JPWO2009008468A1 - ベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、スルホン基等の極性の高い基を含むので誘電特性の面から不利であると考えられる。
非特許文献4には、ベンゾキサジン化合物の硬化体の分解機構が開示されている。非特許文献4に開示されたアニリン及び単官能のクレゾールは、低温で揮発性を有する。
さらにまた、特許文献5には、アミンとして、2価1級アミン化合物及び1価1級アミン化合物の両方が必須であるジヒドロベンゾオキサジン化合物の製法が開示されている。
本発明が解決しようとする他の課題は、上記熱硬化性樹脂を含む熱硬化性組成物、上記熱硬化性樹脂又は熱硬化性組成物の成形体、硬化体、硬化成形体、並びにそれらを含む電子機器を提供することにある。
[1]
下記式(I)で示されるベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂。
式(I):
[2]
前記Yが芳香族ジアミン化合物又は脂環式ジアミン化合物の残基である、前記[1]に記載のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂。
[3]
前記Yが下記式(II)で示される芳香族ジアミン化合物の残基である、前記[1]又は[2]に記載のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂。
式(II):
群A:
前記Yが下記群Bより選択される飽和橋かけ環式ジアミン化合物の残基である、前記[1]又は[2]に記載のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂。
群B:
a)下記式(III)で示される化合物と、b)ジアミン化合物と、及びc)アルデヒド化合物と、を加熱して反応させることにより製造されるベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂。
式(III):
[6]
a)下記式(III)で示される化合物と、b)ジアミン化合物と、及びc)アルデヒド化合物と、を加熱して反応させるベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂の製造方法。
式(III):
[7]
前記[1]から[5]のいずれか1項に記載のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂又は前記[6]に記載の製造方法により製造されるベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂を少なくとも含む熱硬化性組成物。
[8]
分子内に少なくとも一つのベンゾキサジン構造を有する化合物をさらに含む、前記[7]に記載の熱硬化性組成物。
[9]
前記[1]から[5]のいずれか1項に記載のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂、前記[6]に記載の製造方法により製造されるベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂、又は前記[7]若しくは[8]に記載の熱硬化性組成物から得られる成形体。
[10]
前記[1]から[5]のいずれか1項に記載のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂、前記[6]に記載の製造方法により製造されるベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂、又は前記[7]若しくは[8]に記載の熱硬化性組成物から得られる硬化体。
[11]
前記[9]に記載の成形体を硬化させて得られる硬化成形体。
[12]
前記[9]に記載の成形体、前記[10]に記載の硬化体、又は前記[11]に記載の硬化成形体を含む電子機器。
また、本発明によれば、ベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂が、その主鎖中に新規なエステル構造を有することにより、従来の熱硬化性樹脂よりも、低温での熱硬化性および優れた柔軟性等の種々の特性を有する熱硬化性樹脂を得ることができる。
本発明のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂は、下記式(I)で示されるベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂である。
式(I):
式(I):
Yが芳香族ジアミン化合物又は脂環式ジアミン化合物の残基である、ベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂であることが好ましい。
式(I):
Yが、下記式(II)で示される芳香族ジアミン化合物の残基であるベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂であることが好ましい。
式(II):
群A:
式(I):
Yが、下記群Bより選択される飽和橋かけ環式ジアミン化合物の残基であるベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂であることが好ましい。
群B:
そして、脂肪族ジオール化合物としては、1種以上の単量体化合物が重合したポリマー化合物のうちアルコール性水酸基を2つ有する化合物も含まれる。
