JPWO2004055099A1 - 複合硬化シリコーン粉末、その製造方法および水性組成物 - Google Patents

複合硬化シリコーン粉末、その製造方法および水性組成物 Download PDF

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Abstract

(A)平均粒子径が0.1〜500μmである硬化シリコーン粉末に(B)無機質微粉末が付着し、(B)無機質微粉末に(C)界面活性剤が付着している複合硬化シリコーン粉末;および(A)平均粒子径が0.1〜500μmである硬化シリコーン粉末、(B)無機質微粉末および(C)界面活性剤を機械的剪断下で混合する複合硬化シリコーン粉末の製造方法。

Description

[0001] 本発明は、硬化シリコーン粉末および無機質微粉末を含有する複合硬化シリコーン粉末およびその製造方法に関し、詳しくは、優れた流動性、親水性および分散性を有する複合硬化シリコーン粉末、その製造方法、および複合硬化シリコーン粉末を含有する水性組成物に関する。
[0002] 硬化シリコーン粉末は、化粧品、塗料、インキ、熱硬化性有機樹脂、熱可塑性有機樹脂等の添加剤として使用されており、特に、熱硬化性有機樹脂の内部応力緩和剤や有機樹脂フィルムの表面潤滑剤として好適に使用されている。
[0003] このような硬化シリコーン粉末を製造する方法としては、例えば、シリコーンゴムをグラインダーにより粉砕する方法;液状シリコーンゴム組成物をスプレードライヤー等により噴霧した状態で硬化させる方法(特開昭59−68333号公報参照);液状シリコーンゴム組成物を水中に分散させた状態で硬化させる方法(特開昭62−243621号公報、特開昭63−77942号公報、特開昭63−202658号公報、および特開昭64−70558号公報参照)が挙げられる。
しかしながら、このようにして得られた硬化シリコーン粉末は、凝集性が強いために、流動性が悪く、また、水性塗料、化粧品などの水性組成物への分散性に乏しかった。硬化シリコーン粉末が水性組成物へ均一に分散せず、凝集した状態で水性組成物中に存在すると、水性塗料の場合は、硬化シリコーン粉末による均一な艶消し効果が得られないという問題が起こり、化粧品の場合は、触感が悪くなるという問題が起こる。
[0004] そこで、硬化シリコーン粉末の表面に無機質微粉末を付着させて、流動性を向上させた複合硬化シリコーン粉末が提案されている(特開平4−348143号公報、特開平5−179144号公報、および特開平7−102075号公報参照)。
しかしながら、このようにして得られた複合硬化シリコーン粉末は、親水性が乏しく、これを水性組成物に配合した場合には、水性組成物に対する親和性が乏しいという問題があった。
[0005] また、特開平7−196815号公報には、シリコーンゴム粉末表面をポリオルガノシルセスキオキサン樹脂で被覆することが提案され、特開平9−208709号公報では、オイルを含有するシリコーン粉末を無機質微粒子で被覆することが提案されている。
しかしながら、これら複合硬化シリコーン粉末は、それぞれ、親水性や水性組成物への分散性が不十分であった。
[0006] 本発明の目的は、優れた流動性、親水性および分散性を有する複合硬化シリコーン粉末、およびこの複合硬化シリコーン粉末を製造する方法を提供することにある。
[0007] 本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明の複合硬化シリコーン粉末は、(A)平均粒子径が0.1〜500μmである硬化シリコーン粉末に(B)無機質微粉末が付着し、(B)無機質微粉末に(C)界面活性剤が付着していることを特徴とするものである。
[0008] また、本発明の複合硬化シリコーン粉末は、(A)硬化シリコーン粉末、(B)無機質微粉末および(C)界面活性剤を機械的剪断下で混合してなるものである。
また、(B)無機質微粉末は、金属酸化物微粉末であることが望ましい。
また、(B)無機質微粉末の比表面積は、10m/g以上であることが望ましい。
また、(B)無機質微粉末は、シリカであることが望ましい。
また、(A)硬化シリコーン粉末は、シリコーンゴム粉末であることが望ましい。
[0009] また、本発明の複合硬化シリコーン粉末の製造方法は、(A)平均粒子径が0.1〜500μmである硬化シリコーン粉末、(B)無機質微粉末および(C)界面活性剤を機械的剪断下で混合することを特徴とする。
また、本発明の複合硬化シリコーン粉末の製造方法においては、(A)硬化シリコーン粉末と(B)無機質微粉末とを機械的剪断下で混合した後、これと(C)界面活性剤とを機械的剪断下で混合することが望ましい。
また、本発明の水性組成物は、本発明の複合硬化シリコーン粉末を含有することを特徴とするものである。
[0010] 以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の複合硬化シリコーン粉末は、(A)平均粒子径が0.1〜500μmである硬化シリコーン粉末に(B)無機質微粉末が付着し、(B)無機質微粉末に(C)界面活性剤が付着しているものである。
