(詳細な説明)
本開示をさらに説明する前に、本開示は、説明される特定の実施形態に限定されず、そのようなものとして、当然ながら変動してもよいことを理解されたい。また、本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を説明する目的のためだけのものであり、限定的となることを目的としないことも理解されたい。特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
値域が提供される場合は、文脈が明確に規定しない限り、下限の単位の1/10までの値、その範囲の上限と下限の間の値、およびその範囲内の任意の他の提示値または介在値といった、各介在値が、本開示に包含されることを理解されたい。これらのより狭い範囲の上限および下限は、より狭い範囲に独立して含まれてもよく、また、提示範囲内の任意の特異的に除外された限定に従って、本開示内に包含される。提示範囲が、限定のうちの一方または両方を含む場合、これらの含まれる限定のいずれか一方または両方を除外する範囲もまた、本開示に含まれる。
本願の全体を通して、種々の公報、特許、および公開された特許出願が引用される。本願において参照されるこれらの公報、特許、および公開された特許出願の開示は、それらの全体が参考として本開示に援用される。公報、特許、または公開された特許出願の出願者による本明細書における引用は、これらの公報、特許、または公開された特許出願の出願者による、従来技術としての承認ではない。
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「1つの(a)」、「および(and)」および「その(the)」は、文脈が明確に規定しない限り、複数の指示対象を含むことに留意しなければならない。したがって、例えば、「層」への言及は、2つ以上の層を包含し、「ポリマー」は、異なるポリマー等の混合物などを含む。特許請求の範囲は、任意の随意的要素を除外するように起草されてもよいことにさらに留意されたい。そのようなものとして、本記述は、特許請求の要素の列挙に関連した、「単独で」、「唯一の」などの排他的な専門用語の使用、または「否定的な」限定の使用のための先行基準としての機能を果たすことを目的とする。
本開示を読むことによって、当業者にとって明白となるように、本明細書で説明および図示される、個々の実施形態の各々は、別個の構成要素および特徴を有し、これらは、本開示の範囲または精神から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のうちのいずれかの特徴から容易に分離されるか、または組み合わせられてもよい。列挙される事象の順序で、または論理的に可能な任意の他の順序で、任意の列挙された方法を実行することができる。
本明細書で使用される「アレイ」という用語は、キャビティ等の特徴の均一で規則正しい2次元パターンを指す。アレイは、必ずしもではないが、通常は、少なくとも約100、好ましくは少なくとも約1000のキャビティを備える。
「絶縁耐力」という用語は、電気的絶縁性材料が、電気的破壊、すなわち、機械的完全性の損失なしで、電界への暴露に耐える能力を指すために、本明細書で使用される。絶縁耐力は、電子的および熱的の2つの成分を有するものとして説明されることがある。電子的破壊は、電子の過度の解放によって引き起こされ、通常、低温での電気的破壊過程を決定付ける。一方、熱的破壊は、材料の不均質による、局所的加熱によって引き起こされ、高温での電気的破壊過程を決定付ける。一般的に、絶縁耐力は、センチメートル当たりのボルトに関して計算される。
「エレクトロルミネセント」という用語は、電位および/または電流の印加時に、好ましくは可視範囲で電磁放射線を放出する材料または素子を説明するために、本明細書で使用される。電子および正孔がエレクトロルミネセント材料に注入されると、電子および正孔の結合時に光が放出され、それにより、電気蛍光発光を生じる。
「エッチング液」という用語は、その通常の意味で使用され、固形物から材料を化学的に除去することができる物質を指す。「等方性エッチング液」は、「異方性エッチング液」が、例えば、固形物の結晶配向、または光補助エッチングのための光エネルギー粒子の方向に従って、特定の方向に優先的に固体表面から材料を除去するのに対して、方向不変様式で固体表面から材料を除去するエッチング液である。
「電気接触」という用語は、電流の流れ、すなわち、一方の物体から他方の物体への電子または正孔の移動を可能にする、2つの物体間の接続を指すために本明細書で使用され、これは、必ずしもではないが、通常は、2つの物体間の直接機械的接触を示唆する。
「発光調整剤」という用語は、エレクトロルミネセント材料の発光スペクトルを変化させる、化合物を指す。発光調整剤は、それ自体がエレクトロルミネセントまたはルミネセント材料であってもよい。
「随意的な」または「随意で」は、後述の事象または状況が発生してもしなくてもよいこと、および説明が、その事象または状況が発生する事例と、発生しない事例とを含むことを意味する。例えば、「随意的な基板」を備えるエレクトロルミネセント素子は、基板が存在してもしなくてもよいこと、および説明がいずれかの状態を含むことを意味する。
「基板」という用語は、その通常の意味で本明細書において使用され、その上に他の層が堆積させられる物体または基層を意味する。例えば、「基板」という用語は、エレクトロルミネセント素子またはエレクトロルミネセント素子を含む、より大きなシステムの製造に好適であると見なされる、任意の種類の基層を指す。具体的には、基板は、本開示の層状構造に、取り扱いに十分な機械的強度を提供するために使用される。したがって、この用語はまた、エレクトロルミネセント素子製造の過程中に受ける処理の種々の段階のうちのいずれかの間または後に、例えば、正孔注入層などの堆積中または後に、その上に材料が堆積させられた基板を指してもよい。
複数の層を備える基板の説明において、「上」層、「最上」層、または「下」層を指すことがある。一般に、「上」層は、下と表される層の後に堆積させられるものを指す。堆積が、地球の中心からより遠いという通常の意味で、「下」層より上側に位置する「上」層で必ず行われなければいけないことを、本専門用語によって示唆する意図はない。同様に、基板または基板の層の「上」または「上側」に堆積することを述べる時に、堆積させられた材料は、材料が以前に追加された基板の側面に追加されることのみを意味する。堆積が、地球の中心に向かって流れるという通常な意味で、下方に流れる材料で行われるという含意はない。同様に、層Aが層Bより「上側」にあると説明される場合に、層Aと層Bとの間に他の材料が存在しないという含意はない。
ここで、「透明」という用語は、状況において適切な光透過の量を許容すると解釈される。透明材料は、目前の用途に対して十分に透過性であれば、板ガラスほど透過性である必要はない。また、透明材料は、遮断が所望されるか、または特定の用途において問題ではない場合に、特定の周波数範囲のみを通過させ、他のものを遮断してもよい。ここで、「光」は、赤外線および紫外線ならびに可視光を包含することを理解されたい。
例えば、本開示に関連して有用である、アリール置換されたポリ(アリレンビニレン類)の分子構造の説明において、次の定義を適用する。
本明細書で使用されるような、「アルキル」という用語は、シクロペンチル、シクロヘキシル等のシクロアルキル基に加え、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、オクチル、2−エチルへキシル、デシル等の、必ずしもではないが、通常は1個から約24個の炭素原子を含有する、分岐または非分岐飽和炭化水素基を指す。概して、再度、必ずしもではないが、本明細書のアルキル基は、1個から約12個の炭素原子を含有する。「低級アルキル」という用語は、1個から6個の炭素原子、好ましくは1個から4個の炭素原子のアルキル基を意味する。「置換アルキル」は、1つ以上の置換基で置換されたアルキルを指し、「ヘテロ原子含有アルキル」および「ヘテロアルキル」という用語は、少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子と置き換えられたアルキルを指す。
本明細書で使用されるような、「アルコキシ」という用語は、単一の末端エーテル結合を通して結合されたアルキル基を意味し、つまり、「アルコキシ」基は、アルキルが上記のように定義される、−−O−アルキルとして表されてもよい。「低級アルコキシ」基は、1個から6個、より好ましくは1個から4個の炭素原子を含有する、アルコキシ基を意味する。
本明細書で使用されるような「アリール」という用語は、特に指定のない限り、単一芳香族環、または融合あるいは共有結合された複数の芳香族環を含有する、一価芳香族置換基を指す。好ましいアリール基類は、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニル、フルオレニル等といった、1つの芳香族環、または2つの縮合あるいは結合芳香族環を含有する。「置換アリール」は、1つ以上の置換基で置換されたアリール部分を指し、「ヘテロ原子含有アリール」および「ヘテロアリール」という用語は、少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子で置き換えられたアリールを指す。
本明細書で使用されるような「アリレン」という用語は、特に指定のない限り、単一芳香族環、または融合あるいは共有結合された複数の芳香族環を含有する、二価芳香族置換基を指す。好ましいアリレン基類は、1つの芳香族環、または2つの縮合あるいは結合芳香族環を含有する。「置換アリレン」は、1つ以上の置換基で置換されたアリレン部分を指し、「ヘテロ原子含有アリレン」、および「ヘテロアリレン」という用語は、少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子で置き換えられたアリレンを指す。
「アラルキル」という用語は、アリール置換基を伴うアルキル基を指し、「アラルキレン」という用語は、アリール置換基を伴うアルキレン基を指し、「アルカリル」という用語は、アルキル置換基を伴うアリール基を指し、「アルカリレン」という用語は、アルキル置換基を伴うアリレン基を指す。
「ハロ」および「ハロゲン」という用語は、クロロ、ブロモ、フルオロ、またはヨード置換基を指すように、従来の意味で使用される。「ハロアルキル」、「ハロアルケニル」、または「ハロアルキニル」(または「ハロ化アルキル」、「ハロ化アルケニル」、「ハロ化芳香族」、または「ハロ化アルキニル」)という用語は、それぞれ、基中の水素原子のうちの少なくとも1つがハロゲン原子で置き換えられた、アルキル、アルケニル、芳香族、またはアルキニル基を指す。
「ヘテロ原子含有」という用語は、1つ以上の炭素原子が、炭素以外の原子、例えば、窒素、酸素、硫黄、リン、またはシリコンで置き換えられた、分子または分子断片を指す。同様に、「ヘテロアルキル」という用語は、ヘテロ原子含有アルキル置換基を指し、「複素環式」という用語は、ヘテロ原子含有環状置換基を指し、「ヘテロアリール」という用語は、ヘテロ原子含有アリール置換基を指し、その他同様となる。
「ヒドロカルビル」は、アルキル基類、アルケニル基類、アリール基類等の、分岐または非分岐、飽和または不飽和種を含む、1個から約30個の炭素原子、好ましくは1個から約24個の炭素原子、最も好ましくは1個から約12個の炭素原子を含有する、一価ヒドロカルビルラジカルを指す。「低級ヒドロカルビル」という用語は、1個から6個の炭素原子、好ましくは1個から4個の炭素原子のヒドロカルビル基を意味する。「ヒドロカルビレン」という用語は、分岐または非分岐、飽和または不飽和種などを含む、1個から約30個の炭素原子、好ましくは1個から約24個の炭素原子、最も好ましくは1個から約12個の炭素原子を含有する、二価ヒドロカルビル部分を意味する。「低級ヒドロカルビレン」という用語は、1個から6個の炭素原子、好ましくは1個から4個の炭素原子のヒドロカルビレン基を意味する。「置換ヒドロカルビル」は、1つ以上の置換基で置換されたヒドロカルビルを指し、「ヘテロ原子含有ヒドロカルビル」および「ヘテロヒドロカルビル」という用語は、少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子で置き換えられた、ヒドロカルビルを指す。同様に、「置換ヒドロカルビレン」は、1つ以上の置換基で置換されたヒドロカルビレンを指し、「ヘテロ原子含有ヒドロカルビレン」および「ヘテロヒドロカルビレン」という用語は、少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子で置き換えられた、ヒドロカルビレンを指す。
「ルイス酸」は、非共有であるか、またはπ軌道にあるかのいずれかである、有効電子対を伴う化合物を指す「ルイス塩基」と対比して、空軌道を伴う任意の種を指す。
前述の定義のうちのいくつかにそれとなく述べたように、「置換ヒドロカルビル」、「置換ヒドロカルビレン」、「置換アルキル」、「置換アルケニル」などのような「置換」によって、ヒドロカルビル、ヒドロカルビレン、アルキル、アルケニル、または他の部分において、炭素原子に結合された少なくとも1つの水素原子が、ヒドロキシル、アルコキシ、チオ、アミノ、ハロ、シリル等の官能基である、1つ以上の置換基で置き換えられることが意味される。可能な置換基のリストの前に「置換」という用語が現れる時、その用語は、その群のすべての要素に適用されることが意図される。つまり、「置換アルキル、アルケニル、およびアルキニル」という語句は、「置換アルキル、置換アルケニル、および置換アルキニル」と解釈される。同様に、「随意置換アルキル、アルケニル、およびアルキニル」は、「随意置換アルキル、随意置換アルケニル、および随意置換アルキニル」と解釈される。
