JPH07173427A - フッ素樹脂水性塗料組成物ならびにそれが被覆された物品 - Google Patents

フッ素樹脂水性塗料組成物ならびにそれが被覆された物品

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JPH07173427A
JPH07173427A JP32204993A JP32204993A JPH07173427A JP H07173427 A JPH07173427 A JP H07173427A JP 32204993 A JP32204993 A JP 32204993A JP 32204993 A JP32204993 A JP 32204993A JP H07173427 A JPH07173427 A JP H07173427A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高光沢の皮膜ないしは被膜を与える、極めて
実用性の高い塗料を得るべく、フルオロオレフィン系水
性樹脂エマルジョンを主成分とする塗料組成物中への、
顔料類の分散化を補助するという、いわゆる顔料分散剤
を開発すること、そして、その結果として得られる、顔
料分散性などに優れるという、特定の顔料分散剤を使用
した形の、フルオロオレフィン系水性樹脂エマルジョン
塗料を開発することを目的とするものである。 【構成】 二塩基酸系共重合体および/またはその誘導
体を、上記した形の、特定の顔料分散剤を特徴的な成分
とし、フルオロオレフィン系水性樹脂エマルジョンと、
当該二塩基酸系共重合体および/またはその誘導体と、
顔料類とを、必須の成分として含有することから成る、
水性塗料組成物;ならびに、それが被覆された物品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フルオロオレフィン系
水性樹脂エマルジョン(フルオロオレフィン系共重合体
エマルジョン)を含有する、新規にして有用なる、水性
塗料組成物ならびに該水性塗料組成物が被覆された物品
に関する。
【0002】さらに詳細には、本発明は、フルオロオレ
フィン系水性樹脂エマルジョンを主成分とし、顔料類
の、塗料組成物中への分散を補助せしめる目的で以て、
特定の樹脂を、顔料類と共に用いることから成る、極め
て実用性の高い水性塗料組成物と、その水性塗料組成物
で以て被覆された物品とに関する。
【0003】
【従来の技術】外装用被覆材の分野において、近年、長
期間に亘って、劣化や変退色などの無いような、極めて
実用性の高い被覆材への要求が大である。
【0004】このような用途を主目的として、近年は、
フルオロオレフィン系共重合体の水性エマルジョンをベ
ースとする形の水性塗料組成物が検討されている。
【0005】しかしながら、かかるフルオロオレフィン
系共重合体エマルジョンは、従来のアクリルスチレン系
エマルジョンや、ビニルエステル系エマルジョンなどに
比して、配合面での制約があり、特に、高顔料濃度で以
て塗料配合を行うということになると、どうしても、光
沢が出にくい、という欠点を有していた。
【0006】ところで、特開昭61−261367号公
報明細書には、上述したような問題点を解決せしめる方
法として、フルオロオレフィン、アルキルビニルエーテ
ルおよびカルボン酸ビニルエステルから構成される乳化
共重合体ベースの水性塗料組成物が開示されていて、外
装用塗装材としては、一応の処、適応し得るものの、基
材への付着性ならびに顔料分散性などの面で以て、依然
として不充分である。
【0007】このように、従来技術に従う限りは、高耐
久性のフルオロオレフィン・ユニットを主成分とする水
性塗料組成物は、とりわけ、顔料分散性に難点があっ
て、どうしても、従来のアクリルスチレン系エマルジョ
ンや、ビニルエステル系エマルジョンなどが保有してい
るような、高光沢を有する塗膜が得られなかったという
のが、実状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】したがって、従来技術
で以て知られている、フルオロオレフィン系水性塗料組
成物の諸性能を、何ら、損なうことなく、顔料分散性、
とりわけ、最終塗膜において、高光沢を有するものが得
られるような、極めて実用性の高い塗料組成物を提供す
ることが、まさしく、本発明が解決しようとする課題で
あり、本発明の主たる目的である。
【0009】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
こうした現状に鑑みて、鋭意、検討を重ねた結果、高光
沢の塗膜を得るために、すなわち、顔料分散性を向上化
せしめるために、塗料組成物中に、スチレン−マレイン
酸系共重合体および/またはその誘導体などに代表され
る、特定の二塩基酸系共重合体を含有せしめることによ
って、上述したような課題を、見事に、達成できること
を見出すに及んで、ここに、本発明を完成させるに到っ
た。
【0010】すなわち、本発明は、基本的には、フルオ
ロオレフィン系水性樹脂エマルジョン(A)と、二塩基
酸系共重合体および/またはその誘導体(B)と、顔料
類(C)とを必須成分として含有し、必要に応じて、さ
らに、ノニオン乳化剤(D)をも含有することから成る
か、
【0011】あるいは、さらには、アクリル系増粘剤
(E)をも含有することから成る、水性塗料組成物を提
供しようとするものであるし、加えて、こうした形の特
定の水性塗料組成物が被覆された物品をも提供しようと
するものである。
【0012】ここにおいて、まず、本発明の水性塗料組
成物を構成する、上記したフルオロオレフィン系水性樹
脂エマルジョン(A)とは、単量体として、重合性炭素
−炭素二重結合を形成する炭素原子に、少なくとも1個
のフッ素原子が直接に結合した形の単量体である、いわ
ゆるフルオロオレフィンを必須成分とし、
【0013】さらに、必要に応じて、その他の共重合性
単量体類をも共重合せしめた形の水性樹脂エマルジョン
を指称するものであり、たとえば、乳化剤類の存在下
に、重合開始剤類を用いて行なわれる、通常の乳化重合
によって得られるものである。
【0014】ここで言う、前記フルオロオレフィンとし
て特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、フッ
