JP2006348086A - 熱硬化性樹脂組成物およびその利用 - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物およびその利用 Download PDF

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Shigeru Tanaka
田中  滋
Kanji Shimooosako
寛司 下大迫
Masaru Nishinaka
賢 西中
Taku Ito
卓 伊藤
Mutsuaki Murakami
睦明 村上
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Abstract

【課題】 回路基板の製造等に好適に用いることができ、接着性、加工性、耐熱性に優れ、さらに、樹脂流動性とGHz帯域での誘電特性に優れた熱硬化性樹脂組成物とその代表的な利用技術を提供する。
【解決手段】 本発明にかかる熱硬化性樹脂組成物は、(A)ポリイミド樹脂成分と(B)エポキシ樹脂成分と(C)エポキシ硬化剤成分とを必須成分とし、(B)エポキシ樹脂成分に、特定のエポキシ樹脂を含ませる。これにより、熱硬化性樹脂組成物および硬化後の硬化樹脂に対して、接着性、加工性、耐熱性、樹脂流動性、GHz帯域での誘電特性という諸特性をバランスよくかつ良好に付与することができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、熱硬化性樹脂組成物およびその利用に関するものであり、特に、ポリイミド樹脂成分、特定のエポキシ樹脂成分を含むエポキシ樹脂成分、エポキシ硬化剤成分を必須成分として含んでなり、フレキシブルプリント配線板やビルドアップ回路基板等の回路基板の製造等に好適に用いることができる熱硬化性樹脂組成物と、それを用いてなる樹脂組成物、積層体、回路基板等といった代表的な利用に関するものである。
電子機器における情報処理能力の向上を図るために、近年、電子機器に用いられる配線
基板上の回路を伝達する電気信号の高周波化が進められている。そのため、電気信号が高周波化された場合にも、配線(回路)基板の電気的信頼性を保ち、回路での電気信号の伝達速度の低下や電気信号の損失を抑制することが望まれる。
ところで、上記回路基板上には、通常、当該配線基板や回路を保護するための保護膜や、多層構造の配線基板における各層間の絶縁性を確保するための層間絶縁膜等の絶縁層が形成される。上記保護膜や層間絶縁膜等の絶縁層は、配線基板上に設けられるため、絶縁性に加えて、配線基板に接着するための接着性も求められている。
特に、フレキシブルプリント配線板(FPC)やビルドアップ回路基板等を積層して、
多層構造の配線基板を製造する場合には、上記層間絶縁膜によって基板同士が接着されて固定されると同時に、層間絶縁膜の材料が回路配線の線間を埋めて配線が固定される。そのため、層間絶縁膜には、基板等に対する優れた接着力とともに回路配線の線間を埋められる程度の流動性が求められることになる。したがって、上記保護膜や層間絶縁膜等の絶縁層は、接着性、樹脂流動性を有する接着材料を用いて形成される。
上記接着材料を用いて絶縁層を形成する場合、当該接着材料(絶縁層)は、少なくとも(1)GHz(ギガヘルツ)帯域にて配線基板の高い信頼性を得ることができるという特性を有しており、さらに(2)電気信号の伝達に悪影響を及ぼさないという特性を有していることが望ましい。これにより、上記のように、電気信号の高周波化によって電子機器の情報処理能力を向上することができる。
ここで、従来、配線基板に用いられる上記接着材料としては、一般的には、エポキシ系接着材料や熱可塑性ポリイミド系接着材料が用いられている。
上記エポキシ系接着材料は、被着体同士の低温・低圧条件下での貼り合わせや回路配線の線間埋め込みが可能である等の加工性に優れ、被着体との接着性にも優れている。
また、上記熱可塑性ポリイミド系接着材料は、該ポリイミド樹脂のガラス転移温度以下における熱膨張が小さく、熱分解温度が高い等の耐熱性に優れている。
さらに、特許文献1には、ポリイミド樹脂とエポキシ化合物と、当該エポキシ化合物と反応可能な活性水素基を有する化合物とを混合してなるフィルム接着剤を用いる技術が開示されている。
この技術で得られるフィルム接着剤は、低温短時間での被着体同士の接着を可能とするとともに、高温時の耐熱信頼性が得られることが可能とされている。
特開平8−27430号公報(公開日:平成8(1996)年1月30日)
しかしながら、上記従来の接着材料では、特に電気信号の高周波化に対応した配線基板を製造する目的で用いるためには、その諸特性が未だ不十分であるという問題を生じている。具体的には、まず、一般的な上記エポキシ系接着材料では、硬化後の硬化樹脂(エポキシ系樹脂)におけるGHz帯域の誘電率が4以上であり、誘電正接が0.02以上である。したがって、良好な誘電特性が得られない。これに対して、上記熱可塑性ポリイミド系接着材料は、硬化後の硬化樹脂(熱可塑性ポリイミド系樹脂)におけるGHz帯域の誘電率が3.5以下であり、誘電正接が0.02以下であるため、誘電特性には優れている。
その一方で、熱可塑性ポリイミド系接着材料を用いて被着体同士を接着させるためには、高温・高圧条件下にて被着体同士を貼り合せる必要があるため、加工性が十分ではない。また、特許文献1に開示されているフィルム接着剤は、ポリイミド樹脂とエポキシ化合物とを混合したものであり、ポリイミド樹脂単独の場合に比べて低温での貼り合わせ加工が可能で、ポリイミド樹脂を使用することで高温時の耐熱信頼性がエポキシ系材料に比べて優れている。
しかしながら、低温加工性は向上しているが加工温度は200℃以上であり、200℃未満、好ましくは150℃以下の温度で加工性が要求されるビルドアップ配線板への適用は困難である。
また、特許文献1には、ビルドアップ配線板で重要な性能である、配線回路の線間の埋め込み性(樹脂流動性)について記載されていない。
したがって、特許文献1に開示されているフィルム接着剤も十分な誘電特性、低温加工性、高温信頼性(耐熱性)を実現するには至っていない。
それゆえ、電気信号の高周波化によって電子機器の情報処理能力を向上するためには、
絶縁層には、(i)接着性、(ii)加工性や取扱性、(iii)耐熱性、(iv)樹脂流動性
が十分なものとなっているだけでなく、(v)硬化後の硬化樹脂において、GHz帯域で
も低誘電率かつ低誘電正接を示し十分な誘電特性も発揮できることが要求される。したが
って、当該絶縁層を形成するために、上記(i)〜(v)の諸特性を十分なものとする接
着材料の開発が期待される。
本発明は、上記従来の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、フレキシブルプリント配線板やビルドアップ回路基板等の回路基板の製造等に好適に用いることができ、誘電特性や耐熱性(熱分解温度、高温信頼性)に優れるポリイミド樹脂に、誘電特性を大きく損なうことなく優れた樹脂流動性を付与することができ、また、熱により硬化させることにより耐熱性(高温領域における、低熱膨張性や寸法安定性)を付与することができる、熱硬化性樹脂組成物とその代表的な利用技術を提供することにある。
本発明者等は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、ポリイミド樹脂とエポキシ樹脂とエポキシ硬化剤を必須成分とし、エポキシ樹脂成分に特定のエポキシ樹脂を含ませることにより、接着材料および絶縁層として、(i)回路基板等の被着体に対する接着性、(ii)低温での接着を可能とする加工性や取扱性、(iii)熱膨張や熱分解に関する耐熱性に優れているとともに、(iv)回路を埋め込むために必要な樹脂の流動性が特異的に向上し、さらには、(v)硬化後の硬化樹脂におけるGHz帯域の誘電率及び誘電正接を低くすることが可能となって誘電特性にも優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明にかかる熱硬化性樹脂組成物は、上記の課題を解決するために、少なくとも1種のポリイミド樹脂成分を含む(A)ポリイミド樹脂成分と、少なくとも1種のエポキシ樹脂を含む(B)エポキシ樹脂成分と、少なくとも1種のエポキシ硬化剤を含む(C)エポキシ硬化剤成分を少なくとも含んでなり、前記(B)エポキシ樹脂成分が一般式(1)
Figure 2006348086
(但し、式中R1は、互いに独立して、水素または炭素数が1以上4以下の脂肪族炭化水素基であり、aは0以上1000以下の整数を表す)で表わされるエポキシ樹脂を含有することを特徴としている。
上記熱硬化性樹脂組成物においては、(B)エポキシ樹脂成分のうち、全エポキシ樹脂の50重量%以上が前記一般式(1)で表わされるエポキシ樹脂であることが好ましい。
また、上記樹脂組成物においては、樹脂組成物の溶融粘度が、100ポイズ以上80000ポイズ以下の範囲内であることが好ましい。
上記熱硬化性樹脂組成物おいては、(B)エポキシ樹脂成分と(C)エポキシ硬化剤成分との合計重量に対する上記(A)ポリイミド樹脂成分の重量で表される重量混合比(A)/[(B)+(C)]は、0.4以上2.0以下の範囲内であることが好ましい。
上記熱硬化性樹脂組成物においては、(B)エポキシ樹脂成分の少なくとも一種のフェノール樹脂系硬化剤を含むことが好ましい。
また、上記熱硬化性樹脂組成物においては、(B)エポキシ樹脂成分の少なくとも一種のアミン系硬化剤を含むことも好ましい。
上記熱硬化性樹脂組成物においては、(A)ポリイミド樹脂成分に含まれる少なくとも1種のポリイミド樹脂は、一般式(2)
Figure 2006348086
(ただし、式中、Xは、−O−,−CO−,−O−X−O−,および,−COO−X−OCO−からなる群より選択される2価基であり、Xは2価の有機基を表す)で表される構造を有する酸二無水物を少なくとも1種含んでなる酸二無水物成分と、少なくとも1種のジアミンを含んでなるジアミン成分とを反応させて得られるものであることが好ましい。
また、上記熱硬化性樹脂組成物には、少なくとも一種の無機充填材を含む(D)無機充填材成分を含有することが好ましい。
更に、本発明には、上記熱硬化性樹脂組成物によって形成された樹脂層の両面または片面に少なくとも1種の熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂層を形成されたことを特徴とする積層体も含まれる。また、上記熱可塑性樹脂層には、一般式(3)
Figure 2006348086
(但し、式中のZは、それぞれ独立してアルキレン基またはフェニレン基であり、Zはそれぞれ独立してアルキル基、またはフェニル基、またはフェノキシ基であり、hは1以上100以下の整数を表す)で表わされる構造を有する熱可塑性ポリイミド樹脂であることが好ましい。
また、本発明には、上記熱硬化性樹脂組成物によって形成された樹脂層を少なくとも1層含んでなる積層体、並びに、上記熱硬化性樹脂材を用いてなる回路基板も含まれる。
本発明にかかる熱硬化性樹脂組成物は、以上のように、(A)ポリイミド樹脂成分と(B)エポキシ樹脂成分と(C)エポキシ硬化剤成分とを必須成分とし、(B)エポキシ樹脂成分に、特定のエポキシ樹脂を含んでなるものである。これにより、樹脂に(i)回路基板等の被着体に対する接着性、(ii)低温での接着を可能とする加工性や取扱性、(iii)回路を埋め込むために必要な樹脂流動性は、従来のポリイミド樹脂とエポキシ樹脂とからなる樹脂組成物よりも向上させることができ、優れた樹脂組成物を提供することができる。また、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、加熱により硬化させることができるので、樹脂の(iv)熱膨張や熱分解に関する耐熱性を向上させることができる。また、硬化して得られる硬化樹脂において、GHz帯域における誘電率及び誘電正接は、ポリイミド樹脂を用いていることにより、エポキシ樹脂からなる樹脂組成物よりも遥かに低くすることができるので、(v)誘電特性にも優れた樹脂組成物を提供することができる。
したがって、本発明にかかる熱硬化性樹脂組成物を用いることによって、従来の樹脂組成物と比較して、優れた誘電特性、流動性、耐熱性、接着性、加工性等の諸特性をバランスよく実現することができるという効果を奏する。また、特に樹脂の低温加工性、流動性、誘電特性にも優れていることから、加工時の配線回路の線間の埋め込み性(樹脂流動性)、GHz帯域での低誘電率や低誘電正接が要求されるフレキシブルプリント配線板やビルドアップ回路基板や、積層体の製造に好適に用いることができるという効果も奏する。
