JP3565752B2 - Dnaジャイレース遺伝子中に存在する特徴的な塩基配列を用いた遅発育性マイコバクテリアの同定法及び特異的検出法 - Google Patents

Dnaジャイレース遺伝子中に存在する特徴的な塩基配列を用いた遅発育性マイコバクテリアの同定法及び特異的検出法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、結核並びに非結核性抗酸症の原因菌として多くの症例数のある遅発育性マイコバクテリアのDNAジャイレースβサブユニットをコードするDNA(以下、「gyrB遺伝子」という)の塩基配列を利用した同定・検出法に関するものである。本発明の同定・検出法は、各種産業分野において有用である。
【0002】
【従来の技術】
ヒトに結核並びに結核類似症を引き起こす抗酸菌種は遅発育性マイコバクテリアの属する種が複数知られている。その中でも臨床例としてはマイコバクテリウム・ツベルクローシス・コンプレックス(Mycobacterium tuberculosis complex)、マイコバクテリウム・アビウム・コンプレックス(Mycobacterium avium complex)、マイコバクテリウム・カンサシイ(Mycobacterium kansasii)がその大半を占めている。最近では後天性免疫不全症候群(AIDS)患者等においてはこれらの細菌が全身播種性感染を引き起こし、AIDS患者の予後の重大な問題となっている。
【0003】
従来これらの菌種の同定・検出は、培養に基づく生理生化学的な方法によって行われていた。例えば、遅発育性マイコバクテリアの中には、1)光を照射した後に暗所で培養した場合にのみ黄色に発色するグループ(光発色菌)、2)光を照射せずに培養しても発色するグループ(暗発色菌)、3)光を照射しても発色しないグループ(非発色菌)の3グループが存在するので、この発色の違いを利用して同定・検出を行うことが行われてきた。また、培養した細菌がカタラーゼ生産を行うかどうか、ウレアーゼ活性、トゥイーン加水分解活性あるいは硝酸塩還元活性を示すかどうか、などにより同定・検出を行う方法も知られていた。
【0004】
しかし、これらの検査は純粋培養を必要とする上、比較の対象となる表現型は変化しやすく、判定が主観的になりがちであった。その結果、時間がかかる上に、正確な種の判定は極めて困難であった。この様な問題点を解決するために、近年になってポリメラーゼ連鎖反応(以下、「PCR」という)法などを用いて遺伝子の特定の塩基配列の有無を判定する同定・検出の方法が考案され利用されるようになった。PCR法は、培養を必要とせず迅速かつ客観的な判定を得るという点で、遅発育性のマイコバクテリアの同定・検出に適している。
【0005】
その際、用いられる遺伝子は多くの場合、rRNA遺伝子である。T. Rogallら(1990. J. Gen. Microbiol. 136, 1915−1920)は、16S rRNA配列を用いたPCRに基づくマイコバクテリア種の同定法を提案した。しかしながら、これらのプライマーは、異なった表現型特性を示すマイコバクテリウム・ガストリ(Mycobacterium gastri)とマイコバクテリウム・カンサシイを区別できなかった。一方B. Boddinghausら(1990. J. Clin. Microbiol. 28: 1751−1759)は、ヒト型結核菌グループや鳥型結核菌−パラ結核菌およびマイコバクテリウム・イントラセルラーレ(Mycobacterium intracellulare)グループに特異的である16S rRNA配列に由来するオリゴヌクレオチドを報告した。このオリゴヌクレオチドを用いても種のレベルでの同定を行う為に必要な解像度は得られなかった。これらのrRNA遺伝子配列を利用した同定法は、現在商品化され、日本ロッシュから「アンプリコア・マイコバクテリウム」という商品名の遺伝子診断キットとして販売されている。その他にも、東洋紡社(特開平10−323189号公報)やベクトン・ディッキンソン・アンド・カンパニー(特開平10−057098号公報)からrRNA配列を利用した検出あるいは同定法が開示されている。上に記したような二つの種を判別できない問題を解決するために、16S rRNAと23S rRNAの間の領域の配列を用いた同定・検出法がA. Rothらによって提案されている(1998. J. Clin. Microbiol. 36: 139−147)。しかし、16S rRNAと23S rRNAの間の領域は約200塩基対しかなく、このような短い配列により精度の高い分子系統学的解析は困難で二菌種のどちらの配列とも一致しない中間的な配列を持つ新規株が現れた場合、どちらにより近縁かといった判断を下すことができない
