JP3235689B2 - アルカリ性無機硬化体の保護方法 - Google Patents

アルカリ性無機硬化体の保護方法

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JP3235689B2
JP3235689B2 JP06520293A JP6520293A JP3235689B2 JP 3235689 B2 JP3235689 B2 JP 3235689B2 JP 06520293 A JP06520293 A JP 06520293A JP 6520293 A JP6520293 A JP 6520293A JP 3235689 B2 JP3235689 B2 JP 3235689B2
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vinyl
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルカリ性無機硬化体
の、新規にして有用なる保護方法に関する。さらに詳細
には、本発明は、トップ・コートとして、特定のフルオ
ロオレフィン系共重合体エマルジョンを用いることから
成る、とりわけ、アルカリ物質の浸出防止能に優れ、し
かも、超耐候性、耐水性、耐アルカリ性ならびに耐汚染
性などに優れた皮膜を形成して、アルカリ性無機硬化体
を保護するという、斬新なる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】外装用被覆材の分野においては、近年、
長期間に亘っての、劣化ならびに変退色などの無い、極
めて実用性の高い被覆材への要求が大である。特に、土
木建築分野において、コンクリート躯体、壁材または屋
根材などの、いわゆるアルカリ性無機硬化体の表面を被
覆するということが行なわれるが、その目的とする処
は、基材に対して、耐薬品性、耐水性ならびに耐候性な
どを付与せしめることにある。
【0003】これらの種々の被覆材のうちでも、アクリ
ル系共重合体やアクリル−スチレン系共重合体などの、
各種の水性有機ポリマー系のものは、被覆処理が簡便で
あるという処から、特に多用されている。
【0004】しかしながら、特に、建築外装材として用
いる場合には、寿命にしても、最低で以て10年以上の
ものが、さらには、半永久的なるものが要求されつつあ
り、アクリル系共重合体や、アクリル−スチレン系共重
合体などの、上述したような水性有機ポリマー系のもの
をトップ・コートに用いた場合には、耐候性が充分であ
るとは言い難く、その結果として、短期間内での再塗装
が必要となる。
【0005】そうした一方で、フルオロオレフィン系共
重合体は、高耐候性ならびに高耐薬品性をもたらすバイ
ンダーとして公知のものであり、既に、有機溶剤溶液の
ものが市販されている。
【0006】しかしながら、市販のバインダー類は、有
機溶剤を含むものである処から、火災の危険性、有害性
ならびに大気汚染などの面で以て問題があり、水性タイ
プのものが要求されている、というのが実状である。
【0007】これに対して、テトラフルオロエチレン、
フッ化ビニリデンまたはへキサフルオロプロピレンなど
のような重合体類(つまり、いわゆるフルオロオレフィ
ン系ポリマー類)の水分散体の使用が提唱されてこそ居
るものの、これらの重合体類は、いずれも、高温での焼
付けが必要となっている、というのが実状である。
【0008】ちなみに、特開昭57−38845号公報
には、フッ化ビニリデンと、ヘキサフルオロプロピレン
との共重合体が開示されてはいるけれども、当該共重合
体は、その固有粘度〔η〕が0.1〜0.5なる低分子
量物であるにも拘らず、依然として、180〜230℃
という高温での焼付けを必要とする。
【0009】したがって、常温で以て、塗膜を形成させ
る必要のある建築用塗料や、強制乾燥に頼る工場塗装用
塗料などでは、上述した如き高温焼付けは、まさに、実
用上、不可能であって、こうした用途には適さない。
【0010】しかも、フルオロオレフィン系単量体類
は、高価なものであるという処から、当該共重合体を、
かかるフルオロオレフィン系単量体類のみで以て構成せ
しめるということは、経済上からも不利である。
【0011】ところで、特開昭61−261367号公
報には、上述した如き、諸々の問題点を解決せしめる方
法として、フルオロオレフィン系単量体類、アルキルビ
ニルエーテル類およびカルボン酸ビニルエステル類から
構成される、乳化共重合体ベースの塗料用樹脂組成物が
開示されており、外装用塗装材として、さらには、アル
カリ性無機硬化体の保護用としては、一応の処、適応し
うるものであると言えようが、これとても、基材への付
着性、顔料分散性ならびに耐汚染性などの面で以て、依
然として不充分である、という実状にある。
【0012】このように、従来型の諸技術に従う限り
は、高耐久性のフルオロオレフィン・ユニットを主成分
とする水性塗料用組成物は、高価なるフルオロオレフィ
ン系単量体類を、比較的多量に、使用しなければならな
いし、しかも、基材への付着性、顔料分散性ならびに耐
汚染性などの面で、不充分であるという処から、適用し
得る用途分野が限定されている、というのが実状であ
る。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来技術
に従う限りは、セメントモルタル、セメントコンクリー
ト、セメントアスベストまたは珪酸カルシウム板などの
ような、いわゆるアルカリ性無機質基材の表面を被覆し
た際に、これらの基材が水と接触した場合であるとか、
水和硬化時などにおいて、アルカリ性物質が浸出するの
を封鎖することも出来ないし、さらには、長期の屋外曝
露に対しても充分なる超耐候性をはじめ、耐水性、耐薬
品性ならびに耐汚染性などの諸々の塗膜性能に優れると
いうような、極めて実用性の高い保護手段ないしは保護
材が存在しては居ない、というのが現状であり、これこ
そが、目下の当業界の切なる要望である。
【0014】そのために、本発明者は、こうした現状の
認識と、従来技術における種々の未解決課題の抜本的な
解決と、当業界における要望とに立脚し、アルカリ性無
機硬化体中のアルカリ性物質の浸出封鎖能と、超耐候
性、耐水性、耐薬品性ならびに耐汚染性などとに優れた
塗膜を形成せしめ得る、極めて実用性の高い、アルカリ
性無機硬化体の保護方法を求めて、鋭意、研究に着手し
た。
【0015】したがって、本発明が解決しようとする課
題は、一にかかって、アルカリ性無機硬化体の、経時に
伴う外観変化も少なく、しかも、かかる基材硬化体の劣
化も防止できるし、加えて、施工もまた簡便であって、
経済的にも有利であるというような、極めて有用なる、
アルカリ性無機硬化体の保護方法を提供することであ
る。
【0016】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
鋭意、検討を重ねた結果、特定のフルオロオレフィン系
共重合体エマルジョンをバインダーとする塗装材を、ア
ルカリ性無機硬化体のトップ・コートとして塗装せしめ
た処、それが、経時の外観変化も劣化も、共に少なく、
しかも、かくして得られる保護塗膜が、前述した如き諸
々の性能にも優れているものであるし、さらには、施工
も簡便であり、したがって、経済的に有利なる、極めて
実用性の高い、アルカリ性無機硬化体の保護方法である
ことが認識されるに及んで、ここに、本発明を完成させ
るに到った。
【0017】すなわち、フルオロオレフィン・ユニット
を局在化させることによって、はじめて、当該フルオロ
オレフィン系単量体類の使用量を低減化せしめることが
出来るし、加えて、得られるエマルジョンを被覆用組成
物として用いた場合にも、何ら、その耐久性を損なうこ
となく、基材への付着性ならびに顔料分散性などの諸性
能をも向上化せしめることが出来ることをも、見い出す
に及んで、本発明を完成させるに到った。
【0018】さらに詳細に言うことにすれば、フルオロ
オレフィン系エマルジョンを調製するに際して、フルオ
ロオレフィン系単量体類に由来するフルオロオレフィン
・ユニットを、当該エマルジョン粒子の、比較的、該粒
