JP4976894B2 - 熱硬化性樹脂組成物及びそれから得られる成形体 - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物及びそれから得られる成形体 Download PDF

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本発明は、低誘電率、低誘電損失の優れた誘電特性を持ち、同時に、優れた耐熱性ないしは柔軟性を兼ね備えた熱硬化性樹脂組成物並びにそれから得られる成形体、硬化体、硬化成形体に関する。
従来から、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂等の熱硬化性樹脂は、その熱硬化性という性質に基づき、耐水性、耐薬品性、耐熱性、機械強度、信頼性等が優れているので広い産業分野で使用されている。
しかし、フェノール樹脂及びメラミン樹脂は硬化時に揮発性の副生成物を発生する、エポキシ樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂は難燃性が劣る、ビスマレイミド樹脂は非常に高価である等の欠点がある。
これらの欠点を解消するために、ジヒドロベンゾキサジン環構造を分子中に含むジヒドロベンゾキサジン化合物、および、ジヒドロベンゾキサジン環構造を主鎖中に含むジヒドロベンゾキサジン重合体が研究されてきた。(上記ジヒドロベンゾキサジン化合物とジヒドロベンゾキサジン重合体を、以下、ベンゾキサジン重合体と略する。)
上記ベンゾキサジン重合体では、重合体中のジヒドロベンゾキサジン環が開環重合反応するため、問題となるような揮発分の発生を伴わずに熱硬化する。
ベンゾキサジン重合体は、上記のような熱硬化性樹脂が有する基本的な特徴に加え、保存性に優れており、溶融時には比較的低粘度であり、分子設計の自由度が広い等の様々な利点を有する樹脂である。
また、近年の電子機器・部品の高密度化(小型化)、及び伝達信号の高速化に対応すべく、誘電特性の改善(低誘電率化及び低誘電損失化)による信号伝達速度や高周波特性の向上が求められている。
また、電子機器用基板材料としては、低誘電率化、低誘電損失化に加え、はんだ接合に耐え得る耐熱性、内部ひずみや外部応力などによるクラック発生に耐え得る柔軟性、を同時に満たす必要がある。フレキシブル基板などに用いる場合はより一層の柔軟性を満たす必要がある。
このような優れた誘電特性を有する熱硬化性樹脂の原料材料として、下記式(1)や式(2)で表されるベンゾキサジン重合体が知られている(例えば、非特許文献1及び2参照)。
かかるベンゾキサジン重合体のベンゾキサジン環が開環重合して得られる樹脂は、熱硬化時に揮発成分の発生を伴うこともなく、また、難燃性や耐水性にも優れるものである。
また、ジヒドロベンゾキサジン環構造を有する熱硬化性樹脂(特許文献1、2参照)、アリール基で置換されたベンゾキサジン(非特許文献3参照)、ポリベンゾキサジン前駆体(非特許文献4参照)等が提案されている。
特開平8−183835号公報 特開2003−64180号公報 小西化学工業株式会社ホームページ[平成17年7月29日検索]、インターネット<URL:http://www.konishi-chem.co.jp/cgi-data/jp/pdf/pdf_2.pdf> 四国化成工業株式会社ホームページ[平成17年7月29日検索]、インターネット<URL:http://www.shikoku.co.jp/chem/labo/benzo/main.html> "The curing reaction of 3-aryl substituted benzoxazine"High Perform. Polym. 12 (2000) 237-246. "Synthesis and thermal cure of high molecular weight polybenzoxazine precursors and the properties of the thermosets"、[Available online 8 November 2005]、インターネット<URL:www.sciencedirect.com>
しかし、従来のベンゾキサジン重合体は、上述の如く、熱硬化性樹脂のなかでは誘電特性に優れるものの、最近の更なる電子機器・部品の高性能化に応じて更に高い誘電特性が望まれている。例えば、メモリや論理プロセッサ等のICのパッケージを構成する多層基板の樹脂材料に対しては、非特許文献1には誘電率4.4の材料が、また、非特許文献2には誘電率3.44,誘電正接0.0066であるベンゾキサジン樹脂が開示されているが、さらなる低誘電率材料および低誘電正接材料が求められている。
また、今後予想される技術動向からすれば、更に低い誘電体損失が要求される傾向にある。すなわち、誘電体損失は、通常、周波数と材料の誘電正接に比例する傾向にある一方で、電子機器・部品で用いられる周波数はますます高くなる傾向にあるため、誘電正接が低い材料への要求が更に高くなっている。
一方、基板の周辺で用いられる材料に対する要求特性として、はんだ耐熱特性が挙げられる。これについても、今後は鉛フリーはんだを用いた場合への適応性が必要とされてくるため、従来よりも耐熱性に対する要求が厳しくなる傾向にある。通常の材料設計では、誘電特性に優れる構造、たとえば脂肪族骨格のベンゾオキサジン、にすると耐熱性が犠牲となりやすい。また、耐熱性に優れる構造、たとえば芳香族骨格のベンゾオキサジン、にすると誘電率が犠牲になりやすい。
このように、従来のベンゾキサジン重合体では、誘電特性と耐熱性との両立は困難であった。
さらに、成形した際の柔軟性についても一層の向上が望まれるが、通常の材料設計では、柔軟性に優れる構造にすると耐熱性が犠牲となりやすく、誘電特性、耐熱性、及び柔軟性の両立は困難であった。
さらにビルドアッププリント配線板の(セミ)アディティブ工法では、銅めっきと樹脂との接着強度が大きくなければならない。そのため樹脂に無機フィラーや易粗化成分の樹脂を添加し、薬品による樹脂表面により無機フィラーや易粗化成分を取り除くことで、樹脂表面に粗化穴を形成している。粗化穴がアンカーとなり、銅めっきと樹脂との接着強度が大きくなる。しかし、粗化した樹脂の表面粗さが大きい場合、表皮効果による電流の損失が問題なってくる。そのため、粗化後の樹脂の表面粗さが小さく、銅めっきと樹脂との接着強度が大きい熱硬化性樹脂組成物及びその成形体が求められていた。
本発明は、粗化後の樹脂の表面粗さが小さく、銅めっきと樹脂との接着強度が大きい熱硬化性樹脂組成物及びその成形体を提供することを目的とする。
本発明の第1の特徴は、樹脂基板とメッキ層の間に、前記メッキ層側表面が粗化処理された状態で配置される熱硬化性樹脂組成物であって、ジヒドロベンゾキサジン環構造を主鎖中に有する熱硬化性樹脂と、シランカップリング処理された無機充填剤と、を含み、
ジヒドロベンゾキサジン環構造を主鎖中に有する熱硬化性樹脂は、
一般式(I)で示される熱硬化性樹脂、

〔式(I)において、Arは、4価の芳香族基を示し、R1は、縮脂環式構造を有する炭化水素基であり、nは、2〜500の整数を示す。〕
一般式(II)で示される熱硬化性樹脂、及び
〔式(II)において、Arは、4価の芳香族基を示し、Rは、縮脂環式構造を有する炭化水素基であり、Rは、脂肪族炭化水素基であり、m+nは、2〜500の整数を示す。〕
NH−R−NHで表される脂肪族ジアミン(Rは、脂肪族炭化水素基である)、OH−Ar−OH(Arは、芳香族基である)、NH−R−NH(Rは、縮脂環式構造を有する炭化水素基である)、アルデヒド化合物を反応させることにより得られる熱硬化性樹脂物からなる群から選択され、シランカップリング処理された無機充填剤は、平均粒径が0.25から0.38μm、かつ、粒径が0.15μmの数割合が5%以下、0.75μm以上の数割合が5%以下であることを要旨とする。
本発明の第2の特徴は、ジヒドロベンゾキサジン環構造を主鎖中に有する熱硬化性樹脂と、シランカップリング処理された無機充填剤と、を含み、ジヒドロベンゾキサジン環構造を主鎖中に有する熱硬化性樹脂は、一般式(I)で示される熱硬化性樹脂
〔式(I)において、Arは、4価の芳香族基を示し、R1は、縮脂環式構造を有する炭化水素基であり、nは、2〜500の整数を示す。〕であり、シランカップリング処理された無機充填剤は、平均粒径が0.25から0.38μm、かつ、粒径が0.15μmの数割合が5%以下、0.75μm以上の数割合が5%以下であることを要旨とする。
本発明の第3の特徴は、樹脂基板とメッキ層の間に、前記メッキ層側表面が粗化処理された状態で配置される熱硬化性樹脂組成物であって、ジヒドロベンゾキサジン環構造を主鎖中に有する熱硬化性樹脂と、シランカップリング処理された無機充填剤と、を含み、ジヒドロベンゾキサジン環構造を主鎖中に有する熱硬化性樹脂は、一般式(II)で示される熱硬化性樹脂
〔式(II)において、Arは、4価の芳香族基を示し、Rは、縮脂環式構造を有する炭化水素基であり、Rは、脂肪族炭化水素基であり、m+nは、2〜500の整数を示す。〕であり、シランカップリング処理された無機充填剤は、平均粒径が0.25から0.38μm、かつ、粒径が0.15μmの数割合が5%以下、0.75μm以上の数割合が5%以下であることを要旨とする。
本発明の第4の特徴は、樹脂基板とメッキ層の間に、前記メッキ層側表面が粗化処理された状態で配置される熱硬化性樹脂組成物であって、ジヒドロベンゾキサジン環構造を主鎖中に有する熱硬化性樹脂と、シランカップリング処理された無機充填剤と、を含み、ジヒドロベンゾキサジン環構造を主鎖中に有する熱硬化性樹脂は、NH−R−NHで表される脂肪族ジアミン(Rは、脂肪族炭化水素基である)、OH−Ar−OH(Arは、芳香族基である)、NH−R−NH(Rは、縮脂環式構造を有する炭化水素基である)、アルデヒド化合物を反応させることにより得られる熱硬化性樹脂物であり、シランカップリング処理された無機充填剤は、平均粒径が0.25から0.38μm、かつ、粒径が0.15μmの数割合が5%以下、0.75μm以上の数割合が5%以下であることを要旨とする。
