JPWO2003077497A1 - 搬送波再生装置 - Google Patents

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Abstract

簡単な演算で変調信号の位相誤差を検出することが出来、回路規模を小さく出来、周波数引き込み特性ならびに位相ジッタ特性の改善を可能にする搬送波再生装置が提供される。この搬送波再生装置は、送信されたシンボルを推定するシンボル推定部と、推定されたシンボルと受信信号を基にして正規化された位相誤差を生成する位相誤差検出手段と、位相誤差をフィルターするループフィルターと、ループフィルターに制御されている数値制御発振部を備える。

Description

技術分野
本発明は、多値直交振幅変調(QAM)信号や、多相位相変調(PSK)信号などのディジタル変調信号を復調する場合に用いられる搬送波再生装置に関する。
背景技術
近年、映像のディジタル化が進み、衛星、CATV、地上波のそれぞれの放送メディアにおいてディジタル放送が各国で開始されている。その伝送方式としては、各伝送路の特徴にあった方式が選択されている。例えば、衛星放送では4PSKや8PSKなどの多相位相変調、CATVでは64QAMや256QAMなどの多値直交振幅変調が用いられている。
このようなデジタル変調信号の復調システムについては、数々の文献で紹介されており、その一例として、「多賀、石川、小松,:“QPSK復調システムの一検討”」(テレビジョン学会技術報告,vol.15,No.46,CE’91−42(1991.08))を取り挙げて、従来の搬送波再生装置について説明する。
図30は、従来例の搬送波再生装置の構成を示すブロック図である。図30において、従来例の搬送波再生装置は、変調信号入力端子5010と、複素乗算部5011と、アークタンジェントを演算するアークタンジェント演算部5030と、ループフィルタ5013と、数値制御発振部5014と、復調信号出力端子5015とを備える。
なお、図30において、太線かつ“/2”で示している信号線は、複素表現される信号の信号線を示している。
以下に上記従来例の搬送波再生回路の動作を簡単に説明する。
図30は、受信したディジタル変調信号が前段で一旦直交検波され、変調信号入力端子5010に入力される。但し、前段で直交検波される際、直交検波する為の搬送波が必ずしも常に正確な周波数と正確な位相ではない。従って、変調信号入力端子5010に入力される信号は、周波数及び位相のずれが残留する。変調信号入力端子5010に入力された信号は、複素乗算部5011の一方の入力端子に入力される。数値制御発振部5014は、互いに直交する2つの発振信号からなる複素発振信号を出力し、それが複素乗算部5011の他方の入力端子に入力される。
複素乗算部5011は、数値制御発振部5014の出力と変調信号入力端子5010に入力される信号とを複素乗算することによって、入力端子5010に入力される信号の周波数および位相ずれを除去して、復調信号を復調信号出力端子5015を介して出力する。
一方、複素乗算部5011の出力である復調信号SiとSqは、アークタンジェント演算部(Tan−1)5030に入力される。アークタンジェント演算部(Tan−1)5030は、Si及びSqの値を基にしてアークタンジェントを演算して、変調信号入力端子5010に供給されているディジタル変調信号の搬送波信号と数値制御発振部5014の出力信号との位相誤差を検出する。アークタンジェント演算部5030の出力は、ループフィルタ5013に入力され、位相誤差の高周波数成分が除去される。そうして、ループフィルタ5013の出力は、数値制御発振部5014に対する制御信号として数値制御発振部5014に入力される。ループフィルタ5013の出力信号により制御された数値制御発振部5014の出力信号は、複素乗算部5011に供給される。
尚、以上の説明では、式(1)と式(2)に示す通り、数値制御発振部5014の出力は変調信号入力端子5010に入力されている信号の搬送波信号と共役関係の(つまり周波数ずれ及び位相ずれのない)信号である場合を例示している。従って、式(1)と式(2)の関係にある時は、アークタンジェント演算部(Tan−1)5030は位相誤差ゼロを検出する。式(1)と式(2)との間に位相差が存在すると、アークタンジェント演算部(Tan−1)5030はその位相誤差に対応する信号を出力する。
このように構成された位相制御ループによって負帰還制御ループが構成されるので、受信したディジタル変調信号に位相同期した搬送波が数値制御発振部5014で再生される。また、この再生された搬送波は、変調信号入力端子5010に入力されている信号の搬送波信号と共役関係(つまり周波数ずれ及び位相ずれのない)であり周波数誤差および位相誤差がないので、正しい復調信号を得ることが可能となる。
上述の通り、従来の搬送波再生回路における位相誤差検出は、アークタンジェント演算部5030が複素乗算部5011の出力をアークタンジェント演算して求められる。その動作を図31を参照してさらに詳細に説明する。
図31は、従来の位相誤差検出の動作を説明するための出力信号空間ダイヤグラムである。ここでは、受信するディジタル変調信号が4PSKの場合を仮定しており、また説明を簡単にするために第1象限のみを用いて説明する。変調信号入力端子5010に入力されたディジタル変調信号と数値制御発振部5014の出力信号との間に位相誤差Δθが存在する場合を仮定する。複素乗算部5011の出力である復調信号は、○印5041で示される。正確な搬送波が再生されていれば上述の位相誤差Δθが存在しないので、複素乗算部5011の出力である復調信号は、4PSKのシンボルの本来の位相である●印5042で示される。●印5042で示される位相は、(π/4+n・π/2)[ラジアン](n=0,1,2,3)である。しかし、位相誤差Δθが存在する場合を仮定しているので、複素乗算部5011より出力される信号は、位相φ(φ=π/4+Δθ)の位置に存在する。
この位相誤差Δθは、複素乗算部5011の出力であるSiとSqを基にしてアークタンジェント演算することにより位相φを求め、そしてこの受信シンボルの位相φと本来の4PSKのシンボル位相(π/4)との差分を求めることにより、算出されていた。
ところで、受信シンボルの位相φを求めるアークタンジェントの演算は、一般的にSiとSqに対して予め演算したTan−1(Sq/Si)の値をROM等の記憶装置に格納しておき、SiとSqをアドレスにして読み出す方法がある。或いは、SiとSqを基にして2次元のベクトルの回転の計算を行い、回転した分の角度を求めるコーディック(Cordic)アルゴリズムも用いられていた。
しかしながら、ROMを用いてアークタンジェントを演算する方法では、膨大なROM容量が必要なので回路規模の増大が発生する。また、コーディック法では、精度を高い位相を求めるには多くのステップが必要になり、搬送波再生回路のループ内遅延の増大に伴う周波数引き込み範囲(キャプチャレンジ)が狭くなるという課題があった。
発明の開示
搬送波再生装置は、
複素発振信号を出力する数値制御発振手段と、
入力した変調信号と数値制御発振手段の出力とを複素乗算する複素乗算手段と、
複素乗算手段の出力を基にして、変調信号と複素発振信号との位相誤差を検出する位相誤差検出手段と、
位相誤差をフィルターして数値制御発振手段を制御するループフィルタとを備え、数値制御発振手段により変調信号の搬送波を再生する搬送波再生装置であって、
位相誤差検出手段は、少なくとも、複素乗算手段の出力を基にしてシンボルを推定するシンボル推定手段を備える。
発明を実施する最良の形態
以下、本発明の実施の形態について、図1から図29を用いて説明する。
なお、以下の説明において、実施の形態1は本発明の基本となる搬送波再生装置である。
実施の形態2は、実施の形態1に対し、更に多値直交振幅変調信号(QAM)受信時の周波数引き込み特性、並びに位相ジッタ特性を改善した搬送波再生装置である。
実施の形態3は、実施の形態1および実施の形態2に対し、雑音や反射妨害を有する受信状況において周波数引き込み特性、並びに位相ジッタ特性を更に改善した搬送波再生装置である。
実施の形態4は、実施の形態1、実施の形態2および実施の形態3に対し、16QAM、64QAM、256QAM、1024QAM等(即ち、(2^2n)QAM であって、n=2,3,4,5…)を受信する場合の、雑音や反射妨害を有する受信状況において周波数引き込み特性、並びに位相ジッタ特性を更に改善した搬送波再生装置である。
実施の形態5は、実施の形態1、実施の形態2、実施の形態3および実施の形態4に対し、更に周波数引き込み範囲(キャプチャレンジ)を改善した搬送波再生装置である。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る搬送波再生装置の構成を示すブロック図である。
図1において、変調信号入力端子10と、複素乗算部11と、位相誤差検出部12aと、ループフィルタ13と、数値制御発振部14と、復調信号出力端子15とを備える。
なお、図1において、太線かつ“/2”で示している信号線は、複素表現される信号の信号線を示している(以下、各図面において太線かつ“/2”で示している信号線は、同様である)。
以下に実施の形態1に係る搬送波再生装置の概略を説明する。
図1は、多値直交振幅変調または多相位相変調された信号を受信する場合を例に挙げている。受信したディジタル変調信号が前段で一旦直交検波されて、変調信号入力端子10に入力される。但し、前段で直交検波される際、直交検波する為の搬送波が必ずしも常に正確な周波数と正確な位相ではない。従って、変調信号入力端子10に入力される信号は、周波数及び位相ずれが残留する。即ち、この信号は、I(同相とも呼ばれる)信号成分をSi、Q(直交とも呼ばれる)信号成分をSqとすると、式(1)で表現できる信号である。
(Si+jSq)・exp(j(Δwt+Δθ) (1)
Δw:周波数ずれ
Δθ:位相ずれ
式(1)で表現される信号が変調信号入力端子10に入力され、複素乗算部11の一方の入力端子に入力される。数値制御発振部14は、式(1)で示される信号の搬送波成分(exp(j(Δwt+Δθ)と共役関係の信号であるとすると、式(2)で表現される信号を出力する。
exp(−j(Δwt+Δθ) (2)
即ち、数値制御発振部14は、互いに直交する2つの発振信号からなる複素発振信号を出力し、それが複素乗算部11の他方の入力端子に入力される。
複素乗算部11は、数値制御発振部14の出力と変調信号入力端子10に入力される信号とを複素乗算することによって、式(3)に示す演算を実行する。
(Si+jSq)・exp(j(Δwt+Δθ)・exp(−j(Δwt
