JP4972009B2 - 熱硬化性樹脂組成物、その成形体、硬化体、硬化成形体、並びにそれらを含む電子機器 - Google Patents
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Description
せることのできる熱硬化性樹脂組成物、その成形体、硬化体、硬化成形体、並びにそれら
を含む電子機器に関する。
ビスマレイミド樹脂等の熱硬化性樹脂は、その熱硬化性という性質に基づき、耐水性、耐
薬品性、耐熱性、機械強度、信頼性等が優れているので広い産業分野で使用されている。
ポキシ樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂は難燃性が劣る、ビスマレイミド樹脂は非常に高
価である等の欠点がある。
なるような揮発分の発生を伴わずに熱硬化するジヒドロベンゾキサジン化合物(以下、ベ
ンゾキサジン化合物と略することもある)が研究されてきた。ベンゾキサジン化合物は、
上記のような熱硬化性樹脂が有する基本的な特徴に加え、保存性に優れており、溶融時に
は比較的低粘度であり、分子設計の自由度が広い等の様々な利点を有する樹脂である。こ
のようなベンゾキサジン化合物としては、例えば、特開昭49−47378号公報等に開
示されている(特許文献1)。
キサジン化合物に比べて、熱硬化温度が低いことが開示されている。ただし、この化合物
は、誘電特性はよくない。
し、電子吸引基のついたビスフェノール、特にビスフェノールS型のベンゾキサジン化合
物が最も硬化温度が低いことが開示されている。
シ樹脂と同等のプロセス温度までは、低温化することが望まれている。上記のビスフェノ
ールS型ベンゾキサジン化合物では、アミン側でしか特性を調整できず、低誘電率化、靭
性向上等の要求に応えられない。
られているが、例えば、非特許文献3では、フェノール性OHを有するp−クレゾールと
カルボキシル基を有するセバシン酸と比較により、p−クレゾールの方が触媒としての効
果が高いと述べられている。ただし、フェノール類の中での優劣については特に知られて
いない。
も相溶性、安全性、コスト面で優れたジヒドロベンゾキサジン樹脂用硬化剤を含む熱硬化
性樹脂組成物を提供すことにある。
量部に対して、b)p−ヒドロキシ安息香酸エステル0.1〜30重量部を含む熱硬化性
樹脂組成物、を提供することにより、前記目的を達成したものである。
2.b)のp−ヒドロキシ安息香酸エステル類が、分子内に二個以上のp−ヒドロキシ安
息香酸エステル部を有することを特徴とする前記1記載の熱硬化性樹脂組成物。
量)152〜50,000であり、分子量(重合体の場合は数平均分子量)/1分子中の
p−ヒドロキシ安息香酸エステル部の平均ユニット数、の値が151〜2,000である
ことを特徴とする前記1または2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
り得られる主鎖中にジヒドロベンゾキサジン構造を有する重量平均分子量1,000〜1
00,000のベンゾキサジン樹脂であることを特徴とする前記1〜3の何れかに記載の
熱硬化性樹脂組成物。
させずに得られる成形体。
む電子機器。
硬化させることのできる熱硬化性樹脂組成物、その成形体、硬化体、硬化成形体、並びに
それらを含む電子機器が提供される。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、既述の通り、a)分子内に2個以上のジヒドロベンゾ
キサジン環構造を有する樹脂100重量部に対して、b)p−ヒドロキシ安息香酸エステ
ル0.1〜30重量部を含むものである。
は、樹脂分子内にジヒドロベンゾキサジン構造を2個以上有するものであれば、特に制限
されない。本発明の熱硬化性樹脂組成物は、かかる構成からなるため、耐熱性、電気特性
に優れるジヒドロベンゾキサジン樹脂をより低温で硬化させることができる。
ド化合物、を加熱して反応させること等により得られる。特に、a)の樹脂は、二官能フ
ェノールと二官能アミンおよびホルムアルデヒドの反応により得られるものが好ましく、
重量平均分子量1,000〜100,000の主鎖中にジヒドロベンゾキサジン構造を有
するベンゾキサジン樹脂であることが、得られる硬化体の力学強度、耐熱性の点で好まし
い。
例えば、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、4,4’−ジヒドロキシジ
フェニルエーテル、2,2’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキ
シジフェニルメタン、2,2’−ジヒドロキシジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、1,1−ビス(
4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)フルオレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−ヒドロキシフ