尚、第1〜第4の特徴において、シランカップリング処理された無機充填剤は、シランカップリング処理されたシリカからなる充填剤であることが好ましい。
本発明の第5の特徴は、上述の熱硬化性樹脂組成物より得られる成形体及びかかる成形体を硬化させて得られる硬化成形体、並びに上述の熱硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化体を要旨とする。
本発明によれば、粗化後の樹脂の表面粗さが小さく、銅めっきと樹脂との接着強度が大きい熱硬化性樹脂組成物及びその成形体を提供できる。
本発明者は、鋭意検討の結果、特定のベンゾキサジン重合体が、上記目的を達成し得ることの知見を得た。本発明はかかる知見に基づくものである。以下、本発明について実施形態を挙げて説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されない。
〔熱硬化性樹脂〕
実施形態にかかる熱硬化性樹脂組成物に用いられる熱硬化性樹脂としては、下記一般式(I)で示される、ジヒドロベンゾキサジン環構造を主鎖中に有する重合体からなるものを用いることができる。
〔式(I)において、Arは、4価の芳香族基を示し、R1は、縮脂環式構造を有する炭化水素基であり、nは、2〜500の整数を示す。〕
本明細書において、「縮脂環式構造」とは、橋かけ環式炭化水素(「有機化合物命名の手引き:化学同人」による)の構造に相当し、脂肪族炭化水素で2個以上の原子を共有している2個以上の環からなる構造である。具体的には本明細書中で一般式(i)や(ii)で示される構造である。
熱硬化性樹脂は、かかる構成からなるため、誘電特性および耐熱性を兼ね備える。熱硬化性樹脂は、上記の通りの重合体からなるものであるため、フィルムやシート等への加工性に優れ、硬化前にも十分な成形性を有する。
また、熱硬化性樹脂は、そのジヒドロベンゾキサジンの開環重合反応により、有害な揮発性物質を伴わずに硬化させることが可能である。
一般式(I)において、Rは、低誘電率化に有効である点から、炭素数を8以上有することが好ましい。
一般式(I)において、Rは、さらに上記特性に加え、より耐熱性を向上可能である点から、縮環構造を有することが好ましい。
熱硬化性樹脂は、(1)NH−R−NHで表される脂肪族ジアミン(Rは、脂肪族炭化水素基である)と、(2)OH−Ar−OH(Arは、芳香族基である)と、(3)NH−R−NH(Rは、縮脂環式構造を有する炭化水素基である)と、(4)アルデヒド化合物と、を反応させることにより得られる、ジヒドロベンゾキサジン環構造を主鎖中に有するものである。
熱硬化性樹脂は、かかる構成からなるため、Rが通常の脂肪環のものよりも柔軟性に優れるものである。熱硬化性樹脂は、上記の通りの重合体からなるものであるため、フィルムやシート等への加工性に優れ、硬化前にも十分な成形性を有する。
また、熱硬化性樹脂は、そのジヒドロベンゾキサジンの開環重合反応により、有害な揮発性物質を伴わずに硬化させることが可能である。
上記熱硬化性樹脂は、下記一般式(II)で示されるものであることが好ましい。
〔式(II)において、Arは、4価の芳香族基を示し、2価のAr由来のジヒドロベンゾキサジン環の一部であり、m+nは、2〜500の整数を示す。〕
上記式(II)において、m及びnは重合度を示し、モノマー構成単位の付加モル数であり、成形時の流動性向上の観点から、m+nは2〜500の整数であることが好ましく、2〜100であることが一層好ましい。
重合度がnのモノマー構成単位(式(II)中左記の単位)と、重合度がmのモノマー構成単位(式(II)中右記の単位)とは、ランダム重合又は交互重合により互いに結合していてもよく、また、各構成単位のみからなる単一重合体が含まれていてもよい。
上記脂肪族ジアミンは、柔軟性の一層の向上の観点から、Rが直鎖状の脂肪族炭化水素基であることが好ましい。
また、Rは炭素数4〜24の脂肪族炭化水素基であることが好ましい。
より好ましくは、Rは炭素数6〜12の脂肪族炭化水素基である。
上記において、Rは、縮環構造を有する脂環式炭化水素基であるため、入手が容易、反応速度、得られる重合体および最終的な硬化体の電気特性などの特性を有するとともに、より耐熱性を向上可能である。
上記Rは、下記(i)で示される基であると、得られる樹脂の電気特性と耐熱性が非常に良好である。
〔式(i)中、*印はNへの結合部位を示す。また、シス−トランス異性体を含む。〕
また、上記Rは、下記(ii)で示される基であると、得られる樹脂の電気特性と耐熱性が非常に良好である。
〔式(ii)中、*印はNへの結合部位を示す。また、シス−トランス異性体を含む。〕
上記において、Arは、4価の芳香族基を示し、特に、入手の容易さ、反応性の点から、下記(iii)、(iv)、(v)のいずれかの構造で示されるものが好ましい。
〔式(iii)〜(v)中、*印の一方はOHへの結合部位、他の一方はオキサジン環4位のメチレン基への結合部位を示す。
また、各芳香環の水素は、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、又は置換もしくは無置換フェニル基で置換されていてもよい。
式(iii)におけるXは、直接結合手(原子もしくは原子団が存在しない)、またはヘテロ元素もしくは官能基を含んでいても良い脂肪族、脂環式もしくは芳香族の炭化水素基を示す。〕
また、中でも式(iii)で示される構造であると、要求特性に応じた樹脂の構造設計が容易であるためにさらに好ましい。
Arが構造(iii)である場合において、該構造(iii)中のXが、下記群Aから選択される少なくとも一つであるとさらに好ましい。
このような構造のものであると、入手が容易であり、重合体の機械的、電気的特性等が優れるため非常に好ましい。
〔各式中、*印は構造(iii)における芳香環への結合部位を示す。〕
また、群Aの中でも特に下記群Bで示される構造のものは、電気特性、耐熱性に優れるため特に好ましい。
〔各式中、*印は構造(iii)における芳香環への結合部位を示す。〕
上記において、Arは、特に、入手の容易さ、硬化体の電気特性および耐熱性の点から、下記群Cより選択される少なくとも一つの構造で示されるものも好ましい。
〔各式中、両端部における*印は(2)のOHへの結合部位、もう一方は(1)〜(4)を反応させて得られる反応物のオキサジン環4位のメチレン基への結合部位を示す。
また、各芳香環の水素は、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、又は置換もしくは無置換フェニル基で置換されていてもよい。]
Arが上記群Cより選択される少なくとも一つである場合にも、Arが(iii)、(iv)、(v)のいずれかの構造で示される場合と同様に、同様の理由から、脂環式構造を有する炭化水素基を示すRは、縮環構造を有する脂環式炭化水素基が好ましく、中でも、(i)で示される基、または(ii)で示される基がより好ましい。
熱硬化性樹脂は、(1)NH−R−NHで表される脂肪族ジアミン(Rは、脂肪族炭化水素基である)と、(2)OH−Ar−OH(Arは、芳香族基である)と、(3)NH−R−NH(Rは、縮脂環式構造を有する炭化水素基である)と、(4)アルデヒド化合物と、を適当な溶媒中で加熱して反応させることにより得られる。
上記例の合成方法に用いられる溶媒は、特に限定されるものではないが、原料のフェノール化合物やアミン化合物及び生成物である重合体の溶解性が良好なものの方が高重合度のものが得られやすい。このような溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒、THF、ジオキサン等のエーテル系溶媒、等が挙げられる。
反応温度、反応時間についても特に限定されないが、通常、室温から120℃程度の温度で数十分から数時間反応させればよい。本発明においては、特に30〜110℃で、20分〜9時間反応させれば、本実施形態に用いられる熱硬化性樹脂としての機能を発現し得る重合体へと反応は進行するため好ましい。
また、反応時に生成する水を系外に取り除くのも反応を進行させる有効な手法である。反応後の溶液に、例えば多量のメタノール等の貧溶媒を加えることで重合体を析出させることができ、これを分離、乾燥すれば目的の重合体が得られる。
上記例の合成方法に用いられる脂肪族ジアミンとしては、特に限定されるものではないが、好ましくはヘキサメチレンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、1,18−オクタデカンジアミン等が挙げられる。
また、上記例の合成方法に用いられるOH−Ar−OH(Arは、芳香族基である)としては、特に限定されるものではないが、好ましくは上記におけるArの好ましい構造(iii)〜(v)の構造において、*印にOH基が結合し、もう一方の結合手にHが結合したような化合物である。
このような化合物の具体例としては、(iii)の構造:4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、2,2’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、2,2’−ジヒドロキシジフェニルメタン、ビスフェノールA、ビスフェノールS、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]ビスフェノール(三井化学製 ビスフェノールP、東京化成では「α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン」の化合物名で販売)、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]ビスフェノール(三井化学製 ビスフェノールM)、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、2,6−ビス((2−ヒドロキシフェニル)メチル)フェノール(a=1の化合物)等のように、連結部Xを除いて、分子内にベンゼン環を二つ有し、ベンゼン環一つに対してOH基が一つ結合している化合物、
