JP2007297536A - アクリルゴムラテックス、その製造法、複合ゴムグラフト共重合体及び熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】特定組成の、粒子径分布の小さいアクリルゴムラテックス、及び重合時の重合体スケールの発生を抑制できるアクリルゴムラテックスの製造方法を提供する。また、成形性に優れ、耐衝撃性及び耐候性に優れた成形物を得ることが可能な複合ゴムグラフト共重合体及び熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】2−エチルヘキシルアクリレート単位を50質量%以上含むアクリルゴム(A)の粒子を含有し、アクリルゴム(A)の粒子の質量平均粒子径(dw)と数平均粒子径(dn)の比(dw/dn)が1.0〜1.3であるアクリルゴムラテックス及びその製法。アクリルゴムを用いた複合ゴムグラフト共重合体及び熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】なし
【解決手段】2−エチルヘキシルアクリレート単位を50質量%以上含むアクリルゴム(A)の粒子を含有し、アクリルゴム(A)の粒子の質量平均粒子径(dw)と数平均粒子径(dn)の比(dw/dn)が1.0〜1.3であるアクリルゴムラテックス及びその製法。アクリルゴムを用いた複合ゴムグラフト共重合体及び熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、建材、自動車材、玩具、文房具等の雑貨、更にはOA機器、家電機器等の耐衝撃性が必要とされる分野の成形品を製造する際の原料として使用されるアクリルゴムラテックス、その製造方法、複合ゴムグラフト共重合体及び熱可塑性樹脂組成物に関する。
塩化ビニル樹脂は成形性等に優れていることから、各種成形品に使用されているが、耐衝撃性に劣るという問題を有している。
この耐衝撃性を改良するために多くの方法が提案されている。その1つとして、ブタジエン系ゴム状重合体にメチルメタクリレートやスチレン等をグラフト重合させたMBS樹脂を塩化ビニル樹脂に添加する方法が広く使用されている。
しかしながら、MBS樹脂を塩化ビニル樹脂に添加する方法では、成形品の耐衝撃性は改良されるものの、耐候性が不十分で、成形品を屋外で使用すると耐衝撃性が低下することがある。耐候性の低下の主な原因はMBS樹脂を構成するブタジエン単位の紫外線劣化であると考えられている。
成形品の耐候性を改良し、且つ耐衝撃性を付与する材料として、特許文献1には、アルキル(メタ)アクリレートと架橋剤から得られる架橋アルキル(メタ)アクリレートゴム重合体にメチルメタクリレートやスチレン又はアクリロニトリル等をグラフト重合させた樹脂組成物が提案されている。
この樹脂組成物を用いると、成形品は耐候性が優れており、屋外で使用しても耐衝撃性の低下は少ない。しかし、耐衝撃強度発現性が十分ではなく、耐衝撃強度を発現させるためには樹脂組成物を多量に添加する必要がある。特に、低温での耐衝撃強度発現性がMBS樹脂を使用する場合と比較して不十分である。
また、特許文献2には、ガラス転移温度の異なる2種類以上のアクリルゴム成分を含むグラフト共重合体を用いることにより、耐候性、耐衝撃性に優れた樹脂組成物を得る方法が提案されている。
このグラフト共重合体を用いた場合、特許文献1のグラフト共重合体に比べて成形品の耐衝撃性は良好となる。しかし、低温での耐衝撃性が要求される場合に2−エチルヘキシルアクリレート単位を共重合体に導入しようとすると、重合時に重合体スケールが発生し易く、また、熱可塑性樹脂に配合して成形する場合、成形性が悪いという問題が生じる。
特開昭49−10237号公報
特開2000−26552号公報
この耐衝撃性を改良するために多くの方法が提案されている。その1つとして、ブタジエン系ゴム状重合体にメチルメタクリレートやスチレン等をグラフト重合させたMBS樹脂を塩化ビニル樹脂に添加する方法が広く使用されている。
しかしながら、MBS樹脂を塩化ビニル樹脂に添加する方法では、成形品の耐衝撃性は改良されるものの、耐候性が不十分で、成形品を屋外で使用すると耐衝撃性が低下することがある。耐候性の低下の主な原因はMBS樹脂を構成するブタジエン単位の紫外線劣化であると考えられている。
成形品の耐候性を改良し、且つ耐衝撃性を付与する材料として、特許文献1には、アルキル(メタ)アクリレートと架橋剤から得られる架橋アルキル(メタ)アクリレートゴム重合体にメチルメタクリレートやスチレン又はアクリロニトリル等をグラフト重合させた樹脂組成物が提案されている。
この樹脂組成物を用いると、成形品は耐候性が優れており、屋外で使用しても耐衝撃性の低下は少ない。しかし、耐衝撃強度発現性が十分ではなく、耐衝撃強度を発現させるためには樹脂組成物を多量に添加する必要がある。特に、低温での耐衝撃強度発現性がMBS樹脂を使用する場合と比較して不十分である。
また、特許文献2には、ガラス転移温度の異なる2種類以上のアクリルゴム成分を含むグラフト共重合体を用いることにより、耐候性、耐衝撃性に優れた樹脂組成物を得る方法が提案されている。
このグラフト共重合体を用いた場合、特許文献1のグラフト共重合体に比べて成形品の耐衝撃性は良好となる。しかし、低温での耐衝撃性が要求される場合に2−エチルヘキシルアクリレート単位を共重合体に導入しようとすると、重合時に重合体スケールが発生し易く、また、熱可塑性樹脂に配合して成形する場合、成形性が悪いという問題が生じる。
