JP2005042082A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 耐衝撃性、耐応力白化性、外観に優れた樹脂組成物を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂(A)70〜99質量%と、重量平均粒子径が80〜300nmであり重量平均粒子径(dw)と数平均粒子径(dn)との比dw/dnが2以下であるブタジエン系ゴム重合体50〜85質量%含有するラテックスの存在下に、メタクリル酸エステルおよび芳香族ビニル化合物の合計80〜100質量部(グラフト重合用単量体100部基準)と他のビニル系単量体0〜20質量部(同上)をグラフト重合し、噴霧回収または塩析にて粉体回収して得たグラフト共重合体であって、乳化剤としてスルホン酸系塩化合物および/または硫酸塩系塩化合物0.5〜10質量部(グラフト重合用単量体+ブタジエン系ゴム重合体の合計100部基準)用いたグラフト共重合体(B)1〜30質量%を含有する熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐衝撃性、耐応力白化性および成形外観に優れた熱可塑性樹脂組成物に関する。
熱可塑性樹脂の中でも塩化ビニル系樹脂は、機械的性質、化学的性質が優れているので、広く各分野に用いられている。しかし、耐衝撃性が低いという短所があり、これを改良するために従来から数多くの研究が行われている。例えば、ABS樹脂、MBS樹脂またはポリアクリル酸アルキルエステルゴム重合体に、メチルメタクリレート、スチレン、アクリロニトリル等の単量体をグラフト重合させて得た耐衝撃性改質樹脂を、塩化ビニル系樹脂に配合することによって、耐衝撃性を改良する方法が提案されている。
また、塩化ビニル系樹脂には、用途によっては耐衝撃性と共に耐応力白化性や透明性が同時に求められる。しかし、一般に耐衝撃性と耐応力白化性を両立することは困難である。例えば、小粒子径ゴムラテックス粒子を適度に凝集して、スチレン、メチルメタクリレート等をグラフト重合して得たグラフト共重合体を添加することにより、耐衝撃性と耐応力白化性や透明性の両立を図る方法がある(特許文献1、2参照)。しかし、ゴムラテックスの適度な凝集には高度な技術を要し、場合によってはゴム状凝集物が多発することもある。したがって、これら特許文献記載の方法を実施するのは容易でない。
また、塩化ビニル系樹脂の耐応力白化性を向上させる為には、使用するグラフト共重合体のゴム成分の架橋度を高くして比較的硬いゴムにしたり、使用するグラフト共重合体の粒子径分布において粒子径が大きい部分を少なくするのが有効であることが知られている。
例えば、高度に架橋された平均粒子径60〜300nmの比較的粒子径分布の小さいブタジエン系ゴムを用い、かつそのゴム成分の割合が従来のものに比べて多いグラフト共重合体を用いて、耐衝撃性と耐応力白化性や透明性の両立を図る方法がある(特許文献3参照)。しかし、この方法によれば、ある程度は耐衝撃性と耐応力白化性や透明性を両立できるが、未だ満足できる水準ではない。この特許文献3記載の実施例で得られた樹脂組成物は、実際には、成型時の加工性に劣り、充分な耐衝撃性が得られず、さらに成型物の外観が劣る傾向が認められる。
また、平均粒子径150nm以上のゴムの粒子径分布をコントロールして、耐溶剤性を向上させる方法がある(特許文献4、5参照)。しかし、この方法によれば耐衝撃強度もある程度は改善されているものの、未だ満足できる水準ではない。また、この方法においても、実際には、樹脂組成物の成型時の加工性が劣り、充分な耐衝撃性が得られず、さらに成型物の外観が劣る傾向が認められる。
また、特定の乳化剤を用いてグラフト重合して得たゴム含量85〜95%MBS樹脂を、塩化ビニル系樹脂に添加して外観や強度を改良する方法がある(特許文献6参照)。しかし、このMBS樹脂はゴム含量が多いのでグラフト成分の割合が少なく、凝析剤を使用した粉体回収が非常に困難である。しかも、成形品モルフォロジー観察では、成形条件によっては凝集傾向が見られる。
さらに、熱可塑性樹脂のうち、例えばポリカーボネート樹脂もしくはそのアロイについても、その機械的性質を改良する方法が従来から種々提案されている。具体的には、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂およびブタジエン系グラフト共重合体からなる樹脂組成物が提案されている(特許文献7〜10参照)。しかし、特許文献7記載の樹脂組成物では、それら3つ成分の組成が比較的狭い範囲でしか耐衝撃性の改良効果がなく、しかも成型品外観が劣り光沢度が低下する点で改善の余地を残している。また、特許文献8〜10記載の樹脂組成物では、必ずしも耐衝撃性付与効果と流動性を両立できていない。
さらに、特定構造を有するポリカーボネート樹脂、AS樹脂、およびジエン系グラフト共重合体からなる組成物が提案されている(特許文献11、12参照)。しかし、これら組成物は強度発現性が不十分である。
また、ポリカーボネート樹脂、AS樹脂、およびアクリル系グラフト構造を有するグラフト共重合体からなる組成物が提案されている(特許文献13参照)。さらに、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル系樹脂または芳香族ビニル系樹脂、およびアクリル系グラフト構造と特定の粒子径分布を有するグラフト共重合体からなる組成物も提案されている(特許文献14参照)。しかし、これらグラフト組成では、強度は発現するものの流動性が不十分であり、それに伴い外観も損なわれることがありえる。
特公昭46−31462号公報 特公昭54−1584号公報 特開昭57−212246号公報 特開昭60−235854号公報 特開平2−191652号公報 特開2001−172458号公報 特公昭55−9435号公報 特公昭62−26343号公報 特公昭62−46578号公報 特公平7−5825号公報 特開昭48−43449号公報 特開昭48−72249号公報 特許第3281075号公報 特開2001−342336号公報
本発明の目的は、耐衝撃性、耐応力白化性および成形外観に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
本発明は、熱可塑性樹脂(A)70〜99質量%と、
重量平均粒子径が80〜300nmであり、重量平均粒子径(dw)と数平均粒子径(dn)との比dw/dnが2以下であるブタジエン系ゴム重合体を50〜85質量%含有するラテックスの存在下に、メタクリル酸エステルおよび芳香族ビニル化合物の合計80〜100質量部(グラフト重合に用いる単量体の全量100質量部を基準)と、その他共重合可能なビニル系単量体0〜20質量部(グラフト重合に用いる単量体の全量100質量部を基準)とをグラフト重合し、その後噴霧回収または塩析にて粉体回収して得られるグラフト共重合体であって、その製造時の乳化剤としてスルホン酸系塩化合物および/または硫酸塩系塩化合物を0.5〜10質量部(グラフト重合に用いる単量体の全量とブタジエン系ゴム重合体の量の合計100質量部を基準)用いたグラフト共重合体(B)1〜30質量%と
を含有する熱可塑性樹脂組成物である。
本発明によれば、著しく耐衝撃性、耐応力白化性および成形外観に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することができる。
本発明において、熱可塑性樹脂(A)は特に限定されず、従来より知れらる各種の熱可塑性樹脂を使用できるが、特に塩化ビニル系樹脂を用い、これにグラフト共重合体(B)を特定量配合すれば、塩化ビニル系樹脂特有の特性が損なわれることなく、さらに耐衝撃性、成形外観等が向上する。また、塩化ビニル系樹脂以外にも、ポリカーボネート樹脂、ポリカーボネート系アロイ、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリステル樹脂系アロイ、AS樹脂、ABS樹脂、ナイロン66、ナイロン6等のポリアミド樹脂、変性ポリフェニレンオキサイドなど、種々の熱可塑性樹脂を使用できる。
