JP4430947B2 - 発光管及び低圧水銀ランプ - Google Patents
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Description
このようなランプは、ガラス管を湾曲させてなる発光管と、この発光管を点灯させるための点灯回路と、この点灯回路を収納し且口金を有するケースとを備えている。なお、このランプは、発光管を覆う外管バルブを有しないタイプである。
そこで、2重螺旋形状の発光管を用いたランプでは、例えば、定常点灯時の最冷点温度を最適な最冷点温度に近づけるために、発光管の先端部を凸状に膨らませて熱放出面積を広くしている。その結果、一般電球60W(光束は810lmである)代替用の13W品種では、光束が約800lmで、ランプ効率が62lm/Wの値が得られ、また一般電球100W(光束は1520lmである)代替用の23W品種では、光束が約1500lmで、ランプ効率が65lm/Wの値が得られるようになった。なお、これらのランプは、定格寿命時間が6000hrs以上であった。
なお、ガラス管の最冷点温度を下げるために、例えば、管壁負荷を小さくすると所望の光束が得られず、またガラス管の径を大きくすると発光管が大形化してしまう。
また、本発明の第2の目的は、発光管からの光束を落とさず、また発光管を大形化することなく、ランプ効率をさらに向上させることができる低圧水銀ランプを提供することである。
また、上記第1の目的を達成すべく、本発明に係る発光管は、ガラス管を2重螺旋形状に湾曲させてなり且つ外管バルブにより覆われないタイプの熱陰極型発光管であって、前記ガラス管は、その両端間の略中央に折り返し部を有すると共に、一方の端部から旋回軸の廻りを旋回しながら前記折り返し部に向かう第1の旋回部と、前記折り返し部から前記旋回軸の廻りを旋回しながら前記ガラス管の他方の端部に向かう第2の旋回部とを有する2重螺旋形状に形成され、前記ガラス管は、その横断面の内周が略楕円形状で、内周の長径が5mm以上9mm以下の範囲内にあると共に内周の短径が3mm以上であり、定常点灯時における前記ガラス管の前記折り返し部に最冷点箇所が形成され、前記最冷点箇所の温度が60℃以上65℃以下の範囲内となるように、管壁負荷が0.08W/cm2以上0.12W/cm2以下の範囲内に設定されていることを特徴としている。
さらに、上記の発光管において、前記管壁負荷が0.08W/cm2以上0.12W/cm2以下の範囲内に設定されていることを特徴としている。このため、管壁負荷が小さくなり、発光管の寿命が長くなる。
あるいは、ガラス管は、その両端間の略中央に折り返し部を有すると共に、一方の端部から旋回軸の廻りを旋回しながら前記折り返し部に向かう第1の旋回部と、前記折り返し部から前記旋回軸の廻りを旋回しながら他方の端部に向かう第2の旋回部とを有する2重螺旋形状に形成されていることを特徴とする請求の範囲第3項記載の発光管。このため、限られた空間を効率よく利用して発光管を小形化できる。
上記第2の目的を達成すべく、本発明に係る低圧水銀ランプは上述の発光管を備えることを特徴としている。このため、発光管からの光束を落とさず、また発光管を大形化することなく、定常点灯時のガラス管の最冷点温度と、点灯時に最大の光束を発する最適な最冷点温度とを略同じにできる。これにより、ランプ効率をさらに向上させることができる。
以下、本発明に係る発光管を電球形蛍光ランプに適用させた実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(第1の実施の形態)
1.電球形蛍光ランプの構成について
1)全体構成について
図1は本発明に係る電球形蛍光ランプの一部を切り欠いた全体構造を示す正面図である。この電球形蛍光ランプ1(以下、単に「ランプ1」という。)は、一般電球60Wの代替用である12W品種である。ここで、従来技術で説明した一般電球60W代替用の13W品種のランプを、「従来のランプ」ということもある。
