JP5144307B2 - グラフト共重合体、樹脂組成物及びその成形品 - Google Patents

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本発明は、耐候性を損なうことなく、溶融成形時の加工性及び耐衝撃性に優れた樹脂組成物とその成形品及びこれに用いるグラフト共重合体に関する。
塩化ビニル樹脂は溶融温度と熱分解温度が近いため、成形加工可能な温度領域が限られている。このため、塩化ビニル樹脂の溶融成形に際しては、成形加工時の熱分解を抑制するために、種々の安定剤を配合することが行なわれている。塩化ビニル樹脂の熱分解を抑制するために配合する安定剤としては、例えば、鉛系安定剤、錫系安定剤が挙げられる。しかし近年では、環境負荷を配慮して、重金属系の安定剤は用いられなくなっている。
重金属系以外の安定剤としては、例えば、カルシウム−亜鉛系安定剤、非金属系安定剤が挙げられる。しかし、これらの安定剤、特にカルシウム−亜鉛系安定剤を用いた場合には、塩化ビニル樹脂の熱分解を抑制する効果が不足するため、安定剤の配合量を多くすることが必要であった。また、溶融成形時の後期滑性が不足するため、滑剤の配合量を多くすることが必要であった
一方、塩化ビニル樹脂から得られる成形品は、耐衝撃性に劣ることが知られており、これを改良するために多くの方法が提案されている。
例えば、ブタジエンゴムにビニル単量体をグラフト重合したMBS樹脂を配合する方法が提案されている。また、耐候性が必要とされる用途では、アクリルゴムにビニル単量体をグラフト重合したグラフト共重合体を配合する方法が提案されている。
塩化ビニル樹脂の溶融成形時の加工性を改良し、且つ、耐衝撃性を改良する方法としては、特定の比粘度を有する成分を含むコアシェル重合体と、特定の酸またはアニオン系界面活性剤を配合する方法が提案されている(特許文献1)。特許文献1に提案されている方法は、塩化ビニル樹脂の溶融を促進させて、溶融成形時の加工性を改良することを特徴とする。
しかしながら、特許文献1で提案されている方法であっても、カルシウム−亜鉛系安定剤を用いた場合には、溶融成形時の加工性と熱分解の抑制効果は十分ではなかった。熱分解の抑制には、多くの安定剤を配合することが必要であり、溶融成形時の後期滑性を維持するには、多くの滑剤を配合することが必要であった。
特開2002−363372号公報
本発明の目的は、塩化ビニル樹脂の耐候性を損なうことなく、溶融成形時の加工性及び耐衝撃性を向上させることにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、アクリルゴムの存在下で、イソブチルメタクリレートを含有する単量体混合物をグラフト重合して得られるグラフト共重合体を用いることで、塩化ビニル樹脂の耐候性を損なうことなく、溶融成形時の加工性及び耐衝撃性を向上させることが可能であることを見出した。
即ち、本発明のグラフト共重合体(A)は、アクリルゴム(A1)50〜99.9質量部の存在下で、単量体混合物(a2)0.1〜50質量部をグラフト重合して得られるグラフト共重合体(A)(但し、(A1)と(a2)の合計が100質量部)であって、単量体混合物(a2)が、イソブチルメタクリレート1〜99質量%を含有することを特徴とする。
本発明の樹脂組成物は、グラフト共重合体(A)、塩化ビニル樹脂(B)及びカルシウム−亜鉛系安定剤(C1)若しくは非金属系安定剤(C2)を含有する。
本発明の成形品は、上記の樹脂組成物を成形して得られる。
本発明のグラフト共重合体(A)によれば、塩化ビニル樹脂(B)の溶融成形時の加工性を向上させることができ、得られる成形品の耐候性を損なうことなく、耐衝撃性を向上させることができる。
本発明の樹脂組成物は、溶融成形時の加工性に優れ、耐候性を損なわず、耐衝撃性に優れた成形品を得ることができる。
本発明の成形品は、耐候性を損なわず、耐衝撃性に優れる。
以下、本発明について詳細に説明する。
尚、本発明書において、(メタ)アクリレートは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
本発明のアクリルゴム(A1)は、アルキル(メタ)アクリレートを主成分とする単量体混合物(a1)を重合して得られる。
単量体混合物(a1)は、単官能単量体90〜99.99質量%と、多官能単量体0.01〜10質量%を含有することが好ましく、単官能単量体95〜99.95質量%と、多官能単量体0.05〜5質量%を含有することがより好ましい(但し、単官能単量体と多官能単量体の合計は100質量%)。
単量体混合物(a1)中の、単官能単量体の含有率が90質量%以上であれば、アクリルゴム(A1)が過剰に硬くなることがなく、得られる成形品の耐衝撃性が向上する。単量体混合物(a1)中の、単官能単量体の含有率が99.99質量%以下であれば、アクリルゴム(A1)が弾性を示し、得られる成形品の耐衝撃性が向上する。
単官能単量体としては、アルキル(メタ)アクリレートが好ましい。アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メトキシトリプロピレングリコールアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート等のアルキアクリレート;ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート等のアルキルメタクリレートが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中では、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートが好ましい。
