JPWO2005068872A1 - 乗物用直列4気筒エンジンおよびこのエンジンを搭載した乗物 - Google Patents

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Abstract

【課題】エンジンの設計自由度を高め、加速フィーリングを向上させ、運転感覚を非常に良好にし、エンジンのコンパクト化を可能にする。【解決手段】乗り物用直列4気筒エンジンにおいて、2プレーン・90°型のクランク軸(3)を備える。各気筒に対するクランクウェブ重量を左右のウェブ半体(21a、b〜24a、b)に振り分け、各気筒のウェブ半体のバランス率をkL,kR(但しkL≠0.25、kR≠0.25)とし、クランク軸の長手方向の中心から各クランクウェブ半体までの距離をDL,DRとして、(kL−0.25)・(0.25−kR)≒DR/DLとなるようにして1次慣性偶力のベクトル軌跡が略円となるようにし、この1次慣性偶力を1次パランサ(6)で相殺する。

Description

本発明は、クランク軸と等速で逆転する1次バランサを備えた乗物用直列4気筒エンジンと、このエンジンを搭載した乗物とに関するものである。
従来より乗物用エンジンとしてはいわゆる1プレーン、180°型のもの、すなわち、1,4番気筒のクランクピンを同一位相にし、2,3番気筒のクランクピンを180°位相をずらしたクランク軸が広く用いられている。
またクランクピン配列が第1気筒0°、第2気筒90°、第3気筒270°、第4気筒180°のクランク軸(2プレーン、90°型という)に対して、クランク軸と等速のバランサ(1次バランサという)を設けた乗物用エンジンおよび乗物が特許文献1および2に提案されている。
特開昭57−69137 特開平9−250597
この2プレーン、90°型のクランク軸を用いたエンジンを搭載した自動二輪車などの乗物では、前記1プレーン、180°型のクランク軸を用いたものに比べて、駆動トルクのS/N(SN比)、振動の振幅および周波数などの点でエンジンからの駆動トルクを運転者の身体全体で一層強く感じることができるため、加速フィーリングが向上し、運転感覚が非常に良好になる。そのためこの2プレーン、90°型の乗物用エンジンの実用化が強く望まれている。
特許文献1のものは、クランクウェブに付加する総重量を回転部重量Wrotに往復部重量Wrecの1/2を加えて設定することを前提としている(第3頁左欄の(12)式)。すなわちコンロッド大端部などの回転部重量Wrotとバランスする重量Wrotの他にWrec/2(付加重量、アンバランス重量)を加えるものである。またクランク軸中心から第1,4気筒中心までの距離を2a、第2,3気筒中心までの距離を2bと設定していることから、各気筒のクランクウェブ重量は気筒中心に集中しているものとして計算していることが解る(第1図参照)。
実際には各気筒のクランクウェブは気筒中心に対して左右に分割されるから、これらクランクウェブ半体の合計が気筒の中心に集中すると仮定するためには、各クランクウェブ半体の付加重量は往復部重量の1/4にする必要がある。この特許文献1のものは各気筒に対してクランクウェブ全体に対する付加重量が往復部重量Wrecの1/2,すなわちクランクウェブ半体に対する付加重量を往復部重量の1/4にすることを前提としている。
しかしながら実際のエンジン設計にあたっては、クランク軸付近に配設する他の歯車や軸受類等との干渉を避けるなどの理由から、クランクウェブ半体の付加重量をWrecの1/4にすることが困難になることが多い。クランクウェブ半体の重量を確保するのと同じ効果を得るために回転半径を大きくすることが考えられるが、クランク軸が大型化してしまう。
特許文献2のものは、特許文献1のものと同様に、クランクウェブに付加する付加重量を往復部重量Wrecの1/2とし(段落0022)、各気筒のクランクウェブ重量は気筒中心に集中しているものとしている(段落0018)。従って各クランクウェブ半体の付加重量は往復部重量の1/4にすることを前提としている。この前提のもとに特許文献2ではクランク軸と同速かつ逆転する逆転バランサと別に、クランク軸と同速かつ等方向回転する同転バランサを設け、クランク軸に付加する重量Wrec/2の一部を同転バランサに分配することにより、クランク軸の付加重量をWrecの1/2以下にするものである。しかしこの場合には逆転するバランサの他に同転するバランサをさらに追加することが必要になるため、エンジンの大型化が避けられない。
本発明はこのような問題を解消するためになされたもので、加速フィーリングが向上し、運転感覚が非常に良好であり、コンパクトでもある乗物用直列4気筒エンジンを提供することを第1の目的とする。
またエンジンの駆動トルクのS/N、振動の振幅および周波数などを改善して、加速フィーリングを向上し運転感覚を非常に良好にした乗物を提供することを第2の目的とする。
本発明によれば第1の目的は、2つの気筒のクランクピンを180°の位相差をもって共通な第1仮想平面上に配置し、他の2つの気筒のクランクピンを180°の位相差をもって前記第1仮想平面と90°位相がずれた第2仮想平面上に配置したクランク軸を有する乗物用直列4気筒エンジンにおいて、少なくとも2つの気筒のクランクウェブをクランクピンを挟んで対向する1対のクランクウェブ半体に分け、両クランクウェブ半体のバランス率をk,k(但しk≠0.25,k≠0.25)とし、クランク軸の長手方向の中心から各クランクウェブ半体までの距離をD,Dとして、(k−0.25)/(0.25−k)≒D/Dとなるようにして、1次慣性偶力のベクトル軌跡が略円形となるように4つの気筒のクランクウェブを設定したクランク軸と、1次慣性偶力のベクトルを相殺する偶力ベクトルを発生する1次バランサとを備えることを特徴とする乗物用直列4気筒エンジン、により達成される。
また第2の目的は、請求項1に記載された乗物用4気筒エンジンを搭載したことを特徴とする乗物、により達成される。
本発明は、少なくとも2つの気筒のクランクウェブ半体の付加重量Wadd(実際はこの重量と回転半径の積であるモーメントと、往復重量と回転半径との積であるモーメントとの比で表現したバランス率k、kを用いる)と、クランク中心からこれらクランクウェブ半体までの距離D、Dとが所定条件を満たす時に、クランクウェブの付加重量Waddが往復部重量Wrecの1/2で気筒の中心に集中している状態と等価になることを発明者が発見したことに基づいてなされたものである。
すなわち前記所定条件、(k−0.25)/(0.25−k)≒D/D(但しk≠0.25,k≠0.25)を満たせば、前記特許文献1および2と同様に、加速フィーリングを向上させ、運転感覚を非常に良好にしつつクランクウェブ半体の付加重量Waddを変化させることができる。
従って各気筒のクランクウェブ半体の形状を変えられるので、クランクウェブのバランス率や慣性マス等の設計自由度が増大しエンジンのコンパクト化が可能になる。また第2の発明によれば、加速フィーリングが向上し、運転感覚が非常に良好な乗物が得られる。
本発明に係る乗物用直列4気筒エンジンの概略構成を示す側面図である。 クランク軸と偶力バランサの平面図である。 クランク軸と偶力バランサを示す斜視図である。 クランク軸とバランサの動作を説明するための断面図である。 クランク軸の構成を模式的に示す斜視図である。 クランク角度を示す図である。 気筒毎の1次慣性力の変化を示すグラフである。 往復運動部分の構成を模式的に示す図である。 合成偶力ベクトル(T)を説明するための斜視図である。 各気筒の1次慣性力の合成ベクトル(a〜d)およびエンジン全体の合成偶力ベクトル(e)を説明するための図である。 クランクウェブのバランス率を示す斜視図である。 クランク軸形式を示す図である。 バランス率と距離Dを示す図である。 エンジンを搭載した自動二輪車を示す側面図である。
符号の説明
1、50 エンジン
3、56 クランク軸
6、58 偶力バランサ
12 第1のバランスウェイト
13 第2のバランスウェイト
21〜24クランクピン
21a,21b,22a,22b,23a,23b,24a,24b クランクウェブ半体
第1仮想平面
第2仮想平面
一対のクランクウェブ半体を合計した1つのクランクウェブについてのバランス率kは、次式(1)により定義される。
k=(M−Wrot・r/2)/(Wrec・r) …(1)
ここにMはクランクウェブの総アンバランス量(単位はモーメント、g・mm)、rはWrot、Wrecの回転半径である。このrはクランクピンの回転円の1/2であり、往復部のストロークの1/2でもある。またWrotは回転部質量、Wrecは往復部質量(単位はg)である。
通常(M/r−Wrot/2)=Waddを往復部質量Wrecの半分に設定するので、この時にはk=1/2(50%)である。この発明では1つの気筒のクランクウェブを左右に分けてクランクウェブ半体とし、これらクランクウェブ半体のバランス率k、kを別々に設定するものである。従ってこの場合は(1)式においてMをクランクウェブ半体のアンバランス量と考えれば、k、k=(M−Wrot・r/4)/(Wrec・r)となる。この時各クランクウェブ半体のクランク軸中心からの距離D、Dを考慮して前記の所定条件を求めたものである。この条件の意味は後記する。
この発明において、(k+k)を0.5(50%)より小さくすればクランク軸の軽量化が図れることが明らかであり、特に乗り物用のエンジンに適する(請求項2)。また逆に(k+k)を0.5(50%)より大きくする場合は(請求項3)は、後記するようにクランク軸中心側のウェブ半体を重くすることを意味するが、他の部材との干渉を避けたりクランク軸上に他の歯車等を設ける際の設計自由度が増える。また各気筒のウェブ半体の質量決定の自由度が増えクランク軸中央側に重量が集まるので、クランク軸の捩り振動を抑制するのに適し、その結果クランク軸の軽量化を図ることも可能になる。
この発明では、2つの気筒に対して請求項1の条件を満たすようにし、他の2つの気筒に対しては従来のエンジンと同様に左右のクランクウェブ半体のバランス率k、kをそれぞれ0.25、0.25とすることもできる(請求項4)。このようにエンジンのレイアウト上の都合から任意の2つの気筒だけに本発明を適用することが可能であり、この場合には設計自由度が増大する効果が得られる。
クランク軸のクランクピン配置は種々のものが可能である。図12はこれらの形式を示す図であり、ここでは同図(A)に示すように互いに直交するX、Y、Z軸をとり、X−Z平面を第1仮想平面P1とし、Y−Z平面を第2仮想平面P2とする。(A)は左端から順番に1〜4番気筒として、1番気筒と4番気筒のクランクピンが第1仮想平面P1上に位置し、2番気筒と3番気筒のクランクピンが第2平面P2上に位置するものであり、この形式を以下STD配置という(請求項5)。このSTD配置のクランク軸では、クランクウェブの対称性から、1次慣性力、2次慣性力、2次慣性偶力を理論上0にすることが可能であり、1次慣性偶力のベクトル線図を真円としてこれを1次バランサで完全に打消すことが理論上可能である。
