JPWO2005009713A1 - タイヤの加硫方法及び同方法を実施するための加硫機 - Google Patents

タイヤの加硫方法及び同方法を実施するための加硫機 Download PDF

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Abstract

ブラダを下金型装置内の加硫位置において膨出及び縮小可能とすると共に加硫位置から下金型装置の中心線に沿って所定距離離れたタイヤ受け渡し位置においても膨出及び縮小可能とする。調芯軸を上金型、ブラダ、下金型装置を挿通させた状態で、タイヤ受け渡し位置に搬入された生タイヤをブラダを膨出させてブラダに保持させ、ブラダにより下金型装置内へ型込めし、加硫処理後にブラダが加硫済みタイヤを加硫位置から受け渡し位置へ型抜きし、調芯軸を下金型及びブラダから抜いた後、受け渡し位置でブラダを縮小させてこのブラダから取り外し可能とした。

Description

本発明は、タイヤの加硫機において、幅方向及び径方向に均一なタイヤを製造する加硫方法及びタイヤ加硫機に関する。
タイヤを製造する場合、一般的に、成形工程の成形ドラムにインナーライナやボディプライを巻着し、ビードワイヤを打ち込んで基本構成部材であるグリーンケースを製作する。その後、グリーンケースの外周側にベルトやトレッドを嵌装して生タイヤを成形する。生タイヤは、ハンドリング装置により、成形工程から搬出されて保管倉庫に搬入され、一時保管された後、生産計画に基づいて加硫工程に搬送され、或いは保管倉庫を経ずに成形工程から直接加硫工程に搬入される。加硫工程においては、所定の位置に載置された生タイヤを加硫機のハンドリング装置で把持し、移動可能な上金型と固定された下金型との間の型開きされた空間に生タイヤを装填する。型閉めの後、生タイヤの内部でブラダを蒸気等の圧力により膨張させ、生タイヤの内面に密着させながら外面を空間内に押し広げて押圧し、生タイヤを金型による外側とブラダによる内側から加熱・加圧する。そして所定時間経過後、加硫成型を終了する。
未加硫の生タイヤは、成形工程で高精度に均一に成形された場合でも、搬出、保管、搬入、載置における各種のハンドリングを経ることにより変形しやすく、この変形により生タイヤの中心がずれた状態で加硫が進められると、加硫タイヤの均一性が悪くなるという問題がある。特開2001−096534号公報の図1、図2に記載された技術は、この問題に対する改良手法を提供するものであるが、この手法による場合、生タイヤ1本毎に種々の治工具が必要となり、タイヤの製造コストを上昇させることになる。
また、特開平10−076529号公報の図1及び特開平10−156833号公報の図1に開示されるように、加硫工程においては、半割りカップ状の上金型と下金型との間に生タイヤを挟んで加硫するため、上金型と下金型の芯合わせは、金型が閉まった後、つまり、加硫が開始された後に行なわざるを得なく、上金型が開いた状態の加硫開始前では芯合わせはできないままである。
また、特開昭57−199639号公報の図2及び特開平09−038977号公報の図2、図17に開示されるように、生タイヤの内部から加熱・加圧するブラダは、そのブラダの上端環部も下端環部も両方とも下側からのみ駆動・支持され、下側からの長い片持支持構造のため芯の精度が悪く、ブラダを膨張させるとき、正確なセンターシェーピングを行うことが難しかった。さらに、使用回数の増加に連れて上下環部間における中心ずれが一層起こり易くなり、芯のずれたブラダを使用せざるを得なかった。また、駆動装置等が下側に集中し下側の設備が多く整備もやりづらかった。
さらに、ブラダを膨出させる際、均一な形状や均一な熱伝達を得るため上下均一に膨張させる工夫が進められてきたが、芯がずれていた場合では、上下均一に膨出させる工夫をしてもその効果は期待できなかった。
加えて、特開平8−39568号公報に記載されるように、生タイヤを加硫機に搬入する際に使用される搬入装置は、通常、生タイヤの半径方向に拡縮移動するタイヤ把持爪が設けられ、この把持爪を生タイヤの上側ビード内側に入り込ませ、次に把持爪を拡径させて上側ビード部のみを把持して持ち上げ、下金型上へ移動させた。形の変わりやすい生タイヤを上端の片側で持ち上げるため、生タイヤが変形されこの生タイヤの上側と下側との対称性が損なわれていた。つまり、生タイヤを加硫機の軸中心に搬入することが難しく、その結果、加硫タイヤの均一性が悪くなるという問題は避けられなかった。
従って、本発明の主たる目的は、上下金型、ブラダ及び生タイヤの芯を一致させてから加硫を行うことができる加硫方法及び加硫機を提供することにある。
本発明の別の主たる目的は、生タイヤの形状を損なわずに、生タイヤを金型に型込めすることができる加硫方法及び加硫機を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、ブラダの膨出動作を上下対称的に行うことができ、かつブラダの上下環部の同心性が使用回数の増加に連れて損なわれないようにした加硫方法及び加硫機を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、保守・点検・整備が容易な加硫機を提供することにある。
第1の発明は、放射方向の外方に開放された分割トレッド金型内へ生タイヤを型込めし、分割トレッド金型を放射方向の内方に閉じかつブラダを型込めされた生タイヤの内方で膨出した状態で加硫処理し、加硫処理の完了後に、分割トレッド金型を放射方向外方に開放して加硫済みタイヤを型抜きするようにしたタイヤの加硫方法において、ブラダを分割トレッド金型内の加硫位置において膨出及び縮小可能とすると共に加硫位置から分割トレッド金型の軸線に沿って所定距離離れた分割トレッド金型の外部のタイヤ受け渡し位置においても膨出及び縮小可能とし、タイヤ受け渡し位置に搬入された生タイヤをこの受け渡し位置で前記ブラダを膨出させてこのブラダに保持させ、ブラダにより加硫位置の分割トレッド金型内へ型込めさせ、加硫処理後に、ブラダが加硫済みタイヤを加硫位置から受け渡し位置へ型抜きし、受け渡し位置で前記ブラダを縮小させてこのブラダから取り外し可能としたことである。