塩基性有機化学物質の用語の他の定義は、これらの定義を採用する目的で、本明細書に参考として援用される、米国特許第6,593,687号および第7,098,297号で見出されてもよい。
当業者に公知である製造過程に関する関連情報は、例えば、Sami Franssila、Introduction to Microfabrication(John Wiley & Sons、2004)で見出すことができる。また、Sorab K. Ghandhi、VLSI Fabrication Principles(John Wiley & Sons、2d ed. 1994)も、参照してもよい。
本開示の局面は、エレクトロルミネセント素子および同物を作製するための方法を含む。ある実施形態では、素子は、基板と、正孔注入電極層と、エレクトロルミネセント層と、電子注入電極層とを含む。ある実施形態では、素子はさらに、陽極および陰極層を含む。ある実施形態では、素子は、キャビティおよび/または誘電体層を含んでもよい。ある実施形態では、エレクトロルミネセント素子は、空気中で安定し、低仕事関数の材料を含む層等の、効率的な電子注入電極層を含有し、その層は、漏電電流が低減した効率的な電子注入を達成することが可能である。
例えば、ある実施形態では、素子は、ポリマーと、金属ジケトナートとを含む、組成物を含む、効率的な電子注入層を含有してもよい。ある実施形態では、少なくとも1つの極性成分を含有する、好適なポリマーは、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリメチレングリコール、ポリメチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレングリコールなどのうちの1つ以上であってもよい。ある実施形態では、好適な金属ジケトナートは、リチウムアセチルアセトナート、バリウムアセチルアセトナート、ベリリウムアセチルアセトナート、カルシウムアセチルアセトナート、マグネシウムアセチルアセトナート、ナトリウムアセチルアセトナート、カリウムアセチルアセトナート、セシウムアセチルアセトナート、ストロンチウムアセチルアセトナート、ホウ素アセチルアセトナート、アルミニウムアセチルアセトナート、ガリウムアセチルアセトナート、インジウムアセチルアセトナート、銀アセチルアセトナート、およびそれらの合金等の、金属アセチルアセトナートであってもよい。
例えば、ある実施形態では、素子は、ポリエチレングリコールジメチルエーテルと、バリウムまたはカルシウムアセチルアセトネートとを含む、電子注入層を含有してもよい。例えば、電子注入層の堆積のための溶解ステップを採用する、そのような素子を製造する方法、ならびにエレクトロルミネセントディスプレイでの生産された素子の使用も、本明細書で提供する。
最初に、本エレクトロルミネセント素子を説明し、その後に、そのような素子を製造するための方法、ならびにエレクトロルミネセント(例えば、フラットパネル)ディスプレイの生産でのそれらの代表的な使用の説明が続く。
(エレクトロルミネセント素子)
上記に要約されるように、本開示の局面は、エレクトロルミネセント素子である。ある実施形態では、エレクトロルミネセント素子は、基板を含む。「基板」という用語は、その通常の意味で本明細書において使用され、その上に他の層が堆積されてもよい、物体または基層を意味する。その上に本開示の層状構造を提供することができる、基部として使用されるのに十分な機械的強度である限り、任意の好適な基板が採用されてもよい。
したがって、基板は、エレクトロルミネセント素子が採用される所望の用途に応じて、当技術分野で周知である、多数の材料のうちのいずれかで構成されてもよい。例えば、ある実施形態では、エレクトロルミネセント材料内での正孔および電子の結合によって生成される放射線は、基板を通って放出され、透過させられる電磁放射線(例えば、光)の生成を生じる。したがって、ある実施形態では、基板は、放出された放射線に対して透明または半透明であり得る。
種々のシリコン、セラミック、およびポリマー材料は、放出された可視線を透過させるために十分な光透過性を有する。したがって、本開示と共に使用するための好適な基板は、シリコン、セラミック、プラスチック、および/またはポリマー材料を含む、透明または半透明基材であってもよい。
好適な基板材料は、結晶質または非結晶質であってもよい。好適なシリコン由来材料は、二酸化シリコン、ソーダ石灰ガラスおよびホウケイ酸ガラス等の様々なシリコン系ガラスを含むが、それらに限定されない。好適な透明または半透明セラミックは、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、塩化ナトリウム、ダイヤモンドなどを含むが、それらに限定されない。放出された放射線を透過させるための透明または半透明ポリマー材料の例は、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド類、ポリアクリレート類、およびポリメタクリレート類を含むが、それらに限定されない。
基板は、剛性または可撓性であってよく、任意の好適な形状および構成であってもよい。したがって、ある実施形態では、可撓性ポリマー基板が提供される。随意で、基板および/または本素子の他の層のうちの1つ以上の間に、絶縁層が含まれてもよい。さらに、基板は、素子の層状構造から着脱可能であってもよい。加えて、ある実施形態では、基板は、シリコン等の半導体材料を含んでもよく、加えて、超小型回路をさらに含んでもよく、その場合、エレクトロルミネセント素子は、超小型回路駆動素子の統合部分を備えてもよい。
ある実施形態では、エレクトロルミネセント素子は、基板より上側に位置付けられる電極層を含む。ある実施形態では、電極層は、基板の直上または間接的に上側に位置付けられる。「直上」によって、電極層は、基板の直上にあり、それと実際に接触していることが意味される。「間接的に上側」によって、電極層は、基板の直上になく、それと実際に接触しなくてもよく、むしろ介在層または被覆(例えば、絶縁層)が、基板から電極層を分離してもよいことが意味される。例えば、電極層は、電極層が基板と直接接触するように、基板の直上に位置付けられてもよく、または中間層(例えば、障壁層)は、基板と電極層との間に挟入されてもよい。例えば、基板がプラスチックである場合、1つ以上の障壁層が、基板と電極層との間で、少なくとも部分的に、または完全に位置付けられてもよい。そのような中間層は、基板および/または電極層の全長に沿って続いても続かなくてもよい。
ある実施形態では、基板より上側に位置付けられる電極層は、陽極層である。ある実施形態では、陽極層は、正孔注入電極層を含む。ある実施形態では、正孔注入電極層は、陽極層であってもよく、または陽極層と直接関連してもよい(例えば、接触している)、別個の層であってもよい。したがって、ある実施形態では、陽極層は、基板と直接接触しており、かつ正孔注入層と直接接触している。ある実施形態では、陽極層は、基板と接触しており、誘電体層が、部分的に陽極層より上側に位置付けられ、正孔注入層も、部分的に陽極および/または誘電体層より上側に位置付けられ、例えば、その場合、正孔注入層は、誘電体層を直接被覆し、かつ陽極層を直接被覆し、その場合、キャビティが誘電体層内に存在し、それにより、陽極層を露出し、その陽極層を誘電体層が部分的に覆う。ある実施形態では、正孔輸送層も含まれ、例えば、正孔輸送層は、正孔注入層と接触するように位置付けられる層であってもよく、その正孔注入層は、陽極層と接触するように位置付けられてもよい。
ある実施形態では、基板より上側に位置付けられる電極層は、陰極層である。ある実施形態では、陰極層は、電子注入層を含む。電子注入層は、通常は、陰極層に関連してもよい(例えば、接触している)、別個の層であってもよい。したがって、ある実施形態では、陰極層は、基板と直接接触しており、かつ電子注入層と直接接触している。ある実施形態では、陰極層は、基板と接触しており、誘電体層が、部分的に陰極層より上側に位置付けられ、電子注入層も、部分的に陰極および/または誘電体層より上側に位置付けられ、例えば、その場合、電子注入層は、誘電体層を直接被覆し、かつ陽極層を直接被覆し、その場合、キャビティが誘電体層内に存在し、それにより、陰極層を露出し、その層を誘電体層が部分的に覆う。ある実施形態では、電子輸送層も含まれ、例えば、電子輸送層は、電子注入層と接触するように位置付けられる層であってもよく、その電子注入層は、陰極層と接触するように位置付けられてもよい。
したがって、正孔注入電極層を参照する時はいつでも、指示対象は、素子全体の構成に応じて、正孔注入層および陽極層(同じ元素を含んでも含まなくてもよい)を含んでもよい。
ある実施形態では、正孔注入電極層(例えば、陽極層を含んでもよい、または陽極層と同じであってもよい)は、基板より上側に位置付けられる。正孔注入電極層は、関連材料、例えば、エレクトロルミネセント材料に、正孔を注入することができる、任意の好適な材料から構成されてもよい。例えば、種々の金属、ポリマー、セラミック、および半導体材料は、正孔注入電極層と接触している関連エレクトロルミネセント材料に正孔を注入することが可能であってもよい。ある実施形態では、正孔注入電極層は、金属材料、例えば、高い電気伝導度を伴う材料を含む。ある実施形態では、正孔注入電極層は、高仕事関数の材料を含む。
したがって、ある実施形態では、陽極および/または正孔注入層は、金または銅等の金属、あるいはエレクトロルミネセント素子の他の構成要素に対して高い伝導度および化学的不活性を伴う、他のそのような金属材料を含む。陽極および/または正孔注入電極材料として使用するために好適な他の金属および/または他の材料は、フラーレン類、炭素ナノチューブに加え、ニッケル、パラジウム、白金、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、ニッケル、コバルト、金属酸化物、およびそれらの組み合わせならびに合金を含むが、それらに限定されない。例えば、底部電極層が陽極層であってもよい場合、陽極は、酸化インジウムスズ(ITO)を含んでもよい。
ある実施形態では、陽極および/または正孔注入層は、導電性ポリマー材料、小分子有機および/または無機層を含んでもよい。例えば、正孔注入電極層は、正孔輸送層に加えて、陽極層を含んでもよい。したがって、正孔注入電極層は、ポリアニリン、ポリピロールおよびポリ(3,4−エチレンジオキシ−2,5−チオフェン)、トリフェニラミン、テトラ−N−フェニルベンジジン、N,N’−ジ−[(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル]−1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン、およびそれらの誘導体ならびに類似体等であるが、それらに限定されない、ポリマー材料を含んでもよい。加えて、導電性カルコゲニド類、例えば、金属酸化物、混合金属酸化物および金属硫化物、ならびに混合金属硫化物等の、特定のセラミック材料もまた、好適であってもよい。したがって、ある実施形態では、正孔注入電極層は、電極層自体であってもよく、他の実施形態では、正孔注入層は、電極層(電気伝導層)に有機(小分子または導電性ポリマーのいずれか)の層を追加したものであってもよい。
ある実施形態では、電極層は、材料の積層体、複合物、または混合物として構成される。加えて、電極層は、約200〜約10,000オングストローム、例えば、約1000〜約2000オングストローム等の約400〜約5000オングストロームの厚さを有してもよい。
ある実施形態では、基板より上側に位置付けられる電極層は、陰極層である。ある実施形態では、陰極層は、電子注入層を含む。ある実施形態では、電子注入電極層は、陰極層に直接関連してもよい(例えば、接触している)、別個の層であってもよい。したがって、ある実施形態では、エレクトロルミネセント素子は、陰極層と、基板より上側に位置付けられる電子注入層とを含む。ある実施形態では、陰極および電子注入電極層は、基板より上側に、かつ陽極および/または正孔注入電極層より上側に位置付けられ、また、以下で説明されるように、エレクトロルミネセント層および/または誘電体層(含まれる場合)より上側に位置付けられてもよい。
したがって、ある実施形態では、陰極および電子注入層は、エレクトロルミネセント層の直上または間接的に上側に位置付けられてもよい。「直上」によって、陰極および/または電子注入電極層は、エレクトロルミネセント層の直上にあり、それと実際に接触していることが意味される。「間接的に上側」によって、陰極および/または電子注入電極層は、エレクトロルミネセント層の直上になく、それと実際に接触しなくてもよく、むしろ電子輸送層等の介在層が、エレクトロルミネセント層から陰極および電子注入層を少なくとも部分的に分離してもよいことが意味される。