単官能単量体は、アルキル(メタ)アクリレートの他に、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体;メタクリ基変性シリコーン等の各種ビニル単量体を含んでいてもよい。
多官能単量体としては、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン等の架橋剤;アリルメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等のグラフト交叉剤が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
単量体混合物(a1)は、連鎖移動剤を含有してもよい。連鎖移動剤としては、例えば、n−オクチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンが挙げられる。
また、アクリルゴム(A1)としては、シリコーンゴムとアクリルゴムからなる、シリコーン/アクリル複合ゴムを用いてもよい。
アクリルゴム(A1)は、単量体混合物(a1)を乳化重合して得られる。単量体混合物(a1)の乳化重合には、公知の方法を用いることができる。例えば、単量体混合物(a1)、乳化剤、重合開始剤及び水を混合して乳化液を調製し、これを重合すればよい。
乳化剤としては、例えば、アルケニルコハク酸ジカリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルスルフォン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン鎖を含有する硫酸系塩、ポリオキシエチレン鎖を含有するスルフォン酸系塩が挙げられる。
乳化剤の添加方法としては、例えば、単量体混合物(a1)に予め混合する方法;単量体混合物(a1)の重合途中に、多段階に分けて添加する方法;単量体混合物(a1)とは別の滴下ラインを設けて、単量体混合物(a1)と乳化剤を同時に滴下する方法が挙げられる。
重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;t−ブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;前記過硫酸塩と還元剤の組合せからなるレドックス系開始剤;前記有機過酸化物と還元剤の組合せからなるレドックス系開始剤が挙げられる。
乳化液を調製する際には、ホモミキサー、インラインミキサー、ホモジナイザー等の機械的な強制乳化装置を用いてもよい。特に、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート等の疎水性の高い単量体を用いるときは、機械的に強制乳化することが好ましい。
アクリルゴム(A1)の粒子径及び粒子径分布を所定の範囲とするには、以下の方法が挙げられる。
(1)単量体混合物(a1)を仕込んで乳化重合する方法。
(2)単量体混合物(a1)を滴下して乳化重合する方法。
(3)単量体混合物(a1)の一部を仕込み、乳化重合でシード粒子を製造した後、シード粒子ラテックスの存在下で、単量体混合物(a1)の残りを滴下して重合する方法。
(4)単量体混合物(a1)の一部を仕込み、乳化重合でシード粒子を製造した後、シード粒子ラテックスの存在下で、単量体混合物(a1)の残りを仕込んで重合する方法。
アクリルゴム(A1)の質量平均粒子径は、100〜900nmであることが好ましく、120〜700nmであることがより好ましい。
アクリルゴム(A1)の質量平均粒子径が100nm以上であれば、得られる成形品の耐衝撃性が向上する。アクリルゴム(A1)の質量平均粒子径が900nm以下であれば、得られる成形品の引張り強度等の機械的特性が損なわれることがない。
アクリルゴム(A1)の質量平均粒子径は、光散乱法、キャピラリー式粒度分布計を用いて測定することができる。尚、本発明の質量平均粒子径は、質量を基準として、その粒子径分布における積算値の50%の値を示す。
本発明の単量体混合物(a2)は、イソブチルメタクリレート1〜99質量%と、他の単量体1〜99質量%を含有するものであり、さらには、イソブチルメタクリレート10〜80質量%と、他の単量体20〜90質量%を含有することが好ましい((a2)の全体は100質量%)。
単量体混合物(a2)中のイソブチルメタクリレートの含有率が1質量%以上であれば、塩化ビニル樹脂(B)の溶融を促進し、且つ、グラフト共重合体(A)と塩化ビニル樹脂(B)との相溶性が良好となり、得られる樹脂組成物の溶融成形時の加工性を向上させることができる。単量体混合物(a2)中のイソブチルメタクリレートの含有率が99質量%以下であれば、グラフト共重合体(A)粉体の取扱い性が良好であり、耐ブロッキング性も良好である。
単量体混合物(a2)が含有する、他の単量体としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート等のアルキルアクリレート;メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等のアルキルメタクリレート;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中では、メチルメタクリレートが好ましい。
また、単量体混合物(a2)は、必要に応じて、多官能単量体、連鎖移動剤を含有してもよい。
多官能単量体としては、アクリルゴム(A1)の重合に用いる多官能単量体と同様のものを用いることができる。
連鎖移動剤としては、アクリルゴム(A1)の重合に用いる連鎖移動剤と同様のものを用いることができる。
本発明のグラフト共重合体(A)は、アクリルゴム(A1)50〜99.9質量部の存在下で、単量体混合物(a2)0.1〜50質量部をグラフト重合して得られるものであり、さらには、アクリルゴム(A1)70〜90質量部の存在下で、単量体混合物(a2)10〜30質量部をグラフト重合して得られることが好ましい(但し、(A1)と(a2)の合計が100質量部)。
