上させるためと、最終的に利用される
場面での基材に対する密着性を向上させるためである。
架橋性単量体としては、安定な水性分散体が得られる点
から、ヘキサジエン、オクタジエン、デカジエン、テト
ラデカジエン、2−メチルーオクタジエン、デカトリエ
ンのような分子中に重合性不飽和基を2個以上有する単
量体類、およびビニルトリエトキシシラン、γ−(メ
タ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、
γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメト
キシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピル
トリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシ
プロピルメチルジエトキシシラン、トリス(2−メトキ
シエトキシ)ビニルシランのような加水分解性シリル基
含有単量体類が挙げられる。
【0026】
【0027】架橋性単量体を導入する目的は、耐水性、
耐アルカリ性、耐溶剤性などの耐久性を向上させるた
め、あるいは、低いガラス転移点の重合体で、その重合
体から得られる皮膜に靱性を持たせるためである。
【0028】これら単量体類は、最終的に得られる共重
合体のガラス転移点や、最低造膜温度を考慮して適宜選
択され用いられる。以上が本発明を構成する主要な成分
であるが、これらの他、本発明で得られるものの塗膜性
能を損なわない範囲、具体的には、概ね20重量%を越
えない範囲でその他の単量体を併用、あるいは単量体で
変性しても差し支えない。
【0029】その際に用いられる単量体の具体例として
は、塩化ビニル、塩化ビニリデン、プロピレン、ブテン
−1等のオレフィン類、あるいは、(メタ)アクリル酸
の各種誘導体など等が挙げられる。
【0030】次に、乳化剤としては、上述した各種単量
体を水性媒体中に安定に分散させ、かつ最終の利用態様
において皮膜性能を充分に発揮させるために利用される
ものであり、好ましくは、フッ素原子を含有しないアニ
オン性乳化剤及び/又はフッ素原子を含有しないノニオ
ン性乳化剤が使用される。具体例としては以下のものが
挙げられる。
【0031】フッ素原子を含有しないアニオン性乳化剤
(反応性乳化剤を含む。)としては、アルキル(ベンゼ
ン)スルホン酸塩、アルキルサルフェート塩、ポリオキ
シエチレンアルキルフェノールサルフェート塩、スチレ
ンスルホン酸塩、ビニルサルフェート塩及びこれらの誘
導体が例示できる。ここでいう塩とは、アルカリ金属の
水酸化物による塩、あるいはアンモニア、トリエチルア
ミンなどの揮発性塩基による塩をさす。これらの内、
(置換)アルキル(ベンゼン)スルホン酸塩、ビニルス
ルホン酸塩より選ばれる1種若しくは2種以上の混合物
が好ましい。
【0032】フッ素原子を含有しないノニオン性乳化剤
(反応性乳化剤を含む。)としては、ポリオキシエチレ
ンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンア
ルキルエーテル、ポリオキシエチレン高級脂肪酸エステ
ル、エチレンオキサイドープロピレンオキサイドブロッ
ク共重合体、及びこれらの誘導体が例示でき、これらの
1種若しくは2種以上の混合物として用いられる。これ
らの内、ポリオキシエチレン(置換)アルキル(フェニ
ル)エーテルが最終的に得られる皮膜物性の観点から好
ましい。
【0033】これら乳化剤の使用量としては、アニオン
系とノニオン系乳化剤とを合わせて、単量体総量に対し
て、0.5〜10重量%の範囲が適当である。更にこれ
らと併用して、ポリカルボン酸若しくはスルホン酸塩よ
りなる水溶性オリゴマーや、ポリビニルアルコール、ヒ
ドロキシエチルセルロース等の水溶性高分子物質を保護
コロイドとして用いることができる。
【0034】ここで、「フッ素原子を含有しない」とい
う意味は、次のとおりである。通常フルオロオレフィン
の水性媒体中での重合は、フッ素原子含有乳化剤を利用
しておこなわれているが、従来の系では、フッ素原子含
有乳化剤を利用しているため、その粒子表面は、比較的
低エネルギー表面になっている。そのため、従来技術で