加えて、ある実施形態では、例えば、誘電体層が含まれる場合、陰極および電子注入電極層は、誘電体層の直上または間接的に上側に位置付けられてもよい。「直上」によって、陰極および/または電子注入電極層は、誘電体層の直上にあり、それと実際に接触していることが意味される。「間接的に上側」によって、陰極および/または電子注入電極層は、誘電体層の直上になく、それと実際に接触しなくてもよく、むしろ介在層または被覆が、誘電体層から電子注入電極層を分離してもよく、例えば、障壁層が含まれてもよいことが意味される。ある実施形態では、陰極および電子注入層が、基板より上側に位置付けられ、エレクトロルミネセントおよび/または誘電体層が、陰極および電子注入層より上側に位置付けられ、正孔注入/陽極層が、エレクトロルミネセントおよび/または誘電体層の直上または間接的に上側に位置付けられる。
陰極層は、それを通して電流を流すことが可能な任意の好適な材料で構成されてもよい。例えば、種々の金属、ポリマー、セラミック、および半導体材料は、材料を通して電流を流すことが可能であってもよく、したがって、陰極として使用されてもよい。陰極として使用するための好適な金属は、Li、Al、Mg、Ag、Cu、Au等の、任意の好適な導電性金属を含み、および/または、Li−AlまたはMg−Ag合金等の、それらの合金であってもよい。
電子注入電極層は、空気中で安定するとともに、電子を関連エレクトロルミネセント材料に注入することが可能である、任意の好適な材料で構成されてもよい。例えば、ある実施形態では、効率的な電子注入層は、低仕事関数の金属元素を含有する化合物およびポリマー組成物の両方を含む、組成物であってもよく、低仕事関数の金属を含有する化合物は、ポリマー組成物の中で均等かつ均一に分布している。例えば、低仕事関数の金属を含有する、好適な化合物は、好適な溶媒中で溶解される、金属イオン含有化合物または有機金属化合物を含んでもよく、それは次いで、好適なポリマー組成物の中で分散している。
ある実施形態では、効率的な電子注入層は、ポリマー、例えば、1つ以上の極性成分(極性官能基等)を含有するポリマーと、金属ジケトナート等の低仕事関数の金属を含有する化合物とを含む、組成物であってもよい。ある実施形態では、好適なポリマー、例えば、少なくとも1つの極性成分を含有するポリマーは、任意のポリマー、例えば、極性基を含有し、ポリマー組成物の全体を通して、金属ジケトナート等の低仕事関数の金属を含有する化合物を受容し、分布させることが可能である、任意のポリマーであってもよい。ある実施形態では、好適なポリマー、例えば、少なくとも1つの極性成分を含有するポリマーは、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、あるいは、ポリメチレングリコール、ポリメチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレングリコール、ポリブチレンオキシド、またはそれらの1つ以上の誘導体等の、他のポリエーテルであってもよい。
ある実施形態では、低仕事関数の金属元素を含有する、好適な化合物は、金属ジケトナートを含んでもよい。好適な金属ジケトナートは、好適なポリマー、例えば、極性成分を含有し、その中で(例えば、均一に)分布しているポリマーを含有する、組成物と関連付けられることが可能である、任意の金属ジケトナートであってもよい。ある実施形態では、好適な金属ジケトナートは、リチウムアセチルアセトナート、バリウムアセチルアセトナート、ベリリウムアセチルアセトナート、カルシウムアセチルアセトナート、マグネシウムアセチルアセトナート、ナトリウムアセチルアセトナート、カリウムアセチルアセトナート、セシウムアセチルアセトナート、ストロンチウムアセチルアセトナート、ホウ素アセチルアセトナート、アルミニウムアセチルアセトナート、ガリウムアセチルアセトナート、インジウムアセチルアセトナート、銀アセチルアセトナート、およびそれらの合金等の、金属アセチルアセトナートであってもよい。ある実施形態では、低仕事関数の金属元素を含有する化合物は、好適な溶媒を含む。例えば、化合物は、2−エトキシエタノール、テトラヒドロフラン、3−ヒドロキシテトラヒドロフラン、3−ヒドロキシジヒドロ−2(3H)−フラノン、アセトニトリル、エチルヒドロキシアセテート、2−プロポキシエタノール、2−イソプロポキシエタノール、ジエチレングリコール等の、好適な溶媒と混合される、および/あるいは溶媒中で溶解または分散される、金属ジケトナートを含んでもよい。
ある実施形態では、好適な電子注入層は、ポリエチレングリコールジメチルエーテルと、バリウムまたはカルシウムアセチルアセトネートとを含む。
ある実施形態では、陰極および電子注入電極層は、材料の積層体、複合物、または混合物として構成される。さらに、陰極および電子注入電極層は、約200〜約10,000オングストローム、例えば、約1000〜約2000オングストローム等の約400〜約5000オングストロームの厚さを有してもよい。ある実施形態では、陰極および電子注入電極層は、例えば、ポリエチレングリコールジメチルエーテル金属ジケトナートといった、上記で説明されるもの等の、空気中で安定する低仕事関数の材料の約10〜約200オングストロームの薄い電子注入層等の、2つの層の複合物であり、これは、エレクトロルミネセント材料および/または誘電体層、ならびに銀またはアルミニウム等の導電性金属のより厚い最上層(例えば、陰極層)と接触してもよい。ある実施形態では、陰極/電子注入電極層は、基板を通る光を誘導するために構成される。
ある実施形態では、エレクトロルミネセント素子は、エレクトロルミネセント材料、例えば、エレクトロルミネセント層を含み、その層は、陰極/電子注入層から陽極/正孔注入層を少なくとも部分的に分離してもよい。例えば、ある実施形態では、以下でより詳細に説明されるように、本開示の素子は、エレクトロルミネセント材料層によって、電子注入および陰極層から分離される、陽極および/または正孔注入層を含んでもよい(例えば、エレクトロルミネセント材料は、陽極および/または正孔注入層と、電子注入および陰極層との間で挟持される)。図1を参照されたい。
ある実施形態では、以下でより詳細に説明されるように、素子は、キャビティを含んでもよく、エレクトロルミネセント材料は、少なくとも部分的に素子のキャビティの中で位置付けられてもよい。例えば、ある実施形態では、エレクトロルミネセント材料は、素子のキャビティを実質的に、または完全に充填してもよい。ある実施形態では、エレクトロルミネセント材料は、延長層を形成してもよく、例えば、エレクトロルミネセント材料は、キャビティの寸法を充填するだけでなく、電極層を相互から分離する、および/または1つ以上の電極層から誘電体層から分離する、追加層を形成してもよい。図2−6を参照されたい。
エレクトロルミネセント材料は、正孔注入/陽極層から正孔を受容し、電子注入/陰極層から電子を受容し、注入された正孔および電子が結合すると、電磁放射線(例えば、光)を放出することが可能な、任意の好適な材料から構成されてもよい。したがって、ある実施形態では、エレクトロルミネセント材料は、有機または小分子の多層等の、多数の有機または無機化合物あるいはそれらの混合物のうちのいずれかを含んでもよい。
例えば、エレクトロルミネセント層は、ポリマー材料を含むか、または、1つ以上の小分子材料から構成されてもよく、材料は、少なくとも1つのエレクトロルミネセント化合物、例えば、有機、無機、または小分子エレクトロルミネセント化合物を含有してもよい。ある実施形態では、エレクトロルミネセント化合物は、単純有機分子または複合ポリマーあるいはコポリマーを含んでもよい。例えば、単純有機ルミネセント分子は、トリス(8−ヒドロキシキノリナト)−アルミニウムまたはペリレンを含んでもよい。
ある実施形態では、エレクトロルミネセント材料は、ポリマーまたはコポリマーを含む。好適なポリマーまたはコポリマーの分子構造は、炭素系またはシリコン系骨格を含んでもよい。ポリマーおよびコポリマーは、直鎖、分岐、架橋、またはそれらの任意の組み合わせであってもよく、約5000〜1,000,000を越える程の広範囲の分子量を有してもよい。コポリマーの場合は、コポリマーは、交互、ブロック、ランダム、グラフトコポリマー、またはそれらの組み合わせであってもよい。本開示に関連して有用である、好適なエレクトロルミネセントポリマーの例は、ポリパラフェニレン類、ポリチオフェン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリチエニルビニレン類、ポリフルオレン類、1,3,4−オキサジアゾール含有ポリマー、およびそれらの種々の誘導体ならびにコポリマー等の、共役ポリマー類を含むが、それらに限定されない。
例示的エレクトロルミネセントポリマーは、以下の化学式(I)の一般構造を有する、アリール置換されたポリ(アリレン−ビニレン)ポリマーである。
式中、Arは、1個から3個の芳香族環を含有する、アリレン、ヘテロアリレン、置換アリレン、または置換ヘテロアリレンであり、R
1は、アリール置換基であり、かつ化学式−−Ar
1−−N(R
4R
5)であり、式中、Ar
1は、Arについて定義される通りであり、R
4およびR
5は、独立して、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり、R
2およびR
3は、独立して、ヒドリド、ハロ、シアノ、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、および置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルから成る群より選択される、またはR
2およびR
3は、三重結合を一緒に形成してもよい。
他の部分は、以下の通りであってもよい。Arは、5員または6員アリレン、ヘテロアリレン、置換アリレン、または置換ヘテロアリレン基であってもよく、または融合あるいは結合された、1個から3個のそのような基を含有してもよい。好ましくは、Arは、1つまたは2つの芳香族環から構成され、最も好ましくは、5員または6員アリレン、ヘテロアリレン、置換アリレン、または置換ヘテロアリレンである、単一芳香族環から構成される。アリール置換基中のアリレン結合部分であるAr1は、同じように定義される。
置換基R2およびR3は、概して、ヒドリドであるが、ハロ(特にクロロまたはフルオロ)またはシアノ、あるいは置換または非置換アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、およびヘテロアリールであってもよい。
R4およびR5は、同じであるか、または異なってもよく、記述されるように、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルである。例えば、R4およびR5は、アルキル、アルコキシ置換されたアルキル、ポリエーテル置換されたアルキル、ニトロ置換されたアルキル、ハロ置換されたアルキル、アリール、アルコキシ置換されたアリール、ポリエーテル置換されたアリール、ニトロ置換されたアリール、ハロ置換されたアリール、ヘテロアリール、アルコキシ置換されたヘテロアリール、ポリエーテル置換されたヘテロアリール、ニトロ置換されたヘテロアリール、ハロ置換されたヘテロアリールなどであってもよい。ある実施形態では、置換基は、アリール、例えば、フェニル、アルコキシ置換されたフェニル(特に、メトキシフェニル等の低級アルコキシ置換されたフェニル)、ポリエーテル置換されたフェニル(特に、−−CH2(OCH2CH2)nOCH3または−−(OCH2CH2)2OCH3で置換されたフェニル、式中、nは、概して1〜12、好ましくは1〜6、最も好ましくは1〜3である)、およびハロ置換されたフェニル(特に、フッ化または塩化フェニル)である。
米国特許第6,414,104号で説明されている別の例示的エレクトロルミネセントポリマー材料は、以下のような化学式(II)の一般的構造を有するモノマー単位を含有する、アリール置換されたポリ(アリレン−ビニレン)ポリマーである。
式中、X、Y、およびZは、独立して、N、CH、およびCR
6から成る群より選択され、R
6は、ハロ、シアノ、アルキル、置換アルキル、ヘテロ原子含有アルキル、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、または置換へテロアリールであり、または、隣接する炭素原子上の2つのR
6部分は、追加環状基を形成するように結合されてもよく、Ar
1は、上記で定義される通りであり、Ar
2およびAr
3は、独立して、1つまたは2つの芳香族環を含有する、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、および置換ヘテロアリールから成る群より選択され、R
2およびR
3は、上記で定義される通りである。
上記の化学式(I)では、ポリマーは、X、Y、およびZが全てCHである時に、ポリ(フェニレンビニレン)である。X、Y、およびZのうちの少なくとも1つがNである時、芳香族環は、例えば、置換または非置換ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、1,2,4−トリアジニル、または1,2,3−トリアジニルとなる。例えば、X、Y、およびZのうちの1つは、CHであってもよく、他の2つは、CHまたはCR6のいずれか一方であってもよく、式中、R6は、ヘテロ原子含有アルキル、例えば、アルコキシ、または、nが、1〜12、例えば、1〜3等の1〜6であってもよい、ポリエーテル置換基−CH2(OCH2CH2)nOCH3または−(OCH2CH2)nOCH3基であってもよい。
