JP2004241378A - 色素増感型太陽電池 - Google Patents

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圭一郎 水田
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Abstract

【課題】 本発明は、安全性が高く、かつイオン伝導度が高められて、電池としての性能に優れる色素増感型太陽電池を提供する。
【解決手段】 下記一般式(1);
【化1】
Figure 2004241378

(式中、Xは、B、C、N、O、Al、Si、P、As及びSeから選ばれる少なくとも1種の元素を表す。M及びMは、それぞれ同一若しくは異なって、有機連結基を表す。Qは、有機基を表す。aは、1以上の整数であり、b、c、d及びeは、0以上の整数である。)で表されるアニオンを有するイオン性物質を含有してなる色素増感型太陽電池である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、色素増感型太陽電池に関する。より詳しくは、溶融塩を電荷移動層(電解質)に用いてなる色素増感型太陽電池に関する。
太陽電池は、近年では封止セルにより構成されるものが用いられているが、中でも、光増感色素を担持(吸着)させた酸化チタン等の感光体をもつ半導体層(感光層)を用いてなる色素増感型太陽電池が電気エネルギーへの変換効率が高いことから注目されている。色素増感型太陽電池は、例えば、図7に示すように、FTO等の導電性支持体、Ru−bpy(ルテニウム−2,2−ビピリジン)等の色素によって増感されたTiO等の微粒子半導体を含有する感光層(感光体をもつ半導体層)、アセトニトリル等の電解溶媒及びヨウ素等の電解質を含む電荷移動層、並びに、白金(Pt)等の金属による対極を有し、電解液が封止材により封止されてなる構造を有するものであり、導電性支持体側から又は対極側から太陽光があたると感光体をもつ半導体層が光増感色素の作用により電子を放出し、また、電荷移動層中のI/I が対極とレドックス作用することにより電気エネルギーが取り出されることになる。
このような太陽電池においては、電解溶媒として有機溶媒を用いているが、揮発しやすく引火点を有することから厳密な封止が必要となる問題点や、漏液が発生しやすく、長期間の信頼性に欠け、安全性の面において問題点があることから、これらの問題点を改善することができる材料が求められていた。
そこで、室温で液状の常温溶融塩を応用する検討が行われている(例えば、非特許文献1参照。)。常温溶融塩としてはN−ブチルピリジウムやN−エチル−N′−メチル−イミダゾリウム等の芳香族4級アンモニウムのハロゲン化物とハロゲンアルミニウムとの錯体や2種類以上のリチウム塩の混合物等が知られている(例えば、非特許文献2参照。)。しかしながら、前者の錯体はハロゲン化物イオンによる腐食性に問題があり、後者は熱力学的に不安定な過冷却液体で、経時的に固化するという問題点がある。
一方、テトラフルオロホウ酸アニオンやビストリフルオロメタンスルホニルイミドアニオン等のイミダゾリウム塩やピリジウム塩は、電気的に比較的安定であるため、近年盛んに検討がなされており、ビストリフルオロメタンスルホニルイミドアニオンを有する化合物を太陽電池の電荷移動層の構成材料として用いることも行われている(例えば、非特許文献3参照)。しかしながら、イオン伝導性等の性能が不充分であり、また、フッ素を含有しているため、電極の腐食等の問題があり、優れた基本性能を発揮する色素増感型太陽電池とするための工夫の余地があった。
ところで、N−アルキル−N−メチルピロリジウム又は1−アルキル−3−メチルイミダゾリウムのジシアノアミド塩に関し、熱的特性、粘度、定性的な電位安定性について研究を行い、ジシアノアミド塩が低粘度のイオン性液体として有用であることが開示されている(例えば、非特許文献4参照。)。
またシアノ置換メチド及びアミドを含むシアノ置換塩に関し、N−シアノ置換アミド、N−シアノ置換スルホンアミド、1,1,1−ジシアノ置換スルホニルメチド及び1,1,1−ジシアノアシルメチドから成る群から選択される少なくとも一種の塩とマトリックス材料とを含む電解質が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。またカチオン性部分M+mと結合するアニオン性部分を含むイオン性化合物に関し、カチオン性部分のMは、ヒドロキソニウム、ニトロソニウムNO、アンモニウムNH 、原子価mを有する金属カチオン、有機カチオン又は有機金属カチオンであり、アニオン性部分は、式R−Y−C(C≡N) 又はZ−C(C≡N) のうちの1つに相当するものであり、このイオン性化合物は、イオン伝導性材料等に用いることができることが開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
しかしながら、これらの技術においては、色素増感型太陽電池の電荷移動層に適用することについての開示はなく、電荷移動層におけるアセトニトリル等の電解溶媒等を代替して、電荷移動層における厳密な封止を必要としない、安全性に優れた色素増感型太陽電池とするための工夫の余地があった。
特表2002−523879号公報(第1−7頁) 特表2000−508677号公報(第1−12頁) 小浦ら、J.Electrochem.Soc.、1993年、140、p.602 C.A.Angellら、Nature、1933年、362、p.137 荒川裕則監修、「色素増感太陽電池の最新技術」、シーエムシー、2001年5月25日、p.93 Douglas R.MacFarlane、他4名、Chem.Commun.、2001年、p.1430−1431
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、安全性が高く、かつイオン伝導度が高められて、電池としての性能に優れる色素増感型太陽電池を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、色素増感型太陽電池の電荷移動層に用いられる電解溶媒について種々検討するうち、溶融塩を用いることにより、現在用いられているアセトニトリル等の引火点を持つ有機溶媒を用いた電解質と異なり、引火点を持たないことから厳密な封止の必要がなく、安全性を高めることができることを見いだした。このような溶融塩において、アニオンの構造式が特定されたイオン性物質を用いることにより、従来の太陽電池を構成する溶融塩を用いた場合と比較して、電荷移動層における電解質の粘度が低減することに起因して、イオン伝導度が高められて電池としての性能が向上した色素増感型太陽電池とすることができることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、下記一般式(1);
Figure 2004241378
(式中、Xは、B、C、N、O、Al、Si、P、As及びSeから選ばれる少なくとも1種の元素を表す。M及びMは、それぞれ同一若しくは異なって、有機連結基を表す。Qは、有機基を表す。aは、1以上の整数であり、b、c、d及びeは、0以上の整数である。)で表されるアニオンを有するイオン性物質を含有してなる色素増感型太陽電池である。
以下に、本発明を詳述する。
本発明の色素増感型太陽電池は、導電性支持体、感光体をもつ半導体層(以下、感光層ともいう)、電解質を含有する電荷移動層及び対極を有する光電変換素子により構成されるものであり、このような光電変換素子を外部回路に接続して仕事をさせるようにしたものであるが、このような色素増感型太陽電池を構成する材料として上記一般式(1)で表されるアニオンを有するイオン性物質が用いられ、好ましくは、電荷移動層における電解質の構成材料として用いられることとなる。