(iv)の構造:1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、のように、分子内に一つのナフタレン環を有し、ナフタレン環に対して二つのOH基が結合した化合物、
(v)の構造:1,2−ジヒドロキシベンゼン(カテコール)、1,3−ジヒドロキシベンゼン(レゾルシノール)、1,4−ジヒドロキシベンゼン(ヒドロキノン)のように分子内に一つのベンゼン環を有し、ベンゼン環に対してOH基が二つ結合した化合物、等が挙げられる。
上記の例示としてはOH基の結合している芳香環において、OH基と連結部X((iii)の構造の場合)以外は無置換のものを挙げたが、いずれもOH基のオルト位のいずれか一つが置換可能なHであればよく、芳香環のその他の部位は種々の置換基、たとえば炭素数1〜10の直鎖状あるいは分岐を含む脂肪族炭化水素基や脂環式炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族基で置換されていてもよい。また、連結部Xに芳香環を含む場合においても、この芳香環は種々の置換基、たとえば炭素数1〜10の直鎖状あるいは分岐を含む脂肪族炭化水素基や脂環式炭化水素基等で置換されていてもよい。
芳香環が置換されたものの簡単な例示としては、
(iii)の構造:2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、
(v)の構造:2−メチルレゾルシノール、2,5−ジメチルレゾルシノール
等が挙げられるが、当然これに限定されるものではない。
なお、上記の重合体の合成に際して、得ようとする熱硬化性樹脂の特性を損なわない範囲で、単官能フェノール化合物や3官能フェノール化合物を使用することもできる。単官能フェノールを使用すると重合度を調節することができ、三官能フェノールを使用すると、分岐のある重合体が得られることになる。これらは分子内に2個のフェノール性水酸基を有する化合物と同時に反応させてもよいし、あるいは反応の順序を考慮して後で反応系に添加して反応させてもよい。
また、上記例の合成方法に用いられるNH−R−NH(Rは、縮脂環式構造を有する炭化水素基である)における縮脂環式炭化水素基Rの中でも、特に式(i)や式(ii)で示されるような縮環構造を有するものである場合、既述の通り、得られる樹脂の電気特性と耐熱性が非常に良好であるため好適に使用される。このような縮環構造を有する脂環式炭化水素基において1級アミノ基が結合したような化合物の具体例としては、例えば、3(4),8(9),−ビス(アミノメチル)トリシクロ[5,2,1,02,6]デカン、2,5(6)−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、又は、1,3−ジアミノアダマンタン等が挙げられる。3(4),8(9),−ビス(アミノメチル)トリシクロ[5,2,1,02,6]デカンはセランス(Celanese)社から「TCD ジアミン(Diamine)」の製品名で販売されているものを使用することができ、2,5(6)−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタンは三井化学から「NBDA」の製品名で販売されているものを使用することができる。これらは単独で用いられても複数を併用してもよい。
また、上記「NH−R−NHで表される脂肪族ジアミン」は、長鎖型や、長鎖分岐型であってもよい。
なお、本発明のベンゾキサジン重合体の特性を損なわない範囲で、単官能アミン化合物や三官能アミン化合物を使用することもできる。単官能アミンを使用すると重合度を調節することができ、三官能アミンを使用すると、分岐のある重合体が得られることになる。これらはジアミン化合物と同時に反応させてもよいし、あるいは反応の順序を考慮して後で反応系に添加して反応させてもよい。
また、上記例の合成方法に用いられるアルデヒド化合物としては、特に限定されるものではないが、ホルムアルデヒドが好ましく、該ホルムアルデヒドとしては、その重合体であるパラホルムアルデヒドや、水溶液の形であるホルマリン等の形態で使用することが可能である。また、その他のアルデヒド化合物としてアセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド等も用いることができる。
前述のようにして得られる重合体からなる熱硬化性樹脂は、特に誘電特性、耐熱性、及び柔軟性の両立という点で非常に優れた特性を有するが、その他、耐水性、耐薬品性、機械強度、信頼性、等に優れ、硬化時における揮発性副生成物やコストの面でも問題がなく、また保存性に優れており、分子設計の自由度が広い等の様々な利点を有する樹脂であり、フィルムやシート等にも容易に加工することができる。
〔熱硬化性樹脂組成物〕
実施形態にかかる熱硬化性樹脂組成物は、上述のジヒドロベンゾキサジン環構造を主鎖中に有する熱硬化性樹脂と、シランカップリング処理された無機充填剤と、を含む熱硬化性樹脂組成物に関する。ジヒドロベンゾキサジン環構造を主鎖中に有する熱硬化性樹脂としては、上述のような、一般式(I)で示される熱硬化性樹脂、一般式(II)で示される熱硬化性樹脂、及びNH−R−NHで表される脂肪族ジアミン(Rは、脂肪族炭化水素基である)、OH−Ar−OH(Arは、芳香族基である)、NH−R−NH(Rは、縮脂環式構造を有する炭化水素基である)、アルデヒド化合物を反応させることにより得られる熱硬化性樹脂物からなる群から選択することができる。
シランカップリング処理された無機充填剤としては、真球状微細粒子でシャープな粒度分布を持つものが好ましい。具体的には平均粒径が0.25から0.38μm、かつ、粒径が0.15μmの数割合が5%以下、0.75μm以上の数割合が5%以下であるものが好ましく、平均粒径が0.25μmから0.30μm、かつ、粒径が0.15μmの数割合が5%以下の数割合、0.75μm以上の数割合が5%以下であるものがより好ましい。
無機充填剤の材質としては、熱硬化性樹脂組成物の硬化成形体を粗化した際に、硬化成形体の表面粗さが小さく、銅めっきと硬化成形体との接着強度が大きくなるものであれば、特に制限なく種々の無機充填剤を用いることができる。例えば、シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、チタン酸カリウム、炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミ、窒化ホウ素、ベリリア、ジルコニア、ジルコン、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア等の粉体、又はこれらを球形化したビーズ、ガラス繊維などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、シリカが好ましい。表面荒さに加え、穴の数、形状もピール強度に向上に寄与するからである。具体的にはアドマテックス社製、商品名「アドマフィン」を用いることができる。シランカップリング処理された無機充填剤の配合量(溶媒重量を除く)は、熱硬化性樹脂の全重量を100重量部としたときに、10重量部から40重量部が好ましく、20重量部から30重量部がより好ましい。
上記熱硬化性樹脂組成物は、好ましくは、さらに分子内に少なくとも一つのジヒドロベンゾキサジン構造を有する化合物を含むものである。すなわち、上記熱硬化性樹脂を主成分として含み、且つ、副成分として、分子内に少なくとも一つのジヒドロベンゾキサジン構造を有する化合物を含む熱硬化性樹脂が好ましい。このような熱硬化性樹脂組成物とすることにより、ベンゾキサジン樹脂の優れた誘電特性を最大限に発現するのに効果的である。
本明細書において、「分子内に少なくとも一つのジヒドロベンゾキサジン構造を有する化合物」としては、例えば以下のもが挙げられる。
このような化合物は、分子内にフェノール性水酸基を有し、かつそのオルト位の一つがHであるような化合物と、分子内に1級アミノ基を有する化合物とホルムアルデヒドとの縮合反応により得ることができる。このとき、フェノール性水酸基を分子内に複数有する化合物を用いる場合には、1級アミノ基を分子内に一つのみ有する化合物を使用し、1級アミノ基を分子内に複数有する化合物を使用する場合には、フェノール性水酸基を分子内に一つのみ有する化合物を使用する。この分子内に少なくとも1つのジヒドロベンゾキサジン環を有する化合物は、1種のみを用いてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記熱硬化性樹脂組成物は、好ましくは、さらに、上記熱硬化性樹脂と異なる他の熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を含むものである。すなわち、上記熱硬化性樹脂を主成分として含み、且つ、副成分として、他の熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を含むものが、成形体の誘電特性・耐熱性・柔軟性に優れる点で好ましい。
副成分としての、他の熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂としては、例えば、エポキシ系樹脂、熱硬化型変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、熱硬化型ポリイミド樹脂、ケイ素樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アリル樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビスマレイミド系樹脂、アルキド樹脂、フラン樹脂、ポリウレタン樹脂、アニリン樹脂等が挙げられる。
