JP2004129575A - モチコムギ含有食品及びその製造方法 - Google Patents

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藤田 修三
Tokuo Ito
井藤 篤男
Masaya Fujita
藤田 雅也
Chikako Otobe
乙部 千雅子
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Abstract

【課題】モチコムギを食するのに適した食品及びその製造方法を提供する。
【解決手段】加熱処理されたモチコムギの穀粒を、当該穀粒の粒状形態の一部あるいは全体を維持して含有する食品とする。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、モチコムギの加工食品であって、特に、加熱処理されたモチコムギの穀粒の粒状態の一部あるいは全体を維持して含有する食品を提供する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
穀物種子の胚乳デンプンは、通常、直鎖状分子であるアミロースと多数の枝を有する分子であるアミロペクチンとから構成されている。デンプンがほとんどアミロペクチンから構成される場合には、そのデンプンはモチ性となる。
近年、胚乳デンプン中のアミロース含量を低下させた新たなコムギが提供されている(特許文献1等)。
また、「はつもち」、「もち乙女」、「あけぼのもち」、「いぶきもち」は、それぞれ登録番号第8361号、第8362号、第8363号、第8364号として種苗法に基づき品種登録されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−125669号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
コムギは、製粉性がよく、また、グルテンを含有するため粉食に適している。このため、歴史的にも粉食が確立されている。
したがって、これらのモチコムギに関しても、製粉、粉食を前提とし、モチ性小麦粉やこれを利用する技術が各種提供されている。
しかしながら、これらの先行技術は、新たな穀粉の提供とこれの利用技術に過ぎない。
そこで、本発明では、モチコムギを食するのに適した食品及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、モチコムギの食品への加工適性を種々検討した結果、意外にも、モチコムギが、従来のコムギとしては全く想定されなかった粒食に適性があることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明によれば以下の手段が提供される。
【0006】
(1)食品であって、
加熱処理されたモチコムギの穀粒を、当該穀粒の粒状形態の一部あるいは全体を維持して含有する食品。
(2)前記加熱処理は、水存在下での加熱、油存在下での加熱、及び乾燥加熱から選択される1種あるいは2種以上を組み合わせた、(1)記載の食品。
(3)前記穀粒は、胚乳と外皮とを含む、(1)又は(2)に記載の食品。
(4)食品であって、
水存在下で加熱されたモチコムギの穀粒と、
水存在下で加熱されたコメの穀粒、
とを、これらの穀粒の粒状形態の一部あるいは全体を維持して含有する食品。
(5)食品の製造方法であって、
モチコムギの穀粒を少なくとも加熱し、前記穀粒の粒状形態の一部あるいは全体を維持するように加工する工程、
を備える、方法。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の食品は、加熱処理されたモチコムギの穀粒を、当該穀粒の粒状形態の一部あるいは全体を維持して含有することを特徴とする。
本発明の食品は、小麦由来の粒食による新規な形態の食品を提供することができる。特に外皮を備えるモチコムギ穀粒を用いる場合には、外皮の繊維分も同時に摂取でき、しかも、独特の食感を有する食品を提供することができる。
【0008】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(モチコムギ)