[0011] [(A)硬化シリコーン粉末]
(A)硬化シリコーン粉末とは、オルガノシランやオルガノポリシロキサンなどを架橋反応で硬化させ、粉末化したものであって、シロキサン結合を構造中に含むものである。(A)硬化シリコーン粉末としては、例えば、シリコーンゲル粉末、シリコーンゴム粉末、シリコーンレジン粉末が挙げられ、特に、シリコーンゴム粉末が、硬さを様々に調整できる等、用途に合わせて種々の特性を付与できる点で、好ましい。また、(A)硬化シリコーン粉末としては、例えば、付加反応、縮合反応、有機過酸化物、紫外線等により硬化して得られたものであり、特に、付加反応や縮合反応により得られた硬化シリコーン粉末であることが好ましい。
[0012] (A)硬化シリコーン粉末の物理的特性は、特に限定されないが、これがシリコーンゴム粉末である場合には、このJIS A硬度が90未満であることが好ましく、特には、50以下であることが好ましい。
[0013] (A)硬化シリコーン粉末の平均粒子径は、0.1〜500μmの範囲内であり、好ましくは、0.1〜200μmの範囲内であり、特に好ましくは、0.1〜100μmの範囲内である。これは、平均粒子径がこの範囲より小さい硬化シリコーン粉末の表面に無機質微粉末を付着させることが困難となる傾向があり、一方、この範囲より大きい硬化シリコーン粉末を用いてなる複合硬化シリコーン粉末は、水性組成物に対する分散性が乏しくなる傾向があるためである。
[0014] (A)硬化シリコーン粉末は、非架橋のオイルを含有していてもよい。この非架橋のオイルは、(A)硬化シリコーン粉末中に単に含まれており、この粉末から自然に滲み出たり、また、有機溶剤により抽出可能なオイルのことである。非架橋のオイルとしては、例えば、非架橋のシリコーンオイル、非架橋の有機オイルが例示される。
非架橋のシリコーンオイルは、(A)硬化シリコーン粉末を形成するための硬化反応に関与しなかったシリコーンオイルであり、この分子構造としては、例えば、直鎖状、一部分岐を有する直鎖状、環状、分岐鎖状が挙げられ、特に、直鎖状であることが好ましい。
非架橋のシリコーンオイルとしては、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、このジメチルポリシロキサンのメチル基の一部をメチル基以外のアルキル基、フェニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基に置換したポリシロキサン等の非反応性シリコーンオイルが一般的である。
[0015] また、(A)硬化シリコーン粉末を形成する反応が付加反応である場合であって、(A)硬化シリコーン粉末を形成するための硬化性シリコーン組成物中に、非架橋のシリコーンオイルを予め含ませておく場合には、非架橋のシリコーンオイルとしては、上記の非反応性シリコーンオイル以外に、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルポリシロキサン、このジメチルポリシロキサンのメチル基の一部をメチル基以外のアルキル基、フェニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基に置換したポリシロキサン等のシリコーンオイル、さらには、この付加反応に関与し得るが、未反応として残った分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、これらのポリシロキサンのメチル基の一部をメチル基以外のアルキル基、フェニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基に置換したポリシロキサン等のシリコーンオイルが例示される。
[0016] また、(A)硬化シリコーン粉末を形成する反応が縮合反応である場合であって、(A)硬化シリコーン粉末を形成するための硬化性シリコーン組成物中に、非架橋のシリコーンオイルを予め含ませておく場合には、非架橋のシリコーンオイルとしては、上記の非反応性シリコーンオイル以外に、この非反応性シリコーンオイルのメチル基の一部をアルケニル基に置換したポリシロキサン等のシリコーンオイル、さらには、この縮合反応に関与し得るが、未反応として残った分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルポリシロキサン、このポリシロキサンのメチル基の一部をメチル基以外のアルキル基、アルケニル基、フェニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基に置換したシリコーンオイルが例示される。
また、(A)硬化シリコーン粉末に後から非架橋のシリコーンオイルを含浸する場合には、このシリコーンオイルの種類は特に限定されない。
