JPWO2006025226A1 - ポリグリセリンモノエーテル及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

下記一般式(1)RO−(C3H6O2)n−H (1)(式中、Rは炭素数1〜30のアルコール残基を示し、グリセリン単位の平均付加モル数nは2以上の数を示す)で表されるポリグリセリンモノエーテルであって、逆相分配型高速液体クロマトグラフィー[溶離液:メタノール/水(=80/20(容量比))]で分析したときのモノエーテル体の含有量(ピーク面積%)が75%以上であり、且つジエーテル体の含有量(ピーク面積%)が5%以下であるポリグリセリンモノエーテル。前記ポリグリセリンモノエーテルは、アルコール類に塩基性物質を添加してアルコキシドとした後、グリシドールを加えて0〜100℃で反応させることにより製造できる。

Description

本発明は、ポリグリセリンモノエーテル及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、医薬、食品、化粧品や生化学の分野において有用な、高品質のポリグリセリンモノエーテル及びその製造方法に関する。
従来、ポリグリセリンモノアルキルエーテル等のポリグリセリンモノエーテルは様々な方法により製造されている。例えば、(1)エピクロルヒドリンをアルコール類に1モル付加したのち、アルカリ条件下で脱塩化水素閉環し、次いで希硫酸で開環する操作を、目的の重合度に達するまで繰り返す方法が知られている。しかし、この方法で得られたポリグリセリンモノエーテルは、塩素化合物を含有する恐れがあるため、安全性に疑問が持たれ、食品用途、化粧品、洗浄剤等の用途として用いるには問題があり、更に、単一重合度の生成物しか得られないため、高重合度の製品を得るためには、反応工程が煩雑になり、コストがかかるという問題点がある。
また、(2)グリシドールを脂肪族アルコールに付加重合する方法が知られている(特開平9−188755号公報の比較例参照)。しかし、(2)の方法では、アルキルフェノールなどのフェノール性水酸基を有する化合物の場合は、水酸基の反応性が高いためフェノール性水酸基に確実にグリシドールが付加するが、脂肪族アルコールの場合は水酸基の反応性が低いため、通常の方法で反応させるとグリシドール中の水酸基に他のグリシドールが付加する単独付加重合がおこり、未反応の脂肪族アルコールやポリグリセリンが不純物として多量に副生する問題がある。
また、(3)水酸基を保護したグリシドールを脂肪族アルコールに付加した後、脱保護をする方法が知られている。例えば、特開平9−188755号公報には、脂肪族アルコールにグリシジルアセテートなどのグリシジルエステルをアルカリ金属触媒の存在下に、反応させる製造方法が知られており、特開平9−235246号公報には、有機ヒドロキシル化合物とベンジルグリシジルエーテルを相間移動触媒の存在下に反応させる製造方法が知られている。しかし、(3)の方法では、目的物は得られるが、グリシドールを保護、脱保護しなければならないので工程的に煩雑になる上、例えば酸無水物などを保護試薬として用いた場合、系内に発生する酸により異常反応が生じるおそれもあり、化学工学的に安全とは言えなかった。
また、(4)特開昭56−20534号公報には、キシレンなどの非極性溶媒中で脂肪族アルコールにグリシドールを付加する方法が知られている。しかし、(4)の方法では、得られた生成物中の残存溶媒の安全性に疑問が持たれ、食品用途、化粧品用途として用いるには問題がある上、生産性も低下する。
また、(5)特開平6−293688号公報には、ポリヒドロキシ化合物にアルキルサルフェートを反応させてポリヒドロキシモノアルキルエーテルを製造する方法が知られている。しかし、(5)方法では、相当量のアルキル化されていないポリグリセリンが残存するため、ポリグリセリンモノアルキルエーテル本来の洗浄力を生かすことができない。また、モノアルキル体の他に、ジアルキル体も相当量副生するために結晶性が高く、水溶性が低いという問題があった。
また、(6)特開昭57−197235号公報には、アルキルグリシジルエーテルとグリセリンのアセタール又はケタールとを反応させて、4−(2'−ヒドロキシ−3'−アルコキシ)プロポキシメチル−1,3−ジオキソランを合成し、これを加水分解して2−ヒドロキシ−3−アルコキシプロピルグリセリルエーテルを製造する方法が知られている。しかし、(6)の方法では、ポリグリセリンモノアルキルエーテルが高価となるため、食品などの原料としての使用は難しかった。
