JPH06248196A - フルオロオレフィン系共重合体により処理された水分散性顔料およびそれを含む塗料用水性樹脂組成物 - Google Patents

フルオロオレフィン系共重合体により処理された水分散性顔料およびそれを含む塗料用水性樹脂組成物

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JPH06248196A
JPH06248196A JP5038332A JP3833293A JPH06248196A JP H06248196 A JPH06248196 A JP H06248196A JP 5038332 A JP5038332 A JP 5038332A JP 3833293 A JP3833293 A JP 3833293A JP H06248196 A JPH06248196 A JP H06248196A
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JP
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water
fluoroolefin
pigment
copolymer
dispersible
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JP5038332A
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Hiroo Tanaka
博夫 田中
Shinichi Kuwamura
慎一 桑村
Fumio Yoshino
文夫 吉野
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DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 フルオロオレフィン系共重合体それ自体の諸
性能を、何ら、損なうことなく、極めて優れた顔料分散
性が得られるような、とりわけ、最終塗膜において、高
光沢が得られる塗料組成物を得ることであり、このよう
な極めて実用性の高い塗料用水性樹脂組成物が被覆され
た物品を提供することであり、加えて、叙上の塗料組成
物ならびに被覆物品を得るための、水に対して易分散性
なる水分散性顔料を製造する方法をも提供することであ
る。 【構成】 顔料類をフルオロオレフィン系共重合体で以
て練肉せしめ、次いで、転相乳化せしめることによって
得られる水分散性顔料およびその製造方法、かかる水分
散性顔料を含む塗料用水性樹脂組成物、ならびに当該塗
料用水性樹脂組成物が被覆された物品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、それぞれ、フルオロオ
レフィン系共重合体により表面処理された水分散性顔料
と、該水分散性顔料とフルオロオレフィン系共重合体エ
マルジョンとを必須成分として含有する塗料用水性樹脂
組成物と、該塗料用水性樹脂組成物が被覆された物品
と、そして、水に対して易分散性なる水分散性顔料の製
造方法とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】外装用被覆材の分野において、近年、長
期間に亘って、劣化や変退色などが無い被覆材の要求が
大である。
【0003】このような用途を主目的として、近年、フ
ルオロオレフィン系共重合体の水性エマルジョンをベー
スとする、いわゆる水性フルオロオレフィン系共重合体
エマルジョン・ベースの塗料用樹脂組成物が検討されて
いる。
【0004】しかし、フルオロオレフィン系共重合体エ
マルジョンは、従来のアクリルスチレン系エマルジョン
や、ビニルエステル系エマルジョンなどに比べて、配合
面での制約があり、特に、高顔料濃度で以て塗料配合を
行うと、どうしても、光沢が出難いという欠点を有して
いた。
【0005】ところが、特開昭61−261367号公
報には、上述した問題点を解決せしめる方法として、フ
ルオロオレフィン、アルキルビニルエーテルおよびカル
ボン酸ビニルエステルから構成される乳化共重合体ベー
スの塗料用樹脂組成物が開示されており、外装用塗装材
としては、一応の処、適応し得るものの、基材への付着
性や顔料分散性などの面で不充分である。
【0006】このように、従来技術に従う限りは、高耐
久性のフルオロオレフィン・ユニットを主成分とする水
性塗料用組成物は、顔料分散性に難点があって、従来の
アクリル・スチレン系エマルジョンや、ビニルエステル
系エマルジョンなどが有するような、高光沢なる塗膜が
得られないというのが、実状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そのために、本発明が
解決しようとする課題は、従来型のフルオロオレフィン
系水性塗料組成物の性能を、何ら、損なうことなく、極
めて優れた顔料分散性が得られるような、とりわけ、最
終塗膜において高光沢が得られるような塗料組成物を提
供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
こうした実状に鑑み、上記した発明が解決しようとする
課題に照準を合わせて、鋭意、検討を重ねた結果、高光
沢のものを得るために、すなわち、顔料分散性の向上化
を図るべく、塗料組成物中に、特定組成の水分散性顔料
を含有せしめることにより、かかる解決課題を達成し得
ることを見い出すに及んで、ここに、本発明を完成させ
るに到った。
【0009】すなわち、本発明は、基本的には、フルオ
ロオレフィン系共重合体により処理された水分散性顔料
を提供しようとするものであり、具体的には、フルオロ
オレフィン系共重合体により、顔料粒子表面の全部ある
いは一部分が被覆処理された水分散性顔料を提供しよう
とするものである。
【0010】つまり、本発明は、それぞれ、フルオロオ
レフィン系共重合体によって、顔料粒子表面の全部ある
いは一部分が被覆処理された水分散性顔料を提供しよう
とするものであるし、さらには、本発明は、フルオロオ
レフィン系共重合体により顔料粒子表面の全部あるいは
一部分が被覆処理された水分散性顔料(A)と、フルオ
ロオレフィン系水性樹脂エマルジョン(B)とを必須成
分とし、必要に応じて、増粘剤類(C)をも、さらに