グラフト共重合体(A)の重合に用いるアクリルゴム(A1)の量が50質量部以上であれば、得られる成形品の耐衝撃性が向上する。グラフト共重合体(A)の重合に用いるアクリルゴム(A1)の量が99.9質量部以下であれば、得られるグラフト共重合体(A)の、塩化ビニル樹脂(B)への分散性が向上する。
本発明のグラフト共重合体(A)は、アクリルゴム(A1)ラテックスの存在下で、単量体混合物(a2)をグラフト重合して得られるものであり、アクリルゴム(A1)への単量体混合物(a2)のグラフト重合は、乳化重合で行なう。乳化重合には公知の方法を用いることができる。例えば、アクリルゴム(A1)ラテックスの存在下で、単量体混合物(a2)を滴下して重合すればよい。
単量体混合物(a2)のグラフト重合に用いる乳化剤としては、アクリルゴム(A1)の重合に用いる乳化剤と同様のものを用いることができる。
乳化剤の添加方法としては、例えば、単量体混合物(a2)に予め混合する方法;単量体混合物(a2)の添加前に添加する方法;単量体混合物(a2)の重合中に多段階に分けて添加する方法が挙げられる。
単量体混合物(a2)のグラフト重合に用いる重合開始剤としては、アクリルゴム(A1)の重合に用いる重合開始剤と同様のものを用いることができる。
本発明のグラフト共重合体(A)は、質量平均粒子径が110〜1000nmであることが好ましい。
グラフト共重合体(A)の質量平均粒子径が110〜1000nmの範囲であれば、得られる成形品の耐衝撃性が向上する。
本発明のグラフト共重合体(A)の粒子径分布(dw/dn)は、1.0〜1.3であることが好ましい。グラフト共重合体(A)の粒子径分布が1.0〜1.3であれば、溶融成形時の押出し機による負荷を効率的に塩化ビニル樹脂(B)に伝えることができ、溶融成形時の加工性に優れる。
尚、アクリルゴム(A1)の存在下で、単量体混合物(a2)をグラフト重合した場合、単量体混合物(a2)がアクリルゴム(A1)にグラフトせず、単量体混合物(a2)のみが単独に重合したフリーポリマーが存在する。このように本発明のグラフト共重合体(A)は、グラフト共重合体とフリーポリマーとの混合物となるが、本発明においてはこれらを含めて、グラフト共重合体という。
本発明のグラフト共重合体(A)は、乳化重合によって得られたグラフト共重合体(A)ラテックスを、噴霧乾燥することによって、粉体として回収することができる。
また、グラフト共重合体(A)ラテックスを、酢酸カルシウム、塩化カルシウム等の金属塩や、硫酸、塩酸等の酸を溶解した熱水中に投入し、グラフト共重合体(A)を凝析させ、これを分離、洗浄、乾燥することによって、粉体として回収することもできる。
さらに、グラフト共重合体(A)ラテックスを凍結凝固する方法によっても、粉体として回収することができる。
グラフト共重合体(A)を粉体として回収する際には、目的に応じて乳化剤、アクリル重合体のラテックス等を添加することができる。
乳化剤としては、アクリルゴム(A1)の重合に用いる乳化剤と同様のものを用いることができる。粉体として回収する際に乳化剤を添加することで、グラフト共重合体(A)ラテックスの安定性を向上させることができる。また、特開2002−363372号公報に提案されているように、得られる樹脂組成物の溶融成形時の加工性を向上させることができる。
アクリル重合体としては、単量体混合物(a2)を重合して得られるものを用いることができる。粉体として回収する際にアクリル重合体を添加することで、グラフト共重合体(A)粉体の耐ブロッキング性を向上させることができる。また、得られる樹脂組成物の溶融成形時の加工性を向上させることができる。
本発明で用いるカルシウム−亜鉛系安定剤(C1)は、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム等のカルシウム塩と、ラウリン酸亜鉛、リシノール酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛等の亜鉛塩を組合せて得られる。これらの中では、ステアリン酸カルシウムとステアリン酸亜鉛の組合せが好ましい。
本発明で用いる非金属系安定剤(C2)としては、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化モノエステル、エポキシ樹脂アミノ化合物、エポキシ化合物、ポリグリシジル系樹脂、トリフェニルフォスファイト、トリノニルフェニルフォスファイト、ペルフルオロアルカンスルホネート塩、インドール、尿素、アルカノールアミン、アミノウラシルが挙げられる。これらの中では、エポキシ化大豆油、ポリグリシジル系樹脂が好ましい。
本発明の樹脂組成物は、グラフト共重合体(A)、塩化ビニル樹脂(B)及びカルシウム−亜鉛系安定剤(C1)若しくは非金属系安定剤(C2)を含有する。
本発明の樹脂組成物は、塩化ビニル樹脂(B)100質量部、グラフト共重合体(A)0.01〜30質量部((B)100質量部に対して)、カルシウム−亜鉛系安定剤(C1)若しくは非金属系安定剤(C2)1〜7質量部((B)100質量部に対して)を含有することが好ましい。
樹脂組成物中のグラフト共重合体(A)の含有量は、0.1〜20質量部((B)100質量部に対して)がより好ましく、0.5〜10質量部((B)100質量部に対して)がさらに好ましい。
樹脂組成物中のグラフト共重合体(A)の含有量が、0.01質量部以上((B)100質量部に対して)であれば、得られる成形品の耐衝撃性が向上する。樹脂組成物中のグラフト共重合体(A)の含有量が、30質量部以下((B)100質量部に対して)であれば、得られる成形品の引張り強度等の機械的特性が損なわれることがない。