このようにポリグリセリンモノエーテルは既知の物質であるにも関わらず、ポリグリセリンやジアルキル体などの不純物が多く、また製造コストが高いため、一般的には用いられていなかった。
一方、既に工業化されている類似化合物としてポリグリセリンモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンモノアルキルエーテル等が挙げられ、その機能性から多くの化粧品、洗浄剤等に用いられている。しかし、ポリグリセリン脂肪酸エステルは耐加水分解性、耐塩性、耐酸性に問題があり使用分野が限られるという問題がある。又、ポリオキシエチレンモノアルキルエーテルは、近年ホルムアルデヒドの発生が問題視されてきており、また水溶性が低いという問題もあった。そのため、市場からは代替物質が望まれていた。
特開平9−188755号公報 特開平9−235246号公報 特開昭56−20534号公報 特開平6−293688号公報 特開昭57−197235号公報
本発明は、副生成物の極めて少ない高品質のポリグリセリンモノエーテルを提供すること、及びこれを安全かつ高効率に製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、アルコール類とグリシドールを反応させてポリグリセリンモノエーテルを製造する際に、あらかじめアルコール類に塩基性物質を添加してアルコキシドとした後、特定の温度範囲でグリシドールと反応させることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)
RO−(C362)n−H (1)
(式中、Rは炭素数1〜30のアルコール残基を示し、グリセリン単位の平均付加モル数nは2以上の数を示す)
で表されるポリグリセリンモノエーテルであって、逆相分配型高速液体クロマトグラフィー[溶離液:メタノール/水(=80/20(容量比))]で分析したときのモノエーテル体の含有量(ピーク面積%)が75%以上であり、且つジエーテル体の含有量(ピーク面積%)が5%以下であるポリグリセリンモノエーテルを提供する。
このポリグリセリンモノエーテルにおいて、逆相分配型高速液体クロマトグラフィー[溶離液:メタノール/水(=80/20(容量比))]で分析したときのポリグリセリンの含有量(ピーク面積%)が20%以下であるのが好ましい。
本発明は、また、下記一般式(1)
RO−(C362)n−H (1)
(式中、Rは炭素数1〜30のアルコール残基を示し、グリセリン単位の平均付加モル数nは2以上の数を示す)
で表されるポリグリセリンモノエーテルを製造する方法であって、アルコール類に塩基性物質を添加してアルコキシドとした後、グリシドールを加えて0〜100℃で反応させることを特徴とするポリグリセリンモノエーテルの製造方法を提供する。
この製造方法において、アルコキシドとグリシドールの反応温度は、例えば30〜90℃である。アルコール類として炭素数1〜30のアルコール類を使用できる。また、アルコール類として、アリルアルコール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、ステロール、トコール類および2−エチルヘキサノールからなる群より選ばれた少なくとも一種を使用できる。使用するグリシドールの量は、アルコール類1モルに対して例えば0.1〜40モルである。塩基性物質として、リチウム、ナトリウム、カリウム、及びそれらを含む塩基性化合物からなる群より選ばれた少なくとも一種を使用でき、その添加量は、アルコール類1モルに対して例えば0.05〜1.00モルである。
なお、本明細書において、「アルコール残基」とはアルコール類からヒドロキシル基を除した基を意味する。また、アルコール類には、アルコールのほか、芳香環にヒドロキシル基が直接結合したフェノール類も含まれるものとする。
本発明のポリグリセリンモノエーテルは、副生成物の極めて少ない高品質のポリグリセリンモノエーテルであり、食品や化粧品等の原料として適している。また、本発明の製造方法によれば、安全かつ高効率に、副生成物の極めて少ない高品質のポリグリセリンモノエーテルを得ることができる。
