JPWO2008053964A1 - 甘味性コムギ由来の小麦粉を含む穀粉組成物及びこれを使用した食品 - Google Patents

甘味性コムギ由来の小麦粉を含む穀粉組成物及びこれを使用した食品 Download PDF

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Abstract

本発明は、優れた食感を有する食品を提供することができる、穀粉原料を提供し、さらに、そのような穀粉原料を使用して製造される食品を提供することを目的とする。本発明は、3つのコムギ澱粉合成酵素II型タンパク質を発現せず、かつ3つのコムギ顆粒性澱粉合成酵素タンパク質を発現しないタイプのコムギから調製される小麦粉と、他の穀粉とを含有することを特徴とする、穀粉組成物、及び上記穀粉組成物を使用して製造された食品を提供する。

Description

本発明は、新規なコムギから調製される小麦粉を含めた穀粉組成物、及びそのような穀粉組成物を使用して製造された食品に関する。
コムギから調製される小麦粉は幅広い用途に使用されており、多様な加工食品が供給されている。小麦粉の特性は多くの要因によって決定されるが、その中でも種子に貯蔵されているグルテンやデンプンの性質により影響を受けるところが大きい。特にデンプンは一般的には小麦粉中の60〜70%を占める成分であり、その糊化特性が加工食品の加工性、外観、食感に大きな影響を与える。穀物由来のデンプンにはイネやトウモロコシ由来のものが挙げられるが、このような植物種においては、デンプンの合成に関与する遺伝子の変異体を探索し、野生型とは異なる特性を有するデンプンを蓄積する変異体が確認されている。しかしながらコムギは染色体が6倍体であるため、遺伝子上の変異が表現型として現れにくいため、このような変異体はあまり知られていない。
デンプンはグルコースがα-1,4結合を介して直鎖状に連なったアミロースと、α-1,6結合を介して枝分かれした構造をもつアミロペクチンの2種類の成分から構成される。コムギにおいては、デンプンは、グルコースがα-1,4結合で連なった直鎖状のアミロースとα-1,6結合を介して枝分かれ構造をもったアミロペクチンという2つの成分の混合物である。これら成分は種々の酵素の働きによって合成され、穀物においては種子の胚乳部分に顆粒の形で植物に貯蔵されている。これに水分を加えて加熱することでデンプン粒は次第に膨潤し、ある一定の温度(糊化ピーク温度)で結晶構造が崩れ糊状になる(糊化)。その後、冷却することで糊化デンプンは次第に粘性が増大しゲル化(老化)する。
このような特性や、アミロースとアミロペクチンの含量比は由来する植物種によって大きく異なることが知られている。コムギにおいては通常タイプのデンプンであれば、アミロース含量はおよそ30%前後であるが、含量が20%前後である低アミロース系統が知られている。低アミロース系コムギデンプンは通常タイプに比べてうどん等麺用粉としての利用に優れているとされ、商業的にも広く栽培されている。また、イネやトウモロコシではアミロース含量が極端に低いモチ性デンプンを蓄積するタイプが知られていたが、コムギでは中村らによって初めてモチ性コムギが育種された(特許文献1参照)。コムギにはアミロースを合成する酵素としてコムギ顆粒性澱粉合成酵素-A1(granule bound starch synthase-AI)、コムギ顆粒性澱粉合成酵素-B1(granule bound starch synthase-BI)およびコムギ顆粒性澱粉合成酵素-D1(granule bound starch synthase-DI)が知られているが、中村らはこれらを全て発現しない系統を選抜することによってモチ性コムギを作出した。このモチ性コムギでは通常タイプに比べて独特の加工性や食感を有しており、また老化耐性なども改善されるとされている(特許文献2〜8参照)。しかしながら、加工性あるいはその他の食感の問題から実用化されている例は少ない。
一方、アミロペクチンの合成に関与する酵素であるコムギ澱粉合成酵素II型タンパク質(コムギ澱粉合成酵素II型-A1(starch synthase II-A1)、コムギ澱粉合成酵素II型-B1(starch synthase II-B1)、コムギ澱粉合成酵素II型-D1(starch synthase II-D1))を欠損させたコムギも報告されている(非特許文献1、2参照。)。このタイプのコムギにおいては、アミロース含量が野生型に比べて顕著に増加していることが報告されているが、パンなどへの加工には向かず、これも未だ実用化には至っていない。
特開平6−125669号公報 特開平9−191818号公報 特開平9−191819号公報 特開平9−191842号公報 特開平10−66511号公報 特開平10−66527号公報 特開平10−66529号公報 特開平10−66530号公報 Yamamori et al., Theor. Appl. Genet (2000)101:21-29 Shimbata et al., Theor. Appl. Genet (2005)111(6):1072-9
本発明は、優れた食感を有する食品を提供することができる、穀粉原料を提供することを目的とする。本発明はさらに、そのような穀粉原料を使用して製造される食品を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、3つのコムギ澱粉合成酵素II型タンパク質を発現せず、かつ3つのコムギ顆粒性澱粉合成酵素タンパク質を発現しないタイプのコムギ由来の小麦粉を、他の穀粉類と併用することにより、甘さが強く、独特の風味があり、かつ口溶けが良く、柔らかい食感を有する食品を製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
従って本発明は、3つのコムギ澱粉合成酵素II型タンパク質を発現せず、かつ3つのコムギ顆粒性澱粉合成酵素タンパク質を発現しないタイプのコムギから調製される小麦粉と、他の穀粉とを含有することを特徴とする、穀粉組成物である。ここでいう小麦粉とは、コムギを加工することによって得られる粉末状のものを言い、種子全体を粉砕して粉状にしたもの、あるいは篩を通すことによって粒度の違いによって分類したもの、あるいは通常の製粉工程を経て特定の取り口より回収される粉を所望の割合で混合することによって得られる粉末のものなどを指す。
本発明の上記穀粉組成物において、当該特定のタイプのコムギから調製される小麦粉の含有量は、一般的に0.5〜30質量%の範囲であり、好ましくは1〜20質量%、さらに好ましくは2〜20質量%、最も好ましくは5〜10質量%である。