一方、シュードモナス(Pseudomonas)属、アシネトバクター(Acinetobacter)属を始め、多くの細菌で、進化速度の速いタンパク質をコードする遺伝子、なかでもgyrB遺伝子の1200塩基対の配列を用いることによって、より詳細で正確な分類・同定ができることが示された(Yamamoto, S. and S. Harayama. 1995. Appl. Environ. Microbiol. 61: 1104−1109. Yamamoto, S. and S. Harayama. 1996. Int. J. Syst. Bacteriol. 46: 506−511. Harayama, S. and S. Yamamoto. 1996. p250−258 In Molecular Biology of Pseudomonas T. Nakazawa, K. Fukuda, D. Haas, S. Silver (eds) ASM press, Washington, D.C., 山本 敏、原山重明、化学と生物 1996 第34巻 第3号 p. 149−151., 山本 敏、原山重明、農芸化学会誌 1997 第71巻 第9号 p.894−897.)。
【0006】
gyrB遺伝子以外のタンパク質をコードする遺伝子を用いて遅発育性マイコバクテリアの同定を行う試みは行われている。例えば、C. T. Shivannvarらはスーバーオキシド・ディスムターゼ遺伝子を利用して遅発育性のマイコバクテリアの系統関係と抗原性の関係を論じ(1994. J. Clin. Microbiol. 32: 2801−2812)、D. S. Swansonらは65 kD 熱ショックタンパク質遺伝子を用いて鳥型結核菌−パラ結核菌およびマイコバクテリウム・イントラセルラーレグループの詳細な分類を試みた(1997. Int. J. Syst. Bacteriol. 47: 414−419)。米国アボット・ラボラトリーズは特表平10−500567(国際公開番号W095/31571)としてrRNA遺伝子以外にもマイコバクテリウム・ツベルクローシスのタンパク質抗原Bをコードする遺伝子や、マイコバクテリウム・ツベルクローシスの65 kD熱ショックタンパク質、10kD熱ショックタンパク質等の遺伝子配列並びに挿入配列IS987やIS6110の関連する配列を用いた検出法を開示している。他にもベクトン・ディッキンソン・アンド・カンパニーはマイコバクテリウム・パラツベルクロシスの70kD熱ショックタンパク質をコードする遺伝子に由来する検出・同定するプローブを特開平06−319560として開示している。しかしながら、これらの遺伝子のうち、分子系統学的に得られるデーターと従来の分類学的な手法による種の同定と比較した場合、矛盾が認められないことが示されているのはgyrB遺伝子のみであり(Yamamoto and Harayama 1998. Int. J. Syst. Bacteriol. 48: 813−819. Yamamoto et.al. 1999. Int. J. Syst. Bacteriol. 49: 87−95. Suzuki et al. 1999. Int. J. Syst. Bacteriol. in press, Kasai et al. 1999. Int. J. Syst. Bacteriol. in press)、新規に分離された株についても正確な分子系統学的な位置を決定でき、更に他の遺伝子では区別できなかった近縁種の区別できることなどから他の遺伝子を用いた方法より有効な方法である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
gyrB遺伝子を用いた細菌の同定・検出法については、既に本出願人により出願されている(特開平11−169175号公報)。しかし、この公報中では、遅発育性マイコバクテリアの同定・検出を行うに当たってgyrB遺伝子中のどの領域を利用すればよいかについては明らかにされていなかった。
【0008】
遅発育性マイコバクテリアには結核などの重要な疾病の原因細菌が含まれるため、この細菌群を正確に同定・検出するための方法が強く望まれている。一方、遅発育性マイコバクテリアは、生育速度が通常の細菌よりも遅いため、細菌の培養を必須とする生理生化学的方法では同定・検出が難しい。
本発明は、このような技術的背景の下になされたものであり、gyrB遺伝子を利用した遅発育性マイコバクテリアの同定・検出方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは遅発育性マイコバクテリアの標準株のgyrB遺伝子配列を決定した。それらの配列に対して臨床から分離された株の分類学的な位置づけを行った。分類学的位置づけが矛盾のないことを、細菌の種の同定の標準的方法であるDNA−DNA 交雑法によって確認した。
