JPWO2003083895A1 - 発光管及び低圧水銀ランプ - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、ガラス管を螺旋形状に湾曲してなる発光管及び前記発光管を用いた低圧水銀ランプ。
背景技術
省エネルギー時代を迎え、ランプ効率が高くしかも長寿命な低圧水銀ランプが注目されている。特に、一般電球を代替する光源として電球形蛍光ランプの検討が進められている。なお、電球形蛍光ランプを、以下、「ランプ」といい、コンパクト形蛍光ランプ等の蛍光ランプを、電球形蛍光ランプと区別して、「蛍光ランプ」という。
このようなランプは、ガラス管を湾曲させてなる発光管と、この発光管を点灯させるための点灯回路と、この点灯回路を収納し且口金を有するケースとを備えている。なお、このランプは、発光管を覆う外管バルブを有しないタイプである。
上記の発光管には、U字形状のガラス管を複数、例えば3本連結したものもあるが、近年、ガラス管をその略中央から折り返しその両側を旋回させた2重螺旋形状のものも採用されつつある。これは、発光管を2重螺旋形状にすることにより限られた空間を有効に利用でき、発光管が、U字形状のガラス管を使用したものより小さくなるからである。なお、一般電球60W代替品であるランプは一般電球と同じ程度にまで小形化されつつある。
一方、2重螺旋形状の発光管を採用したランプでは、一般電球と同等の光束を得るために管壁負荷が高く設定されている。このため、定常点灯時におけるガラス管の最冷点温度が、最大の光束を発する最適な温度(この温度を、以下、「最適な最冷点温度」という。)より高くなってしまい、最適なランプ効率が得られていない。
そこで、2重螺旋形状の発光管を用いたランプでは、例えば、定常点灯時の最冷点温度を最適な最冷点温度に近づけるために、発光管の先端部を凸状に膨らませて熱放出面積を広くしている。その結果、一般電球60W(光束は810lmである)代替用の13W品種では、光束が約800lmで、ランプ効率が62lm/Wの値が得られ、また一般電球100W(光束は1520lmである)代替用の23W品種では、光束が約1500lmで、ランプ効率が65lm/Wの値が得られるようになった。なお、これらのランプは、定格寿命時間が6000hrs以上であった
このように従来のランプは、発光管の先端部を凸状に膨らませて、最冷点温度を低下させてはいるものの、依然定常点灯時の最冷点温度が最適な最冷点温度を超えており、ランプ効率が充分改善されたとはいい難い。
なお、ガラス管の最冷点温度を下げるために、例えば、管壁負荷を小さくすると所望の光束が得られず、またガラス管の径を大きくすると発光管が大形化してしまう。
発明の開示
本発明の第1の目的は、定常点灯時のガラス管の最冷点温度と、点灯時に最大の光束を発する最適な最冷点温度とを略同じにできる発光管を提供することである。
また、本発明の第2の目的は、発光管からの光束を落とさず、また発光管を大形化することなく、ランプ効率をさらに向上させることができる低圧水銀ランプを提供することである。
上記第1の目的を達成すべく、本発明に係る発光管は、ガラス管を螺旋形状に湾曲させてなる発光管であって、前記ガラス管は、その横断面の内周が略円形状で、内径が5mm以上9mm以下の範囲内にあり、定常点灯時における前記ガラス管の最冷点箇所の温度が60℃以上65℃以下の範囲内となるように管壁負荷が設定されていることを特徴としている。
この構成によると、定常点灯時の最冷点温度と最大光束を発する最適な最冷点温度とを略同じにできる。これにより、ランプ効率を向上させることができると共に、ランプの長寿命化ができる。
また、上記第1の目的を達成すべく、本発明に係る発光管は、ガラス管を螺旋形状に湾曲させてなる発光管であって、前記ガラス管は、その横断面の内周が略楕円形状で、内周の長径が5mm以上9mm以下の範囲内にあると共に内周の短径が3mm以上であり、定常点灯時における前記ガラス管の最冷点箇所の温度が60℃以上65℃以下の範囲内となるように管壁負荷が設定されていることを特徴ととしている。
この構成によると、定常点灯時の最冷点温度と最大光束を発する最適な最冷点温度とを略同じにできる。
さらに、上記の発光管において、前記管壁負荷が0.08W/cm2以上0.12W/cm2以下の範囲内に設定されていることを特徴としている。このため、管壁負荷が小さくなり、発光管の寿命が長くなる。
