JPWO2007141912A1 - Rna検出方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、表面にリン脂質の親水部を構成するリン酸エステルより誘導される基を有する第一単位と電子求引性の置換基がカルボニル基に結合してなるカルボン酸誘導基を有する第二単位とを含む高分子物質を有するとともに、少なくとも一つ以上の反応空間が設けられ、当該反応空間には固定された固定DNAプライマーを含む基板を用いて、標的サンプルを含む反応系から当該標的サンプル由来の標的RNA鎖を検出するRNA検出方法を提供する。

Description

本発明は、プライマーDNA鎖を表面に固定化した担体を用いて、試料中のRNA鎖を検出するRNA検出方法に関する。
特許文献1には、固相支持体上に固定化されたオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、ターゲットポリヌクレオチドの固相増幅を実行する技術が記載されている。さらに、このターゲットポリヌクレオチドとしては、一本鎖または二本鎖のDNA、およびRNAが使用でき、特にmRNAは逆転写により仲介される増幅のための鋳型として直接使用できることが開示されている。
特許文献2には、PCR反応の熱変性ステップにおいても安定的であり、かつ、タンパク質およびDNA/RNAの非特異的吸収容量が低く、有機化学物質に耐性なマイクロプレートを用いて、PCR反応を行う技術が開示されている。さらに、このPCR反応に先立って、マイクロプレート表面に固定化されたオリゴヌクレオチドを用いて、粗細胞溶解物からRNAまたはmRNAを精製することなく補足することができることが記載されている。
特許文献1および2の両方において、増幅過程でオリゴヌクレオチドを標識化して、検出することで細胞溶解物中にRNAが含まれていたこと、およびおおよその定量を行うことが可能である旨記載されている。
このようなRNAの定量には、具体的には、逆転写反応−ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR:Reverse transcriptase polymerase chain reaction)法が有用であることが知られている。すなわち、RT−PCR法は、逆転写酵素(Reverse Transcriptase)を用いてRNAを相補的なDNA(cDNA)に転換した後に、PCR法でcDNAを増幅する方法で、微量のRNAでも定量的に解析できるため、今日最も検出感度の高い解析法の1つとして、RNAを遺伝子として保有しているウイルスの検出、mRNAの定量的検出や塩基配列決定による発現遺伝子の解析、さらにはcDNAのクローニングによる発現産物の解析および生産等には欠かせないものになっている。この方法は診断的分子病理学を含む種々の分野で極めて有用な技術である。
しかし、RT−PCR法は細胞収集、生体サンプルからRNA抽出と精製、逆転写反応、PCR及び遺伝子検出など操作が非常に煩雑で、各工程におけるサンプルロスやコンタミネーションなどの問題点を有し、安定した遺伝子発現レベルの定量を行うには研究者の技術の熟練を要するのが現状である。とくに、完全なRNA分子の精製はRT−PCRの成功を決定する第一のステップであり、これには細胞及び組織中のリボヌクレアーゼを除去または不活性化するための作業が要求される。
これらの問題を解決するため、自動RNA抽出装置、mRNA精製キット及びワンステップRT−PCR試薬キット等の製品開発が盛んに行なわれている。例えば、イオン交換樹脂、ガラスフィルター、ガラスビーズあるいはタンパク凝集作用を有する試薬等が使用されている。しかし、いかなる製品を用いても時間の懸かる困難な処理操作ステップが要求される。
担体表面上にオリゴdTを固定化し、mRNAが持つポリA鎖をハイブリダイゼーションにより捕捉し、精製を目的とする手法が一般的に用いられている。さらに、固相表面上で逆転写反応及びPCR反応を行うことで開発された(非特許文献1)。しかし、プラスチックの疎水性表面における非特異的吸着性のため、RNA分解酵素の失活に用いられるタンパク質分解酵素やカオトロピック剤のコンタミネーション、逆転写酵素、DNA合成酵素の失活が問題となって十分な性能を得ていない。
特表2003−523183号公報 特表2002−505080号公報 Takashi Ishikawa et al."Construction of cDNA bank from biopsy specimens for multiple gene analysis of cancer",Clinical Chemistry,1997,Vol.43,No.5,764
本発明者等は、特許文献1,2などに代表される様々な基板を用いてMPEC法(Multiple Primer Extension on a Chip)によるDNA鎖伸長反応を利用したRNA検出を行ったところ、感度において十分ではないという知見を得て、表面に所定の高分子物質を配した担体を用いることでこの問題を解決して本発明の完成に至った。
また、別の観点からは、DNA鎖伸長反応を利用したRNA検出反応において、RNAからcDNAへの逆転写反応後に残存するRNAはDNA鎖伸長反応を阻害することが問題となり得ることを見出し、表面に所定の高分子物質を配した担体を用いることでこの問題を解決して本発明の完成に至った。
本発明に係るRNA検出方法は、表面にリン脂質の親水部を構成するリン酸エステルより誘導される基を有する第一単位と電子求引性の置換基がカルボニル基に結合してなるカルボン酸誘導基を有する第二単位とを含む高分子物質を有するとともに、少なくとも一つ以上の反応空間が設けられ、当該反応空間には固定された固定核酸プライマーを含む表面を用いて、標的サンプルを含む反応系から当該標的サンプル由来の標的RNA鎖を検出するものである。
このような表面としては、例えば固定DNAプライマーを固定させた担体の表面が挙げられる。また、反応空間は、PCR用チューブあるいはPCR用マイクロプレートの形状、またはチューブあるいはウェルの形状であってもよい。
本発明によれば、迅速に多検体処理可能なRNA検出方法を提供することができる。
また、ある観点から、標的サンプル、例えば標的細胞の細胞溶解物のサンプルから高感度でRNAの検出、定量を行うことができる。
また、別の観点から、標的サンプルからDNA鎖伸長反応を利用したRNAの検出において、RNAを分解させる処理工程を含むことなく簡便かつ迅速にRNAの検出、定量を行うことができる。
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
本発明の実施形態で用いる反応空間を提供する表面の一例としての基板の一部を模式的に示す図である。 本発明の実施形態で用いる反応空間を提供する表面の他の一例としての基板の一部を模式的に示す図である。 第一の実施形態に係るRNA検出方法を示すフローチャートである。 図2のフローチャートにしたがって基板の反応空間で行われる反応を模式的に示す図である。 図2のフローチャートにしたがって基板の反応空間で行われる反応を模式的に示す図である。 第二の実施形態に係るRNA検出方法を示すフローチャートである。 図5のフローチャートにしたがって基板の反応空間で行われる反応を模式的に示す図である。 図5のフローチャートにしたがって基板の反応空間で行われる反応を模式的に示す図である。 第三の実施形態に係るRNA検出方法を示すフローチャートである。 図8のフローチャートにしたがって基板の反応空間で行われる反応を模式的に示す図である。 図8のフローチャートにしたがって基板の反応空間で行われる反応を模式的に示す図である。 第四の実施形態に係るRNA検出方法を示すフローチャートである。 図11のフローチャートにしたがって基板の反応空間で行われる反応を模式的に示す図である。 図11のフローチャートにしたがって基板の反応空間で行われる反応を模式的に示す図である。 第五の実施形態に係るRNA検出方法を示すフローチャートである。 図14のフローチャートにしたがって基板の反応空間で行われる反応を模式的に示す図である。 図14のフローチャートにしたがって基板の反応空間で行われる反応を模式的に示す図である。 第六の実施形態に係るRNA検出方法を示すフローチャートである。 図17のフローチャートにしたがって基板の反応空間で行われる反応を模式的に示す図である。 図17のフローチャートにしたがって基板の反応空間で行われる反応を模式的に示す図である。 第七の実施形態に係るRNA検出方法を示すフローチャートである。 図20のフローチャートにしたがって基板の反応空間で行われる反応を模式的に示す図である。 図20のフローチャートにしたがって基板の反応空間で行われる反応を模式的に示す図である。 実施例の定量PCRの結果を示すグラフである。 実施例の定量PCRの結果を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態に係るRNA検出方法は、表面にリン脂質の親水部を構成するリン酸エステルより誘導される基を有する第一単位と電子求引性の置換基がカルボニル基に結合してなるカルボン酸誘導基を有する第二単位とを含む高分子物質を有するとともに、少なくとも一つ以上の反応空間が設けられ、当該反応空間には固定された固定核酸プライマーを含む表面を用いて、標的サンプルを含む反応系から当該標的サンプル由来の標的RNA鎖を検出するものである。
本実施形態で使用することができる基板の表面には、リン脂質の親水部を構成するリン酸エステルより誘導される基を有する第一単位と電子求引性の置換基がカルボニル基に結合してなるカルボン酸誘導基を有する第二単位とを含む高分子物質が存在するようになっている。
このリン脂質の親水部を構成するリン酸エステルより誘導される基を含む第一単位と電子求引性の置換基がカルボニル基に結合してなるカルボン酸誘導基を含む第二単位とを有する高分子物質は、DNA鎖の非特異的吸着を抑制する性質とDNA鎖を固定化する性質とを併せ持つポリマーである。特に、第一単位に含まれるリン脂質の親水部を構成するリン酸エステルより誘導される基は鋳型RNA断片の非特異的吸着を抑制する役割を果たし、第二単位に含まれるカルボン酸誘導基はプライマーを化学的に固定化する役割を果たす。すなわち、プライマーは、この高分子物質からなるコーティング層のカルボン酸誘導基の部位で共有結合して、前記表面に固定化される。このような表面としては、例えば固定DNAプライマーが固定された担体、例えば基板の表面が挙げられる。
第一の単位は、たとえば、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン基、6−メタクリロイルオキシヘキシルホスホリルコリン基等の(メタ)アクリロイルオキシアルキルホスホリルコリン基;
2−メタクリロイルオキシエトキシエチルホスホリルコリン基および10−メタクリロイルオキシエトキシノニルホスホリルコリン基等の(メタ)アクリロイルオキシアルコキシアルキルホスホリルコリン基;
アリルホスホリルコリン基、ブテニルホスホリルコリン基、ヘキセニルホスホリルコリン基、オクテニルホスホリルコリン基、およびデセニルホスホリルコリン基等のアルケニルホスホリルコリン基;
等の基を有し、ホスホリルコリン基がこれらの基中に含まれている構成とすることができる。
また、これらの基のうち、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンが好ましい。第一単位が2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを有する構成とすることにより、担体などの表面における鋳型RNA断片の非特異的吸着をより一層確実に抑制することができる。
なお、ここでは基本骨格として下記式(a)に示すホスホリルコリン基である例を挙げたが、このホスホリルコリン基を下記式(b)のホスホリルエタノールアミン基、下記式(c)のホスホリルイノシトール基、下記式(d)のホスホリルセリン基、下記式(e)のホスホリルグリセロール基、下記式(f)に示したホスファチジルホスホリルグリセロール基などのリン酸基に置き換えてもよい(以下についても同様)。
(化1)
Figure 2007141912
カルボン酸誘導体は、カルボン酸のカルボキシル基が活性化されたものであり、C=Oを介して脱離基を有するカルボン酸である。カルボン酸誘導体は、具体的には、アルコキシル基よりも電子求引性の高い基がカルボニル基に結合して求核反応が活性化された化合物である。カルボン酸誘導基は、アミノ基、チオール基、水酸基等に対する反応性を有する化合物である。
活性化されたカルボン酸誘導体として、さらに具体的には、カルボン酸であるアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボキシル基が、酸無水物、酸ハロゲン化物、活性エステル、活性化アミドに変換された化合物が挙げられる。カルボン酸誘導基は、こうした化合物に由来する活性化された基であり、たとえば、p−ニトロフェニル基やN−ヒドロキシスクシンイミド基等の活性エステル基;−Cl、−F等のハロゲン;等の基を有することができる。
また、カルボン酸誘導基は、下記式(1)に示される基とすることができる。
(化2)
Figure 2007141912
(ただし、上記式(1)において、Aは水酸基を除く脱離基である。)
上記式(1)に示される一価の基は、たとえば下記式(p)または式(q)から選択されるいずれかの基とすることができる。
(化3)
Figure 2007141912
(ただし、上記式(p)および式(q)において、R1およびR2は、それぞれ独立して、一価の有機基であり、直鎖状、分岐状、および環状のいずれであってもよい。また、上記式(p)において、R1はCとともに環を形成する二価の基であってもよい。また、上記式(q)において、R2はNとともに環を形成する二価の基であってもよい。)
上記式(p)に示される基として、たとえば下記式(r)、(s)、および(w)に示される基が挙げられる。また、上記式(q)に示される基として、たとえば下記式(u)に示される基が挙げられる。
上記式(1)に示される基は、たとえば下記式(r)、式(s)等に示される酸無水物由来の基;
下記式(t)に示される酸ハロゲン化物由来の基;
