JP2011188829A - 微生物遺伝子検出チップ - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、非特異吸着の少ないシグナル/ノイズ比が優れた微生物検出チップを提供することである。
【解決手段】
光不透過性の少ない黒色顔料を含む樹脂素材からなる基板を成形し、該基板表面に、オリゴDNAを固定化する為の官能基と、非特異吸着を抑制するための親水性基を同時に導入することにより、オリゴDNAを共有結合にて固定し、夾雑物質の非特異的吸着を抑える目的を達した。
本発明を利用することにより、簡便、短時間で微生物、細菌のDNA、RNAなどの遺伝子レベルでの検査が可能な遺伝子検出チップを提供することができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、微生物検出用の遺伝子検出チップに関する。
従来、微生物の検査は、微生物を培養することで増殖させ、生化学検査を行うことを主として行われている。例えば、サルモネラ菌の検出・同定には、増菌、分離培養、生化学性状による確認培養、菌体抗原、Vi莢膜抗原、鞭毛抗原による血清型別を実施し、各検査結果において総合的な判断が必要とされている。当然、この方法には時間と手間がかかる。各検査における簡便なキットも市販されているが、1検体1キットが必要で大量検体の処理には相当量のキットが必要であり、非効率的であった。
また、細菌種特有な塩基配列を有するプライマーを用いたポリメラーゼ・チェイン・リアクション(PCR法)により特定のDNA 断片の増幅の有無から細菌種を特定する方法が開発されている。しかしながら、微生物の多様性によりプライマーの伸長反応部分に変異が起こると、偽陰性の危険性を含んでいた。PCRは数百万ものDNAコピーを合成できる一方で、混入物に非常に敏感なためごく微量の鋳型DNAから反応を開始する場合、前に行った反応の生成物(生成物のキャリーオーバー)あるいは反応系の外から入ってくる物質のコンタミネーションが問題となる。例えば標的配列を含むプラスミドが反応系に1コピー混入しただけで結果の解釈を誤らせる可能性がある。また、PCR等の核酸増幅を用いる場合には、ポリメラーゼ等の高価な酵素を使用せねばならず、コストを下げることが困難であるという問題も持ち合わせていた。
非特許文献1には、ガラス基板の代わりにポリメチルメタクリレートを用いて、表面にDNA断片を固定化させたDNAマイクロチップを用い、所定のDNA鎖のハイブリッド特性およびPCR環境下における熱安定性が評価されており、新規のデバイスが記載されている。
また、特許文献1には、基板表面に所定の高分子物質を配した基板を用いると、再現性良くプライマーが伸長し、菌の検出感度が向上できることが記載されている。しかしながら、この例では、実際にはあらかじめPCRにより増幅した検体溶液を用意する必要がある。
特開平5−100号公報
F i x e, F . e t a l. " F u n c t i o n a l i z a t i o n o f p o l y( m e t h y l m e t h a c ry l a t e) ( P M M A) a s a s u b s t r a t e f o r D N A m i c r o a r r a y s" , N u c l e i c A c i d s R e s ea r c h, 2 0 0 4, J a n u a r y 1 2, V o l . 3 2 N o .1 , e 9
本発明は、非特異吸着の少ないシグナル/ノイズ比が優れた微生物検出チップを得ることを目的としている。
(1)微生物検出用のDNA測定用チップ基板であって、
光不透過性素材からなる基板表面に、
DNAを固定化する為の官能基と、
親水性基を共に有することを特徴とする
DNA測定用チップ基板
(2)前記基板表面が、DNAを固定化する為の官能基を有するモノマーと、親水性を有するモノマーを共重合した高分子物質をチップ基板上に配位した(1)記載のDAN測定用チップ基板
(3)DNAを固定化するための官能基が活性エステル基である(1)または(2)記載のDNA測定用チップ基板
(4)DNAを固定化するための活性エステル基が、p−フェニルエステル基、またはN−ヒドロキシスクシンイミド基である(3)記載のDNA測定用チップ基板
(5)親水基を有するモノマーが側鎖にホスホリルコリン基を含む(1)または(2)記載のDNA測定用チップ基板
(6)前記高分子物質の主鎖が、(メタ)アクリル酸である(1)または(2)記載のDNA測定チップ基板
