JPWO2005013645A1 - 有機発光素子とその製造方法、表示装置および照明装置 - Google Patents
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Abstract
Description
このような有機EL素子の典型的な製造方法は、ガラス等の基板上にスパッタ法等を適用してその表面が平滑な透明電極(陽極)を形成する工程、この透明電極上に有機発光物質を含む有機発光層を成膜する工程、マグネシウム、カルシウム等の金属電極(陰極)を有機発光層上に蒸着する工程を備えている。この製造方法において、高分子でない発光物質(低分子発光物質とも称する)を有機発光層の材料に用いる場合には、蒸着法を適用してこの有機発光層が蒸着成膜されている。他方、高分子の発光物質(高分子発光物質とも称する)を有機発光層の材料に用いる場合には、発光物質を含む溶液を塗布してこの有機発光層が成膜されている。
ところで、有機EL素子においては、従来、発光輝度や発光効率を向上させるために、有機発光物質自体の改良や、陽極と陰極との電極間に発光物質層以外の機能層を設ける等の構造的な改良が行われている。以下に、公知の積層構造例について説明する。高分子発光物質をその材料に用いた有機発光層としては、発光物質層と、発光物質層と陽極との間に設けられたホール輸送層とを有する2層構造の有機発光層が知られている。また、低分子発光物質をその材料に用いた有機発光層としては、発光物質層と、発光物質層と陽極との間に設けられたホール輸送層と、発光物質層と陰極との間に設けられた電子輸送層とを備えた3層構造の有機発光層が知られている。さらに、陽極と陰極との間に4層以上の機能層を設けた有機発光層を有する有機発光素子も開発されている。
しかし、有機EL素子を発光させるためには、原理的に、発光層にキャリア(電子および正孔)を注入(電流の注入)しなければならず、発光層を構成する有機化合物自体が分解したり、発光層と他の層との界面が化学的または物理的に劣化したりすることが起こりやすい。よって、無機物質を発光層に用いた発光ダイオード(LED)と比べて、有機EL素子を長寿命化させることは容易でない。また、発光輝度を上げるためには素子にかける駆動電圧を大きくする必要があるが、この駆動電圧を大きくすればするほど寿命が短くなってしまう。したがって、高い発光輝度が要求されるテレビや極めて高い発光輝度が要求される照明装置として、従来の有機発光物質および従来の構成による有機発光素子を用いることは実用上困難であった。
本明細書では、これらの一群の本発明を密接に関連した発明ごとに第1の発明群および第2の発明群として区分し、以下に、それぞれの区分(発明群)ごとにその内容を説明する。
(第1の発明群)
上記の課題を解決するために、本発明の第1の発明群に属する有機発光素子は、基板と、前記基板上に形成された、少なくとも前記基板と反対側の面が多次元蛇行面形状である第1の電極と、前記第1の電極の多次元蛇行面形状をした面に沿って形成された有機発光物質を含む層であって、前記第1の電極側の面と前記第1の電極と反対側の面の両面が多次元蛇行面形状である有機発光層と、前記有機発光層上に形成された第2の電極とを備えることを特徴とする。
この構成であると、多次元蛇行面形状を有する第1の電極の表面に沿うように有機発光層が形成されて、有機発光素子における単位面積あたりの実効発光面積が増加するため、有機発光素子の発光輝度を向上させることができる。また、従来の有機発光素子からの取り出し光の輝度を維持するための駆動電圧を低減させることもできるので、有機発光素子を長寿命化させることができる。
ここで、上記実効発光面積とは、有機発光層中の発光面の面積を意味する。また、多次元とは、2次元または3次元を意味する。さらに、2次元蛇行面形状とは、基板と垂直な切断面における断面形状が曲がりくねっており、かつ、断面形状の曲がりくねり方が、互いに平行な切断面で同じとなる形状を意味し、3次元蛇行面形状とは、基板と垂直な切断面における断面形状が曲がりくねっており、かつ、互いに平行な切断面で、断面形状の曲がりくねり方が異なる形状を意味する。この断面形状の曲がりくねり方は、曲線状であるだけでなく、折れ線状であってもよい。さらに、この曲がりくねり方には、不規則ないし無秩序な形状、あるいは例えばクランク形状等の規則的な幾何学形状なども含まれる。
本発明の第1の発明群に属する有機発光素子は、さらに、前記有機発光層の層厚が略均一である構成とすることができる。この構成であると、実行発光面積を増加させつつ、有機発光層にかかる電位差を略均一とすることができるため、有機発行層の局所的な劣化を防止することができる。したがって、有機発光素子の発光輝度が極めて高く、または、その寿命が極めて長くなる。
本発明の第1の発明群に属する有機発光素子は、さらに、前記第1の電極の基板と反対側の多次元蛇行面は、前記基板に垂直な方向における断面形状に湾入形状を含む形状であり、前記有機発光層は、前記湾入形状に沿って略均一に形成されている構成とすることができる。この構成であると、第1の電極の表面に複雑に形成されている湾入形状に沿って有機発光層が略均一に形成されているため、有機発光素子における単位面積あたりの実効発光面積を極めて大きくしつつ、有機発光層にかかる電位差を略均一とすることができる。したがって、有機発光素子の発光輝度が極めて一層高く、または、その寿命が極めて一層長くなる。
