JP3908310B2 - エーテル化合物の製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はエーテル化合物の製造法に関する。さらに詳しくは、溶剤、化粧料、洗浄剤組成物、潤滑剤、乳化剤等に広範囲に使用可能なエーテル化合物を簡便かつ高収率で供給できるエーテル化合物の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、エーテル化合物はジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が溶剤として利用されている。しかし、これらより分子量の大きいもの、あるいは非対称型のものは合成が困難なため、ほとんど利用されていないのが現状である。
特に化粧料等に配合できる油剤として、エーテル化合物は、現在汎用されているエステル系の油剤に比べ、べとつかず、しかも加水分解もしないので、その有用性が高くなってきている。
【0003】
また、エーテル化合物は、洗浄剤組成物としての油剤あるいは新しい非イオン活性剤としての利用も考えられる。さらには、潤滑剤、乳化剤等への利用も可能である。
上記のような理由からもエーテル化合物の利用に対する期待は高まっているが、本当に有用なエーテル化合物を工業的レベルで、簡便かつ安価に製造できないのが現状である。
【0004】
従来から知られているエーテル化合物の合成に用いられる方法としては、例えば、アルコラートとハロゲン化アルキルからの合成(ウィリアムソン合成法)、アルコールとエステル系化合物からの合成、アルコール間の酸による脱水反応からの合成、アルコールのオレフィンへの付加による合成等が一般的である。
【0005】
しかし、アルコラートとハロゲン化アルキルからの合成では、アルコラートを生じさせるためのアルコールと当量の金属(Na、K等)、あるいはアルカリが必要であり、さらには反応後、それに伴う多量の塩が生成し、工業的には好ましくない。
また、アルコールとエステル系化合物からの合成については、エステル化合物がジメチル硫酸、ジエチル硫酸等に限定され、メチルエーテル、エチルエーテルの合成には好ましいが、これらの化合物より炭素数が多いエーテル化合物を合成するのは困難である。
【0006】
アルコール間の酸による脱水反応では対称型エーテル化合物の合成には適するが、非対称型エーテル化合物の合成は困難である。さらにはオレフィンの副生も生じる。
また、アルコールのオレフィンへの付加による合成では、オレフィン化合物が限定されたり、また、使用する触媒とともにかなり高価なものが多く、さらには、オレフィン、触媒ともに回収再利用も困難なものが多く、工業的には適さない。
【0007】
また、例えば、特開昭48−33037号公報には各種モノエーテル類の利用が開示されているが、その合成法としてウィリアムソン法が有利と明記してある。しかし、先にも述べたように、ウィリアムソン法は工業的レベルでは好ましくない。
更に、エーテル化合物の利用法が、特開昭48−5941号公報、米国特許第4009254号明細書に開示されているが、これらもウィリアムソン法がほとんどである。
【0008】
その他、エーテルの合成法として、アルコールとカルボニル化合物から製造する方法がある。例えば、J. Chem. Soc., 5598(1963)、Chem. Commun., 422(1967) にアルコール過剰系において、常圧水素雰囲気下、酸性触媒を用いた条件下エーテル化合物を合成する方法が記載されている。
しかし、それらはすべてアルコールが大過剰系であり、しかもメタノール、エタノール、プロピルアルコールといった低級アルコールの使用のみであり、炭素数が6を超える高級アルコールについては記載されていない。
【0009】
また、J. Org. Chem., 26, 1026(1961) には、各種ケタールの水素化分解反応によるエーテルの合成法が開示されているが、これについても炭素数が6以下の低級アルコールが中心であり、高級アルコールのエーテル化の記載はなく、一般的でない。また、この反応においては、一旦、ケタールを合成しなければならないという欠点もある。
【0010】