また、ガラス管は、その両端間の略中央に折り返し部を有すると共に、一方の端部から旋回軸の廻りを旋回しながら前記折り返し部に向かう第1の旋回部と、前記折り返し部から前記旋回軸の廻りを旋回しながら他方の端部に向かう第2の旋回部とを有する2重螺旋形状に形成されていることを特徴としている。
あるいは、ガラス管は、その両端間の略中央に折り返し部を有すると共に、一方の端部から旋回軸の廻りを旋回しながら前記折り返し部に向かう第1の旋回部と、前記折り返し部から前記旋回軸の廻りを旋回しながら他方の端部に向かう第2の旋回部とを有する2重螺旋形状に形成されていることを特徴とする請求の範囲第3項記載の発光管。このため、限られた空間を効率よく利用して発光管を小形化できる。
さらに、ガラス管は、最大外径が30mm以上40mm以下、最大長さが50mm以上100mm以下の円筒空間に収まる大きさに形成されていることを特徴としている。このため、たとえば、この発光管を電球形蛍光ランプに適用すると、一般電球より小型化でき、従来の一般電球を用いた照明装置にも適用できる。
上記第2の目的を達成すべく、本発明に係る低圧水銀ランプは上述の発光管を備えることを特徴としている。このため、発光管からの光束を落とさず、また発光管を大形化することなく、定常点灯時のガラス管の最冷点温度と、点灯時に最大の光束を発する最適な最冷点温度とを略同じにできる。これにより、ランプ効率をさらに向上させることができる。
発明を実施するための最良の形態
<実施の形態>
以下、本発明に係る発光管を電球形蛍光ランプに適用させた実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(第1の実施の形態)
1.電球形蛍光ランプの構成について
1)全体構成について
図1は本発明に係る電球形蛍光ランプの一部を切り欠いた全体構造を示す正面図である。この電球形蛍光ランプ1(以下、単に「ランプ1」という。)は、一般電球60Wの代替用である12W品種である。ここで、従来技術で説明した一般電球60W代替用の13W品種のランプを、「従来のランプ」ということもある。
ランプ1は、同図に示すように、2重螺旋形状に湾曲する発光管2と、この発光管2を点灯させるための点灯回路3と、点灯回路3を収納するケース4とを備えている。ケース4は、上端に口金5を、また下端に発光管2を保持するホルダ6をそれぞれ備えている。
発光管2は、ケース4のホルダ6から下方(口金5と反対側)に延伸しており、発光管2を形成するガラス管9は、その両端9a、9b間の略中央の折り返し部10で折り返され、ガラス管9の両端9a、9bがホルダ6に固着されている。
図2は、発光管2の一部を切り欠いた構造を示す正面図である。
ガラス管9は、一方の端部9aから旋回軸Aの廻りを旋回しながら下方の折り返し部10に向かう第1の旋回部11aと、折り返し部10から同じく旋回軸Aの廻りを旋回しながら他方の端部9bに向かう第2の旋回部11bとを有する2重螺旋形状をしている。第1及び第2の旋回部11a、11bは、両者をあわせて旋回軸Aの廻りを略5周している。
なお、上記のように、ガラス管9が旋回軸A廻りに旋回している状態を、その周回数を用いて、例えば、「5周巻き」という。また、ガラス管9における第1及び第2の旋回部11a、11bは、水平方向(旋回軸Aに対して直交する方向)に対して所定角度α(この角度を、以下「螺旋角度」という。)傾斜して、旋回軸A廻りを旋回している。
ここで、発光管2の形状として2重螺旋形状を選択した理由は、螺旋形状の発光管の方が、U形状のガラス管からなる発光管よりも限られた空間を有効に利用でき、例えば、発光管内の電極間距離を長くできたり、発光管2全体を小形化できたりするからである。
ガラス管9の両端部9a、9bには、電極7、8が封装されている。この電極7、8は、タングステン製のフィラメントコイル7c、8cが一対のリード線7a、7b、8a、8bより架持されると共に、一対のリード線7a、7b、8a、8bが仮止めされた(ビーズマウント方式)ものである。
電極7、8は、フィラメントコイル7c、8cがガラス管9の端寄りに挿入された状態で、一対のリード線7a、7b、8a、8bがガラス管9に封着されている。なお、この封着によりガラス管9内の気密性が保持される。
