以下、この発明の実施形態1を図面に基づいて説明する。
図1において、A、B、Cは床面11の上方に規定された3つのステーション、即ち、搬入ステーション、加硫ステーション、冷却ステーションであり、これらの搬入、加硫、冷却ステーションA、B、Cは後方から前方に向かって同一直線上を等距離離れて順次配置されている。12は前記床面11上に敷設された前後方向に延びるガイドレールであり、このガイドレール12は搬入ステーションAおよび加硫ステーションBを貫いて延在している。15は前記ガイドレール12に摺動可能に支持された可動台であり、この可動台15は図示していない第1駆動機構から駆動力を受けて搬入ステーションAと加硫ステーションBとの間を前後方向に移動することができる。16は前記可動台15に固定された下基台であり、この下基台16の上面には下金型17が着脱可能に取付けられている。
19は前記下金型17の中央部に設置された中心機構であり、この中心機構19は上下方向に延びる略円筒状からドーナツ状へと膨張することができるブラダ20を有する。前述した可動台15、下基台16、下金型17、中心機構19は全体として、加硫機21の下部機構22を構成する。23は加硫ステーションBに設置された加硫機21の加硫機本体であり、この加硫機本体23は上端に複数の昇降シリンダ24が取付けられたフレーム25を有し、これら昇降シリンダ24のピストンロッド26の先端(下端)には上基台27が固定されている。そして、この上基台27は、前記昇降シリンダ24の作動により、フレーム25に敷設されたガイドレール28にガイドされながら昇降することができる。
前記上基台27の下面には上モールドおよび弧状を呈する複数のセクターモールドからなる上金型31が着脱可能に取付けられ、この上金型31のセクターモールドの周囲には昇降可能なアウターリング32が配置されている。33は上基台27に取付けられた拡縮シリンダであり、この拡縮シリンダ33が作動すると、アウターリング32が昇降し、これにより、上金型31のセクターモールドは半径方向に同期移動し拡縮する。このように前述の加硫機21は、加硫ステーションBに位置している加硫機本体23と、搬入ステーションAと加硫ステーションBとの間を移動可能な下部機構22とに2分割されているのである。
そして、上基台27、上金型31が下降して下、上金型17、31が閉止されると、グリーンタイヤGは下、上金型17、31により形成された加硫空間に収納されるが、このとき、中心機構19のブラダ20内に高温、高圧の加硫媒体が供給され、これにより、グリーンタイヤGは加硫されて加硫済タイヤTとなる。ここで、加硫終了後もセクターモールドが縮径状態であると、上金型31は加硫済タイヤTを把持し続けることができ、この結果、加硫済タイヤTは上金型31に把持されたまま昇降可能となる。前記フレーム25の後側面に敷設されたガイドレール35には昇降可能な移載台36が支持され、この移載台36には拡縮可能な複数の把持爪37が支持されている。そして、図示していない搬入手段によりグリーンタイヤGが搬入ステーションAに搬入されると、前記把持爪37は拡径してグリーンタイヤGを内側から把持する。
41は下部機構22より前方に設置されガイドレール12に摺動可能に支持されたスライドフレームであり、このスライドフレーム41の後端は図示していない連結機構により下基台16に連結解除可能に連結され、一方、その前端には水平な支持プレート42および搬出コンベア43が固定されている。ここで、前記搬出コンベア43は多数の回転するローラ43aを有し、これらローラ43aが回転することで加硫済タイヤTを下方から支持しながら前方に搬出することができる。
なお、この発明においては、前記搬出コンベア43の代わりに、加硫済タイヤTを把持しながら昇降および水平移動することにより搬出する周知のアンローダーを設置したり、あるいは、起立方向に傾斜したとき、後述する下リム上の加硫済タイヤTを持ち上げて下リムから受け取り、前方に向かって滑らせながら搬出する搬出コンベアを設置してもよい。この場合には、後述するリム交換装置と搬出コンベアとの干渉を回避することができるため、リム交換装置の昇降手段(昇降シリンダ69)を省略してもよい。