また、近年、高級アルコールを用いたエーテル化合物の合成例として、強酸を触媒としたトリエチルシランによる還元法が開発され、高級アルコールと各種カルボニル化合物から各種エーテル化合物が合成されているが(Chemistry letters, P.743-746, 1985) 、強酸、トリエチルシラン等が高価なこともあり、工業的には好ましい方法とはいえない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上記で述べたように、エーテル化合物は、その用途が期待されながら、製造が困難であるため汎用的に利用できず、簡便にかつ高収率で供給できるエーテル化合物の製造法が望まれていた。
従って、本発明の目的は、溶剤、化粧料、洗浄剤組成物、潤滑剤、乳化剤等への利用として有用なエーテル化合物を簡便に高収率で供給できる製造法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、汎用的に使用できるエーテル化合物の簡便かつ高収率の製造方法について鋭意検討を行った結果、ヒドロキシ化合物とカルボニル化合物を水素雰囲気下、触媒を用いて反応させるに際し、ヒドロキシ化合物として、特定のヒドロキシ化合物を用いることにより、一段階で、しかも高収率でエーテル化合物が得られることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0013】
すなわち本発明は、ヒドロキシ化合物とカルボニル化合物を、触媒を用いて水素雰囲気中で反応させてエーテル化合物を製造するに際し、ヒドロキシ化合物として、アルカリ金属を含有する触媒存在下での水酸基を1個以上有するアルコールとアルキレンオキサイドとの反応生成物を精製処理することにより得られるヒドロキシ化合物を用いることを特徴とするエーテル化合物の製造法を提供するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0015】
本発明においては、ヒドロキシ化合物として、アルカリ金属を含有する触媒存在下での水酸基を1個以上有するアルコールとアルキレンオキサイドとの反応生成物を精製処理することにより得られるヒドロキシ化合物を用いる。
【0016】
水酸基を1個以上有するアルコールとしては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、n−ペンチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール、n−ノニルアルコール、n−デシルアルコール、n−ウンデシルアルコール、n−ドデシルアルコール、n−トリデシルアルコール、n−テトラデシルアルコール、n−ペンタデシルアルコール、n−ヘキサデシルアルコール、n−オクタデシルアルコール、n−エイコシルアルコール等の直鎖飽和アルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、2−ヘキシルデシルアルコール、2−ヘプチルウンデシルアルコール、2−オクチルドデシルアルコール、2−デシルテトラデシルアルコール、2−(1,3,3−トリメチルブチル)−5,7,7−トリメチルオクチルアルコール、次式
【0017】
【化2】
【0018】
(式中、a, bは、 a+b=14であり、 a=b=7を頂点とする分布をもつ)
で表されるメチル分岐イソステアリルアルコール、2−テトラデシルオクタデシルアルコール等の飽和分岐アルコール、9−オクタデセニルアルコール、ファルネシルアルコール、アビエチルアルコール、オレイルアルコール等のアルケニルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル(イソプロピルセロソルブ)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールモノイソアミルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル等のエチレングリコールのモノエーテル類、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メチルカルビトール)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(エチルカルビトール)、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(イソプロピルカルビトール)