JP3635434B2 - フッ素樹脂水性塗料組成物ならびにそれが被覆された物品 - Google Patents

フッ素樹脂水性塗料組成物ならびにそれが被覆された物品 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、必須成分としてフルオロオレフィンを重合し、かつマクロモノマーを用いずに得られるフルオロオレフィン系水性樹脂エマルジョン(フルオロオレフィン系共重合体エマルジョン)を含有する、新規にして有用なる、水性塗料組成物ならびに該水性塗料組成物が被覆された物品に関する。
【0002】
さらに詳細には、本発明は、上記したフルオロオレフィン系水性樹脂エマルジョンを主成分とし、顔料類の、塗料組成物中への分散を補助せしめる目的で以て、特定の樹脂を、顔料類と共に用いることから成る、極めて実用性の高い水性塗料組成物と、その水性塗料組成物で以て被覆された物品とに関する。
【0003】
【従来の技術】
外装用被覆材の分野において、近年、長期間に亘って、劣化や変退色などの無いような、極めて実用性の高い被覆材への要求が大である。
【0004】
このような用途を主目的として、近年は、フルオロオレフィン系共重合体の水性エマルジョンをベースとする形の水性塗料組成物が検討されている。
【0005】
しかしながら、かかるフルオロオレフィン系共重合体エマルジョンは、従来のアクリルスチレン系エマルジョンや、ビニルエステル系エマルジョンなどに比して、配合面での制約があり、特に、高顔料濃度で以て塗料配合を行うということになると、どうしても、光沢が出にくい、という欠点を有していた。
【0006】
ところで、特開昭61−261367号公報明細書には、上述したような問題点を解決せしめる方法として、フルオロオレフィン、アルキルビニルエーテルおよびカルボン酸ビニルエステルから構成される乳化共重合体ベースの水性塗料組成物が開示されていて、外装用塗装材としては、一応の処、適応し得るものの、基材への付着性ならびに顔料分散性などの面で以て、依然として不充分である。
【0007】
このように、従来技術に従う限りは、高耐久性のフルオロオレフィン・ユニットを主成分とする水性塗料組成物は、とりわけ、顔料分散性に難点があって、どうしても、従来のアクリルスチレン系エマルジョンや、ビニルエステル系エマルジョンなどが保有しているような、高光沢を有する塗膜が得られなかったというのが、実状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、従来技術で以て知られている、フルオロオレフィン系水性塗料組成物の諸性能を、何ら、損なうことなく、顔料分散性、とりわけ、最終塗膜において、高光沢を有するものが得られるような、極めて実用性の高い塗料組成物を提供することが、まさしく、本発明が解決しようとする課題であり、本発明の主たる目的である。
【0009】
【課題を解決する手段】
そこで、本発明者らは、こうした現状に鑑みて、鋭意、検討を重ねた結果、高光沢の塗膜を得るために、すなわち、顔料分散性を向上化せしめるために、塗料組成物中に、スチレン−マレイン酸系共重合体および/またはその誘導体などを含有せしめることによって、上述したような課題を、見事に、達成できることを見出すに及んで、ここに、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、基本的には、必須成分としてフルオロオレフィンを重合し、かつマクロモノマーを用いずに得られるフルオロオレフィン系水性樹脂エマルジョン(A)と、スチレン−マレイン酸系共重合体および/またはその誘導体(B)と、顔料類(C)とを必須成分として含有し、必要に応じて、さらに、ノニオン乳化剤(D)をも含有することから成るか、
【0011】
あるいは、さらには、アクリル系増粘剤(E)をも含有することから成る、水性塗料組成物を提供しようとするものであるし、加えて、こうした形の特定の水性塗料組成物が被覆された物品をも提供しようとするものである。
【0012】
ここにおいて、まず、本発明の水性塗料組成物を構成する、上記したフルオロオレフィン系水性樹脂エマルジョン(A)とは、単量体として、重合性炭素−炭素二重結合を形成する炭素原子に、少なくとも1個のフッ素原子が直接に結合した形の単量体である、いわゆるフルオロオレフィンを必須成分とし、
【0013】
さらに、必要に応じて、その他の共重合性単量体類をも共重合せしめた形の水性樹脂エマルジョンを指称するものであり、たとえば、乳化剤類の存在下に、重合開始剤類を用いて行なわれる、通常の乳化重合によって得られるものである。
【0014】
ここで言う、前記フルオロオレフィンとして特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンまたはクロロトリフルオロエチレンなどである。
【0015】
これらのうちでも、特に望ましいものとしては、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレンおよびフッ化ビニリデンから選ばれる、1種以上のフルオロオレフィン類が挙げられる。より好ましくは、重合時の反応制御の面からも、クロロトリフルオロエチレンの使用である。
【0016】
その他の共重合性単量体類としては、以下のような化合物を、代表的に例示することが出来る。
すなわち、たとえば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、バーサティック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、