本発明は、副生成物の極めて少ない高品質のポリグリセリンモノエーテル、及びポリグリセリンモノエーテルの製造方法に関する。より詳しくは、逆相分配型高速液体クロマトグラフィー[溶離液:メタノール/水(=80/20(容量比))]で分析したときのモノエーテル体の含有量(ピーク面積%)が75%以上であり、且つジエーテル体の含有量(ピーク面積%)が5%以下であるポリグリセリンモノエーテル、及び、さらに逆相分配型高速液体クロマトグラフィー[溶離液:メタノール/水(=80/20(容量比))]で分析したときのポリグリセリンの含有量(ピーク面積%)が20%以下であるポリグリセリンモノエーテル、並びにポリグリセリンモノエーテルの製造方法に関する。
本発明のポリグリセリンエーテルは、水溶性に優れ、水溶液を室温放置してもポリグリセリンエーテルの結晶が析出することはない。
本発明のポリグリセリンモノエーテルは、下記一般式(1)
RO−(C362)n−H (1)
で表されるポリグリセリンモノエーテルである。一般式(1)において、Rは炭素数1〜30、好ましくは6〜21のアルコール残基を示す。Rには、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基やアルケニル基等の脂肪族炭化水素基、シクロアルキル基等の単環又は多環の脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環式基、これらが複数個結合した基などが包含される。これらの基は置換基を有していてもよい。
また、一般式(1)において、nはグリセリン構成単位の平均付加モル数(グリセリンの平均重合度)であり、反応させるアルコール類とグリシドールのモル比により、容易に変えることができる。nは2以上であり、より好ましくは3〜20、更に好ましくは3〜12である。nが2より小さいと、水溶性が低くなり好ましくない。一方、nが20より大きいと、水溶性が高くなりすぎ、表面張力低下効果が低くなるため好ましくない。
一般式(1)の括弧内のC362で表される単位は、下記式(2)、(3)のいずれかであり、1分子中に(2)および(3)で示される両方の構造を有していてもよい。
−CH2−CHOH−CH2O− (2)
−CH(CH2OH)CH2O− (3)
また、本発明のポリグリセリンモノエーテルは、後述する分析法において、当該モノエーテル体の含有量が75%以上且つ不純物としてのジエーテル体の含有量が5%以下、好ましくはモノエーテル体の含有量が90%以上且つジエーテル体の含有量が1%以下である。モノエーテル体の含有量が75%より少ない場合、およびジエーテル体の含有量が5%を超える場合には、ポリグリセリンエーテルの水溶性が悪くなり好ましくない。
また、本発明のポリグリセリンモノエーテルは、後述する分析法において、不純物としてのポリグリセリンの含有量が、好ましくは20%以下、さらに好ましくは10%以下である。ポリグリセリン含有量が20%より多いと、起泡力が低下し好ましくない。
次に、本発明のポリグリセリンモノエーテルの製造方法を詳しく説明する。本発明では、原料アルコール類(ROH)に塩基性物質を加えてアルコキシド(フェノキシドも含まれる)とした後、グリシドールを加えて0〜100℃で反応させることにより、ポリグリセリンモノアルキルエーテル等のポリグリセリンモノエーテルを生成させる。より具体的には、例えば、反応容器中にアルコール類を入れ、これに塩基性物質を添加し、アルコキシドとした後、グリシドールを、好ましくは少量ずつ添加しながら反応を行う。反応終了後、酸を添加して中和などすることにより、ポリグリセリンモノエーテルを得る。
原料に用いるアルコール類としては、炭素数が1〜30であれば特に制限はなく、メタノール、エタノールのような低分子量の脂肪族アルコールでも、ラウリルアルコールや2−エチルヘキサノールのような比較的分子量の大きい脂肪族アルコールでも、シクロヘキサノールやステロールのような単環又は多環の脂環式アルコールでも、ベンジルアルコールのような芳香族アルコールでも、フェノールのようなフェノール類でも、二価以上の多価アルコールや多価フェノールでもよい。又、飽和脂肪族アルコールでも不飽和脂肪族アルコールでも直鎖状脂肪族アルコールでも側鎖をもつ脂肪族アルコールでもよい。