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)等のジエチレングリコールのモノエーテル類、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノドデシルエーテル、トリエチレングリコールモノテトラデシルエーテル等のトリエチレングリコールのモノエーテル類、1,4−ブタンジオールモノヘキシルエーテル、2−メチル−1,3−プロパンジオールモノオクチルエーテル、1,6−ペンタンジオールモノヘキシルエーテル、2,2'−ジメチルプロパンジオールモノオクチルエーテル、3−メチル−1,5−ペンタンジオールモノヘキシルエーテル等のアルキレングリコールのモノエーテル類、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール等のジオール類等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0019】
これらのアルコールの中では、炭素数1〜22、特に4〜22の脂肪族アルコールが好ましい。
これらのアルコールは1種又は2種以上の混合物として用いることができる。
また、本発明に用いられるアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドあるいはブチレンオキサイドなどが挙げられ、エチレンオキサイドが好ましい。
これらのアルキレンオキサイドの平均付加モル数は特に限定されないが、1〜500 が好ましく、3〜300 が特に好ましい。
【0020】
本発明において、水酸基を1個以上有するアルコールとアルキレンオキサイドとの反応はアルカリ金属を含有する触媒、好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、カリウムメチラート、ナトリウムブチラート、特に好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウムをアルコールに対し0.05〜3重量%、好ましくは 0.1〜1重量%存在させ、常圧もしくは加圧下でアルキレンオキサイドを、温度100〜180℃、4〜6時間で導入することにより行う。
【0021】
本発明においては、水酸基を1個以上有するアルコールとアルキレンオキサイドとの反応生成物を精製処理したものをヒドロキシ化合物として用いる。本発明に用いられるヒドロキシ化合物として好ましいものは、次の一般式(1)で表される化合物である。
【0022】
R1−(OA)n-OH (1)
〔式中、R1は水素原子、炭素数1〜40の直鎖又は分岐のアルキル基あるいはアルケニル基を示す。 Aは炭素数2〜12のアルキレン基を示し、n個のA は同一でも異なっていてもよい。nは1〜500 の数を示す。〕
本発明において、精製処理とは、ヒドロキシ化合物とカルボニル化合物を反応させエーテルを製造するに際し、使用される触媒がアルカリ金属により不活性化されるのを抑制する処理を言い、その方法は特に限定されないが、好ましくはヒドロキシ化合物中のアルカリ金属イオン含量を200 ppm 以下とする処理、あるいは無機強酸による中和処理が挙げられ、前者の処理方法としては、吸着剤処理、蒸留処理が挙げられ、ヒドロキシ化合物が蒸留可能な低沸点物の場合は蒸留処理が、ヒドロキシ化合物が蒸留不可能な高沸点物の場合は吸着剤処理が好ましい。
【0023】
本発明における吸着剤処理に用いられる吸着剤としては、シリカ、マグネシア及びアルミナから選択される少なくとも1種を主成分とするものが挙げられ、具体的にはケイ酸マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、炭酸アルミニウム、炭酸マグネシウム、あるいはこれらの混合物等が挙げられ、ゼオライト、シリカ/アルミナ、活性アルミナ、キョーワード(協和化学工業(株)製)、活性白土等として市販されているものを用いればよい。吸着剤の添加量は反応生成物に対して、 0.1〜20重量%が好ましい。また吸着剤処理は減圧下、50〜 200℃の温度で攪拌処理するのが好ましい。
【0024】
また、本発明における蒸留処理は、 0.1torr〜常圧下、50〜 250℃の温度範囲で行うのが好ましい。
【0025】