[0017] 非架橋の有機オイルとしては、流動パラフィン、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸デシル、オレイン酸2−オクチルドデシル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、酢酸ラノリン、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、アボガド油、アルモンド油、オリブ油、カカオ油、ホホバ油、ゴマ油、サフラワー油、大豆油、ツバキ油、スクワラン、パーシック油、ヒマシ油、ミンク油、綿実油、ヤシ油、卵黄油、牛脂、豚脂、ポリプロピレングリコールモノオレート、ネオペンチルグリコール−2−エチルヘキサノエート等のグリコールエステル油;イソステアリン酸トリグリセライド、椰子油脂肪酸トリグリセライド等の多価アルコールエステル油;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシプロピレンセチルエーテル等のポリオキシアルキレンエーテル油が例示される。これらの有機オイルは、(A)硬化シリコーン粉末を形成するための硬化性シリコーン組成物中に予め含ませておいてもよく、(A)硬化シリコーン粉末に含浸してもよい。
[0018] これらの非架橋のオイルは液状であり、この25℃における粘度は、例えば、1〜100,000センチポイズの範囲内であることが好ましく、さらには、5〜50,000センチポイズの範囲内であることが好ましく、特には、5〜10,000センチポイズの範囲内であることが好ましい。これは、25℃における粘度がこの範囲より小さいオイルは揮発性があり、得られる複合硬化シリコーン粉末に継続的な撥水性を付与しにくくなる傾向があり、一方、この範囲より大きいオイルによると、平均粒子径が100μm以下である硬化シリコーン粉末を形成しにくくなる傾向があったり、硬化シリコーン粉末に含浸しにくくなる傾向があるためである。このような非架橋のオイルとしては、硬化シリコーン粉末との親和性が優れ、継続的な撥水性を複合硬化シリコーン粉末に付与することができることから、上記のシリコーンオイルであることが好ましい。
[0019] (A)硬化シリコーン粉末に含有されている非架橋のオイルの含有量は、例えば、非架橋のオイルを含む(A)硬化シリコーン粉末中、80質量%以下であり、10〜50質量%の範囲内であることが好ましい。これは、(A)硬化シリコーン粉末中の非架橋のオイルの含有量がこの範囲より多くなると、(A)硬化シリコーン粉末の機械的強度が低下したり、得られる複合硬化シリコーン粉末から非架橋のオイルが常態においても滲み出てしまう傾向があるためである。一方、(A)硬化シリコーン粉末中の非架橋のオイルの含有量が10質量%より少なくなると、得られる複合硬化シリコーン粉末に十分な親水性を付与しにくくなる傾向がある。
[0020] (A)硬化シリコーン粉末を調製する方法としては、例えば、下記(i)〜(iii)等の硬化性シリコーン組成物を硬化させて得られたシリコーン硬化物をグラインダー等の粉砕機により粉砕する方法;下記(i)〜(iii)等の硬化性シリコーン組成物をスプレードライヤー等の噴霧機により噴霧して硬化させる方法;下記(i)〜(iii)等の硬化性シリコーン組成物を水または界面活性剤水溶液中に分散させて硬化させる方法が挙げられる。
[0021] (i)一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン、一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサン、非架橋性のオイル、および白金系化合物からなる付加反応硬化性シリコーン組成物。
(ii)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合する水酸基またはアルコキシ基、オキシム基、アセトキシ基、アミノキシ基等の加水分解性基を有するオルガノポリシロキサン、一分子中に少なくとも3個のケイ素原子に結合するアルコキシ基、オキシム基、アセトキシ基、アミノキシ基等の加水分解性基を有するシラン系架橋剤、非架橋性のオイル、および有機錫化合物、有機チタン化合物等の縮合反応触媒からなる縮合反応硬化性シリコーン組成物。
(iii)一分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有するジオルガノポリシロキサン、非架橋性のオイル、および有機過酸化物からなる有機過酸化物硬化性シリコーン組成物。
[0022] これら(A)硬化シリコーン粉末を調製する方法の中でも、水性組成物に対する分散性に優れた球状の(A)硬化シリコーン粉末を得ることができることから、硬化性シリコーン組成物を水または界面活性剤水溶液中に分散させて硬化させる方法が特に好ましい。
[0023] 硬化性シリコーン組成物の水系分散液を調製するためには、例えば、ホモジナイザー、コロイドミル等の撹拌装置や超音波振動機等の混合装置を用いることができる。この際、硬化性シリコーン組成物の水系分散液を調製する前に、硬化性シリコーン組成物を予め冷却して、その硬化性を制御することが好ましい。