本発明において、グラフト共重合体(B)を構成する為に用いるブタジエン系ゴム重合体を含有するラテックスは、1,3−ブタジエンと、所望に応じて、架橋性単量体と、1,3−ブタジエンと共重合しうる一種以上のビニル系単量体とを乳化重合して得たラテックスであることが好ましい。
架橋性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン等の芳香族多官能ビニル化合物;エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート等の多価アルコールのジカルボン酸エステル;トリメタクリル酸エステル;トリアクリル酸エステル;アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル等のカルボン酸アリルエステル;ジアリルフタレート、ジアリルセバケート、トリアリルトリアジン等のジまたはトリアリル化合物;などが挙げられる。1,3−ブタジエンと共重合しうるビニル系単量体(架橋性単量体を除く。以下同様。)としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等のメタクリル酸アルキルエステル;エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート等のアクリル酸アルキルエステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル;メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル;塩化ビニル、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル;塩化ビニリデン、臭化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、エチレングリコールグリシジルエーテル等のグリシジル基を有するビニル系単量体;などが挙げられる。これら架橋性単量体およびビニル系単量体は、一種を単独でまたは二種以上を併用できる。
各成分の使用量に関しては、ブタジエン系ゴム重合体を得る為の重合に用いる単量体の全量を100質量部とした場合、1,3−ブタジエンの量は65質量部以上が好ましく、さらに、架橋性単量体の量は0〜10質量部、その残余は1,3−ブタジエンと共重合しうる一種以上のビニル系単量体とすることが好ましい。1,3−ブタジエンの量を65質量部以上にすることは、耐衝撃性の点から好ましい。架橋性単量体の量は、必要とされる耐応力白化のレベルに応じて添加すればよいが、耐衝撃性の点から10質量部以下が好ましい。
このブタジエン系ゴム重合体を含有するラテックスは、通常は、乳化重合により得られる。この乳化重合には、従来より知られる各種の乳化剤を適宜用いることができるが、特に、スルホン酸系塩化合物および/または硫酸塩系塩化合物を用いることが好ましい。重合温度は、重合開始剤の種類にもよるが、通常は40〜80℃程度である。また、重合開始前に、例えばスチレン等から成るシードラテックスを予め仕込んでおいても良い。乳化重合は、多段階で行なうことが好ましい。具体的には、重合に用いる単量体の一部を反応系内に予め仕込んでおき、重合開始後、残りの単量体を一括添加、分割添加、または連続添加する方式が特に好ましい。この多段乳化重合は、初期に仕込む単量体の組成と、後から添加する単量体の組成を同一にしても良いし、変更しても良い。このような重合方式をとることにより、良好な重合安定性が得られ、所望の粒径および粒径分布を有するラテックスを安定して得ることができる。また、このような重合方式により得たラテックスを用いてグラフト共重合体(B)を製造し、これを熱可塑性樹脂(A)に配合すれば、耐衝撃性、流動性、成形外観について非常に優れた樹脂組成物が得られる。
本発明において、ブタジエン系ゴム重合体は、その重量平均粒子径が80〜300nmであり、かつ重量平均粒子径(dw)と数平均粒子径(dn)との比dw/dnが2以下である。この重量平均粒子径が80nmより小さい場合は、耐衝撃性付与効果が小さくなる。一方、重量平均粒子径が300nmより大きい場合は、耐応力白化性および透明性が悪化する。またdw/dnが2を超えると、耐衝撃性付与効果が小さくなると共に、耐応力白化性、透明性が悪化し、さらに外観に対して悪影響を与える。このブタジエン系ゴム重合体の重量平均粒子径およびdw/dnは、従来より知られる方法により測定できる。具体的には、市販のキャピラリー式粒度分布計を用いて、それらの詳細を知ることができる。
本発明において、グラフト共重合体(B)は、上述したブタジエン系ゴム重合体を50〜85質量%含有するラテックスの存在下に、グラフト重合に用いる単量体の全量を100質量部とした場合、メタクリル酸エステル(特にメタクリル酸アルキルエステル)および芳香族ビニル化合物の合計80〜100質量部と、その他共重合可能なビニル系単量体0〜20質量部とをグラフト重合し、その後噴霧回収または塩析にて粉体回収して得られる。
重合方法としては、一段または二段以上の多段重合が可能である。多段重合の際は、重合に用いる単量体の一部を反応系内にあらかじめ仕込んでおき、重合開始後、残りの単量体を一括添加、分割添加または連続添加する方式とすることが好ましい。このような重合方式をとることで、良好な重合安定性が得られ、かつ所望の粒径および粒径分布を有するラテックスを安定に得ることができる。
例えば、3段階の重合を行なう場合は、特に、1段目のグラフト重合を、メタクリル酸アルキルエステル単独、またはメタクリル酸アルキルエステルおよびこれと共重合可能な他の1種以上のビニル系単量体からなる単量体混合物を用いて行い、2段目のグラフト重合を、芳香族ビニル化合物単独、または芳香族ビニル化合物およびこれと共重合可能な他の1種以上のビニル系単量体からなる単量体混合物を用いて行い、3段目のグラフト重合を、メタクリル酸アルキルエステル単独、またはメタクリル酸アルキルエステルおよびこれと共重合可能な他の1種以上のビニル系単量体からなる単量体混合物を用いて行なうことが好ましい。1段目のグラフト重合は、例えば、熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性を向上させると共に、熱可塑性樹脂との相溶性を向上させる為に行なう。2段目のグラフト重合は、例えば、グラフト共重合体の流動性および透明性を向上させる為に行なう。3段目のグラフト重合は、例えば、熱可塑性樹脂組成物表面の艶を向上させる為に行なう。
グラフト重合に用いる単量体の全量を100質量部とした場合、1段目のグラフト重合に用いる単量体の量は15〜50質量部が好ましい。この量が15質量部以上であると熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性等の点で好ましく、50質量部以下であると熱可塑性樹脂組成物の成形外観等の点で好ましい。また、2段目のグラフト重合に用いる単量体の量は40〜60質量部が好ましい。この量が40質量部以上であるとグラフト共重合体の流動性等の点で好ましく、60質量部以下であると熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性等の点で好ましい。また、3段目のグラフト重合に用いる単量体の量は5〜45質量部が好ましい。この量が5質量部以上であると熱可塑性樹脂組成物表面の艶等の点で好ましく、45質量以下であるとグラフト共重合体の流動性等の点で好ましい。これら各単量体の使用量は、具体的には、上記各範囲内で自由に変更しても構わない。