なお以下の説明では、慣性力や偶力などを「相殺する」、「打ち消す」、「消去する」、「0にする」などの用語を用いているが、これらは実用上問題が無い程度に小さくすることを意味し、必ずしも0にすることだけを意味するものではない。また1次バランサ軸は1本とするのがエンジンのコンパクト化を図るためには望ましいが、本発明は2本以上のバランサ軸に分けることも可能である。
図12の(B)は、1番と3番気筒のクランクピンを第1仮想平面上に、2番と4番気筒のクランクピンを第2仮想平面上に配置したものであり、この形式を以下90−I配置という(請求項6)。図12の(C)は1番と2番気筒のクランクピンを第1仮想平面上に、3番と4番気筒のクランクピンを第2仮想平面上に配置したものであり、この形式を以下90−J配置という(請求項7)。
これら90−Iおよび90−J配置では、1次慣性力や2次慣性偶力の少なくとも一方が僅かに残ったり、1次慣性偶力のベクトル線図が真円でなく円に近い楕円となる。しかし実用上問題が無い程度に振動を小さくすることが可能である。
STD配置の場合には、バランス率k、kと距離D、Dが1番と4番気筒をクランク中心に対して対称(ミラー配置)とし、2番と3番気筒をクランク中心に対して対称(ミラー配置)とすることが望ましい(請求項8)。この場合には1次バランサの付加により前記のように理論上1次および2次の慣性力と偶力を完全に打消すことができるが、本発明は軽量化や運転フィーリング向上などの目的から、非対称にして僅かな振動を残すようにしてもよい。
90−I、90−J配置の場合には、距離D、Dを1,4番気筒および2,3番気筒で対称とし、バランス率k、kが任意に組合せた2つの気筒で対称(ミラー配置)としてもよい(請求項9)。この場合には、1次慣性力や2次慣性偶力の一方または両方が僅かに残ったり、1次慣性偶力のベクトル線図が楕円になるが、実用上問題ない程度の振動を残してむしろ軽量化や運転フィーリング向上を図ることが可能である。
1次バランサのバランスウェイトは、2番と3番気筒のクランクピンに対向する位置(クランクウェブ半体間)または1番と4番気筒のクランクピンに対向する位置(クランクウェブ半体間)に設けることができる(請求項10)。この場合バランサウェイトをクランク軸に接近させてエンジンのコンパクト化を図ることが可能になる。
以下、本発明に係る直列4気筒エンジンの一実施の形態を図1ないし図11によって詳細に説明する。
図1は本発明に係る直列4気筒エンジンの概略構成を示す側面図、図2はクランク軸と偶力バランサの平面図、図4はクランク軸とバランサの動作を説明するための断面図、図5はクランク軸を模式的に示す斜視図である。図6はクランク角度を示す図、図7は1次慣性力の変化を示すグラフ、図8は往復運動部分の構成を模式的に示す図、図9は合成偶力ベクトル(T)を説明するための斜視図、図10は各気筒の1次慣性力の合成ベクトル(a〜d)とエンジン全体の合成偶力ベクトルT(e)を説明するための図である。図11はクランクウェブのバランス率を示す斜視図である。
これらの図において、符号1で示すものはこの実施の形態による水冷式4サイクル直列4気筒エンジンである。このエンジン1は、自動二輪車用のもので、上下方向に分割可能に形成されたクランクケース2に後述するクランク軸3が回転自在に支持されている。このエンジン1は、クランク軸3の軸線が車幅方向と平行になるとともに図1において左側の部位が車体前側に位置する状態で車体フレーム(図示せず)に搭載される。
前記クランクケース2は、上部クランクケース本体4と下部クランクケース本体5とから構成され、これら両ケース本体4,5どうしの間にクランク軸3と後述する偶力バランサ6とを回転自在に支持している。上部クランクケース本体4の上端部には、シリンダボディ7が取付けられ、前記下部クランクケース本体5には、主軸8と駆動軸9とが回転自在に設けられている。この下部クランクケース本体5の下端部には、オイルパン5aが取付けられている。前記シリンダボディ7は、4気筒分のシリンダ孔7aが車幅方向に一列に並ぶように形成され、上端部にシリンダヘッド(図示せず)が取付けられている。前記シリンダ孔7aは、軸線Cが前上がりに傾斜するように形成されている。この実施の形態では、4つの気筒を車体左側から順番に1番気筒、2番気筒、3番気筒、4番気筒という。
前記主軸8と駆動軸9は、従来からよく知られている構造のトランスミッション(図示せず)を介して互いに連結されている。前記主軸8は、車体右側の端部にクラッチ(図示せず)が軸装され、このクラッチと減速大歯車(図示せず)とを介して前記偶力バランサ6に歯車結合されている。前記駆動軸9は、車体左側の端部にスプロケット(図示せず)が設けられており、このスプロケットに巻掛けた後輪駆動用チェーン10を介して後輪(図示せず)に接続されている。
前記偶力バランサ6は、後述するクランク軸3が回転することにより生じる1次偶力を打ち消すためのもので、図2に示すように、クランクケース2に軸受2a〜2cによって回転自在に支持されたバランサ軸11と、このバランサ軸11に一体に形成された第1および第2のバランスウェイト12,13とから構成されている。前記バランサ軸11は、前記両バランスウェイト12,13どうしの間に従動歯車14が設けられるとともに、車体右側の端部に減速小歯車15が設けられている。
前記従動歯車14は、クランク軸3の出力歯車16と回転数が一致するように形成されてこれに噛合し、前記減速小歯車15は、前記クラッチ側の減速大歯車に噛合している。すなわち、このエンジン1においては、クランク軸3の回転が偶力バランサ6とクラッチとを介して主軸8に伝達され、さらに、前記主軸からトランスミッションを介して駆動軸に伝達され、この駆動軸から後輪駆動用チェーンを介して後輪に伝達される。クランク軸3の回転方向は、この実施の形態では図1において時計方向である。
前記クランク軸3は、図1〜図3および図5に示すように、気筒毎のクランクピン21〜24と、第1および第2のクランクウェブ21a,21b,22a,22b,23a,23b,24a,24bと、ジャーナル部25とから構成され、軸線方向の中央部に前記出力歯車16とクランク角センサーホイール26とが設けられている。図1および図4において、27はコンロッドを示し、28はピストン、28aはピストンピンを示す。
前記各クランクピン21〜24の回転方向の位置(クランク角度)は、図6に示すように、1番気筒用クランクピン21に対する2番気筒用クランクピン22のクランク角度が270°となり、1番気筒用クランクピン21に対する3番気筒用クランクピン23のクランク角度が90°となり、1番気筒用クランクピン21に対する4番気筒用クランクピン24のクランク角度が180°となるように形成されている。すなわち、このクランク軸3は、1番気筒用クランクピン21と4番気筒用クランクピン24とが第1の仮想平面(プレーン)上に位置し、2番気筒用クランクピン22と3番気筒用クランクピン23とが第2の仮想平面上に位置し、かつ前記両平面どうしが直交する2プレーン型(STD配置)のものである。なお、このエンジン1の点火順序は、1番気筒→3番気筒→2番気筒→4番気筒となる。
前記クランクウェブは、クランク軸3の軸心を挟んで反対側にカウンターウェイト部が形成されている。このカウンターウェイト部の質量は、前記偶力バランサ6と協働してエンジン1の加振力を低減することができるように設定されている。この質量は、コンロッド大端部などの回転部重量Wrotとバランスさせる重量Wrotと、往復部とバランスさせるための付加重量Waddの合計である。この付加重量Waddはこのエンジン1の往復運動部分{ピストン28、ピストンピン28aおよびコンロッド27の小端部27a(図1参照)}の質量の約50%(バランス率約50%)とすることにより、回転時に作用する偶力の大きさが適切になることが判った。
ここでいう適切な大きさの偶力とは、このエンジン1に装備することが可能な偶力バランサ6によって打ち消すことができる大きさの偶力のことをいう。この実施の形態による2プレーン型のクランク軸3は、後述するように1次、2次慣性力および2次偶力が消去されるから、クランクウェブをバランス率が約50%となるように形成することにより、残存1次偶力の偶力合成ベクトルの移動軌跡がクランク軸心まわりの円になる。すなわち、このクランク軸3を装備したエンジン1においては、前記1次偶力合成ベクトルを相殺する偶力ベクトルとなる偶力を発生する偶力バランサ6を装備することによって、1次偶力も消去することができる。以下、1次、2次慣性力および2次偶力が消去される理由と、1次偶力を消去する偶力バランサ6の構成について説明する。
(1)1次慣性力が消去される理由について
1次慣性力は、図7に示すように、ピストン28の往復動に対応するようにクランク軸3に作用する。図7は、各気筒の往復運動質量による1次慣性力の変化をX軸成分とY軸成分に分けて示す。今ピストン28に同方向であるX軸成分で考えると、同図に示すように、1番気筒のピストン28が上死点に位置しているとき(図7でA点)には4番気筒のピストン28が下死点(図7でB点)に位置しているから、これら両気筒の往復運動質量による1次慣性力は互いに打ち消し合う。これと同様に、2番気筒と3番気筒の往復運動質量による1次慣性力も互いに打ち消し合う。このため、このクランク軸3においては1次慣性力は理論上0になる。
(2)2次慣性力が消去される理由について
各気筒の往復運動質量による2次慣性力F1〜F4は、図8に示すように各部の寸法、質量を定めると下記の式(1)〜(4)のように表される。図8において、m=往復運動部分の質量(g)、L=コンロッド長(mm)、r=ピストンストローク/2(mm)、ω=2πN/60(rad)である。また、下記の式(1)〜(4)において、λ=コンロッド長/rである。
Figure 2005068872
上記F1〜F4の総和F(2)は、下記に示すように0となるから、このクランク軸3においては2次慣性力は理論上0になる。
Figure 2005068872
(3)2次偶力が消去される理由について
2次偶力は、図5に示すように、クランク軸3に2次慣性力F1〜F4が作用することにより生じるY軸回りのモーメントの総和である。前記Y軸とは、シリンダの軸線と平行なX軸と直交するとともに、クランク軸3の軸線と平行なZ軸と直交する方向に延びる軸のことをいう。なお、図5は、1番気筒のピストン28が上死点に位置している状態を示している。
2次慣性力F1〜F4は、1周期がクランク角180°となるように繰り返し生じるから、クランク角が互いに180°異なる1番気筒と4番気筒は、2次慣性力の作用する方向が同方向になる。また、1番気筒に対してクランク角が回転方向の前側に90°ずれる2番気筒と、回転方向の後側に90°ずれる3番気筒は、2次慣性力の作用する方向が1,4番気筒とは逆方向になる。このため、前記モーメントの総和からなる2次偶力FLは、Y軸から各気筒までの距離をd1〜d4とし、d1=d4,d2=d3とすると、下記に示すように0となる。
FL=F1×d1−F2×d2+F3×d3−F4×d4=0
このため、このクランク軸3においては2次偶力は0になる。
(4)残存1次偶力を消去する偶力バランサ6の構成について