[0024] また、水系分散液中で硬化性シリコーン組成物を粒子状として安定させるためには界面活性剤の水溶液を用いることが好ましい。界面活性剤の添加量は、硬化性シリコーン組成物100質量部に対して0.1〜20質量部であることが好ましく、0.5〜10質量部であることがより好ましく、0.5〜5質量部が特に好ましい。ここで添加される界面活性剤は、後述する[(C)界面活性剤]とは異なるものであり、かつ任意成分である。また、水の添加量は、硬化性シリコーン組成物100質量部に対して40〜2000質量部であることが好ましく、特に、40〜1000質量部であることが好ましい。これは、水の添加量が硬化性シリコーン組成物100質量部に対して40質量部未満であると均一な硬化性シリコーン組成物の水系分散液を形成することが困難であり、また、これが2000質量部を超えると、(A)硬化シリコーン粉末の生産性が著しく悪化するためである。
[0025] また、使用する水は、硬化性シリコーン組成物の水系分散液が安定しやすいことから、金属イオンやハロゲンイオンが少なく、電気伝導度が1μS/cm以下であることが好ましく、特に、電気伝導度が0.5μS/cm以下であるイオン交換水であることが好ましい。
[0026] 次いで、上記の方法により調製された硬化性シリコーン組成物の水系分散液を、加熱または室温で放置することにより、この水分散液中の硬化性シリコーン組成物を硬化させて、(A)硬化シリコーン粉末の水系分散液を調製することができる。
硬化性シリコーン組成物の水系分散液を加熱する場合には、その加熱温度は100℃以下であることが好ましく、特に、10〜95℃であることが好ましい。また、硬化性シリコーン組成物の水系分散液を加熱する方法としては、例えば、この水系分散液を直接加熱する方法、この水系分散液を熱水中へ添加する方法が挙げられる。
[0027] 次いで、(A)硬化シリコーン粉末の水系分散液から水を除去することにより、(A)硬化シリコーン粉末を調製することができる。(A)硬化シリコーン粉末の水系分散液から水を除去する方法としては、例えば、真空乾燥機、熱風循環式オーブン、スプレードライヤーを用いて乾燥する方法が挙げられる。
[0028] [(B)無機質微粉末]
(B)無機質微粉末は、少なくともその一部が(A)硬化シリコーン粉末の表面に付着した状態で、本発明の複合硬化シリコーン粉末中に存在するものである。ここでいう付着とは、(A)硬化シリコーン粉末の全体を覆うように、(A)硬化シリコーン粉末の表面に(B)無機質微粉末が被覆されている状態、または(A)硬化シリコーン粉末の表面の一部に(B)無機質微粉末が偏在している状態を指す。また、一部の(B)無機質微粉末は、(A)硬化シリコーン粉末の表面から脱落した状態で本発明の複合硬化シリコーン粉末中に存在していても構わない。
[0029] (B)無機質微粉末は、少なくともその一部が(A)硬化シリコーン粉末の表面に付着していることにより、(A)硬化シリコーン粉末の凝集を抑え、本発明の複合硬化シリコーン粉末の流動性、分散性を向上させるものである。
(B)無機質微粉末としては、例えば、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン等の金属酸化物微粉末;窒化ホウ素、窒化アルミニウム等の金属窒化物微粉末;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物微粉末;炭酸カルシウムなどの金属炭酸塩;ニッケル、コバルト、鉄、銅、金、銀などの金属微粒子;マイカ、タルク、カオリナイト、スメクタイト、ハロイサイト、パイロフィライト、バーミキュライト、モンモリロナイトなどの粘土鉱物;その他、硫化物微粉末、塩化物微粉末が挙げられる。中でも、入手の容易さからコスト的に有利であるので、金属酸化物微粉末が好ましく、特に、シリカ微粉末が好ましい。また、(B)無機質微粉末の表面は、オルガノアルコキシシラン、オルガノクロロシラン、オルガノシラザン等の有機ケイ素化合物により予め疎水化処理されていてもよい。
[0030] (B)無機質微粉末の粒子径は、(A)硬化シリコーン粉末の表面に付着できる粒子径であればよく、具体的には、(A)硬化シリコーン粉末の平均粒子径に対して1/10以下の粒子径であることが好ましい。また、(B)無機質微粉末は、二次凝集粒子でもよいが、その分散性付与効果の点から、この比表面積が10m/g以上であることが好ましい。ここで、比表面積は、BET比表面積による値である。
[0031] [(C)界面活性剤]
(C)界面活性剤は、少なくともその一部が(B)無機質微粉末の表面に付着した状態で、本発明の複合硬化シリコーン粉末中に存在するものである。ここでいう付着とは、(B)無機質微粉末の表面を覆うように、(B)無機質微粉末の表面に(C)界面活性剤が被覆または吸着されている状態、または(B)無機質微粉末の表面の一部に(C)界面活性剤が偏在している状態を指す。また、一部の(C)界面活性剤は、(A)硬化シリコーン粉末の表面に付着、吸収された状態で本発明の複合硬化シリコーン粉末中に存在していても構わない。
[0032] (C)界面活性剤は、(B)無機質微粉末の表面に付着した状態で、本発明の複合硬化シリコーン粉末中に存在することにより、本発明の複合硬化シリコーン粉末の親水性を向上させる成分である。
(C)界面活性剤としては、例えば、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤およびこれらの二種以上の混合物が挙げられる。中でも、得られた複合硬化シリコーン粒子の分散性の点で、ノニオン系界面活性剤であることが好ましい。ノニオン系界面活性剤としては、親油性あるいは親水性のノニオン系界面活性剤を用いることができる。