本食品に用いるモチコムギは、その胚乳デンプンにおけるアミロース含量が10wt%以下であることが好ましい。10wt%以下であると、加熱処理後においてアミロペクチン主体のもちっとした食感を得ることができ、粒食において特異な食感を発現するようになる。一方、10wt%を超えると、もちっとした食感が得られ難くなり、まだ、粒食により独特の食感が得られ難くなる。好ましくはアミロース含量が5wt%以下であり、さらに好ましくは3wt%未満である。なお、アミロース含量は、ヨウ素・ヨウ化カリウム溶液を用いた比色定量法や電流滴定法によって測定することができる。例えば、電流滴定法(ヨウ素親和力測定法)の原理は次のとおりである。澱粉溶液をヨウ素で滴定すると、アミロースと複合体を形成してヨウ素が消費される。アミロースが消費されている間は電流に変化が生じないが、ヨウ素が過剰となり、遊離ヨウ素が生じると急激な電流の変化が生じる。このヨウ素−電流滴定曲線の変曲点から複合体形成に消費されたヨウ素量を計算し、澱粉重量に対するヨウ素結合量を百分率で表わせばアミロース含量が求められる。
【0009】
また、本発明において用いるモチコムギは、外皮(籾)が薄いことが好ましい。具体的には、外皮が0.2〜0.5mm程度であることが好ましい。かかる薄い外皮を備えることにより、外皮ごと食することが容易となり、また、外皮と胚乳との食感の組み合わせで全く新たな食感を提供することができる。外皮の厚みは、穀粒の乾燥後に剥離させた外皮について測定することが好ましい。
【0010】
かかるモチコムギとしては、たとえば、「あけぼのもち」及び「いぶきもち」を挙げることができる。また、このようなモチコムギは低アミロ−ス突然変異系統「谷系A6099」に通常の小麦をかけあわせ、交雑第一世代にトウモロコシ花粉をかけて胚培養し、得られた半数体植物にコルヒチンによる染色体倍加を行って、遺伝的固定をはかったものの中から、ヨウ素・ヨウ化カリウム溶液(0.2%KI−0.04%I2 )で褐色に染まる種子を選抜することでも得られる。なお、「谷系A6099」の種子は独立行政法人農業生物資源研究所ジ−ンバンクに保存されている(保存番号00090674)。
【0011】
また、モチコムギとして他に、「はつもち」及び「もち乙女」を挙げることができる。このようなモチコムギは特開平6−125669号公報に記載の方法に従って、W−A1遺伝子とW−B1遺伝子の発現を欠きW−D1遺伝子の発現能力を維持する6倍体とW−D1遺伝子の発現のみを欠いた6倍体を交配して雑種第一代個体を得、これを自家受精させて雑種第二代個体とし、この中から上記3種の遺伝子の発現を欠いたものを選ぶことによって作出される。
【0012】
また、モチコムギとして他に、「谷系A6599−4」を挙げることができる。「谷系A6599−4」の種子は独立行政法人農業生物資源研究所ジーンバンクに保存されている(保存番号00090237)。このようなモチコムギは特許第3079251号公報に記載の方法に従って、低アミロース系統「谷系A6099」に突然変異誘発処理を行った中からアミロース含量の低いものを選ぶことによって作出される。
【0013】
これらのモチコムギはアミロース含量3%未満の小麦であるが、更にこれを、常法に従って、ウルチ性小麦と交配後、選抜することにより、アミロース含量が10%以下のモチ性小麦を得ることができる。
アミロース含量10wt%以下、好ましくは5%以下、さらに好ましくは3%未満のモチコムギの作出方法については、前記の方法に限定されることなく、Wx−A1、B1、D1の遺伝子を全て消失させる交配、放射線照射、化学的変異原処理などによって得ることができる。またこれらを育種の母本として用いた育成されたコムギの内から、所望のアミロース含量のものを選択することもできる。
【0014】
本発明においては、好ましくは、「あけぼのもち」及び「谷系A6599−4」を用いることができる。これらのモチコムギは、外皮が薄く、外皮とともに加熱処理した場合、特有の食感と風味とを有する食品を提供できる。
【0015】
(加熱処理)
本発明の食品においては、モチコムギの穀粒を製粉することなく加熱する。
加熱前のモチコムギは、製粉されていない状態、すなわち、モチコムギの穀粒(種子)の粒状形態の一部あるいは全体が維持されていればよい。したがって、モチコムギの穀粒を破砕ないし細断した粒状とすることもできるが、好ましくは、当該粒状形態の全体が維持された状態、換言すれば、少なくとも胚乳の形状が維持されているようにする。また、外皮を備える穀粒を使用することで、特に、加熱処理後にも、外皮内に胚乳が保持されやすくなり、繊維質の被膜によるやや抵抗感のある歯応えと被膜が咀嚼によって破れた後に感じられる胚乳のもちっとした食感とが組み合わさった独特の食感と風味とが発現される。かかる食感は、外皮を備え、かつ粒状の全体がおおよそ維持された状態で使用した場合において顕著に発現される。
【0016】