(7)(1)記載の光不透明素材が黒色顔料を含む樹脂からなるDNA測定用チップ基板
(8)前記基板が環状ポリオレフィン樹脂で成形される(1)〜(7)いずれか記載のDNA測定用チップ基板
(9)(1)〜(8)いずれか記載の基板にオリゴDNAを固定化したDNA測定用チップ
(10)前記オリゴDNAが微生物由来配列のオリゴDNAである(9)記載のDNA測定用チップ
(11)前記微生物が、黄色ブドウ球菌、大腸菌、緑膿菌、サルモネラ菌から選ばれる少なくとも1種類である(9)または(10)記載のDNA測定用チップ
(12)前記微生物由来のオリゴDNAの配列が、配列式1〜4のオリゴヌクレオチドのいずれか1以上の組み合わせから構成されるオリゴDNAが固定化した(9)〜(11)いずれか記載のDNA測定用チップ。
(13)前記配列の少なくとも1種類と、対象物質の配列を含む(12)記載のDNA測定用チップ
(14)(1)〜(13)いずれか記載のDNA測定用チップを用いたDNA検出方法がプライマー伸長法、またはハイブリダイゼーション法のいずれかであることを特徴とするDNA測定方法
本発明によれば、非特異吸着の少ないシグナル/ノイズ比が優れた微生物検出チップを提供することができる。
以下、本発明の微生物遺伝子検出チップについて説明する。
微生物遺伝子検出チップにおいて、検出感度に直結するシグナル/ノイズ比を改善することが本発明の主たる目的である。この目的を達成するための方法としては、チップ基板において、対象物質の捕捉量を上げる、夾雑物質の非特異吸着を抑制する、蛍光測定において基板自体の自家蛍光を抑制する、ことがある。
本発明の微生物遺伝子検出チップは、基板上に対象物質であるDNAを捕捉するための官能基と、夾雑物質の非特異吸着を抑制するための親水基とを有する高分子物質をその表面に層を構築させたものからなる。該高分子物質は、対象物質を共有結合によって固定化するための官能基を持つモノマーと夾雑物質の非特異的吸着を抑制する親水基を持つモノマーを共重合した合成高分子物質であってよい。
前記親水基は、親水性を付与するものであれば、特に限定はしないが、ホスホリルコリン基が、安定性、効果の点で好適である。
本発明に使用するホスホリルコリン基としては、例えば-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、2-メタクリロイルオキシエトキシエチルホスホリルコリン 、6-メタクリロイルオキシヘキシルホスホリルコリン、10-メタクリロイルオキシエトキシノニルホスホリルコリン 、アリルホスホリルコリン、ブテニルホスホリルコリン 、ヘキセニルホスホリルコリン 、オクテニルホスホリルコリン 、デセニルホスホリルコリン 等を挙げられるが、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンが好ましい。
本発明に使用する官能基は、特に限定するものでないが、安定性、反応性の点で活性エステル基が好適に用いることができる。
前記活性エステル基は、エステル基のアルコール側に酸性度の高い電子求引基を有して求核反応を活性化するエステル群、すなわち反応性の高いエステル基を意味するので、各種化学反応、例えばペプチド結合、固定化酵素等の分野で慣用されているものである。例えば、フェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N−ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類が挙げられる。
具体的にはp−ニトロフェニル基、N-ヒドロキシスクシンイミド基、コハク酸イミド基、フタル酸イミド基、5−ノルボルネン−2,3,−ジカルボキシイミド基等で活性化された活性エステル基が挙げられるが、p−ニトロフェニル基で活性化されたp−ニトロフェニルカルボニルオキシ基が好ましく用いられる。
本発明に使用する高分子物質は、ホスホリルコリン基および活性エステル基以外の他の基を含んでもよく、ブチルメタクリレート基を含む単量体との共重合体が好ましい。
前記共重合体の主鎖は、ホスホリルコリン基を有する単量体が、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンが好ましいことから、共重合反応のし易さから(メタ)アクリル酸であることが望ましい。
本発明において用いる高分子物質として、具体的には、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)基を有する第一単量体と、p−ニトロフェニルオキシカルボニルポリエチレングリコールメタクリレート(NPMA)基を有する第二単量体と、ブチルメタリレート(BMA)基を有する第三単量体との共重合体あるpoly(MPC−co−BMA−co−NPMA)(PMBN)を用いることが好ましい。
