JP2011074288A - 熱硬化性樹脂、及びそれを含む熱硬化性樹脂組成物、並びにそれらから得られる成形体、硬化体 - Google Patents

熱硬化性樹脂、及びそれを含む熱硬化性樹脂組成物、並びにそれらから得られる成形体、硬化体 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた寸法安定性と、優れた耐熱性とを兼ね備えた熱硬化性樹脂、及びそれを含む熱硬化性樹脂組成物、並びにそれらから得られる成形体、硬化体を提供すること。
【解決手段】下記一般式(I)で表されるジヒドロベンゾオキサジン環構造を主鎖中に有
する熱硬化性樹脂。
【化1】

〔一般式(I)において、Ar1は4価の芳香族基を示し、R1は一般式(II)の構造で表される基であり、nは2〜500の整数を示す。〕
【選択図】なし

Description

本発明は、優れた耐熱性と、優れた寸法安定性とを兼ね備えた熱硬化性樹脂、及びそれらを含む熱硬化性樹脂組成物、並びにそれらから得られる成形体、硬化体に関する。
従来から、寸法安定性、耐熱性等に優れた種々の樹脂が開発され、提案されている。その一つにベンゾオキサジン化合物が挙げられる。ベンゾオキサジン化合物は、ベンゾオキサジン環が開環重合反応し、問題となる揮発成分の発生を伴わずに熱硬化するという特長を有する。
近年、電子機器類を構成する材料としてさらなる寸法安定性、高耐熱性が求められている。特許文献1には、エポキシ樹脂において、その寸法安定性、耐熱性を向上させる方法として、下記の化学式で表される芳香族ジアミンを硬化剤として添加する方法が開示されている。
特開2007−99956号公報
特許文献1に開示されているエポキシ樹脂と芳香族アミン系硬化剤を主に含む硬化体の寸法安定性や耐熱性は、上記式で表された芳香族ジアミンを硬化剤として添加することで、従来のものよりも向上している。しかしながら、最近の、更なる電子機器、部品の高性能化に応じてより高い性能が望まれている。
上記事情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、優れた寸法安定性と、優れた耐熱性とを兼ね備えた熱硬化性樹脂、及びそれを含む熱硬化性樹脂組成物、並びにそれらから得られる成形体、硬化体を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、上記式で表された芳香族ジアミンと同様の芳香族エステル構造を有するジアミンをベンゾオキサジン化合物の骨格に取り込んだ、新規な構造を有するジヒドロベンゾオキサジン化合物からなる熱硬化性樹脂が、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は以下の通りである。
[1]
下記一般式(I)で表されるジヒドロベンゾオキサジン環構造を主鎖中に有する熱硬化
性樹脂。
〔一般式(I)において、Ar1は4価の芳香族基を示し、R1は下記一般式(II)の構造で表される基であり、nは2〜500の整数を示す。〕
〔一般式(II)において、mは0〜1の整数を示し、*印は前記一般式(I)におけるNへの結合部位を示す。〕
[2]
前記Ar1が下記一般式(III)、(IV)、及び(V)からなる群から選択される構造で表される基である、上記[1]記載の熱硬化性樹脂。
〔一般式(III)〜(V)において、*印は前記一般式(I)における酸素原子への結合部位を示し、**印はジヒドロベンゾオキサジン環4位のメチレン基への結合部分を示す。一般式(III)において、Xは、直接結合手(原子又は原子団が存在しない)、−O−、−S−、−SO−若しくは−SO2−を示すか、又はヘテロ原子若しくは官能基を含んでもよい炭素数1〜138の直鎖状又は分岐の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基又は芳香族基を示す。
ここで、前記一般式(III)〜(V)中の芳香環に結合する水素原子は、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、置換又は無置換フェニル基、及びその他の有機基からなる群から選択される基で置換されていてもよい。〕
[3]
前記Ar1が前記一般式(III)の構造で表される基である、上記[2]記載の熱硬化性樹脂。
[4]
前記Xが下記一般式(VII)の構造で表される基である、上記[2]又は[3]記載の熱硬化性樹脂。
〔一般式(VII)において、*印は前記一般式(III)における芳香環への結合部位を示す。〕
[5]
前記一般式(II)のmが0である、上記[1]記載の熱硬化性樹脂。
[6]
上記[1]〜[5]のいずれか記載の熱硬化性樹脂を10〜90重量%含む熱硬化性樹脂組成物。
[7]
上記[1]〜[5]のいずれか記載の熱硬化性樹脂又は上記[6]記載の熱硬化性樹脂組成物より得られる成形体。
[8]
上記[1]〜[5]のいずれか記載の熱硬化性樹脂、上記[6]記載の熱硬化性樹脂組成物又は上記[7]記載の成形体を硬化させて得られる硬化体。
[9]
下記一般式(I)で表されるジヒドロベンゾオキサジン環構造を主鎖中に有する重合体。
〔一般式(I)において、Ar1は4価の芳香族基を示し、R1は下記一般式(II)の構造で表される基であり、nは2〜500の整数を示す。〕
〔一般式(II)において、mは0〜1の整数を示し、*印は前記一般式(I)におけるNへの結合部位を示す。〕