44は冷却ステーションCより前方の床面11上に設置された固定フレームであり、この固定フレーム44に敷設されたガイドレール45には支持プレート42、搬出コンベア43が摺動可能に係合しており、この結果、スライドフレーム41、支持プレート42、搬出コンベア43は、図示していない第2駆動機構から駆動力を受けると、ガイドレール12、45にガイドされながら前後方向に移動することができる。そして、下部機構22とスライドフレーム41とが連結機構により連結されていると、これら下部機構22、スライドフレーム41は一体的に移動し、一方、連結機構による連結が解除されていると、個別に移動することができる。そして、この搬出コンベア43は、後述のインフレータ本体51が冷却ステーションCに位置しているときには、該冷却ステーションCより前方の前方位置Dに退避しているが、インフレータ本体51が冷却ステーションCから加硫ステーションBまで後方に移動すると、冷却ステーションCに侵入する。
46は前記スライドフレーム41に支持された上下方向に延びる円筒状の下リムサポートであり、この下リムサポート46は水平軸を中心として 180度だけ間欠的に回転することができる。前記下リムサポート46の両端にはそれぞれ下締結体47を有する下リム48が着脱可能に連結され、各下リム48は下リムサポート46内の駆動モータ49から駆動力を受けて軸線回りに回転することができる。前述した下リムサポート46、下締結体47、下リム48、駆動モータ49および図示していない内圧供給機構は全体としてポストキュアインフレータ50のインフレータ本体51を構成し、このポストキュアインフレータ50は前記加硫済タイヤTに内圧を供給して所定形状に保持しながら回転させることで該加硫済タイヤTを冷却する。
そして、前述のような加硫終了後に、上金型31が加硫済タイヤTを把持しながら一旦上昇限まで上昇した後、下金型17が搬入ステーションAまで、インフレータ本体51が加硫ステーションBまでそれぞれ移動し、その後、上金型31が加硫済タイヤTと共に下降すると、前記加硫済タイヤTは加硫ステーションBに位置しているインフレータ本体51の下リム48に受け渡される。前記フレーム25の前側面に敷設されたガイドレール54にはポストキュアインフレータ50の上リムサポート55が昇降可能に支持され。この上リムサポート55には冷却ステーションCに位置している上リム56が着脱可能に連結されている。
57は前記上リム56に設けられた上締結体であり、この上締結体57は上リムサポート55が下降して冷却ステーションCに位置している下締結体47に締結されると、下リム48と上リム56とを一体的に連結し、加硫済タイヤTを上下から支持する。その後、上リムサポート55が上リム56を連結から解除するとともに、上方に移動すると、加硫済タイヤT内に内圧供給機構から所定圧の内圧が充填されるとともに、駆動モータ49により下、上リム48、56、加硫済タイヤTが一体的に回転され、該加硫済タイヤTが冷却される。
60は上リム56に設けられた拡縮可能な複数の支持体であり、これらの支持体60は拡径したとき、加硫済タイヤTを内側から支持することができる。そして、支持体60が前述のように加硫済タイヤTを支持すると、上締結体57と下締結体47との締結が解除され、その後、上リムサポート55は加硫済タイヤTと共に上昇限まで上昇する。その後、支持体60が下降するとともに加硫済タイヤTを支持から解放すると、該加硫済タイヤTは冷却ステーションCに位置する搬出コンベア43に供給される。前述したインフレータ本体51、上リムサポート55、上リム56、上締結体57、支持体60は全体として、前記ポストキュアインフレータ50を構成する。
図1、2、3、4において、63は固定フレーム44および前方位置Dにおける搬出コンベア43の直上に設置された水平なリム交換装置62の昇降プレートであり、この昇降プレート63の下面には上下方向に延びる複数のガイドロッド64が固定されている。65は前記固定フレーム44の上端部に固定された複数のガイドブロックであり、これらのガイドブロック65には対応するガイドロッド64が摺動可能に挿入されている。前記昇降プレート63の上面には前後方向に延びる複数のガイドレール66が敷設され、これらのガイドレール66には昇降プレート63の直上に設置された水平な可動プレート67が摺動可能に支持されている。