ポリマーは、少なくとも1つの追加種類のモノマー単位を伴う、ホモポリマーまたはコポリマーであってもよい。好ましくは、ポリマーがコポリマーである場合、追加モノマー単位もまた、例えば、化学式(III)の構造を有する、アリレン−ビニレンモノマー単位である。
式中、R
2、R
3、およびR
6は、以前に定義された通りであり、qは、0から4を含む範囲の整数である。
化学式(I)の構造を有する具体的なポリマーの例は、ポリ(2−(4−ジフェニルアミノ−フェニル)−1,4−フェニレンビニレン、およびポリ(2−(3−ジフェニルアミノフェニル)−1,4−フェニレンビニレンである。
米国特許第6,414,104号で開示されている具体的なポリマーの例は、ポリ(2−(4−ジフェニルアミノ−フェニル)−1,4−フェニレンビニレン、およびポリ(2−(3−ジフェニルアミノフェニル)−1,4−フェニレンビニレンである。
本開示で使用するために好適なエレクトロルミネセントポリマーは、米国特許第6,723,828号、第6,800,722号、および第7,098,297号でも開示されており、そのいずれも本明細書に参考として援用される。これらの参照された特許において、化学式(IV)の構造を有するモノマー単位を含有する、共役ポリマーが開示されている。
式中、Ar
1およびAr
2は、独立して、単環式、二環式、および多環式アリレン、ヘテロアリレン、置換アリレン、置換ヘテロアリレン基から成る群より選択され、Lは、アルキレン、アルケニレン、置換アルキレン、置換アルケニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、置換ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルケニレン、アリレン、ヘテロアリレン、置換アリレン、または置換ヘテロアリレンであり、mは、0または1であり、nは、0または1であり、Q
1およびQ
2は、独立して、H、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、置換ヘテロアリール、アルキル、および置換アルキルから成る群より選択され、Q
3は、mが1であり、Q
1およびQ
2がH以外であるという条件で、アルキルおよび置換アルキルから成る群より選択され、A
−は、負の電荷を持つ対イオンである。
エレクトロルミネセント材料はまた、様々なコポリマーに加え、他のポリマーを伴う、化学式(IV)内のポリマーの混合物を含んでもよい。
ある実施形態では、エレクトロルミネセント素子は、複数の層を含有する挟持構成等の多層形式で作成されてもよい。例えば、エレクトロルミネセント素子は、基板と、陽極および/または正孔注入層と、エレクトロルミネセント材料層と、電子注入および/または陰極層とを含んでもよい。ある実施形態では、エレクトロルミネセント素子は、多層形式で作成されてもよく、また、電極層、例えば、陽極/正孔注入または電子注入/陰極層のうちの1つ以上を通って延在し、加えて、誘電体層(存在する場合)を通って延在してもよいキャビティ等の、キャビティを含んでもよい。
ある実施形態では、エレクトロルミネセント素子は、誘電体層を含んでもよい。好適な誘電体層が、陽極および/または正孔注入層等の電極層よりも上側であるが、電子注入および/または陰極層よりも下側に位置付けられてもよく、または、好適な誘電体層が、電子注入および/または陰極層よりも上側であるが、正孔注入および/または陽極層よりも下側に位置付けられてもよい。
ある実施形態では、誘電体層は、正孔注入電極層等の電極層の直上または間接的に上側に位置付けられる。「直上」によって、誘電体層は、電極層(例えば、正孔注入電極層)の直上にあり、それと実際に接触していることが意味される。「間接的に上側」によって、誘電体層は、電極層(例えば、正孔注入層)の直上になく、それと実際に接触しなくてもよく、むしろ介在層または被覆が、電極層から誘電体層の少なくとも一部分を分離してもよいことが意味される。
ある実施形態では、誘電体層は、電子注入/陰極電極層等の電極層の直上または間接的に上側に位置付けられる。「直上」によって、誘電体層は、電極層(例えば、電子注入層)の直上にあり、それと実際に接触していることが意味される。「間接的に上側」によって、誘電体層は、電極層(例えば、電子注入電極層)の直上になく、それと実際に接触しなくてもよく、むしろ介在層または被覆が、電極層から誘電体層を分離してもよいことが意味される。
誘電体層は、電気的障壁を提供するように、および電極層間の電気的短絡を防止するように、電極間の障壁としての機能を果たすことが可能な、任意の好適な材料で構成されてもよい。したがって、ある実施形態では、誘電体層は、ピンホールを実質的に含まず、少なくとも約108オーム・cm、好ましくは少なくとも約1012オーム・cmの電気抵抗を有する、高抵抗材料から構成される。好適な高抵抗材料は、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、ポリイミド、ポリフッ化ビニリデン、パラレン、ならびに種々のゾル−ゲル材料およびセラミック前駆体ポリマーを含むが、それらに限定されない。
ある実施形態では、誘電体層は、エレクトロルミネセント効率を増大させ、電力消費を減少するために構成される。したがって、ある実施形態では、誘電体層は薄い。例えば、ある実施形態では、「薄い」という用語は、誘電体層が電極間の距離を減少させ、したがって、電気蛍光発光を生成するために必要な電圧を低減することができることを意味する。具体的には、ある実施形態では、誘電体層は、厚さが約1マイクロメートルを超えない。例えば、ある実施形態では、誘電体層は、約100〜約5000オングストローム、例えば、約500〜約2000オングストロームの厚さを有してもよい。ある実施形態では、誘電体層は、厚さが100nmを超える、120を超える、150を超える、または200nmを超える。
しかしながら、ある状況では、過度の電圧が印加された場合に、誘電体材料が破壊する場合があることに留意されたい。したがって、本開示のエレクトロルミネセント素子で使用するための好適な誘電体材料は、誘電体層によって相互から分離され、エレクトロルミネセント材料と接触している、陽極/正孔注入層と電子注入/陰極電極層との間に作動電圧が印加された時に、エレクトロルミネセント材料が光子を放出するために必要とされる作動電圧に耐えるように、その厚さに十分な絶縁耐力を有する。したがって、誘電体材料層は、作動電圧を少なくとも約2ボルト上回る電圧に耐えるように、その厚さに十分な絶縁耐力を有してもよい。例えば、5ボルトの電位が印加された時に光を放出するように素子が構成される場合、誘電体層は、少なくとも約7ボルトに耐えられるべきである。
上記で記載されるように、ある実施形態では、素子は、キャビティを含んでもよい。ある実施形態では、キャビティは、素子の種々の構成要素の1つ以上の層を少なくとも部分的に通って延在する。例えば、ある実施形態では、キャビティは、誘電体層および最下部電極層(例えば、基板に対して)の両方を通って延在してもよい。ある実施形態では、素子は、誘電体層を通って延在するが、電極層を通って延在しないキャビティを含む。そのような実施形態では、最下部電極層(例えば、陽極/正孔注入または電子注入/陰極電極層)は、電気化学的放射線(例えば、光)に対して少なくとも半透明の材料を含む。
ある実施形態では、素子は、基板、陽極/正孔注入電極層、誘電体層、および電子注入/陰極電極層のうちの1つ以上によって、少なくとも部分的に境界を定められるキャビティを含む。例えば、ある実施形態では、キャビティは、陽極および/または正孔注入層と、電子注入および陰極層とによって、境界を定められてもよく、さらに、誘電体材料層(含まれる場合)および/または基板あるいは基板を被覆する材料の一部分によって、少なくとも部分的に境界を定められてもよい。
例えば、ある実施形態では、素子は、基板、陽極および/または正孔注入層、誘電体層、および電子注入および/または陰極電極層の一部分によって境界を定められる、キャビティを含む。ある実施形態では、素子は、正孔注入および/または陽極層、誘電体層、および電子注入および/または陰極層の一部分によって境界を定められる、キャビティを含む。ある実施形態では、素子は、基板、正孔注入電極および/または陽極層、および電子注入層の一部分によって境界を定められる、キャビティを含む。
ある実施形態では、キャビティは、ルーメンと、キャビティのルーメン内に位置付けられる、上記で説明されるもの等のエレクトロルミネセント層とを含む。ある実施形態では、キャビティは、エレクトロルミネセント材料等の材料で充填されてもよい。ある実施形態では、充填材料、例えば、エレクトロルミネセント材料は、キャビティの寸法を完全に充填するが、キャビティの寸法を越えて溢出することも、キャビティと電極層(例えば、電子注入/陰極電極層)との間の介在層と見なされるように、キャビティと電子注入/陰極電極層等の電極層との間に存在することもない。ある実施形態では、充填材料、例えば、エレクトロルミネセント材料は、キャビティの寸法を完全に充填し、キャビティと電極層(例えば、電子注入電極/陰極層)との間の介在層と見なされるように、キャビティと電子注入/陰極電極層等の電極層との間に存在する材料層を形成するよう、キャビティの寸法を越えて溢出する。
ある実施形態では、キャビティは、電子注入および/または陰極層等の1つ以上の電極層を通って延在しない。むしろ、ある実施形態では、電極層(例えば、電子注入および陰極層)は、1つ以上の側面上のキャビティの境界を少なくとも部分的に示してもよい。例えば、ある実施形態では、電極層(例えば、電子注入および陰極層)は、キャビティより上側に位置付けられ、その長さは、キャビティを横断して(例えば、横方向に)伸びる。ある実施形態では、電極層(例えば、電子注入および陰極層)は、キャビティの境界を示すが、しかしながら、キャビティを充填するエレクトロルミネセント材料は、キャビティの寸法を越えて溢出し、キャビティと電極層(例えば、電子注入および陰極層)との間に存在する材料層を形成する。ある実施形態では、電極層(例えば、電子注入および陰極層)は、キャビティを境界し、キャビティを少なくとも部分的に充填するエレクトロルミネセント材料は、キャビティの寸法を越えて溢出することも、キャビティと電極層(例えば、電子注入および陰極層)との間に材料層を形成することもない。
したがって、上記を参照すると分かるように、キャビティは、エレクトロルミネセント素子の構成要素の種々の部分によって境界を定められてもよい。したがって、キャビティの境界を示すエレクトロルミネセント素子の構成要素の複数部分の種々の表面は、本明細書では、「キャビティの内面」であるとして参照される。したがって、キャビティ内に位置付けられたエレクトロルミネセント層は、基板、基板を被覆する材料、正孔注入および/または陽極層、誘電体層、および電子注入および/または陰極層のうちの1つ以上に接触してもよい。
例えば、ある実施形態では、キャビティ内に位置付けられたエレクトロルミネセント層は、基板の表面、陽極層および/または正孔注入層、誘電体層、電子注入層および/または陰極層に接触する。ある実施形態では、キャビティ内に位置付けられたエレクトロルミネセント層は、陽極層および/または正孔注入層、誘電体層、および電子注入層に接触する。例えば、ある実施形態では、キャビティ内に位置付けられたエレクトロルミネセント層は、基板に接触しない。ある実施形態では、キャビティ内に位置付けられたエレクトロルミネセント層は、陽極層および/または正孔注入電極層と、電子注入電極層および陰極層とに接触する。例えば、ある実施形態では、キャビティ内に位置付けられたエレクトロルミネセント層は、誘電体層に接触しない。
本開示のキャビティは、正孔および電子の両方が、キャビティ内に包含されたエレクトロルミネセント層に注入されることを可能にする限り、任意の好適な構成を有してもよい。例えば、ある実施形態では、キャビティは、軸対称である。ある実施形態では、キャビティは、キャビティの軸に沿って一定の断面積を含む。ある実施形態では、キャビティは、誘電体層において、正孔注入電極層より小さい断面積を有する。
(エレクトロルミネセント素子を製造する方法)
一局面では、本開示は、上記のエレクトロルミネセント素子を形成するための方法を提供する。ある実施形態では、方法は、最初に、その上に層状構造が形成される基板を提供するステップを含み、層状構造は、陽極および/または正孔注入層と、エレクトロルミネセント材料層と、電子注入(例えば、ポリエチレングリコールジメチルエーテルおよびバリウムアセチルアセトナート層)および陰極層とを含む。加えて、素子の層状構造は、陽極および/または正孔注入層と電子注入および陰極層との間に挟入される、誘電体層およびキャビティの両方を含んでもよい。
例えば、一旦堆積させられると、層状構造の1つ以上の層は、キャビティを含むように修正されてもよく、そのキャビティは、1つ以上の電極層および/または誘電体層(含まれる場合)を通って延在してもよい。したがって、本開示の層状構造を伴う素子は、キャビティ表面の内部が露出されるように、陽極および/または正孔注入電極層、および/または誘電体層、および/または電子注入および/または陰極層を通って延在する、キャビティを含んでもよく、内部キャビティ表面は、陽極領域、および/または正孔注入電極領域、および/または誘電領域、および/または電子注入電極領域、および/または陰極領域といった表面のうちの1つ以上を含んでもよい。方法はさらに、キャビティの1つ以上の内面上に、正孔注入層および/または電子注入層、および/または、正孔輸送層および/または電子輸送層を生産するステップを含んでもよく、および/または、陽極/正孔注入および電子注入電極/陰極領域との電気接触をエレクトロルミネセント材料に提供するよう、エレクトロルミネセント被覆材料で内部キャビティ表面を被覆するステップを含んでもよい。