前記共重合体は、MPC、BMA、およびNPMA の各単量体を混合し、ラジカル重合等の公知の重合方法により得ることができる。前記共重合体をラジカル重合により作製する場合、たとえば、Ar等の不活性ガス雰囲気にて、30℃以上90℃以下の温度条件で溶液重合を行うことができる。
溶液重合に使用される溶媒は適宜選択されるが、たとえば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコールや、ジエチルエーテル等のエーテル、クロロホルム等の有機溶媒を単独でまたは複数混合して用いることができる。具体的には、ジエチルエーテルとクロロホルムを体積比で8 対2 とした混合溶媒とすることができる。
また、ラジカル重合反応に使用されるラジカル重合開始剤としては、通常使用されるものを用いることができる。たとえば、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスバレロニトリル等のアゾ系開始剤;過酸化ラウロイル、過酸化ベンゾイル、t−ブチルペルオキシネオデカノエート、t−ブチルペルオキシピバレート等の油溶性の有機過酸化物;などが用いられる。
次に、基板の自家蛍光を抑制するための基板について以下に述べる。
基板はガラス製、樹脂製どちらでもかまわないが、加工性等で樹脂製が好ましい。用いる樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリメチルメタアクリレート、ポリビニルアセテート、ビニルアセテート共重合体、スチレンーメタアクリレート共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ナイロン、ポリメチルペンテン、シリコン樹脂、アミノ樹脂、ポリスルホン、フッ素樹脂、飽和環状ポリオレフィン樹脂などがあげられる。これらの中で、は自家蛍光の少ない樹脂として、環状ポリオレフィン樹脂を用いることが好ましい。
蛍光現象を用いた標識物質を測定するために、基板は光不透過性であることが好ましい。これは、外部や内部光の漏れの影響を排除し正確な測定値を得るために必要である。光不透過にする方法としては、着色樹脂で成形する方法、透明樹脂で成形した後、成形品を光不透過性塗料等で塗装する方法、同じく鍍金や蒸着により金属皮膜を形成し不透過性を付与する方法などが挙げられるが、着色樹脂材料を用いる方法が最も簡便である。
顔料を入れた基板成形においては、原料となる透明樹脂に顔料を加えて混練、成形してもよく、また、透明樹脂に顔料を混練した成形樹脂材料を用いて成形してもよい。顔料の分散性を考えると顔料を混練した成形樹脂材料を用いて成形することが好ましい。光不透過の程度は、基板の裏側への光透過率が少なければ少ないほど良く、1%以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.1%以下であり、最も好ましくは0.01%以下である。
不透明にする方法は、基板自体を着色樹脂により成形することにより達成できる。光透過度を下げるためには、黒色に着色することが好ましい。
黒色に着色する方法としては、酸化鉄またはカーボンブラックを用いることで達成できる。
酸化鉄またはカーボンブラックの添加量は樹脂に対して0.5〜60wt%の添加量が好ましく、より好ましくは0.5〜5.0wt%であり、最も好ましくは1.0〜2.0wt%である。0.5wt%未満では添加効果が不十分となる。また、60wt%を越えると成形品の機械的強度の点で好ましくない。
前記添加物により、蛍光測定において光不透過性を獲得するだけでなく、散乱光の発生を最小限に抑えることができ、自家蛍光を低くすることができるため高感度の測定が可能となる。
次に前記基板上に、前記高分子物質層を構築する方法について以下に述べる。
前記高分子物質は、有機溶媒、例えばエタノール溶液に溶解できるため、塗布により容易に基板表面に層を形成させることができる。
具体的には、所定の形状に加工された基板の表面に高分子物質を含む液体を塗布し、乾燥させることにより得られる。また、高分子物質を含む液体中に基板を浸漬し、乾燥してもよい。
次に、微生物由来のオリゴDNAの固相化について以下に述べる。