グラフト重合用単量体としては、少なくともメタクリル酸エステルと芳香族ビニル化合物を使用し、さらに必要に応じて、その他共重合可能なビニル系単量体を併用する。メタクリル酸エステルの具体例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等が挙げられる。芳香族ビニル化合物の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ハロゲンおよび/またはアルキル置換スチレン等が挙げられる。その他共重合可能なビニル系単量体の具体例としては、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート等のアクリル酸アルキルエステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基を有するビニル系単量体;などが挙げられる。また、ブタジエン系ゴム重合体の製造の為の成分として先に例示した各種の架橋性単量体を併用することもできる。これらビニル系単量体は、単独でまたは二種以上を併用して用いることができる。
メタクリル酸エステルと芳香族ビニル化合物の比率は特に限定されないが、衝撃強度、透明性および流動性の観点から、グラフト重合に用いる単量体の全量100質量部を基準として、メタクリル酸エステルを10〜99質量部、芳香族ビニル化合物を1〜70質量部、および、その他共重合可能なビニル系単量体0〜20質量部部からなる単量体混合物を、一段もしくは二段以上の多段グラフト重合することが好ましく、さらに三段グラフト重合が好ましい。
グラフト重合に用いる単量体の全量とブタジエン系ゴム重合体の量の合計を100質量部とした場合、グラフト重合に用いる単量体の全量は、ブタジエン系ゴム重合体55〜85質量部に対し、20〜50質量部であることが好ましい。グラフト重合に使用する単量体の全量が50質量部以下であると、耐衝撃性などの点で好ましい。また、これが20質量部以上であると、グラフト重合時に塊状物が発生し難くなり、成型時の加工性の点で好ましい。また同時に、グラフト共重合体の流動性の点でも好ましく、良好な外観が得られる。
グラフト重合は、乳化重合法により行うことが好ましい。重合温度は、重合開始剤の種類にもよるが通常は40〜80℃程度である。このグラフト重合の乳化剤としては、従来より知られる各種の乳化剤を適宜用いることができるが、特に、スルホン酸系塩化合物および/または硫酸塩系塩化合物を0.5〜10質量部(グラフト重合に用いる単量体の全量とブタジエン系ゴム重合体の量の合計100質量部を基準)用いることが好ましい。
スルホン酸系塩化合物の具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。硫酸系塩化合物の具体例としては、ラウリル硫酸ナトリウム等が挙げられる。これら乳化剤は、一種を単独でまたは二種以上を併用できる。特に、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩を使用すると、成形着色性、ペレット乾燥時のヒートエージング性を改良できるので好ましい。アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩の中では、特にドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムが好ましい。
乳化剤の使用量は、グラフト重合に用いる単量体の全量を100質量部に対して0.5〜10質量部である。さらに、重合安定性を向上させる目的で、乳化分散剤も併用できる。乳化分散剤の具体例としては、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩等が挙げられる。
なお本発明において、グラフト共重合体(B)の製造時の乳化剤として、スルホン酸系塩化合物および/または硫酸塩系塩化合物を0.5〜10質量部用いたとは、グラフト重合の際にそれを添加した場合のみならず、ブタジエン系ゴム重合体の製造の際にそれを添加した場合をも含む意味である。すなわち、その特定の乳化剤は、グラフト重合を行う為の乳化重合および/またはブタジエン系ゴム重合体を得る為の乳化重合に使用されるものである。
グラフト重合には、必要に応じて、各種の重合開始剤を使用できる。重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩;t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル等のアゾ化合物;上記各化合物と亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、チオ硫酸塩、第一金属塩、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、デキストローズ等を組み合わせたレドックス系開始剤;などが挙げられる。
以上説明したグラフト重合により得たグラフト共重合体(B)のラテックスには、適当な酸化防止剤や添加剤を加え、あるいは添加せずに、噴霧回収もしくは塩析し、その後必要であれば熱処理固化、脱水、乾燥等を行うことにより、粉末状のグラフト共重合体(B)が得られる。噴霧回収または塩析にて粉体回収したグラフト共重合体(B)を用いるにより、例えばポリカーボネート樹脂やポリエステル樹脂である熱可塑性樹脂(A)の耐加水分解性の低下を抑制することもできる。
塩析に用いる凝析剤は特に限定されないが、アルカリ土類金属塩化合物が好ましく、特に酢酸カルシウム水溶液を用いることが好ましい。アルカリ土類金属塩化合物を用いれば、凝固工程においてグラフト共重合体ラテックスの残存塩をさらに水溶性の高い塩の形に変換することができ、洗浄工程においてポリマー中の残存物を減量できる。その結果、エステル結合を有する熱可塑性樹脂を対象とした場合、耐加水分解性を抑制することができる。
このグラフト共重合体(B)を熱可塑性樹脂(A)に配合することによって、本発明の熱可塑性樹脂組成物が得られる。樹脂組成物中、熱可塑性樹脂(A)の量は70〜99質量%であり、グラフト共重合体(B)の量は1〜30質量%である。この範囲内の組成とすることにより、耐衝撃性、流動性、成形外観に優れた熱可塑性樹脂組成物となる。グラフト共重合体(B)の量が30質量%より多いと熱可塑性樹脂(A)の他の優れた特性が失われる傾向にあり、1質量%より少ないと耐衝撃性が低下する傾向にある。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、さらに抗酸化剤として異なる2種のフェノール系および/またはチオエーテル系抗酸化剤を0.5〜10質量%含有することが好ましい。これにより、耐衝撃性等の物性を低下させることなく、熱着色性を抑制することができる。
フェノール系抗酸化剤としては、例えば、フェノール系化合物のヒドロキシル(−OH)基のオルト位に嵩高い基が存在し、フェノール性−OH基の性質を隠蔽したヒンダードフェノール系化合物が挙げられる。その具体例としては、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4'−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、テトラキス[メチレン−3−(4'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−tert−ブチルフェニル)プロピオネート]メタン、n−オクタデシル−3−(4'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−tert−ブチルフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリス(4'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−tert−ブチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(3'−ヒドロキシ−2',6'−ジメチル−4'−tert−ブチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(4'−ヒドロキシ−3',5'−tert−ジブチルベンジル)ベンゼン等が挙げられる。