+Δθ)=(Si+jSq) (3)
複素乗算部11は、入力端子10に入力される信号の周波数および位相ずれを除去して、復調信号(Si+jSq)を復調信号出力端子15を介して出力する。
一方、複素乗算部11の出力である復調信号は、位相誤差検出部12aにも入力される。位相誤差検出部12aは、Si及びSqを基にして、受信したディジタル変調信号の位相誤差を検出する。位相誤差検出部12aの出力は、ループフィルタ13に入力され、位相誤差の高周波数成分が除去される。そうして、数値制御発振部14に制御信号として入力される。ループフィルタ13の出力信号により制御された数値制御発振部14の出力信号は、複素乗算部11に供給される。
尚、以上の説明では、式(1)と式(2)に示す通り、数値制御発振部14の出力は、変調信号入力端子10に入力されている信号の搬送波信号と共役関係の(つまり周波数ずれ及び位相ずれのない)場合を例示している。従って、式(1)と式(2)の関係にある時は、位相誤差検出部12aは位相誤差ゼロを検出する。式(1)と式(2)との間に位相差が存在すると、位相誤差検出部12aはその位相誤差を検出する。
このように構成された位相制御ループによって負帰還制御ループが構成されるので、受信したディジタル変調信号に位相同期した搬送波が数値制御発振部14で再生される。この再生された搬送波は、変調信号入力端子10に入力されている信号の搬送波信号と共役関係であり周波数誤差および位相誤差がないので、正しい復調信号を得ることが可能となる。
図5は、図1におけるループフィルタ13の詳細な構成を示すブロック図である。ループフィルタ13は、位相誤差信号入力端子200と、直接系増幅器201と、積分系増幅器202と、第1の加算器203と、1シンボル遅延器204と、第2の加算器205と、制御信号出力端子206とを備える。
位相誤差検出部12aの出力が位相誤差信号入力端子200に供給される。ループフィルタ13は、位相誤差信号入力端子200と、直接系207と、積分系208と、第2の加算部205と、ループフィルタ出力端子206で構成されている。そうして、直接系207は直接系増幅部201で構成されている。一方、積分系208は積分系増幅部202と第1の加算部203と1シンボル遅延部204で構成されている。
直接系207は、増幅度がαである直接系増幅部201のみで構成されており、位相誤差信号入力端子200を介して入力された位相誤差信号を増幅度αで増幅するだけの処理を実施する。ところで、数値制御発振部14は、入力される制御信号に比例してその出力位相を進ませる(または遅らせる)形式の発振部である。従って、この直接系207は、数値制御発振部14の出力位相を位相誤差信号に対してリニアに進ませる(または遅らせる)働きをする。即ち、この直接系は、搬送波再生での位相誤差の補正に作用する系である。
一方、積分系208では、まず積分系増幅部202が位相誤差信号入力端子200を介して入力された位相誤差信号を増幅度βで増幅する。第1の加算部203は、積分系増幅部202の出力と1シンボル遅延部204の出力を加算する。そうして、第1の加算部203の出力は1シンボル遅延部204へ入力される。従って、第1の加算部203と1シンボル遅延部204とのループで所謂積分機能を持つ。この様に、積分系208は、位相誤差信号入力端子200を介して入力された位相誤差信号を増幅度βで増幅した後、所謂積分処理を実施する。ところで、数値制御発振部14は、入力される制御信号に比例してその出力位相を進ませる(または遅らせる)形式の発振部である。従って、この積分系208は、位相誤差信号を基にして数値制御発振部14の出力周波数を制御する働きを有する。即ち、この積分系208は、搬送波再生での周波数誤差を補正に作用する系である。
ループフィルタ13の出力信号により制御された数値制御発振部14の出力信号は、複素乗算部11に供給される。
このように構成された位相制御ループによって負帰還制御ループが構成されるので、受信したディジタル変調信号に位相同期した搬送波が数値制御発振部14で再生される。この再生された搬送波は、変調信号入力端子10に入力されている信号の搬送波信号と共役関係であり周波数誤差および位相誤差がないので、正しい復調信号を得ることが可能となる。
次に、図2を用いて、本発明の実施の形態1に係る搬送波再生装置の位相誤差検出部12aの動作を説明する。
図2は図1の搬送波再生装置における位相誤差検出部12aの詳細な構成を示すブロック図である。図2において、位相誤差検出部12aは、復調信号入力端子100と、シンボル推定部101と、複素共役部102と、第2の複素乗算部103と、虚数選択部104と、位相誤差出力端子105とを備える。
図1における数値制御発振部14の出力が変調信号入力端子10に印加されている信号の搬送波と共役関係(つまり周波数ずれ及び位相ずれのない)であれば、複素乗算部11の出力は、正しい復調信号を出力する。数値制御発振部14の出力信号の位相が変調信号入力端子10に印加されている信号の搬送波の位相と共役関係でなくなれば(つまり周波数ずれ及び位相ずれがある場合)、複素乗算部11は正しい復調信号を出力することが出来ない。
複素乗算部11の出力は、復調信号入力端子100を介して、シンボル推定部101と第2の複素乗算部103にそれぞれ供給される。シンボル推定部101は、復調信号入力端子100より入力された復調信号を基にして、送信されたシンボルを推定し、その推定結果を出力する。
このシンボル推定部101を図15A及び図15Bと共に詳細に説明する。図15A及び図15Bはシンボル推定部101の動作を示した図であり、図15Aは4PSKの場合、図15Bは16QAMの場合を示す。
図15Aは、軸150はI信号軸であり、軸151はQ信号軸である。図1での数値制御発振部14の出力信号位相が、変調信号入力端子10を介して入力されている信号の搬送波の位相と共役関係でない(つまり周波数ずれ及び位相ずれがある)場合を仮定すると、●印153で示されたシンボルが送信されていても、複素乗算部11から出力される信号は○印152で示されたシンボルとなる。
一方、図15Bは、軸154はI信号軸であり、軸155はQ信号軸である。図1での数値制御発振部14の出力信号位相が、変調信号入力端子10に入力されている信号の搬送波の位相と共役関係でない(つまり周波数ずれ及び位相ずれがある)場合を仮定すると、●印157で示されたシンボルが送信されていても、複素乗算部11から出力される信号は○印156で示されたシンボルとなる。
尚、矢印158はI信号軸方向(軸154方向)の最小符号間距離dを、矢印159はQ信号軸方向(軸155方向)の最小符号間距離dを夫々示している。
シンボル推定部101は、入力されている信号が図15Aの○印152のシンボルであった場合には、最も近い●印153のシンボルが送信されたものであると推定して、●印153のシンボルを出力する。シンボル推定部101は、入力されている信号が図15Bの○印156のシンボルであった場合には、最も近い●印157のシンボルが送信されたものであると推定して、●印157のシンボルを出力する。
この様に、推定して出力される値のI信号軸の値をDi、Q信号軸の値をDqとする。従って、この出力は複素表現すると、(Di+jDq)と表示される。
このシンボル推定部101の出力は図2の複素共役部102に入力され、複素共役部102は(Di+jDq)で表現されるシンボル推定部101の出力の複素共役をとる。つまり、複素共役部102はシンボル推定部101の出力のうちQ軸成分であるDqの符号を反転して(Di−jDq)を生成する。複素共役部102の出力は、第2の複素乗算部103に入力される。第2の複素乗算部103は、複素共役部102の出力(Di−jDq)と復調信号入力端子100より入力された復調信号(Si+jSq)と複素乗算する。従って、第2の複素乗算部103は式(4)で表現される算出結果を出力する。
(Si・Di+Sq・Dq)+j(Sq・Di−Si・Dq)
(4)
第2の複素乗算部103の出力は虚数部選択部104に入力され、虚数部選択部104は式(4)の虚数部である(Sq・Di−Si・Dq)のみを選択し、位相誤差信号として出力する。
次に、上述の位相誤差検出部12aによる位相誤差の導出原理について、図16を用いて更に説明する。図16は位相誤差検出部12aの動作を信号空間ダイヤグラムで表したものである。ここでは、受信するディジタル変調信号が4PSKの場合を仮定し、また説明を簡単にするために第1象限のみを用いて説明する。
図16において、軸150はI信号軸、軸151はQ信号軸である。これらは図15Aの軸150、151にそれぞれ相当する。また、●印153と○印152は、図15Aの●印153と○印152に夫々相当する。○印152は、図1における複素乗算部11の出力信号である。変調信号入力端子10より入力された直交変調信号の搬送波と、数値制御発振部14の出力信号とが位相誤差Δθを有する場合を仮定している。従って、○印152は、本来のシンボルである●印153に対して位相誤差Δθを有する。即ち、図1における複素乗算部11の出力は式(5)のように表現できる。
A・exp(j(φ+Δθ))=Si+jSq (5)
A:振幅(振幅方向の劣化を伴っていないと仮定している)
φ:シンボルがもつ固有位相
Δθ:位相誤差
上述の通り、図2におけるシンボル推定部101は、4点ある本来の4PSKのシンボルのうち、複素乗算部11の出力である復調信号(図15Aの○印152)に最も近いシンボルである第1象限のシンボル(図15Aの●印153)を送信されたシンボルとして推定し、出力する。シンボル推定部101の出力は、式(6)のように表現できる。
A・exp(j(φ))=Di+jDq (6)
このシンボル推定部101の出力は複素共役部102で、式(7)に示すように複素共役がとられ、第2の複素乗算部103に入力される。
A・exp(j(−φ))=Di−jDq (7)
第2の複素乗算部103は、式(8)に示すように、複素乗算部11の出力である復調信号と複素共役部102の出力とを複素乗算する。
・exp(j(Δθ))=(Si・Di+Sq・Dq)+
j(Sq・Di−Si・Dq) (8)
式(8)から分かる通り、第2の複素乗算部103の出力はその位相項が位相誤差Δθのみを有する信号となる。この第2の複素乗算部103の出力は、図16において□印161で示される。(図16ではA=1としている)つまり、位相誤差検出部12aに入力された複素乗算部11の出力は、上記の第2の複素乗算部103のまでの演算により、本来の変調シンボルである●印153を中心とするベクトルから、I信号軸150の正の部分を中心とするベクトルへ移される。