上記電荷移動層で使用される電解質としては、通常、酸化還元系構成物質と電解溶媒とを必須として構成されるものであるが、このような電解溶媒として上記一般式(1)で表されるアニオンを有するイオン性物質を用いることが好ましい。なお、本発明における電荷移動層においては液体電解質であることが好ましいが、上述した電解質の構成要素に重合体等を添加することにより、固体又はゲル状電解質として用いることも可能である。
ゲル状電解質を用いる場合のゲル状電解質の作製方法として(1)オイルゲル化剤添加、(2)多官能モノマー類を含む重合、(3)ポリマー添加、(4)ポリマーの架橋反応等が挙げられる。
上記一般式(1)で表されるアニオンを有するイオン性物質としては、電荷移動層で使用される電解質における電解溶媒として用いることができる溶融塩であればよく、一般式(1)で表されるアニオン及びプロトンから形成される化合物、一般式(1)で表されるアニオンの有機塩、一般式(1)で表されるアニオンの無機塩等が好適である。なお、溶融塩とは、室温から80℃の温度範囲において液体状態を安定に保つことができるものであることが好ましい。
上記一般式(1)で表されるアニオンを有するイオン性物質の含有量としては、下記の制限を必ずしももうけるものではないが、電解質を100質量%とすると、1質量%以上であることが好ましく、また、99質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、10質量%以上であり、また、90質量%以下である。10質量%未満であると、イオン伝導度が低下するおそれがあり、90質量%を超えると、酸化還元系構成物質の含有量が少なくなり、優れた性能を有する色素増感型太陽電池とすることができなくなるおそれがある。より好ましくは、20質量%以上であり、また、80質量%以下である。
上記一般式(1)で表されるアニオンにおいて、Xは、B、C、N、O、Al、Si、P、As及びSeから選ばれる少なくとも1種の元素を表すが、C又はNが好ましい。Qは、有機基を表すが、水素原子、ハロゲン原子、C(2p+1−q)、OC(2p+1−q)、SO(2p+1−q)、CO(2p+1−q)、SO5−r、NO(式中、1≦p≦6、0<q≦13、0<r≦5である)等が好ましい。より好ましくは、フッ素原子、塩素原子、C(2p+1−q)、SO(2p+1−q)である。M及びMは、それぞれ同一若しくは異なって、有機連結基を表すが、それぞれ独立に、−S−、−O−、−SO−、−CO−から選ばれる連結基であり、好ましくは、−SO−、−CO−である。また、aは、1以上の整数であり、b、c、d及びeは、0以上の整数であるが、a、d及びeは、元素Xの価数によって決まることになり、例えば、XがNの場合、(1)a=2、d=0、e=0、(2)a=1、d=1、e=0、又は、(3)a=1、d=0、e=1のいずれかとなる。
上記一般式(1)で表されるアニオンとしては、一般式(1)においてeが0である下記一般式(2)で表されるアニオンが好ましく、より好ましくは、トリシアノメチリドアニオン、ジシアノアミドアニオンである。また、下記一般式(3)や一般式(4)で表されるもの等も好ましいアニオンである。
Figure 2004241378
上記一般式(1)で表されるアニオンの有機塩としては、一般式(1)で表されるアニオンのオニウム塩であることが好ましく、これらの中でも、上述したオニウムカチオンによる有機塩がより好ましい。
上記オニウムカチオンとしては、下記一般式(5);
Figure 2004241378
(式中、Lは、C、Si、N、P、S又はOを表す。Rは、同一若しくは異なって、有機基であり、互いに結合していてもよい。sは、3、4又は5であり、元素Lの価数によって決まる。)で表されるものが好適であり、具体的には下記一般式;
Figure 2004241378
(式中、Rは、一般式(5)と同様である。)で表されるものが好適である。このようなオニウムカチオンは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、下記のようなオニウムカチオンが好ましいものである。
(1)下記一般式;
Figure 2004241378
で表される11種類の複素環オニウムカチオン。
(2)下記一般式;
Figure 2004241378
で表される5種類の不飽和オニウムカチオン。
(3)下記一般式;
Figure 2004241378
で表される9種類の飽和環オニウムカチオン。
上記一般式中、R〜R12は、同一若しくは異なって、有機基であり、互いに結合していてもよい。
(4)RがC〜Cのアルキル基である鎖状オニウムカチオン。
このようなオニウムカチオンの中でも、より好ましくは、一般式(5)におけるLが窒素原子であるものであり、更に好ましくは、下記一般式;
Figure 2004241378
(式中、R〜R12は、上記と同様である。)で表される4種類のオニウムカチオンであり、より更に好ましくは、N−アルキル−N’−アルキルイミダゾリウムである。
上記R〜R12の有機基としては、水素原子、フッ素原子、アミノ基、イミノ基、アミド基、エーテル基、エステル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルバモイル基、シアノ基、スルホン基、スルフィド基や、直鎖、分岐鎖又は環状で、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等を含んでもよい炭素数1〜18の炭化水素基、炭化フッ素基等が好ましく、より好ましくは水素原子、フッ素原子、シアノ基、スルホン基、炭素数1〜8の炭化水素基である。
上記一般式(1)で表されるアニオンの無機塩としては、上述した一般式(1)で表されるアニオンのアルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩であることが好ましく、リチウム塩であることがより好ましい。このようなリチウム塩としては、上述した好ましいアニオンのリチウム塩の他にも、LiC(CN)、LiSi(CN)、LiB(CN)、LiAl(CN)、LiP(CN)、LiP(CN)、LiAs(CN)等が好適である。
上記電荷移動層に用いる電解溶媒としては、上記一般式(1)で表されるアニオンを有するイオン性物質以外のその他の化合物が含有されていてもよく、このようなその他の化合物としては、ハロゲンアニオン(フルオロアニオン、クロロアニオン、ブロモアニオン、ヨードアニオン)、4フッ化ホウ酸アニオン、6フッ化リン酸アニオン、6フッ化ヒ酸アニオン、下記一般式(6)で表されるスルホニルイミドアニオン、下記一般式(7)で表されるスルホニルメチドアニオン、有機カルボン酸(酢酸、トリフルオロ酢酸、フタル酸、マレイン酸、安息香酸等のアニオン)等のアニオンと、オニウムカチオンとを有する有機化合物が好適である。
Figure 2004241378
上記一般式(6)及び一般式(7)中、R13、R14及びR15は、同一若しくは異なって、エーテル基を1個又は2個有してもよい炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基を表す。