【0017】
サリチル酸ビニル、モノクロル酢酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、p−t−ブチル安息香酸ビニルなどをはじめ、さらには、「ベオバ」(オランダ国シェル社製のビニルエステル)の如き、各種のカルボン酸ビニルエステル系単量体類を、まず、掲げることが出来る。
【0018】
これらの上記単量体のうち、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、バーサチック酸ビニル(ネオノナン酸ビニルないしはネオデカン酸ビニル)、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニルまたは「ベオバ」などの、炭素原子数が5以上なる、
【0019】
直鎖状、分枝状ないしは環状アルキル構造を有するカルボン酸のビニルエステルが、最終皮膜の耐候性などを高めるというものである処からも、一層、好適なものである。さらに好ましくは、炭素原子数が6以上のものの使用である。
【0020】
引き続いて、メチル−、エチル−、n−プロピル−、イソプロピル−、n−ブチル−、イソアミル−、n−ヘキシル−、n−オクチル−もしくは2−エチルヘキシル−ビニルエーテルの如き、各種の直鎖状ないしは分枝状のアルキル基を有するアルキルビニルエーテル類;またはシクロペンチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテルもしくはメチルシクロヘキシルビニルエーテルの如き、各種の(アルキル置換された)環状のアルキル基を有するシクロアルキルビニルエーテル類;
【0021】
あるいは、ベンジルビニルエーテルもしくはフェネチルビニルエーテルの如き、各種のアラルキルビニルエーテル類;4−ヒドロキシブチルビニルエーテルの如き、各種のヒドロキシアルキルビニルエーテル類などのような、種々の置換ないしは非置換の、アルキル基またはアラルキル基を有するビニルエーテル類を掲げることが出来る。
【0022】
また、塩化ビニルもしくは塩化ビニリデンまたはエチレン、プロピレン、ブテン−1、i−ブチレン、ヘプテンもしくはヘキセンの如き、各種の(ハロゲン化)オレフィン類であるとか、あるいはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートもしくはシクロヘキシル(メタ)アクリレートの如き、
【0023】
1 〜C8 なる直鎖状、分枝状ないしは環状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸の、各種のアルキルエステル類であるとか、ベンジル(メタ)アクリレートの如き、各種の(置換)芳香核含有(メタ)アクリル酸エステル類などを掲げることが出来る。
【0024】
さらに、スチレン、α−メチルスチレン、p−tert−ブチル−スチレンもしくはp−メチルスチレンの如き、スチレンをはじめ、該スチレンの誘導体類の如き、各種の芳香族ビニル化合物であるとか、マレイン酸、フマル酸もしくはイタコン酸の如き、各種の不飽和二塩基酸類(不飽和ジカルボン酸類)と、1価アルコール類とのジエステル類などであるとか、
【0025】
あるいは、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水マレイン酸もしくは無水イタコン酸の如き、各種の酸無水基含有単量体類と、各種のグリコール類との付加物などのような、種々の不飽和結合含有ヒドロキシアルキルエステルモノカルボン酸類などに代表される、種々のカルボキシル基含有単量体類または二塩基酸類(ジカルボン酸類)などを掲げることが出来る。
【0026】
これらのうちでも、クロトン酸またはイタコン酸の使用が、共重合性の面からも、特に望ましい。酸基含有単量体類を導入するという目的は、水性分散体の安定性を向上化せしめるというためと、最終的に利用される場面での、基材に対する密着性とを向上かせしめるというためとを、主たる目的としたものである。
【0027】
さらにまた、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートまたはポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートの如き、各種の(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル類;
【0028】
あるいは、マレイン酸もしくはフマル酸の如き、各種の多価カルボン酸類のジヒドロキシアルキルエステル類などのような、種々の不飽和基含有ポリヒドロキシアルキルエステル類などで以て代表される、種々の水酸基含有単量体類をも掲げることが出来る。
【0029】
さらには、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−アルコキシメチル化(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドもしくはN−メチロール(メタ)アクリルアミドなどで代表される、各種のカルボン酸アミド基含有単量体類であるとか、p−スチレンスルホンアミド、N−メチル−p−スチレンスルホンアミドもしくはN,N−ジメチル−p−スチレンスルホンアミドなどで代表される、各種のスルホン酸アミド基含有単量体類であるとか、