この気密封止されたガラス管9内には、水銀が単体形態で約3mg封入され、また緩衝ガスとしてアルゴン・ネオンガスが300Paで封入されている。なお、ガラス管9の内面には、希土類の蛍光体12が塗布されている。ここで使用される蛍光体12は、赤、緑、青発光の3種類のY2O3:Eu、LaPO4:Ce2Tb及びBaMg2Al16O27:Eu,Mn蛍光体を混合したものである。なお、発光管2の先端部、つまり折り返し部10に点灯時に最も温度の低い最冷点箇所13が形成される。
図1に戻って、ホルダ6の裏面には、発光管2を点灯させるための電気部品17を装着する基板16が取着されている。なお、これらの電気部品17により点灯回路3が構成されている。この点灯回路3は、シリーズインバータ方式であって、その回路効率は91%である。
ケース4は、合成樹脂製であって、図1に示すように、下端部に開口部を有するコーン状をしている。ホルダ6は、点灯回路3側がケース4内の奥側となるようにケース4の開口部を塞ぎ、この状態で、ホルダ6の周縁部がケース4の周壁に接着剤、ねじ等の適宜装着手段により装着されている。
ケース4の上部の口金5には、ねじ込み式口金、例えばE26型やE17型が用いられている。なお、図1では、発光管2と点灯回路3との電気的接続及び口金5と点灯回路3との電気的接続についての図示は省略している。ここで、ランプ1の全長、つまりケース4の口金5の端部から発光管2の先端部までの長さをランプ長L0とし、発光管2の外径をφ0とする。
2)具体的構成について
本実施の形態での具体的構成を説明する。
発光管2を形成するガラス管9は、図2に示すように、その管内径φiが7.4mm、管外径φoが9.0mmである。発光管2は、両電極7、8間の距離(以下、単に「電極間距離」という。)が450mmで、ガラス管2が旋回軸Aの廻りを略5周旋回する略5周巻の2重螺旋形状に形成されている。
発光管2の外観の外径φtは37mmで、長さLtは60mmになっている。この発光管2の大きさは、従来の13W品種のランプの発光管(外径φ0が45mm、長さLtが70mm)と比較して、外径で8mm、長さで10mm小さくなっている。なお、発光管2の長さLtは、発光管2の旋回軸Aと平行な方向の長さである。
ガラス管9の折り返し部10と、この折り返し部10で折り返された最下位に位置する第1及び第2の旋回部11a、11bとの間の隙間Sは、図2の(b)に示すように、ガラス管9の管外径φiが9.0mmであることから、5mmとなる。このことから、発光しない部分(隙間部分)の面積が、発光管2の下面図において、発光する部分(両旋回部11a、11bと折り返し部10)の面積に対してその割合が小さくなり、発光分布が略均一となると共に、発光管2の下端部からの、所謂直下照度が増大する。
ランプ1は、図1に示すように、そのランプ長L0が105mmであり、一般の一般電球60Wのランプ長L0が110mmに対して、ランプ長が5mm小さくなっており、一般電球60Wより短くなっている。
次に、上記構成のランプ1における性能について説明する。
定格ランプ入力12Wでランプ1を、口金5を上にした状態で点灯(以下、単に「口金上点灯」という。)したとき(この時の管壁負荷は0.103W/cm2)、光束として893lmが、またランプ効率として74.2lm/Wがそれぞれ得られた。
この光束の値は、従来のランプにおける光束800lmに比べて約1.1倍であり、ランプ効率は、従来のランプにおけるランプ効率62lm/Wに比べて、約1.2倍となった。また同時に、定格寿命時間が、10550時間という、6000時間をはるかに超える結果が得られた。なお、参考までに、上記条件で点灯させたランプ1におけるガラス管9の最冷点箇所の温度は、62℃であった。
2.検討内容
本発明者は、従来のランプでは、定常点灯時のガラス管の最冷点温度が最適な最冷点温度より高いため、定常点灯時の最冷点温度を最適な最冷点温度まで下げることができれば、ランプ効率が向上すると考えた。つまり、定常点灯時の最冷点温度を低下させる手段の検討を行った。
1)ガラス管の管内径と温度との関係
発明者は、ガラス管9の管内径φiを5mmから12mmに変化させて、その管内径φiで最大の光束を発光する最適の最冷点温度T1を測定した。具体的には、管内径φiを5mmから12mmまで1mmずつ大きくしたガラス管9を用いた発光管2を装着するランプ1を製作し、これらのランプ1を用いて最適な最冷点温度T1を測定した。