発光管2は、ケース4のホルダ6から下方(口金5と反対側)に延伸しており、発光管2を形成するガラス管9は、その両端9a、9b間の略中央の折り返し部10で折り返され、ガラス管9の両端9a、9bがホルダ6に固着されている。
ガラス管9は、一方の端部9aから旋回軸Aの廻りを旋回しながら下方の折り返し部10に向かう第1の旋回部11aと、折り返し部10から同じく旋回軸Aの廻りを旋回しながら他方の端部9bに向かう第2の旋回部11bとを有する2重螺旋形状をしている。第1及び第2の旋回部11a、11bは、両者をあわせて旋回軸Aの廻りを略5周している。
ここで、発光管2の形状として2重螺旋形状を選択した理由は、螺旋形状の発光管の方が、U形状のガラス管からなる発光管よりも限られた空間を有効に利用でき、例えば、発光管内の電極間距離を長くできたり、発光管2全体を小形化できたりするからである。
電極7、8は、フィラメントコイル7c、8cがガラス管9の端寄りに挿入された状態で、一対のリード線7a、7b、8a、8bがガラス管9に封着されている。なお、この封着によりガラス管9内の気密性が保持される。
ケース4は、合成樹脂製であって、図1に示すように、下端部に開口部を有するコーン状をしている。ホルダ6は、点灯回路3側がケース4内の奥側となるようにケース4の開口部を塞ぎ、この状態で、ホルダ6の周縁部がケース4の周壁に接着剤、ねじ等の適宜装着手段により装着されている。
本実施の形態での具体的構成を説明する。
発光管2を形成するガラス管9は、図2に示すように、その管内径φiが7.4mm、管外径φoが9.0mmである。発光管2は、両電極7、8間の距離(以下、単に「電極間距離」という。)が450mmで、ガラス管2が旋回軸Aの廻りを略5周旋回する略5周巻の2重螺旋形状に形成されている。
ガラス管9の折り返し部10と、この折り返し部10で折り返された最下位に位置する第1及び第2の旋回部11a、11bとの間の隙間Sは、図2の(b)に示すように、ガラス管9の管外径φiが9.0mmであることから、5mmとなる。このことから、発光しない部分(隙間部分)の面積が、発光管2の下面図において、発光する部分(両旋回部11a、11bと折り返し部10)の面積に対してその割合が小さくなり、発光分布が略均一となると共に、発光管2の下端部からの、所謂直下照度が増大する。
次に、上記構成のランプ1における性能について説明する。
定格ランプ入力12Wでランプ1を、口金5を上にした状態で点灯(以下、単に「口金上点灯」という。)したとき(この時の管壁負荷は0.103W/cm2)、光束として893lmが、またランプ効率として74.2lm/Wがそれぞれ得られた。
本発明者は、従来のランプでは、定常点灯時のガラス管の最冷点温度が最適な最冷点温度より高いため、定常点灯時の最冷点温度を最適な最冷点温度まで下げることができれば、ランプ効率が向上すると考えた。つまり、定常点灯時の最冷点温度を低下させる手段の検討を行った。
発明者は、ガラス管9の管内径φiを5mmから12mmに変化させて、その管内径φiで最大の光束を発光する最適の最冷点温度T1を測定した。具体的には、管内径φiを5mmから12mmまで1mmずつ大きくしたガラス管9を用いた発光管2を装着するランプ1を製作し、これらのランプ1を用いて最適な最冷点温度T1を測定した。
ここで、管内径φiを5mmから12mmの範囲で変化させているのは、管内径φiが5mmより小だと、フィラメントコイル7c、8cをガラス管9の端部内に挿入し難く、また、管内径φiが12mmより大だと発光管2全体が大きくなり、ランプ1が大形化してしまうからである。
ここで、ガラス管9の管内径φiにおける最大の光束を発する条件を、温度で規定している理由は、ランプ1が最大の光束を発することができる条件が、発光管2内の水銀蒸気圧、つまり、温度で決定されるからである。但し、発光管2内の水銀蒸気圧は、最適値までは蒸気圧の上昇と共に光束も増加するが、最適値を超えると、たとえ蒸気圧が上昇しても光束が低下する。これは、放電空間内の水銀原子が増加しすぎると、ある水銀原子から放出された紫外放射が、他の水銀原子に吸収されるからである。
