JP2008061515A - Dna配列の検出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 生体由来の検体に対して信頼性高く且つ高速に検体のDNAを識別できるDNA配列の検出方法を提供すること。
【解決手段】 リン脂質の親水部を構成するリン酸エステルより誘導される基を有する第一単位と電子求引性の置換基がカルボニル基に結合してなるカルボン酸誘導基を有する第二単位とを含む高分子物質を表面に有する基体に、(a)検出の対象となる生体サンプル由来のDNA鎖の塩基配列と相同する塩基配列の一部よりなるDNA伸長用プライマーDNA鎖を基体表面に固定する工程、(b)生体由来サンプルより調製したDNA鎖、ヌクレオチドモノマー、DNA伸長用酵素、及びPCR用プライマー、を含む試料溶液を基体表面に接触させる工程、(c)検出対象のDNA鎖の特定部位を増幅する工程、(d)DNA伸長用プライマーDNA鎖を伸長させる工程、を含むDNA配列の検出方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、生体由来検体中のDNA鎖の検出を行なうDNA配列の検出方法に関する。
従来、サルモネラ菌等の細菌の検出・同定は、細菌を培養することで細菌を増殖させ、糖の資化性検査等の生化学検査を行なうことにより主として行なわれている。例えば、サルモネラ菌の検出・同定 には増菌、分離培養、生化学性状による確認培養、O(菌体)抗原、K(Vi莢膜)抗原、H(鞭毛)抗原による血清型別が行なわれ、各検査の総合的判断が必要とされている。しかしながら、この方法は時間と手間が掛かる上に、例外的な性状が判断を困難にする場合等があった。資化性検査用の簡便なキットも市販され広く用いられてきているが、通常1検体につき1キットが必要であり、かつ使い捨てであるため、大量の検体の検査を行なうと膨大な医療廃棄物が発生してしまうという問題も残されていた。
また、細菌種特有な塩基配列を有するプライマーを用いたポリメラーゼ・チェイン・リアクション(PCR法)により特定のDNA 断片の増幅の有無から細菌種を特定する方法が開発されている。しかしながら、微生物の多様性によりプライマーの伸長反応部分に変異が起こると、偽陰性の危険性を含んでいた。PCRは数百万モノDNAコピーを合成できる一方で、混入物に非常に敏感なためごく微量の鋳型DNAから反応を開始する場合、前に行なった反応の生成物(生成物のキャリーオーバー)あるいは反応系の外から入ってくる物質のコンタミネーションが問題となる。例えば標的配列を含むプラスミドが反応系に1コピー混入しただけで結果の解釈を誤らせる可能性がある。また、PCR等の核酸増幅を用いる場合には、ポリメラーゼ等の高価な酵素を使用せねばならず、コストを下げることが困難であるという問題も持ち合わせていた。
一方、最近、DNAマイクロアレイあるいはDNAチップとよばれる、配列の異なる多数のDNA断片を基板のそれぞれ異なる箇所に固定したものに、遺伝子の発現状態を調べたい細胞から取り出したメッセンジャーRNAの逆転写物(蛍光標識あるいはラジオアイソトープ標識をしたもの)をふりかけ、ハイブリダイゼーションを行った後、それぞれの配列のDNA断片固定箇所にどの程度逆転写物がハイブリダイズしたかを調べ、試料細胞中の遺伝子発現を調べる方法が注目されている。この方法を利用して、細菌種特有なメッセンジャーRNAを検出することで、細菌検体の細菌種を識別する方法も開発されてきている。しかし、細菌の場合には、通常アレイの解析に必要な10マイクログラム以上の十分なRNAが取れないことから実用的には大いに問題が残されている。また、逆転写反応には高価な逆転写酵素が必要であることから低コスト化が困難であるという問題もある。
また、特定の細菌種に特異的な塩基配列を持つオリゴヌクレオチドを、複数種類の細菌種に対して1枚のスライドガラス上に固定してアレイを作製しておき、細菌検体のゲノムDNA の特定の塩基配列部位をPCR法を用いて増幅し、増幅と同時にあるいは増幅後に常法により標識化したcDNA をアレイにかけてハイブリダイゼーションさせ、アレイ上に結合した標識を検出することで、細菌種を同定する方法も提案されている。この方法では、PCR法を用いるため高価な酵素が不可欠であり、低コスト化が難しい。また、1検体の検査に1アレイ必要であるため、アレイ作製費用、ハイブリダイゼーションに必要な試薬費用、検出にかかわる費用等を勘案すると非常にコストが高くなってしまうという問題があった。
非特許文献1には、ガラス基板の表面に細菌由来の23SリボゾームDNA鎖を増幅するプライマーDNAを固定化し、23SリボゾームDNAを鋳型にしてPCR様環境化でプライマーを伸長させ、細菌の検出を行なう方法が記載されている。この方法は、遺伝子の増幅とDNAマイクロアレイによる検出を同時に行なうのに近い操作となっており、操作の簡便化が図れかつ、迅速に菌の検出が出来ることが期待できるが、実際には感度が悪く、予めPCRによりかなり増幅した検体溶液を基板表面に供給し、基板上でのDNA伸長反応を行なう必要がある。
また特許文献1には、基板表面に所定の高分子物質を配した基板を用いると、再現性よくプライマーが伸長し菌の検出感度が向上できることが記載されている。しかしながら、この例でも実際には予めPCRにより増幅した検体溶液を用意し、基板上でのDNA伸長反応を行なう必要がある。
Georg Mitterer, et al, "Microarray-Based Identification in Clinical Samples by Solid-Phase PCR Amplification of 23S Ribosomal DNA Sequences of poly", Journal of Clinical Microbiology, 2004, Vol. 42, No.3 p1048-1057 特願2005−214501号
本発明の目的は、生体由来の検体に対して信頼性高く且つ高速に検体のDNAを識別できるDNA配列の検出方法を提供することにある。また、DNAアレイのように数多くの検体について、検出を並列的に行なうことにより、非常に高速かつ低コストで検体の同定を行なうことが可能なDNA配列同定方法を提供することを目的になされたものである。
本発明は、以下のとおりである。
(1)リン脂質の親水部を構成するリン酸エステルより誘導される基を有する第一単位と電子求引性の置換基がカルボニル基に結合してなるカルボン酸誘導基を有する第二単位とを含む高分子物質を表面に有する基体に、