本発明の目的は、2−エチルヘキシルアクリレート単位を50質量%以上含む粒子径分布の小さいアクリルゴムラテックス、及び重合時の重合体スケールの発生を抑制できるアクリルゴムラテックスの製造方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、成形性に優れ、耐衝撃性及び耐候性に優れた成形物を得ることが可能な、アクリルゴムを用いたグラフト共重合体及び熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
また、本発明の目的は、成形性に優れ、耐衝撃性及び耐候性に優れた成形物を得ることが可能な、アクリルゴムを用いたグラフト共重合体及び熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
本発明は、2−エチルヘキシルアクリレート単位を50質量%以上含むアクリルゴム(A)の粒子を含有し、その粒子の質量平均粒子径(dw)と数平均粒子径(dn)の比(dw/dn)が1.0〜1.3であるアクリルゴムラテックスを第1の発明とする。
また、前記アクリルゴム(A)及びn−ブチルアクリレート単位を主成分とするアクリルゴム(B)を含む複合ゴムに、1種以上のビニル系単量体単位がグラフト結合された複合ゴムグラフト共重合体を第2の発明とする。
また、熱可塑性樹脂(C)100質量部及び前記複合ゴムグラフト共重合体1〜100質量部を含有する熱可塑性樹脂組成物を第3の発明とする。
更に、2−エチルヘキシルアクリレートを50質量%以上含む単量体又は単量体混合物、水及び界面活性剤を含有する混合物(a)を強制乳化装置で微粒化してプレエマルションを製造し、次いで水及び界面活性剤を含有する混合物(b)中に前記プレエマルションを連続滴下して単量体又は単量体混合物を重合する前記アクリルゴムラテックスの製造方法を第4の発明とする。
また、前記アクリルゴム(A)及びn−ブチルアクリレート単位を主成分とするアクリルゴム(B)を含む複合ゴムに、1種以上のビニル系単量体単位がグラフト結合された複合ゴムグラフト共重合体を第2の発明とする。
また、熱可塑性樹脂(C)100質量部及び前記複合ゴムグラフト共重合体1〜100質量部を含有する熱可塑性樹脂組成物を第3の発明とする。
更に、2−エチルヘキシルアクリレートを50質量%以上含む単量体又は単量体混合物、水及び界面活性剤を含有する混合物(a)を強制乳化装置で微粒化してプレエマルションを製造し、次いで水及び界面活性剤を含有する混合物(b)中に前記プレエマルションを連続滴下して単量体又は単量体混合物を重合する前記アクリルゴムラテックスの製造方法を第4の発明とする。
本発明により、2−エチルヘキシルアクリレート単位を50質量%以上含む粒子径分布の小さいアクリルゴムラテックスを得ることが出来る。また、アクリルゴムラテックスを製造する際、重合時の重合体スケールの発生を抑制できる。
更に、本発明により、少量の複合ゴムグラフト共重合体の添加で、成形性に優れ、耐衝撃性及び耐候性に優れた成形物を得ることが可能となる。
更に、本発明により、少量の複合ゴムグラフト共重合体の添加で、成形性に優れ、耐衝撃性及び耐候性に優れた成形物を得ることが可能となる。
本発明のアクリルゴムラテックスは、2−エチルヘキシルアクリレート単位を50〜100質量%、好ましくは90〜100質量%含むアクリルゴム(A)の粒子を含有する。
このラテックスは水を分散媒とするが、目的に応じて、有機溶剤等の溶媒を少量含有することができる。
アクリルゴム(A)の粒子はdw/dnが1.0〜1.3であり、狭い粒子径分布を有する。
アクリルゴム(A)の粒子の質量平均粒子径(dw)としては、例えば50〜1000nmのものが使用される。
本発明において、粒子径はキャピラリー・ハイドロ・ダイナミック・フロー・フラクショネーション(CHDF)による測定で得られるものをいう。
このラテックスは水を分散媒とするが、目的に応じて、有機溶剤等の溶媒を少量含有することができる。
アクリルゴム(A)の粒子はdw/dnが1.0〜1.3であり、狭い粒子径分布を有する。
アクリルゴム(A)の粒子の質量平均粒子径(dw)としては、例えば50〜1000nmのものが使用される。
本発明において、粒子径はキャピラリー・ハイドロ・ダイナミック・フロー・フラクショネーション(CHDF)による測定で得られるものをいう。
アクリルゴム(A)の粒子中の2−エチルヘキシルアクリレート単位以外の構成単位としては、共重合可能な、ビニル系単量体単位及び多官能単量体単位が挙げられる。
ビニル系単量体単位は0〜50質量%、また多官能単量体単位は0〜10質量%含有されていることが好ましい。また、多官能単量体単位は0.1〜2.0質量%含有されていることがより好ましい。
ビニル系単量体単位は0〜50質量%、また多官能単量体単位は0〜10質量%含有されていることが好ましい。また、多官能単量体単位は0.1〜2.0質量%含有されていることがより好ましい。
ビニル系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族アルケニル化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を併用して使用することができる。