本発明においては、最終的に得られる食品において、モチコムギの粒状形態の一部あるいは全体が維持された状態で含有されていることが好ましい。したがって、加熱処理後も、このような粒状形態が一部あるいは全体が維持されているように原料を調製し、加熱条件を設定することが好ましい。かかる加熱処理後の粒状態形態維持は、加熱処理前の形態と処理条件を選択することで当業者であれば容易に実現することができる。
なお、ここで粒状形態の一部あるいは全体が維持されているとは、外皮の有無あるいは処理中における外皮の分離の有無にかかわらず、モチコムギの本来有する粒子形態の一部あるいは全体に由来する形状が加熱処理後も維持されていることを意味している。したがって、粒状形態そのものは膨張あるいは変形していてもよい。
【0017】
穀粒に施す加熱処理は、特に限定しないで各種加熱方法を採用することができる。水の存在下で加熱する方法、油の存在下で加熱する方法、乾燥加熱する方法等、各種加熱調理方法を採用することができる。また、従来既存の加熱を伴う調理法を特に限定しないで適用することができる。
本発明においては、各種加熱方法を1種あるいは2種以上を組み合わせることもできる。
【0018】
水の存在下で加熱する方法としては、炊く、茹でる、蒸すなどの加熱処理を用いることができる。また、加圧された状態で加熱してもよい。
油の存在下で加熱する方法としては、揚げる、炒める、ソテーなどの加熱処理を用いることができる。また、オイルを浸透させた状態で加熱することもできる。なお、当該処理においても、加圧されていてもよい。
また、乾燥加熱する方法としては、炒る、天火で焼くなどの加熱処理を用いることができる。
これらの各種加熱処理は、1種あるいは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0019】
本発明の食品において好ましい加熱処理としては、水の存在下において加熱する処理を挙げることができる。例えば、炊く、蒸す、茹でる方法を挙げることができる。かかる加熱処理を適用する場合、外皮を備えた穀粒の粒状態を維持して処理することが好ましい。なかでも、炊麦することが好ましい。炊麦する際の水の配合量については特に限定しないで、粒状がおおよそ維持される範囲で調節することができる。なお、炊麦形態は、いわゆるご飯状から雑炊状ないし粥状までの各種の態様を包含している。
【0020】
モチコムギを炊麦する場合、もちっとした食感を得るには、水の配合量はモチコムギ1合あたり約200ml以上約720ml以下とすることが好ましい。200mlより少ない場合、胚乳部分のもちっとした食感が得られ難くなり、720mlを超えると水分が多すぎて全体として食感が希薄になる。好ましくは240ml以上とする。
また、特に外皮を備えた状態で炊麦した場合、外皮特有の食感を得るには、モチコムギ1合あたり約120ml以上約300ml以下とすることが好ましい。120mlを下回るとプチっとした感触が得られにくくなり、300mlを超えると外皮が柔らかくなりすぎるからである。好ましくは240ml以下とする。したがって、外皮を備える形態で炊麦する場合、外皮と胚乳との双方の食感の相乗効果を得るには、モチコムギ1合あたり約200ml以上約300ml以下の範囲で炊麦することが好ましく、より好ましくは約240mlである。
【0021】
また、加熱処理にあたっては、最終的に得ようとする食品形態に応じて、モチコムギ以外の食材を同時に加熱処理することができる。炊麦して通常の米飯のような食品を得ようとする場合、好ましくは、コメの穀粒(籾摺りされたもの、精米のレベルは問わない。)も同時に炊くようにする。かかる加熱処理により得られる食品は、米飯の特徴に加え、モチコムギの独特の食感と風味と色とを兼ね備えるため、全体として従来にない食感と風味とを備えた食品となる。
【0022】
モチコムギをコメととともに炊麦(飯)することは本発明の好ましい態様である。すなわち、当該態様は、水存在下で加熱されたモチコムギの穀粒と、水存在下で加熱されたコメの穀粒、とを、これらの穀粒の粒状形態の一部あるいは全体を維持して含有する食品の一態様である。
この場合、コメ:モチコムギ=5:1〜17:1(体積比)とすることが好ましい。この範囲であると、炊飯物を食したとき、コメの食感と風味の他、モチコムギの食感を明らかに感じることができる。特に、外皮を備えるモチコムギを用いた場合において、独特の食感と外皮の栄養分とを備え、しかもコメの風味を備えた食品を提供することができる。モチコムギの配合が前記体積比よりも多いと、モチコムギの食感が強くなり、コメの風味が得られにくくなり、混炊の利点が得られにくくなる。また、モチコムギの配合が前記体積比よりも少ないとモチコムギの食感が得られにくくなり、コメとの混炊の利点が得られにくくなる。好ましくは、上記コメ:モチコムギの配合比が11:1以下である。なお、11:1であると視覚的にも好ましい。