本発明によれば、優れた耐熱性と、優れた寸法安定性とを兼ね備えた熱硬化性樹脂、及びそれを含む熱硬化性樹脂組成物、並びにそれらから得られる成形体、硬化体を提供することができる。
実施例1において得られた化合物の1H−NMRスペクトルを示す。
次に、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」とも称する。)について説明する。以下の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな形態で実施することができる。
〔熱硬化性樹脂〕
本実施形態の熱硬化性樹脂は、下記一般式(I)で表されるジヒドロベンゾオキサジン環構造を主鎖中に有する。
〔一般式(I)において、Ar1は4価の芳香族基を示し、R1は下記一般式(II)の構造で表される基であり、nは2〜500の整数を示す。〕
〔一般式(II)において、mは0〜1の整数を示し、*印は前記一般式(I)におけるNへの結合部位を示す。〕
本実施形態の熱硬化性樹脂は、前記一般式(I)で表される新規なジヒドロベンゾオキサジン環構造を有し、中でも、溶媒への溶解性が良好となる傾向にあるため、前記一般式(II)で表されるR1の構造におけるmが0のものが好ましい。
本実施形態の熱硬化性樹脂は、前記一般式(I)で表されるジヒドロベンゾオキサジン環構造を主鎖中に有する重合体からなり、フィルムやシート等への加工性に優れ、硬化前にも十分な成形性を有する。また、本実施形態の熱硬化性樹脂は、そのジヒドロベンゾオキサジン環の開環重合反応により、有害な揮発物質の発生を伴わずに硬化させることが可能である。
本実施形態において、Ar1は4価の芳香族基を示す。4価の芳香族基としては、炭素数6〜150の4価の芳香族基であることが好ましく、下記(III)、(IV)、及び(V)からなる群から選択される構造で表される基であることがより好ましい。
〔一般式(III)〜(V)において、*印は前記一般式(I)における酸素原子への結合部位を示し、**印はジヒドロベンゾオキサジン環4位のメチレン基への結合部分を示す。一般式(III)において、Xは直接結合手(原子又は原子団が存在しない)、−O−、−S−、−SO−若しくはSO2−を示すか、又はヘテロ原子若しくは官能基を含んでもよい炭素数が1〜138の直鎖状又は分岐の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基又は芳香族基を示す。
ここで、前記一般式(III)〜(V)中の芳香環に結合する水素原子は、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、置換又は無置換フェニル基、及びその他の有機基からなる群から選択される基で置換されていてもよい。〕
前記一般式(III)〜(V)における炭素数1〜10の直鎖状又は分岐の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、置換又は無置換フェニル基としては、炭素数1〜10の飽和又は不飽和の、直鎖又は分岐のアルキル、アルケニル及びアルキニル、炭素数3〜10のシクロアルキル、並びに置換又は無置換のフェニル等から選択される基が挙げられ、具体例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロへキシル、フェニル等から選択される基が挙げられる。
前記一般式(III)〜(V)におけるその他の有機基の置換基としては、フッ素原子、酸素原子及び/又は窒素原子を含んでもよく、そのような有機基としては、例えば、炭素数1〜10の飽和又は不飽和の、直鎖又は分岐のアルキルオキシ、ジアルキルアミノ、アルキルオキシカルボニル、アルケニルオキシ、ジアルケニルアミノ、アルキニルオキシ、ジアルキニルアミノ、アルキルオキシアルキル、及びジアルキルアミノアルキル等から選択される基、並びに有機基の水素原子がフッ素原子で置換された基が挙げられる。具体例としては、メチルオキシ、エチルオキシ、ヘキシルオキシ、デシルオキシ、メチルオキシカルボニル、エチルオキシカルボニル、プロピルオキシカルボニル、ジメチルアミノ及びジエチルアミノ等から選択される基が挙げられる。
前記一般式(III)におけるXとしては、直接結合手(原子もしくは原子団が存在しない)、−O−、−S−、−SO−若しくは−SO2−を示すか、ヘテロ原子若しくは官能基を含んでいてもよい炭素数1〜138の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基又は芳香族基等が挙げられる。
前記炭素数1〜138の脂肪族炭化水素基としては、飽和又は不飽和の、直鎖又は分岐のアルカン、アルケン又はアルキン構造を有する基等が挙げられる。
前記脂環式炭化水素基としては、シクロアルカン構造を有する基等が挙げられる。
脂肪族炭化水素基は、酸素原子、窒素原子等の炭素原子以外のヘテロ原子を1つ以上含んでいてもよく、また、エステル結合、エーテル結合、アミド結合、カルボネート結合、カルバメート結合等の、炭素原子と酸素原子又は窒素原子等の炭素原子以外の原子とで形成される種々の結合を1つ以上含んでいてもよい。また、ポリブタジエン等の1種以上の単量体化合物が重合したポリマー構造であってもよい。
脂肪族炭化水素基に含まれる官能基としては、アルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン基、アルキルアミノ基等が挙げられる。
