JP4976894B2 - 熱硬化性樹脂組成物及びそれから得られる成形体 - Google Patents
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Description
上記ベンゾキサジン重合体では、重合体中のジヒドロベンゾキサジン環が開環重合反応するため、問題となるような揮発分の発生を伴わずに熱硬化する。
ジヒドロベンゾキサジン環構造を主鎖中に有する熱硬化性樹脂は、
一般式(I)で示される熱硬化性樹脂、
〔式(I)において、Ar1は、4価の芳香族基を示し、R1は、縮脂環式構造を有する炭化水素基であり、nは、2〜500の整数を示す。〕
一般式(II)で示される熱硬化性樹脂、及び
NH2−R2−NH2で表される脂肪族ジアミン(R2は、脂肪族炭化水素基である)、OH−Ar2−OH(Ar2は、芳香族基である)、NH2−R1−NH2(R1は、縮脂環式構造を有する炭化水素基である)、アルデヒド化合物を反応させることにより得られる熱硬化性樹脂物からなる群から選択され、シランカップリング処理された無機充填剤は、平均粒径が0.25から0.38μm、かつ、粒径が0.15μmの数割合が5%以下、0.75μm以上の数割合が5%以下であることを要旨とする。
本発明の第2の特徴は、ジヒドロベンゾキサジン環構造を主鎖中に有する熱硬化性樹脂と、シランカップリング処理された無機充填剤と、を含み、ジヒドロベンゾキサジン環構造を主鎖中に有する熱硬化性樹脂は、一般式(I)で示される熱硬化性樹脂
本発明の第3の特徴は、樹脂基板とメッキ層の間に、前記メッキ層側表面が粗化処理された状態で配置される熱硬化性樹脂組成物であって、ジヒドロベンゾキサジン環構造を主鎖中に有する熱硬化性樹脂と、シランカップリング処理された無機充填剤と、を含み、ジヒドロベンゾキサジン環構造を主鎖中に有する熱硬化性樹脂は、一般式(II)で示される熱硬化性樹脂
本発明の第4の特徴は、樹脂基板とメッキ層の間に、前記メッキ層側表面が粗化処理された状態で配置される熱硬化性樹脂組成物であって、ジヒドロベンゾキサジン環構造を主鎖中に有する熱硬化性樹脂と、シランカップリング処理された無機充填剤と、を含み、ジヒドロベンゾキサジン環構造を主鎖中に有する熱硬化性樹脂は、NH2−R2−NH2で表される脂肪族ジアミン(R2は、脂肪族炭化水素基である)、OH−Ar2−OH(Ar2は、芳香族基である)、NH2−R1−NH2(R1は、縮脂環式構造を有する炭化水素基である)、アルデヒド化合物を反応させることにより得られる熱硬化性樹脂物であり、シランカップリング処理された無機充填剤は、平均粒径が0.25から0.38μm、かつ、粒径が0.15μmの数割合が5%以下、0.75μm以上の数割合が5%以下であることを要旨とする。
尚、第1〜第4の特徴において、シランカップリング処理された無機充填剤は、シランカップリング処理されたシリカからなる充填剤であることが好ましい。
本発明の第5の特徴は、上述の熱硬化性樹脂組成物より得られる成形体及びかかる成形体を硬化させて得られる硬化成形体、並びに上述の熱硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化体を要旨とする。
実施形態にかかる熱硬化性樹脂組成物に用いられる熱硬化性樹脂としては、下記一般式(I)で示される、ジヒドロベンゾキサジン環構造を主鎖中に有する重合体からなるものを用いることができる。
本明細書において、「縮脂環式構造」とは、橋かけ環式炭化水素(「有機化合物命名の手引き:化学同人」による)の構造に相当し、脂肪族炭化水素で2個以上の原子を共有している2個以上の環からなる構造である。具体的には本明細書中で一般式(i)や(ii)で示される構造である。
熱硬化性樹脂は、(1)NH2−R2−NH2で表される脂肪族ジアミン(R2は、脂肪族炭化水素基である)と、(2)OH−Ar2−OH(Ar2は、芳香族基である)と、(3)NH2−R1−NH2(R1は、縮脂環式構造を有する炭化水素基である)と、(4)アルデヒド化合物と、を反応させることにより得られる、ジヒドロベンゾキサジン環構造を主鎖中に有するものである。
上記式(II)において、m及びnは重合度を示し、モノマー構成単位の付加モル数であり、成形時の流動性向上の観点から、m+nは2〜500の整数であることが好ましく、2〜100であることが一層好ましい。
また、上記R1は、下記(ii)で示される基であると、得られる樹脂の電気特性と耐熱性が非常に良好である。
