JPWO2009008468A1 - ベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、下記式(I)で示されるベンゾキサジン環構造を有する熱硬化性樹脂を提供する。式(I):【化1】[式(I)中、Xは分子量若しくはGPCで測定したポリスチレン換算数平均分子量が5,000以下であるジオール化合物の残基であり、Yはジアミン化合物の残基であり、かつnは2〜200の整数である。]

Description

本発明は、耐熱性に優れ、電気特性が良好で、脆性が大きく改善されたベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂、該熱硬化性樹脂の製造方法、該熱硬化性樹脂を含む熱硬化性組成物、及びそれらの成形体、硬化体、硬化成形体、並びにそれらを含む電子機器に関する。
従来から、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、及びビスマレイミド樹脂等の熱硬化性樹脂は、熱硬化性という性質に基づき、耐水性、耐薬品性、耐熱性、機械強度、及び信頼性等に優れているので、広い産業分野で使用されている。
しかし、フェノール樹脂及びメラミン樹脂は硬化時に揮発性の副生成物を発生する、エポキシ樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂は難燃性が劣る、ビスマレイミド樹脂は非常に高価である等の欠点がある。
これらの欠点を解消するために、ベンゾキサジン環が開環重合反応し、問題となるような揮発分の発生を伴わずに熱硬化するベンゾキサジン化合物が研究されてきた。このようなベンゾキサジン化合物が、例えば、特許文献1に開示されている。
寸法安定性、低吸水性、低誘電率、耐熱性に優れ、成形加工時に副生ガスを発生しない優れたベンゾキサジン化合物として、下記式(1)や下記式(2)で表されるベンゾキサジン化合物が知られている(非特許文献1及び非特許文献2)。
式(1):
Figure 2009008468
式(2):
Figure 2009008468
上記式(1)及び式(2)で表されるベンゾキサジン化合物のベンゾキサジン環が開環重合して得られる樹脂は、熱硬化時に揮発成分の発生を伴うこともなく、また、難燃性や機械特性に優れる。
特許文献2には、可とう性、強靱性を示し、電子部品等に好適な熱硬化性ベンゾオキサジン樹脂が開示されている。ただし、この技術では、熱硬化性ベンゾオキサジン樹脂の骨格中にOH基が存在するため、吸湿性、電気特性の面で不利である。
また、特許文献3には、主鎖中にジヒドロベンゾキサジン環構造を有する耐熱性、機械特性に優れた硬化性樹脂が開示されている。
しかし、スルホン基等の極性の高い基を含むので誘電特性の面から不利であると考えられる。
また、非特許文献3及び特許文献4には、主鎖中にベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂が開示されている。しかし、非特許文献3には、化合物のみ開示があり、特性評価の記載がない。また、特許文献4には、耐熱性向上や、可とう性を付与するための指針や具体的な化合物の開示がない。
非特許文献4には、ベンゾキサジン化合物の硬化体の分解機構が開示されている。非特許文献4に開示されたアニリン及び単官能のクレゾールは、低温で揮発性を有する。
さらにまた、特許文献5には、アミンとして、2価1級アミン化合物及び1価1級アミン化合物の両方が必須であるジヒドロベンゾオキサジン化合物の製法が開示されている。
特開昭49−47378号公報 特開2005−239827号公報 特開2003−64180号公報 特開2002−338648号公報 特許第3550814号公報 小西化学工業株式会社ホームページ[2005年11月24日検索]、インターネット<URL:http://www.konishi-chem.co.jp/cgi-data/jp/pdf/pdf#2.pdf> 小西化学工業株式会社ホームページ[2007年9月18日検索]、インターネット<URL:http://www.konishi-chem.co.jp/technology/oxazin.html> "Benzoxazine Monomers and Polymers: New Phenolic Resins by Ring-Opening Polymerization," J.P.Liu and H. Ishida, "The Polymeric Materials Encyclopedia," J.C.Salamone,Ed.,CRC Press,Florida(1996)pp.484-494 H.Y.Low and H.Ishida,Polymer,40,4365(1999)
そこで、本発明が解決しようとする課題は、耐熱性に優れ、電気特性が良好で、脆性が大きく改善された熱硬化性樹脂及び該熱硬化性樹脂の製造方法を提供することにある。
本発明が解決しようとする他の課題は、上記熱硬化性樹脂を含む熱硬化性組成物、上記熱硬化性樹脂又は熱硬化性組成物の成形体、硬化体、硬化成形体、並びにそれらを含む電子機器を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、ベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂が、その主鎖中に新規なエステル構造を有することにより、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は以下の通りである。
[1]
下記式(I)で示されるベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂。
式(I):
Figure 2009008468
[式(I)中、Xは分子量又はGPCで測定したポリスチレン換算数平均分子量が5,000以下であるジオール化合物の残基である。Yはジアミン化合物の残基である。nは2〜200の整数である。]
[2]
前記Yが芳香族ジアミン化合物又は脂環式ジアミン化合物の残基である、前記[1]に記載のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂。
[3]
前記Yが下記式(II)で示される芳香族ジアミン化合物の残基である、前記[1]又は[2]に記載のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂。
式(II):
Figure 2009008468
〔式(II)中、Rは活性水素を有さない炭素数1から6の有機基であり、前記有機基は、酸素原子、窒素原子を含んでいてもよい。mは0から4の整数を示す。zは直接結合か、または下記群Aより選択される少なくとも一種の基である。〕
群A:
Figure 2009008468
[4]
前記Yが下記群Bより選択される飽和橋かけ環式ジアミン化合物の残基である、前記[1]又は[2]に記載のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂。
群B:
Figure 2009008468
[5]
a)下記式(III)で示される化合物と、b)ジアミン化合物と、及びc)アルデヒド化合物と、を加熱して反応させることにより製造されるベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂。
式(III):
Figure 2009008468
[式(III)中、Xは分子量又はGPCで測定したポリスチレン換算数平均分子量が5,000以下であるジオール化合物の残基である。]
[6]
a)下記式(III)で示される化合物と、b)ジアミン化合物と、及びc)アルデヒド化合物と、を加熱して反応させるベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂の製造方法。
式(III):
Figure 2009008468
[式(III)中、Xは分子量又はGPCで測定したポリスチレン換算数平均分子量が5,000以下であるジオール化合物の残基である。]
[7]
前記[1]から[5]のいずれか1項に記載のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂又は前記[6]に記載の製造方法により製造されるベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂を少なくとも含む熱硬化性組成物。
[8]
分子内に少なくとも一つのベンゾキサジン構造を有する化合物をさらに含む、前記[7]に記載の熱硬化性組成物。
[9]
前記[1]から[5]のいずれか1項に記載のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂、前記[6]に記載の製造方法により製造されるベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂、又は前記[7]若しくは[8]に記載の熱硬化性組成物から得られる成形体。
[10]
前記[1]から[5]のいずれか1項に記載のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂、前記[6]に記載の製造方法により製造されるベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂、又は前記[7]若しくは[8]に記載の熱硬化性組成物から得られる硬化体。
[11]
前記[9]に記載の成形体を硬化させて得られる硬化成形体。
[12]
前記[9]に記載の成形体、前記[10]に記載の硬化体、又は前記[11]に記載の硬化成形体を含む電子機器。
本発明によれば、耐熱性に優れ、電気特性が良好で、脆性が大きく改善されたベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂と、該熱硬化性樹脂の製造方法と、及び該熱硬化性樹脂を含む熱硬化性組成物と、それらの成形体、硬化体、硬化成形体と、並びにそれらを含む電子機器と、を提供することができる。
また、本発明によれば、ベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂が、その主鎖中に新規なエステル構造を有することにより、従来の熱硬化性樹脂よりも、低温での熱硬化性および優れた柔軟性等の種々の特性を有する熱硬化性樹脂を得ることができる。
以下、本発明について、その好ましい実施形態に基づいて詳細に説明する。
〔ベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂〕
本発明のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂は、下記式(I)で示されるベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂である。
式(I):
Figure 2009008468