本発明の実施の一形態について以下に詳細に説明するが、本発明は以下の記載に限定されるものではない。
本実施の形態では、本発明にかかる熱硬化性樹脂組成物の概要、当該熱硬化性樹脂組成物の各成分、並びに、当該熱硬化性樹脂組成物の利用の順で、本発明を詳細に説明する。
(I)本発明にかかる熱硬化性樹脂組成物
本発明にかかる熱硬化性樹脂組成物は、フレキシブルプリント配線板やビルドアップ回路基板等の回路基板に使用され、該回路基板や回路基板上のパターン化された回路を保護する保護材料、あるいは、多層の回路基板にて各層間の絶縁性を確保するための層間絶縁材料として用いられる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、少なくとも1種のポリイミド樹脂を含む(A)ポリイミド樹脂成分と、少なくとも1種のエポキシ樹脂を含む(B)エポキシ樹脂成分と、少なくとも1種のエポキシ硬化剤を含む(C)エポキシ硬化剤成分の3成分を含んでおり、後述するように(D)無機充填材や(E)その他成分を含んでいても良い。上記(A)〜(C)成分の各成分(必須成分)は、各成分に分類される少なくとも1種の物質が含まれていればよい。本発明では、これら各成分の中でも、(B)エポキシ樹脂成分には、一般式(1)
Figure 2006348086
(但し、式中Rは、同一であっても異なっていてもよく、水素または炭素数が1以上4以下のアルキル基であり、aは0以上1000以下の整数を表す)で表わされるエポキシ樹脂を含有していることで、得られる熱硬化性樹脂組成物および硬化後の硬化樹脂に対して、(i)接着性、(ii)加工性や取扱性、(iii)耐熱性、(iv)樹脂流動性および(v)誘電特性という諸特性を十分かつバランスよく与えることができる。とくに、誘電特性を大きく損なうことなく、低温領域(150℃以下)における樹脂の流動性を大幅に向上させることが出来る。その結果、熱硬化性樹脂組成物の接着材料としての特性を優れたものにできるとともに、硬化樹脂の絶縁層としての特性を優れたものにできる。なお、本発明では、GHz(ギガヘルツ)帯域における低い誘電率および低い誘電正接を優れた誘電特性と称するものとする。
本発明においては、上記(B)エポキシ樹脂成分に含まれる一般式(1)で表わされるエポキシ樹脂を使用することにより、低温領域(150℃以下)において、該熱硬化性樹脂組成物の樹脂の流動特性を向上させることができることを見出した。該一般式(1)で表わされるエポキシ樹脂の含有量は、全エポキシ樹脂成分に対して50wt%以上が含有させることが好ましく、70wt%以上がより好ましい。
50wt%未満であると、熱硬化性樹脂の樹脂流動性における向上効果が得られ難い。
<熱硬化性樹脂組成物の組成1:(A)〜(C)成分の混合比>
上記(A)〜(C)の各成分の混合比は、重量で規定される。熱硬
化性樹脂組成物に混合される上記(A)〜(C)の各成分の重量を、記号(A)〜(C)で表すと、本発明にかかる熱硬化性樹脂組成物においては、上記(B)エポキシ樹脂成分と(C)エポキシ硬化剤成分の合計重量(B)+(C)に対する上記(A)ポリイミド樹脂成分の重量混合比(A)/[(B)+(C)]が所定の範囲内となっている。具体的には、上記重量混合比(A)/[(B)+(C)]の下限値は0.4以上であればよく、0.5以上であることが好ましい。一方、当該重量混合比(A)/[(B)+(C)]の上限値は2.0以下であればよく、1.5以下であることが好ましい。したがって、上記重量混合比の好ましい範囲は0.4以上2.0以下の範囲内となる。
上記重量混合比が0.4未満となる、すなわち、上記熱硬化性樹脂組成物に含まれる(B)エポキシ樹脂成分と(C)エポキシ硬化剤成分の含有量((B)+(C))が、(A)ポリイミド樹脂成分の含有量に比べて相対的に大きくなると、(iii)耐熱性および(iv)樹脂流動性は向上するが(v)誘電特性を十分なものにできなくなる場合がある。すなわち、硬化後の樹脂シートでは、GHz(ギガヘルツ)帯域において、低い誘電率及び低い誘電正接(優れた誘電特性)を実現することが困難となる場合がある。ここで、優れた誘電特性についてより具体的に説明する。上記耐熱性樹脂組成物を150℃〜250℃の温度条件下で1〜5時間加熱することによって硬化樹脂を得ることができるが、この硬化樹脂において、周波数1〜10GHzにて、誘電率が3.3以下であり、また誘電正接が0.020以下となると優れた誘電特性を実現したことになる。誘電率および誘電正接が上記の範囲内であれば、本発明にかかる熱硬化性樹脂組成物を、回路基板の保護材料や層間絶縁材料として用いた場合にも、回路基板の電気的絶縁性を確保し、回路基板上における回路の信号伝達速度の低下や信号の損失を抑制することができるので、信頼性の高い回路基板を提供することが可能になる。
これに対して、上記重量混合比が2.0を超える、すなわち、上記熱硬化性樹脂組成物に含まれる(A)ポリイミド樹脂成分の含有量が、(B)エポキシ樹脂成分と(C)エポキシ硬化剤成分の含有量((B)+(C))に比べて相対的に大きくなると、(v)誘電特性を優れたものとできるが、(i)接着性、(ii)加工性・取扱性、および(iv)樹脂流動性等が低下する場合がある。すなわち、硬化前の熱硬化性樹脂組成物では、当該熱硬化性樹脂組成物と導体や回路基板との接着性や、熱硬化性樹脂組成物と導体や回路基板との貼り合わせ時の加工性が損なわれ、特に、樹脂流動性の低下により回路埋め込み性が大きく損なわれる場合がある。
<熱硬化樹脂組成物の組成2:(B)・(C)成分の混合比>
本発明にかかる熱硬化性樹脂組成物においては、さらに、上記(B)・(C)の各成分の混合比を規定することがより好ましい。これら2成分の混合比はモル比で規定される。上記(B)エポキシ樹脂成分に含まれるエポキシ樹脂のエポキシ基のモル数を、上記重量の場合と同様に記号(B)で表し、上記(C)エポキシ硬化剤に含まれる、エポキシ基と反応しうる基のモル数を記号(C)で表すと、これら2成分のモル混合比(B)/(C)は所定の範囲内となっていることが好ましい。
上記エポキシ樹脂と反応しうる基とは、たとえば、エポキシ硬化剤がフェノール樹脂系硬化剤である場合は、水酸基を示し、アミン系硬化剤であれば、アミノ基の活性水素を示す。また、酸無水物系硬化剤の場合は、酸無水物基(X−C(=O)−O−C(=O)X)を示す。また、本発明における活性水素とは、アミノ基の窒素原子に直接結合した水素原子を指し、一般的には、1つのアミノ基に対し2つの活性水素がある。
(B)と(C)の混合比は、具体的には、上記モル混合比(C)/(B)の下限値は0.4以上であることが好ましく、0.7以上であることがより好ましい。一方、当該モル混合比(C)/(B)の上限値は、2.0以下であることが好ましく、1.1以下であることがより好ましい。したがって、上記モル混合比の好ましい範囲は0.4以上2.0以下の範囲内となる。
上記モル混合比が0.4未満あるいは2.0を超えると、硬化後の硬化樹脂の(v)誘電特性に悪影響を与えることになる。また、硬化前の熱硬化性樹脂組成物においても、ガラス転移温度や熱膨張係数、高温時における弾性率が低下し、(iii)耐熱性も損なわれる。
なお、エポキシ基のモル数は、エポキシ価から算出する。また、硬化剤に含まれるエポキシ基と反応しうる基(以下、反応性基と称する)のモル数は、フェノール樹脂系硬化剤の場合は水酸基価(繰り返し単位構造の分子量/繰り返し単位構造中における水酸基)、アミン系硬化剤の場合は、アミン系硬化剤の分子量をアミン系硬化剤に含まれる活性水素の数で割った数値から算出でき、酸無水物系硬化剤の場合は、酸無水物基の分子量を酸無水物系硬化剤に含まれる酸無水物基の数で割った数値から算出できる。
本発明では、上記のように、熱硬化性樹脂組成物の必須成分である(A)ポリイミド樹脂成分、(B)エポキシ樹脂成分、(C)エポキシ硬化剤のうち、少なくとも(A)〜(C)成分の混合比(配合比)を重量比で規定することが好ましく、更に好ましくは(B)・(C)成分の混合比をモル比で規定する。これにより、得られる熱硬化性樹脂組成物および硬化樹脂に対して、(i)回路基板や導体等の被着体に対する接着性、(ii)低温での接着を可能とする加工性や取扱性、(iii)熱膨張や熱分解に関する耐熱性、(iv)回路を埋め込むために必要な樹脂流動性、および(v)硬化樹脂の誘電特性という諸特性を優れたものとできるだけでなく、プレッシャークッカーによる耐湿性テスト耐性(PCT耐性)、半田耐熱性、絶縁性等の諸特性についても優れたものとすることができ、かつ、これら諸特性のバランスを良好なものとすることができる。
<熱硬化樹脂組成物の特性>
本発明にかかる熱硬化性樹脂組成物は、上記(A)〜(C)の各成分を必須成分とし、(A)〜(C)の各成分の混合比を重量比やモル比で規定したものである。この熱硬化性
樹脂組成物における具体的な特性は特に限定されるものではないが、上記(i)〜(v)の特性の中でも特定条件下の溶融粘度の最低値(最低溶融粘度)を規定することで、(iv)樹脂流動性をより好ましいものとすることができる。具体的には、半硬化状態であり、かつ、温度が60℃以上150℃以下の範囲内である条件において、最低溶融粘度が、100ポイズ以上80000ポイズ以下の範囲内であることが好ましい。
上記条件における最低溶融粘度が80000ポイズを超えると、(iv)樹脂流動性が不十分となり回路埋め込み性が低下する。一方、100ポイズ未満であると、加工時に耐熱性樹脂組成物が基板の外側へ大量にはみだし基板上に残る樹脂量が減少する。その結果、回路を埋め込むことができなくなる。
本発明では、上記各成分の混合比を規定することで、(i)熱硬化性樹脂組成物と導体や回路基板等の被着体との接着性、(ii)熱硬化性樹脂組成物と導体や回路基板との貼り合わせ時の加工性や取扱性、(iii)熱膨張係数が小さく、熱分解温度が高いといった耐熱性等の各種特性を優れたものにできることに加え、(iv)樹脂流動性や(v)誘電特性も優れたものにできる。しかも、得られる熱硬化性樹脂組成物および硬化樹脂においては、これら諸特性をバランスよく実現できるため、本発明は、フレキシブルプリント配線板やビルドアップ回路基板等の回路基板の製造等に好適に用いることができるとともに、本発明の熱硬化性樹脂組成物を用いて得られる回路基板に対しても、良好な諸特性を付与することができる。
(II)本発明にかかる熱硬化性樹脂組成物の各成分
次に、本発明で用いられる上記(A)〜(C)の各成分、さらに(D)無機充填材と(E)その他の成分についてより具体的に説明する。
(II−1)(A)ポリイミド樹脂成分
本発明で用いられる(A)ポリイミド樹脂成分は少なくとも1種のポリイミド樹脂を含んでいればよい。本発明にかかる熱硬化性樹脂組成物は、この(A)ポリイミド樹脂成分を含有することにより、十分な耐熱性が付与されるとともに、硬化後の硬化樹脂に対して、耐屈曲性、優れた機械特性、耐薬品性を付与することができ、さらには優れた誘電特性も付与することができる。
本発明において(A)ポリイミド樹脂成分として用いられるポリイミド樹脂は特に限定されるものではないが、有機溶媒に溶解する可溶性ポリイミド樹脂であることが好ましい。ここで、可溶性ポリイミド樹脂とは、15℃〜100℃の温度範囲にて、有機溶媒に1重量%以上溶解するポリイミド樹脂を指すものとする。なお、上記有機溶媒としては、例えば、ジオキサン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド等のアセトアミド系溶媒;N,N−ジエチルホルムアミド等のホルムアミド系溶媒;N,N−ジメチルアセトアミド;N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン等のピロリドン系溶媒等から選ばれる少なくとも1種の溶媒を挙げることができる。これら溶媒は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の割合で組み合わせて用いてもよい。
上記可溶性ポリイミド樹脂を用いれば、本発明にかかる熱硬化性樹脂組成物を熱硬化させるときに、高温・長時間での処理を必要としない。そのため、後述する(B)エポキシ樹脂成分を効率よく硬化させることができる。つまり、本発明において(A)ポリイミド樹脂成分の一つとして可溶性ポリイミド樹脂を用いると、(ii)加工性や取扱性を向上させる点から好ましい。
