JP2009219358A - 遺伝子の検出方法及び遺伝子検出用担体 - Google Patents

遺伝子の検出方法及び遺伝子検出用担体 Download PDF

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Abstract

【課題】 所定の基体上でのプライマー伸長反応による遺伝子の検出方法において、検出感度が高くかつ非特異的な検出が抑えられる方法を提供すること。
【解決手段】 リン脂質の親水部を構成するリン酸エステルより誘導される基を有する第一単位と電子求引性の置換基がカルボニル基に結合してなるカルボン酸誘導基を有する第二単位とを含む高分子物質を表面に有する基体に、(a)一部又は全てのヌクレオチドがENAに置換されたDNA伸長用プライマー鎖を基体表面に固定化する工程、(b)検出する着目遺伝子のDNA断片又はRNA断片、ヌクレオチドモノマー、及びDNA伸長用酵素を含む試料溶液を基体表面に接触させる工程、(c)前記試料溶液中のDNA断片を又はRNA断片を鋳型にして、基体表面に固定化されている前記DNA伸長用プライマー鎖を伸長させる工程、を含む遺伝子の検出方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、基体表面にプライマーを固定化した遺伝子検出用担体を使用した遺伝子の検出方法に関する。
非特許文献1には、所定のアミノ−シラン試薬を用いて修飾されたガラス基板の表面に、プライマーとなるDNA鎖を共有結合させたDNAマイクロアレイにて固相PCR(Polymerase Chain Reaction)によるDNA増幅を行う技術が開示されている。
また、非特許文献2には、ガラス基板の代わりにポリ(メチルメタクリレート)を用いて、表面にDNA断片を固定化させたDNAマイクロアレイを用いて、所定のDNA鎖とのハイブリッド特性およびPCR様環境下における熱安定性が評価されており、新規のPCR技術に適用できるデバイスの可能性を示唆する記載がなされている。
しかし、非特許文献1及び2に代表されているDNAマイクロアレイを用いてDNA鎖伸長反応を行う際に、プライマーと試料中遺伝子断片との親和性、特異性が不十分であるという問題点がある。
特許文献1には、ハイドロゲル層を有する固体支持体表面にプローブを固定化させ、所定のDNA鎖を鋳型としてプローブ伸長反応を行い遺伝子の単一ヌクレオチド多型(SNP)検出する方法が記載されているが、実際には特異性およびシグナル量が低いという問題があった。
特許文献2には、リン脂質の親水部を構成するリン酸エステルより誘導される基を有する第一単位と電子求引性の置換基がカルボニル基に結合してなるカルボン酸誘導基を有する第二単位とを含む高分子物質を有するプラスチック基体表面にプローブを固定化させ、所定のDNA鎖を鋳型としてプローブ伸長反応を行い遺伝子検出する方法が記載されているが、DNA鎖の種類によっては、非特異的なシグナル検出が起こりやすい場合がある。
また一方で、非特許文献3〜5には、二環式ヌクレオチド誘導体であるENAを含んでいるヌクレオチドは、相補的な配列のDNA及びRNAとの結合の特異性が高いことが記載されている。
Adessi,Celine et al."Solid Phase DNA amplification:Characterisation of primer attachment and amplification mechanisms",Nucleic Acids Research,2000,Vol.20,No.20,e87 Fixe,F. et al."Functionalization of poly(methyl methacrylate)(PMMA) as a substrate for DNA microarrays",Nucleic Acids Research,2004,January 12,Vol.32 No.1,e9 Koizumi M."2‘−O,A’−O−Ethylene−Bridged Nucleic Acids as Next−Generation and Antigene Agents".Biol.Pharm.Bull.2004,27,453 Koizumi M."ENA Oligonucleotides as therapeutics".Cur.Opin.Mol.Ther.2006,8,144 Koizumi M."True antisense oligonucleotides with modified nucleotides in the N−conformation".Curr.Top.Med.Chem.2007,7,661 特表2004−532026号公報 特許第3927580号公報
本発明の目的は、所定の基体上でのプライマー伸長反応による遺伝子の検出方法において、検出感度が高くかつ非特異的な検出が抑えられる方法を提供することである。
本発明は、
(1)リン脂質の親水部を構成するリン酸エステルより誘導される基を有する第一単位と電子求引性の置換基がカルボニル基に結合してなるカルボン酸誘導基を有する第二単位とを含む高分子物質を表面に有する基体に、
(a)一部又は全てのヌクレオチドがENA(2’−O,A’−O−Ethylene−Bridged Nucleic Acids)に置換されたDNA伸長用プライマー鎖を基体表面に固定化する工程、
(b)検出する着目遺伝子のDNA断片又はRNA断片、ヌクレオチドモノマー、及びDNA伸長用酵素を含む試料溶液を基体表面に接触させる工程、
(c)前記試料溶液中のDNA断片を又はRNA断片を鋳型にして、基体表面に固定化されている前記DNA伸長用プライマー鎖を伸長させる工程、を含むことを特徴とする遺伝子の検出方法、
(2)前記DNA伸長用プライマー鎖のENA置換ヌクレオチドが、プライマー鎖の3’末端を含む位置に導入されていることを特徴とする(1)記載の遺伝子の検出方法、
(3)前記DNA伸長用プライマー鎖が、前記着目遺伝子の特徴配列を含む塩基配列の一塩基を他の塩基に置換されていること特徴とする(1)又は(2)記載の遺伝子の検出方法、
(4)前記一塩基の置き換えが、3‘末端で行なわれることを特徴とする(3)記載の遺伝子の検出方法、
(5)(1)〜(4)いずれか記載に記載の遺伝子の検出方法において、