これらの中では、熱硬化性樹脂組成物から形成される成形体の耐熱性をより向上させ得る観点から、エポキシ系樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、熱硬化型ポリイミド樹脂がより好ましい。これらの他の熱硬化性樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
更に、上記他の熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂の中でも、成形体の柔軟性が向上する点からは、エポキシ系樹脂が好ましい。ここでいうエポキシ系樹脂としては、具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、置換ビスフェノールA型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールビフェニレン型エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂等のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート等の環式脂肪族エポキシ樹脂、アジピン酸ジグリシジルエステル型、フタル酸ジグリシジルエステル型等のグリシジルエステル型エポキシ樹脂、ジグリシジルアニリン型、アミノフェノール型、脂肪族アミン型、ヒダントイン型等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒドロキシ安息香酸型エステル型、α―メチルスチルベン型等の液晶エポキシ樹脂、感光性、分解性等の機能を有するエポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、チイラン変性エポキシ樹脂等が挙げられる。さらに必要に応じて、脂肪族ポリアミン、脂環式ポリアミン、芳香族ポリアミン等のポリアミン系硬化剤、ポリアミノアミド、アミン−エポキシアダクト、マイケル付加ポリアミン、マンニッヒ反応物、尿素又はチオ尿素との反応物、ケチミン、シッフ塩基等の変性ポリアミン系硬化剤、イミダゾール類、2−フェニルイミダゾリン、三級アミン(DBU等)、トリフェニルホスフィン、ホスホニウム塩、有機酸ヒドラジン等の塩基性硬化剤、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等の酸無水物系硬化剤、フェノールノボラック、キシリレンノボラック、ビフェニルノボラック、ジシクロペンタジエンフェノールノボラック等のポリフェノール型硬化剤等を配合することが出来る。
また、上記他の熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂の中でも、耐熱性と柔軟性の向上の点からは、ポリイミド樹脂が好ましい。
本ポリイミド樹脂は、通常、テトラカルボン酸の二無水物とジアミン化合物を反応させて得られるものが用いられる。ポリイミド樹脂は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
ポリイミド樹脂の一方の原料であるテトラカルボン酸二無水物の具体例としては、無水ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3’,3,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物等、シクロペンタン―1,2,3,4―テトラカルボン酸二無水物等を挙げることが出来るが、必ずしもこれに限定するものではなく、種々のテトラカルボン酸二無水物を用いることができる。これらは単独で使用されても、二種以上を組み合わせて用いても良い。
ポリイミド樹脂のもう一方の原料であるジアミン化合物としては、分子内にアミノ基を二個以上有する化合物であれば限定することなく用いることができる。その具体例としては、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、等が挙げられるが、必ずしもこれに限定するものではなく、種々のジアミン化合物を用いることができる。これらは単独で使用されても、二種以上を組み合わせて用いても良い。
実施形態で用いるポリイミド樹脂は熱可塑性でも熱硬化性でも良く、また、溶剤等を用いて溶液状に加工されたものでも良い。
一方、本発明に用いるポリアミック酸は、上記テトラカルボン酸の二無水物とジアミン化合物とを反応させて得られるものであり、その後加熱することにより脱水と共に閉環しポリイミド樹脂を生成する。ポリアミック酸は、通常、溶剤中で合成されそのまま塗液とする。用いられる溶剤は、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホムアミド、ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルフォキサイド、γ−ブチロラクトン、1,2−ジエトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、シクロヘキサノン等である。
主成分としての上記熱硬化性樹脂(一般式(I)で示される、ジヒドロベンゾキサジン環構造を主鎖中に有する重合体)と、副成分としての他の熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂との配合比(前者/後者の重量比)は、好ましくは1/99〜99/1、更に好ましくは5/95〜95/5である。
また、実施形態にかかる熱硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、難燃剤、造核剤、酸化防止剤(老化防止剤)、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、難燃助剤、帯電防止剤、防曇剤、軟化剤、可塑剤、着色剤等の各種添加剤を含有していてもよい。これらはそれぞれ単独で用いられてもよく、2種以上が併用して用いても構わない。また実施形態にかかる熱硬化性樹脂組成物を調製する際に、反応性あるいは非反応性の溶剤を使用することもできる。
〔成形体〕
実施形態にかかる成形体は、上記熱硬化性樹脂組成物を成形して得られるものである。実施形態にかかる成形体としては、前述した熱硬化性樹脂組成物が硬化前にも成形性を有しているため、いったん硬化前に成形した後に熱をかけて硬化させたもの(硬化成形体)でも、成形と同時に硬化させたもの(硬化体)でもよい。また、その寸法や形状は特に制限されず、例えば、シート状(板状)、ブロック状等が挙げられ、さらに他の部位(例えば粘着層)を備えていてもよい。また、この形成体は、熱硬化性能をもち、フィルム状、板状、塊状等のものであってもよい。
その硬化方法としては、従来公知の任意の硬化方法を用いることができ、一般には120〜260℃程度で数時間加熱すればよいが、加熱温度がより低かったり、加熱時間が不足したりすると、場合によっては、硬化が不十分となって機械的強度が不足することがある。また、加熱温度がより高すぎたり、加熱時間が長すぎたりすると、場合によっては、分解等の副反応が生じて機械的強度が不都合に低下することがある。よって、用いる熱硬化性化合物の種類に応じた適正な条件を選択することが望ましい。
また、硬化を行う際に、適宜の硬化促進剤を添加してもよい。この硬化促進剤としては、ジヒドロベンゾキサジン化合物を開環重合する際に一般的に使用されている任意の硬化促進剤を使用でき、例えば、カテコール、ビスフェノールA等の多官能フェノール類、p−トルエンスルホン酸、p−フェノールスルホン酸等のスルホン酸類、安息香酸、サリチル酸、シュウ酸、アジピン酸等のカルボン酸類、コバルト(II)アセチルアセトネート、アルミニウム(III) アセチルアセトネート、ジルコニウム(IV)アセチルアセトネート等の金属錯体、酸化カルシウム、酸化コバルト、酸化マグネシウム、酸化鉄等の金属酸化物、水酸化カルシウム、イミダゾール及びその誘導体、ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロノネン等の第三級アミン及びこれらの塩、トリフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン・ベンゾキノン誘導体、トリフェニルホスフィン・トリフェニルボロン塩、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート等のリン系化合物及びその誘導体が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
硬化促進剤の添加量は特に限定されないが、添加量が過多となると、成形体の誘電率や誘電正接が上昇して誘電特性が悪化したり、機械的物性に悪影響を及ぼしたりする場合があるので、一般に、熱硬化性樹脂100重量部に対し硬化促進剤を好ましくは5重量部以下、より好ましくは3重量部以下の割合で用いることが望ましい。
上記熱硬化性樹脂組成物より得られる成形体であって、重合体構造中に基Rで表されるような縮脂環式炭化水素基を有するものは、主として分子間隙の増大による低密度化、及びそれ以外の何らかの要因、更には分子内のベンゼン環の立体配置分布の影響により、極めて優れた誘電特性を実現することができ、さらに優れた耐熱性を実現することができる。
上記熱硬化性樹脂組成物がより剛直な縮環式の脂環式炭化水素基を有する場合には、得られる成形体は、ベンゾキサジンの特性である優れた誘電特性に加え、柔軟性の付与を実現することができる。