そして、虚数部選択部104は、位相誤差Δθに対応する値として、第2の複素乗算部103の出力の虚数部のみ、即ち(Sq・Di−Si・Dq)を選択する。こうすることによって、位相誤差の検出が実現される。
次に、図3は、図1における位相誤差検出部12aの他の構成を示す。図3において、復調信号入力端子100、シンボル推定部101、複素共役部102、第2の複素乗算部103、虚数部選択104、位相誤差検出出力端子105は夫々図2と同様である。従って、これらの詳細な説明は省略する。
複素共役部102は、復調信号入力端子100を介して入力された復調信号の複素共役をとる。第2の複素乗算部103は、シンボル推定部101の出力と、複素共役部102の出力とを複素乗算する。虚数部選択104は、第2の複素乗算部103の出力の虚数部のみを選択して出力する。符号反転部106は、虚数部選択104の出力を符号反転し、位相誤差信号として位相誤差出力端子105を介して出力する。この様にして作成される位相誤差検出出力は、図2の場合と同様に、(Sq・Di−Si・Dq)となる。
また、図2および図3で示す位相誤差検出部12aは共に、復調信号入力端子100より入力された復調信号と、それのシンボル推定結果とを複素乗算した結果のうち、虚数部である(Sq・Di−Si・Dq)を出力するものである。
図4は、この処理と等価な処理を実行する、他の構成を示す。図4において、復調信号入力端子100、シンボル推定部101、位相誤差検出出力端子105は夫々図2及び図3と同様である。従って、これらの詳細な説明は省略する。
シンボル推定部101は復調信号入力端子100を経由して入力された復調信号をシンボル推定する。乗算部122は、シンボル推定部101の出力のI信号成分(Di)と、復調信号入力端子100を経由して入力された復調信号のQ信号成分(Sq)とを乗算し、(Di・Sq)を出力する。乗算部121は、シンボル推定部101の出力のQ信号成分(Dq)と、復調信号入力端子100を経由して入力された復調信号のI信号成分(Si)とを乗算し、(Dq・Si)を出力する。減算部123は、乗算部121の出力と乗算部122の出力とを減算し、位相誤差として位相誤差検出出力端子105を介して出力する。従って、位相誤差検出出力端子105から出力される位相誤差は(Sq・Di−Si・Dq)となり、図2や図3と同様に位相誤差検出が可能となる。
以上のように、本発明の実施の形態1に係る搬送波再生装置によれば、簡単な演算で直交変調信号の位相誤差を検出することが出来るので、回路規模が小さくなると共に、また、ループ内遅延の増大に伴う周波数引き込み範囲(キャプチャレンジ)が狭くなることを防ぐことが可能となる。
また、上記説明では4PSKを例にとり説明したが、他の多相位相変調(nPSK)や多値直交変調(nQAM)でも、同様の効果が得られることは、言うまでもない。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る搬送波再生装置は、上記実施の形態1に係る搬送波再生装置において、更に多値直交振幅変調信号(QAM)受信時の周波数引き込み特性、並びに位相ジッタ特性を向上させるものである。
以下、本発明の実施の形態2に係る搬送波再生装置について説明する。
図6は、本発明の実施の形態2に係る搬送波再生装置の構成を示すブロック図である。図6において、変調信号入力端子10と、複素乗算部11と、位相誤差検出部12bと、ループフィルタ13と、数値制御発振部14と、復調信号出力端子15とを備える。
図6に示すように、実施の形態2に係る搬送波再生装置は、上記実施の形態1に係る搬送波再生装置における位相誤差検出部12aを位相誤差検出部12bに代えた構成である。
なお、実施の形態2に係る搬送波再生装置のその他の構成は、上記実施の形態1に係る搬送波再生装置の構成と同様であり、当該構成部分については同一の参照番号を付してその説明を省略する。
以下、上記実施の形態1に係る搬送波再生装置と異なる位相誤差検出部12bの動作について、図7を用いて説明する。
図7において、位相誤差検出部12bは、復調信号入力端子100と、シンボル推定部101と、複素共役部102と、第2の複素乗算部103と、虚数部選択部104と、位相誤差出力端子105と、振幅正規化部107とを備える。
この位相誤差検出部12bは、上記実施の形態1に係る搬送波再生装置における位相誤差検出部12aに、振幅正規化部107を更に加えた構成である。その他の構成は、位相誤差検出部12aと同様であり、当該構成部分については同一の参照番号を付してその説明を省略する。
さて、第2の複素乗算部103は、実施の形態1に係る搬送波再生装置で説明したように、復調信号入力端子100を介して入力された復調信号(Si+jSq)と複素共役部102の出力(Di−jDq)とを複素乗算する。その出力信号は式(8)で表される。この式(8)に示すように、第2の複素乗算部103の出力は、位相誤差(Δθ)と振幅値の自乗(A)の関数である。そのため、シンボルに応じて振幅が異なるQAMを受信した場合、検出される位相誤差の利得は送信されたシンボルによって異なる。その様子を、図17と共に説明する。
図17において、軸154はI信号軸、軸155はQ信号軸である。○印171から174は入力されているシンボル、●印175から178は送信されている本来のシンボルである。シンボルに応じてで振幅が異なるQAMを受信した場合、検出された結果である位相誤差は振幅値の自乗(A)の関数でもあるので、検出された位相誤差の利得は送信された変調シンボルに応じて異なる。そのために、周波数が引き込みにくくなる場合がある。また、周波数引き込みが出来、位相同期が確立しても復調出力に大きな位相ジッタを生じる場合がある。そこで、実施の形態2に係る搬送波再生装置は、振幅正規化部107を更に備えている。振幅正規化部107は、検出される位相誤差がシンボルの違いによって発生する位相誤差信号の利得変動を補正する。以下、振幅補正部107の動作を説明する。
図7において、振幅補正部107は、係数発生部109と、乗算部108とで構成される。係数発生部109はシンボル推定部101の出力を入力として、各変調シンボルの振幅に応じた係数を発生する。
図18A、図18B及び図18Cはその係数の発生方法の一例を示している。ここでは、説明を簡単にするために、受信するディジタル変調信号が16QAMの場合を仮定し、また第1象限のみを用いて説明する(16QAMに限定するものではない。)。
図18Aにおいて、I信号軸154、Q信号軸155、シンボル175〜178は、図17のI信号軸154、Q信号軸155、シンボル175〜178と同様である。シンボル推定部101の推定結果は、シンボル175〜178の何れかになる。各シンボル175〜178の振幅値は3種類存在する。
以降、各シンボルの座標を(I信号成分、Q信号成分)で表現する。最外シンボルであるシンボル178は(Di、Dq)=(3、3)であり、その場合の振幅A3を「1」に正規化する。
シンボル176は(Di、Dq)=(1、3)、シンボル177は(Di,Dq)=(3、1)であり、その正規化された振幅A2は
Figure 2003077497
シンボル175は(Di、Dq)=(1、1)であり、その正規化された振幅A1は1/3である。
また、上記式(8)から分かる通り、第2の複素乗算部103の出力はシンボルの振幅値の自乗(A)に比例する。そのため、係数発生部109は、以下に示すように、各シンボルにおける振幅値の自乗Aの逆数(1/A)に相当する係数を発生する。即ち、
(Di、Dq)=(3、3)の場合は、係数として1/A=1/(A3)=1が発生される。
(Di、Dq)=(1、3)及び(3、1)の場合は、係数として1/A=1/(A2)=9/5が発生される。
(Di、Dq)=(1、1)の場合は、係数として1/A=1/(A3)=9が発生される。
このように、位相誤差の振幅正規化のための係数は、シンボル推定部101において、シンボルが推定されれば一意に決定される。そのため、係数発生部109は図18Bに示すように、シンボル推定部101のシンボル推定結果(Di、Dq)をアドレスとして、各シンボルの振幅値の自乗(A)の逆数(1/A)の値を記憶するROM等の記憶装置で実現することが出来る。
図7の係数発生部109の出力は、乗算部108に入力される。虚数部選択部104の出力は、乗算部108において係数発生部109の出力と乗算されることによって、検出される位相誤差の各変調シンボルの振幅による違いが補正される。
図19A、図19B及び図19Cは、上記の振幅正規化部107を有する実施の形態2に係る搬送波再生における位相誤差検出部12bの動作を模式的に表した図である。図19Aは、(Di、Dq)=(3、3)の場合、図19Bは(Di、Dq)=(1、3)及び(3、1)の場合、図19Cは(Di、Dq)=(1、1)の場合における位相誤差検出の動作を示している。また、これらの図において、I信号軸154、Q信号軸155、シンボル171〜178は、それぞれ図17や図18AでのI信号軸154、Q信号軸155、シンボル171〜178と同様である。
図6における変調信号入力端子10を介して入力された直交変調信号と数値制御発振部14の出力信号とが位相誤差Δθを有する場合、複素乗算部11の出力である復調信号(Si+jSq)は、図19Aの○印174で示されたシンボル、図19Bの○印172及び173で示されたシンボル、図19Cの○印171で示されたシンボルの何れかである。これらのシンボル171〜174のシンボル推定された結果は、図19Aの●印178で示されたシンボル、図19Bの●印176及び177で示されたシンボル、図19Cの●印175で示されたシンボルの何れかになる。これらの共役信号(Di−jDq)と復調信号(Si+jSq)とが第2の複素乗算部103で複素乗算されることによって、{(Si・Di+Sq・Dq)+j(Sq・Di−Si・Dq)}が算出される。{(Si・Di+Sq・Dq)+j(Sq・Di−Si・Dq)}で表現される値は、図19Aでの◇印191、図19Bでの◇印193、図19Cでの◇印195ある。この様に、第2の複素乗算部103の出力信号は、各シンボルの振幅値によって、その振幅の利得がそれぞれ異なる。そこで、振幅正規化部107は、各シンボルにおける振幅値の自乗(A)の逆数(1/A)によって、第2の複素乗算部103の出力を正規化する。即ち、振幅正規化部107は、図19Aの◇印191、図19Bの◇印193、図19Cの◇印195を図19Aの□印192、図19Bの□印194、図19Cの□印196に変換して出力する。この様にして、振幅正規化部107の出力利得は受信シンボルに左右されず一定になる。実施の形態2に係る搬送波再生における位相誤差検出部12bは、この正規化された第2複素乗算部103の出力の虚数部(図19AのQ信号軸成分197、図19BのQ信号軸成分198、図19CのQ信号軸成分199)を位相誤差として出力する。