例えば、基板上の高分子物質に含まれる複数の活性エステル基のうち、少なくとも一部の活性エステル基とオリゴDNA鎖とを反応させて共有結合を形成させることにより、基板表面でオリゴDNA鎖を固定化する(工程1)。続いてオリゴDNA鎖を固定化した以外の基板表面で活性エステル基を不活性化する(工程2)。以下、それぞれの工程について説明する。
上記工程1においてオリゴDNA鎖を基板上に固定化する際には、オリゴDNA鎖を溶解または分散した液体を点着する方法が好ましい。そうすることで、高分子物質に含まれる活性エステル基の一部がオリゴDNA鎖と反応して、共有結合が形成される。
このオリゴDNA鎖を溶解または分散した液体は、例えば中性からアルカリ性、例えばpHが7.6以上とすることができる。
また、点着後、基板表面に固定化されなかったオリゴDNA鎖を除去するため、純水や緩衝液で洗浄しても良い。
また、上記工程2に示したように洗浄後はオリゴDNA鎖を固定化した以外の基板表面に残留する活性エステル基の不活性化処理をアルカリ化合物、あるいは一級アミノ基を有する化合物で行う。
アルカリ化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸ナトリウム、水酸化リチウム、リン酸カリウムなどを用いることができる。
一級アミノ基を有する化合物としては、グリシン、9 − アミノアクアジン、アミノブタ
ノール、4 − アミノ酪酸、アミノカプリル酸、アミノエタノール、5 − アミノ2 , 3 − ジヒドロー1 , 4 − ペンタノール、アミノエタンチオール塩酸塩、アミノエタンチオール硫酸、2 − ( 2 − アミノエチルアミノ) エタノール、リン酸二水素2 − アミノエチル、硫酸水素アミノエチル、4 − ( 2 − アミノエチル) モルホリン、5 -アミノフルオレセイン、6 − アミノヘキサン酸、アミノヘキシルセルロース、p − アミノ馬尿酸、2 − アミノ− 2− ヒドロキシメチル− 1 , 3 − プロパンジオール、5 − アミノイソフタル酸、アミノメタン、アミノフェノール、2 − アミノオクタン、2 − アミノオクタン酸、1 − アミノ2 − プロパノール、3 − アミノ− 1 − プロパノール、3 − アミノプロペン、3 − アミノプロピオニトリル、アミノピリジン、1 1 − アミノウンデカン酸、アミノサリチル酸、アミノキノリン、4 − アミノフタロニトリル、3 − アミノフタルイミド、p − アミノプロピオフェノン、アミノフェニル酢酸、アミノナフタレンなどを用いることができる。これらのうち、アミノエタノール、グリシンを用いることが好ましい。
また、基板に固定化するオリゴDNA鎖には、活性エステル基との反応性を高めるため、アミノ基を導入しておくことが好ましい。アミノ基は活性エステル基との反応性に優れるため、アミノ基が導入されたオリゴDNA鎖を用いることにより、効率よくかつ強固に基板の表面上にオリゴDNA鎖を固定化することができる。該アミノ基の導入位置はオリゴDNA鎖の末端あるいは側鎖であってもよいが、分子鎖末端に導入されていることが、相補的な鋳型DNA断片とのアニーリングを一層効率よく行うことができる観点から、好ましい。
以上により、オリゴDNA鎖が固定化されたチップが構築される。
次に、固定化するオリゴDNA鎖について述べる。本特許のDNA測定用チップ基板は、微生物検出用途であるので、固定化するオリゴDNA鎖配列は微生物由来のものを用いる。この時、用いる微生物は特に限定しないが、黄色ブドウ球菌、大腸菌、緑膿菌、サルモネラ菌の4種類から選ばれる少なくとも1種類の微生物由来のオリゴDNAを固定化することが好適である。これらの微生物は食品や医薬品の検査において必要不可欠なものである。
次に、固相化した微生物由来オリゴDNAの検出方法について以下に述べる。
基板に固定化されたオリゴDNA鎖を使用する反応系としては、2種類の反応系がある。一つはプライマー伸長反応であり、もう一方はハイブリダイゼーション反応である。
まず、プライマー伸長反応について述べる。
プライマー伸長反応系は、DNAポリメラーゼまたはDNAリガーゼの何れかを用い、ヌクレオチドモノマー(dATP、dCTP、dGTP、dTTPなど)を含有するバッファーを用いる。
バッファー中に、少なくとも2mmol/L、好ましくは2〜6mmol/Lのマグネシウムイオンを含むことにより、遺伝子の検出感度が向上する。
また、DNAポリメラーゼの中でも、特に耐熱性細菌に由来するDNAポリメラーゼであるTaqDNAポリメラーゼ、TthDNAポリメラーゼ、PfuDNAポリメラーゼなどを用いることができる。