子表面のみに局在化せしめたり、あるいは、当該エマル
ジョン粒子の、比較的、該粒子内部のみに局在化せしめ
るという、いわゆるコア・シェル型重合法を適用するこ
とによって、当該エマルジョン粒子を複層構造化せしめ
ることにより、上述したような諸々の課題を解決するこ
とが出来ることを見い出すに及んで、本発明を完成させ
るに到った。
【0019】したがって、本発明は、フルオロオレフィ
ン系単量体類を必須の構成成分とし、かつ、複層構造を
有する微粒子重合体の水性分散液を、アルカリ性無機硬
化体のトップ・コートとして塗布することから成る、ア
ルカリ性無機硬化体の保護方法を提供しようとするもの
であるし、
【0020】フルオロオレフィン系単量体類を必須の構
成成分とし、かつ、複層構造を有する微粒子重合体の水
性分散液を含有する被覆用組成物を、アルカリ性無機硬
化体に直接、あるいは、かかる上記被覆用組成物を含む
他の被覆用組成物から形成される被覆層を介して、間接
的に塗布するに際して、これらのいずれかの被覆用組成
物の塗布前に、あるいは、塗布して塗膜を形成せしめた
のちに、水の存在下に、80〜200℃なる温度条件で
以て、アルカリ性無機硬化体を水和硬化せしめることか
ら成る、アルカリ性無機硬化体の保護方法をも提供しよ
うとするものである。
【0021】ここにおいて、上記したアルカリ性無機硬
化体とは、たとえば、セメントモルタル、セメントコン
クリート、軽量コンクリート(ALC)、アスベストコ
ンクリート、木質セメント板または珪酸カルシウム板な
どのように、アルカリ性物質を水和結晶化せしめること
によって調製される、いわゆる硬化体を指称するもので
あり、たとえば、コンクリート躯体、壁材または屋根材
などとして用いられるというようなものである。
【0022】本発明で言う、フルオロオレフィン系単量
体類を必須の構成成分とし、かつ、複層構造を有する微
粒子重合体の水性分散液とは、いわゆるコア・シェル型
重合法を駆使して調製することが出来るようなものであ
る。
【0023】ここで言うコア・シェル型重合法とは、水
性媒体中で、乳化剤の存在下に、単量体混合物をラジカ
ル乳化重合せしめるという方法において、組成の相異な
る単量体混合物を、少なくとも2段階の段階的重合工程
を経ることによって得られる、粒子の半径方向に沿っ
て、組成の相異なるエマルジョン粒子を得るという重合
方法であると定義することが出来る。
【0024】具体的には、たとえば、単量体混合物Aお
よび単量体混合物Bという、2種類の単量体混合物を用
いる場合には、まず、単量体混合物Aを重合せしめ、引
き続いて、単量体混合物Bを重合せしめることによっ
て、粒子内部(コア部分)には、単量体混合物Aから得
られる重合体Aが存在し、一方の粒子外殻(シェル部
分)には、単量体混合物Bから得られる重合体Bが存在
するという形の、特殊なエマルジョン粒子が得られる。
【0025】この際の重合としては、それぞれ、単量体
混合物Aの重合を行なったのち、引き続いて、同一反応
容器内で、単量体混合物Bの重合を続行せしめてもよい
し、あるいは、単量体混合物Aの重合終了後に、一度、
生成物を取り出し、その後において、単量体混合物Bの
重合を行ってもよいし、さらには、上述したような、単
なる2段階のみの反応だけではなく、さらに、幾重層も
の、いわゆる複層構造を付与せしめるために、他の種類
の単量体類の重合を、繰り返して行ってもよいことは、
勿論である。
【0026】本発明にあっては、このようなコア・シェ
ル型重合法で形成される、少なくとも1層以上の粒子を
形成する複層構造中に、フルオロオレフィン系単量体類
を必須の成分として含有する、いわゆるフルオロオレフ
ィン系共重合体を導入せしめるということを特徴とする
ものである。
【0027】そして、フルオロオレフィン系単量体類を
必須の成分として含有する当該フルオロオレフィン系共
重合体の存在する層は、コア部分であっても、シェル部
分であっても構わないし、また、2層以上の複層構造の
場合には、少なくとも1層以上に、当該フルオロオレフ
ィン系共重合体が存在していればよく、さらに、各層中
の当該共重合体の存在比率が異なっていても構わない、
ということである。
【0028】かかるフルオロオレフィン系単量体類が、
該フルオロオレフィン系単量体類を必須の構成成分と
し、かつ、複層構造を有する微粒子重合体中に占める割
合、すなわち、当該フルオロオレフィン系共重合体中の
フッ素含有率は、それ自体が、得られる塗膜の、とりわ
け、耐候性などに与える影響が大きい処から、このフッ
素含有率としては、5重量%以上であることが望まし
い。
【0029】したがって、フルオロオレフィン系単量体
類の使用量としては、全単量体類中、概ね、20〜60
重量%なる範囲内が適切である。
【0030】ここで、フルオロオレフィン系単量体類と
は、重合性の炭素−炭素二重結合を形成する炭素原子
に、少なくとも1個以上のフッ素原子が、直接、結合し
た形の単量体類を指称するものである。
【0031】当該フルオロオレフィン系単量体類として
特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、フッ化
ビニル、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、
ヘキサフルオロプロピレン、1,1,3,3,3−ペン
タフルオロプロピレン、2,3,3,3−テトラフルオ
ロプロピレン、1,1,2−トリフルオロプロピレンま
たは3,3,3−トリフルオロプロピレンの如き、純粋
な意味でのフルオロオレフィンをはじめとして、
【0032】さらには、クロロトリフルオロエチレン、
ブロモトリフルオロオレフィン、1−クロロ−1,2−
ジフルオロエチレンまたは1,1−ジクロロ−2,2−
ジフルオロエチレンの如き、いわゆるフルオロハロゲン
系の、フッ素原子以外にも、他のハロゲン原子を有する
ものまでを包含した形の、広義のフルオロオレフィンな
どである。
【0033】他方、かかるフルオロオレフィン系単量体
類と共重合可能なる主要な単量体類としては、種々、考
えられるが、その種類と使用量とは、高度なる耐候性、
耐薬品性、耐水性、耐アルカリ性、耐熱性ならびに柔軟
性などの、諸々の皮膜性能を考慮して、適宜、選択して
使用される。
【0034】使用できる単量体類としては、大凡、以下
のようなものが例示できる。すなわち、たとえば、酢酸
ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビ
ニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、2−エチ
ルヘキサン酸ビニル、バーサティック酸ビニル、ラウリ
ン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、サリチル酸ビニル、
モノクロル酢酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニ
ル、p−t−ブチル安息香酸ビニルをはじめ、「ベオ
バ」(オランダ国シェル社製のビニルエステル)の如
き、各種のカルボン酸ビニルエステル系単量体類を掲げ
ることが出来る。
【0035】これらの上記単量体類のうち、ピバリン酸
ビニル、カプロン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニ
ル、バーサチック酸ビニル(たとえば、ネオノナン酸ビ
ニルまたはネオデカン酸ビニル。)、ラウリン酸ビニ
ル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビ
ニルまたは「ベオバ」などの、炭素原子数が5以上な
る、直鎖状−、分岐状−ないしは環状アルキル構造を有
するカルボン酸のビニルエステル類が、最終皮膜の耐候
性などを高めるという処からも、好適なものである。さ
らに好ましくは、炭素原子数が6以上のものの使用とい
うことである。
【0036】引き続いて、メチル−、エチル−、n−プ
ロピル−、イソプロピル−、n−ブチル−、イソアミル
−、n−ヘキシル−、n−オクチル−もしくは2−エチ
ルヘキシル−ビニルエーテルの如き、各種の直鎖状ない