化ビニル、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレ
ン、ヘキサフルオロプロピレンまたはクロロトリフルオ
ロエチレンなどである。
【0015】これらのうちでも、特に望ましいものとし
ては、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロ
エチレンおよびフッ化ビニリデンから選ばれる、1種以
上のフルオロオレフィン類が挙げられる。より好ましく
は、重合時の反応制御の面からも、クロロトリフルオロ
エチレンの使用である。
【0016】その他の共重合性単量体類としては、以下
のような化合物を、代表的に例示することが出来る。す
なわち、たとえば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、
酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプ
ロン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、バーサテ
ィック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニ
ル、
【0017】サリチル酸ビニル、モノクロル酢酸ビニ
ル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、p−t−ブチル
安息香酸ビニルなどをはじめ、さらには、「ベオバ」
(オランダ国シェル社製のビニルエステル)の如き、各
種のカルボン酸ビニルエステル系単量体類を、まず、掲
げることが出来る。
【0018】これらの上記単量体のうち、ピバリン酸ビ
ニル、カプロン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニ
ル、バーサチック酸ビニル(ネオノナン酸ビニルないし
はネオデカン酸ビニル)、ラウリン酸ビニル、ステアリ
ン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニルまたは
「ベオバ」などの、炭素原子数が5以上なる、
【0019】直鎖状、分枝状ないしは環状アルキル構造
を有するカルボン酸のビニルエステルが、最終皮膜の耐
候性などを高めるというものである処からも、一層、好
適なものである。さらに好ましくは、炭素原子数が6以
上のものの使用である。
【0020】引き続いて、メチル−、エチル−、n−プ
ロピル−、イソプロピル−、n−ブチル−、イソアミル
−、n−ヘキシル−、n−オクチル−もしくは2−エチ
ルヘキシル−ビニルエーテルの如き、各種の直鎖状ない
しは分枝状のアルキル基を有するアルキルビニルエーテ
ル類;またはシクロペンチルビニルエーテル、シクロヘ
キシルビニルエーテルもしくはメチルシクロヘキシルビ
ニルエーテルの如き、各種の(アルキル置換された)環
状のアルキル基を有するシクロアルキルビニルエーテル
類;
【0021】あるいは、ベンジルビニルエーテルもしく
はフェネチルビニルエーテルの如き、各種のアラルキル
ビニルエーテル類;4−ヒドロキシブチルビニルエーテ
ルの如き、各種のヒドロキシアルキルビニルエーテル類
などのような、種々の置換ないしは非置換の、アルキル
基またはアラルキル基を有するビニルエーテル類を掲げ
ることが出来る。
【0022】また、塩化ビニルもしくは塩化ビニリデン
またはエチレン、プロピレン、ブテン−1、i−ブチレ
ン、ヘプテンもしくはヘキセンの如き、各種の(ハロゲ
ン化)オレフィン類であるとか、あるいはメチル(メ
タ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチ
ル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)
アクリレートもしくはシクロヘキシル(メタ)アクリレ
ートの如き、
【0023】C1 〜C8 なる直鎖状、分枝状ないしは環
状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸の、各種の
アルキルエステル類であるとか、ベンジル(メタ)アク
リレートの如き、各種の(置換)芳香核含有(メタ)ア
クリル酸エステル類などを掲げることが出来る。
【0024】さらに、スチレン、α−メチルスチレン、
p−tert−ブチル−スチレンもしくはp−メチルス
チレンの如き、スチレンをはじめ、該スチレンの誘導体
類の如き、各種の芳香族ビニル化合物であるとか、マレ
イン酸、フマル酸もしくはイタコン酸の如き、各種の不
飽和二塩基酸類(不飽和ジカルボン酸類)と、1価アル
コール類とのジエステル類などであるとか、
【0025】あるいは、(メタ)アクリル酸、クロトン
酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン
酸、無水マレイン酸もしくは無水イタコン酸の如き、各
種の酸無水基含有単量体類と、各種のグリコール類との
付加物などのような、種々の不飽和結合含有ヒドロキシ
アルキルエステルモノカルボン酸類などに代表される、
種々のカルボキシル基含有単量体類または二塩基酸類
(ジカルボン酸類)などを掲げることが出来る。
【0026】これらのうちでも、クロトン酸またはイタ
コン酸の使用が、共重合性の面からも、特に望ましい。
酸基含有単量体類を導入するという目的は、水性分散体
の安定性を向上化せしめるというためと、最終的に利用
される場面での、基材に対する密着性とを向上かせしめ
るというためとを、主たる目的としたものである。
【0027】さらにまた、2−ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)ア
クリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ
ート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3
−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロ
キシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒ
ドロキシプロピル(メタ)アクリレートまたはポリエチ
レングリコールモノ(メタ)アクリレートの如き、各種
の(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル
類;
【0028】あるいは、マレイン酸もしくはフマル酸の
如き、各種の多価カルボン酸類のジヒドロキシアルキル
エステル類などのような、種々の不飽和基含有ポリヒド
ロキシアルキルエステル類などで以て代表される、種々
の水酸基含有単量体類をも掲げることが出来る。
【0029】さらには、(メタ)アクリルアミド、N,
N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−アルコキシ
メチル化(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリル
アミドもしくはN−メチロール(メタ)アクリルアミド
などで代表される、各種のカルボン酸アミド基含有単量
体類であるとか、p−スチレンスルホンアミド、N−メ
チル−p−スチレンスルホンアミドもしくはN,N−ジ
メチル−p−スチレンスルホンアミドなどで代表され
る、各種のスルホン酸アミド基含有単量体類であると
か、
【0030】N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)ア
クリレートの如き、各種のN,N−ジアルキルアミノア
ルキル(メタ)アクリレート類、または無水マレイン酸
の如き、各種の多価カルボン酸無水基含有単量体類と反
応しうる活性水素基ならびに3級アミノ基を併せ有する
化合物との付加物などで代表される、種々の3級アミノ
基含有単量体類であるとか、
【0031】(メタ)アクリロニトリルなどで以て代表
されるような、各種のシアノ基含有単量体類であると
か、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルの
如き、各種のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸のヒ
ドロキシアルキルエステル類と、燐酸エステル類との縮
合反応によって得られる、燐酸エステル基を有する単量
体類であるとか、あるいは、2−アクリルアミド−2−
メチルプロパンスルホン酸の如き、各種のスルホン酸基
含有単量体類などをも、挙げることが出来る。
【0032】加えて、ブタジエン、ヘキサジエン、オク
タジエン、デカジエン、テトラデカジエンもしくは2−
メチル−オクタジエンまたはデカトリエンなどで代表さ
れる、各種のジ−ないしはトリエン類をはじめ、さらに
は、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロ
ピレングリコールジ(メタ)アクリレートもしくはトリ
メチロールプロパントリ(メタ)アクリレートまたはジ
ビニルベンゼン、トリビニルベンゼンもしくはジアリル
フタレートなどの如き、分子中に重合性不飽和結合を2
個以上有する単量体類であるとか、
【0033】ビニルトリエトキシシラン、トリメトキシ
シリルビニルエーテル、γ−(メタ)アクリロイルオキ
シプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロ
イルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メ
タ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランも
しくはγ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチル
ジエトキシシランの如き、各種の加水分解性シリル基含
有単量体類などをも、挙げることが出来る。
【0034】これらのうちでも、ヘキサジエン、オクタ
ジエン、デカジエン、テトラデカジエン、2−メチル−
オクタジエンおよびデカトリエンよりなる群から選ばれ
る、1種または2種以上の混合物および/またはビニル
トリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシ
プロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイ
ルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、
【0035】γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピル
トリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシ
プロピルメチルジエトキシシランもしくはトリス(2−
メトキシエトキシ)ビニルシランの如き、各種の加水分
解性シリル基含有単量体類で代表されるような、種々の
架橋性単量体類の使用が、特に望ましい。
【0036】こうした架橋性単量体類を導入するのは、
耐水性、耐アルカリ性ならびに耐溶剤性などの、いわゆ
る耐久性を向上化せしめるというためか、あるいは、低
いガラス転移点の重合体類であって、その重合体類から
得られる皮膜に靱性を持たせるというためかを、主たる
目的としているものである。
【0037】これらの上掲した単量体類は、最終的に得
られる共重合体のガラス転移点や、最低造膜温度などを
考慮して、適宜、選択して用いられる。好ましくは、カ
ルボン酸ビニルエステル系単量体類、オレフィン類、カ
ルボキシル基含有単量体類および架橋性単量体類からな
る、任意の組み合わせである。
【0038】以上が、本発明における前記(A)成分た
る、フルオロオレフィン系水性樹脂エマルジョンを構成
する、主要なる原料成分である。
【0039】本発明における当該フルオロオレフィン系
水性樹脂エマルジョン(A)を調製するには、上掲した
如き各種の単量体類を、水性媒体中で、かつ、乳化剤類
の存在下で、重合開始剤類により、ラジカル重合反応を
行なえばよい。
【0040】かかる乳化剤類は、上掲した各種の単量体
類を、水性媒体中に、安定に分散せしめ、しかも、最終
の利用態様において、皮膜諸性能を、充分に発揮せしめ
るために利用されるものであって、好ましくは、フッ素