(a)検出の対象となる生体サンプル由来のDNA鎖の塩基配列と相同する塩基配列の一部よりなるDNA伸長用プライマーDNA鎖を基体表面に固定する工程、
(b)生体由来サンプルより調製したDNA鎖、ヌクレオチドモノマー、DNA伸長用酵素、及び検出対象のDNA鎖について特異的配列を含むDNA鎖の一部を増幅させるPCR用プライマー、を含む試料溶液を基体表面に接触させる工程、
(c)前記試料溶液中のPCR用プライマーが検出対象のDNA鎖を鋳型にして、検出対象のDNA鎖の特定部位を増幅する工程、
(d)(c)の工程で増幅された検出対象のDNA鎖を鋳型にして、基体表面に固定化されているDNA伸長用プライマーDNA鎖を伸長させる工程、
を含むことを特徴とするDNA配列の検出方法。
(2)(1)記載のDNA配列の検出方法において、
生体サンプル由来DNA鎖が、細菌の16S又は23SリボゾームDNAであることを特徴とするDNA配列の検出方法。
(3)(1)に記載のDNA配列の検出方法において、
前記(c)および(d)の工程が、所定のヒートサイクルを加えることにより、同時に行なわれることを特徴とするDNA配列の検出方法。
(4)(1)に記載のDNA配列の検出方法において、
前記基体の第一単位に含まれるリン酸エステルより誘導される基は、ホスホリルコリン基、ホスホリルエタノールアミン基、ホスホリルセリン基、ホスホリルイノシトール基、ホスホリルグリセロール基、ホスファチジルホスホリルグリセロール基のいずれかであることを特徴とするDNA配列の検出方法。
(5)(1)に記載のDNA配列の検出方法において、
前記ヌクレオチドモノマーのいずれかに標識がなされていることを特徴とするDNA配列の検出方法。
(6)(1)記載のDNA配列の検出方法において、
前記DNA鎖伸長用酵素が、DNAポリメラーゼ又はDNAリガーゼであることを特徴とするDNA配列の検出方法。
(7)(1)に記載のDNA配列の検出方法において、
前記DNA伸長用プライマーDNA鎖が、前記電子求引性の置換基がカルボニル基に結合してなるカルボン酸誘導基を有する第二単位の部位で共有結合していることを特徴とするDNA配列の検出方法。
(8)(1)に記載のDNA配列の検出方法において、
前記PCR用プライマーが、前記記載の高分子物質と共有結合していないことを特徴とするDNA配列の検出方法。
(9)(1)に記載のDNA配列の検出方法において、
前記高分子物質がブチルメタクリレート基を含む第三単位を有することを特徴とするDNA配列の検出方法。
(10)(1)又(9)に記載のDNA配列の検出方法において、
前記基体は、前記高分子物質に加えて、リン脂質の親水部を構成するリン酸エステルより誘導される基を有する第一単位と、ブチルメタクリレート基を含む第三単位とを有する第二の高分子物質を含むことを特徴とするDNA配列の検出方法。
(11)(1)に記載のDNA配列の検出方法において、
前記基体が、プラスチック材料からなることを特徴とするDNA配列の検出方法。
(12)(1)又は(11)記載のDNA配列の検出方法において、
(a)の工程を経た基体を、PCR用マイクロチューブ内に入れて、前記チューブ内で(b)〜(d)の工程を行ななうことを特徴とするDNA配列の検出方法。
(13)(3)に記載のDNA配列の検出方法において、
前記ヒートサイクルが、熱変性温度での保持、アニール処理温度での保持、DNA伸長温度での保持を含むことを特徴とするDNA配列の検出方法。
(14)(3)又は(13)記載のDNA配列の検出方法において、
ヒートサイクル数が1以上であることを特徴とするDNA配列の検出方法。
(15)(13)又は(14)に記載のDNA配列の検出方法において、
アニール処理温度とDNA伸長温度が同一温度であることを特徴とするDNA配列の検出方法。
(16)(5)記載のDNA配列の検出方法において
標識が蛍光色素であることを特徴とするDNA配列の検出方法。
(17)(5)記載のDNA配列の検出方法において、
更に(e)ヌクレオチドモノマーの標識に酸化還元酵素を導入し、酸化又は還元反応により、発色する基質を加え、該基質を発色させる工程、
を含むことを特徴とするDNA配列の検出方法。
本発明に係るDNA配列の検出方法は、リン脂質の親水部を構成するリン酸エステルより誘導される基を有する第一単位と電子求引性の置換基がカルボニル基に結合してなるカルボン酸誘導基を有する第二単位とを含む高分子物質を表面に有する基体に、DNA伸長用のプライマーDNA鎖を固定化させ、所望するDNA断片鎖を鋳型にして、DNA鎖伸長用酵素系、PCR用プライマー、およびヌクレオチドモノマーを含む試料が導入された液相系を、DNA鎖を熱変性する温度(以下、「熱変性処理温度」という)まで引き上げ、前記反応系の温度をアニール処理する温度(以下、「アニール処理温度」という)まで下げ、DNA伸長温度を保つことにより、鋳型DNA鎖を増幅し、基体上に固定化されたDNA鎖の伸長反応を行ない、かつ全処理を同一の液相系で行なうことを特徴としている。
また、基体をPCR用マイクロチューブに入れられる構造とし、基体表面にDNA伸長用のプライマーDNA鎖を固定化し(マイクロチップ)、前記記載の反応をPCR用マイクロチューブ内で行なうことを特徴としている。
また、従来ではアニール処理した後で伸長反応の前に、二本鎖を組まなかったDNA断片を除くための洗浄処理が必要であったが、基体上に非特異的に吸着するDNA鎖がないこと、およびDNA鎖伸長にかかる酵素反応が有効機能すると考えられ、伸長反応の前に基体の洗浄処理が不要になる。
このDNA鎖伸長方法において、基体の第一単位に含まれるリン酸エステルより誘導される基は、ホスホリルコリン基、ホスホリルエタノールアミン基、ホスホリルセリン基、ホスホリルイノシトール基、ホスホリルグリセロール基、ホスファチジルホスホリルグリセロール基のいずれかにすることができる。
このように、基体の表面にリン脂質と同様の環境を設けることで、基体表面で起こるDNA鎖伸長反応が細胞内と同等の環境下で行なうことが可能になり、酵素反応効率が高く、DNA鎖伸長を、よりマイルドな条件でより高効率に行なうことが可能になる。