得られた分散体を基材に塗布すると基材との付着性が不
良になる欠点がある。本発明では、その欠点を克服する
ために、”フッ素原子を含有しない”乳化剤系での重合
が好ましい。但し、パーフルオロオクタン酸塩で代表さ
れるフッ素原子含有乳化剤の併用を妨げるものではな
い。
【0035】本発明のゲル化微粒子状フッ素樹脂水性分
散体は、以上述べた単量体類を、前記乳化剤の存在下、
水性媒体中で重合することにより得られる。その際に用
いられる重合開始剤としては、乳化重合に一般的に使用
されているものであれば特に限定されない。具体例とし
ては、過酸化水素のごとき水溶性無機過酸化物;過硫酸
アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムのご
とき過硫酸塩類;クメンハイドロパーオキサイド、ベン
ゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサ
イドのごとき有機過酸化物類;アゾビスイソブチロニト
リル、アゾビスシアノ吉草酸のごときアゾ系開始剤類な
どがあり、これらを単独若しくは併用して使用される。
使用量としては総単量体量に対して、0.1〜2重量%
が好ましい。尚、これらの重合開始剤と金属イオン及び
還元剤との併用による、いわゆるレドックス重合法によ
っても良い。
【0036】還元剤の具体例としては、ナトリウムビサ
ルファイト、ナトリウムメタビサルファイト、ナトリウ
ムビチオサルフェート、ナトリウムハイドロサルフェー
ト、スルホキシル酸ホルムアルデヒドナトリウム、還元
糖が挙げられる。また、金属イオンとして一例を挙げれ
ば、硫酸銅、塩化第2鉄、硫酸第2鉄、硝酸銀がある。
【0037】さらに、各種の連鎖移動剤も使用できる。
本発明は水性媒体、好ましくはイオン交換水と乳化剤の
存在下、単量体類を各別にそのまま、若しくは乳化した
状態で、一括、若しくは分割、或は連続的に反応容器中
に滴下し、前記重合開始剤の存在下、ゲージ圧約1kg
/cm2〜100kg/cm2、反応温度約50℃〜15
0℃の温度で重合させれば良い。場合によっては、これ
以上の圧力あるいは、これ以下の温度条件でも重合させ
ても差し支えない。総単量体量と水との比率は最終固形
分量が1〜60重量%、好ましくは15〜55重量%の
範囲になるように設定すべきである。又、乳化重合をす
るにあたり粒子径を成長もしくは制御させるために、予
め水相中にエマルジョン粒子を存在させ重合させるシー
ド重合法によっても良い。
【0038】ここで用いる水性媒体中の水は、基本的に
はイオン交換水を用いるが、その量は水性媒体中の70
重量%以上を使用する。ここで残りの30重量%以下
は、有機溶剤を併用してもよい。
【0039】ここでいう有機溶剤としては、特に限定さ
れるものではなく、汎用の有機溶剤であればいずれのも
のでも使用できる。その具体例としては、アセトン、メ
チルエチルケトン、メチルアミルケトンの如きケトン
系;酢酸エチル、酢酸ブチルの如きエステル系;または
ベンゼン、トルエン、キシレンの如き芳香族炭化水素
系;ヘキサン、ヘプタンの如き脂肪族炭化水素系;メタ
ノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールの
如きアルコール系;四塩化炭素、メチレンジクロリド、
ヘキサフルオロイソプロパノールの如きフロン系溶剤を
含む含ハロゲン系有機溶剤などの有機溶剤が挙げられ
る。これらの内、水に対する親和性が大きく、あるいは
エチレンやフルオロオレフィンを水性媒体中で溶解する
能力が大きい有機溶剤が好適である。即ち、特に好まし
い有機溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、
メタノール、エタノール、イソプロパノールの如き親水
性溶剤や、ヘキサフルオロイソプロパノールの如きフロ
ン系溶剤などである。
【0040】ここで、四塩化炭素、ヘプタン等は、テロ
ゲンとして作用する場合があるので、分子量を調節する
際にはその使用量を注意して使用すべきである。重合反
応は、系中のpHが概ね1.0〜6.0の範囲で進行さ
せればよい。pHの調節は、燐酸2ナトリウムやボラッ
クスあるいは、炭酸水素ナトリウム、アンモニアなどの
pH緩衝剤を用いて調節すればよい。これ以上のpH条