本開示のエレクトロルミネセント素子を製造する方法において、基板および/またはその以前に堆積させられた層の上に各層を堆積させるために、種々の技術が使用されてもよい。そのような堆積技術は、高真空蒸着、スパッタリング、化学蒸着、電気めっき、スピンコーティング、インクジェット印刷、スクリーン印刷、および半導体製造の当業者に周知の他の技術を含むが、それらに限定されない。
しかしながら、堆積技術は、層を形成するために使用される材料に従って選択されるべきであることに留意されたい。例えば、ある実施形態では、通常の陽極または陰極層を生産するために使用されるもの等の金属は、蒸着、スパッタリング、電気めっき、化学蒸着等によって堆積されてもよく、ある実施形態では、本開示の電子注入層を生産するために使用されるもの等のポリマー溶液は、溶解方法によって、基板の上に、または1つ以上の先行層の上に堆積させられてもよい。
例えば、本開示の層状素子の形成に関する独自の特徴は、電子注入層(例えば、ポリエチレングリコールジメチルエーテルおよびバリウムアセチルアセトナート層)が、溶解方法によって、基板の上に、または1つ以上の先行層の上に堆積させられてもよいことである。
例えば、電子注入層が、ポリエチレングリコールジメチルエーテルと、バリウムまたはカルシウムアセチルアセトナートとを含む組成物等の、ポリマー、例えば、極性官能基を伴うポリマーと、金属ジケトナートとを含有する、組成物を含む場合、組成物は、スピンコーティング、インクジェット印刷等の溶解方法によって、基板の上に、または1つ以上の先行層の上に堆積させられてもよい。したがって、場合によっては、本開示の電子注入層を形成するための組成物を含有するポリマーは、ポリマー組成物の分解をもたらす方法を使用して、基板の上に、または1つ以上の先行層の上に堆積させられない。ある実施形態では、電子注入層は、真空蒸着、化学蒸着などを伴う方法によって、基板の上に、または1つ以上の先行層の上に堆積させられない。
ある実施形態では、各層について、よく制御された厚さを達成するよう、真空蒸着が、陽極および/または正孔注入層、および/または誘電体層(含まれる場合)、および/または陰極層の堆積で採用されてもよい一方で、スピンコーティングまたはインクジェット印刷が、電子注入層および/または正孔注入層の堆積で採用されてもよい。ある実施形態では、例えば、陽極および/または陰極層が、正孔注入および/または電子注入層とは別で異なる層を形成する場合、陽極および陰極層は、真空蒸着過程を使用して堆積させられてもよく、正孔注入および/または電子注入層は、溶解方法を使用して堆積させられてもよい。そのような真空蒸着過程は、アーク物理蒸着、電子ビーム蒸着、強化アーク物理蒸着、化学蒸着、マグネトロンスパッタリング、分子ビームエピタキシ、そのような技術の組み合わせ、および当業者に公知の種々の他の技術を含むが、それらに限定されない。当業者であれば、化学蒸着は、窒化ケイ素等の誘電体層材料を形成するためにも適していることも認識するであろう。
化学蒸着は、気体状の有機種を分解し、所望の膜を形成するのに十分高い温度まで、基板表面を加熱するステップを伴ってもよい。そのような加熱は、特定のプラスチック類等の、熱によって悪影響を受ける特定の基板の使用を不可能にする場合がある。一方、物理蒸着は、基板としてのプラスチック類を必ずしも除外しない。加えて、一部の基板加熱は、膜の付着を促進するために、物理蒸着で採用されてもよい。また、マグネシウムまたはカルシウム等の反応金属が電極層材料として使用される場合、真空蒸着が必要とされてもよいことにも留意されたい。
ある実施形態では、エレクトロルミネセント(例えば、有機)層は、従来の有機発光ダイオード(OLED)およびキャビティ含有有機発光ダイオード(COLED)の形成のために開発されているような過程を採用することによって、生産することができる。ある実施形態では、エレクトロルミネセント層は、正孔注入および/または電子注入層を堆積させる際に採用されるのと同じ方法を使用して、堆積させられてもよい。つまり、ある実施形態では、例えば、ポリマー含有OLEDまたはCOLEDを生産する時に、正孔注入(例えば、PEDOT)、電子注入および/または発光ポリマー(LEP)層をスピンコートすることができ(図11参照)、それは、陽極層および/またはAl陰極層等の陰極層等の、正規の電極層の真空蒸着に先行されるか、または真空蒸着が後に続いてもよい。
同様に、電子注入層の堆積のための溶解処理方法の使用とともに、確立された真空蒸着過程を介して、小分子COLEDを生産することができるが、ある状況では(例えば、基板が図2、4、および6に示された構造のうちの1つを使用する場合)、角度堆積(例えば、図11を参照)が使用されてもよい。小分子COLEDの場合、堆積順は、正規のOLEDと同じとなり得るか、または逆転するこことができる。つまり、「陽極金属/正孔注入/正孔輸送/エレクトロルミネセント層/電子輸送/電子注入/陰極金属」(基板上の金属層は陽極として機能する)または「陰極金属/電子注入/電子輸送/エレクトロルミネセント層/正孔輸送/電子注入/陽極金属」(基板上の金属層は陰極)として機能する)の順序のいずれか一方である。
したがって、一局面では、本開示は、基板上にポリマー組成物を堆積させる方法を対象とする。ある実施形態では、方法は、基板上にポリマー組成物を堆積させるのに十分な方式で、基板をポリマー組成物と接触させるステップを含む。ある実施形態では、ポリマー組成物は、ポリマー、例えば、1つ以上の極性成分(極性官能基等)を含有するポリマーと、金属ジケトナート等の低仕事関数の金属元素を含有する化合物とを含む。ある実施形態では、少なくとも1つの極性成分を含有する、好適なポリマーは、極性基を含有し、ポリマー組成物の全体を通して、金属ジケトナート等の低仕事関数の金属元素を含有する化合物を受容し、分布させることが可能である、任意のポリマーであってもよい。ある実施形態では、少なくとも1つの極性成分を含有する、好適なポリマーは、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、あるいは、ポリメチレングリコール、ポリメチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレングリコール、ポリブチレンオキシド、またはそれらの1つ以上の誘導体等の、他のポリエーテルであってもよい。
ある実施形態では、低仕事関数の金属元素を含有する、好適な化合物は、金属ジケトナートであり、その金属ジケトナートは、好適なポリマー、例えば、極性成分を含有し、その中で(例えば、均一に)分布しているポリマーを含有する、組成物と関連付けられることが可能である、任意の金属ジケトナートであってもよい。ある実施形態では、好適な金属ジケトナートは、リチウムアセチルアセトナート、バリウムアセチルアセトナート、ベリリウムアセチルアセトナート、カルシウムアセチルアセトナート、マグネシウムアセチルアセトナート、ナトリウムアセチルアセトナート、カリウムアセチルアセトナート、セシウムアセチルアセトナート、ストロンチウムアセチルアセトナート、ホウ素アセチルアセトナート、アルミニウムアセチルアセトナート、ガリウムアセチルアセトナート、インジウムアセチルアセトナート、銀アセチルアセトナート、およびそれらの合金等の、金属アセチルアセトナートであってもよい。
例えば、ある実施形態では、好適な電子注入層は、ポリエチレングリコールジメチルエーテルと、バリウムまたはカルシウムアセチルアセトネートとを含む。例えば、本開示の層状構造の上になる好適な電子注入層組成物は、膜の混合物を含んでもよい。ある実施形態では、混合物は、バリウムまたはカルシウムアセチルアセトネート等の、約60%から約80%の金属ジケトナート等の約50%から約60%の金属ジケトナートを含む、約40%から約80%等の約20%から約90%の金属ジケトナートを含む。さらに、ある実施形態では、混合物は、ポリエチレングリコールジメチルエーテル等の、約20%から約40%の極性ポリマー等の、約30%から約40%の極性ポリマー組成物を含む、約20%から約50%等の約10%から約60%の極性ポリマーを含む。混合されると、混合物は、PLED等のエレクトロルミネセント素子に統合された時に、向上した性能を伴う効率的な電子注入層としての機能を果たしてもよい。
したがって、ある実施形態では、混合物は、2つの成分を含む。好適な溶媒と混合された金属ジケトナートを含む成分と、極性ポリマーを含む成分とであり、それらの成分は、一緒に混合され、次いで、本開示の層状構造と接触させられる。例えば、第1の溶液は、バリウムアセチルアセトナート水和物(固体)等の金属ジケトナートを含んでもよく、それは、飽和混合物を形成するように、ガラスバイアル中で1mLあたり約10mgの固体の比率で、2−エトキシエタノール等の好適な溶媒と混合され、次いで、その混合物は、例えば、1分以上にわたって、水槽中で超音波分解されてもよい。第2の溶液は、ポリマー化合物、例えば、ポリエチレングリコールジメチルエーテルを含んでもよく、それは、5mLの溶媒あたり約35mgの固体の比率で、2−エトキシエタノール等の好適な溶媒と混合される。
その上に空気中で安定する低仕事関数の電子注入層を形成するよう、本開示の好適な層状構造上の堆積のために、例えば、ポリエチレングリコールジメチルエーテルおよびバリウムアセチルアセトナートの溶液といった、最終溶液を形成するために、第1の金属ジケトナート含有溶液の9部(体積で)が、第2の溶液、例えば、ポリエチレングリコールジメチルエーテルを含有する溶液の1部(体積で)と混合されてもよい。次いで、混合物は、0.20mシリンジフィルタを通して濾過されてもよい。次いで、濾過された溶液は、その上に均一な電子注入層を生産するよう、発光ポリマー膜層等の本開示の層状構造の上に、スピンコートされてもよい(例えば、約3000−4000rpmで1分間)。次いで、基板は、その後、真空下で約80℃にて約30分間焼かれてもよい。次いで、導電性電極/接点を形成するように、Alが蒸着させられてもよい。
したがって、2つの溶液、例えば、ポリエチレングリコールジメチルエーテルおよびバリウムアセチルアセトナートは、基板に接触する前に組み合わせられてもよい。あるいは、それらは、基板上で連続的に組み合わせられてもよい。ある実施形態では、2つの溶液は、混合、混和などによって組み合わせられてもよい。ある実施形態では、混合は、約20%から約40%のポリエチレングリコールジメチルエーテルおよび約60%から約80%のバリウムアセチルアセトナートを含む、最終生産物を生じる。
上記に関して分かるように、本開示の素子は、素子がどのように製造されるかに応じて、複数の異なる構成を有してもよい。例えば、図1を参照して分かるように、本開示の方法に従って製造されるエレクトロルミネセント素子が提供される。素子(100)は、基板(102)と、陽極層(104)と、正孔注入層(105)と、エレクトロルミネセント(例えば、発光ポリマー)材料(106)と、電子注入層、例えば、ポリエチレングリコールジメチルエーテルおよびバリウムアセチルアセトナート層(107)と、陰極層(108)とを含む。したがって、図1の素子は、基板を提供し、その表面上に、上記の方法に従って、陽極層、正孔注入層、エレクトロルミネセント層、電子注入層、および陰極層を堆積させることによって、生産されてもよい。
図1の素子および素子を作製する方法は、最初に基板上に堆積させられ、その後に次の層の堆積が続く、陽極層に関して表されているが、この順番は、陰極層が最初に基板上に堆積させられ、その後に電子注入層等の堆積が続いてもよいように、逆転されてもよいと理解されることに留意されたい。さらに、陽極および正孔注入層が、2つの別個の層であるとして表されているが、ある実施形態では、陽極層および正孔注入層は、単一層を備えることも留意されたい。なおもさらに、ある実施形態では、正孔輸送層もまた、素子に含まれてもよく、したがって、正孔注入層とエレクトロルミネセント層との間に堆積させられてもよく、および/または、電子輸送層が素子に含まれてもよく、したがって、エレクトロルミネセント層と電子注入層との間に堆積させられてもよいことに留意されたい。
図2を参照して分かるように、本開示による、キャビティを含有するエレクトロルミネセント素子が記載される。素子(200)は、基板(202)と、陽極層(204)と、誘電体層(206)と、電子注入電極層(207)と、陰極層(208)とを含む。素子はまた、エレクトロルミネセント材料(212)を含むキャビティ(210)も含み、そのキャビティはまた、正孔注入層(205)を含んでもよい。
したがって、図2の素子は、基板を提供し、その表面上に、上記の方法に従って、陽極層および誘電体を堆積させることによって、生産されてもよい。さらに、一旦これらの層が基板上に堆積させられると、本明細書で説明される方法に従って、キャビティが形成されてもよく、随意で、陽極層を備えるキャビティの1つ以上の表面が、正孔注入層と接触させられ、および/または正孔注入層で被覆されてもよい。加えて、一旦キャビティが形成されると、発光ポリマー等のエレクトロルミネセント材料の層が、その上に堆積させられてもよい。さらに、一旦エレクトロルミネセント層が堆積させられると、次いで、電子注入層および陰極層が堆積させられてもよい。