上記熱硬化性樹脂組成物より得られる成形体であって、重合体構造中に基Rで表されるような縮脂環式炭化水素基と、基Rで表されるような脂肪族基を有するものは、主として分子間隙の増大による低密度化、及びそれ以外の何らかの要因、更には分子内のベンゼン環の立体配置分布の影響により、極めて優れた誘電特性を実現することができ、さらに優れた耐熱性、及び柔軟性を実現することができる。
また、上記成形体は、上記熱硬化性樹脂組成物の有する熱硬化性という性質に基づいて信頼性、難燃性、成形性、美観性等に優れており、しかもガラス転移温度(Tg)が高いので、応力がかかる部位や可動部にも適用することが可能であり、且つ、重合時に揮発性の副生成物を発生しないので、そのような揮発性の副生成物が成形体中に残存せず衛生管理上も好ましい。
実施形態にかかる成形体は、電子部品・電子機器及びその材料(電子機器用材料基板材料等)、特に優れた誘電特性が要求される多層基板、積層板、封止剤、接着剤等の用途に好適に用いることができ、その他、航空機部材、自動車部材、建築部材、等の用途にも使用することができる。
本明細書において、「電子機器」には、例えば、ICカード、携帯電話、ビデオカメラ、コンピュータ、ファックス装置、デジタルカメラ、車載用機器(GPS、カーナビゲーション装置等)、PDA、電子手帳等が含まれる。
上記電子機器用材料基板材料は、コンピュータにおいては、高周波動作を行う回路基板として、携帯電話においては、高周波動作を行う回路基板又はそれを含む回路基板として、車載機器においては、GPSや測距レーダに用いられる高周波用回路基板として、用いることができる。
高周波用回路基板においては、高速動作のためには遅延時間の短縮が必要であり、基板が低誘電率であることが要求される。また、高周波では周波数に比例して損失が増えるため、低誘電損失が望まれる。さらに、GPSや側距レーダにおいてもアンテナ利得の面で低誘電損失が望まれる。上記電子機器用基板材料を用いることによって、これらの所望の特性に優れた電子機器を提供することができる。
以上実施形態を挙げて説明してきたが、本発明によれば、粗化後の樹脂の表面粗さが小さく、銅めっきと樹脂との接着強度が大きい熱硬化性樹脂組成物及びその成形体を提供できる。
本発明によれば、誘電特性、特に誘電率と誘電体損失が従来に比して更に改善され、かつ耐熱性が改善された熱硬化性樹脂組成物、並びにそれから得られる成形体、硬化体、硬化成形体、電子機器用基板材料、電子機器を提供できる。また、本発明によれば、ジヒドロベンゾキサジン環開環重合組成物の優れた誘電特性を保持しつ、耐熱性、及び柔軟性を兼ね備えた熱硬化性樹脂組成物、並びにそれから得られる成形体、硬化体、硬化成形体、電子機器用基板材料、電子機器を提供できる。本発明は、絶縁材料として電子基板に用いることができる。本発明によれば、電子基板を用いた携帯電話、コンピュータ、自動車用電子機器を提供できる。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが本発明は以下の実施例には限定されない。
[熱硬化性樹脂組成物の調製例]
(脂肪族主鎖型ベンゾオキサジンの調製)
クロロホルム中に、ビスフェノールA(東京化成製、99%)18.45g(0.08mol)、3(4),8(9),−ビス(アミノメチル)トリシクロ[5,2,1,02,6]デカン(東京化成製、97%)4.00g(0.02mol)、1,6−ヘキサンジアミン(和光純薬製、97%)6.97g(0.06mol)、パラホルムアルデヒド(和光純薬製、94%)10.73g(0.34mol)を投入し、還流下で6時間反応させた。反応後の溶液を多量のメタノールに投じて重合体を析出させた。その後、ろ別により重合体を分離し、メタノールで洗浄した。その後、減圧乾燥により、重合体を得た。GPCによる分子量の測定では、標準ポリスチレン換算で重量平均分子量は4,600であった。
得られた脂肪族主鎖型ベンゾオキサジンを用いて、以下の実施例1〜3、比較例1,2の条件下で熱硬化性樹脂組成物として樹脂ワニスを調製した。
(実施例1)
100重量部(21g)の脂肪族主鎖型ベンゾオキサジン(BisA_TCD[25]_C6[75])、42.85重量部(シリカ分9g、シリカ溶液として15g)のエポキシシランカップリング処理スラリーシリカ(アドマテックス社製、製品名「アドマファイン SE1050-MLM」、平均粒径0.3μm、メチルエチルケトン溶媒、固形分60重量%)からなる混合物に、溶媒としてトルエンを加えて50重量%のベンゾオキサジン樹脂ワニス60gを調製した。
(実施例2)
100重量部(21g)の脂肪族主鎖型ベンゾオキサジン、42.85重量部(シリカ分9g、シリカ溶液として15g)のエポキシシランカップリング処理スラリーシリカ アドマファイン SE1050-MLMを分級処理を施し、さらに平均粒子径を小さくしたもの(アドマテックス社製:平均粒径0.275μm、メチルエチルケトン溶媒、固形分60重量%)からなる混合物に、溶媒としてトルエンを加えて50重量%のベンゾオキサジン樹脂ワニス60gを調製した。
(実施例3)
100重量部(24g)の脂肪族主鎖型ベンゾオキサジン、25重量部(シリカ分6g、シリカ溶液として10g)のエポキシシランカップリング処理スラリーシリカ アドマファイン SE1050-MLMを分級処理を施し、さらに平均粒子径を小さくしたもの(アドマテックス社製:平均粒径0.275μm、メチルエチルケトン溶媒、固形分60重量%)からなる混合物に、溶媒としてトルエンを加えて50重量%のベンゾオキサジン樹脂ワニス60gを調製した。
(実施例4)
100重量部(24g)の脂肪族主鎖型ベンゾオキサジン、42.85重量部(シリカ分6g、シリカ溶液として10g)のイミダゾールシランランカップリング処理スラリーシリカ アドマファイン SE1050-MLM(アドマテックス社製:平均粒径0.3μm、DMF溶媒、固形分60重量%)からなる混合物に、溶媒としてトルエンを加えて50重量%のベンゾオキサジン樹脂ワニス60gを調製した。
(比較例1)
100重量部(21g)の脂肪族主鎖型ベンゾオキサジン、42.85重量部(シリカ分9g、シリカ溶液として12.85g)のビニルシランカップリング処理スラリーシリカ アドマファインSC2050-TNF(アドマテックス社製:平均粒径0.5μm、トルエン溶媒、固形分70重量%)からなる混合物に、溶媒としてトルエンを加えて50重量%のベンゾオキサジン樹脂ワニスを60g調製した。
(比較例2)
100重量部の脂肪族主鎖型ベンゾオキサジン、42.85重量部(シリカ分9g、シリカ溶液として18g)のイミダゾールシランカップリング処理球状シリカCRS-140X(IM)-1Fx(龍森社製:平均粒径0.1μm)をDMF溶媒中にシリカ量50wt%となるように分散させたスラリーシリカ(日弘ビックス社製)からなる混合物に、溶媒としてトルエンを加えて50重量%のベンゾオキサジン樹脂ワニスを調製した。
[熱硬化性樹脂組成物の成形体例及びその硬化成形体例]
実施例1〜4、比較例1,2で得られた各例の樹脂ワニスをディスパーT.K.ホモディスパー2.5モデル(プライミクス社製)で良く攪拌した。これをシリコン離型処理を施した50μmポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)上にダイコーターで125μmとなるように塗工し80℃で10分間乾燥し、厚さ40μmのBステージの熱硬化性樹脂フィルムを作製した。これをガラス強化エポキシ樹脂基板(FR―4基板)と合わせ、真空ラミネーターを用いて80℃、加圧度0.5MPa、40秒でラミネートした。
得られた成形体をオーブンを用いて180℃で3時間の加熱をし、プレキュアとした。そしてこれをスウェリングディップセキュリガントP(アトテック(atotech)社製)500ml、NaOH3gで調整した1lの膨潤液で80℃、30分の膨潤処理を行った後に、コンセントレートコンパクトCP(アトテック社製)640ml、NaOH40gで調整した1lの過マンガン酸デスミア液で80℃30分表面粗化を行った。実施例1、2、比較例1に対応する硬化成形体の表面を観察した走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図1、図2、図3に示す。
次に、32℃、5分間無電解メッキ液に浸し無電解めっきを1.0μmつけ、0.03A/cm、1時間の電流を流し、電解めっきを24μmを付け、180℃で1時間アフターベーキングを行った。
[評価]
実施例1〜4、比較例1,2の樹脂ワニスから得られた各硬化成形体について、JISC6481の5.7に準拠してピール強度の測定を、JISC6481の5.20に準拠して、測定装置:ニコン(Nicon)社製、製品名「Measureing Microscope MM−40」、測定視野:125.4μm×94.08μm、倍率50倍の条件で表面粗さ[算術平均粗さ(Ra)、十点平均粗さ(Rz)]の測定を行った。得られた結果を以下に示す。
(実施例1)
ピール強度=0.80kgf/cm、表面粗さ(Ra)=0.16μm、表面粗さ(Rz)=1.09μm
(実施例2)
ピール強度=0.78kgf/cm、表面粗さ(Ra)=0.12μm、表面粗さ(Rz)=0.95μm
(実施例3)
ピール強度=0.68kgf/cm、表面粗さ(Ra)=0.10、表面粗さ(Rz)=0.90μm
(実施例4)
ピール強度=0.69kgf/cm、表面粗さ(Ra)=0.14、表面粗さ(Rz)=1.10μm
(比較例1)
ピール強度=0.12kgf/cm、表面粗さ(Ra)=0.10μm 測定中、表面粗さ(Rz)=1.10μm
(比較例2)
ピール強度= 0.20kgf/cm、表面粗さ(Ra)=0.07μm、表面粗さ(Rz)=0.93μm
以上、実施例によれば、粗化後の樹脂の表面粗さが小さく、銅めっきと樹脂との接着強度が大きい熱硬化性樹脂組成物及びその成形体が得られることが分かった。
上記実施例で用いた熱硬化性樹脂の他にも種々の熱硬化性樹脂を用いて、熱硬化性樹脂組成物並びにそれらから得られた成形体及び硬化成形体を調製することができる。以下に熱硬化性樹脂等の参考例を示す。