件では、前述したように塗膜を形成させた場合、耐水性
や耐アルカリ性に欠如した性能を生じさせる。
【0041】このようにして本発明のゲル化微粒子状フ
ッ素樹脂水性分散体が得られるが、反応終了後の系中の
状態は、エマルジョン粒子中に未反応のガス状単量体
が、ごく一部残存している。残存している単量体の大部
分は、未反応のフルオロオレフィンであるが、このエマ
ルジョンを破壊しないように安定に除去するために次の
操作を行う。即ち、塩基性物質で重合体に転化された酸
基含有単量体の酸性基の全部もしくは、一部分を中和し
た後、未反応の単量体類を除去したり、あるいはシリコ
ン系及び/又は鉱油系化合物を添加した後、未反応の単
量体類を除去する。
【0042】ここで云う塩基性物質とは、水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウムなどの無機のアルカリ金属の水酸
化物、あるいはトリエチルアミン等の有機アミン類や、
アンモニア等が例示できる。このうち、トリエチルアミ
ン等の有機アミン類や、アンモニアなどの揮発性塩基物
質が好ましい。
【0043】シリコン系及び/又は鉱油系化合物として
は、市販されている公知慣用の水性用消泡剤を利用すれ
ばよい。未反応の単量体を除去する方法としては、室温
もしくは100℃以下の加温の条件下、常圧若しくは減
圧下で未反応のガス状単量体を除去したり、あるいは、
水蒸気蒸留法などを使用することが出来る。このとき窒
素ガスなどの不活性ガスを系中にバブリングさせ未反応
のガス状単量体の除去を促進させることもできる。
【0044】本発明の方法によって得られるゲル化微粒
子状フッ素樹脂水性分散体は、架橋性単量体を含有しな
い状態に換算して、概ね数平均分子量が5000〜10
00000、重量平均分子量が10000〜30000
00、かつ最低造膜温度が約10℃〜60℃である。ま
たその粒子径は、概ね0.02〜0.5ミクロンであ
る。
【0045】本発明の方法によって得られるゲル化微粒
子状フッ素樹脂水性分散体は、酸化チタン、マイカ、タ
ルク、クレー、沈降性硫酸バリウム、シリカ末、炭酸カ
ルシウム、酸化鉄、酸化亜鉛、アルミ末、カーボン等の
無機顔料、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系
等の有機顔料、あるいはプラスチック顔料、及びこれら
を乳化剤、分散剤などで水中に分散せしめた分散顔料の
使用が可能であり、それぞれの最終目的に応じて選択さ
れて使用される。
【0046】又、塗料化に必要な各種添加剤、例えば分
散剤、湿潤剤、造膜助剤、増粘剤、チクソ化剤、紫外線
吸収剤、酸化防止剤、撥水剤、凍結防止剤、防腐・防ば
い剤、消泡剤等の使用は得られる塗膜の性能を考慮しつ
つ選択使用される。
【0047】而して、ゲル化微粒子状フッ素樹脂水性分
散体またはこの分散体と顔料等とを含んでなる水性組成
物を、前掲された如き各種の無機質建材に塗布するに当
たっては、特に制限はないが、一例としては、刷毛塗
り、ローラー塗装、スプレー塗装、ロールコーター塗
装、またはシャワリング塗装などによるのが望ましい。
【0048】その際、建築現場施工用としては、常用の
造膜助剤を添加した状態での最低造膜温度が0℃以下な
る塗料の使用が望ましい。この際、塗装法としては、刷
毛、ローラーまたはスプレーなどの方法によるのがよ
い。また瓦の如き屋根材や壁材などにおける、いわゆる
工場ライン塗装用としては、一般的に行なわれている加
熱強制乾燥法に従い、その乾燥条件に応じた、常用の造
膜助剤を添加した状態での最低造膜温度が、概ね、60
℃以下、好ましくは、50℃以下なる塗料を選択して用
いるのが望ましい。
【0049】かかる各塗装方法のいずれによった場合に
おいても、ゲル化微粒子状フッ素樹脂水性分散体を必須
成分とし、あるいは、この分散体と顔料等とを含んでな
る水性組成物の乾燥膜厚としては、5μm 以上が適切で
ある。
【0050】5μm 未満の場合には、どうしても、皮膜
の長期耐久性などが不充分となり易いからである。得ら
れた分散体を含有する組成物で被覆される基材として
は、無機質建材の他に、金属、プラスチック、木材、ガ
ラス、紙、繊維等にも応用できる。被覆する方法として
