JP4698156B2 - 色相の改善された透明熱可塑性樹脂の製造方法 - Google Patents

色相の改善された透明熱可塑性樹脂の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、色相の改善された透明熱可塑性樹脂の製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、透明熱可塑性樹脂の製造時に特定のリン系化合物を共存させることにより、透明性及び耐衝撃性その他機械的性質を損なうことなく樹脂の黄味を抑制してなる色相の改善された透明熱可塑性樹脂の製造方法に関するものである。
ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂に代表されるゴム強化熱可塑性樹脂は、その優れた耐衝撃性と良好な加工性及び外観から各種産業分野において多用されているが、樹脂が不透明であることにより用途に制約を受けている面があり、その制約を排除するために例えば特許第3151481号公報に記載のごとくメチルメタクリレートを導入し、かつ各成分の比率を調整することにより透明性を付与した熱可塑性樹脂が提供されている。
この透明樹脂においては、一般的な不透明ABS樹脂と異なり樹脂自体の黄味が外観や着色性に与える影響が大きいため、無色透明、もしくは青味の色相が要望される。
この要望に対しては、黄味を発現させる一因である乳化剤を用いない塊状または懸濁重合法を採用することが有利であるが、この重合法により得られる樹脂はゴム成分の含有量に制限があり高い耐衝撃性が得られないことや、ゴム成分の架橋度が低く成形時の配向による透明性低下が生じることがあり、樹脂本来の性能面で満足できるとは言い難い。
一方、乳化重合法は、ゴム成分の含有量を高くすることができ、また使用するゴム成分の架橋度も高く設定することができるためこれらの欠点は回避することができるが、必然的に助剤として使用する乳化剤が残存しやすく黄味を発現させるという問題点がある。
従って、いずれの方法においても機械的性質と外観、特に黄味を抑制した色相とを両立させるに至っていないのが現状である。
特許第3151481号公報
本発明の目的は、透明性及び耐衝撃性その他機械的性質を損なうことなく透明熱可塑性樹脂における色相を改善する方法を提供することにある。
本発明者らは前記の課題の解消に鑑み鋭意研究した結果、乳化重合において製造されたジエン系ゴム質重合体を骨格とし、特定組成の単量体混合物を乳化グラフト重合してなるグラフト重合体ラテックスに特定のリン系化合物を共存させた後、特定の塩にて凝析することにより、透明性及び耐衝撃性その他機械的性質を損なうことなく色相の改善された透明熱可塑性樹脂が得られることを見出し、本発明に到達したものである。
本発明を用いれば、透明性及び耐衝撃性その他機械的性質を損なうことなく樹脂の黄味を抑制してなる色相の改善された透明熱可塑性樹脂が得られ、これらの特性を必要とする玩具や各種雑貨及び家電分野等幅広い用途に適用可能である。
即ち、本発明は、ジエン系ゴム質重合体ラテックスの存在下、芳香族ビニル系単量体、メタアクリル酸エステル系単量体及び必要に応じてシアン化ビニル系単量体からなる単量体混合物を乳化グラフト重合して得られたグラフト重合体ラテックスに、2価のアルカリ土類金属の無機塩を添加して凝析し粉体として回収するに際し、該グラフト重合体ラテックス中に予めリン酸のアルカリ金属塩を存在させておくことを特徴とする色相の改善された透明熱可塑性樹脂の製造方法を提供するものである。
以下、本発明につき詳細に説明する。
本発明におけるジエン系ゴム質重合体ラテックスは、1,3−ブタジエンを主成分とする重合体であり、具体的には1,3−ブタジエン70〜100重量部とこれと共重合可能なビニル系単量体0〜30重量部(合計100重量部)とからなる重合体であり、共重合可能なビニル系単量体としては芳香族ビニル系単量体(スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン等)、メタアクリル酸エステル系単量体(メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル等)及びシアン化ビニル系単量体(アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等)から選ばれる1種以上の単量体が使用できるが、特に芳香族ビニル系単量体(特にスチレン)が好ましい。