以上のように、各シンボルにおける振幅値の自乗値の逆数を求めた結果を係数として、この係数を基に第2の複素乗算部103の出力を正規化することにより、検出される位相誤差が各変調シンボルの振幅に依存して変動することが除去出来る。
以上のように、本発明の実施の形態2に係る搬送波装置によれば、簡単な演算で直交変調信号の位相誤差を検出することが出来るので、回路規模が小さくなると共に、また、ループ内遅延の増大に伴う周波数引き込み範囲(キャプチャレンジ)が狭くなることを防ぐことが可能となる。更に多値直交振幅変調信号(QAM)受信時の周波数引き込み特性、並びに位相ジッタ特性を向上させることが可能となる。
ところで、図18Cは、図18Bと異なり、各シンボルの振幅の自乗値を係数としてROMが記憶している場合を示している。上記図7で示した構成の位相誤差検出部12bは、振幅正規化部107として、各シンボルにおける振幅の自乗値の逆数を係数とする係数発生部109と、乗算部108とにより構成している。しかし、乗算部108を除算部に置き換え、係数発生部109として図18C図に示すものを使用することで、同様の機能を発揮できる。
また、各シンボルにおける振幅値の自乗(A)の生成は、上述の構成に限られるものではなく、シンボル推定部101の出力である(Di、Dq)を基にして、(Di)+(Dq)を演算するものに置き換えても同様の効果が得られる。
また、上記図7で示した構成の位相誤差検出部12bにおいて、振幅正規化部107以外の構成部分については、実施の形態1における図2の位相誤差検出部12aに基づいて説明したが、図3または図4で示す構成の位相誤差検出部12aであっても同様の効果が得られることは、言うまでもない。
また、上記説明では16QAMを例にとり説明したが、他の直交振幅変調(32QAM、64QAM、128QAM、256QAM、512QAM、1024QAM、等)でも、同様の効果が得られることは、言うまでもない。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係る搬送波再生装置は、上記実施の形態1及び実施の形態2に係る搬送波再生装置において、更に雑音や反射妨害を有する受信状況において周波数引き込み特性、並びに位相ジッタ特性を改善できるものである。
以下、本発明の実施の形態3に係る搬送波再生装置について説明する。
図8は、本発明の実施の形態3に係る搬送波再生装置の構成を示すブロック図である。図8において、実施の形態3に係る搬送波再生装置は、変調信号入力端子10と、複素乗算部11と、位相誤差検出部12cと、ループフィルタ13と、数値制御発振部14と、復調信号出力端子15とを備える。
図8に示すように、実施の形態3に係る搬送波再生装置は、上述の実施の形態1に係る搬送波再生装置における位相誤差検出部12aを位相誤差検出部12cに代えた構成である。
なお、実施の形態3に係る搬送波再生装置のその他の構成は、上記実施の形態1に係る搬送波再生装置の構成と同様であり、当該構成部分については同一の参照番号を付してその説明を省略する。
以下、上記実施の形態1に係る搬送波再生装置と異なる位相誤差検出部12cの動作について、図9を用いて説明する。
図9は、図8の搬送波再生装置における前記位相誤差検出部12cの詳細な構成を示すブロック図である。
図9において、位相誤差検出部12cは、復調信号入力端子100と、シンボル推定部101と、複素共役部102と、第2の複素乗算部103と、虚数選択部104と、位相誤差出力端子105と、複素減算部110と、位相誤差判定部111と、選択部112と、定数発生部113とを備える。
実施の形態3に係る搬送波再生における位相誤差検出部12cは、上記実施の形態1に係る搬送波再生装置における位相誤差検出部12aに、複素減算部110と、位相誤差判定部111と、選択部112と、定数発生部113とを更に加えた構成である。その他の構成は、位相誤差検出部12aと同様であり、当該構成部分については同一の参照番号を付してその説明を省略する。
図9において、シンボル推定部101の出力(Di+jDq)と、復調信号入力端子100を介して入力された図8における複素乗算部11の出力である復調信号(Si+jSq)は複素減算部110に入力される。複素減算部110は、複素乗算部11の出力と、それのシンボル推定結果との複素減算を行うことによって、復調信号のI信号成分及びQ信号成分の振幅誤差(Ei+jEq)を算出する。この演算は式(9)で示される。
Ei+jEq=(Si−Di)+j(Sq−Dq) (9)
複素減算部110の出力(Ei+jEq)及び、シンボル推定部101の出力(Di+jDq)は、位相誤差判定部111に入力される。位相誤差判定部111は、入力されている両信号を基にして、虚数部選択部104から出力される位相誤差が位相誤差として信頼できるものかどうかを判定する。選択部112は、位相誤差判定部111の判定結果に制御されて、虚数部選択部104からの出力と定数発生部113の出力の何れか一方を選択する。
次に、図20A及び図20Bは、図8における変調信号入力端子10を介して入力される直交変調信号に雑音や反射等の妨害信号が重畳した場合における、複素乗算部11の出力信号の様子を示す。図20A及び図20Bにおいて、I信号軸150と154、Q信号軸151と155、各●印153と175〜178、各○印152と171〜174は、夫々図16及び図17と同様である。送信された本来のシンボルである各●印153、175〜178は、位相誤差(Δθ)方向に移動することに加えて、雑音や反射等の妨害信号によって更に位相方向と振幅方向に拡散されてしまい、△印に示される受信シンボルになる。このような、拡散された受信シンボルを基にして位相誤差を検出した場合、その検出した位相誤差は誤ったものとなり、周波数が引き込みにくくなる。また、周波数引き込みが出来、位相同期が確立したとしても大きな位相ジッタが生じる場合がある。このような問題を回避するためには、位相誤差方向に回転した受信シンボルで検出した位相誤差のみを搬送波再生に用いる必要がある。その為に、図9に示した実施例では、位相誤差方向に回転した受信シンボルで位相誤差を検出したかどうかを判定する位相誤差判定部111を設けている。
位相誤差方向に回転した受信シンボルで検出した位相誤差を判定する位相誤差判定部111としては、具体的な構成の実施例が2つ考えられる。以下、これら2つの実施例を順に説明する。
(位相誤差判定部111の実施例1)
図22は、位相誤差判定部111の実施例1の構成を示すブロック図である。図23Aと図23Bは位相誤差判定部111の実施例1の動作を説明するための信号空間ダイヤグラムである。以下図22、図23A及び図23Bを用いて、位相誤差判定部111の実施例1の動作を説明する。なお、ここでは、説明を簡単にするために、4PSK受信時及び16QAM受信時の場合であって、且つ第1象限のみを用いて位相誤差判定部111の実施例1の動作を説明する。図23Aは4PSKの場合、図23Bは16QAMの場合を示しているが、実施例1は4PSKと16QAMに限定されるものではない。
まず、図23Aと図23Bを用いて位相誤差判定部111の実施例1の動作原理を説明する。図23Aにおいて、I信号軸150、Q信号軸151、○印、●印は夫々図16と同様であり、詳細な説明は省略する。また、図23Bにおいて、I信号軸154、Q信号軸155、○印、●印は夫々図17と同様であり、詳細な説明は省略する。図8における複素乗算部11から出力されるシンボルのうち、位相誤差方向のみに回転したシンボルは斜線部で示す領域231と232に存在する。このことに着目し、位相誤差判定部111は、複素減算部110の出力である復調信号の振幅誤差(Ei+jEq)及びシンボル推定部101の出力(Di+jDq)を基にして、複素乗算部11の出力である復調信号が図23Aの斜線部231及び232に入る時、虚数部選択部104の出力が位相誤差信号として適切であると判定する。即ち、位相誤差判定部111は、以下の(条件1)または(条件2)の何れかに合致すれば、虚数部選択部104の出力は位相誤差信号として適切であると判定する。
(条件1)推定シンボルが第1象限(Di≧0且つDq≧0)または第3象限(Di<0且つDq<0)の時であって、Ei<0且つEq≧0、または、Ei≧0且つEq<0
(条件2)推定シンボルが第2象限(Di<0且つDq≧0)または第4象限(Di≧0且つDq<0)の時であって、Ei≧0且つEq≧0、または、Ei<0且つEq<0
(Ei+jEq)は、推定されたシンボル(Di+jDq)に対する受信シンボル(Si+jSq)の差分である。従って、4PSKにおいて上記の条件を満足する領域は図23Aの斜線領域231や232であり、16QAMにおいて上記の条件を満足する領域は図23Bの各斜線領域である。
図22は、以上の位相誤差判定動作を実現する位相誤差判定部111の構成を示す。図22において、図9におけるシンボル推定部101の出力(Di+jDq)及び複素減算部110の出力(Ei+jEq)はそれぞれ、入力端子1110及び1111に入力される。比較器1112、1113、1114、及び1115は、Di、Dq、Ei及びEqがそれぞれ0以上かどうか判定する。比較器1112及び1113の出力はそれぞれ排他的論理和演算部1116に、比較器1114及び1115の出力はそれぞれ排他的論理和演算部1117に入力される。また排他的論理和演算部1116及び1117の出力はそれぞれ排他的論理和演算部1118に入力されて、排他的論理和演算がなされる。
以上の構成により、上述の(条件1)または(条件2)を満足する場合のみ、位相誤差として適切であることを意味する「1」が位相誤差判定出力端子1119から出力される。上述の(条件1)と(条件2)の何れも満足しない場合は、位相誤差として適切ではないことを意味する「0」が位相誤差判定出力端子1119から出力される。
(位相誤差判定部111の実施例2)
上記実施例1は、複素減算部110の出力である入力信号の振幅誤差(Ei+jEq)における実数部(Ei)と虚数部(Eq)の符号を用いて位相誤差判定を行なっている。位相方向の誤差を更に正確に判定するする方法を以下に示す。
図24は、位相誤差判定部111の実施例2の構成を示すブロック図である。図25A、図25B、図25Cは位相誤差判定部111の実施例2の動作を説明するための信号空間ダイヤグラムである。以下、図24、図25A、図25B及び図25Cを用いて、位相誤差判定部111の実施例2の動作を説明する。なお、ここでは、説明を簡単にするために、4PSK受信時、及び16QAM受信時の場合であって、且つ第1象限のみを用いて位相誤差判定部111の実施例2の動作を説明する。尚、図24Aは4PSKの場合、図24Bは16QAMの場合を示しているが、実施例2は4PSKと16QAMに限定されるものではない。