前記芳香族基としては、分子内に置換基を有する若しくは無置換のベンゼン環、ナフタレン環等のアリール環構造を有する基、又は分子内に置換基を有する若しくは無置換のヘテロアリール環構造を有する基等が挙げられる。前記アリール環又はヘテロアリール環は、直接結合又は脂肪族炭化水素基を介して結合している構造であってもよい。
前記一般式(I)において、Ar1が前記一般式(III)の構造で表される基である場合、要求特性に応じた樹脂の構造設計が容易となる傾向にあるため好ましい。中でも、Xが下記一般式(VI)の構造で表される基である場合、耐熱性、機械特性により優れる傾向にあるため好ましい。また、Xが下記一般式(VII)の構造で表される基である場合、耐熱性、機械特性により優れる傾向にあるためより好ましい。
〔一般式(VI)及び(VII)において、*印は前記一般式(III)における芳香環への結合部位を示す。〕
前記一般式(I)におけるnは、重合体の重合度(モノマー構成単位の付加モル数)を表し、2〜500の整数を示す。nとしては、成形時の流動性の観点から、2〜100であることが好ましい。
本実施形態の熱硬化性樹脂を構成する前記一般式(I)で表される重合体の合成方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェノール化合物、ジアミン化合物及びアルデヒド化合物を適当な溶媒中で加熱して反応させる合成方法が一例として挙げられる。
前記一般式(I)で表される重合体の合成方法に用いられるフェノール化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、分子内に2個のフェノール性水酸基を有する二官能フェノール化合物等が挙げられる。二官能フェノール化合物としては、好ましくは、前記一般式(I)におけるAr1の好ましい形態として示された一般式(III)〜(V)で表される構造において、*印にOH基が結合し、**印に水素原子が結合した化合物が挙げられる。
二官能フェノール化合物としては、一般式(III)で表される構造を有する化合物として、連結部Xを除いて、分子内にベンゼン環を二つ有し、ベンゼン環一つに対してOH基が一つ結合している化合物が挙げられる。具体的には、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、2,2’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、2,2’−ジヒドロキシジフェニルメタン、ビスフェノールA、ビスフェノールS、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]ビスフェノール(例えば、三井化学社製 ビスフェノールP、東京化成社製 「α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン」の化合物名で販売されているもの)、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]ビスフェノール(例えば、三井化学社製 ビスフェノールM等)、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、2,6−ビス((2−ヒドロキシフェニル)メチル)フェノール等が挙げられる。
二官能フェノール化合物としては、一般式(IV)で表される構造を有する化合物として、分子内に一つのナフタレン環を有し、ナフタレン環に対して二つのOH基が結合した化合物が挙げられる。具体的には、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン等が挙げられる。
二官能フェノール化合物としては、一般式(V)で表される構造を有する化合物として、分子内に一つのベンゼン環を有し、ベンゼン環に対してOH基が二つ結合した化合物が挙げられる。具体的には、1,2−ジヒドロキシベンゼン(カテコール)、1,3−ジヒドロキシベンゼン(レゾルシノール)、1,4−ジヒドロキシベンゼン(ヒドロキノン)等が挙げられる。
上記フェノール化合物の具体例としては、フェノール性OH基の結合している芳香環において、OH基と連結部X(一般式(III)で表される構造の場合)以外は無置換の化合物を例示として挙げているが、いずれもOH基のオルト位のいずれか一つが置換可能な水素原子であれば、それ以外の芳香環上の部位は、種々の置換基(例えば、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐の脂肪族炭化水素基や脂環式炭化水素基、置換又は無置換の芳香族基等)で置換されていてもよい。さらに、一般式(III)で表される構造において、連結部Xに芳香環を含む場合においても、この芳香環は種々の置換基(例えば、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐の脂肪族炭化水素基や脂環式炭化水素基等)で置換されていてもよい。
フェノール化合物として、芳香環が置換されているものの具体例としては、一般式(III)で表される構造を有する化合物として、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン等が挙げられ、一般式(V)で表される構造を有する化合物として、2−メチルレゾルシノール、2,5−ジメチルレゾルシノール等が挙げられる。なお、芳香環上に置換基を有するフェノール化合物としては、上記具体例として例示した化合物に限定されるものではない。