樹脂組成物中の、カルシウム−亜鉛系安定剤(C1)若しくは非金属系安定剤(C2)の含有量が、1質量部以上((B)100質量部に対して)であれば、溶融成形時の熱分解の抑制が十分であり、塩化ビニル樹脂(B)の分解によるヤケが発生しない。樹脂組成物中の、カルシウム−亜鉛系安定剤(C1)若しくは非金属系安定剤(C2)の含有量が、7質量部以下((B)100質量部に対して)であれば、熱分解の抑制効果に対して添加量が過剰にならない。
本発明の樹脂組成物は、その特性を損なわない限りにおいて、その目的に応じて、安定剤、充填剤、耐衝撃性向上剤、加工助剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、耐熱性向上剤、離型剤、結晶核剤、流動性改良剤、着色剤、帯電防止剤、導電性付与剤、防曇剤、発泡剤、抗菌剤等の各種添加剤を添加することができる。
安定剤としては、例えば、マグネシウム等の金属とラウリン酸等の脂肪酸とから誘導される金属石鹸系安定剤;Ba−Zn系等の複合金属石鹸系安定剤;バリウム等の金属と、分岐脂肪酸、不飽和脂肪酸、脂肪環族酸、芳香族酸等の通常二種以上の有機酸とから誘導される金属塩系安定剤;これら安定剤を有機溶剤に溶解し、亜燐酸エステル等の安定化助剤を配合してなる金属塩液状安定剤;BHT等のヒンダードフェノール;ベンゾフェノン等の紫外線吸収剤;ヒンダードアミン等の光安定剤;カーボンブラック等の紫外線遮蔽剤;トリメロールプロパン等の多価アルコール;β−アミノクロトン酸エステル等の含窒素化合物;ジアルキルチオジプロピオン酸エステル等の含硫黄化合物;アセト酢酸エステル等のケト化合物;有機珪素化合物、硼酸エステルが挙げられる。
充填剤としては、例えば、重質炭酸カルシウム等の炭酸塩;酸化チタン、クレー、タルク、マイカ、シリカ、ガラスビーズ等の無機充填剤;カーボンブラック、グラファイト等の炭素系充填剤;木粉等の天然有機物;シリコーン等の有機系充填剤;ガラス繊維、金属繊維等の無機繊維;炭素繊維;ポリアミド等の有機繊維が挙げられる。
耐衝撃性向上剤としては、例えば、MBS、ABS、AES、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)、塩素化ポリエチレン、ゴム系グラフト共重合体、熱可塑性エラストマーが挙げられる。
加工助剤としては、例えば、(メタ)アクリレート系共重合体が挙げられる。
可塑剤としては、例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の芳香族多塩基酸のアルキルエステル;ジブチルアジペート、ジオクチルアジペート等の脂肪酸多塩基酸のアルキルエステル;アジピン酸等の多価カルボン酸とエチレングリコール等の多価アルコールとからなる分子量600〜8,000程度の重縮合体の末端を、一価アルコール又は一価カルボン酸で封止したポリエステル系可塑剤;塩素化パラフィンが挙げられる。
滑剤としては、例えば、流動パラフィン等の純炭化水素;ハロゲン化炭化水素;高級脂肪酸等の脂肪酸類;脂肪酸アミド類;グリセリド等の脂肪酸の多価アルコールエステル;脂肪酸の脂肪アルコールエステル(エステルワックス);金属石鹸;脂肪アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、脂肪酸と多価アルコールとの部分エステルが挙げられる。
難燃剤としては、例えば、塩素化パラフィン、水酸化アルミニウム、三酸化アンチモン、ハロゲン化合物が挙げられる。
耐熱性向上剤としては、例えば、(メタ)アクリレート系共重合体、イミド系共重合体、スチレン−アクリロニトリル系共重合体が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、グラフト共重合体(A)、塩化ビニル樹脂(B)、カルシウム−亜鉛系安定剤(C1)若しくは非金属系安定剤(C2)、及び必要に応じて各種の添加剤を配合して、混練することにより得られる。配合及び混練の際には、少量の溶剤を併用してもよい。
混練方法としては、例えば、押出し機、バンバリーミキサー、ローラー、ニーダーを用いる方法が挙げられる。
混練の操作は、回分的又は連続的に行なってもよい。グラフト共重合体(A)と塩化ビニル樹脂(B)の混合の順番は特に限定されない。
本発明の成形品は、本発明の樹脂組成物を成形して得られる。
成形方法としては、例えば、異型押出し成形、射出成形、真空成形、ブロー成形、ロール成形、プレス成形が挙げられる。これらの中では、異型押出し成形が好ましい。
本発明の成形品は、窓枠等の建材、パイプ、自動車材料、玩具、文房具等の雑貨、OA機器、家電機器等の広い分野に用いることができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。実施例中の「部」及び「%」は、それぞれ「質量部」及び「質量%」を表す。
各実施例、比較例での諸物性の測定は次の方法による。
(1)ラテックスの固形分濃度
ラテックスを180℃で30分間乾燥して求めた。
(2)質量平均粒子径、粒子径分布(dw/dn)
ラテックスを蒸留水で希釈したものを試料として、米国MATEC社製CHDF2000型粒度分布計を用いて測定した。測定条件は、MATEC社が推奨する標準条件で行なった。即ち、専用の粒子分離用キャピラリー式カートリッジ及びキャリア液を用い、液性:ほぼ中性、流速:1.4ml/分、圧力:約4000psi(2600KPa)、温度:35℃を保った状態で、ラテックスを濃度約3%に希釈した試料0.1mlを測定に用いた。
標準粒子径物質としては、米国DUKE社製の粒子径既知の単分散ポリスチレンを20〜800nmの範囲で合計12点用いた。
粒子径分布(dw/dn)は、粒子径測定で得られる質量平均粒子径(dw)及び数平均粒子径(dn)を用いて算出した。
(3)溶融位置