上記の管内径φiと最適の最冷点温度T1との結果から、ランプ1を定常点灯させたときのガラス管9の最冷点温度が、具体的に上記の最適の最冷点温度T1になればランプ効率が向上するはずである。従って、管内径φiが5mmから9mmの発光管2を用いて定常点灯させた時の最冷点温度が60℃〜65℃になれば良いことになる。
次に、定常点灯時のガラス管9の最冷点温度と管壁負荷weとの関係を調べた。測定に用いた発光管2は、管内径φiが5.0mm、6.0mm、7.4mm及び9.0mmの4種類のガラス管9を用いて形成されたものであり、各管内径φiについて電極間距離Leを変えたものを試作し、従来のランプよりも1〜2W低い12Wと21Wとの2種類のランプ入力値で、電源電圧100V、口金上点灯したときの最冷点温度T2を測定した。
これらの測定結果を図4に示す。同図に示すように、ガラス管9の各管内径φiにおける最冷点温度が60℃〜65℃となる管壁負荷weの範囲は0.08W/cm2〜0.12W/cm2であった。このことから、管内径φiが5mm〜9mmの発光管2を用いた場合、管壁負荷weを0.08W/cm2〜0.12W/cm2に設定すれば良いことが判明した。
3)まとめ
以上の検討から、本実施の形態であるランプ1の構成をまとめると、管内径φiを5.0mm以上9.0mm以下の範囲内で、管壁負荷weを0.08W/cm2以上0.12W/cm2以下の範囲内に設定すると、定常点灯時のガラス管9の最冷点温度T2と、発光管2が最大の光束を発するときの最適な最冷点温度T1とが略一致して、ランプ効率の非常に高いランプ1を得ることができる。
(第2の実施の形態)
上記第1の実施の形態では、本発明を一般電球60W代替の12W品種に適用させた例を示したが、第2の実施の形態では、一般電球100W代替の21W品種に適用させたものである。なお、従来技術で説明した一般電球100W代替用の23W品種のランプを、本第2の実施の形態内において、「従来のランプ」という。
本第2の実施の形態におけるランプ31の基本構成は、第1の実施の形態と同様であり、構成が異なる点は、一般電球100W代替であるため、定格ランプ入力が12Wから21Wに増大すると共に、一般電球100Wと略同等の光束を得るために、発光管32の電極間距離を長くしている。このため、発光管32の2重螺旋形状が、第1の実施の形態での5周巻きから7周巻きに変更されている。なお、点灯回路33も、定格ランプ入力の12Wから21Wへの増大に対応して変更している。
1)具体的構成
発光管32は、ガラス管39の管内径φiが7.4mm、管外径φoが9.0mmで、電極間距離は640mmである。そして、ガラス管39は7周巻きの螺旋形状に形成され、発光管32の大きさが、直径φoが37mm、長さが85mmになっている。一方、ランプ31の全長L0は123mmである。
次に、上記構成のランプ31における性能について説明する。
まず、定格ランプ入力が21Wで口金上点灯したとき(このとき管壁負荷は0.103W/cm2である)、光束として1660lmが、またランプ効率として75.5lm/Wがそれぞれ得られた。
以上、本発明を各実施の形態に基づいて説明したが、本発明の内容が、上記の各実施の形態に示された具体例に限定されないことは勿論であり、例えば以下のような変形例を実施することができる。
1.発光管の外観形状について
上記の各実施の形態では、発光管の平面視の形状が略円形となるようにガラス管が形成されているが、例えば、発光管の平面視の形状を略楕円になるように形成しても良い。但し、このような楕円形状にする場合には、ガラス管を2重螺旋形状に形成するための成形金型を分割できる割型にする必要がある。
2.発光管の管形状について
上記の各実施の形態では、ガラス管の横断面の内周面が円形状であったが、非円形状であっても良い。この非円形状の例としては、図6に示すような楕円形状がある。なお、楕円形状以外に、「く」の字形状、扇形状等も実施可能である。