しは分岐状のアルキル基を有するアルキルビニルエーテ
ル類;シクロペンチルビニルエーテル、シクロヘキシル
ビニルエーテルもしくはメチルシクロヘキシルビニルエ
ーテルの如き、各種の(アルキル置換された)環状のア
ルキル基を有するシクロアルキルビニルエーテル類;
【0037】ベンジルビニルエーテルもしくはフェネチ
ルビニルエーテルの如き、各種のアラルキルビニルエー
テル類;4−ヒドロキシブチルビニルエーテルの如き、
各種のヒドロキシアルキルビニルエーテル類などのよう
な、種々の置換ないしは非置換の、アルキル基またはア
ラルキル基を有するビニルエーテル類を掲げることが出
来る。
【0038】これらのビニルエーテル類は、良好なる共
重合性こそ有するものの、乳化重合時において、水中で
分解し易く、重合条件の設定が難しいというものである
処から、使用する場合には、特別に留意する必要があ
る。
【0039】また、塩化ビニルもしくは塩化ビニリデン
またはエチレン、プロピレン、ブテン−1、i−ブチレ
ン、ヘプテンもしくはヘキセンの如き、各種の(フッ素
を除くハロゲンによるハロゲン化)オレフィン類;
【0040】またはメチル(メタ)アクリレート、エチ
ル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレー
ト、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートもしくは
シクロヘキシル(メタ)アクリレートの如き、C1 〜C
8 なる直鎖状−、分岐状−ないしは環状アルキル基を有
する(メタ)アクリル酸のアルキルエステル類であると
か、ベンジル(メタ)アクリレートの如き、各種の(置
換)芳香核含有(メタ)アクリル酸エステル類などであ
るし、
【0041】さらには、スチレン、α−メチルスチレ
ン、p−tert−ブチル−スチレンもしくはp−メチ
ルスチレンの如き、スチレンをはじめ、その誘導体類の
如き、各種の芳香族ビニル化合物であるとか、
【0042】マレイン酸、フマル酸もしくはイタコン酸
の如き、各種の不飽和ジカルボン酸類と、1価アルコー
ル類とのジエステル類であるとか、あるいは、(メタ)
アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタ
コン酸、シトラコン酸、無水マレイン酸もしくは無水イ
タコン酸の如き、各種の酸無水基含有単量体類と、各種
のグリコール類との付加物などのような、種々の不飽和
結合含有ヒドロキシアルキルエステルモノカルボン酸類
などによって代表される、種々のカルボキシル基含有単
量体類またはジカルボン酸類などを掲げることも出来
る。
【0043】これらのうちでも、クロトン酸またはイタ
コン酸の使用が、共重合性の面からも望ましい。酸基含
有単量体類を導入するという目的は、水性分散体の安定
性を向上化せしめるためと、最終的に利用される場面で
の、基材に対する密着性とを向上化せしめるためとであ
って、こうした向上化を、主たる目的としたものであ
る。
【0044】酸基含有単量体類の使用量としては、全重
量体中の0.5〜3重量%なる範囲内が、好ましくは、
1.0〜3重量%なる範囲内が適切である。0.5重量
%未満の場合には、上記したような効果が充分に得られ
にくくなるし、一方、3重量%を超えて余りに多く使用
すると、どうしても、皮膜の耐アルカリ性が劣るように
なるので、いずれの場合も好ましくない。
【0045】さらにまた、2−ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)ア
クリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ
ート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3
−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロ
キシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒ
ドロキシプロピル(メタ)アクリレートまたはポリエチ
レングリコールモノ(メタ)アクリレートの如き、各種
の(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル
類;
【0046】あるいは、マレイン酸もしくはフマル酸の
如き、各種の多価カルボン酸類のジヒドロキシアルキル
エステル類などのような、種々の不飽和基含有ポリヒド
ロキシアルキルエステル類などによって代表される、ヒ
ドロキシアルキルビニルエーテル類を除く、種々の水酸
基含有単量体類をも掲げることが出来る。
【0047】さらには、(メタ)アクリルアミド、N,
N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−アルコキシ
メチル化(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリル
アミド、もしくは、N−メチロール(メタ)アクリルア
ミドなどで代表される、各種のカルボン酸アミド基含有
単量体類であるとか、p−スチレンスルホンアミド、N
−メチル−p−スチレンスルホンアミドもしくはN,N
−ジメチル−p−スチレンスルホンアミドなどで代表さ
れる、各種のスルホン酸アミド基含有単量体類であると
か、
【0048】N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)ア
クリレートの如き、各種のN,N−ジアルキルアミノア
ルキル(メタ)アクリレート類、または無水マレイン酸
の如き、各種の多価カルボン酸無水基含有単量体類と反
応しうる活性水素基ならびに3級アミノ基を併せ有する
化合物との付加物などで以て代表される、種々の3級ア
ミノ基含有単量体類であるとか、
【0049】(メタ)アクリロニトリルなどによって代
表される、各種のシアノ基含有単量体類;(メタ)アク
リル酸ヒドロキシアルキルエステルの如き、各種のα,
β−エチレン性不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキル
エステル類と、リン酸エステル類との縮合反応によって
得られる、リン酸エステル基を有する単量体類であると
か、
【0050】あるいは、2−アクリルアミド−2−メチ
ルプロパンスルホン酸の如き、各種のスルホン酸基含有
単量体類などをも掲げることが出来る。加えて、ブタジ
エン、ヘキサジエン、オクタジエン、デカジエン、テト
ラデカジエンもしくは2−メチル−オクタジエンまたは
デカトリエンなどで以て代表される、各種のジ−ないし
はトリエン類をはじめ、
【0051】さらには、エチレングリコールジ(メタ)
アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリ
レートもしくはトリメチロールプロパントリ(メタ)ア
クリレートまたはジビニルベンゼン、トリビニルベンゼ
ンもしくはジアリルフタレートなどの如き、一分子中に
2個以上の重合性不飽和結合を有する単量体類であると
か、
【0052】ビニルトリエトキシシラン、トリメトキシ
シリルビニルエーテル、γ−(メタ)アクリロイルオキ
シプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロ
イルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メ
タ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランも
しくはγ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチル
ジエトキシシランの如き、各種の加水分解性シリル基含
有単量体類などをも掲げることが出来る。
【0053】これらのうち、ヘキサジエン、オクタジエ
ン、デカジエン、テトラデカジエン、2−メチル−オク
タジエンおよびデカトリエンよりなる群から選ばれる、
1種または2種以上の混合物および/またはビニルトリ
エトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオ
キシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)ア
クリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−
(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシ
シランもしくはトリス(2−メトキシエトキシ)ビニル
シランの如き、各種の加水分解性シリル基含有単量体類
によって代表されるような、種々の架橋性単量体類の使
用が、特に望ましい。
【0054】こうした架橋性単量体類を導入する目的
は、耐水性、耐アルカリ性ならびに耐溶剤性などの、い
わゆる耐久性を向上化せしめるためか、あるいは、低い
ガラス転移点(Tg)の重合体類であって、その重合体
類から得られる皮膜に靱性を持たせるためかである。
【0055】当該架橋性単量体類の使用量としては、全
単量体中の0.1〜2重量%なる範囲内が適切である。
0.1重量%未満の場合には、該単量体類の使用の効果
が得られにくくなるし、一方、2重量%を超えて余りに
多く使用する場合には、効果が飽和するばかりか、得ら
れるエマルジョンの造膜性が低下し易いので、いずれの
場合も好ましくない。
【0056】これらの上掲の単量体類は、最終的に得ら
れる共重合体のガラス転移点や、最低造膜温度を考慮し
て、適宜、選択して用いられる。好ましくは、カルボン
酸ビニルエステル系単量体類、オレフィン類、カルボキ
シル基含有単量体類および架橋性単量体類からなる、任
意の組み合わせである。
【0057】好ましくは、フルオロオレフィン系単量体
類のほか、カルボン酸ビニルエステル類の30〜50重
量%、そして、エチレンの5〜20重量%という範囲で
以て使用されるのがよい。
【0058】一方、フルオロオレフィン系単量体類を含
有しない層を形成する共重合体のモノマー組成として
は、上述したような各種のモノマーのうち、フルオロオ
レフィンを除く、任意の組み合わせで以て重合すればよ
い。
【0059】勿論、フルオロオレフィン系単量体類を含
有する共重合体を重合せしめるときのように、最終的に
得られる共重合体のガラス転移点や、最低造膜温度を考
慮して選択すべきであることは、言うまでもない。
【0060】以上が、本発明における、前記したフルオ
ロオレフィン系単量体類を必須の構成成分とし、かつ、
複層構造を有する微粒子重合体を構成している、主要な
る成分である。
【0061】本発明における当該フルオロオレフィン系
単量体類を必須の構成成分とし、かつ、複層構造を有す
る微粒子重合体の水性分散液を調製するには、上掲した
如き各種の単量体類を、水性媒体中で、しかも、乳化剤
類の存在下で、重合開始剤類によりラジカル重合を行え
ばよい。
【0062】当該フルオロオレフィン系単量体類を必須
の構成成分とし、かつ、複層構造を有する微粒子重合体
の水性分散液は、まず最初に、フルオロオレフィン系単
量体類を含むか、あるいは含まない水性樹脂エマルジョ
ン(A)を調製することにより出発する。
【0063】かかる水性樹脂エマルジョン(A)は、水
性媒体中で、好ましくは、イオン交換水と乳化剤類との
共存下において、まず、単量体類混合物をそのまま、あ
るいは、乳化した状態で以て、一括で以て、あるいは分
割して、または連続的に、反応容器中に滴下して、重合
開始剤類の存在下において、約1kg/cm2 〜約10
0kg/cm2 なるゲージ圧で以て、かつ、約50℃〜
約150℃なる反応温度で以て重合を行えばよい。
【0064】場合によっては、それ以上の圧力下に、あ
るいは、それ以下の温度条件で以て重合せしめるように
しても、差し支えが無い。
【0065】水性樹脂エマルジョン(A)中に、常温
で、ガス状の原料類を用いたり、フルオロオレフィン系
単量体類を共重合せしめるためには、当該単量体が、常
温で、ガス状のもの、あるいは、高蒸気圧を有するもの
が多いという処から、オートクレーブなどのような、い
わゆる密閉容器中で加圧重合せしめるということになる
し、此の水性樹脂エマルジョン(A)中に、常温で、ガ
ス状の原料類や、フルオロオレフィン系単量体類を共重
合しない場合には、常圧で以て反応できるような反応装
置を利用して、常圧反応で行えばよい。
【0066】ここで用いられる水性媒体中の水として
は、基本的には、イオン交換水が用いられるが、その使
用量としては、水性媒体中の70重量%以上となるよう
な量である。ここで、残りの30重量%未満の部分に
は、有機溶剤類が併用されてもよい。
【0067】当該フルオロオレフィン系共重合体類エマ
ルジョンを調製するには、公知慣用の乳化重合法を駆使
すればよく、次に示されるような、それぞれ、乳化剤類
やラジカル重合開始剤類などを用いて行なわれる。
【0068】かかる乳化剤類は、上述したような各種の
単量体類を、水性媒体中に、安定に分散せしめ、しか
も、最終の利用態様において、皮膜諸性能を充分に発揮
せしめるために利用されるものであって、好ましくは、
フッ素原子を有しないアニオン性乳化剤類および/また
はフッ素原子を有しないノニオン性乳化剤類が使用され
る。そうした形の乳化剤類の具体例としては、以下のよ
うなものが挙げられる。
【0069】すなわち、まず、フッ素原子不含のアニオ
ン性乳化剤類(反応性乳化剤類をも含む。)として特に
代表的なもののみを例示するにとどめれば、アルキル
(ベンゼン)スルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホ
ン酸塩、高級脂肪酸塩、アルキルサルフェート塩、ポリ
オキシエチレンアルキルフェノールサルフェート塩、ス
チレンスルホン酸塩またはビニルサルフェート塩、ある
いはそれらの種々の誘導体類などである。
【0070】ここで言う塩とは、アルカリ金属の水酸化
物による塩、あるいはアンモニア、トリエチルアミンな
どによって代表されるような、各種の揮発性塩基による
塩を指称するものである。
【0071】これらのうちでも、(置換)アルキル(ベ
ンゼン)スルホン酸塩およびビニルスルホン酸塩よりな
る群から選ばれる、1種または2種以上の混合物の使用
が望ましい。
【0072】フッ素原子不含のノニオン性乳化剤類(反
応性乳化剤類をも含む。)として特に代表的なもののみ
を例示するにとどめれば、ポリオキシエチレンアルキル
フェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエー
テル、ポリオキシエチレン高級脂肪酸エステルまたはエ
チレンオキサイド−プロピレンオキサイドブロック共重
合体、あるいはそれらの種々の誘導体類などであり、こ
れらは単独使用でも2種以上の併用もよいことは、勿論
である。
【0073】これらのうちでも、ポリオキシエチレン
(置換)アルキル(フェノール)エーテル類が、最終的
に得られる皮膜諸物性の観点からも、特に望ましい。た
だし、パーフルオロオクタン酸塩などで代表されるよう
な、フッ素原子含有乳化剤類の併用までをも、決して妨
げるものではない。
【0074】これらの乳化剤類の使用量としては、アニ
オン系とノニオン系乳化剤とを合わせて、単量体類の総
量に対して、0.2〜10重量%なる範囲内が適切であ
る。さらに、これらの乳化剤類との併用の形で以て、ポ
リカルボン酸類またはスルホン酸塩類よりなる水溶性オ
リゴマー類や、ポリビニルアルコールもしくはポリビニ
ルピロリドンまたはヒドロキシエチルセルロース、メチ
ルセルロースもしくはヒドロキシプロピルセルロースな
どによって代表されるような、種々の水溶性高分子物質
を、保護コロイド類として用いることが出来る。
【0075】一方、前記したラジカル重合開始剤として
特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、当該重
合開始剤類としては、乳化重合において一般的に使用さ
れているようなものであればよいので、特に限定される
ものではない。
【0076】当該重合開始剤類として特に代表的なもの
のみを例示するにとどめれば、過酸化水素の如き、各種
