JP2006236807A - 色素増感型太陽電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】 透光性基板側から入射した光を効率よく利用して変換効率を高めることができる色素増感型太陽電池を提供することを課題とする。
【解決手段】 本色素増感型太陽電池は基板11と、基板11の一面側に対向して配置された透光性基板2と、基板11の該一面側に配設された触媒電極32と、触媒電極32の上面に形成された光散乱層5と、透光性基板2の一面側に配設された増感色素を有する半導体電極4と、半導体電極4と触媒電極31との間に充填された電解質6と、を備え、上記光散乱層5は、光散乱粒子7を含有することを特徴とする。このような色素増感型太陽電池は、透光性基板2側から太陽電池内に入り半導体電極4を透過した光を、基板11側に設けた光散乱粒子7で散乱させて再度半導体電極4に向かわせ、半導体電極4に再び入射するため、光の利用効率を向上させることができる。
【選択図】 図3
【解決手段】 本色素増感型太陽電池は基板11と、基板11の一面側に対向して配置された透光性基板2と、基板11の該一面側に配設された触媒電極32と、触媒電極32の上面に形成された光散乱層5と、透光性基板2の一面側に配設された増感色素を有する半導体電極4と、半導体電極4と触媒電極31との間に充填された電解質6と、を備え、上記光散乱層5は、光散乱粒子7を含有することを特徴とする。このような色素増感型太陽電池は、透光性基板2側から太陽電池内に入り半導体電極4を透過した光を、基板11側に設けた光散乱粒子7で散乱させて再度半導体電極4に向かわせ、半導体電極4に再び入射するため、光の利用効率を向上させることができる。
【選択図】 図3
Description
本発明は、光エネルギーを電気エネルギーに直接変換する色素増感型太陽電池に関する。更に詳しくは、本発明は、入射した光を効率よく利用することができる色素増感型太陽電池に関する。
現在、太陽光発電では、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン及びこれらを組み合わせたHIT(Heterojunction with Intrinsic Thin-layer)等を用いた太陽電池が実用化され、主力技術となっている。これらの太陽電池では光電変換の効率も20%近くあり優れている。しかし、シリコン系太陽電池は素材製造にかかるエネルギーコストが高く、環境負荷などの面でも課題が多く、価格及び材料供給等における制限もある。一方、Gratzel等により提案された色素増感型太陽電池が安価な太陽電池として注目されている(例えば、非特許文献1及び特許文献1参照。)。この太陽電池は、増感色素を担持させたチタニア多孔質電極と対極との間に電解質を介在させた構造を有し、現行のシリコン系太陽電池に比べて光電変換効率は低いものの、材料、製法等の面で大幅なコストダウンが可能である。
しかし、この色素増感型太陽電池では、チタニア多孔質電極に入射された光がこの電極を透過し、入射光が十分有効に利用されないという問題がある。そこで、チタニア多孔質電極において光を散乱させ、入射光の利用効率を向上させる方法が検討されている。この方法として、光散乱性の異なる複数の層から成り、光の入射側に光散乱性の最も低い層が配される半導体微粒子膜を有する光電変換素子が知られている(例えば、特許文献2、5参照。)。また、入射光を散乱させる棒状等の金属酸化物粒子を含む光散乱層を有する半導体電極を備える色素増感型太陽電池が知られている(例えば、特許文献3参照。)。更に、色素を担持した光吸収粒子からなる光吸収層を備え、この光吸収層に光散乱粒子を含有させた色素増感型太陽電池が知られている(例えば、特許文献4参照。)。更に、半導体電極に粒子径の小さい粒子と大きい散乱粒子を混在させた色素増感型太陽電池が知られている(例えば、特許文献5参照。)。
しかし、対極で反射した光は、入射したときと同じ程度の距離で、太陽電池から出てしまうため、電気に有効に変換することができなかった。
しかし、対極で反射した光は、入射したときと同じ程度の距離で、太陽電池から出てしまうため、電気に有効に変換することができなかった。
Nature誌(第353巻、pp.737−740、1991年)
特開平1−220380号公報
特開2002−222968号公報
特開2002−289274号公報
特開2003−303629号公報
特開2003−59549号公報
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、透光性基板側から入射した光を効率よく利用して変換効率を高めることができる色素増感型太陽電池を提供することを目的とする。
本発明の色素増感型太陽電池は、以下の通りである。
1.基板11と、該基板11の一面側に対向して配置された透光性基板2と、該基板11の該一面側に配設された触媒電極31と、該透光性基板2の一面側に配設された増感色素を有する半導体電極4と、該半導体電極4の少なくとも一部に含有され、且つ該半導体電極4と該触媒電極31との間に充填された電解質6と、を備える色素増感型太陽電池において、該触媒電極31は、光散乱粒子7を含有することを特徴とする色素増感型太陽電池。
2.基板11と、該基板11の一面側に対向して配置された透光性基板2と、該基板11の該一面側に配設された触媒電極32と、該触媒電極32の上面に形成された光散乱層5と、該透光性基板2の一面側に配設された増感色素を有する半導体電極4と、該光散乱層5、及び該半導体電極4の少なくとも一部に含有され、且つ該半導体電極4と該触媒電極32との間に充填された電解質6と、を備える色素増感型太陽電池において、上記光散乱層5は、光散乱粒子7を含有することを特徴とする色素増感型太陽電池。
3.透光性を有する基板12と、該基板12の一面側に対向して配置された透光性基板2と、該基板12の該一面側に配設され透光性を具備する触媒電極32と、該基板12の他面側に配設された光散乱層5と、該透光性基板2の一面側に配設された増感色素を有し、半導体電極4と、該散乱層5、及び該半導体電極4の少なくとも一部に含有され、且つ該半導体電極4と該触媒電極32との間に充填された電解質6と、を備える色素増感型太陽電池において、上記光散乱層5は、光散乱粒子7を含有することを特徴とする色素増感型太陽電池。