上記において、Ar1は、4価の芳香族基を示し、特に、入手の容易さ、反応性の点から、下記(iii)、(iv)、(v)のいずれかの構造で示されるものが好ましい。
また、中でも式(iii)で示される構造であると、要求特性に応じた樹脂の構造設計が容易であるためにさらに好ましい。
また、群Aの中でも特に下記群Bで示される構造のものは、電気特性、耐熱性に優れるため特に好ましい。
上記において、Ar1は、特に、入手の容易さ、硬化体の電気特性および耐熱性の点から、下記群Cより選択される少なくとも一つの構造で示されるものも好ましい。
Ar1が上記群Cより選択される少なくとも一つである場合にも、Ar1が(iii)、(iv)、(v)のいずれかの構造で示される場合と同様に、同様の理由から、脂環式構造を有する炭化水素基を示すR1は、縮環構造を有する脂環式炭化水素基が好ましく、中でも、(i)で示される基、または(ii)で示される基がより好ましい。
(iv)の構造:1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、のように、分子内に一つのナフタレン環を有し、ナフタレン環に対して二つのOH基が結合した化合物、
(v)の構造:1,2−ジヒドロキシベンゼン(カテコール)、1,3−ジヒドロキシベンゼン(レゾルシノール)、1,4−ジヒドロキシベンゼン(ヒドロキノン)のように分子内に一つのベンゼン環を有し、ベンゼン環に対してOH基が二つ結合した化合物、等が挙げられる。
(iii)の構造:2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、
(v)の構造:2−メチルレゾルシノール、2,5−ジメチルレゾルシノール
等が挙げられるが、当然これに限定されるものではない。
実施形態にかかる熱硬化性樹脂組成物は、上述のジヒドロベンゾキサジン環構造を主鎖中に有する熱硬化性樹脂と、シランカップリング処理された無機充填剤と、を含む熱硬化性樹脂組成物に関する。ジヒドロベンゾキサジン環構造を主鎖中に有する熱硬化性樹脂としては、上述のような、一般式(I)で示される熱硬化性樹脂、一般式(II)で示される熱硬化性樹脂、及びNH2−R2−NH2で表される脂肪族ジアミン(R2は、脂肪族炭化水素基である)、OH−Ar2−OH(Ar2は、芳香族基である)、NH2−R1−NH2(R1は、縮脂環式構造を有する炭化水素基である)、アルデヒド化合物を反応させることにより得られる熱硬化性樹脂物からなる群から選択することができる。
実施形態にかかる成形体は、上記熱硬化性樹脂組成物を成形して得られるものである。実施形態にかかる成形体としては、前述した熱硬化性樹脂組成物が硬化前にも成形性を有しているため、いったん硬化前に成形した後に熱をかけて硬化させたもの(硬化成形体)でも、成形と同時に硬化させたもの(硬化体)でもよい。また、その寸法や形状は特に制限されず、例えば、シート状(板状)、ブロック状等が挙げられ、さらに他の部位(例えば粘着層)を備えていてもよい。また、この形成体は、熱硬化性能をもち、フィルム状、板状、塊状等のものであってもよい。
(脂肪族主鎖型ベンゾオキサジンの調製)
クロロホルム中に、ビスフェノールA(東京化成製、99%)18.45g(0.08mol)、3(4),8(9),−ビス(アミノメチル)トリシクロ[5,2,1,02,6]デカン(東京化成製、97%)4.00g(0.02mol)、1,6−ヘキサンジアミン(和光純薬製、97%)6.97g(0.06mol)、パラホルムアルデヒド(和光純薬製、94%)10.73g(0.34mol)を投入し、還流下で6時間反応させた。反応後の溶液を多量のメタノールに投じて重合体を析出させた。その後、ろ別により重合体を分離し、メタノールで洗浄した。その後、減圧乾燥により、重合体を得た。GPCによる分子量の測定では、標準ポリスチレン換算で重量平均分子量は4,600であった。
100重量部(21g)の脂肪族主鎖型ベンゾオキサジン(BisA_TCD[25]_C6[75])、42.85重量部(シリカ分9g、シリカ溶液として15g)のエポキシシランカップリング処理スラリーシリカ(アドマテックス社製、製品名「アドマファイン SE1050-MLM」、平均粒径0.3μm、メチルエチルケトン溶媒、固形分60重量%)からなる混合物に、溶媒としてトルエンを加えて50重量%のベンゾオキサジン樹脂ワニス60gを調製した。
100重量部(21g)の脂肪族主鎖型ベンゾオキサジン、42.85重量部(シリカ分9g、シリカ溶液として15g)のエポキシシランカップリング処理スラリーシリカ アドマファイン SE1050-MLMを分級処理を施し、さらに平均粒子径を小さくしたもの(アドマテックス社製:平均粒径0.275μm、メチルエチルケトン溶媒、固形分60重量%)からなる混合物に、溶媒としてトルエンを加えて50重量%のベンゾオキサジン樹脂ワニス60gを調製した。