前記高分子物質の第一単位に含まれるリン酸エステルより誘導される基は、ホスホリルコリン基、ホスホリルエタノールアミン基、ホスホリルセリン基、ホスホリルイノシトール基、ホスホリルグリセロール基、ホスファチジルホスホリルグリセロール基のいずれかであることを特徴とする遺伝子の検出方法、
(6)(1)〜(5)いずれか記載の遺伝子の検出方法において、
前記ヌクレオチドモノマーのいずれかに標識がなされていることを特徴とする遺伝子の検出方法、
(7)(6)記載の遺伝子の検出方法において、
標識が蛍光色素であることを特徴とする遺伝子の検出方法、
(8)(6)記載の遺伝子の検出方法において、
更に(d)ヌクレオチドモノマーの標識に酸化還元酵素を導入し、酸化又は還元反応により、発色する基質を加え、該基質を発色させる工程、
を含むことを特徴とする遺伝子の検出方法、
(9)(1)〜(8)いずれか記載の遺伝子の検出方法において、
前記DNA鎖伸長用酵素が、DNAポリメラーゼ又はDNAリガーゼであることを特徴とする遺伝子の検出方法、
(10)(1)〜(9)いずれか記載の遺伝子の検出方法において、
前記DNA伸長用プライマー鎖が、前記電子求引性の置換基がカルボニル基に結合してなるカルボン酸誘導基を有する第二単位の部位で共有結合していることを特徴とする遺伝子の検出方法、
(11)(1)〜(10)いずれか記載の遺伝子の検出方法において、
前記高分子物質がブチルメタクリレート基を含む第三単位を有することを特徴とする遺伝子の検出方法、
(12)(1)〜(11)いずれか記載の遺伝子の検出方法において、
前記基体は、前記高分子物質に加えて、リン脂質の親水部を構成するリン酸エステルより誘導される基を有する第一単位と、ブチルメタクリレート基を含む第三単位とを有する第二の高分子物質を含むことを特徴とする遺伝子の検出方法、
(13)(1)〜(12)いずれか記載の遺伝子の検出方法において、
前記基体が、プラスチック材料からなることを特徴とする遺伝子の検出方法、
(14)(1)〜(13)いずれか記載の遺伝子の検出方法において、
前記(c)の工程が、所定のヒートサイクルを加えることにより行われることを特徴と
する遺伝子の検出方法、
(15)(14)記載の遺伝子の検出方法において、
ヒートサイクル数が1以上であることを特徴とする遺伝子の検出方法、
(16)(14)又は(15)に記載の遺伝子の検出方法において、
前記ヒートサイクルが、熱変性温度での保持、アニール処理温度での保持、DNA伸長温度での保持を含むことを特徴とする遺伝子の検出方法、
(17)(16)に記載の遺伝子の検出方法において、
アニール処理温度とDNA伸長温度が同一温度であることを特徴とする遺伝子の検出方法、
(18)(1)〜(17)いずれか記載の遺伝子の検出方法に使用する遺伝子検出用担体であって、リン脂質の親水部を構成するリン酸エステルより誘導される基を有する第一単位と電子求引性の置換基がカルボニル基に結合してなるカルボン酸誘導基を有する第二単位とを含む高分子物質を表面に有する基体に、一部又は全てのヌクレオチドがENAに置換されたDNA伸長用プライマー鎖が基体表面に固定化した遺伝子検出用担体、
である。
本発明に係る遺伝子の検出方法は、リン脂質の親水部を構成するリン酸エステルより誘導される基を有する第一単位と電子求引性の置換基がカルボニル基に結合してなるカルボン酸誘導基を有する第二単位とを含む高分子物質を表面に有する基体に、一部のヌクレオチドがENA(2’−O,A’−O−Ethylene−Bridged Nucleic Acids)に置換されたDNA伸長用プライマー鎖を基体表面に固定化し、検出する着目遺伝子のDNA断片又はRNA断片を鋳型にして、DNA鎖伸長用酵素系、およびヌクレオチドモノマーを含む試料が導入された液相系を、好ましくはDNA鎖を熱変性する温度(以下、「熱変性処理温度」という)まで引き上げ、前記反応系の温度をアニール処理する温度(以下、「アニール処理温度」という)まで下げ、DNA伸長温度を保つことにより、基体上に固定化されたDNA鎖の伸長反応を行い、かつ全処理を同一の液相系で行なうことを特徴としている。
基体に固定化させるDNA鎖の一部又は全てのヌクレオチドをENAに置換することにより、特異性が高く、高精度の遺伝子検出が行える。
また、従来ではアニール処理した後で伸長反応の前に、二本鎖を組まなかったDNA断片を除くための洗浄処理が必要であったが、基体上に非特異的に吸着するDNA断片がないこと、およびDNA鎖伸長にかかる酵素反応が有効機能すると考えられ、伸長反応の前に基体の洗浄処理が不要になる。
このDNA鎖伸長方法において、基体の第一単位に含まれるリン酸エステルより誘導される基は、ホスホリルコリン基、ホスホリルエタノールアミン基、ホスホリルセリン基、ホスホリルイノシトール基、ホスホリルグリセロール基、ホスファチジルホスホリルグリセロール基のいずれかにすることができる。
このように、基体の表面にリン脂質と同様の環境を設けることで、基体表面で起こるDNA鎖伸長反応が細胞内と同等の環境下で行うことが可能になり、酵素反応効率が高く、DNA鎖伸長を、よりマイルドな条件でより高効率に行うことが可能になる。
本発明に依れば、特異性が高く、高精度に遺伝子の検出が可能となる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明に使用される基体の表面には、リン脂質の親水部を構成するリン酸エステルより誘導される基を有する第一単位と電子求引性の置換基がカルボニル基に結合してなるカルボン酸誘導基を有する第二単位とを含む高分子物質が存在する。
このリン脂質の親水部を構成するリン酸エステルより誘導される基を含む第一単位と電子求引性の置換基がカルボニル基に結合してなるカルボン酸誘導基を有する第二単位とを有する高分子物質は、DNA鎖の非特異的吸着を抑制する性質とDNA鎖を固定化する性質とを併せ持つポリマーである。特に、第一単位に含まれるリン脂質の親水部を構成するリン酸エステルより誘導される基は鋳型DNA断片の非特異的吸着を抑制する役割を果たし、第二単位に含まれるカルボン酸誘導基はプライマーを化学的に固定化する役割を果たす。すなわち、プライマーは、この高分子物質からなるコーティング層のカルボン酸誘導基の部位で共有結合して、当該基体の表面に固定化される。
第一の単位は、たとえば、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン基、6−メタクリロイルオキシヘキシルホスホリルコリン基等の(メタ)アクリロイルオキシアルキルホスホリルコリン基;