4.透光性を有する基板12と、該基板12の一面側に対向して配置された透光性基板2と、該基板12の該一面側に配設された光散乱層5と、該光散乱層5上に形成され透光性を具備する触媒電極32と、該透光性基板2の一面側に配設された増感色素を有する半導体電極4と、該散乱層5、及び該半導体電極4の少なくとも一部に含有され、且つ該半導体電極4と該触媒電極32との間に充填された電解質6と、を備える色素増感型太陽電池において、上記光散乱層5は、光散乱粒子7を含有することを特徴とする色素増感型太陽電池。
5.上記光散乱粒子7の平均粒径が、上記半導体電極4の光吸収率が50%となる光波長の25〜75%の値である上記1.乃至4.のうちのいずれかに記載の色素増感型太陽電池。
6.上記光散乱粒子7は金属酸化物である上記1.乃至5.のうちのいずれかに記載の色素増感型太陽電池。
7.上記光散乱粒子7がチタニアからなる、またはチタニア及び/又はアルミナを含有する上記1.乃至6.のうちのいずれかに記載の色素増感型太陽電池。
1.基板11と、該基板11の一面側に対向して配置された透光性基板2と、該基板11の該一面側に配設された触媒電極31と、該透光性基板2の一面側に配設された増感色素を有する半導体電極4と、該半導体電極4の少なくとも一部に含有され、且つ該半導体電極4と該触媒電極31との間に充填された電解質6と、を備える色素増感型太陽電池において、該触媒電極31は、光散乱粒子7を含有することを特徴とする色素増感型太陽電池。
2.基板11と、該基板11の一面側に対向して配置された透光性基板2と、該基板11の該一面側に配設された触媒電極32と、該触媒電極32の上面に形成された光散乱層5と、該透光性基板2の一面側に配設された増感色素を有する半導体電極4と、該光散乱層5、及び該半導体電極4の少なくとも一部に含有され、且つ該半導体電極4と該触媒電極32との間に充填された電解質6と、を備える色素増感型太陽電池において、上記光散乱層5は、光散乱粒子7を含有することを特徴とする色素増感型太陽電池。
3.透光性を有する基板12と、該基板12の一面側に対向して配置された透光性基板2と、該基板12の該一面側に配設され透光性を具備する触媒電極32と、該基板12の他面側に配設された光散乱層5と、該透光性基板2の一面側に配設された増感色素を有し、半導体電極4と、該散乱層5、及び該半導体電極4の少なくとも一部に含有され、且つ該半導体電極4と該触媒電極32との間に充填された電解質6と、を備える色素増感型太陽電池において、上記光散乱層5は、光散乱粒子7を含有することを特徴とする色素増感型太陽電池。
4.透光性を有する基板12と、該基板12の一面側に対向して配置された透光性基板2と、該基板12の該一面側に配設された光散乱層5と、該光散乱層5上に形成され透光性を具備する触媒電極32と、該透光性基板2の一面側に配設された増感色素を有する半導体電極4と、該散乱層5、及び該半導体電極4の少なくとも一部に含有され、且つ該半導体電極4と該触媒電極32との間に充填された電解質6と、を備える色素増感型太陽電池において、上記光散乱層5は、光散乱粒子7を含有することを特徴とする色素増感型太陽電池。
5.上記光散乱粒子7の平均粒径が、上記半導体電極4の光吸収率が50%となる光波長の25〜75%の値である上記1.乃至4.のうちのいずれかに記載の色素増感型太陽電池。
6.上記光散乱粒子7は金属酸化物である上記1.乃至5.のうちのいずれかに記載の色素増感型太陽電池。
7.上記光散乱粒子7がチタニアからなる、またはチタニア及び/又はアルミナを含有する上記1.乃至6.のうちのいずれかに記載の色素増感型太陽電池。
本各発明の色素増感型太陽電池によれば、透光性基板2側から色素増感型太陽電池内に入り半導体電極4を透過した光を、基板11、12側に設けた光散乱粒子7で散乱させて再度半導体電極4に向かわせることができる。この散乱光が半導体電極4に再び入射して光起電力が発生するため、光の利用効率を向上させることができる。また、散乱によって入射角度と異なる角度で色素増感型太陽電池内を進むため、半導体電極4を通過するために必要な距離が増える光が増え、より光の利用効率を向上させることができる。
更に、光散乱粒子7の平均粒径が、半導体電極4の光吸収率が50%となる光波長の25〜75%の値である場合は、散乱光を更に効率よく利用することができ、入射光の利用効率が特に高い色素増感型太陽電池とすることができる。
また、光散乱粒子7を金属酸化物、特にチタニアからなる、またはチタニア及び/又はアルミナを含有する場合は、基板11、12との密着性を特に高めることができ、耐久性に優れた変換効率の高い色素増感型太陽電池とすることができる。
また、光散乱粒子7を金属酸化物、特にチタニアからなる、またはチタニア及び/又はアルミナを含有する場合は、基板11、12との密着性を特に高めることができ、耐久性に優れた変換効率の高い色素増感型太陽電池とすることができる。
以下、図1〜6を例にして本発明の色素増感型太陽電池を詳細に説明する。
上記「基板11、12」は、透光性を有していてもよいし、透光性を有していなくてもよい。透光性を有していない基板11は、例えばセラミックスにより形成することができる。セラミック基板は強度が大きく、この基板が支持基板となって優れた耐久性を有する色素増感型太陽電池とすることができる。セラミック基板の形成に用いられるセラミックは特に限定されず、酸化物系セラミック、窒化物系セラミック及び炭化物系セラミック等の各種セラミックスを用いることができる。酸化物系セラミックとしては、アルミナ、ムライト、ジルコニア等が挙げられる。また、窒化物系セラミックとしては、窒化ケイ素、サイアロン、窒化チタン、窒化アルミニウム等が挙げられる。更に、炭化物系セラミックとしては、炭化ケイ素、炭化チタン、炭化アルミニウム等が挙げられる。セラミックスとしては、アルミナ、窒化ケイ素、ジルコニア等が好ましく、アルミナが特に好ましい。
上記「基板11、12」は、透光性を有していてもよいし、透光性を有していなくてもよい。透光性を有していない基板11は、例えばセラミックスにより形成することができる。セラミック基板は強度が大きく、この基板が支持基板となって優れた耐久性を有する色素増感型太陽電池とすることができる。セラミック基板の形成に用いられるセラミックは特に限定されず、酸化物系セラミック、窒化物系セラミック及び炭化物系セラミック等の各種セラミックスを用いることができる。酸化物系セラミックとしては、アルミナ、ムライト、ジルコニア等が挙げられる。また、窒化物系セラミックとしては、窒化ケイ素、サイアロン、窒化チタン、窒化アルミニウム等が挙げられる。更に、炭化物系セラミックとしては、炭化ケイ素、炭化チタン、炭化アルミニウム等が挙げられる。セラミックスとしては、アルミナ、窒化ケイ素、ジルコニア等が好ましく、アルミナが特に好ましい。