は、刷毛塗り、スプレー塗装、ロールあるいはフローコ
ーターによる塗装、さらにはデッピング等の浸漬塗装に
より被覆させることが出来、被覆後、必要に応じて、セ
ッテイング時間を経た上で、加熱乾燥させるか、あるい
は常温乾燥させることにより皮膜を得ることが出来る。
加熱乾燥させる場合には、60〜200℃の温度で任意
の時間乾燥させればよい。
【0051】本発明に従って得られるゲル化微粒子状フ
ッ素樹脂水性分散体は、その高度な塗膜の耐候性、耐薬
品性、耐汚染性さらには長期間にわたる耐沸水性や高温
での耐アルカリ性に優れるという特徴から、外装、内装
用の水性塗料組成物、更には、金属、プラスチック、木
材、無機基材、紙、繊維等に対する被覆剤、あるいは処
理剤として使用することができる。
【0052】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を説明する。
尚、部とあるのは全て重量基準とする。
【0053】実施例1(ゲル化微粒子状フッ素樹脂水性
分散体の合成例) 攪拌装置、窒素導入管、温度計、及び温度調節装置を備
えた2lのステンレス製耐圧反応容器(オートクレー
ブ)を窒素ガスで系内を十分に置換し、イオン交換水の
800g、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダの20
g、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル20
g、pH緩衝剤としてボラックス10gを加え溶解させ
る。次いで、ネオノナン酸ビニル400g、クロトン酸
15g、デカジエン15g及び、液化捕集したクロロト
リフルオロエチレン500gを仕込む。次いで、エチレ
ンガスを15kg/cm2になるまで圧入する。オート
クレーブの内温を80℃になるまで昇温する。この時、
反応時の系内圧力がほぼ30kg/cm2になるように
エチレンガスを調節する。次いで、同温度で、過硫酸カ
リウム5gをイオン交換水200gに溶解した触媒水溶
液を反応容器中に3時間にわたって圧入する。触媒水溶
液の添加後も同温度に10時間保持し重合反応を進行さ
せる。反応中のpHは3.5で進行した。反応中に単量
体の消費にともなって系中の圧力が下降してゆくが、そ
の都度エチレンの導入によって反応系の圧力を30kg
/cm2に保持する。反応終了後、室温まで冷却して1
4%アンモニア水をpHがほぼ7.5になるまで添加
し、さらにシリコン系消泡剤(サンノプコ社製ノプコ8
034L)の5%水分散液1gを添加し、よく攪拌す
る。次いで、未反応のガスを系中から徐々に取り出し系
内圧力を常圧まで戻す。次いで、減圧下、分散体中に溶
解している未反応のガスを留去する。得られた分散体
は、不揮発分が48.5%、pH7.2、最低造膜温度
が42℃、平均粒子径が0.08ミクロンなる白色の水
性分散体である。以下これを(A−1)と称する。(A
−1)は、元素分析、イオンクロマト分析、赤外吸収ス
ペクトル、熱分解ガスクロマトグラフィーによる組成分
析により、エチレンが7.4重量%、フルオロオレフィ
ンが47.3重量%、炭素数5以上の直鎖、分岐または
環状のカルボン酸のビニルエステル系単量体が42.1
重量%、酸基含有単量体が1.6重量%、架橋性単量体
が1.6重量%であり、ゲル化度は75重量%だった。
【0054】実施例2(ゲル化微粒子状フッ素樹脂水性
分散体の合成例) 触媒として、過硫酸カリウムと還元剤を用い、反応温度
を65℃とし、さらに初期仕込の段階で、0.05%塩
化第2鉄水溶液2gを添加する他は、実施例1と同様に
合成した。
【0055】過硫酸カリウムは過硫酸カリウム5gをイ
オン交換水100gに溶解させて調製した。また還元剤
はスルホキシル酸ホルムアルデヒドナトリウム5gをイ
オン交換水100gに溶解させて調製した。
【0056】得られた分散体は、不揮発分が48.0
%、pH7.3、最低造膜温度が43℃、平均粒子径が
0.08ミクロンの白色の水性分散体であった。以下こ
れを(A−2)と称する。(A−2)は、元素分析、イ
オンクロマト分析、赤外吸収スペクトル、熱分解ガスク
ロマトグラフィーによる組成分析により、エチレンが
7.2重量%、フルオロオレフィンが48.5重量%、