【0010】
また、遺伝子配列を利用した細菌の検出法として最も一般的に用いられる16S rRNA遺伝子の配列では区別できない非結核性抗酸菌マイコバクテリウム・ガストリとマイコバクテリウム・カンサシイの標準株のDNAからgyrB 断片をPCR法によって増幅し塩基配列を決定した。得られた配列を比較したところ、両株の16S rRNA遺伝子配列は同一であるにも関わらず、両株のgyrB遺伝子配列1257塩基配列中66箇所が異なっていることを見い出した(図1)。それらの配列の違いを利用して両菌種それぞれに特異的なPCR増幅を可能にしたプライマーを設計した。
【0011】
本発明は、以上の知見により完成されたものである。
即ち、本発明は、遅発育性マイコバクテリアのgyrB中の配列番号7〜22に対応する領域を増幅し、その増幅断片の塩基配列を配列番号7〜22記載の塩基配列と比較し、各配列からの遺伝学的距離を求め、その遺伝学的距離により前記遅発育性マイコバクテリアの同定を行うことを特徴とする遅発育性マイコバクテリアの同定方法である。
【0012】
また、本発明は、配列番号4記載のアミノ酸配列の一部若しくは全部をコードする配列、又はそれと相補的な配列を含み、プライマー又はプローブとして実質的に機能するオリゴヌクレオチドを、プライマー又はプローブとして用いることにより、マイコバクテリウム・カンサシイを検出することを特徴とするマイコバクテリウム・カンサシイの検出方法、及び前記オリゴヌクレオチドを含むマイコバクテリウム・カンサシイの検出用キットである。
【0013】
更に、本発明は、配列番号6記載のアミノ酸配列の一部若しくは全部をコードする配列、又はそれと相補的な配列を含み、プライマー又はプローブとして実質低に機能するオリゴヌクレオチドを、プライマー又はプローブとして用いることにより、マイコバクテリウム・ガストリを検出することを特徴とするマイコバクテリウム・ガストリの検出方法、及び前記オリゴヌクレオチドを含むマイコバクテリウム・ガストリの検出用キットである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
(1)同定方法
本発明の遅発育性マイコバクテリアの同定方法は、遅発育性マイコバクテリアのgyrB中の配列番号7〜22に対応する領域をPCRにより増幅し、その増幅断片の塩基配列を配列番号7〜22記載の塩基配列と比較し、各配列からの遺伝学的距離を求め、その遺伝学的距離により前記遅発育性マイコバクテリアの同定を行うことを特徴とする。
【0015】
本発明において同定とは、分子系統学的な手法等によって細菌の分類学的な位置を定めることをいう。
gyrB中の配列番号7〜22に対応する領域を増幅するためのプライマーとしては、例えば、配列番号39及び配列番号40により表されるプライマーを例示することができるが、これらに限定されるわけではない。
配列番号7〜22記載の塩基配列と、対応するアミノ酸配列及び由来とする微生物の名称との関係は、下表の通りである。
【0016】
【表1】
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【0017】
遺伝学的距離は、例えば、Phylip プログラムの説明書にあるFelsenstein記載の方法に従って求めることができる(Felsenstein, J. 1993. PHYLIP(PhylogenyInference Package)version 3.5c. Distributed by the author, Department of Genetics, University of Washington, Seattle, U.S.A.)。
【0018】
(2)特異的検出
本発明のマイコバクテリウム・カンサシイの検出方法は、配列番号4記載のアミノ酸配列の一部若しくは全部をコードする配列、又はそれと相補的な配列を含み、プライマー又はプローブとして実質的に機能するオリゴヌクレオチドを、プライマー又はプローブとして用いることを特徴とするものである。また、本発明のマイコバクテリウム・カンサシイの検出用キットは、前記オリゴヌクレオチドを含むことを特徴とするものである。
【0019】
本発明のマイコバクテリウム・ガストリの検出方法は、配列番号6記載のアミノ酸配列の一部若しくは全部をコードする配列、又はそれと相補的な配列を含み、プライマー又はプローブとして実質低に機能するオリゴヌクレオチドを、プライマー又はプローブとして用いることを特徴とするものである。また、本発明のマコバクテリウム・ガストリの検出用キットは、前記オリゴヌクレオチドを含むことを特徴とするものである。