従って、本発明の実施態様として、3つのコムギ澱粉合成酵素II型タンパク質を発現せず、かつ3つのコムギ顆粒性澱粉合成酵素タンパク質を発現しないタイプのコムギから調製される小麦粉を0.5〜30質量%含有する、上記穀粉組成物;3つのコムギ澱粉合成酵素II型タンパク質を発現せず、かつ3つのコムギ顆粒性澱粉合成酵素タンパク質を発現しないタイプのコムギから調製される小麦粉を1〜20質量%含有する、上記穀粉組成物がある。さらには、3つのコムギ澱粉合成酵素II型タンパク質を発現せず、かつ3つのコムギ顆粒性澱粉合成酵素タンパク質を発現しないタイプのコムギから調製される小麦粉を2〜20質量%含有する、上記穀粉組成物;3つのコムギ澱粉合成酵素II型タンパク質を発現せず、かつ3つのコムギ顆粒性澱粉合成酵素タンパク質を発現しないタイプのコムギから調製される小麦粉を5〜10質量%含有する、上記穀粉組成物がある。
本発明の別の実施態様として、上記の他の穀粉をウルチ性コムギ由来の小麦粉、モチ性由来の小麦粉、米粉、デンプン、そば粉、大麦粉、トウモロコシ粉、及びオーツ粉末からなる群から選択することができる。中でも、ウルチ性コムギ由来の小麦粉が好ましく使用される。
本発明の穀粉組成物は、種々の食品の製造に用いることができる。
従って本発明はまた、上記穀粉組成物を使用することを含む食品の製造方法である。本発明はまた、3つのコムギ澱粉合成酵素II型タンパク質を発現せず、かつ3つのコムギ顆粒性澱粉合成酵素タンパク質を発現しないタイプのコムギから調製される小麦粉と他の穀粉とを配合することを含む、食品の製造方法にも向けられている。3つのコムギ澱粉合成酵素II型タンパク質を発現せず、かつ3つのコムギ顆粒性澱粉合成酵素タンパク質を発現しないタイプのコムギから調製される小麦粉(A)と他の穀粉(B)との配合割合は、質量比でA:Bが0.5:99.5〜30:70の範囲が適当であり、さらに1:99〜20:80の範囲であり、さらには2:98〜20:80の範囲、さらには5:95〜10:90の範囲である。
本発明はさらに、上記穀粉組成物を使用して製造された食品に向けられている。上記食品の例としてベーカリー類、麺類、揚げ物類、焼き物類、ルーやソース、練り物などが挙げられる。
本発明によって、3つのコムギ澱粉合成酵素II型タンパク質を発現せず、かつ3つのコムギ顆粒性澱粉合成酵素タンパク質を発現しないタイプのコムギから調製される小麦粉と他の穀粉を併用することにより、食品に、独特の風味と甘み、さらに柔らかさと口溶けの良さといった食感を与えることができる。
上記の優れた食感は、食品の製造後、室温で保存した後も、あるいは冷蔵又は冷凍保存した後もなお、維持されている。
本発明で使用する小麦粉は、3つのコムギ澱粉合成酵素II型タンパク質を発現せず、かつ3つのコムギ顆粒性澱粉合成酵素タンパク質を発現しないタイプのコムギから調製される小麦粉であって、すなわちコムギ澱粉合成酵素II型-A1、澱粉合成酵素II型-B1、及び澱粉合成酵素II型-D1タンパク質の発現を欠き、かつコムギ顆粒性澱粉合成酵素-A1、顆粒性澱粉合成酵素-B1、及び顆粒性澱粉合成酵素-D1タンパク質の発現を欠くコムギ(以下、DMSWコムギとも称する。)から得られる小麦粉である。
上記コムギは、コムギ澱粉合成酵素II型-A1、澱粉合成酵素II型-B1、及び澱粉合成酵素II型-D1タンパク質の発現を欠き、かつコムギ顆粒性澱粉合成酵素-A1、顆粒性澱粉合成酵素-B1、及び顆粒性澱粉合成酵素-D1タンパク質の発現を欠くコムギであればいかなるものでも良い。
ここで「発現を欠く」とは、ゲノムDNA上に生じた変異により当該遺伝子由来のmRNAや酵素タンパクが合成されなくなったことを意味する。あるいは、タンパク質は合成されても、ゲノムDNA上に生じた変異により、タンパク質のアミノ酸配列の置換あるいは挿入、欠失などの変異が起こり、「基質であるADP-glucoseからグルコース残基を受容体であるアミロースの非還元末端に転移させる」又は「基質であるADP-glucoseからグルコース残基を受容体であるアミロペクチンの非還元末端に転移させる」という、コムギ顆粒性澱粉合成酵素タンパク質とコムギ澱粉合成酵素II型タンパク質の各々が本来有する酵素機能のすべてあるいは一部を失っている場合が含まれる。
上記コムギは、いずれかの公知な方法を用いて作出及び選抜を行なって得ることができる。
一例を挙げるなら、特開2005-333832号公報に記載される方法を用いて得られたコムギ澱粉合成酵素II型タンパク質欠損系統と特開平6-125669号公報に記載される方法により得られたモチ性コムギとの交配から得られるF1世代以降を、自家受精して得られた種子から、特開2005-333832号公報及び特開平6-125669号公報に記載の方法により、上記3つのコムギ澱粉合成酵素II型タンパク質と3つのコムギ顆粒性澱粉合成酵素タンパク質の発現を欠くコムギを選抜する方法が挙げられる。
交配および選抜方法はこれに限定されるものではなく、放射線照射あるいは化学的変異原処理などによって得られたもの、あるいは遺伝子組換えによって得られたもの、さらにはこれらを交配の母本として育成されたコムギの中から上記タンパク質の発現を欠く個体を、DNA上の変異を検出する方法あるいは、逆転写反応およびそれに続くPCR法によるmRNAの定性および定量して確認する方法、あるいはSDS-PAGEによる種子に含まれるタンパク質の定性あるいは定量を行って確認する方法などを用いて選抜されるものでも良い。
また取得した上記コムギをさらに他の有用品種と交配し得られた後代から上記タイプのコムギを選抜して取得したものでも良い。
例えば、上記3つのコムギ澱粉合成酵素II型タンパク質と3つのコムギ顆粒性澱粉合成酵素タンパク質をコードする遺伝子の有無及び変異を検出することによって、これらの各タンパク質が発現していないか又は発現していることを確認することができる。これらの各タンパク質の発現を確認する方法としては、遺伝子配列の変異を検出することができる方法であれば、当業者に知られた何れの方法であってもよく、例えばPCR法等が挙げられる。