下記式(u)、式(w)に示される活性エステル由来の基;または
下記式(v)に示される活性化アミド由来の基とすることができる。
(化4)
Figure 2007141912
カルボン酸誘導基のうち、活性エステル基は、穏やかな条件における反応性に優れるため、好ましく用いられる。穏やかな条件としては、たとえば中性またはアルカリ性の条件、具体的にはpH7.0以上10.0以下、さらに具体的にはpH7.6以上9.0以下、さらにまた具体的にはpH8.0とすることができる。
また、本明細書において規定するところの「活性エステル基」は、その定義について厳密な規定はなされていないが、慣用の技術表現としては、エステル基のアルコール側に酸性度の高い電子求引性基を有して求核反応を活性化するエステル群、すなわち反応活性の高いエステル基を意味するものとして、各種の化学合成、たとえば高分子化学、ペプチド合成等の分野で慣用されているものである。なお、ペプチド合成の分野においては、泉屋信夫、加藤哲夫、青柳東彦、脇道典著、「ペプチド合成の基礎と実験」、1985年発行、丸善、に記載されているように、活性エステル法はアミノ酸またはペプチドのC末端を活性化する方法の一つとして用いられている。
実際的には、エステル基のアルコール側に、電子求引性の基を有し、アルキルエステルよりも活性化されたエステル基である。活性エステル基は、アミノ基、チオール基、水酸基等の基に対する反応性を有する。さらに具体的には、フェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N−ヒドロキシアミンエステル類、シアノメチルエステル、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等がアルキルエステル等に比べてはるかに高い活性を有する活性エステル基として知られている。
ここでは、高分子物質中の活性化カルボン酸誘導体基が活性エステル基である場合を例に、説明する。活性エステル基としては、たとえばp−ニトロフェニル基、N−ヒドロキシスクシンイミド基、コハク酸イミド基、フタル酸イミド基、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド基等が挙げられるが、たとえばp−ニトロフェニル基が好ましく用いられる。
表面にプライマーが固定化される基板などの担体の場合、第一単位および第二単位のさらに具体的な構成の組合せとして、たとえば、リン脂質の親水部を構成するリン酸エステルより誘導される基を含む第一単位が2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン基を有し、活性エステル基がp−ニトロフェニル基である構成とすることができる。
また、本実施形態で使用することができる基板などの担体のコーティング層に使用される高分子物質は、リン脂質の親水部を構成するリン酸エステルより誘導される基およびカルボン酸誘導基以外に他の基を含んでもよい。また、高分子物質は共重合体とすることができる。具体的には、高分子物質がブチルメタクリレート基を含む共重合体であることが好ましい。こうすることにより、高分子物質を適度に疎水化し、この高分子物質の基板表面への吸着性をさらに好適に確保することができる。
具体的には、高分子物質を、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)基を有する第一単量体と、p−ニトロフェニルオキシカルボニルポリエチレングリコールメタクリレート(NPMA)基を有する第二単量体と、ブチルメタリレート(BMA)基を有する第三単量体との共重合体とすることができる。これらの共重合体であるpoly(MPC−co−BMA−co−NPMA)(PMBN)は、模式的に下記一般式(2)で示される。
(化5)
Figure 2007141912
ただし、上記一般式(2)において、a、b、およびcは、それぞれ独立して、正の整数である。また、上記一般式(2)において、第一〜第三単量体がブロック共重合していてもよいし、これらの単量体がランダムに共重合していてもよい。
上記一般式(2)で示される共重合体は、高分子物質の適度な疎水化と、鋳型RNA断片の非特異吸着を抑制する性質と、プライマーを固定化する性質とのバランスとに、より一層優れた構成である。このため、このような共重合体を用いることにより、基板などの担体表面をより一層確実に高分子物質で被覆するとともに、高分子物質がコーティングされた担体上への鋳型RNA断片の非特異的吸着を抑制しつつ、プライマーをさらに確実に共有結合により固定化して担体上に導入することができる。
なお、上記一般式(2)で示される共重合体は、MPC、BMA、およびNPMAの各単量体を混合し、ラジカル重合等の公知の重合方法により得ることができる。上記一般式(2)で示される共重合体をラジカル重合により作製する場合、たとえば、Ar等の不活性ガス雰囲気にて、30℃以上90℃以下の温度条件で溶液重合を行うことができる。
溶液重合に使用される溶媒は適宜選択されるが、たとえば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコールや、ジエチルエーテル等のエーテル、クロロホルム等の有機溶媒を単独でまたは複数混合して用いることができる。具体的には、ジエチルエーテルとクロロホルムを体積比で8対2とした混合溶媒とすることができる。
また、ラジカル重合反応に使用されるラジカル重合開始剤としては、通常使用されるものを用いることができる。たとえば、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスバレロニトリル等のアゾ系開始剤;
過酸化ラウロイル、過酸化ベンゾイル、t−ブチルペルオキシネオデカノエート、t−ブチルペルオキシピバレート等の油溶性の有機過酸化物;
などが用いられる。
さらに具体的には、ジエチルエーテルとクロロホルムを体積比で8対2とした混合溶媒およびAIBNを用い、Ar中、60℃にて2〜6時間程度重合を行うことができる。
なお、ここでは、本実施形態で用いることができる基板などの担体として、高分子物質がブチルメタクリレート基を含む第三単位を有するものを説明したが、リン脂質の親水部を構成するリン酸エステルより誘導される基を含む第一単位とカルボン酸誘導基を含む第二単位とを有する高分子物質を第一の高分子物質とし、これに加えて、リン脂質の親水部を構成するリン酸エステルより誘導される基を含む第一単位とブチルメタクリレート基を含む第三単位とを有する第二の高分子物質を含んでいてもよい。
なお、上記第一の高分子物質の第一単位と上記第二の高分子物質の第一単位とは同一構造であってもよいし、異なる構造であってもよい。また、上記第一の高分子物質がブチルメタクリレート基を含む第三単位を含むとき、この第一の高分子物質の第三単位と上記第二の高分子物質の第三単位とは同一構造であってもよいし、異なる構造であってもよい。
このような第二の高分子物質は、鋳型RNA断片の非特異的吸着を抑制するポリマーとして用いられる。このようなポリマーとしては、たとえばホスホリルコリン基が30モル%、ブチルメタクリレート基が70モル%の割合で含まれているものであるMPCポリマー(日本油脂社製)を用いることができる。
なお、高分子物質が上記第一の高分子物質、第二の高分子物質からなる場合、これらの高分子物質が混合されている構成とすることができる。各々の高分子物質のポリマーは、たとえばエタノール溶液に溶解できるため、それぞれのポリマー溶液を混合することにより容易に混合ポリマーを得ることができる。
以上のような高分子物質からなるコーティング層を表面に含む担体は、所定の形状に加工された担体、例えば基板の表面に高分子物質を含む液体を塗布し、乾燥することにより得られる。また、高分子物質を含む液体中に担体を浸漬し、乾燥してもよい。
また、担体として、プラスチック材料を用いた場合には、形状やサイズの変更に対する柔軟性が確保される上に、ガラス担体のものに比べて安価で提供することができるという観点から好ましい。なお、特に担体として基板を採用し、かつ、材料をプラスチックとした場合、形状は板状には限られず、たとえばフィルム状やシート状であってもよい。具体的には、基板を可とう性のプラスチックフィルムとすることもできる。また、基板は、一つの部材から構成されていてもよいし、複数の部材から構成されていてもよい。
プラスチック材料としては、表面処理の容易性および量産性の観点から、熱可塑性樹脂を用いることができる。
熱可塑性樹脂としては、蛍光発生量の少ないものを用いることができる。蛍光発生量の少ない樹脂を用いることにより、DNA鎖の検出反応におけるバックグランドを低下させることができるため、検出感度をさらに向上させることができる。蛍光発生量の少ない熱可塑性樹脂としては、たとえば、
ポリエチレン、ポリプロピレン等の直鎖状ポリオレフィン;
環状ポリオレフィン;
含フッ素樹脂;
スチレン;等を用いることができる。上記樹脂の中でも、飽和環状ポリオレフィンは、さらに耐熱性、耐薬品性、低蛍光性、透明性および成形性に特に優れるため、光学的な分析に好適であり、基板の材料として好ましく用いられる。
ここで、飽和環状ポリオレフィンとは、環状オレフィン構造を有する重合体単独または環状オレフィンとα−オレフィンとの共重合体を水素添加した飽和重合体を指す。前者の例としては、たとえばノルボルネン、ジシクロペンタジエン、テトラシクロドデセンに代表されるノルボルネン系モノマー、及び、これらのアルキル置換体を開環重合して得られる重合体を水素添加して製造される飽和重合体である。後者の共重合体はエチレンやプロピレン、イソプロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のα−オレフィンと環状オレフィン系モノマーのランダム共重合体を水素添加することにより製造される飽和重合体である。共重合体では、エチレンとの共重合体が最も好ましい。これらの樹脂は単独で用いてもよく、2種類またはそれ以上の共重合体あるいは混合物であってもよい。また、環状オレフィン構造を有する単量体が開環重合して得られる飽和環状ポリオレフィンだけでなく、環状オレフィン構造を有する単量体の付加重合により得られる飽和環状ポリオレフィンを用いることもできる。
担体の反応空間の形状については、マイクロチューブ、PCR用及び定量的PCR用のマイクロチューブ、また96ウェル、384ウェル、1536ウェルマイクロタイタープレートなどを用いることができる。また、板状プラスチック表面を用いることができる。また、これらの担体に微細加工を施した微細流路内を用いることが出来る。特にPCR用及び定量的PCR用のマイクロチューブは容器厚みが薄く、PCR反応装置による反応温度コントロールの面で用いることが好ましい。
次に、反応空間を提供する表面への固定核酸プライマー(以下、「プライマー」という)の固定化方法について、担体の表面にプライマーを固定化する例を挙げて、説明する。なお、プライマーとしては、DNAプライマー、RNAプライマー、LNA(locked nucleic acid)プライマー、ENA(tm)(2'-O,4'-C-Ethylene-bridged Nucleic Acids)プライマーなどが挙げられる。
例えば、(i)担体上の高分子物質に含まれる複数の活性エステル基のうち、少なくとも一部の活性エステル基とプライマーとを反応させて共有結合を形成させることにより、担体表面でプライマーを固定化し、続いて(ii)プライマーを固定化した以外の担体表面の活性エステル基を不活性化する、すなわち残りの活性エステル基を不活性化することにより、プライマーを担体の表面に固定することができる。以下、それぞれの工程について説明する。
上記工程(i)において、鋳型RNA断片とアニールするプライマーを担体上に固定化する際には、プライマーを溶解または分散した液体を接触(または点着)させ、高分子物質に含まれる活性エステル基の一部がプライマーと反応して、プライマーの間で共有結合が形成される。また、プライマーを溶解または分散した液体を担体の表面に接触させるかわりに、点着させることにより、マイクロアレイ状にデザインすることもできる。
このプライマーを溶解または分散した液体は、例えば中性からアルカリ性、例えばpHが7.6以上とすることができる。
また、接触(または点着)後、担体表面に固定化されなかったプライマーを除去するため、純水や緩衝液で洗浄してもよい。
また、上記工程(ii)に示したように、洗浄後はプライマーを固定化した以外のプラスチック担体表面の活性エステルの不活性化処理をアルカリ化合物、あるいは一級アミノ基を有する化合物で行う。
アルカリ化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸ナトリウム、水酸化リチウム、リン酸カリウムなどを用いることができる。
一級アミノ基を有する化合物としては、グリシン、9−アミノアクアジン、アミノブタノール、4−アミノ酪酸、アミノカプリル酸、アミノエタノール、5−アミノ−2,3−ジヒドロ−1,4−ペンタノール、アミノエタンチオール塩酸塩、アミノエタンチオール硫酸、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、リン酸二水素2−アミノエチル、硫酸水素アミノエチル、4−(2−アミノエチル)モルホリン、5−アミノフルオレセイン、6−アミノヘキサン酸、アミノヘキシルセルロース、p−アミノ馬尿酸、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、5−アミノイソフタル酸、アミノメタン、アミノフェノール、2−アミノオクタン、2−アミノオクタン酸、1−アミノ2−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、3−アミノプロペン、3−アミノプロピオニトリル、アミノピリジン、11−アミノウンデカン酸、アミノサリチル酸、アミノキノリン、4−アミノフタロニトリル、3−アミノフタルイミド、p−アミノプロピオフェノン、アミノフェニル酢酸、アミノナフタレンなどを用いることができる。これらのうち、アミノエタノール、グリシンを用いることが好ましい。
