JP2003147213A - 熱可塑性樹脂組成物及びそれを用いた成形体 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物及びそれを用いた成形体

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形性が良好で、成形体外観、衝撃強度の優
れる、食品加工廃棄物と熱可塑性樹脂とを含有する組成
物およびこの組成物を用いた熱成形品を提供すること。 【解決手段】 食品加工,食品製造時に排出された食品
加工廃棄物(A)90〜15質量%と、熱可塑性樹脂
(B)10〜85質量%とからなる配合物に対し、ポリ
テトラフルオロエチレン系改質剤(C)及び/又はアク
リル系高分子滑剤(D)が配合されてなる熱可塑性樹脂
組成物。また、この熱可塑性樹脂組成物を熱成形するこ
とにより得られた成形体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食品加工,食品製
造時に排出された食品加工廃棄物を熱可塑性樹脂と複合
化した熱可塑性樹脂組成物およびこれを用いた成形体に
関するもので、本発明により食品加工廃棄物をフィルム、
シート,板材,棒材,異型材などに熱成形し建材,自動車
部品および日用品などとして再利用することができる。
【0002】
【従来の技術】食品加工,食品製造時に排出された食品
加工廃棄物は、植物の肥料や家畜の飼料として再利用さ
れ、再利用されないものは自然に戻すか、あるいは廃棄処
理がなされていた。しかし産業の発達,構造変化により
大量生産、大量消費、大量廃棄の時代を迎え、食品加工,
食品製造時に排出される食品加工廃棄物は増加し、逆に
肥料や飼料などとしての再利用は減ってきた。このため
過去の循環型よりも迅速かつ効率的な処理方法として、
焼却処理、埋め立て処理が行われるようになった。ところ
がこういった処理方法は近年地球温暖化や水質汚染など
の環境負荷が問題となっている。そのためにわが国にお
いても環境保護と循環型社会構築に向け、1991年に
リサイクル法が、1993年に環境基本法が制定され、2
000年には食品廃棄物リサイクル法が制定され、廃棄
物の再利用が推進されている。しかし、過去に行われてき
た肥料や飼料としての再利用では処理量に限界があるた
め、近年熱可塑性樹脂と複合化した機能性材料としての
再利用がいくつか提案されている。例えば、オカラやコー
ヒー滓,麦滓,茶滓などの食品加工廃棄物のとの複合化
が特開2000―38466号公報,特開2000−1
41396号公報,特開平5−27740号公報などに
開示されている。
【0003】しかし、食品加工廃棄物は親水性であるた
め、一般的に疎水性である熱可塑性樹脂との親和性が悪
いため、多量の食品加工廃棄物と熱可塑性樹脂を混合し
押出成形などの熱成形を行った場合、分散不良,成形品
表面の肌荒れ、ダイス出口での目ヤニ、成形品強度の低
下などが発生しやすいという問題があった。これまで木
質系材料では熱可塑性樹脂に対する親和性を付与するた
め化学処理を施す方法(特公平1−59302号公報)や
特定のワックス類で被覆する方法(特開2000−10
3915号公報)が開示されている。また、熱可塑性樹脂
がポリオレフィン系樹脂の場合、木質系材料との親和性
を向上させる方法として、例えば変性ポリオレフィン樹
脂を相溶化剤として添加する方法(特開平1−5145
1号公報,特開昭56−167743号公報)や、ポリオ
レフィン系樹脂の一部または全部をマレイン酸等の極性
基で変性する方法(特開昭55−131031号公報,
特開昭61−155436号公報,特開昭57−427
51号公報,特開昭59−115335号公報)が開示
されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、食品加
工廃棄物では、前述した様な処理を行うと、製造工程が多
くなり大幅なコストアップが避けられない。また、相溶化
剤や熱可塑性樹脂を変性した場合、ある程度の効果が見
られるものの、成形性や成形品外観,強度が充分ではな
い。本発明の目的は、成形性が良好で、成形体外観、衝
撃強度の優れる食品加工廃棄物と熱可塑性樹脂との組成
物およびこの組成物を用いた熱成形品を得ることであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、食品加
工,食品製造時に排出された食品加工廃棄物(A)90
〜15質量%と、熱可塑性樹脂(B)10〜85質量%
とからなる配合物に対し、ポリテトラフルオロエチレン
系改質剤(C)及び/又はアクリル系高分子滑剤(D)
が配合されてなる熱可塑性樹脂組成物にある。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明に用いる食品加工廃棄物
(A)は主として食品加工,食品製造および食品流通か
ら排出される廃棄物であり、例えば、焼酎などの蒸留酒の
蒸留粕,ビール麦芽粕,ワインブドウ粕,酒粕,醤油粕
などの醸造粕,茶滓,コーヒー滓、柑橘絞り滓などの飲
料工場から各種滓,オカラ,クロレラなどが挙げられ、
これらは単独で、または2種類以上を混合して用いるこ
とができる。食品加工廃棄物(A)の形状,大きさは特
に限定されないが、粒子状の場合は粒子が大きいと、繊維
状の場合は繊維が長すぎると食品加工廃棄物(A)の分
散性が低下し、製品外観が悪化するため,粉砕したもの
を用いるのが好ましく、10メッシュパス以下が、さらに
は100メッシュパス以下が好ましい。また粉砕品の取
り扱いの点で10000メッシュ以上が好ましい。
【0007】食品加工廃棄物(A)の含水率は特に限定
される物ではないが、食品加工廃棄物(A)は廃棄処分
時に水分多くを含んでおり、粉体としての取り扱い性か
ら20質量%以下の含水率にオーブンや加熱攪拌処理な
どで乾燥するのが好ましい。さらに、20質量%以下の含
水率であっても、成形品に異常発泡などが生じる場合は、
さらに食品加工廃棄物(A)をオーブンや加熱攪拌処理
などで乾燥するのが好ましく、含水率を1%以下に乾燥
して使用するのが特に好ましい。また、食品加工廃棄物は
熱可塑性樹脂(B)への分散性を改良するため予め無水
マレイン酸などの多塩基酸無水物,ジクミルペルオキシ
ドなどの有機過酸化物,酸変性された変性ポリオレフィ
ン,ポリエステル系のワックス,ステアリン酸亜鉛など
の脂肪酸金属塩,酸化チタンや酸化カルシウムなどの金
属酸化物などの微粒子などで表面処理してあるものを使
用できる。
【0008】本発明に用いられる熱可塑性樹脂(B)に
は、殆どの種々の熱可塑性樹脂組成物が適用でき、例え
ば、ポリプロピレン(PP)、高密度ポリエチレン(H
DPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、リニア低
密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリ乳酸,ポリカプ
ロラクトン,ポリビニルアルコール,変性でんぷん,ポ
リヒドロキシ酪酸などの生分解性樹脂,ポリ塩化ビニル
樹脂(PVC)、ポリスチレン(PS)、耐衝撃性ポリ
スチレン(HIPS)、アクリロニトリルとスチレンの
共重合体(AS)、ゴム強化したアクリロニトリルとス
チレンの共重合体(ABS,ASA,SAS)、メタク
リル樹脂、ポリカーボネート(PC)、ポリブチレンテ
レフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート
(PET)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポ
リエチレンナフタレート(PEN)、ポリシクロヘキサ
ンテレフタレート(PCT)、ポリ−1−ブテン、ポリ
イソブチレン、プロピレンとエチレン及び/または1−
ブテンとのあらゆる比率でのランダム共重合体またはブ
ロック共重合体、エチレンとプロピレンとのあらゆる比
率においてジエン成分が50質量%以下であるエチレン
−プロピレン−ジエン三元共重合体、ポリメチルペンテ
ン、シクロペンタジエンとエチレン及び/またはプロピ
レンとの共重合体などの環状ポリオレフィン、エチレン
またはプロピレンと50質量%以下の例えば酢酸ビニ
ル、メタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸エステ
ル、芳香族アルキルエステル、芳香族ビニルなどのビニ
ル化合物などとのランダム共重合体、ブロック共重合体
またはグラフト重合体,などが挙げられる。これらは単
独で、または2種以上を混合して用いることができる。
なかでも、PP、HDPE,LDPE、LLDPE、生
分解性樹脂、PVC、PS、HIPS、AS、ABS,
ASA,SAS、メタクリル樹脂、PC、PBT、PE
T、PBN、PEN、PCT、エチレン−プロピレンラ
ンダムまたはブロック共重合体から選ばれた少なくとも
1種が、汎用性が高く、安価であるという点で好まし
い。また、リサイクル性の観点からPP、HDPE,L
DPE、LLDPEなどのポリオレフィン樹脂および生
分解性樹脂がさらに好ましい。
【0009】熱可塑性樹脂(B)に生分解性樹脂を用い
ることもできる。生分解性樹脂としては、例えば、脂肪族
ポリエステル樹脂,生分解性セルロースエステル、ポリ
ペプチド、ポリビニルアルコール、澱粉、カラギーナ
ン、キチン・キトサン質、天然直鎖状ポリエステル系樹
脂であり、成形性の点で、脂肪族ポリエステル樹脂が良
好であり、特に脂肪族ポリエステル樹脂の主成分が、ポ
リ乳酸、脂肪族グリコールと脂肪族ジカルボン酸または
その誘導体を主成分とした反応により得られるもの、ポ
リカプロラクトンであるものなどが望ましい。
【0010】熱可塑性樹脂(B)には再生樹脂材を単独
または非再生樹脂材と併用して使用でき、再生樹脂材に
は、例えばバンパー,ドアトリム,インパネ内装材,外
板などの自動車樹脂部品,PETボトルリサイクル品,
テレビ,パソコン,プリンターなど家電製品の筐体など
の樹脂部品が使用でき、特にリサイクル性の観点でポリ
オレフィン製の自動車バンパーなどが好ましい。
【0011】また、熱可塑性樹脂(B)には従来木質系
充填材と熱可塑性樹脂の相溶性の改良に添加されている
アルキル(メタ)アクリレートや無水マレイン酸,アクリ
ル酸,グリシジルメタクリレート等の有機酸などで変性
された変性ポリオレフィン樹脂(E)を併用することが
好ましい。アルキル(メタ)アクリレート系変性ポリオ
レフィン樹脂としてはエチレン−メチルメタクリレー
ト、エチレン−エチルアクリレート、エチレン−メチル
アクリレート、エチレン−ブチルメタクリレート、エチ
レン−ヘキシルアクリレート、エチレン−ラウリルメタ
クリレート、エチレン−ステアリルアクリレートなどの
エチレンと各種アクリル酸エステルまたは各種メタクリ
ル酸エステルよりなるものであり、好ましくは99〜6
0質量%のエチレンと1〜40質量%のメチルメタクリ
レートとからなる共重合体であり、これらの1種もしく
は2種以上のブレンド物が挙げられる。
【0012】有機酸変性ポリオレフィンとしては、無水
マレイン酸,マレイン酸ジメチル,マレイン酸ジエチ
ル,アクリル酸,メタクリル酸,テトラヒドロフタル
酸,グリシジルメタクリレート,ヒドロキシテチルメタ
クリレートなどの変性用化合物で変性されたポリオレフ
ィンがあげられ、変性前のポリオレフィンに対する導入
された変性用化合物の量(変性量)は0.1〜60質量%
である。これら変性ポリオレフィン樹脂は単独または複
数使用することができ、熱可塑性樹脂(B)中に0.1
〜100質量%,好ましくは0.2〜30質量%であ
る。熱可塑性樹脂(B)及び変性ポリオレフィン樹脂
(E)の添加量は食品加工廃棄物(A)100質量部に
対し10〜500質量部である。熱可塑性樹脂(B)は
食品加工廃棄物(A)の加工性の点で10質量部以上が
好ましく、食品加工廃棄物(A)の再利用の点で500
質量部以下が好ましい。
【0013】本発明に用いるポリテトラフルオロエチレ
ン系改質剤(C)は、粒子径が10μm以下のポリテト
ラフルオロエチレン粒子、または粒子径が10μm以下
のポリテトラフルオロエチレン粒子0.1〜90質量%
と有機重合体99.9〜10%とを有してなる混合粉体
である。ポリテトラフルオロエチレンの分散性から粉体
中のポリテトラフルオロエチレンが10μmよりも大き
い凝集体となっていないことが必要である。さらに分散
性の観点から有機重合体を含有するポリテトラフルオロ
エチレン含有混合粉体として用いることが好ましい。
【0014】ポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体
としては、粒子径が0.05〜1.0μmのポリテトラフ
ルオロエチレン粒子の水性分散液と有機重合体粒子の水
性分散液とを混合し、凝固またはスプレードライにより
粉体化して得られるもの、あるいは粒子径が0.05〜
1.0μmのポリテトラフルオロエチレン粒子の水性分
散液の存在下で有機重合体を構成する単量体を重合した
後、凝固またはスプレードライにより粉体化して得られ
るもの、あるいは粒子径が0.05〜1.0μmのポリテ
トラフルオロエチレン粒子の水性分散液と有機重合体粒
子の水性分散液とを混合した分散液中で、エチレン性不
飽和結合を有する単量体を乳化重合した後、凝固または
スプレードライにより粉体化して得られるものが好まし