ェノキシ)ベンゼン、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)
]ビスフェノール(三井化学製「ビスフェノールP」、東京化成では「α,α’−ビス(
4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン」の化合物名で販売)、4
,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]ビスフェノール(三井
化学製「ビスフェノールM」)、等の二官能フェノール化合物等が好ましい。
ジン、o−トリジン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4、4’−ジアミノ−3,
3’−ジメチルジフェニルメタン(日本化薬製「カヤボンドC−100」)、4、4’−
ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタン(日本化薬製「カヤハードA−A」)、
4、4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラメチルジフェニルメタン(日本化薬製
「カヤボンドC−200S」)、4、4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラエチ
ルジフェニルメタン(日本化薬製「カヤボンドC−300S」)、4、4’−ジアミノ−
3,3’−ジエチル−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェ
ニルエーテル、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−ア
ミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−
ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ネオペ
ンタン、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]ビスアニリ
ン(三井化学製「ビスアニリンM」)、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチ
ル−エチリデン)]ビスアニリン(三井化学製「ビスアニリンP」)、2,2−ビス[4
−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(和歌山精化製「BAPP」)、2,2
−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−
アミノフェノキシ)ビフェニル等の芳香族ジアミン化合物や、3(4),8(9),−ビ
ス(アミノメチル)トリシクロ[5,2,1,02,6]デカン(セラニーズ製「TCDジ
アミン」)、2,5(6)−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン(三
井化学製「NBDA」)等の橋かけ環式ジアミン化合物、あるいは、1,4−シクロヘキ
シルアミン、1,3−シクロヘキシルアミン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキ
サン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロ
ヘキシルアミン)、4,4’−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)、イソ
ホロンジアミン、1,8−ジアミノ−p−メンタン等の脂環式ジアミン化合物、1,2−
ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミ
ノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,8−ジアミノオクタン、1,10−ジアミ
ノデカン、1,12−ジアミノドデカン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、2−メチ
ル−1,5−ペンタメチレンジアミン、2,2−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン等
の直鎖状もしくは分岐を有する脂肪族ジアミン化合物等が好ましい。
が好ましく、該ホルムアルデヒドとしては、その重合体であるパラホルムアルデヒドや、
水溶液の形であるホルマリン等の形態で使用することが可能である。パラホルムアルデヒ
ドを使用する方が反応の進行は穏やかである。また、その他のアルデヒド化合物としてア
セトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド等も用いることができる。
ができる。また、a)成分の樹脂を製造するに際しては、上記各成分を適当な溶媒中で加
熱して反応させることができる。溶媒は、特に限定されるものではないが、原料のフェノ
ール化合物やジアミン化合物及び生成物である重合体の溶解性が良好なものの方が高重合