本発明においては、上記の吸着剤処理、蒸留処理に中和処理を組み合わせて行ってもよく、精製処理することにより、ヒドロキシ化合物中の、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属イオン含量を100 ppm 以下、特に50ppm 以下とすることが好ましい。
【0026】
本発明における無機強酸による中和処理に用いられる無機強酸としては、pKa 3以下のもの、好ましくは塩酸(pKa −8)、硫酸(pKa 1.99)、リン酸(pKa 2.15)が挙げられ、これらの酸によりpH5〜7となるように中和するのが好ましい。中和処理はアルコールの溶解条件下で酸を添加し、5〜60分攪拌すればよい。なお、このpHは1%水溶液での測定値である。
【0027】
本発明に用いられるカルボニル化合物としては、例えば、一般式(2)
【0028】
【化3】
【0029】
〔式中、R2, R3は水素原子、炭素数1〜35の直鎖又は分岐のアルキル基あるいはアルケニル基を示し、R2, R3は同一であっても異なっていてもよい。また、R2, R3が結合した環状構造であってもよい。〕
で表される化合物が挙げられる。
【0030】
一般式(2)で表される化合物の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン(4−メチル−2−ペンタノン)、ピナコロン、メチル−n−アミルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、メチルn−ヘプチルケトン、メチルn−オクチルケトン、メチルn−ノニルケトン、メチルn−デシルケトン、メチルn−ウンデシルケトン、メチルn−ドデシルケトン、メチルn−テトラデシルケトン、メチルn−ヘキサデシルケトン、メチルn−オクタデシルケトン、ジエチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、ジ−n−プロピルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、2,6,6−トリメチルノナノン−4、6−メチル−5−ヘプテノン−2等の鎖状ケトン、シクロヘキサノン、2−メチルシクロヘキサノン、イソホロン、シクロペンタノン、メチルシクロペンタノン、ヘキシルシクロペンタノン、シクロヘプタノン等の環状ケトン、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド、ペンチルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、オクチルアルデヒド、ノニルアルデヒド、デシルアルデヒド、ウンデシルアルデヒド、ドデシルアルデヒド、ヘキサデシルアルデヒド、オクタデシルアルデヒド、エイコシルアルデヒド等の直鎖アルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、メチルヘプタデシルアルデヒド等の分岐アルデヒドなどが挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0031】
これらのカルボニル化合物の中では、炭素数1〜12の鎖状ケトン、環状ケトンあるいはアルデヒドが好ましく、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン(4−メチル−2−ペンタノン)等の炭素数3〜6の鎖状ケトンや、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド、オクチルアルデヒド、デシルアルデヒド、ウンデシルアルデヒド、ドデシルアルデヒド等の炭素数1〜12、更には3〜8の脂肪族アルデヒドが特に好ましく、更にはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン(4−メチル−2−ペンタノン)が特に好ましい。
これらのカルボニル化合物は、1種又は2種以上の混合物として用いることができる。
【0032】
本発明の製造法において、ヒドロキシ化合物とカルボニル化合物の仕込み比は、特に限定されないが、通常、ヒドロキシ化合物/カルボニル化合物(モル比)=50/1〜1/50が好ましく、特に20/1〜1/20、更に特に10/1〜1/10が好ましい。ヒドロキシ化合物が低分子量で、蒸留等で容易に除去できるものであれば、ヒドロキシ化合物を過剰に用いて反応させるのが好ましい。また、カルボニル化合物が低分子量で、蒸留等で容易に除去できるものであれば、カルボニル化合物を過剰に用いて反応させるのが好ましい。ヒドロキシ化合物/カルボニル化合物のモル比が上記範囲以外でも収率にはそれほど影響を与えないが、経済的ではない。