また、これらのヌクレオチドモノマーを標識しておくことができる。例えば、dTTPの塩基の3位を蛍光標識したCy3−dUTPをヌクレオチドモノマーとして用いることで、鋳型DNAのアデニン(A)に対応する 伸長(プライマー)側の位置にCy3−dUTPが挿入される。これにより伸長反応が生じたプライマーから形成されるDNA断片がCy3で蛍光染色されて、このDNA断片の検出を行うことができるようになる。
この蛍光標識は、他のヌクレオチドモノマーに施してもよく、また複数種のヌクレオチドモノマーをしてもよい。また、標識方法も光吸収体の導入、放射線標識、酵素標識などによってもDNA鎖を検出することができる。
酵素標識においては、直接酵素で標識するより、ビオチン化、またはジゴキシゲニンを結合した核酸を使用することが好ましい。ビオチンを用いた場合は、プライマーを伸長した後、酵素標識アビジンを使用して検出することが可能である。まら、ジゴキシゲニンを用いた場合は、ジゴキシゲニンを特異的に認識する抗体が開発、市販されているので、その抗体を標識して用いることができる。
試料が導入された反応系の温度を、DNA鎖の熱変性温度以上、例えば90〜95℃まで上昇させる。この熱変性処理により、自己相補鎖など見られる折れたたみ構造を有する鋳型DNA断片やプライマーが直鎖状の一本鎖になる。
続いて、反応系の温度プライマーと鋳型DNA断片とがアニールする温度、例えば4〜72℃、好ましくは50〜72℃まで下降させる。このアニール処理により、鋳型DNA断片の一部と相補的な配列を有するプライマー鎖と、この鋳型DNA断片とが二本鎖になる。この反応系に対して、洗浄処理を行わずそのままDNA伸長反応に進める。また、アニールさせる工程において、熱変性温度以上から例えば4℃〜室温まで急冷させる工程を経たのちアニールする温度まで昇温させても良い。
従来であると、アニール処理の後、伸長反応の前に、二本鎖を組まなかったDNA断片を除くための洗浄が必要であったが、本実施形態では、非特異吸着を抑制した表面であるため、基板の洗浄処理が不要となり、試料導入からDNA鎖伸長反応までを同一の液相系、すなわち反応系をそのまま用いることができる。
ここでは、鋳型D N A 断片に対して耐熱性D N A ポリメラーゼを用いた例を示したが、
D N A 鎖を鋳型として新たなD N A 鎖を合成する酵素であれば特に限定はされない。このようなD N A ポリメラーゼとしては、ポルI 型D N A ポリメラーゼ( 大腸細菌D N A ポリメラーゼI 、クレノウ断片など) 、α 型D N A ポリメラーゼ( ピロコッカス・フリオサス由来D N A ポリメラーゼ、V E N T D N A ポリメラーゼ、K O D D N A ポリメラーゼ、D E E P V E N T D N A ポリメラーゼ) 及び非α 非ポルI 型D N A ポリメラーゼ( 国際公開第9 7 / 2 4 4 4 4 号パンフレット記載のD N A ポリメラーゼ) 等が挙げられる。
次に、ハイブリダイゼーション反応について述べる。
ハイブリダイゼーション反応では、細菌検体のゲノムDNA特定部位をPCRを用いて増幅、あるいは増幅と同時に標識し、チップにかけてハイブリダイゼーションさせて、検出する。
具体的は、まず検体からDNAを回収する。回収方法は特に限定するものではなく、一般的なDNA抽出方法が使用でき、さらに市販の抽出キットを使用しても良い。
続いて、回収したDNAをリボゾームDNAのユニバーサルプライマーを用い、PCR反応によりリボゾームDNAの増幅を行う。菌類では一般的に5S、16Sまたは23SリボゾーマルDNAのプライマーを用いる。
熱変性温度、アニール温度の反応条件は前述のプライマー伸長法と同様で、反応は10サイクル以上実施することで目的となる菌由来DNAのPCR産物を得ることができる。
またこの時、前述のプライマー伸長法と同様、標識ヌクレオチドプライマー(例えばCy3−dUTPなど)を使用することで標識DNA産物を得ることが可能である。
前記標識DNA産物を用いて、本発明により得られた基板上において、ハイブリダイゼーション反応を行い、対象DNAの検出反応を行う。ハイブリダイゼーション方法としては、一般的に用いられるハイブリダイゼーション方法であれば、どのような方法でも用いることが可能であり、市販の自動ハイブリダイゼーション装置を用いて反応することも可能である。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<実施例1>
(プラスチック基板の製造)