[式(I)中、Xは分子量又はGPCで測定したポリスチレン換算数平均分子量が5,000以下であるジオール化合物の残基である。Yはジアミン化合物の残基である。nは2〜200の整数である。]
本発明のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂における分子量若しくはGPCで測定したポリスチレン換算数平均分子量が5,000以下であるジオール化合物の残基とは、分子量若しくはGPCで測定したポリスチレン換算数平均分子量が5,000以下であるジオール化合物の2つの水酸基以外の部分構造で示される基を意味する。
本発明のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂におけるジアミン化合物の残基とは、ジアミン化合物の2つのアミノ基以外の部分構造で示される基を意味する。
本発明のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂は、下記式(I)で示される構造を有し、
式(I):
Figure 2009008468
[式(I)中、Xは分子量又はGPCで測定したポリスチレン換算数平均分子量が5,000以下であるジオール化合物の残基である。nは2〜200の整数である。]
Yが芳香族ジアミン化合物又は脂環式ジアミン化合物の残基である、ベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂であることが好ましい。
本発明のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂は、下記式(I)で示される構造を有し、
式(I):
Figure 2009008468
[式(I)中、Xは分子量又はGPCで測定したポリスチレン換算数平均分子量が5,000以下であるジオール化合物の残基である。nは2〜200の整数である。]
Yが、下記式(II)で示される芳香族ジアミン化合物の残基であるベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂であることが好ましい。
式(II):
Figure 2009008468
〔式(II)中、Rは活性水素を有さない炭素数1から6の有機基であり、前記有機基は、酸素原子、窒素原子を含んでいてもよい。mは0から4の整数を示す。zは直接結合か、または下記群Aより選択される少なくとも一種の基である。〕
群A:
Figure 2009008468
本発明のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂は、下記式(I)で示される構造を有し、
式(I):
Figure 2009008468
[式(I)中、Xは分子量又はGPCで測定したポリスチレン換算数平均分子量が5,000以下であるジオール化合物の残基である。nは2〜200の整数である。]
Yが、下記群Bより選択される飽和橋かけ環式ジアミン化合物の残基であるベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂であることが好ましい。
群B:
Figure 2009008468
本発明のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂において、芳香族ジアミン化合物又は脂環式ジアミン化合物の残基、式(II)で示される芳香族ジアミン化合物の残基及び群Bより選択される飽和橋かけ環式ジアミン化合物の残基とは、それぞれ、芳香族ジアミン化合物又は脂環式ジアミン化合物、式(II)で示される芳香族ジアミン化合物及び群Bより選択される飽和橋かけ環式ジアミン化合物の2つのアミノ基以外の部分構造で示される基を意味する。
本発明において、ジオール化合物としては、分子量又はGPCで測定したポリスチレン換算数平均分子量が5,000以下であり、アルコール性水酸基を2つ有する化合物であれば特に限定はされないが、ジオール化合物としては、脂肪族ジオール化合物、芳香族ジオール化合物等が挙げられる。
GPCで測定したポリスチレン換算数平均分子量が5,000以下であるとは、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により求めたポリスチレン換算数平均分子量が5,000以下であることを意味する。
本発明において、脂肪族ジオール化合物としては、飽和又は不飽和であってもよく、直鎖又は分岐していてもよいアルカンジオール化合物、アルケンジオール化合物、及びアルキンジオール化合物、並びにシクロアルカンジオール化合物などの脂環式脂肪族ジオール化合物等の脂肪族ジオール化合物が挙げられる。脂肪族部分は、酸素原子、窒素原子等の炭素原子以外の原子が1つ以上挿入されていてもよく、また、脂肪族部分がエステル結合、エーテル結合、アミド結合、カルボネート結合、カルバメート結合等の炭素原子と酸素原子又は窒素原子等の炭素原子以外の原子とで形成される種々の結合を1つ以上有していてもよい。脂環式脂肪族ジオール化合物としては、脂肪族環に直接水酸基が結合していてもよく、脂肪族環に脂肪族部分を介して水酸基が結合していてもよい。
そして、脂肪族ジオール化合物としては、1種以上の単量体化合物が重合したポリマー化合物のうちアルコール性水酸基を2つ有する化合物も含まれる。
脂肪族ジオール化合物の例としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA、末端ヒドロキシポリブタジエン(例えば、出光興産製「Poly bd」)や、末端ヒドロキシポリイソプレン(例えば、出光興産製「Poly ip」)、あるいは末端ヒドロキシポリブタジエンや末端ヒドロキシポリイソプレンの水素添加物(例えば、出光興産製「エポール」、日本曹達製「NISSO PB」)、ポリオレフィン系ポリオール(例えば、三菱化学製「ポリテール」)、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートジオール(例えば、宇部興産製「PCD」、旭化成製「PCDL」、ダイセル化学製「プラクセルCD」、クラレ製「クラレポリオールC」)等が挙げられる。好ましくは、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール等のC2−20脂肪族炭化水素ジオール化合物(HO−Cn2n−OH(nは2から20の整数を示す。))、又は末端ヒドロキシポリブタジエン、末端ヒドロキシポリイソプレン若しくはそれらの水素添加物、ポリオレフィン系ポリオールが挙げられる。熱硬化性樹脂の可とう性の面で、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、又は末端ヒドロキシポリブタジエン、末端ヒドロキシポリイソプレン若しくはそれらの水素添加物、ポリオレフィン系ポリオール等であることが、より好ましい。
本発明において、芳香族ジオール化合物としては、アルコール性水酸基を2つ有する芳香族化合物であれば、特に限定はされない。アルコール性水酸基を2つ有する芳香族化合物としては、アルコール性水酸基が結合している脂肪族構造を有する2つの基で置換される、分子内に置換基を有する又は無置換のベンゼン環、ナフタレン環等のアリール構造を有する化合物、置換基を有する又は無置換のヘテロアリール構造を有する化合物が挙げられ、2つ以上の、アルコール性水酸基が結合している脂肪族構造を有するアリール環又はヘテロアリール環が、直接結合又は脂肪族構造を介して結合している化合物であってもよい。
芳香族ジオール化合物の具体例としては、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン等が挙げられる。
本発明において、ジオール化合物は、単独で用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。ジオール化合物はアルコール性水酸基を2つもつ化合物であるが、本発明の目的を逸脱しない範囲であれば、3つ以上のアルコール性水酸基を有する化合物が含まれていてもよい。
本発明において、ジアミン化合物としては、アミノ基を2つ有する化合物であれば、特に限定はされないが、ジアミン化合物としては、芳香族ジアミン化合物及び脂肪族ジアミン化合物等が挙げられる。好ましくは、芳香族ジアミン化合物及び脂環式ジアミン化合物等が挙げられる。
本発明において、芳香族ジアミン化合物としては、アミノ基を2つ有する芳香族化合物であれば、特に限定はされない。
芳香族化合物としては、分子内に置換基を有する又は無置換のベンゼン環、ナフタレン環等のアリール構造を有する化合物、置換基を有する又は無置換の1から3つの窒素原子、酸素原子若しくは硫黄原子を有する5員環若しくは6員環のヘテロアリール構造を有する化合物が挙げられ、2つ以上のアリール環又はヘテロアリール環が直接結合、エーテル結合又は脂肪族構造を介して結合している化合物であってもよい。
分子内に置換基を有する又は無置換のベンゼン環、ナフタレン環等のアリール構造を有する化合物の具体例としては、o−ジアミノベンゼン、m−ジアミノベンゼン、p−ジアミノベンゼン、1,2−ジアミノナフタレン、1,3−ジアミノナフタレン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、1,6−ジアミノナフタレン、1,7−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン、2,3−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノナフタレン等が挙げられる。
本発明において、2つ以上のアリール環又はヘテロアリール環が直接結合、エーテル結合又は脂肪族構造を介して結合している化合物としては、下記式(II)で示される化合物であることが好ましい。
式(II):
Figure 2009008468
〔式(II)中、Rは活性水素を有さない炭素数1から6の有機基であり、前記有機基は、酸素原子、窒素原子を含んでいてもよい。mは0から4の整数を示し、ベンゼン環上のRの置換基の数を意味する。zは直接結合か、または下記群Aより選択される少なくとも一種である。〕
群A:
Figure 2009008468
前記式(II)で示される芳香族ジアミン化合物のRの活性水素を有さない炭素数1から6の有機基としては、炭素数1から6の飽和又は不飽和の、直鎖又は分岐のアルキル、アルケニル及びアルキニル、炭素数3から6のシクロアルキル及び並びにフェニル等の置換又は無置換のアリール等から選択される基が挙げられ、具体例として、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチル及びヘキシル等から選択される基が挙げられる。
Rの有機基が、酸素原子又は窒素原子を含んでもよい有機基としては、炭素数1から6の飽和又は不飽和の、直鎖又は分岐のアルキルオキシ、ジアルキルアミノ、アルケニルオキシ、ジアルケニルアミノ、アルキニルオキシ、ジアルキニルアミノ、アルキルオキシアルキル、及びジアルキルアミノアルキル等から選択される基が挙げられ、具体例として、メチルオキシ、エチルオキシ、ジメチルアミノ及びジエチルアミノ等から選択される基が挙げられる。