図2を参照して分かるように、エレクトロルミネセント被覆材料(212)は、誘電体層(206)から電子注入層(207)を分離する材料層を形成する。したがって、ある実施形態では、エレクトロルミネセント被覆材料(212)は、キャビティを完全に充填するだけでなく、溢出し、電子注入層(207)と誘電体層(206)との間に挟入される別個の材料層を形成する。加えて、図2に関して分かるように、キャビティ(210)は、誘電体層(206)および陽極層(204)の両方を通って延在し、したがって、誘電体層(206)、正孔注入層(205)、および基板の頂面によって境界を定められる。電子注入層(207)および陰極層(208)は、キャビティ(212)を横断して伸びる。
図2、および本明細書で記載され、以下で説明される他の実施形態に関して、素子および素子を作製する方法は、最初に基板上に堆積させられ、その後に誘電体層および正孔注入層の堆積が続く、陽極層に関して表されているが、陰極層が最初に基板上に堆積させられ、その後に誘電体層および電子注入層の堆積が続いてもよいと理解されることに留意されたい。
さらに、図2、および本明細書で記載され、以下で説明される他の実施形態に関して、陽極および正孔注入層が、2つの別個の層であるとして表されているが、ある実施形態では、陽極層および正孔注入層は、単一層を備えることも留意されたい。
なおもさらに、図2、および本明細書で記載され、以下で説明される他の実施形態に関して、正孔輸送層もまた、素子に含まれてもよく、したがって、正孔注入層に隣接して堆積させられてもよく、および/または、電子輸送層が素子に含まれてもよく、したがって、電子注入層に隣接して堆積させられてもよいことに留意されたい。ある実施形態では、正孔注入層が省略されてもよい。
図3に関して分かるように、本開示によるエレクトロルミネセント素子が記載される。素子(300)は、基板(302)と、陽極層(304)と、誘電体層(306)と、電子注入層(307)と、陰極層(308)とを含む。素子はまた、随意的である正孔注入層(305)と、エレクトロルミネセント材料(312)とを含む、キャビティ(310)も含む。
したがって、図3の素子は、基板を提供し、その表面上に、上記の方法に従って、陽極層および誘電体を堆積させることによって、生産されてもよい。さらに、一旦これらの層が基板上に堆積させられると、本明細書で以下に説明される方法に従って、キャビティが形成されてもよく、随意で、陽極層を備えるキャビティの1つ以上の表面が、正孔注入層と接触させられ、および/または正孔注入層で被覆されてもよい。加えて、一旦キャビティが形成されると、発光ポリマー等のエレクトロルミネセント材料の層が、その上に堆積させられてもよい。さらに、一旦エレクトロルミネセント層が堆積させられると、次いで、電子注入層および陰極層が堆積させられてもよい。
図3を参照して分かるように、エレクトロルミネセント被覆材料(312)は、誘電体層(306)から電子注入層(307)および陰極層(308)を分離する材料層を形成する。具体的には、ある実施形態では、エレクトロルミネセント被覆材料(312)は、キャビティを完全に充填するだけでなく、溢出し、電子注入層(307)/陰極層(308)と誘電体層(306)との間に挟入される別個の材料層を形成する。
加えて、図3に関して分かるように、キャビティ(310)は、誘電体層(306)を通って延在するが、キャビティ(310)は、正孔注入層(305)または陽極層(304)を通って延在しない。したがって、キャビティは、誘電体層(306)および正孔注入層(304)によって境界を定められる。電子注入層(307)および陰極(308)は、キャビティ(312)を横断して伸びる。この実施形態および本明細書で説明される他のそのような実施形態では、電子注入層は、陰極層の全長に伸びるものとして描写されているが、電子注入層は、陰極層の一部分に及んでもよく、例えば、そうでなければエレクトロルミネセント材料に接触する陰極の一部に及んでもよいことに留意されたい。
図3は、基板より上側に位置付けられた底層である陽極層、および基板から離れた最上層として位置付けられている陰極層に関して、説明されているが、電極層およびそれぞれの注入層の位置は、逆転されてもよく、例えば、陰極層は、基板より上側に位置付けられた底層であってもよく、陽極層は、基板から離れた最上層として位置付けられてもよいことに留意されたい。
図4に関して分かるように、主開示によるエレクトロルミネセント素子が記載される。素子(400)は、基板(402)と、陽極(404)と、誘電体層(406)と、電子注入電極層(407)と、陰極層(408)とを含む。素子はまた、随意的である正孔注入層(405)と、エレクトロルミネセント被覆材料(412)とを含む、キャビティ(410)も含む。
したがって、図4の素子は、基板を提供し、その表面上に、上記の方法に従って、陽極層および誘電体を堆積させることによって、生産されてもよい。さらに、一旦これらの層が基板上に堆積させられると、本明細書で以下に説明される方法に従って、キャビティが形成されてもよく、随意で、陽極層を備えるキャビティの1つ以上の表面が、正孔注入層と接触させられ、および/または正孔注入層で被覆されてもよい。加えて、一旦キャビティが形成されると、発光ポリマー等のエレクトロルミネセント材料の層が、その上に堆積させられてもよい。さらに、一旦エレクトロルミネセント層が堆積させられると、次いで、電子注入層および陰極層が堆積させられてもよい。
図4は、基板より上側に位置付けられた底層である陽極層、および基板から離れた最上層として位置付けられている陰極層に関して、説明されているが、電極層およびそれぞれの注入層の位置は、逆転されてもよく、例えば、陰極層は、基板より上側に位置付けられた底層であってもよく、陽極層は、基板から離れた最上層として位置付けられてもよいことに留意されたい。
図4を参照して分かるように、エレクトロルミネセント材料(412)は、完全にキャビティ(410)内に含まれる。具体的には、ある実施形態では、キャビティ(410)は、誘電体層(406)および陽極層(404)の両方を通って延在し、したがって、誘電体層(406)、正孔注入層(405)、基板(402)の頂面、電子注入層(407)、および陰極層(408)によって境界を定められ、それらの層は、キャビティ(412)を横断して伸び、その境界を示す。
図4は、基板より上側に位置付けられた底層である陽極層、および基板から離れた最上層として位置付けられている陰極層に関して、説明されているが、電極および注入層の位置は、逆転されてもよく、例えば、陰極層は、基板より上側に位置付けられた底層であってもよく、陽極層は、基板から離れた最上層として位置付けられてもよいことに留意されたい。
図5に関して分かるように、本開示によるエレクトロルミネセント素子が記載される。素子(500)は、基板(502)と、陽極(504)と、誘電体層(506)と、電子注入層(507)と、陰極層(508)とを含む。素子はまた、随意的である正孔注入層(505)と、エレクトロルミネセント被覆材料(512)とを含む、キャビティ(510)も含む。
したがって、図5の素子は、基板を提供し、その表面上に、上記の方法に従って、陽極層および誘電体を堆積させることによって、生産されてもよい。さらに、一旦これらの層が基板上に堆積させられると、本明細書で以下に説明される方法に従って、キャビティが形成されてもよく、随意で、陽極層を備えるキャビティの1つ以上の表面が、正孔注入層と接触させられ、および/または正孔注入層で被覆されてもよい。加えて、一旦キャビティが形成されると、発光ポリマー等のエレクトロルミネセント材料の層が、その上に堆積させられてもよい。さらに、一旦エレクトロルミネセント層が堆積させられると、次いで、電子注入層および陰極層が堆積させられてもよい。
図5を参照して分かるように、エレクトロルミネセント材料(512)は、完全にキャビティ(510)内に含まれる。具体的に、ある実施形態では、キャビティ(510)は、誘電体層(406)を通って延在するが、正孔注入層(505)または陽極層(504)通って延在せず、したがって、誘電体層(506)、正孔注入層(504)、電子注入層(507)、および陰極層(508)によって境界を定められ、それらの層は、キャビティ(512)を横断して伸び、その境界を示す。
図5は、基板より上側に位置付けられた底層である陽極層、および基板から離れた最上層として位置付けられている陰極層に関して、説明されているが、電極層およびそれぞれの注入層の順番は、逆転されてもよく、例えば、陰極層は、基板より上側に位置付けられた底層であってもよく、陽極層は、基板から離れた最上層として位置付けられてもよいことに留意されたい。
図6に関して分かるように、本開示によるエレクトロルミネセント素子が記載される。素子(600)は、基板(602)と、陽極層(604)と、正孔注入層(605)と、電子注入層(607)と、陰極層(608)とを含む。素子はまた、エレクトロルミネセント材料(612)を含む、キャビティ(610)も含む。
図6を参照して分かるように、エレクトロルミネセント材料(612)は、電極層(605)から電子注入層(607)を分離する材料層を形成する。具体的には、ある実施形態では、エレクトロルミネセント被覆材料(612)は、キャビティを完全に充填するだけでなく、溢出し、電子注入層(607)と正孔注入層(605)との間に挟入される別個の材料層を形成する。
加えて、図6に関して分かるように、キャビティは、正孔注入層(604および605)および基板(602)の頂面によって境界を定められる。電子注入/陰極層(607および608)は、キャビティ(612)を横断して伸びる。
したがって、図6の素子は、基板を提供し、その表面上に、上記の方法に従って、陽極層を堆積させることによって、生産されてもよい。さらに、一旦陽極層が基板上に堆積させられると、本明細書で以下に説明される方法に従って、キャビティが形成されてもよく、随意で、陽極層の1つ以上の表面が、正孔注入層と接触させられ、および/または正孔注入層で被覆されてもよい。加えて、一旦キャビティが形成されると、発光ポリマー等のエレクトロルミネセント材料の層が、その上に堆積させられてもよい。さらに、一旦エレクトロルミネセント層が堆積させられると、次いで、電子注入層および陰極層が堆積させられてもよい。
図6は、基板より上側に位置付けられた底層である陽極層、および基板から離れた最上層として位置付けられている陰極層に関して、説明されているが、電極層およびそれぞれの注入層の位置は、逆転されてもよく、例えば、陰極層は、基板より上側に位置付けられた底層であってもよく、陽極層は、基板から離れた最上層として位置付けられてもよいことに留意されたい。
したがって、ある実施形態では、エレクトロルミネセント材料層は、誘電体層から(例えば、基板に対して)最上の電極層を分離する。例えば、図2および3を参照されたい。ある実施形態では、最上電極層は、誘電体層と直接接触する。例えば、図4および5を参照されたい。ある実施形態では、誘電体層がなく、むしろ、エレクトロルミネセント層が、電子注入層から正孔注入層を分離する。例えば、図6を参照されたい。
さらに、ある実施形態では、電極(例えば、陰極)層は、キャビティより上側に位置付けら、その境界を示すが、キャビティを間接的に覆う。「キャビティを間接的に覆う」によって、電極(例えば、陰極)層がキャビティより上側に位置付けられ、その境界を示し、キャビティの長さにわたって(例えば、完全に)伸びるとしても、別個の介在層、例えば、電子注入層が、電極(例えば、陰極)層とキャビティとの間に存在するように、介在層、例えば、電子注入層は、電極(例えば、陰極)層とキャビティの片側との間に存在することが意味される。さらに、ある実施形態では、キャビティを充填する材料、例えば、エレクトロルミネセント材料は、キャビティと電子注入および/または陰極層との間に中間または介在層を形成するように、キャビティの寸法から溢出する。例えば、図2および3を参照されたい。さらに、上記で記載されるように、陰極および電子注入電極層ならびに陽極および正孔注入電極層の位置は、逆転されてもよい。
ある実施形態では、電子注入電極層は、キャビティの境界を示し、加えて、直接または間接的に、キャビティの少なくとも全長を覆ってもよい。したがって、ある実施形態では、電子注入層は、キャビティを直接覆う。「キャビティを直接覆う」によって、電子注入層は、介在層の存在なしで、キャビティの片側の境界を示し、それを直接覆うことが意味される。したがって、キャビティがエレクトロルミネセント材料等の材料で充填されてもよいが、充填材料または別の材料は、キャビティの寸法を越えて溢出せず、キャビティの片側の境界を示し、それを直接覆う、キャビティと電子注入層との間の介在層と見なされるように、キャビティと電子注入電極層との間に存在することもない。例えば、図4および5を参照されたい。
上記で説明されるように、本開示のエレクトロルミネセント素子は、キャビティを含んでもよい。キャビティを形成するために、多種多様な方法が使用されてもよい。キャビティは、例えば、ナノインプリンティングを用いて形成されてもよい。あるいは、キャビティは、湿式または乾式エッチング過程によって形成されてもよい。キャビティの場所を画定するために、エッチングにおいてフォトレジストが使用されてもよい。エッチング液は、気体、液体、固体、またはそれらの組み合わせであってもよく、または、電磁放射線または電子等の追加エネルギー源を必要としてもよい。例えば、イオンミリングまたは反応性イオンエッチングが使用されてもよい。