多官能単量体としては、分子中に2個以上の不飽和結合を有するエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1、3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1、4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、多官能(メタ)アクリル基変性シリコーン等の架橋剤や、アリルメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等のグラフト交叉剤が挙げられる。
アクリルゴムラテックスの製造方法としては、公知の乳化重合、強制乳化重合等が挙げられるが、強制乳化重合が好ましい。公知の乳化重合により製造する場合には、2−エチルヘキシルアクリレートが水溶性に乏しいため、重合時に多量にカレットが発生し易い傾向にある。
強制乳化重合の方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。
2−エチルヘキシルアクリレートを50質量%以上含む単量体又は単量体混合物、水及び界面活性剤を含有する混合物(a)を、インラインミキサー、ホモジナイザー等の強制乳化装置により微粒化してプレエマルションを製造し、次いでラジカル重合開始剤と混合して一括で重合する方法(1)、水及び界面活性剤を含有する混合物(b)中にこのプレエマルションを連続滴下しながら重合する方法(2)等が挙げられる。本発明においては、粗大粒子の発生を抑える上で方法(2)が好ましい。
2−エチルヘキシルアクリレートを50質量%以上含む単量体又は単量体混合物、水及び界面活性剤を含有する混合物(a)を、インラインミキサー、ホモジナイザー等の強制乳化装置により微粒化してプレエマルションを製造し、次いでラジカル重合開始剤と混合して一括で重合する方法(1)、水及び界面活性剤を含有する混合物(b)中にこのプレエマルションを連続滴下しながら重合する方法(2)等が挙げられる。本発明においては、粗大粒子の発生を抑える上で方法(2)が好ましい。
ラジカル重合開始剤の具体例としては、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシラウレート、ラウロイルパーオキサイド、コハク酸パーオキサイド、シクロヘキサンノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド等の有機過酸化物;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の無機過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。この中で、反応性の高さから有機過酸化物又は無機過酸化物が好ましい。
ラジカル重合開始剤の使用量は、重合速度及び得られる重合体の分子量の点で、単量体100質量部に対して、0.005〜10質量部が好ましく、0.01〜5質量部がより好ましく、0.02〜2質量部が更に好ましい。
ラジカル重合開始剤の使用量は、重合速度及び得られる重合体の分子量の点で、単量体100質量部に対して、0.005〜10質量部が好ましく、0.01〜5質量部がより好ましく、0.02〜2質量部が更に好ましい。
ラジカル重合開始剤として有機過酸化物又は無機過酸化物を用いる場合、重合温度を低くできることから、硫酸第一鉄/グルコース/ピロリン酸ナトリウム、硫酸第一鉄/デキストロース/ピロリン酸ナトリウム、又は硫酸第一鉄/ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート/エチレンジアミン酢酸塩等の混合物を還元剤として併用することができる。
界面活性剤としては、公知のアニオン性、カチオン性又は非イオン性界面活性剤を使用することができる。
本発明の複合ゴムグラフト共重合体は、アクリルゴム(A)及びn−ブチルアクリレート単位を主成分とするアクリルゴム(B)を含む複合ゴムに1種以上のビニル系単量体単位がグラフト結合されたものである。
アクリルゴム(B)はn−ブチルアクリレート単位を主成分とするゴムである。
n−ブチルアクリレート単位以外の単量体単位としては、アクリルゴム(A)の粒子の場合と同様の、共重合可能な、ビニル系単量体単位及び多官能単量体単位が挙げられる。
n−ブチルアクリレート単位以外の単量体単位としては、アクリルゴム(A)の粒子の場合と同様の、共重合可能な、ビニル系単量体単位及び多官能単量体単位が挙げられる。
本発明に使用される複合ゴムとしては、例えばアクリルゴム(A)1〜99質量%及びアクリルゴム(B)99〜1質量%からなるものが挙げられる。
複合ゴムの製造方法としては、例えば以下の方法(1)〜(3)が挙げられるが、本発明の熱可塑性樹脂組成物の加工性及び得られる成形物の耐衝撃性の点で方法(1)が好ましい。
方法(1):アクリルゴム(A)のラテックスの存在下にアクリルゴム(B)の原料単量体を乳化重合する方法。
方法(2):乳化重合により製造したアクリルゴム(B)のラテックスの存在下に、強制乳化したアクリルゴム(A)の原料であるプレエマルションを乳化重合する方法。
方法(3):アクリルゴム(A)のラテックス及びアクリルゴム(B)のラテックスの混合ラテックスを凝集共肥大化させる方法。
複合ゴムの製造方法としては、例えば以下の方法(1)〜(3)が挙げられるが、本発明の熱可塑性樹脂組成物の加工性及び得られる成形物の耐衝撃性の点で方法(1)が好ましい。
方法(1):アクリルゴム(A)のラテックスの存在下にアクリルゴム(B)の原料単量体を乳化重合する方法。
方法(2):乳化重合により製造したアクリルゴム(B)のラテックスの存在下に、強制乳化したアクリルゴム(A)の原料であるプレエマルションを乳化重合する方法。