上記ポリイミド樹脂は、従来公知の方法で製造することができる。具体的には、例えば、ポリイミド樹脂の前駆体物質であるポリアミド酸(ポリアミック酸)を、化学的あるいは熱的にイミド化することによって得ることができる。以下、ポリアミド酸からイミド化によりポリイミド樹脂を製造する方法を詳細に説明する。
<ポリアミド酸の製造(合成)方法>
上記ポリアミド酸は、モノマー原料として、少なくとも1種の酸二無水物を含む(A−1)酸二無水物成分と、少なくとも1種のジアミンを含む(A−2)ジアミン成分とを有機溶媒中で反応させることにより合成することができる。このとき、上記(A−1)酸二無水物成分の全量と(A−2)ジアミン成分の全量とが実質的に等モルとなるように混合する。したがって、(A−1)酸二無水物成分および(A−2)ジアミン成分として、それぞれ2種以上の化合物を用いる場合、複数のジアミン全量のモル比と複数の酸二無水物全量のモル比とを、実質的に等モルとなるように調整しておけば、ポリアミド酸共重合体を得ることができる。
なお、ここで言う(A−1)酸無水物成分と(A−2)ジアミン成分は、ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸を合成するためのモノマー原料であって、本発明にかかる熱硬化性樹脂組成物のエポキシ硬化剤成分として用いることのできるアミン系硬化剤成分や酸無水物系硬化剤成分とは別の成分であることは言うまでもない。説明の便宜上、(C)エポキシ硬化剤成分等の熱硬化性樹脂組成物の成分と明確に区別するために、上記ポリアミド酸のモノマー原料成分を、それぞれ「(A−1)モノマー酸二無水物成分」および「(A−2)モノマージアミン成分」と称する。
上記(A−1)モノマー酸二無水物成分と(A−2)モノマージアミン成分とを反応させる手法は特に限定されるものではないが、代表的な手法としては、(A−2)モノマージアミン成分を有機溶媒に溶解し、その後、(A−1)モノマー酸二無水物成分を添加して混合することにより、ポリアミド酸を有機溶媒に溶解してなる溶液(以下、ポリアミド酸溶液と称する)を得る方法が挙げられる。なお、ここで「溶解」とは、溶媒が溶質を完全に溶解した状態、および、溶質が溶媒中に均一に分散または拡散して、実質的に溶解している状態と同じ状態となる場合を含むものとする。
なお、上記(A−1)モノマー酸二無水物成分および(A−2)モノマージアミン成分の添加は上記の順序に限定されるものではなく、当業者であれば、その添加方法を適宜変更・修正・改変することができる。例えば、先に(A−1)モノマー酸二無水物成分を有機溶媒に溶解または分散させ、その後、(A−2)モノマージアミン成分を加える方法であってもよい。あるいは、まず、有機溶媒中に適量の(A−2)モノマージアミン成分を加え、続いて、加えた(A−2)モノマージアミン成分の全量に対して過剰となる量の(A−1)モノマー酸二無水物成分を加え、その後、(A−1)モノマー酸二無水物の過剰量に相当する量の(A−2)モノマージアミン成分を添加する方法であってもよい。
上記(A−1)モノマー酸二無水物成分と(A−2)モノマージアミン成分との反応条件(ポリアミド酸の合成条件)は特に限定されるものではなく、モノマー原料である酸二無水物とジアミンとを重合させることができる条件であればよい。しかしながら、反応条件のうち、反応温度は、80℃以下であることが好ましく、0〜50℃の範囲内がより好ましい。また、反応時間は、30分〜50時間の範囲内で任意に設定すればよい。反応温度や反応時間がこれらの範囲内であれば効率的にポリアミド酸を合成することが可能となる。
上記ポリアミド酸の合成に用いられる上記有機溶媒としては、有機極性溶媒であれば特に限定されるものではない。しかしながら、ポリアミド酸に対して良溶媒であり、なるべく沸点の低い有機溶媒を選択することが好ましい。このような有機溶媒を用いると、(1)上記(A−1)・(A−2)の各モノマー原料成分を重合反応させる時(ポリアミド酸の合成時)における反応溶液の粘度が増加することを抑制して攪拌しやすくできる、(2)得られるポリイミド樹脂を乾燥させやすくする等の点から、製造過程上好ましくなる。
上記有機溶媒としては、具体的には、ジメチルスルホキシドやジエチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミドやN,N−ジエチルホルムアミド等のホルムアミド系溶媒;N,N−ジメチルアセトアミドやN,N−ジエチルアセトアミド等のアセトアミド系溶媒;N−メチル−2−ピロリドンやN−ビニル−2−ピロリドン等のピロリドン系溶媒;フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコール等のフェノール系溶媒;ヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトン等を挙げることができる。これら溶媒は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の割合で組み合わせて用いてもよい。さらに、必要に応じて、上記有機溶媒に対して、キシレンまたはトルエン等の芳香族炭化水素を組み合わせて用いてもよい。
<(A−1)モノマー酸二無水物成分>
上記ポリアミド酸の合成に用いられるモノマー原料としての(A−1)モノマー酸二無水物成分は特に限定されるものではなく、特に、最終的に得られるポリイミド樹脂において、各種の有機溶媒に対する溶解性、耐熱性、他の必須成分である(B)、(C)成分との相溶性等の諸特性を十分に実現できれば、公知の酸二無水物を用いることができる。中でも、芳香族テトラカルボン酸二無水物が好ましい。特に、当該芳香族テトラカルボン酸二無水物は、次に示す一般式(2)
Figure 2006348086
(ただし、式中、Xは、−O−,−CO−,−O−X−O−,および,−COO−X−OCO−からなる群より選択される2価基であり、Xは2価の有機基を表す)で表される構造を有する化合物であることが好ましい。このような構造を有する酸二無水物は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の割合で組み合わせて用いてもよい。
上記一般式(2)にて表される構造を有する酸二無水物(説明の便宜上、「式(2)の酸二無水物」と称する)においては、最終的に得られる熱硬化性樹脂組成物および硬化樹脂における誘電特性と耐熱性とを優れたものにできることから、当該一般式(2)におけるX1は、−O−,−CO−,−O−X−O−,および,−COO−X−OCO−であることが好ましい。ここで、上記Xは、次に示す式の群(2−1)
Figure 2006348086
から選択される2価の芳香族有機基、または、次に示す一般式(2−2)
Figure 2006348086
(ただし、式中、Xは、−C2p−,−C(=O)−,−SO−,−O−,および,−S−からなる群より選択される2価基であり、pは1以上5以下の整数である)で表される構造を有する2価の芳香族有機基の何れかであることが好ましい。
上記の芳香族テトラカルボン酸二無水物の中でも、次に示す構造式で表される4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビスフタル酸二無水物を用いることが特に好ましい。
Figure 2006348086
この4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビスフタル酸二無水物は、得られるポリアミド酸やポリイミド樹脂に対して、各種の有機溶媒に対する溶解性、耐熱性、(B)エポキシ樹脂成分及び(C)エポキシ硬化剤成分との相溶性、誘電特性等の諸特性を十分なものにできるとともに、各諸特性のバランスも良好なものとすることができる。また、(A−1)モノマー酸二無水物成分として用いる化合物としては入手しやすいという利点もある。
上記(A−1)モノマー酸二無水物成分としては複数種類の化合物(酸二無水物)を用いることができるので、本発明では、少なくとも1種の酸二無水物として、上記一般式(2)にて示される構造を有する酸二無水物を用いればよい。すなわち、(A−1)モノマー酸二無水物成分としては、上述した式(2)の酸二無水物が少なくとも1種含まれていればよく、必要に応じて、2種以上が任意の割合で組み合わせて含まれていてもよく、さらには、上記式(2)の酸二無水物以外の酸二無水物(以下、その他の酸二無水物)が含まれていてもよい。
上記(A−1)モノマー酸二無水物成分中における上記式(2)の酸二無水物の含有量、すなわち全ての酸二無水物中における式(2)の酸二無水物の比率は、全ての酸二無水物成分を100モル%としたとき50モル%以上であることが好ましい。式(2)の酸二無水物の含有量が50モル%以上であれば、得られるポリアミド酸およびポリイミド樹脂において、各種の有機溶媒に対する溶解性、(B)エポキシ樹脂成分及び(C)エポキシ硬化剤成分との相溶性、誘電特性等の諸特性を優れたものとすることができる。
上記(A−1)モノマー酸二無水物成分のうち、その他の酸二無水物としては特に限定
されるものではないが、上記一般式(2)で表される構造以外の構造を有する芳香族テトラカルボン酸二無水物を好ましく用いることができる。具体的には、例えば、ピロメリット酸二無水物〔1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物〕、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン酸二無水物、4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物、p−フェニレンジフタル酸無水物等を挙げることができる。これらその他の酸二無水物は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の割合で組み合わせて用いてもよい。
<(A−2)モノマージアミン成分>
上記ポリアミド酸の合成に用いられるモノマー原料としての(A−2)モノマージアミン成分は特に限定されるものではなく、特に、最終的に得られるポリイミド樹脂において、各種の有機溶媒に対する溶解性、耐熱性、半田耐熱性、PCT耐性、低吸水性、熱可塑性等の諸特性を十分に実現できれば、公知のジアミンを用いることができる。中でも、芳香族系ジアミンが好ましい。特に、当該芳香族ジアミンは、1,3−フェニレンジアミン、1,2−フェニレンジアミン等のフェニレンジアミンや、次に示す一般式(4)
Figure 2006348086
(ただし、式中、Yは、それぞれ独立して、−C(=O)−,−SO−,−O−,−S−,−(CH)−,−NHCO−,−C(CH)−,−C(CF)−,および,−C(=O)O−からなる群より選択される2価基、または、直接結合を表し、R2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、または、炭素数1〜4のアルキル基を表し、m,nは、それぞれ独立して1以上5以下の整数である)で表される構造を有する化合物であることが好ましい。なお、ここでいう直接結合とは、2つのベンゼン環のそれぞれに含まれる炭素が直接結合することによって、2つのベンゼン環が結合していることを指す。