前記式(II)で示される芳香族ジアミン化合物において、Rとしては、メチル、エチル、メチルオキシ、エチルオキシ、ジメチルアミノ及びジエチルアミノから選択される基であることが好ましく、反応性の点からメチル基であることがより好ましい。
また、前記式(II)で示される芳香族ジアミン化合物において、mが0である場合も好ましい。mが0であるとは、前記式(II)で示される芳香族ジアミン化合物において、RがHに該当する無置換のベンゼン環であることを意味する。
前記式(II)で示される芳香族ジアミン化合物は、「最新ポリイミド 〜基礎と応用〜」(日本ポリイミド研究会編、2002年1月28日、株式会社エヌ・ティー・エス発行)p516〜p524等を参考に、公知の方法により製造することができる。
前記式(II)で示される芳香族ジアミン化合物の具体例としては、ベンジジン、o−トリジン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4、4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン(日本化薬製「カヤボンドC−100」)、4、4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタン(日本化薬製「カヤハードA−A」)、4、4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラメチルジフェニルメタン(日本化薬製「カヤボンドC−200S」)、4、4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラエチルジフェニルメタン(日本化薬製「カヤボンドC−300S」)、4、4’−ジアミノ−3,3’−ジエチル−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ネオペンタン、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]ビスアニリン(三井化学製「ビスアニリンM」)、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]ビスアニリン(三井化学製「ビスアニリンP」)、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(和歌山精化製「BAPP」)、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル等が挙げられる。
前記式(II)で示される芳香族ジアミン化合物としては、上記の中でも、得られる熱硬化性樹脂の特性及び斯かるジアミン化合物の入手の容易さから、好ましい化合物として、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4、4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4、4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタン、4、4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラメチルジフェニルメタン、4、4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラエチルジフェニルメタン、4、4’−ジアミノ−3,3’−ジエチル−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]ビスアニリン、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]ビスアニリン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン等が挙げられる。
より好ましい化合物として、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4、4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]ビスアニリン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン等が挙げられる。
前記式(II)で示される芳香族ジアミン化合物において、zの結合位置は、ベンゼン環アミノ基に対してオルト位、メタ位、パラ位であり得るが、メタ位、パラ位で結合している化合物が好ましい。
本発明において、脂肪族ジアミン化合物としては、飽和又は不飽和であってもよく、直鎖又は分岐していてもよいアルカンジアミン化合物、アルケンジアミン化合物、アルキンジアミン化合物等の脂肪族ジアミン化合物等、飽和又は不飽和であってもよい、シクロアルカンジアミン化合物、ビス(アミノアルキル)シクロアルカン化合物及び飽和橋かけ環式ジアミン化合物等の脂環式ジアミン化合物等が挙げられる。脂肪族ジアミン化合物としては、好ましくは、脂環式ジアミン化合物等が挙げられ、より好ましくは、飽和橋かけ環式ジアミン化合物等が挙げられる。
脂肪族ジアミン化合物の脂肪族部分は、酸素原子、窒素原子等の炭素原子以外の原子が1つ以上挿入されていてもよく、また、脂肪族部分がエステル結合、エーテル結合、アミド結合、カルボネート結合、カルバメート結合等の炭素原子と酸素原子又は窒素原子等の炭素原子以外の原子とで形成される種々の結合を1つ以上有していてもよい。
本発明において、飽和橋かけ環式ジアミン化合物としては、アミノ基を2つ有するビシクロ環、トリシクロ環構造を有する化合物等の縮環構造を有する脂環式ジアミン化合物であれば、特に限定はされない。
ビシクロ環、トリシクロ環構造としては、ノルボルネン骨格(ビシクロ[2,2,1]ヘプタン)、ジシクロペンタジエン骨格(トリシクロ[5,2,1,02,6]デカン)、アダマンタン骨格(トリシクロ「3,3,1,13,7]デカン)等の縮環構造の脂環式炭化水素構造が挙げられる。
飽和橋かけ環式ジアミン化合物としては、ビシクロ環、トリシクロ環部分にアミノ基が直接結合していてもよく、また、メチレン、エチレン等のアルキレン等の脂肪族部分を介して結合していてもよい。さらに、これら縮環構造の脂環族炭化水素基の水素原子が、アルキル基等で置換されていてもよい。
本発明において、飽和橋かけ環式ジアミン化合物としては、下記群Bより選択される脂環式ジアミン化合物であることが好ましい。
群B:
Figure 2009008468
飽和橋かけ環式ジアミン化合物の具体例としては、3(4),8(9),−ビス(アミノメチル)トリシクロ[5,2,1,02,6]デカン(セラニーズ製「TCDジアミン」)、2,5(6)−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン(三井化学製「NBDA」)等が挙げられる。
本発明において、ジアミン化合物は、単独で用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。また、本発明の目的を逸脱しない範囲であれば、これらの中に副生成物としてトリアミン以上のポリアミン化合物が含まれていても、実用上問題はない。
本発明の熱硬化性樹脂は、特に耐熱性に優れ、電気特性が良好で、脆性が大きく改善された特性を有するが、その他、耐水性、耐薬品性、機械強度、信頼性、等に優れ、硬化時における揮発性副生成物やコストの面でも問題がなく、また保存性に優れており、分子設計の自由度が広い等の様々な利点を有する樹脂であり、フィルムやシート等にも容易に加工することができる。
本発明のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂は、以下に詳述するベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂の製造方法により得られる熱硬化性樹脂である。
本発明のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂は、a)下記式(III)で示される化合物、b)ジアミン化合物、及びc)アルデヒド化合物、を加熱して反応させるベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂の製造方法により得られる熱硬化性樹脂である。
式(III):
Figure 2009008468
[式(III)中、Xは分子量又はGPCで測定したポリスチレン換算数平均分子量が5,000以下であるジオール化合物の残基である。]
本発明のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂は、b)ジアミン化合物が、芳香族ジアミン化合物又は脂環式ジアミン化合物である製造方法により得られるベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂であることが好ましい。
本発明のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂は、芳香族ジアミン化合物が、下記式(II)で示される化合物である製造方法により得られるベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂であることが好ましい。
式(II):
Figure 2009008468
〔式(II)中、Rは活性水素を有さない炭素数1から6の有機基であり、前記有機基は、酸素原子、窒素原子を含んでいてもよい。mは0から4の整数を示す。zは直接結合か、または下記群Aより選択される少なくとも一種である。〕
群A:
Figure 2009008468
本発明のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂は、ジアミン化合物が、下記群Bより選択される飽和橋かけ環式ジアミン化合物である製造方法により得られるベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂であることが好ましい。
群B:
Figure 2009008468
本発明のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂は、c)アルデヒド化合物が、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド又はブチルアルデヒドである製造方法により得られるベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂であることが好ましい。
本発明において、c)アルデヒド化合物がホルムアルデヒドである場合が好ましく、特に、c)アルデヒド化合物として、パラホルムアルデヒドを用いる製造方法により得られるジベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂が好ましい。
本発明のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂は、下記式(I’)で示される構造を有し、