は、造膜助剤類(D)をも含有することから成る、塗料
用水性樹脂組成物を提供しようとするものであるし、加
えて、該塗料用水性樹脂組成物が被覆された物品をも提
供しようとするものである。
【0011】ここにおいて、上記したフルオロオレフィ
ン系共重合体とは、以下に示すようなものを指称する。
すなわち、たとえば、単量体類として、重合性炭素−炭
素2重結合を形成する炭素原子に少なくとも1個以上の
フッ素原子が直接結合した単量体であるフルオロオレフ
ィンを必須成分とし、必要に応じて、その他の単量体を
共重合した重合体を指す。
【0012】本発明で言うフルオロオレフィンとは、た
とえば、フッ素原子を有すると同時に、此のフッ素原子
以外のハロゲン原子をも有して居てもよい、いわゆる広
義のフッ素原子含有オレフィン類を総称するものであっ
て、それらのうちでも特に代表的なもののみを例示する
にとどめれば、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、テト
ラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンまたは
クロロトリフルオロエチレンなどである。
【0013】これらのうち、好ましくは、ヘキサフルオ
ロプロピレン、クロロトリフルオロエチレンおよびフッ
化ビニリデンから選ばれるフルオロオレフィン類の使用
が適切である。より好ましくは、重合時の反応制御の面
からも、クロロトリフルオロエチレンの使用が適切であ
る。
【0014】一方、その他の単量体類としては、以下の
ようなものが例示できる。すなわち、酢酸ビニル、プロ
ピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリ
ン酸ビニル、カプロン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸
ビニル、バーサチック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ス
テアリン酸ビニル、サリチル酸ビニル、モノクロル酢酸
ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニルまたはp−t
−ブチル安息香酸ビニルをはじめ、さらには、「ベオ
バ」(オランダ国シェル社製のビニルエステル)の如
き、各種のカルボン酸ビニルエステル系単量体類;
【0015】メチル−、エチル−、n−プロピル−、イ
ソプロピル−、n−ブチル−、イソアミル−、n−ヘキ
シル−、n−オクチル−もしくは2−エチルヘキシル−
ビニルエーテルの如き、直鎖状ないしは分岐状のアルキ
ル基を有する、各種のアルキルビニルエーテル類;シク
ロペンチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエー
テルもしくはメチルシクロヘキシルビニルエーテルの如
き、(アルキル置換された)環状のアルキル基を有す
る、各種のシクロアルキルビニルエーテル類;ベンジル
ビニルエーテルもしくはフェネチルビニルエーテルの如
き、各種のアラルキルビニルエーテル類;または4−ヒ
ドロキシブチルビニルエーテルの如き、ヒドロキシアル
キルビニルエーテル類などの、置換ないしは非置換の、
アルキル基あるいはアラルキル基を有する、種々のビニ
ルエーテル類;
【0016】塩化ビニル、塩化ビニリデン、エチレン、
プロピレン、ブテン−1、イソブチレン、ヘプテンまた
はヘキセンの如き、各種のオレフィン類;メチル(メ
タ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチ
ル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)
アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートの
如き、C1〜C8なる直鎖状、分岐状ないしは環状のアル
キル基を有する、各種の(メタ)アクリル酸アルキルエ
ステル類;またはベンジル(メタ)アクリレートの如
き、各種の(置換)芳香核含有(メタ)アクリル酸エス
テル類;
【0017】スチレン、α−メチルスチレン、p−t−
ブチル−スチレンまたはp−メチルスチレンの如き、ス
チレンもしくはその各種の誘導体類のような、種々のの
芳香族ビニル系化合物;マレイン酸、フマル酸もしくは
イタコン酸の如き、各種の不飽和ジカルボン酸類と1価
アルコール類とのジエステル類;(メタ)アクリル酸、
クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シト
ラコン酸、無水マレイン酸もしくは無水イタコン酸の如
き、各種の酸無水基含有単量体類とグリコール類との付
加物のような、種々の重合性不飽和結合含有ヒドロキシ
アルキルエステルモノカルボン酸類をはじめとする、各
種のカルボキシル基含有単量体類やジカルボン酸類など
であるが、これらの各種のカルボキシル基含有単量体類
やジカルボン酸類などのうち、好ましくは、クロトン酸
またはイタコン酸の使用が、共重合性の面からは、適切
である。
【0018】同様にして、その他の単量体類として特に
代表的なもののみを例示するにとどめれば、2−ヒドロ
キシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロ
ピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)
アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレ
ート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3
−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレー
トまたはポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレ
ートの如き、各種の(メタ)アクリル酸のヒドロキシア
ルキルエステル類などであるし、
【0019】マレイン酸またはフマル酸の如き、各種の
多価カルボン酸類のジヒドロキシアルキルエステル類の
ような、種々の重合性不飽和結合含有ポリヒドロキシア
ルキルエステル類などで代表される水酸基含有単量体