前記可動プレート67の直上には水平な支持プレート68が設置され、この支持プレート68は前記可動プレート67と支持プレート68との間に介装された軸受71により上下方向に延びる中心軸Z回りに旋回することができる。69はロッド側が前記固定フレーム44の上端部に連結された上下方向に延びる昇降手段としてのブレーキ付き昇降シリンダであり、この昇降シリンダ69のピストンロッド70の先端(上端)は前記昇降プレート63の下面に取付けられている。この結果、前記昇降シリンダ69が作動すると、昇降、可動、支持プレート63、67、68は一体となってガイドロッド64、ガイドブロック65によりガイドされながら昇降する。
ここで、冷却ステーションCに位置するインフレータ本体51の後方には前述のように加硫機21が設置されているため、冷却済みの加硫済タイヤTを搬出する搬出コンベア43、および、ポストキュアインフレータ50の下、上リム48、56を交換するリム交換装置62は共にポストキュアインフレータ50の前方に設置されることになり、これらが互いに干渉するおそれがある。
しかしながら、この実施形態では、通常のタイヤ製造時に、前記昇降シリンダ69のピストンロッド70を突出させることで、支持プレート68を上昇限まで上昇させ、これにより、支持プレート68(昇降プレート63)と該支持プレート68の直下、即ち前方位置Dに位置する搬出コンベア43との間に、ポストキュアインフレータ50によって冷却された加硫済タイヤTを搬出する際、該加硫済タイヤTが通過する搬出空間Hを形成するようにしたのである。このように構成すれば、既存の装置構成を改造することなく、スペースを有効利用しながら加硫済タイヤTを容易に搬出することができる。なお、この発明においては、支持プレート68を昇降させる昇降手段として、リンク機構、ねじ機構、ラック・ピニオン機構等を用いるようにしてもよい。
前記支持プレート68は中心軸Zから離れた外側部に中心軸Zを中心として半径方向に延びる複数、ここでは4個の支持部72を有し、これらの支持部72はポストキュアインフレータ50のリム、ここでは下リム48および上リム56の双方を支持可能である。ここで、これら支持部72は周方向に等角度離れて配置されており、この結果、前記支持プレート68は平面形状が十字形を呈している。なお、この発明においては、前記支持部72は後述する実施形態2のように2個であってもよく、3個または5個以上であってもよい。このとき、いずれか1つの支持部間角度を他の支持部間角度より大と、例えば、支持部が2個の場合に支持プレートの平面形状を略V字形とし、その交差部に支持プレートの旋回中心軸Zを配置するようにしてもよい。
各支持部72には半径方向外端から半径方向内側に向かって延びるU字形のスリット74が形成され、これらのスリット74の幅Wは下リムサポート46の両端の直径より僅かに大である一方、支持部72が接触するリム、ここでは、下リム48の直径より小である。75は昇降プレート63に取付けられた前後方向に延びる移動手段としての流体シリンダであり、この流体シリンダ75のピストンロッド76の先端(後端)は可動プレート67の下面に取付けられたブラケット77に連結されている。この結果、前記流体シリンダ75が作動すると、可動プレート67、支持プレート68は一体となってガイドレール66にガイドされながら水平な直線に沿って前後方向に移動する。なお、この発明においては、支持プレート68を下リムサポート46に接近離隔させる移動手段として、リンク機構、ねじ機構、ラック・ピニオン機構等を用いるようにしてもよい。