前記一般式(I)で表される重合体の合成に際しては、本実施形態の熱硬化性樹脂の特性を損なわない範囲で、二官能フェノール化合物に加え、フェノール化合物として、単官能フェノール化合物や三官能フェノール化合物を使用することもできる。単官能フェノールを使用することで重合体の重合度を調節することができ、三官能フェノールを使用することで分岐のある重合体を得ることができる。
単官能フェノール化合物の具体例としては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−イソプロピルフェノール、m−イソプロピルフェノール、p−イソプロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−α−クミルフェノール、p−シクロヘキシルフェノール、o−メトキシフェノール、m−メトキシフェノール、p−メトキシフェノール、p−ヘキシルオキシフェノール、p−デシルオキシフェノール、p−ジメチルアミノフェノール、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、p−フェニルフェノール、p−イソプロペニルフェノール等が挙げられる。
三官能フェノール化合物の具体例としては、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、4,4',4''−(エタン−1,1,1−トリイル)トリフェノール等が挙げられる。
単官能フェノール化合物及び/又は三官能フェノール化合物は、二官能フェノール化合物と同時に反応させてもよいし、反応の順序を考慮して、二官能フェノール化合物を用いて重合を開始した後で、単官能フェノール化合物及び/又は三官能フェノール化合物を反応系に添加して反応させてもよい。
単官能フェノール化合物と三官能フェノール化合物を、この順番又は逆の順番で段階的に添加して反応させてもよい。
前記一般式(I)で表される化合物の合成方法に用いられるジアミン化合物としては、下記一般式(VIII)で示される化合物、すなわち4−アミノフェニル−4−アミノベンゾエートや、下記式(IX)で示される化合物、すなわちビス(4−アミノフェニル)テレフタレート等が挙げられる。
4−アミノフェニル4−アミノベンゾエートの合成法としては、例えば、p−ニトロフェノールと4−ニトロベンゾイルクロリドとの縮合反応によりエステル基を有するジニトロ化合物を合成した後、ニトロ基を還元することにより得ることができる。ビス(4−アミノフェニル)テレフタレートの合成法としては、例えば、p−ニトロフェノールとテレフタロイルクロリドとの縮合反応によりエステル基を二つ有するジニトロ化合物を合成した後、ニトロ基を還元することにより得ることができる。
前記一般式(VIII)及び(IX)で表される芳香族ジアミン化合物は、非常に剛直であるために、得られる樹脂の機械特性が向上する傾向にある。また前記一般式(VIII)及び(IX)のジアミン化合物は直線に近い構造を有しており、芳香族ジアミン同士がスタックすることにより、得られる樹脂の耐熱性や機械特性が向上する傾向にある。
また、前記一般式(I)で表される重合体の合成方法に用いられるアルデヒド化合物としては、特に限定されるものではないが、反応性の観点からホルムアルデヒドが好ましいホルムアルデヒドとしては、その重合体であるパラホルムアルデヒドや、水溶液の形であるホルマリン等の形態で使用することが可能である。
前記一般式(I)で表される重合体の合成方法に用いられる溶媒は、特に限定されるものではないが、原料のフェノール化合物やジアミン化合物の溶解性が良好なものが好ましい。そのような溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、クロロホルム等のハロゲン系溶媒、THF、ジオキサン等のエーテル系溶媒、γ−ブチロラクトン、γ−カプロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル又はラクトン系溶媒が挙げられる。
反応温度、反応時間についても特に制限されないが、通常、40〜150℃程度の温度で数十分から数時間反応させればよい。本実施形態においては、特に50〜140℃で、20分〜9時間反応させることにより、本実施形態の熱硬化性樹脂としての性能を発現し得る重合体へと反応が良好に進行するために好ましい。反応溶液温度が40℃以上であると、ジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂の合成反応が促進することにより、合成効率が上昇する傾向にある。また、反応溶液温度が150℃以下であると、反応溶液のゲル化を抑制することができ、ジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂の不溶化が防止される傾向にある。
本実施形態においては、90〜140℃で、2〜9時間反応を進行させることがより好ましい。
本実施形態においては、反応時に生成する水を系外に取り除くことも反応を良好に進行させる有効な手法である。この場合、トルエン等の水と共沸する溶媒を用いることにより、反応時に生成する水を反応系外に取り除くことができる。
本実施形態においては、反応後の溶液に、例えば、多量のメタノールや水等の貧溶媒を加えることで一般式(I)で表される重合体を析出させることができ、析出した一般式(I)で表される重合体を分離、乾燥することにより目的の重合体が得られる。また、反応溶液を濃縮、固化させることによっても、一般式(I)で表される重合体を得ることができる。