イオウ系抗酸化剤としては、スルフィド(−S−)構造を有する化合物が主として挙げられる。その具体例としては、3,3'−チオプロピオン酸、ジステアリルチオプロピオネート、ジドデシル3,3'−チオプロピオネート、ジオクタデシル3,3'−チオプロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス(3−ドデシルチオプロピオネート)、ペンタエリスリチル−テトラキス(3−オクタデシルチオプロピオネート)、ジラウリルチオジプロピオネート等が挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、さらに必要に応じて、各種の添加剤を添加してもよい。具体的には、熱または光に対する安定剤、紫外線吸収剤、アミン系の光安定剤を添加してもよい。また各種の難燃化剤、例えばリン系、ブロム系、シリコーン系、有機金属塩系難燃剤を添加しても良い。さらに、耐加水分解性等の改質剤、酸化チタン、タルク等の充填剤、染顔料、可塑剤等を添加しても良い。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の調製方法は特に限定されず、従来より知られる各種の方法を用いることができる。例えば、ヘンシェルミキサー、タンブラー等で粉体や粒状物を混合し、これを押し出し機、ニーダー、ミキサー等で溶融混合する方法、あらかじめ溶融させた成分に他成分を逐次混合していく方法、混合物を直接射出成形機で成形する方法などを用いることができる。
以下、本発明を、実施例により更に詳細に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。文中の「部」および「%」(ただし全光線透過率およびヘイズの測定値「%」は除く)は、それぞれ「質量部」および「質量%」を意味する。また、表1、3、4には、実施例および比較例におけるグラフト共重合体の組成の詳細および熱可塑性樹脂組成物の組成をまとめて示し、表2、5には、以下の方法による各種物性の測定値および評価結果を示す。
[重量平均粒子径dwおよび数平均粒子径dn
得られたラテックスを蒸留水で希釈したものを試料として、キャピラリー式粒度分布計(米国MATEC社製、CHDF2000型粒度分布計)を用いて測定した。測定条件は、MATEC社が推奨する標準条件で行った。具体的には、専用の粒子分離用キャピラリー式カートリッジおよびキャリア液を用い、液性はほぼ中性、流速1.4ml/min、圧力約4000psi、温度35℃に保った状態で、濃度約3%の希釈ラテックス試料0.1mlについて測定した。また、標準粒子径物質として、米国DUKE社製の粒子径既知の単分散ポリスチレンを0.02μmから0.8μmの範囲内で合計12点用いた。
[アイゾット衝撃強度]
得られた熱可塑性樹脂組成物を、6インチロールにより185℃で混練し、50kg/cm2、185℃でプレス成形した試験片を用い、ASTM D−256に準じて測定した。
[透明性]
上記アイゾット衝撃強度の測定と同様の試験片を用い、ASTM−D1003−61に準じて測定した。
[耐応力白化性]
得られた熱可塑性樹脂組成物を用い、スクリュー径40mmの押し出し成形機により、樹脂温度190℃で厚さ0.2mmのシートを成形し、デュポン式衝撃強度測定装置にて先端径1cmの撃芯を使用し、200g荷重で50cmの高さから落錘してシートを変形させ、変形部分の白化度をA(良)〜C(不良)の三段階で目視評価した。
[成形外観]
上記耐応力白化性の測定と同様に成形したシートに対して、表面の艶、フィッシュアイ等の外観をA(良)〜C(不良)の三段階で目視評価した。
まず、熱可塑性樹脂(A)として塩化ビニル樹脂を用いた実施例および比較例を記載する。
<実施例1>
(1)ブタジエン系ゴム重合体ラテックス(R−1)の製造:
第一単量体として以下の各成分を70Lオートクレーブに仕込み、昇温して、43℃になったら下記レドックス系開始剤を添加して反応を開始し、その後さらに65℃まで昇温した。
第一単量体:
1,3−ブタジエン 22.5部
スチレン 7.2部
ジビニルベンゼン 0.3部
p−メンタンハイドロパーオキサイド 0.1部
ピロリン酸ナトリウム 0.5部
ラウリル硫酸ナトリウム 0.17部
脱イオン水 70部
レドックス系開始剤:
硫酸第一鉄 0.003部
デキストローズ 0.3部
脱イオン水 5部。
重合開始から2時間後に下記開始剤を添加し、その直後から下記第二単量体、脱イオン水、乳化剤を2時間で連続滴下した。
開始剤:
p−メンタンハイドロパーオキサイド 0.2部
第二単量体:
1,3−ブタジエン 52.5部
スチレン 16.8部
ジビニルベンゼン 0.7部
乳化剤、脱イオン水:
ラウリル硫酸ナトリウム 1.33部
脱イオン水 75部。
重合開始から12時間反応させて、ブタジエン系ゴム重合体ラテックス(R−1)を得た。このブタジエン系ゴム重合体ラテックス(R−1)の重量平均粒子径は180nmであり、dw/dn=1.7であった。
(2)グラフト共重合体(G−1)の製造:
ブタジエン系ゴム重合体ラテックス(R−1)を固形分として70部、ラウリル硫酸ナトリウム1.5部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.6部を窒素置換したフラスコ内に仕込み、内温を70℃に保持した。次いで、メチルメタクリレート7.5部、エチルアクリレート1.5部、および両単量体の合計量に対して0.3%に相当する量のクメンハイドロキシパーオキサイドの混合物を1時間かけて滴下し、その後1時間保持した(1段目のグラフト重合)。次いで、スチレン15部、およびこのスチレンの量に対して0.3%に相当する量のクメンハイドロキシパーオキサイドの混合物を1時間かけて滴下し、その後3時間保持した(2段目のグラフト重合)。さらにメチルメタクリレート6部、およびこのメチルメタクリレートの量に対して0.3%に相当する量のクメンハイドロキシパーオキサイドの混合物を0.5時間かけて滴下し、その後1時間保持した(3段目のグラフト重合)。以上の重合の完了により、グラフト共重合体ラテックスを得た。
このグラフト共重合体ラテックスに、ブチル化ハイドロキシトルエン0.5部を添加し、次いで噴霧乾燥して、グラフト共重合体(G−1)を得た。
(3)熱可塑性樹脂組成物の調製:
塩化ビニル樹脂(平均重合度700)90部、グラフト共重合体(G−1)10部、安定剤および滑剤として、ジオクチル錫メルカプチド3部、メタブレンRP−550(商品名、三菱レイヨン(株)製)2部、メタブレンRP−710(商品名、三菱レイヨン(株)製)1部を、ヘンシェルミキサーで110℃になるまで10分間混合し、熱可塑性樹脂組成物を得た。さらに、この組成物を用いて成形した成型品の物性評価(アイゾット衝撃強度、透明性、耐応力白化性、外観)を行った。結果を表2に示す。
<実施例2>
(1)ブタジエン系ゴム重合体ラテックス(R−2)の製造:
第一単量体の重合の際のラウリル硫酸ナトリウムの使用量を0.15部に変更し、第二単量体の重合の際のラウリル硫酸ナトリウムの使用量を1.35部に変更したこと以外は、実施例1の(1)と同様にして、ブタジエン系ゴム重合体ラテックス(R−2)を得た。このブタジエン系ゴム重合体ラテックス(R−2)の重量平均粒子径は185nmであり、dw/dn=1.8であった。
(2)グラフト共重合体(G−2)の製造:
ブタジエン系ゴム重合体ラテックス(R−2)を使用したこと以外は、実施例1の(2)と同様にして、グラフト共重合体(G−2)を得た。
(3)熱可塑性樹脂組成物の調製:
グラフト共重合体(G−2)を使用したこと以外は、実施例1の(3)と同様にして、熱可塑性樹脂組成物を調製し、評価した。結果を表2に示す。
<実施例3>
ポリ塩化ビニル樹脂の量を85部、グラフト共重合体(G−1)の量を15部に変更したこと以外は、実施例1の(3)と同様にして、熱可塑性樹脂組成物を調製し、評価した。結果を表1に示す。
<実施例4>
(1)ブタジエン系ゴム重合体ラテックス(R−3)の製造:
第一単量体として以下の各成分を70Lオートクレーブに仕込み、昇温して、43℃になったら下記レドックス系開始剤を添加して反応を開始し、その後さらに65℃まで昇温した。
第一単量体:
1,3−ブタジエン 23.6部
スチレン 1.25部
t−ドデシルメルカプタン 0.15部
p−メンタンハイドロパーオキサイド 0.1部
ピロリン酸ナトリウム 0.5部
ラウリル硫酸ナトリウム 0.11部
脱イオン水 70部
レドックス系開始剤:
硫酸第一鉄 0.003部
デキストローズ 0.3部
脱イオン水 5部。
重合開始から3時間後に下記開始剤を添加し、その直後から下記第二単量体、脱イオン水、乳化剤を8時間で連続滴下した。
開始剤:
p−メンタンハイドロパーオキサイド 0.2部
第二単量体:
1,3−ブタジエン 70.8部
スチレン 3.75部
t−ドデシルメルカプタン 0.45部
乳化剤、脱イオン水:
ラウリル硫酸ナトリウム 1.2部
脱イオン水 75部。
重合開始から21時間反応させて、ブタジエン系ゴム重合体ラテックス(R−3)を得た。このブタジエン系ゴム重合体ラテックス(R−3)の重量平均粒子径は165nmであり、dw/dn=1.2であった。
(2)グラフト共重合体(G−3)の製造:
ブタジエン系ゴム重合体ラテックス(R−3)を固形分として75部、ラウリル硫酸ナトリウム1.5部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.6部を窒素置換したフラスコ内に仕込み、内温を70℃に保持した。次いで、メチルメタクリレート95部、スチレン5部、および両単量体の合計量に対して0.3%に相当する量のクメンハイドロキシパーオキサイドの混合物を1時間かけて滴下し、その後1時間保持した。以上の重合の完了により、グラフト共重合体ラテックスを得た。
このグラフト共重合体ラテックスに、ブチル化ハイドロキシトルエン0.5部を添加し、次いで噴霧乾燥して、グラフト共重合体(G−3)を得た。
(3)熱可塑性樹脂組成物の調製:
グラフト共重合体(G−3)を使用したこと以外は、実施例1の(3)と同様にして、熱可塑性樹脂組成物を調製し、評価した。結果を表2に示す。
<実施例5>
(1)ブタジエン系ゴム重合体ラテックス(R−4)の製造:
第一単量体として以下の各成分を70Lオートクレーブに仕込み、昇温して、43℃になったら下記レドックス系開始剤を添加して反応を開始し、その後さらに65℃まで昇温した。
第一単量体:
1,3−ブタジエン 31.1部
スチレン 6.3部
ジビニルベンゼン 1.45部
p−メンタンハイドロパーオキサイド 0.1部
ピロリン酸ナトリウム 0.5部
ラウリル硫酸ナトリウム 0.8部
脱イオン水 70部
レドックス系開始剤:
硫酸第一鉄 0.003部
デキストローズ 0.3部
脱イオン水 5部。
重合開始から2時間後に下記開始剤を添加し、その直後から下記第二単量体、脱イオン水、乳化剤を3時間で連続滴下した。
開始剤:
p−メンタンハイドロパーオキサイド 0.2部
第二単量体:
1,3−ブタジエン 51.0部
スチレン 12.8部
ジビニルベンゼン 2.95部
乳化剤、脱イオン水:
ラウリル硫酸ナトリウム 1.2部
脱イオン水 75部。
重合開始から7時間反応させて、ブタジエン系ゴム重合体ラテックス(R−4)を得た。このブタジエン系ゴム重合体ラテックス(R−4)の重量平均粒子径は90nmであり、dw/dn=1.2であった。
(2)グラフト共重合体(G−4)の製造:
ブタジエン系ゴム重合体ラテックス(R−4)を固形分として75部、ラウリル硫酸ナトリウム1.5部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.6部を窒素置換したフラスコ内に仕込み、内温を70℃に保持した。次いで、メチルメタクリレート6.25部、エチルアクリレート1.25部、および両単量体の合計量に対して0.3%に相当する量のクメンハイドロキシパーオキサイドの混合物を1時間かけて滴下し、その後1時間保持した(1段目のグラフト重合)。次いで、スチレン12.5部、およびこのスチレンの量に対して0.3%に相当する量のクメンハイドロキシパーオキサイドの混合物を1時間かけて滴下し、その後3時間保持した(2段目のグラフト重合)。さらに、メチルメタクリレート5部、およびこのメチルメタクリレートの量に対して0.3%に相当する量のクメンハイドロキシパーオキサイドの混合物を0.5時間かけて滴下し、その後1時間保持した(3段目のグラフト重合)。以上の重合の完了により、グラフト共重合体ラテックスを得た。このグラフト共重合体ラテックスに、ブチル化ハイドロキシトルエン0.5部を添加し、次いで噴霧乾燥して、グラフト共重合体(G−4)を得た。
(3)熱可塑性樹脂組成物の調製:
グラフト共重合体(G−4)を使用したこと以外は、実施例1の(3)と同様にして、熱可塑性樹脂組成物を調製し、評価した。結果を表2に示す。
<実施例6>
(1)ブタジエン系ゴム重合体ラテックス(R−5)の製造:
第一単量体として以下の各成分を70Lオートクレーブに仕込み、昇温して、43℃になったら下記レドックス系開始剤を添加して反応を開始し、その後さらに65℃まで昇温した。
第一単量体:
1,3−ブタジエン 25.6部
スチレン 7.3部
1,3−ジメタクリル酸ブチレングリコール 0.16部
p−メンタンハイドロパーオキサイド 0.1部
ピロリン酸ナトリウム 0.5部
ラウリル硫酸ナトリウム 0.5部
脱イオン水 70部
レドックス系開始剤:
硫酸第一鉄 0.003部
デキストローズ 0.3部
脱イオン水 5部。
重合開始から2時間後に下記開始剤を添加し、その直後から下記第二単量体、脱イオン水、乳化剤を3時間で連続滴下した。
開始剤:
p−メンタンハイドロパーオキサイド 0.2部
第二単量体:
1,3−ブタジエン 52.0部
スチレン 14.6部
1,3−ジメタクリル酸ブチレングリコール 0.34部
乳化剤、脱イオン水:
ラウリル硫酸ナトリウム 0.9部
脱イオン水 75部。
重合開始から8時間反応させて、ブタジエン系ゴム重合体ラテックス(R−5)を得た。このブタジエン系ゴム重合体ラテックス(R−5)の重量平均粒子径は100nmであり、dw/dn=1.2であった。
(2)グラフト共重合体(G−5)の製造:
ブタジエン系ゴム重合体ラテックス(R−5)を使用したこと以外は、実施例5の(2)と同様にして、グラフト共重合体(G−5)を得た。
(3)熱可塑性樹脂組成物の調製:
グラフト共重合体(G−5)を使用したこと以外は、実施例1の(3)と同様にして、熱可塑性樹脂組成物を調製し、評価した。結果を表2に示す。
<実施例7>
(1)ブタジエン系ゴム重合体ラテックス(R−6)の製造:
第一単量体として以下の各成分を70Lオートクレーブに仕込み、昇温して、43℃になったら下記レドックス系開始剤を添加して反応を開始し、その後さらに65℃まで昇温した。