芳香族化合物としては、分子内に置換基を有する又は無置換のベンゼン環、ナフタレン環等のアリール構造を有する化合物、置換基を有する又は無置換の1から3つの窒素原子、酸素原子若しくは硫黄原子を有する5員環若しくは6員環のヘテロアリール構造を有する化合物が挙げられ、2つ以上のアリール環又はヘテロアリール環が直接結合、エーテル結合又は脂肪族構造を介して結合している化合物であってもよい。
式(II):
群A:
Rの有機基が、酸素原子又は窒素原子を含んでもよい有機基としては、炭素数1から6の飽和又は不飽和の、直鎖又は分岐のアルキルオキシ、ジアルキルアミノ、アルケニルオキシ、ジアルケニルアミノ、アルキニルオキシ、ジアルキニルアミノ、アルキルオキシアルキル、及びジアルキルアミノアルキル等から選択される基が挙げられ、具体例として、メチルオキシ、エチルオキシ、ジメチルアミノ及びジエチルアミノ等から選択される基が挙げられる。
また、前記式(II)で示される芳香族ジアミン化合物において、mが0である場合も好ましい。mが0であるとは、前記式(II)で示される芳香族ジアミン化合物において、RがHに該当する無置換のベンゼン環であることを意味する。
より好ましい化合物として、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4、4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]ビスアニリン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン等が挙げられる。
本発明のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂は、a)下記式(III)で示される化合物、b)ジアミン化合物、及びc)アルデヒド化合物、を加熱して反応させるベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂の製造方法により得られる熱硬化性樹脂である。
式(III):
式(II):
群A:
群B:
本発明において、c)アルデヒド化合物がホルムアルデヒドである場合が好ましく、特に、c)アルデヒド化合物として、パラホルムアルデヒドを用いる製造方法により得られるジベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂が好ましい。
式(I’):
Cが、下記群Cより選択される基であり、
群C:
群D:
本発明のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂の製造方法は、a)下記式(III)で示される化合物、b)ジアミン化合物、及びc)アルデヒド化合物、を加熱して反応させることを特徴とする。そして、本発明の製造方法により、ベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂を得ることができる。得られたベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂は、耐熱性に優れ、電気特性が良好で、脆性が大きく改善されたものである。
式(III):
反応終了後に、反応溶液を乾燥することにより重合体を得ることができるが、反応溶液を濃縮することにより、重合体を析出させることもできる。また、反応後の溶液に、例えば多量のメタノール等の貧溶媒を加えることで重合体を析出させることができ、これを分離、乾燥することにより目的の重合体を得ることもできる。
本発明の熱硬化性組成物は、前述したベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂を少なくとも含むものである。本発明の熱硬化性組成物は、前記ベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂を好ましくは主成分として含むものであり、例えば、主成分として前記ベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂を含み、且つ副成分として、他の熱硬化性樹脂を含む組成物が挙げられる。
本発明の成形体は、前述したベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂、又はそれを含む熱硬化性組成物を、必要により部分硬化させて、若しくは硬化させずに得られる成形体である。本発明の成形体としては、前述したベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂が硬化前にも成形性を有しているため、いったん硬化前に成形した後に熱をかけて硬化させたもの(硬化成形体)でも、成形と同時に硬化させたもの(硬化体)でもよい。また、その寸法や形状は特に制限されず、例えば、シート状(板状)、ブロック状等が挙げられ、さらに他の部位(例えば粘着層)を備えていてもよい。
硬化温度として、加圧加熱蒸気を使って硬化させることを想定した場合、及び電熱線等その他の方法による加熱硬化を想定した場合には、省エネルギーの観点から見て、硬化可能で、且つ低い温度であることが好ましく、190℃以下で硬化されることが好ましく、185℃以下で硬化されることがより好ましい。硬化の完了の面から考えると硬化時間の下限は10分以上、好ましくは15分以上、より好ましくは30分が好適である。生産性の面から考えると硬化時間の上限は10時間以内、好ましくは5時間以内、より好ましくは3時間以内である。