上記一般式(4)にて表される構造を有するジアミン(説明の便宜上、「式(4)のジアミン」と称する)としては、具体的には、例えば、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(4−アミノフェニキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン等のビス[(アミノフェノキシ)フェニル]アルカン類;2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等のビス[(アミノフェノキシ)フェニル]フルオロアルカン類;1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル等のビス(アミノフェノキシ)ベンゼン系化合物類;ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン等のビス(アミノフェノキシ)ケトン系化合物類;ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド等のビス[(アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド系化合物類;ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン等のビス[(アミノフェノキシ)フェニル]スルホン系化合物;ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル等のビス[(アミノフェノキシ)フェニル]エーテル系化合物類;1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン等のビス[(アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン系化合物類;4,4’−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル等のビス[(アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル系化合物類;4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物類;4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン等の(フェノキシ)フェニルスルホン系化合物類;1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン等のビス[(アミノフェノキシ)ジメチルベンゼン]ベンゼン系化合物類;等が挙げられる。これら式(4)のジアミンは、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の割合で組み合わせて用いてもよい。
上記式(4)のジアミンの中でも、次に示す一般式(4−1)
Figure 2006348086
(ただし、式中、Yは、それぞれ独立して、−C(=O)−,−SO−,−O−,−S
−,−(CH)−,−NHCO−,−C(CH)−,−C(CF)−,および,−C(=
O)O−からなる群より選択される2価基、または、直接結合を表し、R2は、それぞれ独
立して、水素原子、ハロゲン原子、または、炭素数1〜4のアルキル基を表し、m,nは
、それぞれ独立して1以上5以下の整数である)で表される構造を有するジアミン、すなわちメタ位にアミノ基を有するジアミンをより好ましく用いることができる。式(4)のジアミンがメタ位にアミノ基を有していれば、パラ位にアミノ基を有するジアミンを用いた場合よりも、得られるポリイミド樹脂において各種の有機溶媒に対する溶解性に優れたものとすることができる。
上記一般式(4−1)にて表される構造を有するジアミン(説明の便宜上、「メタ位ジアミン」と称する)としては、具体的には、例えば、上述した式(4)のジアミンの例として挙げた化合物のうち、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3)−アミノフェノキシ]フェニル]ブタン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル等を挙げることができる。これらメタ位ジアミンは、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の割合で組み合わせて用いてもよい。
このうち、メタ位ジアミンとしては、特に、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンを用いることが好ましい。当該1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンを用いれば、最終的に得られる熱硬化性樹脂組成物において、各種の有機溶媒に対する溶解性、半田耐熱性、PCT耐性を優れたものとすることが可能となる。
また、(A−2)モノマージアミン成分に含まれるジアミンとしては、水酸基(−OH)および/またはカルボキシル基(−COOH)を有するジアミン(説明の便宜上、構造上共通な−OHから「ヒドロキシジアミン」と称する)を挙げることができる。このヒドロキシジアミンを用いれば、得られるポリイミド樹脂に水酸基および/またはカルボキシル基を導入することができる。
ポリイミド樹脂に水酸基およびカルボキシル基の少なくとも一方が導入されていると、熱硬化性樹脂組成物において、後述する(B)エポキシ樹脂成分の硬化を促進することができる。そのため、熱硬化性樹脂組成物を硬化させる際に、(B)エポキシ樹脂成分の熱硬化を低温又は短時間で行うことが可能になる。さらに、(B)エポキシ樹脂成分は、水酸基やカルボキシル基と反応するので、ポリイミド樹脂同士がエポキシ樹脂を介して架橋されることになる。それゆえ、硬化後の硬化樹脂において、その分子構造を強化することにもなる。
したがって、上記ヒドロキシジアミンを用いて、水酸基および/またはカルボキシル基を導入したポリイミド樹脂を得ることにより、最終的に得られる熱硬化性樹脂組成物および硬化樹脂に対して、耐熱性、半田耐熱性、PCT耐性等の諸特性をさらに優れたものとすることができる。
上記ヒドロキシジアミンは、その構造中に水酸基およびカルボキシル基の少なくとも方を有していれば特に限定されるものではない。具体的には、例えば、2,4−ジアミノフェノール等のジアミノフェノール系化合物;3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル等のジアミノビフェニル系化合物;3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラヒドロキシビフェニル等のヒドロキシビフェニル系化合物;3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジハイドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジハイドロキシジフェニルメタン、2,2−ビス[3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラヒドロキシジフェニルメタン等のヒドロキシジフェニルアルカン類;3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラヒドロキシジフェニルエーテル等のヒドロキシジフェニルエーテル系化合物;3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラヒドロキシジフェニルスルホン等のジフェニルスルホン系化合物;2,2−ビス[4−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニル]プロパン等のビス[(ヒドロキシフェニル)フェニル]アルカン類;4,4’−ビス(4−アミノ−3−ヒドキシフェノキシ)ビフェニル等のビス(ヒドキシフェノキシ)ビフェニル系化合物;2,2−ビス[4−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニル]スルホン等のビス[(ヒドロキシフェノキシ)フェニル]スルホン系化合物;3,5−ジアミノ安息香酸等のジアミノ安息香酸類;3,3’−ジアミノ−4,4’−ジカルボキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジカルボキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジカルボキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラカルボキシビフェニル等のカルボキシビフェニル系化合物;3,3’−ジアミノ−4,4’−ジカルボキシジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジハイドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジハイドロキシジフェニルメタン、2,2−ビス[4−アミノ−3−カルボキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[3−アミノ−4−カルボキシフェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラカルボキシジフェニルメタン等のカルボキシジフェニルメタン等のカルボキシジフェニルアルカン類;3,3’−ジアミノ−4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラカルボキシジフェニルエーテル等のカルボキシジフェニルエーテル系化合物;3,3’−ジアミノ−4,4’−ジカルボキシジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジカルボキシジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジカルボキシジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラカルボキシジフェニルスルホン等のジフェニルスルホン系化合物;2,2−ビス[4−(4−アミノ−3−カルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン等のビス[(カルボキシフェニル)フェニル]アルカン類;4,4’−ビス(4−アミノ−3−ヒドキシフェノキシ)ビフェニル等のビス(ヒドキシフェノキシ)ビフェニル系化合物;2,2−ビス[4−(4−アミノ−3−カルボキシフェノキシ)フェニル]スルホン等のビス[(カルボキシフェノキシ)フェニル]スルホン系化合物;等を挙げることができる。これらヒドロキシジアミンは、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の割合で組み合わせて用いてもよい。
上述した化合物の中でも、ヒドロキシジアミンとしては、次に示す構造式で表される3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニルを用いることが特に好ましい。
Figure 2006348086
3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニルを(A−2)モノマージアミン成分に含めることで、得られる熱硬化性樹脂組成物および硬化樹脂に対して、良好な半田耐熱性やPCT耐性を与えることが可能となる。
このように(A−2)モノマージアミン成分には、上記式(4)のジアミン(特に、メタ位ジアミン)が少なくとも1種含まれており、さらには上記ヒドロキシジアミンが少なくとも1種含まれていることが好ましい。また、式(4)のジアミンが含まれていない場合でも上記ヒドロキシジアミンが少なくとも1種含まれていることが好ましい。すなわち、本発明では、(A−2)モノマージアミン成分には、式(4)のジアミンおよび/またはヒドロキシジアミンが少なくとも1種含まれることが好ましい。これにより、得られる熱硬化性樹脂組成物および硬化樹脂に対して、より優れた半田耐熱性やPCT耐性を得ることができる。
上記(A−2)モノマージアミン成分中における上記式(4)のジアミンの含有量、すなわち全てのジアミン中における式(4)のジアミンの比率は、全てのジアミン成分を100モル%としたとき60モル%以上99モル%以下となることが好ましい。同様に、上記(A−2)モノマージアミン成分中における上記ヒドロキシジアミンの含有量、すなわち全てのジアミン中におけるヒドロキシジアミンの比率は、全てのジアミン成分を100モル%としたとき1モル%以上40モル%以下となることが好ましい。これら各ジアミンの含有量が上記範囲から逸脱すると、得られる熱硬化性樹脂組成物および硬化樹脂において、各種の有機溶媒に対する溶解性、半田耐熱性、PCT耐性が損なわれる傾向にある。
なお、上記各ジアミンは、それぞれ任意の割合で組み合わせればよく、上記式(4)のジアミンとヒドロキシジアミンとを併用する場合には、上記範囲内でそれぞれを含有させればよい。
さらに、(A−2)モノマージアミン成分には、上記式(4)のジアミンおよびヒドロキシジアミン以外のジアミン(説明の便宜上、「その他のジアミン」と称する)が含まれていてもよい。(A−2)モノマージアミン成分に含まれるその他のジアミンは特に限定されるものではないが、芳香族系ジアミンを好ましく用いることができる。