クランク軸3に作用する1次偶力は、各クランクピン21〜24に作用する1次慣性力のベクトルの総和によって表すことができる。これを図9によって詳細に説明する。図9は、1番気筒のピストン28が上死点に位置している状態、すなわち1番気筒用クランクピン21がX軸(シリンダ軸線)上であって同図において上端に位置する瞬間の状態を描いてある。
このとき、1番気筒においては、往復運動部分(ピストン28、ピストンピン28aおよびコンロッド27の小端部27a)の質量による1次慣性力と、回転部分(クランクピン21、コンロッド27の大端部27bおよびクランクウェブ21a,21b)の質量による1次慣性力との合力が上方に向けて作用するようになる。これは、このクランク軸3は上述したように約50%バランスとなるように形成されており、往復運動部分の上方へ向かうように作用する慣性力に対して、回転運動部分の下方へ向かうように作用する慣性力が約半分になるからである。すなわち、1番気筒においては、往復質量と回転質量による1次慣性力の合成ベクトルはX軸と平行に上方を指向するようになる。1番気筒の前記合成ベクトルの大きさは、図10(a)に示すように変化する。この合成ベクトルの回転方向は、クランク軸の回転方向とは逆の反時計まわりである。
2番気筒においては、ピストン28が下死点から上死点に移動する途中の略中間点に位置するため、往復運動部分の慣性力は略0となる。このため、2番気筒においては、回転部分の慣性力(車体の後方を指向するように作用する)のみが作用することから、1次慣性力の合成ベクトルは、Y軸と平行に後方(図9においては右方)を指向するようになる。2番気筒の前記合成ベクトルの大きさは、図10(b)に示すように変化する。この合成ベクトルの回転方向は、クランク軸の回転方向とは逆の反時計まわりである。
3番気筒においては、ピストン28が上死点から下死点に移動する途中の略中間点に位置するため、往復運動部分の慣性力は略0となり、回転部分の慣性力のみが作用する。このため、3番気筒の1次慣性力の合成ベクトルは、Y軸と平行に前方(図9においては左方)を指向するようになる。3番気筒の前記合成ベクトルの大きさは、図10(c)に示すように変化する。この合成ベクトルの回転方向は、クランク軸の回転方向とは逆の反時計まわりである。
4番気筒においては、ピストン28が下死点に位置しているから、往復運動部分の慣性力は下方を指向し、この往復運動部分の約半分となる回転運動部分の慣性力は上方を指向する。このため、4番気筒の1次慣性力の合成ベクトルは、X軸と平行に下方を指向するようになる。4番気筒の前記合成ベクトルの大きさは、図10(d)に示すように変化する。この合成ベクトルの回転方向は、クランク軸の回転方向とは逆の反時計まわりである。
1番気筒の合成ベクトルと4番気筒の合成ベクトルは、方向が互いに180°逆方向で大きさが略一致するため、これら両気筒のクランクピン21,24に作用する1次慣性力が偶力となる。この偶力を以下においては第1の偶力という。この第1の偶力は、図9において、クランク軸3の軸線方向の中央を通りY軸と平行な仮想軸線YCを中心としてクランク軸3を回すような偶力となる。この第1の偶力のベクトルは、偶力が右ねじの締込み時の回転方向と同方向である場合、右ねじの進む方向となる。すなわち、この第1の偶力のベクトルは、前記仮想軸線YCに沿って前方を指向するようになる。図9においては、仮想軸線YCが位置しかつクランク軸3の軸線とは直交する平面を、理解し易いように同図の左端部に仮想平面1として描いてある。この仮想平面1上においては、前記第1の偶力のベクトルをAで示す。
一方、2番気筒の合成ベクトルと3番気筒の合成ベクトルは、方向が互いに180°逆方向で大きさが略一致するため、これら両気筒のクランクピンに作用する1次慣性力によって第2の偶力が生じる。この第2の偶力のベクトルは、偶力が右ねじの締込み時の回転方向と同方向である場合、右ねじの進む方向となるから、図9において、クランク軸3の軸線方向の中央を通りX軸と平行な仮想軸線XCに沿って上方を指向するようになる。前記仮想平面1上においては、前記第2の偶力のベクトルをBで示す。
これらベクトルAとベクトルBとを合成することによって、このエンジン1に作用する総合的な偶力の方向と大きさとを求めることができる。前記ベクトルAと前記ベクトルBとの合成偶力ベクトルTは、図9の仮想平面1上に示すように、前方斜め上方を指向する。この合成偶力ベクトルTの大きさは、図10(e)に示すように変化する。この合成偶力ベクトルTの回転方向は、同じくクランク軸の回転方向とは逆の反時計まわりである。
この合成偶力ベクトルTは、エンジン1の全ての1次偶力を表すものであるから、この合成偶力ベクトルTと点対称となるベクトル(図9中に破線tで示す)の偶力を偶力バランサ6により発生させることによって、エンジン1に生じる全ての1次偶力を消去することができる。合成偶力ベクトルTと点対称になるベクトルtを以下においてバランサベクトルという。前記偶力合成ベクトルTと前記バランサベクトルtとを釣り合わせるためには、図10(e)に示す合成偶力ベクトルTの回転軌跡が真円となることが最も効果的である。
この実施の形態では、クランクウェブの重量バランスを約50%とすることによって、前記回転軌跡を略真円としている。前記バランサベクトルtを有する偶力バランサ6は、図9中に破線br1,br2で示す方向に慣性力が生じるものとなる。すなわち、慣性力がbr1,br2となるように偶力バランサ6を形成することによって、このエンジン1の1次偶力を偶力バランサ6によって釣り合わせて消去することができる。
ここで、前記回転軌跡が円となるようにクランクウェブの重量バランスを決める手法について説明する。各気筒の往復質量をMr(単位はモーメント、g・mm)とし、各気筒の回転質量をMo(単位はモーメント、g・mm)とし、1気筒当たり2つあるクランクウェブ半体のアンバランス量(モーメント:gmm)を1番気筒から順にM1〜M8とすると、各クランクウェブ半体のバランス率kは、
k(1〜8)={M(1〜8)−M/4}/Mr
={M(1〜8)−Wrot・r/4}/Wrec・rとなる。
全ての気筒において1次慣性力の合成ベクトルを一定(円)とするためのアンバランス量M1〜M8は、例えばM1〜M8=0.25×Mr+M/4である。なお、M1とM4とが等しくなりかつM2とM3とが等しくなれば、一対のクランクウェブ半体のうち一方のバランス率kを0.25より小さくなるように形成し、他方のバランス率kをその分だけ大きくなるように形成することができる。
偶力はクランク軸中心からの距離D(D、D)に比例するから、クランク軸中心から遠いクランクウェブ半体が偶力に及ぼす影響はクランク軸中心に近いクランクウェブ半体の影響よりも大きい。従ってクランク軸中心から遠いクランクウェブ半体のバランス率(k)を大きくすればクランク軸中心に近いクランクウェブ半体のバランス率(k)を小さくでき、これらの合計(k+k)を50%より小さくすることができる。
この実施の形態では、図11に示すように各クランクウェブ半体のバランス率k(1〜8)を設定した。すなわち、1番気筒と4番気筒については、エンジン外側に位置するクランクウェブ21a,24aのバランス率を0.427とし、エンジン1内側に位置するクランクウェブ21b,24bのバランス率を0.025とし、両方のクランクウェブでバランス率が0.452となるように形成した。また、2番気筒と3番気筒については、エンジン1外側に位置するクランクウェブ22a,23aのバランス率を0.357とし、エンジン1内側に位置するクランクウェブ22b,23bのバランス率を0.017として両方のクランクウェブでバランス率が0.374となるように形成した。
なお1番気筒と4番気筒のクランクウェブ21a、21b、24a、24bのバランス率k1L、k1R、k4R、k1Lをすべて0.25とし、2番気筒と3番気筒のバランス率k2L、k2R、k3R、k3Lを0.25以外(例えばk2L=k3R=0.357、k2R=k3L=0.017)としてもよい。また逆に2番気筒と3番気筒のバランス率k2L、k2R、k3R、k3Lをすべて0.25とし、他の1番気筒と4番気筒のバランス率k1L、k1R、k4R、k4Lを0.25以外(例えばk1L=k4R=0.427、k1R=k4L=0.025)としてもよい。
前記偶力バランサ6は、図1〜図4に示すように、クランク軸3より後方(図9で示すY軸に沿って後方)に離間する位置に配設され、第1および第2のバランスウェイト12,13が2番気筒と3番気筒のクランクピン22,23と対応する位置に設けられている。この実施の形態による第1および第2のバランスウェイト12,13は、軸線方向から見て扇状を呈するように形成され、最もクランク軸側に移動した状態で2番気筒用クランクウェブ22aと22bとの間と、3番気筒用クランクウェブ23aと23bとの間とに臨むように形成されている。また、これらの第1および第2バランスウェイト12,13は、質量を調整するためにヘビーメタル31が埋設されている。前記第1のバランスウェイト12は、図9中にbr1で示した慣性力を発生し、第2のバランスウェイト13は、図9中にbr2で示した慣性力を発生するように形成されている。
この実施の形態による偶力バランサ6は、図4(a)〜(e)に示すように、第1および第2のバランスウェイト12,13とコンロッド27の大端部27bとの接触を避けながらクランク軸3に可及的近接する位置に配設されている。図4(a)は、1番気筒のピストン28が上死点に位置しているときの2番気筒のクランクピン22と第1のバランスウェイト12の位置を示し、同図(b)は、(a)図の状態からクランク軸3が180°回転した状態を示している。同図(c)は、(a)図の状態からクランク軸3が217.5°回転した状態を示し、同図(d)は、(a)図の状態からクランク軸3が225°回転した状態を示し、同図(e)は、(a)図の状態からクランク軸3が270°回転した状態を示す。なお、3番気筒用コンロッド27の大端部27bと第2のバランスウェイト13との位置は、図4とは位相が180°異なるだけで同様になる。1番気筒と4番気筒にバランスウェイトを配置すると、コンロッドの大端部27bとの接触を避ける点で有利な形状がとれる。すなわち、扇形状を大きく作ることができる。
上述したように構成された直列4気筒エンジン1は、1次慣性力と、2次慣性力および2次偶力とをクランク軸3のみによって消去することができ、残存1次偶力を偶力バランサ6によって消去することができる。この偶力バランサ6は、クランク軸3を挟んでシリンダとは反対側に位置付ける必要はなく、この実施の形態で示したようにクランク軸3の側方(車体の後方や前方)に設けることができる。
したがって、偶力バランサ6をクランク軸3の側方に設けることによって、シリンダの軸線方向にコンパクトな直列4気筒エンジンを提供することができる。このエンジン1は、偶力バランサ6によってオイルパン5a内のオイルが攪拌されることはないから、動力の損失が少なく、しかも、オイルパン5aの容量を大きく形成することができる。
また、この実施の形態によるエンジン1は、クランク軸3の2番気筒用の一対のクランクウェブ半体22a,22bどうしの間に偶力バランサ6の第1のバランスウェイト12の一部が臨み、3番気筒用の一対のクランクウェブ23a,23bどうしの間に偶力バランサ6の第2バランスウェイト13が臨む構成を採っているから、偶力バランサ6を軸線方向にコンパクトに形成することができるとともに、クランク軸3に可及的接近させて設けることができる。