反応率とは、本発明のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂について、未硬化の状態および上記実際の製造プロセス条件で硬化させた状態のものについて、それぞれDSC測定を行った場合に、硬化反応に伴い確認される発熱ピークの面積の割合より求めることができる。発熱ピークは240℃付近の発熱であり、発熱ピークの面積は、約213℃から約281℃の範囲をベースラインとして求める。
すなわち未硬化の状態のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂をDSC測定装置でほぼ完全に硬化させた発熱ピーク面積をpとする。実際の製造プロセス条件で硬化させたベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂をDSC測定装置で発熱ピーク面積を測定し、この時の発熱ピーク面積をqとする。反応率を(p−q)/p×100(%)とする。このときのDSC測定は、一般的には10℃/分程度の昇温速度で23℃〜300℃の範囲で行い、実際の製造プロセスの雰囲気を想定し、窒素あるいはアルゴン等の不活性ガス下もしくは空気下で行うことができる。
本発明の成形体は、前記ベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂または前記熱硬化性組成物の有する熱硬化性という性質に基づいて信頼性、難燃性、成形性、美観性等に優れており、しかもガラス転移温度(Tg)が高いので、応力がかかる部位や可動部にも適用することが可能であり、且つ重合時に揮発性の副生成物を発生しないので、そのような揮発性の副生成物が成形体中に残存せず衛生管理上も好ましい。
本発明の電子機器は、前記ベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂、前記熱硬化性組成物、前記成形体、前記硬化体、前記硬化成形体の何れか一つを含む。該成形体等は、電子部品・電子機器及びその材料として、特に優れた誘電特性が要求される多層基板、積層板、封止剤、接着剤等の用途に好適に用いることができる。
本発明において、電子機器としては、具体的には、携帯電話、表示機器、車載機器、コンピュータ、通信機器等が挙げられる。
本発明の成形体等は、航空機部材、自動車部材、建築部材等の用途にも使用することができる。また、導電材料、特に金属フィラーの耐熱性結着剤として利用して、直流又は交流の電流を流すことができる回路を形成する用途に用いてもよい。
JEOL製NMR測定装置「ECX−400」により測定した。
島津製高速液体クロマトグラフシステムを使用し、THFを展開媒として、カラム温度40℃、流速1.0ml/分で測定を行った。検出器として「RID−10A」を用い、カラムはShodex製「KF−804L」(排除限界分子量400,000)を2本直列につないで使用した。標準ポリスチレンとして、東ソー製「TSKスタンダードポリスチレン」を用い、重量平均分子量Mw=354,000、189,000、98,900、37,200、17,100、9,830、5,870、2,500、1,050、500のものを使用して較正曲線を作成し、分子量の計算を行った。
島津製作所製、「DSC−60」を用い、アルゴン雰囲気下、昇温速度10℃/分で測定した。硬化反応に基づく発熱ピークの熱量を、TA−60WS付属のアプリケーションソフト「TA−60」を用いて解析し、J/gで算出した。
脆性を屈曲性を指標に評価した。
各実施例で得られたシートを、幅25mm、長さ100mmに裁断した。正三角形の頂点に相当する頂角が60度となる2つの平面を持つ治具に得られたシートを軽く押しつけても割れないものを、「可とう性を有する」と評価した。シートを完全に180度折り曲げて、割れないものを「非常に屈曲性に優れる」と評価した。
式(III)の化合物の合成(Xはヘキサメチレン基、−(CH2)6−)
撹拌幾、冷却管、窒素導入管を備えたセパラブルフラスコ中で、1,6−ヘキサンジオール(和光純薬製)19.30g(0.163mol)、p−ヒドロキシ安息香酸(上野製薬製)45.11g(0.327mol)、p−トルエンスルホン酸1水和物(和光純薬製)0.59g、ジエチレングリコールジメチルエーテル50ml、キシレン10mlを混合した。セパラブルフラスコを180℃のオイルバスにつけ、窒素ガスを導入しながら5時間反応させた。その後、系内を弱減圧にして溶媒を少しずつ除去しながら反応を進め、4時間をかけてほぼ揮発分を取り去った。フラスコ内には薄茶色の固体が析出していた。
析出した固体を破砕してイソプロパノールとテトラヒドロフランの混合溶媒に溶解させ、多量の蒸留水中に投じることで触媒の除去を行い、生成物を沈殿させた。その後、ろ過することにより粗製物を単離した。もう一度、この混合溶媒への溶解、沈殿、ろ過の操作を繰り返した後、100℃の真空オーブン中で8時間乾燥し、薄茶色の粉末51.51gを得た。
上記粉末の1H−NMR測定(重アセトン)において、エステル結合の生成によるケミカルシフト4.3ppm付近のCOO−CH 2−CH2のピーク、またケミカルシフト6.9ppm付近および7.9ppm付近にヒドロキシ安息香酸のベンゼン環のプロトンのピーク、さらにケミカルシフト9.1ppm付近にフェノールOHのピークが見られたこと、及びGPC測定の結果より、目的の式(III)の化合物(Xはヘキサメチレン基、−(CH2)6−)であることを確認した。