2−メタクリロイルオキシエトキシエチルホスホリルコリン基および10−メタクリロイルオキシエトキシノニルホスホリルコリン基等の(メタ)アクリロイルオキシアルコキシアルキルホスホリルコリン基;
アリルホスホリルコリン基、ブテニルホスホリルコリン基、ヘキセニルホスホリルコリン基、オクテニルホスホリルコリン基、およびデセニルホスホリルコリン基等のアルケニルホスホリルコリン基;
等の基を有し、ホスホリルコリン基がこれらの基中に含まれている構成とすることができる。
また、これらの基のうち、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンが好ましい。第一単位が2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを有する構成とすることにより、基体表面における鋳型DNA断片の非特異的吸着をより一層確実に抑制することができる。
なお、ここでは基本骨格として下記式(a)に示すホスホリルコリン基である例を挙げたが、このホスホリルコリンを下記式(b)のホスホリルエタノールアミン基、下記式(c)のホスホリルイノシトール基、下記式(d)のホスホリルセリン基、下記式(e)のホスホリルグリセロール基、下記式(f)に示したホスファチジルホスホリルグリセロール基などのリン酸基に置換してもよい(以下についても同様)。
Figure 2009219358
カルボン酸誘導体は、カルボン酸のカルボキシル基が活性化されたものであり、C=Oを介して脱離基を有するカルボン酸である。カルボン酸誘導体は、具体的には、アルコキシル基よりも電子求引性の高い基がカルボニル基に結合して求核反応が活性化された化合物である。カルボン酸誘導基は、アミノ基、チオール基、水酸基等に対する反応性を有する化合物である。
カルボン酸誘導体として、さらに具体的には、カルボン酸であるアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボキシル基が、酸無水物、酸ハロゲン化物、活性エステル、活性化アミドに変換された化合物が挙げられる。カルボン酸誘導基は、こうした化合物に由来する活性化された基であり、たとえば、p−ニトロフェニル基やN−ヒドロキシスクシンイミド基等の活性エステル基;
―Cl、−F等のハロゲン;
等の基を有することができる。
また、カルボン酸誘導基は、下記式(1)に示される基とすることができる。
Figure 2009219358
(ただし、上記式(1)において、Aは水酸基を除く脱離基である。)
上記式(1)に示される一価の基は、たとえば下記式(p)又は式(q)から選択されるいずれかの基とすることができる。
Figure 2009219358
(ただし、上記式(p)および式(q)において、R1およびR2は、それぞれ独立して、一価の有機基であり、直鎖状、分岐状、および環状のいずれであってもよい。また、上記式(p)において、R1はCとともに環を形成する二価の基であってもよい。また、上記式(q)において、R2はNとともに環を形成する二価の基であってもよい。)
上記式(p)に示される基として、たとえば下記式(r)、(s)、および(w)に示される基が挙げられる。また、上記式(q)に示される基として、たとえば下記式(u)に示される基が挙げられる。
上記式(1)に示される基は、たとえば下記式(r)、式(s)等に示される酸無水物由来の基;
下記式(t)に示される酸ハロゲン化物由来の基;
下記式(u)、式(w)に示される活性エステル由来の基;又は
下記式(v)に示される活性化アミド由来の基とすることができる。
Figure 2009219358
カルボン酸誘導基のうち、活性エステル基は、穏やかな条件における反応性に優れるため、好ましく用いられる。穏やかな条件としては、たとえば中性又はアルカリ性の条件、具体的にはpH7.0以上10.0以下、さらに具体的にはpH7.6以上9.0以下、さらにまた具体的にはpH8.0とすることができる。
また、本明細書において規定するところの「活性エステル基」は、その定義について厳密な規定はなされていないが、慣用の技術表現としては、エステル基のアルコール側に酸性度の高い電子求引性基を有して求核反応を活性化するエステル群、すなわち反応活性の高いエステル基を意味するものとして、各種の化学合成、たとえば高分子化学、ペプチド合成等の分野で慣用されているものである。なお、ペプチド合成の分野においては、泉屋信夫、加藤哲夫、青柳東彦、脇道典著、「ペプチド合成の基礎と実験」、1985年発行、丸善、に記載されているように、活性エステル法はアミノ酸又はペプチドのC末端を活性化する方法の一つとして用いられている。
実際的には、エステル基のアルコール側に、電子求引性の基を有し、アルキルエステルよりも活性化されたエステル基である。活性エステル基は、アミノ基、チオール基、水酸基等の基に対する反応性を有する。さらに具体的には、フェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N−ヒドロキシアミンエステル類、シアノメチルエステル、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等がアルキルエステル等に比べてはるかに高い活性を有する活性エステル基として知られている。
ここでは、高分子物質中の活性化カルボン酸誘導体基が活性エステル基である場合を例に、説明する。活性エステル基としては、たとえばp−ニトロフェニル基、N−ヒドロキシスクシンイミド基、コハク酸イミド基、フタル酸イミド基、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド基等が挙げられるが、たとえばp−ニトロフェニル基が好ましく用いられる。
表面にプライマーが固定化される基体の場合、第一単位と第二単位のさらに具体的な構成の組み合わせとして、たとえば、リン脂質の親水部を構成するリン酸エステルより誘導される基を含む第一単位が2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン基を有し、活性エステル基がp−ニトロフェニル基である構成とすることができる。