なお、コメとの混炊にあっても、既にモチコムギの炊麦において好ましいとした水の配合量範囲をそのまま適用することができる。
なお、モチコムギとコメとの混炊物は、通常のご飯状から雑炊、粥までを包含することができる。
【0023】
なお、加熱処理に際しては、通常の食品の製造ないし調理と同様に、適宜調味等を施したり、他の食材と同時に調理したり、他の食材と組み合わせることができる。
【0024】
加熱処理後のモチコムギ含有物は、特に加工せずそのまま食品とすることができる。また、当該加熱処理物を食材の一種として他の食材と組み合わされて各種の加工食品を構成することもできる。
炊麦した場合には、通常の白米を炊飯した場合のように食することができる。また、炊麦後の個々の粒状物を、小さいモチとして食したり、個々の粒状物のまま、あるいは適当にまとめて成形してスープや汁の具材とすることができる。たとえば、アズキ汁、粥、すまし汁の具とすることができる。特に、コムギは特有のタンパク質であるグルテンを含有するため、モチコムギを汁物に適用しても汁がにごらず、成形しても、もち米で作ったモチよりも喉ごしもよいという利点がある。
【0025】
さらに、この粒状物を適当に乾燥して、粒状の食品として用いることができる。この粒状食品は、モチの食感と風味とを備えるため、そのままあるいは適宜調味したり、形状を付与したりして菓子とすることができる。
また、炊麦後、混練し、適度な塑性を発現させた上で形状を付与して、団子状あるいは扁平状等の適当な三次元形状を備える食品を得ることができる。かかる成形食品は、適当に調味して菓子とすることもできる。
さらに、油で揚げた場合には、粒状のスナック菓子を得ることができる。この粒状体を適宜集合体として所定形状を有する菓子とすることもできる。
また、高温加圧後に常温に戻すことにより、膨張した粒状のスナック菓子を得ることができる。
【0026】
各種形態の粒状物あるいはその成形物に、砂糖、チョコレート、キャラメルなどの各種コーティングにより、独特の食感と風味とを備え、従来にないスナック菓子を得ることができる。
また、各種形態の粒状物あるいはその成形物を各種の餡やタレを用いることにより、同様に従来にない和菓子を得ることができる。
なお、本発明に基いて得られた各種の食品は、従来食品に適用されている保存加工ないし包装を施すことができる。例えば、冷凍食品、冷蔵食品、レトルトパウチ品、缶詰、凍結乾燥品、真空包装品等とすることができる。
【0027】
【実施例】
以下、本発明を具体例をあげて説明するが、本発明は以下に例示する具体例に限定されるものではない。
(実施例1)
〔炊麦試験〕
十分に研いだモチコムギ原麦(あけぼのもち)1合に対して、水を120ml、240ml、480ml、720mlをそれぞれ加え、家庭用炊飯器(象印社製NH−RA10)を用い、白米を炊くときの自動炊飯条件を選択し、そのまま炊麦した。なお、用いたモチコムギは2合とした。炊麦後、官能検査と物性評価と行った。
1.官能検査
官能検査は、炊麦直後に炊麦状態を観察した上で、主として食感に関し、もちもち感とプチプチ感について行った。食感に関しては、20名のパネラーによって行った。
2.物性評価
物性評価は、炊麦直後の他、炊麦直後に3℃に保冷個に密封状態で保存し1日及び5日経過後の試料について圧縮試験を行い、荷重応力平均と傾きについて測定した。圧縮試験は、試験器としてSHIMADZU社製 EZ Test−100Nを用いて、10mm/分の速さで60Nまで圧縮し、荷重応力平均、荷重1.10Nにおける傾きを測定した。1試料に対して20回試験を行い、その平均値を求めた。なお、荷重応力平均と傾きは、上記試験器にて表示されたものを用いた。
【0028】
官能検査の結果を表1に示し、物性評価の結果を表2に示す。
【表1】
Figure 2004129575
【表2】
Figure 2004129575
【0029】
表1に示すように、官能検査の結果からは、加水量(モチコムギ1合に対する、以下同じ。)が120mlの炊麦試料が、優れたプチプチ感と適度なモチモチ感を得ることができ、炊麦して粒として食するには、最も好適であることがわかった。一方120ml加水炊麦試料ではプチプチ感を得ることができるものの、粒が硬く、モチモチ感も得られず、硬すぎて咀嚼も困難であった。