また、担体に固定化するプライマーには、活性エステル基との反応性を高めるため、アミノ基を導入しておくことが好ましい。アミノ基は活性エステル基との反応性に優れるため、アミノ基が導入されたプライマーを用いることにより、効率よくかつ強固に担体の表面上にプライマーを固定化することができる。アミノ基の導入位置はプライマーの分子鎖末端あるいは側鎖であってもよいが、分子鎖末端に導入されていることが、相補的な鋳型RNA断片とのアニーリングをより一層効率よく行うことができるという観点からは、好ましい。
以上により、本実施形態で使用することができる、表面にプライマーが固定化された担体が得られる。この担体は、図1−a、図1−bに示したように、担体12の表面上にプライマー14が固定化されている。また、担体12の表面に設けられる反応空間としては、チューブ、ウェル、液体流路などDNA鎖の伸長反応を行うことができる反応空間を提供できれば、どのような形状であってもよい。定量的PCRによって検出するためには、リアルタイムPCR装置に適合した、例えば透明な蓋を有するチューブ形状が望ましい。また、プライマー14の長さは、目的や用途に応じて任意に決定することができ、例えば5〜50塩基とすることができる。
上記により得られるプライマーが固定化された担体は、一般的なプラスチック表面に比べ、ポリマーの親水性基の効果により担体表面への非特異的吸着が抑制されている。このため標的サンプル、例えば標的細胞の細胞溶解物などの生体由来成分が混在するサンプルから表面に固定化されたプライマーに相補的なRNA及びDNAのみが捕捉され、上清を取り除き、洗浄を行うことで捕捉されたRNA及びDNAの精製を行うことができる。一般的なプラスチック表面では非特異的吸着があるために、捕捉されたRNA及びDNA以外にも表面への吸着がおこり、十分に精製することができない。ゆえに、非特異的な吸着が定量検出に悪影響を与える。
上記ポリマーを構成する親水性基は細胞表面をモチーフとするホスホリルコリン基を有しているため、固層表面において酵素反応を阻害しない。この効果により、捕捉したmRNAを鋳型として逆転写反応を効率よく行うことができ、固相cDNAを作製することができる。さらに、固相cDNAを鋳型として定量的PCR反応を行うことにより出発物質に含まれるmRNAを定量することができる。
一般的に有機溶媒による抽出方法や磁気ビーズによる精製などのRNAの精製方法では、工程が煩雑であり熟練の作業者が行わなくてはならない。また、精製工程におけるmRNAのロスや、RNaseやサンプル輸送におけるコンタミネーションの危険があるので、出発物質として大量のサンプル量を必要とし、また精製効率のばらつきが大きいために、分光光度計による精製物ごとのRNA量の定量を行う必要がある。しかしながら、本発明に係るRNA検出方法は、細胞溶解物から簡便な作業によりmRNA精製、逆転写反応、PCR反応を同一の反応溶液中で行うことができるため、従来において必要であった工程を省略することが可能になり、精製工程におけるmRNAのロスや、RNaseやサンプル輸送におけるコンタミネーションの危険が軽減されるとともに、RNA検出も迅速に行うことができる。その結果、少量の出発物質からRNAの定量を行うことができる。
また、表面に固定化されたプライマーに相補的なRNA及びDNAのみが捕捉された反応空間に対して、ランダムプライマーを含む逆転写反応液を添加することにより、固相に捕捉されたmRNAを鋳型として液相cDNAを作製することができる。さらに、この液相cDNAを用いてPCR反応を行って、DNAまたはRNAを増幅することにより、増幅されたDNAまたはRNAを用いてmRNAの定量を行うことができる。このようなDNAまたはRNAの増幅技術としては、例えばPCR法、LAMP(Loop-mediated isothermal Amplification)法、NASBA(Nucleic Acid Sequence-Based Amplification)法、TRC(Transcription Reverse transcription Concerted reaction)法などが挙げられる。
また、本実施形態において、担体では、複数の互いに独立した反応空間を有するアレイを構成してもよい。この各アレイではそれぞれ固定核酸プライマーを固定することができる。基板をこのようなアレイ状にすることで、複数のアッセイを同時に行うことができ、スクリーニングなどが可能になる。
以下、この担体を用いたRNA検出方法の具体的な態様について説明する。
(第一の実施態様)
図2は、第一の実施態様としてのRNA検出方法の手順を示すフローチャートである。図3A〜図3Cおよび図4A〜図4Dは、図2のフローチャートにしたがって担体の反応空間で行われる反応を模式的に示す図である。
このRNA検出方法は、担体12(例えば基板)に設けられた反応空間20に標的サンプル、例えば標的細胞の細胞溶解物、DNA鎖伸長用酵素系およびヌクレオチドモノマーを含む試料22を導入し(ステップS10)、この標的サンプルに含まれるRNA鎖16を鋳型にして、固定DNAプライマー(プライマー14)のDNA鎖伸長反応を行う(ステップS20、S30)第1段階と、伸長反応により得られたDNA鎖18を検出する(ステップS50)第2段階とを含むものである。
図2によれば、ステップS10では、図1−a、図1−bに示した担体12の表面に固定化されたプライマー14を含む反応空間20に細胞溶解物、DNA鎖伸長用酵素系、およびヌクレオチドモノマーを含む試料22が導入される(図3A)。この細胞溶解物には、プライマー14にアニールさせるDNA鎖伸長用の鋳型RNA鎖16(図4A)が含まれているが、図3Aのように細胞の可溶化がなされていない試料を用いる場合には、細胞を可溶化してRNAを溶出する必要がある。
反応空間20に導入される試料からなる反応系としては、逆転写酵素、またはDNAリガーゼおよび逆転写酵素の組合せのいずれかのDNA鎖伸長用酵素系の存在下で、ヌクレオチドモノマー(dATP,dCTP,dGTP,dTTPなど:dNTP)を含有するMPEC用バッファを用いることができる。
また、これらヌクレオチドモノマーの少なくとも一種をラベルしておくことができる。例えば、dTTPの塩基の3位を蛍光ラベルしたCy3−dUTPをヌクレオチドモノマーとして用いることで、鋳型RNA断片のアデニン(A)に対応するプライマー側の位置にCy3−dUTPが挿入される。これにより、伸長反応が生じたプライマーから形成されるDNA断片がCy3−dUTPで蛍光染色されて、このDNA断片の検出を行うことができるようになる。
なお、他のヌクレオチドモノマーをラベルしてもよく、また複数の種類のヌクレオチドモノマーをラベルしてもよい。また、ラベル方法も蛍光体の導入の他に、光吸収体の導入の方法、放射線ラベルの方法(P32-ATP、P32-dATP)、酵素標識などの非放射性ラベルの方法などによってもDNA鎖を検出することができる。
この酵素標識の方法においては、ビオチン(biotin)化またはジゴキシゲニン(DIG:ステロイド系天然物)を結合した核酸(例えば、biotin-dUTP、DIG-dUTP)を使用してプライマーを伸張させた後、蛍光標識化したアルカリフォスファターゼまたはアルカリフォスファターゼ処理しニトロブルーテトラゾリウム(NBT)と5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸(BCIP)液中で数時間反応させることによってDNAを検出することができる。
図2に戻り、ステップS20では、反応系の温度をプライマー14と鋳型のRNA鎖16とがアニールする温度(アニール温度)、例えば4℃〜65℃、好ましくは50℃〜65℃にて保持する。このアニール処理により、鋳型のRNA鎖16の一部と相補的な配列を有するプライマー14と、このRNA鎖16とがハイブリダイズして二本鎖になる(図3B、図4B)。なお、RNA鎖16の配列のどの部分とも相補的な関係の配列をも有さないプライマー14は二本鎖にならない。この反応系に対して、二本鎖を組まなかった未反応のRNA鎖などを除く洗浄処理を行わずにそのままステップS30に進んでもよい。
ここで、従来では、アニール処理した後で伸長反応の前に、前記の洗浄処理が必須であった。本実施形態では、担体上に非特異的に吸着するRNA断片がないため、およびこのことがDNA鎖伸長にかかる酵素反応が有効に行われると推測され、担体の洗浄処理が必須ではなくなる。しかしながら、従来どおりに、前記の洗浄処理を行ってから、ステップS30に進んでも差し支えない。
ステップS30では、図3Cおよび図4Cに示したように、プライマー14の3'末端において、RNA鎖16を鋳型としてDNA鎖伸長用酵素系の作用により逆転写反応が起こり、DNA鎖の伸長反応が起こる。その結果、RNA鎖16に相補的なcDNA鎖18が担体12の上に形成される。また、ステップS10で導入する試料22に、ヌクレオチドモノマー(dNTP)の他に前述したような標識核酸を含めておくことで、担体12上に形成されるcDNA鎖18をラベルすることができる(図3C、図4C)。
ステップS40では、反応液を捨てて、担体12を、例えば0.1wt%のSDS溶液を用いて洗浄する。
ステップS50では、図3Cおよび図4Cに示したcDNA鎖18の検出を行う。
具体的には、ステップS10にて導入したラベルされたヌクレオチドモノマー、例えばCy3−dUTPを用いた蛍光検出、または、アミノアリルを導入したヌクレオチドモノマーを用いての蛍光検出、さらにはビオチンを標識したヌクレオチドモノマーを用いて、蛍光標識したアビジンを反応させての蛍光による検出を行う。
また代わりにアルカリフォスファターゼやペルオキシダーゼを標識したアビジンにより酵素を導入し、BCIP/NBT試薬やTNBZ、OPDによる発色反応により、cDNA鎖の形成状況を可視化により確認することが出来る。アルカリフォスファターゼを導入し、BCIP/NBT試薬を用いると、図4Dに示したように、スポット状にcDNA鎖が形成された反応空間が確認できる。TMBZやOPDによる発色反応では、プレートリーダーを用いて吸光度を計ることにより、cDNAの形成度合いをより正確に把握することができる。
図4Dに示したように、担体12上で反応空間20を互いに独立して複数設けてアレイ状にすることにより、各反応空間20での反応条件、例えばプライマーの種類、試薬の濃度、DNA鎖伸長用酵素の種類などを変更して、スクリーニングを行うことができる。
(第二の実施態様)
図5は、第二の実施態様としてのRNA検出方法の手順を示すフローチャートである。図6A〜図6Dおよび図7A〜図7Eは、図5のフローチャートにしたがって基板の反応空間で行われる反応を模式的に示す図である。
このRNA検出方法は、担体12に設けられた反応空間20に標的サンプル、例えば標的細胞の細胞溶解物、DNA鎖伸長用酵素系およびヌクレオチドモノマーを含む試料22を導入し(ステップS110)、この標的サンプルに含まれるRNA鎖16を鋳型にして、固定DNAプライマー(プライマー14)のDNA鎖伸長反応を行って、cDNA鎖18を形成する(ステップS120、S130)第1段階と、このDNA鎖伸長反応を行った後に、前述した反応系のRNA鎖16を分解処理する(ステップS140)第2段階と、cDNA鎖18を含む反応系に、伸長用DNAプライマー、DNA鎖伸長用酵素系およびヌクレオチドモノマーを含む試料を導入し(ステップS150)、このcDNA鎖18を鋳型にして、二重鎖(ds)DNA21を合成する(ステップS160、S170、S180)第3段階と、この合成された二重鎖DNA21を検出する第4段階(ステップS200)とを含むものである。
図5によれば、ステップS110では、図2のステップS10と同様に、プライマー14が固定化された反応空間20に試料22が導入される(図6A、図7A)。なお、図2では、反応空間20に導入される試料のうち、ヌクレオチドモノマーの少なくとも一種をラベルしておいてもよいとしていたが、本実施形態では、後述するcDNA鎖を伸長する段階では、ラベルを導入しない。
ステップS120では、図2のステップS20と同様に、必要に応じて試料22からRNAを溶出させて、アニール処理し、鋳型のRNA鎖16の一部と相補的な配列を有するプライマー14と、このRNA鎖16とをハイブリダイズさせて二本鎖にする(図6B、図7B)。なお、第一の実施形態と同様に、RNA鎖16の配列のどの部分とも相補的な関係の配列をも有さないプライマー14は二本鎖にならない。
ステップS130では、図2のステップS30と同様に、プライマー14の3'末端において、RNA鎖16を鋳型としてDNA鎖伸長用酵素系の作用により逆転写反応が起こり、DNA鎖の伸長反応が起こり、RNA鎖16に相補的なcDNA鎖18が担体12の上に形成される(図6C、図7C)。
ステップS140では、反応系にRNA−DNAハイブリッド中に含まれるRNA鎖を特異的に分解するリボヌクレアーゼHを導入して、RNA鎖16のみを分解する。
ステップS150では、鋳型DNA鎖としてのcDNA鎖18の一部と相補的な配列を有する伸長用DNAプライマー(不図示)、DNA鎖伸長酵素系、およびヌクレオチドモノマー(dNTP)を含むMPEC試料を導入する。DNA鎖伸長酵素系としては、例えばKlenowフラグメントが挙げられる。また、ヌクレオチドモノマーには、図2のステップS10で導入されるヌクレオチドモノマーのように、少なくとも一種にラベルを導入することができる。
ステップS160では、試料が導入された反応系の温度を、DNA鎖の熱変性温度(melting temperature:Tm)以上、例えば90℃〜95℃まで上昇させる。この熱変性処理により、自己相補鎖などで見られる折れたたみ構造を有する担体上に形成されたcDNA鎖や伸長用DNAプライマーが直鎖状の一本鎖になる。この反応系に対して、洗浄処理は行わずに、そのままステップS170に進む。
ここで、従来では、アニール処理した後で伸長反応の前に、二本鎖を組まなかったDNA断片を除くための洗浄処理が必要であったが、本実施形態では、担体上に非特異的に吸着するDNA断片がないため、およびこのことがDNA鎖伸長にかかる酵素反応が有効に行われると推測され、担体の洗浄処理が不要になる。このようにして、ハイブリダイゼーション、洗浄、および酵素およびモノマー添加伸長の各処理を行っていたように、ハイブリダイゼーションと伸長反応とを別々の液相で行っていたのを、本実施形態では、ハイブリダイゼーションと伸長反応とを同一の液相系、すなわち反応系をそのまま用いることができる。