ここで、基板に垂直な方向における多次元蛇行面の断面形状に含まれる湾入形状とは、基板と垂直な切断面における断面形状が、基板と垂直な方向以外の方向に曲がりくねっている形状を意味する。この曲がりくねっている形状は、曲線状であるだけでなく、折れ線状であってもよい。以下では、説明を簡単にするために、このような基板と垂直な方向以外の方向に連なる部分を有する開孔を湾入孔と呼ぶ。なお、この湾入孔は、その底が閉じている陥没穴や、底が抜けて連通している貫通穴などを含むものである。
本発明の第1の発明群に属する有機発光素子は、さらに、前記第2の電極の前記有機発光層側の面が多次元蛇行面形状である構成とすることができる。この構成であると、有機発光層の表面形状に応じた第2の電極を形成できるので、第1の電極および第2の電極の表面形状に依存する電界集中を防止できる。したがって、有機発光素子の実効発光部における発光輝度が大きくなり、かつ発光輝度が発光部位に依存しなくなる。
本発明の第1の発明群に属する有機発光素子は、さらに、前記有機発光素子を、前記基板上の任意の点を交点として互いに60度の角度で交叉する前記基板に垂直な3つの平面で切断したとき、6つの切断面におけるそれぞれの有機発光層の蛇行形状線の実長と、その蛇行形状線を前記基板と垂直な方向から前記基板に平行する平面に投影した投影長との間に以下の不等式(1)が成立する構成とすることができる。
ここで、上記不等式(1)の左辺は2倍以上であり、3倍以上であることが好ましく、5倍以上であることがより好ましく、10倍以上であることがさらに好ましく、20倍以上であることが特に好ましい。この構成であると、有機発光素子における単位面積あたりの実効発光面積が、平滑な基板や粗面化された基板を単純に用いた場合よりも確実かつ顕著に大きくなる。したがって、有機発光素子の発光輝度が極めて高く、または、その寿命が極めて長くなる。
また、本発明の第1の発明群に属する有機発光素子の製造方法は、基板上に、前記基板と反対側の面が多次元蛇行面形状である第1の電極を形成する第1電極形成工程と、前記第1の電極の多次元蛇行面形状をした面に沿って有機発光物質を略均一に堆積させ、前記第1の電極側の面と前記第1の電極と反対側の面の両面が多次元蛇行面形状である有機発光層を形成する有機発光層形成工程と、前記有機発光層上に第2の電極を形成する第2電極形成工程とを備えることを特徴とする。
前記有機発光層形成工程では、前記基板と反対側の面が多次元蛇行面形状である第1の電極上に、有機発光物質を略均一に堆積させることにより、複雑に湾曲した均一な有機発光層が形成される。すなわち、この構成であると、実行発光面積を増加させつつ、有機発光層にかかる電位差を略均一とすることができる。これにより、その発光輝度が極めて高く、または、その寿命が極めて長い有機発光素子を製造できる。ここで、この有機発光層形成工程では、層厚が略均一である有機発光層を形成するために電着法や吸着法等を適用することができる。
(第2の発明群)
また、本発明の第2の発明群に属する表示装置は、基板と、前記基板に形成された電子回路と、前記電子回路を介して発光が制御される少なくとも1つの有機発光素子とを備えた表示装置であって、前記有機発光素子は、基板と、前記基板上に形成された、少なくとも前記基板と反対側の面が多次元蛇行面形状である第1の電極と、前記第1の電極の多次元蛇行面形状をした面に沿って形成された、前記第1の電極側の面と前記第1の電極と反対側の面の両面が多次元蛇行面形状である、有機発光物質を含む有機発光層と、前記有機発光層上に形成された第2の電極とを備えることを特徴とする。
この構成であると、低電圧で発光を制御でき、かつ耐久性に優れる有機発光素子を画素とし、この画素を独立的に発光制御できるので、低電圧駆動で高耐久性のEL型表示装置を実現することができる。
また、本発明の第2の発明群に属する照明装置は、基板と、前記基板に形成された電圧印加配線と、前記電圧印加配線と電気接続された少なくとも1つの有機発光素子とを備えた照明装置であって、前記有機発光素子は、基板と、前記基板上に形成された、少なくとも前記基板と反対側の面が多次元蛇行面形状である第1の電極と、前記第1の電極の多次元蛇行面形状をした面に沿って形成された、前記第1の電極側の面と前記第1の電極と反対側の面の両面が多次元蛇行面形状である、有機発光物質を含む有機発光層と、前記有機発光層上に形成された第2の電極とを備えることを特徴とする。
この構成によれば、発光輝度および耐久性に優れる有機発光素子を備えることにより、耐久性の高い高輝度EL型照明装置が実現する。
図2は、本発明の別例に係る有機発光素子を模式的に示す断面図である。
図3は、本発明の別例に係る有機発光素子を模式的に示す断面図である。
図4は、本発明の別例に係る有機発光素子を模式的に示す断面図である。
図5は、本発明の別例に係る有機発光素子を模式的に示す断面図である。
図6は、本発明の別例に係る有機発光素子を模式的に示す断面図である。
図7は、電着方法を模式的に示す図である。
