JPWO2004017452A1 - 色素増感型太陽電池の改良 - Google Patents

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Abstract

加硫ゴム、ホスファゼン系重合体、三次元連続の網状骨格構造を有する高分子材料で構成された多孔質体又はEVA樹脂フィルムに、酸化還元性物質を担持させてなる色素増感型太陽電池用電解質。色素増感型半導体電極2,3と、この電極に対向して設けられた対電極4との間に、この電解質6を有する色素増感型太陽電池。色素増感型太陽電池の発電効率、耐久性、安全性の向上に有効でしかも安価に製造可能な色素増感型太陽電池用固体状電解質が提供される。

Description

発明の分野
(1) 第1発明は色素増感型太陽電池用電解質及び色素増感型太陽電池に係り、特に色素増感型太陽電池に用いられる固体状電解質と、このような固体状電解質を備える色素増感型太陽電池に関する。
(2) 第2発明は、色素増感型太陽電池用電極及びその製造方法に係り、詳しくは、色素増感型太陽電池の増感色素吸着用酸化チタン薄膜の形成方法の改良に関する。
(3) 第3発明は、有機色素増感型太陽電池に関する。
(4) 第4発明は、有機色素増感型太陽電池と、この太陽電池を有する窓ガラス、屋根材等の建材に関する。
(5) 第5発明は、有機色素増感型太陽電池、これに有利に使用される有機色素増感型金属酸化物半導体電極、及びこの製造に有利に利用される金属酸化物半導体膜の形成方法に関する。
(6) 第6発明は、有機色素増感型太陽電池、この製造に有利に使用される有機色素増感型金属酸化物半導体電極及びその形成方法並びにこの半導体電極の製造に有利に使用される透明電極基板及びその形成方法に関する。
発明の背景
(1) 増感色素を吸着させた酸化物半導体を電極に用いて太陽電池を構成することは既に知られている。図1は、このような色素増感型太陽電池の一般的な構造を示す断面図である。図1に示す如く、ガラス基板等の基板1上に透明電極2が設けられ、この透明電極2上に分光増感色素を吸着させた金属酸化物半導体膜3が形成されている。この色素増感型半導体電極の透明電極2と対向して間隔をあけて対電極4が設置されており、そして側部が封止材5により封止され、色素増感型半導体電極と対電極4との間に電解質6が封入されている。色素吸着半導体膜3は、通常、色素を吸着させた酸化チタン薄膜よりなり、この酸化チタン薄膜に吸着されている色素が可視光によって励起され、発生した電子を酸化チタン微粒子に渡すことによって発電が行われる。
従来、色素増感型太陽電池の電解質は、一般に酸化還元性物質を溶媒に溶解してなる液状電解質であるため、封止部分からの液漏れ等の問題があり、このことが色素増感型太陽電池の耐久性、信頼性に影響を及ぼしていた。
この問題を解決するために、従来、液状電解質を各種のポリマーに担持させて擬固体化することも提案されているが、色素増感型太陽電池の発電効率を損なうことのない、より安全性、耐久性に優れかつ安価な固体状電解質が望まれている。
(2) 色素増感型太陽電池は、カソード電極とアノード電極とを対向配置してセルを構成し、その内部に電解質を封入したものである。カソード電極は導電性ガラスからなり、アノード電極は導電性ガラス上に、色素が吸着されたTiO薄膜が設けられている。カソード電極とアノード電極とは、数十μm〜数mmの間隔をおいて、電解質を介して対向配置されており、アノード電極のTiO薄膜に吸着されている色素が可視光によって励起され、発生した電子をTiO微粒子に渡すことによって発電が行われる。
従来、アノード電極は、TiO粒子を有機質バインダーを用いてペースト化し、これを透明導電薄膜が形成されたガラス基板上に塗布した後、高温で焼成してバインダーを除去し、得られたTiO薄膜に、含浸法等により増感色素を吸着させることにより製造されている。
TiO薄膜をTiO粒子のペーストの塗布、焼成で形成する従来のアノード電極の製造方法では、基板として耐熱性のあるガラスを用いる必要があり、電極の薄肉、軽量化、低コスト化に不利であった。また、TiO薄膜の下の透明導電薄膜は通常スパッタ法により形成されるが、TiO薄膜をペーストの塗布、焼成で形成する従来法では、透明導電薄膜の成膜工程とTiO薄膜の成膜工法とを連続して行うことができず、成膜操作においても工業的に不利であった。
(3) 近年、省エネルギー、資源の有効利用や環境汚染の防止等の面から、太陽光を直接電気エネルギーに変換する太陽電池が注目され、開発が進められている。
太陽電池は、光電変換材料として、結晶性シリコン、アモルファスシリコンを用いたものが主流である。しかしながら、このような結晶性シリコン等を形成するには多大なエネルギーを要し、従ってシリコンの利用は、太陽光を利用する省エネルギー電池である太陽電池の本来の目的とは相反するものとなっている。また多大なエネルギーを使用する結果として、光電変換材料としてシリコンを用いる太陽電池は高価なものとならざるを得ない。
光電変換材料は、電極間の電気化学反応を利用して光エネルギーを電気エネルギーに変換する材料である。例えば、光電変換材料に光を照射すると、一方の電極側で電子が発生し、対電極に移動する。対電極に移動した電子は、電解質中をイオンとして移動して一方の電極にもどる。すなわち、光電変換材料は光エネルギーを電気エネルギーとして連続して取り出せる材料であり、このため太陽電池に利用される。
光電変換材料として、シリコンを用いず、有機色素で増感された酸化物半導体を用いた太陽電池が知られている。Nature,268(1976),402頁に、酸化亜鉛粉末を圧縮成形し、1300℃で1時間焼結して形成した焼結体ディスク表面に有機色素としてローズベンガルを吸着させた金属酸化物半導体電極を用いた太陽電池が提案されている。この太陽電池の電流/電圧曲線は、0.2Vの起電圧時の電流値は約25μA程度と非常に低く、その実用化は殆ど不可能と考えられるものであった。しかしながら、前記シリコンを用いる太陽電池とは異なり、使用される酸化物半導体及び有機色素はいずれも大量生産されており、且つ比較的安価なものであることから、材料の点からみると、この太陽電池は非常に有利であることは明らかである。
光電変換材料として、前記のように有機色素で増感された酸化物半導体を用いた太陽電池としては、前記のもの以外に、たとえば、特開平1−220380号公報に記載の金属酸化物半導体の表面に、遷移金属錯体などの分光増感色素層を有するもの、また、特表平5−504023号に記載の、金属イオンでドープした酸化チタン半導体層の表面に、遷移金属錯体などの分光増感色素層を有するものが知られている。
上記太陽電池は実用性のある電流/電圧曲線が得られない。電流/電圧曲線が実用性レベルに達した分光増感色素層を有する太陽電池として、特開平10−92477号公報に、酸化物半導体微粒子集合体の焼成物からなる酸化物半導体膜を用いた太陽電池が開示されている。このような半導体膜は、酸化物半導体微粉末のスラリーを透明電極上に塗布し、乾燥させ、その後500℃、1時間程度で焼成させることにより形成している。
このような有機色素増感型金属酸化物半導体膜を用いた有機色素増感太陽電池は、半導体膜の両側をガラス基板で挟んだ構成を採っている。有機色素増感太陽電池は、前記のようにその特性を実用性のレベルにするために半導体膜、色素について種々検討されているが、このような側面からの研究に劣らず、太陽光エネルギーをさらに高効率利用するとの側面から研究することも重要である。また、両側がガラス基板のため、破損時にはガラスの破片の飛散が問題となることも懸念される
(4) このような有機色素増感型金属酸化物半導体膜を用いた有機色素増感太陽電池は、一般に半導体膜の両側をガラス基板で挟んだ構成を採っている。このような太陽電池の設置場所としては、通常、屋上或いは屋根の上であるが、ガラス基板を使用しているため柔軟性が無く、貼り合わせが困難なことから太陽電池は独立して設置されていた。
本発明者等は、今後、さらに使い易い太陽電池が求められるであろうとの観点から検討を重ねた。その結果、以下の結論に到った。即ち、柔軟で貼付しやすく、またガラス等に貼付しても透明性が維持されるような有機色素増感太陽電池、また柔軟性があって且つ着色、模様、高反射性等を有することにより意匠性、装飾性を備えた貼付可能な太陽電池が、使いやすさの点から有用であり、さらにまたこのような太陽電池が貼付等により設置された屋根材、壁材等の建材も、容易に使用することができ便利である。
(5) 前記特開平10−92477号公報の太陽電池では、いわゆるゾルゲル法により、酸化物半導体微粒子集合体の焼成物の酸化物半導体膜を形成している。このような形成方法は、塗布後、高温で長時間の加熱が必要なため、基材、透明電極にも耐熱性が要求される。通常の透明電極であるITO等では、このような耐熱性を有していないため、特に耐熱性に優れた透明電極であるフッ素ドープ酸化スズを用いる必要があるが、フッ素ドープ酸化スズは、導電性が劣り、太陽電池のような大面積を必要とする用途には不適当である。
(6) 前記特開平10−92477号公報の太陽電池では、いわゆるゾルゲル法により、酸化物半導体微粒子集合体の焼成物の酸化物半導体膜を形成している。このような形成方法は、塗布後、高温で長時間の加熱が必要なため、基材、透明電極にも耐熱性が要求される。このような焼成物の酸化物半導体は、比較的表面積が大きく、このため色素吸着量も高く、光のエネルギー変換効率の大きくなり、実用性のある電流/電圧曲線が得られる。しかしながら、長時間の高温加熱処理が必要なため、耐熱性が充分でないITO等の通常の透明電極の使用が困難である。従って、高熱処理の必要のない、表面積の大きい酸化物半導体膜、即ち光のエネルギー変換効率の高い有機色素増感型金属酸化物半導体電極が求められていると共に、さらにより一層表面積の大きい酸化物半導体膜を有する有機色素増感型金属酸化物半導体電極が求められている。
発明の目的
(1) 第1発明は、色素増感型太陽電池の発電効率、耐久性、安全性の向上に有効でしかも安価に製造可能な色素増感型太陽電池用固体状電解質及び色素増感型太陽電池を提供することを目的とする。
(2) 第2発明は、酸化チタン薄膜を反応性スパッタにより形成することにより、基板として有機樹脂フィルムを用いることを可能とし、これにより薄肉、軽量化、低コスト化と生産効率の向上を図った色素増感型太陽電池用電極と、この色素増感型太陽電池用電極の製造方法を提供することを目的とする。
(3) 第3発明は、光のエネルギーを効率よく利用することができる有機色素増感型金属酸化物半導体電極を有する有機色素増感太陽電池を提供することを目的とする。
また第3発明は、光のエネルギーを効率よく利用することができ、さらに破損危険性のほとんどない有機色素増感型金属酸化物半導体電極を有する有機色素増感太陽電池を提供することを目的とする。
(4) 第4発明は、柔軟で設置しやすい有機色素増感型太陽電池を提供することを目的とする。
また、第4発明は、柔軟で貼付しやすく、意匠性、装飾性のある有機色素増感型太陽電池を提供すること、更には、有機色素増感型太陽電池が設置された建材を提供することを目的とする。
(5) 第5発明は、色素吸着性の向上した金属酸化物半導体膜を低温で簡易に得ることができる金属酸化物半導体膜の形成方法を提供することを目的とする。
また、第5発明は、前述の方法により得られる光のエネルギー変換効率の高い有機色素増感型金属酸化物半導体電極及びこれを有する有機色素増感太陽電池を提供することを目的とする。
(6) 第6発明は、色素吸着性の向上した金属酸化物半導体膜を得ることができる金属酸化物半導体膜の形成に好適な表面積が大きく且つ低抵抗の透明電極基板及びその形成方法を提供することを目的とする。
また、第6発明は、色素吸着性の向上した金属酸化物半導体膜を低温で簡易に得ることができる金属酸化物半導体膜の形成方法、この方法により有利に得られる光のエネルギー変換効率の高い有機色素増感型金属酸化物半導体電極及びこれを有する有機色素増感太陽電池を提供することを目的とする。
発明の概要
(1)第1発明
(1−i) 本発明の色素増感型太陽電池用電解質は、加硫ゴムに、酸化還元性物質を担持させてなることを特徴とする。
(1−ii) 本発明の色素増感型太陽電池用電解質は、三次元連続の網状骨格構造を有する高分子材料で構成された多孔質体に、酸化還元性物質を担持させてなることを特徴とする。
(1−iii) 本発明の色素増感型太陽電池用電解質は、ホスファゼン系重合体に、酸化還元性物質を担持させてなることを特徴とする。
(1−iv) 本発明の色素増感型太陽電池用電解質は、酸化還元性物質を担持させた、エチレン−酢酸ビニル系共重合樹脂(以下「EVA樹脂」と称す。)フィルムよりなることを特徴とする。
加硫ゴム、三次元連続の網状骨格構造を有する高分子材料で構成された多孔質体、ホスファゼン系重合体、或いは、EVA樹脂フィルムに、酸化還元性物質を担持させることにより、電解質を擬固体化することができる。この電解質は、色素増感型太陽電池の発電効率に影響を及ぼすことなく、安全性、耐久性に優れ、かつ安価に提供される。
(1−v) 本発明の色素増感型太陽電池は、色素増感型半導体電極と、この色素増感型半導体電極に対向して設けられた対電極と、該色素増感型半導体電極と対電極との間に配置された固体状電解質とを有する色素増感型太陽電池において、該固体状電解質が、このような本発明の(1−i)〜(1−iv)の電解質であるものであり、発電効率、耐久性、安全性に優れ、安価に提供される。
(2)第2発明
(2−i) 本発明の色素増感型太陽電池用電極の製造方法は、基板上に酸化チタン薄膜を形成する工程を有する色素増感型太陽電池用電極の製造方法において、該酸化チタン薄膜をTiメタルターゲットを用いた反応性スパッタにより形成することを特徴とする。
本発明では、酸化チタン薄膜を反応性スパッタにより形成するため、基板として、軽量で薄膜成形が可能で安価な有機樹脂フィルを用いることができ、また、透明導電薄膜の成膜に連続して酸化チタン薄膜を成膜することができる。このため、電極の薄肉、軽量化、低コスト化と生産効率の向上を図ることができる。
ところで、Tiメタルターゲットを用いる反応性スパッタは通常の条件では成膜速度が極めて遅く、生産性が悪い。
本発明では、反応性スパッタ時に、TiOの生成には酸素がわずかに不足する雰囲気で成膜することにより、酸素過剰でスパッタする場合に比べて、成膜速度を著しく速くすることができる。この酸素濃度は、プラズマエミッションやインピーダンスコントロールにより容易に制御することができる。
更に、反応性スパッタに、デュアルカソードを用いることにより、より高速で、長時間安定した成膜を行うことができる。
(2−ii) 本発明の色素増感型太陽電池用電極は、このような本発明(2−i)の方法により製造された、有機樹脂フィルム上にTiターゲットを用いた反応性スパッタにより形成された酸化チタン薄膜を有するものであり、薄肉、軽量で安価に提供される。
(3) 第3発明
(3−i) 本発明の有機色素増感型太陽電池は、表面に透明電極を有する透明基板、その透明電極上に形成された金属酸化物半導体膜及びその半導体膜表面に吸着した有機色素を含むからなる有機色素増感型金属酸化物半導体電極と、この電極に対向して設けられた対電極とからなり、さらに両電極間にレッドクス電解質が注入されてなる有機色素増感型太陽電池において、前記透明基板の透明電極の設けられていない側の表面に、反射防止膜が設けられていることを特徴とする有機色素増感型太陽電池。
(3−ii) 本発明の有機色素増感型太陽電池は、表面に透明電極を有する透明基板、その透明電極上に形成された金属酸化物半導体膜及びその半導体膜表面に吸着した有機色素を含むからなる有機色素増感型金属酸化物半導体電極と、この電極に対向して設けられた対電極とからなり、さらに両電極間にレッドクス電解質が注入されてなる有機色素増感型太陽電池において、前記透明基板の透明電極の設けられていない側の表面に、接着剤層を介して反射防止膜を有する反射防止フィルムが設けられていることを特徴とする。
上記太陽電池において、前記反射防止膜が、有機色素の吸光度が極大となる波長の反射率を低下させるものであること、或いは有機色素の吸光度が極大となる波長に反射率の極小を有するものであることが好ましい。反射防止フィルムについても同様である。色素の種類に従い、効率的な反射率の低下をもたらす。
また前記反射防止フィルムは、透明ポリマーフィルムと、その上に設けられた反射防止膜からなるのが一般的である。
さらに前記反射防止膜が、低屈折率透明無機薄膜と高屈折率透明無機薄膜とが、上側からこの順で交互積層された無機積層膜であることが好ましい。2〜6層が好ましい。太陽エネルギーの効率的利用の点から好ましい。無機積層膜の最上層である低屈折率透明無機薄膜の代わりに、低屈折率透明有機薄膜が設けられても良い。
また前記反射防止フィルムが、透明ポリマーフィルムと、その上に設けられた反射防止膜との間に紫外線カット層を有することが好ましい。色素の劣化を防止する。反射防止膜の高屈折率透明無機薄膜が、ITO(スズインジウム酸化物)又はZnO、或いはAlをドープしたZnO、TiO、SnO又はZrOからなる屈折率1.8以上の薄膜であることが、また反射防止膜の低屈折率透明無機薄膜が、SiO、MgF又はAlの屈折率が1.6以下の薄膜であることが同様に好ましい。
前記接着剤層が、エチレン/酢酸ビニル共重合体又は粘着性アクリル樹脂を含むことが、ガラス飛散防止の点から好ましい。
また前記透明基板はガラス板が好ましい。
本発明者等はさらに検討した結果、有機色素増感型太陽電池に一般に使用されるルテニウム含有色素(ルテニウム・フェナントロリン、ルテニウム・ジケトナート)及び/又はクマリン誘導体色素の吸収特性に応じて反射防止シートを設計することにより、太陽エネルギーをさらに効率的に利用できることを見出した。
従って、本発明は、前記色素が、ルテニウム含有色素(ルテニウム・フェナントロリン、ルテニウム・ジケトナート)であり、反射防止膜が、300〜600nmの波長範囲において光の反射率が10%以下(特に5%以下)である有機色素増感型太陽電池にもある。さらにこの範囲で極小値を有するものが好ましい。
また、前記有機色素が、クマリン誘導体色素であり、反射防止膜が、400〜600nmの波長範囲において光の反射率が10%以下(特に5%以下)である有機色素増感型太陽電池にもある。さらにこの範囲で極小値を有するものが好ましい。
(4) 第4発明
(4−i) 本発明の有機色素増感型太陽電池は、表面に透明電極を有する透明基板、その透明電極上に形成された金属酸化物半導体膜及びその半導体膜表面に吸着した有機色素からなる有機色素増感型金属酸化物半導体電極と、この電極に対向して設けられた対電極とからなり、さらに両電極間にレッドクス電解質が注入されてなる有機色素増感型太陽電池であって、該透明基板が透明有機ポリマー基板であり、且つ該対電極が有機ポリマー基板上に設けられていることを特徴とする。
上記太陽電池において、該対電極と有機ポリマー基板との間に、該透明電極が設けられていることが好ましい。これにより通電性が向上する。対電極を有する有機ポリマー基板が、高反射率を有すること、意匠性、装飾性を示す着色及び/又は模様を有することが好ましい。高反射率にすることにより、太陽光の光エネルギーを有効に利用することができる。意匠性等を持たせることにより、太陽電池の設置場所の適用範囲が広がり、使いやすくなる。また、このような意匠性等を示す着色、模様は、太陽電池の裏面側に形成されているため着色、模様に直接当たる太陽光は光量は激減している。従って、この着色、模様は、太陽光から保護されることとなり、着色・模様の劣化が大幅に少なくなるとの利点を有する。
さらに(透明)有機ポリマー基板の材料は、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート又はフッ素樹脂(例、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体))であるであることが好ましい。これらは透明性に優れている。
また、対電極を有する有機ポリマー基板の裏面に、接着剤層を介して離型フィルムが貼付されていることが好ましい。ガラス窓、壁材等の種々な場所への貼付が容易になる。接着剤層が、エチレン/酢酸ビニル共重合体又は粘着性アクリル樹脂を含むことが好ましい。耐久性に優れている。
(4−ii) 本発明の建材は、上記(4−i)の有機色素増感型太陽電池が、対電極を有する有機ポリマー基板の裏面を、接着剤層を介して基材の表面に貼付することにより接合されていることを特徴とする。
基材が窓ガラスまたは屋根材であることが好ましい。
なお、前記特開平10−92477号公報の太陽電池では、いわゆるゾルゲル法により、酸化物半導体微粒子集合体の焼成物の酸化物半導体膜を形成している。このような形成方法は、塗布後、高温で長時間の加熱が必要なため、基材、透明電極にも耐熱性が要求される。通常の透明電極であるITO等では、このような耐熱性を有していないため、特に耐熱性に優れた透明電極であるフッ素ドープ酸化スズを用いる必要があるが、フッ素ドープ酸化スズは、導電性が劣り、太陽電池のような大面積を必要とする用途には不適当である。
本出願人は、色素吸着性の向上した金属酸化物半導体膜を低温で簡易に得ることができる有機色素増感型金属酸化物半導体膜及びこれを用いた有機色素増感太陽電池に関する出願を既に行っている(特願2001−314334号等)。これにより導電性に優れた透明電極上に有機色素増感型金属酸化物半導体膜の形成が可能となった。
従って、第3発明、第4発明の金属酸化物半導体膜は、色素吸着性の向上した金属酸化物半導体膜で、低温で簡易に得ることができるものであることが好ましい。即ち、このような半導体膜は、一般に気相成膜法により形成されている。気相成膜法が、物理蒸着法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法またはプラズマCVD法であることが好ましい。気相成膜法が、対向2極ターゲット方式スパッタリング法である;或いは反応性スパッタリング法であることが好ましい。金属酸化物半導体膜が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化ニオブ、酸化タングステン又は酸化インジウム、或いはこれらの金属酸化物に他の金属若しくは他の金属酸化物をドーピングしたもの、特に酸化チタン、中でもアナタース型酸化チタンから形成されたものであることが好ましい。金属酸化物半導体膜の膜厚が、10nm以上であることが好ましい。
(5) 第5発明
(5−i) 本発明の金属酸化物半導体膜の形成方法は、表面に透明電極を有する基板上に、金属酸化物がバインダに分散されて成る塗布液を塗布し、乾燥して金属酸化物含有塗布層を形成し、次いで該金属酸化物含有塗布膜を紫外線照射処理してバインダ(有機バインダ)を除去することにより表面積の大きな金属酸化物半導体膜を形成することを特徴とする。
上記方法において、紫外線照射処理を行う際、用いる紫外線の波長が、一般に1〜400nm、好ましくは1〜300nm、特に好ましくは1〜200nmの範囲を用いて行われることが好ましい。これにより低温下でのバインダ除去が高速で行うことができる。また紫外線照射処理が、酸素、フッ素原子含有化合物(CF等)及び塩素原子含有化合物から選択される少なくとも1種のガスの存在下に行われることが好ましい。バインダの分解を促進する。得られる金属酸化物半導体膜が、実質的に金属酸化物のみからなる膜であることが好ましい。一般に、バインダを含む有機物は全て除去されるためである。金属酸化物が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化ニオブ、酸化タングステン又は酸化インジウム、或いはこれらの金属酸化物に他の金属若しくは他の金属酸化物をドーピングしたものであることが好ましい。金属酸化物が、酸化チタン、特にアナタース型酸化チタンであることが好ましい(光のエネルギー変換効率の観点から)。金属酸化物微粒子の一次粒径(平均)が、0.001〜5μmの範囲にあることが好ましい(空隙率の大きい膜の形成が容易となる)。得られる半導体膜も同様の材料から成るのが一般的である。バインダは、一般に有機ポリマーである(プラズマ処理が容易となる)。金属酸化物半導体膜の膜厚が、10nm以上であることが好ましい(光のエネルギー変換効率の観点から)。