まず、図25A、図25B及び図25Cを用いて位相誤差判定部111の実施例2の動作原理を説明する。図25Aにおいて、I信号軸150、Q信号軸151、○印、●印は夫々図16と同様であり、詳細な説明は省略する。また、図25Bにおいて、I信号軸154、Q信号軸155、○印、●印は夫々図17と同様であり、詳細な説明は省略する。図8における複素乗算部11から出力されるシンボルのうち、位相誤差方向のみに回転したシンボルは斜線部で示す領域251〜255に存在する。このことに着目し、位相誤差判定部111は、複素減算部110の出力である入力信号の振幅誤差(Ei+jEq)及びシンボル推定部101の出力(Di+jDq)を基にして、複素乗算部11の出力である復調信号が図25A〜25Cの斜線部251〜255に入る時、虚数部選択部104の出力が位相誤差信号として適切であると判定する。即ち、位相誤差判定部111は、以下の(条件3)または(条件4)の何れかに合致すれば、虚数部選択部104の出力は位相誤差信号として適切であると判定する。
(条件3)推定シンボルが第1象限(Di≧0且つDq≧0)または第3象限(Di<0且つDq<0)の時であって、(−a−Ei)≦E
q≦(a−Ei) (但し、0<a<最小符号間距離d)
(条件2)推定シンボルが第2象限(Di<0且つDq≧0)または第4象限(Di≧0且つDq<0)の時であって、(−a+Ei)≦E
q≦(a+Ei) (但し、0<a<最小符号間距離d)
(Ej+jEq)は、推定されたシンボル(Di+jDq)に対する受信シンボル(Si+jSq)の差分である。従って、4PSKにおいて上記の条件を満足する領域は図25Aの斜線領域251であり、16QAMにおいて上記の条件を満足する領域は図25Bの各斜線領域252〜255である。
図25Cは、図25Bにおける送信シンボルを中心とした拡大図である。
図24は、以上の位相誤差判定動作を実現する位相誤差判定部111の構成を示す。図9におけるシンボル推定部101の出力(Di+jDq)及び複素減算部110の出力(Ei+jEq)はそれぞれ、入力端子1110及び1111に入力される。入力端子1110に入力されたDi及びDqは比較器111a0及び111a1に入力され、0以上かどうか判定される。比較器111a0及び111a1の出力はそれぞれ排他的論理和演算部111a2に入力され、排他的論理和演算部111a2はこれらを排他的論理和演算して、シンボル推定部101の出力(つまり図8における複素乗算部11から出力されるシンボル)の象限判定を行う。即ち、排他的論理和演算部111a2はシンボル推定部101の出力が第1象限または3象限の何れかに存在するのか、或いは、第2象限または4象限の何れかに存在するのかを判定する。
また、入力端子1111より入力された複素減算部110の出力(Ei+jEq)のうちEiは、減算部111a4、111a7、加算部111a9、111a11にそれぞれ入力される。一方、Eqは比較器111a5、111a8、111a10、及び111a12にそれぞれ入力される。
減算部111a4は、定数発生部111a3の出力値「a」と入力されたEiとで(a−Ei)を演算する。減算部111a7は、定数発生部111a6の出力値「−a」と入力されたEiとで(−a−Ei)を演算する。減算部111a4の出力は比較器111a5に入力される。比較器111a5は、減算部111a4の出力と比較器111a5のもう一方の入力端子に入力されたEqとを比較し、Eq≦(a−Ei)が成立する場合には「1」を出力する。成立しない場合は「0」を出力する。また、減算部111a7の出力は比較器111a8に入力される。比較器111a8は、減算部111a7の出力と比較器111a8のもう一方の入力端子に入力されたEqとを比較し、Eq≧(−a−Ei)が成立する場合には「1」を出力する。成立しない場合は「0」を出力する。比較器111a5及び比較器111a8の出力はそれぞれ、論理積演算部111a9に入力される。論理積演算部111a9は比較器111a5及び比較器111a8の出力を論理積演算し、その結果を選択部111a14に供給する。
一方、加算部111a9は、定数発生部111a3の出力値「a」とEiとを加算して(a+Ei)を出力する。加算部111a9の出力は比較器111a10に入力される。加算部111a11は、定数発生部111a6の出力値「−a」とEiとを加算して(−a+Ei)を出力する。加算部111a11の出力は比較器111a12に入力される。比較器111a10は、加算部111a9の出力ともう一方の入力端子に入力されたEqとを比較し、Eq≦(a+Ei)が成立する場合には「1」を出力する。成立しない場合は「0]を出力する。比較器111a12は、加算部111a11の出力と比較器111a12のもう一方の入力端子に入力されたEqとを比較し、Eq≧(−a+Ei)が成立するには「1」を出力する。成立しない場合は「0」を出力する。比較器111a10及び比較器111a12の出力はそれぞれ、論理積演算部111a13に入力される。論理積演算部111a13は、比較器111a10及び比較器111a12の出力を論理積演算し、その結果を選択部111a14に入力する。
選択部111a14は、排他的論理和演算部111a2の出力を制御信号として、入力されている2つの信号の一方を選択する。シンボル推定部101の出力(つまり図8における複素乗算部11から出力されるシンボル)の象限が第1または3象限の時、即ち排他的論理和演算部111a2が「0」を出力している時は、選択部111a14は論理積演算部111a9の出力を選択し出力する。シンボル推定部101の出力の象限が第2または4象限の時、即ち排他的論理和演算部111a2が「1」を出力している時は、選択部111a14は論理積演算部111a13の出力を選択し出力する。選択部111a14の出力は、位相誤差判定結果として出力端子1119に出力される。
上記、実施例1及び2で示した位相誤差判定部111の出力信号は、図9の選択部112に入力される。虚数部選択部104の出力が位相誤差信号として適切な場合は、選択部112は虚数部選択部104の出力を位相誤差出力端子105に出力する。虚数部選択部104の出力が位相誤差信号として適切でない場合は、選択部112は定数発生部113の出力である“0”を位相誤差出力端子105に出力する。位相誤差判定部111は、このように選択部112を制御する。
以上のように、本発明の実施の形態3に係る搬送波装置によれば、簡単な演算で直交変調信号の位相誤差を検出することが出来るので、回路規模が小さくなる。また、更に雑音や反射妨害を有する受信状況において周波数引き込み特性、並びに位相ジッタ特性を向上させることが可能となる。
次に、上記図8に示した本発明の実施の形態3における搬送波再生装置に於ける位相誤差検出部12cの他の構成を図10と共に説明する。
図10は、上記実施の形態2に係る搬送波再生装置における位相誤差検出部12bに、複素減算部110と、位相誤差判定部111と、選択部112と、定数発生部113とを更に加えた構成である。図10では、図7及または図9と同様の部分は同じ番号を付してあり、それらの個々の説明は省略する。
図10の構成であっても、同様の効果が得られるのは言うまでもない。この場合、シンボル数が更に多値直交振幅変調信号(QAM)受信時の周波数引き込み特性、並びに位相ジッタ特性を向上させることが可能となる。
また、上記図9及び図10の位相誤差判定部111は、象限判定をシンボル推定部101の出力を用いて行っているが、復調信号入力端子100から入力される複素乗算部11の出力である復調信号を用いて行っても同様の効果が得られる。
また、上記図9及び図10で示した構成の位相誤差検出部12cにおいて、シンボル推定部101と、複素共役部102と、第2の複素乗算部103と、及び虚数部選択部104の構成部分については、実施の形態1における図2の位相誤差検出部12aに基づいて説明した。しかし、これらは図3または図4で示す構成の位相誤差検出部12aであっても同様の効果が得られることは、言うまでもない。
また、上記説明では4PSK及び16QAMを例にとり説明したが、他の多相位相変調(nPSK)や多値直交振幅変調(nQAM等)でも、同様の効果が得られることは、言うまでもない。
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4に係る搬送波再生装置は、上記実施の形態1、実施の形態2及び実施の形態3に係る搬送波再生装置において、16QAM、64QAM、256QAM、1024QAM等(即ち、(2^2n>QAM であって、n=2,3,4,5…)を受信する場合、最も外側にあるシンボル(以下最外シンボルと示す)でも、正確に位相誤差検出が可能になる。更に、雑音や反射妨害を有する受信状況において周波数引き込み特性、並びに位相ジッタ特性を改善できるものである。
以下、本発明の実施の形態4に係る搬送波再生装置について説明する。
図26は、本発明の実施の形態4に係る搬送波再生装置の構成を示すブロック図である。図26において、実施の形態4に係る搬送波再生装置は、変調信号入力端子10と、複素乗算部11と、位相誤差検出部12dと、ループフィルタ13と、数値制御発振部14と、復調信号出力端子15とを備える。
図26に示すように、実施の形態4に係る搬送波再生装置は、上記実施の形態1に係る搬送波再生装置における位相誤差検出部12aを位相誤差検出部12dに代えた構成である。
なお、実施の形態4に係る搬送波再生装置のその他の構成は、上記実施の形態1に係る搬送波再生装置の構成と同様であり、当該構成部分については同一の参照番号を付してその説明を省略する。
以下、上記実施の形態1に係る搬送波再生装置と異なる位相誤差検出部12dの動作について、図27を用いて説明する。
図27は、図26の搬送波再生装置における前記位相誤差検出部12dの詳細な構成を示すブロック図である。
図27において、位相誤差検出部12dは、復調信号入力端子100と、シンボル推定部101と、複素共役部102と、第2の複素乗算部103と、虚数選択部104と、位相誤差出力端子105と、最外シンボル推定部130と、選択部131とを備える。
位相誤差検出部12dは、上記実施の形態1に係る搬送波再生装置における位相誤差検出部12aに、最外シンボル推定部130と、選択部131とを更に加えた構成である。その他の構成は、位相誤差検出部12aと同様であり、当該構成部分については同一の参照番号を付してその説明を省略する。