図8は、有機発光層の投影長を示す図である。
図9は、有機発光層の実長を示す図である。
図10は、本発明の有機発光素子を用いた表示装置の一例を示す模式図である。
図11は、本発明の有機発光素子を用いた照明装置の一例を示す模式図である。
以下に、本発明の第1の発明群にかかる内容を説明すると共に、好ましい実施の形態を記述する。
本発明の第1の発明群にかかる実施の形態である有機発光素子およびその製造方法について、図1を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る有機発光素子1の断面図である。
<第1の電極の形成>
多次元蛇行面形状を有する第1の電極を、以下(A)〜(D)に示すいずれかの方法によって形成した。なお、以下に示す例は、第1の電極の形成方法を限定するものではないことは勿論である。
(A)高圧高周波溶解装置および改良型チョクラルスキー法を用い、不活性ガス雰囲気下において金属を溶解、凝固させて、金属塊の表面を多次元蛇行面形状(後述する)に加工した。以下にこの方法を説明する。窒素などの不活性ガス雰囲気下(圧力:101324.72Pa)において、例えばリチウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属、ユウロピウム等の希土類金属等からなる金属単体、もしくは、これらの金属とアルミニウム、銀、インジウム等との合金等の、仕事関数の小さい金属、またはそれらを含む合金等を、装置内のるつぼの中に溶融させた。その後、使用する不活性ガスと金属との共晶点にまで加熱して、不活性ガスを金属中に溶け込ませた。ここでさらに、装置内の圧力を上げ、装置内のるつぼから0.1mm/sec〜1mm/sec程度の速度で数十〜数百マイクロメートルの厚みの金属を引き上げ、自然放冷により徐冷して金属を固定化した。このとき、不活性ガスが金属内部から吹き出して金属の表面に吹き出し痕を形成するため、金属の表面が多次元蛇行面形状に加工される。
(B)消失性繊維を混抄させた金属塊からこの消失性繊維を消失させて、表面を多次元蛇行面形状に加工した。以下にこの方法を説明する。消失性繊維として、例えばパルプ、天然繊維、合成繊維等の高温の加熱で消失する繊維を、ポリアクリルアミド等の高分子定着剤とともに、上述した仕事関数の小さい金属の粉体等に抄き込み、厚さ数十〜数百マイクロメートルの混抄体を作成した。その後、この混抄体を加熱して、消失性繊維を消失させるとともに、金属粉同士を焼結させた。これにより金属塊に繊維が消失した痕が形成されるため、金属の表面が多次元蛇行面形状に加工される。
(C)金属塊表面をエッチングして表面を多次元蛇行面形状に加工した。以下にこの方法を説明する。基板上に、例えば真空蒸着法、スパッタ法、CVD(Chemical Vapor Deposion)法などの方法により、上述したカルシウム金属などの仕事関数が小さな金属等からなる導電膜(膜厚:数十〜数百マイクロメートル)を形成した。その後、微小な貫通孔や光の透過率が連続的あるいは段階的に異なる遮蔽部を多数有するレジスト膜をマスクとして、この導電膜の表面をドライエッチングし、この表面を2次元蛇行面形状や3次元蛇行面形状に加工した。これにより、多次元蛇行面形状を有する第1の電極を形成した。
ここで、このようにして導電膜の表面をエッチングすると、図3または図4に示すように、第1の電極3には、基板に対して略垂直方向に陥没した蛇行形状の表面が形成される。このとき、有機発光素子の有効発光面積を顕著に向上させる目的からは、この陥没部の深さを、その陥没部における最大開口幅よりも長くすることが好ましい。例えば、陥没部の開口端が正方形または円形であれば、この正方形の一辺の長さまたはこの円の直径よりも深さ方向の長さが長い開孔を形成することが好ましい。具体的には、数十〜数百マイクロメートルの膜厚の導電膜に、一辺が数百〜数千ナノメートルの正方形または直径が数百〜数千ナノメートルの円形の開口端を有する開孔が形成されていることが好ましい。
また、図5および図6に示すように、この第1の電極3は、基板と反対側の面だけでなく、基板と同側の面を多次元蛇行面形状とできるのは勿論である。この場合には、ドライエッチングなどによりあらかじめ基板面を多次元蛇行面形状としておき、その面上に第1の電極を堆積させる。また、その後、レジスト膜を用いたドライエッチングにより、上述したようにして、第1の電極表面の形状をさらに加工することもできる。
(D)金属微粉末の加圧成型法により多次元蛇行面形状を有する第1の電極を形成した。以下にこの方法を説明する。真空中において、体積平均粒径が約5μmであるカルシウム粉体(導電性粉体)を基板2上に堆積させた。堆積させたカルシウム粉体をプレス加工により集積させて、多次元蛇行面形状を有するカルシウム製の電極3(第1の電極)を形成する。このとき、プレス加工での圧力を約9.8×102kPa(10kgf/cm2)と設定することにより、その密度が0.1g/cm2〜0.8g/cm2となるようにして第1の電極を形成させた。
〔第1の電極における多次元蛇行面形状の確認〕