そして、昇降プレート63、支持プレート68が昇降シリンダ69によって下降限まで下降しているとき、前記流体シリンダ75の作動により支持プレート68が後方に移動して冷却ステーションCに位置する下リムサポート46に接近すると、後側に位置している第1支持部72aのスリット74に下リムサポート46の上端部が徐々に侵入するとともに、第1支持部72aは該下リムサポート46に連結されている下リム48の直下まで移動し、一方、支持プレート68が前方に移動して下リムサポート46から離隔すると、第1支持部72aのスリット74から下リムサポート46が徐々に抜け出るとともに、第1支持部72aは下リムサポート46から離隔した離隔位置Eまで移動する。
このように流体シリンダ75は支持プレート68のいずれかの支持部72を下リム48の直下と、下リムサポート46から前方に離隔した離隔位置Eとの間を移動させることができる。そして、前述のように支持プレート68を水平な直線に沿って下リムサポート46に接近離隔させることにより、支持部72を下リム48の直下まで移動、あるいは、下リムサポート46から離隔移動させるようにすれば、動作が簡単であるため、高速移動が可能となるとともに、構成を簡単、安価とすることができる。
ここで、前述のように第1支持部72aが下リム48の直下に位置しているとき、下リム48が下リムサポート46による連結から解除されて下リムサポート46から取外され、その後、昇降シリンダ69の作動により昇降、可動、支持プレート63、67、68が一体的に若干距離だけ上昇すると、前記下リム48の直下に位置する第1支持部72aは取外された下リム48を下リムサポート46から上昇途中で受け取り下方から支持する。
79は可動プレート67の上面に固定され中心軸Zと同軸の円筒状をした連結部材であり、この連結部材79は前記支持プレート68の中心部に形成され中心軸Zと同軸である遊嵌孔80内に遊嵌され、この遊嵌孔80の内周には多数の内歯81が形成されている。82は連結部材79に形成された複数のスリットであり、各スリット82には中心軸Zに平行な軸線回りに回転可能なアイドル歯車83が収納され、これらのアイドル歯車83は連結部材79にフリー回転可能に支持されている。そして、これらアイドル歯車83の外周に形成された外歯84は前記支持プレート68の内歯81に噛み合っている。
87は前記連結部材79の上端に固定されたサーボモータ、ステッピングモータ等の駆動モータであり、この駆動モータ87の出力軸88の先端(下端)には外周に多数の外歯89が形成された出力歯車90が固定されている。そして、この出力歯車90の外歯89と全てのアイドル歯車83の外歯84とは噛み合っており、この結果、前記駆動モータ87が作動すると、回転駆動力が出力歯車90、アイドル歯車83を介して支持プレート68に伝達され、該支持プレート68は中心軸Zを中心に旋回、この実施形態では図3において時計回りに旋回する。
ここで、前述のように第1支持部72aに使用済みリム(通常、交換時には下リム48と上リム56とは連結、あるいは、下リム48上に上リム56が載置されているため、下、上リム48、56が該当する)が支持され、一方、これから使用する次使用リム(前述と同様に下、上リム48、56が該当する)が、前記後側より旋回方向後方(右側方のことで、図3においては下側)に位置する別の第2支持部72bに支持されているとき、前記駆動モータ87が作動して支持プレート68が90度だけ時計回りに旋回すると、使用済みリムを支持している第1支持部72aは下リムサポート46から離隔し左側方(図3において上側)の位置まで移動する一方、次使用リムを支持している第2支持部72bは下リムサポート46の直上まで移動する。
前述したアイドル歯車83、駆動モータ87、出力歯車90は全体として、下リムサポート46から取外された使用済みリムが、前記リムの直下まで移動している第1支持部72aに支持されたとき、支持プレート68を中心軸Z回りに旋回させることで、使用済みリムを支持している第1支持部72aを下リムサポート46から離隔させる一方、これから使用する次使用リムを支持している別の第2支持部72bを下リムサポート46まで移動させる旋回手段92を構成する。