(5−ii) 本発明の有機色素増感型金属酸化物半導体電極は、上記の方法により得られた表面に透明電極を有する基板及びその透明電極上に形成された金属酸化物半導体膜と、その半導体膜表面に吸着した有機色素とを含むことを特徴とする。
(5−iii) 本発明の有機色素増感型太陽電池は、上記の有機色素増感型金属酸化物半導体電極と、この電極に対向して設けられた対電極とからなり、さらに両電極間にレッドクス電解質が注入されてなることを特徴とする。
(6) 第6発明
(6−i) 本発明の透明電極の形成方法は、基板の表面に、導電性金属酸化物微粒子がバインダに分散されてなる塗布液を塗布し、乾燥して導電性金属酸化物含有塗布膜を形成し、その後該導電性金属酸化物含有塗布膜からバインダを除去することにより塗布型透明電極膜を形成し、次いで該塗布型透明電極膜の上に更に導電性金属酸化物を気相成膜することにより気相型透明電極膜を形成することにより積層型透明電極を設けることを特徴とする。
(6−ii) 本発明の透明電極の形成方法は、基板の表面に導電性金属酸化物を気相成膜することにより気相型透明電極膜を形成し、次いで導電性金属酸化物微粒子がバインダに分散されてなる塗布液を塗布し、乾燥して導電性金属酸化物含有塗布膜を形成し、その後該導電性金属酸化物含有塗布膜からバインダを除去して透明電極膜を形成することにより積層型透明電極を設けることを特徴とする。
従来の太陽電池及び前記公報に記載の太陽電池においては、透明電極の形成を気相成膜法により行われていたため、表面が平滑であり、この表面に表面積の大きい酸化物半導体膜を形成しようとしても限界があることに本発明者等は注目した。即ち、本発明者等は、透明電極の表面を粗面化することにより、透明電極表面の表面積を増加させ、これに基づいて光のエネルギー変換効率を向上させるべく検討を行い、本発明に到達したものである。
上記発明(6−i)及び(6−ii)において、いずれも気相成膜法と塗布法による2層の透明電極膜を有するものであり、その形成順序が反対である点で異なっている。共に、導電性金属酸化物含有塗布膜からバインダを除去することにより得られる表面積の大きい塗布型透明電極膜を有効に利用し、従来にない光のエネルギー変換効率の高い有機色素増感型金属酸化物半導体電極及び有機色素増感太陽電池を得ることを可能にしている。
バインダの除去は、プラズマ処理又は紫外線照射処理により行われることが好ましい。低温下での処理が可能となる。プラズマ処理は、高周波プラズマ、マイクロ波プラズマ又はこれらのハイブリッド型を用いて行われることが好ましい。低温下でのバインダ除去が高速で行うことができる。またプラズマ処理が、酸素、フッ素及び塩素から選択される少なくとも1種のガスの存在下に行われることが好ましい。バインダの分解を促進する。
紫外線照射処理に用いる紫外線の波長は1〜400nmの範囲にあることが好ましい。迅速な処理が可能となる。また紫外線照射処理が、オゾン、酸素、フッ素原子含有化合物及び塩素原子含有化合物から選択される少なくとも1種のガスの存在下に行われることが好ましい。バインダの分解を促進する。
塗布に用いられる導電性金属酸化物(微粒子)が、In:Sn(ITO)、SnO:Sb、SnO:F、ZnO:Al、SnO、ZnO:F、CdSnOから選択される少なくとも1種である。高い導電性が得られる。バインダは、一般に有機ポリマー等の有機化合物(特にポリアルキレングリコール)である。
気相型透明電極膜を形成するための気相成膜法が、物理蒸着法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法またはプラズマCVD法であることが好ましい。気相型透明電極膜が、In:Sn(ITO)、SnO:Sb、SnO:F、SnO、ZnO:Al、ZnO:F、CdSnOから選択される少なくとも1種からなる膜であることが好ましい。
気相型透明電極膜の膜厚は、0.1〜100nmの範囲にあることが好ましく、塗布型透明電極膜の膜厚が、10〜500nmの範囲にあることが好ましい。これにより大きな表面積を確保できる。
本発明は、上記透明電極膜の形成方法に従い、基板表面に透明電極膜が形成されてなる透明電極基板にもある。
また、本発明は、上記透明電極膜基板の透明電極上に、気相成膜法により金属酸化物半導体膜を形成する工程を含む金属酸化物半導体膜の形成方法にもある。
気相成膜法が、物理蒸着法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法またはプラズマCVD法であることが好ましい。
金属酸化物が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化ニオブ、酸化タングステン又は酸化インジウム、或いはこれらの金属酸化物に他の金属若しくは他の金属酸化物をドーピングしたものであることが好ましい。金属酸化物が、酸化チタン、特にアナタース型酸化チタンであることが好ましい(光のエネルギー変換効率の観点から)。金属酸化物半導体膜の膜厚が、10nm以上であることが好ましい(光のエネルギー変換効率の観点から)。
(6−iii) 本発明の有機色素増感型金属酸化物半導体電極は、上記の方法により得られた表面に透明電極を有する基板、その透明電極上に形成された金属酸化物半導体膜、及びその半導体膜表面に吸着した有機色素を含むことを特徴とする。
(6−iv) 本発明の有機色素増感型太陽電池は、上記の有機色素増感型金属酸化物半導体電極と、この電極に対向して設けられた対電極とからなり、さらに両電極間にレッドクス電解質が注入されてなることを特徴とする。
図1は、色素増感型太陽電池の一般的な構造を示す断面図である。
図2は、(1−ii)の発明に係る多孔質体の三次元連続の網状骨格構造を示す模式図である。
図3は、第2発明の色素増感型太陽電池用電極の実施の形態を示す断面図である。
図4は、第3発明の太陽電池の実施形態の一例を示す断面図である。
図5は、第3発明の太陽電池の実施形態の別の一例を示す断面図である。
図6は、第3発明の反射防止フィルムの実施形態の一例を示す断面図である。
図7は、第4発明の太陽電池の実施形態の一例を示す断面図である。
図8は、第4発明の太陽電池の別の実施形態の一例を示す断面図である。
図9は、第4発明の太陽電池の別の実施形態の一例を示す断面図である。
図10は、第5発明の金属酸化物半導体膜の形成方法の一例を示す断面図である
図11は、第5発明の太陽電池の実施形態の一例を示す断面図である。
図12は、第6発明の透明電極の形成方法の一例を説明するための概略図である。
図13は、第6発明の透明電極の形成方法の別の一例を説明するための概略図である。
図14は、第6発明で透明電極膜の形成方法で好適に用いられるプラズマ発生装置の一例を示す断面図である。
図15は、第6発明の太陽電池の実施形態の一例を示す断面図である。
詳細な説明
(1)第1発明の色素増感型太陽電池用電解質及び色素増感型太陽電池の実施の形態を詳細に説明する。
(1−i)の色素増感型太陽電池用電解質において、酸化還元性物質を担持する加硫ゴムのゴム成分としては、天然ゴム(NR)、及び構造式中に炭素−炭素二重結合を有する合成ゴムを単独で或いは2種以上ブレンドして使用することができる。上記合成ゴムとしては、イソプレン、ブタジエン、クロロプレン等の共役ジエン化合物の単独重合体であるポリイソプレンゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリクロロプレンゴム等、前記共役ジエン化合物とスチレン、アクリロニトリル、ビニルピリジン、アクリル酸、メタクリル酸、アルキルアクリレート類、アルキルメタクリレート類等のビニル化合物との共重合体であるスチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、ビニルピリジン−ブタジエン−スチレン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、アクリル酸−ブタジエン共重合ゴム、メタアクリル酸−ブタジエン共重合ゴム、メチルアクリレート−ブタジエン共重合ゴム、メチルメタアクリレート−ブタジエン共重合ゴム等、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類とジエン化合物との共重合体(例えばイソブチレン−イソプレン共重合ゴム(IIR))、オレフィン類と非共役ジエンとの共重合体(EPDM)(例えばエチレン−プロピレン−シクロペンタジエン三元共重合体、エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン三元共重合体、エチレン−プロピレン−1,4−ヘキサジエン三元共重合体)、シクロオレフィンを開環重合させて得られるポリアルケナマー(例えばポリペンテナマー)、オキシラン環の開環重合によって得られるゴム(例えば硫黄加硫が可能なポリエピクロロヒドリンゴム)、ポリプロピレンオキシドゴム等が含まれる。また、前記各種ゴムのハロゲン化物、例えば塩素化イソブチレン−イソプレン共重合ゴム(CI−IIR)、臭素化イソブチレン−イソプレン共重合ゴム(Br−IIR)等も含まれる。更に、ノルボルネンの開環重合体も用い得る。また更に、ブレンドゴムとしては上述のゴムにエピクロロヒドリンゴム、ポリプロピレンオキシドゴム、クロロスルフォン化ポリエチレン等の飽和弾性体をブレンドして用いることもできる。
加硫ゴムはこのようなゴム成分を加硫剤により加硫、架橋して製造される。この加硫剤としては、硫黄、有機硫黄化合物、有機過酸化物、その他の架橋剤を用いることができ、その使用割合は、上記ゴム成分100部(重量部、以下同様)当り、好ましくは0.01〜10部、より好ましくは0.1〜6部である。
この加硫に当っては、アルデヒドアンモニア類、アルデヒドアミン類、グアニジン類、チオウレア類、チアゾール類、ジチオカルバミン酸塩類、キサントゲン酸塩類、チウラム類等の加硫促進剤を上記ゴム成分100部に対して好ましくは0.01〜10部、より好ましくは0.1〜5部用いても良い。更に、亜鉛華、ステアリン酸等の加硫促進助剤を上記ゴム成分100部に対して好ましくは0.1〜10部、より好ましくは0.5〜5部用いても良い。
(1−i)に係る加硫ゴムには、例えばパラフィン系、ナフテン系、芳香族系プロセスオイル、エチレン−α−オレフィンのコオリゴマー、パラフィンワックス、流動パラフィン等の鉱物油、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油等の植物油などのオイルを配合することが好ましく、これによりゴム加工性を向上させることができる。これらのオイルの配合量はゴム成分100部に対して3〜50部、特に4〜10部とすることが好ましい。
また、(1−i)に係る加硫ゴムには、更に常法に従い、目的、用途などに応じてカーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、クレイ、マイカ等の充填剤を配合することができ、これらの充填剤の配合量はゴム成分100部に対して好ましくは0.5〜20部、より好ましくは1〜10部である。
(1−i)の加硫ゴムは、上記成分を混合してなるゴム組成物を加熱加圧して加硫成形することにより製造することができる。
なお、硫黄加硫の他、ジチオモルフォリン、チウラム加硫等の有機硫黄化合物による有機硫黄加硫法、有機過酸化物による熱架橋、紫外線架橋、放射線架橋などを採用することもできるが、特に酸化還元性物質であるヨウ素と反応しにくい硫黄加硫による方法が最も好ましい。この場合、硫黄や有機硫黄化合物中の硫黄の配合量はゴム成分100部に対して0.5〜7部、特に1〜6部とすることが好ましい。
また、(1−i)で用いる加硫ゴムは、導電性を高める効果を発現するために、側鎖に芳香環、特にベンゼン環やピリジン環を有するものが好ましく、従って、このような芳香環が導入されるように、スチレン、ビニルピリジン等を共重合成分として含むゴム成分を用いることが好ましい。
加硫ゴム中のベンゼン環やピリジン環等の芳香環の含有量は、全ゴム成分に対して5〜50重量%であることが好ましい。この割合が5重量%未満では導電性向上効果が十分でなく、50重量%を超えると硬く、脆く、靭性のない膜となる。
(1−i)においては、このような加硫ゴムに、酸化還元性物質を担持させる。加硫ゴムへの酸化還元性物質の担持は、例えば、酸化還元性物質の溶液中にこの加硫ゴムを浸漬するなどして酸化還元性物質溶液を含浸させた後、乾燥する。
(1−ii)の色素増感型太陽電池用電解質において、酸化還元性物質を担持する三次元連続の網状骨格構造の多孔質体の三次元連続の網状骨格構造を構成する高分子材料は、エチレン−プロピレン共重合体により形成されたものであることが好ましい。
かかる共重合体は、エチレンとプロピレンとを主成分とするエチレン−プロピレン系ゴム(EPR)であり、エチレン含有量が60重量%以上であることが好ましい。エチレン含有量が60重量%未満では高分子網状構造体の物性に劣る。エチレン含有量は、好ましくは65重量%以上、更に好ましくは70重量%以上であるが、その上限は95重量%、特に90重量%であることが好ましい。また、三次元連続網状骨格は、結晶構造、凝集構造等の硬質ブロック部分と、アモルファス構造などの軟質ブロック部分とを一緒に持ち合わせていることが好ましく、このためEPRの結晶化度は3%以上、好ましくは5%以上、最も好ましくは8%以上であることが好ましいが、その上限は60%、特に50%であることが好ましい。更に、エチレンのブロック性を表すポリエチレン部の融点(Tm)は、示差走査熱量測定法(DSC)で25℃以上、好ましくは30℃以上、更に好ましくは35℃以上とすることが望ましい。なお、共重合体の数平均分子量は、20000以上、好ましくは30000以上、更に好ましくは40000以上であることが好ましい。
上記共重合体は、必要によりエチレンとプロピレン以外の共重合成分を含んでいても良い。この共重合成分としては、例えば1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデン・ノルボルネン等が挙げられ、エチレン、プロピレンにこれら第三成分の1種又は2種以上を配合して、EPDMとしてもよい。この場合、第三成分の含有量は共重合体全体の1〜15重量%、好ましくは2〜10重量%とすることが望ましい。
更に、(1−ii)にかかる三次元連続網状骨格は、上記EPR、EPDMに例えば水酸基などの親水基や、ニトロ基等の親油基を導入して変性し、その特性を変えることも用途によっては有効である。
このような共重合体から構成される三次元連続網状骨格は、図2に示すようなミクロ構造を有する。なお、図2において、11は上記共重合体からなる三次元連続網状骨格、12は開孔(内部連通空間)であり、この開孔12内に後述する酸化還元性物質が保持される。
ここで、骨格11の平均径dは8μm以下、好ましくは0.5〜5μmの範囲、また開孔12の平均径Dは80μm以下、好ましくは1〜50μmの範囲であるものが望ましい。更に、開孔率は40%以上、好ましくは50〜95%の範囲であることが望ましい。
このような多孔質体は、例えば、上述したエチレン−プロピレン系共重合体等の高分子材料と、この高分子材料よりも多量の低分子材料を、該高分子材料が三次元連続網状骨格構造を形成し得る混合条件にて混合して高分子材料が三次元連続の網状骨格構造を形成している前駆体を得、この前駆体中の低分子材料を除去することにより製造することができる。
具体的には、高剪断型混合機などの高速撹拌機を用い、撹拌速度を300rpm以上、好ましくは500rpm以上、更に好ましくは1000rpm以上として混合する方法が挙げられる。高速に撹拌しない場合、例えばロールやローター型ミキサー、シリンダー型ミキサーを用い、低速度で混合したのでは、目的とするエチレン−プロピレン系共重合体等の高分子材料の均一な三次元連続網状骨格構造を得ることは困難である。また、混合温度は100〜250℃、好ましくは150〜200℃の範囲が望ましく、混合時間は1〜120分、好ましくは2〜90分程度が良い。
なお、上述した混合を行った後、硫黄や有機過酸化物等の加硫剤を混合するか、或いは電子線照射するなどの方法で架橋を行うこともできる。
高分子材料と混合する低分子材料としては、固体でも液体でも良く、用途に応じて種々のものが使用可能である。低分子材料が有機材料であれば、その数平均分子量は20000未満であり、好ましくは10000以下、更に5000以下であるものが良い。低分子材料としては特に制限はないが、次のものを例示することができる。
軟化剤:鉱物油系、植物油系、合成系などの各種ゴム用、或いは樹脂用軟化剤。鉱物油系としては、アロマティック系、ナフテン系、パラフィン系等のプロセス油などが挙げられる。植物油としては、ひまし油、綿実油、あまに油、菜種油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、木ろう、パインオイル、オリーブ油など。
可塑剤:フタル酸エステル、フタル酸混基エステル、脂肪族二塩基酸エステル、グリコールエステル、脂肪酸エステル、リン酸エステル、ステアリン酸エステル等の各種エステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、その他プラスチック用可塑剤、又はフタレート系、アジペート系、セバケート系、フォスフェート系、ポリエーテル系、ポリエステル系などのNBR用可塑剤。
粘着付与剤:クマロン樹脂、クマロン−インデン樹脂、フェノールテルピン樹脂、石油系炭化水素、ロジン誘導体等の各種粘着付与剤(タッキファイヤー)。
オリゴマー:クラウンエーテル、含フッ素オリゴマー、ポリブテン、キシレン樹脂、塩化ゴム、ポリエチレンワックス、石油樹脂、ロジンエステルゴム、ポリアルキレングリコールジアクリレート、液状ゴム(ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエン−アクリロニトリルゴム、ポリクロロプレン等)、シリコーン系オリゴマー、ポリ−α−オレフィン等の各種オリゴマー。
滑剤:パラフィン、ワックス等の炭化水素系滑剤、高級脂肪酸、オキシ脂肪酸等の脂肪酸系滑剤、脂肪酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミド等の脂肪酸アミド系滑剤、脂肪酸低級アルコールエステル、脂肪酸多価アルコールエステル、脂肪アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロール等のアルコール系滑剤、金属石鹸、混合系滑剤等の各種滑剤。
その他、ラテックス、エマルジョン、液晶、歴青組成物、粘土、天然のデンプン、糖、更に無機系のシリコンオイル、フォスファゼン等も使用することができる。更に、牛油、豚油、馬油等の動物油、鳥油、魚油、蜂蜜、果汁、チョコレート、ヨーグルトなどの乳製品、炭化水素系、ハロゲン化炭化水素系、アルコール系、フェノール系、エーテル系、アセタール系、ケトン系脂肪酸系、エステル系、窒素化合物系、硫黄化合物系等の有機溶剤、或いは種々の薬効成分、土壌改良剤、肥料類、石油類、水、水溶液なども用いることができる。
高分子材料と低分子材料との混合割合は、三次元連続網状骨格を構成する前記共重合体等の高分子材料の量をA、これ以外の低分子材料の量をBとしたとき、共重合体等の高分子材料の重量分率[{A/(A+B)×100}]が、30%以下、好ましくは7〜25%であることが望ましい。
このようにして得られる前駆体は、高分子材料により形成される三次元連続の網状骨格構造の三次元連続網状骨格間(内部連通空間内)に上述した低分子材料が保持されたものであり、この前駆体から多量成分の低分子材料を除去することにより、本発明にかかる多孔質体を得ることができる。
この低分子材料の除去方法としては特に制限はないが、例えば適当な溶媒を用いて低分子材料を溶解抽出させた後、残留する溶媒を揮発乾燥する方法が適当である。
ここで、使用できる溶媒としては、エチレン−プロピレン系共重合体等の高分子材料が不溶又は難溶性で、低分子材料その他の成分が易溶性のものであればいずれのものも使用可能であり、例えばキシレン、トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類、ヘキセン、ペンテン等の不飽和脂肪族炭化水素類、ヘキサン、ペンタン等の飽和脂肪族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、エタノール、ブタノール等のアルコール類、塩化メチレン、クロロホルム等の塩化脂肪族炭化水素類、シクロヘキサノン等の脂環式炭化水素類、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、酢酸ブチルなどのエステル類、更に水、アルカリ水溶液、酸水溶液等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して1回〜複数回の抽出操作を行うことができる。
これらの溶媒による溶解抽出に際し、具体的には低分子材料を含む高分子材料の前駆体を小片又は薄膜化した後、これを上記溶媒中に浸漬して低分子材料の抽出を行うことが好適である。この場合、低分子材料を有効に回収するために、特に低分子材料が液状の場合、溶媒による溶解抽出の前段階として、前駆体をロールやプレスなどで圧縮したり、吸引機、真空機、遠心分離機、超音波装置などで物理的な力を加えて低分子材料の大部分を取り出し、その後溶媒による溶解抽出を行うことが推奨される。
なお、このような抽出操作で得られた三次元連続の網状骨格構造の多孔質体に後処理を加えてその特性を変えることも有効である。例えば、紫外線、電子線、又は加熱によってポリマー成分を架橋させることによって、熱的安定性を増加させることができる。また、例えば界面活性剤、カップリング剤、ガスによるエッチング、プラズマ処理、スパッタ処理等により、多孔質体の親水性、疎水性、電気特性、光学特性、強度などを変えることも有効である。
(1−ii)においては、このようにして得られる多孔質体の低分子材料が除去された空隙(内部連通空間)に、酸化還元性物質を担持させる。多孔質体への酸化還元性物質の担持は、例えば、酸化還元性物質の溶液中にこの多孔質体を浸漬するなどして酸化還元性物質溶液を含浸させた後、乾燥する。
(1−iii)の色素増感型太陽電池用電解質において、酸化還元性物質を担持するホスファゼン系重合体は、ホスファゼン誘導体を数〜数千重合してなるものである。
このようなホスファゼン誘導体としては、例えば、下記一般式(1)で表される鎖状ホスファゼン誘導体(以下、「ホスファゼン誘導体(1)」と称す場合がある。)、又は、下記一般式(2)で表される環状ホスファゼン誘導体(以下、「ホスファゼン誘導体(2)」と称す場合がある。)が好適に挙げられる。
(RP=N−X ………(1)
(但し、一般式(1)において、Rは、一価の置換基又はハロゲン元素を表す。Xは、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、窒素、リン、酸素、及びイオウからなる群から選ばれる元素の少なくとも1種を含む有機基を表す。)
(PNR ………(2)
(但し、一般式(2)において、Rは、一価の置換基又はハロゲン元素を表す。nは、2〜14を表す。)
一般式(1)(2)における置換基R、Rとしては、一価の置換基又はハロゲン元素であれば特に制限はなく、一価の置換基としては、ヒドロキシル基、アルコキシ基、フェノキシ基、アルキル基、カルボキシル基、アシル基、アリール基、アミノ基、アルキルチオ基等が挙げられる。これらの中でも、アルコキシ基、フェノキシ基、アミノ基が好ましい。また、ハロゲン元素としては、フッ素、塩素、臭素等が好適であり、これらの中でも塩素またはフッ素が好ましい。一般式(1)のRまたは一般式(2)のRは、総て同一の種類の置換基でも良く、それらのうちのいくつかが異なる種類の置換基でも良い。
、Rのアルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等や、二重結合を含むアリルオキシ基等、またはメトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基等のアルコキシ置換アルコキシ基等が挙げられる。これらの中でも、エトキシ基、メトキシエトキシ基が好適である。これらの置換基中の水素元素は、前述のようにハロゲン元素で置換されていてもよい。さらにこれらの置換基中に、ヒドロキシル、メルカプタン、アミン、カルボキシル、エポキシ等の官能基が含まれていてもよい。このような官能基は、その部位が反応点となり重合反応や架橋反応が可能となり、高分子量のものや、三次元形状のものを得るのに都合がよい。