また、本実施形態の基体のコーティング層に使用される高分子物質は、リン脂質の親水部を構成するリン酸エステルより誘導される基およびカルボン酸誘導基以外に他の基を含んでもよい。また、高分子物質は共重合体とすることができる。具体的には、高分子物質がブチルメタクリレート基を含む共重合体であることが好ましい。こうすることにより、高分子物質を適度に疎水化し、この高分子物質の基体表面への吸着性をさらに好適に確保することができる。
具体的には、高分子物質を、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)基を有する第一単量体と、p−ニトロフェニルオキシカルボニルポリエチレングリコールメタクリレート(NPMA)基を有する第二単量体と、ブチルメタリレート(BMA)基を有する第三単量体との共重合体とすることができる。これらの共重合体であるpoly(MPC−co−BMA−co−NPMA)(PMBN)は、模式的に下記一般式(2)で示される。
Figure 2009219358
ただし、上記一般式(2)において、a、b、およびcは、それぞれ独立して、正の整数である。また、上記一般式(2)において、第一〜第三単量体がブロック共重合していてもよいし、これらの単量体がランダムに共重合していてもよい。
上記一般式(2)で示される共重合体は、高分子物質の適度な疎水化と、鋳型DNA断片の非特異吸着を抑制する性質と、プライマーを固定化する性質とのバランスとに、より一層優れた構成である。このため、このような共重合体を用いることにより、基体表面をより一層確実に高分子物質で被覆するとともに、高分子物質がコーティングされた基体上への鋳型DNA断片の非特異的吸着を抑制しつつ、プライマーをさらに確実に共有結合により固定化して基体上に導入することができる。
なお、上記一般式(2)で示される共重合体は、MPC、BMA、およびNPMAの各単量体を混合し、ラジカル重合等の公知の重合方法により得ることができる。上記一般式(2)で示される共重合体をラジカル重合により作製する場合、たとえば、Ar等の不活性ガス雰囲気にて、30℃以上90℃以下の温度条件で溶液重合を行うことができる。
溶液重合に使用される溶媒は適宜選択されるが、たとえば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコールや、ジエチルエーテル等のエーテル、クロロホルム等の有機溶媒を単独で又は複数混合して用いることができる。具体的には、ジエチルエーテルとクロロホルムを体積比で8対2とした混合溶媒とすることができる。
また、ラジカル重合反応に使用されるラジカル重合開始剤としては、通常使用されるものを用いることができる。たとえば、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスバレロニトリル等のアゾ系開始剤;
過酸化ラウロイル、過酸化ベンゾイル、t−ブチルペルオキシネオデカノエート、t−ブチルペルオキシピバレート等の油溶性の有機過酸化物;
などが用いられる。
さらに具体的には、ジエチルエーテルとクロロホルムを体積比で8対2とした混合溶媒およびAIBNを用い、Ar中、60℃にて2〜6時間程度重合を行うことができる。
なお、本実施形態では、高分子物質がブチルメタクリレート基を含む第三単位を有する例を説明したが、リン脂質の親水部を構成するリン酸エステルより誘導される基を含む第一単位とカルボン酸誘導基を含む第二単位とを有する高分子物質を第一の高分子物質とし、これに加えて、リン脂質の親水部を構成するリン酸エステルより誘導される基を含む第一単位とブチルメタクリレート基を含む第三単位とを有する第二の高分子物質を含んでいてもよい。
なお、上記第一の高分子物質の第一単位と上記第二の高分子物質の第一単位とは同一構造であってもよいし、異なる構造であってもよい。また、上記第一の高分子物質がブチルメタクリレート基を含む第三単位を含むとき、この第一の高分子物質の第三単位と上記第二の高分子物質の第三単位とは同一構造であってもよいし、異なる構造であってもよい。
このような第二の高分子物質は、鋳型DNA断片の非特異的吸着を抑制するポリマーとして用いられる。このようなポリマーとしては、たとえばホスホリルコリン基が30モル%、ブチルメタクリレート基が70モル%の割合で含まれているものであるMPCポリマー(日本油脂社製)を用いることができる。
なお、高分子物質が上記第一の高分子物質、第二の高分子物質からなる場合、これらの高分子物質が混合されている構成とすることができる。各々の高分子物質のポリマーは、たとえばエタノール溶液に溶解できるため、それぞれのポリマー溶液を混合することにより容易に混合ポリマーを得ることができる。
以上のような高分子物質からなるコーティング層を表面に含む基体は、所定の形状に加工された基体の表面に高分子物質を含む液体を塗布し、乾燥することにより得られる。また、高分子物質を含む液体中に基体を浸漬し、乾燥してもよい。
また、基体として、プラスチック材料を用いた場合には、形状やサイズの変更に対する柔軟性が確保される上に、ガラス基板のものに比べて安価で提供することができるという観点から好ましい。このようなプラスチック材料としては、表面処理の容易性および量産性の観点から、熱可塑性樹脂を用いることができる。
熱可塑性樹脂としては、蛍光発生量の少ないものを用いることができる。蛍光発生量の少ない樹脂を用いることにより、DNA鎖の検出反応におけるバックグランドを低下させることができるため、検出感度をさらに向上させることができる。蛍光発生量の少ない熱可塑性樹脂としては、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の直鎖状ポリオレフィン、環状ポリオレフィン、含フッ素樹脂等を用いることができる。上記樹脂の中でも、飽和環状ポリオレフィンは、耐熱性、耐薬品性、低蛍光性、透明性および成形性に特に優れるため、光学的な分析に好適であり、基体の材料として好ましく用いられる。
ここで、飽和環状ポリオレフィンとは、環状オレフィン構造を有する重合体単独又は環状オレフィンとα−オレフィンとの共重合体を水素添加した飽和重合体を指す。前者の例としては、たとえばノルボルネン、ジシクロペンタジエン、テトラシクロドデセンに代表されるノルボルネン系モノマー、及び、これらのアルキル置換体を開環重合して得られる重合体を水素添加して製造される飽和重合体である。後者の共重合体はエチレンやプロピレン、イソプロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のα−オレフィンと環状オレフィン系モノマーのランダム共重合体を水素添加することにより製造される飽和重合体である。共重合体では、エチレンとの共重合体が最も好ましい。これらの樹脂は単独で用いてもよく、2種類又はそれ以上の共重合体あるいは混合物であってもよい。また、環状オレフィン構造を有する単量体が開環重合して得られる飽和環状ポリオレフィンだけでなく、環状オレフィン構造を有する単量体の付加重合により得られる飽和環状ポリオレフィンを用いることもできる。