の水溶性無機過酸化物類;または過硫酸アンモニウム、
過硫酸カリウムもしくは過硫酸ナトリウムの如き、各種
の過硫酸塩類;
【0077】あるいは、クメンハイドロパーオキサイ
ド、ベンゾイルパーオキサイドもしくはt−ブチルハイ
ドロパーオキサイドの如き、各種の有機過酸化物類;ま
たはアゾビスイソブチロニトリルもしくはアゾビスシア
ノ吉草酸の如き、各種のアゾ系開始剤類などであり、こ
れらは単独使用でも2種以上の併用でもよいことは、勿
論である。
【0078】当該重合開始剤類の使用量としては、総単
量体量に対して、0.1〜2重量%なる範囲内が適切で
ある。なお、上記有機あるいは無機の過酸化物類系の重
合開始剤類と、金属イオン類および還元剤類との併用に
よるような、いわゆるレドックス重合法によっても、差
し支えが無い。
【0079】かかる還元剤類として特に代表的なものの
みを例示するにとどめれば、ナトリウムビサルファイ
ト、ナトリウムメタビサルファイト、ナトリウムビチオ
サルフェート、ナトリウムハイドロサルフェート、スル
ホキシル酸ホルムアルデヒドナトリウムまたは還元糖な
どであるし、また、上記金属イオン類として特に代表的
なもののみを例示するにとどめれば、硫酸銅、塩化第2
鉄、硫酸第2鉄または硝酸銀などである。
【0080】さらには、公知慣用の、各種の連鎖移動剤
類をも使用することが出来る。
【0081】重合反応は、系中のpHが、概ね、1.0
〜7.0なる範囲内で以て進行させればよい。その際の
pHの調節は、燐酸二ナトリウムやボラックスなどの、
あるいは、炭酸水素ナトリウムやアンモニアなどの、い
わゆるpH緩衝剤類を用いて行えばよい。
【0082】それ以上のpH条件での製造も可能ではあ
るものの、特殊なる利用条件においては、塗膜を形成さ
せた場合に、ともすると、耐水性や耐アルカリ性などを
欠如したような性能を与えることにもなり兼ねないと理
解すべきであろう。
【0083】また、総単量体量と水との比率としては、
最終固形分含有率が1〜60重量%なる範囲内、好まし
くは、15〜55重量%なる範囲内に入るように設定す
べきである。
【0084】なお、乳化重合を実施するに当たって、粒
子径を成長し、あるいは制御せしめるために、予め、水
相中に、エマルジョン粒子を存在させた状態で以て重合
させてもよい。
【0085】かくして、フルオロオレフィン系単量体類
を含むか、あるいは含まない水性樹脂エマルジョン
(A)が調製されるが、引き続き、かかる水性樹脂エマ
ルジョン(A)の存在下に重合を繰り返すことによっ
て、目的とする複層構造を有する微粒子重合体の水性分
散液が調製できる。
【0086】この場合には、先にも述べたように、複層
のうちの、少なくとも1層以上に、フルオロオレフィン
系単量体類を、前記条件を満足するような比率で以て導
入せしめることが必要である。
【0087】このようにして得られる、複層構造を有す
る微粒子重合体の水性分散液は、引き続き、エマルジョ
ン粒子中に残存している、未反応のガス状単量体類を除
去せしめる操作を施してもよい。
【0088】かくして得られる、複層構造を有する微粒
子重合体の水性分散液は、架橋性単量体類を有しない状
態に換算して、概ね、数平均分子量が5,000〜1,
000,000で、重量平均分子量が10,000〜
3,000,000で、かつ、最低造膜温度が約−30
℃〜約+60℃となるような範囲内に入ることが望まし
い。
【0089】また、その粒子径としては、概ね、0.0
2〜0.5ミクロン(μm)なる範囲内が適切である。
【0090】0.02μm未満である場合には、どうし
ても、得られる皮膜の造膜性や耐水性などは優れるもの
の、顔料分散性や機械的安定性などが劣るようになり易
く、一方、0.5μmを超える場合には、どうしても、
皮膜の造膜性や耐水性などが低下するようになり易いの
で、いずれの場合も好ましくない。
【0091】本発明において用いられる、当該複層構造
を有する微粒子重合体の水性分散液には、勿論、顔料
類、増粘剤類または造膜助剤類などのような、種々の物
質を配合せしめることによって、被覆用組成物とするこ
とが出来る。
【0092】上記顔料類は、皮膜の硬さ、隠蔽性ないし
は着色による美観の付与とか、あるいは、基材に対する
付着性ないしは耐候性の向上などを目的として、そうし
た目的に応じて、適宜、使用されるものであるが、当該
顔料類の使用量としては、複層構造を有する微粒子重合
体に対して、200重量%以下となるような量が適切で
ある。
【0093】200重量%を超えて余りに多く用いる場
合には、どうしても、得られる皮膜がポーラスのものと
なり、ひいては、耐水性などの長期の耐久性が劣るよう
になるので、好ましくない。
【0094】当該顔料類として特に代表的なもののみを
例示するにとどめれば、酸化チタン、マイカ、タルク、
クレー、沈降性硫酸バリウム、シリカ末、炭酸カルシウ
ム、酸化鉄、酸化亜鉛、アルミ末もしくはカーボンブラ
ックの如き、各種の無機顔料類;またはアゾ系、フタロ
シアニン系もしくはキナクリドン系の如き、各種の有機
顔料類;あるいは、種々のプラスチック顔料類などであ
るし、さらには、これらの各顔料類を、乳化剤類や分散
剤類などで以て、水中に分散化せしめて得られる、いわ
ゆる分散顔料類の使用が可能であり、それぞれの目的に
応じて、適宜、選択して使用され得る。
【0095】上記増粘剤類としては、ヒドロキシエチル
セルロースまたはカルボキシメチルセルロースなどによ
って代表されるような、各種のセルロース系増粘剤類;
ウレタン系増粘剤類;あるいはポリカルボン酸系増粘剤
類などである。
【0096】これらのうちでも、ポリカルボン酸系増粘
剤類が、此の複層構造を有する微粒子重合体の水性分散
液との配合時の安定性の観点からも、特に望ましい。
【0097】上記した造膜助剤類としては、エステル
系、ケトン系、芳香族系または脂肪族系などのような、
市販の、各種の有機溶剤類のほかにも、エチレングリコ
ールの、それぞれ、エステル系−ないしはエーテル系誘
導体類;ジエチレングリコールの、エステル系−ないし
はエーテル系誘導体類をはじめ、さらには、「テキサノ
ール」(アメリカ国イーストマン・ケミカル社製品)な
どで以て代表される、水性塗料用として常用されている
ような、種々の可塑剤類などもまた、利用することが出
来る。
【0098】そのほかにもまた、塗料化に際して、次に
記載するような、各種の添加剤類の配合が可能である。
すなわち、たとえば、分散剤類、湿潤剤類、チクソ化剤
類、紫外線吸収剤類、酸化防止剤類、撥水剤類、凍結防
止剤類、防腐・防ばい剤類あるいは消泡剤類などもま
た、得られる塗膜の諸性能を考慮しつつ、適宜、選択し
て使用することが出来る。
【0099】かくして、本発明において用いられる、複
層構造を有する微粒子重合体の水性分散液と、該複層構
造状微粒子重合体水性分散液を含む被覆用組成物が、そ
れぞれに、調製できる。
【0100】こうした形の種々の被覆組成物を、先に述
べたアルカリ性無機硬化体に応用するためには、当該ア
ルカリ性無機硬化体の硬化前に、あるいは硬化後に、か
かる複層構造を有する微粒子重合体の水性分散液を含ん
でなる被覆用組成物を直接、あるいは、かかる複層構造
状微粒子重合体水性分散液を含んでなる被覆用組成物を
含む、その他の被覆用組成物から形成される被覆層を介
して、間接的に塗布し、該被覆組成物の塗膜を形成化せ
しめればよい。
【0101】こうしたプロセス中において、当該アルカ
リ性無機硬化体は、被覆組成物などが塗布される前に、
あるいは、塗布されたのち(被覆後)に、水、好ましく
は、水蒸気の存在下で以て、室温から、概ね、250℃
までの条件に、好ましくは、80℃〜200℃なる条件
におくことによって、水和硬化させることが出来る。
【0102】すなわち、こうした水和硬化を行う時期と
しては、何も塗布されていない状態の場合、つまり、当
該アルカリ性無機硬化体そのもののみの場合には、その
ままの状態で、その場で以て、適時に;あるいは、それ
ぞれ、複層構造を有する微粒子重合体の水性分散液を含
んでなる被覆用組成物を、当該アルカリ性無機硬化体
に、直接、塗布する場合であるとか、此の複層構造状微
粒子重合体水性分散液を含んでなる被覆用組成物を含