また、R、Rのアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等が挙げられ、アシル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基等が挙げられ、アリール基としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。
アミノ基としてはアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アジリジル基、ピロリジル基等が挙げられる。
前記一般式(1)において、Xとしては、有害性、環境等への配慮の観点からは、炭素、ケイ素、窒素、リン、酸素、及び、イオウからなる群から選ばれる元素の少なくとも1種を含む有機基が好ましく、以下の一般式(3A),(3B)で表される構造を有する有機基がより好ましい。
Figure 2004017452
但し、一般式(3A)、(3B)において、R、Rは、一価の置換基又はハロゲン元素を表す。
一般式(3A)、(3B)において、R、Rとしては、一般式(1)(2)におけるR、Rで述べたのと同様の一価の置換基又はハロゲン元素がいずれも好適に挙げられる。Rは、同一有機基内において、それぞれ同一の種類でも良く、互いに異なる種類でも良い。また、互いに結合して環を形成していても良い。一般式(3A)において、Zとしては、例えば、CH基、CHR(Rは、アルキル基、アルコキシル基、フェニル基等を表す。以下同様。)基、NR基のほか、酸素、硫黄、セレン、ホウ素、アルミニウム、スカンジウム、ガリウム、イットリウム、インジウム、ランタン、タリウム、炭素、ケイ素、チタン、スズ、ゲルマニウム、ジルコニウム、鉛、リン、バナジウム、ヒ素、ニオブ、アンチモン、タンタル、ビスマス、クロム、モリブデン、テルル、ポロニウム、タングステン、鉄、コバルト、ニッケル等の元素を含む基等が挙げられ、これらの中でもNR基、酸素、硫黄の元素を含むのが好ましい。
一般式(3A)、(3B)のうち、特に効果的に自己消火性ないし難燃性を付与し得る点で、一般式(3A)で表されるようなリンを含む有機基が特に好ましい。また、一般式(3B)で表されるようなイオウを含む有機基である場合には、小界面抵抗化の点で特に好ましい。
前記一般式(2)において、nとしては特に制限はなく、2〜14のいずれの混合物でもよいが、安定性、汎用性(原料入手の容易性)の点でn=3がもっとも好ましい。
ホスファゼン系重合体は前述のホスファゼン誘導体(1)または(2)をさまざまな方法で重合することにより得られる。一般にはホスファゼン誘導体(1)または(2)を200〜400℃に加熱することにより調製することができる。このときに安息香酸等の有機物や塩化アルミニウム等の無機塩を触媒としてホスファゼン誘導体に対して0.01〜10重量%加えると、より低温、短時間に重合体が調製できる。また熱以外にもプラズマやUV等を用いた重合も可能である。得られるホスファゼン系重合体の分子骨格は基本的に−(N=PR)n−の直鎖状構造を有しているものであるが、重合条件によっては、環状、三次元形状のものを得ることができる。
またホスファゼン誘導体(1)または(2)のリン原子上の置換基を用いた分子間でのカップリング用いた反応によっても重合体の調製が可能である。この場合、ホスファゼン系重合体の分子骨格は基本的に直鎖、または環状構造を保持した重合体が得られる。
なお、(1−iii)で用いるホスファゼン系重合体は、前述の重合方法を用いることにより、1種のホスファゼン誘導体のみを重合してなる重合体に限らず、2種以上のホスファゼン誘導体を共重合してなる共重合体にすることも可能である。ホスファゼン系重合体の特性を損なわない範囲で、ホスファゼン誘導体以外の成分を含有するものであっても良い。
(1−iii)で用いる、上記ホスファゼン誘導体を重合して得られるホスファゼン系重合体は、その分子量が10万以上であることが好ましい。ホスファゼン系重合体の分子量が10万未満では、強度が弱く、ゲルよりはむしろゾルに近い常態となることがある。
ホスファゼン系重合体としては、分子構造中にハロゲン元素を含む置換基を有するものが好ましい。分子構造中に、ハロゲン元素を含む置換基を有するものであれば、前記ホスファゼン系重合体から誘導されるハロゲンガスによって、得られる電解質に自己消火性ないし難燃性を発現させることが可能となる。なお、置換基にハロゲン元素を含む化合物においてはハロゲンラジカルの発生が問題となることがあるが、ホスファゼン系重合体は、分子構造中のリン元素がハロゲンラジカルを捕促し、安定なハロゲン化リンを形成するため、このような問題は発生しない。
ハロゲン元素のホスファゼン系重合体における含有量としては、2〜80重量%が好ましく、2〜60重量%がより好ましく、2〜50重量%が更に好ましい。この含有量が、2重量%未満では、ハロゲンを含有させることにより得られる効果が有効に得られないことがある。一方、80重量%を超えると、電解質として機能が低下することがある。この含有量が、2重量%未満では、ハロゲンを含有させることにより得られる効果が有効に得られないことがある。前記ハロゲン元素としては、フッ素、塩素、臭素等が好適であり、これらの中でも、特にフッ素が好ましい。
(1−iii)においては、このようにして得られるホスファゼン系重合体に、酸化還元性物質を担持させる。ホスファゼン系重合体への酸化還元性物質の担持は、例えば、酸化還元性物質の溶液中にこのホスファゼン系重合体を浸漬するなどして酸化還元性物質溶液を含浸させた後、乾燥する。
(1−iv)の色素増感型太陽電池用電解質において、酸化還元性物質を担持するEVA樹脂フィルムを構成するEVA樹脂としては、酢酸ビニル含有量が5〜50重量%、特に15〜40重量%のものが好ましい。EVA樹脂の酢酸ビニル含有量が5重量%より少ないと耐候性及び透明性に問題があり、また40重量%を超すと機械的性質が著しく低下する上に、成膜が困難となり、フィルム相互のブロッキングが生ずる。
EVA樹脂フィルムの成膜材料であるEVA樹脂組成物には、架橋剤を配合し、得られるEVA樹脂フィルムに架橋構造を持たせることが、電解質を担持させるために、また、太陽電池セル構造において上部電極と下部電極の一体化にも接着剤的な役目を果たす点で好ましい。
架橋剤としては加熱架橋する場合は、有機過酸化物が適当であり、フィルム加工温度、架橋温度、貯蔵安定性等を考慮して選ばれる。使用可能な過酸化物としては、例えば2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン−3;ジ−t−ブチルパーオキサイド;t−ブチルクミルパーオキサイド;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン;ジクミルパーオキサイド;α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン;n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート;2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン;t−ブチルパーオキシベンゾエート;ベンゾイルパーオキサイド;t−ブチルパーオキシアセテート;2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン;メチルエチルケトンパーオキサイド;2,5−ジメチルヘキシル−2,5−ビスパーオキシベンゾエート;t−ブチルハイドロパーオキサイド;p−メンタンハイドロパーオキサイド;p−クロルベンゾイルパーオキサイド;t−ブチルパーオキシイソブチレート;ヒドロキシヘプチルパーオキサイド;クロルヘキサノンパーオキサイドなどが挙げられる。これらの過酸化物は1種を単独で又は2種以上を混合して、通常EVA樹脂100重量部に対して、10重量部以下、好ましくは0.1〜10重量部の割合で使用される。
有機過酸化物は通常EVA樹脂に対し押出機、ロールミル等で混練されるが、有機溶媒、可塑剤、ビニルモノマー等に溶解し、成膜されたEVA樹脂フィルムに含浸させることにより添加しても良い。
なお、EVA樹脂の物性(機械的強度、光学的特性、接着性、耐候性、耐白化性、架橋速度など)の改良のために、各種アクリロキシ基又はメタクリロキシ基及びアリル基含有化合物を添加することができる。この目的で用いられる化合物としてはアクリル酸又はメタクリル酸誘導体、例えばそのエステル及びアミドが最も一般的であり、エステル残基としてはメチル、エチル、ドデシル、ステアリル、ラウリル等のアルキル基の他、シクロヘキシル基、テトラヒドロフルフリル基、アミノエチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル基などが挙げられる。また、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多官能アルコールとのエステルを用いることもできる。アミドとしてはダイアセトンアクリルアミドが代表的である。より具体的には、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリン等のアクリル又はメタクリル酸エステル等の多官能エステルや、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル等のアリル基含有化合物が挙げられ、これらは1種を単独で、或いは2種以上を混合して、通常EVA樹脂100重量部に対して0.1〜2重量部、好ましくは0.5〜5重量部用いられる。
EVA樹脂を光により架橋する場合、前記過酸化物の代りに光増感剤が通常EVA樹脂100重量部に対して10重量部以下、好ましくは0.1〜10重量部使用される。この場合、使用可能な光増感剤としては、例えばベンゾイン、ベンゾフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ジベンジル、5−ニトロアセナフテン、ヘキサクロロシクロペンタジエン、p−ニトロジフェニル、p−ニトロアニリン、2,4,6−トリニトロアニリン、1,2−ベンズアントラキノン、3−メチル−1,3−ジアザ−1,9−ベンズアンスロンなどが挙げられ、これらは1種を単独で或いは2種以上を混合して用いることができる。
また、この場合、促進剤としてシランカップリング剤が併用される。このシランカップリング剤としては、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。これらのシランカップリング剤は通常EVA樹脂100重量部に対して0.001〜10重量部、好ましくは0.001〜5重量部の割合で1種又は2種以上が混合使用される。
なお、(1−iv)に係るEVA樹脂フィルムには、その他、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、老化防止剤、塗料加工助剤を少量含んでいても良く、また、必要に応じて得られる太陽電池自体の色合いを調整するために染料、顔料などの着色剤、カーボンブラック、疎水性シリカ、炭酸カルシウム等の充填剤を適量配合しても良い。
また、半導体電極や対電極との密着性改良の手段として、(1−iv)に係るEVA樹脂フィルム面へのコロナ放電処理、低温プラズマ処理、電子線照射、紫外線照射などの手段も有効である。
なお、色素増感型太陽電池の電解質の厚さは、通常の場合10nm〜2mm程度であるため、(1−iv)に係るEVA樹脂フィルムはこの程度の厚さに成膜されることが好ましい。成膜は、フィルム厚みが薄い場合はEVA樹脂等の材料を溶媒などに溶解しフィルムを作製し、厚い場合はTダイ等のフィルム押出し装置により成形することにより行うことができる。例えば、膜厚50μm以上2mm以下の場合は、EVA樹脂と上述の添加剤とを混合し、押出機、ロール等で混練した後カレンダー、ロール、Tダイ押出、インフレーション等の成膜法により所定の形状にフィルム成形し、成膜に際して、必要に応じてエンボスを付与する。膜厚0.1mm以下の場合は、EVA樹脂と上述の添加剤とを混合した後、溶剤等で希釈した液状物をロールコーター、ダイコーター、ナイフコーター、マイカバーコーター、フローコーター、スプレーコーター等により塗工することにより容易に成膜することができる。
このようなEVA樹脂フィルムに、酸化還元性物質を担持させるには、次のような方法を採用することができる。
▲1▼EVA樹脂フィルムの成膜材料としてのEVA樹脂組成物に、予めEVA樹脂に対して架橋剤やその他の添加剤と共に、酸化還元性物質を混合し、常法に従って成膜し、酸化還元性物質含有EVA樹脂フィルムを得る。
▲2▼成膜されたEVA樹脂フィルムに酸化還元性物質を含浸させる。例えば、酸化還元性物質の溶液中にこのEVA樹脂シートを浸漬するなどして酸化還元性物質溶液を含浸させた後、乾燥する。
(1−i)〜(1〜iv)において、加硫ゴム、三次元連続の網状骨格構造を有する高分子材料で構成された多孔質体、ホスファゼン系重合体又はEVA樹脂フィルム(以下、これらを「担体」と称す場合がある。)に担持する酸化還元性物質としては、一般に電池や太陽電池などにおいて使用することができるものであれば特に限定されないが、LiI、NaI、KI、CaIなどの金属ヨウ化物とヨウ素の組み合わせ、LiBr、NaBr、KBr、CaBrなどの金属臭化物と臭素の組み合わせが好ましく、これらの中でも、金属ヨウ化物とヨウ素の組み合わせが好ましい。
担体への含浸に用いる酸化還元性物質溶液中の、これらの酸化還元性物質の濃度としては、0.01〜1モル/Lの範囲が挙げられるが、特に0.05〜0.5モル/Lが好ましい。
また、溶媒としては、プロピレンカーボネートなどのカーボネート化合物、アセトニトリルなどのニトリル化合物、エタノールなどのアルコール類、その他、水や非プロトン極性物質などが挙げられるが、これらの中でも、カーボネート化合物やニトリル化合物が好ましい。
このような酸化還元性物質溶液に、担体を浸漬する場合、浸漬時間は5時間程度必要であるが、浸漬温度を高く設定すれば、酸化還元性物質溶液が活性化されて浸透速度が速くなり、電解質の作製時間が短縮できるので好ましい。この浸漬温度は、ラジカル反応が起こらない程度に抑える必要があり、具体的には35〜65℃程度である。
含浸後の乾燥は室温で0.5〜1時間程度行うことが好ましい。
このようにして得られる第1発明の色素増感型太陽電池用電解質は、担体に対する酸化還元性物質の担持量が少な過ぎると、電解質として機能に劣るものとなることから、担体に対する酸化還元性物質担持量で5重量%以上であることが好ましい。この担持量が過度に多いと担持させた酸化還元物質が、担体からブリードしたり、担体の強度が弱くなったり、劣化するなどのために、電池組み立て時の取り扱いに支障が出るなどの懸念があるため、加硫ゴム、ホスファゼン系重合体又はEVA樹脂フィルムに対する酸化還元性物質の担持量は、通常10〜30重量%であることが好ましい。また、多孔質体に対する酸化還元性物質の担持量は、通常5〜90重量%であることが好ましい。
第1発明の色素増感型太陽電池は、電解質としてこのような第1発明の色素増感型太陽電池用電解質を用いたものであるが、電解質以外の他の構成は、図1に示すような従来の色素増感型太陽電池と同様の構成とされる。
色素増感型太陽電池の基板1としては、通常ガラス板であり、通常珪酸塩ガラスであるが、可視光線の透過性を確保できる限り、種々のプラスチック基板等を使用することができる。基板の厚さは、0.1〜10mmが一般的であり、0.3〜5mmが好ましい。ガラス板は、化学的に或いは熱的に強化させたものが好ましい。
透明電極2としては、InやSnOの導電性金属酸化物薄膜を形成したものや金属等の導電性材料からなる基板が用いられる。導電性金属酸化物の好ましい例としては、In:Sn(ITO)、SnO:Sb、SnO:F、ZnO:Al、ZnO:F、CdSnOを挙げることができる。
分光増感色素を吸着させた金属酸化物半導体膜3の金属酸化物半導体としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化タングステン、酸化アンチモン、酸化ニオブ、酸化タングステン、酸化インジウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、硫化カドミウムなどの公知の半導体の1種又は2種以上を用いることができる。特に、安定性、安全性の点から酸化チタンが好ましい。酸化チタンとしてはアナタース型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、無定形酸化チタン、メタチタン酸、オルソチタン酸などの各種の酸化チタン或いは水酸化チタン、含水酸化チタンが含まれるが、特に本発明ではアナタース型酸化チタンが好ましい。また金属酸化物半導体膜は微細な結晶構造を有することが好ましい。また多孔質膜であることも好ましい。金属酸化物半導体の膜厚は、10nm以上であることが一般的であり、100〜1000nmが好ましい。
酸化物半導体膜に吸着させる有機色素(分光増感色素)は、可視光領域及び/又は赤外光領域に吸収を持つものであり、種々の金属錯体や有機色素の1種又は2種以上を用いることができる。分光増感色素の分子中にカルボキシル基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシル基、スルホン基、カルボキシアルキル基の官能基を有するものが半導体への吸着が速いため、好ましい。また、分光増感の効果や耐久性に優れているため、金属錯体が好ましい。金属錯体としては、銅フタロシアニン、チタニルフタロシアニンなどの金属フタロシアニン、クロロフィル、ヘミン、特開平1−220380号公報、特表平5−504023号公報に記載のルテニウム、オスミウム、鉄、亜鉛の錯体を用いることができる。有機色素としては、メタルフリーフタロシアニン、シアニン系色素、メロシアニン系色素、キサンテン系色素、トリフェニルメタン色素を用いることができる。シアニン系色素としては、具体的には、NK1194、NK3422(いずれも日本感光色素研究所(株)製)が挙げられる。メロシアニン系色素としては、具体的には、NK2426、NK2501(いずれも日本感光色素研究所(株)製)が挙げられる。キサンテン系色素としては、具体的には、ウラニン、エオシン、ローズベンガル、ローダミンB、ジブロムフルオレセインが挙げられる。トリフェニルメタン色素としては、具体的には、マラカイトグリーン、クリスタルバイオレットが挙げられる。
有機色素(分光増感色素)を半導体膜に吸着させるこのためには、有機色素を有機溶媒に溶解させて形成した有機色素溶液中に、常温又は加熱下に酸化物半導体膜を基板ととも浸漬すれば良い。前記の溶液の溶媒としては、使用する分光増感色素を溶解するものであれば良く、具体的には、水、アルコール、トルエン、ジメチルホルムアミドを用いることができる。
色素増感型半導体電極は、基板1上に、透明電極(透明性導電膜)2をコートし、その上に光電変換材料用半導体膜を形成し、上述のように色素を吸着して形成される。この色素増感型半導体電極に対電極4として別の透明性導電膜をコートしたガラス板などの基板を封止材5により接合させ、これらの電極間に第1発明の電解質6を封入して本発明の太陽電池とすることができる。
この電解質の厚さは、色素増感型太陽電池の仕様によって異なるが、通常の場合、0.01〜0.3mm程度である。
また、対電極4としては、導電性を有するものであれば良く、任意の導電性材料が用いられるが、電解質のI イオン等の酸化型のレドックスイオンの還元反応を充分な速さで行わせる触媒能を持ったものの使用が好ましい。このようなものとしては、白金電極、導電材料表面に白金めっきや白金蒸着を施したもの、ロジウム金属、ルテニウム金属、酸化ルテニウム、カーボン、コバルト、ニッケル、クロム等が挙げられる。
第1発明の色素増感型太陽電池は、前記色素増感型半導体電極、電解質及び対電極をケース内に収納して封止するが、それら全体を樹脂封止しても良い。この場合、その色素増感型半導体電極には光があたる構造とする。このような構造の電池では、その色素増感型半導体電極に太陽光又は太陽光と同等な可視光を当てると、色素増感型半導体電極とその対電極との間に電位差が生じ、両極間に電流が流れるようになる。
〈第1発明の実施例〉
実施例1−1
[電解質の製造]
下記配合のゴム組成物を150℃、10MPaで加熱加圧することにより加硫ゴムを得た。
<ゴム組成物配合(部)>
ゴム成分(ビニルピリジンゴム):100
(スチレン20wt%、ビニルピリジン20wt%、ブタジエン60wt%)
硫黄 :2
オイル :5
加硫促進剤(ノクセラーM) :2
亜鉛華 :3
カーボンブラック(SAF) :20
得られた加硫ゴムを5mm×5mm×0.1mmに裁断し、下記の酸化還元性物質溶液に室温で6時間浸漬することにより、酸化還元性物質溶液を含浸させることにより、本発明の色素増感型太陽電池用電解質を得た。使用前に大気中で乾燥することで低沸点溶媒(アセトニトリル等)を飛ばし、ゴム表面に粘着性が残っている状態で下記の電極間に入れた。
[酸化還元性物質溶液]
溶媒:アセトニトリル:1L
酸化還元性物質
ヨウ化リチウム:0.2モル
1,2ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイド:0.2モル
ヨウ素:0.1モル
t−ブチルピリジン:0.4モル
なお、加硫ゴムに対する酸化還元性物質の担持量は15重量%であった。
[色素増感型太陽電池の製造]
2.5×3cmのガラス基板(厚さ:2mm)上に、厚さ3000ÅのITO膜を形成し、この上に厚さ10μm、面積5mm□の酸化チタン膜を形成した。
分光増感色素として、シス−ジ(チオシアナト)−ビス(2,2’−ビピリジル−4−ジカルボキシレート−4’−テトラブチルアンモニウムカルボキシレート)ルテニウム(II)をエタノール液に3×10−4モル/Lで溶解した液に上記酸化チタン膜を形成した基板を入れ、室温で18時間浸漬して、色素増感型半導体電極を得た。分光増感色素の吸着量は、酸化チタン膜の比表面積1cmあたり10μgであった。
この色素増感型半導体電極に、対電極として、フッ素をドープした酸化スズをコートし、さらにその上に白金を担持した透明導電性ガラス板を用い、2つの電極の間に上記の電解質を入れ、この側面を樹脂で封止した後、リード線を取付けて、本発明の色素増感型太陽電池を作製した。
得られた色素増感型太陽電池に、ソーラーシュミレーターで100W/mの強度の光を照射したところ、Voc(開回路状態の電圧)は0.72Vであり、Joc(回路を短絡したとき流れる電流の密度)は9.5mA/cmであり、FF(曲線因子)は0.52であり、η(変換効率)は4.5%であった。この結果から、色素増感型太陽電池として有用であることが確認された。
実施例1−2
数平均分子量が表1に示す物性のエチレン−プロピレン共重合体(10重量%)とジイソデシル・アジペート(DIDA)(90重量%)とを高剪断型混合機により表1に示す撹拌条件で混合し、前駆体を得た。得られた前駆体について、骨格の平均径dと開孔の平均径Dを求めた。次に、アセトンでDIDAを溶解抽出して三次元連続の網状骨格構造の多孔質体を得、この多孔質体の骨格の平均径d、開孔の平均径Dを測定した。結果を表1に併記する。
Figure 2004017452
得られた多孔質体を5mm×5mm×0.2mmに裁断し、実施例1−1で用いたものと同組成の酸化還元性物質溶液に25℃で5時間浸漬することにより、酸化還元性物質溶液を含浸させて、本発明の色素増感型太陽電池用電解質を得た。使用前に大気中で乾燥することで低沸点溶媒(アセトニトリル等)を飛ばし、多孔質体表面に粘着性が残っている状態で下記の電極間に入れた。
なお、多孔質に対する酸化還元性物質の担持量は20重量%であった。
この色素増感型太陽電池用電解質を用いて実施例1−1と同様にして、色素増感型太陽電池を製造し、得られた色素増感型太陽電池に、ソーラーシュミレーターで100W/mの強度の光を照射したところ、Voc(開回路状態の電圧)は0.72Vであり、Joc(回路を短絡したとき流れる電流の密度)は9.2mA/cmであり、FF(曲線因子)は0.51であり、η(変換効率)は4.2%であった。この結果から、色素増感型太陽電池として有用であることが確認された。