上記方法等により形成した第1の電極3における基板と反対側の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)により観測し、その表面が以下で定義される2次元または3次元蛇行面形状であることを確認した。また、その表面が、以下で定義される湾入形状を示す蛇行形状を含んでいることも確認した。なお、上述したように、この第1の電極は、その表面が2次元または3次元蛇行面形状である電極であることが重要であり、このような形状が実現できるのであれば上記4つの方法で作成されたものに限られないことは勿論である。例えば、第1の電極の主構成材料である導電性金属膜の上に、酸化特性の異なる他の金属をスパッタリング法等で分散堆積させた後、陽極酸化する方法によっても多次元蛇行面を形成することができる。また、上記導電性金属膜の上に酸化保護膜をアイランド状に散在させた後、陽極酸化し、この後に酸化保護膜を適当な溶媒で洗浄除去する方法などによっても形成することができる。
ここで、上述したように、2次元蛇行面形状であるとは、基板と垂直な切断面における断面形状が曲がりくねっており、かつ、断面形状の曲がりくねり方が、互いに平行な切断面で同じとなる形状を意味する。また、3次元蛇行面形状であるとは、基板と垂直な切断面における断面形状が曲がりくねっており、かつ、互いに平行な切断面で、断面形状の曲がりくねり方が異なる形状を意味する。また、蛇行面が湾入形状であるとは、基板と垂直な切断面における断面形状が、基板と垂直な方向以外の方向に曲がりくねっている形状を意味する。これらの断面形状の曲がりくねり方は、曲線状であるだけでなく、折れ線状であってもよい。さらに、この曲がりくねり方には、図1で示すような不規則ないし無秩序な形状や、例えば図3で示すようなクランク形状等の規則的な幾何学形状などが含まれる。
ところで、第1の電極の多次元蛇行面形状をした表面には、後述するように、約100nmの有機発光層を均一に形成させることが重要である。このとき、実効発光面積の向上に寄与するためには、第1の電極における湾入孔は、有機発光層の層厚の少なくとも2倍を超える口径を有している必要がある。また、後述するような、第2の電極を有機発光層に沿って均一な厚みで形成させる場合には、有機発光層の厚みにさらに第2の電極の厚みを少なくとも加えた厚みを超えて湾入孔の口径を広くしておく必要があることは勿論である。このため、第1の電極の材料として用いる導電性粉体の体積平均粒径やプレス加工時のプレス圧力等の成型条件は、使用する有機発光物質、有機発光層または第2の電極の設定厚さ等に応じて最適化させる必要がある。
<有機発光層の形成>
高分子発光物質であるポリフェニルビニレン誘導体のうち下記化学式(1)で示される化合物ポリ(1,4−(2−(5−カルボキシペンチル)−フェニレン)ビニレン(以下、CP−PPVと略す。)を有機発光物質として用いた。
上記化学式(1)で示されるように、このCP−PPVは側鎖の官能基としてカルボキシル基を有する構造となっている。なお、上記化学式(1)中のnは2以上の自然数である。また、これは黄緑色系の蛍光色を有する物質である。
このCP−PPVの濃度が0.02Mであるアセトニトリルの溶液8を調製し、第1の電極3が形成された基板2を図7に示すように浸漬した。その後、基板2と約5mmの間隔で平行に白金電極9を浸漬し、第1の電極3との間に約1.5Vの電圧を印加した。この電圧を15分間印加させたまま静置し、層厚が約100nmのCP−PPV層を電着により略均一に堆積させた。印加開始から15分後、第1の電極上にCP−PPVを電着させた基板を取り出し、7999Pa(60mmHg)、90℃の減圧条件下で1時間乾燥させ、第1の電極3を略均一に覆う有機発光層4を得た。このようにして多次元蛇行面形状を有する第1の電極を略均一に覆うように有機発光層が形成されるため、この有機発光層の第1の電極と同側の面および反対側の面の両面は多次元蛇行面形状となる。なお、溶液中におけるCP−PPVの濃度、印加電圧および電圧印加時間は、上記条件に限るものではなく、所望の膜厚に応じて調節できるのは勿論である。
ところで、この電着法による有機発光層の形成に用いることができる有機発光物質としては、上記CP−PPVのように溶液中でイオン化する材料以外にも、コロイドを形成する有機材料があげられる。例えば、高分子発光物質であるポリチオフェン誘導体のうち下記化学式(2)で示される化合物ポリ(3−ペンタデシルチオフェン)をトルエンに1g/リットルとなるように溶解させた後、このトルエン溶液に対してアセトニトリルを1:9の体積比(25℃、101324.72Paにおける)で混合させ、橙色のコロイドを形成させる。その後、このコロイド溶液を用い、図7に示す構成の電着によって、第1の電極表面に有機発光層を形成することができる。
なお、上記化学式(2)中のnは2以上の自然数である。
ここで、上記の効果は構造的な変化、すなわち実効発光面積の増大によるものであるため、他の有機発光物質を用いても同等の効果が得られることは勿論である。例えば、上記ポリフェニルビニレンやポリチオフェン以外の有機発光物質であっても、溶媒中でカチオンもしくはアニオンとして存在しうる発光物質であれば、高分子またはオリゴマー程度の分子量でカチオンもしくはアニオン性の官能基を有する物質や、公知の導電性低分子発光物質を用いることができる。それゆえ、発光物質の蛍光色は上記CP−PPVが属する黄緑系に限定されないことは勿論である。なお、使用する有機発光物質に応じて、所望の層厚を有する有機発光層を形成させるためには、溶媒の選択や有機発光物質および溶媒の混合比や印加電圧および印加時間等を最適化する必要があることは勿論である。