基板11がセラミックスからなる場合、その厚さは特に限定されないが、100μm〜5mmとすることができ、300μm〜4mm、特に500μm〜2mm、更に700μm〜1.5mmとすることができる。セラミック基板の厚さが100μm〜5mm、特に500μm以上であれば、この強度の大きい基板が支持基板となり、優れた耐久性を有する色素増感型太陽電池とすることができる。
透光性を有する基板12は、ガラス及び樹脂シート等を用いて形成することができる。この基板12が樹脂シートからなるとき、この樹脂シートの形成に用いる樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリエチリデンノルボルネン等の各種の熱可塑性樹脂が挙げられる。基板12の厚さは材質によっても異なり、特に限定されないが、透光性の指標である下記の透過率が60〜99%、特に85〜99%となる厚さであることが好ましい。
ここでいう透光性とは、波長400〜900nmの可視光の透過率が10%以上であることを意味する。この透過率は60%以上、特に85%以上であることが好ましい。以下、透光性の意味及び好ましい透過率はすべて同様である。
透過率(%)=(透過した光量/入射した光量)×100
ここでいう透光性とは、波長400〜900nmの可視光の透過率が10%以上であることを意味する。この透過率は60%以上、特に85%以上であることが好ましい。以下、透光性の意味及び好ましい透過率はすべて同様である。
透過率(%)=(透過した光量/入射した光量)×100
基板11、12に対向して配置される上記「透光性基板2」としては、上記透光性を有する基板12と同様にガラス、樹脂シート等からなる基板が挙げられる。樹脂シートは特に限定されず、上記の各種の樹脂からなるシートが挙げられる。
基板11、12は、ガラス、樹脂及びセラミックス等により形成することができ、透光性基板2は、ガラス及び樹脂等により形成することができるが、基板11、12側からの入射光が望めない場合、基板11はセラミック基板であり、透光性基板2はガラス基板であることが好ましい。また、基板11はアルミナ、窒化ケイ素、ジルコニア等からなるセラミック基板であり、透光性基板2はガラス基板であることがより好ましく、基板11はアルミナ基板であり、透光性基板2はガラス基板であることが特に好ましい(図1及び図3参照)。
透光性基板2の厚さは材質によっても異なり、特に限定されないが、上記の透過率が60〜99%、特に85〜99%となる厚さであることが好ましい。
基板11、12は、ガラス、樹脂及びセラミックス等により形成することができ、透光性基板2は、ガラス及び樹脂等により形成することができるが、基板11、12側からの入射光が望めない場合、基板11はセラミック基板であり、透光性基板2はガラス基板であることが好ましい。また、基板11はアルミナ、窒化ケイ素、ジルコニア等からなるセラミック基板であり、透光性基板2はガラス基板であることがより好ましく、基板11はアルミナ基板であり、透光性基板2はガラス基板であることが特に好ましい(図1及び図3参照)。
透光性基板2の厚さは材質によっても異なり、特に限定されないが、上記の透過率が60〜99%、特に85〜99%となる厚さであることが好ましい。
上記「触媒電極31、32」は、基板11、12の一面側に配設される(図1及び図3〜4参照)。この触媒電極31、32は、触媒活性を有する物質、又は触媒活性を有する物質を含有する、金属、後記の透光性導電膜等の形成に用いられる導電性酸化物及び導電性高分子のうちの少なくとも1種により形成することができる。触媒活性を有する物質としては、白金、金、ロジウム等の貴金属(但し、銀は電解質等に対する耐腐食性が低いため好ましくない。以下、電解質等が接触し得る部分には同様に銀は好ましくない。)、カーボンブラック等が挙げられ、これらは併せて導電性を有する。触媒電極31、32は、触媒活性を有し、且つ電気化学的に安定な貴金属により形成することが好ましく、触媒活性が高く、電解質に対する耐腐食性が高い白金を用いることが特に好ましい。
触媒活性を有さない、金属、導電性酸化物及び導電性高分子等を用いる場合、触媒電極31、32に混合されて用いられる金属としては、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル及びタングステン等が挙げられる。更に、触媒電極31、32に混合されて用いられる導電性高分子としては、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン等が挙げられる。更に、この導電性高分子としては、導電性を有さない樹脂に各種の導電性物質を配合して調製したものが挙げられる。この導電性を有さない樹脂は特に限定されず、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でもよい。熱可塑性樹脂としては、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド、ポリオレフィン及びポリ塩化ビニル等が挙げられる。更に、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリエステル樹脂及びフェノール樹脂等が挙げられる。また、導電性物質も特に限定されず、カーボンブラック、アルミニウム、ニッケル、クロム及びタングステン等の金属、ポリアニリン、ポリピロール及びポリアセチレン等の導電性ポリマーなどが挙げられる。導電性物質としては、導電性と触媒活性とを併せて有する貴金属及びカーボンブラックが特に好ましい。導電性物質は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
触媒活性を有さない、金属、導電性酸化物及び導電性高分子等を用いる場合、上記の触媒活性を有する物質の含有量は、金属、導電性酸化物、導電性高分子等を100質量部(以下、「部」という。)とした場合に、1〜99部、特に50〜99部であることが好ましい。
触媒活性を有さない、金属、導電性酸化物及び導電性高分子等を用いる場合、上記の触媒活性を有する物質の含有量は、金属、導電性酸化物、導電性高分子等を100質量部(以下、「部」という。)とした場合に、1〜99部、特に50〜99部であることが好ましい。