本発明によれば、加硫時にタイヤの内面を所定形状に保持するブラダが型込め・型抜き手段として利用される。すなわち、ブラダは、生タイヤをタイヤ受け渡し位置から加硫位置へ移送して分割トレッド金型内へ型込めすると共に、加硫済みタイヤを加硫位置で型抜きして受け渡し位置へ戻すように作用する。これにより、加硫機の内部でタイヤを型込め・型抜きする移送手段を独立して設ける必要がなくなり、加硫機の構成が簡単となる。また、ブラダは、受け渡し位置で生タイヤを受け取るとき、生タイヤの内周面全域に接触して生タイヤをブラダの膨出時の所定形状に保持し、この所定形状を維持した状態で生タイヤを金型内へ型込めし、かつ加硫中もタイヤの内周面を所定形状に保持する。これにより、形崩れし易い生タイヤを数箇所で局部的に保持して型込めする従来の型込め手段による弊害が排除され、これに対して、本発明においては、受け渡し位置で生タイヤを受け取る段階で生タイヤが所定形状に膨出するブラダにより内周面の全域を均等に支持されることにより生タイヤの成形形状が高精度に確立され、加硫処理後のタイヤ形状を高精度に維持できる。
第2の発明は、生タイヤを収容する下金型に対しこの下金型の上方に同心配置した上金型を下降させて上金型を下金型に組み合わせ、生タイヤの内部で膨出するブラダの上端及び下端環部を気密的に拘束する上下移動可能な一対のブラダ操作スリーブを有する縦形加硫機におけるタイヤの加硫方法において、加硫時に下金型、上金型、生タイヤ、ブラダ及び一対のブラダ操作スリーブの中心に一本の調芯軸を挿通させて一対のブラダ操作スリーブを下金型及び上金型に対し調芯した状態で加硫処理を行うことである。
本発明によれば、加硫処理は、調芯軸が一対のブラダ操作スリーブを上金型及び下金型に対し調芯した状態で行われる。この調芯軸によりブラダ操作スリーブの中心は上金型及び下金型の中心に整合され、この結果、これらブラダ操作スリーブにより上端及び下端環部が拘束されるブラダの中心が上金型及び下金型の中心に整合される。これにより、加硫処理の間、ブラダは上金型及び下金型の中心に生タイヤの中心を整合させることができ、タイヤを上金型及び下金型と同芯に加硫することができる。これにより加硫されたタイヤの全ての円周領域は、タイヤ中心と同芯に加硫成形され、タイヤの回転精度が向上される。
第3の発明は、第2の発明に係るタイヤの加硫方法において、下金型を構成する水平放射方向で開閉可能な分割トレッド金型内の加硫位置においてブラダを膨出及び縮小可能とすると共に加硫位置から分割トレッド金型の軸線に沿って上方に所定距離離れた分割トレッド金型の外部のタイヤ受け渡し位置においても膨出及び縮小可能とし、タイヤ受け渡し位置に搬入された生タイヤをこの受け渡し位置でブラダを膨出させてこのブラダに保持させ、ブラダにより加硫位置の分割トレッド金型内へ型込めさせ、加硫処理後に、ブラダが加硫済みタイヤを加硫位置から受け渡し位置へ型抜きし、受け渡し位置でブラダを縮小させてこのブラダから取り外し可能としたことである。
本発明によれば、ブラダを型込め・型抜き手段として利用することにより達成される第1の発明の作用・効果が第2の発明に付加される。
第4の発明は、縦方向に延出されたフレームと、このフレームの上下方向のほぼ中間位置の下方に固定配置された下金型と、フレームの中間位置より上方に配置されフレーム上で下金型と同心に上下動可能に案内され送り機構により上下位置決め可能な上金型と、下金型及び上金型の中心を通る型中心線と同心に配置されたブラダと、型中心線と略同心に上下動可能にかつ水平方向には微少変位可能に配置されそれぞれがブラダの下端環部及び上端環部を気密的に拘束する第1及び第2ブラダ操作スリーブと、第1及び第2ブラダ操作スリーブを個別に上下位置決めするブラダ位置決め機構と、さらに、型中心線上に配置されて送り機により上下動可能に設けられ加硫時において上金型、ブラダ、第1及び第2ブラダ操作スリーブ及び下型に挿通されて第1及び第2ブラダ操作スリーブを上金型及び下金型に対して調芯する調芯軸とを設けたことである。
本発明によれば、第2の発明と同様な作用・効果が奏せられる。
第5の発明は、第4の発明に係るタイヤ用加硫機において、ブラダ位置決め機構は、ブラダが下金型内の加硫位置で膨出されるように第1及び第2ブラダ操作スリーブを位置決め可能であると共に、ブラダが加硫位置から上方に離間したフレームの上下方向ほぼ中間位置で膨出されるように第1及び第2ブラダ操作スリーブを位置決め可能としたことである。
本発明によれば、ブラダは、加硫位置で膨出されると共に加硫機のフレームのほぼ中間位置でも膨出されるので、この中間位置で生タイヤを受け取って加硫位置へ型込め移送し、加硫済みタイヤを型抜きして中間位置へ戻し移送することができる。従って、ブラダは、型込め・型抜き手段として利用され、これにより第2の発明と同様の作用・効果が奏せられる。
第6の発明は、第5の発明に係るタイヤ用加硫機において、ブラダの上下側面に当接してこのブラダの膨出動作及び膨出状態の側面形状を規制する上下一対のブラダ膨出制御部材と、これら一対のブラダ膨出制御部材を上下方向に個々に位置決めする制御部材位置決め送り機構とをさらに備えることである。
本発明によれば、前記中間位置でブラダが膨出されるとき、一対のブラダ膨出制御部材がブラダの上下側面に当接してブラダの膨出動作を規制する。これらブラダ膨出制御部材は、送り装置により位置決め可能であるので、ブラダがタイヤの内部でその幅方向中心に対し上下均等に膨出されるように制御され、また、上下均等に膨出されたブラダの側面形状を維持するように作用する。これにより、生タイヤは、前記中間位置においてブラダにより幅方向中心に対し上下対称性を高精度に保って支持され、また加硫位置ではこの上下対称性が加硫処理の間維持される。この結果、加硫済みタイヤの幅方向中心に対する対称性は高精度なものとなる。
第7の発明は、第4の発明に係るタイヤ用加硫機において、ブラダ位置決め機構は、第1ブラダ操作スリーブを上下送りするためにフレームのほぼ中間位置より上方に配置された第1ブラダ操作スリーブ送り機構と、第2ブラダ操作スリーブを上下送りするためにフレームのほぼ中間位置より下方に配置された第2ブラダ操作スリーブ送り機構とからなることである。
本発明によれば、第1ブラダ操作スリーブ送り機構と第2ブラダ操作スリーブ送り機構は、フレームのほぼ中間位置を境にそれぞれ上下に分離して配置される。このため、フレームの前記中間位置の下方への機構の集中を回避でき、加硫機の保守点検整備が容易となる。
第8の発明は、第7の発明に係るタイヤ用加硫機において、第1ブラダ操作スリーブと第1ブラダ操作スリーブ送り機構とは互いに結合分離可能であり、第1ブラダ操作スリーブを第1ブラダ操作スリーブ送り機構に対し連結する連結手段がさらに設けられていることである。
本発明によれば、第1ブラダ操作スリーブと第1ブラダ操作スリーブ送り機構とは、分離可能であると共に連結手段により結合可能とされる。これにより、分離状態では生タイヤをブラダ、第1及び第2ブラダ操作スリーブ及び上下の金型と同心にセットでき、加硫処理後に加硫機から取り出すことが可能となる。