式(I’):
Figure 2009008468
[式(I)中、Xは分子量又はGPCで測定したポリスチレン換算数平均分子量が5,000以下であるジオール化合物の残基である。Yはジアミン化合物の残基である。nは2〜200の整数である。]
Cが、下記群Cより選択される基であり、
群C:
Figure 2009008468
Dが、下記群Dより選択される基であるベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂であることが好ましい。
群D:
Figure 2009008468
本発明における下記製造方法において、単官能フェノール化合物や二官能フェノール化合物等の他のフェノール化合物、単官能アミン化合物や三官能以上の多官能アミン化合物、また他のジアミン化合物などを用いて製造した場合には、前記式(I’)におけるC及びDが、これら化合物の残基であってもよい。
〔ベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂の製造方法〕
本発明のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂の製造方法は、a)下記式(III)で示される化合物、b)ジアミン化合物、及びc)アルデヒド化合物、を加熱して反応させることを特徴とする。そして、本発明の製造方法により、ベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂を得ることができる。得られたベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂は、耐熱性に優れ、電気特性が良好で、脆性が大きく改善されたものである。
式(III):
Figure 2009008468
[式(III)中、Xは分子量又はGPCで測定したポリスチレン換算数平均分子量が5,000以下であるジオール化合物の残基である。]
本発明のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂の製造方法において、a)成分の式(III)で示される化合物は、p−ヒドロキシ安息香酸とジオール化合物とのエステル化反応により、下記スキームに従って製造することができる。
Figure 2009008468
[上記スキームにおいて、Xは分子量又はGPCで測定したポリスチレン換算数平均分子量が5,000以下であるジオール化合物の残基である。]
a)成分の前記式(III)で示される化合物を製造する際に、ジオール化合物は、単独で用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。ジオール化合物はアルコール性水酸基を2つもつ化合物であるが、本発明の目的を逸脱しない範囲であれば、3つ以上のアルコール性水酸基を有する化合物が含まれていてもよい。
エステル化反応は、p−ヒドロキシ安息香酸と前記ジオール化合物とを、例えば酸触媒の存在下で加熱して行うことができ、エステル化反応を行うことで、前記式(III)で示される化合物を得ることができる。
エステル化反応を行うに際しては、エステル化反応において不活性な溶媒を用い、反応液を不活性な溶媒で希釈して反応を行ってもよい。特にp−ヒドロキシ安息香酸がジオール化合物に溶解しないあるいは部分的に溶解しない場合には、反応を円滑に進行させるために不活性な溶媒を用いることが好ましい。不活性な溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒等が挙げられる。
エステル化反応において生成する水を反応系から除去して反応を進めることも好ましい。水を除去するためには、トルエン、キシレン等の水と共沸する溶媒を用いて行ってもよいし、減圧下で反応を行って水を除去してもよい。
エステル化反応の触媒としては、塩酸、硫酸等の無機酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の有機スルホン酸類、活性白土、酸性白土、酸性イオン交換樹脂等の固体酸、チタンアルコキシド等が使用できる。触媒の量は、触媒の種類にもよるが、p−ヒドロキシ安息香酸と対応するアルコールの合計量に対して0.01〜30質量%程度が一般的である。触媒量がこれよりも少ないと反応の進行が遅すぎ、また多いと経済的に不利であり、触媒除去も困難となる。
a)成分の前記式(III)で示される化合物は、公知のエステル化方法を利用して製造することができ、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸エステルとジオール化合物とのエステル交換反応によって製造してもよい。
本発明のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂の製造方法において、a)成分の前記式(III)で示される化合物は、単独で用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂の製造方法において、b)成分のジアミン化合物は、上述したとおり、アミノ基を2つ有する化合物であれば、特に限定はされない。
本発明のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂の製造方法において、ジアミン化合物は、単独で用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。また、本発明の目的を逸脱しない範囲であれば、これらの中に副生成物としてトリアミン以上のポリアミン化合物が含まれていても、実用上問題はない。
本発明のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂の製造方法において、c)成分のアルデヒド化合物としては、特に限定されるものではないが、具体例として、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド及びブチルアルデヒド等が挙げられ、ホルムアルデヒドが好ましい。ホルムアルデヒドとしては、その重合体であるパラホルムアルデヒドや、水溶液の形であるホルマリン等の形態で使用することができ、反応の進行が穏やかであることから、パラホルムアルデヒドを使用することが好ましい。
本発明のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂の製造方法において、本発明の目的を逸脱しない範囲で、前述したa)〜c)成分とともに、d)成分として、単官能フェノール化合物や二官能フェノール化合物等の他のフェノール化合物をさらに使用することができる。
このようなd)成分のフェノール化合物の具体例としては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、p−t−ブチルフェノール、p−t−オクチルフェノール、p−α−クミルフェノール、p−フェニルフェノール、p−シクロヘキシルフェノール、p−ドデシルフェノール、p−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシル等の単官能フェノール化合物や、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、2,2’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、2,2’−ジヒドロキシジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]ビスフェノール(三井化学製「ビスフェノールP」、東京化成では「α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン」の化合物名で販売)、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]ビスフェノール(三井化学製「ビスフェノールM」)、等の二官能フェノール化合物が挙げられる。これら単官能フェノール化合物及び二官能フェノール化合物は、使用に際して一種又は二種以上を用いることができる。
本発明のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂の製造方法に用いられる溶媒は、特に限定されるものではないが、原料の溶解性が良好なものの方がベンゾキサジン環の形成反応が進行しやすい。このような溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒、THF、ジオキサン等のエーテル系溶媒等が挙げられる。これらのうち、環境及び人体への負荷が小さく、かつ、汎用性が高く安価であるため、トルエン、キシレンが好ましく、トルエンがより好ましい。
前記溶媒にアルコールを添加してベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂を製造することにより、各成分の前記溶媒への溶解性を調整することもできる。添加するアルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール等が挙げられる。
ベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂を製造する際の反応温度、反応時間について、特に限定はされないが、通常、室温から160℃程度の温度で数十分から数時間反応させればよい。本発明においては、特に30〜140℃で、20分〜9時間反応させれば、本発明のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂としての機能を発現し得る重合体へと反応は進行するため好ましい。
本発明のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂の製造方法において、反応時に生成する水を系外に取り除くのも反応を進行させる有効な手法である。
反応終了後に、反応溶液を乾燥することにより重合体を得ることができるが、反応溶液を濃縮することにより、重合体を析出させることもできる。また、反応後の溶液に、例えば多量のメタノール等の貧溶媒を加えることで重合体を析出させることができ、これを分離、乾燥することにより目的の重合体を得ることもできる。
本発明のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂の特性を損なわない範囲で、単官能アミン化合物や三官能以上の多官能アミン化合物、また他のジアミン化合物を使用することもできる。単官能アミンを使用すると重合度を調節することができ、三官能以上の多官能アミンを使用すると、分岐のある重合体が得られることになる。また他のジアミン化合物の併用により、物性を調整することができる。これらは本発明に必須のジアミン化合物と同時に使用することも可能であるが、反応の順序を考慮して後で反応系に添加して反応させることもできる。
〔熱硬化性組成物〕