参考例A
(参考例1)
クロロホルム中に、ビスフェノールA(東京化成製、99%)18.45g(0.08mol、3(4),8(9),−ビス(アミノメチル)トリシクロ[5,2,1,02,6]デカン(東京化成製、97%)16.03g(0.08mol)、パラホルムアルデヒド(和光純薬製、94%)10.22g(0.32mol)を投入し、還流下で6時間反応させた。反応後の溶液を多量のメタノールに投じて重合体を析出させた。その後、ろ別により重合体を分離し、メタノールで洗浄した。その後、減圧乾燥により重合体を得た。GPCによる分子量の測定では、標準ポリスチレン換算で重量平均分子量は4,600であった。
(参考例2)
ビスフェノールAの代わりに、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(東京化成製、99%)21.69g(0.08mol)を用いた以外は、参考例1と同様にして重合体を合成した。重量平均分子量は3,800であった。
(参考例3)
クロロホルム中に、α、α'−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン(ビスフェノールPと同一化合物、東京化成製、98%)22.99g(0.065mol)、3(4),8(9),−ビス(アミノメチル)トリシクロ[5,2,1,02,6]デカン(東京化成製、97%)13.02g(0.065mol)、パラホルムアルデヒド(和光純薬製、94%)8.31g(0.26mol)を投入し、還流下で6時間反応させた。反応後の溶液を多量のメタノールに投じて重合体を析出させた。その後、ろ別により重合体を分離し、メタノールで洗浄した。その後、減圧乾燥により重合体を得た。GPCによる分子量の測定では、標準ポリスチレン換算で重量平均分子量は5,700であった。
(参考例4〜6)
参考例1〜3で得られた重合体を140℃、160℃、180℃で各1時間保持する熱プレス法によりシート状に成形し、厚さ0.5mmのシート状の硬化成形体を得た。
得られた成形体について、誘電率測定装置(AGILENT社製、商品名「RFインピーダンス/マテリアル アナライザ E4991A」)を用いて容量法により、23℃、100MHz及び1GHzにおける誘電率及び誘電正接を測定した。
また得られたシートを細かく裁断し、島津製作所製、商品名「DTG−60」を用いてTGA法により、10℃/minの昇温速度で5%重量減少温度(Td5)を評価した。
測定・評価結果を表1に示す。

表1に示す通り、参考例4〜6の硬化成形体は、いずれも誘電率が3以下であり、誘電正接も0.005以下と良好な誘電特性を示した。また、参考例4〜6の硬化成形体はいずれもTd5が308℃〜350℃と非常に良好な値を示した。
(参考例7)
ビスフェノールAの代わりに、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(東京化成製、98%)20.93g(0.08mol)を用いた以外は、参考例1と同様にして重合体を合成した。重量平均分子量は4,300であった。
(参考例8)
クロロホルム中に、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(東京化成製、99%)22.08g(0.065mol)、3(4),8(9),−ビス(アミノメチル)トリシクロ[5,2,1,02,6]デカン(東京化成製、97%)13.02g(0.065mol)、パラホルムアルデヒド(和光純薬製、94%)8.72g(0.27mol)を投入し、還流下で6時間反応させた。反応後の溶液を多量のメタノールに投じて重合体を析出させた。その後、ろ別により重合体を分離し、メタノールで洗浄した。その後、減圧乾燥により、重合体を得た。GPCによる分子量の測定では、標準ポリスチレン換算で重量平均分子量は5,900であった。
(参考例9)
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンの代わりに9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(東京化成製、98%)23.24g(0.065mol)、を使用した以外は、参考例8と同様にして重合体を合成した。GPCによる分子量の測定では、標準ポリスチレン換算で重量平均分子量は7,000であった。
(参考例10)
クロロホルム中に、ビスフェノールA(東京化成製、99%)18.45g(0.065mol)、2,5(6),−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン(三井化学製、99.8%)12.37g(0.08mol)、パラホルムアルデヒド(和光純薬製、94%)10.73g(0.34mol)を投入し、還流下で6時間反応させた。反応後の溶液を多量のメタノールに投じて重合体を析出させた。その後、ろ別により重合体を分離し、メタノールで洗浄した。その後、減圧乾燥により、重合体を得た。GPCによる分子量の測定では、標準ポリスチレン換算で重量平均分子量は5,600であった。
(参考例11)
ビスフェノールAの代わりに、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(本州化学製、99.9%)21.49g(0.08mol)を用いた以外は、参考例10と同様にして重合体を合成した。GPCによる分子量の測定では、標準ポリスチレン換算で重量平均分子量は5,000であった。
(参考例12)
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンの代わりに1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン(東京化成製、98%)18.89g(0.065mol)を使用した以外は、参考例8と同様にして重合体を合成した。GPCによる分子量の測定では、標準ポリスチレン換算で重量平均分子量は4,900であった。
(参考例13)
ビスフェノールAの代わりに、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(東京化成製、98%)17.49g(0.08mol)を用いた以外は、参考例1と同様にして重合体を合成した。重量平均分子量は5,200であった。
(参考例14)
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンの代わりにビスフェノールM(三井化学製、99.5%)22.63g(0.065mol)を使用した以外は、参考例8と同様にして重合体を合成した。GPCによる分子量の測定では、標準ポリスチレン換算で重量平均分子量は6,100であった。
(参考例15)
3(4),8(9),−ビス(アミノメチル)トリシクロ[5,2,1,02,6]デカンの代わりに、2,5(6),−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン(三井化学製、99.8%)10.05g(0.065mol)を用いた以外は、参考例3と同様にして重合体を合成した。重量平均分子量は6,600であった。
(参考例16)
参考例1で得られた重合体100重量部、エピコート#1007(ジャパンエポキシレジン製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂)50重量部をTHF100重量部に溶解して熱硬化性樹脂組成物の溶液を調製した。これをPETフィルム上にキャストし、THFを乾燥させて除去し、厚さ150μmの熱硬化性樹脂組成物からなるフィルムを得た。
(参考例17)
参考例16で得られたフィルムをオーブン中で、140℃で1時間、160℃で1時間、180℃で1時間加熱することにより、硬化フィルムを得た。得られた硬化フィルムの誘電特性を評価したところ、100MHzでは誘電率2.95、誘電正接0.013、1GHzでは誘電率2.90、誘電正接0.012と比較的良好な誘電特性を示した。また、参考例4で得られたフィルムは180°の屈曲試験にて白化したことに対し、参考例16で得られたフィルムでは柔軟性が付与されており、180°の屈曲試験でも折り目が付くだけで白化せずフィルムとしては透明なままで問題がなかった。屈曲試験では、サンプルフィルムを幅10mmとし、2つ折りにして、3kgfの力で両側から押さえた後にフィルムを広げ、折り目が付いているのみで透明:○、フィルムが白化している:△、フィルムが割れる:×、の評価を行っている。
(参考例18)
エピコート#1007の配合比を100重量部、200重量部とした以外は参考例16と同様の操作を行い、未硬化フィルムを作製し、ついで140,160,180℃各一時間熱処理を行うことにより硬化フィルムを得た。得られた硬化フィルムの誘電特性(誘電率ε、誘電損失tanδ)を評価し下記の結果を得た。
評価結果
at 100MHz at 1GHz
参考例18-a (100重量部配合) ε 3.00 tanδ 0.017 ε2.94 tanδ 0.015
参考例18-b (200重量部配合) ε 3.08 tanδ 0.021 ε2.98 tanδ 0.019
また、上記に記載の屈曲試験は両者とも○であった。
(参考例a1)
〔ポリアミック酸の合成〕
モレキュラーシーブス4Aにて脱水したN−メチル−2−ピロリドン3762gに以下のモノマーを添加して溶解させ、窒素気流下、撹拌機を用いて150rpmの撹拌速度で3時間均一に撹拌することによってポリアミック酸溶液を得た。
・無水ピロメリット酸 218g(1モル)
・4、4’−ジアミノジフェニルエーテル 200g(1モル)
〔板状成形体の作製〕
上記により調製したポリアミック酸溶液に対し、参考例1で得られた重合体を固形分比として10wt%となるように加え、その後よく攪拌・振とうして均一な溶液とした。