【0030】
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの如き、各種のN,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート類、または無水マレイン酸の如き、各種の多価カルボン酸無水基含有単量体類と反応しうる活性水素基ならびに3級アミノ基を併せ有する化合物との付加物などで代表される、種々の3級アミノ基含有単量体類であるとか、
【0031】
(メタ)アクリロニトリルなどで以て代表されるような、各種のシアノ基含有単量体類であるとか、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルの如き、各種のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル類と、燐酸エステル類との縮合反応によって得られる、燐酸エステル基を有する単量体類であるとか、あるいは、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の如き、各種のスルホン酸基含有単量体類などをも、挙げることが出来る。
【0032】
加えて、ブタジエン、ヘキサジエン、オクタジエン、デカジエン、テトラデカジエンもしくは2−メチル−オクタジエンまたはデカトリエンなどで代表される、各種のジ−ないしはトリエン類をはじめ、さらには、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレートもしくはトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートまたはジビニルベンゼン、トリビニルベンゼンもしくはジアリルフタレートなどの如き、分子中に重合性不飽和結合を2個以上有する単量体類であるとか、
【0033】
ビニルトリエトキシシラン、トリメトキシシリルビニルエーテル、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランもしくはγ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシランの如き、各種の加水分解性シリル基含有単量体類などをも、挙げることが出来る。
【0034】
これらのうちでも、ヘキサジエン、オクタジエン、デカジエン、テトラデカジエン、2−メチル−オクタジエンおよびデカトリエンよりなる群から選ばれる、1種または2種以上の混合物および/またはビニルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、
【0035】
γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシランもしくはトリス(2−メトキシエトキシ)ビニルシランの如き、各種の加水分解性シリル基含有単量体類で代表されるような、種々の架橋性単量体類の使用が、特に望ましい。
【0036】
こうした架橋性単量体類を導入するのは、耐水性、耐アルカリ性ならびに耐溶剤性などの、いわゆる耐久性を向上化せしめるというためか、あるいは、低いガラス転移点の重合体類であって、その重合体類から得られる皮膜に靱性を持たせるというためかを、主たる目的としているものである。
【0037】
これらの上掲した単量体類は、最終的に得られる共重合体のガラス転移点や、最低造膜温度などを考慮して、適宜、選択して用いられる。好ましくは、カルボン酸ビニルエステル系単量体類、オレフィン類、カルボキシル基含有単量体類および架橋性単量体類からなる、任意の組み合わせである。
【0038】
以上が、本発明における前記(A)成分たる、フルオロオレフィン系水性樹脂エマルジョンを構成する、主要なる原料成分である。
【0039】
本発明における当該フルオロオレフィン系水性樹脂エマルジョン(A)を調製するには、上掲した如き各種の単量体類を、水性媒体中で、かつ、乳化剤類の存在下で、重合開始剤類により、ラジカル重合反応を行なえばよい。
【0040】
かかる乳化剤類は、上掲した各種の単量体類を、水性媒体中に、安定に分散せしめ、しかも、最終の利用態様において、皮膜諸性能を、充分に発揮せしめるために利用されるものであって、好ましくは、フッ素原子を有しないアニオン性乳化剤類および/またはフッ素原子を有しないノニオン性乳化剤類が使用される。当該乳化剤類の具体例としては、次のようなものが挙げられる。
【0041】
すなわち、まず、フッ素原子不含のアニオン性乳化剤類(反応性乳化剤類をも含む。)として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、アルキル(ベンゼン)スルホン酸塩、アルキルサルフェート塩、ポリオキシエチレンアルキルフェノールサルフェート塩、スチレンスルホン酸塩またはビニルサルフェート塩、あるいはそれらの種々の誘導体類などである。
【0042】
ここで言う塩とは、アルカリ金属の水酸化物による塩、あるいはアンモニア、トリエチルアミンなどに代表される、各種の揮発性塩基による塩を指称するものである。これらのうちでも、(置換)アルキル(ベンゼン)スルホン酸塩およびビニルスルホン酸塩よりなる群から選ばれる、1種または2種以上の混合物が好ましい。
【0043】