上記電荷移動層に用いる電解溶媒としては、本発明の色素増感型太陽電池の性能を低下させない範囲において水性溶媒や有機溶媒を含有していてもよいが、含有しないことが好ましい。有機溶媒としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネ−ト化合物;酢酸メチル、プロピオン酸メチル、ガンマ−ブチロラクトン等のエステル化合物;ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジオキソシラン、テトラヒドロフラン、2−メチルーテトラヒドラフラン等のエーテル化合物;3−メチル−2−オキサゾジリノン、2−メチルピロリドン等の複素環化合物;アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル化合物;スルフォラン、ジジメチルスルフォキシド、ジメチルフォルムアミド等の非プロトン性極性化合物等が好適であり、1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネ−ト化合物;3−メチル−2−オキサゾリジノン、2−メチルピロリドン等の複素環化合物;アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル化合物が特に好ましい。
また電解質にはギ酸、酢酸等の有機酸を添加してもよい。
本発明における電解質に用いられる酸化還元系構成物質としては、酸化体と還元体からなる一対の酸化還元系構成物質であればよいが、酸化体と還元体とが同一電荷をもつ酸化還元系構成物質が好ましい。酸化還元系構成物質とは、酸化還元反応において、可逆的に酸化体及び還元体の形で存在する一対の物質を意味する。
上記酸化還元系構成物質としては、塩素化合物−塩素、ヨウ素化合物−ヨウ素、臭素化合物−臭素、タリウムイオン(III)−タリウムイオン(I)、水銀イオン(II)−水銀イオン(I)、ルテニウムイオン(III)−ルテニウムイオン(II)、銅イオン(II)−銅イオン(I)、鉄イオン(III)−鉄イオン(II)、バナジウムイオン(III)−バナジウムイオン(II)、マンガン酸イオン−過マンガン酸イオン、フェリシアン化物−フェロシアン化物、キノン−ヒドロキノン、フマル酸−コハク酸等が好適である。これらの中でも、ヨウ素化合物−ヨウ素が好ましく、ヨウ素化合物としては、ヨウ化リチウム、ヨウ化カリウム等の金属ヨウ化物;テトラアルキルアンモニウムヨージド、ピリジニウムヨージド等のヨウ化4級アンモニウム塩化合物;ヨウ化ジメチルプロピルイミダゾリウム等のヨウ化ジイミダゾリウム化合物が特に好ましい。
下記の含有量は、必ずしも下記の制限をうけるものではないが、上記酸化還元系構成物質の含有量としては、電解質を100質量%とすると、10質量%以上であることが好ましく、また、90質量%以下であることが好ましい。10質量%未満であると、充分な電気エネルギーを取り出せなくなるおそれがあり、90質量%を超えると、電解溶媒の含有量が少なくなり、優れた性能を有する色素増感型太陽電池とすることができなくなるおそれがある。より好ましくは、20質量%以上であり、また、50質量%以下である。
本発明の色素増感型太陽電池の電解質において好ましい形態としては、上記一般式(1)で表されるアニオンを有するイオン性物質と酸化還元系構成物質とを含んでなる混合物の粘度が、300mPa・s以下である形態である。
上記混合物において、粘度が300mPa・sを超えると、イオン伝導度が充分に向上されたものとはならないこととなる。好ましくは、200mPa・s以下であり、より好ましくは、100mPa・s以下である。
上記粘度の測定方法としては、特に限定はないが、25℃において、TV−20形粘度計 コーンプレートタイプ(トキメック社製)を用いて測定する方法が好適である。
以下に、本発明の色素増感型太陽電池における光電変換素子の一例について、図1〜6を用いて説明する。
図1〜6は、導電層、感光層、電荷移動層、対極導電層の順に積層してなる光電変換素子の断面図であり、感光層は色素によって増感された半導体微粒子と該半導体微粒子の間の空隙に浸透した電荷輸送材料とから構成されるものである。電荷輸送材料は、電荷移動層に用いる材料と同じ成分からなる。また色素増感型太陽電池に強度を付与するために、導電層側及び/又は対極導電層側に基板を設けてもよい。本明細書中においては、導電層及び任意で設ける基板からなる層を「導電性支持体」、対極導電層及び任意で設ける基板からなる層を「対極」と呼ぶ。このような光電変換素子を外部回路に接続して仕事をさせるようにしたものが色素増感型太陽電池であるが、構成物の劣化や内容物の揮散を防止するために、側面を重合体や接着剤等で封止するのが好ましい。なお、図1〜6中の導電層、対極導電層、基板は、それぞれ透明導電層、透明対極導電層、透明基板であってもよい。
本発明の色素増感型太陽電池においては、光電変換素子の内部構造は目的に合わせ様々な形態とすることにより、様々な用途に用いることが可能である。このような内部構造について大きく2つに分ければ、両面から光の入射が可能な構造と、片面からのみ可能な構造とを挙げることができる。
図1〜6に示す光電変換素子において、色素により増感された半導体微粒子を含む感光層に入射した光は色素等を励起し、励起された色素等中の高エネルギーの電子が半導体微粒子の伝導帯に渡され、更に拡散により導電層に到達する。このとき色素等の分子は酸化体となっている。光電気化学電池においては、導電層中の電子が外部回路で仕事をしながら対極導電層及び電荷移動層を経て色素等の酸化体に戻り、色素が再生する。感光層は負極として働く。それぞれの層の境界(例えば、導電層と感光層との境界、感光層と電荷移動層との境界、電荷移動層と対極導電層との境界等)では、各層の構成成分どうしが相互に拡散混合していてもよい。
図1及び図2は、導電層(導電性支持体)と対極導電層との間に、感光層と、電荷移動層とを介在させたものであり、対極導電層上には更に基板が配置されて対極を形成している。図3、図4及び図5は、導電層(導電性支持体)上に感光層、電荷移動層及び対極導電層をこの順に設け、更に基板を配置したものであり、ギャップ保持のために形態保持材(支持体)が用いられている。図3においては、電荷移動層中に一部導線リードが設けられており、これらは導線被覆材により封止されている。図4においては、導電層上(感光層中)及び対極導電層中に一部金属リードが設けられている。図5においては、導電層上(感光層中)及び対極導電層中に一部金属リードが設けられており、感光層中の金属リードは導線被覆材により封止されている。図1〜5においては、電荷移動層が封止材により封止された構造となっており、また、導電層、対極導電層や基板を透明とすることにより、片面又は両面から光が入射する構造となっている。図6は、透明基板の一方の面上に透明な導電層を有し、この上に更に感光層、電荷移動層及び対極導電層を設けたセルがモジュール化されており、太陽電池を構成する各モジュールが、接着的役割を有する形態保持材により透明基板上に固定されている。図6においては、透明基板の他方の面には反射防止層(図示せず)が設けられていてもよい。このような構造とする場合、入射光の利用効率を高めるために、感光層の面積比率(光の入射面である基板側から見たときの面積比率)を大きくするのが好ましい。なお、図1〜6の形態を併用することもできる。
上記封止材とは、電池材料のカバーとして封止セル中の電荷移動層を構成する物質が漏洩することを防止するため、特に電荷移動層のヨウ素や水等の溶剤の進入を防止するために用いられる封止材や、導電性支持体等の基材の周縁部を補強するための封止材を意味する。形態保持材とは、ギャップ保持のための支持体(スペーサ)やモジュールの形態保持(接着的役割)に用いられるものを意味する。導線被覆材とは、封止セル中の導線(金属)リードの封止や、大面積化で必要になる金属線(集電配線)の封止(絶縁物)に用いられるものである。