第一単量体:
1,3−ブタジエン 25.1部
スチレン 7.9部
p−メンタンハイドロパーオキサイド 0.1部
ピロリン酸ナトリウム 0.5部
ラウリル硫酸ナトリウム 0.08部
脱イオン水 70部
レドックス系開始剤:
硫酸第一鉄 0.003部
デキストローズ 0.3部
脱イオン水 5部。
重合開始から2時間後に下記開始剤を添加し、その直後から下記第二単量体、脱イオン水、乳化剤を3時間で連続滴下した。
開始剤:
p−メンタンハイドロパーオキサイド 0.2部
第二単量体:
1,3−ブタジエン 50.9部
スチレン 16.1部
乳化剤、脱イオン水:
ラウリル硫酸ナトリウム 1.42部
脱イオン水 75部。
重合開始から10時間反応させて、ブタジエン系ゴム重合体ラテックス(R−6)を得た。このブタジエン系ゴム重合体ラテックス(R−6)の重量平均粒子径は150nmであり、dw/dn=1.2であった。
(2)グラフト共重合体(G−6)の製造:
ブタジエン系ゴム重合体ラテックス(R−6)を使用したこと以外は、実施例5の(2)と同様にして、グラフト共重合体(G−6)を得た。
(3)熱可塑性樹脂組成物の調製:
グラフト共重合体(G−6)を使用したこと以外は、実施例1の(3)と同様にして、熱可塑性樹脂組成物を調製し、評価した。結果を表2に示す。
<実施例8>
乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを使用したこと以外は、実施例1の(1)と同様にしてブタジエン系ゴム重合体ラテックス(R−7)を製造し、このラテックス(R−7)を用いたこと以外は実施例1の(2)と同様にしてグラフト共重合体(G−7)を製造し、このグラフト共重合体(G−7)を用いたこと以外は実施例1の(3)と同様にして熱可塑性樹脂組成物を調製し、評価した。結果を表2に示す。
<実施例9>
乳化剤としてオレイン酸カリウムを使用したこと以外は、実施例1の(1)と同様にしてブタジエン系ゴム重合体ラテックス(R−8)を製造し、このラテックス(R−8)を用いたこと以外は実施例1の(2)と同様にしてグラフト共重合体(G−8)を製造し、このグラフト共重合体(G−8)を用いたこと以外は実施例1の(3)と同様にして熱可塑性樹脂組成物を調製し、評価した。結果を表2に示す。
<実施例10>
(1)グラフト共重合体(G−9)の製造:
凝析剤として0.2%硫酸水溶液を用いて粉体回収したこと以外は、実施例1の(2)と同様にしてグラフト共重合体(G−9)を製造し、このグラフト共重合体(G−9)を用いたこと以外は実施例1の(3)と同様にして、熱可塑性樹脂組成物を調製し、評価した。結果を表2に示す。
<比較例1>
(1)ブタジエン系ゴム重合体ラテックス(R−10)の製造:
以下の各成分を用いたこと以外は、実施例1の(1)と同様にして重合させた。
単量体:
1,3−ブタジエン 75部
スチレン 24部
ジビニルベンゼン 1部
p−メンタンハイドロパーオキサイド 0.3部
ピロリン酸ナトリウム 0.5部
オレイン酸カリウム 1.5部
脱イオン水 175部
レドックス系開始剤:
硫酸第一鉄 0.003部
デキストローズ 0.3部
脱イオン水 5部。
重合開始から7時間反応させて、ブタジエン系ゴム重合体ラテックス(R−10)を得た。このブタジエン系ゴム重合体ラテックス(R−10)の重量平均粒子径は70nmであり、dw/dn=1.5であった。
(2)グラフト共重合体(G−10)の製造:
ブタジエン系ゴム重合体ラテックス(R−10)を使用したこと以外は、実施例1の(2)と同様にして、グラフト共重合体(G−10)を得た。
(3)熱可塑性樹脂組成物の調製:
グラフト共重合体(G−10)を使用したこと以外は、実施例1の(3)と同様にして、熱可塑性樹脂組成物を調製し、評価した。結果を表2に示す。
<比較例2>
(1)ブタジエン系ゴム重合体ラテックス(R−10)の製造:
第一単量体の重合の際のラウリル硫酸ナトリウムの使用量を0.08部に変更し、第二単量体の重合の際のラウリル硫酸ナトリウムの使用量を1.42部に変更し、かつ第二単量体の重合反応を36時間行ったこと以外は、実施例1の(1)と同様にして、ブタジエン系ゴム重合体ラテックス(R−11)を得た。このブタジエン系ゴム重合体ラテックス(R−11)の重量平均粒子径は350nmであり、dw/dn=1.9であった。
(2)グラフト共重合体(G−11)の製造:
ブタジエン系ゴム重合体ラテックス(R−11)を使用したこと以外は、実施例1の(2)と同様にして、グラフト共重合体(G−11)を得た。
(3)熱可塑性樹脂組成物の調製:
グラフト共重合体(G−11)を使用したこと以外は、実施例1の(3)と同様にして、熱可塑性樹脂組成物を調製し、評価した。結果を表2に示す。
<比較例3>
(1)グラフト共重合体(G−12)の製造:
1段目のグラフト重合において、比較例2で得たブタジエン系ゴム重合体ラテックス(R−11)を固形分として70部使用し、さらにラウリル硫酸ナトリウム1.5部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.6部と共に、塩化ナトリウム0.9部を一緒に混合したこと以外は、実施例1の(2)と同様にして、グラフト共重合体(G−12)を得た。この塩化ナトリウムにより肥大化した時点のゴム重合体の重量平均粒子径は180nmであり、dw/dn=5.0であった。
(2)熱可塑性樹脂組成物の調製:
グラフト共重合体(G−12)を使用したこと以外は、実施例1の(3)と同様にして、熱可塑性樹脂組成物を調製し、評価した。結果を表2に示す。
<比較例4>
塩化ビニル樹脂の量を65部、グラフト共重合体(G−1)の量を35部に変更したこと以外は、実施例1の(3)と同様にして、熱可塑性樹脂組成物を調製し、評価した。結果を表2に示す。
<比較例5>
ポリ塩化ビニル樹脂の量を99.5部、グラフト共重合体(G−1)の量を0.5部に変更したこと以外は、実施例1の(3)と同様にして、熱可塑性樹脂組成物を調製し、評価した。結果を表2に示す。
Figure 2005042082
Figure 2005042082
次に、熱可塑性樹脂(A)として、塩化ビニル樹脂以外の樹脂を用いた実施例および比較例を記載する。なお、評価項目は、以下のアイゾット衝撃強度、成形外観および成形着色の3項目とした。
[アイゾット衝撃強度]
得られた熱可塑性樹脂組成物を30mmΦ二軸押し出し機にてシリンダー温度260〜300℃で溶融混練し、ペレット状に賦型し、これをさらに射出成形することで得た試験片を用い、ASTM D−256に準じて測定した。
[成形外観]
得られた熱可塑性樹脂組成物を射出成形により100×100mm板に成形して、表面の艶等の外観をA(良)〜C(不良)の三段階で目視評価した。
[成形着色]
得られた熱可塑性樹脂組成物を射出成形により100×100mm板に成形して、表面のYI(イエローインデックス)を測定した。
<実施例11>
粘度平均分子量約22000のビスフェノールAタイプポリカーボネート樹脂(商品名ユーピロンS2000F、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)、有機アルカリ金属塩系難燃剤(商品名BAYOWET、Bayer社製)および実施例4で得たグラフト共重合体(G−3)を、表3の割合で秤量し、ヘンシェルミキサーで4分間混合し、その後30mmΦ二軸押し出し機にてシリンダー温度260℃で溶融混練して、熱可塑性樹脂組成物を得た。評価結果を表5に示す。
<実施例12>
(1)ブタジエン系ゴム重合体ラテックス(R−13)の製造:
第一単量体として以下の各成分を70Lオートクレーブに仕込み、昇温して、43℃になったら下記レドックス系開始剤を添加して反応を開始し、その後さらに65℃まで昇温した。
第一単量体:
1,3−ブタジエン 23.65部
スチレン 1.25部
t−ドデシルメルカプタン 0.15部
p−メンタンハイドロパーオキサイド 0.1部
ピロリン酸ナトリウム 0.5部
ラウリル硫酸ナトリウム 0.15部
脱イオン水 70部
レドックス系開始剤:
硫酸第一鉄 0.003部
デキストローズ 0.3部
脱イオン水 5部。
重合開始から1時間後に下記開始剤を添加し、その直後から下記第二単量体、脱イオン水、乳化剤を2時間で連続滴下した。
開始剤:
p−メンタンハイドロパーオキサイド 0.2部
第二単量体:
1,3−ブタジエン 70.75部
スチレン 3.75部
t−ドデシルメルカプタン 0.45部
乳化剤、脱イオン水:
ラウリル硫酸ナトリウム 0.8部
脱イオン水 75部。
重合開始から20時間反応させて、ブタジエン系ゴム重合体ラテックス(R−13)を得た。このブタジエン系ゴム重合体ラテックス(R−13)の重量平均粒子径は185nmであり、dw/dn=1.8であった。
(2)グラフト共重合体(G−13)の製造
ブタジエン系ゴム重合体ラテックス(R−13)を使用し、かつ噴霧回収に代えて塩析にて粉体回収する為に酢酸カルシウムを添加使用したこと以外は、実施例4の(2)と同様にして、グラフト共重合体(G−13)を得た。
(3)熱可塑性樹脂組成物の調製
グラフト共重合体(G−13)を用いたこと以外は、実施例11と同様にして熱可塑性樹脂組成物を調製し、評価した。結果を表5に示す。
<実施例13>
(1)ブタジエン系ゴム重合体ラテックス(R−14)の製造:
第一単量体として以下の各成分を70Lオートクレーブに仕込み、昇温して、43℃になったら下記レドックス系開始剤を添加して反応を開始し、その後さらに65℃まで昇温した。
第一単量体:
1,3−ブタジエン 23.85部
t−ドデシルメルカプタン 0.6部
p−メンタンハイドロパーオキサイド 0.1部
ピロリン酸ナトリウム 0.5部
ラウリル硫酸ナトリウム 0.2部
脱イオン水 70部
レドックス系開始剤:
硫酸第一鉄 0.003部
デキストローズ 0.3部
脱イオン水 5部。
重合開始から1時間後に下記開始剤を添加し、その直後から下記第二単量体、脱イオン水、乳化剤を2時間で連続滴下した。
開始剤:
p−メンタンハイドロパーオキサイド 0.2部
第二単量体:
1,3−ブタジエン 75.55部
乳化剤、脱イオン水:
ラウリル硫酸ナトリウム 0.8部
脱イオン水 75部。
重合開始から40時間反応させて、ブタジエン系ゴム重合体ラテックス(R−14)を得た。このブタジエン系ゴム重合体ラテックス(R−14)の重量平均粒子径は165nmであり、dw/dn=1.2であった。
(2)グラフト共重合体(G−14)の製造
ブタジエン系ゴム重合体ラテックス(R−14)を使用したこと以外は実施例11の(2)と同様にしてグラフト共重合体(G−14)を得た。
(3)熱可塑性樹脂組成物の調製
グラフト共重合体(G−14)を用いたこと以外は、実施例11と同様にして熱可塑性樹脂組成物を調製し、評価した。結果を表5に示す。
<実施例14>
(1)グラフト共重合体(G−15)の製造
グラフト部単量体であるメチルメタアクリレートの量を17.5部(70%)、スチレンの量を7.5部(30%)に変更したこと以外は実施例4の(2)と同様にしてグラフト共重合体(G−15)を得た。
(2)熱可塑性樹脂組成物の調製
グラフト共重合体(G−15)を用いたこと以外は、実施例11と同様にして熱可塑性樹脂組成物を調製し、評価した。結果を表5に示す。
<実施例15>
ポリブチレンテレフタレート樹脂(商品名タフペットN1000、三菱レイヨン(株)製)および実施例4で得たグラフト共重合体(G−3)を、表3の割合で秤量し、ヘンシェルミキサーで4分間混合し、その後30mmΦ二軸押し出し機にてシリンダー温度250℃で溶融混練し、樹脂組成物を得た。評価結果を表5に示す。
<実施例16>
実施例11記載のポリカーボネート樹脂、実施例15記載のポリブチレンテレフタレート樹脂および実施例4で得たグラフト共重合体(G−3)を、表3の割合で秤量し、実施例15と同様に混練して樹脂組成物を調製し、評価した。結果を表5に示す。
<実施例17>
粘度平均分子量約17000のビスフェノールAタイプポリカーボネート樹脂(商品名タフロンFN1700A、出光石油化学(株)製)、AS樹脂(商品名SR05B、宇部サイコン(株)製)、有機アルカリ金属塩系難燃剤(商品名BAYOWET、Bayer社製)および実施例4で得たグラフト共重合体(G−3)を、表3の割合で秤量し、実施例15と同様に混練して樹脂組成物を調製し、評価した。結果を表5に示す。
<実施例18>
実施例17記載のポリカーボネート樹脂、ABS樹脂(商品名UX050、宇部サイコン(株)製)、実施例17記載の有機アルカリ金属塩系難燃剤および実施例4で得たグラフト共重合体(G−3)を、表3の割合で秤量し、実施例15と同様に混練して樹脂組成物を調製し、評価した。結果を表5に示す。
<実施例19>
6,6−ナイロン樹脂(商品名CM3001N、東レ(株)製)および実施例4で得たグラフト共重合体(G−3)を、表3の割合で秤量し、実施例15と同様に混練して(但しシリンダー温度230℃)、樹脂組成物を調製し、評価した。結果を表5に示す。
<実施例20>
6−ナイロン樹脂(商品名CM1017、東レ(株)製)および実施例4で得たグラフト共重合体(G−3)を、表3の割合で秤量し、実施例15と同様に混練して(但しシリンダー温度230℃)、樹脂組成物を調製し、評価した。結果を表5に示す。
<実施例21>
変性ポリフェニレンオキサイド(商品名ノリル115、GEプラスチックス(株)製)および実施例4で得たグラフト共重合体(G−3)を、表3の割合で秤量し、実施例15と同様に混練して(但しシリンダー温度280℃)、樹脂組成物を調製し、評価した。結果を表5に示す。
<実施例22>
実施例1で得たグラフト共重合体(G−1)を用いたこと以外は、実施例11と同様にして熱可塑性樹脂組成物を調製し、評価した。結果を表5に示す。
<実施例23>
実施例5で得たグラフト共重合体(G−4)を用いたこと以外は、実施例11と同様にして熱可塑性樹脂組成物を調製し、評価した。結果を表5に示す。
<実施例24>
実施例6で得たグラフト共重合体(G−5)を用いたこと以外は、実施例11と同様にして熱可塑性樹脂組成物を調製し、評価した。結果を表5に示す。
<実施例25>
実施例7で得たグラフト共重合体(G−6)を用いたこと以外は、実施例11と同様にして熱可塑性樹脂組成物を調製し、評価した。結果を表5に示す。
<実施例26>
(1)ブタジエン系ゴム重合体ラテックス(R−16)の製造:
第一単量体として以下の各成分を70Lオートクレーブに仕込み、昇温して、43℃になったら下記レドックス系開始剤を添加して反応を開始し、その後さらに65℃まで昇温した。
第一単量体:
1,3−ブタジエン 23.65部
スチレン 1.25部
t−ドデシルメルカプタン 0.15部
p−メンタンハイドロパーオキサイド 0.1部
ピロリン酸ナトリウム 0.5部
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.15部
脱イオン水 70部
レドックス系開始剤:
硫酸第一鉄 0.003部
デキストローズ 0.3部
脱イオン水 5部。
重合開始から1時間後に下記開始剤を添加し、その直後から下記第二単量体、脱イオン水、乳化剤を2時間で連続滴下した。
開始剤:
p−メンタンハイドロパーオキサイド 0.2部
第二単量体:
1,3−ブタジエン 70.75部
スチレン 3.75部
t−ドデシルメルカプタン 0.45部
乳化剤、脱イオン水:
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.8部
脱イオン水 75部。