合成例1の式(III)の化合物21.50g、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]ビスアニリン(三井化学製「ビスアニリンM」)20.67g、パラホルムアルデヒド(三菱ガス化学製、91.6%)8.26g、キシレン58.3ml、1−ブタノール11.7mlを混合し、発生する水分を除去しながら還流下で4時間反応させることにより、琥珀色の透明粘調液91.92g(固形分濃度46.3%)を得た。この溶液を少量サンプリングしてGPC測定を行い、分子量を評価したところ、数平均分子量Mn=4,100、重量平均分子量Mw=24,100であった。Mwより算出した式(I)のnの平均値は、32.1となった。さらに、上記溶液の一部を、多量のメタノールに投じて生成物を析出させた。その後、ろ過により生成物を分離し、メタノールで洗浄した。洗浄した生成物を真空オーブン中で真空乾燥することにより、淡黄色の樹脂粉末を得た。得られた樹脂の1H−NMR測定(CDCl3)を行うことにより、ケミカルシフト4.6ppm付近および5.4ppm付近にベンゾキサジン環の生成に伴うピークが見られたことから、目的の熱硬化性樹脂であることを確認した。
実施例1で得られた熱硬化性樹脂溶液をトルエンで希釈して固形分濃度40%の塗工液を調整し、アプリケータを用いてPETフィルム上にキャストし、乾燥させて成形体を得た。これを180℃で3時間熱処理して硬化させることにより、70μmtのシート状の硬化成形体を得た。得られた硬化成形体は濃橙色透明で均一なものであり、非常に屈曲性に優れるものであった。
得られたシートについて、誘電率測定装置(ヒューレットパッカード社製、商品名「8510C」)を用いて空洞共振法により、23℃、5.8GHzにおける誘電率及び誘電正接を測定した。実施例2の硬化成形体は、誘電率、誘電正接ともに良好な特性を示した。
得られたシートについて、島津製作所製、商品名「DTG−60」を用いてTGA法により、10℃/minの昇温速度でアルゴン雰囲気下での5%重量減少温度(Td5)を評価した。実施例2の硬化成形体はTd5が350℃と良好な値を示した。測定結果を表1に示す。
実施例1の熱硬化性樹脂の硬化反応に伴う発熱ピークは106.7J/gであり、実施例2で得られたシート状の硬化成形体の残存発熱ピークは14.5J/gであった。したがって、180℃で3時間熱処理を行うことにより、熱硬化性樹脂中の86.4%のベンゾキサジン環が重合して硬化していることが確認された。
式(III)の化合物の合成(Xはノナメチレン基、−(CH2)9−)
撹拌幾、冷却管、窒素導入管を備えたセパラブルフラスコ中で、1,9−ノナンジオール(クラレ製)40.00g(0.25mol)、p−ヒドロキシ安息香酸(上野製薬製)68.95g(0.50mol)、p−トルエンスルホン酸1水和物(和光純薬製)1.00g、メチルイソブチルケトン200mlを混合した。セパラブルフラスコを180℃のオイルバスにつけ、窒素ガスを導入しながら4時間反応させた。その後、系内を弱減圧にして溶媒を少しずつ除去しながら反応を進め、約4時間をかけてほぼ揮発分を取り去った。反応液を放冷させて薄茶色の粘調物を得た。
粘稠物をテトラヒドロフランに溶解させ、多量の蒸留水中に投じることで触媒の除去を行い、生成物を液状物として水層と分離させた。デカンテーション及び分液ロートを用いた分液操作により、水層を分離して溶媒を含む粗製物を単離した。もう一度、テトラヒドロフランへの溶解及び蒸留水中での析出の操作を繰り返した後、70℃の真空オーブン中で乾燥し、薄茶色の粘調物を得た。
上記粘調物の1H−NMR測定(重アセトン)において、エステル結合の生成によるケミカルシフト4.3ppm付近のCOO−CH 2−CH2のピーク、またケミカルシフト6.9ppm付近および7.9ppm付近にヒドロキシ安息香酸エステルのベンゼン環のプロトンのピーク、さらにケミカルシフト9.1ppm付近にフェノールOHのピークが見られたこと、及びGPC測定の結果より、目的の式(III)の化合物(Xはノナメチレン基、−(CH2)9−)であることを確認した。
合成例2の式(III)の化合物24.03g、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]ビスアニリン(三井化学製「ビスアニリンM」)20.67g、パラホルムアルデヒド(三菱ガス化学製、91.6%)8.26g、トルエン120mlを混合し、発生する水分を共沸により除去しながら、還流下で2時間反応させた。この溶液を、多量のメタノールに投じて生成物を析出させた。その後、ろ過により生成物を分離し、メタノールで洗浄した。洗浄した生成物を真空オーブン中で真空乾燥することにより、淡黄色の樹脂粉末41.74gを得た。得られた樹脂を重クロロホルム中で1H−NMR測定を行うことにより、ケミカルシフト4.6ppm付近および5.4ppm付近にベンゾキサジン環の生成に伴うピークが見られたことから、目的の熱硬化性樹脂であることを確認した。またGPC測定を行い、分子量を評価したところ、数平均分子量Mn=4,900、重量平均分子量Mw=16,300であった。Mwより算出した式(I)のnの平均値は、20.6となった。
実施例3で得られた熱硬化性樹脂について、実施例2と同様にしてシート状の硬化成形体を得た。得られたシートは橙色透明で均一なものであり、非常に屈曲性に優れるものであった。
得られたシートについて、誘電率測定装置(ヒューレットパッカード社製、商品名「8510C」)を用いて空洞共振法により、23℃、5.8GHzにおける誘電率及び誘電正接を測定した。実施例4の硬化成形体は、誘電率、誘電正接ともに良好な特性を示した。