い。
【0015】本発明に用いるポリテトラフルオロエチレ
ン系改質剤(C)を得るために用いる、粒子径が0.0
5〜1.0μmポリテトラフルオロエチレン粒子水性分
散液は、含フッ素界面活性剤を用いる乳化重合でテトラ
フルオロエチレンモノマーを重合させることにより得ら
れる。ポリテトラフルオロエチレン粒子の乳化重合の
際、ポリテトラフルオロエチレンの特性を損なわない範
囲で、共重合成分としてヘキサフルオロプロピレン、ク
ロロトリフルオロエチレン、フルオロアルキルエチレ
ン、パーフルオロアルキルビニルエーテル等の含フッ素
オレフィンや、パーフルオロアルキル(メタ)アクリレ
ート等の含フッ素アルキル(メタ)アクリレートを用い
ることができる。共重合成分の含量は、テトラフルオロ
エチレンに対して10質量%以下であることが好まし
い。ポリテトラフルオロエチレン粒子の市販原料として
は旭ICIフロロポリマー社製の「フルオンCD−12
3」が、ポリテトラフルオロエチレン粒子分散液の市販
原料としては、旭ICIフロロポリマー社製の「フルオ
ンAD−1、AD−936」や、ダイキン工業社製の
「ポリフロンD−1、D−2」、三井デュポンフロロケ
ミカル社製の「テフロン(登録商標)30J」などを代
表例として挙げることができる。
【0016】本発明に用いるポリテトラフルオロエチレ
ン系改質剤(C)を構成する有機重合体としては、特に
制限されるものではないが、熱可塑性樹脂(B)に配合
する際の分散性を考慮し、使用する熱可塑性樹脂との相
溶性が高いものであることが好ましい。有機重合体を生
成するための単量体の具体例としては、スチレン、p−
メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−クロルスチ
レン、o−クロルスチレン、p−メトキシスチレン、o
−メトキシスチレン、α−メチルスチレンなどのスチレ
ン系単量体:アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、
アクリル酸エチル、メクリル酸エチル、アクリル酸ブチ
ル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキ
シル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸
ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸トリデシ
ル、メタクリル酸トリデシル、アクリル酸オクタデシ
ル、メタクリル酸オクタデシル、アクリル酸シクロヘキ
シル、メタクリル酸シクロヘキシルなどの(メタ)アク
リル酸エステル系単量体:アクリロニトリル、メタクリ
ロニトリルなどのシアン化ビニル系単量体:ビニルメチ
ルエーテル、ビニルエチルエーテルなどのビニルエーテ
ル系単量体:酢酸ビニル、酪酸ビニルなどのカルボン酸
ビニル系単量体;エチレン、プロピレン、イソブチレン
などのオレフィン系単量体:ブタジエン、イソプレンな
どのジエン系単量体などを挙げることができる。これら
の単量体は、単独であるいは2種以上混合して用いるこ
とができる。これらの単量体のうちでは、熱可塑性樹脂
(B)との相溶性の点から好ましいものとして、スチレ
ン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、オ
レフィン系単量体を挙げることができる。とくに好まし
いものとしては、炭素数12個以上の長鎖アルキル(メ
タ)アクリル酸エステル系単量体、スチレン、オレフィ
ン系単量体からなる群より選ばれる1種以上の単量体を
20質量%以上含有する単量体を挙げることができる。
【0017】本発明に用いるポリテトラフルオロエチレ
ン系改質剤(C)と有機重合体の混合粉体中に占めるポ
リテトラフルオロエチレンの含有割合は、0.1〜90
質量%であることが好ましい。この範囲内とすることに
より、ポリテトラフルオロエチレンの分散性が良好で、
食品加工廃棄物の分散性が良好で成形体外観に優れる成
形品が得られる。本発明に用いるポリテトラフルオロエ
チレン系改質剤(C)は、その水性分散液を、塩化カル
シウム、硫酸マグネシウムなどの金属塩を溶解した熱水
中に投入し、ついで塩析し、凝固した後に乾燥するか、
スプレードライによって粉体化することができる。通常
のポリテトラフルオロエチレンファインパウダーは、粒
子分散液の状態から粉体として回収する工程で100μ
m以上の凝集体となってしまうために熱可塑性樹脂に均
一に分散させることが困難であるのに対して、本発明で
用いるポリテトラフルオロエチレン系改質剤(C)は、
ポリテトラフルオロエチレンが単独で粒子径が10μm
を超えるドメインを形成していないために、熱可塑性樹
脂(B)に対する分散性が極めて優れている。この結
果、本発明の組成物はポリテトラフルオロエチレンが熱
可塑性樹脂(B)中で効率よく繊維化しており、この繊
維が樹脂の溶融強度を向上させ、さらに食品加工廃棄物
(A)の熱可塑性樹脂(B)への分散性向上させる。ポ
リテトラフルオロエチレン系改質剤(C)は、上述した
食品加工廃棄物(A)と熱可塑性樹脂(B)の総量(A
+B)100質量部に対して、ポリテトラフルオロエチ
レン系改質剤(C)中のポリテトラフルオロエチレン成
分の量が0.01〜20質量部になるように配合される
ことが好ましい。ポリテトラフルオロエチレン成分によ
る食品加工廃棄物(A)の分散性改良効果が得られるた
めには0.01質量部以上が好ましく、ポリテトラフルオ
ロエチレン成分による溶融粘度増加による成形性悪化を
防ぐために、20質量部以下の添加が好ましい。
【0018】さらに、ポリテトラフルオロエチレン系改
質剤(C)をペレット状粒子としておくことが、より分
級を防止することができて好ましい。ペレット状粒子に
する手段としては、押出機を用いる押出造粒法、ロール
シートをカットしてキューブ状のペレットを得るロール
ペレット法、ペレット状の凹みの付いたブリケッティン
グロールによりペレット化する手段等を用いることがで
きる。この場合、後の成形時の分散性を向上させるため
に、できるだけ緩く圧縮してペレット状にすることが好
ましい。ペレット状粒子については、後の成形時の分散
性をさらに良好にするために、熱可塑性樹脂で希釈した
ものも使用できる。その場合、熱可塑性樹脂は90質量
%以下としておくことが好ましい。生産性低下の面90
質量%以下が好ましく、60〜90質量%であればより
好ましい。この希釈の為の熱可塑性樹脂の種類は、成形
時に分散さえすればマトリクスの熱可塑性樹脂(B)と
同一のものを使う必要は特にはない。製造方法として
は、押出法およびロールペレット法を用いることができ