また、高分子発光物質を含む混合溶液を調製するための溶媒としては、上記アセトニトリル以外にも、アミン系などの極性溶媒を用いることができる。
<第2の電極の形成>
多次元蛇行面形状を有する有機発光層4の表面に、有機発光層の形成方法と同様に図7に示す電着法を用いて、有機発光層4の上に正孔輸送層としての導電性高分子膜5を堆積させた。このとき、電着させる導電性高分子物質として、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸(以下、これをPEDOT/PSSと略す。)を水に分散させた溶液(Bayer社製、商品名:Baytoron)を用いた。この溶液中では、導電性高分子であるPEDOT/PSSが、水中でサブミクロンの大きさの粒子として分散されたコロイドとなって帯電している。このような帯電したコロイド状のPEDOT/PSSを用いると、例えば第1の電極3と白金電極9との間に約50ボルトの直流電圧を5分間印加することにより、膜厚が約100nmの導電性高分子膜5が有機発光層上に略均一に堆積する。
ここでさらに、導電性高分子膜5の上に、体積平均粒径が数10nmである酸化インジウム錫(ITO)の微粉末(例えば、住友金属鉱山株式会社製)をアセトニトリル中に分散した溶液を、図7の構成で第1の電極3と白金電極9との間に約50ボルトの直流電圧を10分間印加することにより、ITOの微粒子からなる膜厚が約200nmの透明な第2の電極を導電性高分子膜5上に略均一に堆積させた。
次に、この第2の電極を形成した基板を十分乾燥させ、さらに、乾燥した窒素雰囲気中で、シール樹脂7をスクリーン印刷で基板2上に印刷し、封止板10で密閉してセルを完成させた。また、第1の電極3と第2の電極6からは銀ペーストを用いてシール外への取り出し電極を設けた。なお、セル内に空間がある場合には、密閉時に不活性ガス(窒素)を充填した。
<本実施の形態にかかる有機発光素子の発光特性>
以上の工程を経ることにより、図1に示す有機発光素子を作製した。ここで、作製した有機発光素子の発光特性を調べるため、この有機発光素子と従来の構成の有機発光素子とに約10ボルトの直流電圧を印加した。この従来の構成の有機発光素子は、第1の電極、PPVからなる有機発光層および第2の電極が全て平坦な層であること以外は本実施の形態と同様である。このとき、従来の構成の有機発光素子ではその最高発光輝度が約1000cd/m2であったのに対して、本実施の形態ではその最高発光輝度が約50000cd/m2であり、約50倍もの最高発光輝度が得られた。これは、多次元蛇行面形状を有し、かつ、その層厚が略均一である有機発光層を形成したことにより、有機発光素子の実効発光面積が約50倍に増大したものと考えられる。
また、従来の構成の有機発光素子と本実施の形態とを1000cd/m2の初期輝度で連続発光させると、従来の構成の有機発光素子は約1000時間の輝度半減期を示したが、本実施の形態の輝度半減期は約10000時間であった。すなわち、本発明の有機発光素子は従来の構成の素子と比べて約10倍も長寿命となることが判った。
〔有機発光層における有効発光面積の増大〕
上記工程により作製された有機発光素子を、フォーカスドイオンビーム(FIB)法により、基板上の中心点を交点として互いに60度の角度で交叉する前記基板に垂直な3つの平面で切断し、6つの切片を作成した。作成した6つの切片から、前記3つの平面に対応する6つの切断面を、それぞれ走査型電子顕微鏡(SEM)により観測した。これにより、略均一な層厚を有する有機発光層が形成されていることが確認された。なお、ここにおける「平面に対応した切断面」とは、1つの切断平面によって現れる、鏡像関係にある2つの切断面のうちどちらか1つの切断面を意味するものである。
ここで、図8および図9の概念図に示すように、それぞれの平面に対応した切断面における有機発光層の蛇行形状線の実長と投影長とを算出した。蛇行形状線の実長としては、図9に示すように、有機発光層4と第1の電極3との境界線と、有機発光層4と導電性高分子膜5(第2の電極が有機発光層上に直接設けられている場合には第2の電極)との境界線とによって設定される中線(図8および図9における破線)の線長を算出した。また、有機発光層の蛇行形状線の投影長としては、図8に示すように、その蛇行形状線を前記基板と垂直な方向から前記基板に平行する平面に投影した投影長を算出した。
この算出結果が、以下の不等式(1)をみたすことを確認した。
これは、本発明者らの経験によると、平滑な基板や粗面化された基板を用いた場合よりも確実に大きい値である。また、上述した発光特性に優れた素子ほどその値が大きく、優れた発光特性を得るためには、この比の平均値が3倍以上であることが好ましく、5倍以上であることがより好ましく、10倍以上であることがさらに好ましく、20倍以上であることが特に好ましい。本実施の形態では、上記従来例と比べて、実効発光面積が30倍以上増加していた。