このように、触媒電極31、32は、導電性及び触媒活性を有する物質により形成することができる。また、触媒活性を有する物質を含有する、金属、導電性酸化物及び導電性高分子のうちの少なくとも1種により形成することもできる。更に、触媒電極31、32は、1種の材料のみからなる層でもよく、2種以上の材料からなる混合層でもよい。また、触媒電極31、32は、単層でもよく、金属層、導電性酸化物層、導電性高分子層、並びに金属、導電性酸化物及び導電性高分子のうちの2種以上からなる混合層のうちの2層以上からなる多層の触媒電極でもよい。この触媒電極31、32の厚さは特に限定されないが、単層及び多層のいずれの場合も、3nm〜10μm、特に3nm〜2μmとすることができる。触媒電極31、32の厚さが3nm〜10μmであれば、十分に抵抗の低い触媒電極31、32とすることができる。
触媒活性を有する物質からなる触媒電極31、32は、触媒活性を有する物質の微粒子を含有するペーストを、基板11、12等の表面に塗布して形成することができる。また、触媒活性を有する物質を含有する金属、導電性酸化物からなる触媒電極31、32も、触媒活性を有する物質の場合と同様の方法により形成することができる。この塗布方法としては、スクリーン印刷法、ドクターブレード法、スキージ法、スピンコート法等の各種の方法が挙げられる。更に、これらの触媒電極31、32は、スパッタリング法、蒸着法、イオンプレーティング法等により、基板11、12等の表面に金属等を堆積させて形成することもできる。
また、触媒活性を有する物質を含有する導電性高分子からなる触媒電極31、32は、導電性高分子と、粉末状又は繊維状等の触媒活性を有する物質とを、バンバリーミキサ、インターナルミキサー、オープンロール等の装置により混練して調製した樹脂組成物をフィルムに成形し、このフィルムを基板11、12等の表面に接合して形成することもできる。更に、樹脂組成物を溶媒に溶解又は分散させて調製した溶液又は分散液を基板11、12等の表面に塗布し、乾燥して、溶媒を除去し、必要に応じて加熱して形成することもできる。尚、触媒電極31、32が混合層であるときは、含有される材料の種類に応じて、上記の各種の方法等のうちの適宜の方法により形成することができる。
上記「半導体電極4」は、透光性基板2の一面側に配設される(図1及び図3〜5参照)。この半導体電極4を構成する半導体電極基体は、金属酸化物、金属硫化物等により形成することができる。金属酸化物としては、チタニア、酸化スズ、酸化亜鉛、五酸化二ニオブ等の酸化ニオブ、酸化タンタル及びジルコニア等が挙げられる。また、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム及びチタン酸バリウム等の複酸化物を用いることもできる。更に、金属硫化物としては、硫化亜鉛、硫化鉛及び硫化ビスマス等が挙げられる。
半導体電極基体の作製方法は特に限定されず、例えば、金属酸化物、金属硫化物等の半導体微粒子を含有するペーストを、透光性基板2等の表面に塗布して未焼成半導体電極基体を形成し、その後、焼成することにより作製することができる。ペーストの塗布方法も特に限定されず、スクリーン印刷法、ドクターブレード法、スキージ法、スピンコート法等が挙げられる。このようにして作製された半導体電極基体は半導体微粒子が集合してなる集合体の形態で形成される。
また、半導体電極基体は、透光性基板2等の表面に、金属酸化物、金属硫化物等の半導体微粒子及び少量の有機高分子等が分散されたコロイド溶液を塗布して未焼成半導体電極基体を形成し、その後、乾燥し、次いで、加熱して有機高分子を分解させて除去する等の工程により作製することもできる。このコロイド溶液も、スクリーン印刷法、ドクターブレード法、スキージ法、スピンコート法等の各種の方法により塗布することができる。この方法により作製した半導体電極基体も半導体微粒子が集合してなる集合体の形態で形成される。
半導体電極4の厚さは特に限定されないが、0.1〜100μmとすることができ、1〜50μm、特に2〜40μm、更に5〜30μmとすることが好ましい。この半導体電極4の厚さが0.1〜100μmであれば、光電変換が十分になされ、発電効率が向上する。また、半導体電極4は、その強度並びに透光性基板2等との密着性を向上させるため熱処理することが好ましい。熱処理の温度及び時間は特に限定されないが、熱処理温度は40〜700℃、特に100〜500℃、熱処理時間は10分〜10時間、特に20分〜5時間とすることが好ましい。尚、透光性基板2として樹脂シートを用いるときは、樹脂が熱劣化しないように適温で熱処理することが好ましい。
半導体電極4が有する上記「増感色素」としては、光電変換の作用を向上させる錯体色素及び有機色素を用いることができる。錯体色素としては金属錯体色素が挙げられ、有機色素としてはポリメチン色素、メロシアニン色素等が挙げられる。金属錯体色素としてはルテニウム錯体色素及びオスミウム錯体色素等が挙げられ、ルテニウム錯体色素が特に好ましい。更に、光電変換がなされる波長域を拡大し、光電変換効率を向上させるため、増感作用が発現される波長域の異なる2種以上の増感色素を併用することもできる。この場合、照射される光の波長域と強度分布とによって併用する増感色素の種類及びそれらの量比を設定することが好ましい。また、増感色素は半導体電極4に結合するための官能基を有することが好ましい。この官能基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、シアノ基等が挙げられる。
半導体電極基体に増感色素を付着させる方法は特に限定されず、例えば、増感色素を有機溶媒に溶解させた溶液に半導体電極基体を浸漬し、溶液を含侵させ、その後、有機溶媒を除去することにより付着させることができる。また、この溶液を、半導体電極基体に塗布し、その後、有機溶媒を除去することにより付着させることもできる。この塗布方法としては、ワイヤーバー法、スライドホッパー法、エクストルージョン法、カーテンコート法、スピンコート法、スプレーコート法等が挙げられる。更に、この溶液は、オフセット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷等の印刷法により塗布することもできる。
増感色素の付着量は半導体電極1gに対して0.01〜1ミリモル、特に0.5〜1ミリモルであることが好ましい。付着量が0.01〜1ミリモルであれば、半導体電極における光電変換が効率よくなされる。また、半導体電極に付着しなかった増感色素が電極周辺に遊離していると、変換効率が低下することがある。そのため、増感色素を付着させる処理の後、半導体電極を洗浄して余剰の増感色素を除去することが好ましい。この除去は、洗浄槽を用いてアセトニトリル等の極性溶媒及びアルコール系溶媒などの有機溶媒で洗浄することにより行うことができる。また、電極基体に多くの増感色素を付着させるためには、半導体電極を加熱して、浸漬、塗布等の処理を行うことが好ましい。この場合、半導体電極の表面に水が吸着するのを避けるため、加熱後、常温に降温させることなく40〜80℃で速やかに処理することが好ましい。