重合開始から20時間反応させて、ブタジエン系ゴム重合体ラテックス(R−16)を得た。このブタジエン系ゴム重合体ラテックス(R−16)の重量平均粒子径は165nmであり、dw/dn=1.2であった。
(2)グラフト共重合体(G−16)の製造:
ブタジエン系ゴム重合体ラテックス(R−16)を使用したこと以外は、実施例4の(2)と同様にして、グラフト共重合体(G−16)を得た。
(3)熱可塑性樹脂組成物の調製:
グラフト共重合体(G−16)を用いたこと以外は、実施例11と同様にして熱可塑性樹脂組成物を調製し、評価した。結果を表5に示す。
<実施例27>
(1)ブタジエン系ゴム重合体ラテックス(R−17)の製造:
第一単量体として以下の各成分を70Lオートクレーブに仕込み、昇温して、43℃になったら下記レドックス系開始剤を添加して反応を開始し、その後さらに65℃まで昇温した。
第一単量体:
1,3−ブタジエン 23.65部
スチレン 1.25部
t−ドデシルメルカプタン 0.15部
p−メンタンハイドロパーオキサイド 0.1部
ピロリン酸ナトリウム 0.5部
ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム 0.15部
脱イオン水 70部
レドックス系開始剤:
硫酸第一鉄 0.003部
デキストローズ 0.3部
脱イオン水 5部。
重合開始から1時間後に下記開始剤を添加し、その直後から下記第二単量体、脱イオン水、乳化剤を2時間で連続滴下した。
開始剤:
p−メンタンハイドロパーオキサイド 0.2部
第二単量体:
1,3−ブタジエン 70.75部
スチレン 3.75部
t−ドデシルメルカプタン 0.45部
乳化剤、脱イオン水:
ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム 0.8部
脱イオン水 75部。
重合開始から20時間反応させて、ブタジエン系ゴム重合体ラテックス(R−17)を得た。このブタジエン系ゴム重合体ラテックス(R−17)の重量平均粒子径は160nmであり、dw/dn=1.2であった。
(2)グラフト共重合体(G−17)の製造
ブタジエン系ゴム重合体ラテックス(R−17)を使用したこと以外は、実施例12の(2)と同様にして、グラフト共重合体(G−17)を得た。
(3)熱可塑性樹脂組成物の調製
グラフト共重合体(G−17)を用いたこと以外は、実施例11と同様にして熱可塑性樹脂組成物を調製し、評価した。結果を表5に示す。
<実施例28>
グラフト共重合体にチオ系安定剤(抗酸化剤)としてジラウリルチオジプロピオネート(DLTDP)およびフェノール系安定剤(抗酸化剤)としてIrgnox1076、Irgnox245(商品名、チバスペシャリティケミカル(株)製)を表3に示す量添加して用いたこと以外は、実施例11と同様にして熱可塑性樹脂組成物を調製し、評価した。結果を表5に示す。
<比較例6〜13>
熱可塑性樹脂のみを表3の割合で秤量し、射出成形して得た試験片を評価した。なお、比較例6、8においては、実施例11記載のポリカーボネート樹脂、比較例9、10においては、実施例17記載のポリカーボネート樹脂を使用した。結果を表5に示す。
<比較例14>
比較例1で得たグラフト共重合体(G−10)を用いたこと以外は、実施例11と同様にして熱可塑性樹脂組成物を調製し、評価した。結果を表5に示す。
<比較例15>
比較例2で得たグラフト共重合体(G−11)を用いたこと以外は、実施例11と同様にして熱可塑性樹脂組成物を調製し、評価した。結果を表5に示す。
<比較例16>
比較例3で得たグラフト共重合体(G−12)を用いたこと以外は、実施例11と同様にして熱可塑性樹脂組成物を調製し、評価した。結果を表5に示す。
<比較例17>
ポリカーボネートの量を65部、グラフト共重合体(G−3)の量を35部に変更したこと以外は、実施例11と同様にして、熱可塑性樹脂組成物を調製し、評価した。結果を表5に示す。
<比較例18>
ポリカーボネートの量を99.5部、グラフト共重合体(G−3)の量を0.5部に変更したこと以外は、実施例11と同様にして、熱可塑性樹脂組成物を調製し、評価した。結果を表5に示す。
Figure 2005042082
Figure 2005042082
Figure 2005042082

Claims (6)

  1. 熱可塑性樹脂(A)70〜99質量%と、
    重量平均粒子径が80〜300nmであり、重量平均粒子径(dw)と数平均粒子径(dn)との比dw/dnが2以下であるブタジエン系ゴム重合体を50〜85質量%含有するラテックスの存在下に、メタクリル酸エステルおよび芳香族ビニル化合物の合計80〜100質量部(グラフト重合に用いる単量体の全量100質量部を基準)と、その他共重合可能なビニル系単量体0〜20質量部(グラフト重合に用いる単量体の全量100質量部を基準)とをグラフト重合し、その後噴霧回収または塩析にて粉体回収して得られるグラフト共重合体であって、その製造時の乳化剤としてスルホン酸系塩化合物および/または硫酸塩系塩化合物を0.5〜10質量部(グラフト重合に用いる単量体の全量とブタジエン系ゴム重合体の量の合計100質量部を基準)用いたグラフト共重合体(B)1〜30質量%と
    を含有する熱可塑性樹脂組成物。
  2. スルホン酸系塩化合物として、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムを使用する請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 塩析にて粉体回収する為に、酢酸カルシウム水溶液を使用する請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. ブタジエン系ゴム重合体を含有するラテックスは、ブタジエン系ゴム重合体を得る為の重合に用いる単量体の全量を100質量部とした場合、1,3−ブタジエンを65質量部以上用いて乳化重合して得たものである請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. ブタジエン系ゴム重合体を含有するラテックスは、ブタジエン系ゴム重合体を得る為の重合に用いる単量体の全量を100質量部とした場合、1,3−ブタジエン65質量部以上、架橋性単量体0〜10質量部、その残余は1,3−ブタジエンと共重合しうる一種以上のビニル系単量体を用いて乳化重合して得たものであり、
    グラフト重合に用いる単量体の全量を100質量部とした場合、該グラフト重合は、メタクリル酸アルキルエステル単独またはメタクリル酸アルキルエステルおよびこれと共重合可能な他の1種以上のビニル系単量体からなる単量体混合物15〜50質量部を用いた1段目のグラフト重合と、芳香族ビニル化合物単独または芳香族ビニル化合物およびこれと共重合可能な他の1種以上のビニル系単量体からなる単量体混合物40〜60質量部を用いた2段目のグラフト重合と、メタクリル酸アルキルエステル単独またはメタクリル酸アルキルエステルおよびこれと共重合可能な他の1種以上のビニル系単量体からなる単量体混合物5〜45質量部を用いた3段目のグラフト重合により行ない、
    グラフト重合に用いる単量体の全量とブタジエン系ゴム重合体の量の合計を100質量部とした場合、グラフト重合に用いる単量体の全量は20〜50質量部、ブタジエン系ゴム重合体の量は50〜80質量部である請求項4記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 抗酸化剤として異なる2種のフェノール系および/またはチオエーテル系抗酸化剤を0.5〜10質量%含有する請求項1〜5の何れか一項記載の熱可塑性樹脂組成物。
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