本発明の熱硬化性組成物は、前述したベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂を少なくとも含むものである。本発明の熱硬化性組成物は、前記ベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂を好ましくは主成分として含むものであり、例えば、主成分として前記ベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂を含み、且つ副成分として、他の熱硬化性樹脂を含む組成物が挙げられる。
副成分としての他の熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ系樹脂、熱硬化型変性ポリフェニレンエーテル樹脂、熱硬化型ポリイミド樹脂、ケイ素樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アリル樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビスマレイミド系樹脂、アルキド樹脂、フラン樹脂、ポリウレタン樹脂、アニリン樹脂等が挙げられる。これらのなかでは、この組成物から形成される成形体の耐熱性をより向上させ得る観点から、エポキシ系樹脂、フェノール樹脂、熱硬化型ポリイミド樹脂がより好ましい。これらの他の熱硬化性樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
本発明の熱硬化性組成物には、分子内に少なくとも1つ、好ましくは分子内に2つのベンゾキサジン環を有する化合物を副成分として用いてもよい。このような化合物は、分子内にフェノール性水酸基を有し、且つそのオルト位の一つがHであるような化合物と、分子内に1級アミノ基を有する化合物とホルムアルデヒドとの縮合反応により得ることができる。このとき、フェノール性水酸基を分子内に複数有する化合物を用いる場合には、1級アミノ基を分子内に一つのみ有する化合物を使用し、1級アミノ基を分子内に複数有する化合物を使用する場合には、フェノール性水酸基を分子内に一つのみ有する化合物を使用する。この分子内に少なくとも1つのベンゾキサジン環を有する化合物は、1種のみを用いてもよく、2種以上が併用されてもよい。
分子内に少なくとも1つのベンゾキサジン環を有する化合物の具体例としては、限定されるものではないが、下記式(1)から下記式(3)のような化合物が挙げられる。
式(1):
Figure 2009008468
式(2)
Figure 2009008468
式(3)
Figure 2009008468
本発明の熱硬化性組成物は、必要に応じて、難燃剤、造核剤、酸化防止剤(老化防止剤)、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、難燃助剤、帯電防止剤、防曇剤、充填剤、軟化剤、可塑剤、着色剤等の各種添加剤を含有していてもよい。これらはそれぞれ単独で用いられてもよく、2種以上が併用して用いられてもよい。また、本発明の熱硬化性組成物を調製する際に、反応性あるいは非反応性の溶剤を使用することもできる。
〔成形体、硬化体、硬化成形体〕
本発明の成形体は、前述したベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂、又はそれを含む熱硬化性組成物を、必要により部分硬化させて、若しくは硬化させずに得られる成形体である。本発明の成形体としては、前述したベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂が硬化前にも成形性を有しているため、いったん硬化前に成形した後に熱をかけて硬化させたもの(硬化成形体)でも、成形と同時に硬化させたもの(硬化体)でもよい。また、その寸法や形状は特に制限されず、例えば、シート状(板状)、ブロック状等が挙げられ、さらに他の部位(例えば粘着層)を備えていてもよい。
本発明における硬化方法としては、従来公知の任意の硬化方法を用いることができ、一般には120〜260℃程度で数時間加熱すればよいが、加熱温度がより低かったり、加熱時間が不足したりすると、場合によっては、硬化が不十分となって機械的強度が不足することがある。また、加熱温度がより高すぎたり、加熱時間が長すぎたりすると、場合によっては、分解等の副反応が生じて機械的強度が不都合に低下することがある。よって、本発明のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂及び該熱硬化性樹脂を含む熱硬化性組成物の特性に応じた適正な条件を選択することが好ましい。
硬化温度として、加圧加熱蒸気を使って硬化させることを想定した場合、及び電熱線等その他の方法による加熱硬化を想定した場合には、省エネルギーの観点から見て、硬化可能で、且つ低い温度であることが好ましく、190℃以下で硬化されることが好ましく、185℃以下で硬化されることがより好ましい。硬化の完了の面から考えると硬化時間の下限は10分以上、好ましくは15分以上、より好ましくは30分が好適である。生産性の面から考えると硬化時間の上限は10時間以内、好ましくは5時間以内、より好ましくは3時間以内である。
実際の硬化成形体の製造プロセスに使用される硬化温度・時間において、架橋その他の硬化反応が十分に進んでしまうこと、反応率が60%以上、好ましくは80%以上、が、経年変化、経時変化、プロセス適性、耐サーマルショック性の面で有利となる。
反応率とは、本発明のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂について、未硬化の状態および上記実際の製造プロセス条件で硬化させた状態のものについて、それぞれDSC測定を行った場合に、硬化反応に伴い確認される発熱ピークの面積の割合より求めることができる。発熱ピークは240℃付近の発熱であり、発熱ピークの面積は、約213℃から約281℃の範囲をベースラインとして求める。
すなわち未硬化の状態のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂をDSC測定装置でほぼ完全に硬化させた発熱ピーク面積をpとする。実際の製造プロセス条件で硬化させたベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂をDSC測定装置で発熱ピーク面積を測定し、この時の発熱ピーク面積をqとする。反応率を(p−q)/p×100(%)とする。このときのDSC測定は、一般的には10℃/分程度の昇温速度で23℃〜300℃の範囲で行い、実際の製造プロセスの雰囲気を想定し、窒素あるいはアルゴン等の不活性ガス下もしくは空気下で行うことができる。
本発明において、硬化を行う際に、適宜の硬化促進剤を添加してもよい。硬化促進剤としては、ベンゾキサジン化合物を開環重合する際に一般的に使用されている任意の硬化促進剤を使用でき、例えば、カテコール、ビスフェノールA等の多官能フェノール類、p−トルエンスルホン酸、p−フェノールスルホン酸等のスルホン酸類、安息香酸、サリチル酸、シュウ酸、アジピン酸等のカルボン酸類、コバルト(II)アセチルアセトネート、アルミニウム(III)アセチルアセトネート、ジルコニウム(IV)アセチルアセトネート等の金属錯体、酸化カルシウム、酸化コバルト、酸化マグネシウム、酸化鉄等の金属酸化物、水酸化カルシウム、イミダゾール及びその誘導体、ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロノネン等の第三級アミン及びこれらの塩、トリフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン・ベンゾキノン誘導体、トリフェニルホスフィン・トリフェニルボロン塩、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート等のリン系化合物及びその誘導体が挙げられる。硬化促進剤は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
硬化促進剤の添加量は特に限定されないが、添加量が過多となると、成形体の誘電率や誘電正接が上昇して誘電特性が悪化したり、機械的物性に悪影響を及ぼしたりする場合があるので、一般に、前記熱硬化性樹脂100質量部に対し硬化促進剤を20質量部以下、好ましくは15質量部以下、より好ましくは10質量部以下の割合で用いる。
本発明の成形体は、構造中にベンゾキサジン構造を有するので、優れた誘電特性を実現することができる。
本発明の成形体は、前記ベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂または前記熱硬化性組成物の有する熱硬化性という性質に基づいて信頼性、難燃性、成形性、美観性等に優れており、しかもガラス転移温度(Tg)が高いので、応力がかかる部位や可動部にも適用することが可能であり、且つ重合時に揮発性の副生成物を発生しないので、そのような揮発性の副生成物が成形体中に残存せず衛生管理上も好ましい。
〔電子機器〕
本発明の電子機器は、前記ベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂、前記熱硬化性組成物、前記成形体、前記硬化体、前記硬化成形体の何れか一つを含む。該成形体等は、電子部品・電子機器及びその材料として、特に優れた誘電特性が要求される多層基板、積層板、封止剤、接着剤等の用途に好適に用いることができる。
本発明において、電子機器としては、具体的には、携帯電話、表示機器、車載機器、コンピュータ、通信機器等が挙げられる。
本発明の成形体等は、航空機部材、自動車部材、建築部材等の用途にも使用することができる。また、導電材料、特に金属フィラーの耐熱性結着剤として利用して、直流又は交流の電流を流すことができる回路を形成する用途に用いてもよい。
以下に本発明における代表的な実施例を示すが、本発明はこれによって何ら限定されるものではない。なお、本発明において用いられる測定方法及び評価方法は以下のとおりである。
1H−NMR測定〕
JEOL製NMR測定装置「ECX−400」により測定した。
〔GPC測定〕
島津製高速液体クロマトグラフシステムを使用し、THFを展開媒として、カラム温度40℃、流速1.0ml/分で測定を行った。検出器として「RID−10A」を用い、カラムはShodex製「KF−804L」(排除限界分子量400,000)を2本直列につないで使用した。標準ポリスチレンとして、東ソー製「TSKスタンダードポリスチレン」を用い、重量平均分子量Mw=354,000、189,000、98,900、37,200、17,100、9,830、5,870、2,500、1,050、500のものを使用して較正曲線を作成し、分子量の計算を行った。
[DSC測定]
島津製作所製、「DSC−60」を用い、アルゴン雰囲気下、昇温速度10℃/分で測定した。硬化反応に基づく発熱ピークの熱量を、TA−60WS付属のアプリケーションソフト「TA−60」を用いて解析し、J/gで算出した。
[脆性評価]
脆性を屈曲性を指標に評価した。