該ジエン系ゴム質重合体ラテックスの数平均粒子径については特に制限はないが、耐衝撃性付与の観点から0.05〜0.8μが好ましく、0.15〜0.4μが特に好ましい。その際、小粒子径ゴムを後処理により肥大化しても良い。
該ジエン系ゴム質重合体ラテックスは公知の乳化重合法により得ることができる。即ち、使用する単量体や乳化剤及びその他の重合助剤の添加方法についても特に制限はなく、初期一括添加や単量体及び/又は乳化剤の連続もしくは逐次添加等いずれの方法も適用可能である。
さらに、重合温度についても特に制限はないが、50〜80℃の範囲が好ましい。
また、乳化剤、重合開始剤、分子量調整剤、電解質などの重合助剤についても通常一般的に使用されるものを用いることができる。
乳化剤としては、不均化ロジン酸カリウムやナトリウムなどの不均化ロジン酸のアルカリ金属塩や、オレイン酸カリウムやナトリウムなどの高級脂肪酸のアルカリ金属塩が好ましい。
その他の重合助剤に関しても特に制限はなく、重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩や、t−ブチルヒドロキシペルオキシド、クメンヒドロキシペルオキシドなどの有機過酸化物と還元剤成分とを組み合わせたレドックス系などが挙げられ、分子量調整剤としては、メルカプタン類(t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタンなど)やターピノレン、α−メチルスチレンダイマーなどが挙げられ、さらに電解質としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウムなどの塩基性物質や塩化ナトリウム、硫酸カリウム、酢酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、燐酸カリウム、ピロリン酸4カリウムなどが挙げられ、それぞれ単独もしくは2種以上の混合使用が可能である。
これら重合助剤の使用量にも特に制限はないが、一般的には、単量体100重量部当たり、乳化剤0.5〜5.0重量部、重合開始剤0.1〜1.0重量部、分子量調整剤0〜5.0重量部、電解質0.02〜1.0重量部程度用いられる。
該ジエン系ゴム質重合体ラテックスに芳香族ビニル系単量体、メタアクリル酸エステル系単量体及び必要に応じてシアン化ビニル系単量体からなる単量体混合物を乳化グラフト重合するに際しても、上記のジエン系ゴム質重合体ラテックスの製造と同様に公知の方法が適用可能である。
即ち、添加方法、反応温度、乳化剤等の重合助剤等、すべて上述のジエン系ゴム質重合体ラテックスの製造と同様の操作で得ることができる。
上記の乳化グラフト重合に際しては、その重合の調整のし易さの観点から、ジエン系ゴム質重合体ラテックス(固形分)10〜80重量部の存在下に芳香族ビニル系単量体、メタアクリル酸エステル系単量体及び必要に応じシアン化ビニル系単量体からなる単量体混合物90〜20重量部の比率で重合することが好ましい。
なお、最終的に得られる透明熱可塑性樹脂の製品とする際の樹脂中のゴム質重合体の含有量は5〜40重量%であることが好ましく、さらに好ましい範囲は10〜30重量%の範囲である。5重量%未満では耐衝撃性において必要な強度が得られず、また40重量%以上では耐衝撃性は十分なものの他の機械的性質が低下し実用的でなくなる。
このゴム質重合体の含有量は、グラフト重合時において調整することもできるが、後述するようにグラフト重合体と硬質樹脂とを適宜配合することでも調整可能である。