得られたシートについて、島津製作所製、商品名「DTG−60」を用いてTGA法により、10℃/minの昇温速度でアルゴン雰囲気下での5%重量減少温度(Td5)を測定した。実施例4の硬化成形体はTd5が350℃と良好な値を示した。測定結果を表1に示す。
式(III)の化合物の合成(Xはドデカメチレン基、−(CH2)12−)
合成例2において、1,9−ノナンジオールの代わりに、1,12−ドデカンジオール(宇部興産製)50.59g(0.25mol)を用いた以外は合成例2と同様にして行い、薄茶色の固形物を得た。
上記粘調物の1H−NMR測定(重アセトン)において、エステル結合の生成によるケミカルシフト4.3ppm付近のCOO−CH 2−CH2のピーク、またケミカルシフト6.9ppm付近および7.9ppm付近にヒドロキシ安息香酸エステルのベンゼン環のプロトンのピーク、さらにケミカルシフト9.1ppm付近にフェノールOHのピークが見られたこと、及びGPC測定の結果より、目的の式(III)の化合物(Xはドデカメチレン基、−(CH2)12−)であることを確認した。
実施例3において、合成例2の式(III)の化合物の代わりに、合成例3の式(III)の化合物26.55gを用いた以外は、実施例3と同様にして熱硬化性樹脂を合成した。得られた樹脂は淡黄色の粉末であった。
得られた樹脂を重クロロホルム中で1H−NMR測定を行うことにより、ケミカルシフト4.6ppm付近および5.4ppm付近にベンゾキサジン環の生成に伴うピークが見られたことから、目的の熱硬化性樹脂であることを確認した。また、GPC測定を行い、分子量を評価したところ、数平均分子量Mn=4,400、重量平均分子量Mw=11,000であった。Mwより算出した式(I)のnの平均値は、13.2となった。
実施例5で得られた熱硬化性樹脂について、実施例2と同様にしてシート状の硬化成形体を得た。得られたシートは橙色透明で均一なものであり、非常に屈曲性に優れるものであった。
得られたシートについて、誘電率測定装置(ヒューレットパッカード社製、商品名「8510C」)を用いて空洞共振法により、23℃、5.8GHzにおける誘電率及び誘電正接を測定した。実施例6の硬化成形体は、誘電率、誘電正接ともに良好な特性を示した。
得られたシートについて、島津製作所製、商品名「DTG−60」を用いてTGA法により、10℃/minの昇温速度でアルゴン雰囲気下での5%重量減少温度(Td5)を測定した。実施例6の硬化成形体は、Td5が352℃と良好な値を示した。測定結果を表1に示す。
実施例3において、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]ビスアニリンの代わりに、3(4),8(9)−ビス(アミノメチル)トリシクロ[5,2,1,02,6]デカン(セラニーズ製「TCDジアミン」)11.66g(0.06mol)を用いた以外は、実施例3と同様にして熱硬化性樹脂を合成した。得られた樹脂は淡黄色の粉末であった。
得られた樹脂を重クロロホルム中で1H−NMR測定を行うことにより、ケミカルシフト4.0ppm付近および4.9ppm付近にベンゾキサジン環の生成に伴うピークが見られたことから、目的の熱硬化性樹脂であることを確認した。また、GPC測定を行い、分子量を評価したところ、数平均分子量Mn=2,700、重量平均分子量Mw=6,700であった。Mwより算出した式(I)のnの平均値は、10.4となった。
実施例7で得られた熱硬化性樹脂について、実施例2と同様にしてシート状の硬化成形体を得た。得られたシートは黄色透明で均一なものであり、非常に屈曲性に優れるものであった。
得られたシートについて、23℃、5.8GHzにおける誘電率及び誘電正接を測定した。実施例8の硬化成形体は、誘電率、誘電正接ともに良好な特性を示した。
得られたシートについて、島津製作所製、商品名「DTG−60」を用いてTGA法により、10℃/minの昇温速度で空気雰囲気下での5%重量減少温度(Td5)を測定した。実施例8の硬化成形体は、Td5が325℃と良好な値を示した。測定結果を表1に示す。
式(III)の化合物の合成(Xは水添ポリブタジエン基)
撹拌幾、冷却管、水分分離器、窒素導入管を備えたセパラブルフラスコ中で、末端ヒドロキシ化液状ブタジエンオリゴマーの水素添加物(日本曹達製「NISSO−PB GI−1000」)32.44g(水酸基価69.2[KOHmg/g]、GPCによる単分散標準ポリスチレン換算の数平均分子量Mn=2,380)、p−ヒドロキシ安息香酸(上野製薬製)6.62g(0.048mol)、p−トルエンスルホン酸1水和物(和光純薬製)1.0g、ジエチレングリコールジメチルエーテル100ml、トルエン100mlを混合し均一な溶液とした。セパラブルフラスコを180℃のオイルバスにつけ、窒素ガスを導入しながら4時間反応させた。反応中生成してくる水分を共沸により除去した。その後、系内を弱減圧にして溶媒を少しずつ除去しながら反応を進め、ほぼ揮発分を取り去ることにより、琥珀色の粘調な液体が得られた。
粘稠な液体を150mlのトルエンで希釈して蒸留水で3回洗浄し、水相を分離した後、減圧下でトルエンを留去して、琥珀色の透明粘調液状物を得た。
上記液状物についてGPC測定を行ったところ、数平均分子量Mn=2,460であった。また、上記液状物についてGPC測定を行ったところ、数平均分子量Mn=2,460であった。また、上記液状物の1H−NMR測定(重クロロホルム)において、エステル結合の生成によるケミカルシフト4.2〜4.4ppmにCOO−CH 2−Rのピーク、またケミカルシフト6.9ppm付近および7.9ppm付近にヒドロキシ安息香酸エステルのベンゼン環のプロトンのピークが見られたことより、目的の式(III)の化合物(Xは水添ポリブタジエン基)であることを確認した。