原子を有しないアニオン性乳化剤類および/またはフッ
素原子を有しないノニオン性乳化剤類が使用される。当
該乳化剤類の具体例としては、次のようなものが挙げら
れる。
【0041】すなわち、まず、フッ素原子不含のアニオ
ン性乳化剤類(反応性乳化剤類をも含む。)として特に
代表的なもののみを例示するにとどめれば、アルキル
(ベンゼン)スルホン酸塩、アルキルサルフェート塩、
ポリオキシエチレンアルキルフェノールサルフェート
塩、スチレンスルホン酸塩またはビニルサルフェート
塩、あるいはそれらの種々の誘導体類などである。
【0042】ここで言う塩とは、アルカリ金属の水酸化
物による塩、あるいはアンモニア、トリエチルアミンな
どに代表される、各種の揮発性塩基による塩を指称する
ものである。これらのうちでも、(置換)アルキル(ベ
ンゼン)スルホン酸塩およびビニルスルホン酸塩よりな
る群から選ばれる、1種または2種以上の混合物が好ま
しい。
【0043】また、フッ素原子不含のノニオン性乳化剤
類(反応性乳化剤類をも含む。)として特に代表的なも
ののみを例示するにとどめれば、ポリオキシエチレンア
ルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキ
ルエーテル、ポリオキシエチレン高級脂肪酸エステルま
たはエチレンオキサイド−プロピレンオキサイドブロッ
ク共重合体、あるいはそれらの種々の誘導体類などであ
り、これらは、単独使用でも2種以上の併用もよいこと
は、勿論である。
【0044】これらのうちでも、ポリオキシエチレン
(置換)アルキル(フェノール)エーテル類が、最終的
に得られる皮膜諸物性の観点からも、特に望ましい。た
だし、パーフルオロオクタン酸塩などで以て代表される
ような、フッ素原子含有乳化剤類の併用までをも、決し
て、妨げるものではない。
【0045】これらの乳化剤類の使用量としては、アニ
オン系とノニオン系乳化剤とを合わせて、単量体類の総
量に対して、0.5〜10重量%なる範囲内が適切であ
る。さらに、これらの乳化剤類との併用の形で以て、ポ
リカルボン酸類またはスルホン酸塩類よりなる、いわゆ
る水溶性オリゴマー類や、ポリビニルアルコールもしく
はヒドロキシエチルセルロースなどに代表されるよう
な、種々の水溶性高分子物質を、保護コロイド類として
用いることが出来る。
【0046】上記した重合開始剤類としては、乳化重合
において、一般的に使用されているようなものであれ
ば、特に限定されるものではない。当該重合開始剤類と
して特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、過
酸化水素の如き、各種の水溶性無機過酸化物類;過硫酸
アンモニウム、過硫酸カリウムもしくは過硫酸ナトリウ
ムの如き、各種の過硫酸塩類;
【0047】またはクメンハイドロパーオキサイド、ベ
ンゾイルパーオキサイドもしくはt−ブチルハイドロパ
ーオキサイドの如き、各種の有機過酸化物類;アゾビス
イソブチロニトリルもしくはアゾビスシアノ吉草酸の如
き、各種のアゾ系開始剤類などであり、これらは、単独
使用でも2種以上の併用でもよいことは、勿論である。
【0048】当該重合開始剤類の使用量としては、総単
量体量に対して、大約0.1〜大約2重量%なる範囲内
が適切である。なお、これらの重合開始剤類と、金属イ
オン類および還元剤類との併用によるような、いわゆる
レドックス重合法によっても、一向に、差し支えは無
い。
【0049】かかる還元剤類として特に代表的なものの
みを例示するにとどめれば、ナトリウムビサルファイ
ト、ナトリウムメタビサルファイト、ナトリウムビチオ
サルフェート、ナトリウムハイドロサルフェート、スル
ホキシル酸ホルムアルデヒドナトリウムまたは還元糖な
どであるし、
【0050】また、上記金属イオン類として特に代表的
なもののみを例示するにとどめれば、硫酸銅、塩化第2
鉄、硫酸第2鉄または硝酸銀などである。さらには、公
知慣用の、各種の連鎖移動剤類をも併用することが出来
る。
【0051】フルオロオレフィン系水性樹脂エマルジョ
ン(A)は、水性媒体中で、好ましくは、イオン交換水
と乳化剤類との共存下において、まず、単量体類混合物
をそのまま、あるいは、乳化した状態で以て、一括で以
てまたは分割して、あるいは連続的に、反応容器中に滴
下して、
【0052】前記した重合開始剤類の存在下に、大約1
〜大約100kg/cm2 なるゲージ圧で、かつ、大約
50℃〜大約150℃なる反応温度で重合反応を行なえ
ばよい。場合によっては、それ以上の圧力下に、あるい
は、それ以下の温度条件で以て、重合せしめるようにし
ても、何ら、差し支えが無い。
【0053】総単量体(単量体類総量)中に含まれるフ
ルオロオレフィン系単量体類の使用量としては、概ね、
30重量%以上であることが必要である。それ未満の場
合には、どうしても、最終的に得られる塗膜の耐久性の
面などで、満足し得ないものとなるからである。
【0054】また、総単量体量と水との比率としては、
最終固形分含有量が大約1〜大約60重量%なる範囲
内、好ましくは、15〜55重量%なる範囲内となるよ
うに設定すべきである。
【0055】なお、乳化重合を実施するに当たって、粒
子径を成長せしめるため、あるいは制御せしめるため
に、予め、水相中に、エマルジョン粒子を存在させた状
態で以て、重合させてもよいことは、勿論である。
【0056】ここにおいて用いられる、水性媒体中の水
としては、基本的には、イオン交換水が用いられるが、
その使用量としては、水性媒体中の大約70重量%以上
となるような量である。ここで、残りの大約30重量%
未満の部分には、有機溶剤類が併用されてもよい。
【0057】重合反応は、系中のpHが、概ね、1.0
〜7.0なる範囲内で以て進行させればよい。その際の
pHの調節は、燐酸二ナトリウムやボラックスなどの、
あるいは、炭酸水素ナトリウムやアンモニアなどの、い
わゆるpH緩衝剤類を用いて行なえばよい。
【0058】それ以上のpH条件での製造も可能ではあ
るが、特殊なる利用条件においては、塗膜を形成させた
場合に、ともすると、耐水性や耐アルカリ性などを欠如
した性能を与えることにもなり兼ねないものと理解すべ
きであろう。
【0059】このようにして得られる、当該フルオロオ