100重量部(24g)の脂肪族主鎖型ベンゾオキサジン、25重量部(シリカ分6g、シリカ溶液として10g)のエポキシシランカップリング処理スラリーシリカ アドマファイン SE1050-MLMを分級処理を施し、さらに平均粒子径を小さくしたもの(アドマテックス社製:平均粒径0.275μm、メチルエチルケトン溶媒、固形分60重量%)からなる混合物に、溶媒としてトルエンを加えて50重量%のベンゾオキサジン樹脂ワニス60gを調製した。
100重量部(24g)の脂肪族主鎖型ベンゾオキサジン、42.85重量部(シリカ分6g、シリカ溶液として10g)のイミダゾールシランランカップリング処理スラリーシリカ アドマファイン SE1050-MLM(アドマテックス社製:平均粒径0.3μm、DMF溶媒、固形分60重量%)からなる混合物に、溶媒としてトルエンを加えて50重量%のベンゾオキサジン樹脂ワニス60gを調製した。
100重量部(21g)の脂肪族主鎖型ベンゾオキサジン、42.85重量部(シリカ分9g、シリカ溶液として12.85g)のビニルシランカップリング処理スラリーシリカ アドマファインSC2050-TNF(アドマテックス社製:平均粒径0.5μm、トルエン溶媒、固形分70重量%)からなる混合物に、溶媒としてトルエンを加えて50重量%のベンゾオキサジン樹脂ワニスを60g調製した。
100重量部の脂肪族主鎖型ベンゾオキサジン、42.85重量部(シリカ分9g、シリカ溶液として18g)のイミダゾールシランカップリング処理球状シリカCRS-140X(IM)-1Fx(龍森社製:平均粒径0.1μm)をDMF溶媒中にシリカ量50wt%となるように分散させたスラリーシリカ(日弘ビックス社製)からなる混合物に、溶媒としてトルエンを加えて50重量%のベンゾオキサジン樹脂ワニスを調製した。
実施例1〜4、比較例1,2で得られた各例の樹脂ワニスをディスパーT.K.ホモディスパー2.5モデル(プライミクス社製)で良く攪拌した。これをシリコン離型処理を施した50μmポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)上にダイコーターで125μmとなるように塗工し80℃で10分間乾燥し、厚さ40μmのBステージの熱硬化性樹脂フィルムを作製した。これをガラス強化エポキシ樹脂基板(FR―4基板)と合わせ、真空ラミネーターを用いて80℃、加圧度0.5MPa、40秒でラミネートした。
実施例1〜4、比較例1,2の樹脂ワニスから得られた各硬化成形体について、JISC6481の5.7に準拠してピール強度の測定を、JISC6481の5.20に準拠して、測定装置:ニコン(Nicon)社製、製品名「Measureing Microscope MM−40」、測定視野:125.4μm×94.08μm、倍率50倍の条件で表面粗さ[算術平均粗さ(Ra)、十点平均粗さ(Rz)]の測定を行った。得られた結果を以下に示す。
(実施例1)
ピール強度=0.80kgf/cm、表面粗さ(Ra)=0.16μm、表面粗さ(Rz)=1.09μm
(実施例2)
ピール強度=0.78kgf/cm、表面粗さ(Ra)=0.12μm、表面粗さ(Rz)=0.95μm
(実施例3)
ピール強度=0.68kgf/cm、表面粗さ(Ra)=0.10、表面粗さ(Rz)=0.90μm
(実施例4)
ピール強度=0.69kgf/cm、表面粗さ(Ra)=0.14、表面粗さ(Rz)=1.10μm
(比較例1)
ピール強度=0.12kgf/cm、表面粗さ(Ra)=0.10μm 測定中、表面粗さ(Rz)=1.10μm
(比較例2)
ピール強度= 0.20kgf/cm、表面粗さ(Ra)=0.07μm、表面粗さ(Rz)=0.93μm
以上、実施例によれば、粗化後の樹脂の表面粗さが小さく、銅めっきと樹脂との接着強度が大きい熱硬化性樹脂組成物及びその成形体が得られることが分かった。
(参考例1)
クロロホルム中に、ビスフェノールA(東京化成製、99%)18.45g(0.08mol、3(4),8(9),−ビス(アミノメチル)トリシクロ[5,2,1,02,6]デカン(東京化成製、97%)16.03g(0.08mol)、パラホルムアルデヒド(和光純薬製、94%)10.22g(0.32mol)を投入し、還流下で6時間反応させた。反応後の溶液を多量のメタノールに投じて重合体を析出させた。その後、ろ別により重合体を分離し、メタノールで洗浄した。その後、減圧乾燥により重合体を得た。GPCによる分子量の測定では、標準ポリスチレン換算で重量平均分子量は4,600であった。