方法(3):アクリルゴム(A)のラテックス及びアクリルゴム(B)のラテックスの混合ラテックスを凝集共肥大化させる方法。
複合ゴムにグラフト結合されるビニル系単量体単位は、後述する熱可塑性樹脂(C)と複合ゴムグラフト共重合体との相溶性を高め、熱可塑性樹脂(C)中に複合ゴムグラフト共重合体を均一分散させる役割を有する。
ビニル系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン等の芳香族ビニル単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体;(メタ)アクリル酸;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を併用して使用することができる。
本発明の複合ゴムグラフト共重合体は複合ゴムのラテックスにビニル系単量体をグラフト重合して得られる。
複合ゴムのラテックス及びビニル系単量体の使用量は、複合ゴムのラテックスの固形分として40〜98質量%及びビニル系単量体60〜2質量%が好ましい。また、複合ゴムのラテックスの固形分として70〜92質量%及びビニル系単量体30〜8質量%が更に好ましい。また、複合ゴムのラテックスの固形分として80〜90質量%及びビニル系単量体20〜10質量%が特に好ましい。
複合ゴムが40質量%以上であると、得られる成形物の耐衝撃性が発現される傾向にあり、98質量%以下であると熱可塑性樹脂と配合したときの相溶性良好となる傾向にある。
尚、幹成分である複合ゴムに枝に相当する成分の原料であるビニル系単量体をグラフト重合する際には、グラフトせずに重合した、フリーポリマーが副生される。従って、グラフト重合で得られるものはグラフト共重合体とフリーポリマーの混合物となるが、本発明においてはこの両者を併せて複合ゴムグラフト共重合体という。
複合ゴムのラテックス及びビニル系単量体の使用量は、複合ゴムのラテックスの固形分として40〜98質量%及びビニル系単量体60〜2質量%が好ましい。また、複合ゴムのラテックスの固形分として70〜92質量%及びビニル系単量体30〜8質量%が更に好ましい。また、複合ゴムのラテックスの固形分として80〜90質量%及びビニル系単量体20〜10質量%が特に好ましい。
複合ゴムが40質量%以上であると、得られる成形物の耐衝撃性が発現される傾向にあり、98質量%以下であると熱可塑性樹脂と配合したときの相溶性良好となる傾向にある。
尚、幹成分である複合ゴムに枝に相当する成分の原料であるビニル系単量体をグラフト重合する際には、グラフトせずに重合した、フリーポリマーが副生される。従って、グラフト重合で得られるものはグラフト共重合体とフリーポリマーの混合物となるが、本発明においてはこの両者を併せて複合ゴムグラフト共重合体という。
本発明においては、グラフト重合するに際し、ラジカル重合開始剤及び必要に応じ連鎖移動剤を用いる。
ラジカル重合開始剤はアクリルゴムラテックスの重合に使用されるものと同様のものが使用できる。
連鎖移動剤としては、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン及びn−ヘキシルメルカプタンが挙げられる。
連鎖移動剤の使用量は、得られる成形物の耐衝撃性の点からビニル系単量体100質量部に対して0.001〜5質量部が好ましい。
ラジカル重合開始剤はアクリルゴムラテックスの重合に使用されるものと同様のものが使用できる。
連鎖移動剤としては、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン及びn−ヘキシルメルカプタンが挙げられる。
連鎖移動剤の使用量は、得られる成形物の耐衝撃性の点からビニル系単量体100質量部に対して0.001〜5質量部が好ましい。
複合ゴムグラフト共重合体のラテックスから粉体を得る方法としては、例えば加熱凝固法、スプレードライ法、凍結凝固法等の方法によって回収することができる。
加熱凝固法の場合、凝固剤を溶解した熱水中に複合ゴムグラフト共重合体のラテックスを投入して凝固させ、分離、回収することにより得られる。
加熱凝固剤としては塩化カルシウム、塩化マグネシウム等の塩化金属類、硫酸マグネシウム、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸等の塩素を含まない酸又はその塩が挙げられる。
加熱凝固法の場合、凝固剤を溶解した熱水中に複合ゴムグラフト共重合体のラテックスを投入して凝固させ、分離、回収することにより得られる。
加熱凝固剤としては塩化カルシウム、塩化マグネシウム等の塩化金属類、硫酸マグネシウム、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸等の塩素を含まない酸又はその塩が挙げられる。
本発明においては、熱可塑性樹脂(C)に複合ゴムグラフト共重合体を配合した熱可塑性樹脂組成物を成形して成形物とすることができる。
熱可塑性樹脂(C)としては、例えば、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル等の硬質又は軟質塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−N−フェニルマレイミド共重合体、α−メチルスチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリフェニレンエーテル等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上で併用して使用することが出来る。これらの中で、硬質塩化ビニル樹脂又は硬質塩化ビニル樹脂を主成分とする樹脂混合物が好ましい。