度のものが得られやすい。このような溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳
香族系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒、THF、ジオキサン等
のエーテル系溶媒、等が挙げられる。
ちa)分子内に2個以上のジヒドロベンゾキサジン構造を有する樹脂を少なくとも含むも
のである。本発明に係る熱硬化性樹脂組成物は、前記熱硬化性樹脂を好ましくは主成分と
して含むものであり、例えば、主成分として前記分子内に2個以上のジヒドロベンゾキサ
ジン構造を有する樹脂を好ましくは50〜100重量部含み、且つ、副成分として、他の
熱硬化性樹脂を好ましくは0〜50重量部含むものが挙げられる。
リフェニレンエーテル樹脂、熱硬化型ポリイミド樹脂、ケイ素樹脂、メラミン樹脂、ユリ
ア樹脂、アリル樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビスマレイミド系樹脂
、アルキド樹脂、フラン樹脂、ポリウレタン樹脂、アニリン樹脂等が挙げられる。これら
のなかでは、この組成物から形成される成形体の耐熱性をより向上させ得る観点から、エ
ポキシ系樹脂、フェノール樹脂、熱硬化型ポリイミド樹脂がより好ましい。これらの他の
熱硬化性樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
ンゾキサジン樹脂の硬化剤として使用されるものである。
テコール、ビスフェノールA等の多官能フェノール類、p−トルエンスルホン酸、p−フ
ェノールスルホン酸等のスルホン酸類、安息香酸、サリチル酸、シュウ酸、アジピン酸等
のカルボン酸類、コバルト(II)アセチルアセトネート、アルミニウム(III) アセチルア
セトネート、ジルコニウム(IV)アセチルアセトネート等の金属錯体、酸化カルシウム、
酸化コバルト、酸化マグネシウム、酸化鉄等の金属酸化物、水酸化カルシウム、イミダゾ
ール及びその誘導体、ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロノネン等の第三級アミ
ン及びこれらの塩、トリフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン・ベンゾキノン誘
導体、トリフェニルホスフィン・トリフェニルボロン塩、テトラフェニルホスホニウム・
テトラフェニルボレート等のリン系化合物及びその誘導体等が知られていた。
本発明者らが、これらについてさらに詳細に検討を進めた結果、フェノール性OH基を
有する化合物の中でも、特にp−ヒドロキシ安息香酸およびそのエステル類が反応を促進
する効果が高く、しかも硬化体の機械特性および電気特性が良好であることが判明した。
応するアルコールとのエステル化反応により容易に得ることができる。
−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の有機スルホン酸類、活性白土、酸性白土、
酸性イオン交換樹脂等の固体酸等が使用できる。触媒の量はp−ヒドロキシ安息香酸と対
応するアルコールの合計量に対して0.1〜30重量%程度が一般的である。
シレン等の芳香族炭化水素、クロロホルム、塩化メチレン等の含ハロゲン化合物、テトラ
ヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソ
ブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、等が挙げられる。
イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、n−ペンタノー
ル、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、2−エチルヘキサノール、ベンジルアルコ
ール等の1価アルコールとのエステル類、
ンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,12−ドデカン
ジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,8−ノナンジオール、等の2価ア
ルコールとのジエステル類、p−ヒドロキシ安息香酸とトリメチロールプロパン、ペンタ
エリスリトール、ジペンタエリスリトール等の多価アルコールとの多価エステル類、p−
ヒドロキシ安息香酸と末端あるいは側鎖にOH基あるいはその誘導体であるOCOR基(
Rはアルキル基、アリール基等)を有するオリゴマーやポリマー、例えば、末端ヒドロキ
シポリブタジエン(出光興産製「Poly bd」、日本曹達製「NISSO PB−G
」)やポリイソプレン(出光興産製「Poly ip」)、あるいはそれらの水素添加物
(出光興産製「エポール」)、ポリオレフィン系ポリオール(三菱化学製「ポリテール」
)、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートジオール(宇部興産製「PCD」)、エ
チレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、との多価エステル類
が挙げられる。
した形態の化合物も存在する場合があるが(下記反応式参照)、これも同様の効果を発現
するため、そのまま使用しても問題は無い。
のフェノール類と比較すると安全性が高い。また低分子量体は樹脂に対する相溶性に優れ
ている。広く使用されている材料であるために、低コストで利用できる。またエステル部
分を適宜選択することにより、相溶性、柔軟性、耐水性、電気特性等を調整することがで
きる。
特性、機械特性に悪影響を及ぼしにくいため、分子内に2個以上のジヒドロベンゾキサジ
ン環構造を有する樹脂100重量部に対して、0.1〜30重量部、好ましくは0.5〜
20重量部の範囲の含有量で使用する。0.1重量部未満では、硬化促進の効果が低く、
30重量部超では電気特性および機械特性が悪化する。
−ヒドロキシ安息香酸エステル部を有することが好ましい。これにより、ベンゾオキサジ
ン硬化体の硬化特性、機械特性、耐熱性がさらに良好になる。
体の場合は数平均分子量)152〜50,000であり、分子量(重合体の場合は数平均
分子量)/1分子中のp−ヒドロキシ安息香酸エステル部の平均ユニット数、の値が15
1〜2,000であることが好ましい。分子量がこの範囲よりも大きいと、取り扱い時の
ハンドリング性が悪くなる。最小分子量の152は、p−ヒドロキシ安息香酸メチルであ
り、平均ユニット数の最小の値151は、エチレングリコール1モルとp−ヒドロキシ安
息香酸2モルとで反応した化合物である(下記式)。
剤(老化防止剤)、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、難燃助剤、帯電防止剤、
防曇剤、充填剤、軟化剤、可塑剤、着色剤等の各種添加剤を含有していてもよい。これら
はそれぞれ単独で用いられてもよく、2種以上が併用して用いられても構わない。また本
発明に係る熱硬化性樹脂組成物を調製する際に、反応性あるいは非反応性の溶剤を使用す
ることもできる。
本発明に係る成形体は、前述した熱硬化性樹脂組成物を、必要により部分硬化させて、
もしくは硬化させずに得られるものである。本発明の成形体としては、前述した熱硬化性
樹脂が硬化前にも成形性を有しているため、いったん硬化前に成形した後に熱をかけて硬
化させたもの(硬化成形体)でも、成形と同時に硬化させたもの(硬化体)でもよい。ま
た、その寸法や形状は特に制限されず、例えば、シート状(板状)、ブロック状等が挙げ
られ、さらに他の部位(例えば粘着層)を備えていてもよい。
0〜260℃程度で数時間加熱すればよいが、加熱温度がより低かったり、加熱時間が不
足したりすると、場合によっては、硬化が不十分となって機械的強度が不足することがあ
る。また、加熱温度がより高すぎたり、加熱時間が長すぎたりすると、場合によっては、
分解等の副反応が生じて機械的強度が不都合に低下することがある。よって、用いる熱硬
化性化合物の特性に応じた適正な条件を選択することが望ましい。
重合体構造中にベンゾキサジン構造を有するので、優れた誘電特性を実現することができ
る。
いて信頼性、難燃性、成形性、美観性等に優れており、しかもガラス転移温度(Tg)が
高いので、応力がかかる部位や可動部にも適用することが可能であり、且つ、重合時に揮
発性の副生成物を発生しないので、そのような揮発性の副生成物が成形体中に残存せず衛
生管理上も好ましい。
る多層基板、積層板、封止剤、接着剤等の用途に好適に用いることができる。
ここで、電子機器としては、具体的には、携帯電話、表示機器、車載機器、コンピュー
タ、通信機器等が挙げられる。
その他、航空機部材、自動車部材、建築部材、等の用途にも使用することができる。
ものではない。
四国化成製「B_a」)100重量部に対して、p−ヒドロキシ安息香酸メチル10重量
部を粉末の状態で混合し熱硬化性樹脂組成物を調整した。この組成物について、アルゴン
雰囲気中、10℃/minの昇温速度でDSC測定を行ったところ、硬化に伴う発熱が確
認され、そのピーク温度は209℃であった。
ビスフェノールAとアニリン、ホルムアルデヒドより得られるベンゾオキサジン樹脂(
四国化成製「B_a」)について、単独で実施例1と同じ条件でDSC測定を行ったとこ
ろ、硬化に伴うピークが確認され、そのピーク温度は240℃であった。
実施例1においてp−ヒドロキシ安息香酸メチルの代わりに、p−tert−ブチルフ
ェノールを用いて熱硬化性樹脂組成物を調整した。この組成物について、実施例1と同じ
条件でDSC測定を行ったところ、硬化に伴う発熱が確認され、そのピーク温度は225
℃であった。
冷却管、撹拌器、温度計を備えたガラス容器中で、トルエン3500ml、ビスフェノ
ールM(三井化学製)1040.8g(3mol)、ビスアニリンM(三井化学製)10
33.7g(3mol)、パラホルムアルデヒド(和光純薬製、94%)413.0g(
12.6mol)を投入し、発生する水分を除去しながら還流下で12時間反応させた。
反応後の溶液を多量のメタノールに投じて生成物を析出させた。その後、ろ別により生成