む、その他の被覆用組成物から形成される被覆層を介し
て、間接的に、当該アルカリ性無機硬化体に塗布する場
合には、
【0103】此の複層構造を有する微粒子重合体の水性
分散液を含んでなる被覆用組成物が塗布されたのちに、
または、此の複層構造状微粒子重合体水性分散液を含ん
でなる被覆用組成物を含む、その他の被覆用組成物が塗
布されたのちに、ということになる。
【0104】ここで言う、その他の被覆用組成物とは、
たとえば、アクリル系、アクリル−スチレン共重合体
系、アクリル−ウレタン併用系、シリコン−アクリル併
用系、エポキシ系、ウレタン系またはシリコン系など
の、概して、耐アルカリ性の良好なるバインダー類であ
って、下塗りとして用いられるような、被覆用組成物を
指称するものである。
【0105】本発明において用いられる、複層構造を有
する微粒子重合体の水性分散液を含んでなる被覆用組成
物を、アルカリ性無機硬化体に塗布せしめるに当たって
は、特に制限はないけれども、特に代表的なる塗布方法
とも言うべき、刷毛塗り、ローラー塗装、スプレー塗
装、ロールコーター塗装またはシャワリング塗装などに
よるのが、望ましい。
【0106】その際、建築現場などでの施工用の組成物
としては、該組成物の最低造膜温度が0℃以下となるよ
うにすべきであることが望ましく、その際の塗装法とし
ては、刷毛、ローラーまたはスプレーなどの方法による
のがよいし、瓦の如き屋根材や、壁材などにおける、い
わゆる工場ライン塗装用としては、一般的に行なわれて
いる加熱強制乾燥法に従い、その乾燥条件に応じた、該
組成物の最低造膜温度が、概ね、60℃以下なる、好ま
しくは、50℃以下なる塗料を選択して用いるのが適切
であるし、塗装法としては、ロールコーター、ローラ
ー、スプレーまたはシャワリングなどの方法によるのが
よい。
【0107】かかる工場ライン塗装にあっては、塗布基
材たるアルカリ性無機硬化体を成型して、生養生のま
ま、アルカリ・シーリングを兼ねて塗装されるという場
合も多いが、それに続く促進養生工程における常圧蒸気
養生や、加圧下でのオートクレーブ蒸気養生などでの熱
とか、水和熱などを利用して、塗膜の乾燥を行なうこと
が出来るのは勿論であり、特に効果的である。
【0108】こうした各塗装システムのいずれによった
場合においても、本発明で用いる複層構造を有する微粒
子重合体の水性分散液を含んでなる被覆用組成物の乾燥
膜厚としては、5μm以上が適切である。
【0109】5μm未満の場合には、どうしても、皮膜
の長期耐久性などが不充分となり易いからである。
【0110】かくして、本発明の方法に従えば、超耐候
性をはじめ、耐水性、耐薬品性ならびに耐汚染性などの
諸々の皮膜性能にすぐれた、アルカリ性無機硬化体の保
護皮膜が形成される。
【0111】
【実施例】次に、本発明を参考例、実施例および比較例
により、一層、具体的に説明することにする。以下にお
いて、部及び%は特に断りのない限り、すべて重量基準
であるものとする。
【0112】参考例 1(フルオロオレフィン系単量体
類を必須の構成成分とし、かつ、複層構造を有する微粒
子重合体の水性分散液の調製例) 攪拌装置、窒素導入管、温度計および温度調節装置を備
えた、内容積が2リットルなる、ステンレス製の耐圧反
応容器(オートクレーブ)を、窒素ガスで以て、系内を
充分に置換し、イオン交換水の800g、ドデシルベン
ゼンスルホン酸ナトリウムの20g、ポリオキシエチレ
ンノニルフェニルエーテル20g、pH緩衝剤としての
ボラックスの10gを加えて溶解せしめた。
【0113】次いで、酢酸ビニルの350gおよびヘキ
サジエンの10gを仕込んで、エチレンガスを、15k
g/cm2 になるまで圧入した。オートクレーブの内温
を、80℃にまで昇温した。このさいに、反応時の系内
圧力が、ほぼ、25kg/cm2 となるように、エチレ
ンガスを調節した。
【0114】同温度で、過硫酸カリウムの2gを、10
0gのイオン交換水に溶解した触媒水溶液を、反応容器
中に、1時間に亘って圧入した。触媒水溶液の添加後
も、同温度に、2時間のあいだ保持して、重合反応を続
行させることにより、フッ素原子を有しない重合体エマ
ルジョンが得られた。
【0115】次いで、この反応容器に、ネオデカン酸ビ
ニルの200g、クロトン酸の10g、ならびに液化捕
集したクロロトリフルオロエチレンの300gを仕込ん
だ。しかるのち、エチレンガスを、30kg/cm2
なるまで圧入せしめ、オートクレーブの内温を、80℃
にまで昇温した。このさいに、反応時の系内圧力が、ほ
ぼ、30kg/cm2 となるように、エチレンガスを調
節した。
【0116】引き続いて、同温度で、過硫酸カリウムの
3gを、100gのイオン交換水に溶解した触媒水溶液
を、反応容器中に、3時間に亘って圧入した。触媒水溶
液の添加後も、同温度に、10時間のあいだ保持して、
重合反応を続行させた。
【0117】反応中のpHを3.5として、此の反応を
進行させた。この反応中に、単量体類の消費に伴って、
系中の圧力が下降して行くが、その都度、エチレンの導
入によって、反応系の圧力を、30kg/cm2 に保持
した。
【0118】反応終了後は、室温にまで冷却して、14
%アンモニア水を、pHが、ほぼ、7.5になるまで添
加し、さらに、「ノプコ 8034L」[サン・ノプコ
社製のシリコン系消泡剤]の5%水分散液の1gを添加
して、よく、攪拌した。
【0119】次いで、未反応のガスを、系中から、徐々
に取り出して、系内の圧力を常圧にまで戻した。
【0120】しかるのち、減圧下に、分散体中に溶解し
ている、未反応のガスを留去せしめた。ここに得られた
分散体は、不揮発分が49.5%で、pHが7.2で、
最低造膜温度が35℃で、かつ、平均粒子径が0.08
μmなる、白色のコア・シェル型重合体エマルジョンで
あった。以下、これを(A−1)と略称する。
【0121】此の(A−1)は、元素分析、イオン・ク
ロマト分析、赤外吸収スペクトルならびに熱分解ガス・
クロマトグラフィーによる組成分析によって、フルオロ
オレフィン系単量体類の存在率が、約30重量%である
ことが確認された。
【0122】参考例 2(均一組成の重合体エマルジョ
ンの調製例) 攪拌装置、窒素導入管、温度計および温度調節装置を備
えた、2リットルのステンレス製耐圧反応容器(オート
クレーブ)を、窒素ガスで以て、系内を充分に置換し
て、イオン交換水の800g、ドデシルベンゼンスルホ
ン酸ナトリウムの20g、ポリオキシエチレンノニルフ
ェニルエーテルの20g、ならびにpH緩衝剤としての
ボラックスの10gを加えて溶解させた。
【0123】次いで、酢酸ビニルの350gおよびヘキ
サジエンの10gを仕込み、ネオデカン酸ビニルの20
0gおよびクロトン酸の10gをも仕込み、液化捕集し
たクロロトリフルオロエチレンの300gをも仕込ん
だ。
【0124】引き続いて、エチレンガスを15kg/c
2 となるまで圧入した。オートクレーブの内温を80
℃にまで昇温し、ここで、反応時の系内圧力が、ほぼ、
30kg/cm2 となるように、エチレンガスを調節し
た。
【0125】さらに、同温度で、過硫酸カリウムの5g
を、200gのイオン交換水に溶解した触媒水溶液を、
反応容器中に、3時間に亘って圧入せしめた。触媒水溶
液の添加後も、同温度に、10時間のあいだ保持して、
重合反応を続行させ、均一組成の、対照用の重合体エマ
ルジョンを得た。反応中のpHは3.5で進行した。
【0126】反応中に、単量体類の消費に伴って、系中
の圧力が下降して行くが、その都度、エチレンの導入に
よって、反応系の圧力を、30kg/cm2 に保持し
た。
【0127】反応終了後は、室温にまで冷却して、14
%アンモニア水を、pHが、ほぼ、7.5になるまで添
加し、さらに、「ノプコ 8034L」の5%水分散液
の1gを添加し、よく攪拌してから、未反応のガスを、
系中から、徐々に、取り出して、系内の圧力を常圧にま
で戻した。
【0128】次いで、減圧下に、分散体中に溶解してい
る、未反応のガスを留去せしめた。ここに得られた対照
用の分散体は、不揮発分が49.8%で、pHが7.2
で、最低造膜温度が38℃で、かつ、平均粒子径が0.