図27において、復調信号入力端子100を介して入力された復調信号(Si+jSq)は、最外シンボル推定部130に入力される。
図28は最外シンボル推定部130の更に詳細なブロック図であり、図29は最外シンボル推定部130の動作を説明するための信号空間ダイヤグラムである。以下、図28及び図29のを用いて最外シンボル推定部130の動作を説明する。
図28において、入力端子1300に入力された複素乗算部11の出力(Si+jSq)のうち、Siは絶対値算出部1301に、Sqは絶対値算出部1302にそれぞれ入力される。絶対値算出部1301はSiの絶対値を算出する。絶対値算出部1302はSqの絶対値を算出する。絶対値算出部1301の出力は比較部1307に入力され、絶対値算出部1302の出力は比較部1308に入力される。比較部1307は、|Si|≧m*dを満足する場合に「1」を出力する。満足しない場合は「0」を出力する。比較部1308は、|Sq|≧m*dを満足する場合に「1」を出力する。満足しない場合は「0」を出力する。但し、mは(2^2n)QAM(n=2,3,4,…)の場合のm=2^(n−1)であり、dは最小符号間距離である。
論理和演算部1309は、比較部1307の出力と1308の出力とを論理和を演算し、最外シンボル選択信号を最外シンボル選択信号出力端子1312を介して出力する。
上述の動作を、図29の空間ダイヤグラムと共に説明する。図29において、I信号軸154、Q信号軸155、各●印及び各○印は、図17のI信号軸154、Q信号軸155、各●印及び各○印と夫々同様であり、個々の詳細な説明は省略する。
最外シンボル選択信号出力端子1312より出力された最外シンボル選択信号は、入力端子1300に入力された複素乗算部11の出力(Si+jSq)が、斜線で示す領域291内に存在しているかどうかを示す。
また、入力端子1300に入力された複素乗算部11の出力(Si+jSq)のうち、Siは比較部1303、Sqは比較部1304に入力される。比較部1303は、入力されたSiが0以上であれば「1」を出力し、そうでなければ「0」を出力する。比較部1304は、入力されたSqが0以上であれば「1」を出力し、そうでなければ「0」を出力する。比較部1303の出力は選択部1310の選択信号として選択部1310に供給され、比較部1304の出力は選択部1311の選択信号として選択部1311に供給される。選択部1310及び1311には、最外シンボルの正の振幅値及び最外シンボルの負の振幅値が入力されている。
最外シンボルの正の振幅値は、(m−1/2)*dである。但し、mは、(2^2n)QAM(n=2,3,4,…)の場合、m=2^(n−1)である。また、dは、最小符号間距離の値を表す。最外シンボルの正の振幅値は、定数発生部1305の出力である。
最外シンボルの負の振幅値は、−(m−1/2)*dである。但し、mは、(2^2n)QAM(n=2,3,4,…)の場合、m=2^(n−1)である。また、dは、最小符号間距離の値を表す。最外シンボルの負の振幅値は、定数発生部1306の出力である。
選択部1310は、比較部1303の出力(つまりSiの符号)によって制御されて、定数発生部1305の出力((m−1/2)*d)若しくは定数発生部1306の出力(−(m−1/2)*d)の何れか一方を選択する。選択部1311は、比較部1304の出力(つまりSqの符号)によって制御されて、定数発生部1305の出力((m−1/2)*d)若しくは定数発生部1306の出力(−(m−1/2)*d)の何れか一方を選択する。選択部1310の出力と選択部1311の出力は、推定最外シンボルとして、最外シンボル出力端子1313を介して出力される。
最外シンボル選択信号出力端子1313より出力された推定最外シンボルとシンボル推定部101の出力は、図27の選択部131に入力される。選択部131は、図28の最外シンボル選択信号出力端子1312から供給されている最外シンボル選択信号によって制御され、推定最外シンボルとシンボル推定部101の出力との何れか一方を選択する。選択部131の出力は、複素共役部102に出力される。
次に、上記で示した最外シンボル推定部130と、選択部131の動作を図29の信号空間ダイヤグラム上で模式的に説明する。最外シンボル選択信号出力端子1312から出力される最外シンボル選択信号は、複素乗算部11の出力(Si+jSq)が図29中斜線で示す領域291内存在するかどうかを示す信号である。もし、(Si+jSq)が斜線の領域291内に存在する場合は、選択部131は最外シンボル推定部130に制御されて、最外シンボル選択信号出力端子1313より出力される最外シンボルを推定シンボルとして複素共役部102に出力する。即ち、図29の★印294で示されるシンボルが推定シンボルとして複素共役部102に出力される。複素乗算部11の出力(Si+jSq)に位相回転が残留することにより、最外シンボルが図29の領域292及び領域293に存在する場合がある。しかし、このような場合でも、推定シンボルとしては、最も近いシンボル(即ち、図29の☆印で示されたシンボル295や296)ではなく、最外シンボル(即ち、図29の★印で示されたシンボル294)として推定される。そのため、位相誤差検出を正確に行うことが可能になる。
以上のように、本発明の実施の形態4に係る搬送波装置によれば、簡単な演算で直交変調信号の位相誤差を検出することが出来るので、回路規模が小さくなる。更に、16QAM、64QAM、256QAM、1024QAM等(即ち、(2^2n)QAM であって、n=2,3,4,5…)を受信する場合、雑音や反射妨害を有する受信状況において周波数引き込み特性、並びに位相ジッタ特性を向上させることが可能となる。
なお、上記図26に示した本発明の実施の形態4における搬送波再生装置に於ける位相誤差検出部12dを、上記実施の形態2に係る搬送波再生装置における位相誤差検出部12b、または、上記実施の形態3に係る搬送波再生装置における位相誤差検出部12cにして、最外シンボル推定部130と、選択部131とを更に加えた構成であっても同様の効果が得られるのは言うまでもない。この場合、更に多値直交振幅変調信号(QAM)受信時の周波数引き込み特性、並びに位相ジッタ特性を向上させることが可能となる。
また、上記図26で示した構成の位相誤差検出部12dにおいて、シンボル推定部101と、複素共役部102と、第2の複素乗算部103と、及び虚数部選択部104の構成部分については、実施の形態1における図2の位相誤差検出部12aに基づいて説明した。しかし、図3または図4で示す構成の位相誤差検出部12aであっても同様の効果が得られることは、言うまでもない。
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5に係る搬送波再生装置は、上記実施の形態1、実施の形態2、実施の形態3、及び実施の形態4に係る搬送波再生装置において、周波数引き込み範囲(キャプチャレンジ)を更に拡大することを可能にするものである。
以下、本発明の実施の形態5に係る搬送波再生装置について説明する。
図11は、本発明の実施の形態5に係る搬送波再生装置の構成を示すブロック図である。図11において、実施の形態5に係る搬送波再生装置は、変調信号入力端子10と、複素乗算部11と、位相誤差検出部12aと、周波数誤差検出部16と、ループフィルタ13aと、数値制御発振部14と、復調信号出力端子15とを備える。図11に示すように、実施の形態5に係る搬送波再生装置は、上記実施の形態1に係る搬送波再生装置において、周波数誤差検出部16を更に加え、ループフィルタ13をループフィルタ13aに代えた構成である。
なお、実施の形態5に係る搬送波再生装置の周波数誤差検出部16とループフィルタ13a以外の構成は、上記実施の形態1に係る搬送波再生装置の構成と同様であり、当該構成部分については同一の参照番号を付してその説明を省略する。
以下、上記実施の形態1に係る搬送波再生装置と異なる周波数誤差検出部16と、ループフィルタ13aの動作について説明する。
図11において、位相誤差検出部12aより出力された位相誤差信号は、ループフィルタ13aに入力されると共に、周波数誤差検出部16に入力される。周波数誤差検出部16の出力は、ループフィルタ13aに入力される。ループフィルタ13aは、周波数誤差検出部16の出力と位相誤差検出部12aから出力された位相誤差信号とを合成し、且つ高周波数成分を除去して、制御信号として数値制御発振部14に供給する。
図12は、図11の搬送波再生装置における周波数誤差検出部16の詳細な構成を示すブロック図である。図12を参照して、周波数誤差検出部16の動作を説明する。
図12において、周波数誤差検出部16は、位相誤差入力端子300と、1シンボル遅延部301と、減算部302と、周波数誤差出力端子308とを備える。位相誤差入力端子300から入力された位相誤差信号は、1シンボル遅延部301に入力され、1シンボル期間遅延されて減算部302に入力される。減算部302は、シンボル遅延部301の出力信号と現在位相誤差入力端子300より入力された位相誤差信号との差分をとり、その結果を周波数誤差出力端子308を介して出力する。
図21は上記周波数誤差検出部16の動作を信号空間ダイヤグラム上で模式的に示した図である。ここでは、受信するディジタル変調信号が4PSKの場合を仮定し、また説明を簡単にするために第1象限のみを示す。以下、図21を用いて周波数誤差検出部16の周波数誤差検出動作を説明する。
図21において、I信号軸150、Q信号軸151、●印のシンボル153は、図16のI信号軸150、Q信号軸151、●印のシンボル153と同様であり、これらの詳細な説明は省略する。○印で示されたシンボル2101と2102は、図11における変調信号入力端子10を介して入力された信号と数値制御発振部14の出力信号とが周波数誤差を有する場合の複素乗算部11の出力信号であり、シンボル2101は時刻T1で出現したシンボルであり、シンボル2102は時刻T2で出現したシンボルである。シンボル2102はシンボル2101の次に到来したシンボルである。これらの変調信号は数値制御発振部14の出力信号に対して周波数誤差(Δf)を有する場合を仮定している。周波数誤差(Δf)を有するので、受信された直交変調信号と本来のシンボルとの位相差は1シンボル期間の間にΔθ1からΔθ2へ推移する。その周波数誤差(Δf)と、位相誤差の変化量(Δθ2−Δθ1)は式(10)で表現することが出来る。
2・π・Δf・T=(Δθ2−Δθ1) (10)
(但し、T=T2−T1である。)
式(10)から分かるように、位相誤差の変化量(Δθ2−Δθ1)は周波数誤差(Δf)に比例する。