第9の発明は、第7又は第8の発明のいずれかに係るタイヤ用加硫機において、第1及び第2ブラダ操作スリーブ送り機構はそれぞれ同期制御可能なサーボモータにより構成されることである。
本発明によれば、第1及び第2ブラダ操作スリーブ送り機構をそれぞれ同期制御可能なサーボモータにより構成したので、フレームのほぼ中間位置で生タイヤを支持するように膨出されたブラダを、両サーボモータを同期制御することにより、その膨出状態を不変に保持して加硫位置へ移送でき、この移送動作の間ブラダの膨出状態を変えずに、つまりこのブラダに保持された生タイヤをこのブラダにより拘束される形状から型崩れさせることがなく、この結果加硫処理後のタイヤの形状精度を高精度に維持できる。
第10の発明は、第4乃至第9の発明のいずれかに係るタイヤ用加硫機において、フレームのほぼ中間位置より上方に配置されてフレーム上で上下移動可能に案内された移動フレームを設け、この移動フレーム上に上金型を固定支持し、調芯軸にはその下端部が下金型を貫通した状態でフレームに対し上昇不能に固定されるとき移動フレームの上面に当接するフランジ部が設けられていることである。
本発明によれば、調芯軸はその下端部が下金型を貫通した状態でフレームに対し上昇不能に固定されるときに調芯軸に設けたフランジ部を上金型を搭載支持する移動フレームの後面に当接するようにしたので、加硫工程における金型内部の圧力上昇により上金型が下金型との正確な組み合わせ状態から外れることが防止され、これにより、上金型により成形されるタイヤの側面部分が正規の形状から外れることが防止され、加硫処理後のタイヤは高精度なものとなる。
第11の発明は、第5乃至第10の発明のいずれかに係るタイヤ用加硫機において、下金型は水平面上で放射方向に進退可能に案内された複数の金型片からなる分割トレッド金型とこの分割トレッド金型の下方側面を閉塞する下部サイドウォール金型とから構成され、上金型は分割トレッド金型の上方側面を閉塞する上部サイドウォール金型からなることである。
本発明によれば、分割トレッド金型を水平面上で放射方向に開けるようしたので、膨出状態のブラダにより支持された生タイヤを変形させずに開き状態の分割トレッド金型内へ型込めすることができ、フレームのほぼ中間位置でブラダにより高精度に支持された生タイヤをこの支持状態を維持したまま加硫処理させることができ、これにより、芯が合った状態で分割金型内で型込めができ、分割金型内で芯を合わせようとする従来方法によるタイヤに比べて、高精度なタイヤを生産することができる。
第1図は、本発明による実施例の加硫機が原位置の状態にあるときの縦断面図であり、第2図は、実施例の加硫機が加硫動作している状態を示す縦断面図であり、第3図(A)は、搬入出位置LP位置に保持される生タイヤをブラダが支持して分割トレッド金型内へ型込めし加硫後型抜きする型込め動作の初期及び型抜き動作の最終段階を示す前記実施例の要部縦断面図、第3図(B)は、前記型込め・型抜き動作の別の段階を示す前記実施例の要部縦断面図、第3図(C)は、前記型込め・型抜き動作のさらに別の段階でブラダを膨出させる状態を示す前記実施例の要部縦断面図、第3図(D)は、前記型込め・型抜き動作のさらに進んだ別の段階でブラダが生タイヤを保持した状態を示す前記実施例の要部縦断面図である。
以下、添付図面を参照して本発明による加硫機の実施例について説明する。第1図は、縦形加硫機10の縦断面図を示し、同図において、11は平面的に観て円形または矩形のベースプレートを示し、同プレート11には、仮想正方形の4角において手前側の図示されていない2本を含む4本の主コラム12が立設されている。これら4本のコラム12の上端は天板13により連結され、これによりベースプレート11、コラム12及び天板13は上下方向に長い直方体状のフレーム14を構成している。
主コラム12の上下方向のほぼ中間部には、搬送装置16が加硫すべき生タイヤTRを搬入・搬出動作する搬入出位置LPが定義されている。加硫機10は、この搬入出位置LPを中心として、その全機構部を下側に配置された下機構部10aと上側に配置された上機構部10bに分離し、コラム12の下側又は上側への機構部の集中を避け、保守点検整備の容易性を確保している。
下機構部10aは、主に、金型支持機構LM1、分割トレッド金型の開閉機構LM2、上部サイドウォール金型ロック機構LM3、及びブラダ主操作機構LM4からなる。一方、上機構部10bは、主に、上部サイドウォール金型用の支持開閉機構UM1、ブラダ副操作機構UM2及び調芯機構UM3とからなる。
金型支持機構LM1を構成する型ベース部材20は、前記コラム12に固定されている。型ベース部材20は、垂直に延出する円筒部21及び円筒部21の上端に固定された中空円盤状の型支持テーブル22により構成されている。型支持テーブル22上には、下金型装置25が搭載されている。下金型装置25は、円筒部21と機械中心となる金型中心線MCLと同芯に固定された概略円環状の下部サイドウォール金型26と、前記型支持テーブル22上で金型中心線MCLの周りに等角度間隔で配置されて放射方向に進退可能に支持された例えば8個の分割トレッド金型27とにより構成されている。分割トレッド金型27は、所定角度(例えば8分割のこの実施例の場合では、45度)の円弧長を有する円弧状のもので、内面の高さ方向の中央部に所定のトレッドパターンが形成されたトレッド形成面が形成され、上下方向の両端縁部は前記下部サイドウォール金型26の外周面及び後述する上部サイドウォール金型72の外周面に密着する円弧面として形成されている。
分割トレッド金型27の開閉機構LM2は、この分割トレッド金型27を支持テーブル22に対して上下方向の相対移動を規制して支持すると共に、その下面を蟻溝で放射方向に案内する図略の放射方向案内機構を含む。分割トレッド金型27の各々の外周面は、下方に向かって小径となるテーパ面とされ、このテーパ面上の円周方向の中央部は、型締めリング部材29の内周面と蟻溝係合されている。型締めリング部材29は、コラム12に固設した直線ガイド30a(第2図参照)に沿って上下動可能に案内された円環状のリングホルダ30に嵌挿して固定され、型ベース部材20に回転自在に支持された螺子軸31により上下動送りされるようになっている。この螺子軸31は、サーボモータ32によりプーリ・ベルト機構33を介して回転駆動され、型締めリング部材29を上下動し、これにより分割トレッド金型27を放射方向に移動して開閉可能としている。サーボモータ32、螺子軸31及び型締めリング部材29は、下金型を構成する分割トレッド金型27の開閉駆動機構を構成している。