また、フッ素原子不含のノニオン性乳化剤類(反応性乳化剤類をも含む。)として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン高級脂肪酸エステルまたはエチレンオキサイド−プロピレンオキサイドブロック共重合体、あるいはそれらの種々の誘導体類などであり、これらは、単独使用でも2種以上の併用もよいことは、勿論である。
【0044】
これらのうちでも、ポリオキシエチレン(置換)アルキル(フェノール)エーテル類が、最終的に得られる皮膜諸物性の観点からも、特に望ましい。
ただし、パーフルオロオクタン酸塩などで以て代表されるような、フッ素原子含有乳化剤類の併用までをも、決して、妨げるものではない。
【0045】
これらの乳化剤類の使用量としては、アニオン系とノニオン系乳化剤とを合わせて、単量体類の総量に対して、0.5〜10重量%なる範囲内が適切である。
さらに、これらの乳化剤類との併用の形で以て、ポリカルボン酸類またはスルホン酸塩類よりなる、いわゆる水溶性オリゴマー類や、ポリビニルアルコールもしくはヒドロキシエチルセルロースなどに代表されるような、種々の水溶性高分子物質を、保護コロイド類として用いることが出来る。
【0046】
上記した重合開始剤類としては、乳化重合において、一般的に使用されているようなものであれば、特に限定されるものではない。当該重合開始剤類として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、過酸化水素の如き、各種の水溶性無機過酸化物類;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムもしくは過硫酸ナトリウムの如き、各種の過硫酸塩類;
【0047】
またはクメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイドもしくはt−ブチルハイドロパーオキサイドの如き、各種の有機過酸化物類;アゾビスイソブチロニトリルもしくはアゾビスシアノ吉草酸の如き、各種のアゾ系開始剤類などであり、これらは、単独使用でも2種以上の併用でもよいことは、勿論である。
【0048】
当該重合開始剤類の使用量としては、総単量体量に対して、大約0.1〜大約2重量%なる範囲内が適切である。なお、これらの重合開始剤類と、金属イオン類および還元剤類との併用によるような、いわゆるレドックス重合法によっても、一向に、差し支えは無い。
【0049】
かかる還元剤類として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、ナトリウムビサルファイト、ナトリウムメタビサルファイト、ナトリウムビチオサルフェート、ナトリウムハイドロサルフェート、スルホキシル酸ホルムアルデヒドナトリウムまたは還元糖などであるし、
【0050】
また、上記金属イオン類として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、硫酸銅、塩化第2鉄、硫酸第2鉄または硝酸銀などである。さらには、公知慣用の、各種の連鎖移動剤類をも併用することが出来る。
【0051】
前記したフルオロオレフィン系水性樹脂エマルジョン(A)は、水性媒体中で、好ましくは、イオン交換水と乳化剤類との共存下において、まず、単量体類混合物をそのまま、あるいは、乳化した状態で以て、一括で以てまたは分割して、あるいは連続的に、反応容器中に滴下して、
【0052】
前記した重合開始剤類の存在下に、大約1〜大約100kg/cm2 なるゲージ圧で、かつ、大約50℃〜大約150℃なる反応温度で重合反応を行なえばよい。場合によっては、それ以上の圧力下に、あるいは、それ以下の温度条件で以て、重合せしめるようにしても、何ら、差し支えが無い。
【0053】
総単量体(単量体類総量)中に含まれる前記したフルオロオレフィン系単量体類の使用量としては、概ね、30重量%以上であることが必要である。それ未満の場合には、どうしても、最終的に得られる塗膜の耐久性の面などで、満足し得ないものとなるからである。
【0054】
また、総単量体量と水との比率としては、最終固形分含有量が大約1〜大約60重量%なる範囲内、好ましくは、15〜55重量%なる範囲内となるように設定すべきである。
【0055】
なお、乳化重合を実施するに当たって、粒子径を成長せしめるため、あるいは制御せしめるために、予め、水相中に、エマルジョン粒子を存在させた状態で以て、重合させてもよいことは、勿論である。
【0056】
ここにおいて用いられる、水性媒体中の水としては、基本的には、イオン交換水が用いられるが、その使用量としては、水性媒体中の大約70重量%以上となるような量である。ここで、残りの大約30重量%未満の部分には、有機溶剤類が併用されてもよい。
【0057】
重合反応は、系中のpHが、概ね、1.0〜7.0なる範囲内で以て進行させればよい。その際のpHの調節は、燐酸二ナトリウムやボラックスなどの、あるいは、炭酸水素ナトリウムやアンモニアなどの、いわゆるpH緩衝剤類を用いて行なえばよい。
【0058】
それ以上のpH条件での製造も可能ではあるが、特殊なる利用条件においては、塗膜を形成させた場合に、ともすると、耐水性や耐アルカリ性などを欠如した性能を与えることにもなり兼ねないものと理解すべきであろう。
【0059】
このようにして得られる、当該フルオロオレフィン系水性樹脂エマルジョン(A)に対しては、引き続き、エマルジョン粒子中に残存している、未反応のガス状単量体類を除去せしめるという操作を施してもよい。
【0060】