溶媒の量についても特に制限されないが、ジアミン化合物のモル濃度が0.01〜5.0Mとなるような量であることが好ましい。本実施形態においては、ジアミン化合物のモル濃度が0.1〜3.0Mであることがより好ましい。ジアミン化合物のモル濃度が0.01M以上であると、ジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂の合成反応速度を促進させることができ、合成効率が上昇する傾向にある。ジアミン化合物のモル濃度が5.0M以下であると、ジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂の合成反応時に、反応溶液のゲル化が抑制できる傾向にある。
二官能フェノール化合物、ジアミン化合物、アルデヒド化合物の混合比についても特に制限されないが、ジアミン化合物を1モルとした場合に、二官能フェノール化合物は0.7〜2.0モル、アルデヒド化合物は4.0〜7.0モルの割合で反応させればよい。本実施形態においては、ジアミン化合物を1モルとした場合に、二官能フェノール化合物は0.8〜1.5モル、アルデヒド化合物は4.0〜5.5モルの割合で反応させることがより好ましい。
[熱硬化性樹脂組成物]
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、前記熱硬化性樹脂を少なくとも含むものである。本実施形態の熱硬化性樹脂組成物においては、前記熱硬化性樹脂を主成分として含むことが好ましく、副成分として、他の熱硬化性樹脂を含んでもよい。ここで、「主成分として含む」とは、熱硬化性樹脂組成物中における熱硬化性樹脂の割合が、好ましくは10〜90重量%、より好ましくは50〜90重量%であることを言う。
他の熱硬化性樹脂の具体例としては、例えば、エポキシ樹脂、熱硬化型変性ポリフェニレンエーテル樹脂、熱硬化型ポリイミド樹脂、ケイ素樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アリル樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、アルキド樹脂、フラン樹脂、ポリウレタン樹脂、アニリン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、本実施形態における熱硬化性樹脂組成物から形成される成形体及び硬化体の耐熱性をより向上させ得る観点から、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、熱硬化型ポリイミド樹脂が好ましく、さらに成形体及ぶ硬化体の柔軟性をより向上させ得る観点から、エポキシ樹脂がより好ましい。これらの他の熱硬化性樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
前記エポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、置換ビスフェノールA型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールビフェニレン型エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂等のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート等の環式脂肪族エポキシ樹脂;アジピン酸ジグリシジルエステル型、フタル酸ジグリシジルエステル型等のグリシジルエステル型エポキシ樹脂;ジグリシジルアニリン型、アミノフェノール型、脂肪族アミン型、ヒダントイン型等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;ヒドロキシ安息香酸型エステル型、α―メチルスチルベン型等の液晶エポキシ樹脂;感光性、分解性等の機能を有するエポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート、チイラン変性エポキシ樹脂等が挙げられる。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物には、前記エポキシ樹脂に加え、さらに必要に応じて、脂肪族ポリアミン、脂環式ポリアミン、芳香族ポリアミン等のポリアミン系硬化剤;ポリアミノアミド、アミン−エポキシアダクト、マイケル付加ポリアミン、マンニッヒ反応物、尿素又はチオ尿素との反応物、ケチミン、シッフ塩基等の変性ポリアミン系硬化剤;イミダゾール類、2−フェニルイミダゾリン、三級アミン(DBU等)、トリフェニルホスフィン、ホスホニウム塩、有機酸ヒドラジン等の塩基性硬化剤;無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等の酸無水物系硬化剤;フェノールノボラック、キシリレンノボラック、ビフェニルノボラック、ジシクロペンタジエンフェノールノボラック等のポリフェノール型硬化剤等を配合してもよい。