類;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メ
タ)アクリルアミド、N−アルコキシメチル化(メタ)
アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドまたはN−
メチロール(メタ)アクリルアミドなどで代表される、
種々のカルボン酸アミド基含有単量体類;p−スチレン
スルホンアミド、N−メチル−p−スチレンスルホンア
ミドまたはN,N−ジメチル−p−スチレンスルホンア
ミドなどで代表される、種々のスルホン酸アミド基含有
単量体類;あるいはN,N−ジメチルアミノエチル(メ
タ)アクリレートの如き、各種のN,N−ジアルキルア
ミノアルキル(メタ)アクリレート類などであるし、さ
らには、無水マレイン酸の如き、各種の多価カルボン酸
無水基含有単量体類と反応しうる活性水素基ならびに3
級アミノ基を併せ有する化合物との付加物などで代表さ
れる、種々の3級アミノ基含有単量体類などであるし、
【0020】(メタ)アクリロニトリルで代表される、
種々のシアノ基含有単量体類;(メタ)アクリル酸ヒド
ロキシアルキルエステルの如き、各種のα,β−エチレ
ン性不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル類
とリン酸エステル類との縮合反応によって得られる、種
々のリン酸エステル基含有単量体類;または2−アクリ
ルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の如き、各種
のスルホン酸基含有単量体類;
【0021】ブタジエン、ヘキサジエン、オクタジエ
ン、デカジエン、テトラデカジエン、2−メチル−オク
タジエン、デカトリエン、エチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アク
リレート、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼンまた
はジアリルフタレートなどの如き、分子中に重合性不飽
和基を2個以上有する、各種の単量体類;
【0022】ビニルトリエトキシシラン、トリメトキシ
シリルビニルエーテル、γ−(メタ)アクリロイルオキ
シプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロ
イルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メ
タ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランま
たはγ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジ
エトキシシランの如き、各種の加水分解性シリル基含有
単量体類などである。
【0023】これらのうちでも、ヘキサジエン、オクタ
ジエン、デカジエン、テトラデカジエン、2−メチル−
オクタジエンおよびデカトリエンなる、いわゆるアルカ
ジエン類・アルカトリエン類よりなる群から選ばれる、
1種ないしは2種以上の混合物の使用が適切であるし、
ビニルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイル
オキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アク
リロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−
(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジ
エトキシシラン、トリス(2−メトキシエトキシ)ビニ
ルシランの如き、各種の加水分解性シリル基含有単量体
類で代表される、種々の架橋性単量体類の1種または2
種以上の混合物の使用が適切であるし、さらには、上記
アルカジエン類・アルカトリエン類と、上記加水分解性
シリル基含有単量体類との、それぞれの1種以上の併用
が適切である。
【0024】これらの種々の単量体類は、最終的に配合
・使用される組成物の性能に応じ、適宜、選択されて用
いられる。
【0025】フルオロオレフィン系共重合体によって、
顔料粒子表面の全部あるいは一部分が被覆処理された、
本発明の水分散性顔料(A)とは、顔料粒子のフルオロ
オレフィン系水性樹脂エマルジョン(B)への分散性を
向上化せしめるために用いられるものである。
【0026】当該水分散性顔料の調製方法としては、以
下のような方法が例示できる。
【0027】まず、ここで用いられる顔料類として特に
代表的なもののみを例示するにとどめれば、酸化チタン
をはじめとして、マイカ、タルク、クレー、沈降性硫酸
バリウム、シリカ末、炭酸カルシウム、酸化鉄、酸化亜
鉛、アルミ末またはカーボンブラックの如き、各種の無
機顔料類;アゾ系、フタロシアニン系またはキナクリド
ン系の如き、各種の有機顔料類;あるいはプラスチック
顔料類などである。これらの顔料類を、前記したフルオ
ロオレフィン系共重合体の有機溶剤溶液に混合練肉さ
せ、次いで、水分散化せしめるというのが、一般的なも
のである。
【0028】ここで、フルオロオレフィン系共重合体の
有機溶剤溶液の調製方法としては、有機溶剤類中で、フ
ルオロオレフィンと、これと共重合可能なる他の単量体
類とを、重合開始剤類によりラジカル重合せしめるとい
う、公知慣用の方法で以て製造すれば良いが、後続する
工程で以て水分散化させるために、フルオロオレフィン
系共重合体中に、予め、イオン化性基を導入せしめてお
くことが必要である。
【0029】次いで、顔料類との混合練肉の前および/
または後に、イオン化性基の全部あるいは一部分を中和
し、しかるのち、強制攪拌下に、水を添加しつつ、必要
に応じて、系中の有機溶剤類を除去して行くと、顔料表
面の全部あるいは一部分が、フルオロオレフィン系共重
合体によって被覆された顔料粒子の水性分散体が得られ
る。
【0030】イオン化性基の導入法としては、次のよう
な方法が例示できる。 まず、(1)カルボキシル基および/またはスルホン酸
基などの、いわゆる酸性基含有単量体類を、フルオロオ
レフィンと共重合せしめるという方法;
【0031】(2)水酸基含有フルオロオレフィン系共