PCR法は、特に限定されず、公知である種々の改良方法を用いることができるが、一例を挙げれば、プライマーのペアー、鋳型(被検)DNAの他にTris-HCl、KCl、MgCl2、各dNTP、TaqDNAポリメラーゼ等の試薬類を混合してPCR反応液とする。PCRの1サイクルは、熱変性、プライマーのアニーリング、DNAポリメラーゼによるDNA合成反応の3つのステップからなっている。各ステップはそれぞれ異なった反応温度と反応時間を必要とするので増幅しようとするDNA領域の塩基配列とその長さによって適切な範囲とする。このような操作のためのthermal cyclerが市販されている。TaqDNAポリメラーゼ、MgCl2の濃度や反応サイクル数等好適なPCR条件の検討、あるいはnestedPCRを用いれば、さらに検出感度を向上させることができる。
PCR反応物は、免疫反応を用いて同定しても、どのように同定してもよいが、電気泳動させて、必要な場合は陽性コントロールや、陰性コントロールを用いて電気泳動像で明瞭なバンドが認められれば、被検物質中に検出物質(タンパク質をコードする遺伝子および遺伝子変異コムギ)が存在することが確認できる。
また、コムギ顆粒性澱粉合成酵素-A1、コムギ顆粒性澱粉合成酵素-B1、及びコムギ顆粒性澱粉合成酵素-D1タンパク質をコードする遺伝子の変異を検出する方法としては、Nakamura et. Al., (2002) Genome 45:1150-1156に記載の方法を使用することができる。
さらに、上記コムギ澱粉合成酵素II型-A1、コムギ澱粉合成酵素II型-B1、コムギ澱粉合成酵素II型-D1タンパク質、コムギ顆粒性澱粉合成酵素-A1、コムギ顆粒性澱粉合成酵素-B1、コムギ顆粒性澱粉合成酵素-D1タンパク質をコードする遺伝子の変異を検出する方法としてはPCR法以外にLAMP法、NASBA法、LCR法、SDA法、RCR法、TMA法、RT-PCRによるmRNAの定性もしくは定量法等が挙げられる。
また、上記コムギ澱粉合成酵素II型-A1、コムギ澱粉合成酵素II型-B1、コムギ澱粉合成酵素II型-D1タンパク質が発現していないことを確認する方法として、山守らの報告(Yamamori et. al., Theor. Appl. Genet (2000)101:21-29)に記載の方法が挙げられる。
また、上記コムギ顆粒性澱粉合成酵素-A1、コムギ顆粒性澱粉合成酵素-B1、コムギ顆粒性澱粉合成酵素-D1タンパク質が発現していないことを確認する方法として、特開平6−125669号公報に記載の方法を使用することもできる。
このようにして作成された上記DMSWコムギは、一般に用いられているコムギ(コムギ澱粉合成酵素II型タンパク質及びコムギ顆粒性澱粉合成酵素タンパク質を全て発現するタイプや一部を発現するタイプ)あるいはモチ性コムギから得られた小麦粉に比べ、加熱した際に見られる糊化ピークが見られず、また粘度の上昇もほとんど見られない。また上記コムギは、通常のタイプのコムギに比べてグルコース、マルトース、スクロースといった低分子糖の含量が顕著に増加している。さらには、アミロペクチンの枝鎖の平均鎖長が短くなっているなど多くの性質が変化している。
本発明に使用する上記コムギから得られる小麦粉としては、種子全体を粉砕して粉状にしたもの、あるいは篩を通すことによって粒度の違いによって分類したもの、あるいは通常の製粉工程を経て特定の取り口より回収される粉を所望の割合で混合することによって得られる粉末のものが挙げられる。あるいはデンプンのみを精製したものでも良い。
DMSWコムギから得られた小麦粉は、他の穀粉とともに穀粉組成物とすることができ、この穀粉組成物を種々の食品の製造に使用することができる。また、DMSWコムギから得られた小麦粉を他の穀粉とともに、種々の食品の製造に用いることができる。
本発明の穀粉組成物には、DMSWコムギから得られた小麦粉を一般的に0.5〜30質量%含有させる。DMSWコムギから得られた小麦粉を少なくとも1質量%以上で含ませることが好ましく、さらに2質量%以上、さらに5質量%以上が好ましい。一方、せいぜい20質量%までの量で含ませることが好ましい。従って、0.5〜20質量%の範囲で含ませることができる。さらに、1〜20質量%含有させることが好ましく、さらに好ましくは2〜20質量%、5〜20質量%の範囲が挙げられる。最も好ましくは5〜10質量%の範囲で含有させる。
本発明において、DMSWコムギから調製された小麦粉とともに使用する他の穀粉としては、ウルチ性コムギ由来の小麦粉、モチ性由来の小麦粉、米粉、デンプン、そば粉、大麦粉、トウモロコシ粉、オーツ粉末などが挙げられる。ウルチ性コムギ由来の小麦粉は一般に市販されている、強力粉、中力粉、薄力粉、ディラムセモリナ、あるいは全粒粉などを包含する。これらの中でもウルチ性コムギ由来の小麦粉、ディラムセモリナが好ましく用いられる。
食品を製造するに当たり、DMSWコムギから得られた小麦粉(A)と他の穀粉(B)との配合割合は、質量比でA:Bが0.5:99.5〜30:70の範囲が適当であり、さらに0.5:99.5〜20:80、さらに1:99〜20:80の範囲である。さらには2:98〜20:80の範囲、5:95〜20:80の範囲である。最も好ましくは5:95〜10:90の範囲である。
本発明により製造される食品は、特に限定されるものではないが、例としてベーカリー類、麺類、揚げ物類、焼き物類、ルーやソース、練り物など挙げられる。
ベーカリー類とはいわゆるベーカリーにおいて通常製造、販売されている小麦粉等をベースとする生地をイースト等を使用して膨化させることにより製造されるものを言い、例えば食パン、フランスパン、ロールパン、菓子パンなどのパン類、イーストドーナツなどの揚げパン類、蒸パン類、ピザパイ等のピザ類、スポンジケーキなどのケーキ類、クッキー、ビスケットなどの焼き菓子類などが挙げられる。
麺類とは、小麦粉等をベースとして塩、水などを混合して捏ね上げた生地を、ロール機などを用いて圧延した麺帯を用途に応じて切断、型抜き後、茹で上げ、蒸しなどの工程を経て製造されるものを言い、うどん、中華麺、パスタ、餃子の皮、シュウマイの皮などが挙げられる。
また、DMSWコムギから得られた小麦粉と他の穀粉とを配合して揚げ物の衣やバッターに使用することができる。
揚げ物類としては、小麦粉などに必要に応じて食塩、調味料、膨化剤、卵、水などを混合し、野菜類、肉類、魚介類などの素材にまぶして油で揚げるものを言い、天ぷら、から揚げ、かき揚げ、フライ、竜田揚げ、などが挙げられる。
さらに、焼き物類としては大判焼き、たこ焼き、お好み焼き、どら焼き、など小麦粉と増粘剤、膨化剤、卵、水、具などを必要に応じて混合し、流動性のある生地とした後に鉄板などで焼成するものが挙げられる。