[0033] 親油性ノニオン界面活性剤としては、例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類;モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α’−オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、リンゴ酸グリセリン等のグリセリン脂肪酸類;モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル類、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル等が挙げられる。
[0034] 親水性ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン(以下、POE)ソルビタンモノオレエート、POEソルビタンモノステアレート、POEソルビタンモノオレート、POEソルビタンテトラオレエート等のPOEソルビタン脂肪酸エステル類;POEソルビットモノラウレート、POEソルビットモノオレエート、POEソルビットペンタオレエート、POEソルビットモノステアレート等のPOEソルビット脂肪酸エステル類;POEグリセリンモノステアレート、POEグリセリンモノイソステアレート、POEグリセリントリイソステアレート等のPOEグリセリン脂肪酸エステル類;POEモノオレエート、POEモノステアレート、POEジステアレート、POEモノジオレエート、システアリン酸エチレングリコール等のPOE脂肪酸エステル類;POEラウリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEステアリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POE−2−オクチルドデシルエーテル、POEコレスタノールエーテル等のPOEアルキルエーテル類;POEオクチルフェニルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、POEジノニルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル類;プルロニック(ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレングリコール)等のプルロニック型類、POE・ポリオキシプロピレン(以下、POP)セチルエーテル、POE・POP−2−デシルテトラデシルエーテル、POE・POPモノブチルエーテル、POE・POP水添ラノリン、POE・POPグリセリンエーテル等のPOE・POPアルキルエーテル類;テトロニック等のテトラPOE・テトラPOPエチレンジアミン縮合物類;POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油、POE硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE硬化ヒマシ油マレイン酸等のPOEヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体;POEソルビットミツロウ等のPOEミツロウ・ラノリン誘導体;ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等のアルカノールアミド、POEプロピレングリコール脂肪酸エステル、POEアルキルアミン、POE脂肪酸アミド、ショ糖脂肪酸エステル、POEノニルフェニルホルムアルデヒド縮合物、アルキルエトキシジメチルアミンオキシド、トリオレイルリン酸等が挙げられる。
[0035] シリコーン系界面活性剤としては、ジメチルポリシロキサン−ポリエチレングリコール類、ジメチルポリシロキサンポリエチレン類、ジメチルポリシロキサンポリエチレングリコール共重合体類、ジメチルポリシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン共重合体類等が挙げられる。
これらノニオン系界面活性剤の中でも、配合時に液体として取り扱いやすい点から、ポリエチレンオキサイド基含有のノニオン系界面活性剤が好ましく、特に、ポリエチレンオキサイドのアルキルエーテルとして、このアルキルエーテル中のアルキル基の少なくとも10質量%が炭素数13のアルキル基であるもの、あるいは、ポリオキシエチレンソルボタンモノラウリルエーテルが好ましい。これらノニオン性活性剤の中から一種または二種以上を任意に選択されて用いることができる。
[0036] [複合硬化シリコーン粉末]