(第2の発明群における実施の形態)
以下に、本発明の第2の発明群にかかる有機発光素子を基板上に1つまたは複数形成した装置の内容を説明すると共に、好ましい実施の形態を記述する。
<表示装置>
図10は、上記有機発光素子を用いた表示装置の一例を示す模式図である。この例にかかる表示装置は、画像信号を発生する画像信号出力部10と、基板に形成された、前記画像信号出力部からの画像信号を発生する走査電極駆動回路11と信号駆動回路12とを有する電子回路13と、100×100のマトリクス状に配列され、前記電子回路13により発光が制御される有機発光素子14を有する発光部15とを備えている。この発光部15は、上記第1の発明群にかかる有機発光素子で構成されている。この構成の表示装置は、従来の構成の有機発光素子を備えた表示装置と比べて、高い明度で長期間安定して画像を表示できることが確認された。
<照明装置>
図11は、上記有機発光素子を用いた照明装置の一例を示す模式図である。この例にかかる照明装置は、電流を制御する駆動部20と、基板に形成された電圧印加配線23と電気的に接続され、前記駆動部より出力される電流に基づいて発光する有機発光素子群を有する発光部21とを備えている。ここで、この発光部21はフィルム基板上に上記第1の発明群にかかる有機発光素子群を形成したものであり、この例では、図11に示すように、液晶表示パネル22のバックライトとして用いられている。この例により、本発明の照明装置が、従来の構成の有機発光素子を備えた照明装置に比べて、輝度の高い発光を長期間安定して得られることが確認された。
<その他の事項>
(a)本発明であると、有機物からなる発光層の実効発光面積を著しく増加させることにより、発光層の単位面積あたりの注入電流量を小さくしても、有機発光素子の単位面積あたりの総発光量が著しく増加する。このように発光層の実効発光面積を増加させるためには、有機発光層は、第1の電極に沿って形成されている必要がある。ここで、ホール輸送層である導電性高分子膜や第2の電極は、図1に示すように、有機発光層に沿って均一に形成されている方がそれぞれの層構造に対して電界を均一に印加できるため好ましい。しかしながら、これらの膜は抵抗値が低いため、例えば図2、図4、図6に示すように、厚さが不均一な導電性高分子膜で第1の電極を覆い、その上に平坦な面を有する第2の電極を設けた有機発光素子としても、実効発光面積の増加が得られるため、素子の発光効率を顕著に向上できることを確認している。
(b)第1の電極に有機発光層を形成させる方法としては、上記電着法に限らず、電極上に均一に有機物を堆積できる方法であれば用いることができる。例えば、比較的高い圧力で行う熱CVD(化学気相成長)法などの、対象物に対する有機物の回り込みが良く、湾入孔などの入り組んだ構造の表面にも膜を均一に形成できる方法が好ましい。このような熱CVD法以外にも、例えば、使用する有機物質の沸点以上の温度に真空容器を加熱し、加熱によって昇華した有機物質を容器内に充満させ、この容器内に配置された基板の温度のみを有機物質の沸点以下に調熱する方法であると、基板上に形成された第1の電極表面の湾入孔にまで有機物を均一に付着させることができる。すなわち、本発明にかかる多次元蛇行面形状を有する対象物への成膜方法としては、従来の有機ELの作製で用いられている真空蒸着のような、対象物に分子を直線的に飛ばす方法よりも、拡散した有機分子を対象物に吸着させるような、分子の回り込みに優れた方法のほうが好ましいと考えられる。
(c)本実施の形態においては、カルシウム粉体を用いて第1の電極を形成したが、第1の電極を構成する物質として、導電性粉体であればどのような物質を用いてもよい。ただし、電子注入性を向上するためには、カルシウムまたはマグネシウムなどのアルカリ土類金属が好ましい。
(d)本実施の形態においては、第1の電極を形成した基板と反対側から発光を取り出す構成としたが、第1の電極を形成する基板として光透過性を有する基板を用い、かつ第2の電極として光透過性を有する電極を形成すれば、第1の電極を形成した基板側から光を取り出す構成とすることもできる。この場合、有機発光素子を封止する封止用基板は、透明である必要はない。また、封止用基板の代わりにアルミニウム製等の封止用缶を用いて防湿構造を実現することもできる。
具体的には、第1の電極としてITOからなる電極を用い、かつ第2の電極としてカルシウム電極等を用いた構成とすることで、第1の電極の形成されている光透過性の基板側から光を取り出す有機発光素子を形成できる。
なお、例えば、インジウムや錫の水酸化物を焼結するゾルゲル法を適用すれば、多次元蛇行面形状を有するITOからなる透明な電極を形成することができる。
(e)上記実施の形態では、有機発光層と第2の電極との間に導電性高分子膜を設けたが、この導電性高分子膜を形成せずに有機発光層の上(基板と反対側の面上)に直接第2の電極を設けることもできる。
(f)上記実施の形態では、第1の電極の上に直接有機発光層を設けたが、電子輸送層または正孔輸送層として、第1の電極と有機発光層との間に導電性高分子膜を設けることができるのは勿論である。