熱可塑性樹脂(C)としては、例えば、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル等の硬質又は軟質塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−N−フェニルマレイミド共重合体、α−メチルスチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリフェニレンエーテル等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上で併用して使用することが出来る。これらの中で、硬質塩化ビニル樹脂又は硬質塩化ビニル樹脂を主成分とする樹脂混合物が好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物中の熱可塑性樹脂(C)と複合ゴムグラフト共重合体との配合比は、熱可塑性樹脂(C)100質量部に対して複合ゴムグラフト共重合体1〜100質量部、好ましくは3〜10質量部を配合することが成形物の耐衝撃性や表面剛性の点から好ましい。
熱可塑性樹脂組成物は、例えば、複合ゴムグラフト共重合体の粉体と熱可塑性樹脂(C)の粉体をヘンシェルミキサー、リボンブレンダー等で混合した後、ロール、押出機、ニーダー等で溶融混練することにより得ることができる。
また、熱可塑性樹脂組成物を製造する際に、可塑剤、安定剤、滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤、顔料、ガラス繊維、充填剤、高分子加工助剤、高分子滑剤等の公知の配合剤を配合することができる。
熱可塑性樹脂組成物は、例えば、複合ゴムグラフト共重合体の粉体と熱可塑性樹脂(C)の粉体をヘンシェルミキサー、リボンブレンダー等で混合した後、ロール、押出機、ニーダー等で溶融混練することにより得ることができる。
また、熱可塑性樹脂組成物を製造する際に、可塑剤、安定剤、滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤、顔料、ガラス繊維、充填剤、高分子加工助剤、高分子滑剤等の公知の配合剤を配合することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、従来の熱可塑性樹脂組成物の成形に用いられる各種成形法、例えば、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、カレンダー成形法等で成形することができる。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。尚、「部」は「質量部」を意味する。また、各評価は以下の方法により実施した。
(1)[重合時のスケール発生量(%)]
重合後の重合容器内の壁面、攪拌翼に付着したスケール及び140メッシュ(目開き106μm)を通過しなかったポリマー凝集物の総質量を蒸気乾燥機中で80℃、12時間乾燥させた。乾燥質量の仕込み単量体総質量に対する比率(%)をスケール発生量とした。
(1)[重合時のスケール発生量(%)]
重合後の重合容器内の壁面、攪拌翼に付着したスケール及び140メッシュ(目開き106μm)を通過しなかったポリマー凝集物の総質量を蒸気乾燥機中で80℃、12時間乾燥させた。乾燥質量の仕込み単量体総質量に対する比率(%)をスケール発生量とした。
(2)[ラテックスの固形分(加熱乾燥残分)(%)]
ラテックスを160℃の熱風乾燥器で30分間乾燥し、乾燥前後の質量から算出した。
(3)[重合率(%)]
上記固形分と、重合時の仕込み全質量及び仕込み単量体総質量から、以下の式により算出した。
重合率(%)=(固形分)/(仕込み単量体総質量/仕込み全質量)×100
ラテックスを160℃の熱風乾燥器で30分間乾燥し、乾燥前後の質量から算出した。
(3)[重合率(%)]
上記固形分と、重合時の仕込み全質量及び仕込み単量体総質量から、以下の式により算出した。
重合率(%)=(固形分)/(仕込み単量体総質量/仕込み全質量)×100
(4)[平均粒子径(nm)]
ラテックスを蒸留水で希釈した、濃度約3%の希釈ラテックス0.1mlを試料とした。米国MATEC社製CHDF2000型粒度分布測定装置を用い、流速1.4ml/分、圧力約2.76MPa、温度35℃の条件下で測定した。測定では、粒子分離用キャピラリー式カートリッジ及びほぼ中性のキャリア液を用いた。
尚、米国DUKE社製の粒子径既知の単分散ポリスチレンを標準粒子径物質とし、0.02μmから0.8μmの合計12点の粒子径を測定して検量線を作成した。ラテックスの粒子径は前記検量線を使用して求めた。
ラテックスを蒸留水で希釈した、濃度約3%の希釈ラテックス0.1mlを試料とした。米国MATEC社製CHDF2000型粒度分布測定装置を用い、流速1.4ml/分、圧力約2.76MPa、温度35℃の条件下で測定した。測定では、粒子分離用キャピラリー式カートリッジ及びほぼ中性のキャリア液を用いた。
尚、米国DUKE社製の粒子径既知の単分散ポリスチレンを標準粒子径物質とし、0.02μmから0.8μmの合計12点の粒子径を測定して検量線を作成した。ラテックスの粒子径は前記検量線を使用して求めた。
(5)[耐衝撃性(J/m)]