かくして得られる、当該フルオロオレフィン系水性樹脂エマルジョン(A)としては、架橋性単量体類を有しない状態に換算して、概ね、数平均分子量が5,000〜1,000,000なる範囲内であり、重量平均分子量が、概ね、10,000〜3,000,000なる範囲内であり、かつ、最低造膜温度が、概ね、−30℃〜60℃となるような範囲内が適切である。また、その粒子径としては、概ね、0.02〜0.5ミクロン(μm)なる範囲内が適切である。
【0061】
次いで、本発明における第二の成分とも言うべき、前記したスチレン−マレイン酸系共重合体および/またはその誘導体(B)とは、塗料組成物中の顔料分散性ならびに塗料安定性などに着効を示すものである。
【0062】
かかるスチレン−マレイン酸系共重合体および/またはその誘導体(B)としては、スチレンとマレイン酸からなるものであり、さらにフマル酸もしくはイタコン酸などに代表される各種の不飽和二塩基酸類(不飽和ジカルボン酸類)をはじめ、
【0063】
無水マレイン酸もしくは無水イタコン酸等に代表されるような、各種の酸無水物と各種アルコール類との付加物などのような、種々の不飽和結合含有ヒドロキシアルキルエステルカルボン酸類などを、必要に応じて併用することができる。
【0064】
上記以外の共重合可能な単量体としては、前記したフルオロオレフィン系水性樹脂エマルジョン(A)を調製するに当たり使用される各種単量体類から、
【0065】
上記した不飽和二塩基酸類(不飽和ジカルボン酸類)、上記した不飽和結合含有ヒドロキシアルキルエステルカルボン酸類等を除いたものである。
【0066】
当該スチレン−マレイン酸系共重合体および/またはその誘導体(B)としては、たとえばスチレンおよび/またはその誘導体と、マレイン酸からなるものであり、さらにマレイン酸の誘導体たるマレイン酸モノアルキルエステルもしくはマレイン酸ジアルキルエステルなどによって代表されるような各種の不飽和二塩基酸類(不飽和ジカルボン酸)と、1価アルコール類とのモノ−、ないしはジエステル類(ハーフエステル類)などと、
【0067】
さらにはまた、その他の共重合可能なる他の単量体類との共重合体や、こうして得られる各種の共重合体に対して、さらに、各種のアルコール類を反応せしめることによって得られるモノ―ないしはジエステル類などであり、就中、スチレン−マレイン酸系共重合体および/またはその誘導体の使用が、特に望ましいものである。
【0068】
その際の重合方法としては、塊状重合、溶液重合またはエマルジョン重合などがあるが、就中、溶液重合によるのが、特に望ましい。
共重合せしめることによって得られる、当該二塩基酸系共重合体および/またはその誘導体は、アンモニアまたはアミン類、あるいは水酸化ナトリウムなどのような、種々の塩基性化合物で以て中和し、水に溶解せしめた状態で用いるのがよい。
【0069】
また、本発明の目的を逸脱しないような範囲内で、あるいは、本発明の効果を損なわないような範囲内で、他の顔料分散剤を併用してもよいことは、勿論である。
【0070】
そうした形の、他の顔料分散剤として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、トリポリ燐酸ナトリウムもしくはトリポリ燐酸カリウムまたはナフタレンスルフォン酸塩などであるし、さらには、前記したアニオン乳化剤類またはポリ(メタ)アクリル酸系分散剤などである。
【0071】
次には、本発明における第三の成分とも言うべき、前記した顔料類(C)として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、酸化チタン、マイカ、タルク、クレー、沈降性硫酸バリウム、シリカ末、炭酸カルシウム、酸化鉄、酸化亜鉛、アルミ末またはカーボンブラックの如き、各種の無機顔料類;
【0072】
アゾ系、フタロシアニン系またはキナクリドン系の如き、各種の有機顔料類;あるいは、種々のプラスチック顔料類などである。それぞれの最終目的に応じて、適宜、選択して使用される。
【0073】
以上のような、それぞれ、(A)成分、(B)成分および(C)成分の配合比率としては、固形分比率で、概ね、(A)成分の100重量部に対して、(B)成分が1〜10重量部となるような範囲内が、そして、(C)成分が1〜200重量部となるような範囲内が適切である。
【0074】
さらに、本発明の水性塗料組成物には、必要に応じて、ノニオン乳化剤(D)をも、あるいは、該ノニオン乳化剤(D)のほかにも、さらには、アクリル系増粘剤(E)をも配合せしめることが出来る。
【0075】
その際に用いられる、上記ノニオン乳化剤(D)として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシアルキレンスチレン化フェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルまたはポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル、
【0076】
あるいは、それらの種々の誘導体類などであり、これらは単独使用でも2種以上の併用もよいことは勿論である。
中でも、ポリオキシアルキレンスチレン化フェノールエーテルは、とりわけ、顔料分散性ならびに低泡性などの面からも、特に望ましい。
【0077】
次いで、前記したアクリル系増粘剤(E)として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、ポリビニルピロリドン系増粘剤またはポリカルボン酸系増粘剤類などである。これらのうちでも、ポリカルボン酸系増粘剤類が、本発明において用いられる、前述したフルオロオレフィン系水性樹脂エマルジョンとの配合時の安定性などの観点からも、特に望ましい。