ブラダ主操作機構LM4は、円筒部21内の中心に設けられ、金型中心線MCLと同芯に配置された中空の第1ブラダ操作スリーブ41と、このスリーブ41の外周に嵌合された第2ブラダ操作スリーブ42と、このスリーブ42の外周に嵌合されたブラダ膨張制御スリーブ43とからなる。第1ブラダ操作スリーブ41は、その軸芯部に後述する調芯軸81が密嵌合して挿通する貫通穴41aが穿設され、その上端部にはブラダ45の上端環部を気密的に拘束する拘束部41bが設けられ、かつ上端部中央には被把持環46が固着されている。また、第1ブラダ操作スリーブ41は、気体の給気路41c及び排気路41dが形成され、これらの上端はブラダ45内に開口し、下端は図略の気体供給装置に接続されている。第1ブラダ操作スリーブ41は、被把持環46が後述する上半機構部10bに内蔵されたブラダ副操作機構UM2により把持された状態において上下動可能とされている。
第2ブラダ操作スリーブ42は、上端のフランジ部42aにおいてブラダ45の下端環部を気密的に拘束している。この下端環部42aの拘束部42aの直径は、上端環部の拘束部41bの直径と同一に設定されている。第2ブラダ操作スリーブ42の下端部には、ナット42bが固着され、このナット42bは型ベース部材20に上下方向に延出した状態で回転可能に支持された螺子軸50に螺合している。螺子軸50は、型ベース部材20に取り付けたサーボモータ51によりプーリ・ベルト機構52を介して回転され、第2ブラダ操作スリーブ42、つまりブラダ45の下端環部を上下位置調整可能としている。これにより、ブラダ副操作機構UM2によるブラダ45の上端環部の位置調整動作と共同して、ブラダ45を分割トレッド金型27に整合させる加硫位置(第2図)と搬入出位置LPに整合させるタイヤ受渡し位置(第3図(D))との間で移動させることができる。前記サーボモータ51、プーリ・ベルト機構52、ナット42b及び螺子軸50は、第2ブラダ操作スリーブ42を独立して上下送りする第2ブラダ操作スリーブ送り機構を構成している。
ブラダ膨張制御部材としてのブラダ膨張制御スリーブ43は、上端にラッパ状に開いたブラダ側面規制部43aが形成され、下端にナット43bが固着されている。ナット43bに螺合する螺子軸55は、型ベース部材20に上下方向に延出した状態で回転可能に支持され、同じく型ベース部材20に取り付けたサーボモータ57によりプーリ・ベルト機構58を介して回転され、ブラダ膨張制御スリーブ43、つまりブラダ側面規制部43aを上下位置調整可能としている。前記サーボモータ57、プーリ・ベルト機構58、ナット43b及び螺子軸55は、ブラダ膨張制御スリーブ43を独立して上下位置決めする制御部材位置決め送り機構を構成している。これにより、側面規制部43aは、ブラダ45が膨張動作するとき、ブラダ45の下側面部に押し当てられ、ブラダ45を最初に径方向外方に膨出させ、径方向外方への膨出が確保されたことが例えばタイマーのタイムアップにより確認されるとき下側面部の押し当て位置から後退してブラダ45の側面部の膨出を許容するように動作できる。
前記螺子軸55は、図例では1本のみ図示されているが、円周方向に等角度配置で複数本設けられ、これら複数本の螺子軸55の弾性変形によりブラダ膨張制御スリーブ43を水平面内で微少変位を許容して前記金型中心線MCLとほぼ同芯に配置されている。前記第2ブラダ操作スリーブ42は、上端外周面においてブラダ膨張制御スリーブ43の内周面と軸方向に相対摺動可能に嵌合され、その内周面において第1ブラダ操作スリーブ41の外周面を軸方向に相対摺動可能に嵌合している。第1ブラダ操作スリーブ41のための螺子軸43は、図例では1本のみ図示されているが、円周方向に等角度配置で複数本設けられ、これら複数本の螺子軸43の弾性変形により第1ブラダ操作スリーブ41を水平面内で微少変位を許容して前記金型中心線MCLとほぼ同芯に配置されている。これにより、調芯軸81は、第1ブラダ操作スリーブ41の貫通穴41aに密嵌合して挿通されるとき、第1ブラダ操作スリーブ41、第2ブラダ操作スリーブ42及びブラダ膨張制御スリーブ43を水平面内で微少変位させ、金型中心線MCLに調芯して整合する。
上部サイドウォール金型ロック機構LM3は、リングホルダ30に搭載された減速機付きモータ60と、金型中心線MCLを旋回中心線とする円環状の留め金61と、さらに、留め金61の外周部に形成された歯車に噛合しかつモータ60により回転駆動されるピニオン62とで構成される。留め金61は、内断面がコ状に形成され、下端の環状突出部がリングホルダ30の環状溝に係合されてこのリングホルダ30に対し回転可能かつ上下移動不能に支持されている。留め金61の上端の環状突出部は、所定円弧幅の切欠部(図示省略)が等角度間隔で複数形成され、アンクランプ角度位置に位置されるとき、後述される上部サイドウォール金型支持テーブルに固着した複数の係合部材105の下端係合部の侵入を許容し、前記アンクランプ角度位置から所定角度旋回したクランプ位置では前記係合部材105の下端係合部に形成された溝に係合してリングホルダ30と係合部材とを上下方向の両側から挟持し、金型装置25に対する上部サイドウォール金型の圧着閉塞動作を確実にしている。
次に、上半機構部10bについて説明すると、上型を構成する上部サイドウォール金型用の支持開閉機構UM1は、コラム12に敷設した直線ガイドレール71に沿って上下方向に移動可能な移動フレーム70を含む。この移動フレーム70は、上部サイドウォール金型72を支持する下方側の支持テーブル70aと上方側の上板70bと、これら両部材を一体結合して金型中心線MCLと同軸に配置された連結筒70cからなる。上板70bには、上下方向に延びる螺子軸75の下端部が固着され、螺子軸75の上端部は天板13を貫通して延び、天板13の上面に図略のスラスト軸受を介して回転支持されたナット76に螺合している。ナット76は、天板13に装架されたサーボモータ77に対しプーリ・ベルト機構78を介して回転連結されている。これにより、サーボモータ77の動作により、移動フレーム70を上部サイドウォール金型72と共に上下位置決め可能であり、上部サイドウォール金型72を金型装置25との組み合わせることができる。