熱可塑性樹脂組成物を190℃に調温した25mmφ単軸押出機に供給して、1/2インチ×1/4インチの角棒を作製し、耐衝撃強度をASTM D256に基づいて23℃及び−10℃の2条件で評価した。
熱可塑性樹脂組成物を190℃に調温した25mmφ単軸押出機に供給して、1/2インチ×1/4インチの角棒を作製し、耐衝撃強度をASTM D256に基づいて23℃及び−10℃の2条件で評価した。
(6)[耐候性(−)]
熱可塑性樹脂組成物を、関西ロール(株)製6インチテストロール機を用いて、200℃、15rpmで5分間混練した。この混練物を200℃の金型に6分間挟み、その後50kg/cm2の圧力を加えながら冷却してシート試験片を得た。次いで、60℃に調温した大日本プラスチックス(株)製アイスーパーUVテスターに8時間暴露させた後、60℃、95%に調温及び調湿した恒温恒湿器中に16時間入れる操作を5回繰り返し、シート試験片の外観を以下の基準で目視評価した。
○:耐退色性が良好。
×:耐退色性が悪い。
熱可塑性樹脂組成物を、関西ロール(株)製6インチテストロール機を用いて、200℃、15rpmで5分間混練した。この混練物を200℃の金型に6分間挟み、その後50kg/cm2の圧力を加えながら冷却してシート試験片を得た。次いで、60℃に調温した大日本プラスチックス(株)製アイスーパーUVテスターに8時間暴露させた後、60℃、95%に調温及び調湿した恒温恒湿器中に16時間入れる操作を5回繰り返し、シート試験片の外観を以下の基準で目視評価した。
○:耐退色性が良好。
×:耐退色性が悪い。
(7)[加工性(秒)]
(株)東洋精機製ラボプラストミルに、ミキサー型ヘッドR−60/3ゾーンを装着した。次いで、充填量55g、容器温度200℃、保持時間4分及びミキサー回転数30rpmで熱可塑性樹脂組成物のゲル化時間を測定した。時間−トルク曲線において、トルクが最大値を示す点をゲル化時間とし、ゲル化時間が早いものほど加工性良好として評価した。
(株)東洋精機製ラボプラストミルに、ミキサー型ヘッドR−60/3ゾーンを装着した。次いで、充填量55g、容器温度200℃、保持時間4分及びミキサー回転数30rpmで熱可塑性樹脂組成物のゲル化時間を測定した。時間−トルク曲線において、トルクが最大値を示す点をゲル化時間とし、ゲル化時間が早いものほど加工性良好として評価した。
以下で用いる原材料の略称を示す。
2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
AMA:アリルメタクリレート
2F:ラウリル硫酸ナトリウム(エマール2F:花王(株)製)
FE:硫酸第一鉄
EDTA:エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩
RO:ロンガリット
PMP:ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド(日本触媒(株)製パークミルP)
PSSL:(花王(株)製ペレックスSSL)
NBA:n−ブチルアクリレート
MMA:メチルメタクリレート
TBH:t−ブチルハイドロパーオキサイド(日本触媒(株)製パーブチルH)
RBD:硫酸バンド(実効成分6%の硫酸アルミニウム水溶液)
2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
AMA:アリルメタクリレート
2F:ラウリル硫酸ナトリウム(エマール2F:花王(株)製)
FE:硫酸第一鉄
EDTA:エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩
RO:ロンガリット
PMP:ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド(日本触媒(株)製パークミルP)
PSSL:(花王(株)製ペレックスSSL)
NBA:n−ブチルアクリレート
MMA:メチルメタクリレート
TBH:t−ブチルハイドロパーオキサイド(日本触媒(株)製パーブチルH)
RBD:硫酸バンド(実効成分6%の硫酸アルミニウム水溶液)
[実施例1]アクリルゴムラテックス(A−1)の製造
2EHA99.5部、AMA0.5部、2F0.50部(固形分換算)及び蒸留水119部からなる混合物(a)を調製した。これをホモミキサーで、10000rpmで5分間予備分散した後、ゴーリンホモジナイザーで、20MPaの圧力で乳化させ、プレエマルションを製造した。
撹拌機、還流冷却器、窒素吹込口、単量体追加口、温度計を備えた5口フラスコ内に、2F0.20部(固形分換算)及び蒸留水60部を仕込んだ。次いで、フラスコ内を窒素ガス置換しながら55℃に昇温し、蒸留水5.8部、FE0.0002部、EDTA0.0006部及びRO0.24部を添加し、混合物(b)を調製した。5分間経過した後、混合物(b)を55〜60℃に保ったまま、前記プレエマルションにPMP0.50部を添加したものを90分間かけて連続滴下した。滴下終了後、更に90分間保持して重合を終了し、アクリルゴムラテックス(A−1)を得た。
2EHA99.5部、AMA0.5部、2F0.50部(固形分換算)及び蒸留水119部からなる混合物(a)を調製した。これをホモミキサーで、10000rpmで5分間予備分散した後、ゴーリンホモジナイザーで、20MPaの圧力で乳化させ、プレエマルションを製造した。