本発明は、基体上にプライマーDNA鎖を固定化し、液相中のPCR用プライマーによる鋳型DNA鎖の増幅させ、プライマーDNA鎖の伸長反応によりDNA配列を検出する方法であって、予めPCRによる遺伝子の増幅をする必要がなく、高感度にDNA配列の検出が可能となる。また、PCR用マイクロチューブ内ですべての反応が行なえるため、反応操作も簡略化できる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明に使用される基体の表面には、リン脂質の親水部を構成するリン酸エステルより誘導される基を有する第一単位と電子求引性の置換基がカルボニル基に結合してなるカルボン酸誘導基を有する第二単位とを含む高分子物質が存在するようになっている。
このリン脂質の親水部を構成するリン酸エステルより誘導される基を含む第一単位と電子求引性の置換基がカルボニル基に結合してなるカルボン酸誘導基を有する第二単位とを有する高分子物質は、DNA鎖の非特異的吸着を抑制する性質とDNA鎖を固定化する性質とを併せ持つポリマーである。特に、第一単位に含まれるリン脂質の親水部を構成するリン酸エステルより誘導される基は鋳型DNA断片の非特異的吸着を抑制する役割を果たし、第二単位に含まれるカルボン酸誘導基はプライマーを化学的に固定化する役割を果たす。すなわち、プライマーは、この高分子物質からなるコーティング層のカルボン酸誘導基の部位で共有結合して、当該基体の表面に固定化される。
第一の単位は、たとえば、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン基、6−メタクリロイルオキシヘキシルホスホリルコリン基等の(メタ)アクリロイルオキシアルキルホスホリルコリン基;
2−メタクリロイルオキシエトキシエチルホスホリルコリン基および10−メタクリロイルオキシエトキシノニルホスホリルコリン基等の(メタ)アクリロイルオキシアルコキシアルキルホスホリルコリン基;
アリルホスホリルコリン基、ブテニルホスホリルコリン基、ヘキセニルホスホリルコリン基、オクテニルホスホリルコリン基、およびデセニルホスホリルコリン基等のアルケニルホスホリルコリン基;
等の基を有し、ホスホリルコリン基がこれらの基中に含まれている構成とすることができる。
また、これらの基のうち、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンが好ましい。第一単位が2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを有する構成とすることにより、基体表面における鋳型DNA断片の非特異的吸着をより一層確実に抑制することができる。
なお、ここでは基本骨格として下記式(a)に示すホスホリルコリン基である例を挙げたが、このホスホリルコリンを下記式(b)のホスホリルエタノールアミン基、下記式(c)のホスホリルイノシトール基、下記式(d)のホスホリルセリン基、下記式(e)のホスホリルグリセロール基、下記式(f)に示したホスファチジルホスホリルグリセロール基などのリン酸基に置き換えてもよい(以下についても同様)。
Figure 2008061515
カルボン酸誘導体は、カルボン酸のカルボキシル基が活性化されたものであり、C=Oを介して脱離基を有するカルボン酸である。カルボン酸誘導体は、具体的には、アルコキシル基よりも電子求引性の高い基がカルボニル基に結合して求核反応が活性化された化合物である。カルボン酸誘導基は、アミノ基、チオール基、水酸基等に対する反応性を有する化合物である。
カルボン酸誘導体として、さらに具体的には、カルボン酸であるアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボキシル基が、酸無水物、酸ハロゲン化物、活性エステル、活性化アミドに変換された化合物が挙げられる。カルボン酸誘導基は、こうした化合物に由来する活性化された基であり、たとえば、p−ニトロフェニル基やN−ヒドロキシスクシンイミド基等の活性エステル基;
―Cl、−F等のハロゲン;
等の基を有することができる。
また、カルボン酸誘導基は、下記式(1)に示される基とすることができる。
Figure 2008061515
(ただし、上記式(1)において、Aは水酸基を除く脱離基である。)
上記式(1)に示される一価の基は、たとえば下記式(p)または式(q)から選択されるいずれかの基とすることができる。
Figure 2008061515
(ただし、上記式(p)および式(q)において、R1およびR2は、それぞれ独立して、一価の有機基であり、直鎖状、分岐状、および環状のいずれであってもよい。また、上記式(p)において、R1はCとともに環を形成する二価の基であってもよい。また、上記式(q)において、R2はNとともに環を形成する二価の基であってもよい。)
上記式(p)に示される基として、たとえば下記式(r)、(s)、および(w)に示される基が挙げられる。また、上記式(q)に示される基として、たとえば下記式(u)に示される基が挙げられる。
上記式(1)に示される基は、たとえば下記式(r)、式(s)等に示される酸無水物由来の基;
下記式(t)に示される酸ハロゲン化物由来の基;
下記式(u)、式(w)に示される活性エステル由来の基;または
下記式(v)に示される活性化アミド由来の基とすることができる。
Figure 2008061515
カルボン酸誘導基のうち、活性エステル基は、穏やかな条件における反応性に優れるため、好ましく用いられる。穏やかな条件としては、たとえば中性またはアルカリ性の条件、具体的にはpH7.0以上10.0以下、さらに具体的にはpH7.6以上9.0以下、さらにまた具体的にはpH8.0とすることができる。
また、本明細書において規定するところの「活性エステル基」は、その定義について厳密な規定はなされていないが、慣用の技術表現としては、エステル基のアルコール側に酸性度の高い電子求引性基を有して求核反応を活性化するエステル群、すなわち反応活性の高いエステル基を意味するものとして、各種の化学合成、たとえば高分子化学、ペプチド合成等の分野で慣用されているものである。なお、ペプチド合成の分野においては、泉屋信夫、加藤哲夫、青柳東彦、脇道典著、「ペプチド合成の基礎と実験」、1985年発行、丸善、に記載されているように、活性エステル法はアミノ酸またはペプチドのC末端を活性化する方法の一つとして用いられている。