エレクトロルミネセント材料は、エレクトロルミネセント材料自体の材料特性に依存する、多数の技術のうちのいずれかを介して、内部キャビティ表面に塗布されてもよい。エレクトロルミネセント材料が本質的にポリマーである時、被覆材料は、キャビティ表面上の原位置で形成されるか、または、溶媒鋳造、スピンコーティング、スプレーコーティング、印刷、または他の技術によって、キャビティ表面に塗布されてもよい。
キャビティ表面は、エレクトロルミネセント被覆材料が塗布される前に、容易に酸化されるか、あるいは汚染される場合があるため、エレクトロルミネセント材料の塗布直前に、表面処理が採用されてもよい。例えば、表面処理は、乾式洗浄(例えば、プラズマへの暴露)、湿式エッチング、溶媒洗浄を含んでもよいが、それらに限定されない。加えて、キャビティ表面は、キャビティ表面とエレクトロルミネセント被覆との間の向上した接着を提供するように、表面改質部分を取り付けることによって、改質されてもよい。キャビティ表面改質はまた、電極とエレクトロルミネセント被覆との間の正孔および/または電子輸送を強化する、材料または被覆を提供するステップを伴ってもよい。
集合的に、図7は、基板上の層状構造としてエレクトロルミネセント素子を形成するための一方法を示す。この方法は、本開示による、および本明細書で説明される任意の素子を提供するよう、それに応じて修正されてもよいことに留意されたい。図7Aは、その上に本開示の層状構造が堆積させられる、本開示の好適な基板(70)を示す。図7Bは、基板(70)上の陽極および/または正孔注入電極層(72)の堆積を示す。図7Cは、陽極および/または正孔注入電極層(72)上の誘電体層(74)の堆積を示す。図7Dおよび7Eは、リソグラフィおよび/またはエッチング技術を使用することによる、誘電体ならびに陽極および/または正孔注入電極層(それぞれ、72および74)を通したキャビティの形成を示す。図7Dは、エッチング液が層状構造に塗布された後の、層状構造内のキャビティ(80)の形成の開始を示す。図7Eは、完全に形成されたキャビティ(80)を図示し、キャビティ(80)は、層状構造を完全に通る開口部(82)から延在し、基板(70)において終端する。キャビティ(80)は、基板(71)の表面、陽極および/または正孔注入電極領域(73)の表面、および誘電領域(75)の表面によって境界を定められる。図7Eは、円筒形状を有するキャビティ(80)を形成できることを示すが、層状構造に、1つ以上の等方性または異方性エッチング液を選択的に塗布することによって、他の形状のキャビティ(例えば、キャビティが、90°の角度ではなく、むしろ90°未満の角度、例えば、約45°以下の角度で壁によって境界を定められるように、キャビティの側壁外形は、先細または円形であってもよい)を形成することも可能である。
エッチング液は、気体、液体、固体、またはそれらの組み合わせであってもよく、または、電磁放射線または電子等の追加エネルギー源を必要としてもよい。つまり、乾式(例えば、プラズマまたはイオンビームミリング)または湿式(例えば、化学)エッチング技術が使用されてもよい。正孔注入電極領域と、誘電領域と、電子注入電極領域とを有する、内部キャビティ表面を形成するために、エッチング液は、少なくとも1つの電極材料および誘電体材料を通してエッチングできなければならないことが、明白であるべきである。したがって、エッチング過程は、ステッピングリソグラフィ、電子ビームリソグラフィ、レーザ干渉リソグラフィ、ナノインプリンティング等の半導体処理分野において概して公知である、任意の好適なリソグラフィ技術を使用して実行されてもよい。当業者であれば、所望の形状のキャビティを形成するように、エッチング液を選択し、塗布することが可能である。
一旦キャビティ(80)が形成されると、キャビティを充填するよう、エレクトロルミネセント材料自体の材料特性に依存する多数の技術のうちのいずれかを通して、キャビティ(80)の内部キャビティ表面にエレクトロルミネセント材料層(76)が塗布されてもよい。例えば、被覆材料が本質的にポリマーである時、被覆材料は、キャビティ表面上の原位置で形成されるか、または、溶媒鋳造、スピンコーティング、スプレーコーティング、印刷、または他の技術によって、キャビティ表面に塗布されてもよい。図7Fは、被覆材料とキャビティの内面との間の共形接触を達成するよう、キャビティ(80)の内面にエレクトロルミネセント被覆材料(76)を塗布することを示す。
被覆材料(76)は、図7Fに図示される層状構造の誘電体層(74)の外面(77)を覆う膜として塗布されてもよい。示されるように、エレクトロルミネセント材料(76)の一部分は、キャビティ(80)を充填する。しかしながら、エレクトロルミネセント材料のそのような塗布は、エレクトロルミネセント被覆材料とキャビティの表面との間に空間を生じる場合がある。特に、被覆材料がポリマー材料である時に、被覆材料に熱および/または真空を受けさせる(または表面調整剤を使用する)ことによって、間隙が排除されてもよい。
キャビティの内面は、エレクトロルミネセント材料が塗布される前に改質されてもよい。キャビティ表面は、エレクトロルミネセント被覆材料が塗布される前に、容易に酸化するか、あるいは汚染される場合があるため、エレクトロルミネセント材料の塗布直前に、表面処理が採用されてもよい。表面処理の例は、乾式洗浄(例えば、プラズマへの暴露)、湿式エッチング、溶媒洗浄を含むが、それらに限定されない。加えて、キャビティ表面は、キャビティ表面とエレクトロルミネセント被覆との間の向上した接着を提供するように、表面改質部分を取り付けることによって、改質されてもよい。キャビティ表面改質はまた、電極とエレクトロルミネセント被覆との間の正孔および/または電子輸送を強化する、材料または被覆を提供するステップを伴ってもよい。例えば、本明細書で説明されるような、好適な正孔または電子注入材料は、キャビティの1つ以上の表面を被覆するために使用されてもよい。
図7Gは、例えば、溶解方法を介した、エレクトロルミネセント材料層(76)上への電子注入層(77)の堆積、および電子注入層(77)の上の陰極層(78)の堆積を図示し、それにより、層状構造を形成する。ある実施形態では、エレクトロルミネセント材料(76)は、キャビティ(80)を充填するが、誘電体層(74)と電子注入層(77)との間に中間層を形成しないことに留意されたい。したがって、ある実施形態では、電子注入層(77)は、誘電体層(74)上に直接堆積させられ、キャビティ(80)、およびキャビティ(80)を少なくとも部分的に充填するエレクトロルミネセント材料層(76)を覆う。
さらに、層堆積の順番を逆転させることができ、すなわち、陰極および電子注入電極層が、基板上に堆積させられる最初の層であってもよいことに留意されたい。したがって、陽極および/または正孔注入層ならびに誘電体層(含まれる場合)が堆積させられ、キャビティが形成され、エレクトロルミネセント層が堆積させられる前または後に、陰極および電子注入電極層を堆積させることができる。したがって、陰極および/または電子注入層、あるいは陽極および/または正孔注入層のいずれか一方は、キャビティおよび/または任意の以前に堆積させられた層(エレクトロルミネセント層、誘電体層等)の境界を示し、それを横断して伸び、それを覆う、層を形成してもよい。さらに、正孔輸送層または電子輸送層等の1つ以上の追加層もまた、堆積させられてもよい。そのような場合において、正孔輸送層は、正孔注入層と接触する、および/または陽極層と接触するよう、堆積させられるべきであり、電子輸送層は、電子注入層と接触するよう、堆積させられるべきである。
図8は、エレクトロルミネセント素子が形成されてもよい、別の方法を示す。図8Aおよび8Bは、ルミネセント素子の層状構造の所望のキャビティの形状の犠牲部材の形成を示す。図8Aでは、フォトレジスト(81)が、基板(80)上に堆積させられている。次いで、レジストは、所望のキャビティの形状で犠牲部材(83)を提供するように、図8Bに図示されるようなパターンで作成される。図8Cは、基板(80)の上および犠牲部材(83)の周囲の陽極および/または正孔注入層(82)の堆積を示す。同様に、図8Dは、陽極および/または正孔注入層(82)の上および犠牲部材(83)の周囲の誘電体層(84)の堆積を示す。犠牲部材が除去されると、陽極および/または正孔注入ならびに誘電体層(82)を通るキャビティ(90)を有する、層状構造が形成される。図8Eに示されるように、層状構造のキャビティ(90)の内面は、陽極および/または正孔注入電極領域(85)ならびに誘電体層領域(87)から構成される。次いで、層状構造のキャビティの内面は、エレクトロルミネセント被覆材料で被覆され、電子注入電極層および陰極層は、上記で説明されるように、層状構造上に堆積させられる。
したがって、上記で説明されるように、ある実施形態では、本開示のエレクトロルミネセント素子は、上記で説明されるように、陽極および陰極層等の2つの電極間に挟持される有機薄膜の複数の層を含む、キャビティ含有有機発光ダイオード(COLED)を含む。使用される有機材料の分子量に基づき、本開示のCOLEDは、例えば、有機活性層がポリマー材料で構成される場合、ポリマーキャビティ含有OLED(または、ポリ−COLED)であってもよく、または有機層が小分子で構成される場合、小分子キャビティ含有OLED(またはSM−COLED)であってもよい。
したがって、ある実施形態では、本開示のポリ−COLEDは、1つ以上の有機層を含んでもよい。例えば、図9に記載されるように、2つの有機層を含有するポリ−COLED(90)が提供される。2つの有機層は、正孔注入(HI)層(100)と、放出層(96)とを含む。HI層(100)は、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホネート)または(PEDOT:PSS、PEDOTと簡略化されることがある)等の導電性ポリマーを含んでもよく、それは、誘電体層(104)上に少なくとも部分的に堆積させられてもよく、かつ陽極(94)層(例えば、キャビティの境界を部分的に示す陽極層)上に部分的に堆積させられてもよく、その陽極層(例えば、酸化インジウムスズ層)は、基板(92)よりの上側に位置付けられる。放出層(96)は、HI層(100)の上に堆積させられた発光ポリマー(LEP)層であってもよい。図9に示されるように、LEP層(96)は、キャビティ(106)内に含まれ、キャビティ(106)は、誘電体層(104)によって側面で境界を定められ、陽極層(94)の上に層を形成する正孔注入層(100)によって底面で境界を定められる。次いで、例えば、熱蒸着によって、ポリエチレングリコールジメチルエーテルおよびバリウムまたはカルシウムアセチルアセトナート等の、電子注入層が、LEP層(96)の上に堆積させられてもよく、陰極(98)層が、電子注入層(102)の上に堆積させられてもよい。したがって、好適な陰極層はまた、電子注入(EI)層(102)(極薄であってもよく、例えば、ポリエチレングリコールジメチルエーテルおよびバリウムまたはカルシウムアセチルアセトナート等の、空気中で安定する低仕事関数材料の数〜数百Åに及ぶ層)を含んでもよく、必要な導電性を提供するように、AlまたはAg等の安定金属の薄膜(例えば、数百〜2000Åに及ぶ)(図示せず)によって冠着されてもよい。
ある実施形態では、図10に記載されるように、本開示のエレクトロルミネセント素子は、正孔注入(HI)層(100)、正孔輸送(HT)層(101)、1つ以上の放出(Em)層(96)、電子輸送(ET)層(103)、電子注入(EI)層(102)、陰極層(98)といった、3つ以上の有機層を含んでもよい、SM−COLED(100)を含む。したがって、これらの有機層は、基板(93)より上側に位置付けられた陽極(94)および陰極(98)等の、2つの電極間で挟持されてもよい。
図10に示されるように、放出(Em)層(96)は、誘電体層(104)によって側面で境界を定められ、陽極層(94)の上に層を形成する正孔注入層(100)によって底面で境界を定められる、キャビティ(106)内に含まれる。正孔輸送層(101)は、正孔注入層(100)の上に位置付けられる。放出層(96)は、正孔輸送層(101)の上に位置付けられ、電子輸送層(103)は、EM層(96)の上に位置付けられる。次いで、電子注入層(102)は、電子輸送層(103)の上に位置付けられてもよい。次いで、陰極(98)層(例えば、金属導体層)は、電子注入層(103)より上側に位置付けられてもよい。
場合によっては、追加の正孔遮断層および/または電子遮断層もまた、素子の性能を最適化するために使用される(図示せず)。溶液から処理することができるポリマー材料とは異なり、小分子は、真空蒸着によって堆積させられてもよい。ある実施形態では、陰極の構成は、ポリ−COPLEDで使用されるものと非常に類似しているが、陰極に選択される実際の材料は、陰極と直接物理接触している有機材料の特性によって決定されてもよい。
(用途)
別の局面では、本開示は、エレクトロルミネセント照明またはディスプレイ素子の生産における、上記のエレクトロルミネセント素子の使用を対象とし、エレクトロルミネセントディスプレイ素子は、上記で説明されるように、層状構造を含み、その層状構造は、各キャビティが内部キャビティ表面を有するように、各々層状構造の一部分を通って延在する、1つ以上のキャビティを含んでもよい。層状構造は、好適な基板(例えば、透明基板)に隣接し、陽極および/または正孔注入電極層ならびに電子注入および/陰極層と電気接触しているエレクトロルミネセント材料を含む。