したがって、より一層コンパクトに直列4気筒エンジンを形成することができる。
また、1番気筒用の一対のクランクウェブ半体どうしの間と、4番気筒用の一対のクランクウェブ半体どうしの間とにバランスウェイトを臨ませることもできる。この場合は、前者に比べてウェイトを軽くでき、軸受の負荷が軽減される。さらにこの場合は前記のようにバランスウェイトとコンロッド大端部27bとの接触を避ける点で有利な形状がとれるので、バランスウェイトの形状設計の自由度が増え、エンジンのコンパクト化を図れる可能性がある。
ここで各クランクウェブ半体のバランス率k(1〜8)を図11のように設定することにより、本発明の前提である1次慣性偶力のベクトル軌跡を円にできる理由を図13を用いて説明しておく。
クランク軸中心Cから1〜4番気筒の気筒中心までの距離をD〜D、各気筒のクランクウェブ半体までの距離をD1L、D1R、D2L、D2R、D3L、D3R、D4L、D4Rとする。また各クランクウェブ半体のバランス率k(1〜8)を1番気筒側から順にそれぞれk1L、k1R、k2L、k2R、k3L、k3R、k4L、k4Rとする。
計算を簡単にするため、クランク軸をその中心Cを中心にして対称なものとする。この場合は、次式が成立する。
=D
=D
1L=D4R
1R=D4L
2L=D3R
2R=D3L
1L=k4R
1R=k4L
2L=k3R
2R=k3L
このような前提のもとに1次慣性偶力M(1)を求める。すなわち各気筒の1次慣性力F(1)がクランク軸中心Cに発生させる偶力を各気筒ごとに求め、これらの和をM(1)とする。
この和M(1)は次のようにして求めることができる。
今1番気筒について考える。x,y軸を図5,13のようにとり、Y軸を虚数軸とする。左右のウェブ半体21a、21bに作用するモーメントをM1L、M1R、気筒の中央に作用するモーメントM11(M1L、M1Rと逆向き)として次の式を得る。
1L=iD1L{k1L・F・ei(θ+π)
11=iD・F・cosθ
1R=iD1R{k1R・F・ei(θ+π)
2番〜4番気筒についてもθが変わるだけで同様に求められる。従ってこれらを4つの気筒に対して加算し式を整理することによりM(1)を求めることができる。
ここに次の関係(2)、(3)があるからこれを利用して計算すればM(1)は下記の式(4)により求められる。
1L1L+D1R・k1R=D≡A …(2)
2L2L+D2R2R=D≡B …(3)
M(1)=(Dsinθ+Dcosθ)・2・F
+{D(1−k)cosθ+D(k−1)sinθ}2Fi…(4)
ここでk=k=0.5(バランス率50%)の時には
M(1)=(Dsinθ+Dcosθ)F+(Dcosθ+Dsinθ)Fi
…(5)
この(5)式は半径F・{(D +D )}1/2の円となる。従ってk=k=0.5の時には1次バランサで相殺できることが解る。今1番気筒について検討する。バランス率k1L、k1Rの基準値を0.25とすれば、この基準値からの偏差は(k1L−0.25)、である。この時次の(6)式が成立すればk=0.5になることが解った。
(k1L−0.25)/(0.25−k1R)=D1R/D2R …(6)
1L=(k1R/k1L)(0.25−k1R)+0.25
A=0.25(D1R+D1R
=0.25・2D
=0.5D
ここにAは(2)式で定義され、この式はk=0.5であることを意味している。
2番気筒についても同様に
(k2L−0.25)/(0.25−k2R)=D1R/D2R …(7)
が成立すればk=0.5になる。よって(6)、(7)式が成立すればベクトルM(1)は円となる。図11のバランス率k1L、…、k4L、k4Rはこれらの(6)、(7)式に基づいて決めたものである。この場合k1L+k1R=0.452、k2L+k2R=0.374となり、クランクウェブ半体の重量は{1−(0.452+0.374)}=0.174となり、クランク軸はk1L=k1R=0.25とした場合に比べて約17%軽くできることが解る。
前記実施例1は、クランク軸のクランクピンを図12の(A)に示すSTD配置としたものであり、この場合には各気筒の対称性により、1次慣性力と2次慣性力と2次慣性偶力とを全て略0にできるから、残る1次慣性偶力だけを1次バランサにより相殺するものであった。この場合に、各気筒のクランクウェブの付加重量Waddは往復部重量の1/2にする(バランス率50%)と共に、このクランクウェブ重量を左右一対のクランクウェブ半体に振り分ける。すなわちクランク軸中心からの距離が大きい(遠い)クランクウェブ半体のバランス率(k)を大きく(25%以上、重く)し、距離が小さい(近い)クランクウェブ半体のバランス率(k)を小さく(25%以下、軽く)することにより、合計のバランス率(k+k)を50%以下として、クランク軸の軽量化を可能にしたものである。
しかし本発明はSTD配置以外のクランク軸に適用しても所期の効果が得られることが解った。すなわち図12の(B)、(C)のような配置の場合には1次慣性力や2次慣性偶力が僅かに残り、1次慣性偶力M(1)も真円にはならず僅かに偏平な楕円となるが、実用上不都合を生じないものが得られることが解った。
図12の(B)は、1番気筒と3番気筒のクランクピンを第1平面上に配置し、2番と4番気筒のクランクピンを第2平面上に配置したものである。この形式のクランク軸をここでは90−I配置という。このクランク形式においてバランス率k、kを対称(ミラー)とする気筒の組合せ(ミラータイプ)により3種類あり得るので、これらを表1のように90−I−1,90−I−2,90−I−3とした。
Figure 2005068872
図12の(C)は、1番気筒と2番気筒のクランクピンが第1平面上にあり、3番と4番気筒のクランクピンが第2平面上にあるタイプであり、ここでは90−J配置という。このクランク形式においてバランス率k、kを対称(ミラー)とする気筒の組合せにより3種有り得るので、これらを表1のように90−J−1,90−J−2,90−J−3とした。
これらのクランク形式において、各気筒のクランクウェブ半体のバランス率k、k、…k4L、k4Rを表1のように設定し、これらの場合における1次慣性力F(1)、2次慣性力F(2)、1次慣性偶力M(1)、2次慣性偶力M(2)を求めたものが表2である。この計算にあたり、エンジンは1気筒当たりの排気量が250cc相当のものであり、一定回転速度とした。
Figure 2005068872
この表(2)から、1次慣性力F(1)は90−I−2などで0にならずa(≠0)が残ることが解る。このaは僅かな大きさで実用上問題無い程度である。2次慣性力F(2)は全てのタイプで0になる。1次慣性偶力M(1)はSTD、90−I−2,90−J−1配置以外では楕円となる。また2次慣性偶力M(2)はSTD配置以外ではX軸(シリンダ軸方向)に残ることが解る。
一般に自動二輪車用エンジンでは、乗員の体感振動評価の経験則によれば慣性偶力はおおむね±30kgm以内であれば問題無いとされている。この評価基準を考慮すれば表2に示された偶力M(1)、M(2)は一般のエンジン使用回転速度域では十分に小さく実用上全く問題無いと考えられる。
図14は本発明に係るエンジンを搭載した自動二輪車を示す側面図である。この自動二輪車はエンジン50を車体フレーム52の中央付近に搭載したものである。
車体フレーム52は側面視で後部が下方へ折曲した略釣り針状であり、この車体フレーム52に囲まれ下方および前方に開くスペースにエンジン50が搭載されている。エンジン50のクランクケース54は前下がりの急な割り面54Aで上下に分割可能である。この割り面54Aには、クランク軸56,偶力バランサ(1次バランサ)58,変速主軸60が前下方から後上方に順次軸支される。変速副軸となる出力軸62は主軸60の下方に位置し、クランクケース54の下半体に軸支されている。
クランク軸56、バランサ58、主軸60、副軸62は車体幅方向に平行であり、4つの気筒を持つシリンダボデーおよびシリンダヘッド64はクランクケース54の前上面から前傾して起立している。ここにクランク軸56、バランサ58は本発明の構成を有するものであることは勿論である。このエンジン50は主軸60をクランクケース割り面54Aに配設し出力軸62を主軸60の下方に配設した点が前記実施例1のエンジン1と異なる(図1参照)。このためこのエンジン50は重心が高くなり、またエンジン50の前後寸法が狭くなって垂直軸廻りの慣性モーメントが小さくなる。このため左右へ旋回する際に車体を旋回方向へ倒し込み易くなり、旋回性能が向上し、悪路で障害物を避けるのに都合が良い。
66はリヤアームであり、前端が出力軸62の後方に位置するピボット軸68で車体フレーム52に上下に揺動自在に軸支される。リヤアーム66の後端に後輪70が保持されている。出力軸66の回転はチェーン72によって後輪70に伝えられる。なお車体フレーム52の後下端部とリヤアーム66とが側面視略三角形の連結体74およびリンク76で連結されている。連結体74と車体フレーム52との間に筒型緩衝器78が介装され後輪70に下向きの復帰力を付与している。
80は前フォークであり、車体フレーム52の前端に左右へ回動自在に保持されている。前フォーク80の下端に前輪82が保持されている。前フォーク80の上部に操向ハンドルバー84が固定されている。車体フレーム52の上方にはエアクリーナ86と燃料タンク88が前後に順に配列されている。エアクリーナ86は前フォーク80の上部付近から走行風を取込み、吸気管90を通して吸気をシリンダヘッド64の後面から各気筒に導く。この吸気管90には燃料噴射弁92から燃料が吹き込まれる。94は排気管であって、シリンダヘッド64の前面からクランクケース54の前方および下方を通り後方へ延出している。96は運転シートである。
この実施例によれば、クランク軸56が2プレーン型であり駆動トルクのS/N、振動の振幅および周波数などの点で特有な振動を車体フレーム52に伝えることができ、運転者はエンジンの駆動トルクを全身で感じることができる。このため加速フィーリングが向上し、運転感覚が非常に良好になる。
本発明は、クランク軸と等速で逆転する1次バランサを備えた乗物用直列4気筒エンジンと、このエンジンを搭載した乗物とに関するものである。
従来より乗物用エンジンとしてはいわゆる1プレーン、180°型のもの、すなわち、1,4番気筒のクランクピンを同一位相にし、2,3番気筒のクランクピンを180°位相をずらしたクランク軸が広く用いられている。
またクランクピン配列が第1気筒0°、第2気筒90°、第3気筒270°、第4気筒180°のクランク軸(2プレーン、90°型という)に対して、クランク軸と等速のバランサ(1次バランサという)を設けた乗物用エンジンおよび乗物が特許文献1および2に提案されている。
特開昭57−69137 特開平9−250597
この2プレーン、90°型のクランク軸を用いたエンジンを搭載した自動二輪車などの乗物では、前記1プレーン、180°型のクランク軸を用いたものに比べて、駆動トルクのS/N(SN比)、振動の振幅および周波数などの点でエンジンからの駆動トルクを運転者の身体全体で一層強く感じることができるため、加速フィーリングが向上し、運転感覚が非常に良好になる。そのためこの2プレーン、90°型の乗物用エンジンの実用化が強く望まれている。