【0033】
本発明において、ヒドロキシ化合物とカルボニル化合物を反応させる際に用いられる触媒としては、水素化能を有するものであれば特に限定されないが、パラジウム触媒;水酸化パラジウム、酸化パラジウム等のパラジウム化合物;ルテニウム、ロジウムあるいは白金触媒;酸化ルテニウム、酸化ロジウム、酸化白金等が挙げられる。また、イリジウム、オスミウム、レニウム等の触媒も用いることができる。これらの触媒は、カーボン、アルミナ、シリカアルミナ、シリカ、ゼオライト等の担体に適度に担持されていてもよい。これらの触媒の中で、好ましくはパラジウム系触媒、更に好ましくはカーボン、アルミナ、シリカアルミナもしくはシリカに担持されたパラジウム触媒、水酸化パラジウム又は酸化パラジウムであり、特にカーボンに担持されたパラジウム触媒が好ましい。
【0034】
本発明において触媒は、通常カーボン、アルミナ等の担体に対して1〜10重量%の割合で担持して使用するが、担体に担持せずにそのまま使用しても構わない。また、20〜60重量%程度の含水品であっても構わない。
触媒は、例えば担体に対して5重量%担持されたものであれば、使用するヒドロキシ化合物に対して0.1〜10重量%使用するのが好ましい。0.1重量%より少なくても反応は進行するが、反応は遅く好ましくない。また、10重量%より多く用いても反応は速いが、逆に副反応も進行し好ましくない。さらに好ましくは0.5 〜5重量%である。
触媒はすべてのpH領域で使用できるが、好ましくはpH8〜2、更に好ましくはpH 7.5〜3の触媒がよい。ここでいう触媒のpHとは、イオン交換水30gに触媒粉末2gを分散させた時の水溶液のpHをいう。
【0035】
本発明においては、ヒドロキシ化合物とカルボニル化合物を水素雰囲気中で反応させるが、水素圧は特に限定されず、加圧下又は大気圧下のいずれでもよく、1(大気圧)〜300kg/cm2 が好ましく、1(大気圧)〜200kg/cm2 が特に好ましい。
また、本発明において、ヒドロキシ化合物とカルボニル化合物を反応させる際の反応温度は特に限定されないが、10〜 200℃が好ましく、30〜 180℃が特に好ましい。反応時間は、反応温度、水素圧、触媒量などによって適宜選べばよいが、通常1〜24時間、好ましくは1〜12時間である。
【0036】
また、本発明の反応においては、場合によっては反応に全く悪影響を及ぼさない溶媒を用いて反応を行ってもよい。反応に全く悪影響を及ぼさない溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の炭化水素系溶媒が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
反応に全く悪影響を及ぼさない溶媒を用いる場合の溶媒の使用量は、特に限定されないが、反応液に対して0.5 〜2倍容量が好ましい。
【0037】
また、本発明においては、反応系中に副生する水を除去する目的で、無水硫酸マグネシウム、無水硫酸ナトリウム等の脱水剤を添加して反応を行っても良い。
【0038】
【実施例】
以下、製造例及び実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、例中の%は特記しない限り重量基準である。また、実施例5,7及び8は参考例である。
【0039】
製造例1
オートクレーブにドデシルアルコール 185g、水酸化カリウム0.81gを入れ、窒素置換後、 100〜 110℃でエチレンオキサイド 400gを4時間かけて送入し、揮発分 0.5%以下となるまで反応を続け、反応終了後、酢酸0.84gを加えて中和し、粗ポリオキシエチレンドデシルエーテルを得た。得られた粗ポリオキシエチレンドデシルエーテルの平均エチレンオキサイド付加モル数は 9.1モル、Kイオン量は970ppmであった。
【0040】
製造例2
オートクレーブにドデシルアルコール 185g、水酸化カリウム0.81gを入れ、窒素置換後、 100〜 110℃でエチレンオキサイド 600gを6時間かけて送入し、揮発分 0.5%以下となるまで反応を続け、反応終了後、酢酸を0.84g加えて中和し、粗ポリオキシエチレンドデシルエーテルを得た。得られた粗ポリオキシエチレンドデシルエーテルの平均エチレンオキサイド付加モル数は13.7モル、Kイオン量は720ppmであった。