支持テーブル70aは、その下面において、上部サイドウォール金型72を金型中心線MCLと同軸に固着している。上板70bの上面には、金型中心線MCLと同芯に案内筒80が固着され、この案内筒80にガイドされた調芯軸81が金型中心線MCLで上下進退可能に案内されている。調芯軸81は、調芯機構UM3の一部を構成し、その上端にクロスバー82が固着され、このクロスバー82の一端には、螺子軸83の上端が一体固着されている。螺子軸83は上下方向に延び、図略スラスト軸受により上下方向の相対移動を規制され回転のみ自在に上板70b上に支持されたナット84に螺合され、このナット84は上板70b上に装架された図略のサーボモータによりプーリ・ベルト機構85を介して回転駆動可能である。これにより、図略のサーボモータが駆動されると、調芯軸81は、その下端部を上部サイドウォール金型72内に位置させる上昇位置(非調芯・非連結位置)とその下端部を金型装置25、第1ブラダ操作スリーブ41の貫通穴41a、及び型ベース部材20を貫通する下降位置(調芯・連結位置)との間で進退可能である。
第2図に示すように、上部サイドウォール金型72を金型装置25との組み合わせ下降位置に進出した状態では、下降位置に位置決めされた調芯軸81の上端フランジ部81aが案内筒80の上端面に当接し、下端部は型ベース部材20の下面から突き出でる。この突き出した部分に形成された2面溝に二股楔部材86を挿入することにより、フレーム14に対し上昇不能にロックされた調芯軸81が型ベース部材20に対し移動フレーム70の上面つまり後面を押圧するように作用し、金型装置25、上部サイドウォール金型72、第1ブラダ操作スリーブ41、第2ブラダ操作スリーブ42及びブラダ膨張制御スリーブ43を調芯し、これら部材を金型中心線MCLに整合させる。これと共に、上部サイドウォール金型72が金型装置25内の圧力上昇により分割トレッド金型27の上面から乖離することが防止される。
さらに、ブラダ副操作機構UM2を構成する連結筒90が連結筒70cと同心に配置され、その中心貫通穴にて調芯軸81の外周に軸方向に相対摺動可能に嵌合している。連結筒90には、径方向に対向する2位置に一対の連結爪91が開閉旋回可能に支持され、これら連結爪91の中間部はそれぞれリンクを介して操作棹92に枢着されている。操作棹92の上端部は、それぞれ連結筒70cの上端部に設けた一対の空気シリンダ93の図略のピストンに結合され、空気シリンダ93の動作により連結爪91を開閉可能としている。連結筒90の上端には、ナット94が固着され、このナット94はプーリ・ベルト機構95を介して天板70bに固定のサーボモータ96により回転される螺子軸97に螺合している。螺子軸97は、上板70bに回転のみ可能に支持され、連結筒90が調芯軸81に倣えるように微少量弾性変形可能である。サーボモータ96、プーリ・ベルト機構95、螺子軸97及びナット94は、連結筒90を介して第1ブラダ操作スリーブ41を上下送りする第1ブラダ操作スリーブ送り機構を構成している。
サーボモータ96を動作させると、連結筒90を移動フレーム70に対し下降させることができ、この下降位置で連結爪91を閉じ動作させれば、被把持環46を把持できる。これにより、第1ブラダ操作スリーブ41が連結筒90と一体結合され、この連結筒90をサーボモータ96の動作により上昇させ、かつこれと同期してサーボモータ51を動作して第2ブラダ操作スリーブ42を上昇動作させることにより、ブラダ45を膨出状態に維持しながら加硫位置からその上部の受渡し位置LPへ移動させることができる。従って、ブラダ45は、次に加硫すべき生タイヤを受渡し位置LPから加硫位置へ型込め移送し、加硫済みのタイヤTRを加硫位置から受渡し位置LPへ型抜き戻し移送するタイヤTRの型込め・型抜き装置としても機能できる。
さらに、連結筒90の外周には下端部100aがラッパ状のブラダ膨張制御スリーブ100が配置され、ブラダ膨張制御部材として機能するこのスリーブ100の上端にナット100bが固着されている。このナット100bとこれに螺合する螺子軸101は、円周方向等間隔で複数組配置され、上板70bに上下方向に延出した状態で回転可能に支持されている。上板70bに装架したサーボモータ102によりプーリ・ベルト機構103を介して螺子軸101を回転し、ブラダ膨張制御スリーブ100、つまりブラダ側面規制部100aを上下位置調整可能としている。これにより、側面規制部100aは、ブラダ45が膨張動作するとき、ブラダ45の上側面部に対し、上述したブラダ側面規制部42aと同様に作用する。サーボモータ102、プーリ・ベルト機構103、螺子軸101及びナット100bは、ブラダ膨張制御スリーブ100を上下方向に独立して位置決めする制御部材位置決め送り機構を構成している。
次に、上記のように構成された実施例の加硫機の動作を説明する。第1図に示す原位置の状態において、搬入出装置16により外周を保持された未加硫の生タイヤが金型中心線MCLと同芯の搬入出位置LPへ搬入される。この搬入動作の完了と同時に、調芯軸81は図略のサーボモータがナット84を回転して螺子軸81を下降動作することにより下降され、その下端部を第1ブラダ操作スリーブ41の貫通穴41aに挿入し、このスリーブ41の上下方向中間位置に到達させる中間下降位置で停止される。これにより、第1及び第2ブラダ操作スリーブ41、42及びブラダ膨張制御スリーブ43がそれらを支持する螺子軸43、55の弾性変形により水平面内で微少変位され、調芯軸81に調芯されて金型中心線MCLと同芯に整合される。
調芯軸81の下降動作に若干遅れて、連結筒90がサーボモータ96の動作により下降端まで下降され、一対の連結爪91を被把持環46の環状V溝に整合させ、続く空圧シリンダ93の動作により連結爪91を閉じ動作させ、第3図(A)に示すように、第1ブラダ操作スリーブ41を連結筒90に一体結合する。次に、第3図(B)に示すように、連結筒90がサーボモータ96の逆転により原位置まで上昇動作され、このとき、ブラダ45は略円筒状に延ばされた状態で生タイヤTRの中心に挿通される。この上昇動作に若干遅れて、第2ブラダ操作スリーブ42及びブラダ膨張制御スリーブ43がそれぞれサーボモータ51、57の動作により略一体的に上昇され、ブラダ膨張制御スリーブ43の上端の側面規制部43aを生タイヤTRの幅方向中心に関してブラダ膨張制御スリーブ100の下端の側面規制部100aと対称となる第3図(B)に示す位置まで上昇させる。
続いて、下側の第2ブラダ操作スリーブ42及びブラダ膨張制御スリーブ43の組と上側の第1ブラダ操作スリーブ41及びブラダ膨張制御スリーブ100の組とが同期して生タイヤTRの幅方向中心位置に向かって互いに接近送りされる。第3図(C)に示すように、この前進位置では、ブラダ膨張制御スリーブ43の側面規制部43a及びブラダ膨張制御スリーブ100の側面規制部100aは、生タイヤTRの内部、つまり生タイヤTRの上下のビード部を超えて内部まで互いに接近される。この停止位置では、連結筒90に連結された第1ブラダ操作スリーブ41のブラダ拘束部41bに対しブラダ側面規制部100aが突出しており、第2ブラダ操作スリーブ42のブラダ拘束部42aに対しブラダ側面規制部43aが若干突出している位置関係となっている。