以上のような高分子物質を表面に含むプラスチック材料からなる基体は、所定の形状に加工された基体の表面に高分子物質を含む液体を塗布し、乾燥することにより得られる。また、高分子物質を含む液体中に基体を浸漬し、乾燥してもよい。
なお、基体の材料をプラスチックとした場合、形状は板状には限られず、たとえばフィルム状やシート状であってもよい。具体的には、基体を可とう性のプラスチックフィルムとすることもできる。また、基体は、一つの部材から構成されていてもよいし、複数の部材から構成されていてもよい。
プライマー鎖の設計については、GC含量、塩基長、Tm、3’末端の塩基配列など重要なパラメータがあるため、通常は専用のプライマー設計ソフトたとえばOLIGO Primer Analysis Software(タカラバイオ社製)などを用いて設計を行うことが好ましい。前記記載のパラメータはどれも重要であるが、伸長反応にとくに影響を及ぼすのは3’末端の塩基配列である。伸長反応では、プライマー鎖は検体DNA断片を鋳型として、3’末端を起点として伸長するために、プライマー鎖の3’末端の塩基配列はとくに重要である。
プライマー鎖の3’末端の塩基配列と鋳型となるDNA断片の相補的な結合力が十分でない場合、非特異的にプライマー鎖と鋳型DNA断片が結合して伸長反応が起こることが予想される。この場合、結果として非特異的なシグナル検出が起こることとなり、遺伝子検出の精度が落ちることとなる。以上の理由により、プライマー鎖と鋳型DNA断片とがより相補特異的に結合するような工夫をすることにより、遺伝子検出の精度が向上することとなる。
DNA−DNAあるいは、DNA−RNAの相補的結合力を向上させる方法として、DNAのヌクレオチドをENAに置換する方法がある。ENAとは、リボヌクレオチドの2’部位の酸素原子と4’部位の炭素原子がエチレンを介して結合している2つの環状構造を持つヌクレオチドであり、DNAと比べて分子構造が安定化するために、相補的なヌクレオチドとの結合力が増す一方で、相補的でないヌクレオチドとの結合力は低下する特徴がある。
本実施形態では、プライマー鎖の一部又は全部のヌクレオチドをENAに置換したDNA伸長用プライマー鎖を用いる。全部のヌクレオチドをENAに置換しても良いが、伸長反応に強く影響するプライマー鎖3’末端のヌクレオチドのみをENA置換しても良い。
前記の理由により、DNAと比較してENAは1塩基のミスマッチでも容易に検出できる。そのため、ENAは単一ヌクレオチド多型(SNP)解析に特に有効である。
本発明の遺伝子の検出方法によりSNPを検出する場合には、プライマー鎖の末端にSNP位置を設定する。SNP位置にENAを設定することにより、DNAの場合と比較してより検出感度の高いSNP解析が可能となる。
次に、基体の表面へのプライマー鎖の固定化方法について説明する。
例えば、(i)基体上の高分子物質に含まれる複数の活性エステル基のうち、少なくとも一部の活性エステル基とプライマー鎖とを反応させて共有結合を形成させることにより、基体表面でプライマー鎖を固定化し、続いて(ii)プライマー鎖を固定化した以外の基体表面の活性エステル基を不活性化する、すなわち残りの活性エステル基を不活性化することにより、プライマー鎖を基体の表面に固定することができる。以下、それぞれの工程について説明する。
上記工程(i)において、鋳型DNA断片とアニールするプライマー鎖を基体上に固定化する際には、プライマー鎖を溶解又は分散した液体を点着する方法が好ましい。高分子物質に含まれる活性エステル基の一部がプライマー鎖と反応して、プライマー鎖の間で共有結合が形成される。
このプライマー鎖を溶解又は分散した液体は、例えば中性からアルカリ性、例えばpHが7.6以上とすることができる。
また、点着後、基体表面に固定化されなかったプライマー鎖を除去するため、純水や緩衝液で洗浄してもよい。
また、上記工程(ii)に示したように、洗浄後はプライマー鎖を固定化した以外のプラスチック基体表面の活性エステルの不活性化処理をアルカリ化合物、あるいは一級アミノ基を有する化合物で行う。
アルカリ化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸ナトリウム、水酸化リチウム、リン酸カリウムなどを用いることができる。
一級アミノ基を有する化合物としては、グリシン、9−アミノアクアジン、アミノブタノール、4−アミノ酪酸、アミノカプリル酸、アミノエタノール、5−アミノ2,3−ジヒドロー1,4−ペンタノール、アミノエタンチオール塩酸塩、アミノエタンチオール硫酸、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、リン酸二水素2−アミノエチル、硫酸水素アミノエチル、4−(2−アミノエチル)モルホリン、5-アミノフルオレセイン、6−アミノヘキサン酸、アミノヘキシルセルロース、p−アミノ馬尿酸、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、5−アミノイソフタル酸、アミノメタン、アミノフェノール、2−アミノオクタン、2−アミノオクタン酸、1−アミノ2−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、3−アミノプロペン、3−アミノプロピオニトリル、アミノピリジン、11−アミノウンデカン酸、アミノサリチル酸、アミノキノリン、4−アミノフタロニトリル、3−アミノフタルイミド、p−アミノプロピオフェノン、アミノフェニル酢酸、アミノナフタレンなどを用いることができる。これらのうち、アミノエタノール、グリシンを用いることが好ましい。
また、基体に固定化するプライマー鎖には、活性エステル基との反応性を高めるため、アミノ基を導入しておくことが好ましい。アミノ基は活性エステル基との反応性に優れるため、アミノ基が導入されたプライマー鎖を用いることにより、効率よくかつ強固に基体の表面上にプライマー鎖を固定化することができる。アミノ基の導入位置はプライマー鎖末端あるいは側鎖であってもよいが、分子鎖末端に導入されていることが、相補的な鋳型DNA断片とのアニーリングをより一層効率よく行うことができるという観点からは、好ましい。