ステップS170では、前述したようなアニール処理を行い、cDNA鎖18と、前記MPEC試料に含まれる伸長用DNAプライマーとが二本鎖になり、ステップS180に進み、DNA鎖伸長酵素系、例えばKlenowフラグメントの作用によりcDNA鎖18と相補的なDNA鎖19の伸長反応が起こり、二重鎖(ds)DNA21が合成される(図6D、図7D)。また、ステップS150で導入するMPEC試料に、ヌクレオチドモノマー(dNTP)の他に前述したような標識核酸を含めておくことで、DNA鎖19をラベルすることができるため、担体12上に形成されるdsDNA鎖21をラベルすることができる。
ステップS190では、図2のステップS40と同様に、反応液を捨てて、担体12を、例えば0.1wt%のSDS溶液を用いて洗浄する。
ステップS200では、図6Dおよび図7Dに示したdsDNA21の検出を行う。具体的には、ステップS150にて導入したラベルされたヌクレオチドモノマー、例えばCy3−dUTPを用いた蛍光検出、またはビオチンなどを導入したヌクレオチドモノマーを用いてBCIP/NBT反応により蛍光染色による蛍光検出、あるいはELISAに用いる発色法を用いて、dsDNA21の検出を行う。図7Eに示したように、dsDNA21が形成された反応空間20に相当する箇所が視覚化されて、視覚化された反応空間ではdsDNA21が形成されたことがわかる。
第一の実施形態と同様に、図7Eに示したように、担体12上で反応空間20を互いに独立して複数設けてアレイ状にすることにより、各反応空間20での反応条件、例えばプライマーの種類、試薬の濃度、DNA鎖伸長用酵素の種類などを変更して、スクリーニングを行うことができる。
(第三の実施態様)
図8は、第三の実施態様としてのRNA検出方法の手順を示すフローチャートである。図9A〜図9Dおよび図10A〜図10Eは、図8のフローチャートにしたがって担体の反応空間で行われる反応を模式的に示す図である。
このRNA検出方法は、担体12に設けられた反応空間20に標的サンプル、例えば標的細胞の細胞溶解物、DNA鎖伸長用酵素系およびヌクレオチドモノマーを含む試料22を導入し(ステップS210)、標的サンプルに含まれるRNA鎖16を鋳型にして、固定DNAプライマー(プライマー14)のDNA鎖伸長反応を行って、cDNA鎖を形成する(ステップS220、S230)第1段階と、DNA鎖伸長反応を行った後に、前述した標的細胞の細胞溶解物を含む反応系のRNA鎖16を分解処理する(ステップS240)第2段階と、cDNA鎖18を含む反応系に、伸長用DNAプライマー、DNA鎖伸長用酵素系およびヌクレオチドモノマーを含む試料を導入し(ステップS250)、このcDNA鎖18を鋳型にして、二重鎖(ds)DNA21を合成する(ステップS260、S270、S280)第3段階と、二重鎖DNA21を熱変成して(ステップS300)得られる各一本鎖DNAを鋳型にして、それぞれ二重鎖DNA21を合成して、二重鎖DNA21を増幅する(ステップS310、S320)第4段階と、増幅された二重鎖DNA21を検出する(ステップS330)第5段階とを含むものである。
図8によれば、ステップS210では、図2のステップS10と同様に、プライマー14が固定化された反応空間20に試料22が導入される(図9A、図10A)。なお、図2では、反応空間20に導入される試料のうち、ヌクレオチドモノマーの少なくとも一種をラベルしておいてもよいとしていたが、本実施形態では、後述するcDNA鎖を伸長する段階では、ラベルを導入しない。
ステップS220では、図2のステップS20と同様に、必要に応じて試料22からRNAを溶出させて、アニール処理し、鋳型のRNA鎖16の一部と相補的な配列を有するプライマー14と、このRNA鎖16とをハイブリダイズさせて二本鎖にする(図9B、図10B)。なお、第一の実施形態と同様に、RNA鎖16の配列のどの部分とも相補的な関係の配列をも有さないプライマー14は二本鎖にならない。
ステップS230では、図2のステップS30と同様に、プライマー14の3'末端において、RNA鎖16を鋳型としてDNA鎖伸長用酵素系の作用により逆転写反応が起こり、DNA鎖の伸長反応が起こり、RNA鎖16に相補的なcDNA鎖18が担体12の上に形成される(図9C、図10C)。
ステップS240では、反応系にRNA−DNAハイブリッド中に含まれるRNA鎖を特異的に分解するリボヌクレアーゼHを導入して、RNA鎖16のみを分解する。
ステップS250では、鋳型DNA鎖としてのcDNA鎖18の一部と相補的な配列を有する伸長用DNAプライマー(不図示)、DNA鎖伸長酵素系、およびヌクレオチドモノマー(dNTP)を含むMPEC試料を導入する。DNA鎖伸長酵素系としては、例えばKlenowフラグメントが挙げられる。また、第二の実施形態とは異なり、続いてDNA増幅反応が行われるため、ここで使用するヌクレオチドモノマーには、ラベルは導入しない。
ステップS260では、試料が導入された反応系の温度を、DNA鎖の熱変性温度(melting temperature:Tm)以上、例えば90℃〜95℃まで上昇させる。この熱変性処理により、自己相補鎖などで見られる折れたたみ構造を有する担体上に形成されたcDNA鎖や伸長用DNAプライマーが直鎖状の一本鎖になる。この反応系に対して、第二の実施形態と同様に、洗浄処理は行わずに、そのままステップS270に進む。
ステップS270では、前述したようなアニール処理を行い、cDNA鎖18と、前記MPEC試料に含まれる伸長用DNAプライマーとが二本鎖になり、ステップS280に進み、DNA鎖伸長酵素系、例えばKlenowフラグメントの作用によりcDNA鎖18と相補的なDNA鎖19の伸長反応が起こり、二重鎖(ds)DNA21が合成される(図9D、図10D)。
ステップS290では、鋳型DNA鎖としてのcDNA鎖18およびDNA鎖19のそれぞれの一部と相補的な配列を有する各プライマー、DNA鎖伸長酵素系、およびヌクレオチドモノマーを含むPCR試料を導入する。DNA鎖伸長酵素系としては、例えばPCRで代表的に使用されるTaqポリメラーゼが挙げられる。
ステップS300では、試料が導入された反応系の温度を、DNA鎖の熱変性温度(melting temperature:Tm)以上、例えば90℃〜95℃まで上昇させる。この反応系に対して、ステップS260と同様に、洗浄処理は行わずに、そのままステップS310に進む。
ステップS310では、前述したようなアニール処理を行い、cDNA鎖18またはDNA鎖19と、前記PCR試料に含まれるそれぞれに対応するプライマーとが二本鎖になり、ステップS320に進み、DNA鎖伸長酵素系の作用によりDNA増幅反応が起こり、二重鎖(ds)DNA21が増幅される(図10E)。
ステップS330では、図10Eに示したように、ステップS320にて増幅されたdsDNA21の検出を行う。具体的には、二重鎖DNAを選択的に検出することができる試薬、例えばSYBR Greenを用いて蛍光により検出することができる。
第一の実施形態と同様に、担体12上で反応空間20を互いに独立して複数設けてアレイ状にすることにより、各反応空間20での反応条件、例えばプライマーの種類、試薬の濃度、DNA鎖伸長用酵素の種類などを変更して、スクリーニングを行うことができる。
(第四の実施形態)
図11は、第四の実施形態としてのRNA検出方法の手順を示すフローチャートである。図12A〜図12Dおよび図13A〜図13Eは、図11のフローチャートにしたがって、担体の反応空間で行われる反応を模式的に示す図である。
このRNA検出方法は、担体12に設けられた反応空間20に標的サンプル、例えば標的細胞の細胞溶解物、DNA鎖伸長用酵素系およびヌクレオチドモノマーを含む試料22を導入し(ステップS110)、この標的サンプルに含まれるRNA鎖16を鋳型にして、固定DNAプライマー(プライマー14)のDNA鎖伸長反応を行って、cDNA鎖18を形成する(ステップS120、S130)第1段階と、cDNA鎖18を含む反応系に、伸長用DNAプライマー、DNA鎖伸長用酵素系およびヌクレオチドモノマーを含む試料を導入し(ステップS150)、このcDNA鎖18を鋳型にして、二重鎖(ds)DNA21を合成する(ステップS160、S170、S180)第2段階と、この合成された二重鎖DNA21を検出する第3段階(ステップS200)とを含むものである。
本実施形態は、前記第二の実施形態において、cDNA鎖18とハイブリダイズしているRNA鎖16(図6C、図7C)を分解するための処理であるステップS140を行わない他は、第二の実施形態と同様である。
すなわち、図11によれば、ステップS110では、図2のステップS10と同様に、プライマー14が固定化された反応空間20に試料22が導入される(図12A、図13A)。ステップS120では、図2のステップS20と同様に、必要に応じて試料22からRNAを溶出させて、アニール処理し、鋳型のRNA鎖16の一部と相補的な配列を有するプライマー14と、このRNA鎖16とをハイブリダイズさせて二本鎖にする(図12B、図13B)。ステップS130では、図2のステップS30と同様に、プライマー14の3'末端において、RNA鎖16を鋳型としてDNA鎖伸長用酵素系の作用により逆転写(RT)反応が起こり、DNA鎖の伸長反応が起こり、RNA鎖16に相補的なcDNA鎖18が担体12の上に形成される(図12C、図13C)。ステップS150では、鋳型DNA鎖としてのcDNA鎖18の一部と相補的な配列を有する伸長用DNAプライマー(不図示)、DNA鎖伸長酵素系、およびヌクレオチドモノマー(dNTP)を含むMPEC試料を導入する。DNA鎖伸長酵素系としては、例えばKlenowフラグメントが挙げられる。また、ヌクレオチドモノマーには、図2のステップS10で導入されるヌクレオチドモノマーのように、少なくとも一種にラベルを導入することができる。ステップS160では、試料が導入された反応系の温度を、DNA鎖の熱変性温度(melting temperature:Tm)以上、例えば90℃〜95℃まで上昇させる。この熱変性処理により、自己相補鎖などで見られる折れたたみ構造を有する担体上に形成されたDNA鎖や伸長用DNAプライマーが直鎖状の一本鎖になる。この反応系に対して、洗浄処理は行わずに、そのままステップS170に進む。ステップS170では、前述したようなアニール処理を行い、cDNA鎖18と、前記MPEC試料に含まれる伸長用DNAプライマーとが二本鎖になり、ステップS180に進み、DNA鎖伸長酵素系、例えばKlenowフラグメントの作用によりcDNA鎖18と相補的なDNA鎖19の伸長反応が起こり、二重鎖(ds)DNA21が合成される(図6D、図7D)。また、ステップS150で導入するMPEC試料に、ヌクレオチドモノマー(dNTP)の他に前述したような標識核酸を含めておくことで、DNA鎖19をラベルすることができるため、担体12上に形成されるdsDNA鎖21をラベルすることができる。ステップS190では、図2のステップS40と同様に、反応液を捨てて、担体12を、例えば0.1wt%のSDS溶液を用いて洗浄する。ステップS200では、図12Dおよび図13Dに示したdsDNA21の検出を行う。具体的には、前述したようなBCIP/NBT試薬を用いた手法を用いて、担体12上でdsDNA21が形成された反応空間20に相当する箇所が視覚化するようにしてdsDNA鎖21の検出を行う(図13E)。
(第五の実施形態)
図14は、第四の実施形態としてのRNA検出方法の手順を示すフローチャートである。図15A〜図15Dおよび図16A〜図16Eは、図14のフローチャートにしたがって、担体の反応空間で行われる反応を模式的に示す図である。
このRNA検出方法は、担体12に設けられた反応空間20に標的サンプル、例えば標的細胞の細胞溶解物、DNA鎖伸長用酵素系およびヌクレオチドモノマーを含む試料22を導入し(ステップS210)、標的サンプルに含まれるRNA鎖16を鋳型にして、固定DNAプライマー(プライマー14)のDNA鎖伸長反応を行って、cDNA鎖を形成する(ステップS220、S230)第1段階と、cDNA鎖18を含む反応系に、伸長用DNAプライマー、DNA鎖伸長用酵素系およびヌクレオチドモノマーを含む試料を導入し(ステップS250)、このcDNA鎖18を鋳型にして、二重鎖(ds)DNA21を合成する(ステップS260、S270、S280)第2段階と、二重鎖DNA21を熱変成して(ステップS300)得られる各一本鎖DNAを鋳型にして、それぞれ二重鎖DNA21を合成して、二重鎖DNA21を増幅する(ステップS310、S320)第3段階と、増幅された二重鎖DNA21を検出する(ステップS330)第4段階とを含むものである。
本実施形態は、前記第三の実施形態において、cDNA鎖18とハイブリダイズしているRNA鎖16(図9C、図10C)を分解するための処理であるステップS140を行わない他は、第二の実施形態と同様である。