【0041】
製造例3
オートクレーブにドデシルアルコール 185g、水酸化カリウム0.81gを入れ、窒素置換後、 100〜 110℃でエチレンオキサイド 770gを 6.5時間かけて送入し、揮発分 0.5%以下となるまで反応を続け、反応終了後、酢酸0.84gを加えて中和し、粗ポリオキシエチレンドデシルエーテルを得た。得られた粗ポリオキシエチレンドデシルエーテルの平均エチレンオキサイド付加モル数は17.5モル、Kイオン量は620ppmであった。
【0042】
製造例4
オートクレーブにブチルアルコール74g、水酸化カリウム0.32gを入れ、窒素置換後、 100〜 110℃でエチレンオキサイド 132gを2時間かけて送入し、揮発分 0.5%以下となるまで反応を続け、粗ポリオキシエチレンブチルエーテルを得た。得られた粗ポリオキシエチレンブチルエーテルの平均エチレンオキサイド付加モル数は3モル、Kイオン量は1080ppm であった。
【0043】
製造例5
オートクレーブにステアリルアルコール 270g、水酸化カリウム1.18gを入れ、窒素置換後、 100〜 110℃でエチレンオキサイド2917gを10時間かけて送入し、揮発分 0.5%以下となるまで反応を続け、粗ポリオキシエチレンステアリルエーテルを得た。得られた粗ポリオキシエチレンステアリルエーテルの平均エチレンオキサイド付加モル数は66.3モル、Kイオン量は250ppmであった。
【0044】
実施例1
4つ口フラスコに製造例1で得られた粗ポリオキシエチレンドデシルエーテル100g、珪酸マグネシウム(キョーワード 600S 、協和化学工業(株)製)を2.6g入れ、減圧下(30〜40torr) 、 140℃で1時間攪拌した。その後、珪酸マグネシウムを濾別し、精製ポリオキシエチレンドデシルエーテルを90g得た。得られた精製ポリオキシエチレンドデシルエーテル中のKイオン量は33 ppmであった。
【0045】
500 ml容オートクレーブに、上記で得られた精製ポリオキシエチレンドデシルエーテル80g、アセトン80g、触媒として5%Pd−C 1.6gを仕込み、水素雰囲気下、反応温度150 ℃、反応圧力70kg/cm2G、回転数800 rpm で7時間反応を行った。
反応終了後、濾過により触媒を除去し、未反応アセトンを減圧留去することにより、エーテル化度77%のポリエチレングリコール(EO=9.1)ドデシルイソプロピルエーテルを85g得た。
【0046】
実施例2
実施例1において、500 ml容オートクレーブに、精製ポリオキシエチレンドデシルエーテル80g、アセトン80g、触媒として5%Pd−C 1.6gとともに無水硫酸マグネシウム2.5 gを仕込む以外は実施例1と同様にしてエーテル化度97%のポリエチレングリコール(EO=9.1)ドデシルイソプロピルエーテルを85g得た。
【0047】
実施例3
4つ口フラスコに製造例2で得られた粗ポリオキシエチレンドデシルエーテル 100g、珪酸マグネシウム(キョーワード 600S )を 2.9g入れ、減圧下 (30〜40torr) 、 140℃で1時間攪拌した。その後、珪酸マグネシウムを濾別し、精製ポリオキシエチレンドデシルエーテルを91g得た。得られた精製ポリオキシエチレンドデシルエーテル中のKイオン量は36 ppmであった。
次に、得られた精製ポリオキシエチレンドデシルエーテルを用いる以外は実施例2と同様にしてポリエチレングリコール(EO=13.7) ドデシルイソプロピルエーテルを得た。エーテル化度は96%であった。
【0048】
実施例4
4つ口フラスコに製造例3で得られた粗ポリオキシエチレンドデシルエーテル 100g、珪酸マグネシウム(キョーワード 600S )を 3.7g入れ、減圧下(30〜40torr) 、 140℃で1時間攪拌した。その後、珪酸マグネシウムを濾別し、精製ポリオキシエチレンドデシルエーテルを88g得た。得られた精製ポリオキシエチレンドデシルエーテル中のKイオン量は41 ppmであった。
次に、得られた精製ポリオキシエチレンドデシルエーテルを用いる以外は実施例2と同様にしてポリエチレングリコール(EO=17.5) ドデシルイソプロピルエーテルを得た。エーテル化度は97%であった。
【0049】