ガラス容器中で、合成例4の式(III)の化合物11.19g、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]ビスアニリン(三井化学製「ビスアニリンM」)2.07g(0.006mol)、パラホルムアルデヒド(三菱ガス化学製、91.6%)0.83g、トルエン10ml、イソブタノール0.5mlを混合し、150℃のホットプレート上で加熱し、発生する水分を共沸により除去しながら、4時間反応させることにより、粘調な橙色透明溶液を得た。この溶液の一部を40℃で真空乾燥することにより、淡黄色ゴム状樹脂を得た。得られた樹脂を重クロロホルム中で1H−NMR測定を行うことにより、ケミカルシフト4.6ppm付近および5.4ppm付近にベンゾキサジン環の生成に伴うピークが見られたことから、目的の熱硬化性樹脂であることを確認した。また、GPC測定を行い、分子量を評価したところ、数平均分子量Mn=4,800、重量平均分子量Mw=20,100であった。
実施例9で得られた熱硬化性樹脂の溶液について、実施例2と同様にしてシート状の硬化成形体を得た。得られたシートは橙色透明で均一なものであり、非常に屈曲性に優れるものであった。
得られたシートについて、誘電率測定装置(ヒューレットパッカード社製、商品名「8510C」)を用いて空洞共振法により、23℃、5.8GHzにおける誘電率及び誘電正接を測定した。実施例10の硬化成形体は、誘電率、誘電正接ともに良好な特性を示した。
得られたシートについて、SII製、商品名「TG/DTA6200」を用いてTGA法により、10℃/minの昇温速度でヘリウム雰囲気下での5%重量減少温度(Td5)を測定した。実施例10の硬化成形体はTd5が365℃と良好な値を示した。測定結果を表1に示す。
式(III)の化合物の合成(Xはポリカーボネート基)
撹拌幾、冷却管、水分分離器、窒素導入管を備えたセパラブルフラスコ中で、ポリカーボネートジオール(クラレ製「クラレポリオールC−590」)100g(水酸基価229.1[KOHmg/g]、OH価から計算される分子量490)、p−ヒドロキシ安息香酸(上野製薬製)59.2g(0.43mol)、p−トルエンスルホン酸1水和物(和光純薬製)2.0g、キシレン100mlを混合し均一な溶液とした。系内を窒素置換した後、180℃のオイルバスで加熱撹拌しながら3時間反応させた。反応中生成してくる水分を共沸により除去した。その後、系内を弱減圧にして溶媒を少しずつ除去しながら反応を進め、ほぼ揮発分を取り去ることにより、琥珀色の粘調な液体が得られた。
粘稠な液体を100mlのトルエンで希釈して蒸留水で数回洗浄し、水相を分離した後、減圧下でトルエンを留去して、琥珀色の透明粘調液状物を得た。
上記液状物の一部を重クロロホルムに溶解させて1H−NMRスペクトルを測定することにより、エステル結合の生成によるケミカルシフト4.2〜4.4ppmのCOO−CH 2−Rのピーク、またケミカルシフト6.9ppm付近および7.9ppm付近にヒドロキシ安息香酸エステルのベンゼン環のプロトンのピークが見られたことから、目的の式(III)の化合物(Xはポリカーボネート基)であることを確認した。
ガラス容器中で、合成例5の式(III)の化合物2.92g、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン(東京化成製、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]ビスアニリンと同一の化合物)1.38g(0.004mol)、パラホルムアルデヒド(三菱ガス化学製、91.6%)0.55g、トルエン5ml、イソブタノール1mlを混合し、150℃のホットプレート上で加熱し、発生する水分を共沸により除去しながら、8時間反応させることにより、粘調な橙色透明溶液を得た。この溶液の一部を真空乾燥することにより、淡橙色樹脂を得た。得られた樹脂を重クロロホルム中で1H−NMR測定を行うことにより、ケミカルシフト4.6ppm付近および5.4ppm付近にベンゾキサジン環の生成に伴うピークが見られたことから、目的の熱硬化性樹脂であることを確認した。またGPC測定を行い、分子量を評価したところ、数平均分子量Mn=3,800、重量平均分子量Mw=11,500であった。
実施例11で得られた熱硬化性樹脂の溶液をトルエンで希釈し粘度を調整した後、剥離処理が施されたPETフィルム上に塗工し、80℃で30分間乾燥させた。さらに180℃で2時間熱処理することにより80μmtのシート状の硬化成形体を得た。得られたシートは濃橙色透明で均一なものであり、非常に屈曲性に優れるものであった。
得られたシートについて、誘電率測定装置(AGILENT社製、商品名「RFインピーダンス/マテリアル アナライザ E4991A」)を用いて容量法により、1GHzにおける誘電率及び誘電正接を測定した。実施例12の硬化成形体は誘電率2.8、誘電正接0.004と良好な特性を示した。
得られた硬化成形体について、SII製、商品名「TG/DTA6200」を用いてTGA法により、10℃/minの昇温速度でヘリウム雰囲気下での5%重量減少温度(Td5)を測定した。実施例12の硬化成形体はTd5が317℃と比較的良好な値を示した。測定結果を表2に示す。
式(III)の化合物の合成(Xは―CH2CH2OC6H4C(CH3)2C6H4OCH2CH2−)