上記封止材、形態保持材及び導線被覆材としては、ラジカル硬化型樹脂、イオン硬化型樹脂、熱硬化型樹脂等の硬化型樹脂を用いることが好適である。
上記ラジカル硬化型樹脂としては、不飽和ポリエステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等のラジカル硬化性をもつ重合体(以下、ラジカル硬化性重合体ともいう)と反応性希釈剤とを含む樹脂や、反応性希釈剤を含有する(メタ)アクリルシラップを含む樹脂等が好適である。また、他にも、飽和ポリエステルやポリ(メタ)アクリル酸メチル等のラジカル硬化性をもたない重合体と反応性希釈剤とを含む樹脂も好適である。なお、芳香族環を有するラジカル硬化型樹脂においては、ラジカル硬化性重合体又はラジカル硬化性をもたない重合体が芳香族環を有していてもよく、反応性希釈剤が芳香族環を有していてもよい。
上記イオン硬化型樹脂としては、エポキシ基、ビニルエーテル基、オキセタン基、イソプロペニルエーテル基を主鎖及び/又は側鎖の末端に有する構造の樹脂が好適であり、このような樹脂として、エポキシ樹脂等が好適である。
上記熱硬化するもの(熱硬化型樹脂)としては、エポキシ樹脂及び/又は多価フェノールが好適である。
以下に、光電変換素子における各層について詳細に説明する。
(1)導電性支持体
導電性支持体としては、(1−1)導電層の単層からなるものであってもよく、(1−2)導電層及び基板の2層からなるものであってもよいが、強度や密封性が充分に保たれるような導電層を使用すれば、基板は必ずしも必要でない。(1−1)の場合、導電層として金属のように充分な強度が得られ、かつ導電性があるものを用いる。(1−2)の場合、感光層側に導電剤を含む導電層を有する基板を使用することができる。導電剤としては、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム等の金属;炭素;インジウム−スズ複合酸化物、酸化スズにフッ素をドープしたもの等の導電性金属酸化物等が好適である。導電層の厚さとしては、0.02〜10μm程度が好ましい。
上記導電性支持体は、表面抵抗が低いほどよく、好ましくは表面抵抗が100Ω/□以下であり、より好ましくは10Ω/□以下である。表面抵抗の下限としては、0.1Ω/□程度であることが好適である。
上記導電性支持体側から光を照射する場合には、導電性支持体は実質的に透明であることが好ましい。実質的に透明であるとは光の透過率が10%以上であることを意味し、50%以上であることが好ましく、70%以上がより好ましい。
上記透明導電性支持体としては、ガラス又はプラスチック等の透明基板の表面に導電性金属酸化物からなる透明導電層を塗布又は蒸着等により形成したものが好適である。中でも、フッ素をドーピングした二酸化スズからなる導電層を低コストのソーダ石灰フロートガラスでできた透明基板上に堆積した導電性ガラスが好ましい。また低コストでフレキシブルな色素増感型太陽電池とするには、透明重合体フィルムに導電層を設けたものを用いることが好ましい。透明重合体フィルムの材料としては、テトラアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シンジオクタチックポリスチレン(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAr)、ポリスルフォン(PSF)、ポリエステルスルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、環状ポリオレフィン、ブロム化フェノキシ等が好適である。充分な透明性を確保するため、導電性金属酸化物の塗布量はガラス又はプラスチックの支持体1m当たり0.01〜100gとすることが好ましい。
本発明においては、透明導電性支持体の抵抗を下げる目的で金属リードを用いることが好ましい。金属リードの材質としては、アルミニウム、銅、銀、金、白金、ニッケル等の金属が好適であり、特にアルミニウム及び銀が好ましい。金属リードは、透明基板に蒸着、スパッタリング等で設置し、その上にフッ素をドープした酸化スズ又はITO膜からなる透明導電層を設けるのが好適である。また透明導電層を透明基板に設けた後、透明導電層上に金属リードを設置するのも好ましい。金属リード設置による入射光量の低下は好ましくは10%以内、より好ましくは1〜5%とする。
(2)感光体をもつ半導体層(感光層)
本発明の色素増感型太陽電池において、感光層としては色素によって増感された微粒子半導体を含有することが好ましい。半導体はいわゆる感光体として作用し、光を吸収して電荷分離を行い、電子と正孔を生ずる。色素増感された半導体微粒子では、光吸収及びこれによる電子及び正孔の発生は主として色素において起こり、半導体微粒子はこの電子を受け取り、伝達する役割を担う。
上記半導体微粒子としては、シリコン、ゲルマニウム等の単体半導体;III−V系化合物半導体;酸化物、硫化物、セレン化物等の金属カルコゲニド;チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム等のペロブスカイト構造を有する化合物等が好適である。これらの中でも、金属カルコゲニドから構成されるものが好ましい。
上記金属カルコゲニドとしては、チタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ又はタンタルの酸化物;カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモン又はビスマスの硫化物;カドミウム又は鉛のセレン化物;カドミウムのテルル化物等が好適である。他の化合物半導体としては亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウム等のリン化物;ガリウム−ヒ素又は銅−インジウムのセレン化物、銅−インジウムの硫化物等が好適である。
本発明に用いる半導体としては、好ましくは、Si、TiO、SnO、Fe、WO、ZnO、Nb、CdS、ZnS、PbS、Bi、CdSe、CdTe、GaP、InP、GaAs、CuInS又はCuInSeであり、より好ましくは、TiO、SnO、Fe、WO、ZnO、Nb、CdS、PbS、CdSe、InP、GaAs、CuInS又はCuInSeであり、特に好ましくはTiO又はNbであり、最も好ましくはTiOである。
本発明に用いる半導体は単結晶でも多結晶でもよい。変換効率の観点からは単結晶が好ましいが、製造コスト、原材料確保、エネルギーペイバックタイム等の観点からは多結晶が好ましい。
上記半導体微粒子の粒径は、一般にnm〜μmのオーダーであるが、投影面積を円に換算したときの直径から求めた一次粒子の平均粒径が5〜200nmであることが好ましく、8〜100nmがより好ましい。また後述する分散液中の半導体微粒子(二次粒子)の平均粒径は0.01〜100μmが好ましい。また、粒径分布の異なる2種類以上の微粒子を混合してもよく、この場合小さい粒子の平均サイズは5nm以下であるのが好ましい。入射光を散乱させて光捕獲率を向上させる目的で粒径の大きな、例えば、300nm程度の半導体粒子を混合してもよい。
上記半導体微粒子の作製法としては、作花済夫「ゾル−ゲル法の科学」(1998年)アグネ承風社、技術情報協会の「ゾル−ゲル法による薄膜コーティング技術」(1995年)等に記載のゾル−ゲル法、杉本忠夫「新合成法ゲル−ゾル法による単分散粒子の合成とサイズ形態制御」、まてりあ 第35巻 第9号(1996年)p.1012〜1018に記載のゲル−ゾル法が好ましい。またDegussa社が開発した塩化物を酸水素塩中で高温加水分解により酸化物を作製する方法も好ましい。