実際的には、エステル基のアルコール側に、電子求引性の基を有し、アルキルエステルよりも活性化されたエステル基である。活性エステル基は、アミノ基、チオール基、水酸基等の基に対する反応性を有する。さらに具体的には、フェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N−ヒドロキシアミンエステル類、シアノメチルエステル、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等がアルキルエステル等に比べてはるかに高い活性を有する活性エステル基として知られている。
ここでは、高分子物質中の活性化カルボン酸誘導体基が活性エステル基である場合を例に、説明する。活性エステル基としては、たとえばp−ニトロフェニル基、N−ヒドロキシスクシンイミド基、コハク酸イミド基、フタル酸イミド基、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド基等が挙げられるが、たとえばp−ニトロフェニル基が好ましく用いられる。
表面にプライマーが固定化される基体の場合、第一単位と第二単位のさらに具体的な構成の組み合わせとして、たとえば、リン脂質の親水部を構成するリン酸エステルより誘導される基を含む第一単位が2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン基を有し、活性エステル基がp−ニトロフェニル基である構成とすることができる。
また、本実施形態の基体のコーティング層に使用される高分子物質は、リン脂質の親水部を構成するリン酸エステルより誘導される基およびカルボン酸誘導基以外に他の基を含んでもよい。また、高分子物質は共重合体とすることができる。具体的には、高分子物質がブチルメタクリレート基を含む共重合体であることが好ましい。こうすることにより、高分子物質を適度に疎水化し、この高分子物質の基体表面への吸着性をさらに好適に確保することができる。
具体的には、高分子物質を、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)基を有する第一単量体と、p−ニトロフェニルオキシカルボニルポリエチレングリコールメタクリレート(NPMA)基を有する第二単量体と、ブチルメタリレート(BMA)基を有する第三単量体との共重合体とすることができる。これらの共重合体であるpoly(MPC−co−BMA−co−NPMA)(PMBN)は、模式的に下記一般式(2)で示される。
Figure 2008061515
ただし、上記一般式(2)において、a、b、およびcは、それぞれ独立して、正の整数である。また、上記一般式(2)において、第一〜第三単量体がブロック共重合していてもよいし、これらの単量体がランダムに共重合していてもよい。
上記一般式(2)で示される共重合体は、高分子物質の適度な疎水化と、鋳型DNA断片の非特異吸着を抑制する性質と、プライマーを固定化する性質とのバランスとに、より一層優れた構成である。このため、このような共重合体を用いることにより、基体表面をより一層確実に高分子物質で被覆するとともに、高分子物質がコーティングされた基体上への鋳型DNA断片の非特異的吸着を抑制しつつ、プライマーをさらに確実に共有結合により固定化して基体上に導入することができる。
なお、上記一般式(2)で示される共重合体は、MPC、BMA、およびNPMAの各単量体を混合し、ラジカル重合等の公知の重合方法により得ることができる。上記一般式(2)で示される共重合体をラジカル重合により作製する場合、たとえば、Ar等の不活性ガス雰囲気にて、30℃以上90℃以下の温度条件で溶液重合を行なうことができる。
溶液重合に使用される溶媒は適宜選択されるが、たとえば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコールや、ジエチルエーテル等のエーテル、クロロホルム等の有機溶媒を単独でまたは複数混合して用いることができる。具体的には、ジエチルエーテルとクロロホルムを体積比で8対2とした混合溶媒とすることができる。
また、ラジカル重合反応に使用されるラジカル重合開始剤としては、通常使用されるものを用いることができる。たとえば、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスバレロニトリル等のアゾ系開始剤;
過酸化ラウロイル、過酸化ベンゾイル、t−ブチルペルオキシネオデカノエート、t−ブチルペルオキシピバレート等の油溶性の有機過酸化物;
などが用いられる。
さらに具体的には、ジエチルエーテルとクロロホルムを体積比で8対2とした混合溶媒およびAIBNを用い、Ar中、60℃にて2〜6時間程度重合を行なうことができる。
なお、本実施形態では、高分子物質がブチルメタクリレート基を含む第三単位を有する例を説明したが、リン脂質の親水部を構成するリン酸エステルより誘導される基を含む第一単位とカルボン酸誘導基を含む第二単位とを有する高分子物質を第一の高分子物質とし、これに加えて、リン脂質の親水部を構成するリン酸エステルより誘導される基を含む第一単位とブチルメタクリレート基を含む第三単位とを有する第二の高分子物質を含んでいてもよい。
なお、上記第一の高分子物質の第一単位と上記第二の高分子物質の第一単位とは同一構造であってもよいし、異なる構造であってもよい。また、上記第一の高分子物質がブチルメタクリレート基を含む第三単位を含むとき、この第一の高分子物質の第三単位と上記第二の高分子物質の第三単位とは同一構造であってもよいし、異なる構造であってもよい。
このような第二の高分子物質は、鋳型DNA断片の非特異的吸着を抑制するポリマーとして用いられる。このようなポリマーとしては、たとえばホスホリルコリン基が30モル%、ブチルメタクリレート基が70モル%の割合で含まれているものであるMPCポリマー(日本油脂社製)を用いることができる。
なお、高分子物質が上記第一の高分子物質、第二の高分子物質からなる場合、これらの高分子物質が混合されている構成とすることができる。各々の高分子物質のポリマーは、たとえばエタノール溶液に溶解できるため、それぞれのポリマー溶液を混合することにより容易に混合ポリマーを得ることができる。
以上のような高分子物質からなるコーティング層を表面に含む基体は、所定の形状に加工された基体の表面に高分子物質を含む液体を塗布し、乾燥することにより得られる。また、高分子物質を含む液体中に基体を浸漬し、乾燥してもよい。
また、基体として、プラスチック材料を用いた場合には、形状やサイズの変更に対する柔軟性が確保される上に、ガラス基板のものに比べて安価で提供することができるという観点から好ましい。このようなプラスチック材料としては、表面処理の容易性および量産性の観点から、熱可塑性樹脂を用いることができる。