上記「電解質6」は、半導体電極4の少なくとも一部に含有され、且つ半導体電極4と触媒電極31、32との間に充填される。電解質6は、通常、半導体電極4の全体に含有され、また、半導体電極4と触媒電極31、32との間の全体に充填される。
電解質としては、(1)I2とヨウ化物、(2)Br2と臭化物、(3)フェロシアン酸塩−フェリシアン酸塩、フェロセン−フェリシニウムイオン等の金属錯体、(4)ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール−アルキルジスルフィド等のイオウ化合物、(5)ビオロゲン色素、(6)ヒドロキノン−キノン、などを含有する電解質が挙げられる。(1)におけるヨウ化物としては、LiI、NaI、KI、CsI、CaI2等の金属ヨウ化物、及びテトラアルキルアンモニウムヨーダイド、ピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイド等の4級アンモニウム化合物のヨウ素塩などが挙げられる。また、(2)における臭化物としては、LiBr、NaBr、KBr、CsBr、CaBr2等の金属臭化物、及びテトラアルキルアンモニウムブロマイド、ピリジニウムブロマイド等の4級アンモニウム化合物の臭素塩などが挙げられる。これらの電解質のうちでは、I2と、LiI及びピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイド等の4級アンモニウム化合物のヨウ素塩と、を組み合わせてなる電解質が特に好ましい。これらの電解質は1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
電解質としては、(1)I2とヨウ化物、(2)Br2と臭化物、(3)フェロシアン酸塩−フェリシアン酸塩、フェロセン−フェリシニウムイオン等の金属錯体、(4)ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール−アルキルジスルフィド等のイオウ化合物、(5)ビオロゲン色素、(6)ヒドロキノン−キノン、などを含有する電解質が挙げられる。(1)におけるヨウ化物としては、LiI、NaI、KI、CsI、CaI2等の金属ヨウ化物、及びテトラアルキルアンモニウムヨーダイド、ピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイド等の4級アンモニウム化合物のヨウ素塩などが挙げられる。また、(2)における臭化物としては、LiBr、NaBr、KBr、CsBr、CaBr2等の金属臭化物、及びテトラアルキルアンモニウムブロマイド、ピリジニウムブロマイド等の4級アンモニウム化合物の臭素塩などが挙げられる。これらの電解質のうちでは、I2と、LiI及びピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイド等の4級アンモニウム化合物のヨウ素塩と、を組み合わせてなる電解質が特に好ましい。これらの電解質は1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
電解質6は、各種の添加剤等とともに溶媒に配合し、電解質溶液として用いることができる。この溶媒は、粘度が低く、イオン易動度が高く、十分なイオン伝導性を有するものであることが好ましい。このような溶媒としては、(1)エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート類、(2)3−メチル−2−オキサゾリジノン等の複素環化合物、(3)ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル類、(4)エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル等の鎖状エーテル類、(5)メタノール、エタノール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル等のモノアルコール類、(6)エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類、(7)アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類、(8)ジメチルスルフォキシド、スルフォラン等の非プロトン極性物質などが挙げられる。これらの溶媒は1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
更に、電解質6として常温溶融塩を用いることができる。この場合は、溶媒を用いて電解質溶液とすることができる。また、電解質を単独で用いることもできる。この常温溶融塩としては、ヨウ化物の常温溶融塩を用いることができる。このヨウ化物の常温溶融塩としては、イミダゾリウム塩、ピリジニウム塩、ピロリジニウム塩、ピラゾリジウム塩、イソチアゾリジニウム塩及びイソオキサゾリジニウム塩等の各種の常温溶融塩が挙げられる。ヨウ化物の常温溶融塩のうちではイミダゾリウム塩が好ましい。これらの常温溶融塩は種類の異なる2種以上を併用することもできる。
電解質溶液を用いる場合、この溶液は、基板11、12と透光性基板2との間を、半導体電極4等の周囲において樹脂又はガラスにより封着し、形成される空間に電解質溶液を注入し、含有させ、充填させることができる。この空間への電解質溶液の注入は、基板11、12の側からでも、透光性基板2の側からでもよく、穿孔し易い側に注入口を設け、この注入口から注入することが好ましい。尚、注入口は1個でよいが、空気抜きのため更に他の孔を設けることもできる。このように空気抜きのための孔を設けることで、電解質溶液をより容易に注入することができる。
上記「光散乱粒子7」としては、光発電に用いることができる波長の光を散乱させることができる任意の粒子を用いることができる。この粒子としては、金属酸化物等からなるものが挙げられる。金属酸化物としては、チタニア、酸化スズ、酸化亜鉛、五酸化二ニオブ等の酸化ニオブ、酸化タンタル及びジルコニア等が挙げられる。これらを用いる場合は、基板11、12との密着性を特に高めることができ、耐久性に優れた変換効率の高い色素増感型太陽電池とすることができる。また、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム及びチタン酸バリウム等の複酸化物を用いることもできる。