本実施形態において、前記一般式(I)で表されるジヒドロベンゾオキサジン環構造を有する熱硬化性樹脂と、他の熱硬化性樹脂との配合比としては、ジヒドロベンゾオキサジン環構造を有する熱硬化性樹脂を50重量%以上含有することが好ましい。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物には、前記一般式(I)で示されるジヒドロベンゾオキサジン環を有する重合体以外に、分子内に少なくとも1つのジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物を副成分として用いてもよい。この分子内に少なくとも1つのジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。分子内に少なくとも1つのジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物としては、例えば、3−フェニル−3,4−ジヒドロ−2H−1,3−ベンゾオキサジン、6,6’−(1−メチルエチリデン)ビス[3,4−ジヒドロ−3−フェニル−2H−1,3−ベンゾオキサジン](例えば、小西化学工業社製 製品名「BA−BXZ」)、3,3’−(メチレンジ−4,1−フェニレン)ビス[3,4−ジヒドロ−2H−1,3−ベンゾオキサジン](例えば、小西化学工業社製 商品名「BF−BXF」)等が挙げられる。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、難燃剤、造核剤、酸化防止剤(老化防止剤)、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、難燃助剤、帯電防止剤、防曇剤、充填剤、軟化剤、可塑剤、着色剤、離型剤、シランカップリング剤等の公知の各種添加剤を含有していてもよい。これらはそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、必要に応じて層状珪酸塩(クレー)等の成形助剤を添加してもよい。成形助剤の配合量は、熱硬化性樹脂の全重量を100重量部としたときに、5重量部以下であることが好ましい。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、必要に応じて無機充填剤を添加してもよい。無機充填剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、チタン酸カリウム、炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミ、窒化ホウ素、ベリリア、ジルコニア、ジルコン、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア等の粉体、又はこれらを球形化したビーズ、ガラス繊維等が挙げられる。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物を製造する際には、反応性又は非反応性の溶剤を使用することもできる。
[成形体]
本実施形態の成形体は、前記熱硬化性樹脂又は前記熱硬化性樹脂組成物を成形して得られる。前記熱硬化性樹脂及び前記熱硬化性樹脂組成物は硬化前にも成形性を有しており、その成形体の寸法や形状は特に制限されず、シート状(板状)、ブロック状等が挙げられる。
[硬化体]
本実施形態の硬化体は、前記熱硬化性樹脂、熱硬化性樹脂組成物又は成形体を硬化させて得られる。硬化体の寸法や形状は特に制限されず、例えばシート状(板状)、ブロック状等が挙げられ、さらに他の部位(例えば粘着層)を備えていてもよい。
硬化方法としては、従来公知の任意の硬化方法を用いることができ、一般には120〜260℃程度で数時間加熱すればよいが、用いる熱硬化性化合物の種類に応じて適正な条件を選択することが好ましい。
また、硬化を行う際には、硬化促進剤を適宜添加してもよい。硬化促進剤としては、ジヒドロベンゾオキサジン化合物を開環重合する際に一般的に使用されている任意の硬化促進剤を使用することができる。
硬化促進剤の具体例としては、カテコール、ビスフェノールA、ジヒドロキシベンゾフェノン等の多官能フェノール類、p−トルエンスルホン酸、p−フェノールスルホン酸等のスルホン酸類、安息香酸、サリチル酸、シュウ酸、アジピン酸等のカルボン酸類、コバルト(II)アセチルアセトネート、アルミニウム(III)アセチルアセトネート、ジルコニウム(IV)アセチルアセトネート等の金属錯体、酸化カルシウム、酸化コバルト、酸化マグネシウム、酸化鉄等の金属酸化物、水酸化カルシウム、イミダゾール及びその誘導体、ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロノネン等の第三級アミン及びこれらの塩、トリフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン・ベンゾキノン誘導体、トリフェニルホスフィン・トリフェニルボロン塩、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート等のリン系化合物及びその誘導体が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
硬化促進剤の添加量は特に限定されないが、添加量が多すぎると、成形体及び硬化体の誘電率や誘電正接が上昇して誘電特性が悪化したり、機械的物性に悪影響を及ぼすことがあるので、通常、前記熱硬化性樹脂に対して硬化促進剤を、好ましくは20重量%以下、より好ましくは15重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下の割合で用いる。
[電子機器]
本実施形態の硬化体及び成形体は、電子部品・機器及びその材料、プリプレグ、積層板、プリント基板、フレキシブルプリント基板、多層基板、封止剤、接着剤等の用途に好適に用いることができ、また、その他、航空機部材、自動車部材、建築部材等の用途にも使用することができる。本実施形態において、上記のプリプレグ、積層板、プリント基板、フレキシブルプリント基板、多層基板、封止剤、接着剤等は公知の方法によって製造することが可能である。