特許文献1のものは、クランクウェブに付加する総重量を回転部重量Wrotに往復部重量Wrecの1/2を加えて設定することを前提としている(第3頁左欄の(12)式)。すなわちコンロッド大端部などの回転部重量Wrotとバランスする重量Wrotの他にWrec/2(付加重量、アンバランス重量)を加えるものである。またクランク軸中心から第1,4気筒中心までの距離を2a、第2,3気筒中心までの距離を2bと設定していることから、各気筒のクランクウェブ重量は気筒中心に集中しているものとして計算していることが解る(第1図参照)。
実際には各気筒のクランクウェブは気筒中心に対して左右に分割されるから、これらクランクウェブ半体の合計が気筒の中心に集中すると仮定するためには、各クランクウェブ半体の付加重量は往復部重量の1/4にする必要がある。この特許文献1のものは各気筒に対してクランクウェブ全体に対する付加重量が往復部重量Wrecの1/2,すなわちクランクウェブ半体に対する付加重量を往復部重量の1/4にすることを前提としている。
しかしながら実際のエンジン設計にあたっては、クランク軸付近に配設する他の歯車や軸受類等との干渉を避けるなどの理由から、クランクウェブ半体の付加重量をWrecの1/4にすることが困難になることが多い。クランクウェブ半体の重量を確保するのと同じ効果を得るために回転半径を大きくすることが考えられるが、クランク軸が大型化してしまう。
特許文献2のものは、特許文献1のものと同様に、クランクウェブに付加する付加重量を往復部重量Wrecの1/2とし(段落0022)、各気筒のクランクウェブ重量は気筒中心に集中しているものとしている(段落0018)。従って各クランクウェブ半体の付加重量は往復部重量の1/4にすることを前提としている。この前提のもとに特許文献2ではクランク軸と同速かつ逆転する逆転バランサと別に、クランク軸と同速かつ等方向回転する同転バランサを設け、クランク軸に付加する重量Wrec/2の一部を同転バランサに分配することにより、クランク軸の付加重量をWrecの1/2以下にするものである。しかしこの場合には逆転するバランサの他に同転するバランサをさらに追加することが必要になるため、エンジンの大型化が避けられない。
本発明はこのような問題を解消するためになされたもので、加速フィーリングが向上し、運転感覚が非常に良好であり、コンパクトでもある乗物用直列4気筒エンジンを提供することを第1の目的とする。
またエンジンの駆動トルクのS/N、振動の振幅および周波数などを改善して、加速フィーリングを向上し運転感覚を非常に良好にした乗物を提供することを第2の目的とする。
本発明によれば第1の目的は、2つの気筒のクランクピンを180°の位相差をもって共通な第1仮想平面上に配置し、他の2つの気筒のクランクピンを180°の位相差をもって前記第1仮想平面と90°位相がずれた第2仮想平面上に配置したクランク軸を有する乗物用直列4気筒エンジンにおいて、少なくとも2つの気筒のクランクウェブをクランクピンを挟んで対向する1対のクランクウェブ半体に分け、両クランクウェブ半体のバランス率をkL,kR(但しkL≠0.25,kR≠0.25)とし、クランク軸の長手方向の中心から各クランクウェブ半体までの距離をDL,DRとして、(kL−0.25)/(0.25−kR)≒DR /DLとなるようにして、1次慣性偶力のベクトル軌跡が略円形となるように4つの気筒のクランクウェブを設定したクランク軸と、1次慣性偶力のベクトルを相殺する偶力ベクトルを発生する1次バランサとを備えることを特徴とする乗物用直列4気筒エンジン、により達成される。
また第2の目的は、請求項1に記載された乗物用4気筒エンジンを搭載したことを特徴とする乗物、により達成される。
本発明は、少なくとも2つの気筒のクランクウェブ半体の付加重量Wadd(実際はこの重量と回転半径の積であるモーメントと、往復重量と回転半径との積であるモーメントとの比で表現したバランス率kL、kRを用いる)と、クランク中心からこれらクランクウェブ半体までの距離DL、DRとが所定条件を満たす時に、クランクウェブの付加重量Waddが往復部重量Wrecの1/2で気筒の中心に集中している状態と等価になることを発明者が発見したことに基づいてなされたものである。
すなわち前記所定条件、(kL−0.25)/(0.25−kR)≒DR /DL(但しkL≠0.25,kR≠0.25)を満たせば、前記特許文献1および2と同様に、加速フィーリングを向上させ、運転感覚を非常に良好にしつつクランクウェブ半体の付加重量Waddを変化させることができる。
従って各気筒のクランクウェブ半体の形状を変えられるので、クランクウェブのバランス率や慣性マス等の設計自由度が増大しエンジンのコンパクト化が可能になる。また第2の発明によれば、加速フィーリングが向上し、運転感覚が非常に良好な乗物が得られる。
一対のクランクウェブ半体を合計した1つのクランクウェブについてのバランス率kは、次式(1)により定義される。
k=(M−Wrot・r/2)/(Wrec・r) …(1)
ここにMはクランクウェブの総アンバランス量(単位はモーメント、g・mm)、rはWrot、Wrecの回転半径である。このrはクランクピンの回転円の1/2であり、往復部のストロークの1/2でもある。またWrotは回転部質量、Wrecは往復部質量(単位はg)である。
通常(M/r−Wrot/2)=Waddを往復部質量Wrecの半分に設定するので、この時にはk=1/2(50%)である。この発明では1つの気筒のクランクウェブを左右に分けてクランクウェブ半体とし、これらクランクウェブ半体のバランス率kL、kRを別々に設定するものである。従ってこの場合は(1)式においてMをクランクウェブ半体のアンバランス量と考えれば、kL、kR=(M−Wrot・r/4)/(Wrec・r)となる。この時各クランクウェブ半体のクランク軸中心からの距離DL、DRを考慮して前記の所定条件を求めたものである。この条件の意味は後記する。
この発明において、(kL+kR)を0.5(50%)より小さくすればクランク軸の軽量化が図れることが明らかであり、特に乗り物用のエンジンに適する(請求項2)。また逆に(kL+kR)を0.5(50%)より大きくする場合は(請求項3)は、後記するようにクランク軸中心側のウェブ半体を重くすることを意味するが、他の部材との干渉を避けたりクランク軸上に他の歯車等を設ける際の設計自由度が増える。また各気筒のウェブ半体の質量決定の自由度が増えクランク軸中央側に重量が集まるので、クランク軸の捩り振動を抑制するのに適し、その結果クランク軸の軽量化を図ることも可能になる。
この発明では、2つの気筒に対して請求項1の条件を満たすようにし、他の2つの気筒に対しては従来のエンジンと同様に左右のクランクウェブ半体のバランス率kL、kRをそれぞれ0.25、0.25とすることもできる(請求項4)。このようにエンジンのレイアウト上の都合から任意の2つの気筒だけに本発明を適用することが可能であり、この場合には設計自由度が増大する効果が得られる。
クランク軸のクランクピン配置は種々のものが可能である。図12はこれらの形式を示す図であり、ここでは同図(A)に示すように互いに直交するX、Y、Z軸をとり、X−Z平面を第1仮想平面P1とし、Y−Z平面を第2仮想平面P2とする。(A)は左端から順番に1〜4番気筒として、1番気筒と4番気筒のクランクピンが第1仮想平面P1上に位置し、2番気筒と3番気筒のクランクピンが第2平面P2上に位置するものであり、この形式を以下STD配置という(請求項5)。このSTD配置のクランク軸では、クランクウェブの対称性から、1次慣性力、2次慣性力、2次慣性偶力を理論上0にすることが可能であり、1次慣性偶力のベクトル線図を真円としてこれを1次バランサで完全に打消すことが理論上可能である。
なお以下の説明では、慣性力や偶力などを「相殺する」、「打ち消す」、「消去する」、「0にする」などの用語を用いているが、これらは実用上問題が無い程度に小さくすることを意味し、必ずしも0にすることだけを意味するものではない。また1次バランサ軸は1本とするのがエンジンのコンパクト化を図るためには望ましいが、本発明は2本以上のバランサ軸に分けることも可能である。
図12の(B)は、1番と3番気筒のクランクピンを第1仮想平面上に、2番と4番気筒のクランクピンを第2仮想平面上に配置したものであり、この形式を以下90−I配置という(請求項6)。図12の(C)は1番と2番気筒のクランクピンを第1仮想平面上に、3番と4番気筒のクランクピンを第2仮想平面上に配置したものであり、この形式を以下90−J配置という(請求項7)。
これら90−Iおよび90−J配置では、1次慣性力や2次慣性偶力の少なくとも一方が僅かに残ったり、1次慣性偶力のベクトル線図が真円でなく円に近い楕円となる。しかし実用上問題が無い程度に振動を小さくすることが可能である。
STD配置の場合には、バランス率kL、kRと距離DL、DRが1番と4番気筒をクランク中心に対して対称(ミラー配置)とし、2番と3番気筒をクランク中心に対して対称(ミラー配置)とすることが望ましい(請求項)。この場合には1次バランサの付加により前記のように理論上1次および2次の慣性力と偶力を完全に打消すことができるが、本発明は軽量化や運転フィーリング向上などの目的から、非対称にして僅かな振動を残すようにしてもよい。
90−I、90−J配置の場合には、距離DL、DRを1,4番気筒および2,3番気筒で対称とし、バランス率kL、kRが任意に組合せた2つの気筒で対称(ミラー配置)としてもよい(請求項9)。この場合には、1次慣性力や2次慣性偶力の一方または両方が僅かに残ったり、1次慣性偶力のベクトル線図が楕円になるが、実用上問題ない程度の振動を残してむしろ軽量化や運転フィーリング向上を図ることが可能である。
1次バランサのバランスウェイトは、2番と3番気筒のクランクピンに対向する位置(クランクウェブ半体間)または1番と4番気筒のクランクピンに対向する位置(クランクウェブ半体間)に設けることができる(請求項10)。この場合バランサウェイトをクランク軸に接近させてエンジンのコンパクト化を図ることが可能になる。
以下、本発明に係る直列4気筒エンジンの一実施の形態を図1ないし図11によって詳細に説明する。
図1は本発明に係る直列4気筒エンジンの概略構成を示す側面図、図2はクランク軸と偶力バランサの平面図、図4はクランク軸とバランサの動作を説明するための断面図、図5はクランク軸を模式的に示す斜視図である。図6はクランク角度を示す図、図7は1次慣性力の変化を示すグラフ、図8は往復運動部分の構成を模式的に示す図、図9は合成偶力ベクトル(T)を説明するための斜視図、図10は各気筒の1次慣性力の合成ベクトル(a〜d)とエンジン全体の合成偶力ベクトルT(e)を説明するための図である。図11はクランクウェブのバランス率を示す斜視図である。
これらの図において、符号1で示すものはこの実施の形態による水冷式4サイクル直列4気筒エンジンである。このエンジン1は、自動二輪車用のもので、上下方向に分割可能に形成されたクランクケース2に後述するクランク軸3が回転自在に支持されている。このエンジン1は、クランク軸3の軸線が車幅方向と平行になるとともに図1において左側の部位が車体前側に位置する状態で車体フレーム(図示せず)に搭載される。