位相誤差検出部12aの出力は、図21の□印2103と2104で示される座標のQ信号軸成分である。位相誤差検出部12aの出力も、周波数誤差(Δf)が存在していることが原因して、1シンボル期間(T=T2−T1)の間に{(Sq・Di−Si・Dq)T−T2−(Sq・Di−Si・Dq)T=T1}の変化が発生する。周波数誤差(Δf)に比例する値となる。なお、(Sq・Di−Si・Dq)T=T2は時刻TがT2である時の(Sq・Di−Si・Dq)である。また、(Sq・Di−Si・Dq)T=T1は時刻TがT1である時の(Sq・Di−Si・Dq)である。従って、位相誤差検出部12aで検出した位相誤差信号の時間的な差分を算出することで、周波数誤差を検出することができる。
周波数誤差検出部16の出力はループフィルタ13aに入力される。図14はループフィルタ13aの詳細な構成を示すブロック図である。図14において、ループフィルタ13aは、位相誤差信号入力端子200と、直接系増幅部201と、積分系増幅部202と、第1の加算部203と、1シンボル遅延部204と、第2の加算部205と、第3の加算部209と、周波数誤差増幅部211と、周波数誤差入力端子210と、制御信号出力端子206とを備える。
図14に示すように、実施の形態5に係る搬送波再生におけるループフィルタ13aは、上記実施の形態1に係る搬送波再生装置におけるループフィルタ13に、第3の加算部209と、周波数誤差増幅部211と、周波数誤差入力端子210とを更に加えた構成である。その他の構成は、ループフィルタ13と同様であり、当該構成部分については同一の参照番号を付してその説明を省略する。
図14において、周波数誤差検出部16の出力信号は、周波数誤差入力端子210を経由して、周波数誤差増幅部211に入力されて増幅される。周波数誤差増幅部211の出力は第3の加算部209に入力される。
ループフィルタ13aにおいて、周波数誤差の補正に作用する積分系1401は積分系増幅部202と、周波数誤差増幅部211と、第1の加算部203と、1シンボル遅延部204と、第3の加算部209のフィードバックループによって構成される。周波数誤差検出部16が検出した周波数誤差は、第3の加算部209を介してこの積分系に入力される。検出された周波数誤差が積分されることで、位相のディメンジョンに変換される。一方、数値制御発振部14は、入力される制御信号に比例してその出力位相を進ませる(または遅らせる)形式の発振部である。従って、上述の構成により、検出された周波数誤差信号を基にして数値制御発振部14の発振位相を制御可能となる。
このように、周波数誤差検出部16では、位相誤差検出部12aで検出した位相誤差信号により周波数誤差を検出し、それをループフィルタ13aにおいて位相誤差検出部12aで検出した位相誤差信号と合成して、数値制御発振部14の制御信号とすることにより、より大きな周波数誤差をも補正できることになる。
以上のように、本発明の実施の形態5に係る搬送波装置によれば、簡単な演算で直交変調信号の位相誤差を検出することが出来る。その結果、回路規模が小さくなると共に、周波数引き込み範囲(キャプチャレンジ)を更に拡大することが可能になる。
なお、上記図11に示した本発明の実施の形態5における搬送波再生装置に於ける位相誤差検出部12aを、上記実施の形態2に係る搬送波再生装置における位相誤差検出部12b、または、上記実施の形態4に係る搬送波再生装置における位相誤差検出部12dに変えた構成であっても同様の効果が得られることは言うまでもない。この場合、更に多値直交振幅変調信号(QAM)受信時の周波数引き込み特性、並びに位相ジッタ特性を向上させることが可能となる。
また、上記図11に示した本発明の実施の形態5における搬送波再生装置に於ける位相誤差検出部12aを、上記実施の形態3に係る搬送波再生装置における位相誤差検出部12cに置き換えることも出来る。その場合、周波数誤差検出部16を図13に示された周波数誤差検出部16aに変える必要がある。
そこで、図13を用いて、周波数誤差検出部16aの動作を説明する。図13は、周波数誤差検出部16aの詳細な構成を示すブロック図である。図13において、周波数誤差検出部16aは、位相誤差入力端子300と、1シンボル遅延部301と、減算部302と、周波数誤差出力端子308と、比較部305、306と、論理和算出部307と、選択部303と、定数発生部304とを備える。周波数誤差検出部16aは、前述の周波数誤差検出部16に、比較部305、306と、論理和算出部307と、選択部303と、定数発生部304とを更に加えた構成である。比較部305、306と、論理和算出部307と、選択部303と、定数発生部304以外は、周波数誤差検出部16と同様であり、当該構成部分については同一の参照番号を付してその説明を省略する。
図13において、位相誤差検出部12cから位相誤差入力端子300へ位相誤差信号が供給されている。供給されている位相誤差信号は、位相誤差信号として適切と判定された場合のみ、検出された位相誤差信号が供給される。即ち、受信されている信号が図23又は図25の斜線部に存在する場合にのみ、検出された位相誤差信号が供給される。適切でないと判定された場合は、位相誤差検出部12cから定数“0”が出力されている。
図13は、この適切でない場合の位相誤差検出部12cの出力を、周波数誤差検出に使用しないように構成されている。比較部305は1シンボル遅延部301の出力を入力し、入力された各信号が“0”でないかを比較判定する。入力された各信号が“0”でなければ「1」を出力し、“0”であれば「0」を出力する。比較部306は位相誤差入力端子300に入力される位相誤差検出部12cの出力を入力し、入力された信号が“0”でないかを比較判定する。入力された各信号が“0”でなければ「1」を出力し、“0”であれば「0」を出力する。論理和算出部307は、比較部305の出力と比較部306の出力とを論理和する。論理和算出部307の出力は、選択部303の制御信号として、選択部303に入力される。
減算部302は、位相誤差入力端子300を介して入力されている信号から1シンボル遅延部301の出力を減算する。選択部303は、論理和算出部307の出力に制御されて、減算部302の出力と定数発生部304の出力との何れか一方を選択する。即ち、1シンボル遅延させた位相誤差検出部12cの出力と、位相誤差入力端子300より入力された現在の位相誤差検出部12cの出力とが、共に“0”でない場合のみ、選択部303は減算部302の出力を周波数誤差出力端子308に出力する。それ以外の場合は定数発生部304からの定数“0”を出力する。
このように図11に示した本発明の実施の形態5における搬送波再生装置に於ける位相誤差検出部12aを、上記実施の形態3に係る搬送波再生装置における位相誤差検出部12cに変えた構成であっても同様の効果が得られる。この場合、更に雑音や反射妨害を有する受信状況において周波数引き込み特性、並びに位相ジッタ特性を向上させることが可能となる。
また、上記説明では4PSK及び16QAMを例にとり説明したが、他の多相位相変調(nPSK)や多値直交振幅変調(nQAM等)でも、同様の効果が得られることは、言うまでもない。
産業の利用可能性
本発明の搬送波再生装置は、多値直交振幅変調信号や、多相位相変調信号などのディジタル変調信号を復調する為の搬送波を再生する。本発明の搬送波再生装置は、簡単な演算で変調信号の位相誤差を検出することが出来、回路規模を小さく出来、周波数引き込み特性ならびに位相ジッタ特性の改善を可能にする。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の実施の形態1に係る搬送波再生装置の構成を示すブロック図である。
図2は、本発明の実施の形態1に係る搬送波再生装置における位相誤差検出部12aの詳細な構成の一例を示すブロック図である。
図3は、本発明の実施の形態1に係る搬送波再生装置における位相誤差検出部12aの詳細な構成の一例を示すブロック図である。
図4は、本発明の実施の形態1に係る搬送波再生装置における位相誤差検出部12aの詳細な構成の一例を示すブロック図である。
図5は、本発明の実施の形態1に係る搬送波再生装置におけるループフィルタ13の詳細な構成を示すブロック図である。
図6は、本発明の実施の形態2に係る搬送波再生装置の構成を示すブロック図である。
図7は、本発明の実施の形態2に係る搬送波再生装置における位相誤差検出部12bの詳細な構成の一例を示すブロック図である。
図8は、本発明の実施の形態3に係る搬送波再生装置の構成を示すブロック図である。
図9は、本発明の実施の形態3に係る搬送波再生装置における位相誤差検出部12cの詳細な構成の一例を示すブロック図である。
図10は、本発明の実施の形態3に係る搬送波再生装置における位相誤差検出部12cの詳細な構成の一例を示すブロック図である。
図11は、本発明の実施の形態5に係る搬送波再生装置の構成を示すブロック図である。
図12は、本発明の実施の形態5に係る搬送波再生装置における周波数誤差検出部16の詳細な構成の一例を示すブロック図である。
図13は、本発明の実施の形態5に係る搬送波再生装置における周波数誤差検出部16aの詳細な構成の一例を示すブロック図である。
図14は、本発明の実施の形態5に係る搬送波再生装置におけるループフィルタ13aの詳細な構成を示すブロック図である。
図15A及び図15Bは、シンボル推定部101の動作を模式的に説明した図である。
図16は、位相誤差検出部12aの動作を模式的に説明した図である。
図17は、位相ずれがある入力QAM信号を信号空間ダイヤグラムで表した図である。
図18A、図18B及び図18Cは、係数発生部109における係数発生方法を示した図である。
図19A、図19B及び図19Cは、位相誤差検出部12bの動作を模式的に説明した図である。
図20A及び図20Bは、雑音や反射により拡散された復調信号を模式的に説明した図である。
図21は、周波数誤差検出部16の動作を模式的に説明した図である。
図22は、本発明の実施の形態3に係る搬送波再生装置における位相誤差判定部111の実施例1の詳細な構成を示すブロック図である。
図23A及び図23Bは、位相誤差判定部111の実施例1の動作を模式的に説明した図である。
図24は、本発明の実施の形態3に係る搬送波再生装置における位相誤差判定部111の実施例2の詳細な構成を示すブロック図である。
図25A、図25B及び図25Cは、位相誤差判定部111の実施例2の動作を模式的に説明した図である。
図26は、本発明の実施の形態4に係る搬送波再生装置の構成を示すブロック図である。
図27は、本発明の実施の形態4に係る搬送波再生装置における位相誤差検出部12dの詳細な構成の一例を示すブロック図である。