上記の乳化グラフト重合に用いる芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレンが挙げられ、特にスチレンが好ましい。メタアクリル酸エステル系単量体としてはメタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチルが挙げられ、特にメタアクリル酸メチルが好ましい。さらに必要に応じて用いられるシアン化ビニル系単量体としてはアクリロニトリル、メタアクリロニトリルが挙げられ、特にアクリロニトリルが好ましい。これら単量体は各群から1種または2種以上使用可能である。
なお、これらの単量体組成としての好ましい範囲は、芳香族ビニル系単量体10〜80重量部、メタアクリル酸エステル系単量体90〜20重量部、シアン化ビニル系単量体0〜20重量部(合計100重量部)である。
透明樹脂においては屈折率が重要な因子であるため、本発明においても乳化グラフト重合時に使用する芳香族ビニル系単量体、メタアクリル酸エステル系単量体及び必要に応じてシアン化ビニル系単量体からなる単量体混合物は、それらが共重合した後の屈折率が使用するジエン系ゴム質重合体の屈折率と0.01以内の差となるようその組成比率を調整する必要がある。
この屈折率差が0.01以上となると透明性が損なわれるため好ましくない。
なお、単量体及び重合体の屈折率はPOLYMER HANDBOOK THIRD EDITION(WILEY INTERSCIENCE社、1989年、III−1〜11、V−1〜170)記載の数値を用いて概算できる。また重合体についてはアッベの屈折率計を用いての測定にて確認できる。
本発明においては、上述のグラフト重合体ラテックス中にリン酸のアルカリ金属塩を共存させておくことが必須であり、該ラテックスを2価のアルカリ土類金属の無機塩を添加して凝析し粉体として回収することにより、本発明の目的を達成することができる。
なお、このリン酸のアルカリ金属塩と2価のアルカリ土類金属の無機塩との反応において生成が予想される物質はリン酸のアルカリ土類金属塩であるが、該物質は、透明熱可塑性樹脂を粉体として回収した後、その後の造粒工程において添加した場合には却って透明性が損なわれるものであり、その詳細な機構は不明であるが、本発明の如く予めリン酸のアルカリ金属塩をグラフト重合体ラテックスと共存させた後、2価のアルカリ土類金属の無機塩を添加して凝析し粉体として回収することによりその効果を発揮する。
また、リン酸のアルカリ金属塩はグラフト重合体ラテックスの重合後に添加することが好ましいが、その重合中の添加でも良く、またジエン系ゴム質重合体ラテックスの重合時または重合後に添加しても良い。
リン酸のアルカリ金属塩としては、第3リン酸カリウム、第3リン酸ナトリウム、第2リン酸カリウム、第2リン酸ナトリウム、第1リン酸カリウム、第1リン酸ナトリウム等が例示され、特に第3リン酸ナトリウムが好ましい。また、その好ましい使用量としてはグラフト重合体ラテックス固形分100重量部に対し0.05〜2.0重量部、さらに好ましくは0.1〜1.0重量部である。
使用量が0.05重量部未満では黄味抑制効果が不十分であり、2.0重量部以上では効果が飽和し増量の意味がなくなる。
本発明においては、該グラフト重合体ラテックスの凝析に際して2価のアルカリ土類金属の無機塩を添加することも必須である。
2価のアルカリ土類金属の無機塩としては、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸カルシウム及び塩化カルシウムが例示されるが、硫酸マグネシウムが好ましく、また凝析時の添加量については特に制限はないがグラフト重合体ラテックス固形分100重量部に対し1.0〜10重量部であることが好ましい。
また、凝析温度や凝析時のラテックスの固形分濃度については特に制限はなく、通常公知の範囲の条件が適用可能である。即ち温度については70〜100℃が好ましく、固形分濃度については10〜35重量%の範囲であることが好ましい。
該グラフト重合体ラテックスは、単独で用いることができるが、必要に応じてグラフト重合に供する単量体混合物とほぼ同一の屈折率に調整した硬質樹脂ラテックスを配合した後、本発明の操作を実施することも本発明の主旨を妨げない。