撹拌幾、冷却管、水分分離器、窒素導入管を備えたセパラブルフラスコ中で、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物(日本乳化剤製「BA−2グリコール」)50.0g(水酸基価345[KOHmg/g])、p−ヒドロキシ安息香酸(上野製薬製)43.7g(0.32mol)、p−トルエンスルホン酸1水和物(和光純薬製)1.0g、ジエチレングリコールジメチルエーテル80ml、トルエン80mlを混合し均一な溶液とした。系内を窒素置換した後、150℃のオイルバスで加熱撹拌しながら1時間反応させた。反応中生成してくる水分を共沸により除去しながら、さらに190℃まで段階的に昇温して反応させることにより、赤紫色の溶液を得た。
この溶液から溶媒を減圧下で留去した後、内容物をクロロホルムに溶解させた。少量の不溶物をろ過により除去した後、イオン交換水で洗浄し無水硫酸ナトリウムで脱水した。さらに減圧下でクロロホルムを留去し、薄紫色の個体を得た。
上記固体の一部を重クロロホルムに溶解させて1H−NMRスペクトルを測定することにより、エステル結合の生成によるケミカルシフト4.3ppm付近のCOO−CH 2−CH2のピーク、またケミカルシフト6.8ppm付近および7.9ppm付近にヒドロキシ安息香酸エステルのベンゼン環のプロトンのピークが見られたことから、目的の式(III)の化合物(Xは2,2−ビス[4−(2−エトキシ)フェニル]プロパン基、―CH2CH2OC6H4C(CH3)2C6H4OCH2CH2−)であることを確認した。
ガラス容器中で、合成例6の式(III)の化合物2.23g、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン(セントラル硝子製)2.07g(0.004mol)、パラホルムアルデヒド(三菱ガス化学製、91.6%)0.55g、トルエン8ml、イソブタノール2mlを混合し、150℃のホットプレート上で加熱し、発生する水分を共沸により除去しながら、8時間反応させることにより、粘調な黄色透明溶液を得た。この溶液の一部を真空乾燥することにより、淡黄色樹脂を得た。得られた樹脂を重クロロホルム中で1H−NMR測定を行うことにより、ケミカルシフト4.6ppm付近および5.4ppm付近にベンゾキサジン環の生成に伴うピークが見られたことから、目的の熱硬化性樹脂であることを確認した。またGPC測定を行い、分子量を評価したところ、数平均分子量Mn=2,300、重量平均分子量Mw=4,700であった。
実施例13で得られた熱硬化性樹脂の溶液を、剥離処理が施されたPETフィルム上に塗工し、80℃で30分間乾燥させた。さらに180℃で2時間熱処理することにより100μmtのシート状の硬化成形体を得た。得られたシートは濃橙色透明で均一なものであり、可とう性を有するものであった。
得られたシートについて、実施例12と同様の方法で、1GHzにおける誘電率及び誘電正接を測定した。実施例14の硬化成形体は誘電率2.5、誘電正接0.008と良好な特性を示した。得られた硬化成形体について、実施例12と同様の方法で、5%重量減少温度(Td5)を測定した。実施例14の硬化成形体はTd5が344℃と良好な値を示した。測定結果を表2に示す。
式(III)の化合物の合成(Xは水添ポリブタジエン基)
撹拌幾、冷却管、水分分離器、窒素導入管を備えたセパラブルフラスコ中で、合成例4で用いたものと同じ末端ヒドロキシ化液状ブタジエンオリゴマーの水素添加物612g、p−ヒドロキシ安息香酸(上野製薬製)111g(0.80mol)、活性白土(和光純薬製)63g、キシレン1100mlを混合した。系内を窒素置換した後、180℃のオイルバスで加熱し、撹拌しながら10時間反応させた。反応中生成してくる水分を共沸により除去した。
反応終了後の溶液を放冷した後トルエン900mlで希釈し、活性白土をろ別することにより微黄色の溶液を得た。さらに減圧下でトルエンを留去し、微黄色の透明粘調液状物を得た。
上記液状物の一部を重クロロホルムに溶解させて1H−NMRスペクトルを測定することにより、エステル結合の生成によるケミカルシフト4.2〜4.4ppmのCOO−CH 2−Rのピーク、またケミカルシフト6.9ppm付近および7.9ppm付近にヒドロキシ安息香酸エステルのベンゼン環のプロトンのピークが見られたことから、目的の式(III)の化合物(Xは水添ポリブタジエン基)であることを確認した。
ガラス容器中で、合成例7の式(III)の化合物7.46g、4,4’−ジアミノジフェニルメタン(和光純薬製)0.79g(0.004mol)、パラホルムアルデヒド(三菱ガス化学製、91.6%)0.55g、トルエン8ml、イソブタノール2mlを混合し、140℃のホットプレート上で加熱し、発生する水分を共沸により除去しながら、8時間反応させることにより、粘調な黄色透明溶液を得た。この溶液の一部をとり、減圧下で溶媒を留去し乾燥させることにより、ゴム状樹脂を得た。得られた樹脂を重クロロホルム中で1H−NMR測定を行うことにより、ケミカルシフト4.6ppm付近および5.4ppm付近にベンゾオキサジン環の生成に伴うピークが見られたことから、目的の熱硬化性樹脂であることを確認した。また、GPC測定を行い、分子量を評価したところ、数平均分子量Mn=4,500、重量平均分子量Mw=10,800であった。
実施例15で得られた熱硬化性樹脂の溶液を剥離処理が施されたPETフィルム上に塗工し、80℃で30分間乾燥させた。さらに180℃で2時間熱処理することにより110μmtのシート状の硬化成形体を得た。得られたシートは濃橙色透明で均一なものであり、非常に屈曲性に優れるものであった。