実施例5
ナシ型フラスコに製造例4で得られた粗ポリオキシエチレンブチルエーテル100 gを入れ、減圧下(2torr) 、84℃で蒸留し、精製ポリオキシエチレンブチルエーテルを95g得た。得られた精製ポリオキシエチレンブチルエーテル中のKイオン量は1ppm 以下であった。
次に、得られた精製ポリオキシエチレンブチルエーテルを用いる以外は実施例2と同様にしてポリエチレングリコール(EO=3) ブチルイソプロピルエーテルを得た。エーテル化度は99%であった。
【0050】
実施例6
4つ口フラスコに製造例5で得られた粗ポリオキシエチレンステアリルエーテル100 g、珪酸マグネシウム(キョーワード 600S )を 6.5g入れ、減圧下(30〜40torr) 、 140℃で1時間攪拌した。その後、珪酸マグネシウムを濾別し、精製ポリオキシエチレンステアリルエーテルを86g得た。得られた精製ポリオキシエチレンステアリルエーテル中のKイオン量は44ppm であった。
次に、得られた精製ポリオキシエチレンステアリルエーテルを用いる以外は実施例2と同様にしてポリエチレングリコール(EO=66.3) ステアリルイソプロピルエーテルを得た。エーテル化度は91%であった。
【0051】
実施例7
製造例1において、粗ポリオキシエチレンドデシルエーテル 100gに酢酸の代わりに氷冷下、5%塩酸水溶液を 1.8g加えpH7とし、 0.5時間攪拌した。その後、減圧下(30〜40torr) 、80℃で1時間攪拌し、精製ポリオキシエチレンドデシルエーテルを得た。
次に、得られた精製ポリオキシエチレンドデシルエーテルを用いる以外は実施例2と同様にしてポリエチレングリコール(EO=9.1)ドデシルイソプロピルエーテルを得た。エーテル化度は86%であった。
【0052】
実施例8
製造例1において、粗ポリオキシエチレンドデシルエーテル 100gに酢酸の代わりに氷冷下、85%リン酸水溶液を0.28g加えpH7とし、 0.5時間攪拌した。その後、減圧下(30〜40torr) 、80℃で1時間攪拌し、精製ポリオキシエチレンドデシルエーテルを得た。
次に、得られた精製ポリオキシエチレンドデシルエーテルを用いる以外は実施例2と同様にしてポリエチレングリコール(EO=9.1)ドデシルイソプロピルエーテルを得た。エーテル化度は81%であった。
【0053】
比較例1
500 ml容オートクレーブに、製造例1で得られた粗ポリオキシエチレンドデシルエーテル80g、アセトン80g、触媒として5%Pd−C 1.6g、無水硫酸マグネシウム2.5 gを仕込み、水素雰囲気下、反応温度150 ℃、反応圧力70kg/cm2G、回転数800 rpm で7時間反応を行ったが、反応は全く進行しなかった。
【0054】
比較例2
製造例2で得られた粗ポリオキシエチレンドデシルエーテルを用いる以外は比較例1と同様に反応を行ったが、反応は全く進行しなかった。
【0055】
比較例3
製造例3で得られた粗ポリオキシエチレンドデシルエーテルを用いる以外は比較例1と同様に反応を行ったが、反応は全く進行しなかった。
Claims (3)
- ヒドロキシ化合物とカルボニル化合物を、触媒を用いて水素雰囲気中で反応させてエーテル化合物を製造するに際し、ヒドロキシ化合物として、アルカリ金属を含有する触媒存在下での炭素数12〜22の脂肪族アルコールとアルキレンオキサイドとの反応生成物を、ケイ酸マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、炭酸アルミニウム、炭酸マグネシウムあるいはこれらの混合物から選ばれる吸着剤により、ヒドロキシ化合物中のアルカリ金属イオン含量が50 ppm 以下となるように精製処理することにより得られる、一般式(1)
R1−(OA)n-OH (1)
〔式中、R1は炭素数12〜22の直鎖又は分岐のアルキル基あるいはアルケニル基を示す。 Aは炭素数2〜12のアルキレン基を示し、n個のA は同一でも異なっていてもよい。nは1〜500の数を示す。〕
で表されるヒドロキシ化合物を用いることを特徴とするエーテル化合物の製造法。 - 触媒が、カーボン、アルミナ、シリカアルミナもしくはシリカに担持されたパラジウム触媒、水酸化パラジウム又は酸化パラジウムである請求項1又は2記載の製造法。
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