重合体に対し、酸無水基含有単量体類を付加させること
により、酸性基を導入せしめるという方法;
【0032】(3)そのほかに、フルオロオレフィンと
共重合し得るアニオン性ないしはカチオン性の解離基お
よび/またはノニオン性の親水基を有する単量体類を共
重合させることにより、フルオロオレフィン系共重合体
それ自体に水分散化能を付与せしめるという方法などで
ある。
【0033】ここで用いられる単量体類としては、前掲
したもののうちから、適宜、選択して使用すれば良い。
また、イオン化性基に対する中和剤類として特に代表的
なもののみを例示するにとどめれば、イオン化性基がカ
ルボキシル基やスルホン酸基などの、いわゆるアニオン
性解離基の場合には、アンモニア、水酸化ナトリウムま
たは水酸化カリウムに代表される、各種の無機の塩基性
化合物や、トリエチルアミン、モノエタノールアミンな
どで代表される、各種の有機の塩基性化合物などであ
る。
【0034】イオン化性基がアミノ基や3級アミノ基な
どの、いわゆるカチオン性解離基の場合には、塩酸に代
表される、各種の無機の酸性化合物や、蟻酸または酢酸
などで代表される、各種の有機の酸性化合物などであ
る。
【0035】これらのうち、取扱いが容易なことから、
イオン化性基がアニオン性解離基であって、かつ、中和
剤類が、アンモニア、トリエチルアミンまたはモノエタ
ノールアミンなどの、いわゆる揮発性の無機ないしは有
機の塩基性化合物であるという、こうした組み合わせ
が、特に望ましい。
【0036】アニオン性ないしはカチオン性の解離基お
よび/またはノニオン性の親水基を有する単量体類とし
ては、後述するような各種の乳化剤類に、重合性不飽和
二重結合が結合した形の、いわゆる反応性乳化剤類が特
に代表的なものである。
【0037】以上が、被覆処理の水分散性顔料(A)成
分を調製するに際しての特に代表的なる方法であるが、
乳化剤が存在しない状態で以て、フルオロオレフィン系
共重合体それ自身が、水中に安定に分散するか、あるい
は、フルオロオレフィン系共重合体の全部が水溶化し得
るものであるとか、または部分的に水溶化し得るもので
あれば、上記のような例示以外の方法であっても、一向
に、支障がない。
【0038】当該(A)成分を構成する、それぞれ、フ
ルオロオレフィン系共重合体と、顔料類との固形分比率
としては、概ね、後者顔料類の100重量部に対して、
前者共重合体の0.5〜100重量部程度となるような
割合が望ましい。
【0039】前者共重合体を、これよりも少なくした場
合には、どうしても、顔料表面へのフルオロオレフィン
系共重合体の被覆が不充分となって、顔料類の分散性が
欠如するようになる結果、最終塗膜を形成させた場合
に、高光沢のものが得られ難くなるし、一方、前者共重
合体を、これよりも多量に用いた場合には、どうして
も、高光沢なる塗膜こそ得られるものの、比較的親水性
の当該共重合体が多く、塗膜中に含有される処から、最
終塗膜の諸性能、就中、耐水性などに難点を生じるとい
う傾向になるからである。
【0040】本発明の塗料用樹脂組成物を構成する、前
記した(B)成分たる、フルオロオレフィン系水性樹脂
エマルジョンとは、前掲したようなフルオロオレフィン
類と、これと共重合し得る他の単量体類とをエマルジョ
ン重合せしめて得られるものを指称する。
【0041】当該フルオロオレフィン系水性樹脂エマル
ジョン(B)を調製するには、上掲した如き、各種の単
量体類を、水性媒体中で、乳化剤の存在下に、重合開始
剤類によりラジカル重合を行うようにすればよい。
【0042】乳化剤類としては、上掲した如き、各種の
単量体類を、水性媒体中に、安定に分散させ、しかも、
最終の利用態様において、皮膜性能を充分に発揮させる
ために利用されるものであって、好ましくは、フッ素原
子を有しないアニオン性乳化剤類および/またはフッ素
原子を有しないノニオン性乳化剤類の使用が適切であ
る。そうしたものの具体例としては、以下のようなもの
が挙げられる。
【0043】フッ素原子不含のアニオン性乳化剤(反応
性乳化剤をも含む。)として特に代表的なもののみを例
示するにとどめれば、アルキル(ベンゼン)スルホン酸
塩、アルキルサルフェート塩、ポリオキシエチレンアル
キルフェノールサルフェート塩、スチレンスルホン酸塩
またはビニルサルフェート塩をはじめ、これらの各種の
誘導体類などである。
【0044】ここで言う塩とは、アルカリ金属の水酸化
物による塩であるとか、あるいはアンモニアやトリエチ
ルアミンなどの、いわゆる揮発性の塩基による塩を指称
するものであるが、これらのうちでも、(置換)アルキ
ル(ベンゼン)スルホン酸塩およびビニルスルホン酸塩
より選ばれる、1種ないしは2種以上の混合物が好まし
い。
【0045】フッ素原子不含有のノニオン性乳化剤(反
応性乳化剤をも含む。)として特に代表的なもののみを
例示するにとどめれば、ポリオキシエチレンアルキルフ
ェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテ
ル、ポリオキシエチレン高級脂肪酸エステルまたはエチ
レンオキサイド−プロピレンオキサイドブロック共重合
体などをはじめ、これらの各種の誘導体類などであり、
これらの1種ないしは2種以上の混合物として用いられ
る。
【0046】これらのうち、ポリオキシエチレン(置
換)アルキル(フェノール)エーテルが、最終的に得ら
れる皮膜物性の観点からも、特に望ましい。ただし、パ
ーフルオロオクタン酸塩で代表されるような、いわゆる
フッ素原子含有乳化剤類の併用を妨げるものではない。
【0047】これらの乳化剤類の使用量としては、アニ
オン系とノニオン系乳化剤とを合わせて、単量体類総量
に対して、0.5〜10重量%なる範囲内が適切であ
る。
【0048】さらに、これらの種々の乳化剤類と併用し
て、ポリカルボン酸ないしはスルホン酸塩よりなる水溶
性オリゴマー類や、ポリビニルアルコールまたはヒドロ
キシエチルセルロースなどの、いわゆる水溶性高分子物
質を保護コロイドとして用いることが出来る。
【0049】重合開始剤類としては、乳化重合に一般的
に使用されているようなものであれば、特に限定される
ものではない。かかる重合開始剤類として特に代表的な
もののみを例示するにとどめれば、過酸化水素の如き、
各種の水溶性無機過酸化物;過硫酸アンモニウム、過硫
酸カリウム、過硫酸ナトリウムの如き、各種の過硫酸塩