また、DMSWコムギから得られた小麦粉と他の穀粉とを配合してルーやソースに増粘剤として加えることができる。ルーやソースとしては、カレー、ハヤシ、シチュー、ホワイトソースなどが挙げられる。また、DMSWコムギから得られた小麦粉と他の穀粉とを配合して練り物のつなぎとして使用することができる。練り物としてはハンバーグあるいはちくわ、かまぼこといった食品が挙げられる。
ベーカリー類では、DMSWコムギから得られた小麦粉を一般的に0.5〜30質量%の範囲で含む穀粉組成物を使用することが適当である。例えば食パンにおいては、DMSWコムギから得られた小麦粉を特に0.5〜30質量%の範囲、特に0.5〜20質量%で含む穀粉組成物を用いることで、独特の風味と好ましい甘さ、好ましい食感(柔らかさ、さっくり感、しっとり感など)及び好ましい口溶けが得られる。また、スポンジケーキでは、DMSWコムギから得られた小麦粉を特に0.5〜30質量%の範囲で含む穀粉組成物を用いることで、独特の風味と好ましい甘さが発揮され、かつドライな食感にもかかわらず口溶けが非常に良好である。
また、クッキーでは、DMSWコムギから得られた小麦粉を特に0.5〜30質量%の範囲で含む穀粉組成物を用いることで、独特の風味と好ましい甘さが発揮され、且つ表面の割れが少なくなる。
麺類では、DMSWコムギから得られた小麦粉を0.5〜30質量%、特に0.5〜20質量%含む穀粉組成物を使用するのが適当である。例えばうどんにおいて、DMSWコムギから得られた小麦粉を特に0.5〜20質量%の範囲で含む穀粉組成物を用いることで、独特の風味と柔らかさと粘弾性のバランスのとれた食感を達成できる。
焼き物類では、DMSWコムギから得られた小麦粉を0.5〜30質量%含む穀粉組成物が適当である。例えば大判焼きでは、DMSWコムギから得られた小麦粉を特に0.5〜20質量%の範囲で含む穀粉組成物を用いることで、歯切れが良く、ふっくらし、冷蔵後も柔らかく口溶けの良いものが得られる。また、たこ焼きでは、DMSWコムギから得られた小麦粉を0.5〜30質量%の範囲で含む穀粉組成物を用いることで、皮がぱりっとして、甘く、口溶けが良く香ばしいものが得られる。
揚げ物類の衣には、DMSWコムギから得られた小麦粉を0.5〜30質量%、特に0.5〜20質量%含む穀粉組成物が適当である。例えば天ぷらにおいて、DMSWコムギから得られた小麦粉を特に0.5〜20質量%の範囲で含む穀粉組成物を用いることで、独特の風味を有し、サクサクとした食感に揚がる天ぷらが得られる。
各種食品の製造方法は、食品の種類に応じて常法に従って実施することができる。上記した穀粉のほか、使用する副資材などの種類、使用する添加剤の種類、原料の配合割合、温度、時間などの製造工程の条件などを適宜選択して、通常採用されている製造方法、製造装置などを用いて、各種の食品を製造することができる。
ベーカリー類であれば、例えば、本発明の穀粉組成物にイースト、重曹などの化学膨張剤、イーストフード、食塩、糖類、油脂類、卵、乳製品、水などの一般にベーカリー食品の製造に使用される各種副原料を配合したものを混練して生地を作り、これを発酵などにより膨化させ、あるいはそのまま焼成又は油揚げすることにより製造される。
麺類であれば、例えば、本発明の穀粉組成物に塩、水、その他副資材を加えて混練した生地をロール機あるいは棒状のもので圧延することで麺帯とし、適当な大きさや形に切り分ける。うどんや中華麺などの場合はこれを茹で上げる。餃子やシューマイなどであれば、生地に具剤を包み込んだ後、適宜焼く、蒸す、茹でるといった工程を経て製造される。
揚げ物類であれば、本発明の穀粉組成物にデンプン、塩、水、膨化剤などの副資材を適宜混合し、野菜、肉、魚介類などの具材にまぶして高温の油で揚げる工程により製造される。焼き物類であれば、本発明の穀粉組成物に塩、砂糖、デンプン、膨化剤、増粘剤、色素、卵、具材などを必要に応じて混合し、流動性のある生地とした後、加熱した鉄板やホットプレート上で焼き上げることにより製造される。ルーやソースなどであれば、本発明の穀粉組成物をバターやマーガリンと混合して炒め、これにスープあるいは牛乳などを加えて煮詰めることで製造される。
[試料]
1.DMSWコムギの作出、選別及び製粉
本発明に使用したDMSWコムギは次のように作成した。まず、一般に知られている系統である関東79号(コムギ澱粉合成酵素II型-B1タンパク質欠損系統)および外国産品種であるTurkey116(コムギ澱粉合成酵素II型-D1タンパク質欠損系統)、Chosen 57(コムギ澱粉合成酵素II型-A1タンパク質欠損系統)の3品種を順次交配し、その後代よりコムギ澱粉合成酵素II型タンパク質を全て欠損した系統(コムギ顆粒性澱粉合成酵素は全て発現している)を選抜し、これを一方の親系統とした。また、コムギ系統「モチ乙女」と外来品種を交配し、そのF5世代から選抜したモチ性コムギ(コムギ顆粒性澱粉合成酵素タンパク質は全て発現しないが、コムギ澱粉合成酵素II型タンパク質は全て発現している)をもう一方の親系統および比較例として用いた。
この2つの系統を親系統として交配を行いF1世代を得た。これを自家受精させてF2以降の世代を得、この中からPCR法によるコムギ澱粉合成酵素II型タンパク質の発現の確認(特開2005-333832号公報参照)を行った。また特開平6-125669号公報に示されている方法に従い、2次元電気泳動によるコムギ顆粒性澱粉合成酵素タンパク質の発現の確認を行い、コムギ澱粉合成酵素II型タンパク質を全て発現せず、かつコムギ顆粒性澱粉合成酵素タンパク質を全て発現しない系統を選抜した。全てのコムギの栽培、交配は定法に従った。
こうして選抜した種子を十分量増殖し試験用原料とした。収穫したコムギは十分に乾燥してから、種子重量に対して1.5%の水を加えて20分間のショートテンパリングを行い、ビューラー社製テストミルにて挽砕した。1B、2B、3B、1M、2M、3Mの取り口から得られた粉を全て混合してストレート粉とした。この挽砕の歩留りは30%であった。このようにして得られた粉を使用した。
2.市販の小麦粉
強力粉のイーグル(日本製粉社製)、薄力粉のハート(日本製粉社製)、薄力粉のクラブ(日本製粉社製)、中力粉のさぬき菊(日本製粉社製)
3.2006年群馬県産の農林61号1等麦(N61)(コムギ顆粒性澱粉合成酵素タンパク質、コムギ澱粉合成酵素II型タンパク質ともに全て発現しているタイプ、以下、N61コムギと称する。)からの小麦粉
水分含量が14%になるように加水し、一晩のテンパリングを行った後、ビューラー社製テストミルにて挽砕した。1B、2B、3B、1M、2M、3Mの取り口から得られた粉を全て混合してストレート粉とした。歩留りは63%であった。
4.モチ性コムギからの小麦粉