炭素数5以上の直鎖、分岐または環状のカルボン酸のビ
ニルエステル系単量体が41.2重量%、酸基含有単量
体が1.5重量%、架橋性単量体が1.6重量%であ
り、ゲル化度は87重量%であった。
【0057】実施例3(ゲル化微粒子状フッ素樹脂水性
分散体の合成例) 原料組成を以下のようにした以外は、実施例1と同様に
合成した。 イオン交換水 800g ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ 20g ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル 20g 燐酸第2ナトリウム 10g ネオデカン酸ビニル 340g p−t−ブチル安息香酸ビニル 50g ネオノナン酸ビニル 10g クロトン酸 15g ビニルトリエトキシシラン 15g 液化捕集したクロロトリフルオロエチレン 500g (エチレンガスを15kg/cm2まで圧入し、反応時の系内圧力を30kg/ cm2に保持した。) 過硫酸カリウム 5g イオン交換水 200g 得られた分散体は、不揮発分が48%、pH7.2、最
低造膜温度が30℃、平均粒子径が0.09ミクロンの
白色の水性分散体であった。以下これを(A−3)と称
する。(A−3)は、元素分析、イオンクロマト分析、
赤外吸収スペクトル、熱分解ガスクロマトグラフィーに
よる組成分析により、エチレンが5.6重量%、フルオ
ロオレフィンが52.1重量%、炭素数5以上の直鎖、
分岐または環状のカルボン酸のビニルエステル系単量体
が39.2重量%、酸基含有単量体が1.5重量%、架
橋性単量体が1.6重量%であり、ゲル化度は63重量
%だった。
【0058】実施例4(ゲル化微粒子状フッ素樹脂水性
分散体の合成例) イオン交換水800gの代わりにイオン交換水770g
とヘキサフルオロイソプロパノール30gを使用する以
外は、実施例1と同様に合成した。
【0059】未反応のガスを留去する際にシリコン系化
合物の代わりに鉱油系消泡剤(サンノプコ社製ノプコN
DW)を用い、ヘキサフルオロイソプロパノールも減圧
下で除去して得られた分散体は、不揮発分が50%、p
H7.0、最低造膜温度が48℃、平均粒子径が0.1
5ミクロンの白色の水性分散体であった。以下これを
(A−4)と称する。(A−4)は、元素分析、イオン
クロマト分析、赤外吸収スペクトル、熱分解ガスクロマ
トグラフィーによる組成分析により、エチレンが8.2
重量%、フルオロオレフィンが51.9重量%、炭素数
5以上の直鎖、分岐または環状のカルボン酸ビニルエス
テル系単量体が37重量%、酸基含有単量体が1.5重
量%、架橋性単量体が1.4重量%であり、ゲル化度は
82重量%であった。
【0060】参考例1 実施例1からデカジエンを除く他は、実施例1と同様に
調製して架橋剤を含有しない分散体を得た。(以下B−
1と称する。)(B−1)を常法に従い塩析を行って、
ポリマー分のみを取り出した。ついで、イオン交換水
で、フリーの乳化剤の抽出を行い、ついで乾燥後テトラ
ハイドロフランに溶解させた。得られたサンプルをゲル
ロ過クロマトグラフィーによりポリスチレン換算の分子
量を測定した。得られた結果は、数平均分子量が157
000、重量平均分子量478000であった。これ
は、(A−1)から架橋剤を抜いた分子量に相当する。
またこのもののゲル化度は、ほぼ0重量%だった。
【0061】参考例2 実施例3からデカジエンを除く他は、実施例3と同様に
調製して架橋剤を含有しない分散体を得た。(以下B−
2と称する。)(B−2)を常法に従い塩析を行って、
ポリマー分のみを取り出した。ついで、イオン交換水
で、フリーの乳化剤の抽出を行い、ついで乾燥後テトラ
ハイドロフランに溶解させた。得られたサンプルをゲル
ロ過クロマトグラフィーによりポリスチレン換算の分子
量を測定した。得られた結果は、数平均分子量が207
000、重量平均分子量634000であった。これ
は、(A−3)から架橋剤を抜いた分子量に相当する。
またこのもののゲル化度は、ほぼ0重量%だった。
【0062】実施例5(本発明の内、炭素数5未満のカ
ルボン酸のビニルエステル系単量体を用いたゲル化微粒
子状フッ素樹脂水性分散体の合成例) 攪拌装置、窒素導入管、温度計、及び温度調節装置を備