実施例1−3
前記一般式(1)において、R=Cl、一般式(3A)においてR=OC、Z=Oであるホスファゼン誘導体と、そのホスファゼン誘導体に対して50%のp−フェニレンジアミンをオートクレーブ中で250℃、8時間加熱し、ゴム状のホスファゼン系重合体を得た。この重合体はトルエン溶媒を用いてソックスレー抽出を6時間行い、未反応物および不純物を取り除いた。なお、重合体のテトラヒドロフラン可溶分の分子量測定を行った結果、数平均分子量14万であった。得られたホスファゼン系重合体を80℃で6時間真空乾燥したの後、5mm×5mm×0.2mmに裁断し、実施例1−1で用いたものと同組成の酸化還元性物質溶液に30℃で5時間浸漬することにより、酸化還元性物質溶液を含浸させ本発明の色素増感型太陽電池用電解質を得た。その後、使用前に大気中で乾燥させることにより低沸点溶媒(アセトニトリル等)を蒸発させ、ホスファゼン系重合体の表面に粘着性が残っている状態での電極間に入れた。
なお、ホスファゼン系重合体に対する酸化還元性物質の担持量は18重量%であった。
この色素増感型太陽電池用電解質を用いて実施例1−1と同様にして、色素増感型太陽電池を製造し、得られた色素増感型太陽電池に、ソーラーシュミレーターで100W/mの強度の光を照射したところ、Voc(開回路状態の電圧)は0.70Vであり、Joc(回路を短絡したとき流れる電流の密度)は8.8mA/cmであり、FF(曲線因子)は0.65であり、η(変換効率)は4.0%であった。この結果から、色素増感型太陽電池として有用であることが確認された。
[自己消化性、難燃性、不燃性評価]
ホスファゼン系重合体を用いた上記色素増感型太陽電池用電解質について、UL(アンダーライティングラボラトリー)規格のUL94HB法をアレンジした方法を用い、大気環境下において着火した炎の燃焼挙動を測定・評価した。具体的にはUL試験基準に基づき、この色素増感型太陽電池用電解質を下記に示すように評価を行った。
(不燃性の評価)
試験炎が試験片に着火しなかった(燃焼長:0mm)場合を不燃性と評価した。
(難燃性の評価)
着火した試験片が、装置の25mmラインまで到達せず、かつ網からの落下物にも着火が認められなかった場合を難燃性と評価した。
(自己消化性の評価)
着火した試験片が、装置の25〜100mmラインの間で消化し、かつ網からの落下物にも着火が認められなかった場合を自己消化性と評価した。
(燃焼性の評価)
着火した炎が、100mmラインを超えた場合を燃焼性と評価した。
上記評価の結果、難燃性であることが確認された。一方、ホスファゼン系重合体を用いず、電解液のみの太陽電池を作製し、同様のテストを行ったところ燃焼性を示した。
実施例1−4
前記一般式(2)において、n=3でありその誘導体の6つのRのうち3つが−OCであり、3つが−NHであるホスファゼン誘導体をオートクレーブ中に塩化アルミニウム(ホスファゼン誘導体に対し)0.5%と2,2,3,3−テトラフルオロ−1,4−ブタンジオールを20%加え、300℃、20時間加熱することによりゴム状のホスファゼン系重合体を得た。この重含体はテトラヒドロフラン溶媒に不溶であった。テトラヒドロフラン溶媒を用いてソックスレー抽出を6時間行い、重合体中の未反応物および不純物を取り除いた。得られたホスファゼン系重合体を80℃で6時間真空乾燥した後、実施例1−3と同様な操作を行い色素増感型太陽電池用電解質を得、また、同様にして、酸化還元性物質溶液、色素増感型太陽電池の製造を行った。
得られた色素増感型太陽電池に、ソーラーシュミレーターで100W/mの強度の光を照射したところ、Voc(開回路状態の電圧)は0.68Vであり、Joc(回路を短絡したとき流れる電流の密度)は9.1mA/cmであり、FF(曲線因子)は0.68であり、η(変換効率)は4.2%であった。この結果から、色素増感型太陽電池として有用であることが確認された。
また、実施例1−3と同じ方法で不燃性評価を行って難燃性であることが確認された。
実施例1−5
前記一般式(2)において、n=3でありその誘導体の6つのRのうち3つが−OCHCHO(O)C−CH=CH、他の3つがFであるホスファゼン誘導体に過酸化ベンゾイルを1%添加し、220℃で8時間加熱することにより、樹脂状の重合体を製造した。この重合体はテトラヒドロフラン溶媒に不溶であった。得られたホスファゼン系重合体をそのまま実施例1−3と同様な操作を行い色素増感型太陽電池用電解質を得た。また、同様にして、酸化還元性物質溶液、色素増感型太陽電池の製造を行った。
得られた色素増感型太陽電池に、ソーラーシュミレーターで100W/mの強度の光を照射したところ、Voc(開回路状態の電圧)は0.71Vであり、Joc(回路を短絡したとき流れる電流の密度)は8.9mA/cmであり、FF(曲線因子)は0.65であり、η(変換効率)は4.1%であった。この結果から、色素増感型太陽電池として有用であることが確認された。
また、実施例1−3と同じ方法で不燃性評価を行って自己消化性であることが確認された。
実施例1−6
下記配合のEVA樹脂組成物をカレンダー加工機により成膜して厚さ0.2mmのEVA樹脂フィルムを得た。
<EVA樹脂組成物配合(部)>
EVA樹脂:100
有機過酸化物(ジクミルパーオキサイド):2
トリメチロールプロパントリアクリレート:5
得られたEVA樹脂フィルムを5mm×5mmに裁断し、実施例1−1で用いたものと同組成の酸化還元性物質溶液に30℃で5時間浸漬することにより、酸化還元性物質溶液を含浸させ、本発明の色素増感型太陽電池用電解質を得た。その後、使用前に大気中で乾燥させることにより低沸点溶媒(アセトニトリル等)を蒸発させ、EVA樹脂フィルムの表面に粘着性が残っている状態で下記の電極間に入れた。
なお、EVA樹脂に対する酸化還元性物質の担持量は18重量%であった。
この色素増感型太陽電池用電解質を用いて、実施例1−1と同様にして色素増感型半導体電極を製造し、この色素増感型半導体電極に、対電極として、フッ素をドープした酸化スズをコートし、さらにその上に白金を担持した透明導電性ガラス板を用い、2つの電極の間に上記の電解質を入れて加熱加圧してEVA樹脂を架橋硬化させることにより接着し、この側面を樹脂で封止した後、リード線を取付けて、本発明の色素増感型太陽電池を作製した。
得られた色素増感型太陽電池に、ソーラーシュミレーターで100W/mの強度の光を照射したところ、Voc(開回路状態の電圧)は0.72Vであり、Joc(回路を短絡したとき流れる電流の密度)は8.8mA/cmであり、FF(曲線因子)は0.51であり、η(変換効率)は4.0%であった。この結果から、色素増感型太陽電池として有用であることが確認された。
(2)第2発明の色素増感型太陽電池用電極及びその製造方法の実施の形態を図3を参照して説明する。
図3の如く、第2発明の色素増感型太陽電池用電極は、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム21等の基板上に、透明導電薄膜22を介して色素吸着酸化チタン薄膜23を形成したものであり、この色素吸着酸化チタン薄膜23の酸化チタン薄膜はTiメタルターゲットを用いた反応性スパッタにより形成される。
基板としては、従来と同様、ガラスを用いることも可能であるが、薄肉、軽量化、低コスト化の目的を達成するためには有機樹脂フィルムを用いることが好ましく、例えばポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、アクリル、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン、トリアセテート(TAC)、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、金属イオン架橋エチレン−メタクリル酸共重合体、ポリウレタン、セロファン等のフィルムが挙げられるが、特に強度面でPET、PC、PMMA、TACフィルム、とりわけPET、TACフィルムが好ましい。
このような有機樹脂フィルムの厚さは、通常の場合50〜300μm程度とされる。この有機樹脂フィルムの厚さが25μm未満では、色素増感型太陽電池用電極としての十分な耐久性を得ることができず、1000μmを超えると得られる電極の厚肉化を招き、好ましくない。
PETフィルム21等の有機樹脂フィルム上に形成される透明導電薄膜22としては、ITO(インジウム・スズ酸化物)、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)、ATO(アルミナドープ・スズ酸化物)、又はAZO(アンチモンドープ・亜鉛酸化物)等の透明導電薄膜が挙げられ、この透明導電薄膜22の膜厚は通常20〜2000nm程度である。この透明導電薄膜22は、通常スパッタ法により成膜される。
従って、第2発明では、この透明導電薄膜22の成膜と、透明導電薄膜22上の酸化チタン薄膜の成膜とを同一のスパッタ装置内で連続して行うことができる。
この透明導電薄膜22上に酸化チタン薄膜を成膜するに際し、第2発明ではTiメタルターゲットを用いた反応性スパッタを行う。この反応性スパッタは、雰囲気中の酸素濃度を制御して、TiO薄膜の成膜条件よりも若干酸素が不足するような条件で行うことにより、酸化チタン薄膜を高速成膜することができ、好ましい。
この雰囲気中の酸素濃度は、チャンバー内の全圧、排気速度等の他のスパッタ条件によっても異なり、一概に特定することは困難であるが、形成される酸化チタン薄膜がTiO(x<2)、特に、TiO(x≦1.98)で表されるようなTiの低級酸化物を含む薄膜であると、TiO薄膜を成膜する場合に比べて、5〜6倍の高速成膜を行うことができ、好ましい。
なお、TiOのxが過度に少ないと、TiOの半導体特性が損なわれることから、TiO(1.7≦x)であることが好ましい。
このような、酸素不足の雰囲気制御は、プラズマエミッションコントロール又はプラズマインピーダンスコントロールにより容易に実施することができる。
また、酸化チタン薄膜の成膜に当たっては、特に、デュアルカソードを用い、並設された2個のカソードに各々Tiメタルターゲットをセットし、交互に電圧をかけることにより反応性スパッタを行うことが好ましく、これによりより一層の高速成膜を行うことができる。
この反応性スパッタ条件としては特に制限はないが、次のような条件とすることが好ましい。
圧力:0.2〜5Pa
雰囲気:Ar+O,O流量比3〜50%
また、デュアルカソードを用いる場合、交互電圧印加周波数は10〜100kHz程度であることが好ましい。
このようにして成膜される酸化チタン薄膜の膜厚は通常0.5〜10μm程度である。この範囲よりも膜厚が薄いと吸着させる増感色素量が少なくなり、光の吸収による発電効果が悪くなる。膜厚がこの範囲よりも厚いと酸化チタン薄膜の電気抵抗が大きくなり、電極としての性能が劣るものとなる。
このようにして成膜された酸化チタン薄膜に吸着させる増感色素とは、可視光領域及び/又は赤外光領域に吸収をもつ色素であれば良く、特に制限はなく、金属錯体や有機色素を用いることができる。金属錯体としては銅フタロシアニン、チタニルフタロシアニン等の金属フタロシアニン、クロロフィル又はその誘導体、ヘミン、ルテニウム、オスミウム、鉄及び亜鉛の錯体(例えばシス−ジシアネート−ビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボキシレート(ルテニウム(II))が挙げられる。有機色素としてはメタルフリーフタロシアニン、シアニン系色素、メタロシアニン系色素、キサンテン系色素、トリフェニルメタン系色素等を用いることができる。
これらの増感色素は、例えばこの増感色素を含む液中に酸化チタン薄膜を形成した基板を浸漬するなどの方法により、酸化チタン薄膜に吸着させることができる。
第2発明の色素増感型太陽電池用電極は、基板として有機樹脂フィルムを用いることが可能であることから、電極の薄肉、軽量、低コスト化が可能で、この電極を用いて製造される色素増感型太陽電池の薄肉、軽量、低コスト化を図ることができる。
〈第2発明の実施例〉
実施例2−1〜2−3
基板として、厚さ188μmのPETフィルムを用い、このPETフィルムの片面に薄膜500nmのITO透明導電膜をスパッタリング法により形成し、次いでTiメタルターゲットを用いた反応性スパッタにより、下記条件で膜厚3μmの酸化チタン薄膜を成膜した。反応性スパッタはマグネトロンDCスパッタ装置のシングルカソードにTiメタルターゲットをセットして行った。
[反応性スパッタ条件]
圧力:0.5Pa
電力:2kw
この反応性スパッタ時には、プラズマエミッションコントロール又はプラズマインピーダンスコントロールにより、Ar+O雰囲気中のO流量比を表1に示す値に制御した。形成された酸化チタン薄膜の酸化度は表1に示す通りであった。
このときの成膜速度(単位時間当りに成膜された膜厚)を調べ、結果を表2に示した。
実施例2−4〜2−6
実施例2−1〜2−3において、マグネトロンDCスパッタ装置のデュアルカソードに2つのTiメタルターゲットをセットし、下記の条件で反応性スパッタを行ったこと以外は同様にして酸化チタン薄膜を形成し、形成された酸化チタン薄膜の酸化度と成膜速度を調べ、結果を表2に示した。
[反応性スパッタ条件]
圧力:0.5Pa
電力:10kw
デュアルカソードの電力印加周期:50kHz
Figure 2004017452
表2より酸素がわずかに不足する反応性スパッタ、好ましくはデュアルカソードを用いた反応性スパッタであれば、高速成膜が可能であることがわかる。
なお、実施例2−1〜2−6で酸化チタン薄膜を形成したPETフィルムを、N3色素のアセトニトリロ溶液に浸漬することにより増感色素としてのN3色素を吸着させて電極を製造し、この電極を用いて常法に従って色素増感型太陽電池を組み立てたところ、従来品と同等の発電効率を得ることができることが確認された。
(3) 第3発明の金属酸化物半導体電極を有する有機色素増感型太陽電池の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図4は第3発明の有機色素増感太陽電池の実施形態の一例を示す断面図である。
図4において、ガラス基板31a、その表面に透明電極32aが設けられ、透明電極表面に分光増感色素34を吸着させた金属酸化物半導体膜33が形成され、その下方に透明電極と対向して対電極36(例、Pt電極)が設置されており、この対電極36はガラス基板31bの上に設けられた透明電極32b上に形成されており、そして金属酸化物半導体膜33と対電極36との間に電解質(溶液)35が封入されている。さらに、ガラス基板31a上には、反射防止膜37が形成されている。
図5は第3発明の有機色素増感太陽電池の実施形態の一例を示す断面図である。
図5において、ガラス基板31a、その表面に透明電極32aが設けられ、透明電極表面に分光増感色素34を吸着させた金属酸化物半導体膜33が形成され、その下方に透明電極と対向して対電極36(例、Pt電極)が設置されており、この対電極36はガラス基板31bの上に設けられた透明電極32b上に形成されており、そして金属酸化物半導体膜33と対電極34との間に電解質35が封入されている。さらに、ガラス基板31a上には、接着剤層38により反射防止フィルム39が貼付されている。
有機色素増感型金属酸化物半導体膜を用いた有機色素増感太陽電池においては、その特性を実用性のレベルとするために、半導体膜、色素について種々検討されているが、太陽光エネルギー自体を高効率で利用することについては目が向けられていない。本発明者等は、この点に注目して検討した。即ち、有機色素増感太陽電池のガラス基板上に反射防止膜又は反射防止フィルムを設けることにより、太陽光エネルギーの高効率受光が可能となると共に、特に反射防止フィルムを設けた場合は太陽電池のガラス基板の破損時のガラスの破片の飛散の防止も可能となる。
上記反射防止フィルムは、透明ポリマーフィルム上に反射防止膜が形成されたものである。反射防止膜は、一般に、
(1)上から、低屈折率透明無機薄膜と高屈折率透明無機薄膜とが交互積層された無機積層膜;
(2)低屈折率透明無機薄膜と高屈折率透明無機薄膜とが交互積層された無機積層膜であって、最上層の低屈折率透明無機薄膜が低屈折率有機薄膜である積層膜;である。
反射防止膜としては、
(a)中(低)屈折率透明無機薄膜/高屈折率透明無機薄膜の順で1層ずつ、合計2層に積層したもの
(b)中(低)屈折率透明無機薄膜/低屈折率透明無機薄膜/高屈折率透明無機薄膜の順で1層ずつ、合計3層に積層したもの
(c)低屈折率透明無機薄膜/高屈折率透明無機薄膜/低屈折率透明無機薄膜/高屈折率透明無機薄膜の順で1層ずつ、合計4層に積層したもの
等を挙げることができる。一般に無機薄膜は2〜6層設けられる。
上記(2)において、(フッ素系或いは非フッ素系)有機薄膜を形成することにより、反射防止機能に加えて防汚機能を付与することができる。即ち、有機薄膜は防汚性に優れるため、有機薄膜を最表面に形成することで、防汚機能を付与することができる。(2)では、この有機薄膜の直下の透明無機膜は高屈折率透明無機薄膜であるので、この高屈折率透明無機薄膜上に低屈折率の有機薄膜を形成することで高屈折率膜と低屈折率膜の多層化による高性能な反射防止機能を得ることができる。さらに、この有機薄膜の直下の透明無機膜を多層化することにより、高屈折率透明無機薄膜と低屈折率透明無機膜との積層構造による光の干渉作用で光の反射を効果的に防止し、光透過性に優れ、高透明性で色調の良い反射防止フィルムを実現できる。
図6に第3発明の反射防止フィルム39の一例を示す模式的な断面図である。
第3発明の反射防止フィルム39は、透明ポリマーフィルム39A上に、紫外線カット層39B、高屈折率透明無機薄膜39C、低屈折率透明無機薄膜39D、高屈折率透明無機薄膜39E及び低屈折率透明無機薄膜39Fがこの順で形成されている。無機薄膜39C〜39Fが反射防止膜を構成している。この反射防止フィルムは、紫外線カット層39Bが無くても良く、また単なる下塗層又はハードコート層であっても良い。
このように反射防止膜を反射防止フィルムの形態で使用することにより、生産性の向上につながるとの利点がある。
上記透明ポリマーフィルム39Aとしては、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)、アクリル、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン、トリアセテート、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、セロファン等、好ましくはPET、PC、PMMAの透明フィルムを挙げることができる。
透明ポリマーフィルム39Bの厚さは得られる反射防止フィルムの用途による要求特性(例えば、強度、薄膜性)等によって適宜決定されるが、一般に1μm〜10mmの範囲である。
透明ポリマーフィルム39A上には、上記のように紫外線カット層が設けられている。紫外線カット層としては、一般に紫外線吸収剤(例、2−ヒドロキシベンゾフェノン等)を含むハードコート層が形成されている。このハードコート層の材料として特に規定はないが、多官能基(一般に重合性基)を有するアクリル樹脂、多官能基を有するシリコン樹脂等が用いられる。これら樹脂は熱、光、電子線等で架橋させることが好ましく、特に光の場合、紫外線硬化樹脂が用いられる。
高屈折率透明無機薄膜39C,39Eとしては、ITO(スズインジウム酸化物)又はZnO、AlをドープしたZnO、TiO、SnO、ZrO等の屈折率1.8以上の薄膜を使用することができる。
一方、低屈折率透明無機薄膜39D,39FとしてはSiO、MgF、Al等の屈折率が1.6以下の低屈折率材料よりなる薄膜を使用することができる。これら高屈折率透明無機薄膜及び低屈折率透明無機薄膜の膜厚は光の干渉で可視光領域での反射率を下げるため、膜構成、膜種、中心波長により異なってくる。
図6に示すような4層構造の場合、透明ポリマーフィルム側の第1層(高屈折率透明無機薄膜)が5〜50nm、第2層(低屈折率透明無機薄膜)が5〜50nm、第3層(高屈折率透明無機薄膜)が50〜150nm、第4層(高屈折率透明無機薄膜)が50〜150nm程度の膜厚で形成することが好ましい。
このような高屈折率透明無機薄膜及び低屈折率透明無機薄膜は、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、CVD法等により形成することができるが、特に、高屈折率透明無機薄膜としての酸化亜鉛膜は、金属亜鉛をターゲットとする反応性スパッタ法で形成するのが好ましい。この場合、スパッタ条件は、O100%又はO−ArでO40%以上の雰囲気条件とするのが好ましい。
最上層の低屈折率透明無機薄膜の代わりに、フッ素系或いは非フッ素系等の低屈折率有機薄膜を形成しても良い。非フッ素系有機薄膜としては、ハードコートに用いられるようなアクリル系樹脂、シリコン樹脂、アクリルシリコン系樹脂、ウレタン樹脂等が挙げることができる。
フッ素系有機薄膜としては、FET(フルオロエチレン/プロピレン共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(エチレン/テトラフルオロエチレン)、PVF(ポリフッ化ビニル)、PVD(ポリフッ化ビニリデン)等を挙げることができる。
また、防汚性、易滑性等を付与するために、フッ素系、シリコン系の添加物を加えることもある。中でも、シリコン樹脂又はアクリル樹脂が、安価であることもあり、好適である。
このような有機薄膜は、一般に屈折率1.3〜1.6の低屈折率薄膜であるため、この有機薄膜を反射防止膜の最表面層として高屈折率透明無機薄膜上に形成することにより、反射防止機能を得ることができるが、さらに防汚性及び耐擦傷性にも優れたものである。
上記有機薄膜は、光の干渉による反射防止機能と防汚機能を両立させるためには、防汚機能を得ることができる範囲で光学的な膜厚であることが好ましく、50〜500nmの範囲、例えば500nmの波長の光の1/4λ(=125nm)程度とするのが好ましい。最上層の低屈折率透明無機薄膜の膜厚についても同様である。
なお、透明ポリマーフィルム上に透明無機薄膜を積層する反射防止フィルムでは、材料に十分な透明性がない場合があり、特に400nm付近から短い波長での光の透過率が急激に下がる傾向にあり、このような用途には適当とは言えない。そのため、反射防止フィルムが黄色味がかって見えるという欠点が生じやすい。透明性の高い材料も提案されてはいるが、成膜速度が著しく遅い、或いは、350nm付近よりも波長の短い紫外線に対してかなりの光透過があるため、紫外線カット性が得られないという欠点がある。
これに対して、上記のように紫外線カット層を設けることにより、優れた可視光透過性と紫外線カット性とを兼備し、しかも生産性も良好な反射防止フィルムが得られる。
第3発明の反射防止フィルムは、透明電極を設けない側の表面に、接着剤層8により貼付される。接着剤層に使用される樹脂としては、エチレン/酢酸ビニル共重合体、粘着性アクリル樹脂(例、ブチルアクリレート重合体)を挙げることができる。これらの樹脂は加熱等により架橋されても良い。その厚さは、一般に1〜1000μm、10〜500μmが好ましい。
前述の第3発明の金属酸化物半導体電極及びこれを有する有機色素増感型太陽電池は、基板上の透明電極に設けられる金属酸化物半導体膜33は、図4から明らかなように、大小様々な球状粒子が接合した形状を有し、表面に大きな凹凸と、内部に多数の空隙を有するものである。第3発明の金属酸化物半導体膜は、従来の酸化物半導体微粉末のスラリーを透明電極上に塗布し、乾燥させ、その後500℃、1時間程度で焼成させることにより形成しても良いし、気相成膜法で形成しても良い。
<金属酸化物半導体膜>
第3発明の金属酸化物半導体膜は、一般に気相成膜法により形成され、且つその表面が粗く、空隙率が25%以上であることが好ましい。さらに、空隙率は30%以上、特に35%以上であることが好ましい。このような形状により、有機色素の吸着量が多くな。空隙率の上限も有機色素の吸着量が多くなるのであれば100%近くであっても良いが、膜としての形状を保持する観点から95%程度が好ましい。