東北農業研究センターにて栽培された上記モチ性コムギを、上記N61コムギからの手法と同様にして、挽砕した。歩留りは58%であった。
5.ワキシーコーンスターチ
モチ性デンプンとして広く使用されている。
[糊化特性測定]
上記のように調製した粉を用いてラピッドビスコアナライザー(RVA)を用いた糊化特性の測定を行った。装置にはNEWPORT SCIENTIFIC社製 model RVA-4を用い、測定法はアメリカ穀物学会の定める公定法(AACC法76-21)に従った。調製した小麦粉から乾燥重量で3.5 gの粉を計り取り、25 mlの1 mM 硝酸銀を加え、スターラーで上下に10回攪拌を行った後、装置にセットした。測定条件は次のとおりである。サンプル温度50℃で回転速度をいったん960 rpmまで上げたあと、50℃のまま160 rpmまで回転数を落とし1分間その状態を継続した。その後回転数を維持しながら3℃/minの割合で95℃まで加熱し、10分間95℃を維持した後、再度3℃/minの速度で50℃まで冷却した。この間の粘度(cP)の変化を測定し、グラフを作成した。そのグラフを図1に示す。また各サンプルの糊化ピーク温度は次のとおりであった。
Figure 2008053964
この結果から、DMSWコムギの糊化特性は、通常タイプのN61コムギやモチ性コムギに比べて糊化ピークが見られず、また加熱しても粘度の上昇もほとんど見られないことがわかる。このことから、DMSWコムギは従来のコムギにはまったく見られない特徴的な性質を持っていることがわかる。
[マルトース、グルコース含量の測定]
N61コムギ及びモチ性コムギ、DMSWコムギそれぞれについて、25 gの種子をレッチミル(Mitamura Riken Kogyo社、MRK-RETSCH ultra centrifugal mill)にて、18,000 rpm、0.75スクリーンを用いて種子を粉砕し、全粒粉を調製した。この粉の水分含量を測定した後、粉重量10 mgあたり500μlのDMSOを加えて良く混和し、10分間煮沸した後、2μlをとり真空乾燥した。このサンプルを1M Sodium Cyanoborohydride溶液を2μl、APTS labeling reagent( ベックマンコールター社)を2μl加え、60℃、暗所で90分の反応を行った後、46μlの蒸留水を加えて反応を停止した。さらに蒸留水で40倍に希釈し、測定用サンプルとした。分析にはベックマンコールター社製P/ACE system5000キャピラリー電気泳動装置を用い、PA800糖鎖解析キット(ベックマンコールター社製)に記載の方法に従って測定した。あらかじめ標準物質を用いて作成しておいた検量線から、グルコース、マルトースそれぞれのピーク面積から濃度を算出し、サンプル間の比較を行った。
Figure 2008053964
DMSWコムギにおいては、N61コムギやモチ性コムギに比べて明らかにグルコース、マルトースの含量が増加していることが分かる。このため、DMSWコムギより調製した小麦粉を用いて製造した食品は、独特の甘さと風味を有するものとなると考えられる。
[実施例1]
食パンの製造
以下に示す配合(質量部)を用いて、食パンを製造した。
Figure 2008053964
上記配合中の小麦粉分は、市販の小麦粉、上記で調製したDMSWコムギからの小麦粉、N61コムギからの小麦粉、モチ性コムギからの小麦粉、及びワキシーコーンスターチを使用して、以下の表1の組成(質量%)で構成した。
なおこの試験には、市販の小麦粉として強力粉のイーグル(日本製粉社製)を用いた。上記配合のうち、ショートニング以外のものまで混合し、ミキサー(エスケーミキサー TYPE SK21C)で低速2分間、中速3分間、高速1分間のミキシングを行った(27℃)。ミキサーを止めてショートニングを加えた後、再度低速1分、中速3分、高速5分間のミキシングを行い、捏ね上げた生地を27℃、湿度75%で60分間醗酵させた。パンチ後、再度同条件で30分間醗酵し、230 gに分割して丸め、25分間のベンチを行った。モルダーにて整形した後、成型用型に入れ38℃、湿度85%の醗酵室にて生地高さが型の80%程度に膨らむまでホイロを行った後焼成した(205℃、35分間)。焼成した食パンは室温で1時間放冷した後、ビニール袋に入れて16時間室温で放置後、厚さ25mmにスライスして試食を行った。
上記条件で製造した食パンの風味および食感を、10名のパネラーにより以下に挙げた項目と評価基準に従って5段階評価し、各項目における平均値を算出した。
香り
5.香ばしくて強い香りがある。
4.やや強めの香りがある。
3.香りは感じられる。
2.香りはしない。
1.好ましくない香りがある。
口溶け
5.口溶けが非常に良い。
4.口溶けが良い。
3.口溶けは普通。
2.口溶けがやや悪い。
1.口溶けが悪く、口の中に残る。

5.旨みが強く、風味がある。
4.旨みがやや強い。
3.旨みは薄い。
2.旨みはない。
1.旨みはなく、酸味がある。
甘さ
5.非常に甘みを感じる。
4.やや強い甘みを感じる。
3.やや甘みを感じる。
2.ごくわずかに甘みを感じる。
1.甘みは全く感じない。
Figure 2008053964
上記のようにスライスしたパンの一部を4℃にて24時間冷蔵保存したあと、テクスチャーアナライザー(stable micro systems社製 TA,XT,plus)を用いて生地表面の硬さを測定した。スライスした食パンの中心付近にアルミニウム製プランジャー(直径36 mm)が来るようにセットし、このプランジャーで生地を100 mm/minの速度で10 mm (40%)圧縮した。6.25 mm(25%)圧縮した時点でのプランジャーにかかる荷重を測定した。各サンプルとも3回の測定を行い、その平均値を表2にまとめた。数値が低いほど、柔らかいことを意味する。
Figure 2008053964
DMSWコムギから調製した小麦粉を使用した食パンは、通常のN61コムギあるいはモチ性コムギ、ワキシーコーンスターチを使用した場合に比べて、甘みが強くて柔らかく、口溶けの良い製品である。さらに24時間冷蔵保存した場合にも、この傾向は維持されていた。
小麦粉中、DMSWコムギから調製した小麦粉の含有量が高くなりすぎると口溶けが悪くなる傾向があった。よって、DMSWコムギから調製した小麦粉の配合量は小麦粉全体に対して、0.5〜30質量%の範囲が適当と見られる。
[実施例2]
スポンジケーキの製造
以下に示す配合(質量部)を用いて、スポンジケーキを製造した。
Figure 2008053964