ラボプラストミル((株)東洋精機製作所製)に、コニカル二軸押出しユニット(2D20−C)を取り付け、先端に幅20mm、厚さ2mmのダイを取り付けた。樹脂配合物を、C1:140℃、C2:160℃、C3:175℃、D:185℃、フィーダー回転数:80rpm、押出しユニットのスクリュー回転数:50rpm又は54rpmで30分間押出した。
その後、フィーダー及び押出しユニットのスクリューを停止し、直ちに押出しユニットを分解し、スクリューに接している側の樹脂配合物の顔料が均一分散した位置を、出口側から数えたスクリューのピッチ数で評価した。
数値が大きいほど、樹脂配合物の溶融位置はフィーダー側に近く、溶融が速いことを示す。
(4)押出しトルク
上記(3)の溶融位置の測定において、樹脂配合物の押出し開始から20〜30分に検出された押出しトルクの平均値により評価した。
(5)樹脂温度
上記(3)の溶融位置の測定において、ダイに取り付けた温度計を用いて、樹脂配合物の押出し開始から20〜30分に検出された樹脂温度の平均値により評価した。
(6)シャルピー衝撃強度
得られた押出しシートを切り出し、ノッチ付けを行なって試験片を作成し、JIS K7111に準拠して、10℃及び23℃でシャルピー衝撃強度を測定した。
(実施例1)グラフト共重合体(A−1)凝固粉体の製造
(グラフト共重合体(A−1)ラテックスの調製)
攪拌翼、冷却管、熱電対、窒素導入口を備えたセパラブルフラスコに、下記の単量体混合物(a1−1)を仕込み、窒素気流下で2時間攪拌後、内温を70℃に昇温させた。
単量体混合物(a1−1):
n−ブチルアクリレート 4.95部
アリルメタクリレート 0.025部
1,3−ブチレングリコールジメタクリレート 0.025部
ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム 0.2部
脱イオン水 107.5部
次いで、下記の開始剤水溶液を添加し、重合を開始した。内温を70℃で90分間保持して、重合を完了した。
開始剤水溶液:
過硫酸カリウム 0.01部
脱イオン水 2.5部
この重合により、アクリルシード粒子(イ)ラテックスを得た。得られたアクリルシード粒子(イ)ラテックスの固形分は4.3%、アクリルシード粒子(イ)の質量平均粒子径は92nm、粒子径分布(dw/dn)は1.16であった。
得られたアクリルシード粒子(イ)ラテックスに、下記の還元剤水溶液を添加した。
還元剤水溶液:
硫酸第一鉄 0.0003部
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.0009部
ロンガリット 0.03部
脱イオン水 2.5部
次いで、下記の単量体混合物(a1−2)を2時間かけて滴下し、内温を70℃で90分間保持して、重合を完了した。
単量体混合物(a1−2):
n−ブチルアクリレート 69.3部
アリルメタクリレート 0.35部
1,3−ブチレングリコールジメタクリレート 0.35部
t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.35部
ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム 0.6部
脱イオン水 35部
この重合により、アクリルゴム(A1−1)ラテックスを得た。得られたアクリルゴム(A1−1)ラテックスの固形分は33.5%、アクリルゴム(A1−1)の質量平均粒子径は166nm、粒子径分布は1.11であった。
得られたアクリルゴム(A1−1)ラテックスに、下記の乳化剤混合物を添加した。
乳化剤混合物:
ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム 0.1部
ロンガリット 0.03部
脱イオン水 2.5部
次いで、下記の単量体混合物(a2)を1時間かけて滴下し、内温を70℃で90分間保持して、重合を完了した。
単量体混合物(a2):
メチルメタクリレート 20部
イソブチルメタクリレート 5部
t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.25部
この重合反応により、グラフト共重合体(A−1)ラテックスを得た。得られたグラフト共重合体(A−1)ラテックスの固形分は39.8%、グラフト共重合体(A−1)の質量平均粒子径は171nm、粒子径分布は1.12であった。
(グラフト共重合体(A−1)凝固粉体の調製)
得られたグラフト共重合体(A−1)ラテックスを、酢酸カルシウム5部を含む熱水200部中に滴下した。
グラフト共重合体(A−1)ラテックスを凝析させた後、濾過、洗浄し、65℃で16時間乾燥して、グラフト共重合体(A−1)凝固粉体を得た。
(実施例2)グラフト共重合体(A−1)SD粉体の製造
実施例1と同様にして、グラフト共重合体(A−1)ラテックスを得た。
得られたグラフト共重合体(A−1)ラテックスを、噴霧乾燥装置(L−8:大河原製作所製)を用いて噴霧乾燥して、グラフト共重合体(A−1)SD粉体を得た。尚、噴霧乾燥装置の運転条件は、熱風入口温度:155℃、熱風出口温度:約70℃とした。
(実施例3)グラフト共重合体(A−2)SD粉体の製造
単量体混合物(a2)の組成を下記のように変更したこと以外は、実施例2と同様にして、グラフト共重合体(A−2)SD粉体を得た。
グラフト共重合体(A−2)ラテックスの固形分は39.9%、グラフト共重合体(A−2)の質量平均粒子径は170nm、粒子径分布は1.13であった。
単量体混合物(a2):
メチルメタクリレート 20部
イソブチルメタクリレート 5部
n−オクチルメルカプタン 0.025部
t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.25部
(実施例4)グラフト共重合体(A−3)SD粉体の製造