以上により、プライマー鎖が固定化されたDNAマイクロアレイが得られる。
上記のように作製されたDNAマイクロアレイ表面に、固定化されたプライマー鎖にアニールさせる検出する着目遺伝子の鋳型DNA断片又は鋳型RNA断片、DNA鎖伸長用酵素系、及びヌクレオチドモノマーを含む試料が導入される。
この導入された試料からなる反応系としては、DNA鎖伸長用酵素系は、DNAポリメラーゼ又はDNAリガーゼのいずれかを用い、ヌクレオチドモノマー(dATP,dCTP,dGTP,dTTPなど)を含有するバッファーを用いることができる。
また、DNAポリメラーゼの中でも、特に耐熱性細菌に由来するDNAポリメラーゼであるTaqDNAポリメラーゼ、TthDNAポリメラーゼ、PfuDNAポリメラーゼなどを用いることもできる。
また、これらヌクレオチドモノマーの少なくとも一種をラベルしておくことができる。例えば、dTTPの塩基の3位を蛍光ラベルしたCy3−dUTPをヌクレオチドモノマーとして用いることで、鋳型DNA断片のアデニン(A)に対応する伸長(プライマー)側の位置にCy3−dUTPが挿入される。これにより、伸長反応が生じたプライマーから形成されるDNA断片がCy3−dUTPで蛍光標識されて、このDNA断片の検出を行うことができるようになる。
なお、他のヌクレオチドモノマーをラベルしてもよく、また複数の種類のヌクレオチドモノマーをラベルしてもよい。また、ラベル方法も蛍光体の導入の他に、光吸収体の導入の方法、放射線ラベルの方法(P32-ATP、P32-dATP)、酵素標識などの非放射性ラベルの方法などによってもDNA鎖を検出することができる。
酵素標識の方法においては、ビオチン(biotin)化、アミノアリル化、又はジゴキシゲニン(DIG:ステロイド系天然物)を結合した核酸(例えば、biotin-dUTP、ammino allyl-dUTP、DIG-dUTP)を使用してプライマーを伸張させた後、蛍光標識化したり、アルカリフォスファターゼ又はアルカリフォスファターゼ処理しニトロブルーテトラゾリウム(NBT)と5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸(BCIP)液中で数分〜数時間反応させることによってDNAを検出することができる。
試料が導入された反応系の温度を、DNA鎖の熱変性温度(melting temperature:Tm)以上、例えば90℃〜95℃まで上昇させる。この熱変性処理により、自己相補鎖などで見られる折れたたみ構造を有する鋳型DNA断片やプライマーが直鎖状の一本鎖になる。
続いて、反応系の温度をプライマーと鋳型DNA断片とがアニールする温度(アニール温度)、例えば4℃〜72℃、好ましくは50℃〜72℃まで下降させる。このアニール処理により、鋳型DNA断片の一部と相補的な配列を有するプライマー鎖と、この鋳型DNA断片とが二本鎖になる。この反応系に対して、洗浄処理を行わずにそのままDNA伸長反応に進める。また、アニールさせる工程で、熱変性温度以上から例えば4℃〜室温まで急冷させる工程を経た後、アニールする温度まで昇温させても良い。
ここで、従来では、アニール処理した後で伸長反応の前に、二本鎖を組まなかったDNA断片を除くための洗浄処理が必要であったが、本実施形態では、基体上に非特異的に吸着するDNA断片がないため、および基体表面環境がDNA鎖伸長にかかる酵素反応に適しているため基体の洗浄処理が不要になる。このようにして、試料導入からDNA鎖の伸長反応までを同一の液相系、すなわち反応系をそのまま用いることができる。
DNA伸長では、アニール処理を行った反応系の温度を、更に一定温度に保つように制御することが好ましい。
ここでは、鋳型DNA断片に対して耐熱性DNAポリメラーゼを用いた例を示したが、DNA鎖を鋳型として新たなDNA鎖を合成する酵素であれば特に限定はされない。このようなDNAポリメラーゼとしては、ポルI型DNAポリメラーゼ(大腸細菌DNAポリメラーゼI、クレノウ断片など)、α型DNAポリメラーゼ(ピロコッカス・フリオサス由来DNAポリメラーゼ、VENT DNAポリメラーゼ、KOD DNAポリメラーゼ、DEEP VENT DNAポリメラーゼ)及び非α非ポルI型DNAポリメラーゼ(国際公開第97/24444号パンフレット記載のDNAポリメラーゼ)等が挙げられる。
DNAポリメラーゼの代わりに、DNAリガーゼを用いてもDNA鎖伸長反応を行うことができるため、DNA鎖増幅を行うことが可能である。
このDNA鎖増幅のためには、基体上の一定の区画内に複数のスポットを設けておき、各スポットにプライマーDNA鎖を固定化しておき、マイクロアレイを形成しておくことが好ましい。
また、基体の表面に固定化させるDNA伸長用プライマーDNA鎖の長さを検出対象に応じて任意に決定することができ、例えば5〜50塩基とすることができる。
DNA伸長反応の後に、反応液を除去して、DNAマイクロアレイを、例えば0.1%のTWEEN20溶液を用いて洗浄して、終了する。
以下に、本実施形態となる遺伝子の検出方法の流れについて記載する。
基体表面へ固定化するプライマーの選択は、検出対象の遺伝子に特異的な配列をもとに設計する、プライマー鎖の長さは、20〜30塩基がDNAの伸長反応のし易さから好適である。
設計されたプライマー鎖の5’末端にアミノ修飾がなされ、基体表面の活性エステル基と反応し基体上への強固に固定化される。
本発明を用いた、遺伝子の検出方法の例を記載する。ただし本記載例に限定したものではない。
まず、採取したヒトの血液等からDNAを抽出する。抽出する方法として、市販のDNA抽出キットを使用することがあげられる。
次に、抽出されたDNAを断片化する。抽出されたDNA鎖は長いため断片化の工程が必要となる。断片化すなわち切り出しの方法の一つにPCRがあげられる。遺伝子特異配列を含む部分を増幅するように、プライマー設計を行い、PCRにより増幅することにより、DNA鎖の一部の切り出しを行う、切り出されるDNA鎖の長さが、100〜1000塩基程度になるように、プライマーの設計を行う。
DNA鎖の断片化は、PCRの他に超音波による破砕も可能である。しかし、破砕条件については、DNA鎖が細断片化されない注意を要する。また、制限酵素による断片化も