なお、この発明においては、前記旋回手段を、支持プレート68に出力軸が直結された駆動モータ、あるいは、支持プレート68に固定された外歯車および該外歯車に噛み合う外歯車が出力軸に固定された駆動モータ等から構成してもよい。前述した昇降プレート63、ガイドロッド64、ガイドブロック65、ガイドレール66、可動プレート67、支持プレート68、昇降シリンダ69、軸受71、流体シリンダ75、旋回手段92は全体として、ポストキュアインフレータ50の下、上リム48、56を交換する前記リム交換装置62を構成する。
次に、前記実施形態1の作用について説明する。
まず、通常のタイヤ製造作業について簡単に説明する。今、搬入ステーションAにおいて、移載機構38が搬入されたグリーンタイヤGを把持しながら上昇限で停止し、また、下金型17が空の状態で待機しているとともに、中心機構19のブラダ20は略円筒状を呈しているとする。一方、加硫ステーションBにおいて、上金型31は加硫直後の加硫済タイヤTを把持しながら上昇限で停止し、また、インフレータ本体51は上側に位置する下リム48が空の状態で待機している。
さらに、冷却ステーションCにおいて、上リム56は支持体60により冷却済みの加硫済タイヤTを支持しながら上リムサポート55とともに上昇限まで移動して停止し、搬出コンベア43が前記上リム56の直下に侵入している。また、リム交換装置62の昇降プレート63、支持プレート68は上昇限で停止しており、この結果、昇降プレート63、支持プレート68と搬出コンベア43との間には搬出空間Hが形成されている。このときの状態が図1に示されている。
次に、搬入ステーションAにおいて、移載機構38およびグリーンタイヤGが下降し、該グリーンタイヤGが下金型17上に載置されるとともに、中心機構19のブラダ20が膨張してグリーンタイヤG内に侵入する。その後、把持爪37がグリーンタイヤGを把持から解放すると、移載機構38は上昇限まで再び上昇する。このとき、加硫ステーションBにおいては、昇降シリンダ24の作動により上基台27および加硫済タイヤTを把持している上金型31が下降し、加硫済タイヤTがインフレータ本体51の下リム48に受け渡される。
次に、拡縮シリンダ33によりアウターリング32を上昇させて加硫済タイヤTを上金型31による把持から解放した後、空となった上金型31を上昇限まで再び上昇させる。このとき、冷却ステーションCにおいては、上リム56および冷却済みの加硫済タイヤTが下降した後、支持体60が加硫済タイヤTを把持から解放する。これにより、加硫済タイヤTは搬出コンベア43上に落下して該搬出コンベア43に受け渡される。その後、空となった上リム56は上昇限まで上昇する。
次に、可動台15、グリーンタイヤGを載置した下金型17を搬入ステーションAから加硫ステーションBまで、また、加硫済タイヤTを支持しているインフレータ本体51を加硫ステーションBから冷却ステーションCまで、さらに、加硫済タイヤTが載置された搬出コンベア43を冷却ステーションCから前方位置Dまで一体的に前方に移動させる。次に、加硫ステーションBにおいて昇降シリンダ24により上金型31を下降させ、グリーンタイヤGを下、上金型17、31内の加硫空間に収納する。
その後、ブラダ20内に高温、高圧の加硫媒体が供給されると、上金型31は下金型17と共にグリーンタイヤGを加硫して加硫済タイヤTとする。このときの状態が図5に示されている。次に、搬入ステーションAにおいては、搬入手段により次のグリーンタイヤGが搬入され、移載機構38に把持される。そして、前述のような加硫が終了すると、上金型31は昇降シリンダ24の作動により上昇限まで上昇するが、このとき、上金型31は上昇限に到達しても加硫済タイヤTを把持し続ける。
また、このとき、ブラダ20内から加硫媒体が排出され、該ブラダ20がドーナツ状から円筒状に変形する。一方、冷却ステーションCにおいては、上昇限で停止していた空の上リム56が下降した後、上、下締結体57、47により下リム48と上リム56とが連結され、加硫済タイヤTは上、上リム56、48により上下から支持される。次に、上リムサポート55が上リム56を連結から解除すると、上リムサポート55は上昇限まで上昇する。