これらの中でも好ましいアルコール類は、炭素数1〜30、さらに好ましくは炭素数6〜21のアルコール(特に、脂肪族アルコール又は単環若しくは多環の脂環式アルコール)である。好ましいアルコールの代表例として、例えばアリルアルコール、カプリルアルコール、2−エチルヘキサノール、ラウリルアルコール、イソトリデカノール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘノール、リシノール、ヒドロキシステアリルアルコール、ステロールやトコール類などがあげられる。これらの中でも特に、アリルアルコール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、ステロール、トコール類、2−エチルヘキサノールが好ましい。これらのアルコール類は単独で使用できるほか、2種以上を任意に混合して反応に用いてもよい。
使用する塩基性物質は、触媒性能が高く且つアルコール類をアルコキシドとした後、塩基性物質の残分が除去しやすい塩基性化合物が好ましい。好ましい塩基性物質としては、水やアルコールのようなプロトン性溶媒のプロトンの一部をアルカリ金属またはアルカリ土類金属カチオンで置換した塩基性化合物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ブトキシナトリウムなど);飽和炭化水素の一部をアルカリ金属またはアルカリ土類金属カチオンで置換した塩基性化合物(例えば、ブチルリチウム、メチルリチウム、エチルリチウムなど);塩基性金属(例えば、金属リチウム、金属ナトリウム、金属カリウムなど)などが挙げられる。塩基性物質の中でも、リチウム、ナトリウム、カリウム、及びこれらを含む塩基性化合物がより好ましい。なお、上記塩基性物質は1種を単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
塩基性物質のアルコール類への添加は、グリシドールの添加前に行う。塩基性物質の添加量は、アルコール1モルに対して、例えば0.05〜1.00モル、好ましくは0.20〜0.50モルである。塩基性物質の添加量が上記範囲より少ないと系内のアルコキシドが少ないため、グリシドールは自己重合を起こしポリグリセリンを副生するため好ましくなく、上記範囲より多いと、アルコールに対して塩基が余ることになり、やはりグリシドールが自己重合を起こしポリグリセリンを副生するため好ましくない。塩基性物質の反応系への添加は、一括して行われても分割して行われてもよい。また、塩基性物質添加後、アルコールをアルコキシドに変換するため、必要に応じて加熱下あるいは減圧加熱下で、アルコキシドへの変換を行いながら、副生する水等や塩基性物質の残分を留出させてもよい。
アルコキシドとグリシドールのモル比は、アルコール1モルに対し、グリシドール0.1モル〜40モルの割合が好ましい。また、反応温度は0〜100℃、好ましくは30〜90℃であり、より好ましくは40〜70℃である。0℃未満では反応中の組成物が撹拌できなくなるため好ましくない。また、100℃を越えると、グリシドールはアルコキシドと反応する前に自己重合を起こしポリグリセリンを副生するため好ましくない。反応時、反応温度の上昇を防止するために、グリシドールと反応しない低沸点化合物または不活性な溶媒を添加してもよい。また、反応はアルコキシドの加水分解を抑えるためと安全のため、乾燥した不活性ガス気流下、例えば窒素ガス気流下で行うことが望ましい。系内に水分が入ると、アルコキシドが加水分解した結果生成するアルカリ化合物を開始剤としてポリグリセリンが副生する。又、反応は必要に応じて加圧して行ってもよい。
反応終了後、反応生成物中の塩基を塩酸水溶液やリン酸水溶液などの酸で中和し、必要に応じて塩を除去し、ポリグリセリンモノアルキルエーテル等のポリグリセリンモノエーテルを得る。中和塩(例えばリン酸塩など)は、必要に応じて分離助剤を加えて、ろ過又は遠心分離することにより分離除去できる。また、反応触媒として用いた塩基性物質及びその中和塩は、イオン交換樹脂により除去することもできる。
こうして得られたポリグリセリンモノエーテルは、必要に応じて種々の精製手段を用いて更に精製することも可能である。具体的な精製方法としては、(イ)減圧下に飽和加熱水蒸気を吹き込んで水蒸気脱臭を行う脱臭方法、(ロ)次亜燐酸ソーダまたは過酸化水素による漂白等の脱色方法などがある。もちろん、このような中和や脱塩や精製処理を施さずに製品とすることもできる。
本発明のポリグリセリンモノエーテルの純度は、カラムクロマトグラフィーなどにより、好ましくは高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分析し、ピーク面積比で、ポリグリセリンモノエーテル、及び副生物であるポリグリセリンやポリグリセリンジエーテルの生成量や含有量を定量することができる。