(A)硬化シリコーン粉末に対する、(B)無機微粒子や(C)界面活性剤の付着量は、調整した複合硬化シリコーン粒子が十分な流動性および親水性を有する程度であればよく、特に限定されない。また、(A)硬化シリコーン粉末の粒径により、(B)無機微粒子や(C)界面活性剤の付着量は変動するが、(B)無機微粒子および(C)界面活性剤の付着量は、好ましくは、(A)硬化シリコーン粉末100質量部に対して、(B)無機微粒子が0.1〜30質量部、(C)界面活性剤が0.1〜30質量部である。特に好ましくは、(A)硬化シリコーン粉末100質量部に対して、(B)無機微粒子0.2〜10質量部、(C)界面活性剤が0.2〜10質量部である。これは、(B)無機微粒子や(C)界面活性剤の量がこの範囲外では、流動性が悪化したり、親水性が向上しにくいという傾向があるためである。
[0037] 次に、本発明の複合硬化シリコーン粉末の製造方法を詳細に説明する。
本発明の複合硬化シリコーン粉末は、(A)平均粒子径が0.1〜500μmである硬化シリコーン粉末に(B)無機質微粉末および(C)界面活性剤を添加し、これらを機械的剪断下で混合することにより製造される。
機械的剪断下で、これら(A)〜(C)成分を混合する装置としては、例えば、ヘンシェルンミキサー、スーパーミキサーが挙げられる。
また、これら(A)〜(C)成分を混合する際の温度は、特に限定されず、例えば、室温下で行うこともできる。また、混合時間は、流動性の乏しい(A)硬化シリコーン粉末が、この表面に(B)無機質微粉末が付着することにより流動性を示すようになるので、この状態の変化を観察することにより適宜決定することが必要である。
[0038] 本発明の複合硬化シリコーン粉末の製造方法においては、(A)硬化シリコーン粉末と(B)無機微粉末とをあらかじめ混合し、その後、これに(C)界面活性剤を加えて、これらを混合することが好ましい。これは、(A)硬化シリコーン粉末の表面に付着した(B)無機微粒子に、(C)界面活性剤が局在化して、複合硬化シリコーン粉末の親水性を向上さるためである。
[0039] 本発明の複合硬化シリコーン粉末の製造方法における、(B)無機質微粉末の添加量は、(A)硬化シリコーン粉末の表面を被覆するに十分な量でであればよく、また、(A)硬化シリコーン粉末に含有されている非架橋のオイルの含有量によっても異なるが、通常、(A)硬化シリコーン粉末100質量部に対して0.1〜100質量部であることが好ましく、特に、1〜50質量部であることが好ましい。
[0040] 本発明の複合硬化シリコーン粉末の製造方法における、(C)界面活性剤の添加量は、複合硬化シリコーン粉末に十分な親水性を付与する量であればよく、また、(A)硬化シリコーン粉末に添加される(B)無機質微粉末の配合量によっても異なるが、通常、(A)硬化シリコーン粉末100質量部に対して0.1〜100質量部であることが好ましく、特に、0.5〜50質量部であることが好ましい。
[0041] [水性組成物]
本発明の水性組成物は、本発明の複合硬化シリコーン粉末を含有する水性組成物である。
本発明の複合硬化シリコーン粉末を配合する水性組成物としては、水性媒体に分散した硬化性樹脂組成物、非硬化性樹脂組成物や、水性分散体とした化粧品などの液状組成物を例示できる。水性組成物中の水の量は、特に限定はされず、本発明の複合硬化シリコーン粉末が水相に分散しやすいことから、マトリックス相として水性媒体が存在する量でよい。
[0042] 以上説明した本発明の複合硬化シリコーン粉末は、(A)平均粒子径が0.1〜500μmである硬化シリコーン粉末に(B)無機質微粉末が付着し、(B)無機質微粉末に(C)界面活性剤が付着しているものであるので、(B)無機質微粉末による流動性、分散性の向上が損なわれることなく、(C)界面活性剤によって親水性が向上している。すなわち、(A)硬化シリコーン粉末の表面に(B)無機質微粉末が存在しない状態で、(C)界面活性剤のみを(A)硬化シリコーン粉末の表面に付着させると、(C)界面活性剤によって(A)硬化シリコーン粉末の凝集を助長して分散性を悪くするが、(B)無機質微粉末を(A)硬化シリコーン粉末の表面に付着させることにより、(C)界面活性剤が(B)無機質微粉末に偏在して、(C)界面活性剤による(A)硬化シリコーン粉末の凝集が抑えられると同時に、(C)界面活性剤による親水性が複合硬化シリコーン粉末に付与される。
[0043] 本発明の複合硬化シリコーン粉末は、優れた流動性、親水性および分散性を有するため、水性組成物に対する親和性や分散性に優れている。したがって、本発明の複合硬化シリコーン粉末は、水性塗料や水性化粧品などの水性組成物の艶消し、感触向上、クラック防止、低弾性化などを目的とした添加剤や改質剤として利用することができる。
[0044] [実施例]
本発明の複合硬化シリコーン粉末およびその製造方法を実施例により詳細に説明する。
本実施例中の粘度は、25℃において測定した値である。
(A)硬化シリコーン粉末および複合硬化シリコーン粉末の特性は次のようにして測定した。
[硬化シリコーン粉末のJIS A硬さ]
(A)硬化シリコーン粉末の原料である硬化性シリコーン組成物をシート状に硬化させて、この硬さをJIS K 6301に規定されるJIS A硬度計により測定した。
[0045] [硬化シリコーン粉末中の非架橋のオイルの含有量]