得られた混合溶液を、アプリケータを用いてポリエチレンテレフタレート(PET)のシート上に塗布した後、窒素雰囲気下100℃で1時間保ち大部分の溶剤を除去した。その後、150℃で1時間、200℃で1時間の順に加熱することによってベンゾオキサジンの重合とポリアミック酸の閉環によるポリイミドの生成を同時に行い、厚さ50μmの板状成形体を作製した。
〔誘電率および誘電正接の測定〕
上述の参考例及び比較例で得られた板状成形体から試験片を切り出し、下記の要領に沿って物性測定を行った。
得られた厚さ50μmの板状成形体から15mm×15mmの試験片を切り出し、これを誘電率測定装置(HEWLETT PAKARD社製、品番「HP4291B」)に供給し23℃で測定を行い、100MHzにおける誘電率および誘電正接を読み取った。誘電率は3.21,誘電正接は0.0038の結果を得た。また、上記に記載の屈曲試験はいずれのフィルムも○であった。
また、同一のサンプルにおいて誘電率測定装置(AGILENT社製、商品名「RFインピーダンス/マテリアル アナライザ E4991A」)を用いて容量法により、23℃、100MHz及び1GHzにおける誘電率及び誘電正接を再測定したところ、誘電率3.21,誘電正接0.0037の結果を得た。
(参考例19)
エピコート#1007に変えてNC3000H(日本化薬製、ビフェニル型エポキシ樹脂)をそれぞれ20重量部、50重量部、100重量部とした以外は参考例16と同様の操作を行い、未硬化フィルムを作製し、ついで140,160,180℃各一時間熱処理を行うことにより硬化フィルムを得た。得られた硬化フィルムの誘電特性を評価し下記の結果を得た。
評価結果
at 100MHz at 1GHz
参考例19-a( 20重量部配合) ε 3.04 tanδ 0.006 ε 3.01 tanδ 0.006
参考例19-b( 50重量部配合) ε 3.08 tanδ 0.009 ε 3.04 tanδ 0.009
参考例19-c(100重量部配合) ε 3.21 tanδ 0.012 ε 3.14 tanδ 0.015
また、上記に記載の屈曲試験はいずれのフィルムも○であった。
(参考例20、21)
参考例10および15で得られた重合体を用い、熱プレス法により180℃で1時間保持して、厚さ0.5mmのシート状の硬化成形体を得た。
得られた成形体について、参考例4〜6と同様にして誘電率、誘電正接およびTGA法による熱分解特性を評価した。結果をまとめて表2に示す。
参考例22〜33
一般式(II)において、Rが−(CH−、Rが下記(i)で示される基、
mが下記式で示される割合(%)である場合に、i及びmを種々の組合せで変化させた以下の各参考例におけるCTE、Td、及び屈曲試験について評価した。
さらに、誘電率、誘電正接についても測定した。
〔数1〕
m(%)=〔Rのモル数/(Rのモル数+Rのモル数)〕×100
[CTE(ppm/℃)(CTEは温度に対する材料の線膨張率である)の測定]
サンプルを75〜100μm厚、幅4mmにして、SII社(エスアイアイナノテクロジー社)のTMA(熱機械分析装置)DMS6100で温度に対するのびを23〜100℃で測定した。
屈曲試験では、サンプルフィルムを幅10mm、厚み75μとし、2つ折りにして、3kgfの力で両側から押さえた後にフィルムを広げ、折り目が付いているのみで透明:○、フィルムが白化している:△、フィルムが割れる:×、の評価を行った。
〔誘電率、誘電正接の測定〕
参考例22〜33で得られた重合体を熱プレス法によりシート状に成形し、140℃、160℃、180℃で各1時間保持し、厚さ0.5mmのシート状の硬化成形体を得た。
得られた成形体について、誘電率測定装置(AGILENT社製、商品名「RFインピーダンス/マテリアル アナライザ E4991A」)を用いて容量法により、23℃、100MHz及び1GHzにおける誘電率及び誘電正接を測定した。
〔5%重量減少温度(Td5)の測定〕
また得られたシートを細かく裁断し、島津製作所製、商品名「DTG−60」を用いてTGA法により、10℃/minの昇温速度で5%重量減少温度(Td5)を評価した。
以上の結果を次に示す。
i m CTE Td 屈曲 厚み 誘電率 tanδ
(%) (ppm/℃) 試験 [μ] (100MHz)
参考例22 2 50 58 284 × 82 2.85 0.003
参考例23 4 50 58 311 × 83 2.78 0.003
参考例24 6 50 59 321 ○ 84 2.79 0.005
参考例25 8 50 77 326 ○ 82 2.80 0.006
参考例26 12 50 125 331 ○ 88 2.77 0.005
参考例27 6 0 57 337 △ 82 2.69 0.002
参考例28 6 10 68 331 △ 83 2.77 0.004
参考例29 6 25 67 324 ○ 85 2.84 0.004
参考例30 6 50 59 321 ○ 84 2.79 0.005
参考例31 6 75 64 320 ○ 88 2.73 0.007
参考例32 6 90 70 311 ○ 80 2.95 0.008
参考例33 6 100 72 312 ○ 85 2.84 0.006
以上の結果より、次のことがわかる。
CTEの面からは、C(炭素数)が8以下、さらに6以下が望ましい。
Tdの面からは、C6以上が望ましく、Cが6の場合にmが75%以下、さらに50%以下が望ましい。
われの面からは、Cが6の場合にmが10%以上、さらに25%以上が望ましい。
参考例B
〔参考例B−1〕
クロロホルム中に、ビスフェノールA(東京化成製、99%)18.45g(0.08mol)、3(4),8(9),−ビス(アミノメチル)トリシクロ[5,2,1,02,6]デカン(東京化成製、97%)8.01g(0.04mol)、1,12−ドデカンジアミン(和光純薬製、97%)8.26g(0.04mol)、パラホルムアルデヒド(和光純薬製、94%)10.73g(0.34mol)を投入し、還流下で6時間反応させた。反応後の溶液を多量のメタノールに投じて重合体を析出させた。その後、ろ別により重合体を分離し、メタノールで洗浄した。その後、減圧乾燥により、重合体を得た。GPCによる分子量の測定では、標準ポリスチレン換算で重量平均分子量は16,600であった。
〔参考例B−2〕
クロロホルム中に、α、α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン(東京化成製、98%)22.98g(0.065mol)、3(4),8(9),−ビス(アミノメチル)トリシクロ[5,2,1,02,6]デカン(東京化成製、97%)6.51g(0.0325mol)、1,12−ドデカンジアミン(和光純薬製、97%)6.71g(0.0325mol)、パラホルムアルデヒド(和光純薬製、94%)8.72g(0.27mol)を投入し、還流下で6時間反応させた。反応後の溶液を多量のメタノールに投じて重合体を析出させた。その後、ろ別により重合体を分離し、メタノールで洗浄した。その後、減圧乾燥により、重合体を得た。GPCによる分子量の測定では、標準ポリスチレン換算で重量平均分子量は12,200であった。
〔参考例B−3〕
α、α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼンの代わりに、ビスフェノールM(三井化学製、99.5%)22.63g(0.065mol)を用いた以外は、参考例B−2と同様にして重合体を合成した。得られた重合体の重量平均分子量は24,500であった。
〔参考例B−4〕
クロロホルム中に、ビスフェノールA(東京化成製、99%)18.45g(0.08mol)、3(4),8(9),−ビス(アミノメチル)トリシクロ[5,2,1,02,6]デカン(東京化成製、97%)16.03g(0.08mol)、パラホルムアルデヒド(和光純薬製、94%)10.22g(0.32mol)を投入し、還流下で6時間反応させた。反応後の溶液を多量のメタノールに投じて重合体を析出させた。その後、ろ別により重合体を分離し、メタノールで洗浄した。その後、減圧乾燥により、下記構造を有する重合体を得た。GPCによる分子量の測定では、標準ポリスチレン換算で重量平均分子量は4,600であった。
〔参考例B−5〕
ビスフェノールAの代わりに、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(東京化成製、99%)21.69g(0.08mol)を用いた以外は、参考例B−1と同様にして重合体を合成した。重量平均分子量は3,800であった。
〔参考例B−6〕
クロロホルム中に、α、α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン(ビスフェノールPと同一化合物、東京化成製、98%)22.99g(0.065mol)、3(4),8(9),−ビス(アミノメチル)トリシクロ[5,2,1,02,6]デカン(東京化成製、97%)13.02g(0.065mol)、パラホルムアルデヒド(和光純薬製、94%)8.31g(0.26mol)を投入し、還流下で6時間反応させた。反応スキームを以下に示す。反応後の溶液を多量のメタノールに投じて重合体を析出させた。その後、ろ別により重合体を分離し、メタノールで洗浄した。その後、減圧乾燥により、下記構造を有する重合体を得た。GPCによる分子量の測定では、標準ポリスチレン換算で重量平均分子量は5,700であった。
〔誘電率、誘電正接の測定〕
参考例B−2、4〜6で得られた重合体を熱プレス法によりシート状に成形し、140℃、160℃、180℃で各1時間保持し、0.5mmtのシート状の硬化成形体を得た。
得られた成形体について、誘電率測定装置(AGILENT社製、商品名「RFインピーダンス/マテリアル アナライザ E4991A」)を用いて容量法により、23℃、100MHz及び1GHzにおける誘電率及び誘電正接を測定した。
〔5%重量減少温度(Td5)の測定〕