各実施例で得られたシートを、幅25mm、長さ100mmに裁断した。正三角形の頂点に相当する頂角が60度となる2つの平面を持つ治具に得られたシートを軽く押しつけても割れないものを、「可とう性を有する」と評価した。シートを完全に180度折り曲げて、割れないものを「非常に屈曲性に優れる」と評価した。
〔合成例1〕
式(III)の化合物の合成(Xはヘキサメチレン基、−(CH26−)
撹拌幾、冷却管、窒素導入管を備えたセパラブルフラスコ中で、1,6−ヘキサンジオール(和光純薬製)19.30g(0.163mol)、p−ヒドロキシ安息香酸(上野製薬製)45.11g(0.327mol)、p−トルエンスルホン酸1水和物(和光純薬製)0.59g、ジエチレングリコールジメチルエーテル50ml、キシレン10mlを混合した。セパラブルフラスコを180℃のオイルバスにつけ、窒素ガスを導入しながら5時間反応させた。その後、系内を弱減圧にして溶媒を少しずつ除去しながら反応を進め、4時間をかけてほぼ揮発分を取り去った。フラスコ内には薄茶色の固体が析出していた。
析出した固体を破砕してイソプロパノールとテトラヒドロフランの混合溶媒に溶解させ、多量の蒸留水中に投じることで触媒の除去を行い、生成物を沈殿させた。その後、ろ過することにより粗製物を単離した。もう一度、この混合溶媒への溶解、沈殿、ろ過の操作を繰り返した後、100℃の真空オーブン中で8時間乾燥し、薄茶色の粉末51.51gを得た。
上記粉末の1H−NMR測定(重アセトン)において、エステル結合の生成によるケミカルシフト4.3ppm付近のCOO−C 2−CH2のピーク、またケミカルシフト6.9ppm付近および7.9ppm付近にヒドロキシ安息香酸のベンゼン環のプロトンのピーク、さらにケミカルシフト9.1ppm付近にフェノールOHのピークが見られたこと、及びGPC測定の結果より、目的の式(III)の化合物(Xはヘキサメチレン基、−(CH26−)であることを確認した。
〔実施例1〕
合成例1の式(III)の化合物21.50g、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]ビスアニリン(三井化学製「ビスアニリンM」)20.67g、パラホルムアルデヒド(三菱ガス化学製、91.6%)8.26g、キシレン58.3ml、1−ブタノール11.7mlを混合し、発生する水分を除去しながら還流下で4時間反応させることにより、琥珀色の透明粘調液91.92g(固形分濃度46.3%)を得た。この溶液を少量サンプリングしてGPC測定を行い、分子量を評価したところ、数平均分子量Mn=4,100、重量平均分子量Mw=24,100であった。Mwより算出した式(I)のnの平均値は、32.1となった。さらに、上記溶液の一部を、多量のメタノールに投じて生成物を析出させた。その後、ろ過により生成物を分離し、メタノールで洗浄した。洗浄した生成物を真空オーブン中で真空乾燥することにより、淡黄色の樹脂粉末を得た。得られた樹脂のH−NMR測定(CDCl)を行うことにより、ケミカルシフト4.6ppm付近および5.4ppm付近にベンゾキサジン環の生成に伴うピークが見られたことから、目的の熱硬化性樹脂であることを確認した。
〔実施例2〕
実施例1で得られた熱硬化性樹脂溶液をトルエンで希釈して固形分濃度40%の塗工液を調整し、アプリケータを用いてPETフィルム上にキャストし、乾燥させて成形体を得た。これを180℃で3時間熱処理して硬化させることにより、70μmtのシート状の硬化成形体を得た。得られた硬化成形体は濃橙色透明で均一なものであり、非常に屈曲性に優れるものであった。
得られたシートについて、誘電率測定装置(ヒューレットパッカード社製、商品名「8510C」)を用いて空洞共振法により、23℃、5.8GHzにおける誘電率及び誘電正接を測定した。実施例2の硬化成形体は、誘電率、誘電正接ともに良好な特性を示した。
得られたシートについて、島津製作所製、商品名「DTG−60」を用いてTGA法により、10℃/minの昇温速度でアルゴン雰囲気下での5%重量減少温度(Td5)を評価した。実施例2の硬化成形体はTd5が350℃と良好な値を示した。測定結果を表1に示す。
実施例1の熱硬化性樹脂の硬化反応に伴う発熱ピークは106.7J/gであり、実施例2で得られたシート状の硬化成形体の残存発熱ピークは14.5J/gであった。したがって、180℃で3時間熱処理を行うことにより、熱硬化性樹脂中の86.4%のベンゾキサジン環が重合して硬化していることが確認された。
〔合成例2〕
式(III)の化合物の合成(Xはノナメチレン基、−(CH29−)
撹拌幾、冷却管、窒素導入管を備えたセパラブルフラスコ中で、1,9−ノナンジオール(クラレ製)40.00g(0.25mol)、p−ヒドロキシ安息香酸(上野製薬製)68.95g(0.50mol)、p−トルエンスルホン酸1水和物(和光純薬製)1.00g、メチルイソブチルケトン200mlを混合した。セパラブルフラスコを180℃のオイルバスにつけ、窒素ガスを導入しながら4時間反応させた。その後、系内を弱減圧にして溶媒を少しずつ除去しながら反応を進め、約4時間をかけてほぼ揮発分を取り去った。反応液を放冷させて薄茶色の粘調物を得た。
粘稠物をテトラヒドロフランに溶解させ、多量の蒸留水中に投じることで触媒の除去を行い、生成物を液状物として水層と分離させた。デカンテーション及び分液ロートを用いた分液操作により、水層を分離して溶媒を含む粗製物を単離した。もう一度、テトラヒドロフランへの溶解及び蒸留水中での析出の操作を繰り返した後、70℃の真空オーブン中で乾燥し、薄茶色の粘調物を得た。
上記粘調物の1H−NMR測定(重アセトン)において、エステル結合の生成によるケミカルシフト4.3ppm付近のCOO−C 2−CH2のピーク、またケミカルシフト6.9ppm付近および7.9ppm付近にヒドロキシ安息香酸エステルのベンゼン環のプロトンのピーク、さらにケミカルシフト9.1ppm付近にフェノールOHのピークが見られたこと、及びGPC測定の結果より、目的の式(III)の化合物(Xはノナメチレン基、−(CH29−)であることを確認した。
〔実施例3〕
合成例2の式(III)の化合物24.03g、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]ビスアニリン(三井化学製「ビスアニリンM」)20.67g、パラホルムアルデヒド(三菱ガス化学製、91.6%)8.26g、トルエン120mlを混合し、発生する水分を共沸により除去しながら、還流下で2時間反応させた。この溶液を、多量のメタノールに投じて生成物を析出させた。その後、ろ過により生成物を分離し、メタノールで洗浄した。洗浄した生成物を真空オーブン中で真空乾燥することにより、淡黄色の樹脂粉末41.74gを得た。得られた樹脂を重クロロホルム中で1H−NMR測定を行うことにより、ケミカルシフト4.6ppm付近および5.4ppm付近にベンゾキサジン環の生成に伴うピークが見られたことから、目的の熱硬化性樹脂であることを確認した。またGPC測定を行い、分子量を評価したところ、数平均分子量Mn=4,900、重量平均分子量Mw=16,300であった。Mwより算出した式(I)のnの平均値は、20.6となった。
〔実施例4〕
実施例3で得られた熱硬化性樹脂について、実施例2と同様にしてシート状の硬化成形体を得た。得られたシートは橙色透明で均一なものであり、非常に屈曲性に優れるものであった。
得られたシートについて、誘電率測定装置(ヒューレットパッカード社製、商品名「8510C」)を用いて空洞共振法により、23℃、5.8GHzにおける誘電率及び誘電正接を測定した。実施例4の硬化成形体は、誘電率、誘電正接ともに良好な特性を示した。
得られたシートについて、島津製作所製、商品名「DTG−60」を用いてTGA法により、10℃/minの昇温速度でアルゴン雰囲気下での5%重量減少温度(Td5)を測定した。実施例4の硬化成形体はTd5が350℃と良好な値を示した。測定結果を表1に示す。
〔合成例3〕
式(III)の化合物の合成(Xはドデカメチレン基、−(CH212−)
合成例2において、1,9−ノナンジオールの代わりに、1,12−ドデカンジオール(宇部興産製)50.59g(0.25mol)を用いた以外は合成例2と同様にして行い、薄茶色の固形物を得た。
上記粘調物の1H−NMR測定(重アセトン)において、エステル結合の生成によるケミカルシフト4.3ppm付近のCOO−C 2−CH2のピーク、またケミカルシフト6.9ppm付近および7.9ppm付近にヒドロキシ安息香酸エステルのベンゼン環のプロトンのピーク、さらにケミカルシフト9.1ppm付近にフェノールOHのピークが見られたこと、及びGPC測定の結果より、目的の式(III)の化合物(Xはドデカメチレン基、−(CH212−)であることを確認した。
〔実施例5〕
実施例3において、合成例2の式(III)の化合物の代わりに、合成例3の式(III)の化合物26.55gを用いた以外は、実施例3と同様にして熱硬化性樹脂を合成した。得られた樹脂は淡黄色の粉末であった。
得られた樹脂を重クロロホルム中で1H−NMR測定を行うことにより、ケミカルシフト4.6ppm付近および5.4ppm付近にベンゾキサジン環の生成に伴うピークが見られたことから、目的の熱硬化性樹脂であることを確認した。また、GPC測定を行い、分子量を評価したところ、数平均分子量Mn=4,400、重量平均分子量Mw=11,000であった。Mwより算出した式(I)のnの平均値は、13.2となった。
〔実施例6〕
実施例5で得られた熱硬化性樹脂について、実施例2と同様にしてシート状の硬化成形体を得た。得られたシートは橙色透明で均一なものであり、非常に屈曲性に優れるものであった。
得られたシートについて、誘電率測定装置(ヒューレットパッカード社製、商品名「8510C」)を用いて空洞共振法により、23℃、5.8GHzにおける誘電率及び誘電正接を測定した。実施例6の硬化成形体は、誘電率、誘電正接ともに良好な特性を示した。
得られたシートについて、島津製作所製、商品名「DTG−60」を用いてTGA法により、10℃/minの昇温速度でアルゴン雰囲気下での5%重量減少温度(Td5)を測定した。実施例6の硬化成形体は、Td5が352℃と良好な値を示した。測定結果を表1に示す。
〔実施例7〕
実施例3において、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]ビスアニリンの代わりに、3(4),8(9)−ビス(アミノメチル)トリシクロ[5,2,1,02,6]デカン(セラニーズ製「TCDジアミン」)11.66g(0.06mol)を用いた以外は、実施例3と同様にして熱硬化性樹脂を合成した。得られた樹脂は淡黄色の粉末であった。
得られた樹脂を重クロロホルム中で1H−NMR測定を行うことにより、ケミカルシフト4.0ppm付近および4.9ppm付近にベンゾキサジン環の生成に伴うピークが見られたことから、目的の熱硬化性樹脂であることを確認した。また、GPC測定を行い、分子量を評価したところ、数平均分子量Mn=2,700、重量平均分子量Mw=6,700であった。Mwより算出した式(I)のnの平均値は、10.4となった。
〔実施例8〕