る。また、ペレット化の他の手段として、転着剤を用い
た造粒法を用いることができる。転着剤には、一般的に
使用されているものを用いることができる。例えば、流
動パラフィン、DOP(ジオクチルフタレート)等を適
用できる。転着剤は50質量%以下とすることが好まし
い。製造方法としては、押出法またはロールペレット法
等を用いることができる。
【0019】本発明に用いるアクリル系高分子滑剤
(D)は、アクリル系単量体を主成分とし、アルキル基
の炭素数が1〜18のメタクリル酸アルキルまたはアク
リル酸アルキルと、それらと共重合可能なビニル系単量
体とでなるアクリル系共重合体からなるものである。ア
ルキル基の炭素数が19以上であると、共重合反応し難
くなる。このようなメタクリル酸アルキルまたはアクリ
ル酸アルキルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、
メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル
酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシ
ル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル、ア
クリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピ
ル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル
酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、
アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニル等が挙げられ
る。また、これらと共重合可能なビニル系単量体として
は、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロ
ニトリル、酢酸ビニル等が挙げられる。メタクリル酸ア
ルキルまたはアクリル酸アルキルと、それと共重合可能
なビニル系単量体との好ましい混合割合は、メタクリル
酸アルキルを40〜95質量%とアクリル酸アルキル5
〜60質量%及び共重合可能な他の単量体0〜30質量
%である。また、このアクリル系共重合体は、その還元
粘度(η sp/C)が15以下となるものが好まし
い。なお、本発明で還元粘度(η sp/C)とは、1
00mlのクロロホルム中に0.1gの重合体を溶解した
溶液について、25℃で測定した還元粘度を意味する。
【0020】重合方法は乳化重合法が最適で、1段また
は多段で重合することができる。滑性および分散性を両
立させるためには、2段または3段での重合が好まし
い。乳化重合法で製造される場合、ラテックスの状態で
得られる。その為、固体にする為に、種々の手段が用い
られる。一般的には、酸または塩を用いた急速凝固法に
より粉体として得ることができる。この粉体の状態でも
十分効果を発揮するものであるが、マトリクス樹脂であ
る熱可塑性樹脂は、通常、ビーズ状粒子、もしくはペレ
ット状の場合が多く、粉体をそのまま使用すると、分級
する可能性があるので、顆粒状粉体としておくことが好
ましい。顆粒状粉体にする手段としては、酸もしくは塩
による凝固中に溶剤を添加し、酸析して顆粒状にする溶
剤法による手段、酸または塩を用いて緩速条件で凝固さ
せて酸析して顆粒状にする緩速凝固法による手段、高温
の気流中に、ラテックスを噴霧し、乾燥させて顆粒状粉
体とするスプレードライ法による手段等を用いることが
できる。
【0021】さらに、アクリル系高分子滑剤(D)をペ
レット状粒子としておくことが、より分級を防止するこ
とができて好ましい。ペレット状粒子にする手段として
は、押出機を用いる押出造粒法、ロールシートをカット
してキューブ状のペレットを得るロールペレット法、ペ
レット状の凹みの付いたブリケッティングロールにより
ペレット化する手段等を用いることができる。この場
合、後の成形時の分散性を向上させるために、できるだ
け緩く圧縮してペレット状にすることが好ましい。ペレ
ット状粒子については、後の成形時の分散性をさらに良
好にするために、熱可塑性樹脂で希釈したものも使用で
きる。その場合、熱可塑性樹脂は70質量%以下として
おくことが好ましい。70質量%以上であると、生産性
が低下するので好ましくない。30〜60質量%であれ
ばより好ましい。この希釈の為の熱可塑性樹脂の種類
は、成形時に分散さえすればマトリクスの樹脂と同一の
ものを使う必要は特にはなく、非極性成分からなる熱可
塑性樹脂が好ましい。製造方法としては、押出法および
ロールペレット法を用いることができる。また、ペレッ
ト化の他の手段として、転着剤を用いた造粒法を用いる
ことができる。転着剤には、一般的に使用されているも
のを用いることができる。例えば、流動パラフィン、D
OP(ジオクチルフタレート)等を適用できる。転着剤
は50質量%以下とすることが好ましい。製造方法とし
ては、押出法またはロールペレット法等を用いることが
できる。
【0022】食品加工廃棄物(A)と熱可塑性樹脂
(B)の総量(A+B)に対するアクリル系高分子滑剤
(D)の配合割合は、総量(A+B)100質量部に対
して、アクリル系高分子滑剤(D)を0.1〜20質量
部とすることが望ましい。アクリル系高分子滑剤(D)
の滑剤効果を十分に得るために0.1部以上が好まし
く、成形品表面のブツや、外観の悪化を防止するために
20質量部以下が好ましい。さらに食品加工廃棄物
(A)と熱可塑性樹脂(B)の総量(A+B)に対し、
ポリテトラフルオロエチレン系改質剤(C)をポリテト
ラフルオロエチレン成分が0.01〜20質量部になる
ように配合され、アクリル系高分子滑剤(D)が0.1
〜20質量部併用されたものが好ましい。
【0023】本発明の樹脂組成物には必要に応じて充填
材を添加することができる。充填材は、物性の向上効
果、増量効果を目的としたものには、金属粉、酸化物、
水酸化物、珪酸又は珪酸塩、炭酸塩、炭化珪素、植物性
繊維、動物性繊維、合成繊維などが挙げられ、代表例と
しては、例えば、天然木材、紙、炭酸カルシウム、タル
ク、硝子繊維、炭酸マグネシウム、マイカ、カオリン、
硫酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシ
ウム、シリカ、クレー、ゼオライト、などが挙げられ、
これらは単独で、または2種以上を混合して用いること
ができる。特にリサイクル性の点で天然木材,廃木材,
紙,古紙などが好ましい。 かかる充填材の配合量は、