図14によれば、ステップS210では、図2のステップS10と同様に、プライマー14が固定化された反応空間20に試料22が導入される(図15A、図16A)。ステップS220では、図2のステップS20と同様に、必要に応じて試料22からRNAを溶出させて、アニール処理し、鋳型のRNA鎖16の一部と相補的な配列を有するプライマー14と、このRNA鎖16とをハイブリダイズさせて二本鎖にする(図15B、図16B)。ステップS230では、図2のステップS30と同様に、プライマー14の3'末端において、RNA鎖16を鋳型としてDNA鎖伸長用酵素系の作用により逆転写(RT)反応が起こり、DNA鎖の伸長反応が起こり、RNA鎖16に相補的なcDNA鎖18が担体12の上に形成される(図15C、図16C)。ステップS250では、鋳型DNA鎖としてのcDNA鎖18の一部と相補的な配列を有する伸長用DNAプライマー(不図示)、DNA鎖伸長酵素系、およびヌクレオチドモノマー(dNTP)を含むMPEC試料を導入する。DNA鎖伸長酵素系としては、例えばKlenowフラグメントが挙げられる。ステップS260では、試料が導入された反応系の温度を、DNA鎖の熱変性温度(melting temperature:Tm)以上、例えば90℃〜95℃まで上昇させる。この熱変性処理により、自己相補鎖などで見られる折れたたみ構造を有する担体上に形成されたcDNA鎖や伸長用DNAプライマーが直鎖状の一本鎖になる。この反応系に対して、第二の実施形態と同様に、洗浄処理は行わずに、そのままステップS270に進む。ステップS270では、前述したようなアニール処理を行い、cDNA鎖18と、前記MPEC試料に含まれる伸長用DNAプライマーとが二本鎖になり、ステップS280に進み、DNA鎖伸長酵素系の作用によりcDNA鎖18と相補的なDNA鎖19の伸長反応が起こり、二重鎖(ds)DNA21が合成される(図15D、図16D)。ステップS290では、鋳型DNA鎖としてのcDNA鎖18およびDNA鎖19のそれぞれの一部と相補的な配列を有する各プライマー、DNA鎖伸長酵素系、およびヌクレオチドモノマーを含むPCR試料を導入する。DNA鎖伸長酵素系としては、例えばPCRで代表的に使用されるTaqポリメラーゼが挙げられる。ステップS300では、試料が導入された反応系の温度を、DNA鎖の熱変性温度(melting temperature:Tm)以上、例えば90℃〜95℃まで上昇させる。この反応系に対して、ステップS260と同様に、洗浄処理は行わずに、そのままステップS310に進む。ステップS310では、前述したようなアニール処理を行い、cDNA鎖18またはDNA鎖19と、前記PCR試料に含まれるそれぞれに対応するプライマーとが二本鎖になり、ステップS320に進み、DNA鎖伸長酵素系の作用によりDNA増幅反応が起こり、二重鎖(ds)DNA21が増幅される(図16E)。ステップS330では、図16Eに示したように、ステップS310にて増幅されたdsDNA21の検出を行う。具体的には、二重鎖DNAを選択的に検出することができる試薬、例えばSYBR Greenを用いて蛍光により検出することができる。
(第六の実施態様)
図17は、第一の実施態様としてのRNA検出方法の手順を示すフローチャートである。図18A〜図18Dおよび図19A〜図19Dは、図17のフローチャートにしたがって基板の反応空間で行われる反応を模式的に示す図である。
このRNA検出方法は、逆転写反応―ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)法であって、標的サンプル、例えば標的細胞の細胞溶解物を、前述した表面を有する反応空間に移し(ステップS410)、標的サンプル中のmRNAを固定核酸プライマーによってハイブリダイズし(ステップS420)、適切な緩衝液をもちいてRT−PCRを該反応空間で行い(ステップS450、S470)、目的PCR産物を検出する(ステップS480)各段階を含む。
すなわち、担体12に設けられた反応空間20に標的サンプル、例えば細胞溶解物を含む試料22導入し(ステップS410)、ハイブリダイゼーションを行う(ステップS420)第1段階と、洗浄を行う(ステップS430)第2段階と、DNA鎖伸長用酵素系およびヌクレオチドモノマーを含む試料23を導入し(ステップS440)、細胞溶解物に含まれるRNA鎖16を鋳型にして、固定DNAプライマー(プライマー14)のDNA鎖伸長反応を行って、cDNA鎖を形成する(ステップS450)第3段階と、cDNA鎖18を含む反応系に伸長用DNAプライマー、DNA鎖伸長用酵素系およびヌクレオチドモノマーを含む試料24を導入し(ステップS460)、cDNA鎖18を鋳型にして、PCR反応を行い、二重鎖DNA21を増幅する(ステップS470)第4段階と、増幅された2重鎖DNA21を検出する(ステップS480)第5段階とを含むものである。
図17によれば、ステップS410では、プライマー14が固定化された反応空間20に細胞溶解物を含む試料22が導入される(図18A、図19A)。なお、前記細胞溶解物を含む溶液を、RNase活性を阻害するまたはRNaseを不活性化するための試薬、例えばDEPC(Diethylprocarbonate)を含み、かつ、ハイブリダイゼーションのためのpH及び塩濃度を調整する緩衝液を用いて調製してもよい。このように、ステップS410にて導入される細胞溶解物中に、ステップS450および必要に応じてステップS470におけるDNA鎖伸長用酵素系による酵素反応を阻害しない場合、また酵素反応への阻害を低減させる工夫がある場合、細胞溶解物を含む試料22にステップS440および必要に応じてステップS460にて導入する試料23、試料24に含めるDNA鎖伸長用酵素系およびオリゴヌクレオチドモノマーを加え、ステップS30の洗浄工程(ステップS430)およびcDNA伸長反応液導入工程(ステップS440)を省略することができる。また、細胞溶解物などの標的サンプルが、グアニジン又はプロテアーゼ又はフェノールを含んでいてもよい。
ステップS420では、必要に応じて試料22からRNAを溶出させて、ハイブリダイゼーションを行い、鋳型のRNA鎖16の一部と相補的な配列を有するプライマー14と、このRNA鎖16とを二本鎖にする。RNA鎖16の配列のどの部分とも相補的な関係の配列をも有さないプライマー14は二本鎖にならない。また、プライマー14にオリゴdTプライマーを用いることにより、mRNAがもつポリAを捕捉することができる。標的RNA鎖はmRNAに限らず、プライマー14に特異的な配列をもつDNAプライマーを用いることにより、特異的なRNA鎖およびDNA鎖を捕捉することができる。
ステップS430では、反応空間20を洗浄することで、プライマー14とRNA鎖16との二本鎖を残し反応空間内の試料22を取り除くことができる(図18B、図19B)。洗浄において上記ポリマーをコートした表面は親水性基に標的サンプル、例えば細胞溶解物中に含まれる生体分子の非特異的な吸着を妨げる効果があるために、ハイブリダイズしたRNA鎖16以外のRNA鎖は取り除かれ、純粋なmRNAとして精製することができる。前述した高分子物質を表面に有さないポリスチレン、ポリプロピレンなどのプラスチック表面を用いた場合、後工程の酵素反応阻害物質を取り除くことができず検出において悪影響を与える。
ステップS440では、RNA鎖16がプライマー14により捕捉された反応空間20に、cDNA伸長反応液(試料23)を導入する。このcDNA伸長反応液には、前述したようなDNA鎖伸長用酵素系、およびヌクレオチドモノマーが含まれる。また、DNA鎖伸長用酵素系として、逆転写酵素およびDNAポリメラーゼを含む反応溶液または、rTthポリメラーゼを含む反応溶液を用いる場合、ステップS470でのPCR反応を反応空間での緩衝液の交換なしで行うことができるため、ステップS460を省略することができる。
ステップS450では、プライマー14の3'末端において、RNA鎖16を鋳型としてDNA鎖伸長用酵素系の作用により逆転写(RT)反応が起こり、DNA鎖の伸長反応が起こり、RNA鎖16に相補的なcDNA鎖18が担体12の上に形成される(図18C、図19C)。なお、cDNA鎖18が得られた後に、固定核酸プライマー14とハイブリダイズさせたmRNAであるRNA鎖16の除去なしに、ステップS470のPCR法によるDNA増幅反応を行ってもよい。
ステップS460では、cDNA鎖18を鋳型DNA鎖としてのcDNA鎖18の一部と相補的な配列を有するプライマー、DNA鎖伸長酵素系、およびヌクレオチドモノマーを含むPCR反応液(試料24)を導入する。DNA鎖伸長酵素系としては、例えばPCRで代表的に使用されるTaqポリメラーゼなどの耐熱性酵素が挙げられる。ステップS480において、定量的PCR反応による蛍光色素による定量を行う場合、該反応液にTaqManプローブなどの検出用蛍光プローブやSYBR Greenなどの蛍光分子を導入する必要がある。また、DNAマイクロアレイなどのハイブリダイゼーションによる検出を行う場合、ヌクレオチドモノマーの少なくとも一種類をラベル化する必要がある。
ステップS470では、cDNA鎖18とcDNA鎖18の一部と相補的な配列を有するプライマーとDNA鎖伸長酵素系の作用によりDNA増幅反応(PCR)が起こり、二重鎖(ds)DNA21が増幅される(図18D、図19D)。
ステップS480では、図18Dおよび図19Dに示したdsDNA鎖21の検出を行う。具体的には、図5のステップS200のdsDNA鎖の検出技術と同様の技術を用いることができる。
なお、前述したように、ステップS440〜ステップS470において、cDNA合成を行う逆転写酵素等による反応と、PCR反応を行うDNAポリメラーゼ等による反応とを同一反応溶液で行うことができる1ステップタイプのRT−PCR反応液を用いる場合、ステップS460を省略することができる。
また、ステップS450で形成されたcDNA鎖18は担体12表面にDNA鎖として安定に存在するため、固相cDNAとして反応空間20に保存することができる。
また、ステップS480での目的PCR産物であるdsDNA鎖21の検出後、反応空間に合成されたcDNA鎖18が固定化されたままの残るように洗浄し、前述したRT−PCRを行う段階で用いたものと同じであるか、または異なる適切なプライマーを用いてPCRを行い、そして目的PCR産物を測定する段階をさらに含んでいてもよい。
また、さらに、洗浄を行う段階、PCRを行う段階および測定を行う段階を繰り返してもよい。
また、反応空間20をPCR用チューブまたはPCR用マイクロプレートとすることができ、これによりスクリーニング技術に有用なRNA検出方法の提供が可能となる。
(第七の実施態様)
図20は、第七の実施態様としてのRNA検出方法の手順を示すフローチャートである。図21A、B、D、Eおよび図22A〜図22Cは、図20のフローチャートにしたがって基板の反応空間で行われる反応を模式的に示す図である。
このRNA検出方法は、標的サンプル、例えば標的細胞の細胞溶解物を、前述した表面を有する反応空間に移し(ステップS510)、標的サンプル中のmRNAを固相核酸プライマーによってハイブリダイズし(ステップS520)、液相に逆転写反応用プライマーを含む逆転写反応液を導入し(ステップS540)、逆転写された液相cDNAを作製する(ステップS560)各段階を含むものである。
すなわち、担体12に設けられた反応空間20に標的サンプル、例えば細胞溶解物を含む試料22導入し(ステップ510)、ハイブリダイゼーションを行う(ステップS520)第1段階と、洗浄を行う(ステップS530)第2段階と、DNA鎖伸長用酵素系及びヌクレオチドモノマー及びDNA鎖伸長用プライマーを含む試料25を導入し(ステップS540)、細胞溶解物に含まれるRNA鎖16を鋳型にして、DNA鎖伸長用プライマー(プライマー15)のDNA鎖伸長反応を行って、cDNA鎖19を形成する(ステップS550)第3段階と、cDNA鎖19の一部と伸長用DNAプライマー、DNA鎖伸長用酵素系およびヌクレオチドモノマーを含む反応系でPCR反応を行い、2重鎖DNA21を増幅する(ステップS560)第4段階と、増幅された2重鎖DNA21を検出する(ステップS570)第5段階とを含むものである。
図20によれば、ステップS510では、図17のステップS410と同様に、プライマー14が固定化された反応空間20に試料22が導入される(図21A、図22A)。なお、前記細胞溶解物を含む溶液を、前述したようなRNase活性を阻害するまたはRNaseを不活性化するための試薬を含み、かつ、ハイブリダイゼーションのためのpH及び塩濃度を調整する緩衝液を用いて調製してもよい。また、細胞溶解物などの標的サンプルが、グアニジン又はプロテアーゼ又はフェノールを含んでいてもよい。
ステップS520では、図17のステップS420と同様に、必要に応じて試料22からRNAを溶出させて、ハイブリダイゼーションを行い、鋳型RNA鎖16の一部と相補的な配列を有するプライマー14と、このRNA鎖16とを二本鎖にする。なお、第一の実施形態と同様に、RNA鎖16の配列のどの部分とも相補的な関係の配列をも有さないプライマー14は2本鎖にならない。また、プライマー14にオリゴdTプライマーを用いることにより、mRNAがもつポリAを捕捉することができる。
ステップS530では、図17のステップS430と同様に、反応空間20を洗浄することで、プライマー14とRNA鎖16との二本鎖を残し反応空間内の試料22を取り除くことができる(図21B、図22B)。
ステップS540では、反応空間20にDNA鎖伸長用酵素系及びヌクレオチドモノマー及びDNA鎖伸長用プライマー15を含むcDNA伸長反応液(試料25)の導入を行う。DNA鎖伸長用プライマーは一般的に6塩基〜10塩基程度のランダムな塩基配列のオリゴDNA(以下、ランダムプライマー)が用いることができる。また、RNA鎖16に特異的な相補性をもつ特定のオリゴDNAを用いてもよい。なお、試料25に含まれるヌクレオチドモノマーの少なくとも一種に、ラベルされたものを用いてもよい。
ステップS550では、プライマー14及び液相中のRNA鎖16とハイブリダイズしたDNA鎖伸長用プライマー15の3'末端において、RNA鎖16を鋳型としてDNA鎖伸長用酵素系の作用により逆転写(RT)反応が起こり、DNA鎖の伸長反応が起こり、担体12上にRNA鎖16に相補的なcDNA鎖18と、液相にRNA鎖16に相補的なcDNA鎖19が形成される(図21D、図22C)。上記DNA鎖伸長用プライマーにランダムプライマーを用いた場合、RNA鎖16に対し様々な部分をプライマーと相補的な関係になりうるために、形成されるcDNA鎖19は単一の長さではない。ステップS540において、ラベルされたヌクレオチドモノマーを導入した場合、cDNA鎖18、19をラベルすることができる。
ステップS560では、ステップ550において形成されたcDNA鎖19を鋳型DNA鎖としてのcDNA鎖19の一部と相補的な配列を有するプライマー(不図示)、DNA鎖伸長酵素系、およびヌクレオチドモノマーを含むPCR反応液を用いてPCR反応を行うことによりDNA増幅反応が起こり、二重鎖(ds)DNA21が増幅される(図22E)。ステップS570では、図21Eに示したdsDNA鎖21の検出を行う。具体的には、図5のステップS200のdsDNA鎖の検出技術と同様の技術を用いることができる。ステップ550において形成されたcDNA鎖19は液相に存在するために分割することができ、様々なプライマーに対しPCR反応を行うことができる。また、DNA鎖で存在するため、冷凍保存が可能である。また、液相中に存在するcDNA鎖19を用いて、さらにDNAまたはRNAを増幅することもできる。この増幅方法としては、PCR法、LAMP法、NASBA法、TRC法などが挙げられる。