類;クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオ
キサイドまたはt−ブチルハイドロパーオキサイドの如
き、各種の有機過酸化物類;あるいはアゾビスイソブチ
ロニトリルまたはアゾビスイソバレロニトリル(アゾビ
スシアノ吉草酸)の如き、各種のアゾ系開始剤類などが
あるが、これらは単独使用でも2種以上の併用でもよい
ことは、勿論である。
【0050】当該重合開始剤類の使用量としては、単量
体類総量に対して、0.1〜2重量%なる範囲内が好ま
しい。なお、これらの重合開始剤類と金属イオン類およ
び還元剤類との併用による、いわゆるレドックス重合法
によっても良い。
【0051】かかる還元剤類として特に代表的なものの
みを例示するにとどめれば、ナトリウムビサルファイ
ト、ナトリウムメタビサルファイト、ナトリウムビチオ
サルフェート、ナトリウムハイドロサルフェート、スル
ホキシル酸ホルムアルデヒドナトリウムまたは還元糖な
どである。また、金属イオン類としての一例を挙げれ
ば、硫酸銅、塩化第2鉄、硫酸第2鉄または硝酸銀など
である。さらに、各種の連鎖移動剤類もまた、使用する
ことが出来る。
【0052】(B)成分たる当該フルオロオレフィン系
水性樹脂エマルジョン(B)は、水性媒体類、好ましく
は、イオン交換水と乳化剤との共存下に、まず、単量体
類混合物をそのまま、あるいは乳化した状態で以て、一
括で、または分割して、あるいは連続的に、反応容器中
に滴下せしめ、重合開始剤類の存在下に、約1kg/c
2〜約100kg/cm2なるゲージ圧で以て、かつ、
約50℃〜約150℃の温度なる反応温度で以て、重合
反応を行えばよい。場合によっては、これ以上の圧力で
以て、あるいは、これ以下の温度条件で以て、重合反応
を行っても、一向に、差し支えが無い。
【0053】総単量体類中に含まれるフルオロオレフィ
ン系単量体の比率は、概ね、30重量%以上であること
が必要である。30重量%未満の場合には、どうして
も、最終的に得られる塗膜の耐久性の面で満足し得ない
結果になるからである。
【0054】また、総単量体類量と水との比率として
は、最終固形分量が1〜60重量%、好ましくは、15
〜55重量%なる範囲内になるように設定すべきであ
る。さらに、乳化重合をするに当たって、粒子径を成長
させ、あるいは制御せしめるために、予め、水相中に、
エマルジョン粒子を存在させることにより、重合反応を
行っても良い。
【0055】ここで用いられる水性媒体類中の水として
は、基本的には、イオン交換水を用いるというものであ
るが、その使用量としては、水性媒体類中の70重量%
以上であるのが適切である。ここで、残りの30重量%
未満を、有機溶剤類との併用によってもよい。
【0056】重合反応は、系中のpHが、概ね、1.0
〜7.0なる範囲内で進行せしめればよい。この際のp
Hの調節は、たとえば、燐酸二ナトリウム、ボラック
ス、炭酸水素ナトリウムあるいはアンモニアなどの、い
わゆるpH緩衝剤類を用いて行えば良い。これ以上のp
H条件(pH値)での製造も可能ではあるが、特殊なる
利用条件ないしは利用態様においては、塗膜を形成させ
た場合に、耐水性や耐アルカリ性などが欠如した性能を
与えるということになる。
【0057】このようにして得られる、当該フルオロオ
レフィン系水性樹脂エマルジョン(B)は、引き続き、
エマルジョン粒子中に残存している、未反応のガス状単
量体類を除去するという工程に回してもよく、当該エマ
ルジョンに対して、かかる除去操作を施しても良い。
【0058】かくして得られる当該フルオロオレフィン
系水性樹脂エマルジョン(B)は、架橋性単量体類を含
有しない状態に換算して、概ね、数平均分子量が5,0
00〜1,000,000なる範囲内であって、かつ、
重量平均分子量が10,000〜3,000,000な
る範囲内が適切であるし、しかも、最低造膜温度が約−
30℃〜+60℃なる範囲内が適切である。
【0059】また、当該フルオロオレフィン系水性樹脂
エマルジョン(B)の粒子径としては、概ね、0.02
〜0.5ミクロン(μm)なる範囲内が適切である。
【0060】ここにおいて、前記した(A)成分と、当
該(B)成分との配合比率としては、固形分比率で以
て、概ね、(B)成分の100重量部に対し、(A)成
分が1〜200重量部となるような割合が適切である。
また、顔料類と、〔フルオロオレフィン系共重合体
(A)とフルオロオレフィン系水性樹脂エマルジョン
(B)と〕の固形分に対する比率としては、顔料重量濃
度で以て、概ね、1〜60%なる範囲内になるように設
定すれば良い。ここで、顔料重量濃度(PWC)とは、
次のような式で以て定義されるものである。
【0061】 PWC(%)=100×G/〔G+(A+B)〕 〔ただし、式中におけるGは、顔料類の重量を、Aはフ
ルオロオレフィン系共重合体(A)の固形分重量を、B
はフルオロオレフィン系水性樹脂エマルジョン(B)の
固形分重量を表わすものとする。〕
【0062】かくして得られる、本発明の水性塗料用樹
脂組成物には、必要に応じて、増粘剤類(C)をも、さ
らには、造膜助剤類(D)をも配合することが出来る。
かかる増粘剤類(C)として特に代表的なもののみを例
示するにとどめれば、ヒドロキシエチルセルロースまた
はカルボキシメチルセルロースで代表されるセルロース
系(繊維素系)増粘剤、ウレタン系増粘剤またはポリカ
ルボン酸系増粘剤などである。これらのうち、ポリカル
ボン酸系増粘剤が、本発明に係る水性樹脂組成物、ない
しは、本発明の方法によって得られる水性樹脂組成物と
の配合時の安定性の観点からも望ましい。
【0063】他方、前記した造膜助剤類(D)として
は、エステル系、ケトン系、芳香族系または脂肪族系な
どの、市販の各種溶剤類のほかにも、エチレングリコー
ルのエステル系であるとか、エーテル系誘導体であると
か、ジエチレングリコールのエステル系であるとか、エ
ーテル系誘導体であるとか、さらには、「テキサノー
ル」(米国イーストマン・ケミカル社製品)で代表され
るような、水性塗料用として常用されている、種々の可
塑剤類などが利用できる。
【0064】これらのほかにも、塗料化に必要なる各種
の添加剤類、たとえば、分散剤類、湿潤剤類、チクソ化
剤類、紫外線吸収剤類、酸化防止剤類、撥水剤類、凍結