該硬質樹脂ラテックスは、前述のグラフト重合に供する単量体群、即ち芳香族ビニル系単量体、メタアクリル酸エステル系単量体及び必要に応じてシアン化ビニル系単量体からなる単量体混合物を乳化重合することにより得られる。その際、グラフト重合時とほぼ同一組成の単量体混合物としておく必要がある。これによりグラフト重合体との屈折率差を0.01以内に維持することができ、透明性を保持できるものである。
グラフト重合体ラテックス(固形分)と、硬質樹脂ラテックス(固形分)との比率については特に制限はなく、前述のように製品中のゴム質重合体の含有量が5〜40重量%となるように調整すれば良い。
なお、硬質樹脂については、乳化重合以外の方法(例えば塊状重合、溶液重合、懸濁重合又はこれらの組合せからなる重合法)で製造されたものも使用可能である。但しその際もグラフト重合時に使用する単量体混合物とほぼ同一組成の単量体混合物を使用する必要がある。
上述の配合方法をさらに具体的に説明すると、
(1)グラフト重合体及び硬質樹脂の両者ともに乳化重合で製造する場合、両者をラテックス形態で所定の比率で混合した後、本発明の所定の方法により凝析・乾燥して粉体とし、造粒工程にて透明熱可塑性樹脂とする方法、
(2)グラフト重合体及び硬質樹脂の両者ともに乳化重合で製造する場合、グラフト重合体単独をラテックス形態で本発明の所定の方法により凝析・乾燥して粉体とし、別途硬質樹脂ラテックスを公知の方法にて凝析・乾燥して粉体とした後、粉体状態で所定の比率で混合し、造粒工程にて透明熱可塑性樹脂とする方法、
(3)硬質樹脂を乳化重合以外の方法で製造する場合、グラフト重合体を本発明の所定の方法により凝析・乾燥して粉体とし、硬質樹脂(ビーズ状、ペレット状、フレーク状等)と所定の比率で混合し、造粒工程にて透明熱可塑性樹脂とする方法、
(4)上記(1)又は(3)において、グラフト重合体ラテックス(及び樹脂ラテックス)を本発明の所定の方法で凝析後、押出機((3)においてはこの時に硬質樹脂を配合)の中で脱水と同時に造粒工程に供し、透明熱可塑性樹脂とする方法、が挙げられる。
なお、本発明に基づき製造された透明熱可塑性樹脂粉体には、造粒工程において必要により酸化防止剤、滑剤、着色剤、帯電防止剤、充填剤等の各種添加剤を添加することもできる。
これら各種添加剤の性状及び添加方法については、本発明の目的とする透明性を損なわない限り特に制限はない。
次に、本発明につき、実施例をもってより詳細に説明するが、本発明はかかる実施例によって何ら制限されるものでない。なお、部および%は重量に基づく。
「参考例1」ジエン系ゴム質重合体ラテックス(A−1)の製造
10リットルの耐圧容器の内部を窒素で置換後、1,3−ブタジエン93部、スチレン7部、n−ドデシルメルカプタン0.3部、過硫酸カリウム0.3部、ロジン酸ナトリウム1部、水酸化ナトリウム0.1部及び脱イオン水150部を仕込み、攪拌しつつ70℃で15時間反応させた後、冷却して反応を終了させた。
得られたジエン系ゴム質重合体ラテックス(A−1)は、固形分40%、数平均粒子径0.25μ、ゲル含量(溶媒としてトルエンを用い、30℃で48時間浸漬した後、100メッシュ金網でろ過した際のトルエン不溶部量)85%であった。また該ジエン系ゴム質重合体の屈折率は1.52であった。
「参考例2」ジエン系ゴム質重合体ラテックス(A−2)の製造・調整
参考例1と同一の操作にてジエン系ゴム質重合体ラテックスを得た後、該ラテックス中の固形分100部に対し、第3リン酸ナトリウム1.0部を脱イオン水10部に溶解した水溶液を添加し10分攪拌混合した。
得られた第3リン酸ナトリウムを含むジエン系ゴム質重合体ラテックス(A−2)は、固形分39%、数平均粒子径0.25μ、ゲル含量85%であった。また該ジエン系ゴム質重合体の屈折率は1.52であった。
「参考例3」グラフト重合体ラテックス(B−1)の製造
10リットルの耐圧容器の内部を窒素で置換後、下記内容物を仕込んだ。
(A−1)ラテックス 125 部(固形分として50部)
ピロリン酸ナトリウム 0.1 部
デキストローズ 0.3 部
硫酸第一鉄 0.01部
脱イオン水 40 部
攪拌しつつ、温度を65℃まで昇温し、下記内容物を3時間かけて連続添加した。
スチレン 15 部
メチルメタアクリレート 35 部
t−ドデシルメルカプタン 0.1部
キュメンハイドロパーオキサイド 0.2部