単量体混合物(a1−2)の組成を下記のように変更したこと以外は、実施例2と同様にして、グラフト共重合体(A−3)SD粉体を得た。
グラフト共重合体(A−3)ラテックスの固形分は39.7%、グラフト共重合体(A−3)の質量平均粒子径は173nm、粒子径分布は1.11であった。
単量体混合物(a1−2):
2−エチルヘキシルアクリレート 69.3部
アリルメタクリレート 0.35部
1,3−ブチレングリコールジメタクリレート 0.35部
t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.35部
ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム 0.6部
脱イオン水 35部
(実施例5)グラフト共重合体(A−4)SD粉体の製造
単量体混合物(a2)の組成を下記のように変更したこと以外は、実施例4と同様にして、グラフト共重合体(A−4)SD粉体を得た。
グラフト共重合体(A−4)ラテックスの固形分は39.9%、グラフト共重合体(A−4)の質量平均粒子径は170nm、粒子径分布は1.14であった。
単量体混合物(a2):
メチルメタクリレート 20部
イソブチルメタクリレート 5部
n−オクチルメルカプタン 0.025部
t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.25部
(実施例6)グラフト共重合体(A−5)SD粉体の製造
攪拌翼、冷却管、熱電対、窒素導入口を備えたセパラブルフラスコに、下記の単量体混合物(a1−1)を仕込み、窒素気流下で2時間攪拌後、内温を70℃に昇温させた。
単量体混合物(a1−1):
n−ブチルアクリレート 4.95部
アリルメタクリレート 0.025部
1,3−ブチレングリコールジメタクリレート 0.025部
脱イオン水 107.5部
次いで、下記の開始剤水溶液を添加し、重合を開始した。内温を70℃で90分間保持して、重合を完了した。その後、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム0.2部を添加した。
開始剤水溶液:
過硫酸カリウム 0.01部
脱イオン水 2.5部
この重合により、アクリルシード粒子(ロ)ラテックスを得た。得られたアクリルシード粒子(ロ)ラテックスの固形分は4.3%、アクリルシード粒子(ロ)の質量平均粒子径は330nm、粒子径分布は1.07であった。
アクリルシード粒子(イ)ラテックスの代わりに、アクリルシード粒子(ロ)ラテックスを用いたこと以外は、実施例2と同様にして、グラフト共重合体(A−5)SD粉体を得た。
グラフト共重合体(A−5)ラテックスの固形分は39.6%、グラフト共重合体(A−5)の質量平均粒子径は680nm、粒子径分布は1.06であった。
(実施例7)グラフト共重合体(A−6)SD粉体の製造
単量体混合物(a1−2)の組成を下記のように変更したこと以外は、実施例6と同様にして、グラフト共重合体(A−6)SD粉体を得た。
グラフト共重合体(A−6)ラテックスの固形分は39.7%、グラフト共重合体(A−6)の質量平均粒子径は693nm、粒子径分布は1.05であった。
単量体混合物(a1−2):
2−エチルヘキシルアクリレート 69.3部
アリルメタクリレート 0.35部
1,3−ブチレングリコールジメタクリレート 0.35部
t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.35部
ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム 0.6部
脱イオン水 35部
(比較例1)グラフト共重合体(A−7)SD粉体の製造
単量体混合物(a2)の組成を下記のように変更したこと以外は、実施例2と同様にして、グラフト共重合体(A−7)SD粉体を得た。
グラフト共重合体(A−7)ラテックスの固形分は39.7%、グラフト共重合体(A−7)の質量平均粒子径は172nm、粒子径分布は1.12であった。
単量体混合物(a2):
メチルメタクリレート 25部
t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.25部
(比較例2)グラフト共重合体(A−8)SD粉体の製造
単量体混合物(a2)の組成を下記のように変更したこと以外は、実施例2と同様にして、グラフト共重合体(A−8)SD粉体を得た。
グラフト共重合体(A−8)ラテックスの固形分は39.7%、グラフト共重合体(A−8)の質量平均粒子径は172nm、粒子径分布は1.12であった。
単量体混合物(a2):
メチルメタクリレート 20部
n−ブチルメタクリレート 5部
t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.25部
(比較例3)グラフト共重合体(A−9)SD粉体の製造
単量体混合物(a2)の組成を下記のように変更したこと以外は、実施例4と同様にして、グラフト共重合体(A−9)SD粉体を得た。
グラフト共重合体(A−9)ラテックスの固形分は39.8%、グラフト共重合体(A−9)の質量平均粒子径は175nm、粒子径分布は1.13であった。
単量体混合物(a2):
メチルメタクリレート 25部
t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.25部
(比較例4)グラフト共重合体(A−10)SD粉体の製造
単量体混合物(a2)の組成を下記のように変更したこと以外は、実施例4と同様にして、グラフト共重合体(A−10)SD粉体を得た。
グラフト共重合体(A−10)ラテックスの固形分は39.7%、グラフト共重合体(A−10)の質量平均粒子径は173nm、粒子径分布は1.12であった。