上記芳香族系ジアミンとしては、具体的には、例えば、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、ビス(3−アミノフェニル)スルフィド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノフェニル)スルホキシド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホキシド、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド等を挙げることができる。 これらその他のジアミンは、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の割合で組みあわせて用いてもよい。また、(A−2)モノマージアミン成分中におけるその他のジアミンの含有量は、全てのジアミン成分を100モル%としたとき10モル%未満であることが好ましい。
<ポリアミド酸のイミド化>
上記(A−1)モノマー酸二無水物成分と(A−2)モノマージアミン成分とを、前記<ポリアミド酸の製造(合成)方法>の項で述べたように有機溶媒に混合して攪拌することにより、ポリアミド酸溶液が得られる。このポリアミド酸溶液中のポリアミド酸をイミド化することで可溶性ポリイミド樹脂を得ることができる。このとき行われるイミド化の具体的な手法としては、(1)熱的手法、(2)化学的手法、(3)真空イミド化法を挙げることができる。これら手法により、ポリアミド酸を脱水閉環することでポリイミド樹脂を得る。
上記(1)熱的手法は、ポリアミド酸溶液を熱処理して脱水閉環する方法であり、その具体的な工程は特に限定されるものではないが、例えば、上記ポリアミド酸溶液の加熱処理によってイミド化反応を進行させ、同時に溶媒を蒸発させる等の工程を挙げることができる。この熱的手法により、固形のポリイミド樹脂を得ることができる。なお、上記加熱処理の条件は特に限定されるものではないが、300℃以下の温度で、約5分〜20分間の範囲の時間で加熱を行うことが好ましい。
上記(2)化学的手法とは、脱水剤を用いてポリアミド酸を脱水閉環する方法であり、その具体的な工程は特に限定されるものではないが、例えば、上記ポリアミド酸溶液に、化学量論量以上の脱水剤と触媒とを加えることによって、脱水反応および有機溶媒の蒸発を行う方法を挙げることができる。この化学的手法により、固形のポリイミド樹脂を得ることができる。
上記脱水剤としては、無水酢酸等の脂肪族酸無水物;無水安息香酸等の芳香族酸無水物;N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド等のカルボジイミド類等を挙げることができる。また、上記触媒としては、トリエチルアミン等の脂肪族第3級アミン類;ジメチルアニリン等の芳香族第3級アミン類;ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、イソキノリン等の複素環式第3級アミン類;等を挙げることができる。
なお、(2)化学的手法による脱水閉環を行う際の温度条件は、100℃以下であることが好ましく、反応時間は、約1分〜50時間の範囲内で行うことが好ましい。また、有機溶媒の蒸発は、200℃以下の温度で、約5分〜120分間の範囲の時間で行うことが好ましい。
さらに、(3)真空イミド化法は、減圧下で加熱処理することによりポリアミド酸をイミド化する方法であり、その具体的な工程は特に限定されるものではない。その加熱条件は80〜400℃の範囲内とすればよいが、効率よくイミド化および脱水を行うためには、100℃以上とすることがより好ましく、120℃以上とすることがさらに好ましい。ここで、加熱処理における最高温度は、ポリイミド樹脂の熱分解温度以下とすることが好ましく、通常、イミド化の完結温度である約150℃から350℃の温度範囲内に設定される。また、圧力条件は低圧であることが好ましい。具体的には、0.001〜0.9気圧の範囲内であることが好ましく、0.001〜0.8気圧の範囲内であることがより好ましく、0.001〜0.7気圧の範囲内であることがさらに好ましい。
上記(3)真空イミド化法によれば、イミド化によって生成する水を積極的に系外に除去することができるので、ポリアミド酸の加水分解を抑制することができる。その結果、高分子量のポリイミド樹脂を得ることができる。さらに、この方法を用いれば、ポリアミド酸の原料である酸二無水物中に不純物として存在する、片側開環物又は両側開環物を閉環させることができるので、ポリイミド樹脂の分子量をより一層向上することができる。
なお、上記(1)〜(3)のイミド化法では、溶媒を蒸発させる場合を例示して説明したが、イミド化法はこれに限定されるものではなく、溶媒を蒸発させなくてもよい。具体的には、例えば、上記(1)・(2)のイミド化法によって得られるポリイミド樹脂溶液を貧溶媒中に加え、ポリイミド樹脂を析出させる方法を挙げることができる。この方法では、ポリイミド樹脂溶液に含まれる未反応のモノマー(酸二無水物・ジアミン)を除去して精製することになる。これを乾燥すれば、より高品質の固形のポリイミド樹脂を得ることができる。
この方法で用いられる貧溶媒としては、ポリイミド樹脂溶液の溶媒とは良好に混合するが、ポリイミド樹脂は溶解しにくい性質の溶媒であれば特に限定されるものではない。具体的には、例えば、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ベンゼン、メチルセロソルブ(登録商標)、メチルエチルケトン等を挙げることができる。これら貧溶媒は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の割合で組み合わせて用いてもよい。
(II−2)(B)エポキシ樹脂成分
<一般式(1)で表されるエポキシ樹脂>
本発明で用いられる(B)エポキシ樹脂成分は、一般式(1)
Figure 2006348086
(但し、式中Rは、同一であっても異なっていてもよく、水素または炭素数が1〜4以下のアルキル基であり、aは0以上1000以下の整数を表す)で表わされる少なくとも1種のエポキシ樹脂を含んでいる。本発明にかかる熱硬化性樹脂組成物は、この一般式(1)で表されるエポキシ樹脂成分を含有することにより、熱硬化性樹脂組成物に良好な樹脂流動性を付与することができるとともに、硬化後の硬化樹脂に対して良好な耐熱性や絶縁性を付与することができる。また、一般式(1)で表されるエポキシ樹脂成分の含有により、金属箔等の導体や回路基板に対する良好な接着性を付与することができる。
特に一般式(1)で表わされるエポキシ樹脂は、特異的に低温領域における樹脂の流動性を向上させることが出来る。
一般式(1)で表されるエポキシ樹脂は、一般的にビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂(BPAノボラック型エポキシ樹脂)と称され、ビスフェノールA型エポキシ樹脂がアルキル鎖を介して結合した構造を有している。
BPAノボラックエポキシ樹脂は、例えば、BPAノボラックフェノール樹脂を、エピクロルヒドリンにより、フェノール樹脂の水酸基の一部、または全部をグリシジルエーテル基に変換することにより製造し得る。
本発明に用いられる一般式(1)のエポキシ樹脂にも、一部の水酸基が残存していてもよい。
一般式(1)で表されるエポキシ樹脂としては、エピコート157S65、157S70(商品名:ジャパンエポキシレジン株式会社製)が上げられる。
<その他のエポキシ樹脂成分>
(B)エポキシ樹脂成分に用いることの出来る一般式(1)で表されるエポキシ樹脂以外のその他のエポキシ樹脂(説明の便宜上、「その他のエポキシ樹脂成分」と称する)としては、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ポリグリコール型エポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、エポキシ変性ポリシロキサン等のエポキシ樹脂類;これらのハロゲン化エポキシ樹脂;融点を有する結晶性エポキシ樹脂;等を挙げることができる。これらその他のエポキシ樹脂は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の割合で組み合わせて用いてもよい。
これらその他のエポキシ樹脂の中でも、分子鎖中に少なくとも1つの芳香環および/または脂肪族環を有するエポキシ樹脂、ビフェニル骨格を有するビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格を有するナフタレン型エポキシ樹脂、融点を有する結晶性エポキシ樹脂がより好ましく用いられる。これらその他のエポキシ樹脂は、入手しやすい上に、(A)・(B)・(D)の各相溶性に優れている。また、得られる熱硬化性樹脂組成物に対して良好な樹脂流動性を付与することができるとともに、硬化後の硬化樹脂に対して優れた耐熱性や絶縁性を付与することができる。
上述した各その他のエポキシ樹脂中でも、次に示す式の群(6)
Figure 2006348086
(ただし、式中のRおよびRはそれぞれ独立して、水素または炭素数1〜4のアルキル基であり、q,r,sはそれぞれ独立して任意の整数を表す)で表されるエポキシ樹脂、または結晶性エポキシ樹脂をより一層好ましく用いることができる。これらその他のエポキシ樹脂を用いれば、熱硬化性樹脂組成物および硬化樹脂に対して、誘電特性、耐熱性、回路埋め込み性等の諸特性を付与することができる上に、これら諸特性のバランスを良好なものとすることができる。
なお、(B)エポキシ樹脂成分として用いるエポキシ樹脂は、上述した何れのエポキシ樹脂であっても、高純度のエポキシ樹脂であることが好ましい。これにより得られる熱硬化性樹脂組成物および硬化樹脂において、信頼性の高い電気絶縁性を実現することができる。本発明において上記高純度の基準は、エポキシ樹脂中に含まれるハロゲンやアルカリ金属の含有濃度とする。具体的には、エポキシ樹脂中に含まれるハロゲンやアルカリ金属の含有濃度は、120℃、2気圧の条件下で抽出した場合に、25ppm以下であることが好ましく、15ppm以下であることがより好ましい。ハロゲンやアルカリ金属の含有濃度が25ppmよりも高くなると、硬化後の硬化樹脂において、電気絶縁性の信頼性が損なわれてしまう場合がある。
また、(B)エポキシ樹脂成分として用いるエポキシ樹脂は、上述した何れのエポキシ樹脂であっても、そのエポキシ価(エポキシ当量ともいう)の下限値が150以上であることが好ましく、170以上であることがより好ましく、190以上であることが最も好ましい。また、上記エポキシ樹脂のエポキシ価の上限値は、700以下であることが好ましく、500以下であることがより好ましく、300以下であることが最も好ましい。それゆえ、(B)エポキシ樹脂製分として用いるエポキシ樹脂のエポキシ価は150以上700以下の範囲内にあることが好ましい。
上記エポキシ樹脂のエポキシ価が150未満であると、硬化後の硬化樹脂中の極性基が多くなるため、誘電特性が損なわれる場合がある。すなわち、硬化樹脂の誘電率や誘電正接が高くなってしまう場合がある。一方、エポキシ価が700を超えると、硬化樹脂中の架橋密度が低下するので、耐熱性が損なわれてしまう場合がある。
(II−3)(C)エポキシ硬化剤成分
本発明で用いられる(C)エポキシ硬化剤成分は少なくとも1種のエポキシ硬化剤を含んでいればよい。エポキシ硬化剤とは、エポキシ樹脂に含まれるエポキシ樹脂と反応することができる基を含む化合物であればよく、たとえば、フェノール樹脂系硬化剤、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤等を挙げることができる。
本発明にかかる熱硬化性樹脂組成物は、この(C)エポキシ硬化剤成分を含有することにより、熱硬化性樹脂組成物に良好な樹脂流動性を付与することができるとともに、硬化後の硬化樹脂に対して良好な耐熱性を付与することができる。また、(C)エポキシ硬化剤成分の含有により、熱硬化性樹脂組成物を硬化させる場合に、前述の(B)エポキシ樹脂成分を効率よく硬化させることも可能になる。
本発明で用いられる(C)エポキシ硬化剤としては、耐熱性、誘電特性に優れる硬化物を得やすい点、また加工温度を制御しやすい点、や入手性の点でフェノール樹脂系硬化剤あるいはアミン系硬化剤を好ましく用いることが出来る。