(A)硬化シリコーン粉末100gにトルエン1000gを加えて分散液を調製し、この分散液を攪拌機、例えば、ホモディスパーを用いて1000rpmで10分間、さらに500rpmで10分間攪拌した後、これを室温で12時間静置した。その後、この分散液を再びホモディスパーを用いて500rpmで10分間攪拌した。この分散液を濾紙により濾過して濾液を採取した。そして、濾紙上に残った硬化シリコーン粉末にトルエン750gを加えて分散液を調製し、この分散液をホモディスパーを用いて1000rpmで10分間攪拌した。この分散液を濾紙により濾過して濾液を採取した。この濾液を先に採取した濾液と合わせて、エバポレータを用いて80℃で70mmHgの条件下でトルエンを留去した。得られたオイルの粘度、および質量を測定した。また、このオイルをプロトン核磁気共鳴スペクトル分析、ゲルパーミエーションクロマトグラフ分析、および赤外分光分析して、このオイルの成分を特定した。
[0046] [平均粒子径]
(A)硬化シリコーン粉末または複合硬化シリコーン粉末の水分散液あるいはエタノール分散液を、レーザー回折式粒度分布測定器(堀場製作所のLA−500)により測定し、メジアン径(累積分布の50%に相当する粒径、50%粒径)を平均粒径とした。
[流動性]
(A)硬化シリコーン粉末または複合硬化シリコーン粉末を、アルパイン社製エアジェットシーブふるい機を使用して、100メッシュ(目開き=150μm)にてメッシュオンした、これらの粉末の質量%を測定することにより評価した。
[0047] [親水性]
100mlの水に(A)硬化シリコーン粉末または複合硬化シリコーン粉末1gを加えて、これを撹拌機で混合した。(A)硬化シリコーン粉末または複合硬化シリコーン粉末が水になじまず、水面に浮いたままでいるものを撥水性として(××)で示し、また、水になじむが水中に分散しないものを(×)、水中に分散していくものを(○)とした。
[0048] 本実施例で用いた各成分は以下の通りである。
[(A)硬化シリコーン粉末]
(A−1)付加硬化型ポリジメチルシロキサンのシリコーンゴム粉末:ノニオン系界面活性剤0.2質量%含有、20〜30量体のポリジメチルシロキサン環状体を2.8質量%含有、平均粒径4μm、JIS−A硬度:30。
(A−2)付加硬化型ポリジメチルシロキサンのシリコーンゴム粉末:ノニオン系界面活性剤1.5質量%含有、20〜30量体のポリジメチルシロキサン環状体を2.8質量%含有、平均粒径4μm、JIS−A硬度:30。
[0049] [(B)無機微粒子]
アエロジル200:日本アエロジル社製、平均1次粒径5〜15nm、BET比表面積200m/g、乾式法シリカ、表面シラノール密度4.2個/nm
[(C)界面活性剤]
エチレンオキサイド(12モル付加)の2級ドデシルエーテルと2級トリデシルエーテルの混合物:ドデシル基43質量%、トリデシル基57質量%、HLB=14.5
[0050] [実施例1]
スーパーミキサー(ヘンシェル型ミキサー、カワタ社製V−20、内容積20L)に(A−1)シリコーンゴム粉末を投入し、室温で回転数2000回転で約2分間攪拌して、ブロック状の塊を粉砕した。これに、(B)無機微粒子を投入して室温で回転数2000回転で3分間混合し、さらに(C)界面活性剤を投入して、室温で回転数2000回転で2分間混合した。ここで、(A−1)シリコーンゴム粉末、(B)無機微粒子および(C)界面活性剤は、合計量が1kgとなるように、質量比(A−1/B/C)=20/2.9/1.1で配合した。
得られた複合硬化シリコーン粉末の親水性および流動性を評価し、表1に記載した。
[0051] [実施例2、比較例1〜4]
(A)硬化シリコーン粉末の種類および配合量、(B)無機微粒子および(C)界面活性剤の配合量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして複合硬化シリコーン粉末または硬化シリコーン粉末を得た。
得られた複合硬化シリコーン粉末および硬化シリコーン粉末の親水性および流動性を評価し、表1に記載した。
Figure 2004055099
[0053] [実施例3]
実施例1の複合硬化シリコーン粒子40質量部、シリコーン処理酸化チタン1質量部、p−メトキシ桂皮酸オクチル5質量部、粘度20mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン10質量部、ポリオキシエチレン(40モル付加物)硬化ヒマシ油3質量部、スクワラン30質量部、グリセリン5質量部、ミツロウ3質量部、防腐剤適量、香料適量および精製水適量を、ミル(小型粉砕機SM−1、井内盛栄堂社製、内容積58.5cc)で5分間撹拌して、実施例3のクリーム状化粧品を調製した。この化粧品の評価結果を表2に示した。
ここで、化粧品中の複合硬化シリコーン粒子の粒径は、ガラス板に広げた化粧品中の粒子を光学顕微鏡で観察した個数で計算した。配合性はクリーム状化粧品の粘度上昇の度合いで判断した。すなわち、分散不良は大きな粘度上昇を認めたものである。
[0054] [実施例4、比較例5〜7]
複合硬化シリコーン粒子を、実施例2、比較例1、比較例2、比較例4の複合硬化シリコーン粒子に変えた以外は、実施例3と同様にして、実施例4、比較例5〜7の化粧品を調製した。この化粧品の評価結果を表2に示した。
Figure 2004055099
[0056] [実施例5]