前記食品加工廃棄物(A)と熱可塑性樹脂(B)の総量
(A+B)100質量部に対し1〜300質量部が好ま
しい。
【0024】また本発明の組成物には難燃剤を添加する
こともできる。難燃剤としては、酸化アンチモン、燐酸
チタン、臭化ビニル、塩素化パラフィン、デカブロモジ
フェニール、デカブロモフェノールオキサイド、TBA
エポキシオリゴマー、TBAポリカーボネートオリゴマ
ー、TPP、リン酸エステル、ヘキサブロモベンゼン、
水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどが挙げら
れ、これらは単独で、または2種以上を混合して用いる
ことができる。また顔料としては、チタンホワイト、チ
タンイエロー、ベンガラ、コバルトブルー、カーボンブ
ラックなどが挙げられ、これらは単独で、または2種以
上を混合して用いることができる。
【0025】本発明には、発泡剤を使用することもで
き、その代表例としては、無機発泡剤、揮発性発泡剤、
分解型発泡剤などを用いることができる。無機発泡剤と
しては、二酸化炭素、空気、窒素など、揮発性発泡剤と
してはプロパン、n−ブタン、イソブタン、ペンタン、
ヘキサンなどの脂肪族炭化水素、トリクロロフロロメタ
ン、ジクロロフロロメタン、ジクロロテトラフロロエタ
ン、メチルクロライド、エチルクロライド、メチレンク
ロライドなどのハロゲン化炭化水素などを用いることが
できる。また、分解型発泡剤としては、アゾジカーボン
アミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾビ
スイソブチロニトリリル、重炭酸ナトリウムなどを用い
ることができる。これらの発泡剤は適宜混合して用いる
ことができる。また、発泡剤を使用する場合には、溶融
混練物中に、更に気泡調整剤を添加しても良い。気泡調
整剤としてはタルク、シリカなどの無機粉末や多価カル
ボン酸の酸性塩、多価カルボン酸と炭酸ナトリウムある
いは重炭酸ナトリウムとの反応混合物などがあげられ
る。
【0026】更に本発明の樹脂組成物には必要に応じて
安定剤などの添加剤を添加することができる。安定剤と
してはペンタエリスリチル−テトラキス{3−(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート}、トリエチレングリコール−ビス{3−(3−
t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プ
ロピオネート}などのフェノール系安定剤、トリス(モ
ノノニルフェニル)フォスファイト、トリス(2、4−
ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトなどの燐系安
定剤、ジラウロイルジプロピオネートなどの硫黄系安定
剤などが挙げられ、これらは単独で、または2種以上を
混合して用いることができる。
【0027】本発明の樹脂組成物には、本来の目的を損
なわない範囲で、2,6−ジ−ブチル−4−メチルフェ
ノール、4,4´−ブチリデン−ビス(3−メチル−6
−t−ブチルフェノール)などのフェノール系酸化防止
剤、トリス(ミックスド、モノおよびジニルフェニル)
ホスファイト、ジフェニル・イソデシルホスファイトな
どのフォスファイト系酸化防止剤、ジラウリルチオジプ
ロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネートジア
ステリアルチオジプロピオネートなどの硫黄系酸化防止
剤、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、
2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾト
リアゾールなどのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、
ビス(2,2,6,6)−テトラメチル−4−ピペリジ
ニル)などの光安定剤、ヒドロキシルアルキルアミン、
スルホン酸塩などの帯電防止剤、エチレンビスステアリ
ルアミド、金属石鹸などの滑剤などの各種添加剤を適宜
配合することにより、さらに望ましい物性、特性に調節
することができる。これら上記した必須成分および所望
により任意成分の各成分を所定量配合し、ロール、バン
バリーミキサー、単軸押出機、2軸押出機等の通常の混
練機で混練して組成物を調製するが、通常はペレット状
にするのが好ましい。また、アクリル系高分子滑剤
(D)とポリテトラフルオロエチレン系改質剤(C)と
を高濃度に含むマスターバッチを食品加工廃棄物(A)
および、または熱可塑性樹脂(B)で希釈して本発明の
組成物としても良い。
【0028】本発明の食品加工廃棄物(A)組成物は、
様々な成形方法に適用でき、射出成形、カレンダー成
形、ブロー成形、インフレーション,押出成形、熱成
形、発泡成形、溶融紡糸などを挙げることができる。成
形体としても、射出成型品、シート、フィルム、中空成
形体、パイプ、角棒、異形品、熱成形体、発泡体、繊維
などを挙げることができる。押出成形においては、特に
制限はなく、一般的な押出製造設備を使用することがで
きる。押出機は、単軸押出機、パラレル二軸押出機、コ
ニカル二軸押出機などが使用でき、押出機先端に設けら
れるダイは、一般に使用されているものをなんら制限な
く用いることができる。特に単軸押出機を用いた成形,
射出成形,ブロー成形,インフレーション成形を行う場
合、あらかじめ食品加工廃棄物(A)と熱可塑性樹脂
(B)をパラレルまたはコニカル二軸押出機でペレット
状に成形したコンパウンドを用いると成形性が容易にで
きる。
【0029】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、本
発明はこれらの例によって限定されるものではない。な
お、例中の「部」は質量部を示し、固形分濃度等の測定
は下記の方法によった。 (1)固形分濃度:粒子分散液を170℃で30分間乾
燥して求めた。 (2)粒子径分布、質量平均粒子径:粒子分散液を水で
希釈したものを試料液として、動的光散乱法(大塚電子
(株)製「ELS800」、温度25℃、散乱角90
度)により測定した。 (3)還元粘度(η sp/C):100mlのクロロホ
ルム中に0.1gの重合体を溶解した溶液について、2
5℃で測定し求めた。
【0030】[参考例1:ポリテトラフルオロエチレン
含有混合粉体(C−1)]撹拌機、コンデンサー、熱電
対、窒素導入口を備えたセパラブルフラスコに、蒸留水
190部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.