実施例7で得られた熱硬化性樹脂について、実施例2と同様にしてシート状の硬化成形体を得た。得られたシートは黄色透明で均一なものであり、非常に屈曲性に優れるものであった。
得られたシートについて、23℃、5.8GHzにおける誘電率及び誘電正接を測定した。実施例8の硬化成形体は、誘電率、誘電正接ともに良好な特性を示した。
得られたシートについて、島津製作所製、商品名「DTG−60」を用いてTGA法により、10℃/minの昇温速度で空気雰囲気下での5%重量減少温度(Td5)を測定した。実施例8の硬化成形体は、Td5が325℃と良好な値を示した。測定結果を表1に示す。
〔合成例4〕
式(III)の化合物の合成(Xは水添ポリブタジエン基)
撹拌幾、冷却管、水分分離器、窒素導入管を備えたセパラブルフラスコ中で、末端ヒドロキシ化液状ブタジエンオリゴマーの水素添加物(日本曹達製「NISSO−PB GI−1000」)32.44g(水酸基価69.2[KOHmg/g]、GPCによる単分散標準ポリスチレン換算の数平均分子量Mn=2,380)、p−ヒドロキシ安息香酸(上野製薬製)6.62g(0.048mol)、p−トルエンスルホン酸1水和物(和光純薬製)1.0g、ジエチレングリコールジメチルエーテル100ml、トルエン100mlを混合し均一な溶液とした。セパラブルフラスコを180℃のオイルバスにつけ、窒素ガスを導入しながら4時間反応させた。反応中生成してくる水分を共沸により除去した。その後、系内を弱減圧にして溶媒を少しずつ除去しながら反応を進め、ほぼ揮発分を取り去ることにより、琥珀色の粘調な液体が得られた。
粘稠な液体を150mlのトルエンで希釈して蒸留水で3回洗浄し、水相を分離した後、減圧下でトルエンを留去して、琥珀色の透明粘調液状物を得た。
上記液状物についてGPC測定を行ったところ、数平均分子量Mn=2,460であった。また、上記液状物についてGPC測定を行ったところ、数平均分子量Mn=2,460であった。また、上記液状物の1H−NMR測定(重クロロホルム)において、エステル結合の生成によるケミカルシフト4.2〜4.4ppmにCOO−C 2−Rのピーク、またケミカルシフト6.9ppm付近および7.9ppm付近にヒドロキシ安息香酸エステルのベンゼン環のプロトンのピークが見られたことより、目的の式(III)の化合物(Xは水添ポリブタジエン基)であることを確認した。
〔実施例9〕
ガラス容器中で、合成例4の式(III)の化合物11.19g、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]ビスアニリン(三井化学製「ビスアニリンM」)2.07g(0.006mol)、パラホルムアルデヒド(三菱ガス化学製、91.6%)0.83g、トルエン10ml、イソブタノール0.5mlを混合し、150℃のホットプレート上で加熱し、発生する水分を共沸により除去しながら、4時間反応させることにより、粘調な橙色透明溶液を得た。この溶液の一部を40℃で真空乾燥することにより、淡黄色ゴム状樹脂を得た。得られた樹脂を重クロロホルム中で1H−NMR測定を行うことにより、ケミカルシフト4.6ppm付近および5.4ppm付近にベンゾキサジン環の生成に伴うピークが見られたことから、目的の熱硬化性樹脂であることを確認した。また、GPC測定を行い、分子量を評価したところ、数平均分子量Mn=4,800、重量平均分子量Mw=20,100であった。
〔実施例10〕
実施例9で得られた熱硬化性樹脂の溶液について、実施例2と同様にしてシート状の硬化成形体を得た。得られたシートは橙色透明で均一なものであり、非常に屈曲性に優れるものであった。
得られたシートについて、誘電率測定装置(ヒューレットパッカード社製、商品名「8510C」)を用いて空洞共振法により、23℃、5.8GHzにおける誘電率及び誘電正接を測定した。実施例10の硬化成形体は、誘電率、誘電正接ともに良好な特性を示した。
得られたシートについて、SII製、商品名「TG/DTA6200」を用いてTGA法により、10℃/minの昇温速度でヘリウム雰囲気下での5%重量減少温度(Td5)を測定した。実施例10の硬化成形体はTd5が365℃と良好な値を示した。測定結果を表1に示す。
〔合成例5〕
式(III)の化合物の合成(Xはポリカーボネート基)
撹拌幾、冷却管、水分分離器、窒素導入管を備えたセパラブルフラスコ中で、ポリカーボネートジオール(クラレ製「クラレポリオールC−590」)100g(水酸基価229.1[KOHmg/g]、OH価から計算される分子量490)、p−ヒドロキシ安息香酸(上野製薬製)59.2g(0.43mol)、p−トルエンスルホン酸1水和物(和光純薬製)2.0g、キシレン100mlを混合し均一な溶液とした。系内を窒素置換した後、180℃のオイルバスで加熱撹拌しながら3時間反応させた。反応中生成してくる水分を共沸により除去した。その後、系内を弱減圧にして溶媒を少しずつ除去しながら反応を進め、ほぼ揮発分を取り去ることにより、琥珀色の粘調な液体が得られた。
粘稠な液体を100mlのトルエンで希釈して蒸留水で数回洗浄し、水相を分離した後、減圧下でトルエンを留去して、琥珀色の透明粘調液状物を得た。
上記液状物の一部を重クロロホルムに溶解させて1H−NMRスペクトルを測定することにより、エステル結合の生成によるケミカルシフト4.2〜4.4ppmのCOO−C 2−Rのピーク、またケミカルシフト6.9ppm付近および7.9ppm付近にヒドロキシ安息香酸エステルのベンゼン環のプロトンのピークが見られたことから、目的の式(III)の化合物(Xはポリカーボネート基)であることを確認した。
〔実施例11〕
ガラス容器中で、合成例5の式(III)の化合物2.92g、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン(東京化成製、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]ビスアニリンと同一の化合物)1.38g(0.004mol)、パラホルムアルデヒド(三菱ガス化学製、91.6%)0.55g、トルエン5ml、イソブタノール1mlを混合し、150℃のホットプレート上で加熱し、発生する水分を共沸により除去しながら、8時間反応させることにより、粘調な橙色透明溶液を得た。この溶液の一部を真空乾燥することにより、淡橙色樹脂を得た。得られた樹脂を重クロロホルム中で1H−NMR測定を行うことにより、ケミカルシフト4.6ppm付近および5.4ppm付近にベンゾキサジン環の生成に伴うピークが見られたことから、目的の熱硬化性樹脂であることを確認した。またGPC測定を行い、分子量を評価したところ、数平均分子量Mn=3,800、重量平均分子量Mw=11,500であった。
〔実施例12〕
実施例11で得られた熱硬化性樹脂の溶液をトルエンで希釈し粘度を調整した後、剥離処理が施されたPETフィルム上に塗工し、80℃で30分間乾燥させた。さらに180℃で2時間熱処理することにより80μmtのシート状の硬化成形体を得た。得られたシートは濃橙色透明で均一なものであり、非常に屈曲性に優れるものであった。
得られたシートについて、誘電率測定装置(AGILENT社製、商品名「RFインピーダンス/マテリアル アナライザ E4991A」)を用いて容量法により、1GHzにおける誘電率及び誘電正接を測定した。実施例12の硬化成形体は誘電率2.8、誘電正接0.004と良好な特性を示した。
得られた硬化成形体について、SII製、商品名「TG/DTA6200」を用いてTGA法により、10℃/minの昇温速度でヘリウム雰囲気下での5%重量減少温度(Td5)を測定した。実施例12の硬化成形体はTd5が317℃と比較的良好な値を示した。測定結果を表2に示す。
〔合成例6〕
式(III)の化合物の合成(Xは―CH2CH2OC64C(CH3264OCH2CH2−)
撹拌幾、冷却管、水分分離器、窒素導入管を備えたセパラブルフラスコ中で、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物(日本乳化剤製「BA−2グリコール」)50.0g(水酸基価345[KOHmg/g])、p−ヒドロキシ安息香酸(上野製薬製)43.7g(0.32mol)、p−トルエンスルホン酸1水和物(和光純薬製)1.0g、ジエチレングリコールジメチルエーテル80ml、トルエン80mlを混合し均一な溶液とした。系内を窒素置換した後、150℃のオイルバスで加熱撹拌しながら1時間反応させた。反応中生成してくる水分を共沸により除去しながら、さらに190℃まで段階的に昇温して反応させることにより、赤紫色の溶液を得た。
この溶液から溶媒を減圧下で留去した後、内容物をクロロホルムに溶解させた。少量の不溶物をろ過により除去した後、イオン交換水で洗浄し無水硫酸ナトリウムで脱水した。さらに減圧下でクロロホルムを留去し、薄紫色の個体を得た。
上記固体の一部を重クロロホルムに溶解させて1H−NMRスペクトルを測定することにより、エステル結合の生成によるケミカルシフト4.3ppm付近のCOO−C 2−CH2のピーク、またケミカルシフト6.8ppm付近および7.9ppm付近にヒドロキシ安息香酸エステルのベンゼン環のプロトンのピークが見られたことから、目的の式(III)の化合物(Xは2,2−ビス[4−(2−エトキシ)フェニル]プロパン基、―CH2CH2OC64C(CH3264OCH2CH2−)であることを確認した。
〔実施例13〕
ガラス容器中で、合成例6の式(III)の化合物2.23g、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン(セントラル硝子製)2.07g(0.004mol)、パラホルムアルデヒド(三菱ガス化学製、91.6%)0.55g、トルエン8ml、イソブタノール2mlを混合し、150℃のホットプレート上で加熱し、発生する水分を共沸により除去しながら、8時間反応させることにより、粘調な黄色透明溶液を得た。この溶液の一部を真空乾燥することにより、淡黄色樹脂を得た。得られた樹脂を重クロロホルム中で1H−NMR測定を行うことにより、ケミカルシフト4.6ppm付近および5.4ppm付近にベンゾキサジン環の生成に伴うピークが見られたことから、目的の熱硬化性樹脂であることを確認した。またGPC測定を行い、分子量を評価したところ、数平均分子量Mn=2,300、重量平均分子量Mw=4,700であった。
〔実施例14〕
実施例13で得られた熱硬化性樹脂の溶液を、剥離処理が施されたPETフィルム上に塗工し、80℃で30分間乾燥させた。さらに180℃で2時間熱処理することにより100μmtのシート状の硬化成形体を得た。得られたシートは濃橙色透明で均一なものであり、可とう性を有するものであった。
得られたシートについて、実施例12と同様の方法で、1GHzにおける誘電率及び誘電正接を測定した。実施例14の硬化成形体は誘電率2.5、誘電正接0.008と良好な特性を示した。得られた硬化成形体について、実施例12と同様の方法で、5%重量減少温度(Td5)を測定した。実施例14の硬化成形体はTd5が344℃と良好な値を示した。測定結果を表2に示す。
〔合成例7〕
式(III)の化合物の合成(Xは水添ポリブタジエン基)