物を分離し、メタノールで洗浄した。洗浄した生成物を減圧乾燥することにより、主鎖中
にジヒドロベンゾキサジン構造を有するベンゾキサジン樹脂2226.9gを得た。得ら
れた樹脂のGPCによる分子量測定では、重量平均分子量Mw=15,800、分子量分
布Mw/Mn=3.7であった。また1H−NMR測定により、目的の樹脂であることを
確認した。
酸メチル10重量部を粉末の状態で混合し熱硬化性樹脂組成物を調整した。この組成物に
ついて、アルゴン雰囲気中、10℃/minの昇温速度でDSC測定を行ったところ、硬
化に伴う発熱が確認され、そのピーク温度は223℃であった。
合成例1で得られたベンゾキサジン樹脂について、単独で実施例2と同じ条件でDSC
測定を行ったところ、硬化に伴うピークが確認され、そのピーク温度は248℃であった
。
撹拌幾、冷却管、窒素導入管を備えたセパラブルフラスコ中で、1,9−ノナンジオー
ル(クラレ製)40.00g(0.25mol)、p−ヒドロキシ安息香酸(上野製薬製
)68.95g(0.50mol)、p−トルエンスルホン酸1水和物(和光純薬製)1
.00g、メチルイソブチルケトン200mlを混合した。これを180℃のオイルバス
につけ、窒素ガスを導入しながら4時間反応させた。その後、系内を弱減圧にして溶媒を
少しずつ除去しながら反応を進め、約4時間をかけてほぼ揮発分を取り去った。これを放
冷させて薄茶色の粘調物を得た。
これをテトラヒドロフランに溶解させ、多量の蒸留水中に投じることで触媒の除去を行
い、生成物を析出させた。ここから水層を分離することにより溶媒を含む粗製物を単離し
た。もう一度、この操作を繰り返した後、70℃の真空オーブン中で乾燥し、薄茶色の粘
調物を得た。
上記粘調物を重アセトンに溶解させて測定した1H−NMRスペクトルの結果、及びG
PC測定の結果より、下記式の化合物であることを確認した。
撹拌器、冷却管、温度調節ジャケットを備えたガラス容器中で、ビスフェノールM
728.5g(2.1mol、三井化学製)、ビスアニリンM 564.4g(1.6m
ol、三井化学製)、1,12−ドデカンジアミン 109.6g(0.5mol、小倉
合成工業製)、フェノール16.0g(0.2mol、和光純薬製)をトルエン3L、イ
ソブタノール150mlに溶解させた。ここへパラホルムアルデヒド365g(三菱ガス
化学製、91.6%)を投入し、加熱して還流下で7時間反応させた。得られた溶液をろ
過後、溶媒を除去して分子内にジヒドロベンゾキサジン構造を有する熱硬化性樹脂を得た
。
GPC測定により評価したところ、重量平均分子量Mw=13,500、分子量分布Mw
/Mn=3.6であった。また1H−NMR測定により、目的の構造を有する樹脂である
ことを確認した。
合物10重量部をトルエン/テトラヒドロフランの混合溶媒に溶解し、PETフィルム上
に塗工して80℃のオーブンで1時間乾燥させ、熱硬化性樹脂組成物のフィルムを得た。
このフィルムについて、DSC測定を行ったところ、硬化に伴う発熱ピークが確認された
が、そのピーク温度は232℃であり、160℃付近から反応が開始していることが確認
された。DSCチャートを図1に示す。
合成例2で得られた化合物を添加しなかった以外は、実施例3と同様にしてフィルムを
作製した。このフィルムについて、DSC測定を行ったところ、硬化に伴う発熱ピークが
確認され、そのピーク温度は254℃であり、200℃を超える領域において反応が開始
していることが確認された。DSCチャートを図2に示す。
せることのできる熱硬化性樹脂組成物、その成形体、硬化体、硬化成形体、並びにそれら
を含む電子機器として、産業上の利用可能性を有する。
Claims (7)
- a)分子内に2個以上のジヒドロベンゾキサジン構造を有する樹脂100重量部に対して、b)分子内に二個以上のp−ヒドロキシ安息香酸エステル部を有するp−ヒドロキシ安息香酸エステル類0.1〜30重量部を含む熱硬化性樹脂組成物。
- b)のp−ヒドロキシ安息香酸エステル類が、分子量が(重合体の場合は数平均分子量)152〜50,000であり、分子量(重合体の場合は数平均分子量)/1分子中のp−ヒドロキシ安息香酸エステル部の平均ユニット数、の値が151〜2,000であることを特徴とする請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- a)の樹脂が、二官能フェノールと二官能アミンおよびホルムアルデヒドの反応により得られる重量平均分子量1,000〜100,000の主鎖中にジヒドロベンゾキサジン構造を有するベンゾキサジン樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 請求項1〜3の何れかに記載の熱硬化性樹脂組成物を、部分硬化させて、もしくは硬化させずに得られる成形体。
- 請求項1〜3の何れかに記載の熱硬化性樹脂組成物より得られる硬化体。
- 請求項4記載の成形体を硬化させて得られる硬化成形体。
- 請求項4記載の成形体、請求項5記載の硬化体、または請求項6記載の硬化成形体を含む電子機器。
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