5部、スチレン100部、クメンヒドロパーオキシド
0.5部を仕込み、窒素気流下に40℃に昇温した。次
いで、硫酸鉄0.001部、エチレンジアミン四酢酸二
ナトリウム0.003部、ロンガリット塩0.24部、蒸
留水10部の混合液を加えラジカル重合させた。発熱が
終了した後、系内の温度を40℃で1時間保持して重合
を完了させ、スチレン重合体粒子分散液(以下、P−1
と称する)を得た。スチレン重合体粒子分散液(P−
1)の固形分濃度は33.3質量%で、粒子径分布は単
一のピークを示し、質量平均粒子径は96nmであっ
た。一方、ポリテトラフルオロエチレン系粒子分散液と
して旭ICIフロロポリマー社製「フルオンAD93
6」を用いた。「フルオンAD936」の固形分濃度は
63.0質量%であり、ポリテトラフルオロエチレン1
00部に対して5部のポリオキシエチレンアルキルフェ
ニルエーテルを含むものである。「フルオンAD93
6」の粒子径分布は単一のピークを示し、質量平均粒子
径は290nmであった。833部の「フルオンAD9
36」に蒸留水1167部を添加し、固形分濃度が2
6.2質量%のポリテトラフルオロエチレン粒子分散液
(F−1)を得た。ポリテトラフルオロエチレン粒子分
散液(F−1)は25質量%のポリテトラフルオロエチ
レン粒子と1.2質量%のポリオキシエチレンノニルフ
ェニルエーテルを含むものである。160部のF−1
(ポリテトラフルオロエチレン40部)と181.8部
のP−1(ポリスチレン60部)とを撹拌機、コンデン
サー、熱電対、窒素導入口を備えたセパラブルフラスコ
に仕込み、窒素気流下に室温で1時間撹拌した。その
後、系内を80℃に昇温し、1時間保持した。一連の操
作を通じて固形物の分離は見られず、均一な粒子分散液
を得た。粒子分散液の固形分濃度は29.3質量%、粒
子径分布は比較的ブロードで質量平均粒子径は168n
mであった。この粒子分散液341.8部を塩化カルシ
ウム5部を含む85℃の熱水700部に投入し、固形分
を分離させ、濾過、乾燥してポリテトラフルオロエチレ
ン含有混合粉体(C−1)98部を得た。ポリテトラフ
ルオロエチレン含有混合粉体(C−1)を250℃でプ
レス成形機により短冊状に賦形した後、ミクロトームで
超薄切片としたものを無染色のまま透過型電子顕微鏡で
観察した。ポリテトラフルオロエチレンは暗部として観
察されるが、10μmを超える凝集体は観測されなかっ
た。
【0031】[参考例2:ポリテトラフルオロエチレン
含有混合粉体(C−2)]ドデシルメタクリレート75
部とメチルメタクリレート25部の混合液にアゾビスジ
メチルバレロニトリル0.1部を溶解させた。これにド
シルベンゼンスルホン酸ナトリウム2.0部と蒸留水3
00部の混合液を添加し、ホモミキサーにて10000
rpmで4分間撹拌した後、ホモジナイザーに300k
g/cm2の圧力で2回通し、安定なドデシルメタクリ
レート/メチルメタクリレート予備分散液を得た。これ
を撹拌機、コンデンサー、熱電対、窒素導入口を備えた
セパラブルフラスコに仕込み、窒素気流下で内温を80
℃にて3時間撹拌してラジカル重合させ、ドデシルメタ
クリレート/メチルメタタクリレート共重合体粒子分散
液(以下、P−2と称する)を得た。P−2の固形分濃
度は25.1質量%で、粒子径分布は単一のピークを示
し、質量平均粒子径は198nmであった。上記参考例
1で用いたF−1を160部(ポリテトラフルオロエチ
レン40部)と159.4部のP−2(ドデシルメタク
リレート/メチルメタクリレート共重合体40部)とを
撹拌機、コンデンサー、熱電対、窒素導入口、滴下ロー
トを備えたセパラブルフラスコに仕込み、窒素気流下に
室温で1時間撹拌した。その後、系内を80℃に昇温
し、硫酸鉄0.005部、エチレンジアミン四酢酸二ナ
トリウム0.003部、ロンガリット塩0.24部、蒸留
水10部の混合液を加えた後、メチルメタクリレート2
0部とターシャリーブチルパーオキシド0.1部の混合
液を30分かけて滴下し、滴下終了後、内温を80℃で
1時間保持してラジカル重合を完了させた。一連の操作
を通じて固形分の分離は見られず、均一な粒子分散液を
得た。粒子分散液の固形分濃度は28.5質量%で、粒
子径分布は比較的ブロードで質量平均粒子径は248n
mであった。この粒子分散液349.7部を塩化カルシ
ウム5部を含む75℃の熱水600部に投入し、固形分
を分離させ、濾過、乾燥してポリテトラフルオロエチレ
ン含有混合粉体(C−2)97部を得た。乾燥したポリ
テトラフルオロエチレン含有混合粉体(C−2)を22
0℃でプレス成形機により短冊状に賦形した後、ミクロ
トームで超薄切片としたものを無染色のまま透過型電子
顕微鏡で観察した。ポリテトラフルオロエチレンは暗部
として観測されるが、10μmを超える凝集体は観察さ
れなかった。
【0032】[参考例3:ポリテトラフルオロエチレン
含有混合粉体のマスターバッチ(M−1)]直鎖状ホモ
ポリプロピレンペレット(日本ポリケム社製「EA
7」)75部に対して上記参考例4で得たテトラフルオ
ロエチレン含有混合粉体(C−2)を25部配合してハ
ンドブレンドした後、二軸押出機(Werner&Pfleiderer
社製「ZSK30」)を用いて、バレル温度200℃、
スクリュー回転数200rpmにて溶融混練し、ペレッ
ト状に賦形し、ポリテトラフルオロエチレン含有混合粉
体のマスターバッチ(以下、M−1と称する)を得た。
【0033】[参考例4:アクリル系高分子量重合体
(D−2)]攪拌機および還流冷却器付き反応器に、イ
オン交換水を280部、アルケニルコハク酸カリウムを
1.5部、過硫酸アンモニウムを2部、メチルメタクリ
レートを25部、n−オクチルメルカプタンを0.05
部仕込み、容器内を窒素で置換した後、攪拌下、65℃
に昇温し、2時間加熱攪拌した。続いて、n−ブチルメ
タクリレートが25部、n−ブチルアクリレートが25
部、n−オクチルメルカプタンが0.5部の混合物を1
時間かけて滴下し、添加終了後、さらに2時間攪拌し
た。その後、この反応系に、メチルメタクリレートが2
5部、n−オクチルメルカプタンが0.03部の混合物
を30分かけて添加し、さらに2時間攪拌し、重合を終
了し、共重合体粒子分散液(以下、P−3と称する)を
得た。このアクリル系高分子量重合体の還元粘度(η
sp/C)は0.8であった。攪拌機の付いた反応器
に、イオン交換水を600部、硫酸を3部仕込み、50
℃に加温し、攪拌しながら5分かけて上記調製したP−
3を投入し、投入後、95℃に昇温し、5分間保持した
後、濾過、洗浄、乾燥し、アクリル系高分子量重合体
(D−1)を得た。
【0034】[参考例5:アクリル系高分子量重合体