基板11、12に、上記の金属酸化物及び金属硫化物等からなる異質の粒子である光散乱粒子7を含有する層を設けることによって光が散乱される。光散乱粒子7の粒径は特に限定されないが、その平均粒径は、半導体電極4の光吸収率が50%となる光波長(例えば、図2におけるA及びBの波長)の25〜75%の値であることが好ましい。光散乱粒子7の平均粒径は、半導体電極4の光吸収率が50%となる光波長の30〜70%、特に35〜65%、更に40〜60%の値であることがより好ましく、45〜55%、特に50%前後(例えば、48〜52%)であることが更に好ましい。半導体電極4の光吸収率が50%となる波長の光は透過光も多いが、この透過光の多くを散乱させて再び半導体電極4に入射させれば、この入射された光の50%程度が吸収され、全体としての光の利用効率を向上させることができる。
また、光散乱粒子7の平均粒径は、散乱粒子はその粒径の2倍長の波長の光を散乱することから、200〜450nmが好ましい。
基板11、12に、上記の金属酸化物及び金属硫化物等からなる異質の粒子である光散乱粒子7を含有する層を設けることによって光が散乱される。光散乱粒子7の粒径は特に限定されないが、その平均粒径は、半導体電極4の光吸収率が50%となる光波長(例えば、図2におけるA及びBの波長)の25〜75%の値であることが好ましい。光散乱粒子7の平均粒径は、半導体電極4の光吸収率が50%となる光波長の30〜70%、特に35〜65%、更に40〜60%の値であることがより好ましく、45〜55%、特に50%前後(例えば、48〜52%)であることが更に好ましい。半導体電極4の光吸収率が50%となる波長の光は透過光も多いが、この透過光の多くを散乱させて再び半導体電極4に入射させれば、この入射された光の50%程度が吸収され、全体としての光の利用効率を向上させることができる。
また、光散乱粒子7の平均粒径は、散乱粒子はその粒径の2倍長の波長の光を散乱することから、200〜450nmが好ましい。
上記光散乱粒子7を含有する層は、少なくとも基板11、12側に配設されていれば良く、その形態は特に問わない。この例として、(1)触媒電極31に光散乱粒子7を含有する(例えば図1を参照。)、(2)触媒電極32の半導体電極4と対向する面上に形成された光散乱層5に含有する(例えば図3を参照。)、(3)透光性を有する基板12の外側の面に形成された光散乱層5に含有する(例えば図4を参照。)等を挙げることができる。また、半導体電極4に光散乱粒子7が含有されていてもかまわない。更に、透光性基板2側に光散乱層5が形成しても良い。また、透光性を有する基板12に光散乱粒子7が含有されていてもかまわない。更に、上記光散乱粒子7を含有する層は、(4)透光性を有する基板12と透光性を具備する半導体電極4との間に形成された光散乱層5に含有してもよい(例えば図5を参照。)。
上記「光散乱層」は、光散乱粒子7が含有する任意の層であれば良く、任意の方法で形成することができる。この例として、スクリーン印刷法、スキージ法、ゾルゲル法、スパッタ法、CVD法、電気泳動法等を用いて形成することを挙げることができる。また、非透光性の基板11上、又は透光性の基板12の任意の面に光反射層を設けることもできる。
尚、色素増感型太陽電池は、触媒電極31、32及び半導体電極4に隣接して設けられる集電電極8を設けることができる(例えば図1を参照。)。集電電極8を設けることで、触媒電極31、32及び半導体電極4の導電性の低さを補い、電池の内部抵抗を低くすることができる。この集電電極8は、格子状等の任意のパターンからなる金属及び炭素等の導電体、透光性導電膜、並びに導電体及び透光性導電膜を用いたもの等を例示することができる。
透光性導電膜の材質は特に限定されず、導電性酸化物からなる薄膜、金属薄膜、炭素薄膜等が挙げられる。導電性酸化物としては、酸化スズ、フッ素ドープ酸化スズ、酸化インジウム、スズドープ酸化インジウム及び酸化亜鉛等が挙げられる。また、金属としては、白金、金、銅、アルミニウム、ロジウム及びインジウム等が挙げられる。この透光性導電膜の厚さは材質によっても異なり、特に限定されないが、表面抵抗が100Ω/cm2以下、特に1〜10Ω/cm2となる厚さであることが好ましい。
透光性導電膜の材質は特に限定されず、導電性酸化物からなる薄膜、金属薄膜、炭素薄膜等が挙げられる。導電性酸化物としては、酸化スズ、フッ素ドープ酸化スズ、酸化インジウム、スズドープ酸化インジウム及び酸化亜鉛等が挙げられる。また、金属としては、白金、金、銅、アルミニウム、ロジウム及びインジウム等が挙げられる。この透光性導電膜の厚さは材質によっても異なり、特に限定されないが、表面抵抗が100Ω/cm2以下、特に1〜10Ω/cm2となる厚さであることが好ましい。
透光性導電膜の形成方法は特に限定されず、例えば金属、導電性酸化物等の微粒子を含有するペーストを、基板11、12及び/又は透光性基板2の表面に塗布して形成することができる。この塗布方法としては、ドクターブレード法、スキージ法、スピンコート法等の各種の方法が挙げられる。また、透光性導電膜は、金属、導電性酸化物等を用いたスパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等により形成することもできる。
本発明の色素増感型太陽電池の製造方法は特に限定されず、例えば、(1)基板11、12の一面側に光散乱粒子7を含有する触媒電極31、若しくは触媒電極32及び光散乱層5を形成し、透光性基板2の一面側に半導体電極4を形成し、その後、触媒電極31、32と半導体電極4とを対向させ、且つ触媒電極31、32と半導体電極4との間を、樹脂等からなる絶縁枠を介在させること等により離間させた状態で、触媒電極31、32等を取り囲む接合層9を形成し、次いで、半導体電極4の少なくとも一部等に電解質6を含有させる方法が挙げられる。
また、(2)基板11、12の一面側に、光散乱粒子7を含有する触媒電極31及び半導体電極4、若しくは触媒電極32、光散乱層5及び半導体電極4が積層された状態に形成し、その後、触媒電極31、32等を取り囲む接合層9を形成し、次いで、半導体電極4の少なくとも一部等に電解質6を含有させる方法が挙げられる。