測定方法は、ランプ1を温度制御可能な恒温槽内に設置して、発光管2内の水銀蒸気圧を変化させた。具体的には、発光管2内の水銀蒸気圧を変化させるために恒温槽内の温度を変化させ、発光管2が最大の光束を発する時の最冷点箇所の温度(最冷点温度T1)を測定した。
ここで、管内径φiを5mmから12mmの範囲で変化させているのは、管内径φiが5mmより小だと、フィラメントコイル7c、8cをガラス管9の端部内に挿入し難く、また、管内径φiが12mmより大だと発光管2全体が大きくなり、ランプ1が大形化してしまうからである。
上記の測定結果を図3に示す。同図に示すように、ガラス管9の管内径φiが小さくなるに従って、最適の最冷点温度T1が向上しているのが分かる。
ここで、ガラス管9の管内径φiにおける最大の光束を発する条件を、温度で規定している理由は、ランプ1が最大の光束を発することができる条件が、発光管2内の水銀蒸気圧、つまり、温度で決定されるからである。但し、発光管2内の水銀蒸気圧は、最適値までは蒸気圧の上昇と共に光束も増加するが、最適値を超えると、たとえ蒸気圧が上昇しても光束が低下する。これは、放電空間内の水銀原子が増加しすぎると、ある水銀原子から放出された紫外放射が、他の水銀原子に吸収されるからである。
2)最冷点温度と管壁負荷との関係
上記の管内径φiと最適の最冷点温度T1との結果から、ランプ1を定常点灯させたときのガラス管9の最冷点温度が、具体的に上記の最適の最冷点温度T1になればランプ効率が向上するはずである。従って、管内径φiが5mmから9mmの発光管2を用いて定常点灯させた時の最冷点温度が60℃〜65℃になれば良いことになる。
管内径φiの範囲を9mm以下としたのは、発光管2の小形化が図れると共に、これまでの管内径φiが12mmの場合に比べて、発光管2の小形化が図れると共に同じ容積内における電極間距離を長くすることができ、ランプ設計の自由度が拡がるからである。
次に、定常点灯時のガラス管9の最冷点温度と管壁負荷weとの関係を調べた。測定に用いた発光管2は、管内径φiが5.0mm、6.0mm、7.4mm及び9.0mmの4種類のガラス管9を用いて形成されたものであり、各管内径φiについて電極間距離Leを変えたものを試作し、従来のランプよりも1〜2W低い12Wと21Wとの2種類のランプ入力値で、電源電圧100V、口金上点灯したときの最冷点温度T2を測定した。
なお、ここで管壁負荷weを測定したのは、上記の最冷点温度T2が管壁負荷weにより規定されるからであり、この管壁負荷weは、発光管入力値を発光管2の内周面の表面積π×φi×Leで除した値である。ここで、発光管入力値は、定格ランプ入力値(例えば、12W)に点灯回路3の回路効率(0.91)を乗じて算出される。
これらの測定結果を図4に示す。同図に示すように、ガラス管9の各管内径φiにおける最冷点温度が60℃〜65℃となる管壁負荷weの範囲は0.08W/cm2〜0.12W/cm2であった。このことから、管内径φiが5mm〜9mmの発光管2を用いた場合、管壁負荷weを0.08W/cm2〜0.12W/cm2に設定すれば良いことが判明した。
なお、ランプ1を上記の範囲(0.08W/cm2〜0.12W/cm2)の管壁負荷weで点灯させることにより、従来の管壁負荷(0.139W/cm2〜0.165W/cm2の範囲と推定)より小さくなり、ランプ1の寿命特性も改善されて、定格寿命時間6000hrs以上の長寿命を保証できることも合わせて確認できている。
3)まとめ
以上の検討から、本実施の形態であるランプ1の構成をまとめると、管内径φiを5.0mm以上9.0mm以下の範囲内で、管壁負荷weを0.08W/cm2以上0.12W/cm2以下の範囲内に設定すると、定常点灯時のガラス管9の最冷点温度T2と、発光管2が最大の光束を発するときの最適な最冷点温度T1とが略一致して、ランプ効率の非常に高いランプ1を得ることができる。
特に、一般電球60W代替の例として、上記で説明したランプ1では、従来のランプに比べて、ランプ効率を20%(62lm/W→74.2lm/W)向上させることができたうえ、光束も93lm(800lm→893lm)向上させることができた。当然、ランプ1の大きさも従来の13W品種のランプより小形化できている。
(第2の実施の形態)
上記第1の実施の形態では、本発明を一般電球60W代替の12W品種に適用させた例を示したが、第2の実施の形態では、一般電球100W代替の21W品種に適用させたものである。なお、従来技術で説明した一般電球100W代替用の23W品種のランプを、本第2の実施の形態内において、「従来のランプ」という。