単量体混合物(a2):
メチルメタクリレート 20部
n−ブチルメタクリレート 5部
t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.25部
(比較例5)グラフト共重合体(A−11)SD粉体の製造
単量体混合物(a2)の組成を下記のように変更したこと以外は、実施例6と同様にして、グラフト共重合体(A−11)SD粉体を得た。
グラフト共重合体(A−11)ラテックスの固形分は39.7%、グラフト共重合体(A−11)の質量平均粒子径は635nm、粒子径分布は1.10であった。
単量体混合物(a2):
メチルメタクリレート 25部
t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.25部
(比較例6)グラフト共重合体(A−12)SD粉体の製造
単量体混合物(a2)の組成を下記のように変更したこと以外は、実施例7と同様にして、グラフト共重合体(A−12)SD粉体を得た。
グラフト共重合体(A−12)ラテックスの固形分は39.8%、グラフト共重合体(A−12)の質量平均粒子径は628nm、粒子径分布は1.09であった。
単量体混合物(a2):
メチルメタクリレート 25部
t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.25部
グラフト共重合体(A−1)〜(A−12)粉体の製造に用いた、アクリルシード粒子、単量体混合物(a1−2)、単量体混合物(a2)、ラテックスからの粉体の回収方法を、表1に示す。
Figure 0005144307
(実施例8〜14、比較例7〜12)
得られたグラフト共重合体(A−1)〜(A−12)粉体、塩化ビニル樹脂(B)及び各種添加剤を下記の比率Xで配合した。
グラフト共重合体粉体 6.5部
塩化ビニル樹脂(TK1000:信越化学(株)製) 100部
Ca−Zn系安定剤(CZ3122GN:コグニス(株)製) 3部
特殊脂肪酸滑剤(LOXIOL G21:コグニス(株)製) 0.2部
ポリオールエステル滑剤
(LOXIOL G15:コグニス(株)製) 0.3部
ポリエチレンワックス
(HI−WAX220MP:三井化学(株)製) 0.1部
炭酸カルシウム(CCR:白石カルシウム(株)製) 5部
酸化チタン(R830:石原産業(株)製) 5部
顔料(DA EP4820 ブラウン:大日精化(株)製) 1部
得られた樹脂配合物を用い、ラボプラストミルの押出しユニットのスクリュー回転数:50rpmで諸物性の評価を行なった。評価結果を表2に示す。
(実施例15〜17)
グラフト共重合体(A−1)SD粉体、(A−3)SD粉体、又は(A−5)SD粉体を用い、上記の比率Xで配合した樹脂配合物を用いて、ラボプラストミルの押出しユニットのスクリュー回転数:54rpmで諸物性の評価を行なった。評価結果を表2に示す。
Figure 0005144307
表2で明らかなように、実施例8〜14の樹脂配合物は、押出しユニット内での溶融が速く、且つ、溶融混練された樹脂組成物を低トルクで押出すことができ、溶融成形時の加工性に優れることを確認した。
これに対して、グラフト共重合体(A−7)SD粉体、(A−9)SD粉体、(A−11)SD粉体、又は(A−12)SD粉体(単量体混合物(a2)がイソブチルメタクリレートを含まず、メチルメタクリレートのみ)を配合した比較例7、9、11、12の樹脂配合物は、押出しユニット内での溶融が遅く、溶融混練された樹脂組成物の押出しには高いトルクが必要であり、溶融成形時の加工性が劣る結果であった。
また、グラフト共重合体(A−8)SD粉体、又は(A−10)SD粉体(単量体混合物(a2)がイソブチルメタクリレートを含まず、メチルメタクリレート/n−ブチルメタクリレート)を配合した比較例8、10の樹脂配合物も、押出しユニット内での溶融が遅く、溶融混練された樹脂組成物の押出しには高いトルクが必要であり、溶融成形時の加工性が劣る結果であった。
実施例15〜17は、実施例9、11、13と同じ樹脂配合物を用い、押出しユニットのスクリュー回転数を54rpmとして、溶融位置(ピッチ)を比較例7、9、11と同程度とした。
実施例15は、溶融位置が比較例7と同程度であっても、溶融混練された樹脂組成物を低トルクで押出すことができ、比較例7に対して溶融成形時の加工性に優れることを確認した。即ち、単量体混合物(a2)がイソブチルメタクリレートを含む(A−1)SD粉体は、同じアクリルゴム(A1)を用い、単量体混合物(a2)がメチルメタクリレートのみの(A−7)SD粉体に対して、スクリュー回転数を変えた場合であっても、溶融成形時の加工性に優れることを確認した。
実施例16、17も同様に、比較例9、11に対して溶融成形時の加工性に優れることを確認した。
即ち、単量体混合物(a2)がイソブチルメタクリレートを含む(A−3)SD粉体、(A−5)SD粉体は、同じアクリルゴム(A1)を用い、単量体混合物(a2)がメチルメタクリレートのみの(A−9)SD粉体、(A−11)SD粉体に対して、スクリュー回転数を変えた場合であっても、溶融成形時の加工性に優れることを確認した。
実施例8〜14の樹脂配合物を押出して得られたシートは、良好な耐衝撃性を示した。特に、単量体混合物(a1−2)に2−エチルヘキシルアクリレートを用いたグラフト共重合体SD粉体を配合した実施例11、12、14では、10℃での耐衝撃性が良好であった。
また、評価結果を記載していないが、本発明のグラフト共重合体(A)は、ゴム成分としてアクリルゴムを用いているため、ブタジエンゴムを用いたグラフト共重合体に比較して、耐候性が良好である。これを配合して得られる成形品も、同様に、耐候性は良好である。
(実施例18、19、比較例13、14)
得られたグラフト共重合体(A−1)SD粉体、(A−7)SD粉体、塩化ビニル樹脂(B)及び各種添加剤を下記の比率Yで配合した(比率Xに対して、滑剤量を2割低減)。