ここで高速液体クロマトグラフィーの固定相としては、官能基がオクタデシルシリル基、オクチルシリル基、ブチルシリル基、トリメチルシリル基、フェニルシリル基を結合したシリカゲルを担体として用いる逆相分配型充填剤;官能基としてシアノプロピル基、アミノプロピル基を有するシリカゲルを担体として用いる順相分配型充填剤;官能基として4級アンモニウム基、フェニルスルホン酸基を有するイオン交換型充填剤;多孔性シリカゲルの吸着型充填剤などが挙げられる。好ましくは、オクタデシルシリル(ODS)基が結合したシリカゲルを担体として用いる逆相分配型充填剤である。また、分離性能を向上させるため、カラムサイズは4.6mmφ×250mm以上が好ましく、カラムを直列に繋ぐと分離能を向上させることができるので、より好ましい。
本発明で規定するモノエーテル体(ポリグリセリンモノエーテル)の含有量、ジエーテル体(ポリグリセリンジエーテル)の含有量、およびポリグリセリンの含有量は、逆相分配型高速液体クロマトグラフィー[溶離液:メタノール/水(=80/20(容量比))]で分析したときの測定値(ピーク面積%)である。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例において、高速液体クロマトグラフィーを使用して生成物を溶離し示差屈折率検出器(RI)により検出して、各成分のピ−ク面積を求め、モノアルキル体(ポリグリセリンモノアルキルエーテル)、ジアルキル体(ポリグリセリンジアルキルエーテル)、及びポリグリセリンの含有量を面積%で示した。
(高速液体クロマトグラフィー分析条件)
高速液体クロマトグラフィー本体:Waters 2690(Waters社製)
カラム:Wakosil 5C18×2(和光純薬工業(株)製、オクタデシルシリル基を官能基として持つ逆相分配カラム)
溶離液:メタノール/水(=80/20(容量比))
流速:0.5ml/min
カラムオーブン温度:40℃
検出器:示差屈折率検出器
試料濃度:10%(溶媒:溶離液と同じ)
注入量:10μl
各成分のリテンションタイムは、ポリグリセリン:6分未満、ポリグリセリンモノラウリルエーテル:6分〜25分、ポリグリセリンジラウリルエーテル:25〜35分である。なお、ジアルキル体の検出限界は、0.05%である。
(実施例1)
ラウリルアルコール184.3g(1.0モル)と水酸化ナトリウム8.0g(0.2モル)を4つ口フラスコに仕込んだ。次に、反応系内の水分を除去する目的で90分間、80℃に加熱しながらアスピレーターで30mmHg(3990Pa)まで減圧した。その後、反応系を常圧にもどし、窒素流通下、反応液を十分撹拌しながら、反応温度を70℃に保って、グリシドール222.2g(3.0モル)を12時間かけて滴下した。次に、反応液をリン酸水溶液でpH7に中和し、その後、再び200℃に加熱しながら反応系内を1mmHg(133Pa)の減圧にして低沸分を留去した。また、塩基触媒の中和残渣を遠心分離により除去した。得られたものの分析値は、モノアルキル体(n=4)95.1%、ジアルキル体検出限界以下、ポリグリセリン4.9%であった。
(実施例2)
ラウリルアルコール184.3g(1.0モル)と水酸化リチウム4.8g(0.2モル)を4つ口フラスコに仕込んだ。次に、反応系内の水分を除去する目的で90分間、80℃に加熱しながらアスピレーターで30mmHg(3990Pa)まで減圧した。その後、反応系を常圧にもどし、窒素流通下、反応液を十分撹拌しながら、反応温度を70℃に保って、グリシドール222.2g(3.0モル)を12時間かけて滴下した。次に、反応液をリン酸水溶液でpH7に中和した後、再び200℃に加熱しながら反応系内を1mmHg(133Pa)の減圧にして低沸分を留去した。また、塩基触媒の中和残渣を遠心分離により除去した。得られたものの分析値は、モノアルキル体(n=4)95.9%、ジアルキル体検出限界以下、ポリグリセリン4.1%であった。
(実施例3)