ビスフェノールAの代わりに、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(東京化成製、99%)21.69g(0.08mol)を用いた以外は、参考例1と同様にして重合体を合成した。重量平均分子量は3,800であった。
クロロホルム中に、α、α'−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン(ビスフェノールPと同一化合物、東京化成製、98%)22.99g(0.065mol)、3(4),8(9),−ビス(アミノメチル)トリシクロ[5,2,1,02,6]デカン(東京化成製、97%)13.02g(0.065mol)、パラホルムアルデヒド(和光純薬製、94%)8.31g(0.26mol)を投入し、還流下で6時間反応させた。反応後の溶液を多量のメタノールに投じて重合体を析出させた。その後、ろ別により重合体を分離し、メタノールで洗浄した。その後、減圧乾燥により重合体を得た。GPCによる分子量の測定では、標準ポリスチレン換算で重量平均分子量は5,700であった。
参考例1〜3で得られた重合体を140℃、160℃、180℃で各1時間保持する熱プレス法によりシート状に成形し、厚さ0.5mmのシート状の硬化成形体を得た。
表1に示す通り、参考例4〜6の硬化成形体は、いずれも誘電率が3以下であり、誘電正接も0.005以下と良好な誘電特性を示した。また、参考例4〜6の硬化成形体はいずれもTd5が308℃〜350℃と非常に良好な値を示した。
ビスフェノールAの代わりに、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(東京化成製、98%)20.93g(0.08mol)を用いた以外は、参考例1と同様にして重合体を合成した。重量平均分子量は4,300であった。
クロロホルム中に、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(東京化成製、99%)22.08g(0.065mol)、3(4),8(9),−ビス(アミノメチル)トリシクロ[5,2,1,02,6]デカン(東京化成製、97%)13.02g(0.065mol)、パラホルムアルデヒド(和光純薬製、94%)8.72g(0.27mol)を投入し、還流下で6時間反応させた。反応後の溶液を多量のメタノールに投じて重合体を析出させた。その後、ろ別により重合体を分離し、メタノールで洗浄した。その後、減圧乾燥により、重合体を得た。GPCによる分子量の測定では、標準ポリスチレン換算で重量平均分子量は5,900であった。
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンの代わりに9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(東京化成製、98%)23.24g(0.065mol)、を使用した以外は、参考例8と同様にして重合体を合成した。GPCによる分子量の測定では、標準ポリスチレン換算で重量平均分子量は7,000であった。
(参考例10)
クロロホルム中に、ビスフェノールA(東京化成製、99%)18.45g(0.065mol)、2,5(6),−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン(三井化学製、99.8%)12.37g(0.08mol)、パラホルムアルデヒド(和光純薬製、94%)10.73g(0.34mol)を投入し、還流下で6時間反応させた。反応後の溶液を多量のメタノールに投じて重合体を析出させた。その後、ろ別により重合体を分離し、メタノールで洗浄した。その後、減圧乾燥により、重合体を得た。GPCによる分子量の測定では、標準ポリスチレン換算で重量平均分子量は5,600であった。
ビスフェノールAの代わりに、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(本州化学製、99.9%)21.49g(0.08mol)を用いた以外は、参考例10と同様にして重合体を合成した。GPCによる分子量の測定では、標準ポリスチレン換算で重量平均分子量は5,000であった。