えた2lのステンレス製耐圧反応容器(オートクレー
ブ)を窒素ガスで系内を十分に置換し、イオン交換水の
800g、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダの20
g、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル20
g、pH緩衝剤としてボラックス10gを加え溶解させ
る。次いで、酢酸ビニル400g、クロトン酸15g、
デカジエン15g及び、液化捕集したクロロトリフルオ
ロエチレン500gを仕込む。次いで、エチレンガスを
15kg/cm2になるまで圧入する。オートクレーブ
の内温を80℃になるまで昇温する。この時、反応時の
系内圧力がほぼ30kg/cm2になるようにエチレン
ガスを調節する。次いで、同温度で、過硫酸カリウム5
gをイオン交換水200gに溶解した触媒水溶液を反応
容器中に3時間にわたって圧入する。触媒水溶液の添加
後も同温度に10時間保持し重合反応を進行させる。反
応中のpHは3.5で進行した。反応中に単量体の消費
にともなって系中の圧力が下降してゆくが、その都度エ
チレンの導入によって反応系の圧力を30kg/cm2
に保持する。反応終了後、室温まで冷却して14%アン
モニア水をpHがほぼ7.5になるまで添加し、さらに
シリコン系消泡剤(サンノプコ社製ノプコ8034L)
の5%水分散液1gを添加し、よく攪拌する。次いで、
未反応のガスを系中から徐々に取り出し系内圧力を常圧
まで戻す。次いで、減圧下、分散体中に溶解している未
反応のガスを留去する。得られた分散体は、不揮発分が
48%、pH7.2、最低造膜温度が42℃、平均粒子
径が0.08ミクロンなる白色の水性分散体である。以
下これを(A−5)と称する。(A−5)は、元素分
析、イオンクロマト分析、赤外吸収スペクトル、熱分解
ガスクロマトグラフィーによる組成分析により、エチレ
ンが7.4重量%、フルオロオレフィンが47.3重量
%、炭素数5未満のカルボン酸のビニルエステル系単量
体が42.1重量%、酸基含有単量体が1.6重量%、
架橋性単量体が1.6重量%であり、ゲル化度は68重
量%だった。
【0063】参考例3 実施例1の反応終了後、室温まで冷却した後に、14%
アンモニア水を添加せずに取り出したところエマルジョ
ンの凝集物が多量に発生し、被覆用組成物として利用で
きなかった。
【0064】参考例4 実施例1の反応終了後、室温まで冷却した後に、シリコ
ン系消泡剤(サンノプコ社製ノプコ8034L)を添加
せずに取り出したところエマルジョン粒子中からの発泡
が激しく、その結果、エマルジョンの凝集物が多量に発
生し、被覆用組成物として利用できなかった。
【0065】応用例(水性塗料組成物の配合) 実施例1〜5(樹脂番号A−1〜A−5)および参考例
1〜2(B−1〜B−2)で得られた各種フッ素樹脂水
性分散液を不揮発分45%に希釈し、造膜助剤としてテ
キサノールを各々2%添加して、水性組成物を得た。得
られた各組成物を、スレート板上に浸漬塗装し、60℃
で20分乾燥した。ついで、室温で7日間乾燥させて各
種試験を実施した。また、試験の高温、長期間の耐沸
水性試験では、基材としてガラス板を用いた。試験結果
を表1及び表2に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】 <試験項目及び試験結果> 例番号:相当する実施例、比較例番号を示した。 樹脂番号:用いた実施例、比較例番号に相当するフッ素
樹脂水性分散液の番号を示した。尚、B−3、B−4に
あっては、エマルジョンの凝集物が多量に発生し、評価
に供し得なかった。 耐水性:水道水中に2カ月浸漬後、塗膜の状態を目視
判定。外観上異常の無いものを◎、塗膜にふくれ、はが
れ、白化が認められるものを×と判定した。 耐アルカリ性:Ca(OH)2飽和の2%NaOH水
溶液中に2カ月浸漬後、塗膜の状態を目視判定。外観上
異常の無いものを◎、塗膜にふくれ、はがれ、白化が認
められるものを×と判定した。 耐酸性:0.2%の硫酸水溶液中に1カ月浸漬後、塗
膜の状態を目視判定。外観上異常の無いものを◎、塗膜
にふくれ、はがれ、白化が認められるものを×と判定し
た。 促進耐候性:デューパネル光コントロールウエザーメ