撹拌機、還流冷却器、窒素吹込口、単量体追加口、温度計を備えた5口フラスコ内に、2F0.20部(固形分換算)及び蒸留水60部を仕込んだ。次いで、フラスコ内を窒素ガス置換しながら55℃に昇温し、蒸留水5.8部、FE0.0002部、EDTA0.0006部及びRO0.24部を添加し、混合物(b)を調製した。5分間経過した後、混合物(b)を55〜60℃に保ったまま、前記プレエマルションにPMP0.50部を添加したものを90分間かけて連続滴下した。滴下終了後、更に90分間保持して重合を終了し、アクリルゴムラテックス(A−1)を得た。
[実施例2〜5、比較例1及び2]アクリルゴムラテックス(A−2)〜(A−7)の製造
表1及び2に記載の、混合物(a)の組成及びプレエマルションの乳化方法、並びに混合物(b)の組成及びプレエマルションの添加方法とした。それ以外の条件は実施例1と同様にしてアクリルゴムラテックス(A−2)〜(A−7)を製造した。
表1及び2に記載の、混合物(a)の組成及びプレエマルションの乳化方法、並びに混合物(b)の組成及びプレエマルションの添加方法とした。それ以外の条件は実施例1と同様にしてアクリルゴムラテックス(A−2)〜(A−7)を製造した。
[比較例3]アクリルゴムラテックス(A−8)の製造
表2に示す混合物(a)を使用し、実施例1と同様にしてプレエマルションを製造した。これにPMP0.50部を添加したものを、実施例1と同様のフラスコ内に一括添加した。次いで、フラスコ内を窒素ガス置換しながら55℃に昇温し、蒸留水5.8部、FE0.0002部、EDTA0.0006部及びRO0.24部を添加して重合を開始した。重合開始後120分間保持して重合を終了し、アクリルゴムラテックス(A−8)を得た。
表2に示す混合物(a)を使用し、実施例1と同様にしてプレエマルションを製造した。これにPMP0.50部を添加したものを、実施例1と同様のフラスコ内に一括添加した。次いで、フラスコ内を窒素ガス置換しながら55℃に昇温し、蒸留水5.8部、FE0.0002部、EDTA0.0006部及びRO0.24部を添加して重合を開始した。重合開始後120分間保持して重合を終了し、アクリルゴムラテックス(A−8)を得た。
[実施例6]複合ゴムグラフト共重合体(共重合体−1)の製造
表3に示すアクリルゴムラテックス(A−1)50.1部(固形分換算で17.5部)、蒸留水48.7部及びPSSL0.50部を、実施例1と同様のフラスコ内に添加した。次いで、NBA70.1部、AMA1.40部及びPMP0.28部からなる混合物を添加した。この後、窒素ガス置換しながら50℃に昇温し、蒸留水1.0部、FE0.0010部、EDTA0.0030部及びRO0.30部を添加し、徐冷しながら90分間で65℃まで冷却し、複合ゴムのラテックスを得た。
複合ゴムのラテックスに、MMA11部及びTBH0.055部からなる混合物を22分間で滴下した。更に60分間保持してグラフト重合させ、複合ゴムグラフト共重合体のラテックスを得た。
容器内にRBD1.5部を溶解した50℃の水溶液200部を入れ、複合ゴムグラフト共重合体のラテックス100部(固形分)を5分間連続滴下した。更に、RBD3.0部を溶解した水溶液10部を添加し、ラテックスを凝析させた。次いで、85℃で10分間保持して固化させた。固化物を蒸留水2000部で洗浄した後、遠心脱水機で脱水し、70℃で16時間静置乾燥して、複合ゴムグラフト共重合体(共重合体−1)の粉体を得た。
表3に示すアクリルゴムラテックス(A−1)50.1部(固形分換算で17.5部)、蒸留水48.7部及びPSSL0.50部を、実施例1と同様のフラスコ内に添加した。次いで、NBA70.1部、AMA1.40部及びPMP0.28部からなる混合物を添加した。この後、窒素ガス置換しながら50℃に昇温し、蒸留水1.0部、FE0.0010部、EDTA0.0030部及びRO0.30部を添加し、徐冷しながら90分間で65℃まで冷却し、複合ゴムのラテックスを得た。
複合ゴムのラテックスに、MMA11部及びTBH0.055部からなる混合物を22分間で滴下した。更に60分間保持してグラフト重合させ、複合ゴムグラフト共重合体のラテックスを得た。
容器内にRBD1.5部を溶解した50℃の水溶液200部を入れ、複合ゴムグラフト共重合体のラテックス100部(固形分)を5分間連続滴下した。更に、RBD3.0部を溶解した水溶液10部を添加し、ラテックスを凝析させた。次いで、85℃で10分間保持して固化させた。固化物を蒸留水2000部で洗浄した後、遠心脱水機で脱水し、70℃で16時間静置乾燥して、複合ゴムグラフト共重合体(共重合体−1)の粉体を得た。
[実施例7、8及び比較例4〜6]複合ゴムグラフト共重合体(共重合体−2)〜(共重合体−6)の製造
表3に記載したアクリルゴムラテックスを使用し、実施例6と同様にして複合ゴムグラフト共重合体(共重合体−2)〜(共重合体−6)の粉体を得た。
表3に記載したアクリルゴムラテックスを使用し、実施例6と同様にして複合ゴムグラフト共重合体(共重合体−2)〜(共重合体−6)の粉体を得た。
[実施例9〜11及び比較例7〜10]
表4に示す複合ゴムグラフト共重合体を使用し、下記配合組成で調製した熱可塑性樹脂組成物を用いて表4に示す評価を実施した。
実施例9〜11では、いずれも耐衝撃性及び加工性が優れており、耐候性も良好であった。一方、比較例7〜9では、低温耐衝撃性及び加工性のバランスが劣り、比較例10では耐候性が劣っていた。
<配合組成>
塩化ビニル樹脂TK−1000(重合度1000)(信越化学工業(株)製)100部
複合ゴムグラフト共重合体(又はメタブレンC−223A(三菱レイヨン(株)製))6.0部
Ca−Zn系安定剤(コグニスジャパン(株)製)3.0部
炭酸カルシウムCCR(白石カルシウム(株)製)5.0部
酸化チタンR−830(石原産業(株)製)3.5部