前記クランクケース2は、上部クランクケース本体4と下部クランクケース本体5とから構成され、これら両ケース本体4,5どうしの間にクランク軸3と後述する偶力バランサ6とを回転自在に支持している。上部クランクケース本体4の上端部には、シリンダボディ7が取付けられ、前記下部クランクケース本体5には、主軸8と駆動軸9とが回転自在に設けられている。この下部クランクケース本体5の下端部には、オイルパン5aが取付けられている。前記シリンダボディ7は、4気筒分のシリンダ孔7aが車幅方向に一列に並ぶように形成され、上端部にシリンダヘッド(図示せず)が取付けられている。前記シリンダ孔7aは、軸線Cが前上がりに傾斜するように形成されている。この実施の形態では、4つの気筒を車体左側から順番に1番気筒、2番気筒、3番気筒、4番気筒という
前記主軸8と駆動軸9は、従来からよく知られている構造のトランスミッション(図示せず)を介して互いに連結されている。前記主軸8は、車体右側の端部にクラッチ(図示せず)が軸装され、このクラッチと減速大歯車(図示せず)とを介して前記偶力バランサ6に歯車結合されている。前記駆動軸9は、車体左側の端部にスプロケット(図示せず)が設けられており、このスプロケットに巻掛けた後輪駆動用チェーン10を介して後輪(図示せず)に接続されている。
前記偶力バランサ6は、後述するクランク軸3が回転することにより生じる1次偶力を打ち消すためのもので、図2に示すように、クランクケース2に軸受2a〜2cによって回転自在に支持されたバランサ軸11と、このバランサ軸11に一体に形成された第1および第2のバランスウェイト12,13とから構成されている。前記バランサ軸11は、前記両バランスウェイト12,13どうしの間に従動歯車14が設けられるとともに、車体右側の端部に減速小歯車15が設けられている。
前記従動歯車14は、クランク軸3の出力歯車16と回転数が一致するように形成されてこれに噛合し、前記減速小歯車15は、前記クラッチ側の減速大歯車に噛合している。すなわち、このエンジン1においては、クランク軸3の回転が偶力バランサ6とクラッチとを介して主軸8に伝達され、さらに、前記主軸からトランスミッションを介して駆動軸に伝達され、この駆動軸から後輪駆動用チェーンを介して後輪に伝達される。クランク軸3の回転方向は、この実施の形態では図1において時計方向である。
前記クランク軸3は、図1〜図3および図5に示すように、気筒毎のクランクピン21〜24と、第1および第2のクランクウェブ21a,21b,22a,22b,23a,23b,24a,24bと、ジャーナル部25とから構成され、軸線方向の中央部に前記出力歯車16とクランク角センサーホイール26とが設けられている。図1および図4において、27はコンロッドを示し、28はピストン、28aはピストンピンを示す。
前記各クランクピン21〜24の回転方向の位置(クランク角度)は、図6に示すように、1番気筒用クランクピン21に対する2番気筒用クランクピン22のクランク角度が270°となり、1番気筒用クランクピン21に対する3番気筒用クランクピン23のクランク角度が90°となり、1番気筒用クランクピン21に対する4番気筒用クランクピン24のクランク角度が180°となるように形成されている。すなわち、このクランク軸3は、1番気筒用クランクピン21と4番気筒用クランクピン24とが第1の仮想平面(プレーン)上に位置し、2番気筒用クランクピン22と3番気筒用クランクピン23とが第2の仮想平面上に位置し、かつ前記両平面どうしが直交する2プレーン型(STD配置)のものである。なお、このエンジン1の点火順序は、1番気筒→3番気筒→2番気筒→4番気筒となる。
前記クランクウェブは、クランク軸3の軸心を挟んで反対側にカウンターウェイト部が形成されている。このカウンターウェイト部の質量は、前記偶力バランサ6と協働してエンジン1の加振力を低減することができるように設定されている。この質量は、コンロッド大端部などの回転部重量Wrotとバランスさせる重量Wrotと、往復部とバランスさせるための付加重量Waddの合計である。この付加重量Waddはこのエンジン1の往復運動部分{ピストン28、ピストンピン28aおよびコンロッド27の小端部27a(図1参照)}の質量の約50%(バランス率約50%)とすることにより、回転時に作用する偶力の大きさが適切になることが判った。
ここでいう適切な大きさの偶力とは、このエンジン1に装備することが可能な偶力バランサ6によって打ち消すことができる大きさの偶力のことをいう。この実施の形態による2プレーン型のクランク軸3は、後述するように1次、2次慣性力および2次偶力が消去されるから、クランクウェブをバランス率が約50%となるように形成することにより、残存1次偶力の偶力合成ベクトルの移動軌跡がクランク軸心まわりの円になる。すなわち、このクランク軸3を装備したエンジン1においては、前記1次偶力合成ベクトルを相殺する偶力ベクトルとなる偶力を発生する偶力バランサ6を装備することによって、1次偶力も消去することができる。以下、1次、2次慣性力および2次偶力が消去される理由と、1次偶力を消去する偶力バランサ6の構成について説明する。
(1)1次慣性力が消去される理由について
1次慣性力は、図7に示すように、ピストン28の往復動に対応するようにクランク軸3に作用する。図7は、各気筒の往復運動質量による1次慣性力の変化をX軸成分とY軸成分に分けて示す。今ピストン28に同方向であるX軸成分で考えると、同図に示すように、1番気筒のピストン28が上死点に位置しているとき(図7でA点)には4番気筒のピストン28が下死点(図7でB点)に位置しているから、これら両気筒の往復運動質量による1次慣性力は互いに打ち消し合う。これと同様に、2番気筒と3番気筒の往復運動質量による1次慣性力も互いに打ち消し合う。このため、このクランク軸3においては1次慣性力は理論上0になる。
(2)2次慣性力が消去される理由について
各気筒の往復運動質量による2次慣性力F1〜F4は、図8に示すように各部の寸法、質量を定めると下記の式(1)〜(4)のように表される。図8において、mr=往復運動部分の質量(g)、L=コンロッド長(mm)、r=ピストンストローク/2(mm)、ω=2πN/60(rad)である。また、下記の式(1)〜(4)において、λ=コンロッド長/rである。
Figure 2005068872
上記F1 〜F4の総和F(2)は、下記に示すように0となるから、このクランク軸3においては2次慣性力は理論上0になる。
Figure 2005068872
(3)2次偶力が消去される理由について
2次偶力は、図5に示すように、クランク軸3に2次慣性力F1 〜F4 が作用することにより生じるY軸回りのモーメントの総和である。前記Y軸とは、シリンダの軸線と平行なX軸と直交するとともに、クランク軸3の軸線と平行なZ軸と直交する方向に延びる軸のことをいう。なお、図5は、1番気筒のピストン28が上死点に位置している状態を示している。
2次慣性力F1〜F4は、1周期がクランク角180°となるように繰り返し生じるから、クランク角が互いに180°異なる1番気筒と4番気筒は、2次慣性力の作用する方向が同方向になる。また、1番気筒に対してクランク角が回転方向の前側に90°ずれる2番気筒と、回転方向の後側に90°ずれる3番気筒は、2次慣性力の作用する方向が1,4番気筒とは逆方向になる。このため、前記モーメントの総和からなる2次偶力FLは、Y軸から各気筒までの距離をd1〜d4とし、d1=d4,d2=d3とすると、下記に示すように0となる。
FL=F1×d1−F2×d2+F3×d3−F4×d4=0
このため、このクランク軸3においては2次偶力は0になる。
(4)残存1次偶力を消去する偶力バランサ6の構成について
クランク軸3に作用する1次偶力は、各クランクピン21〜24に作用する1次慣性力のベクトルの総和によって表すことができる。これを図9によって詳細に説明する。図9は、1番気筒のピストン28が上死点に位置している状態、すなわち1番気筒用クランクピン21がX軸(シリンダ軸線)上であって同図において上端に位置する瞬間の状態を描いてある。
このとき、1番気筒においては、往復運動部分(ピストン28、ピストンピン28aおよびコンロッド27の小端部27a)の質量による1次慣性力と、回転部分(クランクピン21、コンロッド27の大端部27bおよびクランクウェブ21a,21b)の質量による1次慣性力との合力が上方に向けて作用するようになる。これは、このクランク軸3は上述したように約50%バランスとなるように形成されており、往復運動部分の上方へ向かうように作用する慣性力に対して、回転運動部分の下方へ向かうように作用する慣性力が約半分になるからである。すなわち、1番気筒においては、往復質量と回転質量による1次慣性力の合成ベクトルはX軸と平行に上方を指向するようになる。1番気筒の前記合成ベクトルの大きさは、図10(a)に示すように変化する。この合成ベクトルの回転方向は、クランク軸の回転方向とは逆の反時計まわりである。
2番気筒においては、ピストン28が下死点から上死点に移動する途中の略中間点に位置するため、往復運動部分の慣性力は略0となる。このため、2番気筒においては、回転部分の慣性力(車体の後方を指向するように作用する)のみが作用することから、1次慣性力の合成ベクトルは、Y軸と平行に後方(図9においては右方)を指向するようになる。2番気筒の前記合成ベクトルの大きさは、図10(b)に示すように変化する。この合成ベクトルの回転方向は、クランク軸の回転方向とは逆の反時計まわりである。
3番気筒においては、ピストン28が上死点から下死点に移動する途中の略中間点に位置するため、往復運動部分の慣性力は略0となり、回転部分の慣性力のみが作用する。このため、3番気筒の1次慣性力の合成ベクトルは、Y軸と平行に前方(図9においては左方)を指向するようになる。3番気筒の前記合成ベクトルの大きさは、図10(c)に示すように変化する。この合成ベクトルの回転方向は、クランク軸の回転方向とは逆の反時計まわりである。
4番気筒においては、ピストン28が下死点に位置しているから、往復運動部分の慣性力は下方を指向し、この往復運動部分の約半分となる回転運動部分の慣性力は上方を指向する。このため、4番気筒の1次慣性力の合成ベクトルは、X軸と平行に下方を指向するようになる。4番気筒の前記合成ベクトルの大きさは、図10(d)に示すように変化する。この合成ベクトルの回転方向は、クランク軸の回転方向とは逆の反時計まわりである。
1番気筒の合成ベクトルと4番気筒の合成ベクトルは、方向が互いに180°逆方向で大きさが略一致するため、これら両気筒のクランクピン21,24に作用する1次慣性力が偶力となる。この偶力を以下においては第1の偶力という。この第1の偶力は、図9において、クランク軸3の軸線方向の中央を通りY軸と平行な仮想軸線YCを中心としてクランク軸3を回すような偶力となる。この第1の偶力のベクトルは、偶力が右ねじの締込み時の回転方向と同方向である場合、右ねじの進む方向となる。すなわち、この第1の偶力のベクトルは、前記仮想軸線YCに沿って前方を指向するようになる。図9においては、仮想軸線YCが位置しかつクランク軸3の軸線とは直交する平面を、理解し易いように同図の左端部に仮想平面Iとして描いてある。この仮想平面I上においては、前記第1の偶力のベクトルをAで示す。