次に、ブラダ45内に圧縮空気が導入され、ブラダ45は生タイヤTRの幅方向中央位置において径方向外方に次第に膨出し始める。ブラダ45の膨出動作の初期においては、下側の第2ブラダ操作スリーブ42及びブラダ膨張制御スリーブ43の組と上側の第1ブラダ操作スリーブ41及びブラダ膨張制御スリーブ100の組とは第3図(C)の位置で保持される。このため、ブラダ45は、上下のブラダ側面規制部100a及び43aにより狭められた空間内で膨張し始め、生タイヤTRの幅方向中央部を中心として膨出し、生タイヤTRのトレッド部内側の幅方向中心から生タイヤTRに当たり始める。その後、サーボモータ102、57を制御して、ブラダ膨張制御スリーブ100及びブラダ膨張制御スリーブ43は少しずつ互いに離れる方向に位置制御され、第3図(D)に示すように、ブラダ側面規制部100a、43aをそれぞれ生タイヤTRの上下のビード部に整合させる。これにより、ブラダ45は、次に幅方向(この場合は、上下方向)に膨張するようになり、生タイヤTRの全内周面部に正しく全面当たりするようになる。
すなわち、ブラダ膨張制御スリーブ43とブラダ膨張制御スリーブ100とをこのようにブラダ45の膨出時に位置制御することにより、ブラダ45と生タイヤの上下方向の対称性が確立される。また、金型中心線MCLに対して同芯性が確立されているブラダ45により生タイヤの内面を支持することにより、ブラダ45に支持された状態の生タイヤは金型中心線MCLに対して同芯性が精密に確立される。加えて、本実施例の装置においては、ブラダ45の上端環部を気密的に拘束する拘束部41bの直径と下端環部を気密的に拘束する拘束部42aの直径とを同一直径にしてあるので、ブラダ45は、生タイヤTRの幅方向中心に対し偏向しながら膨出することが防止され、上下対称に膨張することにより生タイヤTRを幅方向の中心に対し一層高精度な対称形状に成形保持することができる。
このようにして生タイヤTRがブラダ45により幅方向及び径方向に共に対称となるように内側から保持されると、搬入出装置16が生タイヤTRを釈放し、加硫機10の機外へ退去する。その後、上側の移動フレーム70と下側の第2ブラダ操作スリーブ42及びブラダ膨張制御スリーブ43の組とは、サーボモータ77、51および57を同期制御することにより一体的に下降され、これにより、第1ブラダ操作スリーブ41及びブラダ膨張制御スリーブ100の組と第2ブラダ操作スリーブ42及びブラダ膨張制御スリーブ43の組とは、これら4つの部材の相対位置を不変に維持した状態において、4部材が一体的に下降され、生タイヤTRはその幅方向中心が分割トレッド金型27の幅方向(上下方向)中心に整合する加硫位置までブラダ45に保持されて下降される。この場合、分割トレッド金型27は放射方向に開いた拡張位置にあるので、生タイヤTRは分割トレッド金型27に干渉することなく加硫位置へ型込め導入される。生タイヤTRが加硫位置へ到達する時、上側の移動フレーム70と下側の第2ブラダ操作スリーブ42及びブラダ膨張制御スリーブ43の組との同期送り、つまり、サーボモータ77、51および57の同期制御が終了され、サーボモータ51、57の動作が停止されて第2ブラダ操作スリーブ42及びブラダ膨張制御スリーブ43の下降動作が停止される。
この停止位置状態では、支持テーブル70aの下面は、分割トレッド金型27の上面から未だ離間している。それ故、サーボモータ77の動作が再開されて移動フレーム70は、支持テーブル70aの下面を分割トレッド金型27の上面に密着させる位置まで、型閉め動作のためにその後下降される。この型閉め下降動作中においては、サーボモータ77の動作と同期してサーボモータ96及び102が逆転動作され、この結果、移動フレーム70の下降動作と同一速度で同量だけ連結筒90及びブラダ膨張制御スリーブ100が移動フレーム70に対し上昇移動される。これにより、連結筒90及びこれに連結された第1ブラダ操作スリーブ41とブラダ膨張制御スリーブ100は上下位置が不変に保持され、ブラダ45の膨出状態における形状を不変に維持し、これによって生タイヤTRはその幅方向中心が分割トレッド金型27の幅方向(上下方向)中心に整合し、直径方向の中心が金型中心線MCL、つまり分割トレッド金型27と同芯にされた状態で加硫位置に正しく保持される。
このようにして、移動フレーム70が下降され、上部サイドウォール金型72を下降端である型組み位置へ下降させる。このとき、調芯軸81は、移動フレーム70の下降動作により、これと共に下降され、下端部を型ベース部材20の下端面から突出させる。この突き出した部分に形成された2面溝に対し、図略の空気シリンダにより動作される二股楔部材86が係合され、調芯軸81の下端部は型ベース部材20つまりフレーム14と一体的に結合される。この状態においては、調芯軸81の上端フランジ部81aが案内筒80の上面、つまり移動フレーム70の後面に当接されており、移動フレーム70の上方への後退が阻止される。よって、この状態においては、下部サイドウォール金型26に対する上部サイドウォール金型72の相対位置を含めて加硫機10の下機構部10aに対する上機構部10bの相対位置が調芯軸81により固定される。
続いて、サーボモータ32の動作により螺子軸31が回転され、型締めリング部材29と共にリングホルダ30がコラム12に沿って上昇され、8個の分割トレッド金型27がそれらの上下面において支持テーブル70aの下面及び型支持テーブル22の上面を摺動しながら第1図の開放位置から径方向内方へ移動されて第2図に示す閉塞位置へ移動される。そして、この移動端においては、分割トレッド金型27の各々は、その上下部の円弧面が上部サイドウォール金型72及び下部サイドウォール金型26の外周面に密着した状態で停止される。
前述したように、移動フレーム70が下降端に移動されたとき、支持テーブル70aに等角度間隔で配置された複数(例えば8個)の連結部材105の下端部は、円環状の留め金61の上端環状突出部の図略の切欠部を通過して留め金61の内凹状空間内へ侵入されている。このため、次に、モータ60を動作し、ピニオン62を介して留め金61を所定角度回転すると、留め金61の上端環状突出部が連結部材105の溝105a内に嵌合し、移動フレーム70とリングホルダ30は、連結部材105と留め金61とを介して互いに挟持される。