【0078】
また、本発明の目的を逸脱しないような範囲内で、あるいは、本発明の効果を損なわないような範囲内で、他の増粘剤を使用してもよい。こうした形の、他の増粘剤として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、ヒドロキシエチルセルロースまたはカルボキシメチルセルロースなどで代表されるような、各種のセルロース系増粘剤類、あるいはウレタン系増粘剤類などである。
【0079】
これらのほかにも、塗料化に際して、必要なる各種の添加剤類としての、たとえば、造膜助剤類、湿潤剤類、チクソ化剤類、紫外線吸収剤類、酸化防止剤類、撥水剤類、凍結防止剤類、防腐・防ばい剤類あるいは消泡剤類などもまた、得られる塗膜の諸性能を考慮しつつ、適宜、選択して使用することが出来る。
【0080】
配合方法は、特に限定はないが、フルオロオレフィン系水性樹脂エマルジョン(A)と、スチレン−マレイン酸系共重合体および/またはその誘導体(B)と、顔料類(C)と、ノニオン乳化剤(D)およびアクリル系増粘剤(E)のうち、
【0081】
予め、(B)成分の一部または全部を用い、(C)成分を分散させたのちに、(A)成分を、あるいは、(A)成分と(E)成分とを添加せしめる、という方法によるのが、特に望ましい。
【0082】
その際においては、(D)成分は、(B)成分と併用するようにするか、予め、(D)成分の一部または全部を、(A)成分に添加しておいて、用いるという方法によるのが、特に望ましい。
【0083】
かくして、本発明の水性塗料組成物が得られるが、当該水性塗料組成物を、各種の基材に、塗布ないしは塗装するに当たっての適用方法としては、特に制限されるものではないが、そのうちの特に望ましい一例を述べることにすれば、刷毛塗り、ローラー塗装、スプレー塗装またはロールコーター塗装、あるいはシャワリング塗装などが挙げられ、かかる方法によるのが、特に望ましい。
【0084】
その際の、特に、建築現場施工用としては、造膜助剤類を添加した状態での最低造膜温度が、大約0℃以下なる塗料の使用が望ましく、塗装法としては、刷毛塗り、ローラー塗装またはスプレー塗装などの方法によるのが、特に望ましい。
【0085】
瓦の如き、各種の屋根材や、壁材などにおける、いわゆる工場ライン塗装用としては、一般的に行なわれている加熱強制乾燥法に従い、その乾燥条件に応じて、造膜助剤類を添加した状態での最低造膜温度が、概ね、60℃以下、好ましくは、50℃以下なる塗料を選択して用いるのが望ましく、
【0086】
塗装法としては、ロールコーター塗装、ローラー塗装、スプレー塗装またはシャワリング塗装をはじめ、さらには、フローコーター塗装とか、ディッピングなどの浸漬塗装などのような、公知慣用の種々の方法によるのが、特に望ましい。
【0087】
こうした現場施工用と、工場ライン塗装ないしは加熱強制乾燥ライン塗装用とを問わず、大約60℃以上の温度、実質的には、大約200℃以下の温度の雰囲気下において行なうべく、被覆後において、必要に応じて、セッティング時間を経た上で、加熱乾燥によるということは、
【0088】
とりわけ、造膜性ないしは成膜性を、一層、強固なものにし、ひいては、塗膜の長期耐久性などを確保するためにも、さらには、ブロッキングを、極力、低減化せしめたり、耐汚染性などをも確保したりするためにも、特に望ましい。
【0089】
また、基材の上に、直接、上掲した如き水性塗料組成物を、1コートで以て、あるいは、重ね塗りで以て、塗布してもよいし、さらには、アクリル系、アクリル−スチレン共重合体系、アクリル−ウレタン併用系、シリコン−アクリル併用系、エポキシ系、ウレタン系またはシリコン系などの、
【0090】
概して、耐アルカリ性などの良好なるバインダーを含んだ形の塗材を下塗りとした、その上に、トップコートとして、上掲した如き水性塗料組成物を、塗装せしめることによって、塗装システム全体の、耐候性などの改善向上化を図るようにしてもよい。
【0091】
かかる各塗装システムのいずれによった場合においても、本発明の水性塗料組成物の乾燥膜厚としては、大約5μm以上が適切である。大約5μm未満の場合には、どうしても、皮膜の長期耐久性などが、不充分となり易いというためである。
【0092】
本発明によれば、とりわけ、顔料分散性などに優れる皮膜を得ることが出来るというものであり、その結果として、とりわけ、高光沢などを有する被膜を得ることが出来るというものである。
【0093】
本発明において、基材として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、セメントモルタル、セメントコンクリート、ALC(軽量コンクリート)、アスベストコンクリート、木質セメント板または珪酸カルシウム板などのように、アルカリ物質を水和結晶化せしめることによって調製させる、いわゆる硬化体コンクリート躯体などであって、
【0094】
主として、壁材または屋根材などのような材料類が、特に代表的なものである。これらの基材のほかに、さらに、金属類、プラスチック類、木材類、ガラス類、紙類または繊維類などに対しても、適用し、利用することが出来る。
【0095】