上記配合のうちの小麦粉分は市販の小麦粉、上記で調製したDMSWコムギからの小麦粉、N61コムギからの小麦粉、モチ性コムギからの小麦粉、及びワキシーコーンスターチを使用して、以下の表3の組成(質量%)で構成した。
なおこの試験には、市販の小麦粉として薄力粉のハート(日本製粉社製)を用いた。製造工程は次のとおりである。あらかじめ試験に必要な量の全卵をほぐし25℃に保温した。この全卵175 gにグラニュー糖125 gを加えてミキサーにて低速1分、高速10分、低速1分のミキシングを行った。表3の組成に従ってあらかじめ混合し篩っておいた粉を加えて、低速30秒間のミキシングを行った。ミキサーの壁についた粉を掻き落とした後、再度低速で30秒間のミキシングを行った。360 gの生地を型に流し込み、上火185℃、下火180℃にて30分間焼成した。焼きあがったスポンジケーキを型から取り出し室温で30分間放冷した後、そのまま室温にて放置し、翌日官能評価を行った。官能評価は以下の項目と評価基準に基づき、10名のパネラーによる評価を行い、各項目について平均値を算出した。また製造されたスポンジケーキを4℃の冷蔵庫に24時間保存した後、同様の評価を行った。表3に室温保存後の結果を、表4に冷蔵保存後の結果を示す。
香り
5.香ばしくて強い香りがある。
4.やや強めの香りがある。
3.香りは感じられる。
2.香りはしない。
1.好ましくない香りがある。
口溶け
5.口溶けが非常に良い。
4.口溶けが良い。
3.口溶けは普通。
2.口溶けがやや悪い。
1.口溶けが悪く、口の中に残る。

5.甘み及び独特の味が強く感じられる。
4.甘みが強く、独特の味が感じられる。
3.やや甘みが強い。
2.甘みがある。
1.甘みが少ない。
Figure 2008053964
Figure 2008053964
この結果から、DMSWコムギから調製された小麦粉を使用することで、独特の風味と甘みを有し、かつさっくりとしていて、口溶けの良い製品ができることがわかる。冷蔵保存した後でも、この傾向は維持されていた。小麦粉全体に対してDMSWコムギから調製された小麦粉の配合量が高くなりすぎるとボリュームが劣る傾向があり、また口の中で団子になりやすい傾向にあった。この観点から、小麦粉全体に対して0.5〜30質量%の範囲が適当と見られる。
[実施例3]
クッキーの製造
以下に示す配合(質量部)を用いて、クッキーを製造した。
Figure 2008053964
上記配合のうちの小麦粉分は市販の小麦粉、上記で調製したDMSWコムギからの小麦粉、N61コムギからの小麦粉、モチ性コムギからの小麦粉、及びワキシーコーンスターチを使用して、以下の表5の組成(質量%)で構成した。
なおこの試験には、市販の小麦粉として薄力粉のハート(日本製粉社製)を用いた。製造工程は次のとおりである。ミキサー内で必要量のグラニュー糖、脱脂粉乳、塩、ショートニング、重曹、重炭酸アンモニウム、水を混ぜ合わせ低速で1分間混合した。高速に切り替え、4分間ミキシングを行い、壁面の粉を掻き落とした後さらに4分間のミキシングを行った。計量した小麦粉を加えて低速30秒のミキシングを行った後、粉を掻き落として再度低速で30秒のミキシングを行った。ミキサーより生地を取り出してまとめて棒状にした。この棒状の生地を6分割してアルミプレート上で厚みが6 mmになるように延ばした。直径6 cmの円形の抜き型で型抜きを行い焼成した(上火200℃、下火210℃、12分間)。室温で片面を15分間ずつ放冷後、ビニール袋に入れて室温で保存し、翌日官能評価を行った。10名のパネラーにより以下に挙げた項目と評価基準に従って5段階評価し、各項目における平均値を算出した。結果を表5に示す。
香り
5.香ばしくて強い香りがある。
4.やや強めの香りがある。
3.香りは感じられる。
2.香りはしない。
1.好ましくない香りがある。
口溶け
5.口溶けが非常に良い。
4.口溶けが良い。
3.口溶けは普通。
2.口溶けがやや悪い。
1.口溶けが悪く、口の中に残る。
甘み
5.甘みが非常に強い。
4.甘みが強い。
3.やや甘みが強い。
2.甘みがある。
1.甘みが少ない。
歯ごたえ
5.かなり柔らかい。
4.少し柔らかい。
3.適度の硬さ。
2.やや硬い。
1.硬くてぼろぼろしている。
Figure 2008053964
この結果、DMSWコムギから調製された小麦粉を用いた場合には、通常タイプのコムギを使用した場合に比べて、独特の風味を有し、しっかりとした歯ごたえを与え、一方口溶けの良い製品となっていることがわかる。穀粉組成物においてその含有量が高くなりすぎると、後味にえぐみが残る結果となった。よって、小麦粉全体に対して0.5〜30質量%の配合が好適と見られる。
[実施例4]
大判焼きの製造
以下に示す配合(質量部)を用いて、大判焼きを製造した。
Figure 2008053964
上記配合のうちの小麦粉分は市販の小麦粉、上記で調製したDMSWコムギからの小麦粉、N61コムギからの小麦粉、モチ性コムギからの小麦粉、及びワキシーコーンスターチを使用して、以下の表6の組成(質量%)で構成した。
なおこの試験には、市販の小麦粉として薄力粉のクラブ(日本製粉社製)を用いた。製造工程は次のとおりである。上記配合のとおりに混合し、ホイッパーで攪拌し生地を作った。180℃に設定した大判焼き用鉄板に生地を流し込み、餡を載せ5.5分間焼成した後、反転してさらに5.5分間の焼成を行った。焼きあがった大判焼きを焼成直後、あるいは焼成後冷蔵庫にて24時間保存後にレンジアップしたものについて、官能評価を行った。10名のパネラーにより以下に挙げた項目と評価基準に従って5段階評価し、各項目における平均値を算出した。表6に焼成直後の結果を、表7に冷蔵保存後の結果を示す。
結果を表6に示す。
香り
5.香ばしくて強い香りがある。
4.やや強めの香りがある。
3.香りは感じられる。
2.香りはしない。
1.好ましくない香りがある。
口溶け
5.口溶けが非常に良い。
4.口溶けが良い。
3.口溶けは普通。
2.口溶けがやや悪い。
1.口溶けが悪く、口の中に残る。
甘み
5.甘みが非常に強い。
4.甘みが強い。
3.やや甘みが強い。
2.甘みがある。
1.甘みが少ない。
Figure 2008053964
Figure 2008053964
この結果、DMSWコムギから調製された小麦粉を使用することで、焼き上がりがふっくらとして歯切れの良い食感となり、独特の風味を有することがわかった。また24時間の冷蔵後においても、優れた食感、風味が維持されていた。口溶けの観点から、小麦粉全体に対してDMSWコムギから調製された小麦粉の配合が20質量%までが特に適しており、よって小麦粉全体に対して0.5〜20質量%の配合が好ましい。