防止剤類、防腐・防ばい剤類または消泡剤類などの使用
は、得られる塗膜の諸性能を考慮しつつ、適宜、選択し
て使用され得る。
【0065】かくて、本発明の水性塗料用樹脂組成物が
得られるが、当該塗料用樹脂組成物を、各種の基材類に
塗布するに当たっては、特に制限はないけれども、一例
として掲げるにとどめれば、刷毛塗り、ローラー塗装、
スプレー塗装、ロールコーター塗装またはシャワリング
塗装などが特に代表的なものであり、こうした塗装手段
ないしは塗装方法によるのが望ましい。
【0066】たとえば、建築現場施工用としては、造膜
助剤類を添加した状態での最低造膜温度が0℃以下な
る、特定の水性塗料組成物の使用が望ましく、塗装法と
しては、刷毛塗り、ローラー塗装またはスプレー塗装な
どの方法によるのがよい。
【0067】瓦の如き、各種の屋根材や壁材などにおけ
る、いわゆる工場ライン塗装用としては、一般的に行な
われている加熱強制乾燥法に従い、その乾燥条件に応じ
て、造膜助剤類を添加した状態での最低造膜温度が、概
ね、60℃以下、好ましくは、50℃以下なる塗料類を
選択して用いるのが望ましく、塗装法としては、ロール
コーター塗装、ローラー塗装、スプレー塗装、シャワリ
ング塗装またはフローコーター塗装などの方法、あるい
はデッピングなどの浸漬塗装などの方法によるのがよ
い。
【0068】こうした現場施工用と、工場ライン塗装な
いしは加熱強制乾燥ライン塗装用とを問わず、60℃以
上の温度、実質的には、200℃以下の温度の雰囲気下
において行なうべく、被覆後に、必要に応じて、セッテ
イング時間を経た上で、加熱乾燥によることは、造膜性
ないしは成膜性を、一層、強固なものにし、ひいては、
塗膜の長期耐久性を確保するためにも、さらには、極
力、ブロッキングを低減化せしめたり、耐汚染性などの
確保をも図ったりするためにも望ましい。
【0069】また、基材類の上に、直接、上述した水性
塗料組成物を、1コートで以て、または重ね塗りで以
て、塗布してもよいし、あるいは、アクリル系、アクリ
ル−スチレン共重合体系、アクリル−ウレタン併用系、
シリコン−アクリル併用系、エポキシ系、ウレタン系ま
たはシリコン系などのような、概して、耐アルカリ性の
良好なるバインダー類を含む塗材類を下塗りとしたその
上に、トップコートとして、此の水性組成物を塗装し、
塗装システム全体の耐候性などの改善向上化を図るよう
にしてもよい。
【0070】こうした各種の塗装システムのいずれによ
った場合においても、本発明の水性塗料組成物の乾燥膜
厚としては、5μm以上が適切である。5μm未満の場
合には、どうしても、皮膜の長期耐久性などが不充分と
なり易いので好ましくない。
【0071】本発明の方法に従えば、顔料分散性に優
れ、その結果として、高光沢を有する被膜を得ることが
出来る。
【0072】本発明において、基材類とは、たとえば、
セメントモルタル、セメントコンクリート、軽量コンク
リート(ALC)、アスベストコンクリート、木質セメ
ント板または珪酸カルシウム板などのように、アルカリ
物質を水和結晶化せしめることによって調製させるよう
な、壁材類または屋根材類などで以て代表される、いわ
ゆる硬化体コンクリート躯体などを指称するものであ
る。これらの基材類のほか、金属類、プラスチック類、
木材類、ガラス類、紙類または繊維類などにもまた、適
用し応用することが出来る。
【0073】本発明に係る、あるいは本発明の方法に従
って得られる水性塗料用樹脂組成物は、高光沢を持った
被膜を形成することが出来ることから、外装ないしは内
装用の水性塗料組成物として、さらには、金属類、プラ
スチック類、木材類、無機基材類、紙類または繊維類な
どに対する被覆剤として、あるいは処理剤として使用す
ることが出来る。
【0074】
【実施例】次に、本発明を、参考例、実施例および比較
例をにより、一層、具体的に説明することにする。以下
において、部および%とあるものは、特に断りの無い限
り、すべて重量基準であるものとする。
【0075】参考例 1〔フルオロオレフィン系共重合
体によって、顔料粒子表面の全部あるいは一部分が被覆
処理された水分散性顔料(A)の調製例〕 攪拌装置、窒素導入管、温度計および温度調節装置を備
えた、2リットルの、ステンレス製耐圧反応容器(オー
トクレーブ)の系内を、窒素ガスで以て充分に置換した
処へ、メチルエチルケトンの800gを仕込んだ。
【0076】次いで、エチルビニルエーテルの160
g、ヒドロキシブチルビニルエーテルの150g、ネオ
ノナン酸ビニルの190gおよび液化捕集したクロロト
リフルオロエチレンの500gを仕込んで、オートクレ
ーブの内温を60℃になるまで昇温した。
【0077】同温度で、アゾビスシアノ吉草酸の5g
を、200gのメチルエチルケトンに溶解した触媒溶液
を、反応容器中に、3時間に亘って圧入した。此の触媒
溶液の添加後も、同温度に10時間のあいだ保持して、
重合反応を進行させ、フルオロオレフィン共重合体の溶
剤溶液を得た。
【0078】反応終了後は、オートクレーブの内圧を常
圧にまで戻して、無水メタクリル酸の199gを加え、
此の共重合体中の水酸基に付加せしめた。次いで、付加
反応終了後に、60℃の温度のままで、アゾビスイソブ
チロニトリルの5gを、100gのメチルエチルケトン
に溶解させた溶液を、2時間に亘って加え、付加反応後
において生成したメタクリル酸の重合を進行せしめた。
【0079】反応終了後に、100gのトリエチルアミ
ンを加えて良く混合せしめた。かくして得られた、フル
オロオレフィン系共重合体の有機溶剤溶液(A−1−
1)は、不揮発分が50%なる、微黄色の溶液であっ
た。
【0080】引き続いて、フルオロオレフィン系共重合
体の有機溶剤溶液(A−1−1)の500gに、塗料用
カーボンブラックの12.5gを混合して、サンドミル
で、1時間に亘って練肉した。次いで、攪拌装置、減圧
装置、温度計および温度調節装置を備えた、1リットル
の、ステンレス製フラスコに、上記の練肉物を仕込ん
で、攪拌しながら、イオン交換水の393.8gを、ゆ
っくりと添加して行った。有機溶剤溶液の状態から、此
のイオン交換水の添加に伴って、水中油滴(O/W)の
状態へと変化(つまり、転相乳化)して行くのが観察さ
れた。
【0081】転相乳化したのちに、減圧下に、系中のメ
チルエチルケトンを留去せしめて、系外へ取り出した。