この状態において、第1ブラダ操作スリーブ41に形成された給気路41cから加熱気体(例えば、スチーム、加熱した不活性ガス)がブラダ45の内部へ供給され、同時に排気路41dから以前に供給した加圧エアーを排出させ、ブラダ45内の気体を加熱気体と交換する。この気体の交換は、ブラダ45内の圧力変化を検出しながら内部圧を低下させないように行うことが好ましい。これにより、ブラダ45を通して生タイヤTRが加圧及び加熱されて、外側の金型27、26、72と相まって、加硫処理される。
この加硫処理が所定時間行われた後、モータ60が逆転動作されて、留め金61による移動フレーム70とリングホルダ30の挟持が釈放され、また、二股楔部材86が図略のエアシリンダの逆動作により調芯軸81の下端部との一体結合から釈放される。また、サーボモータ32の逆転動作により、リングホルダ30が下降動作され、分割トレッド金型27は放射方向外方の開放位置へ復帰され、加硫済みタイヤTRの型抜きに動作に準備する。
分割トレッド金型27の開放位置への復帰が完了すると、サーボモータ77の逆転動作により、移動フレーム70、調芯軸81、連結筒90、ブラダ膨張制御スリーブ100、未だ連結筒90と一体結合されている第1ブラダ操作スリーブ41が上昇され、またサーボモータ51と57の同期した逆転動作により、第2ブラダ操作スリーブ42及びブラダ膨張制御スリーブ43が一体的に上昇される。この場合、移動フレームの70の上昇速度は、第2ブラダ操作スリーブ42及びブラダ膨張制御スリーブ43の上昇速度よりも速い速度(好適には、2倍の速度)に設定され、逆に、サーボモータ96及び102が第2ブラダ操作スリーブ42及びブラダ膨張制御スリーブ43の上昇速度と同一速度で移動フレーム70に対し連結筒90及びブラダ膨張制御スリーブ100を下降させるように動作される。
これにより、ブラダ45は、それに保持した加硫済みタイヤTRを下部サイドウォール金型26に対し離別させながら上部サイドウォール金型72に対し同一速度で離別させるように加硫済みタイヤTRを型抜き上昇することができ、かつ上側の第1ブラダ操作スリーブ41とブラダ膨張制御スリーブ100との組と下側の第2ブラダ操作スリーブ42とブラダ膨張制御スリーブ43との組との相対位置を不変に維持してブラダ45の変形を防止する。この結果、上部及び下部サイドウォール金型72、26に対する型抜きを均等かつ円滑に行うことができ、加硫済みタイヤTRの上下対称性が高精度に維持される。
そして、移動フレーム70は、第3図(D)に示す上昇原位置に復帰するまで後退され、一方、上側の第1ブラダ操作スリーブ41とブラダ膨張制御スリーブ100との組と下側の第2ブラダ操作スリーブ42とブラダ膨張制御スリーブ43との組との同期移動は、加硫済みタイヤTRを搬入出位置LPに位置決めするように行われる。なお、移動フレーム70が先に上昇原位置に復帰するので、移動フレーム70が上昇原位置で停止した以降は、上側の第1ブラダ操作スリーブ41とブラダ膨張制御スリーブ100との組は、移動フレーム70に対して上昇し、下側の第2ブラダ操作スリーブ42とブラダ膨張制御スリーブ43との組と上方へ加硫済みタイヤTRを搬入出位置LPに位置決めするまで行われる。このようにして、ブラダ45は、依然膨出状態で加硫済みタイヤTRを内部から保持した状態で搬入出位置LPへ搬出される。この後、加硫機10の機外から搬送装置16が機内へ進出し、加硫済みタイヤTRの外周を把持する。
搬送装置16による加硫済みタイヤTRの把持が確認されると、ブラダ45内の加熱気体が第1ブラダ操作スリーブ41の排気路41dから外部へ排出され、ブラダ45が収縮される。この場合、ブラダ膨張制御スリーブ100とブラダ膨張制御スリーブ43は、加硫済みタイヤTRの上下のビード部との整合位置から加硫済みタイヤTRの内方へ互いに接近動作し、収縮動作するブラダ45が加硫済みタイヤTRの内面から容易に剥離できるように助成する。ブラダ膨張制御スリーブ100とブラダ膨張制御スリーブ43は、一旦互いに接近動作した後、逆に互いに離間する方向に動作され、ブラダ膨張制御スリーブ100は、その下端のブラダ側面規制部100aの先端を上部サイドウォール金型72の型形成面と整合させる後退位置へ復帰され、これと並行してブラダ膨張制御スリーブ43はその上端のブラダ側面規制部43aの先端を加硫済みタイヤTRの幅方向(上下方向)の中心に対する対称位置まで下降される。このブラダ膨張制御スリーブ100とブラダ膨張制御スリーブ43の接近及び離間動作は、サーボモータ102、57を同期制御することにより行われる。
また、サーボモータ76及び51がそれぞれサーボモータ102及び57と同期制御され、これにより未だ連結筒90に一体結合されている第1ブラダ操作スリーブ41及び第2ブラダ操作スリーブ42は、それぞれブラダ膨張制御スリーブ100とブラダ膨張制御スリーブ43の接近及び離間動作に追従して接近及び離間動作される。これにより、第3図(B)に示す位置と同様に、加硫済みタイヤTRの幅方向中心に対して、ブラダ膨張制御スリーブ100とブラダ膨張制御スリーブ43は対称位置となり、また、ブラダ膨張制御スリーブ100のブラダ側面規制部100aとブラダ膨張制御スリーブ43のブラダ側面規制部43aも対称位置となり、ブラダ45は単純円筒形状となる。
続いて、連結筒90及びこれに一体結合されている第1ブラダ操作スリーブ41及び第2ブラダ操作スリーブ42は、サーボモータ96及び51の動作により下降動作され、第3図(A)に示す位置と同様な位置で停止される。この停止位置では、第1ブラダ操作スリーブ41は、その下端面が型ベース部材20の上面に着座され、この状態において、一対のエアシリンダ93が一対の連結爪91を釈放動作し、第1ブラダ操作スリーブ41を連結筒90との結合から切り離す。そして、連結筒90がサーボモータ96の動作により上昇動作され上昇端位置まで後退され、また、図略のサーボモータの動作により調芯軸81が上昇端位置へ後退して、全ての可動部材が第1図に示す原位置へ復帰され、搬送装置16が加硫済みタイヤTRを機外に搬出し、加硫機10の加硫動作サイクルが終了される。
上記した実施例においては、サーボモータ或いは通常のモータにより螺子軸或いはこれに螺合するナットを回転する形式の可動部材の送り機構は、図例では各送り機構について1本の螺子軸を図示しているが、螺子軸は1本でもよいし、明細書中の該当箇所で記述したように円周方向の等角度間隔で配置した複数の螺子軸を用いてもよい。また、把持爪93を開閉するシリンダ93のような流体シリンダは、気体シリンダに代えて、液体シリンダを用いることができる。