[実施例5]
たこ焼きの製造
以下に示す配合(質量部)を用いて、たこ焼きを製造した。
Figure 2008053964
上記配合のうちの小麦粉分は市販の小麦粉、上記で調製したDMSWコムギからの小麦粉、N61コムギからの小麦粉、モチ性コムギからの小麦粉、及びワキシーコーンスターチを使用して、以下の表8の組成(質量%)で構成した。
なおこの試験には、市販の小麦粉として薄力粉のクラブ(日本製粉社製)を用いた。製造工程は次のとおりである。配合表のとおりに混合し、ホイッパーで攪拌し生地を作った。180℃に設定したたこ焼き用鉄板に生地を流し込み、4分間焼成した後、上から180℃に加熱した鉄板を重ねさらに1分間焼成した。焼きあがったたこ焼きを焼成直後、あるいは焼成後−20℃の冷凍庫にて24時間保存後にレンジアップしたものについて、官能評価を行った。10名のパネラーにより以下に挙げた項目と評価基準に従って5段階評価し、各項目における平均値を算出した。表8に製造直後の結果を、表9に冷凍保存後の結果を示す。
香り
5.香ばしくて強い香りがある。
4.やや強めの香りがある。
3.香りは感じられる。
2.香りはしない。
1.好ましくない香りがある。
口溶け
5.口溶けが非常に良い。
4.口溶けが良い。
3.口溶けは普通。
2.口溶けがやや悪い。
1.口溶けが悪く、口の中に残る。
甘み
5.甘みが非常に強い。
4.甘みが強い。
3.やや甘みが強い。
2.甘みがある。
1.甘みが少ない。
表面の食感
5.かなりパリッとしていて、歯ごたえがある。
4.パリッとしている
3.ややパリッとしている。
2.少し柔らかく、歯ごたえが物足りない。
1.柔らかすぎて歯ごたえが無い。
Figure 2008053964
Figure 2008053964
この結果、DMSWコムギから調製された小麦粉を使用することで、皮の部分はパリッと香ばしくなり、一方内部はとろっとした食感を与え、さらに独特の甘みと風味を有する製品となった。冷凍保存後の食品でも、この傾向は維持されていた。小麦粉全体に対して、DMSWコムギから調製された小麦粉の配合量が高くなりすぎると、と口溶けが悪くなる傾向があった。よって、小麦粉全体に対してDMSWコムギから調製された小麦粉の配合量は、40質量%以下で、0.5〜30質量%の範囲が好ましい。
[実施例6]
うどんの製造
以下の配合(質量部)により、うどんを製造した。
Figure 2008053964
上記配合のうちの小麦粉分は市販の小麦粉、上記で調製したDMSWコムギからの小麦粉、N61コムギからの小麦粉、及びモチ性コムギからの小麦粉を使用して、以下の表10の組成(質量%)で構成した。
なおこの試験には、市販の小麦粉として中力粉のさぬき菊(日本製粉社製)を用いた。製造工程は次のとおりである。ミキサーで小麦粉を攪拌しつつ、塩を溶かした水を加えて5分間捏ね上げる。捏ね上げたそぼろ状の生地を製麺ロールに通し成形を行った。成形した生地を折りたたんで再度ロールに通して複合を行った後、生地の厚さが2.5 mmになるように圧延を行った。この後10番角刃ロールで裁断し、4℃で保存した。PHを調製した水を沸騰させ、麺を21分間茹で上げた後、冷水中で麺をほぐし、ざるに上げラップをかぶせた状態で室温で30分間放置した。このようにして製造したうどんを、以下に示す評価項目及び評価基準に従って、小麦粉として市販の小麦粉を100質量%用いた例6-1を基準にして、10名のパネラーによる官能評価を行った。各項目における平均値を算出した。表10に結果を示す。
柔らかさ
5.柔らかい。
4.やや柔らかい。
3.中程度の柔らかさ。
2.やや硬い。
1.硬い。
粘弾性
5.粘弾性に優れる。
4.やや粘弾性に優れる。
3.中程度の粘弾性。
2.やや粘弾性に劣る。
1.粘弾性に劣る。
風味
5.風味が強い。
4.やや風味が強い。
3.中程度の風味が感じられる。
2.やや風味が感じられない。
1.風味が感じられない。
Figure 2008053964
この結果、DMSWコムギから調製された小麦粉を使用した場合、独特の風味を有し、さらに柔らかい食感を与える製品となることがわかる。こういった製品は、特に高齢者など、咀嚼しやすい食感を好む消費者に適している。小麦粉全体に対して、DMSWコムギから調製された小麦粉の配合量が高くなりすぎると、うどんの色がくすむ傾向があり、また、煮崩れの程度が大きくなる。よって、小麦粉全体に対してDMSWコムギから調製された小麦粉の配合は0.5〜20質量%が好適である。
[実施例7]
天ぷらの製造
以下に示す配合(質量部)を用いて、天ぷらを製造した。
Figure 2008053964
上記配合のうちの小麦粉分は市販の小麦粉、上記で調製したDMSWコムギからの小麦粉、N61コムギからの小麦粉、モチ性コムギからの小麦粉を使用して、以下の表の組成(質量%)で構成した。
なおこの試験には、市販の小麦粉としてダイヤ(日本製粉社製)を用いた。製造工程は次のとおりである。配合表のとおりに混合し、ホイッパーで攪拌し生地を作った。この生地に素材であるスライスしたサツマイモを浸し、170〜180℃に油を過熱したフライヤーの中に入れ、3分間揚げた。このようにして製造した天ぷらを、以下に示す評価項目及び評価基準に従って、小麦粉として市販の小麦粉を100質量%用いた例7-1を基準にして、10名のパネラーによる官能評価を行った。各項目における平均値を算出した。表11に結果を示す。
揚げ色
5.濃い。
4.やや濃い。
3.中程度。
2.やや薄い。
1.薄い。
歯ごたえ
5.サクサク感が強い。
4.ややサクサク感が強い。
3.中程度のサクサク感。
2.ややサクサク感が弱い。
1.サクサク感が弱い。
風味
5.風味が強い。
4.やや風味が強い。
3.中程度の風味が感じられる。
2.やや風味が感じられない。
1.風味が感じられない。
Figure 2008053964
この結果、DMSWコムギから調製された小麦粉を使用することで、焼き色が濃く、またサクサクとした食感が強まり、かつ独特の風味が感じられたが、配合量が高くなりすぎると油っぽくなり、ベタつく食感となった。よって小麦粉全体に対して、0.5〜30質量%の範囲の配合が好適と見られる。
[全粒粉の調製]
上記のように作出したDMSWコムギ及び2006年群馬県産の農林61号1等麦(N61コムギ)を原料として、それぞれ全粒粉を調製した。超遠心粉砕機ZM200 ((株)Retsch製)および0.75mmスクリーンを用いて14,000 rpmでコムギを粉砕して全粒粉を回収した。
上述の全粒粉を用いて次の醗酵性試験を行った。