一方、2番気筒の合成ベクトルと3番気筒の合成ベクトルは、方向が互いに180°逆方向で大きさが略一致するため、これら両気筒のクランクピンに作用する1次慣性力によって第2の偶力が生じる。この第2の偶力のベクトルは、偶力が右ねじの締込み時の回転方向と同方向である場合、右ねじの進む方向となるから、図9において、クランク軸3の軸線方向の中央を通りX軸と平行な仮想軸線XCに沿って上方を指向するようになる。前記仮想平面I上においては、前記第2の偶力のベクトルをBで示す。
これらベクトルAとベクトルBとを合成することによって、このエンジン1に作用する総合的な偶力の方向と大きさとを求めることができる。前記ベクトルAと前記ベクトルBとの合成偶力ベクトルTは、図9の仮想平面I上に示すように、前方斜め上方を指向する。この合成偶力ベクトルTの大きさは、図10(e)に示すように変化する。この合成偶力ベクトルTの回転方向は、同じくクランク軸の回転方向とは逆の反時計まわりである。
この合成偶力ベクトルTは、エンジン1の全ての1次偶力を表すものであるから、この合成偶力ベクトルTと点対称となるベクトル(図9中に破線tで示す)の偶力を偶力バランサ6により発生させることによって、エンジン1に生じる全ての1次偶力を消去することができる。合成偶力ベクトルTと点対称になるベクトルtを以下においてバランサベクトルという。前記偶力合成ベクトルTと前記バランサベクトルtとを釣り合わせるためには、図10(e)に示す合成偶力ベクトルTの回転軌跡が真円となることが最も効果的である。
この実施の形態では、クランクウェブの重量バランスを約50%とすることによって、前記回転軌跡を略真円としている。前記バランサベクトルtを有する偶力バランサ6は、図9中に破線br1,br2で示す方向に慣性力が生じるものとなる。すなわち、慣性力がbr1,br2となるように偶力バランサ6を形成することによって、このエンジン1の1次偶力を偶力バランサ6によって釣り合わせて消去することができる。
ここで、前記回転軌跡が円となるようにクランクウェブの重量バランスを決める手法について説明する。各気筒の往復質量をMr(単位はモーメント、g・mm)とし、各気筒の回転質量をMo(単位はモーメント、g・mm)とし、1気筒当たり2つあるクランクウェブ半体のアンバランス量(モーメント:gmm)を1番気筒から順にM1〜M8とすると、各クランクウェブ半体のバランス率kは、
k(1〜8)={M(1〜8)−M0/4}/Mr
={M(1〜8)−Wrot・r/4}/Wrec・rとなる。
全ての気筒において1次慣性力の合成ベクトルを一定(円)とするためのアンバランス量M1〜M8は、例えばM1〜M8=0.25×Mr+M0/4である。なお、M1とM4とが等しくなりかつM2とM3とが等しくなれば、一対のクランクウェブ半体のうち一方のバランス率kを0.25より小さくなるように形成し、他方のバランス率kをその分だけ大きくなるように形成することができる。
偶力はクランク軸中心からの距離D(DL、DR)に比例するから、クランク軸中心から遠いクランクウェブ半体が偶力に及ぼす影響はクランク軸中心に近いクランクウェブ半体の影響よりも大きい。従ってクランク軸中心から遠いクランクウェブ半体のバランス率(kL)を大きくすればクランク軸中心に近いクランクウェブ半体のバランス率(kL)を小さくでき、これらの合計(kL+kR)を50%より小さくすることができる。
この実施の形態では、図11に示すように各クランクウェブ半体のバランス率k(1〜8)を設定した。すなわち、1番気筒と4番気筒については、エンジン外側に位置するクランクウェブ21a,24aのバランス率を0.427とし、エンジン1内側に位置するクランクウェブ21b,24bのバランス率を0.025とし、両方のクランクウェブでバランス率が0.452となるように形成した。また、2番気筒と3番気筒については、エンジン1外側に位置するクランクウェブ22a,23aのバランス率を0.357とし、エンジン1内側に位置するクランクウェブ22b,23bのバランス率を0.017として両方のクランクウェブでバランス率が0.374となるように形成した。
なお1番気筒と4番気筒のクランクウェブ21a、21b、24a、24bのバランス率k1L、k1R、k4R 4L をすべて0.25とし、2番気筒と3番気筒のバランス率k2L、k2R、k3R、k3Lを0.25以外(例えばk2L=k3R=0.357、k2R=k3L=0.017)としてもよい。また逆に2番気筒と3番気筒のバランス率k2L、k2R、k3R、k3Lをすべて0.25とし、他の1番気筒と4番気筒のバランス率k1L、k1R、k4R、k4Lを0.25以外(例えばk1L=k4R=0.427、k1R=k4L=0.025)としてもよい。
前記偶力バランサ6は、図1〜図4に示すように、クランク軸3より後方(図9で示すY軸に沿って後方)に離間する位置に配設され、第1および第2のバランスウェイト12,13が2番気筒と3番気筒のクランクピン22,23と対応する位置に設けられている。この実施の形態による第1および第2のバランスウェイト12,13は、軸線方向から見て扇状を呈するように形成され、最もクランク軸側に移動した状態で2番気筒用クランクウェブ22aと22bとの間と、3番気筒用クランクウェブ23aと23bとの間とに臨むように形成されている。また、これらの第1および第2バランスウェイト12,13は、質量を調整するためにヘビーメタル31が埋設されている。前記第1のバランスウェイト12は、図9中にbr1で示した慣性力を発生し、第2のバランスウェイト13は、図9中にbr2で示した慣性力を発生するように形成されている。
この実施の形態による偶力バランサ6は、図4(a)〜(e)に示すように、第1および第2のバランスウェイト12,13とコンロッド27の大端部27bとの接触を避けながらクランク軸3に可及的近接する位置に配設されている。図4(a)は、1番気筒のピストン28が上死点に位置しているときの2番気筒のクランクピン22と第1のバランスウェイト12の位置を示し、同図(b)は、(a)図の状態からクランク軸3が180°回転した状態を示している。同図(c)は、(a)図の状態からクランク軸3が217.5°回転した状態を示し、同図(d)は、(a)図の状態からクランク軸3が225°回転した状態を示し、同図(e)は、(a)図の状態からクランク軸3が270°回転した状態を示す。なお、3番気筒用コンロッド27の大端部27bと第2のバランスウェイト13との位置は、図4とは位相が180°異なるだけで同様になる。1番気筒と4番気筒にバランスウェイトを配置すると、コンロッドの大端部27bとの接触を避ける点で有利な形状がとれる。すなわち、扇形状を大きく作ることができる。
上述したように構成された直列4気筒エンジン1は、1次慣性力と、2次慣性力および2次偶力とをクランク軸3のみによって消去することができ、残存1次偶力を偶力バランサ6によって消去することができる。この偶力バランサ6は、クランク軸3を挟んでシリンダとは反対側に位置付ける必要はなく、この実施の形態で示したようにクランク軸3の側方(車体の後方や前方)に設けることができる。
したがって、偶力バランサ6をクランク軸3の側方に設けることによって、シリンダの軸線方向にコンパクトな直列4気筒エンジンを提供することができる。このエンジン1は、偶力バランサ6によってオイルパン5a内のオイルが攪拌されることはないから、動力の損失が少なく、しかも、オイルパン5aの容量を大きく形成することができる。
また、この実施の形態によるエンジン1は、クランク軸3の2番気筒用の一対のクランクウェブ半体22a,22bどうしの間に偶力バランサ6の第1のバランスウェイト12の一部が臨み、3番気筒用の一対のクランクウェブ23a,23bどうしの間に偶力バランサ6の第2バランスウェイト13が臨む構成を採っているから、偶力バランサ6を軸線方向にコンパクトに形成することができるとともに、クランク軸3に可及的接近させて設けることができる。
したがって、より一層コンパクトに直列4気筒エンジンを形成することができる。
また、1番気筒用の一対のクランクウェブ半体どうしの間と、4番気筒用の一対のクランクウェブ半体どうしの間とにバランスウェイトを臨ませることもできる。この場合は、前者に比べてウェイトを軽くでき、軸受の負荷が軽減される。さらにこの場合は前記のようにバランスウェイトとコンロッド大端部27bとの接触を避ける点で有利な形状がとれるので、バランスウェイトの形状設計の自由度が増え、エンジンのコンパクト化を図れる可能性がある。
ここで各クランクウェブ半体のバランス率k(1〜8)を図11のように設定することにより、本発明の前提である1次慣性偶力のベクトル軌跡を円にできる理由を図13を用いて説明しておく。
クランク軸中心Cから1〜4番気筒の気筒中心までの距離をD1〜D4、各気筒のクランクウェブ半体までの距離をD1L、D1R、D2L、D2R、D3L、D3R、D4L、D4Rとする。また各クランクウェブ半体のバランス率k(1〜8)を1番気筒側から順にそれぞれk1L、k1R、k2L、k2R、k3L、k3R、k4L、k4Rとする。
計算を簡単にするため、クランク軸をその中心Cを中心にして対称なものとする。この場合は、次式が成立する。
1=D4
2=D3
1L=D4R
1R=D4L
2L=D3R
2R=D3L
1L=k4R
1R=k4L
2L=k3R
2R=k3L
このような前提のもとに1次慣性偶力M(1)を求める。すなわち各気筒の1次慣性力F(1)がクランク軸中心Cに発生させる偶力を各気筒ごとに求め、これらの和をM(1)とする。
この和M(1)は次のようにして求めることができる。
今1番気筒について考える。x,y軸を図5,13のようにとり、Y軸を虚数軸とする。左右のウェブ半体21a、21bに作用するモーメントをM1L、M1R、気筒の中央に作用するモーメントM11(M1L、M1Rと逆向き)として次の式を得る。
1L=iD1L{k1L・F・ei(θ+π)
11=iD1・F・cosθ
1R=iD1R{k1R・F・ei(θ+π)
2番〜4番気筒についてもθが変わるだけで同様に求められる。従ってこれらを4つの気筒に対して加算し式を整理することによりM(1)を求めることができる。
ここに次の関係(2)、(3)があるからこれを利用して計算すればM(1)は下記の式(4)により求められる。
1L1L+D1R・k1R=D11≡A …(2)
2L2L+D2R2R=D22≡B …(3)
M(1)=(D11 sinθ+D22 cosθ)・2・F
+{D1(1−k1)cosθ+D2(k2−1)sinθ}2Fi …(4)
ここでk1=k2=0.5(バランス率50%)の時には
M(1)=(D1 sinθ+D2 cosθ)F+(D1 cosθ+D2 sinθ)Fi
…(5)
この(5)式は半径F・{(D1 2+D2 2)}1/2の円となる。従ってk1=k2=0.5の時には1次バランサで相殺できることが解る。今1番気筒について検討する。バランス率k1L、k1Rの基準値を0.25とすれば、この基準値からの偏差は(k1L−0.25)、である。この時次の(6)式が成立すればk1=0.5になることが解った。