ーターにて3000時間試験後、それぞれの塗膜の外観
を目視判定。外観上異常の無いものを◎、塗膜にふく
れ、はがれ、白化が認められるものを×と判定した。 密着性:碁盤目密着試験を行い、セロテープ(登録商
標)を剥離し塗膜のはがれる程度を目視判定。外観上異
常の無いものを◎、塗膜がはがれたものを×と判定し
た。 高温、長時間の耐沸水性試験:プレッシャークッカー
試験機を用いて、140℃、1.8Kg/cm2の条件
で高温の水蒸気に基材を2週間暴露させ外観を目視判
定。外観上異常の無いものを◎、塗膜にふくれ、はが
れ、白化が認められるものを×と判定した。
【0068】本試験は、塗膜の長期間に渡る耐水性、耐
沸水性の促進試験に該当する。 高温での耐アルカリ性試験:50℃、Ca(OH)2
飽和の2%NaOH水溶液中に2週間浸漬後、塗膜の状
態を目視判定。外観上異常の無いものを◎、塗膜にふく
れ、はがれ、白化が認められるものを×と判定した。
【0069】本試験は、無機質建材上に塗布された塗膜
の、長期間に渡る耐アルカリ性の促進試験に該当する。 耐蒸気養生性:圧力容器に塗板(スレート板)を入
れ、140℃、5kg/cm2の高圧蒸気を圧入し、同
圧力、同温度で12時間保持した。塗膜表面にスレート
板から溶出したカルシウム塩が析出し白化したものを
×、部分的に白化が認められるものを△、全く外観に異
常の無いものと◎と判定した。
【0070】本発明で得られた各種ゲル化微粒子状フッ
素樹脂水性分散体からなる塗膜は、〜の試験には全
て満足する性能を示し、共重合単量体として、炭素原子
数5以上の直鎖、分岐又は環状アルキル構造を有するカ
ルボン酸のビニルエステル系単量体を用いた場合には
〜の何れの試験に於いても卓越した性能を示した。
【0071】
【発明の効果】以上のように本発明で得られるゲル化微
粒子状フッ素樹脂水性分散体は、無機質機材が水、熱と
接触した場合とか、当該硬化体の水和時に於ても優れた
アルカリ性物質の封止効果があるばかりか、共重合単量
体として、炭素原子数5以上の直鎖、分岐又は環状アル
キル構造を有するカルボン酸のビニルエステル系単量体
を用いた場合には、更に長期にわたるアルカリ性条件下
や高温条件下でも劣化が少なく、長期の屋外暴露に対し
ても充分な耐候性、耐薬品性、耐汚染性など諸々の皮膜
性能に優れた極めて有用性の高い保護皮膜を形成せしめ
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C09D 127/12 C09D 127/12 (72)発明者 吉野 文夫 大阪府泉大津市尾井千原3ー5ー504 (56)参考文献 特開 平4−279612(JP,A) 特開 平2−240154(JP,A) 特開 昭50−44283(JP,A) 特開 昭62−260807(JP,A) 特開 昭48−25782(JP,A) 特開 昭56−59810(JP,A) 特開 昭57−177009(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 27/12 - 27/20 C08F 214/18 - 214/28 C08F 2/24 - 2/30 C08J 3/24 - 3/26 C04B 41/48 C09D 127/12 - 127/20

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】架橋性単量体を必須の構成成分とするフッ
    素樹脂の水性分散体であって、該フッ素樹脂がゲル化微
    粒子であり、かつ該架橋性単量体が、ヘキサジエン、オ
    クタジエン、デカジエン、テトラデカジエン、2−メチ
    ルーオクタジエン、デカトリエンおよび加水分解性シリ
    ル基含有単量体よりなる群から選ばれる1種若しくは2
    種以上の混合物であることを特徴とするゲル化微粒子状
    フッ素樹脂水性分散体。
  2. 【請求項2】フッ素樹脂のゲル化度が、20〜100重
    量%であることを特徴とする請求項1記載のゲル化微粒
    子状フッ素樹脂水性分散体。
  3. 【請求項3】ゲル化微粒子状フッ素樹脂水性分散体が、
    ゲル化されていない状態に換算して、数平均分子量が5
    000〜1000000、重量平均分子量が10000