【0020】
ここで、「プライマー又はプローブとして実質的に機能する」とは、特異的なアニール又はハイブリダイズが可能な程度の長さを有するという意味であり、検出対象とするDNAとアニール又はハイブリダイズする配列を有しているが、その長さが短いため非特異的なアニール又はハイブリダイゼーションを頻繁に起こし、特異的な検出に使用できないようなオリゴヌクレオチドを排除する趣旨である。
【0021】
マイコバクテリウム・カンサシイの検出に利用できるオリゴヌクレオチドとしては、配列番号3により表されるオリゴヌクレオチドを例示でき、マイコバクテリウム・ガストリの検出に利用できるオリゴヌクレオチドとしては、配列番号5により表されるオリゴヌクレオチドを例示できるが、これらに限定されるわけではない。
【0022】
検出の対象とするDNAの調製、プライマーの作製及びそれを用いたPCR、プローブの調製及びそれを用いたハイブリダイゼーションは、常法に従って行うことができ、特別な方法を用いる必要はない。
【0023】
なお、PCRに使用するプライマーは、両方が特異的にアニールするものである必要は必ずしもなく、一方は非特異的にアニールするものであってもよい。このような非特異的にアニールするプライマーの一例としては、配列番号1記載の塩基配列により表されるプライマーを挙げることができる。
【0024】
【実施例】
〔実施例1〕
配列番号39及び配列番号40記載の塩基配列により表されるオリゴヌクレオチドを利用して、臨床患者より分離された抗酸菌株8菌株(KPM 2201T、KPM 2202、KPM 2203、KPM 2013、KPM 2014、KPM 1988−5、KPM 2209、KPM 2212)のgyrB遺伝子配列を決定した。得られたgyrB配列と遅発育性マイコバクテリア同定用gyrB配列セット(配列番号7−38)を利用して分子系統学的解析により系統関係を推定した。分子系統学的解析は、分子系統学的解析用汎用プログラムClustal W(Thompson, J. D., D. G. Higgins, and T. J. Gibson. 1994. Clustal W:improving thesensitivity of progressive multiple sequence alignment through sequenceweighting, positions−specific gap penalties and weight matrix choice. Nucleic Acids Res. 22: 4673−4680.)あるいはPhylip(Felsenstein, J. 1993. PHYLIP(Phylogeny Inference Package)version 3.5c. Distributed by the author, Department of Genetics, University of Washington, Seattle, U.S.A.)等を用い、両プログラムの使用説明書に従い、以下のように行った。配列番号39及び配列番号40記載の塩基配列により表されるオリゴヌクレオチドを使用して得られたgyrB配列と配列番号7−38の遅発育性マイコバクテリア同定用gyrB配列セットをClustal Wプログラムにより多重整列ファイルを作成する。多重整列させる際に用いるパラメーターの一例は”Gap Open Penalty: 15.00;Gap Extension Penalty : 6.66; DNA weight matrix:IUB; DNA transition weight:0.5”である。得られた多重整列はアミノ酸配列から得られる多重整列ファイルと比較し、問題のある箇所は訂正する。次に、多重整列ファイルをもとに各配列間の遺伝学的距離を算出する。算出には、Phylipのdnadistプログラムを使用する。算出はKimura 2−parameter model に従って行う。得られた遺伝学的距離から近隣結合法により系統樹を作成する。系統樹の分岐の確からしさはbootstrap確率を計算すること等により検定する。
一方、上記8菌株を16S rRNA遺伝子を利用した手法及び生化学的手法によっても同定した。以上の結果を表2に示す。
【0025】
【表2】
Figure 0003565752
【0026】