(k1L−0.25)/(0.25−k1R)=D1R/D2R …(6)
1L=(k1R/k1L)(0.25−k1R)+0.25
A=0.25(D1R+D1R
=0.25・2D1
=0.5D1
ここにAは(2)式で定義され、この式はk1=0.5であることを意味している。
2番気筒についても同様に
(k2L−0.25)/(0.25−k2R)=D1R/D2R …(7)
が成立すればk2=0.5になる。よって(6)、(7)式が成立すればベクトルM(1)は円となる。図11のバランス率k1L、…、k4L、k4Rはこれらの(6)、(7)式に基づいて決めたものである。この場合k1L+k1R=0.452、k2L+k2R=0.374となり、クランクウェブ半体の重量は{1−(0.452+0.374)}=0.174となり、クランク軸はk1L=k1R=0.25とした場合に比べて約17%軽くできることが解る。
前記実施例1は、クランク軸のクランクピンを図12の(A)に示すSTD配置としたものであり、この場合には各気筒の対称性により、1次慣性力と2次慣性力と2次慣性偶力とを全て略0にできるから、残る1次慣性偶力だけを1次バランサにより相殺するものであった。この場合に、各気筒のクランクウェブの付加重量Waddは往復部重量の1/2にする(バランス率50%)と共に、このクランクウェブ重量を左右一対のクランクウェブ半体に振り分ける。すなわちクランク軸中心からの距離が大きい(遠い)クランクウェブ半体のバランス率(kL)を大きく(25%以上、重く)し、距離が小さい(近い)クランクウェブ半体のバランス率(kR)を小さく(25%以下、軽く)することにより、合計のバランス率(kL+kR)を50%以下として、クランク軸の軽量化を可能にしたものである。
しかし本発明はSTD配置以外のクランク軸に適用しても所期の効果が得られることが解った。すなわち図12の(B)、(C)のような配置の場合には1次慣性力や2次慣性偶力が僅かに残り、1次慣性偶力M(1)も真円にはならず僅かに偏平な楕円となるが、実用上不都合を生じないものが得られることが解った。
図12の(B)は、1番気筒と3番気筒のクランクピンを第1平面上に配置し、2番と4番気筒のクランクピンを第2平面上に配置したものである。この形式のクランク軸をここでは90−I配置という。このクランク形式においてバランス率kL、kRを対称(ミラー)とする気筒の組合せ(ミラータイプ)により3種類あり得るので、これらを表1のように90−I−1,90−I−2,90−I−3とした。
Figure 2005068872
図12の(C)は、1番気筒と2番気筒のクランクピンが第1平面上にあり、3番と4番気筒のクランクピンが第2平面上にあるタイプであり、ここでは90−J配置という。このクランク形式においてバランス率kL、kRを対称(ミラー)とする気筒の組合せにより3種有り得るので、これらを表1のように90−J−1,90−J−2,90−J−3とした。
これらのクランク形式において、各気筒のクランクウェブ半体のバランス率 1L 1R 、…k4L、k4Rを表1のように設定し、これらの場合における1次慣性力F(1)、2次慣性力F(2)、1次慣性偶力M(1)、2次慣性偶力M(2)を求めたものが表2である。この計算にあたり、エンジンは1気筒当たりの排気量が250cc相当のものであり、一定回転速度とした。
Figure 2005068872
この表(2)から、1次慣性力F(1)は90−I−2などで0にならずa(≠0)が残ることが解る。このaは僅かな大きさで実用上問題無い程度である。2次慣性力F(2)は全てのタイプで0になる。1次慣性偶力M(1)はSTD、90−I−2,90−J−1配置以外では楕円となる。また2次慣性偶力M(2)はSTD配置以外ではX軸(シリンダ軸方向)に残ることが解る。
一般に自動二輪車用エンジンでは、乗員の体感振動評価の経験則によれば慣性偶力はおおむね±30kgm以内であれば問題無いとされている。この評価基準を考慮すれば表2に示された偶力M(1)、M(2)は一般のエンジン使用回転速度域では十分に小さく実用上全く問題無いと考えられる。
図14は本発明に係るエンジンを搭載した自動二輪車を示す側面図である。この自動二輪車はエンジン50を車体フレーム52の中央付近に搭載したものである。
車体フレーム52は側面視で後部が下方へ折曲した略釣り針状であり、この車体フレーム52に囲まれ下方および前方に開くスペースにエンジン50が搭載されている。エンジン50のクランクケース54は前下がりの急な割り面54Aで上下に分割可能である。この割り面54Aには、クランク軸56,偶力バランサ(1次バランサ)58,変速主軸60が前下方から後上方に順次軸支される。変速副軸となる出力軸62は主軸60の下方に位置し、クランクケース54の下半体に軸支されている。
クランク軸56、バランサ58、主軸60、副軸62は車体幅方向に平行であり、4つの気筒を持つシリンダボデーおよびシリンダヘッド64はクランクケース54の前上面から前傾して起立している。ここにクランク軸56、バランサ58は本発明の構成を有するものであることは勿論である。このエンジン50は主軸60をクランクケース割り面54Aに配設し出力軸62を主軸60の下方に配設した点が前記実施例1のエンジン1と異なる(図1参照)。このためこのエンジン50は重心が高くなり、またエンジン50の前後寸法が狭くなって垂直軸廻りの慣性モーメントが小さくなる。このため左右へ旋回する際に車体を旋回方向へ倒し込み易くなり、旋回性能が向上し、悪路で障害物を避けるのに都合が良い。
66はリヤアームであり、前端が出力軸62の後方に位置するピボット軸68で車体フレーム52に上下に揺動自在に軸支される。リヤアーム66の後端に後輪70が保持されている。出力軸66の回転はチェーン72によって後輪70に伝えられる。なお車体フレーム52の後下端部とリヤアーム66とが側面視略三角形の連結体74およびリンク76で連結されている。連結体74と車体フレーム52との間に筒型緩衝器78が介装され後輪70に下向きの復帰力を付与している。
80は前フォークであり、車体フレーム52の前端に左右へ回動自在に保持されている。前フォーク80の下端に前輪82が保持されている。前フォーク80の上部に操向ハンドルバー84が固定されている。車体フレーム52の上方にはエアクリーナ86と燃料タンク88が前後に順に配列されている。エアクリーナ86は前フォーク80の上部付近から走行風を取込み、吸気管90を通して吸気をシリンダヘッド64の後面から各気筒に導く。この吸気管90には燃料噴射弁92から燃料が吹き込まれる。94は排気管であって、シリンダヘッド64の前面からクランクケース54の前方および下方を通り後方へ延出している。96は運転シートである。
この実施例によれば、クランク軸56が2プレーン型であり駆動トルクのS/N、振動の振幅および周波数などの点で特有な振動を車体フレーム52に伝えることができ、運転者はエンジンの駆動トルクを全身で感じることができる。このため加速フィーリングが向上し、運転感覚が非常に良好になる。
本発明に係る乗物用直列4気筒エンジンの概略構成を示す側面図である。 クランク軸と偶力バランサの平面図である。 クランク軸と偶力バランサを示す斜視図である。 クランク軸とバランサの動作を説明するための断面図である。 クランク軸の構成を模式的に示す斜視図である。 クランク角度を示す図である。 気筒毎の1次慣性力の変化を示すグラフである。 往復運動部分の構成を模式的に示す図である。 合成偶力ベクトル(T)を説明するための斜視図である。 各気筒の1次慣性力の合成ベクトル(a〜d)およびエンジン全体の合成偶力ベクトル(e)を説明するための図である。 クランクウェブのバランス率を示す斜視図である。 クランク軸形式を示す図である。 バランス率と距離Dを示す図である。 エンジンを搭載した自動二輪車を示す側面図である。
符号の説明
1、50 エンジン
3、56 クランク軸
6、58 偶力バランサ
12 第1のバランスウェイト
13 第2のバランスウェイト
21〜24クランクピン
21a,21b,22a,22b,23a,23b,24a,24b クランクウェブ半体
1 第1仮想平面
2 第2仮想平面

Claims (11)

  1. 2つの気筒のクランクピンを180°の位相差をもって共通な第1仮想平面上に配置し、他の2つの気筒のクランクピンを180°の位相差をもって前記第1仮想平面と90°位相がずれた第2仮想平面上に配置したクランク軸を有する乗物用直列4気筒エンジンにおいて、
    少なくとも2つの気筒のクランクウェブをクランクピンを挟んで対向する1対のクランクウェブ半体に分け、両クランクウェブ半体のバランス率をk,k(但しk≠0.25、k≠0.25)とし、クランク軸の長手方向の中心から各クランクウェブ半体までの距離をD,Dとして、
    (k−0.25)/(0.25−k)≒D/D
    となるようにして、1次慣性偶力のベクトル軌跡が略円形となるように4つの気筒のクランクウェブを設定したクランク軸と、1次慣性偶力のベクトルを相殺する偶力ベクトルを発生する1次バランサとを備えることを特徴とする乗物用直列4気筒エンジン。
  2. 請求項1において、少なくとも一部の気筒に対して(k+k)を0.5より小とした直列4気筒エンジン。
  3. 請求項1において、少なくとも一部の気筒に対して(k+k)を0.5より大とした直列4気筒エンジン。
  4. 2つの気筒に対して請求項1の条件を満たし他の2つの気筒に対してはバランス率k、kを共に0.25とした請求項1の乗物用直列4気筒エンジン。
  5. クランク軸は、一端から順番に1〜4番気筒として、1番気筒と4番気筒のクランクピンが第1仮想平面上に位置し、2番気筒と3番気筒のクランクピンが第2仮想平面上に位置する請求項1〜3のいずれかの直列4気筒エンジン。
  6. クランク軸は、1番気筒と3番気筒のクランクピンが第1仮想平面上に位置し、2番気筒と4番気筒とのクランクピンが第2仮想平面上に位置する請求項1の直列4気筒エンジン。
  7. クランク軸は、1番気筒と2番気筒のクランクピンが第1仮想平面上に位置し、3番気筒と4番気筒とのクランクピンが第2仮想平面上に位置する請求項1の直列4気筒エンジン。
  8. 請求項5において、各気筒のクランクウェブ半体のバランス率k、kおよび距離D,Dが1番気筒と4番気筒で対称であり、2番気筒と3番気筒で対称である直列4気筒エンジン。
  9. 請求項6または7において、距離D,Dを1,4番気筒および2,3番気筒で対称にすると共に、クランクウェブ半体のバランス率k、kが任意に組合せた2つの気筒で対称である直列4気筒エンジン。
  10. 請求項1において、1次バランサはクランク軸と平行に配設され、バランスウェイトは2番気筒および3番気筒のクランクピンに対向する位置または1番気筒および4番気筒のクランクピンに対向する位置に配設されている直列4気筒エンジン。
  11. 請求項1に記載された乗物用4気筒エンジンを搭載したことを特徴とする乗物。
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