熱可塑性樹脂としては、蛍光発生量の少ないものを用いることができる。蛍光発生量の少ない樹脂を用いることにより、DNA鎖の検出反応におけるバックグランドを低下させることができるため、検出感度をさらに向上させることができる。蛍光発生量の少ない熱可塑性樹脂としては、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の直鎖状ポリオレフィン;
環状ポリオレフィン;
含フッ素樹脂;
等を用いることができる。上記樹脂の中でも、飽和環状ポリオレフィンは、耐熱性、耐薬品性、低蛍光性、透明性および成形性に特に優れるため、光学的な分析に好適であり、基体の材料として好ましく用いられる。
ここで、飽和環状ポリオレフィンとは、環状オレフィン構造を有する重合体単独または環状オレフィンとα−オレフィンとの共重合体を水素添加した飽和重合体を指す。前者の例としては、たとえばノルボルネン、ジシクロペンタジエン、テトラシクロドデセンに代表されるノルボルネン系モノマー、及び、これらのアルキル置換体を開環重合して得られる重合体を水素添加して製造される飽和重合体である。後者の共重合体はエチレンやプロピレン、イソプロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のα−オレフィンと環状オレフィン系モノマーのランダム共重合体を水素添加することにより製造される飽和重合体である。共重合体では、エチレンとの共重合体が最も好ましい。これらの樹脂は単独で用いてもよく、2種類またはそれ以上の共重合体あるいは混合物であってもよい。また、環状オレフィン構造を有する単量体が開環重合して得られる飽和環状ポリオレフィンだけでなく、環状オレフィン構造を有する単量体の付加重合により得られる飽和環状ポリオレフィンを用いることもできる。
以上のような高分子物質を表面に含むプラスチック材料からなる基体は、所定の形状に加工された基体の表面に高分子物質を含む液体を塗布し、乾燥することにより得られる。また、高分子物質を含む液体中に基体を浸漬し、乾燥してもよい。
なお、基体の材料をプラスチックとした場合、形状は板状には限られず、たとえばフィルム状やシート状であってもよい。具体的には、基体を可とう性のプラスチックフィルムとすることもできる。また、基体は、一つの部材から構成されていてもよいし、複数の部材から構成されていてもよい。
また、プラスチック基体の形状を、PCR用マイクロチューブ内に入れることができる構造、サイズにすることもできる。この場合、本発明による反応工程をPCR用マイクロチューブ内ですべて行なうことができる。このようなプラスチック基体としては、たとえば、幅1〜3mm、長さ10〜20mm、厚み0.5〜2mmの平板状のものを用いることができる。
本発明における (a)検出の対象となる生体サンプル由来のDNA鎖の塩基配列と相同する塩基配列の一部よりなるDNA伸長用プライマーDNA鎖を基体表面に固定する工程は、例えば、(i)基体上の高分子物質に含まれる複数の活性エステル基のうち、少なくとも一部の活性エステル基とプライマーDNA鎖とを反応させて共有結合を形成させることにより、基体表面でプライマーを固定化し、続いて(ii)プライマーを固定化した以外の基体表面の活性エステル基を不活性化する、すなわち残りの活性エステル基を不活性化することにより、プライマーを基体の表面に固定することができる。以下、それぞれの工程について説明する。
上記工程(i)において、鋳型DNA断片とアニールするプライマーDNA鎖を基体上に固定化する際には、プライマーDNA鎖を溶解または分散した液体を点着する方法が好ましい。高分子物質に含まれる活性エステル基の一部がプライマーと反応して、プライマーの間で共有結合が形成される。
このプライマーDNA鎖を溶解または分散した液体は、例えば中性からアルカリ性、例えばpHが7.6以上とすることができる。
また、点着後、基体表面に固定化されなかったプライマーDNA鎖を除去するため、純水や緩衝液で洗浄してもよい。
また、上記工程(ii)に示したように、洗浄後はプライマーDNA鎖を固定化した以外のプラスチック基体表面の活性エステルの不活性化処理をアルカリ化合物、あるいは一級アミノ基を有する化合物で行なう。
アルカリ化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸ナトリウム、水酸化リチウム、リン酸カリウムなどを用いることができる。
一級アミノ基を有する化合物としては、グリシン、9−アミノアクアジン、アミノブタノール、4−アミノ酪酸、アミノカプリル酸、アミノエタノール、5−アミノ2,3−ジヒドロー1,4−ペンタノール、アミノエタンチオール塩酸塩、アミノエタンチオール硫酸、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、リン酸二水素2−アミノエチル、硫酸水素アミノエチル、4−(2−アミノエチル)モルホリン、5-アミノフルオレセイン、6−アミノヘキサン酸、アミノヘキシルセルロース、p−アミノ馬尿酸、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、5−アミノイソフタル酸、アミノメタン、アミノフェノール、2−アミノオクタン、2−アミノオクタン酸、1−アミノ2−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、3−アミノプロペン、3−アミノプロピオニトリル、アミノピリジン、11−アミノウンデカン酸、アミノサリチル酸、アミノキノリン、4−アミノフタロニトリル、3−アミノフタルイミド、p−アミノプロピオフェノン、アミノフェニル酢酸、アミノナフタレンなどを用いることができる。これらのうち、アミノエタノール、グリシンを用いることが好ましい。
また、基体に固定化するプライマーDNA鎖には、活性エステル基との反応性を高めるため、アミノ基を導入しておくことが好ましい。アミノ基は活性エステル基との反応性に優れるため、アミノ基が導入されたプライマーを用いることにより、効率よくかつ強固に基体の表面上にプライマーを固定化することができる。アミノ基の導入位置はプライマーDNA鎖末端あるいは側鎖であってもよいが、分子鎖末端に導入されていることが、相補的な鋳型DNA断片とのアニーリングをより一層効率よく行なうことができるという観点からは、好ましい。
以上により、プライマーDNA鎖が表面に固定化された基体が得られる。