上記半導体微粒子が酸化チタンの場合、上記ゾル−ゲル法、ゲル−ゾル法、塩化物の酸水素塩中での高温加水分解法はいずれも好ましく、更に、清野学「酸化チタン 物性と応用技術」(1997年)技報堂出版に記載の硫酸法及び塩素法を用いることもできる。加えてゾル−ゲル法として、バーブらのジャーナル・オブ・アメリカン・セラミック・ソサエティー 第80巻 第12号(1997年)p.3157〜3171に記載の方法や、バーンサイドらのケミカル・マテリアルズ 第10巻 第9号p.2419〜2425に記載の方法も好ましい。
上記半導体微粒子層を形成する際、半導体微粒子を導電性支持体上に塗布するには、半導体微粒子の分散液又はコロイド溶液を導電性支持体上に塗布する方法の他に、上述のゾル−ゲル法等を使用することもできる。色素増感型太陽電池の量産化、半導体微粒子液の物性、導電性支持体の融通性等を考慮した場合、湿式の製膜方法が比較的有利である。湿式の製膜方法としては塗布法及び印刷法が代表的である。
上記半導体微粒子の分散液を作製する方法としては、上述のゾル−ゲル法の他に、乳鉢ですり潰す方法、ミルを使って粉砕しながら分散する方法、半導体を合成する際に溶媒中で微粒子として析出させそのまま使用する方法等が好適である。
上記分散媒としては、水又は各種の有機溶媒が使用可能であり、有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ジクロロメタン、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル等が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。分散の際、必要に応じて重合体、界面活性剤、酸、キレート剤等を分散助剤として用いてもよい。
上記塗布方法としては、アプリケーション系としてローラ法、ディップ法等、メータリング系としてエアーナイフ法、ブレード法等、またアプリケーションとメータリングを同一部分にできるものとして、特公昭58−4589号公報に開示されているワイヤーバー法、米国特許2681294号明細書、米国特許2761419号明細書、米国特許2761791号明細書等に記載のスライドホッパー法、エクストルージョン法、カーテン法等が好ましい。また汎用機としてスピン法やスプレー法も好ましい。湿式印刷方法としては、凸版、オフセット及びグラビアの3大印刷法をはじめ、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等が好ましい。これらの中から、液粘度やウェット厚さに応じて、好ましい製膜方法を選択する。
上記半導体微粒子の分散液の粘度は半導体微粒子の種類や分散性、使用溶媒種、界面活性剤やバインダー等の添加剤により大きく左右される。高粘度液(例えば、0.001〜50Pa・s)ではエクストルージョン法、キャスト法、スクリーン印刷法等が好ましい。また低粘度液(例えば、0.01Pa・s以下)ではスライドホッパー法、ワイヤーバー法又はスピン法が好ましく、均一な膜にすることが可能である。なお、ある程度の塗布量があれば低粘度液の場合でもエクストルージョン法による塗布は可能である。このように塗布液の粘度、塗布量、支持体、塗布速度等に応じて適宜湿式製膜方法を選択すればよい。
上記半導体微粒子の層は単層に限らず、粒径の違った半導体微粒子の分散液を多層塗布したり、種類が異なる半導体微粒子(又は異なるバインダー、添加剤)を含有する塗布層を多層塗布したりすることもできる。一度の塗布で膜厚が不足の場合にも多層塗布は有効である。多層塗布にはエクストルージョン法又はスライドホッパー法が適している。また多層塗布をする場合は同時に多層を塗布してもよく、数回から十数回順次重ね塗りしてもよい。更に順次重ね塗りする場合にはスクリーン印刷法も好ましく使用できる。
一般に半導体微粒子層の厚さ(感光層の厚さと同じ)が厚くなるほど単位投影面積当たりの担持色素量が増えるため光の捕獲率が高くなるが、生成した電子の拡散距離が増すため電荷再結合によるロスも大きくなる。したがって、半導体微粒子層の好ましい厚さは0.1〜100μmである。色素増感型太陽電池に用いる場合、半導体微粒子層の厚さは1〜30μmが好ましく、2〜25μmがより好ましい。半導体微粒子の支持体1m当たり塗布量は0.5〜400gが好ましく、5〜100gがより好ましい。
上記半導体微粒子を導電性支持体上に塗布した後で半導体微粒子どうしを電子的に接触させるとともに、塗膜強度の向上や支持体との密着性を向上させるために、加熱処理するのが好ましい。好ましい加熱温度としては、40℃以上であり、また、700℃未満である。より好ましくは100℃以上であり、また、600℃以下である。また加熱時間は10分〜10時間程度である。ポリマーフィルムのように融点や軟化点の低い支持体を用いる場合、高温処理は支持体の劣化を招くため好ましくない。またコストの観点からもできる限り低温であるのが好ましい。低温化は先に述べた5nm以下の小さい半導体微粒子の併用や鉱酸の存在下での加熱処理等により可能となる。
上記加熱処理後、半導体微粒子の表面積を増大させたり、半導体微粒子近傍の純度を高め色素から半導体粒子への電子注入効率を高めたりする目的で、四塩化チタン水溶液を用いた化学メッキや三塩化チタン水溶液を用いた電気化学的メッキ処理を行ってもよい。
上記半導体微粒子は多くの色素を吸着することができるように表面積の大きいものが好ましい。このため半導体微粒子の層を支持体上に塗布した状態での表面積は、投影面積に対して10倍以上であるのが好ましく、100倍以上であるのがより好ましい。上限としては、通常1000倍程度である。
本発明の色素増感型太陽電池の感光層に用いる色素としては、種々の可視光領域及び赤外光領域に吸収をもつものであって、半導体層に強固に吸着させるために、色素分子中にカルボキシル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、スルホン酸基、エステル基、メルカプト基、ホスホニル基等のインターロック基を有するものが好ましい。インターロック基は、励起状態の色素と半導体の伝導帯との間の電子の移動を容易にする電気的結合を提供するものである。このような色素としては、ルテニウムビピリジン系色素、アゾ系色素、キノン系色素、キノンイミン系色素、キナクリドン系色素、スクアリリウム系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、ポルフィリン系色素、フタロシアニン系色素、ペリレン系色素、インジゴ系色素、ナフタロシアニン系色素等が好適である。また、本発明においては、光電変換の波長域をできるだけ広くするとともに変換効率を上げるため、2種類以上の色素を混合してもよい。この場合、光源の波長域と強度分布に合わせるように混合する色素及びその割合を選ぶのが好ましい。