次に、インフレータ本体51が水平軸周りに 180度だけ回転し、この結果、冷却済みの加硫済タイヤTは上側となり、今から冷却を行う加硫済タイヤTは下側となる。次に、下側となった加硫済タイヤT内に所定圧の内圧が充填されるとともに、駆動モータ49により下、上リム48、56、加硫済タイヤTが回転され、これにより、加硫済タイヤTは回転されながら冷却される。一方、冷却済みの加硫済タイヤTについては、上リムサポート55が下降して上リム56を該上リムサポート55に連結する。その後、上締結体57と下締結体47との締結が解除されると、上リムサポート55、上リム56は上昇限まで上昇し、これにより、冷却済みの加硫済タイヤTは上リム56と共に上昇限まで上昇する。
このとき、前方位置Dにおける搬出コンベア43が作動し、搬出空間Hを通じて加硫済タイヤTを前方(次工程)に搬出する。次に、可動台15、空の下金型17を加硫ステーションBから搬入ステーションAまで、また、空のインフレータ本体51を冷却ステーションCから加硫ステーションBまで、さらに、空の搬出コンベア43を前方位置Dから冷却ステーションCまで、一体的に後方に移動させる。このようにしてタイヤが製造されるが、前述のようなサイクルを繰り返すことで、タイヤを次々と製造することができる。
次に、例えば、製造すべきタイヤの種類に変更が生じると、このような変更に応じて下、上金型17、31およびポストキュアインフレータ50の下、上リム48、56を対応する種類のものに交換する。以下に、下、上金型17、31の交換作業について説明する。この場合には、下基台16とスライドフレーム41との連結を解除する一方、加硫ステーションBにおいて、上基台27を下降させることで使用済みの上金型31を前記下金型17上に載置し、その後、上金型31を上基台27から取外すとともに、上基台27を再び上昇限まで上昇させる。
次に、可動台15、下、上金型17、31を搬入ステーションAまで移動し、この搬入ステーションAで下基台16から使用済みの下金型17を取外した後、使用済みの下、上金型17、31と、これから使用する次使用の下、上金型17、31とを図示していない交換手段により交換する。次に、下金型17を下基台16に取付けた後、可動台15、次使用の下、上金型17、31を加硫ステーションBまで移動し、その後、上基台27を下降させ、該上基台27に上金型31を取付ける。その後、上基台27、上金型31を上昇限まで移動させる。
次に、下、上リム48、56の交換作業について説明する。この場合には、使用済み下リム48を支持しているインフレータ本体51を冷却ステーションCまで移動させる一方、昇降シリンダ69を作動してピストンロッド70を引っ込め、昇降、可動、支持プレート63、67、68を下降限まで下降させる。次に、流体シリンダ75を作動してピストンロッド76を突出し、可動プレート67、支持プレート68を一体的に後方に移動させ、冷却ステーションCに位置する下リムサポート46および下リム48に接近させる。この結果、後側に位置する第1支持部72aのスリット74に下リムサポート46の上端部が徐々に侵入するとともに、空であるいずれかの支持部72、ここでは第1支持部72aは、図2に示すように、下リムサポート46に連結されている下リム48の直下まで移動する。
次に、上リムサポート55を下降させて上締結体57と下締結体47とを締結することにより、使用済みの下リム48と上リム56とを連結した後、上リム56を上リムサポート55による連結から解除し、その後、上リムサポート55のみを上昇限まで上昇させる。次に、下リム48を下リムサポート46の連結から解除して下リムサポート46から使用済み下リム48および上リム56を取外す。なお、この発明においては、前記下リム48を下リムサポート46から取外した後、該下リム48に下降してきた上リム56を連結するようにしてもよい。