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンの代わりに1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン(東京化成製、98%)18.89g(0.065mol)を使用した以外は、参考例8と同様にして重合体を合成した。GPCによる分子量の測定では、標準ポリスチレン換算で重量平均分子量は4,900であった。
ビスフェノールAの代わりに、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(東京化成製、98%)17.49g(0.08mol)を用いた以外は、参考例1と同様にして重合体を合成した。重量平均分子量は5,200であった。
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンの代わりにビスフェノールM(三井化学製、99.5%)22.63g(0.065mol)を使用した以外は、参考例8と同様にして重合体を合成した。GPCによる分子量の測定では、標準ポリスチレン換算で重量平均分子量は6,100であった。
3(4),8(9),−ビス(アミノメチル)トリシクロ[5,2,1,02,6]デカンの代わりに、2,5(6),−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン(三井化学製、99.8%)10.05g(0.065mol)を用いた以外は、参考例3と同様にして重合体を合成した。重量平均分子量は6,600であった。
参考例1で得られた重合体100重量部、エピコート#1007(ジャパンエポキシレジン製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂)50重量部をTHF100重量部に溶解して熱硬化性樹脂組成物の溶液を調製した。これをPETフィルム上にキャストし、THFを乾燥させて除去し、厚さ150μmの熱硬化性樹脂組成物からなるフィルムを得た。
参考例16で得られたフィルムをオーブン中で、140℃で1時間、160℃で1時間、180℃で1時間加熱することにより、硬化フィルムを得た。得られた硬化フィルムの誘電特性を評価したところ、100MHzでは誘電率2.95、誘電正接0.013、1GHzでは誘電率2.90、誘電正接0.012と比較的良好な誘電特性を示した。また、参考例4で得られたフィルムは180°の屈曲試験にて白化したことに対し、参考例16で得られたフィルムでは柔軟性が付与されており、180°の屈曲試験でも折り目が付くだけで白化せずフィルムとしては透明なままで問題がなかった。屈曲試験では、サンプルフィルムを幅10mmとし、2つ折りにして、3kgfの力で両側から押さえた後にフィルムを広げ、折り目が付いているのみで透明:○、フィルムが白化している:△、フィルムが割れる:×、の評価を行っている。
エピコート#1007の配合比を100重量部、200重量部とした以外は参考例16と同様の操作を行い、未硬化フィルムを作製し、ついで140,160,180℃各一時間熱処理を行うことにより硬化フィルムを得た。得られた硬化フィルムの誘電特性(誘電率ε、誘電損失tanδ)を評価し下記の結果を得た。
at 100MHz at 1GHz
参考例18-a (100重量部配合) ε 3.00 tanδ 0.017 ε2.94 tanδ 0.015
参考例18-b (200重量部配合) ε 3.08 tanδ 0.021 ε2.98 tanδ 0.019
また、上記に記載の屈曲試験は両者とも○であった。
〔ポリアミック酸の合成〕
モレキュラーシーブス4Aにて脱水したN−メチル−2−ピロリドン3762gに以下のモノマーを添加して溶解させ、窒素気流下、撹拌機を用いて150rpmの撹拌速度で3時間均一に撹拌することによってポリアミック酸溶液を得た。
・4、4’−ジアミノジフェニルエーテル 200g(1モル)
〔板状成形体の作製〕
上記により調製したポリアミック酸溶液に対し、参考例1で得られた重合体を固形分比として10wt%となるように加え、その後よく攪拌・振とうして均一な溶液とした。
上述の参考例及び比較例で得られた板状成形体から試験片を切り出し、下記の要領に沿って物性測定を行った。
エピコート#1007に変えてNC3000H(日本化薬製、ビフェニル型エポキシ樹脂)をそれぞれ20重量部、50重量部、100重量部とした以外は参考例16と同様の操作を行い、未硬化フィルムを作製し、ついで140,160,180℃各一時間熱処理を行うことにより硬化フィルムを得た。得られた硬化フィルムの誘電特性を評価し下記の結果を得た。
at 100MHz at 1GHz