図5は第2の実施の形態に係る電球形蛍光ランプの一部を切り欠いた全体構造を示す正面図である。
本第2の実施の形態におけるランプ31の基本構成は、第1の実施の形態と同様であり、構成が異なる点は、一般電球100W代替であるため、定格ランプ入力が12Wから21Wに増大すると共に、一般電球100Wと略同等の光束を得るために、発光管32の電極間距離を長くしている。このため、発光管32の2重螺旋形状が、第1の実施の形態での5周巻きから7周巻きに変更されている。なお、点灯回路33も、定格ランプ入力の12Wから21Wへの増大に対応して変更している。
また、本第2の実施の形態においても、ガラス管9の管内径φiは、第1の実施の形態と同様の理由により、5.0mm以上9.0mm以下の範囲に、管壁負荷weが管壁負荷weを0.08W/cm2〜0.12W/cm2の範囲に規定されている。
1)具体的構成
発光管32は、ガラス管39の管内径φiが7.4mm、管外径φoが9.0mmで、電極間距離は640mmである。そして、ガラス管39は7周巻きの螺旋形状に形成され、発光管32の大きさが、直径φoが37mm、長さが85mmになっている。一方、ランプ31の全長L0は123mmである。
これらの寸法は、従来のランプ(ランプ長L0:150mm)に対して、ランプ長L0が27mm小さい、つまり、本第2の実施の形態におけるランプ31は従来のランプより小形化している。
次に、上記構成のランプ31における性能について説明する。
まず、定格ランプ入力が21Wで口金上点灯したとき(このとき管壁負荷は0.103W/cm2である)、光束として1660lmが、またランプ効率として75.5lm/Wがそれぞれ得られた。
この光束は、従来のランプにおける光束の1500lmに比べて約1.1倍であり、ランプ効率は、従来のランプにおけるランプ効率の65lm/Wに比べて、約1.2倍となった。また同時に、定格寿命時間が、9850時間という、6000時間以上をはるかに超える結果が得られた。なお、参考までに、上記条件で点灯させたランプ31におけるガラス管39の最冷点箇所の温度は、63℃であった。
(変形例)
以上、本発明を各実施の形態に基づいて説明したが、本発明の内容が、上記の各実施の形態に示された具体例に限定されないことは勿論であり、例えば以下のような変形例を実施することができる。
1.発光管の外観形状について
上記の各実施の形態では、発光管の平面視の形状が略円形となるようにガラス管が形成されているが、例えば、発光管の平面視の形状を略楕円になるように形成しても良い。但し、このような楕円形状にする場合には、ガラス管を2重螺旋形状に形成するための成形金型を分割できる割型にする必要がある。
また、各実施の形態では、発光管が2重螺旋形状に形成されていたが、例えば、折り返し部から一方の端部までが旋回軸の廻りを旋回する1重螺旋形状であっても良い。
2.発光管の管形状について
上記の各実施の形態では、ガラス管の横断面の内周面が円形状であったが、非円形状であっても良い。この非円形状の例としては、図6に示すような楕円形状がある。なお、楕円形状以外に、「く」の字形状、扇形状等も実施可能である。
ガラス管49の横断面形状を楕円形状にすると、例えば、直径が楕円の長径と同じ円形断面に比べて横断面の中心から管壁までの距離が短径側で短縮できる。このため、水銀原子から放出された紫外放射が他の水銀原子に吸収される割合が低下し、それだけ光束が増え、一層改善されたランプ効率が得られると考えられる。
さらに、断面形状が円形状では、管内径φiが5mmより小さくなると、フィラメントコイルのガラス管の端部内への挿入が困難になるが、ガラス管の断面形状を楕円にすると、管内周の長径が5mm以上で、短径が3mm以上あればフィラメントコイルの挿入設置が可能となる。なお、両実施の形態で使用した電極のフィラメントコイルをガラス管の管軸から見たときの大きさは、5mm×3mm程度である。
しかも、横断面形状が円形状のガラス管の直径と、横断面形状が楕円形状のガラス管49の長径とが同じである場合、楕円形状をした発光管42の方が電極間距離を長くできる。つまり、この楕円形状において、図6に示すように、旋回軸方向(図2参照)と略平行な方向(正確には、旋回軸に対して螺旋角度傾斜する方向)を長径D2と、また旋回軸と略直交する方向(正確には、旋回軸に直交する方向に対して螺旋角度傾斜する方向を短径D1とする。そして、横断面が円形状のガラス管の直径と長径D2とが同じである場合、旋回軸の廻りを旋回する各発光管における旋回軸側の内周は、横断面形状が楕円形状した方が、外側(旋回軸から離れる方向)に位置するからである。