また、反応空間20をPCR用チューブまたはPCR用マイクロプレートとすることができ、これによりスクリーニング技術に有用なRNA検出方法の提供が可能となる。
この方法によれば、特に遺伝子発現プロファイル(gene expression profile)解析を、通常の解析において手間と時間がかかるサンプル調製をほとんど行うことなく、細胞溶解物を試料として簡便な操作で行うことができるようになる。
(実施例1)
(PMBNコート96穴マイクロタイタープレートの作製)
飽和環状ポリオレフィン樹脂を用い、射出成形により96ウェルマイクロタイタープレートを成形した。各ウェルをPMBNでコートし、この成形物底面にPMBNをコートし、本発明の実施形態であるPMBNコート96穴マイクロタイタープレートを作製した。以下PMBNプレートと称す。
(アルデヒド基導入96穴マイクロタイタープレートの作製)
飽和環状ポリオレフィン樹脂を用い、射出成形により96ウェルマイクロタイタープレートを成形した。成形した96ウェルタイタープレートに酸素プラズマを施した後、アミノシランによりアミノ基を導入の後、グルタルアルデヒドにより、アミノ基にアルデヒド基を導入し、アルデヒド基導入96穴マイクロタイタープレートを作製した。以下、アルデヒドプレートと称す。
(プライマーの固定)
プライマーとして、下記表1に示したように、5'末端がアミノ基で修飾された配列1に示す大腸菌の23SリボゾームRNAに特異的な配列よりなるオリゴDNA、配列2に示す黄色ブドウ球菌の23SリボゾームRNAに特異的な配列よりなるオリゴDNA、ならびに、配列3に示す緑膿菌の23SリボゾームRNAに特異的な配列よりなるオリゴDNAを各々0.25M炭酸バッファ(pH9.0)を用いて溶解し、各々、10μMのオリゴDNA溶液を調製した。各オリゴDNA溶液を上記PMBNプレートおよびアルデヒドプレートの各ウェルに10μl分注し、プレートを80℃で1時間放置した。超純水により洗浄を行った後、各ウェルのブロッキング処理をおこなった。
このブロッキング処理とは、基板にオリゴDNAを固定化させて、固定化プライマーとした後に、基板の表面に存在する未反応の活性エステルまたはアルデヒド基部分を不活性化して、試料中のDNA鎖およびRNA鎖、その他たんぱく質などの生体由来物質などが非特異的に結合することを防止するための処理をいう。
具体的には、PMBNプレートについては、各ウェルにブロッキング溶液として、1mol/lのNaOH溶液を各ウェルに400μl分注し、5分間室温で放置した後、ブロッキング液を除き、超純水により洗浄をおこなった。
アルデヒドプレートについては、180mlのリン酸緩衝液に0.6gの水素化ホウ素ナトリウムと50mlのエタノールを溶解させた溶液をブロッキング溶液とし、各ウェルに400μl分注し室温で5分間放置し、ブロッキング液を除き、超純水により洗浄をおこなった。
ブロッキング処理後、PBS(−)に1重量%BSAを各ウェルに400μlを分注し、室温で2時間放置し、PBS(−)に0.05重量%の濃度でTween20を含有する洗浄溶液を400μl分注し吸引除去を3回で洗浄を行った後、プレートを乾燥させた。
(表1)
Figure 2007141912
(大腸菌からトータルRNA溶液の調製)
培養した大腸菌より抽出したトータルRNA1μgを含むDEPC処理水溶液100μlを65℃で5分間保温後、氷上で急冷した。反応液として、Reverse Transcriptase M-MLV(Rnase H-)、5×Reverse Transcriptase M-MLV Buffer、RNAse Inhibitor(Super)、1mMビオチン標識dUTP、20mMdATP、20mMdGTP、20mMdCTP、DEPC処理水(treated water)を加えて調製しものを、上記RNA溶液に加えた。この溶液を各ウェルに50μlを分注し、42℃で1時間インキュベートした。インキュベート後、TE buffer(10mMTris/HCl(pH8.5),1mMEDTA)を200μl分注した後、TE bufferにて2回洗浄し、超純水にて洗浄し乾燥した。
ペルオキシダーゼ標識アビジン溶液を分注し室温で30分放置した後、ペルオキシダーゼ標識アビジン溶液を除去した後、PBS(−)に0.05重量%の濃度でTween20を含有する洗浄溶液を400μl分注し吸引除去を3回で洗浄を行った後、POD発色基質溶液をウェルあたり100μl分注し、遮光下15分間放置し、発色反応を行った後、停止液100μlを各ウェルに分注し、発色の状況をプレートリーダーにより、吸光度を測定することにより行った。
基質の発色が確認されれば、RNAを鋳型にしてcDNAが合成されていることを示し、その吸光度が高ければ効率良く、cDNAの合成が出来ていることになる。
今回は、大腸菌より抽出したトータルRNAをサンプルに用いており、大腸菌の23SリボゾームRNAに特異的な配列をもつオリゴDNAをプライマーとして固定化したウェルのみが発色すれば、大腸菌を特異的に検出出来たことが確認できる。
PMBNプレートとアルデヒドプレートとで各配列のオリゴDNAをプライマーの配列に対応する、DNA鎖をプライマーとして固定したウェルでの蛍光強度を下記表2に示す。なお、各ウェルの吸光度は、各々のプレートで、プライマーを固定していないウェルの吸光度の値を差し引いたものを各プライマーを固定したウェルの吸光度とした。
PMBNプレートでは、大腸菌特異配列プライマーのみ逆転写がおこり、特異的に優れたRNAの検出が可能であることがいえる。
(表2)
Figure 2007141912
(実施例2)
(PMBNコートチューブの作製)
PCR用チューブ(MicroAmp Strip Tubes,Applied Biosystems)内を一般式(2)のPMBNでコートし、本発明の実施形態であるPMBNコートチューブを作製した。以下PMBNコートチューブと称す。
(アルデヒド基導入チューブの作製)
PCR用チューブ(MicroAmp Strip Tubes,Applied Biosystems)内に酸素プラズマを施した後、アミノシランによりアミノ基を導入の後、グルタルアルデヒドにより、アミノ基にアルデヒド基を導入し、アルデヒド基導入チューブを作製した。以下、アルデヒドチューブと称す。
(プライマーの固定)
プライマーとして、下記表3に示したように、5'末端がアミノ基で修飾された配列4に示すオリゴDNAを各々0.25M炭酸バッファ(pH9.0)を用いて溶解し、10μMのオリゴDNA溶液を調製した。各オリゴDNA溶液を上記PMBNコートチューブおよびアルデヒドチューブの各チューブに10μl分注し、チューブを80℃で1時間放置した。超純水により洗浄を行った後、各チューブのブロッキング処理をおこなった。
このブロッキング処理とは、担体表面にオリゴDNAを固定化させて、固定化プライマーとした後に、担体の表面に存在する未反応の活性エステルまたはアルデヒド基部分を不活性化して、試料中のDNA鎖およびRNA鎖、その他たんぱく質などの生体由来物質などが非特異的に結合することを防止するための処理をいう。
具体的には、PMBNコートチューブについては、各ウェルにブロッキング溶液として、1mol/lのNaOH溶液を各ウェルに400μl分注し、5分間室温で放置した後、ブロッキング液を除き、超純水により洗浄をおこなった。
アルデヒドチューブについては、180mlのリン酸緩衝液に0.6gの水素化ホウ素ナトリウムと50mlのエタノールを溶解させた溶液をブロッキング溶液とし、各ウェルに400μl分注し室温で5分間放置し、ブロッキング液を除き、超純水により洗浄をおこなった。
ブロッキング処理後、PBS(−)に1%BSAを各ウェルに400μlを分注し、室温で2時間放置し、PBS(−)に0.05%の濃度でTween20を含有する洗浄溶液を400μl分注し吸引除去を3回で洗浄を行った後、チューブを乾燥させた。
(表3)
Figure 2007141912
(HeLa細胞のトータルRNAからcDNAの作製)
培養したHeLa細胞より抽出したトータルRNA1μgを含むDEPC処理水溶液100μlを65℃で5分間保温後、氷上で急冷した。反応液として、Reverse Transcriptase M-MLV(Rnase H-)、5×Reverse Transcriptase M-MLV Buffer、RNAse Inhibitor(Super)、20mMdTTP、20mMdATP、20mMdGTP、20mMdCTP、DEPC処理水(treated water)を加えて調製しものを、上記RNA溶液に加えた。この溶液を各チューブに10μlを分注し、42℃で1時間インキュベートした。一部のチューブに対し、インキュベート後、TE buffer(10mMTris/HCl(pH8.5),1mMEDTA)を200μl分注した後、TE bufferにて2回洗浄し、超純水にて洗浄し乾燥した。また、一部のチューブに対し、インキュベート後、RNase Hを加え、37℃で20分間インキュベートした。インキュベート後、TE buffer(10mMTris/HCl(pH8.5),1mMEDTA)を200μl分注した後、TE bufferにて2回洗浄し、超純水にて洗浄し乾燥した。
反応液として、ExTaq HS、10×ExTaq Buffer、100μM Forwardプライマー(配列5)、100μM Reverseプライマー(配列6)、20mMdTTP、20mMdATP、20mMdGTP、20mMdCTP、DEPC処理水(treated water)を加えて調製したものを、各チューブに20μlを分注し、PCR反応を行った。なお、Forwardプライマー、Reverseプライマーは人由来β Actin配列内から選択した。プライマーの配列について表4に示す。
反応後、各チューブのPCR反応液を電気泳動によってPCR産物を確認した。
(表4)
Figure 2007141912
電気泳動を行ったゲル中のPCR産物をエチジウムブロマイドで染色し、そのバンドの濃淡を蛍光スキャナーを用いて数値化を行った。アルデヒドチューブのRNase処理なしにおけるバンドの濃さを100として、下記表5に示す。この数値を比較することによりPCR反応よって得られた産物の量を知ることができる。数値が高いほどより多くの産物を得ることできており、効率よくPCR反応が起きていることになる。今回はPMBNコートチューブとアルデヒドチューブ、RNase処理の有無を比較することにより、チューブのRNA存在下でのPCR反応の効率を知ることができる。
(表5)
Figure 2007141912
(実施例3)(細胞溶解物からRT−Q−PCR)
(PMBNコートチューブの作製)
市販PCR用8連チューブ(ポリプロピレン製)に対し各チューブを2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンーブチルメタクリレートーp−ニトロフェニルオキシカルボニルポリエチレングリコールメタクリレート共重合体(poly(MPC−co−BMA−co―NPMA)(PMBN)、各基は、モル%で25:74:1)の0.5重量%エタノール溶液に浸漬することにより、チューブ表面にホスホリルコリン基と活性エステル基とを有する高分子物質を導入して、PMBNコ−トチューブを得た。以下PMBNチューブと称す。
(アルデヒドチューブの作製)
市販PCR用8連チューブ(ポリプロピレン製)に対し低温酸素プラズマ処理により表面に親水化処理を施した。次に、アミノアルキルシランとしてγ−アミノプロピルトリエトキシシランをメタノール中に5重量%の濃度で溶解させたものをアミノ基導入処理液として調製し、この溶液の中に2時間浸漬の後、基板を溶液から取り出し、超純水中に浸漬し放置後基板を取り出し乾燥した。グルタルアルデヒドをPBS(−)中に2重量%の濃度で溶解させてグルタルアルデヒド溶液を調製し、アミノアルキルシラン処理を行なった基板をグルタルアルデヒド溶液中に浸漬し、4時間放置した後、基板を取り出して超純水中に浸漬し、洗浄乾燥した。これにより、表面にアルデヒド基を有するアルデヒドチューブが得られた。
(プライマーの固定)
PMBNチューブおよびアルデヒドチューブへのプライマーの固定は、実施例2に示した方法と同様の方法にて行った。
(HeLa細胞からmRNAの精製)
培養したHeLa細胞を数回洗浄後、遠心分離によりチューブにペレットを作製し、グアニジンを含む細胞溶解物を加え、ピペッティング等によりよく攪拌し、HeLa細胞の標的サンプルとしての細胞溶解物を得た。この溶液段階的に希釈したものをPMBNコートチューブとアルデヒドチューブに50μlを分注し、室温で15分静置した。静置後、界面活性剤を含む緩衝液を200μl分注、吸引を繰り返し2回洗浄した。
チューブ表面上のdTプライマーによりポリAを有するmRNAが捕捉されており、細胞溶解物に含まれるmRNA以外の生体由来物質を除去することができる。
(mRNAから固相cDNAの合成)
反応液として、Reverse Transcriptase M-MLV(Rnase H-)、5×Reverse Transcriptase M-MLV Buffer、RNAse Inhibitor(Super)、20mMdTTP、20mMdATP、20mMdGTP、20mMdCTP、DEPC処理水(treated water)を加えて調製した。この溶液を各チューブに50μlを分注し、42℃で15分以上インキュベートした。インキュベート後、溶液の除去を行った。
(固相cDNAからPCR反応)
反応液として、ExTaq HS(タカラバイオ製)、10×ExTaq Buffer、10μM PCR Forwardプライマー(配列5)、10μM PCR Reverseプライマー(配列6)、20mMdTTP、20mMdATP、20mMdGTP、20mMdCTP、DEPC処理水(treated water)を加えて調製したものを各チューブに50μlを分注し、定量的PCRを行った。なお、Forwardプライマー、Reverseプライマーは人由来β Actin配列内から選択した。プライマーの配列について表4に示す。
反応後、各チューブのPCR反応液を電気泳動によってPCR産物を確認した。
(固相cDNAから定量PCR反応)