本発明における(b)生体由来サンプルより調製したDNA鎖、ヌクレオチドモノマー、DNA伸長用酵素、及び検出対象のDNA鎖について特異的配列を含むDNA鎖の一部を増幅させるPCR用プライマー、を含む試料溶液を基体表面に接触させる工程では、例えば、上記のように作製された基体をPCR用マイクロチューブに入れ、チューブ内に生体由来サンプルより調製したDNA鎖である鋳型DNA断片、DNA鎖伸長用酵素系、鋳型DNA断片に特異的配列のPCR用プライマー、およびヌクレオチドモノマーを含む試料が導入する。
この導入された試料からなる反応系としては、DNA鎖伸長用酵素系は、DNAポリメラーゼまたはDNAリガーゼのいずれかを用い、ヌクレオチドモノマー(dATP,dCTP,dGTP,dTTPなど)を含有するバッファを用いることができる。
また、DNAポリメラーゼの中でも、特に耐熱性DNA配列に由来するDNAポリメラーゼであるTaqDNAポリメラーゼ、TthDNAポリメラーゼ、PfuDNAポリメラーゼなどを用いることもできる。
また、これらヌクレオチドモノマーの少なくとも一種をラベルしておくことができる。例えば、dTTPの塩基の3位を蛍光ラベルしたCy3−dUTPをヌクレオチドモノマーとして用いることで、鋳型DNA断片のアデニン(A)に対応する伸長(プライマー)側の位置にCy3−dUTPが挿入される。これにより、伸長反応が生じたプライマーから形成されるDNA断片がCy3−dUTPで蛍光染色されて、このDNA断片の検出を行なうことができるようになる。
なお、他のヌクレオチドモノマーをラベルしてもよく、また複数の種類のヌクレオチドモノマーをラベルしてもよい。また、ラベル方法も蛍光体の導入の他に、光吸収体の導入の方法、放射線ラベルの方法(P32-ATP、P32-dATP)、酵素標識などの非放射性ラベルの方法などによってもDNA鎖を検出することができる。
この酵素標識の方法においては、ビオチン(biotin)化またはジゴキシゲニン(DIG:ステロイド系天然物)を結合した核酸(例えば、biotin-dUTP、DIG-dUTP)を使用してプライマーを伸張させた後、蛍光標識化したり、アルカリフォスファターゼまたはアルカリフォスファターゼ処理しニトロブルーテトラゾリウム(NBT)と5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸(BCIP)液中で数時間反応させることによってDNAを検出することができる。
試料が導入された反応系の温度を、DNA鎖の熱変性温度(melting temperature:Tm)以上、例えば90℃〜95℃まで上昇させる。この熱変性処理により、自己相補鎖などで見られる折れたたみ構造を有する鋳型DNA断片やプライマーが直鎖状の一本鎖になる。
続いて、反応系の温度を鋳型DNA断片とPCR用プライマーとがアニールする温度(アニール温度)、例えば4℃〜65℃、好ましくは50℃〜65℃まで下降させる。このアニール処理により、鋳型DNA断片の一部と相補的な配列を有するPCR用プライマーと、この鋳型DNA断片とが二本鎖になる。この反応系に対して、洗浄処理を行なわずにそのままDNA増幅反応に進める。
前記熱変性とアニールの熱サイクルを少なくとも1回以上行なうことにより、鋳型DNA断片が増幅される。
増幅されたDNA断片はさらなる熱サイクルにより、さらなるPCR反応による増幅を受けるが、一部のDNA断片は固定化されたプライマー鎖と二本鎖となり、DNA伸長反応を受ける。
ここでは、鋳型DNA断片に対して耐熱性DNAポリメラーゼを用いた例を示したが、DNA鎖を鋳型として新たなDNA鎖を合成する酵素であれば特に限定はされない。このようなDNAポリメラーゼとしては、ポルI型DNAポリメラーゼ(大腸細菌DNAポリメラーゼI、クレノウ断片など)、α型DNAポリメラーゼ(ピロコッカス・フリオサス由来DNAポリメラーゼ、VENT DNAポリメラーゼ、KOD DNAポリメラーゼ、DEEP VENT DNAポリメラーゼ)及び非α非ポルI型DNAポリメラーゼ(国際公開第97/24444号パンフレット記載のDNAポリメラーゼ)等が挙げられる。
DNAポリメラーゼの代わりに、DNAリガーゼを用いてもDNA鎖伸長反応を行なうことができるため、DNA鎖増幅を行なうことが可能である。
このDNA鎖増幅のためには、幅1〜3mm、長さ10〜20mm、厚み0.5〜2mmの基体上の一定の区画内に複数のスポットを設けておき、各スポットにプライマーDNA鎖を固定化したDNAマイクロアレイを用いることが好ましい。
また、基体の表面に固定化させるDNA伸長用プライマーDNA鎖の長さを検出対象に応じて任意に決定することができ、例えば5〜50塩基とすることができる。
DNA伸長反応の後に、反応液を除去して、上記記載のDNAマイクロアレイを、例えば0.1wt%のSDS溶液を用いて洗浄して、終了する。
以下に、本発明の実施形態の一つである菌の検出方法の流れについて記載する。
基体表面へ固定化するプライマーDNAの選択は、16Sあるいは23SリボゾームDNA配列から、各菌種特異的な配列をもとに設計する、プライマーDNAの長さは、20〜30塩基がDNAの伸長反応のし易さから好適である。
設計されたプライマーDNA鎖は末端にアミノ修飾がなされ、基体表面の活性エステル基と反応し基体上への強固に固定化される。
反応溶液中に加えるPCR用プライマーの選択は、16Sあるいは23SリボゾームDNA配列から、各菌種特異的な配列をもとに設計する。プライマーのTmは、上記基体表面へ固定化するプライマーとTmと合わせることが好ましく、±2℃にすることがより好ましい。
本発明を用いた、菌の検出方法の例を、水中に存在する菌の検出の場合を例に記載する。ただし本記載例に限定したものではない。
検体中の菌数が非常に少ないと思われる場合、寒天培地上にサンプルを注ぎ、培養を行ない、菌のコロニーが出現するまで培養を行なう。コロニーが出現したら、菌のコロニーを採取し、菌をPBS(−)等中に分散させる。菌の分散液中に市販のDNA抽出溶液等によりDNAを抽出する。現在はDNA抽出用のキットが多数販売されており、これら抽出キットを用いるのが、簡便かつ確実と思われる。
次に、前記工程で抽出したDNA、伸長用プライマーDNA鎖が固定化されたDNAマイクロアレイ(ミニチップ:幅1〜3mm、長さ10〜20mm、厚み0.5〜2mm)、ヌクレオチドモノマー、DNA伸長酵素、およびPCR用プライマーを、PCR用マイクロチューブ内に入れ、PCR装置にセットし所定のヒートサイクルにより加熱を行ないDNA鎖の増幅・伸長反応を行なう。