このように、第3発明の金属酸化物半導体膜33は、表面の表面積が大きく、且つ内部の空洞の表面積も大きく、このため有機色素が吸着する面積が大きい。さらには、このような構造(形状)のため、有機色素の表面及び内部への侵入が容易であり、短時間に色素吸着を完遂することができる。また、表面及び内部共に大きな表面積を有しているため、有機色素吸着量が増大しており、光のエネルギー変換効率が向上している。
このような構造を有する金属酸化物半導体膜33は、種々の気相成膜の形成条件により得ることができるが、基本的には、高電力での短時間成膜、高ガス圧下での成膜が好ましく、さらにガス混合流量比の変化、アークイオンスパッタリングの使用等により、或いはこれらの方法を適宜組合せることにより行うことができる。
上記第3発明の金属酸化物半導体膜33を形成するための好ましい方法は、スパッタリング法を用い、1.3W/cm以上、さらに2.6W/cm以上、特に11W/cm以上のターゲット投入電力密度、及び0.6Pa以上、さらに2.0Pa以上、特に2.6Pa以上の圧力の条件下に行うことであり、スパッタリング法としては、特に対向2極ターゲット方式スパッタリング法が好適であり、また反応性スパッタリング法も好ましい。このような、通常のスパッタリング条件より、過激な条件で行うことにより、半導体膜を急速に形成することができ、これにより本発明の特定の形状、構造を有する金属酸化物半導体膜を得ることができる。これにより有機色素の吸着量を大幅に増加させることが可能で、高いエネルギー変換効率を有し、高効率の太陽電池を得ることができる。
上記透明基板31a,31bとしては、透明な基板であればよく、一般にガラス板であり、通常珪酸塩ガラスである。しかしながら、可視光線の透過性を確保できる限り、種々のプラスチック基板等を使用することができる。プラスチックの例としては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリカーボネート等を挙げることができる。基板の厚さは、0.1〜10mmが一般的であり、0.3〜5mmが好ましい。ガラス板は、化学的に、或いは熱的に強化させたものが好ましい。尚、31bは透明でなくても良い。
<透明電極>
上記透明電極32aとしては、InやSnOの導電性金属酸化物薄膜を形成したものや金属等の導電性材料からなる基板が用いられる。導電性金属酸化物の好ましい例としては、In:Sn(ITO)、SnO:Sb、SnO:F、ZnO:Al、ZnO:F、CdSnOを挙げることができる。
<光電変換材料用半導体>
上記透明電極上には、光電変換材料用半導体である、分光増感色素を吸着させる金属酸化物半導体膜が形成される。本発明の金属酸化物半導体としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化タングステン、酸化アンチモン、酸化ニオブ、酸化インジウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、硫化カドミウムなどの公知の半導体の一種または二種以上を用いることができる。特に、安定性、安全性の点から酸化チタンが好ましい。酸化チタンとしてはアナタース型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、無定形酸化チタン、メタチタン酸、オルソチタン酸などの各種の酸化チタンあるいは水酸化チタン、含水酸化チタンが含まれる。本発明ではアナタース型酸化チタンが好ましい。金属酸化物半導体の膜厚が、10nm以上であることが一般的であり、100〜1000nmが好ましい。
第3発明の金属酸化物半導体膜は、上記材料に対応する金属及び/又は金属酸化物をターゲットとして用いて、気相成膜法、例えば、物理蒸着法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法またはプラズマCVD法前記のようにスパッタリング法により、上記のような条件で形成することができる。本発明の金属酸化物半導体膜33を形成するための好ましい方法は、スパッタリング法を用い、前記のターゲット投入電力密度及び圧力の条件下に行うことであり、スパッタリング法としては、特に対向2極ターゲット方式スパッタリング法が好適であり、また反応性スパッタリング法も好ましい。
第3発明の対向2極ターゲット方式スパッタリング法は、反応性スパッタリング法、即ち酸素ガス等の反応性のガスを導入しながら金属又は金属酸化物をスパッタリングすることが好ましい。特にターゲットとして金属チタン、酸化チタン、とりわけ導電性酸化チタンを用いて、酸素ガスを供給しながらスパッタリングを行うことが好ましい。
前記のようにして得られた基板上の酸化物半導体膜表面に、有機色素(分光増感色素)を単分子膜として吸着させる。
分光増感色素は、可視光領域および/または赤外光領域に吸収を持つものであり、本発明では、種々の金属錯体や有機色素の一種または二種以上を用いることができる。分光増感色素の分子中にカルボキシル基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシル基、スルホン基、カルボキシアルキル基の官能基を有するものが半導体への吸着が早いため、本発明では好ましい。また、分光増感の効果や耐久性に優れているため、金属錯体が好ましい。金属錯体としては、銅フタロシアニン、チタニルフタロシアニンなどの金属フタロシアニン、クロロフィル、ヘミン、特開平1−220380号公報、特許出願公表平5−504023号公報に記載のルテニウム、オスミウム、鉄、亜鉛の錯体を用いることができる。有機色素としては、メタルフリーフタロシアニン、シアニン系色素、メロシアニン系色素、キサンテン系色素、トリフェニルメタン色素を用いることができる。シアニン系色素としては、具体的には、NK1194、NK3422(いずれも日本感光色素研究所(株)製)が挙げられる。メロシアニン系色素としては、具体的には、NK2426、NK2501(いずれも日本感光色素研究所(株)製)が挙げられる。キサンテン系色素としては、具体的には、ウラニン、エオシン、ローズベンガル、ローダミンB、ジブロムフルオレセインが挙げられる。トリフェニルメタン色素としては、具体的には、マラカイトグリーン、クリスタルバイオレットが挙げられる。
上記の中では、ルテニウム錯体(例えばルテニウム・フェナントロリン、ルテニウム・ジケトナート)及び/又はクマリン誘導体を使用すると、一般にエネルギー変換効率が高く、この色素を用い、本発明の反射防止膜又は反射防止フィルムを用いることにより、一層太陽エネルギーを有効に利用することができる。さらに反射防止膜又は反射防止フィルムとして、ルテニウム錯体及び/又はクマリン誘導体の光の吸収特性に合わせて設計されたものを用いることによりさらに一層太陽エネルギーを有効に利用することができる。このような反射防止膜(フィルム)としては、ルテニウム錯体用として、300〜600nmの波長範囲において光の反射率を10%以下(特に5%以下)で有ることが好ましく、さらにこの範囲での極小値を有するものが好ましい。クマリン誘導体色素用としては、反射防止膜が、400〜600nmの波長範囲において光の反射率が10%以下であるものが好ましい。これらの両方の色素に好適な反射防止フィルムとしては、例えば、PETフィルム(厚さ100μm)上に、紫外線吸収剤を含有した紫外線カット層、TiO層(厚さ20nm)、SiO層(厚さ25nm)、TiO層(厚さ90nm)及びSiO層(厚さ80nm)が設けられたものが好ましい。従って、反射防止膜としては、上の4層からなるものである。
上記有機色素(分光増感色素)を導電体膜に吸着させるこのためには、有機色素を有機溶媒に溶解させて形成した有機色素溶液中に、常温又は加熱下に酸化物半導体膜を基板ととも浸漬すればよい。前記の溶液の溶媒としては、使用する分光増感色素を溶解するものであればよく、具体的には、水、アルコール、トルエン、ジメチルホルムアミドを用いることができる。
このようにして、第3発明の有機色素増感型金属酸化物半導体電極(光電変換材料用半導体)を得る。
このようにして得られた基板上に、透明電極及び有機色素吸着金属酸化物半導体が形成された有機色素増感型金属酸化物半導体電極を用いて、太陽電池を作製する。すなわち、一方の側に上記反射増資膜を有し、他方の側に透明電極(透明性導電膜)をコートしたガラス板などの基板の透明電極上に光電変換材料用半導体膜を形成して電極とし、次に対電極として別の透明性導電膜をコートしたガラス板などの基板を封止剤により接合させ、これらの電極間に電解質を封入して太陽電池とすることができる。
第3発明の半導体膜に吸着した分光増感色素に太陽光を照射すると、分光増感色素は可視領域の光を吸収して励起する。この励起によって発生する電子は半導体に移動し、次いで、透明導電性ガラス電極を通って対電極に移動する。対電極に移動した電子は、電解質中の酸化還元系を還元する。一方、半導体に電子を移動させた分光増感色素は、酸化体の状態になっているが、この酸化体は電解質中の酸化還元系によって還元され、元の状態に戻る。このようにして、電子が流れ、本発明の光電変換材料用半導体を用いた太陽電池を構成することができる。
上記電解質(レドックス電解質)としては、I/I 系や、Br/Br 系、キノン/ハイドロキノン系等が挙げられる。このようなレドックス電解質は、従来公知の方法によって得ることができ、例えば、I/I 系の電解質は、ヨウ素のアンモニウム塩とヨウ素を混合することによって得ることができる。電解質は、液体電解質又はこれを高分子物質中に含有させた固体高分子電解質であることができる。液体電解質において、その溶媒としては、電気化学的に不活性なものが用いられ、例えば、アセトニトリル、炭酸プロピレン、エチレンカーボネート等が用いられる。対極としては、導電性を有するものであればよく、任意の導電性材料が用いられるが、I イオン等の酸化型のレドックスイオンの還元反応を充分な速さで行わせる触媒能を持ったものの使用が好ましい。このようなものとしては、白金電極、導電材料表面に白金めっきや白金蒸着を施したもの、ロジウム金属、ルテニウム金属、酸化ルテニウム、カーボン等が挙げられる。
第3発明の太陽電池は、前記酸化物半導体電極、電解質及び対極をケース内に収納して封止するが、それら全体を樹脂封止しても良い。この場合、その酸化物半導体電極には光があたる構造とする。このような構造の電池は、その酸化物半導体電極に太陽光又は太陽光と同等な可視光をあてると、酸化物半導体電極とその対極との間に電位差が生じ、両極間に電流が流れるようになる。
〈第3発明の実施例〉
実施例3−1
(1)反射防止フィルムの作製
PETフィルム(厚さ100μm)上に、紫外線吸収剤として2−ヒドロキシベンゾフェノンを2質量部を添加したアクリル系紫外線硬化樹脂液(Z7501、JSR(株)製)を塗布し、紫外線照射して、紫外線カット層(厚さ5μm)を形成した。
上記紫外線カット層上に、TiO層(厚さ20nm)、SiO層(厚さ25nm)、TiO層(厚さ90nm)及びSiO層(厚さ80nm)を、スパッタリングにより順に積層した。これにより反射防止フィルムを得た。
(2)透明電極の作製及び反射防止フィルムの設置
スパッタリング装置を用いて、透明電極膜を作製した。
5×5cmのガラス基板(厚さ:2mm)上に、100mmφのITO(インジウム−スズ酸化物)のセラミックターゲットを用い、アルゴンガスを10cc/分、酸素ガスを1.5cc/分で供給しながら、装置内の圧力を5ミリトール(mTorr)に設定し、供給電力500Wの条件で5分間スパッタリングを行い、厚さ3000ÅのITO膜を形成した。表面抵抗は10Ω/□であった。
上記ガラス基板の透明電極の設けられていない側に、前記反射防止フィルムの薄膜の設けられていない側を、エチレン酢酸ビニル共重合体フィルム(25μm)を介して積層し、150℃で30分間押圧した。
(3)金属酸化物半導体膜の作製
対向ターゲット方式スパッタリング装置を用いて、上記のITO透明電極ガラス板上に、直径100mmの金属チタンターゲットを2枚配置し、酸素ガスを5cc/分、アルゴンガスを5cc/分で供給した後、装置内の圧力を5ミリトール(0.7Pa)に設定し、供給電力3kW(電力密度19W/cm)の条件で32分間スパッタリングを行い、厚さ3000Åの酸化チタン膜を形成した。
得られた半導体膜の空隙率を測定した。
空隙率の測定方法:
下記の重量をそれぞれ測定し、下記式より求めた(測定はJISZ8807に準じて行った):
w1:水を充分に含ませた試料質量(g)
w2:試料の絶乾質量(g)
w3:試料の浮力(g)
空隙率=(w1−w2)/w3×100
上記測定により、上記半導体膜の空隙率は17%であった。
(4)分光増感色素の吸着
シス−ジ(チオシアナト)−ビス(2,2’−ビピリジル−4−ジカルボキシレート−4’−テトラブチルアンモニウムカルボキシレート)ルテニウム(II)で表される分光増感色素をエタノール液に溶解した。この分光増感色素の濃度は3×10−4モル/lであった。次に、このエタノールの液体に、膜状の酸化チタンを形成した前記の基板を入れ、室温で18時間浸漬して、本発明の金属酸化物半導体電極を得た。この試料の分光増感色素の吸着量は、酸化チタン膜の比表面積1cmあたり10μgであった。
(5)太陽電池の作製
前記の金属酸化物半導体電極を一方の電極として備え、対電極として、フッ素をドープした酸化スズをコートし、さらにその上に白金を担持した透明導電性ガラス板を用いた。2つの電極の間に電解質を入れ、この側面を樹脂で封入した後、リード線を取付けて、本発明の太陽電池を作製した。なお、電解質は、アセトニトリルの溶媒に、ヨウ化リチウム、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイド、ヨウ素及びt−ブチルピリジンを、それぞれの濃度が0.1モル/l、0.3モル/l、0.05モル/l、0.5モル/lとなるように溶解したものを用いた。得られた太陽電池に、ソーラーシュミレーターで100W/mの強度の光を照射したところ、Voc(開回路状態の電圧)は0.58Vであり、Joc(回路を短絡したとき流れる電流の密度)は1.30mA/cmであり、FF(曲線因子)は0.53であり、η(変換効率)は4.01%であった。これは太陽電池として有用であることがわかった。
実施例3−2
分光増感色素としてクマリン誘導体系色素を用いた以外、実施例3−1と同様にして太陽電池を作製した。
得られた太陽電池に、ソーラーシュミレーターで100W/mの強度の光を照射したところ、Voc(開回路状態の電圧)は0.59Vであり、Joc(回路を短絡したとき流れる電流の密度)は6.5mA/cmであり、FF(曲線因子)は0.53であり、η(変換効率)は2.05%であり、太陽電池として有用であることがわかった。
比較例3−1
反射防止フィルムを設けなかった以外、実施例3−1と同様にして太陽電池を作製した。
得られた太陽電池に、ソーラーシュミレーターで100W/mの強度の光を照射したところ、Voc(開回路状態の電圧)は0.62Vであり、Joc(回路を短絡したとき流れる電流の密度)は1.00mA/cmであり、FF(曲線因子)は0.56であり、η(変換効率)は3.50%であった。これは前記実施例の太陽電池に比較して、光の利用効率が低く、太陽電池として有用であるとは言えない。
更に、実施例3−1、3−2及び比較例3−1で得られた太陽電池のガラス板の表面を金槌で破壊したところ、実施例3−1、3−2の太陽電池のガラス板は飛散しなかったが、比較例3−1で得られた太陽電池のガラス板は、破壊により飛散した。
以上から明らかなように、第3発明の有機色素増感型金属酸化物半導体電極を有する太陽電池は、有機色素増感太陽電池であって、反射防止膜の設置により光のエネルギの吸収量が大きい。従って光のエネルギーの利用効率が高く、太陽電池としての十分な性能を備えたものである。特に、気相成膜法で得られる低温で簡易に得られる金属酸化物導電体膜として場合には、色素吸着量についても増大した有機色素増感太陽電池となる。
上記のように、第3発明の太陽電池は、光のエネルギーの利用効率が高く、太陽電池としての十分な性能を備えたものである。さらに、反射防止膜、特に反射防止フィルムの存在により、ガラス板の破壊の際の飛散が防止されており、安全性においても優れた太陽電池と言うことができる。
(4)第4発明
第4発明の金属酸化物半導体電極を有する有機色素増感型太陽電池の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図7は第4発明の剥離シートを有する有機色素増感型太陽電池の実施形態の一例を示す断面図である。
図7において、透明有機ポリマー基板41a、その表面に透明電極42aが設けられ、透明電極表面に、分光増感色素44が吸着した金属酸化物半導体膜43が形成され、その下方に透明電極と対向して対電極46(例、Pt電極)が設置されており、この対電極46は有機ポリマー基板41bの上に設けられた透明電極42b上に形成されており、そして金属酸化物半導体膜43と対電極46との間に電解質(溶液)45が封入されている。さらに、透明有機ポリマー基板41bの裏面には、透明な接着剤層47を介して剥離フィルム48が貼付されている。
この太陽電池は、上下の基板を可撓性のある有機ポリマーのフィルムであるため、剥離フィルムを除去して、種々な場所に貼付することができる。太陽電池に可撓性があるため、貼付すべき場所が完全に平面でなくても均一に結合させることができる。有機ポリマー基板41bは、透明なものでも、後述する光反射性のものでも、意匠性を有するものでも良い。接着剤層47及び剥離フィルム48も無くても良く、この場合接着剤を用いて屋根等の基材に接着される。
上記及び以下で共通に使用される各材料は後述する。上記剥離フィルムとしては、ポリカーボネートフィルム、PETフィルム等が利用される。その厚さは、一般に1〜1000μm、10〜500μmが好ましい。接着剤層に使用される樹脂としては、エチレン/酢酸ビニル共重合体、粘着性アクリル樹脂(例、ブチルアクリレート重合体)を挙げることができる。これらの樹脂は加熱等により架橋されても良い。その厚さは、一般に1〜1000μm、10〜500μmが好ましい。
図8は第4発明の有機色素増感型太陽電池を有する屋根材の実施形態の一例を示す断面図である。
図8において、透明有機ポリマー基板41a、その表面に透明電極42aが設けられ、透明電極表面に分光増感色素44を吸着させた金属酸化物半導体膜43が形成され、その下方に透明電極と対向して対電極46(例、Pt電極)が設置されており、この対電極46は 光反射性透明有機ポリマー基板40Aの上に設けられた透明電極42b上に形成されており、そして金属酸化物半導体膜43と対電極46との間に電解質(溶液)45が封入されている。さらに、光反射性有機ポリマー基板40Aの裏面には、透明な接着剤層47が形成され、これにより屋根材40Yに太陽電池が貼付されている。
この太陽電池は、上下の基板を可撓性のある有機ポリマーのフィルムであり、屋根材に予め接合されたものである。従って、通常の屋根材として使用することができ、且つ太陽電池の機能も併せ持つものである。即ち、屋根の設置と共に自動的に太陽電池の設置も行うことができるとの優位性を有する。この屋根材は、他の建材、例えばガラス窓、壁材であっても良い。光反射性有機ポリマー基板40Aは、一般に表面に反射層を有するものであり、これより金属酸化物電極で吸収されなかった太陽光が反射され、再度その反射光がこの電極に吸収されることになる。従って、意匠性と共に光エネルギーの有効利用が可能なものである。
光反射性有機ポリマー基板40Aは、一般に後述する有機ポリマーフィルムにアルミニウム、銀等を用いて蒸着、スパッタリング等を行うことにより反射層を形成し、その上に透明電極を形成されたものである。反射層の厚さは、一般に10nm〜50μm、10nm〜10μmが好ましい。このような反射層が通電は可能な場合は、反射層が透明電極の機能を兼ねることができる。
また、接着剤層は、前記のものを使用することができる。光反射性有機ポリマー基板40Aの代わりに、反射性のない通常の有機ポリマー基板を用いても良い。
図9は第4発明の有機色素増感型太陽電池を有する壁材の実施形態の一例を示す断面図である。
図9において、透明有機ポリマー基板41a、その表面に透明電極42aが設けられ、透明電極表面に分光増感色素44を吸着させた金属酸化物半導体膜43が形成され、その下方に透明電極と対向して対電極46(例、Pt電極)が設置されており、この対電極46は 意匠性透明有機ポリマー基板40Bの上に設けられた透明電極42b上に形成されており、そして金属酸化物半導体膜43と対電極46との間に電解質(溶液)45が封入されている。さらに、意匠性有機ポリマー基板40Bの裏面には、透明な接着剤層47が形成され、これにより壁材40Kに太陽電池が貼付されている。
この太陽電池は、上下の基板を可撓性のある有機ポリマーのフィルムであり、壁材に予め接合されたものである。従って、通常の壁材として使用することができ、且つ太陽電池の機能も併せ持つものである。即ち、壁材の設置と共に自動的に太陽電池の設置も行うことができるとの優位性を有する。この壁材は、他の建材、例えばガラス窓、屋根材等どのようなものでも良い。意匠性有機ポリマー基板40Bは、着色されていたり、模様、文字等が施されていたりしており、意匠性或いは装飾性のあるものである。
意匠性有機ポリマー基板40Bが着色された基板の場合、一般に後述する有機ポリマー基板(フィルム)に着色剤(顔料、染料)を含有させたもので、例えばポリマー材料と着色剤を溶融混練し、成膜することにより得られる。模様を付ける場合は、基板上に印刷等により、あるいは模様を有するフィルムを貼付することにより行うことができる。接着剤層は、前記のものを使用することができる。模様としては、木目調、煉瓦模様等を挙げることができる。
前述の第4発明の金属酸化物半導体電極及びこれを有する有機色素増感型太陽電池は、基板上の透明電極に設けられる金属酸化物半導体膜43は、図7〜9から明らかなように、大小様々な球状粒子が接合した形状を有し、表面に大きな凹凸と、内部に多数の空隙を有するものである。本発明の金属酸化物半導体膜は、気相成膜法により形成することが好ましい。
第4発明の金属酸化物半導体膜43については、第3発明の<金属酸化物半導体膜>と同様の説明が適用される。
上記透明有機ポリマー基板41a,41b,40A,40Bとしては、可視光線の透過性を確保できる、透明な種々の有機ポリマー基板等を使用することができる。基板の厚さは、25μm〜10mmが一般的であり、0.1〜10mmが好ましい。有機ポリマーの例としては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリカーボネート、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)及びETFE(エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体)等のフッ素樹脂等を挙げることができる。
また透明でない有機ポリマー基板も、上記と同様な材料が使用され、さらに着色、模様の付与がなされたものである。
第4発明の透明電極42a,42bについては、第3発明の<透明電極>と同様の説明が適用される。
第4発明の透明電極42a上の光電変換材料用半導体である、分光増感色素を吸着させるための金属酸化物半導体膜としては、第3発明の<光電変換材料用半導体>と同様の説明が適用される。
第4発明の金属酸化物半導体膜の形成方法についても、第3発明のそれと同様の説明が適用される。
また、基板上の酸化物半導体膜表面に、単分子膜として吸着させる有機色素(分光増感色素)及びその吸着方法についても、第3発明と同様の説明が適用される。
第4発明においても、第3発明と同様に、基板上に透明電極及び有機色素吸着金属酸化物半導体が形成された有機色素増感型金属酸化物半導体電極を用いて、太陽電池を作製する。例えば、透明電極(透明性導電膜)をコートした透明有機ポリマー基板上に光電変換材料用半導体膜を形成して電極とし、次に、対電極として別の透明性導電膜をコートした有機ポリマー基板(一般に透明電極を有する基板のその電極上にコートされる)を封止剤により接合させ、これらの電極間に電解質を封入して太陽電池とすることができる。