反応液として、Premix ExTaq Hot Start Version(タカラバイオ製)、10μM PCR Forwardプライマー(配列5)、10μM PCR Reverseプライマー(配列6)、20mMdTTP、20mMdATP、20mMdGTP、20mMdCTP、DEPC処理水(treated water)を加えて調製したものを各チューブに50μlを分注し、定量的PCRを行った。なお、Forwardプライマー、Reverseプライマーは人由来β Actin配列内から選択した。プライマーの配列について表4に示す。
(1ステップ試薬によるRT−PCR反応)
現在試薬メーカー各社から逆転写反応用酵素類及びPCR反応用の酵素類が混合された1ステップ型のRT−PCR反応液が市販されている。この試薬を用いることによりmRNAから固相cDNAの合成の工程と固相cDNAからPCR反応及び定量的PCRの工程を同一反応溶液で行うことができる。
反応液として、One Step SYBR PrimeScript RT-PCR Kit(タカラバイオ製)、10μM PCR Forwardプライマー(配列5)、10μM PCR Reverseプライマー(配列6)、DEPC処理水(treated water)を加えて調製したものを各チューブに50μlを分注し、定量的PCRを行った。なお、Forwardプライマー、Reverseプライマーは人由来β Actin配列内から選択した。プライマーの配列について表4に示す。
電気泳動より得られるPCR産物のバンドの濃さをもちいて数値化を行った。PMBNコートチューブのPCR産物のバンドの濃さを100として、下記表6に示す。この数値を比較することによりPCR反応によって得られた産物の量を知ることができる。数値が高いほど多くの産物を得ることができており、効率よくPCR反応がおきていることになる。また、同条件で行ったPCR反応の場合数値にバラツキが小さいほど安定的に細胞溶解物からPCR産物までの工程が実施され、再現性があることになる。
(表6)
Figure 2007141912
定量的PCRによって得られる増幅曲線を図23に示す。増幅曲線により得られるCt値を下記表7に示す。Ct値は定量的PCR反応の出発時における鋳型DNA量に依存した数値が得られる。つまり、Ct値が小さな値をしめすほど出発時のDNA量が多いことを示し、Ct値のバラツキが小さいほど安定的に細胞溶解物からPCR産物までの工程が実施され、再現性があることになる。
(表7)
Figure 2007141912
(実施例4)(ランダムプライマーによるcDNA作製)
(HeLa細胞からmRNAの精製)
培養したHeLa細胞を数回洗浄後、遠心分離によりチューブにペレットを作製し、グアニジンを含む細胞溶解物を加え、ピペッティング等によりよく攪拌し、HeLa細胞の標的サンプルとしての細胞溶解物を得た。この溶液段階的に希釈したものをPMBNコートチューブとアルデヒドチューブに50μlを分注し、室温で15分静置した。静置後、界面活性剤を含む緩衝液を200μl分注、吸引を繰り返し2回洗浄した。
(mRNAから液相cDNAの合成)
反応液として、Reverse Transcriptase M-MLV(Rnase H-)、5×Reverse Transcriptase M-MLV Buffer、10μlRandom Primer、RNAse Inhibitor(Super)、20mMdTTP、20mMdATP、20mMdGTP、20mMdCTP、DEPC処理水(treated water)を加えて調製した。この溶液を各チューブに50μlを分注し、42℃で15分以上インキュベートした。
この溶液を段階的に希釈した溶液を作製し、反応液としてSYBR Premix Ex Taq(タカラバイオ製)、10μM PCR Forwardプライマー(配列5)、10μM PCR Reverseプライマー(配列6)、20mMdTTP、20mMdATP、20mMdGTP、20mMdCTP、DEPC処理水(treated water)を加えて調製したものとともにPCRチューブに分注し、定量的PCRを行った。なお、Forwardプライマー、Reverseプライマーは人由来β Actin配列内から選択した。プライマーの配列について表4に示す。
定量的PCRによって得られる増幅曲線を図24に示す。増幅曲線により得られるCt値を下記表8に示す。Ct値は定量的PCR反応の出発時における鋳型DNA量に依存した数値が得られる。つまり、Ct値が小さな値をしめすほど出発時のDNA量が多いことを示し、Ct値のバラツキが小さいほど安定的に細胞溶解物からPCR産物までの工程が実施され、再現性があることになる。
(表8)
Figure 2007141912
以下に、本発明の具体的態様を示す。
(A−1)
表面にリン脂質の親水部を構成するリン酸エステルより誘導される基を有する第一単位と電子求引性の置換基がカルボニル基に結合してなるカルボン酸誘導基 を有する第二単位とを含む高分子物質を有するとともに、少なくとも一つ以上の反応空間が設けられ、当該反応空間には固定された固定DNAプライマーを含む 基板を用いて、標的細胞の細胞溶解物を含む反応系から標的RNA鎖を検出するRNA検出方法;
(A−2)
(A−1)に記載のRNA検出方法において、
前記基板に設けられた反応空間に前記細胞溶解物、DNA鎖伸長用酵素系およびヌクレオチドモノマーを含む試料を導入し、当該細胞溶解物に含まれるRNA鎖を鋳型にして、前記固定DNAプライマーのDNA鎖伸長反応を行う第1段階と、
伸長反応により得られたDNA鎖を検出する第2段階とを含むことを特徴とするRNA検出方法;
(A−3)
(A−2)に記載のRNA検出方法において、
前記第1段階で用いるDNA鎖伸長用酵素系は、逆転写酵素、またはDNAリガーゼおよび逆転写酵素の組合せのいずれかであることを特徴とするRNA検出方法;
(A−4)
(A−2)に記載のRNA検出方法において、
前記第1段階にて導入される試料に含まれるヌクレオチドモノマーの少なくとも一種がラベルされたものであることを特徴とするRNA検出方法;
(A−5)
(A−1)に記載のRNA検出方法において、
前記基板に設けられた反応空間に前記細胞溶解物、DNA鎖伸長用酵素系およびヌクレオチドモノマーを含む試料を導入し、当該細胞溶解物に含まれるRNA鎖を鋳型にして、前記固定DNAプライマーのDNA鎖伸長反応を行って、cDNA鎖を形成する第1段階と、
前記DNA鎖伸長反応を行った後に、前記反応系のRNA鎖を分解処理する第2段階と、
前記cDNA鎖を含む反応系に、伸長用DNAプライマー、DNA鎖伸長用酵素系およびヌクレオチドモノマーを含む試料を導入し、このcDNA鎖を鋳型にして、二重鎖DNAを合成する第3段階と、
前記合成された二重鎖DNAを検出する第4段階とを含むことを特徴とするRNA検出方法;
(A−6)
(A−5)に記載のRNA検出方法において、
前記第3段階にて導入される試料に含まれるヌクレオチドモノマーの少なくとも一種がラベルされたものであることを特徴とするRNA検出方法;
(A−7)
(A−1)に記載のRNA検出方法において、
前記基板に設けられた反応空間に前記細胞溶解物、DNA鎖伸長用酵素系およびヌクレオチドモノマーを含む試料を導入し、当該細胞溶解物に含まれるRNA鎖を鋳型にして、前記固定DNAプライマーのDNA鎖伸長反応を行って、cDNA鎖を形成する第1段階と、
前記DNA鎖伸長反応を行った後に、前記反応系のRNA鎖を分解処理する第2段階と、
前記cDNA鎖を含む反応系に、伸長用DNAプライマー、DNA鎖伸長用酵素系およびヌクレオチドモノマーを含む試料を導入し、このcDNA鎖を鋳型にして、二重鎖DNAを合成する第3段階と、
前記二重鎖DNAを熱変成して得られる各一本鎖DNAを鋳型にして、それぞれ二重鎖DNAを合成して、二重鎖DNAを増幅する第4段階と、
前記増幅された二重鎖DNAを検出する第5段階とを含むことを特徴とするRNA検出方法;
(A−8)
(A−5)から(A−7)のいずれかに記載のRNA検出方法において、
前記第1段階で用いるDNA鎖伸長用酵素系は、逆転写酵素、またはDNAリガーゼおよび逆転写酵素の組合せのいずれかであることを特徴とするRNA検出方法;
(A−9)
(A−5)か(A−7)のいずれかに記載のRNA検出方法において、
前記第3段階では、
前記反応系を、DNA鎖を熱変性する温度(以下、「熱変性処理温度」という)まで引き上げ、
前記反応系の温度をアニール処理する温度(以下、「アニール処理温度」という)まで下げることを全処理を同一の液相系で行うことにより、前記伸長用DNAプライマーのDNA鎖の伸長反応が行われることを特徴とするRNA検出方法;
(A−10)
(A−1)に記載のRNA検出方法において、
前記高分子物質の第一単位に含まれるリン酸エステルより誘導される基は、ホスホリルコリン基、ホスホリルエタノールアミン基、ホスホリルセリン基、ホス ホリルイノシトール基、ホスホリルグリセロール基、ホスファチジルホスホリルグリセロール基のいずれかであることを特徴とするRNA検出方法;
(A−11)
(A−1)に記載のRNA検出方法において、
前記固定DNAプライマーが、前記基板の反応空間の表面に位置するカルボン酸誘導基の部位で共有結合して、当該基板の表面に固定化されることを特徴とするRNA検出方法;
(A−12)
(A−1)に記載のRNA検出方法において、
前記高分子物質がブチルメタクリレート基を含む第三単位を有することを特徴とするRNA検出方法;
(A−13)
(A−1)または(A−12)に記載のRNA検出方法において、
前記基板は、前記高分子物質に加えて、リン脂質の親水部を構成するリン酸エステルより誘導される基を含む第一単位と、ブチルメタクリレート基を含む第三単位とを有する第二の高分子物質を含むことを特徴とするRNA検出方法;
(A−14)
(A−1)に記載のRNA検出方法において、
前記基板が、プラスチック材料からなることを特徴とするRNA検出方法;
(A−15)
(A−1)に記載のRNA検出方法において、
前記基板は、複数の互いに独立した反応空間を有するアレイを構成し、各アレイではそれぞれ固定DNAプライマーが固定されていることを特徴とするRNA検出方法;
(B−1)
リン脂質の親水部を構成するリン酸エステルより誘導される基を有する第一単位と電子求引性の置換基がカルボニル基に結合してなるカルボン酸誘導基を有する第二単位とを含む高分子物質を表面に有するとともに少なくとも1つ以上の反応空間が設けられた担体を用いて、標的細胞の細胞溶解物を含む反応系から標的RNA鎖を検出するRNA検出方法であって、
前記担体表面にDNA伸長用のプライマーを固定化させてプライマー固定化担体を作製する第1段階と、
前記担体に設けられた反応空間に前記細胞溶解物、DNA鎖伸長用酵素系およびヌクレオチドモノマーを含む試料を導入し、当該細胞溶解物に含まれるRNA鎖を鋳型にして、前記固定DNAプライマーのDNA鎖伸長反応を行って、cDNA鎖を形成する第2段階と、
前記cDNA鎖を含む反応系に、伸長用DNAプライマー、DNA鎖伸長用酵素系およびヌクレオチドモノマーを含む試料を導入し、このcDNA鎖を鋳型にして、二重鎖DNAを合成する第3段階と、
前記合成された二重鎖DNAを検出する第4段階とを含み、第2段階から第3段階への移行の際RNA鎖の分解処理を行わないことを特徴とするRNA検出方法;
(B−2)
(B−1)に記載のRNA検出方法において、
前記第3段階にて導入される試料に含まれるヌクレオチドモノマーの少なくとも一種がラベルされたものであることを特徴とするRNA検出方法;
(B−3)
リン脂質の親水部を構成するリン酸エステルより誘導される基を有する第一単位と電子求引性の置換基がカルボニル基に結合してなるカルボン酸誘導基を有する第二単位とを含む高分子物質を表面に有するとともに少なくとも1つ以上の反応空間が設けられた担体を用いて、標的細胞の細胞溶解物を含む反応系から標的RNA鎖を検出するRNA検出方法であって、
前記担体表面にDNA伸長用のプライマーを固定化させてプライマー固定化担体を作製する第1段階と、
前記担体に設けられた反応空間に細胞溶解物、DNA鎖伸長用酵素系およびヌクレオチドモノマーを含む試料を導入し、当該細胞溶解物に含まれるRNA鎖を鋳型にして、前記固定DNAプライマーのDNA鎖伸長反応を行って、cDNA鎖を形成する第2段階と、
前記cDNA鎖を含む反応系に、伸長用DNAプライマー、DNA鎖伸長用酵素系およびヌクレオチドモノマーを含む試料を導入し、このcDNA鎖を鋳型にして、二重鎖DNAを合成する第3段階と、
前記二重鎖DNAを熱変成して得られる各一本鎖DNAを鋳型にして、それぞれ二重鎖DNAを合成して、二重鎖DNAを増幅する第4段階と、
前記増幅された二重鎖DNAを検出する第5段階とを含み、第2段階から第3段階への移行の際RNA鎖の分解処理を行わないことを特徴とするRNA検出方法;
(B−4)
(B−1)から(B−3)のいずれかに記載のRNA検出方法において、
前記第1段階で用いるDNA鎖伸長用酵素系は、逆転写酵素、またはDNAリガーゼおよび逆転写酵素の組合せのいずれかであることを特徴とするRNA検出方法;
(B−5)
(B−1)から(B−3)のいずれか一項に記載のRNA検出方法において、
前記第3段階では、
前記反応系を、DNA鎖を熱変性する温度(以下、「熱変性処理温度」という)まで引き上げ、
前記反応系の温度をアニール処理する温度(以下、「アニール処理温度」という)まで下げることを全処理を同一の液相系で行うことにより、前記伸長用DNAプライマーのDNA鎖の伸長反応が行われることを特徴とするRNA検出方法;
(B−6)
(B−1)又は(B−3)に記載のRNA検出方法において、
前記高分子物質の第一単位に含まれるリン酸エステルより誘導される基は、ホスホリルコリン基、ホスホリルエタノールアミン基、ホスホリルセリン基、ホスホリルイノシトール基、ホスホリルグリセロール基、ホスファチジルホスホリルグリセロール基のいずれかであることを特徴とするRNA検出方法;
(B−7)
(B−1)又は(B−3)に記載のRNA検出方法において、
前記DNA伸長用のプライマーが、前記担体の反応空間の表面に位置するカルボン酸誘導基の部位で共有結合して、当該担体表面に固定化されることを特徴とするRNA検出方法;
(B−8)
(B−1)又は(B−3)に記載のRNA検出方法において、