本発明で用いることの出来るフェノール樹脂系硬化剤としては、特に限定さされるものではないが例えば、フェノールノボラック型フェノール樹脂、クレゾールノボラック型フェノール樹脂、ビスフェノールAノボラック型フェノール樹脂、ビフェノールクレゾールノボラック型フェノール樹脂、クレゾールメラミン共重合型フェノール樹脂、ナフトール/クレゾール共重合型フェノール樹脂等が挙げられる。上記各フェノール樹脂のうち、分子鎖中に少なくとも芳香環または/及び脂肪族環を1つ以上有するフェノール樹脂を用いることが好ましい。これにより、(A)ポリイミド樹脂成分や(B)エポキシ樹脂成分との相溶性を得ることができ、また、熱硬化性樹脂組成物が硬化してなる硬化樹脂に優れた耐熱性を付与することができる。
分子鎖中に少なくとも芳香環または/及び脂肪族環を1つ以上有するフェノール樹脂としては、特に、
Figure 2006348086
(但し、式中のRおよびRは、それぞれ独立して水素あるいは、炭素数1〜4にアルキル基であり、b,c,d,eは、任意の整数を表す)にて表される構造を有する化合物群から選択される少なくとも1種のフェノール樹脂が好ましい。
上記フェノール樹脂のうち、1種又は2種以上を任意の割合で組み合わせて用いればよい。
上記フェノール樹脂は、水酸基価(水酸基当量ともいう)の下限値が90以上であることが好ましく、95以上であることがより好ましく、100以上であることが最も好ましい。また、上記フェノール樹脂の水酸基価の上限値は、300以下であることが好ましく、200以下であることがより好ましく、150以下であることが最も好ましい。
上記フェノール樹脂の水酸基価が90未満であると、熱硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化樹脂中の極性基が多くなるため、誘電特性が損なわれる場合がある。
すなわち、硬化樹脂の誘電率や誘電正接が高くなってしまう場合がある。一方、水酸基価が200を超えると、硬化樹脂中の架橋密度が低下するので、耐熱性が損なわれてしまう場合がある。
本発明で用いることのできるアミン系硬化剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、アニリン、ベンジルアミン、アミノヘキサン等のモノアミン類;前述したポリアミド酸の製造に用いられる(A−2)モノマージアミン成分で挙げた各種ジアミン類;ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタアミン、ペンタエチレンヘキサアミン等のポリアミン類;等が挙げられる。また、(B)アミン成分としては、これらアミン類の中でも、芳香族ジアミンを用いることが好ましく、分子量が300以上の芳香族ジアミンを含有していることが好ましく、分子量が300以上600以下の範囲内の芳香族ジアミンを含有していることがより好ましい。これにより、硬化後の硬化樹脂に対して良好な耐熱性や誘電特性を与えることができる。
上記芳香族ジアミンの分子量が300未満であると、硬化後の硬化樹脂において、構造中に含まれる極性基が多くなるため誘電特性が損なわれる場合がある。すなわち、硬化樹脂の誘電率や誘電正接が高くなってしまう場合がある。一方、分子量が600を超えると、硬化樹脂中の架橋密度が低下するので、耐熱性が損なわれてしまう場合がある。
上記芳香族ジアミンとしては特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、[4−(4−アミノフェニキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン等のビス[(アミノフェノキシ)フェニル]アルカン類;2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等のビス[(アミノフェノキシ)フェニル]フルオロアルカン類;4,4’−ビス(4)−アミノフェノキシ)ビフェニル等のビス(アミノフェノキシ)ベンゼン系化合物類;ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン等のビス(アミノフェノキシ)ケトン系化合物類;ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド等のビス[(アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド系化合物類;ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン等のビス[(アミノフェノキシ)フェニル]スルホン系化合物;ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル等のビス[(アミノフェノキシ)フェニル]エーテル系化合物類;1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン等のビス[(アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン系化合物類;4,4’−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル等のビス[(アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル系化合物類;4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物類;4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン等の(フェノキシ)フェニルスルホン系化合物類;1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン等のビス[(アミノフェノキシ)ジメチルベンゼン]ベンゼン系化合物;等を挙げることができる。これらジアミンは、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の割合で組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、特に、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテルがより好ましく用いることができる。
これら化合物は、溶媒に溶解しやすい等の取扱性や入手の容易さ等から好ましいだけでなく、これら化合物をアミン系硬化剤に含有させることにより、硬化後の硬化樹脂に対して耐熱性(ガラス転移温度が高い等)、誘電特性等の諸特性を優れたものにできる。
(II−4)(D)無機充填材
硬化樹脂の特性の改善、特に熱膨張係数を更に低下させるために、無機充填材(フィラー)成分を含有させる事が好ましい。無機充填材成分として用いられる無機充填材は、特に限定されないが、具体的には、酸化チタン、炭酸カルシウム、アルミナ、シリカ等の無機フィラー、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂などの有機フィラー等が挙げられる。
特に、高濃度に充填できることにより硬化樹脂の熱膨張係数を低下させることができ、またBステージ状態から硬化する過程で溶融しても溶融した樹脂組成物の流動性を妨げることがなく、溶融粘度の上昇を回避することができる事、誘電特性に優れること等の点で球状の溶融シリカを用いることが特に好ましい。
(II−5)(E)その他の成分
本発明にかかる熱硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、上記(A)〜(D)の各成分以外の(E)その他の成分が含まれていてもよい。(E)その他の成分としては特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、(E−1)硬化促進剤)(E−2)エポキシ樹脂以外の熱硬化成分等を挙げることができる。
<(E−1)硬化促進剤>
上記(E−1)硬化促進剤としては、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、トリフェニルホスフィン等のホスフィン系化合物;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリフェニルアミン、トリメタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラエタノールアミン等のアミン系化合物;1,8−ジアザ−ビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムテトラフェニルボレート等のボレート系化合物;イミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、等のイミダゾール類;2−メチルイミダゾリン、2−エチルイミダゾリン、2−イソプロピルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン、2−ウンデシルイミダゾリン、2,4−ジメチルイミダゾリン、2−フェニル−4−メチルイミダゾリン等のイミダゾリン類;2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン等のアジン系イミダゾール類等を挙げることができる。これら硬化促進剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の割合で組み合わせて用いてもよい。
これら化合物の中でも、回路埋め込み性、入手性、溶媒溶解性等に優れる点から、トリフェニルホスフィン、トリエチルアミン、トリフェニルアミン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンがより好ましく用いられる。
これら硬化促進剤の使用量(混合比)については特に限定されるものではなく、エポキシ樹脂成分と硬化剤との反応を促進できる量であり、かつ、硬化樹脂の誘電特性を損なわない範囲であればよいが、一般的には、(B)エポキシ樹脂成分全量を100重量部としたときに、0.01〜10重量部の範囲内で用いることが好ましい。
<(E−2)エポキシ樹脂以外の熱硬化成分>
上記(E−2)熱硬化成分としては、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、ビスマレイミド樹脂、ビスアリルナジイミド樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ヒドロシリル硬化樹脂、アリル硬化樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂;高分子鎖の側鎖または末端にアリル基、ビニル基、アルコキシシリル基、ヒドロシリル基等の反応性基を有する側鎖反応性基型熱硬化性高分子;等を用いることができる。これら熱硬化成分は1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の割合で組み合わせて用いてもよい。これら熱硬化成分を添加することにより、得られる熱硬化性樹脂組成物や硬化後の硬化樹脂において、接着性や耐熱性、加工性等の諸特性を改善することができる。
なお、上記熱硬化成分の使用量(混合比)については特に限定されるものではなく、諸特性の改善効果を発揮できる量であり、かつ、硬化樹脂の誘電特性を損なわない範囲であればよい。
(III)本発明にかかる熱硬化性樹脂組成物の利用
本発明にかかる熱硬化性樹脂組成物は、様々な用途に好適に用いることができるが、中でも、フレキシブルプリント配線板やビルドアップ回路基板等の回路基板の材料として好適に用いることができる。具体的には、当該回路基板や回路基板上のパターン化された回路を保護する保護材料、多層の回路基板にて各層間の絶縁性を確保するための層間絶縁材料等として好適に用いることができる。
<樹脂溶液>
本発明にかかる熱硬化性樹脂組成物を利用する場合の形態は特に限定されるものではないが、例えば、樹脂溶液(ワニス)として用いることができる。樹脂溶液の調製方法は特に限定されるものではなく、本発明にかかる熱硬化性樹脂組成物を適当な溶媒に添加して攪拌すればよい。また、上述した(A)〜(E)の各成分をそれぞれ適当な溶媒に溶解し、成分別の溶液を調製し、これらを混合してもよい。このときの成分別の溶液は、(A)〜(E)の各成分のみを含んでいてもよいし、2種類以上の成分を含んでいてもよい。また、同じ成分であっても複数種類の化合物を用いる場合には、それぞれについて溶液を調製してもよい。例えば、(A)ポリイミド樹脂成分として2種類のポリイミド樹脂を用いる場合には、それぞれのポリイミド樹脂を溶液として調製して混合してもよい。