好ましくは、複数のキャビティが提供される場合、複数のキャビティは、アレイに配設される。キャビティは、異なるサイズであってもよく、および/または規則的に、または不規則に分布してもよい。不規則なサイズまたは不規則に分布したキャビティを有することの考えられる理由は、キャビティのサイズおよび分布が、キャビティ内のエレクトロルミネセント材料によって放出された放射線の発光スペクトルに影響を及ぼす場合があるためである。
カラーディスプレイ用途のための赤色、緑色、および/または青色パターンもまた、提供されてもよい。例えば、キャビティは、特定の波長(例えば、特定の色に対応する波長)の電磁放射線を放出するエレクトロルミネセント材料を含有してもよい。具体的には、層状構造は、励起した時に、キャビティのエレクトロルミネセント材料が色を放出するように製造されてもよく、キャビティから放出される色は、ディスプレイのサブピクセルに対応する。例えば、キャビティは、3の領域(例えば、三量体)に分類されてもよく、各三量体は、ピクセルを形成し、各ピクセルは、3つのサブピクセルを含み、各サブピクセルは、赤色、緑色、または青色波長の電磁放射線を放出するエレクトロルミネセント材料を含有する。
ある実施形態では、カラー表示を生成するために、カラーフィルタが使用されてもよい。本実施形態では、図12AおよびBに記載されるように、COLEDが記載され、COLEDは、赤色、緑色、青色、白色、透明、または他の色のフィルタであってもよい、フィルタ(120)を含む。COLEDはまた、基板(122)と、陽極(124)と、有機層(126)と、陰極層(130)とを含み、正孔注入層および/または輸送層、および/または電子注入(例えば、ポリエチレングリコールジメチルエーテルバリウムまたはカルシウムアセチルアセトナート層)および/または輸送層等の、追加層(図示せず)もまた、含まれてもよい。
したがって、図12Aに示されるように、白色光を発光するCOLEDは、全てのピクセルに使用されてもよい。言い換えれば、全てのサブピクセルは、白色光を発光する同一COLEDを含んでもよい。カラーフィルタを使用することによって、赤色(R)、緑色(G)、および青色(B)カラーサブピクセルが達成されてもよい。このアプローチでは、各サブピクセルは、ピクセルによって発光される白色光の3つの成分のうちの1つのみを使用するため、ディスプレイの効率が低減される場合がある。この効率は、図12Bに示されるRGBWアプローチである、4ピクセルアプローチを使用することによって、改善されてもよい。このアプローチでは、カラーフィルタを使用することなく、追加白色サブピクセルが導入される。このピクセルは、発光された全ての光を効率的に使用するため、ディスプレイの全効率が増大されてもよい。
したがって、各ピクセルは、少なくとも3つのサブピクセルを含み、各ピクセルが、赤色、緑色、および青色サブピクセルの全てを含むように、各サブピクセルは、赤色、緑色、または青色光のうちの1つを発光する。通常は、各サブピクセルは、数十、数百、または数千のサブピクセルを含んでもよい。したがって、各キャビティは、これら3色のうちの1色を発光することができるエレクトロルミネセント材料で充填されてもよく、または、白色光を発光する材料で充填されるが、カラーフィルタと関連付けられてもよい。このように、カラーディスプレイ素子を生産するために、本開示のエレクトロルミネセント素子が使用されてもよい。
さらに、1つ以上の発光調整剤が、各キャビティ内のエレクトロルミネセント材料に添加されてもよい。好適な発光調整剤は、2−メチル−8−ヒドロキシノンアルミニウム、8−ヒドロキシノンアルミニウム、クマリン類、アクリジン類、キノロン、カルボスチリル類、フルロル類、フェノキサジン類、ローダミン類、およびフルオレセイン類等の、有機または有機金属発光染料を含むが、それらに限定されない。好適な発光性染料の選択において、当業者であれば、色および発光効率が、定期的実験を通して決定することができる2つの重要な因子であることを認識するであろう。さらに、発光調整剤は、それら自体がポリマーエレクトロルミネセント材料であってもよい。緑色、橙色−赤色、および青色光をそれぞれ発光するように、例えば、ポリ(1,4−フェニレンビニレン)、ポリ(2−メトキシ−5−(2−エチルヘキソキシ)−1,4−フェニレンビニレン)、およびポリ(9,9−ジオクチル−2,7−フルオレン)が適合されてもよい。他の好適な調整剤は、青色色素15、ニッケルフタロシアニン、クロロアルミニウムフタロシアニン、ヒドロキシアルミニウムフタロシアニン、バナジルフタロシアニン、チタニルフタロシアニン、およびチタニルテトラフルオロフタロシアニン等のフタロシアニン類、黄色色素110および黄色色素173等のイソインドリノン類、黄色色素139および黄色色素185等のイソインドリン類、黄色色素151、黄色色素154、黄色色素175、黄色色素194、橙色色素36、橙色色素62、赤色色素175、および赤色色素208等のベンジミダゾロン類、黄色色素138等のキノフタロン類、赤色色素122、赤色色素202、および紫色色素19等のキナクリドン類、赤色色素123、赤色色素149、色素179、赤色色素224、および紫色色素29等のペリレン類、紫色色素23等のジオキサジン類、赤色色素88および紫色色素38等のチオインジゴ類、2,8−ジフルオロエピンドリジオン等のエピンドリジオン類、赤色色素168等のアンサンスロン類、イソビオラントロン等のイソビオラントロン類、青色色素60等のインダントロン類、黄色色素192等のイミダゾベンジミダゾロン類、橙色色素67等のピラゾロキナゾロン類、赤色色素254等のジケトピロロピロール類、Irgazin DPP RubinTR、Cromophtal DPP OrangeTR、Chromophtal DPP Flame Red FP(すべてCiba−Geigyのもの)、ならびに赤色色素177等のビスアミノアントロン類等の、色素および光吸収染料を含むが、それらに限定されない。エレクトロルミネセントポリマー材料を改質するために光硬化フォトレジスト技術が採用される場合、ポリマー材料を寸法的に安定化し、それの損傷を防止するために、ポリマー材料を架橋することが望ましくてもよい。
本開示のエレクトロルミネセント素子のアレイまたは他の配設では、複数の個々のキャビティ(またはそのようなキャビティ群)の各々の中のエレクトロルミネセント材料の活性化は、素子を異なる程度で「オン」および「オフ」に切り替えることによって、完全なカラー画像を形成することが可能であるように、好適な電子制御下にあってもよい。これは、例えば、正孔注入電極層および/または電子注入電極層をパターン形成することによって、および/または、これらの層の複数部分と好適に接続して電子を駆動する、追加のパターン形成された層を作成することによって、達成されてもよい。ポリエチレングリコールジメチルエーテルおよびバリウムアセチルアセトナート等の、空気中で安定する低仕事関数の電子注入層を含有する、エレクトロルミネセント素子の利点は、素子全体に有意に低いターンオン電圧を提供する一方で、同時に、著しく高い効率およびはるかに低い漏電電流を生じることに留意されたい。具体的には、本開示のPLEDまたはOLED素子で使用するための電子注入/陰極電極層は、空気中で安定する低仕事関数の電子注入層を採用しない、当技術分野の同様の素子と比較すると、より効率的であり、より少ない電力を使用し、より長い耐久寿命を有し、低減した漏出電流を有する。この改良は、とりわけ、高いLUMOレベルを有する素子および青色発光ポリマーを含む素子で、特に顕著である。
したがって、上記を参照して分かるように、本開示の実施形態は、当技術分野の他の技術より優れた、いくつかの利点を呈する。例えば、当技術分野で公知である種々のキャビティ含有LED素子において、有機発光(例えば、放出)層は、キャビティ内に完全に含まれ、これは、本開示の種々の実施形態の要件ではない。加えて、当技術分野で公知である種々のキャビティ含有LED素子においては当てはまらないが、本開示の種々の実施形態では、複数の有機層が採用されてもよい。
さらに、当技術分野で公知である種々のキャビティ含有LED素子においては、頂部発光構成のみが利用可能であるのに対して、本開示の様々な実施形態に関しては、「頂部」および「底部」発光構成の両方が利用可能である。さらに、本開示の素子の種々の構成の適応性を考慮すると、空気中で安定する陰極を使用する必要はない。むしろ、従来のOLEDのために開発された陰極を使用することができる。これは、空気中で安定する陰極が必要であり、従来のOLEDのために開発された陰極を使用できない、当技術分野で公知である種々のキャビティ含有LED素子とは正反対である。したがって、本開示の素子は、ポリマーOLEDに加えて、多層小分子OLEDと互換性があってもよく、当技術分野で公知である種々のキャビティ含有LED素子は、多層小分子OLEDと互換性がない。
加えて、本開示のある実施形態では、製造される素子が、従来のOLEDのために開発された製造過程と完全に互換性がある一方で、当技術分野で公知である種々のキャビティ含有LED素子は、従来のOLEDのために開発された製造過程と互換性がない。
さらに、本開示の素子のある実施形態に関して、誘電体層の厚さは、素子の作動電圧および素子の製造歩留まりに大幅に影響を与えることなく、広範囲に変動することができ、このため、誘電体層の欠陥が、素子の不具合を生じない場合がある。しかしながら、当技術分野で公知である種々のキャビティ含有LED素子に関して、最適な素子の性能を保証するように、誘電体層の厚さは、狭い範囲(約100±20nm)内に限定され、加えて、欠陥が素子の不具合を生じる場合があるため、誘電体層に欠陥があってはならない。
図13に関して、図13A、13B、および13Cは、PEG−dMeを添加する効果を実証するグラフである。図13Aでは、「o」を伴う実線が、印加された電圧(x軸)と対比した電流密度(左y軸)を表す一方で、「o」がない実線は、印加された電圧と対比した輝度(右y軸)を表す。図13Bでは、黒いダイヤモンド形の線が、印加された電圧(x軸)と対比した電流密度(左y軸)を表す一方で、白いダイヤモンド形の線は、印加された電圧と対比した輝度(右y軸)を表す。図13Aおよび13Bを参照して分かるように、例えば、図13BのBa(acac)2およびポリエチレングリコールジメチルエーテル(PEG−dMe)の混合物を使用した素子は、例えば、図13AのBa(acac)2のみを使用した素子(約5V)よりも有意に低いターンオン電圧(約3V)を有する。さらに、例えば、図13AのPEG−dMeを使用した素子はまた、(例えば、図13Aの電流密度と、図13Bの3Vの印加電圧とを比較して)1桁分低い漏電電流も有する。加えて、例えば、図13AのPEG−dMeを使用した素子は、(例えば、約8Vの印加電圧における素子輝度と比較して)約2桁分高い輝度および量子効率を有する。図13Aおよび13Bのデータは、独自のPDA−PBP発光ポリマー(LEP)を使用して得られたが、MEH−PPV、ポリフルオレン等の、全ての他の市販されているLEPについても、同様の改善が観察されることに留意されたい。図13Cは、相互に重ね合わせられた図13Aおよび13Bのグラフを示す。図13Cを参照して分かるように、8ボルトの印加時に、Jは、PEG−dME有りで、PEG−dMEなしよりも約1.e2大きく、Lは、約1.e1大きく、PEG−dMeありのターンオン電圧は、PEG−dMEなしの約5Vと対比して、3Vである。
本開示の変化例が、エレクトロルミネセント素子の分野の当業者にとって明白となるであろう。例えば、キャビティを有する層状構造が、通常のリソグラフィおよびエッチング技術によって形成されてもよい一方で、代替案として、または加えて、層状構造から材料を除去するために、レーザアブレーション等の他の技術もまた、採用されてもよい。本開示はまた、互いにかみ合う電極等のエレクトロルミネセントディスプレイ素子設計の公知の局面を援用することを可能にする。また、層間接着を促進するように、または電子および/または正孔輸送等の電気特性を改善するように、追加層が各層間に形成されてもよいことにも留意されたい。
また、当業者であれば、包装および電子機器等の他の考慮事柄も、任意のディスプレイにとって必須の考慮事柄であることも認識するであろう。これらのディスプレイで使用される反応金属およびルミネセント材料は、湿気および空気の攻撃を受ける。したがって、ディスプレイは、適宜包装されるべきである。そのような包装は、ラミネート加工または当技術分野で公知の他の技術を伴ってもよい。素子電子機器は、任意の所望のディスプレイ設計に適切である、市販のシステムを含んでもよい。
その具体的な実施形態を参照して本開示を説明したが、本開示の真の精神および範囲から逸脱することなく、種々の変更が行われてもよく、均等物が置換されてもよいことが、当業者によって理解されるべきである。加えて、本開示の目的、精神、および範囲に、特定の状況、材料、物質の組成、過程、過程のステップを適合させるように、多くの修正が行われてもよい。全てそのような修正は、本明細書に添付される特許請求の範囲内であることが意図される。
本明細書で言及される全ての特許、特許出願、および公報は、それらの全体が本明細書に参考として援用される。しかしながら、明確な定義を含む特許、特許出願、または公報が、参考として援用される場合、これらの明確な定義は、それらが見出される、援用された特許、特許出願、または公報に適用され、本願の残りの本文、特に本願の特許請求の範囲には適用されないことを理解されたい。