2−エチルヘキサノール116.2g(1.0モル)と水酸化ナトリウム8.0g(0.2モル)を4つ口フラスコに仕込んだ。次に、反応系内の水分を除去する目的で90分間、80℃に加熱しながらアスピレーターで30mmHg(3990Pa)まで減圧した。その後、反応系を常圧にもどし、窒素流通下、反応液を十分撹拌しながら、反応温度を50℃に保って、グリシドール222.2g(3.0モル)を12時間かけて滴下した。次に、反応液をリン酸水溶液でpH7に中和した後、再び200℃に加熱しながら反応系内を1mmHg(133Pa)の減圧にして低沸分を留去した。また、塩基触媒の中和残渣を遠心分離により除去した。得られたものの分析値は、モノアルキル体(n=4)92.9%、ジアルキル体検出限界以下、ポリグリセリン7.1%であった。
(実施例4)
ラウリルアルコール184.3g(1.0モル)と水酸化カリウム16.8g(0.3モル)を4つ口フラスコに仕込んだ。次に、反応系内の水分を除去する目的で90分間、80℃に加熱しながらアスピレーターで30mmHg(3990Pa)まで減圧した。その後、反応系を常圧にもどし、窒素流通下、反応液を十分撹拌しながら、反応温度を70℃に保って、グリシドール222.2g(3.0モル)を12時間かけて滴下した。次に、反応液をリン酸水溶液でpH7に中和した後、再び200℃に加熱しながら反応系内を1mmHg(133Pa)の減圧にして低沸分を留去した。また、塩基触媒の中和残渣を遠心分離により除去した。得られたものの分析値は、モノアルキル体(n=4)83.4%、ジアルキル体検出限界以下、ポリグリセリン16.6%であった。
(比較例1)
ラウリルアルコール184.3g(1.0モル)と水酸化カリウム16.8g(0.3モル)を4つ口フラスコに仕込んだ。次に、反応系内の水分を除去する目的で90分間、80℃に加熱しながらアスピレーターで30mmHg(3990Pa)まで減圧した。その後、反応系を常圧にもどし、窒素流通下、反応液を十分撹拌しながら、反応温度を130℃に保って、グリシドール222.2g(3.0モル)を12時間かけて滴下した。次に、反応液をリン酸水溶液でpH7に中和した。その後、再び200℃に加熱しながら反応系内を1mmHg(133Pa)の減圧にして低沸分を留去した。また、塩基触媒の中和残渣を遠心分離により除去した。得られたものの分析値は、モノアルキル体(n=4)65.6%、ジアルキル体検出限界以下、ポリグリセリン34.4%であった。
(比較例2)
2−エチルヘキサノール116.2g(1.0モル)と水酸化カリウム16.8g(0.3モル)を4つ口フラスコに仕込んだ。次に、反応系内の水分を除去する目的で90分間、80℃に加熱しながらアスピレーターで30mmHg(3990Pa)まで減圧した。その後、反応系を常圧にもどし、窒素流通下、反応液を十分撹拌しながら、反応温度を130℃に保って、グリシドール222.2g(3.0モル)を12時間かけて滴下した。次に、反応液をリン酸水溶液でpH7に中和した後、再び200℃に加熱しながら反応系内を1mmHg(133Pa)の減圧にして低沸分を留去した。また、塩基触媒の中和残渣を遠心分離により除去した。得られたものの分析値は、モノアルキル体(n=4)51.9%、ジアルキル体検出限界以下、ポリグリセリン48.1%であった。
(比較例3)
テトラグリセリン(ダイセル化学工業(株)製、PGL04)314.3g(1mol)を1リットルの四つ口反応器に入れ、130℃に加熱撹拌しつつ、NaOH12g(0.3mol)を加え5時間で溶解した。次いで、反応系内の水分を除去する目的で2時間、系内の圧力を30mmHg(3990Pa)まで減圧し130℃で加熱を行った。次いで、反応系を常圧にもどし、窒素流通下、反応液を十分撹拌しながら、系内を130℃に保って、ラウリル硫酸エステルナトリウム塩86.5g(0.3mol)を8時間かけて添加した。さらに、7時間、180℃で加熱撹拌を行った。次に、反応液をリン酸水溶液でpH7に中和し、塩基触媒の中和残渣を遠心分離により除去した。得られたものの分析値は、モノアルキル体(n=4)14.6%、ジアルキル体7.2%、ポリグリセリン成分61.6%であった。
(比較例4)
テトラグリセリン(ダイセル化学工業(株)製、PGL04)314.3g(1mol)を1リットルの四つ口反応器に入れた後、50%水酸化ナトリウム液80gを加え、脱水しながら120℃まで昇温した。100℃まで冷却後、窒素流通下、反応液を十分撹拌しながら、1−クロロドデカン204.8g(1mol)を1.5時間かけて滴下した。次に、反応液をリン酸水溶液でpH7に中和し、塩基触媒の中和残渣を遠心分離により除去した。得られたものの分析値は、モノアルキル体(n=4)35.1%、ジアルキル体22.5%、ポリグリセリン成分31.2%であった。