3.低圧水銀ランプについて
上記の各実施の形態では、低圧水銀ランプとして、電球形蛍光ランプについて説明したが、本発明にかかる低圧水銀ランプは、電球形蛍光ランプに限定するものではない。例えば、コンパクト形蛍光ランプ等の蛍光ランプ、さらには、発光管を構成するガラス管の内面に蛍光体が塗布されていないものであっても良い。
図7は、低圧水銀ランプの一例である蛍光ランプの一部を切り欠いた全体構成を示す正面図である。
蛍光ランプ51は、図7に示すように、ガラス管59を折り返し部59Cで折り返してその両側を旋回軸(不図示)の割を旋回させた2重螺旋形状の発光管52と、この発光管52を保持する保持部材53と、この保持部材53における前記発光管52側と反対側に取着された片口金54とを備える。
発光管52は、上記第1の実施の形態で説明した発光管と同構造である。
保持部材53は、ガラス管59の端部59a、59bを保持するホルダ56と、このホルダ56の周縁に取り付けられたケース55とを備えている。片口金54は、ここでは、GX24q型を利用しているが、他の形状、例えば、GX10等の口金であっても良い。
産業上の利用可能性
本発明に係る発光管は、小形でランプ性能に優れる低圧水銀ランプに適用でき、また本発明にかかる低圧水銀ランプは、小形でランプ性能に優れた光源として利用できる。
【図面の簡単な説明】
図1は、第1の実施の形態におけるランプの一部を切り欠いた全体構成を示す正面図である。
図2の(a)は、第1の実施の形態における発光管の一部を切り欠いた構成を示す正面図であり、(b)は発光管の下面図である。
図3は、発光管が最大の光束を発するときの最適の最冷点温度と、ガラス管の管内径との関係を示す図である。
図4は、ガラス管の最冷点温度と管壁負荷との関係を示す図である。
図5は、第2の実施の形態を示す電球形蛍光ランプの正面図である。
図6は、変形例における発光管の一部を示す正面図である。
図7は、低圧水銀ランプの一例である蛍光ランプの一部を切り欠いた全体構成を示す正面図である。
Claims (7)
- ガラス管を螺旋形状に湾曲させてなる発光管であって、
前記ガラス管は、その横断面の内周が略円形状で、内径が5mm以上9mm以下の範囲内にあり、
定常点灯時における前記ガラス管の最冷点箇所の温度が60℃以上65℃以下の範囲内となるように管壁負荷が設定されている
ことを特徴とする発光管。 - ガラス管を螺旋形状に湾曲させてなる発光管であって、
前記ガラス管は、その横断面の内周が略楕円形状で、内周の長径が5mm以上9mm以下の範囲内にあると共に内周の短径が3mm以上であり、
定常点灯時における前記ガラス管の最冷点箇所の温度が60℃以上65℃以下の範囲内となるように管壁負荷が設定されている
ことを特徴とする発光管。 - 前記管壁負荷が0.08W/cm2以上0.12W/cm2以下の範囲内に設定されていることを特徴とする請求の範囲第1項記載の発光管。
- 前記ガラス管は、その両端間の略中央に折り返し部を有すると共に、一方の端部から旋回軸の廻りを旋回しながら前記折り返し部に向かう第1の旋回部と、前記折り返し部から前記旋回軸の廻りを旋回しながら他方の端部に向かう第2の旋回部とを有する2重螺旋形状に形成されていることを特徴とする請求の範囲第1項記載の発光管。
- 前記ガラス管は、その両端間の略中央に折り返し部を有すると共に、一方の端部から旋回軸の廻りを旋回しながら前記折り返し部に向かう第1の旋回部と、前記折り返し部から前記旋回軸の廻りを旋回しながら他方の端部に向かう第2の旋回部とを有する2重螺旋形状に形成されていることを特徴とする請求の範囲第3項記載の発光管。
- 前記ガラス管は、最大外径が30mm以上40mm以下、最大長さが50mm以上100mm以下の円筒空間に収まる大きさに形成されていることを特徴とする請求の範囲第1項〜第5項のいずれか1項に記載の発光管。
- 請求の範囲第1項〜第6項のいずれか1項に記載の発光管を備える低圧水銀ランプ。
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