次に、昇降シリンダ69を作動してピストンロッド70を若干量突出させ、昇降、可動、支持プレート63、67、68を一体的に若干距離だけ上昇させる。この結果、前記下リム48の直下に位置する第1支持部72aは下リムサポート46から取外された使用済み下、上リム48、56を受け取って下方から支持する。このとき、右側方に位置する第2支持部72bには、これから使用する互いに連結された次使用下、上リム48、56が下方から支持されている。なお、この発明においては、互いに連結された使用済み下、上リム48、56を下リムサポート46から取外した後、支持プレート68の第1支持部72aを前記使用済み下、上リム48、56の直下まで後方に移動させることで、該使用済み下、上リム48、56を第1支持部72aに支持させるようにしてもよい。
次に、旋回手段92を作動して支持プレート68を中心軸Z回りに90度だけ時計回りに旋回させる。この結果、使用済み下、上リム48、56を支持している第1支持部72aは下リムサポート46から離隔し左側方の位置まで移動する一方、次使用下、上リム48、56を支持している第2支持部72bは下リムサポート46の直上まで移動する。次に、昇降シリンダ69を作動して昇降、可動、支持プレート63、67、68を一体的に若干距離だけ下降させ、第2支持部72bに支持されている次使用下、上リム48、56を下リムサポート46に受け渡す。このように支持プレート68の旋回の直前、直後に該支持プレート68を若干量昇降させるようにすれば、支持部72と下リムサポート46との間での使用済み下、上リム48、56および次使用下、上リム48、56の受渡しを確実とすることができる。
なお、支持プレート68が後方に移動して第1支持部72aが使用済み下、上リム48、56の直下まで移動したとき、該第1支持部72aの上面が下リム48の下面に接触して第1支持部72aが下、上リム48、56を下方から支持し、しかも、この状態で前述のように支持プレート68が旋回したとき、支持プレート68、下リム48と下リムサポート46との間に干渉が生じないような場合には、前述した支持プレート68の若干量の昇降を省略してもよい。
次に、下リムサポート46に次使用下リム48を連結し、冷却ステーションCに位置しているインフレータ本体51の下リムサポート46に次使用下リム48を取付ける。次に、上リムサポート55を下降させて上リム56を該上リムサポート55に取付けた後、下リム48と上リム56との連結を解除し、その後、上リムサポート55、上リム56を上昇限まで上昇させる。なお、この発明においては、次使用上リム56を下リム48から取外して上昇させた後、次使用したリム48を下リムサポート46に連結するようにしてもよい。
次に、流体シリンダ75を作動してピストンロッド76を引っ込め、可動プレート67、支持プレート68を一体的に前方に移動させ、これらを冷却ステーションCに位置する下リムサポート46、下リム48から離隔させる。このとき、第2支持部72bのスリット74から下リムサポート46が徐々に抜け出るとともに、次使用下リム48の直下の空となった支持部72、ここでは第2支持部72bは下リムサポート46から離隔するよう移動する。そして、この移動は第2支持部72bが離隔位置Eに到達したとき停止する。なお、この発明においては、支持プレート68を下リムサポート46から離隔させた後に、第1支持部72aから下リムサポート46に受け渡された次使用下、上リム48、56を下、上リムサポート46、55にそれぞれ取付けるようにしてもよい。
次に、左側方に位置する第1支持部72aに支持された使用済み下、上リム48、56を図示していない排出手段により排出する一方、右側方まで移動してきた第3支持部72c上に次使用下、上リム48、56を図示していない供給手段により供給して支持させ、これにより、下、上リムの積み替えを行う。次に、昇降シリンダ69のピストンロッド70を突出させ、昇降、可動、支持プレート63、67、68を一体的に上昇限まで上昇させ、支持プレート68(昇降プレート63)と搬出コンベア43との間に、冷却後の加硫済タイヤTが搬出時に通過する搬出空間Hを形成する。なお、この発明においては、次使用したリム48が取付けられたインフレータ本体51を冷却ステーションCから加硫ステーションBまで移動させた後、昇降シリンダ69によって支持プレート68を上昇させ、その後、該支持プレート68を流体シリンダ75によって下リムサポート46から離隔するよう前方に移動させてもよい。