(比較例5)
テトラグリセリン(ダイセル化学工業(株)製、PGL04)314.3g(1mol)を1リットルの四つ口反応器に入れ130℃に加熱撹拌しつつNaOH12g(0.3mol)を加え5時間で溶解した。次いで、反応系内の水分を除去する目的で2時間、系内の圧力を30mmHg(3990Pa)まで減圧し130℃で加熱を行った。次いで、反応系を常圧にもどし、窒素流通下、反応液を十分撹拌しながら、系内を130℃に保って、ラウリルグリシジルエーテル228.4g(1.0mol)を8時間かけて滴下した。さらに、7時間130℃に保ちながら撹拌を行った。次に、反応液をリン酸水溶液でpH7に中和し、塩基触媒の中和残渣を遠心分離により除去した。得られたものの分析値は、モノアルキル体(n=4)48.6%、ジアルキル体12.2%、ポリグリセリン成分28.6%であった。
本発明のポリグリセリンモノエーテルは、副生成物の極めて少ない高品質のポリグリセリンモノエーテルであり、食品や化粧品の原料として適している。また、本発明記載の製造方法によれば、安全かつ高効率に、副生成物の極めて少ない高品質のポリグリセリンモノエーテルが得られる。本発明で得られる副生ポリグリセリンの少ないポリグリセリンモノエーテルは、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルに比較して、耐加水分解性、安全性、水溶性に優れ、かつ安価であるため食品、化粧品、医薬などの広い分野で乳化剤や基剤として用いることが可能である。例えば、界面活性剤、乳化安定剤として用いれば、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル以上の機能を発現することが期待出来る。

Claims (8)

  1. 下記一般式(1)
    RO−(C362)n−H (1)
    (式中、Rは炭素数1〜30のアルコール残基を示し、グリセリン単位の平均付加モル数nは2以上の数を示す)
    で表されるポリグリセリンモノエーテルであって、逆相分配型高速液体クロマトグラフィー[溶離液:メタノール/水(=80/20(容量比))]で分析したときのモノエーテル体の含有量(ピーク面積%)が75%以上であり、且つジエーテル体の含有量(ピーク面積%)が5%以下であるポリグリセリンモノエーテル。
  2. 逆相分配型高速液体クロマトグラフィー[溶離液:メタノール/水(=80/20(容量比))]で分析したときのポリグリセリンの含有量(ピーク面積%)が20%以下である請求の範囲第1項記載のポリグリセリンモノエーテル。
  3. 下記一般式(1)
    RO−(C362)n−H (1)
    (式中、Rは炭素数1〜30のアルコール残基を示し、グリセリン単位の平均付加モル数nは2以上の数を示す)
    で表されるポリグリセリンモノエーテルを製造する方法であって、アルコール類に塩基性物質を添加してアルコキシドとした後、グリシドールを加えて0〜100℃で反応させることを特徴とするポリグリセリンモノエーテルの製造方法。
  4. アルコキシドとグリシドールの反応温度が30〜90℃である請求の範囲第3項記載のポリグリセリンモノエーテルの製造方法。
  5. アルコール類が炭素数1〜30のアルコール類である請求の範囲第3項又は第4項記載のポリグリセリンモノエーテルの製造方法。
  6. アルコール類がアリルアルコール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、ステロール、トコール類および2−エチルヘキサノールからなる群より選ばれた少なくとも一種である請求の範囲第3項〜第5項のいずれかの項に記載のポリグリセリンモノエーテルの製造方法。
  7. 使用するグリシドールの量がアルコール類1モルに対して0.1〜40モルである請求の範囲第3項〜第6項のいずれかの項に記載のポリグリセリンモノエーテルの製造方法。
  8. 塩基性物質がリチウム、ナトリウム、カリウム、及びそれらを含む塩基性化合物からなる群より選ばれた少なくとも一種であり、その添加量がアルコール類1モルに対して0.05〜1.00モルである請求の範囲第3項〜第7項のいずれかの項に記載のポリグリセリンモノエーテルの製造方法。
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