08μmなる、白色のコア・シェル型重合体エマルジョ
ンであった。以下、これを(B−1)と略称する。
【0129】この(B−1)は、元素分析、イオン・ク
ロマト分析、赤外吸収スペクトル、熱分解ガス・クロマ
トグラフィーによる組成分析によって、フルオロオレフ
ィン系単量体類の存在率が、約30重量%であることが
確認された。
【0130】参考例 3(フルオロオレフィン系単量体
類を必須の構成成分とし、かつ、複層構造を有する微粒
子重合体の水性分散液の調製例) 攪拌装置、窒素導入管、温度計および温度調節装置を備
えた、内容積が2リットルなる、ステンレス製の耐圧反
応容器(オートクレーブ)を、窒素ガスで以て、系内を
充分に置換し、イオン交換水の800g、ドデシルベン
ゼンスルホン酸ナトリウムの20g、ポリオキシエチレ
ンノニルフェニルエーテル20g、ならびにpH緩衝剤
としてのボラックスの10gを加えて溶解せしめた。
【0131】次いで、ネオノナン酸ビニルの200g、
クロトン酸の10gおよびオクタジエンの5gを、さら
に、液化採集したクロロトリフルオロエチレンの300
gをも仕込んで、エチレンガスを、15kg/cm2
なるまで圧入した。
【0132】オートクレーブの内温を、80℃にまで昇
温した。このさいに、反応時の系内圧力が、ほぼ、25
kg/cm2 となるように、エチレンガスを調節した。
【0133】同温度で、過硫酸カリウムの3gを、10
0gのイオン交換水に溶解した触媒水溶液を、反応容器
中に、2時間に亘って圧入せしめた。触媒水溶液の添加
後も、同温度に、4時間のあいだ保持して、重合反応を
続行させることにより、フッ素原子を有する重合体エマ
ルジョンが得られた。
【0134】次いで、この反応容器に、ネオデカン酸ビ
ニルの280gおよびクロトン酸の20gを仕込んだ。
しかるのち、エチレンガスを、30kg/cm2 になる
まで圧入せしめ、オートクレーブの内温を、80℃にま
で昇温した。このさいに、反応時の系内圧力が、ほぼ、
30kg/cm2 となるように、エチレンガスを調節し
た。
【0135】引き続いて、同温度で、過硫酸カリウムの
2gを、100gのイオン交換水に溶解した触媒水溶液
を、反応容器中に、2時間に亘って圧入せしめた。触媒
水溶液の添加後も、同温度に、10時間のあいだ保持し
て、重合反応を続行させた。
【0136】反応中のpHを3.5として、進行させ
た。この反応中に、単量体の消費に伴って、系中の圧力
が下降して行くが、その都度、エチレンの導入によっ
て、反応系の圧力を、30kg/cm2 に保持した。
【0137】反応終了後は、室温まで冷却して、14%
アンモニア水を、pHが、ほぼ、7.5になるまで添加
し、さらに、「ノプコ 8034L」の5%水分散液の
1gを添加して、よく、攪拌した。
【0138】次いで、未反応のガスを、系中から、徐々
に、取り出してから、系内の圧力を常圧にまで戻した。
【0139】しかるのち、減圧下に、分散体中に溶解し
ている、未反応のガスを留去せしめた。ここに得られた
分散体は、不揮発分が50.2%で、pHが7.2で、
最低造膜温度が43℃で、かつ、平均粒子径が0.09
μmなる、白色のコア・シェル型重合体エマルジョンで
あった。以下、これを(A−2)と略称する。
【0140】此の(A−2)は、元素分析、イオン・ク
ロマト分析、赤外吸収スペクトルならびに熱分解ガス・
クロマトグラフィーによる組成分析によって、フルオロ
オレフィン系単量体類の存在率が、約30重量%である
ことが確認された。
【0141】参考例 4(均一組成の重合体エマルジョ
ンの調製例) 攪拌装置、窒素導入管、温度計および温度調節装置を備
えた、2リットルのステンレス製耐圧反応容器(オート
クレーブ)を、窒素ガスで以て、系内を充分に置換し
て、イオン交換水の800g、ドデシルベンゼンスルホ
ン酸ナトリウムの20g、ポリオキシエチレンノニルフ
ェニルエーテルの20g、ならびにpH緩衝剤としての
ボラックスの10gを加えて溶解させた。
【0142】次いで、ネオノナン酸ビニルの200g、
ネオデカン酸ビニルの280g、オクタジエンの5gお
よびクロトン酸の30gを仕込み、液化捕集したクロロ
トリフルオロエチレンの300gをも仕込んだ。
【0143】引き続いて、エチレンガスを15kg/c
2 となるまで圧入した。オートクレーブの内温を80
℃にまで昇温し、ここで、反応時の系内圧力が、ほぼ、
30kg/cm2 となるように、エチレンガスを調節し
た。
【0144】さらに、同温度で、過硫酸カリウムの5g
を、200gのイオン交換水に溶解した触媒水溶液を、
反応容器中に、3時間に亘って圧入せしめた。触媒水溶
液の添加後も、同温度に、10時間のあいだ保持して、
重合反応を続行させることにより、フッ素原子が、粒子
中に、均一に含有されているという形の、対照用の重合
体エマルジョンが得られた。反応中のpHは3.5で進
行した。
【0145】反応中に、単量体類の消費に伴って、系中
の圧力が下降して行くが、その都度、エチレンの導入に
よって、反応系の圧力を、30kg/cm2 に保持し
た。
【0146】反応終了後は、室温にまで冷却して、14
%アンモニア水を、pHが、ほぼ、7.5になるまで添
加し、さらに、「ノプコ 8034L」の5%水分散液
の1gを添加し、よく攪拌してから、未反応のガスを、
系中から、徐々に、取り出して、系内圧力を常圧にまで
戻した。
【0147】次いで、減圧下に、分散体中に溶解してい
る、未反応のガスを留去せしめた。ここに得られた対照
用の分散体は、不揮発分が50.2%で、pHが7.2
で、最低造膜温度が45℃で、かつ、平均粒子径が0.