前記高分子物質がブチルメタクリレート基を含む第三単位を有することを特徴とするRNA検出方法;
(B−9)
(B−1)又は(B−3)に記載のRNA検出方法において、
前記担体は、前記高分子物質に加えて、リン脂質の親水部を構成するリン酸エステルより誘導される基を含む第一単位と、ブチルメタクリレート基を含む第三単位とを有する第二の高分子物質を含むことを特徴とするRNA検出方法;
(B−10)
(B−1)又は(B−3)に記載のRNA検出方法において、
前記反応空間がチューブ又はウェルの形状であることを特徴とするRNA検出方法;
(B−11)
(B−1)又は(B−3)に記載のRNA検出方法において、
前記担体が、プラスチック材料からなることを特徴とするRNA検出方法;
(B−12)
(B−1)又は(B−3)に記載のRNA検出方法において、
前記担体は、複数の互いに独立した反応空間を有するアレイを構成し、各アレイではそれぞれDNA伸長用のプライマーが固定されていることを特徴とするRNA検出方法。

Claims (37)

  1. 表面にリン脂質の親水部を構成するリン酸エステルより誘導される基を有する第一単位と電子求引性の置換基がカルボニル基に結合してなるカルボン酸誘導基を有する第二単位とを含む高分子物質を有するとともに、少なくとも一つ以上の反応空間が設けられ、当該反応空間には固定された固定核酸プライマーを含む表面を用いて、標的サンプルを含む溶液から当該標的サンプル由来の標的RNA鎖を検出するRNA検出方法。
  2. 請求項1に記載のRNA検出方法において、
    前記表面は、固定DNAプライマーを含む担体の表面であることを特徴とするRNA検出方法。
  3. 請求項2に記載のRNA検出方法において、
    前記担体は、基板であることを特徴とするRNA検出方法。
  4. 請求項2または3に記載のRNA検出方法において、
    前記担体に設けられた反応空間に前記標的サンプル、DNA鎖伸長用酵素系およびヌクレオチドモノマーを含む試料を導入し、当該標的サンプルに含まれるRNA鎖を鋳型にして、前記固定DNAプライマーのDNA鎖伸長反応を行う第1段階と、
    伸長反応により得られたDNA鎖を検出する第2段階とを含むことを特徴とするRNA検出方法。
  5. 請求項4に記載のRNA検出方法において、
    前記第1段階で用いるDNA鎖伸長用酵素系は、逆転写酵素、またはDNAリガーゼおよび逆転写酵素の組合せのいずれかであることを特徴とするRNA検出方法。
  6. 請求項4に記載のRNA検出方法において、
    前記第1段階にて導入される試料に含まれるヌクレオチドモノマーの少なくとも一種がラベルされたものであることを特徴とするRNA検出方法。
  7. 請求項2または3に記載のRNA検出方法において、
    前記担体に設けられた反応空間に前記標的サンプル、DNA鎖伸長用酵素系およびヌクレオチドモノマーを含む試料を導入し、当該標的サンプルに含まれるRNA鎖を鋳型にして、前記固定DNAプライマーのDNA鎖伸長反応を行って、cDNA鎖を形成する第1段階と、
    前記DNA鎖伸長反応を行った後に、前記反応系のRNA鎖を分解処理する第2段階と、
    前記cDNA鎖を含む反応系に、伸長用DNAプライマー、DNA鎖伸長用酵素系およびヌクレオチドモノマーを含む試料を導入し、このcDNA鎖を鋳型にして、二重鎖DNAを合成する第3段階と、
    前記合成された二重鎖DNAを検出する第4段階とを含むことを特徴とするRNA検出方法。
  8. 請求項7に記載のRNA検出方法において、
    前記第3段階にて導入される試料に含まれるヌクレオチドモノマーの少なくとも一種がラベルされたものであることを特徴とするRNA検出方法。
  9. 請求項2または3に記載のRNA検出方法において、
    前記担体に設けられた反応空間に前記標的サンプル、DNA鎖伸長用酵素系およびヌクレオチドモノマーを含む試料を導入し、当該標的サンプルに含まれるRNA鎖を鋳型にして、前記固定DNAプライマーのDNA鎖伸長反応を行って、cDNA鎖を形成する第1段階と、
    前記DNA鎖伸長反応を行った後に、前記反応系のRNA鎖を分解処理する第2段階と、
    前記cDNA鎖を含む反応系に、伸長用DNAプライマー、DNA鎖伸長用酵素系およびヌクレオチドモノマーを含む試料を導入し、このcDNA鎖を鋳型にして、二重鎖DNAを合成する第3段階と、
    前記二重鎖DNAを熱変性して得られる各一本鎖DNAを鋳型にして、それぞれ二重鎖DNAを合成して、二重鎖DNAを増幅する第4段階と、
    前記増幅された二重鎖DNAを検出する第5段階とを含むことを特徴とするRNA検出方法。
  10. 請求項7から9のいずれか一項に記載のRNA検出方法において、
    前記第1段階で用いるDNA鎖伸長用酵素系は、逆転写酵素、またはDNAリガーゼおよび逆転写酵素の組合せのいずれかであることを特徴とするRNA検出方法。
  11. 請求項7から9のいずれか一項に記載のRNA検出方法において、
    前記第3段階では、
    前記反応系を、DNA鎖を熱変性する温度(以下、「熱変性処理温度」という)まで引き上げ、
    前記反応系の温度をアニール処理する温度(以下、「アニール処理温度」という)まで下げることの全処理を同一の液相系で行うことにより、前記伸長用DNAプライマーのDNA鎖の伸長反応が行われることを特徴とするRNA検出方法。
  12. 請求項2または3に記載のRNA検出方法において、
    前記担体に設けられた反応空間に前記標的サンプル、DNA鎖伸長用酵素系およびヌクレオチドモノマーを含む試料を導入し、当該標的サンプルに含まれるRNA鎖を鋳型にして、前記固定DNAプライマーのDNA鎖伸長反応を行って、cDNA鎖を形成する第1段階と、
    前記cDNA鎖を含む反応系に、伸長用DNAプライマー、DNA鎖伸長用酵素系およびヌクレオチドモノマーを含む試料を導入し、このcDNA鎖を鋳型にして、二重鎖DNAを合成する第2段階と、
    前記合成された二重鎖DNAを検出する第3段階とを含み、第1段階から第2段階への移行の際RNA鎖の分解処理を行わないことを特徴とするRNA検出方法。
  13. 請求項12に記載のRNA検出方法において、
    前記第2段階にて導入される試料に含まれるヌクレオチドモノマーの少なくとも一種がラベルされたものであることを特徴とするRNA検出方法。
  14. 請求項2または3に記載のRNA検出方法において、
    前記担体に設けられた反応空間に前記標的サンプル、DNA鎖伸長用酵素系およびヌクレオチドモノマーを含む試料を導入し、当該標的サンプルに含まれるRNA鎖を鋳型にして、前記固定DNAプライマーのDNA鎖伸長反応を行って、cDNA鎖を形成する第1段階と、
    前記cDNA鎖を含む反応系に、伸長用DNAプライマー、DNA鎖伸長用酵素系およびヌクレオチドモノマーを含む試料を導入し、このcDNA鎖を鋳型にして、二重鎖DNAを合成する第2段階と、
    前記二重鎖DNAを熱変性して得られる各一本鎖DNAを鋳型にして、それぞれ二重鎖DNAを合成して、二重鎖DNAを増幅する第3段階と、
    前記増幅された二重鎖DNAを検出する第4段階とを含み、第1段階から第2段階への移行の際RNA鎖の分解処理を行わないことを特徴とするRNA検出方法。
  15. 請求項12から14のいずれか一項に記載のRNA検出方法において、
    前記第1段階で用いるDNA鎖伸長用酵素系は、逆転写酵素、またはDNAリガーゼおよび逆転写酵素の組合せのいずれかであることを特徴とするRNA検出方法。
  16. 請求項12から14のいずれか一項に記載のRNA検出方法において、
    前記第3段階では、
    前記反応系を、DNA鎖を熱変性する温度(以下、「熱変性処理温度」という)まで引き上げ、
    前記反応系の温度をアニール処理する温度(以下、「アニール処理温度」という)まで下げることの全処理を同一の液相系で行うことにより、前記伸長用DNAプライマーのDNA鎖の伸長反応が行われることを特徴とするRNA検出方法。
  17. 請求項1に記載のRNA検出方法において、
    逆転写反応―ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)法であって、
    標的サンプルを、請求項1に記載の表面を有する反応空間に移し、
    前記標的サンプル中のmRNAを固定核酸プライマーによってハイブリダイズし、
    適切な緩衝液をもちいてRT−PCRを該反応空間で行い、
    目的PCR産物を検出する各段階を含むRNA検出方法。
  18. 請求項17に記載のRNA検出方法において、
    検出する段階において、PCR産物を、核酸染色を用いて蛍光測定的にまたは蛍光若しくは化学ルミネセンスを発生させることによって定量するRNA検出方法。
  19. 請求項17または18に記載のRNA検出方法において、
    RT−PCRを行う段階が、逆転写酵素およびDNAポリメラーゼを含む反応溶液、またはrTthポリメラーゼを含む反応溶液を用いて反応空間で緩衝液の交換なしにまたは固定核酸プライマーとハイブリダイズさせたmRNAの除去なしに行なう液相RT−PCRであるRNA検出方法。
  20. 請求項17または18に記載のRNA検出方法において、
    RT−PCRを行う段階が、固定核酸プライマーでのハイブリダイゼーションの後、捕捉したmRNAをcDNAに逆転写し、反応物を除去後、PCRをDNAポリメラーゼを用いて行なうRT−PCRであるRNA検出方法。
  21. 請求項17〜20のいずれか一項に記載のRNA検出方法において、
    目的PCR産物の検出後、反応空間に合成されたcDNAが固定化されたままの残るように洗浄し、RT−PCRを行う段階で用いたものと同じであるか、または異なる適切なプライマーを用いてPCRを行い、そして目的PCR産物を測定する段階をさらに含むRNA検出方法。
  22. 請求項17〜21のいずれか一項に記載のRNA検出方法において、
    洗浄を行う段階、PCRを行う段階および測定を行う段階を繰り返すRNA検出方法。
  23. 請求項17〜22のいずれか一項に記載のRNA検出方法において、
    前記RT−PCTを行う段階にて導入される試料に含まれるヌクレオチドモノマーの少なくとも一種がラベルされたものであることを特徴とするRNA検出方法。
  24. 請求項1に記載のRNA検出方法において、
    標的サンプルを、請求項1に記載の表面を有する反応空間に移し、
    前記標的サンプル中のmRNAを固相核酸プライマーによってハイブリダイズし、
    液相にDNA鎖伸長用プライマーを含む逆転写反応液を導入し、
    逆転写された液相cDNAを作製する各段階を含むRNA検出方法。
  25. 請求項24に記載のRNA検出方法において、
    前記液相cDNAを用いて、さらにDNAまたはRNAを増幅させる段階をさらに含むRNA検出方法。
  26. 請求項24または25に記載のRNA検出方法において、
    前記逆転写反応液を導入する段階にて導入される試料に含まれるヌクレオチドモノマーの少なくとも一種がラベルされたものであることを特徴とするRNA検出方法。
  27. 請求項1、17〜26のいずれか一項に記載のRNA検出方法において、
    反応空間がPCR用チューブまたはPCR用マイクロプレートであることを特徴とするRNA検出方法。
  28. 請求項1、17〜27のいずれか一項に記載のRNA検出方法において、
    固相核酸プライマーがオリゴdTである記載のRNA検出方法。
  29. 請求項1、17〜28に記載のRNA検出方法において、
    前記標的サンプルが、グアニジン又はプロテアーゼ又はフェノールを含むRNA検出方法。
  30. 請求項1、17〜29のいずれか一項に記載のRNA検出方法において、
    前記標的サンプルが、RNase活性を阻害するまたはRNaseを不活性化するための試薬を含み、かつ、ハイブリダイゼーションのためのpH及び塩濃度を調整する緩衝液を用いて調製されるRNA検出方法。
  31. 請求項1、2、3、7、9、12、14、17または24のいずれか一項に記載のRNA検出方法において、
    前記高分子物質の第一単位に含まれるリン酸エステルより誘導される基は、ホスホリルコリン基、ホスホリルエタノールアミン基、ホスホリルセリン基、ホスホリルイノシトール基、ホスホリルグリセロール基、ホスファチジルホスホリルグリセロール基のいずれかであることを特徴とするRNA検出方法。
  32. 請求項1、2、3、7、9、12、14、17または24のいずれか一項に記載のRNA検出方法において、
    前記固定核酸プライマーが、前記表面の反応空間の表面に位置するカルボン酸誘導基の部位で共有結合して、当該表面に固定化されることを特徴とするRNA検出方法。
  33. 請求項1、2、3、7、9、12、14、17または24のいずれか一項に記載のRNA検出方法において、
    前記高分子物質がブチルメタクリレート基を含む第三単位を有することを特徴とするRNA検出方法。
  34. 請求項1、2、3、7、9、12、14、17、24または33のいずれか一項に記載のRNA検出方法において、
    前記表面は、前記高分子物質に加えて、リン脂質の親水部を構成するリン酸エステルより誘導される基を含む第一単位と、ブチルメタクリレート基を含む第三単位とを有する第二の高分子物質を含むことを特徴とするRNA検出方法。
  35. 請求項2、3、7、9、12または14のいずれか一項に記載のRNA検出方法において、
    前記担体が、プラスチック材料からなることを特徴とするRNA検出方法。
  36. 請求項2、3、7、9、12または14のいずれか一項に記載のRNA検出方法において、
    前記反応空間がチューブ又はウェルの形状であることを特徴とするRNA検出方法。
  37. 請求項2、3、7、9、12または14のいずれか一項に記載のRNA検出方法において、
    前記担体は、複数の互いに独立した反応空間を有するアレイを構成し、各アレイではそれぞれ固定DNAプライマーが固定されていることを特徴とするRNA検出方法。
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