また得られたシートを細かく裁断し、島津製作所製、商品名「DTG−60」を用いてTGA法により、10℃/minの昇温速度で5%重量減少温度(Td5)を評価した。
〔屈曲試験〕
参考例B−2、4〜6で得られた重合体を用い、屈曲試験では、サンプルフィルムを幅10mm、厚み75μとし、2つ折りにして、3kgfの力で両側から押さえた後にフィルムを広げ、折り目が付いているのみで透明:○、フィルムが白化している:△、フィルムが割れる:×、の評価を行った。
測定・評価結果を表3に示す。
以上のように、参考例B−2の硬化成形体は、誘電率が3以下であり、誘電正接も0.005以下と良好な誘電特性を示し、Td5が316℃と非常に良好な値を示し、さらに、柔軟性にも優れていることが分かった。
また、参考例B−4〜6で得られたフィルムは180°の屈曲試験にて白化したのに対して、参考例B−2で得られたフィルムは柔軟性が付与されており、180°の屈曲試験でも折り目が付くだけで白化せずフィルムとしては透明なままで問題がなかった。
本発明は、優れた誘電特性、及び耐熱性を兼ね備えた熱硬化性樹脂組成物、それから得られる成形体、硬化体、硬化成形体、電子機器用基板材料、及び電子機器が提供される。
硬化成形体の表面を観察した走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示す(実施例1)。 硬化成形体の表面を観察した走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示す(実施例2)。 硬化成形体の表面を観察した走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示す(比較例1)。

Claims (16)

  1. 樹脂基板とメッキ層の間に、前記メッキ層側表面が粗化処理された状態で配置される熱硬化性樹脂組成物であって、
    ジヒドロベンゾキサジン環構造を主鎖中に有する熱硬化性樹脂と、
    シランカップリング処理された無機充填剤と、を含み、
    前記ジヒドロベンゾキサジン環構造を主鎖中に有する熱硬化性樹脂は、
    一般式(I)で示される熱硬化性樹脂、

    〔式(I)において、Arは、4価の芳香族基を示し、R1は、縮脂環式構造を有する炭化水素基であり、nは、2〜500の整数を示す。〕
    一般式(II)で示される熱硬化性樹脂、及び
    〔式(II)において、Arは、4価の芳香族基を示し、Rは、縮脂環式構造を有する炭化水素基であり、Rは、脂肪族炭化水素基であり、m+nは、2〜500の整数を示す。〕
    NH−R−NHで表される脂肪族ジアミン(Rは、脂肪族炭化水素基である)、OH−Ar−OH(Arは、芳香族基である)、NH−R−NH(Rは、縮脂環式構造を有する炭化水素基である)、アルデヒド化合物を反応させることにより得られる熱硬化性樹脂からなる群から選択され、
    前記シランカップリング処理された無機充填剤は、平均粒径が0.25から0.38μm、かつ、粒径が0.15μmの数割合が5%以下、0.75μm以上の数割合が5%以下であることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
  2. ジヒドロベンゾキサジン環構造を主鎖中に有する熱硬化性樹脂と、
    シランカップリング処理された無機充填剤と、を含み、
    前記ジヒドロベンゾキサジン環構造を主鎖中に有する熱硬化性樹脂は、
    一般式(I)で示される熱硬化性樹脂
    〔式(I)において、Arは、4価の芳香族基を示し、R1は、縮脂環式構造を有する炭化水素基であり、nは、2〜500の整数を示す。〕であり、
    前記シランカップリング処理された無機充填剤は、平均粒径が0.25から0.38μm、かつ、粒径が0.15μmの数割合が5%以下、0.75μm以上の数割合が5%以下であることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
  3. 樹脂基板とメッキ層の間に、前記メッキ層側表面が粗化処理された状態で配置される熱硬化性樹脂組成物であって、
    ジヒドロベンゾキサジン環構造を主鎖中に有する熱硬化性樹脂と、
    シランカップリング処理された無機充填剤と、を含み、
    前記ジヒドロベンゾキサジン環構造を主鎖中に有する熱硬化性樹脂は、
    一般式(II)で示される熱硬化性樹脂
    〔式(II)において、Arは、4価の芳香族基を示し、Rは、縮脂環式構造を有する炭化水素基であり、Rは、脂肪族炭化水素基であり、m+nは、2〜500の整数を示す。〕であり、
    前記シランカップリング処理された無機充填剤は、平均粒径が0.25から0.38μm、かつ、粒径が0.15μmの数割合が5%以下、0.75μm以上の数割合が5%以下であることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
  4. 樹脂基板とメッキ層の間に、前記メッキ層側表面が粗化処理された状態で配置される熱硬化性樹脂組成物であって、
    ジヒドロベンゾキサジン環構造を主鎖中に有する熱硬化性樹脂と、
    シランカップリング処理された無機充填剤と、を含み、
    前記ジヒドロベンゾキサジン環構造を主鎖中に有する熱硬化性樹脂は、
    NH−R−NHで表される脂肪族ジアミン(Rは、脂肪族炭化水素基である)、OH−Ar−OH(Arは、芳香族基である)、NH−R−NH(Rは、縮脂環式構造を有する炭化水素基である)、アルデヒド化合物を反応させることにより得られる熱硬化性樹脂物であり、
    前記シランカップリング処理された無機充填剤は、平均粒径が0.25から0.38μm、かつ、粒径が0.15μmの数割合が5%以下、0.75μm以上の数割合が5%以下であることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
  5. が下記(i)又は(ii)で示される基である、請求項2又は3に記載の熱硬化性樹脂組成物。
    〔式(i)中、*印はNへの結合部位を示す。また、シス−トランス異性体を含む。〕
    〔式(ii)中、*印はNへの結合部位を示す。また、シス−トランス異性体を含む。〕
  6. Arが、下記(iii)、(iv)、(v)のいずれかの構造で示される、請求項2又は3に記載の熱硬化性樹脂組成物。
    〔式(iii)〜(v)中、*印の一方はOHへの結合部位、他の一方はオキサジン環4位のメチレン基への結合部位を示す。
    また、各芳香環の水素は、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、又は置換もしくは無置換フェニル基で置換されていてもよい。
    式(iii)におけるXは、直接結合手(原子もしくは原子団が存在しない)、またはヘテロ元素もしくは官能基を含んでいても良い脂肪族、脂環式もしくは芳香族の炭化水素基を示す。〕
  7. Arが、上記(iii)の構造で示され、該構造(iii)中のXが、下記群Aから選択される少なくとも一つである、請求項6に記載の熱硬化性樹脂組成物。
    群A:
    〔各式中、*印は前記構造(iii)における芳香環への結合部位を示す。〕
  8. が直鎖状の脂肪族炭化水素基である、請求項3に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  9. が炭素数6〜12の脂肪族炭化水素基である、請求項3に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  10. が下記(i)又は(ii)で示される基である、請求項3に記載の熱硬化性樹脂組成物。
    〔式(i)中、*印はNへの結合部位を示す。また、シス−トランス異性体を含む。〕
    〔式(ii)中、*印はNへの結合部位を示す。また、シス−トランス異性体を含む。〕
  11. Arが、下記(iii)、(iv)、(v)のいずれかの構造で示される、請求項3に記載の熱硬化性樹脂組成物。
    〔式(iii)〜(v)中、*印の一方はOHへの結合部位、他の一方はオキサジン環4位のメチレン基への結合部位を示す。
    また、各芳香環の水素は、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、又は置換もしくは無置換フェニル基で置換されていてもよい。
    式(iii)におけるXは、直接結合手(原子もしくは原子団が存在しない)、またはヘテロ元素もしくは官能基を含んでいても良い脂肪族、脂環式もしくは芳香族の炭化水素基を示す。〕
  12. Arが、上記(iii)の構造で示され、該構造(iii)中のXが、下記群Aから選択される少なくとも一つである、請求項11に記載の熱硬化性樹脂組成物。
    群A:
    〔各式中、*印は前記構造(iii)における芳香環への結合部位を示す。〕
  13. 前記シランカップリング処理された無機充填剤は、シランカップリング処理されたシリカからなる充填剤であることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
  14. 請求項1〜13のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物より得られる成形体。
  15. 請求項1〜13のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化体。
  16. 請求項14に記載の成形体を硬化させて得られる硬化成形体。
JP2007077784A 2007-03-23 2007-03-23 熱硬化性樹脂組成物及びそれから得られる成形体 Active JP4976894B2 (ja)

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