上記の課題を解決するために、本発明の第1の発明群に属する有機発光素子は、基板と、前記基板上に形成された、少なくとも前記基板と反対側の面が多次元蛇行面形状である第1の電極と、前記第1の電極の多次元蛇行面形状をした面に沿って形成された有機発光物質を含む層であって、前記第1の電極側の面と前記第1の電極と反対側の面の両面が多次元蛇行面形状である有機発光層と、前記有機発光層上に形成された第2の電極とを備えることを特徴とする。
また、本発明の第2の発明群に属する表示装置は、基板と、前記基板に形成された電子回路と、前記電子回路を介して発光が制御される少なくとも1つの有機発光素子とを備えた表示装置であって、前記有機発光素子は、基板と、前記基板上に形成された、少なくとも前記基板と反対側の面が多次元蛇行面形状である第1の電極と、前記第1の電極の多次元蛇行面形状をした面に沿って形成された、前記第1の電極側の面と前記第1の電極と反対側の面の両面が多次元蛇行面形状である、有機発光物質を含む有機発光層と、前記有機発光層上に形成された第2の電極とを備えることを特徴とする。
以下に、本発明の第1の発明群にかかる内容を説明すると共に、好ましい実施の形態を記述する。
多次元蛇行面形状を有する第1の電極を、以下(A)〜(D)に示すいずれかの方法によって形成した。なお、以下に示す例は、第1の電極の形成方法を限定するものではないことは勿論である。
上記方法等により形成した第1の電極3における基板と反対側の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)により観測し、その表面が以下で定義される2次元または3次元蛇行面形状であることを確認した。また、その表面が、以下で定義される湾入形状を示す蛇行形状を含んでいることも確認した。なお、上述したように、この第1の電極は、その表面が2次元または3次元蛇行面形状である電極であることが重要であり、このような形状が実現できるのであれば上記4つの方法で作成されたものに限られないことは勿論である。例えば、第1の電極の主構成材料である導電性金属膜の上に、酸化特性の異なる他の金属をスパッタリング法等で分散堆積させた後、陽極酸化する方法によっても多次元蛇行面を形成することができる。また、上記導電性金属膜の上に酸化保護膜をアイランド状に散在させた後、陽極酸化し、この後に酸化保護膜を適当な溶媒で洗浄除去する方法などによっても形成することができる。
高分子発光物質であるポリフェニルビニレン誘導体のうち下記化学式(1)で示される化合物ポリ(1,4−(2−(5−カルボキシペンチル)−フェニレン)ビニレン(以下、CP−PPVと略す。)を有機発光物質として用いた。
多次元蛇行面形状を有する有機発光層4の表面に、有機発光層の形成方法と同様に図7に示す電着法を用いて、有機発光層4の上に正孔輸送層としての導電性高分子膜5を堆積させた。このとき、電着させる導電性高分子物質として、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸(以下、これをPEDOT/PSSと略す。)を水に分散させた溶液(Bayer社製、商品名:Baytoron)を用いた。この溶液中では、導電性高分子であるPEDOT/PSSが、水中でサブミクロンの大きさの粒子として分散されたコロイドとなって帯電している。このような帯電したコロイド状のPEDOT/PSSを用いると、例えば第1の電極3と白金電極9との間に約50ボルトの直流電圧を5分間印加することにより、膜厚が約100nmの導電性高分子膜5が有機発光層上に略均一に堆積する。
以上の工程を経ることにより、図1に示す有機発光素子を作製した。ここで、作製した有機発光素子の発光特性を調べるため、この有機発光素子と従来の構成の有機発光素子とに約10ボルトの直流電圧を印加した。この従来の構成の有機発光素子は、第1の電極、PPVからなる有機発光層および第2の電極が全て平坦な層であること以外は本実施の形態と同様である。このとき、従来の構成の有機発光素子ではその最高発光輝度が約1000cd/m2であったのに対して、本実施の形態ではその最高発光輝度が約50000cd/m2であり、約50倍もの最高発光輝度が得られた。これは、多次元蛇行面形状を有し、かつ、その層厚が略均一である有機発光層を形成したことにより、有機発光素子の実効発光面積が約50倍に増大したものと考えられる。
上記工程により作製された有機発光素子を、フォーカスドイオンビーム(FIB)法により、基板上の中心点を交点として互いに60度の角度で交叉する前記基板に垂直な3つの平面で切断し、6つの切片を作成した。作成した6つの切片から、前記3つの平面に対応する6つの切断面を、それぞれ走査型電子顕微鏡(SEM)により観測した。これにより、略均一な層厚を有する有機発光層が形成されていることが確認された。なお、ここにおける「平面に対応した切断面」とは、1つの切断平面によって現れる、鏡像関係にある2つの切断面のうちどちらか1つの切断面を意味するものである。
以下に、本発明の第2の発明群にかかる有機発光素子を基板上に1つまたは複数形成した装置の内容を説明すると共に、好ましい実施の形態を記述する。