飽和環状ポリオレフィン樹脂(5−メチル−2ノルボルネンの開環重合体の水素添加物(MFR(Melt flow rate):21g/10分、水素添加率:実質的に100%、熱変形温度123℃)に、カーボンブラック含有ポリスチレン樹脂(住化カラー製、SPAB−8A2625、カーボンブラック含有量40%)37.5g/飽和環状ポリオレフィン樹脂1kgで混ぜ、射出成形によりスライドガラス形状の基板を得た。基板を2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン−ブチルメタクリレート−p−ニトロフェニルオキシカルボニルポリエチレングリコールメタクリレート共重合体(各基は、モル%で25:74:1)の0.3重量%エタノール溶液に浸漬することにより、基板表面にホスホリルコリン基と活性エステル基とを有する高分子物質を導入して、プラスチック基板を得た。
(プローブDNA固定)
5’末端がアミノ基で修飾された、各菌23SリボゾームDNA配列特異なオリゴDNA鎖を0.25M炭酸バッファー(pH9.0)を用いて溶解し、10μMのオリゴDNA溶液を調製した。この溶液をスポッター(日立ソフトウェアエンジニアリング社製MARKS-I)を用い、100μm径スポットピンでプラスチック基板の表面上にスポットした。オリゴDNAをスポットした基板を、80℃で1時間加熱して、オリゴDNA(プローブDNA)を固定化させた。
スポットおよび固定化させた各菌23SリボゾームDNA配列特異なオリゴDNAの塩基配列を下記に示す。
黄色ブドウ球菌:agtaggataggcgaagcgtgcgatt SA
大腸菌: ctgatatgtaggtgaagcgacttgctcg ECO
緑濃菌: gttaatcgacgcagggttagtcggtt PA
サルモネラ菌: tgtgtgttccaggtaaatccggttc SAL
ポジティブコントロール:gacagccaggatgttggcttagaagcagc POS
(菌の培養)
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus ATCC 25923)を寒天培地で培養し、37℃、一昼夜(14−18時間)行った。培地はインスタント培地である"普通ブイヨン栄研"を用い、液体培地は" 普通ブイヨン栄研"の指示量を脱塩水に溶かし、寒天培地はそれに1.6%の寒天を加え、それぞれオートクレーブ後、使用した。
(23SリボゾームDNAの抽出)
上記菌培養における1つのコロニーを、200μlのPBS(−)中に分散させ、DNA抽出キット(Invitrogen社製、K2100−01)を用い、3μlのDNA抽出液を得た。
(PCRによる23SリボゾームDNA鎖増幅反応)
23SリボゾームDNAのユニバーサルプライマーを用い、PCR反応により23SリボゾームDNAの増幅をおこなった。
PCRによる増幅に使用プライマーの配列を下記に示す。
プライマー配列:
センス :5‘−gacagccaggatgttggcttagaagcagc
アンチセンス:下記を同量混合したものを用いた。
5‘−ggaatttcgctaccttaggaccgttatagttacg
5‘−ggaatttcgctaccttaggatggttatagttacc
25μL中に上記プライマー各々を12.5pmol、200μMのdATP、dCTP、dGTP、Cy3−dUTP、0.5UのDNAポリメラーゼ(タカラバイオ株式会社製、ExTaq)をPCRバッファー中に溶解させ、サーマルサイクラーにより、熱変性95℃1分、アニーリング75℃2分、DNA鎖の伸長反応72℃5分のヒートサイクルで、10サイクル行い、Cy3蛍光ラベル化PCR産物を得た。
(ハイブリダイゼーション)
自動ハイブリ装置(Genomic Solutions社製Hyb4)を使用してハイブリダイゼーションを行った。
Cy3蛍光ラベル化PCR産物45μLにハイブリバッファー85μLを加え、さらに、外部コントロール2(シロイヌナズナ)と相補鎖オリゴDNAを加え、試料溶液とした(試料溶液の組成は、2xSSC(下組成)、0.01%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS))。
試料溶液を95℃で5分熱変性させた後、基板上に分注し、65℃で3時間ハイブリ反応を行った。
2xSSC:塩化ナトリウム 300mM、クエン酸ナトリウム 30mM
(測定)
ハイブリ反応の後、基板を0.1%SDS含有の2xSSC溶液、2xSSC、0.1XSSCの順で洗浄して、終了した。
マイクロアレイ用スキャナー(Axon社製GenePix4000B)によりスポットの蛍光強度を測定した。
<実施例2>
実施例1と同様にして、大腸菌の検出を行った。なお検出には、Escherichia coli ATCC 25922の菌株を使用した。