オレイン酸カリウム 1 部
脱イオン水 25 部
連続添加中は、温度が65℃となるようコントロールした。
得られたグラフト重合体ラテックス(B−1)は、固形分41%であり、該グラフト共重合体はグラフト率は45%、屈折率は1.52であった。
「参考例4」グラフト重合体ラテックス(B−2)の製造
ジエン系ゴム質重合体ラテックスとして第3リン酸ナトリウム1.0部を含む(A−2)ラテックスを128部用い、また初期に仕込む脱イオン水を37部とした以外は参考例3と同一の操作で重合を実施し、グラフト重合体ラテックス(B−2)を得た。
得られたグラフト重合体ラテックス(B−2)は、固形分41%であり、該グラフト共重合体のグラフト率は44%、屈折率は1.52であった。
「参考例5」グラフト重合体ラテックス(B−3)の製造
10リットルの耐圧容器の内部を窒素で置換後、下記内容物を仕込んだ。
(A−1)ラテックス 50 部(固形分として20部)
ピロリン酸ナトリウム 0.1 部
デキストローズ 0.5 部
硫酸第一鉄 0.01部
脱イオン水 65 部
攪拌しつつ、温度を65℃まで昇温し、下記内容物を3時間かけて連続添加した。
スチレン 24 部
メチルメタアクリレート 56 部
t−ドデシルメルカプタン 0.3部
キュメンハイドロパーオキサイド 0.3部
オレイン酸カリウム 1.5部
脱イオン水 25 部
連続添加中は、温度が65℃となるようコントロールした。
得られたグラフト重合体ラテックス(B−3)は、固形分44%であり、該グラフト共重合体のグラフト率は55%、屈折率は1.52であった。
「参考例6」硬質樹脂重合体ラテックス(C−1)の製造
10リットルの耐圧容器の内部を窒素で置換後、過硫酸カリウム0.3部を脱イオン水110部に溶解した水溶液及びオレイン酸カリウム0.1部を脱イオン水10部に溶解した乳化剤水溶液を仕込み、攪拌しつつ槽内の温度を65℃まで昇温し、別途調整したスチレン30部、メチルメタアクリレート70部及びt−ドデシルメルカプタン0.3部からなる単量体混合物と、オレイン酸カリウム1.4部を脱イオン水20部に溶解した乳化剤水溶液とをそれぞれ4時間かけて連続添加した。
連続添加中は、温度が65℃となるようコントロールした。
得られた硬質樹脂重合体ラテックス(B−1)は固形分42%であり、該硬質樹脂重合体の固有粘度(ジメチルホルムアミド溶媒、30℃)は0.52、屈折率は1.523であった。
「参考例7」硬質樹脂塊状重合体(C−2)の製造
20リットルの完全混合型反応槽1基からなる連続的重合装置を用い、内部を窒素で置換後、スチレン24部、メチルメタアクリレート66部、t−ドデシルメルカプタン0.2部、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)0.015部及びエチルベンゼン10部からなる原料をプランジャーポンプを用いて13Kg/Hの速度で連続的に該反応槽に供給して重合を実施した。その際、重合温度を150℃、反応槽攪拌数150rpmとして反応槽出口における重合転化率を50.5%とした。重合に引き続き、反応槽から連続的に抜き出された重合液を脱揮発分装置に供給した後、押出機を経て硬質樹脂重合体を得た。該重合体の屈折率は1.525であった。
連続添加中は、温度が65℃となるようコントロールした。
得られた硬質樹脂重合体(B−1)の固有粘度(ジメチルホルムアミド溶媒,30℃)は0.48、屈折率は1.52であった。
「実施例1」

グラフト重合体ラテックス(B−1)と、硬質樹脂重合体ラテックス(C−1)とを固形分比で40/60となるよう混合し、ジエン系ゴム質重合体含有量を20%に調整した後、該混合ラテックス中の固形分100部に対し、第3リン酸ナトリウム0.5部を脱イオン水10部に溶解した水溶液を添加し10分攪拌混合した。この混合ラテックスを別途用意した硫酸マグネシウム5部を脱イオン水170部に溶解した水溶液(90℃に維持)中に逐次添加して凝析し、引き続き水洗、脱水及び乾燥して白色粉体を得た。
この樹脂粉体100部と、エチレンビスステアリルアミド1部とをヘンシェルミキサーで5分間混合した後230℃に設定した押出機によりペレット化し、5オンスの射出成形機を用いて210℃にて成形後、透明性及び色相を測定した。