参考例19-a( 20重量部配合) ε 3.04 tanδ 0.006 ε 3.01 tanδ 0.006
参考例19-b( 50重量部配合) ε 3.08 tanδ 0.009 ε 3.04 tanδ 0.009
参考例19-c(100重量部配合) ε 3.21 tanδ 0.012 ε 3.14 tanδ 0.015
また、上記に記載の屈曲試験はいずれのフィルムも○であった。
参考例10および15で得られた重合体を用い、熱プレス法により180℃で1時間保持して、厚さ0.5mmのシート状の硬化成形体を得た。
一般式(II)において、R2が−(CH2)i−、R1が下記(i)で示される基、
mが下記式で示される割合(%)である場合に、i及びmを種々の組合せで変化させた以下の各参考例におけるCTE、Td5、及び屈曲試験について評価した。
m(%)=〔R2のモル数/(R1のモル数+R2のモル数)〕×100
[CTE(ppm/℃)(CTEは温度に対する材料の線膨張率である)の測定]
サンプルを75〜100μm厚、幅4mmにして、SII社(エスアイアイナノテクロジー社)のTMA(熱機械分析装置)DMS6100で温度に対するのびを23〜100℃で測定した。
参考例22〜33で得られた重合体を熱プレス法によりシート状に成形し、140℃、160℃、180℃で各1時間保持し、厚さ0.5mmのシート状の硬化成形体を得た。
また得られたシートを細かく裁断し、島津製作所製、商品名「DTG−60」を用いてTGA法により、10℃/minの昇温速度で5%重量減少温度(Td5)を評価した。
(%) (ppm/℃) 試験 [μ] (100MHz)
参考例22 2 50 58 284 × 82 2.85 0.003
参考例23 4 50 58 311 × 83 2.78 0.003
参考例24 6 50 59 321 ○ 84 2.79 0.005
参考例25 8 50 77 326 ○ 82 2.80 0.006
参考例26 12 50 125 331 ○ 88 2.77 0.005
参考例27 6 0 57 337 △ 82 2.69 0.002
参考例28 6 10 68 331 △ 83 2.77 0.004
参考例29 6 25 67 324 ○ 85 2.84 0.004
参考例30 6 50 59 321 ○ 84 2.79 0.005
参考例31 6 75 64 320 ○ 88 2.73 0.007
参考例32 6 90 70 311 ○ 80 2.95 0.008
参考例33 6 100 72 312 ○ 85 2.84 0.006
以上の結果より、次のことがわかる。
〔参考例B−1〕
クロロホルム中に、ビスフェノールA(東京化成製、99%)18.45g(0.08mol)、3(4),8(9),−ビス(アミノメチル)トリシクロ[5,2,1,02,6]デカン(東京化成製、97%)8.01g(0.04mol)、1,12−ドデカンジアミン(和光純薬製、97%)8.26g(0.04mol)、パラホルムアルデヒド(和光純薬製、94%)10.73g(0.34mol)を投入し、還流下で6時間反応させた。反応後の溶液を多量のメタノールに投じて重合体を析出させた。その後、ろ別により重合体を分離し、メタノールで洗浄した。その後、減圧乾燥により、重合体を得た。GPCによる分子量の測定では、標準ポリスチレン換算で重量平均分子量は16,600であった。
クロロホルム中に、α、α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン(東京化成製、98%)22.98g(0.065mol)、3(4),8(9),−ビス(アミノメチル)トリシクロ[5,2,1,02,6]デカン(東京化成製、97%)6.51g(0.0325mol)、1,12−ドデカンジアミン(和光純薬製、97%)6.71g(0.0325mol)、パラホルムアルデヒド(和光純薬製、94%)8.72g(0.27mol)を投入し、還流下で6時間反応させた。反応後の溶液を多量のメタノールに投じて重合体を析出させた。その後、ろ別により重合体を分離し、メタノールで洗浄した。その後、減圧乾燥により、重合体を得た。GPCによる分子量の測定では、標準ポリスチレン換算で重量平均分子量は12,200であった。
α、α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼンの代わりに、ビスフェノールM(三井化学製、99.5%)22.63g(0.065mol)を用いた以外は、参考例B−2と同様にして重合体を合成した。得られた重合体の重量平均分子量は24,500であった。