上記半導体微粒子に色素を吸着させる方法としては、色素の溶液中に良く乾燥した半導体微粒子層を有する導電性支持体を浸漬するか、色素の溶液を半導体微粒子層に塗布する方法が好適である。なお、色素の溶液とは、光増感剤として機能する上記色素を溶媒に溶解したものである。前者の場合、浸漬法、ディップ法、ローラ法、エアーナイフ法等が好適である。なお浸漬法の場合、色素の吸着は室温で行ってもよいし、特開平7−249790号公報に記載されているように加熱還流して行ってもよい。また後者の塗布方法としては、ワイヤーバー法、スライドホッパー法、エクストルージョン法、カーテン法、スピン法、スプレー法等が好適であり、印刷方法としては、凸版、オフセット、グラビア、スクリーン印刷等が好適である。溶媒は、色素の溶解性に応じて適宜選択でき、メタノール、エタノール、t−ブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール類;アセトニトリル、プロピオニトリル、3−メトキシプロピオニトリル等のニトリル類;ニトロメタン;ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;ジメチルスルホキシド;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセタミド等のアミド類;N−メチルピロリドン;1,3−ジメチルイミダゾリジノン;3−メチルオキサゾリジノン;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;炭酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等の炭酸エステル類;アセトン、2−ブタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;へキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエン等等の炭化水素やこれらの混合溶媒等が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記色素の溶液の粘度についても、半導体微粒子層の形成時と同様に、高粘度液(例えば、0.001〜50Pa・s)ではエクストルージョン法、各種印刷法等が好適であり、また低粘度液(例えば、0.1Pa・s以下)ではスライドホッパー法、ワイヤーバー法又はスピン法が好適であり、いずれも均一な膜にすることが可能である。このように色素の塗布液の粘度、塗布量、導電性支持体、塗布速度等に応じて、適宜色素の吸着方法を選択すればよい。塗布後の色素吸着に要する時間は、量産化を考えた場合なるべく短い方がよい。
また、未吸着の色素の存在は素子性能の外乱になるため、吸着後速やかに洗浄により除去するのが好ましく、湿式洗浄槽を使い、アセトニトリル等の極性溶剤、アルコール系溶剤等の有機溶媒で洗浄を行うのが好ましい。また色素の吸着量を増大させるため、吸着前に加熱処理を行うのが好ましい。加熱処理後、半導体微粒子表面に水が吸着するのを避けるため、常温に戻さずに40〜80℃の間で素早く色素を吸着させるのが好ましい。
上記色素の全使用量としては、導電性支持体の単位表面積(1m)当たり0.01〜100mmolとすることが好ましい。また色素の半導体微粒子に対する吸着量は、半導体微粒子1g当たり0.01〜1mmolとすることが好ましい。これにより、半導体における増感効果が充分に得られる。色素が少なすぎると増感効果が不充分となり、また色素が多すぎると半導体に付着していない色素が浮遊し、増感効果を低減させる原因となる。また、会合のような色素どうしの相互作用を低減する目的で、無色の疎水性化合物を半導体微粒子に共吸着させてもよい。共吸着させる疎水性化合物としては、カルボキシル基を有するステロイド化合物(例えば、ケノデオキシコール酸)等が好適である。また紫外線吸収剤を併用することもできる。
上記感光体をもつ半導体層においては、余分な色素の除去を促進する目的で、色素を吸着した後にアミン類や酸化合物を用いて半導体微粒子の表面を処理してもよい。アミン類としては、ピリジン、4−t−ブチルピリジン、ポリビニルピリジン等が、酸化合物としては、ギ酸、酢酸等が好適である。これらが液体の場合はそのまま用いてもよいし、有機溶媒に溶解して用いてもよい。
(3)電荷移動層
上記電荷移動層としては、上述のような構成要素によりなるものであるが、液体電解質である場合においては、光電変換効率を向上させることができ、また、液体電解質を多孔質支持体に充填することにより、電解質溶液の漏液を効率的に防止することができる。このような目的に使用可能な多孔質支持体としては、例えば、濾過フィルター(メンブランフィルタ)や、一次電池や二次電池等に用いられるセパレーター又は不織布等を好適に適用することができる。特に、多孔質支持体面に対し法線方向に貫通した空隙をもつ場合、多孔質支持体自体が酸化還元対の移動を阻害する作用が少ないため高い光電変換効率が得られる。
上記多孔質支持体として使用される濾過フィルターの材質としては、ガラス繊維、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン類、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル類等からなるものが好ましい。
上記多孔質支持体として使用されるセパレーター又は不織布の材質としては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン類;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル類;ポリアミド類;ポリフェニレンスルフィド;ビニヨン(塩化ビニルと酢酸ビニルの共重合物);ポリイミド;ビニロン(アセタール化ポリビニルアルコール)等が好適である。これらの材質のセパレーター又は不織布は、単独で用いてもよく、2種以上を複合化して用いてもよい。ここで、「複合化した不織布」とは、2種類の材料をブレンド後に溶融紡糸/延伸したブレンド延伸型不織布、又は、2種類の材料の一方を芯とし、他方がその周囲を被覆してなる複合繊維(コンジュゲート型繊維)を熱融着してなる芯鞘構造型の不織布である。例えば、芯成分に高融点のポリプロピレンを用い、鞘成分に低融点のポリエチレンを用いた熱融着タイプの不織布がよく知られている。
上記多孔質支持体の厚みは感光層と対極との面間隔で規定される。しかし、一般的に、多孔質支持体の厚みは、1mm以下が好ましい。多孔質支持体の厚みが1mmを超えると、電荷移動層中の酸化還元対の移動距離が長くなり、酸化還元対を媒介とした電子の授受反応が律速となり光電変換効率が低下するおそれがある。
上記感光層と対極との空間をなくすことは、多孔質支持体による保持機構の働かない電荷移動層部分をなくすことになり、そのこと自体は液漏れ防止及び信頼性向上につながる。しかしながら、感光層と対極との空間をなくすために、その組立工程おいて両極を互いに強く押しつけ合うことは、感光層及び対極を機械的に破壊し、光電変換効率を低下させる要因となることもある。そのため、感光層と対極との間には少なくとも1μm以上の間隔を設け、該感光層及び対極の機械的破壊を防ぐことが好ましい。従って、感光層と対極との間に設ける多孔質支持体の厚みとしては1μm以上とすることが好ましい。
本発明の色素増感型太陽電池における電荷移動層を構成するために多孔質支持体を使用する場合、その多孔質支持体としては、ポロシティー(気孔率)が30〜80%である多孔質素材を使用することが好ましい。30%未満であると、多孔質支持体が酸化還元対の移動を妨げる効果が大きくなり、酸化還元対を媒介とした電子の授受反応が律速となり光電変換効率が低くなるおそれがある。80%を超えると、孔径が大きくなり、毛管作用による電解質溶液保持能力が低下し、充分な液漏れ抑制効果が得られなくなるおそれがある。
(4)対極
上記対極は、光電変換素子を色素増感型太陽電池としたときに正極として作用するものである。対極は上記導電性支持体と同様に、導電性材料からなる対極導電層の単層構造でもよいし、対極導電層と支持基板から構成されていてもよい。対極導電層に用いる導電材としては、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム等の金属;炭素;インジウム−スズ複合酸化物、酸化スズにフッ素をドープしたもの等の導電性金属酸化物等が好適である。対極に用いる支持基板としては、ガラス基板又はプラスチック基板が好適であり、これに上記の導電剤を塗布又は蒸着して用いる。対極導電層の厚さとしては、3nm〜10μmが好ましい。対極導電層が金属製である場合、その厚さは好ましくは5μm以下であり、更に好ましくは5nm〜3μmである。