レフィン系水性樹脂エマルジョン(A)に対しては、引
き続き、エマルジョン粒子中に残存している、未反応の
ガス状単量体類を除去せしめるという操作を施してもよ
い。
【0060】かくして得られる、当該フルオロオレフィ
ン系水性樹脂エマルジョン(A)としては、架橋性単量
体類を有しない状態に換算して、概ね、数平均分子量が
5,000〜1,000,000なる範囲内であり、重
量平均分子量が、概ね、10,000〜3,000,0
00なる範囲内であり、かつ、最低造膜温度が、概ね、
−30℃〜60℃となるような範囲内が適切である。ま
た、その粒子径としては、概ね、0.02〜0.5ミク
ロン(μm)なる範囲内が適切である。
【0061】次いで、本発明における第二の成分とも言
うべき、前記した二塩基酸系共重合体および/またはそ
の誘導体(B)とは、塗料組成物中の顔料分散性ならび
に塗料安定性などに著効を示すというものを指称する
が、特に代表的なる組成としては、それぞれ、
【0062】スチレンなどに代表されるような、各種の
芳香族ビニル系単量体と、マレイン酸、フマル酸もしく
はイタコン酸などによって代表されるような、各種の不
飽和二塩基酸類(不飽和ジカルボン酸類)をはじめ、
【0063】さらには、無水マレイン酸もしくは無水イ
タコン酸などに代表されるような、各種の酸無水物と、
種々なるアルコール類との付加物などのような、種々の
不飽和結合含有ヒドロキシアルキルエステルカルボン酸
類などによって代表される、各種の不飽和二塩基酸類
(不飽和ジカルボン酸類)を主体とを主成分として用
い、その他の共重合可能なる単量体類をも、必要に応じ
て、用いることによって、共重合せしめた形の、いわゆ
る二塩基酸系共重合体ものである。
【0064】その他の共重合可能なる単量体類として特
に代表的なもののみを例示するにとどめれば、前掲した
ような種々なる単量体類、つまり、前述したフルオロオ
レフィン系水性樹脂エマルジョン(A)を調製するに当
たって使用されるような、種々なる単量体類から、
【0065】上掲した芳香族ビニル系単量体または不飽
和二塩基酸類(不飽和ジカルボン酸類)をはじめ、さら
には、各種の酸無水物と、種々なるアルコール類との付
加物などのような、種々の不飽和結合含有ヒドロキシア
ルキルエステルカルボン酸類などを除いた形のものなど
である。
【0066】当該二塩基酸系共重合体および/またはそ
の誘導体(B)として特に代表的なもののみを例示する
にとどめれば、スチレンおよび/またはその誘導体と、
マレイン酸と、さらに、このマレイン酸の誘導体たる、
マレイン酸モノアルキルエステルもしくはマレイン酸ジ
アルキルエステルなどによって代表されるような、各種
の不飽和二塩基酸類(不飽和ジカルボン酸類)と、1価
アルコール類とのモノ―ないしはジエステル類(ハーフ
・エステル類)などと、
【0067】さらにはまた、その他の共重合可能なる他
の単量体類との共重合体や、こうして得られる各種の共
重合体に対して、さらに、各種のアルコール類を反応せ
しめることによって得られるモノ―ないしはジエステル
類などであり、就中、スチレン−マレイン酸系共重合体
および/またはその誘導体の使用が、特に望ましいもの
である。
【0068】その際の重合方法としては、塊状重合、溶
液重合またはエマルジョン重合などがあるが、就中、溶
液重合によるのが、特に望ましい。共重合せしめること
によって得られる、当該二塩基酸系共重合体および/ま
たはその誘導体は、アンモニアまたはアミン類、あるい
は水酸化ナトリウムなどのような、種々の塩基性化合物
で以て中和し、水に溶解せしめた状態で用いるのがよ
い。
【0069】また、本発明の目的を逸脱しないような範
囲内で、あるいは、本発明の効果を損なわないような範
囲内で、他の顔料分散剤を併用してもよいことは、勿論
である。
【0070】そうした形の、他の顔料分散剤として特に
代表的なもののみを例示するにとどめれば、トリポリ燐
酸ナトリウムもしくはトリポリ燐酸カリウムまたはナフ
タレンスルフォン酸塩などであるし、さらには、前記し
たアニオン乳化剤類またはポリ(メタ)アクリル酸系分
散剤などである。
【0071】次には、本発明における第三の成分とも言
うべき、前記した顔料類(C)として特に代表的なもの
のみを例示するにとどめれば、酸化チタン、マイカ、タ
ルク、クレー、沈降性硫酸バリウム、シリカ末、炭酸カ
ルシウム、酸化鉄、酸化亜鉛、アルミ末またはカーボン
ブラックの如き、各種の無機顔料類;
【0072】アゾ系、フタロシアニン系またはキナクリ
ドン系の如き、各種の有機顔料類;あるいは、種々のプ
ラスチック顔料類などである。それぞれの最終目的に応
じて、適宜、選択して使用される。
【0073】以上のような、それぞれ、(A)成分、
(B)成分および(C)成分の配合比率としては、固形
分比率で、概ね、(A)成分の100重量部に対して、
(B)成分が1〜10重量部となるような範囲内が、そ
して、(C)成分が1〜200重量部となるような範囲
内が適切である。
【0074】さらに、本発明の水性塗料組成物には、必
要に応じて、ノニオン乳化剤(D)をも、あるいは、該
ノニオン乳化剤(D)のほかにも、さらには、アクリル
系増粘剤(E)をも配合せしめることが出来る。
【0075】その際に用いられる、上記ノニオン乳化剤
(D)として特に代表的なもののみを例示するにとどめ
れば、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテ
ル、ポリオキシアルキレンスチレン化フェノールエーテ
ル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルまたはポリオ
キシエチレン高級脂肪酸エステル、
【0076】あるいは、それらの種々の誘導体類などで
あり、これらは単独使用でも2種以上の併用もよいこと
は勿論である。中でも、ポリオキシアルキレンスチレン
化フェノールエーテルは、とりわけ、顔料分散性ならび
に低泡性などの面からも、特に望ましい。
【0077】次いで、前記したアクリル系増粘剤(E)
として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、
ポリビニルピロリドン系増粘剤またはポリカルボン酸系
増粘剤類などである。これらのうちでも、ポリカルボン