可能である。
DNA鎖断片化の後、プライマー鎖が固定された基体上で、DNA伸長反応を行う。
断片化されたDNA鎖、DNA伸長酵素、ヌクレオチドモノマーを含む溶液を、プライマーDNA鎖が固定された基体上に供給し、必要に応じてカバーをかけ、密閉容器中に納め、所定のヒートサイクルにより加熱を行いDNA鎖の伸長反応を行う。
ヌクレオチドモノマーの何れかに、Cy3などの蛍光色素を標識しておけば、蛍光スキャナーによりスポットの確認が可能である。
あるいは、ヌクレオチドモノマーの何れかに、ビオチンを標識しておき、DNA伸長反応の後、アルカリフォスファターゼを標識したアビジンを反応させることにより、伸長したDNAにアルカリフォスファターゼを標識した後、BCIP/NTBなどの発色試薬を作用させることにより、DNAが伸長したスポットの可視化が可能となる。可視化された
スポットは、目での認識が可能である他、デジタルカメラやOAスキャナーで画像を認識し、画像処理ソフトなどを使って、スポットの強度の解析も可能となる。
以下、実施例を記載する。
以下の手法にて、遺伝子に特異的なDNA配列よりなるENA化したプライマー鎖およびENA化しないプライマー鎖を、本実施形態に対応するプラスチック基体の表面に固定化して、各プライマー固定化基体上でDNA鎖伸長反応を行って、プライマーのDNA鎖伸長反応を検出し、遺伝子の検出能の評価を行った。このとき、ENA化したヌクレオチドの位置は、プライマー鎖の3’末端の1箇所とした。本実施例では、遺伝子として大腸菌、黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌および緑膿菌23SリボゾームDNAを使用した。
(実施例1)
黄色ブドウ球菌の検出を行った。以下、実施例の詳細を記載する。
(プラスチック基板の製造)
飽和環状ポリオレフィン樹脂(5−メチル−2ノルボルネンの開環重合体の水素添加物(MFR(Melt flow rate):21g/10分、水素添加率:実質的に100%、熱変形温度123℃)を用い、射出成形によりスライドガラス形状の基板を得た。基板を2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン−ブチルメタクリレート−p−ニトロフェニルオキシカルボニルポリエチレングリコールメタクリレート共重合体(各基は、モル%で25:74:1)の0.5重量%エタノール溶液に浸漬することにより、基板表面にホスホリルコリン基と活性エステル基とを有する高分子物質を導入して、プラスチック基板を得た。
(プライマー固定)
5’末端がアミノ基で修飾された、各菌23SリボゾームDNA配列特異なオリゴDNA鎖を0.25M炭酸バッファー(pH9.0)を用いて溶解し、0.5μMのオリゴDNA溶液を調製した。このとき、オリゴDNA鎖の3’末端をENA化したものを用いた。この溶液をスポッター(日立ソフトウェアエンジニアリング社製MARKS-I)を用い、100μm径クロスカットピンでプラスチック基板の表面上にスポットした。オリゴDNAをスポットした基板を、80℃で一時間加熱して、オリゴDNA(プライマー)を固定化させた。
スポットおよび固定化させた大腸菌検出用プライマーの鎖配列を下記に示す。
黄色ブドウ球菌:agtaggataggcgaagcgtgcgatt(配列番号1) SA
大腸菌: ctgatatgtaggtgaagcgacttgctcg(配列番号2) ECO
緑濃菌: gttaatcgacgcagggttagtcggtt(配列番号3) PA
サルモネラ菌: tgtgtgttccaggtaaatccggttc(配列番号4) SAL
ポジティブコントロール:gacagccaggatgttggcttagaagcagc(配列番号5)POS
(菌の培養)
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus ATCC 25923)を寒天培地で培養し、37℃、一昼夜(14-18時間)行った。培地はインスタント培地である"普通ブイヨン栄研"を用い、液体培地は" 普通ブイヨン栄研"の指示量を脱塩水に溶かし、寒天培地はそれに1.6%の寒天を加え、それぞれオートクレーブ後、使用した。
(23SリボゾームDNAの抽出)
上記菌培養における1つのコロニーを、200μlのPBS(−)中に分散させ、DNA抽出キット(Invitrogen)を用い、3μlのDNA抽出液を得た。
(PCRによる23SリボゾームDNA鎖増幅反応)
23SリボゾームDNAのユニバーサルプライマーを用い、PCR反応により23SリボゾームDNAの増幅をおこなった。
PCRによる増幅に使用プライマーの配列を下記に示す。
プライマー配列:
センス :5‘−gacagccaggatgttggcttagaagcagc(配列番号5)
アンチセンス:下記を同量混合したものを用いた。
5‘−ggaatttcgctaccttaggaccgttatagttacg(配列番号6)
5‘−ggaatttcgctaccttaggatggttatagttacc(配列番号7)
25μL中に上記プライマー各々を12.5pmol、200μMのdATP、dCTP、dGTP、dTTP、0.5UのDNAポリメラーゼ(タカラバイオ株式会社製Ex Taq)をPCRバッファー中に溶解させ、
サーマルサイクラーにより、熱変性95℃1分、アニーリング75℃2分、DNA鎖の伸長反応72℃5分のヒートサイクルで、10サイクル行い、PCR産物を得た。
(基板上でのDNAの伸長反応)
PCRバッファー(タカラバイオ株式会社製10X EX Taq Buffer 25μL中に2μlの上記PCR産物、100μMのdATP、dCTP、dGTP、Cy3標識dUTP、0.5UのDNAポリメラーゼ(タカラバイオ株式会社製Ex Taq)を溶解させ試料溶液とし、以降の実施例に使用した。
試料溶液を95℃で7分熱変性させた後、基板上に分注し、70℃で30分静置させDNA鎖伸長反応を行った。
DNA伸長反応の後、基板を0.1%のTween20水溶液を用いて洗浄して、終了した。
スライド用スキャナー(ScanArrayパーキンエルマー社製)によりスポットの蛍光強度を測定した。
菌から抽出したDNA溶液について、基板上に固定した上記プライマー各々のスポットの蛍光強度について比較をおこなった。
(実施例2)
実施例1と同様にして、大腸菌の検出を行った。なお検出には、Escherichia coli ATCC 25922の菌株を使用した。