グラフト共重合体粉体 6.5部
塩化ビニル樹脂(TK1000:信越化学(株)製) 100部
Ca−Zn系安定剤(CZ3122GN:コグニス(株)製) 3部
特殊脂肪酸滑剤(LOXIOL G21:コグニス(株)製) 0.16部
ポリオールエステル滑剤
(LOXIOL G15:コグニス(株)製) 0.24部
ポリエチレンワックス
(HI−WAX220MP:三井化学(株)製) 0.08部
炭酸カルシウム(CCR:白石カルシウム(株)製) 5部
酸化チタン(R830:石原産業(株)製) 5部
顔料(DA EP4820 ブラウン:大日精化(株)製) 1部
得られた樹脂配合物を用い、ラボプラストミルの押出しユニットの温度、スクリュー回転数を変えて、諸物性の評価を行なった。評価結果を表3に示す。
Figure 0005144307
表3で明らかなように、実施例18は、実施例15に対して滑剤量を2割低減したが、実施例15と同様に押出すことが可能であった。それに対して比較例13は、比較例7に対して滑剤量を2割低減したことにより、押出しトルクが上昇した。
また、実施例19は、実施例18に対して押出しユニットの温度を低く設定したが、溶融成形時の加工性は良好であり、得られたシートの耐衝撃性も良好であった。それに対して比較例14は、比較例13に対して押出しユニットの温度を低く設定したことにより、溶融が十分ではなく、得られたシートの耐衝撃性が低下した。
樹脂組成物を低トルクで押出すことができれば、溶融混練の過程で樹脂組成物にかかる剪断力が低くなる。これにより、樹脂の剪断発熱を抑制することができ、安定剤の配合量を低減することができる。
例えば、実施例15では、押出しユニットの最高温度(D:185℃)に対して、ダイで測定した樹脂温度が188℃であった。それに対して、比較例7では、190℃であり、樹脂の剪断発熱の影響が確認された。
また、樹脂組成物を低トルクで押出すことができることから、溶融成形時の後期滑性が不足することがなく、滑剤の配合量を低減することができた。
さらに、押出し機に対する負荷を低減して、より高速での成形が可能となる。
(実施例20、21、比較例14)
得られたグラフト共重合体(A−1)SD粉体、(A−7)SD粉体、塩化ビニル樹脂(B)及び各種添加剤を下記の比率Zで配合した。
グラフト共重合体粉体 6.5部
塩化ビニル樹脂(TK1000:信越化学(株)製) 100部
NH変性6―アミノウラシル 2部
ポリグリシジルメタクリレート(分子量:5万) 2部
特殊脂肪酸滑剤(LOXIOL G21:コグニス(株)製) 0.2部
ポリオールエステル滑剤
(LOXIOL G15:コグニス(株)製) 0.3部
ポリエチレンワックス
(HI−WAX220MP:三井化学(株)製) 0.1部
炭酸カルシウム(CCR:白石カルシウム(株)製) 5部
酸化チタン(R830:石原産業(株)製) 5部
顔料(DA EP4820 ブラウン:大日精化(株)製) 1部
得られた樹脂配合物を用い、ラボプラストミルの押出しユニットのスクリュー回転数を変えて、諸物性の評価を行なった。評価結果を表4に示す。
Figure 0005144307
表4で明らかなように、実施例20の樹脂配合物は、押出しユニット内での溶融が速く、且つ、溶融混練された樹脂組成物を低トルクで押出すことができ、溶融成形時の加工性に優れることを確認した。
実施例21は、実施例20と同じ樹脂配合物を用い、押出しユニットのスクリュー回転数を54rpmとして、溶融位置(ピッチ)を比較例15と同程度とした。
実施例21は、溶融位置が比較例15と同程度であっても、溶融混練された樹脂組成物を低トルクで押出すことができ、比較例15に対して溶融成形時の加工性に優れることを確認した。即ち、単量体混合物(a2)がイソブチルメタクリレートを含む(A−1)SD粉体は、同じアクリルゴム(A1)を用い、単量体混合物(a2)がメチルメタクリレートのみの(A−7)SD粉体に対して、非金属系安定剤を用いた場合でも、溶融成形時の加工性に優れることを確認した。
本発明のグラフト共重合体によれば、塩化ビニル樹脂の溶融成形時の加工性を向上させることができ、得られる成形品の耐候性を損なうことなく、耐衝撃性を向上させることができる。
本発明の樹脂組成物は溶融成形時の加工性に優れる。
本発明の樹脂組成物を成形して得られる成形品は、耐衝撃性が高く、建材用途(特に窓枠用途)、パイプ、自動車材料、玩具、文具等の雑貨、OA機器、家電機器等の広い分野に用いることができる。

Claims (4)

  1. n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート及び2−エチルヘキシルアクリレートなる群より選ばれる少なくとも1種のアルキル(メタ)アクリレートを主成分とする単量体混合物(a1)を重合して得られるアクリルゴム(A1)50〜99.9質量部の存在下で、単量体混合物(a2)0.1〜50質量部をグラフト重合して得られるグラフト共重合体(A)(但し、(A1)と(a2)の合計が100質量部)であって、
    単量体混合物(a2)が、イソブチルメタクリレート1〜99質量%を含有することを特徴とするグラフト共重合体(A)。
  2. 請求項1記載のグラフト共重合体(A)0.01〜30質量部((B)100質量部に対して)、塩化ビニル樹脂(B)100質量部及びカルシウム−亜鉛系安定剤(C1)若しくは非金属系安定剤(C2)1〜7質量部((B)100質量部に対して)を含有する樹脂組成物。
  3. 請求項2記載の樹脂組成物を成形して得られる成形品。
  4. 請求項1記載のグラフト共重合体(A)を含有する加工性向上及び耐衝撃性向上剤。
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