メチルエチルケトンの留出が終了したら、14%アンモ
ニア水を添加し、pHを8に調節した。此処に得られた
目的物は、不揮発分が40%で、かつ、顔料重量濃度
(PWC)が4.8%なる、黒色の水分散体、つまり、
水分散性黒色顔料であった。以下、これを(A−1)と
略記する。
【0082】参考例 2(同上) 参考例1で得られた、フルオロオレフィン系共重合体の
有機溶剤溶液(A−1−1)の500gに、塗料用酸化
チタンの375gを混合して、サンドミルで、1時間の
あいだ練肉せしめた。次いで、攪拌装置、減圧装置、温
度計および温度調節装置を備えた、2リットルのステン
レス製フラスコに、上記の練肉物を仕込んで、攪拌しな
がら、イオン交換水の625gを、ゆっくりと添加して
行った。
【0083】有機溶剤溶液の状態から、イオン交換水の
添加に伴って、水中油滴(O/W)の状態へと変化(転
相乳化)して行くのが観察された。転相乳化したのち
に、減圧下に、系中のメチルエチルケトンを留去して、
系外へ取り出した。メチルエチルケトンの留出が終了し
た処で、14%アンモニア水を添加して、pHを8に調
節した。此処に得られた目的物は、不揮発分が50%
で、かつ、PWCが60%なる、白色の水分散体、つま
り、水分散性白色顔料であった。以下、これを(A−
2)と略記する。
【0084】参考例 3〔フルオロオレフィン系水性樹
脂エマルジョン(B)の調製例〕 攪拌装置、窒素導入管、温度計および温度調節装置を備
えた、2リットルの、テンレス製耐圧反応容器(オート
クレーブ)の系内を、窒素ガスで以て充分に置換した処
へ、イオン交換水の800g、ドデシルベンゼンスルホ
ン酸ナトリウムの20g、ポリオキシエチレンノニルフ
ェニルエーテルの20gおよびpH緩衝剤としてのボラ
ックスの10gを加えて溶解せしめた。
【0085】次いで、酢酸ビニルの200gおよびヘキ
サジエンの10gを仕込み、ネオノナン酸ビニルの28
0g、クロトン酸の10gおよび液化捕集したクロロト
リフルオロエチレンの500gをも仕込んだ。
【0086】さらに、エチレンガスを、15kg/cm
2 になるまで圧入せしめた。オートクレーブの内温を8
0℃になるまで昇温した。このさい、反応時の系内圧力
が、ほぼ、30kg/cm2 となるようにして、エチレ
ンガスを調節した。次いで、同温度で、過硫酸カリウム
の5gを、200gのイオン交換水に溶解した触媒水溶
液を、反応容器中に、3時間に亘って圧入した。
【0087】触媒水溶液の添加後も、同温度に10時間
のあいだ保持して重合反応を進行させ、フルオロオレフ
ィン系水性樹脂エマルジョンを得た。反応中のpHは
3.5で進行した。反応中に、単量体の消費に伴って、
系中の圧力が下降して行くが、その都度、エチレンの導
入によって、常時、反応系の圧力を30kg/cm2
保持した。反応終了後は、室温にまで冷却して、14%
アンモニア水を、pHが、ほぼ、7.5になるまで添加
し、さらに、シリコン系消泡剤をも添加して、よく攪拌
した。
【0088】次いで、系内圧力を常圧にまで戻してか
ら、さらに、減圧して、此の減圧下に、分散体中に溶解
している未反応のガスを留去せしめた。此処に得られた
分散体は、不揮発分が52.0%で、pHが7.2で、
最低造膜温度が38℃で、平均粒子径が0.08ミクロ
ンなる、白色のフルオロオレフィン系水性樹脂エマルジ
ョンであった。以下、これを(B−1)と略称する。と
ころで、此の(B−1)は、元素分析、イオンクロマト
分析、赤外吸収スペクトルならびに熱分解ガスクロマト
グラフィーによる組成分析によって、フルオロオレフィ
ンの含有率が約47重量%なるものであることが判明し
た。
【0089】参考例 4(同上) クロロトリフルオロエチレンに変えて、ヘキサフルオロ
プロピレンを用いるように変更した以外は、参考例1と
同様にして、フルオロオレフィン系水性樹脂エマルジョ
ンを得た。
【0090】此処に得られた分散体は、不揮発分が5
0.0%で、pHが7.0で、最低造膜温度が28℃
で、かつ、平均粒子径が0.1ミクロンなる、白色のフ
ルオロオレフィン系水性樹脂エマルジョンであった。以
下、これを(B−2)と略称するが、此の(B−2)
は、元素分析、イオンクロマト分析、赤外吸収スペクト
ルならびに熱分解ガスクロマトグラフィーによる組成分
析によって、フルオロオレフィンの含有率が約50重量
%なるものであった。
【0091】参考例 5 ヘキサジエンを除いて、当該物質の使用を、一切、欠如
するように変更した以外は、参考例1と同様にして、架
橋剤を含有しない形の分散体を得た。以下、これを(R
−1)と略称する。
【0092】次いで、此の(R−1)を、常法に従い、
塩化ナトリウムの添加により、ポリマー分のみを析出さ
せて取り出した。しかるのち、イオン交換水で、フリー
の乳化剤の抽出を行い、その乾燥後に、テトラハイドロ
フランに溶解せしめた。
【0093】かくして得られた当該サンプルを、ゲルロ
過クロマトグラフィーにかけて、ポリスチレン換算の分
子量を測定した。その結果は、数平均分子量が167,
000で、かつ、重量平均分子量が498,000なる
ものであることが判明した。これは、(B−1)から、
丁度、架橋剤を抜いた分の分子量に相当している、とい
うことである。
【0094】実施例 1および2 参考例1および2で得られれた、(A−1)および(A
−2)なる水分散性顔料と、参考例3および4で得られ
た、(B−1)および(B−2)なるフルオロオレフィ
ン系水性樹脂エマルジョンと、増粘剤としての「ボンコ
ート 3750」[大日本インキ化学工業(株)製の、
ポリカルボン酸系の高分子増粘剤]の5%希釈水溶液と
を、第1表に示されるような配合割合で以て混合せし
め、さらに、造膜助剤としての「テキサノール」(アメ
リカ国イーストマン・ケミカル社製品)をも、第1表に
示されるような配合割合で以て添加せしめて、目的とす
る塗料用水性樹脂組成物を調製した。
【0095】比較例 1 (A−1)または(A−2)なる水分散性顔料の使用
を、一切、欠如するようにし、その代わりに、参考例3
で得られた、(B−1)なるフルオロオレフィン系水性
樹脂エマルジョンと、(A−3)なる、カーボンブラッ
クの分散顔料と、「ボンコート 3750」の5%希釈
水溶液とを、第1表に示されるような配合割合で以て混
合せしめ、さらに、「テキサノール」をも、第1表に示