クロロホルム中に、ビスフェノールA(東京化成製、99%)18.45g(0.08mol)、3(4),8(9),−ビス(アミノメチル)トリシクロ[5,2,1,02,6]デカン(東京化成製、97%)16.03g(0.08mol)、パラホルムアルデヒド(和光純薬製、94%)10.22g(0.32mol)を投入し、還流下で6時間反応させた。反応後の溶液を多量のメタノールに投じて重合体を析出させた。その後、ろ別により重合体を分離し、メタノールで洗浄した。その後、減圧乾燥により、下記構造を有する重合体を得た。GPCによる分子量の測定では、標準ポリスチレン換算で重量平均分子量は4,600であった。
ビスフェノールAの代わりに、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(東京化成製、99%)21.69g(0.08mol)を用いた以外は、参考例B−1と同様にして重合体を合成した。重量平均分子量は3,800であった。
クロロホルム中に、α、α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン(ビスフェノールPと同一化合物、東京化成製、98%)22.99g(0.065mol)、3(4),8(9),−ビス(アミノメチル)トリシクロ[5,2,1,02,6]デカン(東京化成製、97%)13.02g(0.065mol)、パラホルムアルデヒド(和光純薬製、94%)8.31g(0.26mol)を投入し、還流下で6時間反応させた。反応スキームを以下に示す。反応後の溶液を多量のメタノールに投じて重合体を析出させた。その後、ろ別により重合体を分離し、メタノールで洗浄した。その後、減圧乾燥により、下記構造を有する重合体を得た。GPCによる分子量の測定では、標準ポリスチレン換算で重量平均分子量は5,700であった。
参考例B−2、4〜6で得られた重合体を熱プレス法によりシート状に成形し、140℃、160℃、180℃で各1時間保持し、0.5mmtのシート状の硬化成形体を得た。
また得られたシートを細かく裁断し、島津製作所製、商品名「DTG−60」を用いてTGA法により、10℃/minの昇温速度で5%重量減少温度(Td5)を評価した。
参考例B−2、4〜6で得られた重合体を用い、屈曲試験では、サンプルフィルムを幅10mm、厚み75μとし、2つ折りにして、3kgfの力で両側から押さえた後にフィルムを広げ、折り目が付いているのみで透明:○、フィルムが白化している:△、フィルムが割れる:×、の評価を行った。
Claims (16)
- 樹脂基板とメッキ層の間に、前記メッキ層側表面が粗化処理された状態で配置される熱硬化性樹脂組成物であって、
ジヒドロベンゾキサジン環構造を主鎖中に有する熱硬化性樹脂と、
シランカップリング処理された無機充填剤と、を含み、
前記ジヒドロベンゾキサジン環構造を主鎖中に有する熱硬化性樹脂は、
一般式(I)で示される熱硬化性樹脂、
〔式(I)において、Ar1は、4価の芳香族基を示し、R1は、縮脂環式構造を有する炭化水素基であり、nは、2〜500の整数を示す。〕
一般式(II)で示される熱硬化性樹脂、及び
NH2−R2−NH2で表される脂肪族ジアミン(R2は、脂肪族炭化水素基である)、OH−Ar2−OH(Ar2は、芳香族基である)、NH2−R1−NH2(R1は、縮脂環式構造を有する炭化水素基である)、アルデヒド化合物を反応させることにより得られる熱硬化性樹脂からなる群から選択され、
前記シランカップリング処理された無機充填剤は、平均粒径が0.25から0.38μm、かつ、粒径が0.15μmの数割合が5%以下、0.75μm以上の数割合が5%以下であることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。 - ジヒドロベンゾキサジン環構造を主鎖中に有する熱硬化性樹脂と、
シランカップリング処理された無機充填剤と、を含み、
前記ジヒドロベンゾキサジン環構造を主鎖中に有する熱硬化性樹脂は、
一般式(I)で示される熱硬化性樹脂
前記シランカップリング処理された無機充填剤は、平均粒径が0.25から0.38μm、かつ、粒径が0.15μmの数割合が5%以下、0.75μm以上の数割合が5%以下であることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。 - 樹脂基板とメッキ層の間に、前記メッキ層側表面が粗化処理された状態で配置される熱硬化性樹脂組成物であって、
ジヒドロベンゾキサジン環構造を主鎖中に有する熱硬化性樹脂と、