08μmなる、白色のコア・シェル型重合体エマルジョ
ンであった。以下、これを(B−2)と略称する。
【0148】この(B−2)は、元素分析、イオン・ク
ロマト分析、赤外吸収スペクトル、熱分解ガス・クロマ
トグラフィーによる組成分析によって、フルオロオレフ
ィン系単量体類の存在率が、約30重量%であることが
確認された。
【0149】 実施例 1および2ならびに比較例 1〜3 参考例1〜4で以て得られた、都合、4種の共重合体エ
マルジョンと、既存の「ボンコート ST」[大日本イ
ンキ化学工業(株)製の、アクリル−スチレン系エマル
ジョン;不揮発分=50%、以下、これを樹脂(B−
3)と略称する。]とを、不揮発分が45%となるよう
に希釈せしめ、下記するような塗料配合例(つまり、加
熱強制乾燥用黒色艶有塗料の配合例)によって塗料化せ
しめ、別途に作製した、基材aまたはbに塗装せしめ、
後述するような各種の試験に供した。それらの結果は、
まとめて、第1表に示す。
【0150】 <塗料(強制乾燥用黒色艶有塗料)配合> 水 11.5 部 共重合体エマルジョン(不揮発分=45%) 100.0 ブチルカルビトールアセテート(造膜助剤) 1.5 「ディスパーズカラー SD−9020」 [大日本インキ化学工業(株)製 1 のカーボン水性分散顔料] 「ノプコ 8034L」 0.01 「ベストサイド FX」 [大日本インキ化学工業(株)製 0.2 の防腐剤] ────────────────────────────── 以上を、均一に撹拌せしめる。
【0151】塗料不揮発分=40%; 最低造膜温度=30±5℃
【0152】<基材と塗装法> *基材a:比重が1.45なる珪酸カルシウム板上に、
溶剤系シーラーとして、「エクセルプライマー」[東日
本塗料(株)製の酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体]
を、100g/m2 となるように塗装して乾燥したの
ち、120℃で、かつ、2気圧の飽和水蒸気中で、24
時間のあいだ養生処理を施したもの。
【0153】*塗装法(1):塗料配合に従って得られ
た各種の水性塗料を、板温40℃に予熱した板、基材a
なる硅酸カルシウム板上に、120g/m2 となるよう
に塗装せしめ、100℃の雰囲気下に10分間のあいだ
加熱乾燥し、板温が40℃になるまで放冷せしめてか
ら、再度、塗料を80g/m2 となるように上塗りせし
め、100℃なる雰囲気下に10分間の加熱乾燥を行
い、しかるのち、室温下に7日間のあいだ放置して乾燥
を行った。
【0154】次いで、塗装面以外をアクリルウレタン系
シーラーで、シーリングして、各種の試験に供した。
【0155】*基材b:フレキシブル板を140℃で、
かつ、5気圧なる飽和水蒸気中で、15時間のあいだ養
生処理を施したもの。
【0156】*塗装(2):塗料配合に従って得られた
各種の水性塗料を、基材bなるフレキシブル板上に、塗
装(1)と同様の手法により、加熱強制乾燥下において
塗装し、乾燥し、シーリング材は施さずに、各種の試験
に供した。
【0157】<試験方法> *耐水性…………水道水中に、2ケ月間のあいだ浸漬し
たのちの塗面の変化状態を、目視によって判定した。
【0158】*耐アルカリ性…5%水酸化ナトリウム水
溶液中に、2ケ月間のあいだ浸漬したのちの塗面の変化
状態を、目視により判定した。
【0159】*耐蒸気養生性…圧力容器に塗板を入れ、
5気圧で、かつ、140℃なる高圧蒸気を圧入し、同圧
力で、かつ、同温度に12時間のあいだ保持した。
【0160】しかるのち、常圧で、かつ、室温の状態に
戻してから、塗面の変化状態を、目視にて判定した。
【0161】*耐凍結融解性…水道水中に浸漬して、ま
ず、−20℃に4時間、次いで、40℃に4時間のあい
だ、それぞれ、保持するという操作を1サイクルとし
て、これを20サイクルに亘って繰り返したのちの塗面
の変化状態を、目視により判定した。
【0162】*促進耐候性……サンシャイン・ウェザロ
メーターにより、3,000時間に及ぶ促進試験を行な
って、それぞれの所定の試験時間後における光沢保持率
(%)を測定した。
【0163】*実曝試験………大阪府高石市において、
1年間の屋外曝露を行なったのちの塗面の変化状態を、
目視によって判定した。
【0164】<評価判定基準>*判定は、いずれも、次
の基準によった。 ○…良 好 △…やや良好 ×…不 良
【0165】
【表1】
【0166】第1表の結果からも明らかなように、本発
明の方法により得られる、アルカリ性無機硬化体上の保
護皮膜は、とりわけ、アルカリ物質の浸出防止能にも優
れるし、しかも、超耐候性、耐水性、耐アルカリ性なら
びに耐汚染性などにも優れるという、極めて実用性の高
いものであることが知れる。
【0167】
【発明の効果】以上のように、本発明の保護方法は、ア
ルカリ性無機硬化体が、水や熱などと接触した場合であ
るとか、長期に亘たるアルカリ性条件下や高温条件下な
どの場合であっても、極めて劣化が少なく、加えて、長
期の屋外暴露に対しても、充分なる耐候性などの、諸々
の皮膜性能に優れた、極めて実用性の高い保護皮膜を形
成せしめることが出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C09D 5/00 C09D 5/00 127/12 127/12 (56)参考文献 特開 平3−221174(JP,A) 特開 平1−281181(JP,A) 特開 平5−169022(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B05D 1/00 - 7/26 B32B 13/12 C09D 5/00 C09D 127/12

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フルオロオレフィン系単量体類を必須の
    構成成分とし、かつ、複層構造を有する微粒子重合体類
    の水性分散液を、アルカリ性無機硬化体のトップ・コー
    トとして塗布することを特徴とする、アルカリ性無機硬
    化体の保護方法。
  2. 【請求項2】 フルオロオレフィン系単量体類を必須の
    構成成分とし、かつ、複層構造を有する微粒子重合体の
    水性分散液を含有する被覆用組成物を、アルカリ性無機
    硬化体に直接、あるいは、該被覆用組成物を含む他の被
    覆用組成物から形成される被覆層を介して、間接的に塗
    布するに際して、これらのいずれかの被覆用組成物の塗
    布前に、あるいは、塗布して塗膜を形成せしめたのち
    に、水の存在下に、80〜200℃なる温度条件で以
    て、アルカリ性無機硬化体を水和硬化せしめることを特
    徴とする、アルカリ性無機硬化体の保護方法。
  3. 【請求項3】 前記した複層構造が、少なくとも2層の
    多層構造を有するものであって、しかも、その多層構造
    の少なくとも1層が、フルオロオレフィン系単量体類を
    必須の構成成分として含んでなる共重合体より得られる
    ものである、請求項1または2に記載の保護方法。
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