第4発明の半導体膜に吸着した分光増感色素に太陽光を照射すると、分光増感色素は可視領域の光を吸収して励起する。この励起によって発生する電子は半導体に移動し、次いで、透明導電性電極を通って対電極に移動する。対電極に移動した電子は、電解質中の酸化還元系を還元する。一方、半導体に電子を移動させた分光増感色素は、酸化体の状態になっているが、この酸化体は電解質中の酸化還元系によって還元され、元の状態に戻る。このようにして、電子が流れ、本発明の光電変換材料用半導体を用いた太陽電池を構成することができる。
上記電解質(レドックス電解質)としても、第3発明のそれと同様の説明が適用される。
第4発明の太陽電池も第3発明と同様に、前記酸化物半導体電極、電解質及び対電極をケース内に収納して封止するが、それら全体を樹脂封止しても良い。この場合、その酸化物半導体電極には光があたる構造とする。このような構造の電池は、その酸化物半導体電極に太陽光又は太陽光と同等な可視光をあてると、酸化物半導体電極とその対極との間に電位差が生じ、両極間に電流が流れるようになる。
〈第4発明の実施例〉
実施例4−1
(1)透明電極付き透明有機ポリマー基板の作製
スパッタリング装置を用いて、透明有機ポリマー基板上に透明電極膜を形成した。
5×5cmのポリエチレンテレフタレート基板(厚さ:188μm)上に、100mmφのITO(インジウム−スズ酸化物)のセラミックターゲットを用い、アルゴンガスを10cc/分、酸素ガスを1.5cc/分で供給しながら、装置内の圧力を5ミリトール(mTorr)に設定し、供給電力500Wの条件で5分間スパッタリングを行い、厚さ3000ÅのITO膜を形成した。表面抵抗は10Ω/□であった。
(2)金属酸化物半導体膜の作製
対向ターゲット方式スパッタリング装置を用いて、上記のITO透明電極ガラス上に、直径100mmの金属チタンターゲットを2枚配置し、酸素ガスを5cc/分、アルゴンガスを5cc/分で供給した後、装置内の圧力を5ミリトール(0.7Pa)に設定し、供給電力3kW(電力密度19W/cm)の条件で32分間スパッタリングを行い、厚さ3000Åの酸化チタン膜を形成した。
得られた半導体膜の空隙率を測定した。
空隙率の測定方法:
下記の重量をそれぞれ測定し、下記式より求めた(測定はJISZ8807に準じて行った):
w1:水を充分に含ませた試料質量(g)
w2:試料の絶乾質量(g)
w3:試料の浮力(g)
空隙率=(w1−w2)/w3×100
上記測定により、上記半導体膜の空隙率は17%であった。
(3)分光増感色素の吸着
シス−ジ(チオシアナト)−ビス(2,2’−ビピリジル−4−ジカルボキシレート−4’−テトラブチルアンモニウムカルボキシレート)ルテニウム(II)で表される分光増感色素をエタノール液に溶解した。この分光増感色素の濃度は3×10−4モル/lであった。次に、このエタノールの液体に、膜状の酸化チタンを形成した前記の基板を入れ、室温で18時間浸漬して、本発明の金属酸化物半導体電極を得た。この試料の分光増感色素の吸着量は、酸化チタン膜の比表面積1cmあたり10μgであった。
(4)対電極付き透明有機ポリマー基板への接着剤層、剥離フィルムの設置対電極として、ポリエチレンテレフタレート基板(厚さ:188μm)上にフッ素をドープした酸化スズをコートし、さらにその上に白金を担持した透明導電性有機ポリマー基板を用いた。
透明導電性有機ポリマー基板の裏面に、接着剤層(エチレン酢酸ビニル共重合体)を介して、剥離シート(厚さ75μm;商品名No.23、藤森工業(株)製)を80℃で押圧して、貼付した。
(5)太陽電池の作製
得られた2つの電極の間に電解質を入れ、この側面を樹脂で封入した後、リード線を取付けて、本発明の太陽電池を作製した。なお、電解質は、アセトニトリルの溶媒に、ヨウ化リチウム、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイド、ヨウ素及びt−ブチルピリジンを、それぞれの濃度が0.1モル/l、0.3モル/l、0.05モル/l、0.5モル/lとなるように溶解したものを用いた。
得られた太陽電池に、ソーラーシュミレーターで100W/mの強度の光を照射したところ、Voc(開回路状態の電圧)は0.58Vであり、Joc(回路を短絡したとき流れる電流の密度)は1.30mA/cmであり、FF(曲線因子)は0.53であり、η(変換効率)は4.01%であった。これは太陽電池として有用であることがわかった。
実施例4−2
(4)対電極付き透明有機ポリマー基板への接着剤層、剥離フィルムの設置を下記のように行った以外、実施例4−1と同様にして太陽電池を作製した。
(4)対電極付き透明有機ポリマー基板への接着剤層、剥離フィルムの設置スパッタリング装置を用いて、透明電極膜を作製した。
5×5cmのポリエチレンテレフタレート基板(厚さ:188μm)の表面にアルミニウムを蒸着してアルミニウムの反射層(厚さ300nm)を形成した。
この反射層は電極を兼ねるものである。
上記透明導電性有機ポリマー基板の裏面に、実施例4−1と同様にして接着剤層及び剥離シートを設置した。
実施例4−1と同じ測定により得られた、空隙率は19%であった。
得られた反射層付き太陽電池を屋根材の表面にロールにより貼付し、太陽電池付き屋根材を得た。
得られた屋根材に、ソーラーシュミレーターで100W/mの強度の光を照射したところ、Voc(開回路状態の電圧)は0.59Vであり、Joc(回路を短絡したとき流れる電流の密度)は1.31mA/cmであり、FF(曲線因子)は0.53であり、η(変換効率)は4.12%であり、太陽電池として有用であることがわかった。
この太陽電池を屋外に1ヶ月曝した後、上記特性の低下はほとんど見られなかった。
実施例4−3
(4)対電極付き透明有機ポリマー基板への接着剤層、剥離フィルムの設置を下記のように行った以外、実施例4−1と同様にして太陽電池を作製した。
(4)対電極付き透明有機ポリマー基板への接着剤層、剥離フィルムの設置表面に印刷により木目調の模様を形成した5×5cmのポリエチレンテレフタレート基板(厚さ:2mm)の表面にフッ素をドープした酸化スズをコートし、さらにその上に白金を担持した透明導電性有機ポリマー基板を用いた。
上記透明導電性有機ポリマー基板の裏面に、実施例4−1と同様にして接着剤層及び剥離シートを設置した。
上記太陽電池を、剥離シートを除去して、ガラス板の表面に貼付し、太陽電池付きガラス板を得た。
実施例4−1と同じ測定により得られた、空隙率は19%であった。
この太陽電池を屋外に1ヶ月曝した後、木目調の模様を観察したが、退色現象はほとんど見られなかった。
以上から明らかなように、第4発明の有機色素増感型太陽電池は、基板として可撓性のある有機ポリマーフィルムを使用しており、これによりどのような材料の表面にでも貼付、或いは設置することができる。また本発明の有機色素増感型太陽電池は、柔軟性があって且つ意匠性、装飾性(着色、模様、高反射)のある貼付可能な装飾性が備えられた太陽電池であるので、装飾性の必要なところにも設置することができる。さらにまた本発明のこのような太陽電池が貼付等により設置された屋根材、壁材等の建材は、建材として利用することにより、太陽電池としての機能も得ることができるとの優位性を有する。
(5) 第5発明の金属酸化物半導体膜の形成方法の実施の形態を図面を参照して説明する。
図10に第5発明の金属酸化物半導体膜形成方法を説明するための概略図を示す。基板51上に設けられた透明電極52上に、金属酸化物微粒子がバインダ(一般に有機バインダ)に分散されてなる塗布液を塗布し、乾燥して金属酸化物微粒子53とバインダ54から主として構成される塗布膜55を形成する。次いでこの塗布膜を紫外線照射してバインダ54を除去することにより表面積の大きな金属酸化物半導体膜56を形成する。
塗布膜のバインダ54(ポリマー、界面活性剤等の有機物)は、紫外線の照射により、低分子物質(有機酸、二酸化炭素等)まで分解され、除去される。このように低分子物質まで分解するには、紫外線としては短波長の紫外線が好ましく、一般に1〜400nm、好ましくは1〜300nm、特に好ましくは1〜200nmの範囲の光を用いて行われる。これにより低温下でのバインダ除去が高速で行うことができる。
上記バインダ(有機物)の分解のメカニズムとしては、
(1)バインダに紫外線が照射されると、バインダがその紫外線を吸収して、直接バインダを構成する分子の結合が切断される、
(2)紫外線のエネルギーにより雰囲気ガスが分解されてラジカルが発生し、このラジカルによりバインダが分解される(この場合O、F、Cl等を含むガスが有効)、
(3)金属酸化物半導体(TiO等)が紫外線を吸収して励起し、バインダを分解する(即ち、光触媒による酸化分解反応)
を挙げることができる。
例えば、上記(2)の例として、185nm等の短波長の光を照射すると、非常に酸化力の強いラジカル(例えば、OH・)が発生し、これによりバインダが分解される。この際、酸化力の強いラジカルを発生させるために、一般に酸素、フッ素原子含有化合物(CF等)及び塩素原子含有化合物等の反応ガスの存在下に行われ、これらから発生したラジカルがバインダ等と反応し、分解する。このような反応は、比較的低温で行われるので、透明電極、基板等として、その材料が耐熱性に優れていないものでも用いることができる(例えば、基板としてプラスチック基板、電極としてITO等)。また光のエネルギー変換効率の観点から上記金属酸化物として酸化チタン、特にアナタース型酸化チタンを使用することが好ましい。
また、使用されるバインダとしては、紫外線照射により分解されやすいものが好ましい。一般にカルボニル基、ヒドロペルオキシド基等を含むもの或いは発生しやすいものが好ましい。好ましいバインダの例は後述する。
上記紫外線照射に使用される紫外線ランプとしては、一般に水銀灯が使用される。気体或いは蒸気中で、2つの電極間に電流を流すと種々の波長の光の放射が起こる。この放射光の強度と波長は、気体の種類、圧力、電流量、管の直径等に依存する。気体或いは蒸気として水銀を用いたのが、水銀灯であり、高圧、中圧、低圧が知られている。バインダを高速分解するためには、高圧水銀灯が適当である。短波長紫外線を発生させるには、低圧水銀灯、Xeエキシマランプが好ましい。紫外線照射は、例えば高圧水銀灯を用いた場合、一般に1秒〜60分間、好ましくは15秒〜30分、特に好ましくは10〜20分塗布膜上に行われる。
照射距離は一般に1〜100cm、好ましくは1〜20cm、特に好ましくは1〜10cmである。
基板51上に設けられた、金属酸化物微粒子53とバインダ54から主として構成される塗布膜55上に、紫外線ランプで紫外線が照射されるが、上述したように、これらの塗布膜とランプとの間に前記の反応性ガスを介在させて紫外線照射することが、バインダの分解を促進する上で好ましい。
バインダ(ポリマー)の種類と、反応性ガス等の好ましい組み合わせとしては、バインダとしてポリエステル系樹脂、そしてオゾン、Cl、CF等の雰囲気で高圧水銀灯を用いて、バインダを分解させる方法を挙げることができる。
上記のようにして第5発明の金属酸化物半導体膜付き透明電極基板が得られる。
上記金属酸化物半導体膜付き透明電極基板を用いた本発明の金属酸化物半導体電極及びこれを有する有機色素増感型太陽電池の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図11は第5発明の有機色素増感太陽電池の実施形態の一例を示す断面図である。
図11において、基板51、その上に透明電極52が設けられ、透明電極上の金属酸化物半導体膜に分光増感色素を吸着させた色素吸着金属酸化物半導体膜63が形成され、その上方に透明電極と対向して対電極64が設置されており、そして側部が封止剤65により封止され、さらに金属酸化物半導体膜63と対電極64との間に電解質(溶液)66が封入されている。なお、本発明の金属酸化物半導体電極は、上記基板51、その上に透明電極52及び、透明電極上に分光増感色素を吸着させた金属酸化物半導体膜63から基本的に構成される。
第5発明の金属酸化物半導体電極及びこれを有する有機色素増感型太陽電池は、基板上の透明電極に設けられる金属酸化物半導体膜53、63は、図10及び図11から明らかなように、大小様々な球状粒子が接合した形状を有し、表面に大きな凹凸と、内部に多数の空隙を有するものである。すなわち、第5発明の金属酸化物半導体膜は、上記のようにバインダを含む塗布膜を、紫外線照射処理によりバインダを除去しているので、除去された部分に無数の空洞が形成され、その空隙率は高い。その空隙率は30%以上、特に35%以上であることが好ましい、空隙率の上限も有機色素の吸着量が多くなるのであれば100%近くであっても良いが、膜としての形状を保持する観点から95%程度が好ましい。
このように、第5発明の金属酸化物半導体膜53は、表面の表面積が大きく、且つ内部の空洞の表面積も大きく、このため有機色素が吸着する面積が大きい。さらには、このような構造(形状)のため、有機色素の表面及び内部への侵入が容易であり、短時間に色素吸着を完遂することができる。また、表面及び内部共に大きな表面積を有しているため、有機色素吸着量が増大しており、光のエネルギー変換効率が向上している。
このような構造を有する金属酸化物半導体膜53は、上記のように、塗布、乾燥、紫外線照射処理により得られる。
まず基板(好ましくはプラスチック基板)上に設けられた透明電極上に、金属酸化物微粒子がバインダに分散されてなる塗布液が塗布される。
上記金属酸化物(金属酸化物半導体)としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化タングステン、酸化アンチモン、酸化ニオブ、酸化インジウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、硫化カドミウムなどの公知の半導体の一種または二種以上を用いることができる。特に、安定性、安全性の点から酸化チタンが好ましい。酸化チタンとしてはアナタース型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、無定形酸化チタン、メタチタン酸、オルソチタン酸などの各種の酸化チタンあるいは水酸化チタン、含水酸化チタンが含まれる。本発明ではアナタース型酸化チタンが好ましい。金属酸化物は微粒子状であり、その一次粒子径は0.001〜5μm、さらに0.001〜0.5μm、特に0.001〜0.05μmの範囲が好ましい。
上記バインダとしては、微粒子を分散させるのに使用することができ、紫外線照射により分解されやすいものであれば良く、一般にポリマーが使用される。ポリマーの例としては、ポリアルキレングリコール(例、ポリエチレングリコール)、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリアセタール、ポリブチラール、石油樹脂、ポリスチレン、繊維素系樹脂等を挙げることができる。
アクリル樹脂としては、例えば、アルキルアクリレート(例、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート)及び/又はアルキルメタクリレート(例、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート)から得られる単独重合体又は共重合体を挙げることができる。またこれらのモノマーと、他の共重合可能なモノマーとの共重合体も挙げることができる。特に、光硬化時の反応性や硬化後の耐久性、透明性の点からポリメチルメタクリレート(PMMA)が好ましい。
バインダとして界面活性剤を用いることもできる。例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の非イオン界面活性剤、或いは陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤を挙げることができる。前記ポリマーと界面活性剤を組み合わせて使用することもできる。
好ましいバインダとしては、ポリアルキレングリコール(例、ポリエチレングリコール)、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリアセタール、ポリブチラール、石油樹脂、ポリスチレン、繊維素系樹脂を挙げることができる。
基板にガラス板を用いる場合は、良好な密着性を得るためにテトラアルコキシシラン及び/又はトリアルコキシシランの縮合物を使用しても良い。
金属酸化物半導体膜の膜厚は、0.01μm以上が一般的であり、0.1〜100μm、特に1〜10μmが好ましい。
上記基板51としては、透明な基板であればよく、一般にガラス板、通常珪酸塩ガラス、或いはプラスチック基板である。種々のプラスチック基板を、可視光線の透過性を確保できる限り使用することができる。基板の厚さは、0.1〜10mmが一般的であり、0.3〜5mmが好ましい。ガラス板は、化学的に、或いは熱的に強化させたものが好ましい。
上記プラスチック基板の材料としては、ガラス転移温度が50℃以上の透明の有機樹脂が好ましく、このような支持体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン46、変性ナイロン6T、ナイロンMXD6、ポリフタルアミド等のポリアミド系樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリチオエーテルサルフォン等のケトン系樹脂、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン等のサルフォン系樹脂の他に、ポリエーテルニトリル、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、トリアセチルセルロース、ポリスチレン、ポリビニルクロライド等の有機樹脂を主成分とする透明樹脂基板を用いることができる。これら中で、ポリカーボネート、ポリメチルメタアクリレート、ポリビニルクロライド、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレートが透明性、複屈折の点で優れており、好適に用いることができる。
上記透明電極52としては、InやSnOの導電性金属酸化物薄膜を形成したものや金属等の導電性材料からなる基板が用いられる。導電性金属酸化物の好ましい例としては、In:Sn(ITO)、SnO:Sb(ATO)、SnO:F(FTO)、ZnO:Al(AZO)、ZnO:F、CdSnOを挙げることができる。
前記のようにして得られた基板上の酸化物半導体膜表面に、有機色素(分光増感色素)を単分子膜として吸着させる。
基板上の酸化物半導体膜表面に、単分子膜として吸着させる有機色素(分光増感色素)及びその吸着方法については、第3発明と同様の説明が適用される。
このようにして、第5発明の有機色素増感型金属酸化物半導体電極(光電変換材料用半導体)を得る。
このようにして得られた基板上に、透明電極及び有機色素吸着金属酸化物半導体が形成された有機色素増感型金属酸化物半導体電極を用いて、太陽電池を作製する。すなわち、透明電極(透明性導電膜)をコートしたガラス板又はプラスチック基板の基板上に光電変換材料用金属酸化物半導体膜を形成して電極とし、次に、対電極として別の透明性導電膜をコートしたガラス板などの基板を封止剤により接合させ、これらの電極間に電解質を封入して太陽電池とすることができる。
第5発明の半導体膜に吸着した分光増感色素に太陽光を照射すると、分光増感色素は可視領域の光を吸収して励起する。この励起によって発生する電子は半導体に移動し、次いで、透明導電性ガラス電極を通って対電極に移動する。対電極に移動した電子は、電解質中の酸化還元系を還元する。一方、半導体に電子を移動させた分光増感色素は、酸化体の状態になっているが、この酸化体は電解質中の酸化還元系によって還元され、元の状態に戻る。このようにして、電子が流れ、本発明の光電変換材料用半導体を用いた太陽電池を構成することができる。
上記電解質(レドックス電解質)としては、第3発明の電解質(レドックス電解質)と同様の説明が適用される。
第5発明の太陽電池は、前記酸化物半導体電極、電解質及び対極をケース内に収納して封止するが、それら全体を樹脂封止しても良い。この場合、その酸化物半導体電極には光があたる構造とする。このような構造の電池は、その酸化物半導体電極に太陽光又は太陽光と同等な可視光をあてると、酸化物半導体電極とその対極との間に電位差が生じ、両極間に電流が流れるようになる。
〈第5発明の実施例〉
実施例5−1
(1)透明電極の作製
スパッタリング装置を用いて、透明電極膜を作製した。
5×5cmのポリカーボネート基板(厚さ:2mm)上に、100mmφのITO(インジウム−スズ酸化物)のセラミックターゲットを用い、アルゴンガスを10cc/分、酸素ガスを1.5cc/分で供給しながら、装置内の圧力を5ミリトール(mTorr)に設定し、供給電力500Wの条件で5分間スパッタリングを行い、厚さ300nmのITO膜を形成した。表面抵抗は10Ω/□であった。
(2)金属酸化物半導体膜の作製
まず、アナタース型の二酸化チタン(一次粒径:30nm)を、ポリエチレングリコールを20質量%で含む水とアセチルアセトン(容量比:20/1)中に分散させ、30質量%の二酸化チタン分散液を得た。
上記分散液を、(1)で得られたポリカーボネート基板のITO膜上にバーコータを用いて塗布し、120℃で30分間乾燥させ、厚さ10μmの二酸化チタン含有塗布膜を形成した。
二酸化チタン含有塗布膜を有する基板を、高圧水銀灯を備えた紫外線照射装置内に塗布膜を上にして載置し、酸素ガスを5cc/分、アルゴンガスを5cc/分で供給した後、高圧水銀灯から塗布膜上に紫外線を照射し(照射距離2cm、照射時間20分)、厚さ10μmの二酸化チタン膜を形成した。
得られた半導体膜の空隙率を測定した。
空隙率の測定方法:
下記の重量をそれぞれ測定し、下記式より求めた(測定はJISZ8807に準じて行った):
w1:水を充分に含ませた試料質量(g)
w2:試料の絶乾質量(g)
w3:試料の浮力(g)
空隙率=(w1−w2)/w3×100
上記測定により、上記半導体膜の空隙率は38%であった。
(3)分光増感色素の吸着
シス−ジ(チオシアナト)−ビス(2,2’−ビピリジル−4−ジカルボキシレート−4’−テトラブチルアンモニウムカルボキシレート)ルテニウム(II)で表される分光増感色素をエタノール液に溶解した。この分光増感色素の濃度は3×10−4モル/lであった。次に、このエタノールの液体に、膜状の酸化チタンを形成した前記の基板を入れ、室温で18時間浸漬して、本発明の金属酸化物半導体電極を得た。この試料の分光増感色素の吸着量は、酸化チタン膜の比表面積1cmあたり10μgであった。
(4)太陽電池の作製
前記の金属酸化物半導体電極を一方の電極として備え、対電極として、フッ素をドープした酸化スズをコートし、さらにその上に白金を担持した透明導電性ガラス板を用いた。2つの電極の間に電解質を入れ、この側面を樹脂で封入した後、リード線を取付けて、本発明の太陽電池を作製した。なお、電解質は、アセトニトリルの溶媒に、ヨウ化リチウム、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイド、ヨウ素及びt−ブチルピリジンを、それぞれの濃度が0.1モル/l、0.3モル/l、0.05モル/l、0.5モル/lとなるように溶解したものを用いた。得られた太陽電池に、ソーラーシュミレーターで100W/mの強度の光を照射したところ、Voc(開回路状態の電圧)は0.58Vであり、Jsc(回路を短絡したとき流れる電流の密度)は1.30mA/cmであり、FF(曲線因子)は0.53であり、η(変換効率)は4.01%であった。これは太陽電池として有用であることがわかった。
実施例5−2
金属酸化物半導体膜の作製(2)を下記のように行った以外、実施例5−1と同様にして太陽電池を作製した。
(2)金属酸化物半導体膜の作製
実施例5−1において、二酸化チタン分散液として、50質量%の濃度のものを用い、その中に基板をディッピングし、乾燥する工程を繰り返し行い、二酸化チタン含有塗布膜を形成した。
その後は実施例5−1と同様に処理した。
実施例5−1と同じ測定により得られた、上記半導体膜の空隙率は38%であった。