シランカップリング処理された無機充填剤と、を含み、
前記ジヒドロベンゾキサジン環構造を主鎖中に有する熱硬化性樹脂は、
一般式(II)で示される熱硬化性樹脂
前記シランカップリング処理された無機充填剤は、平均粒径が0.25から0.38μm、かつ、粒径が0.15μmの数割合が5%以下、0.75μm以上の数割合が5%以下であることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。 - 樹脂基板とメッキ層の間に、前記メッキ層側表面が粗化処理された状態で配置される熱硬化性樹脂組成物であって、
ジヒドロベンゾキサジン環構造を主鎖中に有する熱硬化性樹脂と、
シランカップリング処理された無機充填剤と、を含み、
前記ジヒドロベンゾキサジン環構造を主鎖中に有する熱硬化性樹脂は、
NH2−R2−NH2で表される脂肪族ジアミン(R2は、脂肪族炭化水素基である)、OH−Ar2−OH(Ar2は、芳香族基である)、NH2−R1−NH2(R1は、縮脂環式構造を有する炭化水素基である)、アルデヒド化合物を反応させることにより得られる熱硬化性樹脂物であり、
前記シランカップリング処理された無機充填剤は、平均粒径が0.25から0.38μm、かつ、粒径が0.15μmの数割合が5%以下、0.75μm以上の数割合が5%以下であることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。 - R1が下記(i)又は(ii)で示される基である、請求項2又は3に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- Ar1が、下記(iii)、(iv)、(v)のいずれかの構造で示される、請求項2又は3に記載の熱硬化性樹脂組成物。
また、各芳香環の水素は、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、又は置換もしくは無置換フェニル基で置換されていてもよい。
式(iii)におけるXは、直接結合手(原子もしくは原子団が存在しない)、またはヘテロ元素もしくは官能基を含んでいても良い脂肪族、脂環式もしくは芳香族の炭化水素基を示す。〕 - Ar1が、上記(iii)の構造で示され、該構造(iii)中のXが、下記群Aから選択される少なくとも一つである、請求項6に記載の熱硬化性樹脂組成物。
〔各式中、*印は前記構造(iii)における芳香環への結合部位を示す。〕 - R2が直鎖状の脂肪族炭化水素基である、請求項3に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- R2が炭素数6〜12の脂肪族炭化水素基である、請求項3に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- R1が下記(i)又は(ii)で示される基である、請求項3に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- Ar1が、下記(iii)、(iv)、(v)のいずれかの構造で示される、請求項3に記載の熱硬化性樹脂組成物。
また、各芳香環の水素は、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、又は置換もしくは無置換フェニル基で置換されていてもよい。
式(iii)におけるXは、直接結合手(原子もしくは原子団が存在しない)、またはヘテロ元素もしくは官能基を含んでいても良い脂肪族、脂環式もしくは芳香族の炭化水素基を示す。〕 - Ar1が、上記(iii)の構造で示され、該構造(iii)中のXが、下記群Aから選択される少なくとも一つである、請求項11に記載の熱硬化性樹脂組成物。
〔各式中、*印は前記構造(iii)における芳香環への結合部位を示す。〕 - 前記シランカップリング処理された無機充填剤は、シランカップリング処理されたシリカからなる充填剤であることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 請求項1〜13のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物より得られる成形体。
- 請求項1〜13のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化体。
- 請求項14に記載の成形体を硬化させて得られる硬化成形体。
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