(D−2)]攪拌機および還流冷却器付き反応器に、イ
オン交換水を280部、アルケニルコハク酸カリウムを
1.5部、過硫酸アンモニウムを2部、メチルメタクリ
レートを92部、 n−ブチルアクリレートが8部、n
−オクチルメルカプタンを0.03部を仕込み、容器内
を窒素で置換した後、攪拌下、65℃に昇温し、4時間
加熱攪拌し、重合を終了し、共重合体粒子分散液(以
下、P−4と称する)を得た。このアクリル系高分子量
重合体の還元粘度(η sp/C)は8.0であった。
攪拌機の付いた反応器に、イオン交換水を600部、硫
酸を3部仕込み、50℃に加温し、攪拌しながら5分か
けて上記調製したP−4を投入し、投入後、95℃に昇
温し、5分間保持した後、濾過、洗浄、乾燥し、アクリ
ル系高分子量重合体(D−2)を得た。
【0035】[実施例1〜78、比較例1〜22]ポリ
プロピレン(日本ポリケム社製「FY4」)またはポリ
乳酸系生分解性樹脂(島津製作所製「ラクティ940
0」)ペレットと、5メッシュまたは100メッシュパ
ス以下に粉砕し、含水量1%以下に乾燥した食品加工廃
棄物または廃木材、ポリテトラフルオロエチレン粒子(旭
ICIフロロポリマーズ社製「フルオンCD123」分
子量:1200万)またはポリテトラフルオロエチレン
含有混合粉体(C−1〜2)またはマスターペレット
(M−1),アクリル系高分子量重合体(D−1〜
2)、及び酸変性ポリプロピレン(三洋化成社製「ユー
メックス1010」酸変性度52)とを表1に示す割合
で配合し、後述する成形機、条件にて押出成形を行なっ
て、熱可塑性樹脂成形体を製造した。その成形体につい
て、目ヤニの発生、成形品の外観,成形品強度に関し評
価を実施して結果を表1〜4に示した。
【0036】なお、成型及び評価は以下の条件で行っ
た。 <成型> 押出成形機:IKG社製 スクリュー径:φ50mm単軸押出機、回転数50rp
m ダイス形状:幅80mm、厚み3mm <目ヤニの発生> 成形開始30分後の目ヤニの状態を肉眼で下記の基準で判
定した。 ○: 目ヤニ発生せず △: 目ヤニ少量発生 ×: 目ヤニ多量発生 <成形品の外観> シートの外観を肉眼で下記の基準で判定した。 ○: 肌荒れなく良好でササクレなし △: 若干肌荒れまたはササクレ有り ×:肌荒れまたはササクレ有り <成形品の強度>JIS K−7111に準拠し、1号F
・D試験片を用いて衝撃強度を測定した。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】比較例では成形時に目ヤニ,成形品外観不
良が発生し、成形品の衝撃強度が低いのに対し、ポリテト
ラフルオロエチレン粒子、特にポリテトラフルオロエチ
レン含有混合粉体配合物は外観が改良され衝撃強度も向
上している。またアクリル系高分子量重合体配合物は目
ヤニの発生が著しく防止されている。さらにポリテトラ
フルオロエチレン含有混合粉体およびアクリル系高分子
量重合体を併用で配合された物は目ヤニの発生,成形品
外観,成形品強度の全てが比較例に対し著しく改良され
ており、さまざまな食品加工廃棄物を広く再利用品とし
て使用することが可能となる。
【0042】[実施例79〜129、比較例23〜3
9]下記の熱可塑性樹脂ペレットに、100メッシュパ
ス以下に粉砕し、含水量1%以下に乾燥した食品加工廃
棄物、テトラフルオロエチレン粒子(旭ICIフロロポリ
マーズ社製「フルオンCD123」分子量:1200
万)またはテトラフルオロエチレン含有混合粉体(C−
2))、及びアクリル系高分子量重合体(D−2)とを
表2に示す割合で配合し、上記実施例1〜78と同様
に、前記の成形機、条件を用いてシートを押出し、得ら
れた成形体について、強度(衝撃試験)および外観評価
を行い、結果を表5〜8に示した。先の例と同様に、比
較例では成形時に目ヤニ,成形品外観不良が発生し、成
形品の衝撃強度が低いのに対し、ポリテトラフルオロエ
チレン含有混合粉体配合物は外観が改良され衝撃強度も
向上している。またアクリル系高分子量重合体配合物は
目ヤニの発生が著しく防止されている。さらにポリテト
ラフルオロエチレン含有混合粉体およびアクリル系高分
子量重合体を併用で配合された物は目ヤニの発生,成形
品外観,成形品強度の全てが比較例に対し著しく改良さ
れており、食品加工廃棄物をあらゆる熱可塑性樹脂との
組合せで広く再利用品として使用することが可能とな
る。
【0043】ポリエチレン::日本ポリケム社製「ノバ
テック」 「HD HJ490」(HDPE) 「LD LJ900N」(LDPE) 「HD HJ360」(HDPE) 「UE 320」(LLDPE) ポリ塩化ビニル:信越ポリマー社製「シンエツ塩ビコン
パウンド」「EX 282E」(PVC) ポリスチレン:A&Mスチレン社製 「SC001」
(PS) 耐衝撃性ポリスチレン:日本ポリスチレン社製 「H4
50K」(HIPS) ポリ−1−ブテン:三井石油化学社製「ビューロン」
「P5040B」 アクリロニトリルとスチレンの共重合体:旭化成工業社
製「スタイラック」 「AS783」(AS) ゴム強化したアクリロニトリルとスチレンの共重合体
(ABS,ASA,SAS):三菱レイヨン社製「ダイ
ヤペットABS」「SW−3」(ABS) メタクリル樹脂:三菱レイヨン社製「アクリペット」
「VH」(MMA) ポリカーボネート:三菱エンジニアリングプラスチック
社製「ノバレックス」「7030A」(PC) ポリエチレンテレフタレート:三菱レイヨン社製「タフ
ペット」「PA−200」(PBT) ポリブチレンテレフタレート:三菱レイヨン社製「ダイ
ヤナイト」「N−1000」(PET) ポリメチルペンテン、シクロペンタジエンとエチレンお
よび/またはプロピレンとの共重合体などの環状ポリオ
レフィン:三井石油化学社製 「MX001」 (PMP) EVA:三菱化学社製「三菱ポリエチEVA」「LV2
60」 リサイクルPP:ポリプロピレンを主成分とした自動車
バンパーを粉砕、ペレット状にしたものを用いた。
【0044】
【表5】
【0045】
【表6】
【0046】
【表7】
【0047】
【表8】
【0048】[実施例130〜147、比較例39〜4
4]ポリプロピレン(日本ポリケム社製「FY4」)ま
たはポリ乳酸系生分解性樹脂(島津製作所製「ラクティ
9400」)ペレットと、100メッシュパス以下に粉
砕し、含水量1%以下に乾燥した食品加工廃棄物、上記参
考例で得たテトラフルオロエチレン含有混合粉体(C−
2),アクリル系高分子量重合体(D−2)、アクリレ
ート変性ポリエチレン(住友化学社製「アクリフトWD
201」)とを表3に示す割合で配合し、二軸押出機
(Werner&Pfleiderer社製「ZSK30」)を用いて、