酸系増粘剤類が、本発明において用いられる、前述した
フルオロオレフィン系水性樹脂エマルジョンとの配合時
の安定性などの観点からも、特に望ましい。
【0078】また、本発明の目的を逸脱しないような範
囲内で、あるいは、本発明の効果を損なわないような範
囲内で、他の増粘剤を使用してもよい。こうした形の、
他の増粘剤として特に代表的なもののみを例示するにと
どめれば、ヒドロキシエチルセルロースまたはカルボキ
シメチルセルロースなどで代表されるような、各種のセ
ルロース系増粘剤類、あるいはウレタン系増粘剤類など
である。
【0079】これらのほかにも、塗料化に際して、必要
なる各種の添加剤類としての、たとえば、造膜助剤類、
湿潤剤類、チクソ化剤類、紫外線吸収剤類、酸化防止剤
類、撥水剤類、凍結防止剤類、防腐・防ばい剤類あるい
は消泡剤類などもまた、得られる塗膜の諸性能を考慮し
つつ、適宜、選択して使用することが出来る。
【0080】配合方法は、特に限定はないが、フルオロ
オレフィン系水性樹脂エマルジョン(A)と、二塩基酸
系共重合体および/またはその誘導体(B)と、顔料類
(C)と、ノニオン乳化剤(D)およびアクリル系増粘
剤(E)のうち、
【0081】予め、(B)成分の一部または全部を用
い、(C)成分を分散させたのちに、(A)成分を、あ
るいは、(A)成分と(E)成分とを添加せしめる、と
いう方法によるのが、特に望ましい。
【0082】その際においては、(D)成分は、(B)
成分と併用するようにするか、予め、(D)成分の一部
または全部を、(A)成分に添加しておいて、用いると
いう方法によるのが、特に望ましい。
【0083】かくして、本発明の水性塗料組成物が得ら
れるが、当該水性塗料組成物を、各種の基材に、塗布な
いしは塗装するに当たっての適用方法としては、特に制
限されるものではないが、そのうちの特に望ましい一例
を述べることにすれば、刷毛塗り、ローラー塗装、スプ
レー塗装またはロールコーター塗装、あるいはシャワリ
ング塗装などが挙げられ、かかる方法によるのが、特に
望ましい。
【0084】その際の、特に、建築現場施工用として
は、造膜助剤類を添加した状態での最低造膜温度が、大
約0℃以下なる塗料の使用が望ましく、塗装法として
は、刷毛塗り、ローラー塗装またはスプレー塗装などの
方法によるのが、特に望ましい。
【0085】瓦の如き、各種の屋根材や、壁材などにお
ける、いわゆる工場ライン塗装用としては、一般的に行
なわれている加熱強制乾燥法に従い、その乾燥条件に応
じて、造膜助剤類を添加した状態での最低造膜温度が、
概ね、60℃以下、好ましくは、50℃以下なる塗料を
選択して用いるのが望ましく、
【0086】塗装法としては、ロールコーター塗装、ロ
ーラー塗装、スプレー塗装またはシャワリング塗装をは
じめ、さらには、フローコーター塗装とか、ディッピン
グなどの浸漬塗装などのような、公知慣用の種々の方法
によるのが、特に望ましい。
【0087】こうした現場施工用と、工場ライン塗装な
いしは加熱強制乾燥ライン塗装用とを問わず、大約60
℃以上の温度、実質的には、大約200℃以下の温度の
雰囲気下において行なうべく、被覆後において、必要に
応じて、セッティング時間を経た上で、加熱乾燥による
ということは、
【0088】とりわけ、造膜性ないしは成膜性を、一
層、強固なものにし、ひいては、塗膜の長期耐久性など
を確保するためにも、さらには、ブロッキングを、極
力、低減化せしめたり、耐汚染性などをも確保したりす
るためにも、特に望ましい。
【0089】また、基材の上に、直接、上掲した如き水
性塗料組成物を、1コートで以て、あるいは、重ね塗り
で以て、塗布してもよいし、さらには、アクリル系、ア
クリル−スチレン共重合体系、アクリル−ウレタン併用
系、シリコン−アクリル併用系、エポキシ系、ウレタン
系またはシリコン系などの、
【0090】概して、耐アルカリ性などの良好なるバイ
ンダーを含んだ形の塗材を下塗りとした、その上に、ト
ップコートとして、上掲した如き水性塗料組成物を、塗
装せしめることによって、塗装システム全体の、耐候性
などの改善向上化を図るようにしてもよい。
【0091】かかる各塗装システムのいずれによった場
合においても、本発明の水性塗料組成物の乾燥膜厚とし
ては、大約5μm以上が適切である。大約5μm未満の
場合には、どうしても、皮膜の長期耐久性などが、不充
分となり易いというためである。
【0092】本発明によれば、とりわけ、顔料分散性な
どに優れる皮膜を得ることが出来るというものであり、
その結果として、とりわけ、高光沢などを有する被膜を
得ることが出来るというものである。
【0093】本発明において、基材として特に代表的な
もののみを例示するにとどめれば、セメントモルタル、
セメントコンクリート、ALC(軽量コンクリート)、
アスベストコンクリート、木質セメント板または珪酸カ
ルシウム板などのように、アルカリ物質を水和結晶化せ
しめることによって調製させる、いわゆる硬化体コンク
リート躯体などであって、
【0094】主として、壁材または屋根材などのような
材料類が、特に代表的なものである。これらの基材のほ
かに、さらに、金属類、プラスチック類、木材類、ガラ
ス類、紙類または繊維類などに対しても、適用し、利用
することが出来る。
【0095】本発明に係る水性塗料組成物は、とりわ
け、高光沢を有する被膜を形成することが出来るという
処から、外装ないしは内装用の水性塗料組成物として、
さらには、金属類、プラスチック類、木材類、無機質基
材類、紙類あるいは繊維類などに対する被覆剤として
も、あるいは、各種の処理剤としても、使用することが
出来る。
【0096】
【実施例】次に、本発明を、参考例、実施例および比較
例により、一層、具体的に説明することにするが、本発
明は、これらの例のみに、決して、限定されるものでは
ない。なお、以下において、部および%とあるのは、特
に断りの無い限り、すべて重量基準であるものとする。
【0097】参考例1〔フルオロオレフィン系水性樹脂
エマルジョン(A)の調製例〕 攪拌装置、窒素導入管、温度計および温度調節装置を備
えた、2リットルのステンレス製耐圧反応容器(オート
クレーブ)の系内を、窒素ガスで以て、充分に置換し
て、イオン交換水の800部、ドデシルベンゼンスルホ