    〜3000000で、最低造膜温度が10℃〜60℃で
    あり、かつ、ゲル化フッ素樹脂水性分散体のフッ素樹脂
    の粒子径が、0.02〜0.5ミクロンであることを特
    徴とする請求項1または2記載のゲル化微粒子状フッ素
    樹脂水性分散体。
  4. 【請求項4】水性媒体中で、乳化剤の存在下に、フッ素
    原子を含有する単量体と架橋性単量体とその他の単量体
    とを重合させることを特徴とするゲル化微粒子状フッ素
    樹脂水性分散体の製造方法。
  5. 【請求項5】前記架橋性単量体が、ヘキサジエン、オク
    タジエン、デカジエン、テトラデカジエン、2−メチル
    ーオクタジエン、デカトリエンおよび加水分解性シリル
    基含有単量体よりなる群から選ばれる1種若しくは2種
    以上の混合物からなることを特徴とする請求項4記載の
    ゲル化微粒子状フッ素樹脂水性分散体の製造方法。
  6. 【請求項6】前記フッ素原子を含有する単量体がフルオ
    ロオレフィンであり、その他の単量体がエチレン、炭素
    原子数5以上の直鎖、分岐又は環状アルキル構造を有す
    るカルボン酸のビニルエステル系単量体および酸基含有
    単量体であることを特徴とする請求項4または5記載の
    ゲル化微粒子状フッ素樹脂水性分散体の製造方法。
  7. 【請求項7】前記フルオロオレフィン、エチレン、炭素
    原子数5以上の直鎖、分岐又は環状アルキル構造を有す
    るカルボン酸のビニルエステル系単量体、酸基含有単量
    体、架橋性単量体を、それぞれ40〜60重量%、5〜
    20重量%、30〜50重量%、0.5〜3重量%、
    0.1〜2重量%重合させることを特徴とする請求項4
    〜6のいずれか1項記載のゲル化微粒子状フッ素樹脂水
    性分散体の製造方法。
  8. 【請求項8】前記フルオロオレフィンが、クロロトリフ
    ルオロエチレン、フッ化ビニリデンおよびヘキサフルオ
    ロプロピレンよりなる群から選ばれる1種若しくは2種
    以上の混合物であり、かつ、前記炭素原子数5以上の直
    鎖、分岐又は環状アルキル構造を有するカルボン酸のビ
    ニルエステル系単量体が、ピバリン酸ビニル、カプロン
    酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、
    ステアリン酸ビニルおよびシクロヘキサンカルボン酸ビ
    ニルよりなる群から選ばれる1種若しくは2種以上の混
    合物であり、更に前記酸基含有単量体が、イタコン酸お
    よび/またはクロトン酸であることを特徴とする請求項
    6または7記載のゲル化微粒子状フッ素樹脂水性分散体
    の製造方法。
  9. 【請求項9】ゲージ圧1〜100Kg/cm、反応温
    度50〜150℃、pH1.0〜6.0の条件下で前記
    重合反応を行うことを特徴とする請求項4〜8のいずれ
    か1項記載のゲル化微粒子状フッ素樹脂水性分散体の製
    造方法。
  10. 【請求項10】前記水性媒体が、30重量%以下の有機
    溶剤を含有することを特徴とする請求項4〜9のいずれ
    か1項記載のゲル化微粒子状フッ素樹脂水性分散体の製
    造方法。
  11. 【請求項11】前記有機溶剤が、フッ素系有機溶剤であ
    ることを特徴とする請求項10に記載のゲル化微粒子状
    フッ素樹脂水性分散体の製造方法。
  12. 【請求項12】前記重合反応の終了後に、未反応の単量
    体を除去することを特徴とする請求項4〜11のいずれ
    か1項記載のゲル化微粒子状フッ素樹脂水性分散体の製
    造方法。
  13. 【請求項13】前記未反応の単量体を除去する工程の前
    に、重合体に転化された酸基含有単量体の酸基の全部若
    しくは一部を揮発性塩基で中和する工程、及び/また
    は、シリコン系化合物及び/又は鉱油系化合物を添加す
    る工程を、経ることを特徴とする請求項12に記載のゲ
    ル化微粒子状フッ素樹脂水性分散体の製造方法。
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