上記導電性支持体と対極のいずれか一方又は両方から光を照射してよいので、感光層に光が到達するためには、導電性支持体と対極のうち少なくとも一方が実質的に透明であればよい。発電効率の向上の観点からは、導電性支持体を透明にして光を導電性支持体側から入射させるのが好ましい。この場合、対極は光を反射する性質を有するのが好ましい。このような対極としては、金属又は導電性の酸化物を蒸着したガラス又はプラスチック、金属薄膜等が好適である。
上記対極を設ける手順としては、(イ)電荷移動層を形成した後でその上に設ける場合と、(ロ)感光層の上にスペーサを介して対極を配置した後でその空隙に電解質溶液を充填する場合の2通りある。(イ)の場合、電荷移動層上に直接導電材を塗布、メッキ又は蒸着(PVD、CVD)するか、導電層を有する基板の導電層側を貼り付ける。また(ロ)の場合、感光層の上に支持体(スペーサ)を介して対極を組み立てて固定し、得られた組立体の開放端を電解質溶液に浸漬し、毛細管現象又は減圧を利用して感光層と対極との空隙に電解質溶液を浸透させる。また、導電性支持体の場合と同様に、特に対極が透明の場合には対極の抵抗を下げる目的で金属リードを用いるのが好ましい。なお、好ましい金属リードの材質及び設置方法、金属リード設置による入射光量の低下等は導電性支持体の場合と同じである。
(5)その他の層
本発明の色素増感型太陽電池においては、上述した(1)導電性支持体、(2)感光層、(3)電荷移動層及び(4)対極以外に、電極として作用する導電性支持体及び対極の一方又は両方に、保護層、反射防止層等の機能性層等を設けてもよい。このような機能性層を多層に形成する場合、同時多層塗布法や逐次塗布法を利用できるが、生産性の観点からは同時多層塗布法が好ましい。同時多層塗布法では、生産性及び塗膜の均一性の観点からスライドホッパー法やエクストルージョン法が適している。これらの機能性層の形成には、その材質に応じて蒸着法や貼り付け法等を用いることができる。また、対極と導電性支持体の短絡を防止するため、予め導電性支持体と感光層の間に緻密な半導体の薄膜層を下塗り層として塗設しておくこともできる。下塗り層の材料は好ましくはTiO、SnO、Fe、WO、ZnO及び/又はNbであり、更に好ましくはTiOである。下塗り層はElectrochimi.Acta,40(1995)p.643−652に記載されているスプレーパイロリシス法により塗設することができる。下塗り層の好ましい膜厚は5nm以上であり、また、1000nm以下である。より好ましくは、10nm以上であり、また、500nm以下である。
以下、本発明における光電変換素子を用いた色素増感型太陽電池のモジュール構造について説明する。
本発明の色素増感型太陽電池は、従来の太陽電池モジュールと基本的には同様のモジュール構造をとりうるものである。太陽電池モジュールは、一般的には金属、セラミック等の支持基板の上にセルが構成され、その上を充填樹脂や保護ガラス等で覆い、支持基板の反対側から光を取り込む構造をとるが、支持基板に強化ガラス等の透明材料を用い、その上にセルを構成してその透明の支持基板側から光を取り込む構造とすることも可能である。具体的には、スーパーストレートタイプ、サブストレートタイプ及びポッティングタイプと呼ばれるモジュール構造、アモルファスシリコン太陽電池等で用いられる基板一体型モジュール構造等が知られており、使用目的や使用場所及び環境により、適宜これらのモジュール構造を選択できる。
代表的なスーパーストレートタイプ又はサブストレートタイプのモジュールは、片側又は両側が透明で反射防止処理を施された支持基板の間に一定間隔にセルが配置され、隣り合うセルどうしが金属リード又はフレキシブル配線等によって接続され、外縁部に集電電極が配置されており、発生した電力が外部に取り出される構造となっている。基板とセルの間には、セルの保護や集電効率向上のため、目的に応じエチレンビニルアセテート(EVA)等の様々な種類のプラスチック材料をフィルム又は充填樹脂の形で用いてもよい。また、外部からの衝撃が少ないところ等表面を硬い素材で覆う必要のない場所において使用する場合には、表面保護層を透明プラスチックフィルムで構成し、又は、上記充填樹脂を硬化させることによって保護機能を付与し、片側の支持基板をなくすことが可能である。支持基板の周囲は、内部の密封及びモジュールの剛性を確保するため金属製のフレームでサンドイッチ状に固定し、支持基板とフレームの間は封止材料で密封シールする。また、セルそのものや支持基板、充填材料及び封止材料に可撓性の素材を用いれば、曲面の上に太陽電池を構成することもできる。
上記スーパーストレートタイプの太陽電池モジュールは、例えば、基板供給装置から送り出されたフロント基板をベルトコンベヤ等で搬送しながら、その上にセルを封止材料−セル間接続用リード線、背面封止材料等と共に順次積層した後、背面基板又は背面カバーを乗せ、外縁部にフレームをセットして作製することができる。
一方、サブストレートタイプの場合、基板供給装置から送り出された支持基板をベルトコンベヤ等で搬送しながら、その上にセルをセル間接続用リード線、封止材料等と共に順次積層した後、フロントカバーを乗せ、周縁部にフレームをセットして作製することができる。
上記光電変換素子として、基板一体型モジュール化した構造を有するものの場合について図6を用いて説明する。図6は、透明な基板の一方の面上に透明な導電層を有し、この上に更に色素吸着TiOを含有した感光層、電荷移動層及び対極導電層を設けたセルがモジュール化されており、透明基板の他方の面には反射防止層(図示せず)が設けられている構造を有する。このような構造とする場合、入射光の利用効率を高めるために、感光層の面積比率(光の入射面である基板側から見たときの面積比率)を大きくするのが好ましい。
図6に示した構造のモジュールの場合、基板上に透明導電層、感光層、電荷移動層、対極等が立体的かつ一定間隔で配列されるように、選択メッキ、選択エッチング、CVD、PVD等の半導体プロセス技術、又はパターン塗布若しくは広幅塗布後のレーザースクライビング、プラズマCVM(Solar Energy Materials and Solar Cells,48,p.373−381等に記載)、研削等の機械的手法等によりパターニングすることで所望のモジュール構造を得ることができる。
以下に、その他の部材や工程について説明する。
上記封止材料としては、上述したラジカル硬化型樹脂、イオン硬化型樹脂、熱硬化型樹脂等の硬化型樹脂が好適である。また、目的に応じて液状EVA(エチレンビニルアセテート)、フィルム状EVA、フッ化ビニリデン共重合体とアクリル樹脂の混合物等を使用することもできる。モジュール外縁と周縁を囲むフレームとの間は、耐候性及び防湿性が高い封止材料を用いるのが好ましい。また、透明フィラーを封止材料に混入して強度や光透過率を上げることができる。
上記封止材料をセル上に固定するときは、材料の物性に合った方法を用いる。フィルム状の材料の場合はロール加圧後加熱密着、真空加圧後加熱密着等、液又はペースト状の材料の場合はロールコート、バーコート、スプレーコート、スクリーン印刷等の様々な方法が使用可能である。
上記支持基板としてPET、PEN等の可撓性素材を用いる場合は、ロール状の支持体を繰り出してその上にセルを構成した後、上記の方法で連続して封止層を積層することができ、高い生産性が得られる。