<実施例3>
実施例1および2と同様にして、緑膿菌の検出を行った。なお検出には、Pseudomonas aeruginosa ATCC 2785の菌株を使用した。
<実施例4>
実施例1〜3と同様にして、サルモネラ菌の検出を行った。なお検出には、Salmonella enterica subsp. enterica serovar Typhimurium ATCC 14028の菌株を使用した。
<比較例1>
飽和環状ポリオレフィン樹脂(5−メチル−2ノルボルネンの開環重合体の水素添加物(MFR(Melt flow rate):21g/10分、水素添加率:実質的に100%、熱変形温度123℃)を射出成形によりスライドガラス形状の基板を得た。基板を2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン−ブチルメタクリレート−p−ニトロフェニルオキシカルボニルポリエチレングリコールメタクリレート共重合体(各基は、モル%で25:74:1)の0.3重量%エタノール溶液に浸漬することにより、基板表面にホスホリルコリン基と活性エステル基とを有する高分子物質を導入して、プラスチック基板を得た。
前記プラスチック基板を用い、その後の手順は実施例1と同様にして、黄色ブドウ球菌の検出を行った。
<比較例2>
比較例1と同様にして、大腸菌の検出を行った。
<比較例3>
比較例1および2と同様にして、緑膿菌の検出を行った。
<比較例4>
比較例1〜3と同様にして、サルモネラ菌の検出を行った。
<比較例5>
石英ガラス製スライドガラス(松浪ガラス社製、S1111)を用いて、黄色ブドウ球菌の検出を行った。
<比較例6>
比較例5と同様にして、大腸菌の検出を行った。
<比較例7>
比較例5および6と同様にして、緑膿菌の検出を行った。
<比較例8>
比較例5〜7と同様にして、サルモネラ菌の検出を行った。
Figure 2011188829
本発明を利用することにより、簡便、短時間で微生物、細菌のDNA、RNAなどの遺伝子レベルでの検査が可能な遺伝子検出チップを提供することができる。
また、微生物検出用遺伝子検出チップは、臨床検査、食品検査、感染検査等、種々の検査等に使用でき、短時間で結果を得ることが可能となる。

Claims (14)

  1. 微生物検出用のDNA測定用チップ基板であって、
    光不透過性素材からなる基板表面に、
    DNAを固定化する為の官能基と、
    親水性基を共に有することを特徴とする
    DNA測定用チップ基板
  2. 前記基板表面が、DNAを固定化する為の官能基を有するモノマーと、親水性を有するモノマーを共重合した高分子物質をチップ基板上に配位した請求項1記載のDAN測定用チップ基板
  3. DNAを固定化するための官能基が活性エステル基である請求項1または2記載のDNA測定用チップ基板
  4. DNAを固定化するための活性エステル基が、p−フェニルエステル基、またはN−ヒドロキシスクシンイミド基である請求項3記載のDNA測定用チップ基板
  5. 親水基を有するモノマーが側鎖にホスホリルコリン基を含む請求項1または2記載のDNA測定用チップ基板
  6. 前記高分子物質の主鎖が、(メタ)アクリル酸である請求項1または2記載のDNA測定チップ基板
  7. 請求項1記載の光不透明素材が黒色顔料を含む樹脂からなるDNA測定用チップ基板
  8. 前記基板が環状ポリオレフィン樹脂で成形される請求項1〜7いずれか記載のDNA測定用チップ基板
  9. 請求項1〜8いずれか記載の基板にオリゴDNAを固定化したDNA測定用チップ
  10. 前記オリゴDNAが微生物由来配列のオリゴDNAである請求項9記載のDNA測定用チップ
  11. 前記微生物が、黄色ブドウ球菌、大腸菌、緑膿菌、サルモネラ菌から選ばれる少なくとも1種類である請求項9または10記載のDNA測定用チップ
  12. 前記微生物由来のオリゴDNAの配列が、配列式1〜4のオリゴヌクレオチドのいずれか1以上の組み合わせから構成されるオリゴDNAが固定化した請求項9〜11いずれか記載のDNA測定用チップ。
  13. 前記配列の少なくとも1種類と、対象物質の配列を含む請求項12記載のDNA測定用チップ
  14. 請求項1〜13いずれか記載のDNA測定用チップを用いたDNA検出方法がプライマー伸長法、またはハイブリダイゼーション法のいずれかであることを特徴とするDNA測定方法
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