ン酸ナトリウムの20部およびポリオキシエチレンノニ
ルフェニルエーテルの20部と、pH緩衝剤としての、
ボラックス(硼砂)の10部とを仕込んで、溶解せしめ
た。
【0098】次いで、ここへ、酢酸ビニルの200部お
よびヘキサジエンの10部を加え、さらに、ネオノナン
酸ビニルの280部、クロトン酸の10部および液化捕
集したクロロトリフルオロエチレンの500部をも加え
た。
【0099】しかるのち、エチレンガスを、15kg/
cm2 になるまで圧入せしめた。オートクレーブの内温
を、80℃になるまで昇温した。この時に、反応時の系
内圧力が、ほぼ30kg/cm2 となるように、エチレ
ンガスを調節した。
【0100】次いで、同温度で、過硫酸カリウムの5部
を、200部のイオン交換水に溶解した形の触媒水溶液
を、反応容器中に、3時間に亘って圧入した。かかる触
媒水溶液の添加後も、同温度に、10時間のあいだ保持
して重合反応を進行させることによって、目的とするフ
ルオロオレフィン系水性樹脂エマルジョンを得た。
【0101】反応中のpHは3.5で以て進行した。反
応中に、単量体類の消費に伴って、系中の圧力が下降し
て行くが、その都度、エチレンの導入によって、反応系
の圧力を、30kg/cm2 に保持するようにした。
【0102】反応終了後は、室温にまで冷却してから、
14%アンモニア水を、pHが、ほぼ7.5になるまで
添加し、さらに、シリコン系消泡剤をも添加して、よく
攪拌した。
【0103】しかるのち、系内圧力を常圧にまで戻し、
さらに、減圧下において、分散体中に溶解している、未
反応のガスを留去せしめた。かくして得られた分散体
は、不揮発分が52.0%で、pHが7.2で、最低造
膜温度が38℃であり、かつ、平均粒子径が0.08μ
mなる、白色のフルオロオレフィン系水性樹脂エマルジ
ョンであった。以下、これをベース樹脂成分(A−1)
と略称する。
【0104】此の樹脂成分(A−1)は、元素分析、イ
オンクロマト分析、赤外吸収スペクトルならびに熱分解
ガスクロマトグラフィーによる組成分析によって、フル
オロオレフィンの含有率が約47重量%なるものである
ことが確認された。
【0105】参考例2(同上) クロロトリフルオロエチレンに変えるに、ヘキサフルオ
ロプロピレンを用いるように変更した以外は、参考例1
と同様にして、目的とするフルオロオレフィン系水性樹
脂エマルジョンを得た。
【0106】此の水性樹脂分散体は、不揮発分が50.
0%で、pHが7.0で、最低造膜温度が28℃で、か
つ、平均粒子径が1.1ミクロンなる、白色のフルオロ
オレフィン系水性樹脂エマルジョンであった。以下、こ
れをベース樹脂成分(A−2)と略称する。
【0107】此の樹脂成分(A−2)は、元素分析、イ
オンクロマト分析、赤外吸収スペクトルならびに熱分解
ガス・クロマト・グラフィーによる組成分析によって、
フルオロオレフィンの含有率が約50重量%なるものも
のであることが確認された。
【0108】実施例1〜3ならびに比較例1および2 参考例1および2で得られた、(A−1)および(A−
2)なるそれぞれのベース樹脂成分を、不揮発分が45
%となるように希釈し、次いで、下記されるような配合
割合で以て、各種の水性塗料組成物を得た。
【0109】また、下記の各種水性塗料組成物を塗布
し、応用試験を行った。それらの結果は、まとめて、第
1表に示す。
【0110】二塩基酸系共重合体および/またはその誘
導体:「DKS−ディスコ−トN−14」〔第一工業製
薬(株)製のスチレン−マレイン酸系共重合体〕
【0111】顔料類(酸化チタン):「タイペーク C
R−50]〔石原産業(株)製品〕
【0112】アクリル系増粘剤類(ポリカルボン酸系の
高分子増粘剤類):「プライマル TT−935」(米
国ローム・アンド・ハース製品)
【0113】造膜助剤類:「テキサノール」(米国イー
ストマン・ケミカル社製の2,2,4―トリメチルペン
タン―1,3―ジオールイソブチレート)
【0114】消泡剤:「SNディフォーマー373」
〔サンノプコ(株)製品〕
【0115】ノニオン乳化剤:「エマルゲン A−50
0もしくはA−60]〔花王(株)製品〕
【0116】顔料分散剤:「デモール NL」〔花王
(株)製品〕
【0117】塗料配合 I
【0118】 水 20部
【0119】 (*)「DKS−ディスコートN−14」 16部 (不揮発分=28%)
【0120】 28%アンモニア水 0.2部 「タイペーク CR−50」 129部 「SNディフォーマー373」 1.5部 エチレングリコール 9部 ──────────────────────────────────── (以上の諸成分を、高速ディスパーにより分散化せしめ
た。)
【0121】 水性樹脂エマルジョン(不揮発分=45%) 260部 テキサノール 25部 5%希釈「プライマル TT−935」 12部 水 適 量 ──────────────────────────────────── (以上の諸成分を、常法により撹拌せしめた。)
【0122】塗料不揮発分=53〜45%
【0123】塗料配合 II
【0124】16部の「DKS−ディスコ−トN−1
4」の使用の代わりに、12部の此の「DKS−ディス
コートN−14」と、「エマルゲン A−500」の1
部と、「エマルゲン A−60」の1部とを用いるよう
に変更した以外は、つまり、
【0125】前掲の塗料配合Iの場合における、(*)
印の部分を、下記のように変更した以外は、該配合Iと
同様にして行なうという形のものを、此の配合IIとし
た。
【0126】 水 22部 「DKS−ディスコートN−14」 12部 「エマルゲン A−500」 1部 「エマルゲン A−60」 1部
【0127】 28%アンモニア水 0.2部 「タイペーク CR−50」 129部 「SNディフォーマー373」 1.5部 エチレングリコール 9部 ──────────────────────────────────── (以上の諸成分を、高速ディスパーにより分散化せしめ
た。)
【0128】 水性樹脂エマルジョン(不揮発分=45%) 260部 テキサノール 25部 5%希釈「プライマル TT−935」 12部 水 適 量 ──────────────────────────────────── (以上の諸成分を、常法により撹拌せしめた。)