上記太陽電池においては、発電効率を上げるために、モジュールの光取り込み側の基板(一般的には強化ガラス)の表面には反射防止処理が施される。反射防止処理方法としては、反射防止膜をラミネートする方法及び反射防止層をコーティングする方法がある。
また、セルの表面をグルービング又はテクスチャリング等の方法で処理することによって、入射した光の利用効率を高めることが可能である。
上記太陽電池において、発電効率を上げるためには、光を損失なくモジュール内に取り込むことが最重要であるが、光電変換層を透過してその内側まで到達した光を反射させて光電変換層側に効率良く戻すことも重要である。光の反射率を高める方法としては、支持基板面を鏡面研磨した後、AgやAl等を蒸着又はメッキする方法、セルの最下層にAl−Mg又はAl−Ti等の合金層を反射層として設ける方法、アニール処理によって最下層にテクスチャー構造を作る方法等がある。
また、発電効率を上げるためにはセル間接続抵抗を小さくすることが、内部電圧降下を抑える意味で重要である。セルどうしを接続する方法としてはワイヤーボンディング、導電性フレキシブルシートによる接続が一般的であるが、導電性粘着テープや導電性接着剤を用いてセルを固定すると同時に電気的に接続する方法、導電性ホットメルトを所望の位置にパターン塗布する方法等もある。
ポリマーフィルム等のフレキシブル支持体を用いた太陽電池の場合、ロール状の支持体を送り出しながら上述の方法によって順次セルを形成し、所望のサイズに切断した後、周縁部をフレキシブルで防湿性のある素材でシールすることにより電池本体を作製できる。また、Solar Energy Materials and Solar Cells,48,p.383−391に記載の「SCAF」とよばれるモジュール構造とすることもできる。更に、フレキシブル支持体を用いた太陽電池は、曲面ガラス等に接着固定して使用することもできる。
以上のように、使用目的や使用環境に合わせて様々な形状・機能をもつ太陽電池を製作することができる。
本発明の色素増感型太陽電池は、上述の構成よりなるため、安全性が高く、かつイオン伝導度が高められて、電池としての性能に優れるものであり、様々な用途に好適に用いることができるものである。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全て本発明に包含される。
(対極)
FTO基板[日本板硝子社製「VZ019」(酸化スズ膜付きガラス)]にPtをスパッタしたものを対電極として使用した。Pt膜厚は300nmであった。
(半導体電極)
高純度酸化チタン(昭和タイタニウム社製「スーパータイタニアF−6」)0.4g、水2mL、ポリエチレングリコール(分子量50万、和光純薬社製)0.12g、マーポローズ(松本油脂製薬社製「60MP−50」)0.04gを均一混合し、塗布溶液とした。この塗布溶液を、FTO基板[日本板硝子社製「VZ019」(酸化スズ膜付きガラス)]にドクターブレード法にて塗布した後、これを100℃で乾燥し、更に450℃で1時間熱処理を施して、多孔質TiO薄膜電極(半導体電極)とした。この電極をRuN色素のエタノール溶液(濃度3.0×10−3mol/L)に10時間浸漬し、RuN色素(増感色素)が吸着した半導体電極を得た。なお、上記RuN色素とは、Solaronix社製「Ruthenium 535」[Cis−bi(isothiocyanate)bis(2,2′−bipyridyl−4,4′−dicarboxylate)−ruthenium(II)]である。
半導体電極の半導体層(多孔質TiO薄膜)の膜厚は10μmであった。
(電荷移動層)
電解質:ヨウ化リチウム(濃度0.1mol/L)、ヨウ素(濃度0.05mol/L)、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾールヨウ素塩(濃度0.3mol/L)、及び、t−ブチルピリジン(濃度0.5mol/L)と1−メチル−3−エチルイミダゾリウムジシアノアミド(以下、EMImDCAと記す)から構成される電解液を用いた。また比較例として、EMImDCAの代わりに1−メチル−3−エチルイミダゾリウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド(以下、EMImTFSIと記す)を用いた。
上記の対極、半導体電極及び電荷移動層を図1(電池構成図)に示すように配置し、封止材(三井デュポンフルオロケミカルズ社製「ハイミラン」)で封止して、色素増感太陽電池を得た。この際の対極−半導体電極間の間隔は20μmとした。また、電極面積は0.2cm(4×5mm)とした。
また、色素増感太陽電池の電池性能測定を次の方法によって行った。色素増感太陽電池の対極及び半導体電極と、電流計:KEITHLEY社製「487」、ファンクションジェネレーター:北斗電工社製「HB−105」、及び、ポテンシオスタット:北斗電工社製「HA−5016」から構成される電流電圧測定装置とを、ワニロクリップを取り付けたリード線を用いて接続した。その後、色素増感太陽電池の半導体電極基板側に、500Wのキセノンランプ(ウシオ社製)の光を分光フィルター(Oriel社製「AM1.5」)を通して得た模擬太陽光(光強度I:100mW/cm)を照射した。このときに色素増感太陽電池によって発生した電気を、上記電流電圧測定装置によって測定した。この結果から、開放光電圧Voc、短絡光電流密度Jsc及びフィルファクターFFを求め、下記式(1)からエネルギー変換効率ηを算出した。
η=100×Voc×Jsc×FF/I (1)
<実施例>
電荷移動層にEMImDCAを用いた場合におけるエネルギー変換効率ηは、エネルギー変換効率η=1.1%であった。
<比較例>
電荷移動層にEMImTFSIを用いた場合におけるエネルギー変換効率ηは、
エネルギー変換効率η=0.4%であった。
本発明の色素増感型太陽電池の一例を示す部分(光電気変換素子)断面図である。 本発明の色素増感型太陽電池の一例を示す部分(光電気変換素子)断面図である。 本発明の色素増感型太陽電池の一例を示す部分(光電気変換素子)断面図である。 本発明の色素増感型太陽電池の一例を示す部分(光電気変換素子)断面図である。 本発明の色素増感型太陽電池の一例を示す部分(光電気変換素子)断面図である。 本発明の色素増感型太陽電池の一例を示す部分(光電気変換素子)断面図、又は、本発明における光電気変換素子を用いた基板一体型太陽電池モジュールの構造の一例を示す部分断面図である。 従来の色素増感型太陽電池の一例を示す部分(光電気変換素子)模式図である。

Claims (3)

  1. 下記一般式(1);
    Figure 2004241378
    (式中、Xは、B、C、N、O、Al、Si、P、As及びSeから選ばれる少なくとも1種の元素を表す。M及びMは、それぞれ同一若しくは異なって、有機連結基を表す。Qは、有機基を表す。aは、1以上の整数であり、b、c、d及びeは、0以上の整数である。)で表されるアニオンを有するイオン性物質を含有してなる
    ことを特徴とする色素増感型太陽電池。
  2. 前記イオン性物質は、下記一般式;
    Figure 2004241378
    (式中、R〜Rは、同一若しくは異なって、有機基であり、互いに結合していてもよい。)で表されるオニウムカチオンを有する
    ことを特徴とする請求項1記載の色素増感型太陽電池。
  3. 前記イオン性物質は、ジシアノアミドアニオンを有することを特徴とする請求項1又は2記載の色素増感型太陽電池。
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