以下に本実施形態における代表的な実施例を示すが、本実施形態はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
[実施例1]
[ジヒドロベンゾオキサジン環構造を主鎖中に有する熱硬化性樹脂の製造]
γ−ブチロラクトン(和光純薬工業社製)20mL、4−アミノフェニル−4−アミノベンゾエート(日本純良薬品社製)2.28g(0.010mol)、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン(和光純薬工業社製)2.35g(0.011mol)をガラス瓶中で混合し、100℃のホットスターラー上で1時間加熱攪拌した。そこに、パラホルムアルデヒド(三菱ガス化学社製、91.6%)1.32g(0.044mol)を加え、ホットスターラーの温度を150℃にしてさらに4時間反応させた。
この反応液を冷却後、150mLのメタノールに投じて反応物を析出させ、ろ別により化合物を分離した。その後、減圧乾燥により目的化合物を得た。
得られた化合物のゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定により得られた重量平均分子量(Mw)は約19000であった。
また、得られた化合物は、1H−NMRスペクトルにより同定を行った。結果を図1に示す。
[実施例2]
[熱硬化性樹脂組成物からなる硬化体の作製]
ガラス容器中で、ジメチルホルムアミド4.0gに、実施例1で作製した熱硬化性樹脂を2.5g溶解させ、橙色の粘調液を得た。
この粘調液を、PETフィルム上にアプリケータを用いて塗工し、80℃で10分、100℃で10分、150℃で10分、180℃で30分、190℃で90分間それぞれ保持し、オーブン中で熱硬化した。
上記熱硬化により、フィルム状の硬化物が得られた。この硬化物は黄色透明であり、厚さは45μmであった。
[比較例1]
453重量部のビスフェノールA型エポキシ樹脂「エピクロン850−S」(大日本インキ化学工業社製、エポキシ当量188)、247重量部の「BAPP」(2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、和歌山精化工業社製)、968重量部のシロキサン変性ポリアミドイミド樹脂「KS9100」(日立化成工業社製、樹脂固形分31重量%)、0.7重量部の2−エチル−4メチルイミダゾールからなる混合物を調製し樹脂固形分60重量%の樹脂ワニスを調整した。
[比較例2]
494重量部のビスフェノールA型エポキシ樹脂「エピクロン850−S」(大日本インキ化学工業社製、エポキシ当量188)、206重量部の「CUA−4」(トリメチレンビス(4−アミノベンゾエート)イハラケミカル社製)、968重量部のシロキサン変性ポリアミドイミド樹脂「KS9100」(日立化成工業社製、樹脂固形分31重量%)、0.7重量部の2−エチル−4メチルイミダゾールからなる混合物を調製し、樹脂固形分60重量%の樹脂ワニスを調整した。
[比較例3]
453重量部のビスフェノールA型エポキシ樹脂「エピクロン850−S」(大日本インキ化学工業社製、エポキシ当量188)、247重量部の「BAPP」(2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、和歌山精化工業社製)、1000重量部のポリアミドイミド樹脂「バイロマックスHR12N2」(東洋紡社製、樹脂固形分30重量%)、0.7重量部の2−エチル−4メチルイミダゾールからなる混合物を調製し、樹脂固形分60重量%の樹脂ワニスを調整した。
[比較例4]
494重量部のビスフェノールA型エポキシ樹脂「エピクロン850−S」(大日本インキ化学工業社製、エポキシ当量188)、206重量部の「CUA−4」(トリメチレンビス(4−アミノベンゾエート)イハラケミカル社製)、1000重量部のポリアミドイミド樹脂「バイロマックスHR12N2」(東洋紡社製、樹脂固形分30重量%)、0.7重量部の2−エチル−4メチルイミダゾールからなる混合物を調製し、樹脂固形分60重量%の樹脂ワニスを調整した。
前記各比較例の樹脂ワニスを3本ロールで良く分散した。これを、離型処理した25μmポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)上にダイコーターで塗布し、120℃の温度で乾燥して、厚さ40μmのB状態の熱硬化性樹脂フィルム(A)を製造した。揮発分は0.5重量%に調整した。また保護フィルムとしてポリエチレンフィルム(PEフィルム)をラミネートして積層物を得た。
この積層物を18μmの表面処理なし銅箔と重ねあわせ、真空プレスに仕込み180℃×120分、4Mpaで加熱・加圧(真空度5torr)成形した(成形物(1))。
前記実施例及び比較例において適用した測定方法及び測定条件を示す。
[測定方法]
(1)プロトン核磁気共鳴スペクトル(1H−NMRスペクトル)の測定
測定装置(日本電子社製、JNM−ECX)を用いて、1H−NMR(400MHz)、DMSO−d6を使用し、16回積算し、緩和時間を10秒とした条件下で測定を行った。
(2)重量平均分子量(Mw)の測定
高速液体クロマトグラフシステム、メーカー:島津製作所社製
システムコントローラー:SCL−10A VP