撹拌幾、冷却管、水分分離器、窒素導入管を備えたセパラブルフラスコ中で、合成例4で用いたものと同じ末端ヒドロキシ化液状ブタジエンオリゴマーの水素添加物612g、p−ヒドロキシ安息香酸(上野製薬製)111g(0.80mol)、活性白土(和光純薬製)63g、キシレン1100mlを混合した。系内を窒素置換した後、180℃のオイルバスで加熱し、撹拌しながら10時間反応させた。反応中生成してくる水分を共沸により除去した。
反応終了後の溶液を放冷した後トルエン900mlで希釈し、活性白土をろ別することにより微黄色の溶液を得た。さらに減圧下でトルエンを留去し、微黄色の透明粘調液状物を得た。
上記液状物の一部を重クロロホルムに溶解させて1H−NMRスペクトルを測定することにより、エステル結合の生成によるケミカルシフト4.2〜4.4ppmのCOO−C 2−Rのピーク、またケミカルシフト6.9ppm付近および7.9ppm付近にヒドロキシ安息香酸エステルのベンゼン環のプロトンのピークが見られたことから、目的の式(III)の化合物(Xは水添ポリブタジエン基)であることを確認した。
〔実施例15〕
ガラス容器中で、合成例7の式(III)の化合物7.46g、4,4’−ジアミノジフェニルメタン(和光純薬製)0.79g(0.004mol)、パラホルムアルデヒド(三菱ガス化学製、91.6%)0.55g、トルエン8ml、イソブタノール2mlを混合し、140℃のホットプレート上で加熱し、発生する水分を共沸により除去しながら、8時間反応させることにより、粘調な黄色透明溶液を得た。この溶液の一部をとり、減圧下で溶媒を留去し乾燥させることにより、ゴム状樹脂を得た。得られた樹脂を重クロロホルム中で1H−NMR測定を行うことにより、ケミカルシフト4.6ppm付近および5.4ppm付近にベンゾオキサジン環の生成に伴うピークが見られたことから、目的の熱硬化性樹脂であることを確認した。また、GPC測定を行い、分子量を評価したところ、数平均分子量Mn=4,500、重量平均分子量Mw=10,800であった。
〔実施例16〕
実施例15で得られた熱硬化性樹脂の溶液を剥離処理が施されたPETフィルム上に塗工し、80℃で30分間乾燥させた。さらに180℃で2時間熱処理することにより110μmtのシート状の硬化成形体を得た。得られたシートは濃橙色透明で均一なものであり、非常に屈曲性に優れるものであった。
得られたシートについて、実施例12と同様の方法で、1GHzにおける誘電率及び誘電正接を測定した。実施例16の硬化成形体は誘電率2.2、誘電正接0.001と非常に良好な特性を示した。
得られたシートについて、実施例12と同様の方法で、5%重量減少温度(Td5)を測定した。実施例16の硬化成形体はTd5が380℃と良好な値を示した。測定結果を表1に示す。
〔実施例17〕
実施例15において、4,4’−ジアミノジフェニルメタンを4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン(和光純薬製)0.91g(0.004mol)に変更した以外は実施例15と同様にして反応させることにより、粘調な赤色透明溶液を得た。この溶液の一部をとり、減圧下で溶媒を留去し乾燥させることにより、ゴム状樹脂を得た。得られた樹脂を重クロロホルム中で1H−NMR測定を行うことにより、ケミカルシフト4.4ppm付近および5.2ppm付近にベンゾキサジン環の生成に伴うピークが見られたことから、目的の熱硬化性樹脂であることを確認した。またGPC測定を行い、分子量を評価したところ、数平均分子量Mn=5,500、重量平均分子量Mw=12,400であった。
〔実施例18〕
実施例17で得られた熱硬化性樹脂の溶液を剥離処理が施されたPETフィルム上に塗工し、80℃で30分間乾燥させた。さらに180℃で2時間熱処理することにより100μmtのシート状の硬化成形体を得た。得られた硬化体は濃橙色透明で均一なものであり、非常に屈曲性に優れるものであった。
得られた成形体について、実施例12と同様の方法で、1GHzにおける誘電率及び誘電正接を測定した。実施例18の硬化成形体は誘電率2.2、誘電正接0.001と非常に良好な特性を示した。
また得られた硬化成形体について、実施例12と同様の方法で、5%重量減少温度(Td5)を測定した。実施例18の硬化成形体はTd5が380℃と良好な値を示した。測定結果を表2に示す。
〔実施例19〕
実施例15において、4,4’−ジアミノジフェニルメタンを2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(和歌山精化製)1.64g(0.004mol)に変更した以外は実施例15と同様にして反応させることにより、粘調な黄色透明溶液を得た。この溶液の一部をとり、減圧下で溶媒を留去し乾燥させることにより、ゴム状樹脂を得た。得られた樹脂を重クロロホルム中で1H−NMR測定を行うことにより、ケミカルシフト4.6ppm付近および5.4ppm付近にベンゾキサジン環の生成に伴うピークが見られたことから、目的の熱硬化性樹脂であることを確認した。またGPC測定を行い、分子量を評価したところ、数平均分子量Mn=4,400、重量平均分子量Mw=9,600であった。
〔実施例20〕
実施例19で得られた熱硬化性樹脂の溶液を剥離処理が施されたPETフィルム上に塗工し、80℃で30分間乾燥させた。さらに180℃で2時間熱処理することにより110μmtのシート状の硬化成形体を得た。得られた硬化体は濃橙色透明で均一なものであり、非常に屈曲性に優れるものであった。
得られたシートについて、実施例12と同様の方法で、1GHzにおける誘電率及び誘電正接を測定した。実施例20の硬化成形体は誘電率2.2、誘電正接0.001と非常に良好な特性を示した。
また得られたシートについて、実施例12と同様の方法で、5%重量減少温度(Td5)を評価した。実施例20の硬化成形体はTd5が386℃と良好な値を示した。測定結果を表2に示す。
Figure 2009008468
Figure 2009008468
例えば、メモリや論理プロセッサ等のICのパッケージを構成する多層基板の樹脂材料に対しては、環境温度23℃での100MHz、1GHz、2.4GHz及び5.8GHzにおける特性として、誘電率が3.5以下、並びに、同条件での誘電体損失がその指標である誘電正接の値で0.015以下であることが要求されている。
本発明における実施例のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂は、いずれも優れた誘電特性を有する。
本発明は、耐熱性に優れ、電気特性が良好で、脆性が大きく改善された熱硬化性樹脂及びその製造方法を提供する。熱硬化性樹脂含む組成物、その成形体、硬化体、硬化成形体、並びにそれらを含む電子機器として、産業上の利用可能性を有する。

Claims (12)

  1. 下記式(I)で示されるベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂。
    式(I):
    Figure 2009008468
    [式(I)中、Xは分子量又はGPCで測定したポリスチレン換算数平均分子量が5,000以下であるジオール化合物の残基である。Yはジアミン化合物の残基である。nは2〜200の整数である。]
  2. 前記Yが芳香族ジアミン化合物又は脂環式ジアミン化合物の残基である、請求項1に記載のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂。
  3. 前記Yが下記式(II)で示される芳香族ジアミン化合物の残基である、請求項1又は2に記載のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂。
    式(II):
    Figure 2009008468
    〔式(II)中、Rは活性水素を有さない炭素数1から6の有機基であり、前記有機基は、酸素原子、窒素原子を含んでいてもよい。mは0から4の整数を示す。zは直接結合か、または下記群Aより選択される少なくとも一種の基である。〕
    群A:
    Figure 2009008468
  4. 前記Yが下記群Bより選択される飽和橋かけ環式ジアミン化合物の残基である、請求項1又は2に記載のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂。
    群B:
    Figure 2009008468
  5. a)下記式(III)で示される化合物と、b)ジアミン化合物と、及びc)アルデヒド化合物と、を加熱して反応させることにより製造されるベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂。
    式(III):
    Figure 2009008468
    [式(III)中、Xは分子量又はGPCで測定したポリスチレン換算数平均分子量が5,000以下であるジオール化合物の残基である。]
  6. a)下記式(III)で示される化合物と、b)ジアミン化合物と、及びc)アルデヒド化合物と、を加熱して反応させるベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂の製造方法。
    式(III):
    Figure 2009008468
    [式(III)中、Xは分子量又はGPCで測定したポリスチレン換算数平均分子量が5,000以下であるジオール化合物の残基である。]
  7. 請求項1から5のいずれか1項に記載のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂又は請求項6に記載の製造方法により製造されるベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂を少なくとも含む熱硬化性組成物。
  8. 分子内に少なくとも一つのベンゾキサジン構造を有する化合物をさらに含む、請求項7に記載の熱硬化性組成物。
  9. 請求項1から5のいずれか1項に記載のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂、請求項6に記載の製造方法により製造されるベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂、又は請求項7若しくは8に記載の熱硬化性組成物から得られる成形体。
  10. 請求項1から5のいずれか1項に記載のベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂、請求項6に記載の製造方法により製造されるベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂、又は請求項7若しくは8に記載の熱硬化性組成物から得られる硬化体。
  11. 請求項9に記載の成形体を硬化させて得られる硬化成形体。
  12. 請求項9に記載の成形体、請求項10に記載の硬化体、又は請求項11に記載の硬化成形体を含む電子機器。
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