バレル温度200℃、スクリュー回転数200rpmに
て溶融混練し、ペレット状に賦形し、条件にて各種成形
を行なって、熱可塑性樹脂成形体を製造した。その成形
性および成形体について評価を実施して結果を表9,1
0に示した。
【0049】なお、評価はいかの方法により行った。 <インジェクション成形性> インジェクション成形品の外観を肉眼で下記の基準で判
定した。 ○: 良好 △: 少量食品加工廃棄物凝集物あり ×: 食品加工廃棄物凝集物あり <ブロー成形性> ブロー成形品の外観を肉眼で下記の基準で判定した。 ○: 良好 △: 片肉あり ×:破れ <目ヤニ> ブロー成形開始30分後の目ヤニの状態を肉眼で下記の基
準で判定した。 ○: 目ヤニ発生せず △: 目ヤニ少量発生 ×: 目ヤニ多量に発生 <インフレーション成形性> インフレーション成形品の外観を肉眼で下記の基準で判
定した。 ○: 良好 △: 片肉あり ×:破れ <発泡成形比重>ペレットに発泡剤としてアゾジカルボ
ンアミド(ADCA)を1質量%まぶし、単軸押出機にて発泡
成形を行い、成形品の比重を測定した。
【0050】
【表9】
【0051】
【表10】
【0052】比較例は、インジェクション成形では成形
品中に食品加工廃棄物の凝集物が多く確認された。ブロ
ー成形やインフレーション成形ではダイスから出てきた
樹脂を延伸しようとしても、樹脂が裂けてしまい成形す
ることが出来なかった。また発泡成形では発泡セルがつ
ぶれてしまい比重が下がらなかった。さらにブロー成形
時にはダイス口に著しく目ヤニが発生した。これに対し、
ポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体配合物はイン
ジェクション成形品中の食品加工廃棄物の凝集物がなく
なり、ブロー成形やインフレーション成形で樹脂の延伸
が可能となり、成形品を得ることが出来た。また発泡成形
では発泡セルがつぶれていないため、比重が低下してい
る。アクリル系高分子量重合体配合物は目ヤニの発生が
著しく防止されている。さらにポリテトラフルオロエチ
レン含有混合粉体およびアクリル系高分子量重合体を併
用で配合された物は、目ヤニもなくインジェクション,
ブロー,インフレーション,発泡成形性の全てが改良さ
れており、さらにこれにアクリレート変性ポリエチレン
を併用したものはブロー,インフレーション成形で片肉
のない良好な成形品が得られており、本方法により食品
加工廃棄物を各種の成形方法を用いて広く再利用品とし
て使用することが可能となる。
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、従来の大量に食品加工
廃棄物が添加されているポリオレフィン等の熱可塑性樹
脂を用いた熱成形,およびその成形体の欠点を解決し、
熱可塑性樹脂および/又は再生熱可塑性樹脂に対して、
食品加工廃棄物を添加しても、樹脂成形時の溶融強度が
優れ、充填材の添加量、発泡剤の有無によらず、成形体
外観が優れ、衝撃強度が優れている熱成形に適した熱可
塑性樹脂組成物および成形体が得られる。
フロントページの続き (72)発明者 青木 秀夫 神奈川県川崎市多摩区登戸3816番地 三菱 レイヨン株式会社東京技術・情報センター 内 (72)発明者 関田 真理 神奈川県川崎市多摩区登戸3816番地 三菱 レイヨン株式会社東京技術・情報センター 内 Fターム(参考) 4F071 AA08 AA09 AA14 AA27 AA33 AA43 AA73 AA78 AD02 AE11 BA01 BB03 BB05 BB06 BC01 BC03 BC06 4J002 AH00W BB03X BB04X BB06X BB12X BB15X BB20X BC02X BC06X BD03X BD153 BD163 BE02X BG02X BG044 BG054 BN12X BN15X CF05X CF06X CF18X CF19X CG00X

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 食品加工,食品製造時に排出された食品
    加工廃棄物(A)90〜15質量%と、熱可塑性樹脂
    (B)10〜85質量%とからなる配合物に対し、ポリ
    テトラフルオロエチレン系改質剤(C)及び/又はアク
    リル系高分子滑剤(D)が配合されてなる熱可塑性樹脂
    組成物。
  2. 【請求項2】 ポリテトラフルオロエチレン系改質剤
    (C)が、(A)と(B)の合計量100質量部に対
    し、ポリテトラフルオロエチレン系改質剤(C)中のポ
    リテトラフルオロエチレン成分の量が0.01〜20質
    量部になるように配合されたことを特徴とする請求項1
    記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 アクリル系高分子滑剤(D)が、(A)
    と(B)の合計量100質量部に対して、0.1〜20
    質量部になるように配合された事を特徴とする請求項1
    又は2記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 熱可塑性樹脂(B)が、変性ポリオレフ
    ィン樹脂(E)を0.1〜100質量%含有することを
    特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載の熱可塑性樹
    脂組成物。
  5. 【請求項5】 ポリテトラフルオロエチレン系改質剤
    (C)が、粒子径10μm以下のポリテトラフルオロエ
    チレン粒子又は粒子径10μm以下のポリテトラフルオ
    ロエチレン粒子と有機重合体とを含有するポリテトラフ
    ルオロエチレン含有混合粉体であることを特徴とする請
    求項1〜4の何れか1項記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 アクリル系高分子滑剤(D)がアルキル
    基の炭素数が1〜18のメタクリル酸アルキルまたはア
    クリル酸アルキルと、それと共重合可能なビニル系単量
    体とからなり、25℃での還元粘度(η sp/C)が
    3以下のアクリル系共重合体からなることを特徴とする
    請求項1〜5の何れか1項記載の熱可塑性樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6記載の熱可塑性樹脂組成物
    を熱成形することにより得られた成形体。
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