【0129】塗料配合III
【0130】16部の「DKS−ディスコ−トN−1
4」の使用の代わりに、それぞれ、3.5部の「デモー
ル NL」と、4.4部の10%トリポリ燐酸カリウム
とを用いるように変更した以外は、つまり、
【0131】前掲の塗料配合Iの場合における(*)印
の部分を、下記のように変更した以外は、該配合Iと同
様にして行なうという形のものを、此の配合IIIとし
た。
【0132】 水 28部 「デモール NL」(不揮発分=40%) 3.5部 10%トリポリ燐酸カリウム 4.4部
【0133】 28%アンモニア水 0.2部 「タイペーク CR−50」 129部 「SNディフォーマー373」 1.5部 エチレングリコール 9部 ──────────────────────────────────── (以上の諸成分を、高速ディスパーにより分散化せしめ
た。)
【0134】 水性樹脂エマルジョン(不揮発分=45%) 260部 テキサノール 25部 5%希釈「プライマル TT−935」 12部 水 適 量 ──────────────────────────────────── (以上の諸成分を、常法により撹拌せしめた。)
【0135】なお、上記した、それぞれの塗料配合の際
の、つまり、塗料配合I、塗料配合IIおよび塗料配合
IIIの際の総量は、いずれも、「472.7+水量」
として、統一されている。
【0136】次いで、かくして得られた、それぞれの塗
料組成物を、スレート板上に、下記の(1)または
(2)なる塗工法で以て塗装し、乾燥を行なって、各種
の試験に供した。それらの試験結果は、まとめて、第1
表に示す。
【0137】なお、それぞれの塗料組成物自体の安定性
についてもまた、試験結果を、まとめて、第1表に併記
した。
【0138】塗工法(1)…刷毛により、合計の塗布量
が200g/m2 となるように、作製した塗料組成物
を、2回に分けて塗布したのち、室温に、14日間のあ
いだ放置して乾燥せしめるという方法。
【0139】塗工法(2)…予め、60℃に余熱したス
レート板に、シーラーとして、エポキシ樹脂の水分散体
である「エピクロン EM−85−75W」[大日本イ
ンキ化学工業(株)製品]を、水で以て、20%にまで
希釈せしめたものを、スプレーにより、塗布量が100
g/m2 となるよう塗布してから、60℃で、5分間の
あいだ乾燥させ、さらに、その上に、作製した塗料組成
物を、スプレーにより、塗布量が200g/m2 となる
ように塗布したのち、60℃で、20分間のあいだ乾燥
させ、しかるのち、室温に、7日間のあいだ放置して乾
燥せしめるという方法。
【0140】
【表1】
【0141】《第1表の脚注》配合としては、顔料体積
濃度(PVC)が15容量%となるようにした。
【0142】なお、フルオロオレフィン系共重合体の固
形分の比重を1.5とし、かつ、酸化チタンの比重を
4.2として、計算したものである。
【0143】塗料は、配合後において、14%アンモニ
ア水により、pHを8とすることによって、pHと系の
粘度とを、調節せしめたものである。
【0144】光沢値は、村上式光沢計を用いての、60
度グロス値(つまり、60度鏡面反射率)で以て表示し
た。
【0145】また、促進耐候性は、デュー・パネル光コ
ントロールウェザーメーターにて、5,000時間に及
ぶ曝露(促進耐候試験)を行なったのちの、それぞれの
塗膜の外観を、目視により判定したものである。
【0146】なお、此の促進耐候性の評価判定基準は、
次に通りである。 ◎………外観上、全く、異状のないもの △………塗膜に、艶引けが認められるもの ×………塗膜に、ふくれ、はがれ、あるいは白化が認め
られるもの
【0147】さらに、塗料安定性は、それぞれの塗料
を、室温に、1カ月のあいだ保存したのちの変化の状態
を、目視により判定したものである。
【0148】なお、此の塗料安定性の評価判定基準は、
次に通りである。 ◎………塗料の沈降または凝集の、全く、認められない
もの △………塗料の沈降または凝集が、僅かに、認められる
もの ×………塗料の沈降または凝集が、顕著に、認められる
もの
【0149】このように、フルオロオレフィン系水性樹
脂エマルジョンを主体とする、本発明の水性塗料組成物
を用いて得られる皮膜(塗膜)は、いずれれの試験に対
しても、悉く、満足し得る性能を有するものであること
が知れよう。
【0150】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る水性塗料組
成物は、従来技術に従って得られる塗料組成物に比し
て、とりわけ、顔料分散性などに優れるというものであ
り、したがって、高光沢を有する被膜を形成することが
出来るという、極めて実用性の高いものである。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フルオロオレフィン系水性樹脂エマルジ
    ョン(A)と、二塩基酸系共重合体および/またはその
    誘導体(B)と、顔料類(C)とを必須成分として含有
    することを特徴とする、水性塗料組成物。
  2. 【請求項2】 フルオロオレフィン系水性樹脂エマルジ
    ョン(A)と、二塩基酸系共重合体および/またはその
    誘導体(B)と、顔料類(C)とを必須成分として含有
    し、さらに、ノニオン乳化剤(D)をも含有することを
    特徴とする、水性塗料組成物。
  3. 【請求項3】 フルオロオレフィン系水性樹脂エマルジ
    ョン(A)と、二塩基酸系共重合体および/またはその
    誘導体(B)と、顔料類(C)とを必須成分として含有
    し、さらに、ノニオン乳化剤(D)およびアクリル系増
    粘剤(E)をも含有することを特徴とする、水性塗料組
    成物。
  4. 【請求項4】 前記した二塩基酸系共重合体がスチレン
    −マレイン酸系共重合体である、請求項1〜3のいずれ
    かに記載の水性塗料組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか一つに記載の水
    性塗料組成物が被覆された物品。
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