得られた太陽電池に、ソーラーシュミレーターで100W/mの強度の光を照射したところ、Voc(開回路状態の電圧)は0.59Vであり、Jsc(回路を短絡したとき流れる電流の密度)は1.31mA/cmであり、FF(曲線因子)は0.53であり、η(変換効率)は4.12%であり、太陽電池として有用であることがわかった。
以上から明らかなように、第5発明の方法で形成された有機色素増感型金属酸化物半導体電極を有する太陽電池は、低温で簡易に得られる金属酸化物導電体膜を有し、且つ色素吸着量が大幅に増大した有機色素増感太陽電池であり、従って光のエネルギー変換効率が高く、太陽電池としての十分な性能を備えたものである。
(6) 第6発明
第6発明の透明基板の形成方法の実施の形態を図面を参照して説明する。
図12に第6発明(6−i)の透明電極の形成方法を説明するための概略図の一例を示す。透明基板71の表面に、バインダ72中に分散した導電性金属酸化物微粒子73の層が形成され、この層からバインダ72が除去されて導電性金属酸化物微粒子73からなる塗布型透明電極膜が設けられ、次いでその表面に気相成膜法により導電性金属酸化物の気相型透明電極膜74が形成される。
塗布型透明電極膜は、バインダ中に分散した導電性金属酸化物微粒子の層からバインダが除去されるため、そのバインダ部分が空洞となり、導電性金属酸化物微粒子73同士が結合した層となることから、塗布型透明電極膜は表面積の大きな粗表面を有することとなる。この無数の空隙を有する塗布型透明電極膜の上に気相型透明電極膜74が気相成膜法により形成されるが、この時気相成膜法による膜は、塗布型透明電極膜72の表面の露出部分だけでなく、空洞内部まで入り込んで、無数の空隙部分を保持しながら塗布型透明電極膜72の露出部分全てをほぼ覆ってしまう。このため、バインダ除去により、寸断された膜部分があっても接合されるため、透明電極全体(即ち積層型透明電極膜)に電流は流れる。従って、抵抗値が低く且つ表面積の大きな透明電極が得られる。このため、この透明電極の粗表面上に設けられる金属酸化物半導体膜も当然大きな表面積を有することから、その半導体膜表面に大量の有機色素が吸着する。従って、このような有機色素増感型金属酸化物半導体電極を用いた有機色素増感型太陽電池は高い光エネルギー変換率を示す。
図13に第6発明(6−ii)の透明電極の形成方法を説明するための概略図の一例を示す。透明基板81の表面に気相成膜法により導電性金属酸化物の気相型透明電極膜84を形成し、さらにその透明電極膜84の表面に導電性金属酸化物微粒子83がバインダ82に分散されてなる塗布液を塗布し、乾燥して導電性金属酸化物含有塗布膜を形成し、次いでこの導電性金属酸化物含有塗布膜からバインダを除去することにより導電性金属酸化物微粒子83から成る塗布型透明電極膜を形成する。
透明基板に直接設けられた気相型透明電極膜84は、従来の透明電極であり、その表面は一般に平滑である。一方、この上に設けられた塗布型透明電極膜は、バインダ中に分散した導電性金属酸化物微粒子の層からバインダが除去されるため、その部分が空洞となり、導電性金属酸化物微粒子83同士が結合した層が形成され、この層は表面積の大きな粗表面を有することとなる。このため、この粗表面上に設けられる金属酸化物半導体膜も大きな表面積を有することから、その半導体膜表面に大量の有機色素が吸着する。従って、このような有機色素増感型金属酸化物半導体電極を用いた有機色素増感型太陽電池は高い光エネルギー変換率を示す。
上記方法(6−i)及び(6−ii)のいずれにおいても、透明電極は比較的低温で形成することができるので、透明電極としてITO等の低抵抗で耐熱性の低い材料も使用することができる。
上記方法において、塗布膜のバインダ72、82(一般に、ポリマー、界面活性剤等の有機物)の除去は、一般にプラズマ処理又は紫外線照射処理により行われる。プラズマ中の陽イオン、陰イオン、ラジカルと反応し、分解され除去される。プラズマは、プラズマ発生装置中に導入した反応ガスに電場をかけ、ガス分子を高速電子と衝突させて電離させることにより発生する。一般に酸素、フッ素及び塩素等の反応ガスの存在下に行われ、これらのイオン、ラジカルがバインダ等と反応し、これらが分解する。このような反応は、比較的低温で行われるので、透明電極、基板の材料が耐熱性に優れていないものでも用いることができる(例えば、基板としてプラスチック基板、電極としてITO等)。
上記プラズマ処理は、高周波プラズマ、マイクロ波プラズマ又はこれらのハイブリッド型を用いて行うことが好ましい。また減圧下でプラズマを行う方がイオン化率が上昇し、イオンの方向性が異方性となり均一なバインダ等の除去が可能となる。しかしながら、高周波放電(13.56MHz、2.45GHz)で、圧力が低下すると電子とガス分子との衝突回数が低下するので、プラズマ密度を向上させるために静電的或いは誘導的な磁場を印加する方法が採られている(例えば、マグネトロン放電、ECR放電、ヘリコン波放電、誘導結合放電等)。本発明でもこのような磁場を印加した高周波プラズマ、マイクロ波プラズマが好ましい。
例えば、図14に示すECRプラズマ発生装置を用いて、基板上の塗布膜のバインダ等の除去が行われる。エッチングチャンバ97の下部に塗布膜を有する基板90が載置され、その下から排気されている。上部から反応ガス92が導入され上部中央からマイクロ波93が導入される。プラズマチャンバ94で、電磁コイル31による磁界の中で反応ガスにマイクロ波93が導入されプラズマが発生、そのプラズマ流95が基板に衝突する。これにより塗布膜中のバインダ等が分解、除去される。
上記プラズマ処理では、圧力を10−3Torr以下、特に10−3Torr〜10−4Torrとすることが好ましい。
或いは、塗布膜のバインダの除去は紫外線照射処理によっても行うことができる。この場合、紫外線の照射により、バインダが低分子物質(有機酸、二酸化炭素等)まで分解され、除去される。このように低分子物質まで分解するには、紫外線としては短波長の紫外線が好ましく、一般に1〜400nm、好ましくは1〜300nm、特に好ましくは1〜200nmの範囲の光である。これにより低温下でのバインダ除去が高速で行うことができる。
上記バインダ(有機物)の分解のメカニズムとしては、
(1)バインダに紫外線が照射されると、バインダがその紫外線を吸収して、直接バインダを構成する分子の結合が切断される、
(2)紫外線のエネルギーにより雰囲気ガスが分解されてラジカルが発生し、このラジカルによりバインダが分解される(この場合O、F、Cl等を含むガスが有効)を挙げることができる。
例えば、上記(2)の例として、185nm等の短波長の光を照射すると、非常に酸化力の強いラジカル(例えば、OH・)が発生し、これによりバインダが分解される。この際、酸化力の強いラジカルを発生させるために、一般に酸素、フッ素原子含有化合物(CF等)及び塩素原子含有化合物等の反応ガスの存在下に行われ、これらから発生したラジカルがバインダ等と反応し、分解する。このような反応は、比較的低温で行われるので、透明電極、基板の材料が耐熱性に優れていないものでも用いることができる(例えば、基板としてプラスチック基板、電極としてITO等)。
また、使用されるバインダとしては、紫外線照射により分解されやすいものが好ましい。一般にカルボニル基、ヒドロペルオキシド基等を含むもの或いは発生しやすいものが好ましい。好ましいバインダの例は後述する。
上記紫外線照射に使用される紫外線ランプとしては、第5発明における紫外線照射に使用される紫外線ランプと同様の説明が適用される。
透明基板上に設けられた、金属酸化物微粒子とバインダから主として構成される導電性金属酸化物含有塗布膜上に、紫外線ランプで紫外線が照射されるが、上述したように、これらの塗布膜とランプとの間に前記の反応性ガスを介在させて紫外線照射することが、バインダの分解を促進する上で好ましい。バインダ(有機ポリマー等)の種類と、反応性ガス等の好ましい組み合わせとしては、バインダとしてポリエステル系樹脂、そしてオゾン、Cl、CF等の雰囲気で高圧水銀灯を用いて、バインダを分解させる方法を挙げることができる。
本発明で使用することができる基板としては、透明な基板であればよく、一般にガラス板、通常珪酸塩ガラス、或いはプラスチック基板である。種々のプラスチック基板を、可視光線の透過性を確保できる限り使用することができる。基板の厚さは、0.1〜10mmが一般的であり、0.3〜5mmが好ましい。ガラス板は、化学的に、或いは熱的に強化させたものが好ましい。基板にガラス板を用いる場合は、良好な密着性を得るためにテトラアルコキシシラン及び/又はトリアルコキシシランの縮合物を使用しても良い。尚、後述する太陽電池の基板46は透明でなくても良い。
上記プラスチック基板の材料としては、第5発明におけるプラスチック基板と同様の説明が適用される。
上記透明電極の材料としては、気相成膜法及び塗布法のいずれにおいても導電性金属酸化物が使用され、一般に、In:Sn(ITO)、SnO:Sb、SnO:F、ZnO:Al、SnO、ZnO:F、CdSnOを挙げることができる。気相型透明電極付き基板として、InやSnOの導電性金属酸化物薄膜を形成したものや金属等の導電性材料からなる基板を用いても良い。
塗布型透明電極膜の形成においては、導電性金属酸化物は微粒子の形で使用される。導電性金属酸化物微粒子の平均一次粒径が、0.001〜5μmの範囲が好ましく、特に0.001〜0.05μmの範囲が好ましい。
上記バインダとしては、微粒子を分散させるのに使用することができるものであれば良く、一般に有機ポリマーが使用される。ポリマーの例としては、ポリアルキレングリコール(例、ポリエチレングリコール)、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリアセタール、ポリブチラール、石油樹脂、ポリスチレン、繊維素系樹脂等を挙げることができる。
バインダのアクリル樹脂、バインダとして用いる界面活性剤としては、第5発明におけるそれと同様の説明が適用される。
導電性金属酸化物微粒子がバインダに分散されてなる塗布液は、上記材料を用いてこれらを混合することにより得られる。必要により混練により微粒子を分散させる。塗布液中の微粒子の含有量は20〜60質量%が好ましく、特に20〜50質量%が好ましい。塗布液中のバインダの含有量は1〜20質量%が好ましく、特に5〜10質量%が好ましい。溶剤としては、水、アセチルアセトン、アルコール、トルエン、メチルホルムアミド等を挙げることができる。更に必要により界面活性剤等の添加剤を加えることができる。
塗布は、スプレー、バーコータ、ロールコータ等の公知の方法により行うことができる。乾燥は、一般に常温で行うことが好ましい。その後、上記のようにしてバインダが除去される。
第6発明の積層型透明電極は、空隙を確保し、大きな表面積を得るために、気相型透明電極膜の膜厚を0.1〜100nmの範囲とすることが好ましく、特に1〜10nmの範囲が好ましく、また塗布型透明電極膜の膜厚を、10〜500nmの範囲にあることが好ましく、特に100〜300nmの範囲が好ましい。
図15は第6発明の有機色素増感太陽電池の実施形態の一例を示す断面図である。
図15において、透明基板101、その上に本発明の透明電極103が設けられ、透明電極上の金属酸化物半導体膜に分光増感色素を吸着させた色素吸着金属酸化物半導体膜105が形成され、その上方に透明電極と対向して対電極106が設置されており、そして側部が封止剤107により封止され、さらに金属酸化物半導体膜105と対電極106との間に電解質(溶液)108が封入されている。なお、本発明の金属酸化物半導体電極は、上記基板101、その上に透明電極103及び、透明電極上に分光増感色素を吸着させた金属酸化物半導体膜105から基本的に構成される。
第6発明の透明電極上には図15に示すように金属酸化物半導体膜が設けられる。
第6発明の金属酸化物半導体電極において、基板上の透明電極に設けられる金属酸化物半導体膜は、一般に大小様々な球状粒子が接合した形状を有し、表面に大きな凹凸と、内部に多数の空隙を有するものである。本発明の金属酸化物半導体膜は、従来の酸化物半導体微粉末のスラリーを透明電極上に塗布し、乾燥させ、その後500℃、1時間程度で焼成させることにより形成しても良いが、熱付与を低減させる観点から気相成膜法で形成することが好ましい。
第6発明の金属酸化物半導体膜は、前記の本発明の粗表面を有する透明電極上に設けられるので、極めて空隙率の大きい膜をとなり得る。本発明の金属酸化物半導体膜は一般に気相成膜法により形成され、且つその表面が粗く、空隙率が25%以上であることが好ましい。さらに、空隙率は30%以上、特に35%以上であることが好ましい。このような形状により、有機色素の吸着量が多くな。空隙率の上限も有機色素の吸着量が多くなるのであれば100%近くであっても良いが、膜としての形状を保持する観点から95%程度が好ましい。
このように、第6発明の金属酸化物半導体膜は、表面の表面積が大きく、且つ内部の空洞の表面積も大きく、このため有機色素が吸着する面積が大きい。さらには、このような構造(形状)のため、有機色素の表面及び内部への侵入が容易であり、短時間に色素吸着を完遂することができる。また、表面及び内部共に大きな表面積を有しているため、有機色素吸着量が増大しており、光のエネルギー変換効率が向上している。
上記金属酸化物半導体としては、第5発明における金属酸化物半導体の説明と同様の説明が適用される。
本発明の金属酸化物半導体膜は、上記材料に対応する金属及び/又は金属酸化物をターゲットとして用いて、気相成膜法、例えば、物理蒸着法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法またはプラズマCVD法前記のようにスパッタリング法により、上記のような条件で形成することができる。本発明の金属酸化物半導体膜を形成するための好ましい方法は、スパッタリング法を用い、前記のターゲット投入電力密度及び圧力の条件下に行うことであり、スパッタリング法としては、特に対向2極ターゲット方式スパッタリング法が好適であり、また反応性スパッタリング法も好ましい。
第6発明の対向2極ターゲット方式スパッタリング法は、反応性スパッタリング法、即ち酸素ガス等の反応性のガスを導入しながら金属又は金属酸化物をスパッタリングすることが好ましい。特にターゲットとして金属チタン、酸化チタン、とりわけ導電性酸化チタンを用いて、酸素ガスを供給しながらスパッタリングを行うことが好ましい。
特に、第6発明の金属酸化物半導体膜は、基本的には、高電力での短時間成膜、高ガス圧下での成膜が好ましく、さらにガス混合流量比の変化、アークイオンスパッタリングの使用等により、或いはこれらの方法を適宜組合せることにより行うことができる。上記本発明の金属酸化物半導体膜を形成するための好ましい方法は、スパッタリング法を用い、1.3W/cm以上、さらに2.6W/cm以上、特に11W/cm以上のターゲット投入電力密度、及び0.6Pa以上、さらに2.0Pa以上、特に2.6Pa以上の圧力の条件下に行うことであり、スパッタリング法としては、特に対向2極ターゲット方式スパッタリング法が好適であり、また反応性スパッタリング法も好ましい。このような、通常のスパッタリング条件より、過激な条件で行うことにより、半導体膜を急速に形成することができ、これにより本発明の特定の形状、構造を有する金属酸化物半導体膜を得ることができる。これにより有機色素の吸着量を大幅に増加させることが可能で、高いエネルギー変換効率を有し、高効率の太陽電池を得ることができる。
或いは、第6発明の透明電極の表面に、金属酸化物微粒子がバインダに分散されて成る塗布液を塗布し、乾燥して金属酸化物微粒子とバインダから主として構成される塗布膜を形成し、次いでこの塗布膜をプラズマ処理又は紫外線照射処理によりバインダを除去すると共に金属酸化物微粒子を結合させて金属酸化物半導体膜を形成しても良い。
前記のようにして得られた基板上の酸化物半導体膜表面に、有機色素(分光増感色素)を単分子膜として吸着させる。
基板上の酸化物半導体膜表面に、単分子膜として吸着させる有機色素(分光増感色素)及びその吸着方法については、第3発明と同様の説明が適用される。
このようにして、第6発明の有機色素増感型金属酸化物半導体電極(光電変換材料用半導体)を得る。
このようにして得られた基板上に、透明電極及び有機色素吸着金属酸化物半導体が形成された有機色素増感型金属酸化物半導体電極を用いて、太陽電池を作製する。すなわち、透明電極(透明性導電膜)をコートしたガラス板又はプラスチック基板の基板上に光電変換材料である金属酸化物半導体膜を形成して電極とし、次に、対電極として別の透明性導電膜をコートしたガラス板などの基板を封止剤により接合させ、これらの電極間に電解質を封入して太陽電池とすることができる。
第6発明の半導体膜に吸着した分光増感色素に太陽光を照射すると、分光増感色素は可視領域の光を吸収して励起する。この励起によって発生する電子は半導体に移動し、次いで、透明導電性ガラス電極を通って対電極に移動する。対電極に移動した電子は、電解質中の酸化還元系を還元する。一方、半導体に電子を移動させた分光増感色素は、酸化体の状態になっているが、この酸化体は電解質中の酸化還元系によって還元され、元の状態に戻る。このようにして、電子が流れ、本発明の光電変換材料用半導体を用いた太陽電池を構成することができる。
上記電解質(レドックス電解質)としては、第3発明の電解質(レドックス電解質)と同様の説明が適用される。
第6発明の太陽電池は、前記酸化物半導体電極、電解質及び対極をケース内に収納して封止するが、それら全体を樹脂封止しても良い。この場合、その酸化物半導体電極には光があたる構造とする。このような構造の電池は、その酸化物半導体電極に太陽光又は太陽光と同等な可視光をあてると、酸化物半導体電極とその対極との間に電位差が生じ、両極間に電流が流れるようになる。
〈第6発明の実施例〉
実施例6−1
(1)透明電極の作製
積層型透明電極膜を下記のように作製した。
1)5×5cmのポリカーボネート基板(厚さ:2mm)上に、ITO(インジウム−スズ酸化物)の微粉末(平均粒径:0.05nm)を、ポリエチレングリコールを20質量%で含む水とアセチルアセトン(容量比:20/1)中に分散させ、30質量%のITO分散液を得た。
上記分散液を、5×5cmのポリカーボネート基板(厚さ:2mm)上に、バーコータを用いて塗布し、120℃で30分間乾燥させ、厚さ300nmのITO塗布膜を形成した。
ITO塗布膜付き基板を、図15に示すプラズマ発生装置のチャンバー内に塗布膜を上にして載置し、酸素ガスを5cc/分、アルゴンガスを5cc/分で供給した後、装置内の圧力を1ミリトール(0.13Pa)に設定し、導入マイクロ波2.45GHz、磁力875ガウス、供給電力3kW(電力密度19W/cm)の条件で60分間プラズマ処理を行ってポリエチレングリコールを除去し、厚さ100nmの塗布型ITO膜を形成した。
2)得られた塗布型ITO膜上に、100mmφのITO(インジウム−スズ酸化物)のセラミックターゲットを用い、アルゴンガスを10cc/分、酸素ガスを1.5cc/分で供給しながら、装置内の圧力を5ミリトール(mTorr)に設定し、供給電力500Wの条件で5分間スパッタリングを行い、厚さ100nmの気相型ITO膜を形成した。表面抵抗は10Ω/□であった。
得られた透明電極の空隙率を測定した。
空隙率の測定方法:
下記の重量をそれぞれ測定し、下記式より求めた(測定はJISZ8807に準じて行った):
w1:水を充分に含ませた試料質量(g)
w2:試料の絶乾質量(g)
w3:試料の浮力(g)
空隙率=(w1−w2)/w3×100
上記測定により、上記透明電極の空隙率は38%であった。
(2)金属酸化物半導体膜の作製
対向ターゲット方式スパッタリング装置を用いて、上記のITO透明電極ガラス板上に、直径100mmの金属チタンターゲットを2枚配置し、酸素ガスを5cc/分、アルゴンガスを5cc/分で供給した後、装置内の圧力を5ミリトール(0.7Pa)に設定し、供給電力3kW(電力密度19W/cm)の条件で32分間スパッタリングを行い、厚さ300nmの酸化チタン膜を形成した。
得られた半導体膜の空隙率を(1)におけると同様にして測定した。
上記半導体膜の空隙率は42%であった。
(3)分光増感色素の吸着
シス−ジ(チオシアナト)−ビス(2,2’−ビピリジル−4−ジカルボキシレート−4’−テトラブチルアンモニウムカルボキシレート)ルテニウム(II)で表される分光増感色素をエタノール液に溶解した。この分光増感色素の濃度は3×10−4モル/lであった。次に、このエタノールの液体に、膜状の酸化チタンを形成した前記の基板を入れ、室温で18時間浸漬して、本発明の金属酸化物半導体電極を得た。この試料の分光増感色素の吸着量は、酸化チタン膜の比表面積1cmあたり10μgであった。
(4)太陽電池の作製
前記の金属酸化物半導体電極を一方の電極として備え、対電極として、フッ素をドープした酸化スズをコートし、さらにその上に白金を担持した透明導電性ガラス板を用いた。2つの電極の間に電解質を入れ、この側面を樹脂で封入した後、リード線を取付けて、本発明の太陽電池を作製した。なお、電解質は、アセトニトリルの溶媒に、ヨウ化リチウム、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイド、ヨウ素及びt−ブチルピリジンを、それぞれの濃度が0.1モル/l、0.3モル/l、0.05モル/l、0.5モル/lとなるように溶解したものを用いた。得られた太陽電池に、ソーラーシュミレーターで100W/mの強度の光を照射したところ、Voc(開回路状態の電圧)は0.58Vであり、Jsc(回路を短絡したとき流れる電流の密度)は1.30mA/cmであり、FF(曲線因子)は0.53であり、η(変換効率)は4.01%であった。これは太陽電池として有用であることがわかった。
実施例6−2
透明電極の作製(1)を下記のように行った以外、実施例6−1と同様にして太陽電池を作製した。
(1)透明電極の作製
積層型透明電極膜を下記のように作製した。
1)5×5cmのポリカーボネート基板(厚さ:2mm)上に、100mmφのITO(インジウム−スズ酸化物)のセラミックターゲットを用い、アルゴンガスを10cc/分、酸素ガスを1.5cc/分で供給しながら、装置内の圧力を5ミリトール(mTorr)に設定し、供給電力500Wの条件で5分間スパッタリングを行い、厚さ100nmの気相型ITO膜を形成した。
2)ITO(インジウム−スズ酸化物)の微粉末(平均粒径:0.05nm)を、ポリエチレングリコールを20質量%で含む水とアセチルアセトン(容量比:20/1)中に分散させ、30質量%のITO分散液を得た。
得られた前記気相型ITO膜上に、上記分散液を、バーコータを用いて塗布し、120℃で30分間乾燥させ、厚さ300nmのITO塗布膜を形成した。
ITO塗布膜を有する基板を、高圧水銀灯を備えた紫外線照射装置内に塗布膜を上にして載置し、酸素ガスを5cc/分、アルゴンガスを5cc/分で供給した後、高圧水銀灯から塗布膜上に紫外線を照射し(照射距離2cm、照射時間20分)、厚さ300nmの塗布型ITO膜を形成した。表面抵抗は10Ω/□であった。
得られた透明電極の空隙率を測定した。
空隙率の測定方法:
下記の重量をそれぞれ測定し、下記式より求めた(測定はJISZ8807に準じて行った):
w1:水を充分に含ませた試料質量(g)
w2:試料の絶乾質量(g)
w3:試料の浮力(g)
空隙率=(w1−w2)/w3×100
上記測定により、上記透明電極の空隙率は38%であった。
その後は実施例6−1と同様に処理した。
実施例6−1と同じ測定により得られた、上記半導体膜の空隙率は42%であった。
得られた太陽電池に、ソーラーシュミレーターで100W/mの強度の光を照射したところ、Voc(開回路状態の電圧)は0.59Vであり、Jsc(回路を短絡したとき流れる電流の密度)は1.31mA/cmであり、FF(曲線因子)は0.53であり、η(変換効率)は4.12%であり、太陽電池として有用であることがわかった。
比較例6−1
透明電極の作製と金属酸化物半導体膜の作製を下記のように行った以外、実施例6−1と同様にして太陽電池を作製した。
(1)透明電極の作製
スパッタリング装置を用いて、透明電極膜を作製した。
5×5cmのガラス基板(厚さ:2mm)上に、100mmφのITO(インジウム−スズ酸化物)のセラミックターゲットを用い、アルゴンガスを10cc/分、酸素ガスを1.5cc/分で供給しながら、装置内の圧力を5ミリトール(mTorr)に設定し、供給電力500Wの条件で5分間スパッタリングを行い、厚さ300nmのITO膜を形成した。表面抵抗は10Ω/□であった。