前述のように、この実施形態においては、下、上リムサポート46、55から取外された使用済み下、上リム48、56を、その直下まで移動した支持プレート68の第1支持部72aに支持させた後、該支持プレート68を旋回させることで、使用済み下、上リム48、56および第1支持部72aを下リムサポート46から離隔させる一方、別の第2支持部72bに支持されている次使用下、上リム48、56を下リムサポート46まで移動させて下、上リムサポート46、55に取付け、その後、別の第2支持部72bを下リムサポート46から離隔させるようにしたので、一連のリム交換作業時間外において使用済み下、上リム48、56および次使用下、上リム48、56を外段取りで積み替えることができ、これにより、作業能率を容易に向上させることができる。
図6は、この発明の実施形態2を示す図である。この実施形態においては、水平な支持プレート94の外側部に周方向に 180度離れた半径方向に延びる2個の支持部95を設けるとともに、これら支持部95の後側面に前方に向かって延びるU字形のスリット96をそれぞれ形成している。そして、このような支持プレート94を前記実施形態1の昇降プレート63に回転可能に支持させるとともに、旋回手段97によって中心軸Z回りに旋回させるようにしている。なお、この支持プレート94は、タイヤの製造時には、前後方向に直交する方向(左右方向)に延びた状態で停止している。
そして、このような交換装置を用いてリムの交換を行う場合には、支持プレート94を中心軸Z回りに90度だけ旋回(図6において反時計回りに旋回)させることで、空である一方の支持部95aを使用済み下、上リム48、56の直下まで移動させた後、下リムサポート46から取外された使用済み下、上リム48、56を該支持部95aに支持させる。次に、支持プレート94を 180度だけ時計回りに旋回させ、次使用下、上リム48、56を支持している他方の支持部95bを下リムサポート46まで移動する。
次に、前記次使用下、上リム48、56を下リムサポート46に受け渡して取付けた後、支持プレート94を90度だけ反時計回りに旋回させることで、空となった支持部95bを下リムサポート46から離隔させ、支持プレート94を初期位置まで復帰させる。その後、外段取りで使用済み下、上リム48、56を支持部95aから排出するとともに、次使用下、上リム48、56を支持部95bに供給して支持させ、下、上リムの積み替えを行う。このように、この実施形態では移動手段を兼用する支持プレート94の旋回により支持部95を使用済み下、上リム48、56の直下まで、また、次使用下、上リム48、56を下リムサポート46まで移動させることができるので、実施形態1における可動プレート67、流体シリンダ75を省略することができる。なお、他の構成、作用は前記実施形態1と同様である。
なお、前述の実施形態においては、下、上リム48、56を一括して交換するようにしたが、前述の交換装置は下リム48のみが破損したような場合に、該下リム48のみの交換を行うこともできる。また、この実施形態においては、支持プレート68を昇降させる昇降シリンダ69を設けているので、上リム56のみが破損したような場合に、該上リム56のみを以下のように交換することもできる。
即ち、前記昇降シリンダ69により昇降プレート63、支持プレート68が上昇限まで上昇しているとき、上リムサポート55、上リム56を支持プレート68とほぼ同一高さまで下降させた後、支持プレート68を後方に移動させて第1支持部72aに上リム56を支持させ、その後、支持プレート68を旋回させて破損した使用済み上リム56を上リムサポート55から離隔させる一方、第2支持部72bに支持されている次使用上リム56を上リムサポート55まで移動させて該上リムサポート55に取付ける。このように交換装置に昇降シリンダ69を設置していれば、下リム48と高さ位置が異なるリム、即ち上リム56に対しても容易に交換作業を行うことができる。さらに、この発明のリム交換方法および装置は、他のポストキュアインフレータを有する加硫装置に適用可能であり、前記実施形態に制限されるものではない。