ヌクレオチドモノマーの何れかに、Cy3などの蛍光色素を標識しておけば、蛍光スキャナーによりスポットの確認が可能である。
ヌクレオチドモノマーの何れかに、ビオチン標識をしておき、DNA伸長反応の後、アルカリホスファターゼを標識したアビジンを反応させることにより、伸長したDNAにアルカリフォスファターゼ標識が行なえ、さらにその後、BCIP/NBTなどの発色試薬を作用させることにより、DNAが伸長したスポットの可視化が可能となる。可視化されたスポットは、目視での認識が可能である他、デジカメやOAスキャナーで画像を認識し、画像処理ソフトなどを使ってスポットの強度の解析も可能となる。
以下、実施例を記載する。
(実験例1)
以下の手法にて、各菌特異23SリボゾームDNA配列よりなるプライマーDNA鎖を、本実施形態に対応するプラスチックおよびガラス基体、および従来の基体に対応するアルデヒド基体の各基体の表面に固定化して、各基体上でDNA鎖増幅反応を行って、プライマーのDNA鎖増幅反応を検出し、菌の検出能の評価を行った。
(プラスチック基体の製造)
飽和環状ポリオレフィン樹脂(5−メチル−2ノルボルネンの開環重合体の水素添加物(MFR(Melt flow rate):21g/10分、水素添加率:実質的に100%、熱変形温度123℃)を用い、射出成形によりスライドガラス形状の基板を得た。基板を2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン−ブチルメタクリレート−p−ニトロフェニルオキシカルボニルポリエチレングリコールメタクリレート共重合体(各基は、モル%で25:74:1)の0.5重量%エタノール溶液に浸漬することにより、基板表面にホスホリルコリン基と活性エステル基とを有する高分子物質を導入して、プラスチック基板を得た。
(ガラス基板の製造)
通常のガラス基板を、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン−ブチルメタクリレート−p−ニトロフェニルオキシカルボニルポリエチレングリコールメタクリレート共重合体(各基は、モル%で25:74:1)の0.5重量%エタノール溶液に浸漬することにより、基板表面にホスホリルコリン基と活性エステル基とを有する高分子物質を導入して、ガラス基板を得た。
(アルデヒド基板の製造)
飽和環状ポリオレフィン樹脂5−メチル−2−ノルボルネンの開環重合体の水素添加物(MFR:21g/10分、水素添加率:実質的に100%、熱変形温度温度:123℃)を用い、射出成形によりスライドグラス形状の基板を得た。この成形物に低温酸素プラズマ処理により表面に親水化処理を施した。次に、アミノアルキルシランとしてγ−アミノプロピルトリエトキシシランをメタノール中に5%の濃度で溶解させたものをアミノ基導入処理液として調製し、この溶液の中に2時間浸漬の後、基板を溶液から取り出し、超純水中に浸漬し放置後基板を取り出し乾燥した。グルタルアルデヒドをPBS(−)中に2%の濃度で溶解させてグルタルアルデヒド溶液を調製し、アミノアルキルシラン処理を行なった基板をグルタルアルデヒド溶液中に浸漬し、4時間放置した後、基板を取り出して超純水中に浸漬し、洗浄乾燥した。これにより、表面にアルデヒド基を有するアルデヒド基板が得られた。
(プライマー固定)
5’末端がアミノ基で修飾された、各菌特異23SリボゾームDNA配列よりなるオリゴDNA鎖を0.25M炭酸バッファ(pH9.0)を用いて溶解し、10μMのオリゴDNA溶液を調製した。この溶液をスポッタ(日立ソフトウェアーエンジニアリング製Marks-I)を用い、500μm径クロスカットピンでプラスチック基板およびガラス基板、およびアルデヒド基板の表面上に、それぞれスポットした。オリゴDNAをスポットした各基板を、200μlの0.25Mリン酸バッファ(pH8.5)で内部を湿らせた密閉容器(10cm×15cm×3cm)中で一昼夜浸して、オリゴDNA(プライマー)を固定化させた。
各菌種の23SリボゾームDNA検出プライマーDNA鎖配列を下記に示す。
黄色ブドウ球菌:CTAAGGGCGTTGAAGCATGATCGTA(配列番号1) SA−1
AGTAGGATAGGCGAAGCGTGCGATT(配列番号2) SA−2
大腸菌: CCCGGTTTAAGCGTGTAGGCTGGT(配列番号3) ECO−1
AGTCGCTTCACCTACATATCAGCGTGC(配列番号4)ECO−2
CTGATATGTAGGTGAAGCGACTTGCTCG(配列番号5) ECO−4
緑濃菌: GTTAATCGACGCAGGGTTAGTCGGTT(配列番号6) PA−1
サルモネラ菌: TGTGTGTTCCAGGTAAATCCGGTTC(配列番号7) SAL−1
ポジティブコントロール:GACAGCCAGGATGTTGGCTTAGAAGCAGC(配列番号8)POS
(菌の培養)
以下に掲げる菌株の培養を行った。
使用した菌株名
黄色ブドウ球菌:Staphylococcus aureus ATCC 25923
大腸菌:Escherichia coli ATCC 25922
緑膿菌:Pseudomonas aeruginosa ATCC 27853
サルモネラ菌:
Salmonella enterica subsp. enterica serovar Typhimurium ATCC 14028
Salmonella enterica subsp. enterica serovar Enteritidis IID 604
寒天培地を用い、37℃、一昼夜(14-18時間)行なった。培地はインスタント培地である"普通ブイヨン栄研"を用い、液体培地は" 普通ブイヨン栄研"の指示量を脱塩水に溶かし、寒天培地はそれに1.6%の寒天を加え、それぞれオートクレーブ後、使用した。
(23SリボゾームDNAの抽出)
上記菌培養における1つのコロニーを、200μlのPBS(−)中に分散させ、DNA抽出キット(Invitrogen)を用い、3μlのDNA抽出液を得た。
(基板上でのDNAの増幅反応、伸長反応)
PCRバッファー25μL中に、上記DNA抽出液を2μl、100μMのdATP、dCTP、dGTP、Cye3標識dUTPを各2.5μL、0.5UのDNAポリメラーゼ(タカラバイオ株式会社製Ex Taq)、100μMの下記PCR用プライマーを各0.5μL溶解させ試料溶液とした。