(2)金属酸化物半導体膜の作製
酸化チタン粉末(P−25、日本アエロジル(株)製)6gを、脱イオン水8ml、アセチルアセトン0.2ml及び界面活性剤0.2mlを、均一に分散し、ITO透明電極上に塗布し、500℃で1時間焼成し、10μmの厚さの半導体電極を得た。
この半導体の分光増感色素の吸着量は、酸化チタンの比表面積1cm当たり10μgであった。
実施例6−1と同じ測定により得られた、上記半導体膜の空隙率は38%であった。
得られた太陽電池に、ソーラーシュミレーターで100W/mの強度の光を照射したところ、Voc(開回路状態の電圧)は0.62Vであり、Jsc(回路を短絡したとき流れる電流の密度)は1.00mA/cmであり、FF(曲線因子)は0.56であり、η(変換効率)は3.50%であった。これは前記実施例の太陽電池に比較して、変換効率が低く、太陽電池として有用であるとは言えない。これは高温長時間焼成により透明電極が劣化したためと考えられる。
以上から明らかなように、第6発明の方法で形成された透明電極は、比較的低温で得ることができ、且つ抵抗値が低く、無数の空隙を有するため大きな表面積を有している。従って、このような透明電極を用いた金属酸化物半導体電極も表面積が大きく、これから得られる有機色素増感型金属酸化物半導体電極を有する太陽電池は、低温で簡易に得られ、且つ色素吸着量が大幅に増大したものでであり、従って光のエネルギー変換効率が高く、太陽電池としての十分な性能を備えたものである。

Claims (112)

  1. 加硫ゴムに、酸化還元性物質を担持させてなることを特徴とする色素増感型太陽電池用電解質。
  2. 請求項1において、該加硫ゴムは、加硫剤として硫黄及び/又は有機硫黄化合物を用いたものであることを特徴とする色素増感型太陽電池用電解質。
  3. 請求項1又は2において、該加硫ゴムは側鎖に芳香環を有することを特徴とする色素増感型太陽電池用電解質。
  4. 請求項3において、該芳香環はベンゼン環及び/又はピリジン環であることを特徴とする色素増感型太陽電池用電解質。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項において、該加硫ゴムに酸化還元性物質の溶液を含浸し乾燥することにより酸化還元性物質を担持させてなることを特徴とする色素増感型太陽電池用電解質。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項において、該酸化還元性物質の担持量が該加硫ゴムに対して5〜50重量%であることを特徴とする色素増感型太陽電池用電解質。
  7. 三次元連続の網状骨格構造を有する高分子材料で構成された多孔質体に、酸化還元性物質を担持させてなることを特徴とする色素増感型太陽電池用電解質。
  8. 請求項7において、該多孔質体は、高分子材料と、該高分子材料よりも多量の低分子材料とを混合して該高分子材料が三次元連続の網状骨格構造を形成している前駆体を得、次いで該前駆体中の低分子材料を除去することにより製造されることを特徴とする色素増感型太陽電池用電解質。
  9. 請求項7又は8において、該高分子材料が、エチレンとプロピレンとを主成分とし、エチレン含有量が60重量%以上のエチレン−プロピレン系共重合体であることを特徴とする色素増感型太陽電池用電解質。
  10. 請求項8又は9において、該高分子材料と低分子材料との混合物中の高分子材料の割合が30重量%以下であることを特徴とする色素増感型太陽電池用電解質。
  11. 請求項7ないし10のいずれか1項において、該多孔質体の三次元連続の網状骨格構造の骨格の平均径が8μm以下であり、網目の開口の平均径が80μm以下であることを特徴とする色素増感型太陽電池用電解質。
  12. 請求項7ないし11のいずれか1項において、該多孔質体に酸化還元性物質の溶液を含浸し乾燥することにより酸化還元性物質を担持させてなることを特徴とする色素増感型太陽電池用電解質。
  13. 請求項7ないし12のいずれか1項において、該酸化還元性物質の担持量が該多孔質体に対して5〜90重量%であることを特徴とする色素増感型太陽電池用電解質。
  14. ホスファゼン系重合体に、酸化還元性物質を担持させてなることを特徴とする色素増感型太陽電池用電解質。
  15. 請求項14において、該ホスファゼン系重合体は、一般式(1):(RP=N−X(但し、一般式(1)において、Rは、一価の置換基又はハロゲン元素を表す。Xは、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、窒素、リン、酸素、及びイオウからなる群から選ばれる元素の少なくとも1種を含む有機基を表す。)で表される鎖状ホスファゼン誘導体を重合してなることを特徴とする色素増感型太陽電池用電解質。
  16. 請求項14において、該ホスファゼン系重合体は、一般式(2):(NPR (但し、一般式(2)において、Rは、一価の置換基又はハロゲン元素を表す。nは、2〜14を表す。)で表される環状ホスファゼン誘導体を重合してなることを特徴とする色素増感型太陽電池用電解質。
  17. 請求項14ないし16のいずれか1項において、該ホスファゼン系重合体の分子量が10万以上であることを特徴とする色素増感型太陽電池用電解質。
  18. 請求項14ないし17のいずれか1項において、該ホスファゼン系重合体に酸化還元性物質の溶液を含浸し乾燥することにより酸化還元性物質を担持させてなることを特徴とする色素増感型太陽電池用電解質。
  19. 請求項14ないし19のいずれか1項において、該酸化還元性物質の担持量が該ホスファゼン系重合体に対して5〜50重量%であることを特徴とする色素増感型太陽電池用電解質。
  20. 酸化還元性物質を担持させた、エチレン−酢酸ビニル系共重合樹脂フィルムよりなることを特徴とする色素増感型太陽電池用電解質。
  21. 請求項20において、該エチレン−酢酸ビニル系共重合樹脂フィルムは、架橋剤を含むものであることを特徴とする色素増感型太陽電池用電解質。
  22. 請求項20又は21において、該エチレン−酢酸ビニル系共重合樹脂の酢酸ビニル含有量が5〜50重量%であることを特徴とする色素増感型太陽電池用電解質。
  23. 請求項20ないし22のいずれか1項において、酸化還元性物質を含むエチレン−酢酸ビニル系共重合樹脂組成物を成膜してなることを特徴とする色素増感型太陽電池用電解質。
  24. 請求項20ないし22のいずれか1項において、該エチレン−酢酸ビニル系共重合樹脂フィルムに酸化還元性物質の溶液を含浸させて乾燥することにより酸化還元性物質を担持させてなることを特徴とする色素増感型太陽電池用電解質。
  25. 請求項1ないし24のいずれか1項において、該酸化還元性物質の担持量が該エチレン−酢酸ビニル系共重合樹脂に対して5〜50重量%であることを特徴とする色素増感型太陽電池用電解質。
  26. 色素増感型半導体電極と、この色素増感型半導体電極に対向して設けられた対電極と、該色素増感型半導体電極と対電極との間に配置された固体状電解質とを有する色素増感型太陽電池において、該固体状電解質が請求項1ないし25のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池用電解質であることを特徴とする色素増感型太陽電池。
  27. 基板上に酸化チタン薄膜を形成する工程を有する色素増感型太陽電池用電極の製造方法において、
    該酸化チタン薄膜をTiメタルターゲットを用いた反応性スパッタにより形成することを特徴とする色素増感型太陽電池用電極の製造方法。
  28. 請求項27において、酸素濃度の制御雰囲気における反応性スパッタにより、TiO(x<2)薄膜を形成することを特徴とする色素増感型太陽電池用電極の製造方法。
  29. 請求項28において、プラズマエミッションコントロールにより酸素濃度を制御することを特徴とする色素増感型太陽電池用電極の製造方法。
  30. 請求項28において、プラズマインピーダンスコントロールにより酸素濃度を制御することを特徴とする色素増感型太陽電池用電極の製造方法。
  31. 請求項27ないし30のいずれか1項において、デュアルカソードを用い、並設された2個のカソードに交互に電圧をかけることにより反応性スパッタを行うことを特徴とする色素増感型太陽電池用電極の製造方法。
  32. 請求項27ないし31のいずれか1項において、基板が有機樹脂フィルムであることを特徴とする色素増感型太陽電池用電極の製造方法。
  33. 請求項27ないし32のいずれか1項に記載の方法により製造された色素増感型太陽電池用電極。
  34. 有機樹脂フィルム上に、Tiメタルターゲットを用いた反応性スパッタにより形成された酸化チタン薄膜を有することを特徴とする色素増感型太陽電池用電極。
  35. 請求項33又は34において、酸化チタン薄膜がTiO(x<2)薄膜であることを特徴とする色素増感型太陽電池用電極。
  36. 表面に透明電極を有する透明基板、その透明電極上に形成された金属酸化物半導体膜及びその半導体膜表面に吸着した有機色素を含むからなる有機色素増感型金属酸化物半導体電極と、この電極に対向して設けられた対電極とからなり、さらに両電極間にレッドクス電解質が注入されてなる有機色素増感型太陽電池において、
    前記透明基板の透明電極の設けられていない側の表面に、反射防止膜が設けられていることを特徴とする有機色素増感型太陽電池。
  37. 表面に透明電極を有する透明基板、その透明電極上に形成された金属酸化物半導体膜及びその半導体膜表面に吸着した有機色素を含むからなる有機色素増感型金属酸化物半導体電極と、この電極に対向して設けられた対電極とからなり、さらに両電極間にレッドクス電解質が注入されてなる有機色素増感型太陽電池において、
    前記透明基板の透明電極の設けられていない側の表面に、接着剤層を介して反射防止膜を有する反射防止フィルムが設けられていることを特徴とする有機色素増感型太陽電池。
  38. 前記反射防止膜が、有機色素の吸光度が極大となる波長の反射率を低下させるものである請求項36又は37に記載の有機色素増感型太陽電池。
  39. 前記反射防止膜が、有機色素の吸光度が極大となる波長に反射率の極小を有する請求項36又は37に記載の有機色素増感型太陽電池。
  40. 前記反射防止フィルムが、透明ポリマーフィルムと、その上に設けられた反射防止膜からなる請求項37〜39のいずれかに記載の有機色素増感型太陽電池。
  41. 前記反射防止膜が、低屈折率透明無機薄膜と高屈折率透明無機薄膜とが上側からこの順で交互積層された無機積層膜である請求項36〜40のいずれかに記載の有機色素増感型太陽電池。
  42. 無機積層膜の最上層である低屈折率透明無機薄膜の代わりに、低屈折率透明有機薄膜が設けられている請求項41に記載の有機色素増感型太陽電池。
  43. 前記反射防止フィルムが、透明ポリマーフィルムと、その上に設けられた反射防止膜との間に紫外線カット層を有する請求項37〜42のいずれかに記載の有機色素増感型太陽電池。
  44. 前記高屈折率透明無機薄膜が、ITO(スズインジウム酸化物)又はZnO、或いはAlをドープしたZnO、TiO、SnO又はZrOからなる屈折率1.8以上の薄膜である請求項41〜43のいずれかに記載の有機色素増感型太陽電池。
  45. 前記低屈折率透明無機薄膜が、SiO、MgF又はAlからなる屈折率が1.6以下の薄膜である請求項41〜44のいずれかに記載の有機色素増感型太陽電池。
  46. 前記接着剤層が、エチレン/酢酸ビニル共重合体又は粘着性アクリル樹脂を含む請求項37〜45のいずれかに記載の有機色素増感型太陽電池。
  47. 金属酸化物半導体膜が気相成膜法により形成されている請求項37〜46に記載の有機色素増感型太陽電池。
  48. 気相成膜法が、物理蒸着法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法またはプラズマCVD法である請求項47に記載の有機色素増感型太陽電池。
  49. 気相成膜法が、対向2極ターゲット方式スパッタリング法又はデュアルカソード型スパッタリング法である請求項48に記載の有機色素増感型太陽電池。
  50. 気相成膜法が、反応性スパッタリング法である請求項48又は49に記載の有機色素増感型太陽電池。
  51. 金属酸化物半導体膜が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化ニオブ、酸化タングステン又は酸化インジウム、或いはこれらの金属酸化物に他の金属若しくは他の金属酸化物をドーピングしたものである請求項36〜50のいずれかに記載の有機色素増感型太陽電池。
  52. 金属酸化物半導体膜が、酸化チタンから形成されている請求項36〜51のいずれかに記載の有機色素増感型太陽電池。
  53. 金属酸化物半導体膜が、アナタース型酸化チタンから形成されている請求項52に記載の有機色素増感型太陽電池。
  54. 金属酸化物半導体膜の膜厚が、10nm以上である請求項36〜53のいずれかに記載の有機色素増感型太陽電池。
  55. 前記有機色素が、ルテニウム含有色素(ルテニウム・フェナントロリン、ルテニウム・ジケトナート)であり、反射防止膜が、300〜600nmの波長範囲において光の反射率が10%以下である請求項36〜54のいずれかに記載の有機色素増感型太陽電池。
  56. 前記有機色素が、クマリン誘導体色素であり、反射防止膜が、400〜600nmの波長範囲において光の反射率が10%以下である請求項36〜54のいずれかに記載の有機色素増感型太陽電池。
  57. 表面に透明電極を有する透明基板、その透明電極上に形成された金属酸化物半導体膜及びその半導体膜表面に吸着した有機色素からなる有機色素増感型金属酸化物半導体電極と、この電極に対向して設けられた対電極とからなり、さらに両電極間にレッドクス電解質が注入されてなる有機色素増感型太陽電池であって、
    該透明基板が透明有機ポリマー基板であり、且つ該対電極が、有機ポリマー基板上に設けられていることを特徴とする有機色素増感型太陽電池。
  58. 該対電極と有機ポリマー基板との間に、該透明電極が設けられていることを特徴とする請求項57に記載の有機色素増感型太陽電池。
  59. 対電極を有する有機ポリマー基板が、高反射率を有する請求項57又は58に記載の有機色素増感型太陽電池。
  60. 対電極を有する有機ポリマー基板が、模様及び/又は着色を有する請求項57〜59のいずれかに記載の有機色素増感型太陽電池。
  61. 対電極を有する有機ポリマー基板が、透明基板である請求項57〜60のいずれかに記載の有機色素増感型太陽電池。
  62. 透明有機ポリマー基板又は有機ポリマー基板の材料が、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート又はフッ素樹脂である請求項57〜61のいずれかに記載の有機色素増感型太陽電池。
  63. 金属酸化物半導体膜が、気相成膜法により形成されている請求項57〜62に記載の有機色素増感型太陽電池。
  64. 気相成膜法が、物理蒸着法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法またはプラズマCVD法である請求項63に記載の有機色素増感型太陽電池。
  65. 気相成膜法が、対向2極ターゲット方式スパッタリング法、デュアルカソード型スパッタリング法又は反応性スパッタリング法である請求項64に記載の有機色素増感型太陽電池。
  66. 金属酸化物半導体膜が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化ニオブ、酸化タングステン又は酸化インジウム、或いはこれらの金属酸化物に他の金属若しくは他の金属酸化物をドーピングしたものから形成されている請求項57〜65のいずれかに記載の有機色素増感型太陽電池。
  67. 金属酸化物半導体膜が、酸化チタンである請求項66に記載の有機色素増感型太陽電池。
  68. 金属酸化物半導体膜が、アナタース型酸化チタンである請求項67に記載の有機色素増感型太陽電池。
  69. 対電極を有する有機ポリマー基板の裏面に、接着剤層を介して離型フィルムは貼付されている請求項57〜68のいずれかに記載の有機色素増感型太陽電池。
  70. 接着剤層が、エチレン/酢酸ビニル共重合体又は粘着性アクリル樹脂を含む請求項69に記載の有機色素増感型太陽電池。
  71. 請求項57〜70のいずれかに記載の有機色素増感型太陽電池が、対電極を有する透明有機ポリマー基板の裏面を、接着剤層を介して基材の表面に貼付することにより接合されている建材。
  72. 基材が窓ガラスである請求項71に記載の建材。
  73. 基材が屋根材である請求項71に記載の建材。
  74. 表面に透明電極を有する基板上に、金属酸化物微粒子がバインダに分散されてなる塗布液を塗布し、乾燥して金属酸化物含有塗布層を形成し、次いで該金属酸化物含有塗布膜を紫外線照射処理してバインダを除去することにより表面積の大きな金属酸化物半導体膜を形成することを特徴とする金属酸化物半導体膜の形成方法。
  75. 紫外線照射処理に用いる紫外線の波長が、1〜400nmの範囲にある請求項74に記載の方法。
  76. 紫外線照射処理が、オゾン、酸素、フッ素原子含有化合物及び塩素原子含有化合物から選択される少なくとも1種のガスの存在下に行われる請求項74又は75に記載の方法。
  77. 金属酸化物半導体膜が、実質的に金属酸化物のみからなる膜である請求項74〜76のいずれかに記載の方法。
  78. 金属酸化物が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化ニオブ、酸化タングステン又は酸化インジウム、或いはこれらの金属酸化物に他の金属若しくは他の金属酸化物をドーピングしたものである請求項74〜77のいずれかに記載の方法。
  79. 金属酸化物が、酸化チタンである請求項78に記載の方法。
  80. 金属酸化物が、アナタース型酸化チタンである請求項79に記載の方法。
  81. 金属酸化物微粒子の一次粒径が、0.001〜5μmの範囲にある請求項74〜80のいずれかに記載の方法。
  82. 金属酸化物半導体膜が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化ニオブ、酸化タングステン又は酸化インジウム、或いはこれらの金属酸化物に他の金属若しくは他の金属酸化物をドーピングしたものである請求項74〜81のいずれかに記載の方法。
  83. 金属酸化物半導体膜が、酸化チタンである請求項82に記載の方法。
  84. 金属酸化物半導体膜が、アナタース型酸化チタンである請求項83に記載の方法。
  85. バインダが、有機ポリマーである請求項74〜84のいずれかに記載の方法。
  86. 金属酸化物半導体膜の膜厚が、10nm以上である請求項74〜85のいずれかに記載の方法。
  87. 請求項74〜86のいずれかに記載の方法により得られた表面に透明電極を有する基板及びその透明電極上に形成された金属酸化物半導体膜と、その半導体膜表面に吸着した有機色素とを含む有機色素増感型金属酸化物半導体電極。
  88. 請求項87に記載の有機色素増感型金属酸化物半導体電極と、この電極に対向して設けられた対電極とからなり、さらに両電極間にレッドクス電解質が注入されてなる有機色素増感型太陽電池。
  89. 基板の表面に、導電性金属酸化物微粒子がバインダに分散されてなる塗布液を塗布し、乾燥して導電性金属酸化物含有塗布膜を形成し、その後該導電性金属酸化物含有塗布膜からバインダを除去することにより塗布型透明電極膜を形成し、次いで該塗布型透明電極膜の上に導電性金属酸化物を気相成膜することにより気相型透明電極膜を形成することにより積層型透明電極を設けることを特徴とする透明電極の形成方法。
  90. 基板の表面に導電性金属酸化物を気相成膜することにより気相型透明電極膜を形成し、次いで該気相型透明電極膜上に、導電性金属酸化物微粒子がバインダに分散されてなる塗布液を塗布し、乾燥して導電性金属酸化物含有塗布膜を形成し、その後該導電性金属酸化物含有塗布膜からバインダを除去して塗布型透明電極膜を形成することことにより積層型透明電極を設けることを特徴とする透明電極の形成方法。
  91. バインダの除去が、プラズマ処理により行われる請求項89又は90に記載の方法。
  92. プラズマ処理が、高周波プラズマ、マイクロ波プラズマ又はこれらのハイブリッド型を用いて行われる請求項91に記載の方法。
  93. プラズマ処理が、酸素、フッ素及び塩素から選択される少なくとも1種のガスの存在下に行われる請求項91又は92に記載の方法。
  94. バインダの除去が、紫外線照射処理により行われる請求項89又は90に記載の方法。
  95. 紫外線照射処理に用いる紫外線の波長が、1〜400nmの範囲にある請求項94に記載の方法。
  96. 紫外線照射処理が、オゾン、酸素、フッ素原子含有化合物及び塩素原子含有化合物から選択される少なくとも1種のガスの存在下に行われる請求項94又は95に記載の方法。
  97. 導電性金属酸化物が、In:Sn(ITO)、SnO:Sb、SnO:F、ZnO:Al、SnO、ZnO:F、CdSnOから選択される少なくとも1種である請求項89〜96のいずれかに記載の方法。
  98. 塗布型透明電極膜が、実質的に導電性金属酸化物のみからなる膜である請求項89〜97のいずれかに記載の方法。
  99. 導電性金属酸化物微粒子の一次粒径が、0.001〜5μmの範囲にある請求項89〜98のいずれかに記載の方法。
  100. バインダが、ポリアルキレングリコールである請求項89〜99のいずれかに記載の方法。
  101. 気相型透明電極膜を形成するための気相成膜法が、物理蒸着法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法またはプラズマCVD法である請求項89〜100のいずれかに記載の方法。
  102. 気相型透明電極膜が、In:Sn(ITO)、SnO:Sb、SnO:F、ZnO:Al、SnO、ZnO:F、CdSnOから選択される少なくとも1種からなる膜である請求項89〜101のいずれかに記載の方法。
  103. 気相型透明電極膜の膜厚が、0.1〜100nmの範囲にある請求項89〜102のいずれかに記載の方法。
  104. 塗布型透明電極膜の膜厚が、10〜500nmの範囲にある請求項89〜103のいずれかに記載の方法。
  105. 請求項89〜104のいずれかに記載の方法に従い、基板表面に透明電極膜が形成されてなる透明電極基板。
  106. 請求項105に記載の透明電極基板の透明電極上に、気相成膜法により金属酸化物半導体膜を形成する工程を含む金属酸化物半導体膜の形成方法。
  107. 気相成膜の方法が、物理蒸着法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法またはプラズマCVD法である請求項106に記載の方法。
  108. 金属酸化物半導体膜が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化ニオブ、酸化タングステン又は酸化インジウム、或いはこれらの金属酸化物に他の金属若しくは他の金属酸化物をドーピングを気相成膜した膜である請求項106に記載の方法。
  109. 金属酸化物半導体膜が、酸化チタンの膜である請求項108に記載の方法。
  110. 金属酸化物半導体膜が、アナタース型酸化チタンの膜である請求項109に記載の方法。
  111. 請求項106〜110のいずれかに記載の方法により得られた表面に透明電極を有する基板、その透明電極上に形成された金属酸化物半導体膜、及びその半導体膜表面に吸着した有機色素とを含む有機色素増感型金属酸化物半導体電極。
  112. 請求項111に記載の有機色素増感型金属酸化物半導体電極と、この電極に対向して設けられた対電極とからなり、さらに両電極間にレッドクス電解質が注入されてなる有機色素増感型太陽電池。
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