また、(2)基板11、12の一面側に、光散乱粒子7を含有する触媒電極31及び半導体電極4、若しくは触媒電極32、光散乱層5及び半導体電極4が積層された状態に形成し、その後、触媒電極31、32等を取り囲む接合層9を形成し、次いで、半導体電極4の少なくとも一部等に電解質6を含有させる方法が挙げられる。
以下、実施例により本発明の色素増感型太陽電池を具体的に説明する。
[1]色素増感型太陽電池の作製
実施例1
本実施例1は図3に示すように、触媒電極32上に光散乱層5が形成された色素増感型太陽電池である。
(1)光散乱層5を設けた基板11の作製
集電電極8となる透明導電膜が一面側に形成されたガラス板製基板11の透明導電膜上に、触媒となる白金ペースト(Solaronix社製、Pt-Catalyst TSP)を200nm厚でスクリーン印刷法によって塗布した。次いで、光散乱粒子7となる酸化チタンペースト(Solaronix社製、商品名;Ti-Nanoxide 300)をスクリーン印刷法によって塗布した。その後マッフル炉で500℃30分間焼成して光散乱層5及び触媒電極32を形成した。
[1]色素増感型太陽電池の作製
実施例1
本実施例1は図3に示すように、触媒電極32上に光散乱層5が形成された色素増感型太陽電池である。
(1)光散乱層5を設けた基板11の作製
集電電極8となる透明導電膜が一面側に形成されたガラス板製基板11の透明導電膜上に、触媒となる白金ペースト(Solaronix社製、Pt-Catalyst TSP)を200nm厚でスクリーン印刷法によって塗布した。次いで、光散乱粒子7となる酸化チタンペースト(Solaronix社製、商品名;Ti-Nanoxide 300)をスクリーン印刷法によって塗布した。その後マッフル炉で500℃30分間焼成して光散乱層5及び触媒電極32を形成した。
(2)半導体電極4を設けた透光性基板2の作製
集電電極8となる透明導電膜が一面側に形成されたガラス板製基板2の透明導電膜上に、粒径が10〜300μmのチタニア粒子を含有するペースト(Ti-Nanoxide D/SP 13um/300um)をスクリーン印刷法によって塗布した後、120℃、30分乾燥して未焼成半導体電極基体を形成した。その後マッフル炉で500℃30分間焼成した。
次いで、氷冷した水に塩化チタン(IV)を溶解させた0.05M塩化チタン水溶液を未焼成半導体電極基体上に垂らし、水蒸気飽和させた密閉容器中で70℃、30分間の加熱をおこなった。その後、このチタニア電極を蒸留水で洗浄し、チタニア電極をマッフル炉で500℃30分間焼成した。
その後、ルテニウム有機錯体([Ru2,2bipyridil-4,4-dicarboxylate(TBA)2(NCS)2])をアセトニトリル・t-ブタノール混合溶媒に溶解させ、5×10−4Mアセトニトリル・t-ブタノール溶液を調製した。この溶液に、半導体電極基体を18時間浸漬し、電極表面に増感色素となるルテニウム錯体を担持させ、半導体電極4を積層した透光性基板2を作製した。
集電電極8となる透明導電膜が一面側に形成されたガラス板製基板2の透明導電膜上に、粒径が10〜300μmのチタニア粒子を含有するペースト(Ti-Nanoxide D/SP 13um/300um)をスクリーン印刷法によって塗布した後、120℃、30分乾燥して未焼成半導体電極基体を形成した。その後マッフル炉で500℃30分間焼成した。
次いで、氷冷した水に塩化チタン(IV)を溶解させた0.05M塩化チタン水溶液を未焼成半導体電極基体上に垂らし、水蒸気飽和させた密閉容器中で70℃、30分間の加熱をおこなった。その後、このチタニア電極を蒸留水で洗浄し、チタニア電極をマッフル炉で500℃30分間焼成した。
その後、ルテニウム有機錯体([Ru2,2bipyridil-4,4-dicarboxylate(TBA)2(NCS)2])をアセトニトリル・t-ブタノール混合溶媒に溶解させ、5×10−4Mアセトニトリル・t-ブタノール溶液を調製した。この溶液に、半導体電極基体を18時間浸漬し、電極表面に増感色素となるルテニウム錯体を担持させ、半導体電極4を積層した透光性基板2を作製した。
(3)基板11及び透光性基板2の接合
その後、基板11及び透光性基板2を図3に示すように、間に接合層9となるスペーサ(三井デュポンポリケミカル社製、商品名;ハイミラン1702)を挟んで対向させ、これらによって形成される空間にヨウ素電解液を注入口から注入した。次いで接着剤を充填して注入口を封止し、図3に示す本色素増感型太陽電池102を作製した。
尚、ヨウ素電解液は、ブチロニトリルに、0.1モルのヨウ化リチウム、0.05モルのヨウ素、0.5モルの4−tert−ブチルピリジン及び0.6モルの1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムヨーダイドを溶解させたものを用いた。
その後、基板11及び透光性基板2を図3に示すように、間に接合層9となるスペーサ(三井デュポンポリケミカル社製、商品名;ハイミラン1702)を挟んで対向させ、これらによって形成される空間にヨウ素電解液を注入口から注入した。次いで接着剤を充填して注入口を封止し、図3に示す本色素増感型太陽電池102を作製した。
尚、ヨウ素電解液は、ブチロニトリルに、0.1モルのヨウ化リチウム、0.05モルのヨウ素、0.5モルの4−tert−ブチルピリジン及び0.6モルの1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムヨーダイドを溶解させたものを用いた。
実施例2
本実施例2は図4に示すように、光散乱層5が透光性を有する基板1の外側に形成された色素増感型太陽電池である。
(1)光散乱層5を設けた基板12の作製
集電電極8となる透明導電膜が一面側に形成されたガラス板製基板12の透明導電膜上に、触媒となる白金ペースト(Solaronix社製、Pt-Catalyst TSP)を200nm厚でスクリーン印刷法によって塗布した。次いで、ガラス板製基板12の他面側に、光散乱粒子7となる酸化チタンペースト(Solaronix社製、商品名;Ti-Nanoxide 300)をスクリーン印刷法によって塗布した。その後マッフル炉で500℃30分間焼成して光散乱層5及び触媒電極32を形成した。
(2)透光性基板2の作製、及び接合
半導体電極4を設けた透光性基板2を、上記実施例1の(2)半導体電極4を設けた透光性基板2の作製と同じ方法で作製した。その後、光散乱層5を具備する基板12と、半導体電極4を具備する透光性基板2を、上記実施例1の(3)基板11及び透光性基板2の接合と同じ方法を用いて接合し、電解質6を注入した。