(実施例3)
実施例1と同様にして、緑膿菌の検出を行った。なお検出には、Pseudomonas aeruginosa ATCC 2785の菌株を使用した。
(実施例4)
実施例1と同様にして、サルモネラ菌の検出を行った。なお検出には、Salmonella enterica subsp. enterica serovar Typhimurium ATCC 14028の菌株を使用した。
(比較例1)
プラスチック基板の表面上にスポットするプライマー鎖のENA化を行わず、その他の工程は実施例1と同様に、黄色ブドウ球菌の検出を行った。
(比較例2)
プラスチック基板の表面上にスポットするプライマー鎖のENA化を行わず、その他の工程は実施例2と同様に、大腸菌の検出を行った。
(比較例3)
プラスチック基板の表面上にスポットするプライマー鎖のENA化を行わず、その他の工程は実施例3と同様に、緑膿菌の検出を行った。
(比較例4)
プラスチック基板の表面上にスポットするプライマー鎖のENA化を行わず、その他の工程は実施例4と同様に、サルモネラ菌の検出を行った。
実施例1〜4および比較例1〜4におけるスポットの蛍光強度の比較を表1および表2に示す。
Figure 2009219358
Figure 2009219358
ENA化したプライマー鎖で遺伝子を検出した場合には、ENA化していないプライマー鎖で検出した場合と比較して、非特異的なシグナル検出が起こりにくい結果となった。

Claims (18)

  1. リン脂質の親水部を構成するリン酸エステルより誘導される基を有する第一単位と電子求引性の置換基がカルボニル基に結合してなるカルボン酸誘導基を有する第二単位とを含む高分子物質を表面に有する基体に、
    (a)一部又は全てのヌクレオチドがENA(2’−O,A’−O−Ethylene−Bridged Nucleic Acids)に置換されたDNA伸長用プライマー鎖を基体表面に固定化する工程、
    (b)検出する着目遺伝子のDNA断片又はRNA断片、ヌクレオチドモノマー、及びDNA伸長用酵素を含む試料溶液を基体表面に接触させる工程、
    (c)前記試料溶液中のDNA断片を又はRNA断片を鋳型にして、基体表面に固定化されている前記DNA伸長用プライマー鎖を伸長させる工程、を含むことを特徴とする遺伝子の検出方法。
  2. 前記DNA伸長用プライマー鎖のENA置換ヌクレオチドが、プライマー鎖の3’末端を含む位置に導入されていることを特徴とする請求項1記載の遺伝子の検出方法。
  3. 前記DNA伸長用プライマー鎖が、前記着目遺伝子の特徴配列を含む塩基配列の一塩基を他の塩基に置換されていること特徴とする請求項1又は2記載の遺伝子の検出方法。
  4. 前記一塩基の置き換えが、3‘末端で行なわれることを特徴とする請求項3記載の遺伝子の検出方法。
  5. 請求項1〜4いずれか記載に記載の遺伝子の検出方法において、
    前記高分子物質の第一単位に含まれるリン酸エステルより誘導される基は、ホスホリルコリン基、ホスホリルエタノールアミン基、ホスホリルセリン基、ホスホリルイノシトール基、ホスホリルグリセロール基、ホスファチジルホスホリルグリセロール基のいずれかであることを特徴とする遺伝子の検出方法。
  6. 請求項1〜5いずれか記載の遺伝子の検出方法において、
    前記ヌクレオチドモノマーのいずれかに標識がなされていることを特徴とする遺伝子の検出方法。
  7. 請求項6記載の遺伝子の検出方法において、
    標識が蛍光色素であることを特徴とする遺伝子の検出方法。
  8. 請求項6記載の遺伝子の検出方法において、
    更に(d)ヌクレオチドモノマーの標識に酸化還元酵素を導入し、酸化又は還元反応により、発色する基質を加え、該基質を発色させる工程、
    を含むことを特徴とする遺伝子の検出方法。
  9. 請求項1〜8いずれか記載の遺伝子の検出方法において、
    前記DNA鎖伸長用酵素が、DNAポリメラーゼ又はDNAリガーゼであることを特徴とする遺伝子の検出方法。
  10. 請求項1〜9いずれか記載の遺伝子の検出方法において、
    前記DNA伸長用プライマー鎖が、前記電子求引性の置換基がカルボニル基に結合してなるカルボン酸誘導基を有する第二単位の部位で共有結合していることを特徴とする遺伝子の検出方法。
  11. 請求項1〜10いずれか記載の遺伝子の検出方法において、
    前記高分子物質がブチルメタクリレート基を含む第三単位を有することを特徴とする遺伝子の検出方法。
  12. 請求項1〜11いずれか記載の遺伝子の検出方法において、
    前記基体は、前記高分子物質に加えて、リン脂質の親水部を構成するリン酸エステルより誘導される基を有する第一単位と、ブチルメタクリレート基を含む第三単位とを有する第二の高分子物質を含むことを特徴とする遺伝子の検出方法。
  13. 請求項1〜12いずれか記載の遺伝子の検出方法において、
    前記基体が、プラスチック材料からなることを特徴とする遺伝子の検出方法。
  14. 請求項1〜13いずれか記載の遺伝子の検出方法において、
    前記(c)の工程が、所定のヒートサイクルを加えることにより行われることを特徴と
    する遺伝子の検出方法。
  15. 請求項14記載の遺伝子の検出方法において、
    ヒートサイクル数が1以上であることを特徴とする遺伝子の検出方法。
  16. 請求項14又は15に記載の遺伝子の検出方法において、
    前記ヒートサイクルが、熱変性温度での保持、アニール処理温度での保持、DNA伸長温度での保持を含むことを特徴とする遺伝子の検出方法。
  17. 請求項16に記載の遺伝子の検出方法において、
    アニール処理温度とDNA伸長温度が同一温度であることを特徴とする遺伝子の検出方法。
  18. 請求項1〜17いずれか記載の遺伝子の検出方法に使用する遺伝子検出用担体であって、リン脂質の親水部を構成するリン酸エステルより誘導される基を有する第一単位と電子求引性の置換基がカルボニル基に結合してなるカルボン酸誘導基を有する第二単位とを含む高分子物質を表面に有する基体に、一部又は全てのヌクレオチドがENAに置換されたDNA伸長用プライマー鎖が基体表面に固定化した遺伝子検出用担体。
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