実施例1の複合硬化シリコーン粒子20質量部と水性塗料(カンペパピオ社製水性つやあり1回塗り、空色、アクリル樹脂系塗料)100質量部をデンタルミキサーで20秒間混合攪拌して、実施例5の水性塗料組成物を調製した。この水性塗料組成物をアルミ板に、アルミ板に貼られたセロハンテープ(40μm厚み)で塗膜の厚みを制御しながら、塗りつけた後、室温でドラフトに1週間放置して乾燥した。乾燥塗膜の厚みは約20〜50μmであった。この水性塗料組成物の評価結果を実施例3と同様にして、表3に示した。
ここで、塗膜中の硬化シリコーン粒子の分散状態は、塗膜中の粒子を光学顕微鏡で観察した個数で計算した。配合性は、塗料組成物の粘度上昇の度合いで判断した。すなわち、分散不良は大きな粘度上昇を認めたものである。
[0057] [実施例6、比較例8、9]
複合硬化シリコーン粒子を実施例2、比較例2あるいは比較例3の複合硬化シリコーン粒子に変えた以外は、実施例5と同様にして、実施例6、比較例8、比較例9の水性塗料組成物を調製した。この水性塗料組成物の評価結果を表3に示した。
Figure 2004055099
[0059] 以上説明したように、本発明の複合硬化シリコーン粉末は、(A)平均粒子径が0.1〜500μmである硬化シリコーン粉末に(B)無機質微粉末が付着し、(B)無機質微粉末に(C)界面活性剤が付着しているものであるので、優れた流動性、親水性および分散性を有する。このような複合硬化シリコーン粉末を添加した水性塗料は、均一な艶消し効果があり、また、このような複合硬化シリコーン粉末を添加した水性化粧品は、感触が良好であるという利点を有する。
[0060] また、本発明の複合硬化シリコーン粉末は、(A)硬化シリコーン粉末、(B)無機質微粉末および(C)界面活性剤を機械的剪断下で混合してなるものであるので、優れた流動性、親水性および分散性を有する。
また、(B)無機質微粉末が、金属酸化物微粉末、特にシリカであれば、その入手の容易さからコスト的に有利である。
また、(B)無機質微粉末の比表面積が、10m/g以上であれば、さらに優れた流動性を付与することができるので好適である。
また、(A)硬化シリコーン粉末が、シリコーンゴム粉末であれば、用途に合わせた様々な特性を付与することができるので好適である。
[0061] また、本発明の複合硬化シリコーン粉末の製造方法は、(A)平均粒子径が0.1〜500μmである硬化シリコーン粉末、(B)無機質微粉末および(C)界面活性剤を機械的剪断下で混合する方法であるので、優れた流動性、親水性および分散性を有する複合硬化シリコーン粉末を得ることができる。
また、本発明の複合硬化シリコーン粉末の製造方法において、(A)硬化シリコーン粉末と(B)無機質微粉末とを機械的剪断下で混合した後、これと(C)界面活性剤とを機械的剪断下で混合するようにすれば、流動性、親水性および分散性がさらに向上した複合硬化シリコーン粉末を得ることができる。
また、本発明の水性組成物は、本発明の複合硬化シリコーン粉末を含有するものであるので、均一な艶消し効果を有する水性塗料、感触が良好な水性化粧品を得ることができる。

Claims (12)

  1. (A)平均粒子径が0.1〜500μmである硬化シリコーン粉末に(B)無機質微粉末が付着し、(B)無機質微粉末に(C)界面活性剤が付着していることを特徴とする複合硬化シリコーン粉末。
  2. (A)硬化シリコーン粉末、(B)無機質微粉末および(C)界面活性剤を機械的剪断下で混合してなるものであることを特徴とする請求の範囲第1項記載の複合硬化シリコーン粉末。
  3. (B)無機質微粉末が、金属酸化物微粉末であることを特徴とする請求の範囲第1項または第2項記載の複合硬化シリコーン粉末。
  4. (B)無機質微粉末の比表面積が、10m/g以上であることを特徴とする請求の範囲第1項または第2項記載の複合硬化シリコーン粉末。
  5. (B)無機質微粉末が、シリカであることを特徴とする請求の範囲第1項または第2項記載の複合硬化シリコーン粉末。
  6. (A)硬化シリコーン粉末が、シリコーンゴム粉末であることを特徴とする請求の範囲第1項または第2項記載の複合硬化シリコーン粉末。
  7. (A)平均粒子径が0.1〜500μmである硬化シリコーン粉末、(B)無機質微粉末および(C)界面活性剤を機械的剪断下で混合することを特徴とする複合硬化シリコーン粉末の製造方法。
  8. (A)硬化シリコーン粉末と(B)無機質微粉末とを機械的剪断下で混合した後、これと(C)界面活性剤とを機械的剪断下で混合することを特徴とする請求の範囲第7項記載の複合硬化シリコーン粉末の製造方法。
  9. 請求の範囲第1項または第2項記載の複合硬化シリコーン粉末を含有することを特徴とする水性組成物。
  10. 請求の範囲第4項記載の複合硬化シリコーン粉末を含有することを特徴とする水生組成物。
  11. 請求の範囲第5項記載の複合硬化シリコーン粉末を含有することを特徴とする水生組成物。
  12. 請求の範囲第6項記載の複合硬化シリコーン粉末を含有することを特徴とする水生組成物。
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