得られたシートについて、実施例12と同様の方法で、1GHzにおける誘電率及び誘電正接を測定した。実施例16の硬化成形体は誘電率2.2、誘電正接0.001と非常に良好な特性を示した。
得られたシートについて、実施例12と同様の方法で、5%重量減少温度(Td5)を測定した。実施例16の硬化成形体はTd5が380℃と良好な値を示した。測定結果を表1に示す。
実施例15において、4,4’−ジアミノジフェニルメタンを4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン(和光純薬製)0.91g(0.004mol)に変更した以外は実施例15と同様にして反応させることにより、粘調な赤色透明溶液を得た。この溶液の一部をとり、減圧下で溶媒を留去し乾燥させることにより、ゴム状樹脂を得た。得られた樹脂を重クロロホルム中で1H−NMR測定を行うことにより、ケミカルシフト4.4ppm付近および5.2ppm付近にベンゾキサジン環の生成に伴うピークが見られたことから、目的の熱硬化性樹脂であることを確認した。またGPC測定を行い、分子量を評価したところ、数平均分子量Mn=5,500、重量平均分子量Mw=12,400であった。
実施例17で得られた熱硬化性樹脂の溶液を剥離処理が施されたPETフィルム上に塗工し、80℃で30分間乾燥させた。さらに180℃で2時間熱処理することにより100μmtのシート状の硬化成形体を得た。得られた硬化体は濃橙色透明で均一なものであり、非常に屈曲性に優れるものであった。
得られた成形体について、実施例12と同様の方法で、1GHzにおける誘電率及び誘電正接を測定した。実施例18の硬化成形体は誘電率2.2、誘電正接0.001と非常に良好な特性を示した。
また得られた硬化成形体について、実施例12と同様の方法で、5%重量減少温度(Td5)を測定した。実施例18の硬化成形体はTd5が380℃と良好な値を示した。測定結果を表2に示す。
実施例15において、4,4’−ジアミノジフェニルメタンを2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(和歌山精化製)1.64g(0.004mol)に変更した以外は実施例15と同様にして反応させることにより、粘調な黄色透明溶液を得た。この溶液の一部をとり、減圧下で溶媒を留去し乾燥させることにより、ゴム状樹脂を得た。得られた樹脂を重クロロホルム中で1H−NMR測定を行うことにより、ケミカルシフト4.6ppm付近および5.4ppm付近にベンゾキサジン環の生成に伴うピークが見られたことから、目的の熱硬化性樹脂であることを確認した。またGPC測定を行い、分子量を評価したところ、数平均分子量Mn=4,400、重量平均分子量Mw=9,600であった。
実施例19で得られた熱硬化性樹脂の溶液を剥離処理が施されたPETフィルム上に塗工し、80℃で30分間乾燥させた。さらに180℃で2時間熱処理することにより110μmtのシート状の硬化成形体を得た。得られた硬化体は濃橙色透明で均一なものであり、非常に屈曲性に優れるものであった。
得られたシートについて、実施例12と同様の方法で、1GHzにおける誘電率及び誘電正接を測定した。実施例20の硬化成形体は誘電率2.2、誘電正接0.001と非常に良好な特性を示した。
また得られたシートについて、実施例12と同様の方法で、5%重量減少温度(Td5)を評価した。実施例20の硬化成形体はTd5が386℃と良好な値を示した。測定結果を表2に示す。
本発明における実施例のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂は、いずれも優れた誘電特性を有する。
Claims (12)
- 前記Yが芳香族ジアミン化合物又は脂環式ジアミン化合物の残基である、請求項1に記載のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂。
- 請求項1から5のいずれか1項に記載のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂又は請求項6に記載の製造方法により製造されるベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂を少なくとも含む熱硬化性組成物。
- 分子内に少なくとも一つのベンゾキサジン構造を有する化合物をさらに含む、請求項7に記載の熱硬化性組成物。
- 請求項1から5のいずれか1項に記載のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂、請求項6に記載の製造方法により製造されるベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂、又は請求項7若しくは8に記載の熱硬化性組成物から得られる成形体。
- 請求項1から5のいずれか1項に記載のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂、請求項6に記載の製造方法により製造されるベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂、又は請求項7若しくは8に記載の熱硬化性組成物から得られる硬化体。
- 請求項9に記載の成形体を硬化させて得られる硬化成形体。
- 請求項9に記載の成形体、請求項10に記載の硬化体、又は請求項11に記載の硬化成形体を含む電子機器。
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