PCR用プライマーの配列を下記に示す。
プライマー配列:
センス :5‘−GACAGCCAGGATGTTGGCTTAGAAGCAGC(配列番号8)
アンチセンス:下記を同量混合したものを用いた。
5‘−GGAATTTCGCTACCTTAGGACCGTTATAGTTACG(配列番号9)
5‘−GGAATTTCGCTACCTTAGGATGGTTATAGTTACC(配列番号10)
この試料溶液および、幅2mm、長さ15mm、厚み1mmの基板(ミニチップ)をPCR用マイクロチューブ内に入れ蓋をして、PCRサーモサイクラーにセットし、熱変性処理、アニール処理、増幅反応・伸長反応をそれぞれ95℃5分(熱変性)、55℃3分(アニールと増幅・伸長反応は同一温度)、サイクル数は15回でDNA鎖増幅・伸長反応を行なった。
DNAの増幅・伸長反応の後、基板を0.1wt%のSDS溶液を用いて洗浄して、終了した。
スライド用スキャナー(ScanArrayパーキンエルマー社製)によりスポットの蛍光強度を測定した。
各々の菌から抽出したDNA溶液について、基板上に固定した上記プライマー各々のスポットの蛍光強度について、各基板での比較をおこなった。スポットの蛍光強度の比較を表1〜表3に示す。
Figure 2008061515
Figure 2008061515
Figure 2008061515
本実施形態に対応するプラスチック基板およびガラス基板では、基板上でのDNA鎖伸長増幅により、各々の菌の検出ができ、従来の基板であるアルデヒド基板ではDNA鎖伸長せず菌由来のスポットは検出されていないと考えられる。

Claims (17)

  1. リン脂質の親水部を構成するリン酸エステルより誘導される基を有する第一単位と電子求引性の置換基がカルボニル基に結合してなるカルボン酸誘導基を有する第二単位とを含む高分子物質を表面に有する基体に、
    (a)検出の対象となる生体サンプル由来のDNA鎖の塩基配列と相同する塩基配列の一部よりなるDNA伸長用プライマーDNA鎖を基体表面に固定する工程、
    (b)生体由来サンプルより調製したDNA鎖、ヌクレオチドモノマー、DNA伸長用酵素、及び検出対象のDNA鎖について特異的配列を含むDNA鎖の一部を増幅させるPCR用プライマー、を含む試料溶液を基体表面に接触させる工程、
    (c)前記試料溶液中のPCR用プライマーが検出対象のDNA鎖を鋳型にして、検出対象のDNA鎖の特定部位を増幅する工程、
    (d)(c)の工程で増幅された検出対象のDNA鎖を鋳型にして、基体表面に固定化されているDNA伸長用プライマーDNA鎖を伸長させる工程、
    を含むことを特徴とするDNA配列の検出方法。
  2. 請求項1記載のDNA配列の検出方法において、
    生体サンプル由来のDNA鎖が、細菌の16S又は23SリボゾームDNAであることを特徴とするDNA配列の検出方法。
  3. 請求項1に記載のDNA配列の検出方法において、
    前記(c)および(d)の工程が、所定のヒートサイクルを加えることにより、同時に行なわれることを特徴とするDNA配列の検出方法。
  4. 請求項1に記載のDNA配列の検出方法において、
    前記基体の第一単位に含まれるリン酸エステルより誘導される基は、ホスホリルコリン基、ホスホリルエタノールアミン基、ホスホリルセリン基、ホスホリルイノシトール基、ホスホリルグリセロール基、ホスファチジルホスホリルグリセロール基のいずれかであることを特徴とするDNA配列の検出方法。
  5. 請求項1に記載のDNA配列の検出方法において、
    前記ヌクレオチドモノマーのいずれかに標識がなされていることを特徴とするDNA配列の検出方法。
  6. 請求項1記載のDNA配列の検出方法において、
    前記DNA鎖伸長用酵素が、DNAポリメラーゼ又はDNAリガーゼであることを特徴とするDNA配列の検出方法。
  7. 請求項1に記載のDNA配列の検出方法において、
    前記DNA伸長用プライマーDNA鎖が、前記電子求引性の置換基がカルボニル基に結合してなるカルボン酸誘導基を有する第二単位の部位で共有結合していることを特徴とするDNA配列の検出方法。
  8. 請求項1に記載のDNA配列の検出方法において、
    前記PCR用プライマーが、前記記載の高分子物質と共有結合していないことを特徴とするDNA配列の検出方法。
  9. 請求項1に記載のDNA配列の検出方法において、
    前記高分子物質がブチルメタクリレート基を含む第三単位を有することを特徴とするDNA配列の検出方法。
  10. 請求項1又は9に記載のDNA配列の検出方法において、
    前記基体は、前記高分子物質に加えて、リン脂質の親水部を構成するリン酸エステルより誘導される基を有する第一単位と、ブチルメタクリレート基を含む第三単位とを有する第二の高分子物質を含むことを特徴とするDNA配列の検出方法。
  11. 請求項1に記載のDNA配列の検出方法において、
    前記基体が、プラスチック材料からなることを特徴とするDNA配列の検出方法。
  12. 請求項1又は11記載のDNA配列の検出方法において、
    (a)の工程を経た基体をPCR用マイクロチューブ内に入れて、前記チューブ内で(b)〜(d)の工程を行なうことを特徴とするDNA配列の検出方法。
  13. 請求項3に記載のDNA配列の検出方法において、
    前記ヒートサイクルが、熱変性温度での保持、アニール処理温度での保持、DNA伸長温度での保持を含むことを特徴とするDNA配列の検出方法。
  14. 請求項3又は13記載のDNA配列の検出方法において、
    ヒートサイクル数が1以上であることを特徴とするDNA配列の検出方法。
  15. 請求項13又は14に記載のDNA配列の検出方法において、
    アニール処理温度とDNA伸長温度が同一温度であることを特徴とするDNA配列の検出方法。
  16. 請求項5記載のDNA配列の検出方法において、
    標識が蛍光色素であることを特徴とするDNA配列の検出方法。
  17. 請求項5記載のDNA配列の検出方法において、
    更に(e)ヌクレオチドモノマーの標識に酸化還元酵素を導入し、酸化又は還元反応により、発色する基質を加え、該基質を発色させる工程、
    を含むことを特徴とするDNA配列の検出方法。
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