さらに、断面形状が円形状では、管内径φiが5mmより小さくなると、フィラメントコイルのガラス管の端部内への挿入が困難になるが、ガラス管の断面形状を楕円にすると、管内周の長径が5mm以上で、短径が3mm以上あればフィラメントコイルの挿入設置が可能となる。なお、両実施の形態で使用した電極のフィラメントコイルをガラス管の管軸から見たときの大きさは、5mm×3mm程度である。
上記の各実施の形態では、低圧水銀ランプとして、電球形蛍光ランプについて説明したが、本発明にかかる低圧水銀ランプは、電球形蛍光ランプに限定するものではない。例えば、コンパクト形蛍光ランプ等の蛍光ランプ、さらには、発光管を構成するガラス管の内面に蛍光体が塗布されていないものであっても良い。
蛍光ランプ51は、図7に示すように、ガラス管59を折り返し部59Cで折り返してその両側を旋回軸(不図示)の割を旋回させた2重螺旋形状の発光管52と、この発光管52を保持する保持部材53と、この保持部材53における前記発光管52側と反対側に取着された片口金54とを備える。
保持部材53は、ガラス管59の端部59a、59bを保持するホルダ56と、このホルダ56の周縁に取り付けられたケース55とを備えている。片口金54は、ここでは、GX24q型を利用しているが、他の形状、例えば、GX10等の口金であっても良い。
2 発光管
9 ガラス管
10 折り返し部
11a 第1の旋回部
11b 第2の旋回部
Claims (5)
- ガラス管を2重螺旋形状に湾曲させてなり且つ外管バルブにより覆われないタイプの熱陰極型発光管であって、
前記ガラス管は、その両端間の略中央に折り返し部を有すると共に、一方の端部から旋回軸の廻りを旋回しながら前記折り返し部に向かう第1の旋回部と、前記折り返し部から前記旋回軸の廻りを旋回しながら前記ガラス管の他方の端部に向かう第2の旋回部とを有する2重螺旋形状に形成され、
前記ガラス管は、その横断面の内周が略円形状で、内径が5mm以上9mm以下の範囲内にあり、
定常点灯時における前記ガラス管の前記折り返し部に最冷点箇所が形成され、前記最冷点箇所の温度が60℃以上65℃以下の範囲内となるように、管壁負荷が0.08W/cm2以上0.12W/cm2以下の範囲内に設定されている
ことを特徴とする発光管。 - ガラス管を2重螺旋形状に湾曲させてなり且つ外管バルブにより覆われないタイプの熱陰極型発光管であって、
前記ガラス管は、その両端間の略中央に折り返し部を有すると共に、一方の端部から旋回軸の廻りを旋回しながら前記折り返し部に向かう第1の旋回部と、前記折り返し部から前記旋回軸の廻りを旋回しながら前記ガラス管の他方の端部に向かう第2の旋回部とを有する2重螺旋形状に形成され、
前記ガラス管は、その横断面の内周が略楕円形状で、内周の長径が5mm以上9mm以下の範囲内にあると共に内周の短径が3mm以上であり、
定常点灯時における前記ガラス管の前記折り返し部に最冷点箇所が形成され、前記最冷点箇所の温度が60℃以上65℃以下の範囲内となるように、管壁負荷が0.08W/cm2以上0.12W/cm2以下の範囲内に設定されている
ことを特徴とする発光管。 - 前記ガラス管は、最大外径が30mm以上40mm以下、最大長さが50mm以上100mm以下の円筒空間に収まる大きさに形成されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の発光管。 - 前記ガラス管内には、水銀が単体形態で封入されている
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の発光管。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の発光管を備える低圧水銀ランプ。
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