また、480ml及び720ml加水炊麦試料では、水が多すぎて粒形態を維持しているもののいわゆる粥状となった。また、外皮が破れてしまった。したがって、モチモチ感を得ることができるものの、プチプチ感を得ることはできなかった。しかしながら、炊麦物中に外皮が残存しているため、外皮の咀嚼感を得ることができた。
以上の結果から、コメの炊飯と同様にしてモチコムギを炊飯できることがわかった。したがって、コメとの混炊も可能であることがわかった。一方、特有のモチモチ感を得るには、加水量を240ml以上とすることが好ましく、プチプチ感を得るには、加水量の範囲を、120ml以上240ml以下とすることが好ましいことがわかった。
【0030】
また、表2に示すように、物性評価の結果によれば、荷重応力平均値は、加水量の多い炊麦試料ほど低く、加水量が多ければそれに応じて柔かくなることが明らかであった。また、冷蔵保存試料につては保存期間が長い程荷重応力平均値が上昇し、老化の進行が観察された。
また、傾きについても、荷重応力平均と同様に加水量の多い試料ほど低い値を示し、3℃保存下における保存期間が長いほど高い値を示した。
【0031】
(実施例2)
〔混炊試験〕
次に、コメとモチコムギ(あけぼのもち)との混炊実験を行った。混炊のための配合割合は、コメ:モチコムギ=5:1、11:1、17:1(それぞれ体積比)の3種類とした。炊飯条件は、加水量を240ml/合(コメとモチコムギの総量)とし、実施例1と同様にして炊飯器における白米用の自動炊飯条件で混炊した。
得られた各種混炊物につき、実施例1と同様の条件で官能検査(全体の食感、プチプチ感、視覚)を行った。検査結果を表3に示す。
【0032】
【表3】
Figure 2004129575
表3に示すように、官能検査の結果からは、配合比が5:1〜11:1において、全ての項目において良好な結果が得られた。特に、5:1配合では、、全体の食感も良好でしかもプチプチ感を明瞭に感じることができた。また、全体の外観としては、適度に着色された状態となった11:1が好ましいものであった。一方、配合比が17:1の場合、全体として適度な食感が得られるものの、モチコムギの配合量が少ないためにモチコムギに由来するプチプチ感を十分に得ることができなかった。
以上の結果から、コメとの混炊時には、コメ:モチコムギの配合比を5:1〜11:1とすることが好ましいことがわかった。
【0033】
(実施例3)
〔普通コムギ、モチ米(玄米)との比較試験〕
加水量240ml/合の条件にてモチコムギ(あけぼのもち)・普通コムギ(農林61号)・モチ玄米(品種「あゆみもち」のモチ玄米)を、それぞれ炊麦または炊飯し、パネラー43名により、食味の比較テストを行った。炊飯器は家庭用炊飯器(象印社製NH−RA10)を使用し、いずれも、通常の条件で炊飯ないし炊麦した。
結果を表4に示す。
【表4】
Figure 2004129575
【0034】
表4に示すように、モチコムギの評価は他の2試料と比べ良好であった。多数のパネラーが、モチコムギは普通コムギと比べ甘みが強く感じられ、普通コムギはその外皮の厚さからプチプチ感はあまり感じられず堅い食感がえられたとの感想を持った。モチ玄米に関しては若干のプチプチ感が感じられたが、外皮が存在しないので粒の一部が破壊されモチコムギと比べ、よりモチモチした食感になっていた。これらの結果から、モチコムギのプチプチ感がおもしろい食感として印象を与え、良い評価を受けたことがわかった。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、モチコムギを食するのに適した食品及びその製造方法を提供することができる。

Claims (5)

  1. 食品であって、
    加熱処理されたモチコムギの穀粒を、当該穀粒の粒状形態の一部あるいは全体を維持して含有する食品。
  2. 前記加熱処理は、水存在下での加熱、油存在下での加熱、及び乾燥加熱から選択される1種あるいは2種以上を組み合わせた、請求項1記載の食品。
  3. 前記穀粒は、胚乳と外皮とを含む、請求項1又は2に記載の食品。
  4. 食品であって、
    水存在下で加熱されたモチコムギの穀粒と、
    水存在下で加熱されたコメの穀粒、
    とを、これらの穀粒の粒状形態の一部あるいは全体を維持して含有する食品。
  5. 食品の製造方法であって、
    モチコムギの穀粒を少なくとも加熱し、前記穀粒の粒状形態の一部あるいは全体を維持するように加工する工程、
    を備える、方法。
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