[醗酵性試験]
以下に示す配合にて生地を作成し、酵母の醗酵力試験を行った。
Figure 2008053964
上記配合中の小麦粉分は、市販の小麦粉として強力粉のイーグル(日本製粉社製)、及び上記の方法で調製したDMSWコムギ全粒粉、N61コムギ全粒粉を使用して、以下の表の組成(質量%)で構成した。
Figure 2008053964
上記配合に従って混合し、ミキサーで低速2分、高速2分のミキシングを行い生地を作成した(24℃)。各試料の生地から30g分の生地を2つ分割して軽く丸めた後、測定用ビンに入れ、30℃に保温した。保温開始5分後から発生するガス量を4時間後まで5分ごとにファーモグラフ(ATTO社製model AF-1101W)を用いて測定した。得られた2つのデータから平均値を算出し総ガス発生量の経時変化をプロットした。こうして得られた7つの試料の結果を表すグラフを図2に示す。
この結果、市販の小麦粉であるイーグル100%の場合に対して、N61コムギ全粒粉を加えた場合には、配合量が多くなるに伴って、総ガス発生量の低下が見られた。これは主にガス発生継続時間が短くなったためであると考えられた。これに対してDMSWコムギ全粒粉を加えた場合には、配合量が多くなるに伴って、ガス発生継続時間の延長が見られた。DMSWコムギには酵母が利用できる糖質が多く含まれていることによって、酵母がより長時間醗酵可能な環境になったと考えられる。総ガス発生量が増加すれば生地がより大きく膨らむなどの効果がある。また、酵母の生育環境の違いから生み出される独特の風味が加味されることになる。よって、DMSWコムギ由来の小麦粉を配合した穀粉は醗酵過程を伴う食品の製造にも適している。
[実施例8]
食パンの製造
以下に示す配合(質量部)により、食パンを製造した。
Figure 2008053964
上記配合中の小麦粉分は、市販の小麦粉(日本製粉社製イーグル)、上記で調製したDMSWコムギ全粒粉、N61コムギ全粒粉を使用して以下の表12の組成(質量%)で構成した。
上記配合のうち、ショートニング以外のものまで混合し、ミキサーで低速2分間、中速3分間のミキシングを行った(27℃)。ミキサーを止めてショートニングを加えた後、再度低速1分、中速3分、高速5分間のミキシングを行い、捏ね上げた生地を27℃、湿度75%で90分間醗酵させた。パンチ後、再度同条件で30分間醗酵し、450 gずつに分割して丸め、25分間のベンチを行った。モルダーにて整形した後、整形用型に入れ、38℃、湿度85%の醗酵室にて生地が型上1cm程度に膨らむまでホイロを行った後205℃、25分間焼成した。焼成した食パンは室温で1時間放冷した後、ビニール袋に入れて翌日まで室温で放置後、厚さ25 mmにスライスして試食を行った。
上記条件で製造したパンの風味及び食感を、10名のパネラーによる官能評価により次の項目と評価基準に従って5段階評価した。評価に際しては、小麦粉としてイーグル100%のパンを基準とし、すなわち各項目とも表12中、例8-1の評価を3として、相対評価を行い、合計値を平均化した。
香り
5.強い香りがある。
4.やや強い香りがある。
3.香りは普通に感じられる。
2.香りは少し弱い。
1.香りは弱い。

5.香ばしさは強い。
4.香ばしさはやや強い。
3.香ばしさは普通。
2.香ばしさはやや弱い。
1.香ばしさは弱い。
甘さ
5.非常に甘みを感じる。
4.やや強い甘みを感じる。
3.やや甘みを感じる。
2.ごくわずかに甘みを感じる。
1.甘みは全く感じない。
口溶け
5.口溶けは非常に良い。
4.口溶けは良い。
3.口溶けは普通。
2.口溶けはやや悪い。
1.口溶けは悪く、口の中に残る。
Figure 2008053964
以上の結果、DMSWコムギ全粒粉は配合量が増加するに伴って、独特の香りや香ばしさ、甘さが強く感じられるようになる。しかし、その配合割合が高くなるにつれ、生地性や口溶けが悪くなる結果となった。このため、DMSWコムギ全粒粉の配合量は小麦粉全体に対して、0.5〜30質量%の範囲が適当と見られる。
コムギ澱粉合成酵素II型-A1、澱粉合成酵素II型-B1、及び澱粉合成酵素II型-D1タンパク質の発現を欠き、コムギ顆粒性澱粉合成酵素-A1、顆粒性澱粉合成酵素-B1、及び顆粒性澱粉合成酵素-D1タンパク質の発現を欠くコムギ(DMSWコムギ)から調製された小麦粉、及びその他のコムギから調製された小麦粉の糊化特性を表す。 醗酵性試験における7つの試料の総ガス発生量の経時変化を、プロットしたグラフである。

Claims (9)

  1. 3つのコムギ澱粉合成酵素II型タンパク質を発現せず、かつ3つのコムギ顆粒性澱粉合成酵素タンパク質を発現しないタイプのコムギから調製される小麦粉と、他の穀粉とを含有することを特徴とする、穀粉組成物。
  2. 3つのコムギ澱粉合成酵素II型タンパク質を発現せず、かつ3つのコムギ顆粒性澱粉合成酵素タンパク質を発現しないタイプのコムギから調製される小麦粉を0.5〜30質量%含有する、請求項1記載の穀粉組成物。
  3. 3つのコムギ澱粉合成酵素II型タンパク質を発現せず、かつ3つのコムギ顆粒性澱粉合成酵素タンパク質を発現しないタイプのコムギから調製される小麦粉を1〜20質量%含有する、請求項1記載の穀粉組成物。
  4. 3つのコムギ澱粉合成酵素II型タンパク質を発現せず、かつ3つのコムギ顆粒性澱粉合成酵素タンパク質を発現しないタイプのコムギから調製される小麦粉を2〜20質量%含有する、請求項1記載の穀粉組成物。
  5. 3つのコムギ澱粉合成酵素II型タンパク質を発現せず、かつ3つのコムギ顆粒性澱粉合成酵素タンパク質を発現しないタイプのコムギから調製される小麦粉を5〜10質量%含有する、請求項1記載の穀粉組成物。
  6. 他の穀粉がウルチ性コムギ由来の小麦粉、モチ性由来の小麦粉、米粉、デンプン、そば粉、大麦粉、トウモロコシ粉、及びオーツ粉末からなる群から選択される、請求項1〜5のいずれか1項記載の穀粉組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項記載の穀粉組成物を使用することを含む、食品の製造方法。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項記載の穀粉組成物を使用して製造された食品。
  9. 該食品がベーカリー類、麺類、揚げ物類、焼き物類、ルーやソース、及び練り物から選ばれる、請求項8記載の食品。
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