表が示すように、上記8菌株のうち、KPM 2201T、KPM 2202、KPM 2203の3菌株は、マイコバクテリウム・ゴルドナエに属するものと同定されたが、残りのKPM 2013、KPM 2014、KPM 1988−5、KPM 2209、KPM 2212の5菌株は、マイコバクテリウム・ゴルドナエと近縁ではあるが別種(新種)であることが示唆された(図3)。この結果を、検証するためにDNA−DNA交雑試験(Ezaki, T., Hashimoto, Y., Takeuchi, T., Yamamoto, H., Shu−Lin Liu, Matsui, K., & Yabuuchi, E(1988). J. Clin. Microbiol. 26, 1708−1713. Ezaki, T., Hashimoto, Y., Takeuchi & Yabuuchi, E(1989). Int. J. Syst. Bacteriol. 39, 224−229)を行ったところ新種であることが支持された。この結果は、遅発育性マイコバクテリア同定用gyrB配列セットが既知の株のみならず新種の株に対しても信頼性の高い結果を与えることを示している。
【0027】
〔実施例2〕
マイコバクテリウム・カンサシイとマイコバクテリウム・ガストリのgyrB遺伝子の塩基配列を比較し(図1)、マイコバクテリウム・カンサシイのgyrB遺伝子に特異的にアニールするプライマー(配列番号3)とマイコバクテリウム・ガストリに特異的にアニールするプライマー(配列番号5)を作製した。また、両菌種のgyrB遺伝子にアニールするプライマー(配列番号1)も作製した。
【0028】
これらのプライマーを用いて、臨床患者より単離された株 KPM 1004, KPM 1007, KPM KY256, KPM KY761, KPM KY768, KPM 1988−1, KPM 3502, KPM 3503の菌体破砕液をついてPCRを行った。
PCR法による増幅条件は次のとおりである。
【0029】
95 ℃ 10分 1サイクル
95 ℃ 1分、68 ℃ 1分30秒 30サイクル
72 ℃ 10分 1サイクル
プライマー濃度 各1 μM
dNTP 各 100 μM
Ampli Taq GOLDTM及び添付のPCR buffer Iを使用(米国Perkin Elmer社)
【0030】
増幅されたDNA 断片を電気泳動法により解析したところ、KPM 1004, KPM 1007, KPM KY256, KPM KY761, KPM KY768, KPM 1988−1は配列番号1と3に示した組み合わせでのみ増幅断片が観察されたので(表3)、これらの株は マイコバクテリウム・カンサシイと同定された。また、 KPM 3502, KPM 3503は配列番号1と5に示した組み合わせでのみ増幅断片が観察されたので(表3)、これらの株はマイコバクテリウム・ガストリ と同定された。判定に用いた電気泳動像は図2に示すとおりである。これらの同定結果はDNA−DNA ハイブリダイゼーション法による同定結果と一致した。
【0031】
【表3】
Figure 0003565752
【0032】
【発明の効果】
本発明は、これまで同定することが困難であった遅発育性マイコバクテリアの分類同定を正確に行うことを実現するものである。また非結核性抗酸菌のうち16S rRNA 遺伝子配列に基づく同定法では鑑別が困難であった菌種、例えばマイコバクテリウム・カンサシイとマイコバクテリウム・ガストリイの迅速同定が可能となる。
【0033】
【配列表】
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【図面の簡単な説明】
【図1】マイコバクテリウム・カンサシイとマイコバクテリウム・ガストリのgyrB遺伝子の塩基配列を示す図。
【図2】配列番号1、3、5により表されるプライマーを用いたPCRの結果を示す図。
【図3】分子系統解析により作製された遅発育性マイコバクテリアの系統樹を示す図。

Claims (4)

  1. 配列番号3記載の配列又はそれと相補的な配列で表されるオリゴヌクレオチドを、プライマー又はプローブとして用いることにより、マイコバクテリウム・カンサシイを検出することを特徴とするマイコバクテリウム・カンサシイの検出方法。
  2. 配列番号3記載の配列又はそれと相補的な配列で表されるオリゴヌクレオチドを含むことを特徴とするマイコバクテリウム・カンサシイの検出用キット。
  3. 配列番号5記載の配列又はそれと相補的な配列で表されるオリゴヌクレオチドを、プライマー又はプローブとして用いることにより、マイコバクテリウム・ガストリを検出することを特徴とするマイコバクテリウム・ガストリの検出方法。
  4. 配列番号5記載の配列又はそれと相補的な配列で表されるオリゴヌクレオチドを含むことを特徴とするマイコバクテリウム・ガストリの検出用キット。
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