結果は評価方法とともに表1に示した。また、以下の実施例及び比較例の結果も同じく表1にまとめて示した。
「実施例2」
グラフト重合体ラテックス(B−3)中の固形分100部に対し、第3リン酸ナトリウム0.4部を脱イオン水10部に溶解した水溶液を添加し10分攪拌混合後、実施例1と同様に別途用意した硫酸マグネシウム5部を脱イオン水170部に溶解した水溶液(90℃に維持)中にて逐次添加して凝析し、引き続き水洗、脱水及び乾燥して白色粉体を得た。
該樹脂粉体100部に対し、実施例1と同様にエチレンビスステアリルアミド1部とヘンシェルミキサーで5分間混合した後230℃に設定した押出機によりペレット化し、5オンスの射出成形機を用いて210℃にて成形後、透明性及び色相を測定した。結果は表1に示した。
「実施例3」
グラフト重合体ラテックス(B−1)中の固形分100部に対し、第3リン酸カリウム0.5部を脱イオン水10部に溶解した水溶液を添加し10分攪拌混合後、実施例1と同様に別途用意した硫酸マグネシウム5部を脱イオン水170部に溶解した水溶液(90℃に維持)中にて逐次添加して凝析し、引き続き水洗、脱水及び乾燥して白色粉体を得た。
このグラフト重合体の粉体40部と、塊状重合にて得た硬質樹脂重合体(C−2)60部、及びエチレンビスステアリルアミド1部とをヘンシェルミキサーで5分間混合した後230℃に設定した押出機によりペレット化し、5オンスの射出成形機を用いて210℃にて成形後、透明性及び色相を測定した。結果は表1に示した。

「実施例4」
グラフト重合体ラテックス(B−2)と、硬質樹脂重合体ラテックス(C−1)とを固形分比で40/60となるよう混合し、ジエン系ゴム質重合体含有量を20%に調整した後、この混合ラテックスを別途用意した硫酸マグネシウム5部を脱イオン水170部に溶解した水溶液(90℃に維持)中に逐次添加して凝析し、引き続き水洗、脱水及び乾燥して白色粉体を得た。
この樹脂粉体100部と、エチレンビスステアリルアミド1部とをヘンシェルミキサーで5分間混合した後230℃に設定した押出機によりペレット化し、5オンスの射出成形機を用いて210℃にて成形後、透明性及び色相を測定した。

「比較例1」
実施例1において、第3リン酸ナトリウムを無添加とした以外は実施例1と同様の操作を行った。結果は表−1に示した。

「比較例2」
実施例2において、第3リン酸ナトリウムを無添加とした以外は実施例2と同様の操作を行った。結果は表−1に示した。

「比較例3」
実施例3において、第3リン酸ナトリウムを無添加とした以外は実施例3と同様の操作を行った。結果は表−1に示した。
「比較例4」
実施例1において、第3リン酸ナトリウムの代わりにピロリン酸ナトリウムを同量用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。結果は表−1に示した。
Figure 0004698156
本発明による得られたグラフト重合体を用いれば、機械的性質及び色相ともに優れた透明熱可塑性樹脂を製造することができ、家電やOA機器、ゲーム機等の分野にて透明性を必要とする各種用途に適した樹脂を効率的に供給することが可能となる。

Claims (1)

  1. ジエン系ゴム質重合体ラテックスの存在下、芳香族ビニル系単量体、メタアクリル酸エステル系単量体及び必要に応じてシアン化ビニル系単量体からなる単量体混合物を乳化グラフト重合して得られたグラフト重合体ラテックスに、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸カルシウム、塩化カルシウムの少なくとも1種から選択される2価のアルカリ土類金属の無機塩を添加して凝析し粉体として回収するに際し、該グラフト重合体ラテックス中に予め第3リン酸ナトリウム及び/または第3リン酸カリウムを該グラフト共重合体ラテックス固形分100重量部に対して0.1〜1.0重量部存在させておくことを特徴とする色相の改善された透明熱可塑性樹脂の製造方法。
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