図10は、上記有機発光素子を用いた表示装置の一例を示す模式図である。この例にかかる表示装置は、画像信号を発生する画像信号出力部10と、基板に形成された、前記画像信号出力部からの画像信号を発生する走査電極駆動回路11と信号駆動回路12とを有する電子回路13と、100×100のマトリクス状に配列され、前記電子回路13により発光が制御される有機発光素子14を有する発光部15とを備えている。この発光部15は、上記第1の発明群にかかる有機発光素子で構成されている。この構成の表示装置は、従来の構成の有機発光素子を備えた表示装置と比べて、高い明度で長期間安定して画像を表示できることが確認された。
図11は、上記有機発光素子を用いた照明装置の一例を示す模式図である。この例にかかる照明装置は、電流を制御する駆動部20と、基板に形成された電圧印加配線23と電気的に接続され、前記駆動部より出力される電流に基づいて発光する有機発光素子群を有する発光部21とを備えている。ここで、この発光部21はフィルム基板上に上記第1の発明群にかかる有機発光素子群を形成したものであり、この例では、図11に示すように、液晶表示パネル22のバックライトとして用いられている。この例により、本発明の照明装置が、従来の構成の有機発光素子を備えた照明装置に比べて、輝度の高い発光を長期間安定して得られることが確認された。
(a)本発明であると、有機物からなる発光層の実効発光面積を著しく増加させることにより、発光層の単位面積あたりの注入電流量を小さくしても、有機発光素子の単位面積あたりの総発光量が著しく増加する。このように発光層の実効発光面積を増加させるためには、有機発光層は、第1の電極に沿って形成されている必要がある。ここで、ホール輸送層である導電性高分子膜や第2の電極は、図1に示すように、有機発光層に沿って均一に形成されている方がそれぞれの層構造に対して電界を均一に印加できるため好ましい。しかしながら、これらの膜は抵抗値が低いため、例えば図2、図4、図6に示すように、厚さが不均一な導電性高分子膜で第1の電極を覆い、その上に平坦な面を有する第2の電極を設けた有機発光素子としても、実効発光面積の増加が得られるため、素子の発光効率を顕著に向上できることを確認している。
2 基板
3 第1の電極
4 有機発光層
5 導電性高分子膜
6 第2の電極
7 シール樹脂
8 溶液
9 白金電極
10 封止板
13 電子回路
14 有機発光素子
15,21 発光部
20 駆動部
22 液晶表示パネル
23 電圧印加配線
Claims (9)
- 基板と、
前記基板上に形成された、少なくとも前記基板と反対側の面が多次元蛇行面形状である第1の電極と、
前記第1の電極の多次元蛇行面形状をした面に沿って形成された有機発光物質を含む層であって、前記第1の電極側の面と前記第1の電極と反対側の面の両面が多次元蛇行面形状である有機発光層と、
前記有機発光層上に形成された第2の電極と
を備える有機発光素子。 - 請求項1に記載の有機発光素子において、
前記有機発光層の層厚が略均一である。 - 請求項1に記載の有機発光素子において、
前記第1の電極の基板と反対側の多次元蛇行面は、前記基板に垂直な方向における断面形状に湾入形状を含む形状であり、
前記有機発光層は、前記湾入形状に沿って略均一に形成されている、有機発光素子。 - 請求項1に記載の有機発光素子において、
前記第2の電極の前記有機発光層側の面が多次元蛇行面形状である。 - 基板上に、前記基板と反対側の面が多次元蛇行面形状である第1の電極を形成する第1電極形成工程と、
前記第1の電極の多次元蛇行面形状をした面に沿って有機発光物質を略均一に堆積させ、前記第1の電極側の面と前記第1の電極と反対側の面の両面が多次元蛇行面形状である有機発光層を形成する有機発光層形成工程と、
前記有機発光層上に第2の電極を形成する第2電極形成工程と
を備える有機発光素子の製造方法。 - 請求項6に記載の有機発光素子の製造方法において、
前記有機発光層形成工程は、電着法により、前記第1の電極の多次元蛇行面形状をした面に沿って有機発光物質を略均一に堆積させる。 - 基板と、前記基板に形成された電子回路と、前記電子回路を介して発光が制御される少なくとも1つの有機発光素子とを備えた表示装置であって、
前記有機発光素子は、
基板と、
前記基板上に形成された、少なくとも前記基板と反対側の面が多次元蛇行面形状である第1の電極と、
前記第1の電極の多次元蛇行面形状をした面に沿って形成された、前記第1の電極側の面と前記第1の電極と反対側の面の両面が多次元蛇行面形状である、有機発光物質を含む有機発光層と、
前記有機発光層上に形成された第2の電極と
を備える。 - 基板と、前記基板に形成された電圧印加配線と、前記電圧印加配線と電気接続された少なくとも1つの有機発光素子とを備えた照明装置であって、
前記有機発光素子は、
基板と、
前記基板上に形成された、少なくとも前記基板と反対側の面が多次元蛇行面形状である第1の電極と、
前記第1の電極の多次元蛇行面形状をした面に沿って形成された、前記第1の電極側の面と前記第1の電極と反対側の面の両面が多次元蛇行面形状である、有機発光物質を含む有機発光層と、
前記有機発光層上に形成された第2の電極と
を備える。
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