本発明に係る水性塗料組成物は、とりわけ、高光沢を有する被膜を形成することが出来るという処から、外装ないしは内装用の水性塗料組成物として、さらには、金属類、プラスチック類、木材類、無機質基材類、紙類あるいは繊維類などに対する被覆剤としても、あるいは、各種の処理剤としても、使用することが出来る。
【0096】
【実施例】
次に、本発明を、参考例、実施例および比較例により、一層、具体的に説明することにするが、本発明は、これらの例のみに、決して、限定されるものではない。なお、以下において、部および%とあるのは、特に断りの無い限り、すべて重量基準であるものとする。
【0097】
参考例1〔フルオロオレフィン系水性樹脂エマルジョン(A)の調製例〕
攪拌装置、窒素導入管、温度計および温度調節装置を備えた、2リットルのステンレス製耐圧反応容器(オートクレーブ)の系内を、窒素ガスで以て、充分に置換して、イオン交換水の800部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの20部およびポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルの20部と、pH緩衝剤としての、ボラックス(硼砂)の10部とを仕込んで、溶解せしめた。
【0098】
次いで、ここへ、酢酸ビニルの200部およびヘキサジエンの10部を加え、さらに、ネオノナン酸ビニルの280部、クロトン酸の10部および液化捕集したクロロトリフルオロエチレンの500部をも加えた。
【0099】
しかるのち、エチレンガスを、15kg/cm2 になるまで圧入せしめた。オートクレーブの内温を、80℃になるまで昇温した。この時に、反応時の系内圧力が、ほぼ30kg/cm2 となるように、エチレンガスを調節した。
【0100】
次いで、同温度で、過硫酸カリウムの5部を、200部のイオン交換水に溶解した形の触媒水溶液を、反応容器中に、3時間に亘って圧入した。かかる触媒水溶液の添加後も、同温度に、10時間のあいだ保持して重合反応を進行させることによって、目的とするフルオロオレフィン系水性樹脂エマルジョンを得た。
【0101】
反応中のpHは3.5で以て進行した。反応中に、単量体類の消費に伴って、系中の圧力が下降して行くが、その都度、エチレンの導入によって、反応系の圧力を、30kg/cm2 に保持するようにした。
【0102】
反応終了後は、室温にまで冷却してから、14%アンモニア水を、pHが、ほぼ7.5になるまで添加し、さらに、シリコン系消泡剤をも添加して、よく攪拌した。
【0103】
しかるのち、系内圧力を常圧にまで戻し、さらに、減圧下において、分散体中に溶解している、未反応のガスを留去せしめた。かくして得られた分散体は、不揮発分が52.0%で、pHが7.2で、最低造膜温度が38℃であり、かつ、平均粒子径が0.08μmなる、白色のフルオロオレフィン系水性樹脂エマルジョンであった。以下、これをベース樹脂成分(A−1)と略称する。
【0104】
此の樹脂成分(A−1)は、元素分析、イオンクロマト分析、赤外吸収スペクトルならびに熱分解ガスクロマトグラフィーによる組成分析によって、フルオロオレフィンの含有率が約47重量%なるものであることが確認された。
【0105】
参考例2(同上)
クロロトリフルオロエチレンに変えるに、ヘキサフルオロプロピレンを用いるように変更した以外は、参考例1と同様にして、目的とするフルオロオレフィン系水性樹脂エマルジョンを得た。
【0106】
此の水性樹脂分散体は、不揮発分が50.0%で、pHが7.0で、最低造膜温度が28℃で、かつ、平均粒子径が1.1ミクロンなる、白色のフルオロオレフィン系水性樹脂エマルジョンであった。以下、これをベース樹脂成分(A−2)と略称する。
【0107】
此の樹脂成分(A−2)は、元素分析、イオンクロマト分析、赤外吸収スペクトルならびに熱分解ガス・クロマト・グラフィーによる組成分析によって、フルオロオレフィンの含有率が約50重量%なるものものであることが確認された。
【0108】
実施例1〜3ならびに比較例1および2
参考例1および2で得られた、(A−1)および(A−2)なるそれぞれのベース樹脂成分を、不揮発分が45%となるように希釈し、次いで、下記されるような配合割合で以て、各種の水性塗料組成物を得た。
【0109】
また、下記の各種水性塗料組成物を塗布し、応用試験を行った。それらの結果は、まとめて、第1表に示す。
【0110】
スチレン−マレイン酸系共重合体および/またはその誘導体:「DKS−ディスコートN−14」〔第一工業製薬(株)〕
【0111】
顔料類(酸化チタン):
「タイペーク CR−50]〔石原産業(株)製品〕
【0112】
アクリル系増粘剤類(ポリカルボン酸系の高分子増粘剤類):
「プライマル TT−935」(米国ローム・アンド・ハース製品)
【0113】
造膜助剤類:
「テキサノール」(米国イーストマン・ケミカル社製の2,2,4―トリメチルペンタン―1,3―ジオールイソブチレート)
【0114】
消泡剤:
「SNディフォーマー373」〔サンノプコ(株)製品〕
【0115】
ノニオン乳化剤:
「エマルゲン A−500もしくはA−60]〔花王(株)製品〕
【0116】
顔料分散剤:
「デモール NL」〔花王(株)製品〕
【0117】
塗料配合 I
【0118】
Figure 0003635434
【0119】
Figure 0003635434
【0120】
Figure 0003635434
【0121】
Figure 0003635434
【0122】
塗料不揮発分=53〜45%
【0123】
塗料配合 II
【0124】