上記樹脂溶液に用いることができる溶媒としては、熱硬化性樹脂組成物または(A)〜(E)の各成分を溶解し得る溶媒であれば特に限定されるものではないが、沸点が150℃以下の溶媒であることが好ましい。具体的には、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン等の環状エーテル類;エチレングリコールジメチルエーテル、トリグライム、ジエチレングリコール、エチルセロソルブ、メチルセロソルブ等の鎖状エーテル等のエーテル類;等が好ましく用いられる。また、これらエーテル類に、トルエン、キシレン類、グリコール類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、環状シロキサン、鎖状シロキサン等を混合した混合溶媒も好ましく用いることができる。これら溶媒は1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の割合で組み合わせて用いてもよい。
<樹脂シート>
また、本発明にかかる熱硬化性樹脂組成物は、あらかじめシート状に成形加工することにより樹脂シートとして用いることができる。樹脂シートの構成は特に限定されるものではなく、具体的には、例えば、熱硬化性樹脂組成物のみからなる単層シート、フィルム基材の片面あるいは両面に上記熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を設けてなる2層シートまたは3層シート、フィルム基材と熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を交互に積層した多層シート等の積層体を挙げることができる。したがって、本発明には、熱硬化性樹脂組成物だけでなく、当該熱硬化性樹脂組成物を用いて形成された樹脂層を少なくとも1層含んでなる積層体も含まれる。
上記樹脂シートの成形方法は特に限定されるものではないが、通常は、上記樹脂溶液をフィルム基材(支持体)表面に流延または塗布し、その後樹脂溶液を乾燥させることによって、フィルム状に成形すればよい。この樹脂シートにおいては、熱硬化性樹脂組成物が半硬化状態(Bステージ状態)にある。したがって、半硬化状態の樹脂シートを上記支持体から剥離すれば、上記単層シートを得ることができる。また、樹脂シートを剥離しなければ、フィルム基材および熱硬化性樹脂組成物の樹脂層からなる2層シートを得ることができる。
さらに、フィルム基材の両面に樹脂溶液を流延または塗布し、その後樹脂溶液を乾燥させれば、フィルム基材およびその両面の樹脂層からなる3層シートを得ることができる。また、上記多層シートは、上記フィルム基材の表面に、上記樹脂溶液を流延または塗布し、その後樹脂溶液を乾燥させる工程を繰り返すことによって製造することができる。
上記支持体として用いられるフィルム基材の種類は特に限定されるものではなく、公知の樹脂フィルムを好適に用いることができる。また、単層シートを製造する場合には、フィルム基材以外の支持体を用いてもよい。このような支持体としては、例えば、ドラムやエンドレスベルトを挙げることができる。
本発明にかかる熱硬化性樹脂組成物を樹脂シートとして用いる場合は、単層シートとして用いる場合でも、積層体として用いる場合でも、その樹脂層(熱硬化性樹脂組成物からなる層)の厚みは特に限定されるものではない。樹脂層の厚みは使用目的に応じて適切な厚みを設定すればよい。
さらに、本発明にかかる熱硬化性樹脂組成物は、上記樹脂溶液(ワニス)を、例えば、ガラス布、ガラスマット、芳香族ポリアミド繊維布、芳香族ポリアミド繊維マット等の各種繊維に含浸させることもできる。繊維に含浸させた熱硬化性樹脂組成物を半硬化させれば、繊維強化型の樹脂シートを得ることができる。
<熱可塑性樹脂層を含有する積層体>
本発明の熱硬化性樹脂組成物を含む積層体を形成させる場合、積層体の金属層、金属箔や樹脂フィルム等との接着性の向上や耐熱性の向上。あるいは、積層体の機械的強度の向上などを目的に、熱硬化性樹脂組成物によって形成された樹脂層の両面または片面に少なくとも1種の熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂層を形成することができる。
上記、熱可塑性樹脂としては、特に限定されない。具体的には、熱可塑性ポリアミド樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、脂環式ポリマー樹脂などが挙げられる。耐熱性、機械的強度、金属層や金属箔との接着性等の特性バランスに優れる点で熱可塑性ポリイミド樹脂を好ましく用いることが出来る。特に、金属層や金属箔との接着性に優れる点で、一般式(3)
Figure 2006348086
(但し、式中のZ1は、それぞれ独立してアルキレン基またはフェニレン基であり、Z2はそれぞれ独立してアルキル基、またはフェニル基、またはフェノキシ基であり、hは任意の整数を表す)で表わされる構造を有する熱可塑性ポリイミド樹脂をより好ましく用いることができる。
尚、上記一般式(3)で表される構造を有する熱可塑性ポリイミド樹脂は、前記(A)ポリイミド樹脂成分の説明のポリアミド酸の製造(合成)方法、及びイミド化方法にしたがって製造することが出来る。すなわち、一般式(3)の構造を有する(A−1)モノマー酸二無水物あるいは(A−2)モノマージアミン成分を用いポリアミド酸、およびポリイミドを製造することが出来る。
<金属層含有積層体>
また、本発明にかかる積層体は、上記フィルム基材として、樹脂フィルム等ではなく銅やアルミニウム等の金属を用いれば、金属層を含む積層体(金属層含有積層体)を得ることもできる。この金属層含有積層体の構成は特に限定されるものではなく、熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層と金属層とをそれぞれ1層以上含む積層体であればよい。また、樹脂層は金属層の片面にのみ設けてもよいし両面に設けてもよい。さらに、金属層と樹脂層とを交互に積層させてもよい。
上記金属層含有積層体は、上述したように、樹脂溶液を金属層表面に流延または塗布して、当該樹脂溶液を乾燥することによって製造することもできるが、これに限定されるものではない。例えば、上述した方法で得られる単層シートや2層シートにおける樹脂層の面に金属箔を貼り合わせることによっても製造することができる。また、単層シートや2層シートにおける樹脂層の表面に、化学めっきやスパッタリング等の方法により、金属層を形成することによっても製造することもできる。
<回路基板>
さらに、上記金属層含有積層体において、金属層が回路基板の導体として用いることができる金属から形成されていれば、当該金属層に対してエッチング処理を行うことにより、所望のパターンの回路(パターン回路)を形成することもできる。つまり、本発明にかかる金属層含有積層体の金属層にパターン回路を形成することによって回路基板を得ることもできる。したがって、本発明には、上記熱硬化性樹脂組成物を用いてなる回路基板も含まれる。
上記エッチング処理の方法は特に限定されるものではなく、ドライフィルムレジストや液状のレジスト等を用いた公知の金属エッチング方法を好適に用いることができる。また、支持基板である樹脂層が硬化後も可撓性を有していればフレキシブルプリント配線基板とすることができる。さらに、エッチング処理により形成されたパターン回路を保護するために、上記半硬化状態の樹脂シート(シート状の熱硬化性樹脂組成物)を積層することもできる。また、パターン回路が形成された樹脂層(2層構造の金属層含有積層体)を積層することで、多層構造のビルドアップ回路基板を製造することもできる。
上記樹脂層が半硬化状態である場合には、適度な流動性を有している。そのため、熱プレス処理、ラミネート処理(熱ラミネート処理)、熱ロールラミネート処理等の熱圧着処理を行うことで、パターン回路の線間を樹脂(熱硬化性樹脂組成物)により良好に埋め込むことができる。
上記熱圧着処理における処理温度は特に限定されるものではないが、50℃以上200℃以下の範囲内であることが好ましく、60℃以上180℃以下の範囲内であることがより好ましく、80℃以上130℃以下の範囲内であることが好ましい。上記処理温度が200℃を超えると、熱圧着処理時に樹脂層が硬化してしまう可能性がある。一方、上記処理温度が50℃未満であると、樹脂層の流動性が低く、パターン回路を埋め込むことが困難となる。
上記パターン回路上に設けられる樹脂層は、パターン回路を保護する保護材料あるいは、多層の回路基板での層間絶縁材料となる。そのため、パターン回路を埋め込んだ後、露光処理、加熱硬化等を行うことによって完全に硬化させることが好ましい。露光処理や加熱硬化の具体的な方法は特に限定されるものではなく、樹脂層すなわち熱硬化性樹脂組成物を十分に硬化できる条件で行えばよい。
上記樹脂層(熱硬化性樹脂組成物)を硬化させる場合には、(B)エポキシ樹脂成分の硬化反応を十分に進行させるために、金属層と樹脂層とを貼り合せた後に、ポスト加熱処理を実施することが好ましい。ポスト加熱処理の条件は特に限定されるものではないが、150℃以上200℃以下の範囲内の温度条件下、10分以上3時間以下の加熱処理を行うことが好ましい。
このように、本発明にかかる積層体および回路基板は、上述した熱硬化性樹脂組成物を含む樹脂層を備えている。そのため、当該積層体および回路基板の樹脂層は、接着性、加工性・取扱性、耐熱性、樹脂流動性、誘電特性等の諸特性をバランスよく付与することができる。これにより、高品質の積層体や回路基板を好適に製造することが可能になる。特に、積層体および回路基板が回路等を有している場合、各回路の電気的信頼性を確保し、各回路における信号伝達速度の低下や信号の損失を抑制することができる。
本発明について、実施例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。当業者は本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更、修正、および改変を行うことができる。なお、本発明にかかる熱硬化性樹脂組成物を樹脂シートとして用いる場合、その流動性、積層性、揮発成分量は以下のように評価または算出した。また、当該樹脂シートを加熱硬化してなる硬化樹脂シート(硬化樹脂)の誘電特性およびガラス転移温度は、以下のように測定し評価した。
〔流動性〕
剪断モードの動的粘弾性測定装置(CVO、Bohling社製)を用い、加熱硬化前の樹脂シートについて、次に示す条件で複素粘度(Pa・S)を測定し、複素粘度より溶融粘度(ポイズ)に換算した。各樹脂シートの溶融粘度の評価は、60℃以上150℃以下の温度範囲内において、最も小さい溶融粘度で行った。
測定周波数:1Hz
昇温速度 :12℃/分
測定試料 :直径3mmの円形状の樹脂シート
〔積層性〕
高さが18μm,回路幅が50μm,回路間距離が50μmにて形成された回路を有するガラスエポキシ基板FR−4(商品番号:MCL−E−67、日立化成工業(株)社製;銅箔の厚さ50μm、全体の厚さ1.2mm)の回路形成面と銅箔(商品番号:BHY22BT、ジャパンエナジー社製)の光沢面とに接するように、PETフィルム付の樹脂シート(50μmの厚み)を、樹脂シート側が基板側と接する様に挟み込み、真空ラミネーターMVLP−IIA型(品番、名機製作所製)を使用して下記条件にて積層加工し、積層体を得た。PETフィルムを得られた積層体より剥がしその表面を、光学顕微鏡(倍率50倍)を用いて目視によって観察し、回路間において泡のかみ込みの有無を確認した。
回路間の泡のかみ込み(回路間に樹脂が入り込んでいない部分)が確認されなかった場合の積層性を合格(○)とし、泡のかみ込み確認がされた場合の積層性を不合格(×)として評価を行った。
〔樹脂シート中の揮発成分量の算出〕
質量分析装置(商品番号:TGA50、島津製作所社製)を用い、樹脂シートを試料容器に入れて、次に示す条件にて重量変化を測定した。100℃〜300℃の範囲内で減少した重量を、重量変化前の樹脂シートの重量に対する割合で算出し、揮発成分量とした。
測定温度範囲:15℃〜350℃
昇温速度 :20℃/分
測定雰囲気 :窒素、流量50mL/分
試料容器 :アルミニウム製
〔誘電特性〕
空洞共振器摂動法複素誘電率評価装置(商品名、関東電子応用開発社製)を用い、次に示す条件にて、硬化樹脂シートの誘電率および誘電正接を測定した。
測定周波数:3GHz、5GHz、10GHz、
測定温度 :22℃〜24℃
測定湿度 :45%〜55%