送液ユニット:LC−10AD
VPデガッサー:DGU−12A
示差屈折計(RI)検出器:RID−10A
オートインジェクター:SIL−10AD VP
カラムオーブン:CTO−10AS VP
カラム:SHODEX KD803(排除限界分子量70000)×2(直列)
カラム温度:50℃
流量:0.8mL/分
溶離液:DMF(和光純薬工業株式会社製、安定剤不含、HPLC用)
サンプル:0.7重量%
検出器:RI
上記測定条件により、Mwが、それぞれ、20000、14000、10000、8000、6000、4000、3000、2000、1500、1000、900、600、400、300、200の標準ポリエチレングリコール(純正化学株式会社)により検量線を作成した。
標準ポリエチレングリコール換算により、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定により得られたポリエチレングリコール換算値での重量平均分子量(Mw)を測定した。
(3)熱重量分析(耐熱分解性)5%重量減少温度(Td5)の測定
耐熱性を測定するために、熱重量減少を測定した。実施例2により得られたフィルムを細かく裁断し、熱重量分析装置(島津製作所社製、DTG−60)を用いて、昇温速度を10℃/分として空気雰囲気下で測定を行い、5%重量減少する温度を求めた。評価結果を表1に示す。
(4)熱線膨張率の測定
実施例2により得られたフィルムを幅4mm、長さ20mmにカットして、チャック間の距離が10mmとなるようにセットし、TMA/SS6100(SIIナノテクノロジー社製)を用いて熱線膨張率を測定した。測定は、引っ張りモードで、窒素雰囲気下、荷重5mN、昇温速度5℃/分で測定し、25℃から150℃の線膨張率の平均値(ppm/℃)を求めた。評価結果を表1に示す。また、熱線膨張率の測定結果から求めたTgの値を表1に示す。
表1に示した結果から明らかなように、本実施形態の熱硬化性樹脂を用いて得られた実施例2のフィルムは、比較例1〜4のフィルムと比較して、高い耐熱性と低い熱線膨張率を示した。
本発明の熱硬化性樹脂は、優れた耐熱性と、優れた寸法安定性とを兼ね備えており、熱硬化性樹脂、及びそれを含む熱硬化性樹脂組成物、並びにそれらから得られる成形体、硬化体は、電子部品・機器及びその材料、プリプレグ、積層板、フレキシブルプリント基板、プリント基板、多層基板、封止剤、接着剤等、及び航空機部材、自動車部材、建設部材等の用途への産業上の利用可能性を有する。

Claims (9)

  1. 下記一般式(I)で表されるジヒドロベンゾオキサジン環構造を主鎖中に有する熱硬化
    性樹脂。
    〔一般式(I)において、Ar1は4価の芳香族基を示し、R1は下記一般式(II)の構造で表される基であり、nは2〜500の整数を示す。〕
    〔一般式(II)において、mは0〜1の整数を示し、*印は前記一般式(I)におけるNへの結合部位を示す。〕
  2. 前記Ar1が下記一般式(III)、(IV)、及び(V)からなる群から選択される構造で表される基である、請求項1記載の熱硬化性樹脂。
    〔一般式(III)〜(V)において、*印は前記一般式(I)における酸素原子への結合部位を示し、**印はジヒドロベンゾオキサジン環4位のメチレン基への結合部分を示す。一般式(III)において、Xは、直接結合手(原子又は原子団が存在しない)、−O−、−S−、−SO−若しくは−SO2−を示すか、又はヘテロ原子若しくは官能基を含んでもよい炭素数1〜138の直鎖状又は分岐の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基又は芳香族基を示す。
    ここで、前記一般式(III)〜(V)中の芳香環に結合する水素原子は、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、置換又は無置換フェニル基、及びその他の有機基からなる群から選択される基で置換されていてもよい。〕
  3. 前記Ar1が前記一般式(III)の構造で表される基である、請求項2記載の熱硬化性樹脂。
  4. 前記Xが下記一般式(VII)の構造で表される基である、請求項2又は3記載の熱硬化性樹脂。
    〔一般式(VII)において、*印は前記一般式(III)における芳香環への結合部位を示す。〕
  5. 前記一般式(II)のmが0である、請求項1記載の熱硬化性樹脂。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項記載の熱硬化性樹脂を10〜90重量%含む熱硬化性樹脂組成物。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項記載の熱硬化性樹脂又は請求項6記載の熱硬化性樹脂組成物より得られる成形体。
  8. 請求項1〜5のいずれか1項記載の熱硬化性樹脂、請求項6記載の熱硬化性樹脂組成物又は請求項7記載の成形体を硬化させて得られる硬化体。
  9. 下記一般式(I)で表されるジヒドロベンゾオキサジン環構造を主鎖中に有する重合体。
    〔一般式(I)において、Ar1は4価の芳香族基を示し、R1は下記一般式(II)の構造で表される基であり、nは2〜500の整数を示す。〕
    〔一般式(II)において、mは0〜1の整数を示し、*印は前記一般式(I)におけるNへの結合部位を示す。〕
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