16部の「DKS−ディスコ−トN−14」の使用の代わりに、12部の此の「DKS−ディスコートN−14」と、「エマルゲン A−500」の1部と、「エマルゲン A−60」の1部とを用いるように変更した以外は、つまり、
【0125】
前掲の塗料配合Iの場合における、(*)印の部分を、下記のように変更した以外は、該配合Iと同様にして行なうという形のものを、此の配合IIとした。
【0126】
Figure 0003635434
【0127】
Figure 0003635434
【0128】
Figure 0003635434
【0129】
塗料配合III
【0130】
16部の「DKS−ディスコ−トN−14」の使用の代わりに、それぞれ、3.5部の「デモール NL」と、4.4部の10%トリポリ燐酸カリウムとを用いるように変更した以外は、つまり、
【0131】
前掲の塗料配合Iの場合における(*)印の部分を、下記のように変更した以外は、該配合Iと同様にして行なうという形のものを、此の配合IIIとした。
【0132】
Figure 0003635434
【0133】
Figure 0003635434
【0134】
Figure 0003635434
【0135】
なお、上記した、それぞれの塗料配合の際の、つまり、塗料配合I、塗料配合IIおよび塗料配合IIIの際の総量は、いずれも、「472.7+水量」として、統一されている。
【0136】
次いで、かくして得られた、それぞれの塗料組成物を、スレート板上に、下記の(1)または(2)なる塗工法で以て塗装し、乾燥を行なって、各種の試験に供した。それらの試験結果は、まとめて、第1表に示す。
【0137】
なお、それぞれの塗料組成物自体の安定性についてもまた、試験結果を、まとめて、第1表に併記した。
【0138】
塗工法(1)…刷毛により、合計の塗布量が200g/m2 となるように、作製した塗料組成物を、2回に分けて塗布したのち、室温に、14日間のあいだ放置して乾燥せしめるという方法。
【0139】
塗工法(2)…予め、60℃に余熱したスレート板に、シーラーとして、エポキシ樹脂の水分散体である「エピクロン EM−85−75W」[大日本インキ化学工業(株)製品]を、水で以て、20%にまで希釈せしめたものを、スプレーにより、塗布量が100g/m2 となるよう塗布してから、60℃で、5分間のあいだ乾燥させ、さらに、その上に、作製した塗料組成物を、スプレーにより、塗布量が200g/m2 となるように塗布したのち、60℃で、20分間のあいだ乾燥させ、しかるのち、室温に、7日間のあいだ放置して乾燥せしめるという方法。
【0140】
【表1】
Figure 0003635434
【0141】
《第1表の脚注》
配合としては、顔料体積濃度(PVC)が15容量%となるようにした。
【0142】
なお、フルオロオレフィン系共重合体の固形分の比重を1.5とし、かつ、酸化チタンの比重を4.2として、計算したものである。
【0143】
塗料は、配合後において、14%アンモニア水により、pHを8とすることによって、pHと系の粘度とを、調節せしめたものである。
【0144】
光沢値は、村上式光沢計を用いての、60度グロス値(つまり、60度鏡面反射率)で以て表示した。
【0145】
また、促進耐候性は、デュー・パネル光コントロールウェザーメーターにて、5,000時間に及ぶ曝露(促進耐候試験)を行なったのちの、それぞれの塗膜の外観を、目視により判定したものである。
【0146】
なお、此の促進耐候性の評価判定基準は、次に通りである。
◎………外観上、全く、異状のないもの
△………塗膜に、艶引けが認められるもの
×………塗膜に、ふくれ、はがれ、あるいは白化が認められるもの
【0147】
さらに、塗料安定性は、それぞれの塗料を、室温に、1カ月のあいだ保存したのちの変化の状態を、目視により判定したものである。
【0148】
なお、此の塗料安定性の評価判定基準は、次に通りである。
◎………塗料の沈降または凝集の、全く、認められないもの
△………塗料の沈降または凝集が、僅かに、認められるもの
×………塗料の沈降または凝集が、顕著に、認められるもの
【0149】
このように、フルオロオレフィン系水性樹脂エマルジョンを主体とする、本発明の水性塗料組成物を用いて得られる皮膜(塗膜)は、いずれれの試験に対しても、悉く、満足し得る性能を有するものであることが知れよう。
【0150】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る水性塗料組成物は、従来技術に従って得られる塗料組成物に比して、とりわけ、顔料分散性などに優れるというものであり、したがって、高光沢を有する被膜を形成することが出来るという、極めて実用性の高いものである。

Claims (4)

  1. 必須成分としてフルオロオレフィンを重合し、かつマクロモノマーを用いずに得られるフルオロオレフィン系水性樹脂エマルジョン(A)と、スチレン−マレイン酸共重合体および/またはその誘導体(B)と、顔料類(C)とを必須成分として含有することを特徴とする、水性塗料組成物。
  2. さらに、ノニオン乳化剤(D)をも含有することを特徴とする、請求項1記載の水性塗料組成物。
  3. さらに、ノニオン乳化剤(D)およびアクリル系増粘剤(E)をも含有することを特徴とする、請求項1記載の水性塗料組成物。
  4. 請求項1〜3いずれか記載の水性塗料組成物が被覆された物品。
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