測定試料 :上記測定温度・測定湿度条件下で、24時間放置した樹脂シート
〔ガラス転移温度〕
DMS−200(商品番号、セイコー電子工業社製)を用い、測定長(測定治具間隔)を20mmとして、次に示す条件下で、硬化樹脂シートの貯蔵弾性率(ε’)の測定を行い、当該貯蔵弾性率(ε’)の変曲点をガラス転移温度(℃)とした。
測定雰囲気:乾燥空気雰囲気下、
測定温度 :20℃〜400℃
測定試料 :幅9mm,長さ40mmにスリットした硬化樹脂シート
〔ポリイミド樹脂の合成例A〕
容量2000mlのガラス製フラスコに、ジメチルホルムアミド(DMF)に0.95当量の1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(APB)および0.05当量の3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル(和歌山精化工業(株)製)を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌して溶解させてDMF溶液とした。続いて、フラスコ内を窒素雰囲気下としてから、上記DMF溶液を氷水で冷却しながら撹拌し、1当量の4、4’−(4、4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビスフタル酸無水物(IPBP、GE社製)を添加した。その後、さらに3時間攪拌することによりポリアミド酸溶液を得た。なお、上記DMFの使用量は、APB、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニルおよびIPBPのモノマーの仕込み濃度が30重量%となるように設定した。
上記ポリアミド酸溶液300gをフッ素樹脂でコートしたバットに移し、真空オーブンにて、200℃、5mmHg(約0.007気圧、約5.65hPa)の圧力の条件下で、3時間減圧加熱することによって、ポリイミド樹脂1を得た。
〔ポリイミド樹脂の合成例2〕
一般式(3)で表される構造を有するポリイミドを以下の様に合成した。
容量2000mlのガラス製フラスコに、信越化学工業株式会社製KF8010を37g(0.05mol)と、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル21g(0.10mol)と、DMFを投入し、撹拌しながら溶解させ、4,4´―(4,4´―イソプロピリデンジフェノキシ)ビスフタル酸無水物78g(0.15mol)を添加、約1時間撹拌し、固形分濃度30%ポリアミド酸のDMF溶液を得た。
上記ポリアミド酸溶液300gをフッ素樹脂でコートしたバットに移し、真空オーブンにて、200℃、5mmHg(約0.007気圧、約5.65hPa)の圧力の条件下で、3時間減圧加熱することによって、ポリイミド樹脂2を得た。
〔積層体の形成例A〕
ポリイミド樹脂2をジオキソランに溶解させ、ポリイミド樹脂溶液(A)を得た。固形分濃度は15重量%となるようにした。
上記溶液を、支持体である125μm厚のPETフィルム(商品名セラピールHP、東洋メタライジング社製)の表面上に乾燥後のポリイミド樹脂2からなる層厚みが2〜3μmとなるように流延した。その後、熱風オーブンにて60℃の温度で1分加熱乾燥させて、PETフィルム上にポリイミド樹脂2からなる層が形成された積層体Aを得た。
〔実施例1〕
次に示す各成分を表1に示す混合比となるようにジオキソランに溶解し、本発明にかかる熱硬化性樹脂組成物としての樹脂溶液(ワニス)を得た。
(A)ポリイミド樹脂成分:上記合成例により得たポリイミド樹脂
(B)エポキシ樹脂成分:ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂(商品名:157S65、エポキシ価=194g/eq、ジャパンエポキシレジン(株)製)
(C)エポキシ硬化剤成分:ビフェニル型フェノール樹脂(商品名、MEH7851sss、明和化成(株)製)
得られた樹脂溶液を、積層体の形成例Aで得られた、積層体Aのポリイミド樹脂2からなる層の表面上に流延した。その後、熱風オーブンにて60℃、80℃、100℃、120℃、140℃の温度で、各3分ずつ加熱乾燥させて、PETフィルムを基材とするポリイミド樹脂層/本発明の熱硬化性樹脂層とする樹脂シート(2層)を得た。得られた樹脂シートをPETフィルムを剥離しない状態で使用して、積層性の評価を行った。その結果を表3に示す。また当該PETフィルム付樹脂シートから、PETフィルムを剥離除去することにより2層シート(加熱硬化前の樹脂シート)を得た。得られた樹脂シートの厚みは40μmであった。得られた樹脂シートの樹脂流動性、揮発成分量を評価した。その結果を表3に示す。
次に、18μmの圧延銅箔(商品名:BHY−22B−T、ジャパンエナジー(株)社製)を用いて、当該圧延銅箔の銅箔粗化面にて接するように上記樹脂シートを挟み込んだ。その後、温度180℃、圧力3MPaの条件で1時間加熱加圧することにより、樹脂シートを圧延銅箔で挟持した構成の銅箔積層体(金属層含有積層体)を得た。得られた銅箔積層体の銅箔をエッチングにより除去し硬化樹脂シートを得た。得られた硬化樹脂シートの誘電特性およびガラス転移温度を測定した。その結果を表4に示す。
〔実施例2〜6〕
(A)〜(D)の各成分を表1に示す比率で混合した以外は、実施例1と同様の手法で、樹脂シート(加熱硬化前)、当該樹脂シートを硬化させてなる硬化樹脂シートを得た。なお、表1において、NC7000L(商品名、日本化薬(株)製)は、ナフタレン型エポキシ樹脂である。またBAPS−M(和歌山精化工業(株)製)は、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホンを指す。
得られた樹脂シートについて、流動性、積層性、揮発成分量を評価し、硬化樹脂シートについて、誘電特性、ガラス転移温度を評価した。その結果を表3および表4に示す。
Figure 2006348086
〔比較例1〜2〕
(A)〜(D)の各成分を表2に示す比率で混合した以外は、実施例1と同様の手法で、樹脂シート(加熱硬化前)、当該樹脂シートを硬化させてなる硬化樹脂シートを得た。得られた樹脂シートについて、流動性、積層性、揮発成分量を評価し、硬化樹脂シートについて、誘電特性、ガラス転移温度を評価した。その結果を表3および表4に示す。なお表2におけるN660(商品名、大日本インキ工業(株)製)は、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂を指す。
Figure 2006348086
Figure 2006348086
Figure 2006348086
上記の結果から明らかなように、本発明にかかる熱硬化性樹脂組成物は、(A)ポリイミド樹脂成分と(B)エポキシ樹脂成分と(C)エポキシ硬化剤成分とを含んでおり、(B)エポキシ樹脂成分に、特定のエポキシ樹脂を含んでいることにより、樹脂に(i)接着性、(ii)加工性や取扱性、(iii)樹脂流動性、(iv)耐熱性、及び(v)誘電特性という諸特性を十分かつバランスよく実現できることがわかる。
なお本発明は、以上説示した各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態や実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明にかかる熱硬化性樹脂組成物は、以上のように、(i)接着性、(ii)加工性や取扱性、(iii)耐熱性、(iv)樹脂流動性が十分なものとなっているだけでなく、(v)硬化後の硬化樹脂において、GHz帯域でも低誘電率かつ低誘電正接を示し十分な誘電特性も発揮することができる。そのため、フレキシブルプリント配線板やビルドアップ回路基板等の回路基板の製造等に好適に用いることができる。それゆえ、本発明は、樹脂組成物や接着剤等の素材加工産業や各種化学産業だけでなく、各種電子部品の産業分野に好適に用いることができる。

Claims (12)

  1. 少なくとも1種のポリイミド樹脂を含む(A)ポリイミド樹脂成分と、少なくとも1種のエポキシ樹脂を含む(B)エポキシ樹脂成分と、少なくとも1種のエポキシ硬化剤を含む(C)エポキシ硬化剤成分を少なくとも含んでなり、上記(B)エポキシ樹脂成分が一般式(1)
    Figure 2006348086
    (但し、式中R1は、同一であっても異なっていてもよく、水素または炭素数が1以上4以下のアルキル基であり、aは0以上1000以下の整数を表す)で表わされるエポキシ樹脂を含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
  2. 上記(B)エポキシ樹脂成分のうち、全エポキシ樹脂の50重量%以上が一般式(1)
    Figure 2006348086
    (但し、式中R1は、同一であっても異なっていてもよく、水素または炭素数が1以上4以下の脂肪族炭化水素基であり、aは0以上1000以下の整数を表す)で表わされるエポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1記載の熱硬化性樹脂組成物。
  3. 半硬化状態で60℃以上150℃以下の範囲のいずれかの温度における最低溶融粘度が、100ポイズ以上80000ポイズ以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  4. 上記(B)エポキシ樹脂成分と(C)エポキシ硬化剤成分の合計重量に対する上記(A)ポリイミド樹脂成分の重量で表される重量混合比(A)/[(B)+(C)]は、0.4以上2.0以下の範囲内であることを特徴とする請求項1又は2、3の何れかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
  5. 上記(C)エポキシ硬化剤成分が少なくとも一種のフェノール樹脂系硬化剤を含むことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
  6. 上記(C)エポキシ硬化剤成分が少なくとも一種のアミン系硬化剤を含むことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  7. 上記(A)ポリイミド樹脂成分に含まれる少なくとも1種のポリイミド樹脂は、一般式(2)
    Figure 2006348086
    (ただし、式中、X1は、−O−,−CO−,−O−X−O−,および,−COO−X−OCO−からなる群より選択される2価基であり、Xは2価の有機基を表す)で表される構造を有する酸二無水物を少なくとも1種含んでなる酸二無水物成分と、少なくとも1種のジアミンを含んでなるジアミン成分とを反応させて得られるものであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  8. 少なくとも一種の無機充填材を含む(D)無機充填材成分を含有することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  9. 請求項1ないし8のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物によって形成された樹脂層を少なくとも1層含んでなることを特徴とする積層体。
  10. 請求項1ないし8のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物によって形成された樹脂層の両面または片面に少なくとも1種の熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂層を形成されたことを特徴とする積層体。
  11. 上記、熱可塑性樹脂層に含まれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂が、一般式(3)
    Figure 2006348086
    (但し、式中のZは、それぞれ独立してアルキレン基またはフェニレン基であり、Zはそれぞれ独立してアルキル基、またはフェニル基、またはフェノキシ基であり、hは1以上100以下の整数を表す)で表わされる構造を有する熱可塑性ポリイミド樹脂であることを特徴とする請求項10に記載の積層体。
  12. 請求項9ないし11のいずれか1項に記載の積層体を用いてなることを特徴とする回路基板。
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