また、実施例中に記載した加硫機の動作サイクルは、好ましい動作サイクルを例示するものであるが、この他の動作サイクルも使用でき、必要に応じて動作サイクルの変更が可能である。
本発明に係るタイヤの加硫方法及び同方法を実施するための加硫機は、自動車の車輪のタイヤの製造に適用するのに適している。

Claims (11)

  1. 放射方向の外方に開放された分割トレッド金型内へ生タイヤを型込めし、前記分割トレッド金型を放射方向の内方に閉じかつブラダを型込めされた前記生タイヤの内方で膨出した状態で加硫処理し、加硫処理の完了後に、前記分割トレッド金型を放射方向外方に開放して加硫済みタイヤを型抜きするようにしたタイヤの加硫方法において、前記ブラダを前記分割トレッド金型内の加硫位置において膨出及び縮小可能とすると共に前記加硫位置から前記分割トレッド金型の軸線に沿って所定距離離れた前記分割トレッド金型の外部のタイヤ受け渡し位置においても膨出及び縮小可能とし、前記タイヤ受け渡し位置に搬入された前記生タイヤをこの受け渡し位置で前記ブラダを膨出させてこのブラダに保持させ、前記ブラダにより前記加硫位置の前記分割トレッド金型内へ型込めさせ、加硫処理後に、前記ブラダが加硫済みタイヤを前記加硫位置から前記受け渡し位置へ型抜きし、前記受け渡し位置で前記ブラダを縮小させてこのブラダから取り外し可能としたことを特徴とするタイヤの加硫方法。
  2. 生タイヤを収容する下金型に対しこの下金型の上方に同心配置した上金型を下降させて前記上金型を前記下金型に組み合わせ、生タイヤの内部で膨出するブラダの上端及び下端環部を気密的に拘束する上下移動可能な一対のブラダ操作スリーブを有する縦形加硫機におけるタイヤの加硫方法において、加硫時に前記下金型、前記上金型、前記生タイヤ、前記ブラダ及び前記一対のブラダ操作スリーブの中心に一本の調芯軸を挿通させて前記一対のブラダ操作スリーブを前記下金型及び前記上金型に対し調芯した状態で加硫処理を行うことを特徴とする加硫機におけるタイヤの加硫方法。
  3. 請求項2に記載の加硫方法において、前記下金型を構成する水平放射方向で開閉可能な分割トレッド金型内の加硫位置において前記ブラダを膨出及び縮小可能とすると共に前記加硫位置から前記分割トレッド金型の軸線に沿って上方に所定距離離れた前記分割トレッド金型の外部のタイヤ受け渡し位置においても膨出及び縮小可能とし、前記タイヤ受け渡し位置に搬入された前記生タイヤをこの受け渡し位置で前記ブラダを膨出させてこのブラダに保持させ、前記ブラダにより前記加硫位置の前記分割トレッド金型内へ型込めさせ、加硫処理後に、前記ブラダが加硫済みタイヤを前記加硫位置から前記受け渡し位置へ型抜きし、前記受け渡し位置で前記ブラダを縮小させてこのブラダから取り外し可能としたことを特徴とする加硫機におけるタイヤの加硫方法。
  4. 縦方向に延出されたフレームと、このフレームの上下方向のほぼ中間位置の下方に固定配置された下金型と、前記フレームの前記中間位置より上方に配置され前記フレーム上で前記下金型と同心に上下動可能に案内され送り機構により上下方向に位置決め可能な上金型と、前記下金型及び前記上金型の中心を通る型中心線と同心に配置されたブラダと、前記型中心線と略同心に上下動可能にかつ水平方向には微少変位可能に配置されそれぞれが前記ブラダの下端環部及び上端環部を気密的に拘束する第1及び第2ブラダ操作スリーブと、前記第1及び第2ブラダ操作スリーブを個々に上下位置決めするブラダ位置決め機構と、さらに、前記型中心線上に配置されて送り機により上下動可能に設けられ加硫時において前記上金型、前記ブラダ、前記第1及び第2ブラダ操作スリーブ及び前記下型に挿通されて前記第1及び第2ブラダ操作スリーブを前記上金型及び前記下金型に対して調芯する調芯軸とを設けたことを特徴とするタイヤ用加硫機。
  5. 請求項4に記載の加硫機において、ブラダ位置決め機構は、前記ブラダが前記下金型内の加硫位置で膨出されるように前記第1及び第2ブラダ操作スリーブを位置決め可能であると共に、前記ブラダが前記加硫位置から上方に離間した前記フレームの上下方向のほぼ中間位置で膨出されるように前記第1及び第2ブラダ操作スリーブを位置決め可能であることを特徴とするタイヤ用加硫機。
  6. 請求項5に記載の加硫機において、前記ブラダの上下側面に当接してこのブラダの膨出動作及び膨出状態の側面形状を規制する上下一対のブラダ膨出制御部材と、これら一対のブラダ膨出制御部材を上下方向に個々に位置決めする制御部材位置決め送り機構とをさらに備えることを特徴とするタイヤ用加硫機。
  7. 請求項4に記載の加硫機において、前記ブラダ位置決め機構は、前記第1ブラダ操作スリーブを上下送りするために前記フレームのほぼ中間位置より上方に配置された第1ブラダ操作スリーブ送り機構と、前記第2ブラダ操作スリーブを上下送りするために前記フレームのほぼ中間位置より下方に配置された第2ブラダ操作スリーブ送り機構とからなることを特徴とするタイヤ用加硫機。
  8. 請求項7に記載の加硫機において、前記第1ブラダ操作スリーブと第1ブラダ操作スリーブ送り機構とは互いに結合分離可能であり、前記第1ブラダ操作スリーブを前記第1ブラダ操作スリーブ送り機構に対し連結する連結手段がさらに設けられていることを特徴とするタイヤ用加硫機。
  9. 請求項7又は8のいずれかに記載の加硫機において、前記第1及び第2ブラダ操作スリーブ送り機構はそれぞれ同期制御可能なサーボモータにより構成されることを特徴とするタイヤ用加硫機。
  10. 請求項4〜9のいずれかに記載の加硫機において、前記フレームのほぼ中間位置より上方に配置されて前記フレーム上で上下移動可能に案内された移動フレームを設け、この移動フレーム上に前記上金型を固定支持し、前記調芯軸にはその下端部が前記下金型を貫通した状態で前記フレームに対し上昇不能に固定されるとき前記移動フレームの上面に当接するフランジ部が設けられていることを特徴とするタイヤ用加硫機。
  11. 請求項5〜10のいずれかに記載の加硫機において、前記下金型は水平面上で放射方向に進退可能に案内された複数の金型片からなる分割トレッド金型とこの分割トレッド金型の下方側面を閉塞する下部サイドウォール金型とから構成され、前記上金型は前記分割トレッド金型の上方側面を閉塞する上部サイドウォール金型からなることを特徴とするタイヤ用加硫機。
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