本実施例2は図4に示すように、光散乱層5が透光性を有する基板1の外側に形成された色素増感型太陽電池である。
(1)光散乱層5を設けた基板12の作製
集電電極8となる透明導電膜が一面側に形成されたガラス板製基板12の透明導電膜上に、触媒となる白金ペースト(Solaronix社製、Pt-Catalyst TSP)を200nm厚でスクリーン印刷法によって塗布した。次いで、ガラス板製基板12の他面側に、光散乱粒子7となる酸化チタンペースト(Solaronix社製、商品名;Ti-Nanoxide 300)をスクリーン印刷法によって塗布した。その後マッフル炉で500℃30分間焼成して光散乱層5及び触媒電極32を形成した。
(2)透光性基板2の作製、及び接合
半導体電極4を設けた透光性基板2を、上記実施例1の(2)半導体電極4を設けた透光性基板2の作製と同じ方法で作製した。その後、光散乱層5を具備する基板12と、半導体電極4を具備する透光性基板2を、上記実施例1の(3)基板11及び透光性基板2の接合と同じ方法を用いて接合し、電解質6を注入した。
比較例
本比較例は図6に示すように、光散乱粒子7を含有する層を具備しない従来例の色素増感型太陽電池である。
本比較例の色素増感型太陽電池は、光散乱層を形成する工程を具備しない他は、実施例1と同じ工程を経て作製した。
本比較例は図6に示すように、光散乱粒子7を含有する層を具備しない従来例の色素増感型太陽電池である。
本比較例の色素増感型太陽電池は、光散乱層を形成する工程を具備しない他は、実施例1と同じ工程を経て作製した。
[2]色素増感型太陽電池の性能評価
上記製造方法により作製した実施例1〜2及び比較例に、ハロゲンランプにAM1.5フィルタを設けてスペクトル調整したソーラーシミュレータによって、照射強度20mW/cm2の擬似太陽光を照射して、開放電圧Voc、短絡電流密度Jsc、フィルファクタFF、及び光電変換効率ηを求めた。その結果を表1に示す。
上記製造方法により作製した実施例1〜2及び比較例に、ハロゲンランプにAM1.5フィルタを設けてスペクトル調整したソーラーシミュレータによって、照射強度20mW/cm2の擬似太陽光を照射して、開放電圧Voc、短絡電流密度Jsc、フィルファクタFF、及び光電変換効率ηを求めた。その結果を表1に示す。
表1に示すように、基板11側の触媒電極31上に光散乱粒子7を含有する光散乱層5を設けた実施例1の光電変換効率は10.68、基板12側の他面側に光散乱粒子7を含有する光散乱層5を設けた実施例2の光電変換効率は10.18であり、比較例の9.77より高効率であることが分かる。
尚、本発明では、上記の実施例の記載に限られず、目的、用途等によって、本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。例えば、電解質6としては、不揮発性のイミダゾリウム塩等のイオン性液体及びこのイオン性液体をゲル化させたもの、並びにヨウ化銅、チオシアン化銅等の固体を用いることもできる。また、各実施例は、基板11、12側に光散乱層5を具備するが、これに限らず、触媒電極31及び/又は半導体電極4に光散乱粒子7を含有していても良い。更に、基板11は、ガラス板製に限られず、アルミナ、窒化ケイ素、ジルコニア等からなるセラミック基板とすることができる。
101、102、103、104、109;色素増感型太陽電池、11、12;基板、2;透光性基板、31、32;触媒電極、31;光散乱触媒電極、4;半導体電極、5;光散乱層、6;電解質、7;光散乱粒子、8;集電電極、9;接合層。
Claims (7)
- 基板11と、
該基板11の一面側に対向して配置された透光性基板2と、
該基板11の該一面側に配設された触媒電極31と、
該透光性基板2の一面側に配設された増感色素を有する半導体電極4と、
該半導体電極4の少なくとも一部に含有され、且つ該半導体電極4と該触媒電極31との間に充填された電解質6と、を備える色素増感型太陽電池において、
該触媒電極31は、光散乱粒子7を含有することを特徴とする色素増感型太陽電池。 - 基板11と、
該基板11の一面側に対向して配置された透光性基板2と、
該基板11の該一面側に配設された触媒電極32と、
該触媒電極32の上面に形成された光散乱層5と、
該透光性基板2の一面側に配設された増感色素を有する半導体電極4と、
該光散乱層5、及び該半導体電極4の少なくとも一部に含有され、且つ該半導体電極4と該触媒電極32との間に充填された電解質6と、を備える色素増感型太陽電池において、
上記光散乱層5は、光散乱粒子7を含有することを特徴とする色素増感型太陽電池。 - 透光性を有する基板12と、
該基板12の一面側に対向して配置された透光性基板2と、
該基板12の該一面側に配設され透光性を具備する触媒電極32と、
該基板12の他面側に配設された光散乱層5と、
該透光性基板2の一面側に配設された増感色素を有する半導体電極4と、
該半導体電極4の少なくとも一部に含有され、且つ該半導体電極4と該触媒電極32との間に充填された電解質6と、を備える色素増感型太陽電池において、
上記光散乱層5は、光散乱粒子7を含有することを特徴とする色素増感型太陽電池。 - 透光性を有する基板12と、
該基板12の一面側に対向して配置された透光性基板2と、
該基板12の該一面側に配設された光散乱層5と、
該光散乱層5上に形成され透光性を具備する触媒電極32と、
該透光性基板2の一面側に配設された増感色素を有する半導体電極4と、
該散乱層5、及び該半導体電極4の少なくとも一部に含有され、且つ該半導体電極4と該触媒電極32との間に充填された電解質6と、を備える色素増感型太陽電池において、
上記光散乱層5は、光散乱粒子7を含有することを特徴とする色素増感型太陽電池。 - 上記光散乱粒子7の平均粒径が、上記半導体電極4の光吸収率が50%となる光波長の25〜75%の値である請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池。
- 上記光散乱粒子7は金属酸化物である請求項1乃至5のうちのいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池。
- 上記光散乱粒子7がチタニアからなる、またはチタニア及び/又はアルミナを含有する請求項1乃至6のうちのいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池。
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