部分酸化ポリエチレンワックスHiWax400PF(三井化学(株)製)0.25部
メタブレンP−570A(三菱レイヨン(株)製)0.4部
G−15(滑剤、コグニスジャパン(株)製)0.3部
G−21(滑剤、コグニスジャパン(株)製)0.2部
表4に示す複合ゴムグラフト共重合体を使用し、下記配合組成で調製した熱可塑性樹脂組成物を用いて表4に示す評価を実施した。
実施例9〜11では、いずれも耐衝撃性及び加工性が優れており、耐候性も良好であった。一方、比較例7〜9では、低温耐衝撃性及び加工性のバランスが劣り、比較例10では耐候性が劣っていた。
<配合組成>
塩化ビニル樹脂TK−1000(重合度1000)(信越化学工業(株)製)100部
複合ゴムグラフト共重合体(又はメタブレンC−223A(三菱レイヨン(株)製))6.0部
Ca−Zn系安定剤(コグニスジャパン(株)製)3.0部
炭酸カルシウムCCR(白石カルシウム(株)製)5.0部
酸化チタンR−830(石原産業(株)製)3.5部
部分酸化ポリエチレンワックスHiWax400PF(三井化学(株)製)0.25部
メタブレンP−570A(三菱レイヨン(株)製)0.4部
G−15(滑剤、コグニスジャパン(株)製)0.3部
G−21(滑剤、コグニスジャパン(株)製)0.2部
Claims (5)
- 2−エチルヘキシルアクリレート単位を50質量%以上含むアクリルゴム(A)の粒子を含有し、その粒子の質量平均粒子径(dw)と数平均粒子径(dn)の比(dw/dn)が1.0〜1.3であるアクリルゴムラテックス。
- 請求項1に記載のアクリルゴム(A)及びn−ブチルアクリレート単位を主成分とするアクリルゴム(B)を含む複合ゴムに、1種以上のビニル系単量体単位がグラフト結合された複合ゴムグラフト共重合体。
- 熱可塑性樹脂(C)100質量部及び請求項2に記載の複合ゴムグラフト共重合体1〜100質量部を含有する熱可塑性樹脂組成物。
- 熱可塑性樹脂(C)が、硬質塩化ビニル樹脂又は硬質塩化ビニル樹脂を主成分とする樹脂混合物である請求項3に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 2−エチルヘキシルアクリレートを50質量%以上含む単量体又は単量体混合物、水及び界面活性剤を含有する混合物(a)を強制乳化装置で微粒化してプレエマルションを製造し、次いで水及び界面活性剤を含有する混合物(b)中に前記プレエマルションを連続滴下して単量体又は単量体混合物を重合する請求項1に記載のアクリルゴムラテックスの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006127712A JP2007297536A (ja) | 2006-05-01 | 2006-05-01 | アクリルゴムラテックス、その製造法、複合ゴムグラフト共重合体及び熱可塑性樹脂組成物 |
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Publications (1)
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---|---|
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ID=38767303
Family Applications (1)
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Country Status (1)
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JP (1) | JP2007297536A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009096860A (ja) * | 2007-10-16 | 2009-05-07 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | 熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法 |
JP2019127586A (ja) * | 2018-01-19 | 2019-08-01 | ユーエムジー・エービーエス株式会社 | 乳化物の製造方法及び乳化物の製造装置 |
-
2006
- 2006-05-01 JP JP2006127712A patent/JP2007297536A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009096860A (ja) * | 2007-10-16 | 2009-05-07 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | 熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法 |
JP2019127586A (ja) * | 2018-01-19 | 2019-08-01 | ユーエムジー・エービーエス株式会社 | 乳化物の製造方法及び乳化物の製造装置 |
JP7267749B2 (ja) | 2018-01-19 | 2023-05-02 | テクノUmg株式会社 | 乳化物の製造方法及び乳化物の製造装置 |
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