されるような配合割合で以て添加せしめて、対照用の塗
料用水性樹脂組成物を調製した。ただし、此の(A−
3)は、カーボンブラック濃度が70%で、かつ、不揮
発分が90%なるものである。
【0096】比較例 2 (A−1)または(A−2)なる水分散性顔料の使用
を、一切、欠如するようにし、その代わりに、参考例3
で得られた、(B−2)なるフルオロオレフィン系水性
樹脂エマルジョンと、(A−4)なる、常法に従って得
られた、酸化チタンの水性分散物と、「ボンコート 3
750」の5%希釈水溶液とを、第1表に示されるよう
な配合割合で以て混合せしめ、さらに、「テキサノー
ル」をも、第1表に示されるような配合割合で以て添加
せしめて、対照用の塗料用水性樹脂組成物を調製した。
ただし、此の(A−4)は、酸化チタン濃度が70%
で、かつ、不揮発分が75%なるものである。
【0097】応用例 1および2ならびに比較応用例
1および2 実施例1および2ならびに比較例1および2で得られ
た、それぞれの塗料用水性樹脂組成物を、スレート板上
に、60番バーコーターを用いて塗装せしめ、60℃に
20分間にあいだ放置して乾燥せしめた。
【0098】次いで、室温に7日間のあいだ放置して乾
燥せしめることによって、各種の被覆物品(塗装物品)
たる硬化塗膜を得た。しかるのち、それぞれの硬化塗膜
について、各種の試験を行った。それらの結果は、まと
めて、同表に示す。
【0099】
【表1】
【0100】<試験項目ならびに評価判定要領> フルオロオレフィン系共重合体によって、顔料粒子
表面の全部あるいは一部分が被覆処理された水分散性顔
料の種類および相当する市販分散顔料の番号を以て示し
た。
【0101】 フルオロオレフィン系水性樹脂エマル
ジョンの種類を番号で以て示したもので、まず、実施例
1および比較例1の場合は、カーボンブラックで以て、
顔料重量濃度が2%となるように、実施例2および比較
例2の場合は、酸化チタンで以て、顔料重量濃度が3
7.5%となるように配合したものである。
【0102】 実施例1および比較例1の場合には、
上記したなる成分と、上記したなる成分と、さら
に、此のなる成分との配合物の不揮発分が47.7%
となるように、他方、実施例2および比較例2の場合に
は、上記したなる成分と、上記したなる成分と、さ
らに、此のなる成分との配合物の不揮発分が50%と
なるように、イオン交換水を添加した。
【0103】 増粘剤:ポリカルボン酸系の高分子増
粘剤である「ボンコート 3750」の5%希釈水溶液
を、(B−1)または(B−2)に対して、5%となる
ように添加した。
【0104】なお、添加後において、14%アンモニア
水を用いて、pHを8と為すことにより、系の粘度を調
節した。
【0105】 造膜助剤:「テキサノール」を、(B
−1)または(B−2)に対して、2%となるように添
加した。 光沢値:村上式光沢計を用いての60度グロス値
(60度鏡面反射率)で以て示した。
【0106】 促進耐候性:デユーパネル光コントロ
ール・ウェザーメーターによる、5,000時間の促進
耐候性試験後に、それぞれの塗膜の外観を目視により判
定したものである。評価判定基準は、次の通りである。
【0107】◎………外観上、全く異状が認められない
もの △………塗膜に、“艶引け”が認められるもの ×………塗膜に、“ふくれ”、“はがれ”または“白
化”などが認められるもの
【0108】本発明の塗料用樹脂組成物、ないしは、本
発明の方法により得られる塗料用水性樹脂組成物は、い
ずれの評価判定試験にも、悉く、満足し得る性能を発揮
するものであるし、加えて、当該樹脂組成物を用いて得
られる被覆物品(塗装物品)たる硬化塗膜は、いずれの
評価判定試験をも、すべてに亘って、満足するという、
極めて優れた諸性能を有するものであることが判明し
た。
【0109】
【発明の効果】以上に詳細に説明した通り、本発明に係
る水性塗料用樹脂組成物は、従来型の諸技術の、絶対に
追随を許さぬほどの、つまり、従来技術に従って得られ
るような樹脂組成物に比して、とりわけ、顔料分散性に
優れることより、高光沢の被膜を形成することが出来
る。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フルオロオレフィン系共重合体により処
    理された水分散性顔料。
  2. 【請求項2】 フルオロオレフィン系共重合体により、
    顔料粒子表面の全部あるいは一部分が被覆処理された水
    分散性顔料。
  3. 【請求項3】 水分散化可能な親水性基および/または
    イオン化性基を有するフルオロオレフィン系共重合体の
    有機溶剤溶液により、顔料類を混合練肉せしめ、次い
    で、水を添加させることによって転相乳化せしめ、必要
    に応じて、かくして得られる乳化物から有機溶剤を除去
    せしめることを特徴とする、水に対して易分散性なる水
    分散性顔料の製造方法。
  4. 【請求項4】 フルオロオレフィン系共重合体により顔
    料粒子表面の全部あるいは一部分が被覆処理された水分
    散性顔料(A)と、フルオロオレフィン系水性樹脂エマ
    ルジョン(B)とを、必須成分として、含有することを
    特徴とする、塗料用水性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 フルオロオレフィン系共重合体により顔
    料粒子表面の全部あるいは一部分が被覆処理された水分
    散性顔料(A)と、フルオロオレフィン系水性樹脂エマ
    ルジョン(B)と、増粘剤類(C)とを含有することを
    特徴とする、塗料用水性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 フルオロオレフィン系共重合体により顔
    料粒子表面の全部あるいは一部分が被覆処理された水分
    散性顔料(A)と、フルオロオレフィン系水性樹脂エマ
    ルジョン(B)と、増粘剤類(C)と、造膜助剤類
    (D)とを含有することを特徴とする、塗料用水性樹脂
    組成物。
  7. 【請求項7】 請求項4、5または6に記載の塗料用水
    性樹脂組成物が被覆された物品。
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