図28は、本発明の実施の形態4に係る搬送波再生装置における最外シンボル推定部130の詳細な構成の一例を示すブロック図である。
図29は、最外シンボル推定部130の動作を模式的に説明した図である。
図30は、従来例の搬送波再生装置の構成を示すブロック図である。
図31は、従来例の搬送波再生装置におけるアークタンジェント演算部30の動作を模式的に説明した図である。
図面の参照符号の一覧表
10 変調信号入力端子
11、103 複素乗算部
12a、12b、12c、12d 位相誤差検出部
13、13a ループフィルタ
14 数値制御発振部
15 復調信号出力端子
16 周波数誤差検出部
100、1300 復調信号入力端子
101 シンボル推定部
102 複素共役部
104 虚数部選択部
105 位相誤差出力端子
106 符号反転部
107 振幅正規化部
108、121、122 乗算部
109 係数発生部
110 複素減算部
111 位相誤差判定部
112、303、131、111a14、1310、1311 選択部
113、304、111a3、111a6、1305、1306 定数発生部
123、302、111a4、111a7 減算部
130 最外シンボル推定部
150、154 I信号軸
151、155 Q信号軸
152、156、171〜174、2101、2102 ○印(シンボル)
153、157、175〜178 ●印(シンボル)
161、191、194、196、2103、2104 □印
192、193、195 ◇印
158、159 矢印(最小符号間距離)
200、300 位相誤差入力端子
201 直接系増幅部
202 積分系増幅部
203、205、209、111a9、111a11 加算部
204、301 1シンボル遅延部
206 数値制御発振部の制御信号出力端子
210 周波数誤差入力端子
211 周波数誤差増幅部
207 ループフィルタの直接系
208、1401 ループフィルタの積分系
231、232、251〜255、291〜293 領域
294 ★印
295、296 ☆印
308 周波数誤差出力端子
305、306、1112、1113、1114、1115、111a0、111a1、111a5、111a8、111a10、111a12、1307、1308、1303、1304 比較部(器)
307、1309 論理和演算部
1116、1117、1118、111a2 排他的論理和演算部
111a9、111a13 論理積演算部
1301、1302 絶対値演算部
1312 最外シンボル選択信号出力端子
1313 最外シンボル出力端子
1119 位相誤差判定出力端子
1110 推定シンボル入力端子
1111 振幅誤差入力端子
【書類名】明細書
【特許請求の範囲】
【請求項1】複素発振信号を出力する数値制御発振手段と、
入力した変調信号と前記数値制御発振手段の出力とを複素乗算する複素乗算手段と、
前記複素乗算手段の出力を基にして、前記変調信号と前記複素発振信号との位相誤差を検出する位相誤差検出手段と、
前記位相誤差をフィルターして前記数値制御発振手段を制御するループフィルタと
を備え、前記数値制御発振手段により前記変調信号の搬送波を再生する搬送波再生装置であって、
前記位相誤差検出手段は、
前記複素乗算手段の出力を基にしてシンボルを推定するシンボル推定手段と、
前記シンボル推定手段の出力と前記複素乗算手段の出力とを複素乗算する第2の複素乗算手段と
前記第2の複素乗算手段の出力のQ信号軸成分を選択する虚数部選択手段と
前記複素乗算手段の出力と前記シンボル推定手段の出力とを複素減算して振幅誤差を算出する複素減算手段と、
前記振幅誤差を基にして、前記第2の複素乗算手段の出力が位相方向の誤差かどうかを判定する位相誤差判定手段と、
前記位相誤差判定手段の出力を基にして、前記虚数部選択器の出力のうち位相方向の誤差のみを出力する選択手段と
を備える搬送波再生装置。
【請求項2】前記位相誤差判定手段は、
受信シンボルが第1象限または第3象限にある場合には前記複素減算手段の出力の実数部と虚数部とが異符号のときを前記位相方向の誤差であると判定し、前記受信シンボルが第2象限または第4象限にある場合には前記複素減算手段の出力の実数部と虚数部とが同符号のときを前記位相方向の誤差であると判定する請求項1に記載の搬送波再生装置。
【請求項3】前記位相誤差判定手段は、
受信シンボルが第1象限または第3象限にある場合には前記複素減算手段の出力の実数部(Ei)と虚数部(Eq)とが、(−a−Ei)≦Eq≦(a−Ei)(但し 0<a<最小符号間距離)のときを前記位相方向の誤差であると判定し、前記受信シンボルが第2象限または第4象限にある場合には前記複素減算手段の出力の実数部(Ei)と虚数部(Eq)とが、(−a+Ei)≦Eq≦(a+Ei)(但し 0<a<最小符号間距離)のときを前記位相方向の誤差であると判定する請求項1に記載の搬送波再生装置。
【請求項4】前記位相誤差検出手段は、
前記シンボル推定手段の出力を基にして前記第2の複素乗算手段の出力振幅を正規化し、前記位相誤差を出力する振幅正規化手段
を更に備える請求項1に記載の搬送波再生装置。
【請求項5】前記位相誤差検出手段は、
前記複素乗算手段の出力の実数部または虚数部の絶対値が最小符号間距離dのm倍(但し、(2^2n)QAM(n=2,3,4,…)を受信の場合は、m=2^(n−1))より大きい場合には前記受信シンボルが最外シンボルであると推定して、前記位相誤差を検出する最外シンボル推定手段
を更に備える請求項1に記載の搬送波再生装置。
【請求項6】前記位相誤差検出手段は、
前記位相誤差検出手段の出力を基にしてシンボル期間における位相誤差の変化を検出することにより周波数誤差を検出する周波数誤差検出手段を更に備え、
前記周波数誤差検出手段の出力を前記ループフィルタに入力する請求項1に記載の搬送波再生装置。
【請求項7】複素発振信号を出力する数値制御発振手段と、
入力した変調信号と前記数値制御発振手段の出力とを複素乗算する複素乗算手段と、
前記複素乗算手段の出力を基にして、前記変調信号と前記複素発振信号との位相誤差を検出する位相誤差検出手段と、
前記位相誤差をフィルターして前記数値制御発振手段を制御するループフィルタと
を備え、前記数値制御発振手段により前記変調信号の搬送波を再生する搬送波再生装置であって、
前記位相誤差検出手段は、
前記複素乗算手段の出力を基にしてシンボルを推定するシンボル推定手段と、
前記シンボル推定手段の出力と前記複素乗算手段の出力とを複素乗算する第2の複素乗算手段と
前記第2の複素乗算手段の出力のQ信号軸成分を選択する虚数部選択器と
前記シンボル推定手段の出力を基にして前記第2の複素乗算手段の出力振幅を正規化し、前記位相誤差を出力する振幅正規化手段
を備える搬送波再生装置。
【請求項8】前記位相誤差検出手段は、
前記複素乗算手段の出力の実数部または虚数部の絶対値が最小符号間距離dのm倍(但し、(2^2n)QAM(n=2,3,4,…)を受信の場合は、m=2^(n−1))より大きい場合には前記受信シンボルが最外シンボルであると推定して、前記位相誤差を検出する最外シンボル推定手段
を更に備える請求項7に記載の搬送波再生装置。
【請求項9】前記位相誤差検出手段は、
前記位相誤差検出手段の出力を基にしてシンボル期間における位相誤差の変化を検出することにより周波数誤差を検出する周波数誤差検出手段を更に備え、
前記周波数誤差検出手段の出力を前記ループフィルタに入力する請求項7に記載の搬送波再生装置。
【請求項10】複素発振信号を出力する数値制御発振手段と、
入力した変調信号と前記数値制御発振手段の出力とを複素乗算する複素乗算手段と、
前記複素乗算手段の出力を基にして、前記変調信号と前記複素発振信号との位相誤差を検出する位相誤差検出手段と、
前記位相誤差をフィルターして前記数値制御発振手段を制御するループフィルタと
を備え、前記数値制御発振手段により前記変調信号の搬送波を再生する搬送波再生装置であって、
前記位相誤差検出手段は、
前記複素乗算手段の出力を基にしてシンボルを推定するシンボル推定手段と、
前記シンボル推定手段の出力のI信号成分と前記複素乗算手段の出力のQ信号成分とを乗算する第1の乗算手段と、
前記シンボル推定手段の出力のQ信号成分と前記複素乗算手段のI信号成分とを乗算する第2の乗算手段と、
前記第1の乗算手段の出力と前記第2の乗算手段の出力とを減算する減算手段と
前記複素乗算手段の出力と前記シンボル推定手段の出力とを複素減算して振幅誤差を算出する複素減算手段と、
前記振幅誤差を基にして、前記減算手段の出力が位相方向の誤差かどうかを判定する位相誤差判定手段と、
前記位相誤差判定手段の出力を基にして、前記減算手段の出力のうち位相方向の誤差のみを出力する選択手段と
を備える搬送波再生装置。
【請求項11】前記位相誤差判定手段は、
受信シンボルが第1象限または第3象限にある場合には前記複素減算手段の出力の実数部と虚数部とが異符号のときを前記位相方向の誤差であると判定し、前記受信シンボルが第2象限または第4象限にある場合には前記複素減算手段の出力の実数部と虚数部とが同符号のときを前記位相方向の誤差であると判定する請求項10に記載の搬送波再生装置。
【請求項12】前記位相誤差判定手段は、
受信シンボルが第1象限または第3象限にある場合には前記複素減算手段の出力の実数部(Ei)と虚数部(Eq)とが、(−a−Ei)≦Eq≦(a−Ei)(但し 0<a<最小符号間距離)のときを前記位相方向の誤差であると判定し、前記受信シンボルが第2象限または第4象限にある場合には前記複素減算手段の出力の実数部(Ei)と虚数部(Eq)とが、(−a+Ei)≦Eq≦(a+Ei)(但し 0<a<最小符号間距離)のときを前記位相方向の誤差であると判定する請求項10に記載の搬送波再生装置。
【請求項13】前記位相誤差検出手段は、
前記シンボル推定手段の出力を基にして前記第2の複素乗算手段の出力振幅を正規化し、前記位相誤差を出力する振幅正規化手段
を更に備える請求項10に記載の搬送波再生装置。
【請求項14】前記位相誤差検出手段は、
前記複素乗算手段の出力の実数部または虚数部の絶対値が最小符号間距離dのm倍(但し、(2^2n)QAM(n=2,3,4,…)を受信の場合は、m=2^(n−1))より大きい場合には前記受信シンボルが最外シンボルであると推定して、前記位相誤差を検出する最外シンボル推定手段
を更に備える請求項10に記載の搬送波再生装置。
【請求項15】前記位相誤差検出手段は、
前記位相誤差検出手段の出力を基にしてシンボル期間における位相誤差の変化を検出することにより周波数誤差を検出する周波数誤差検出手段を更に備え、
前記周波数誤差検出手段の出力を前記ループフィルタに入力する請求項10に記載の搬送波再生装置。
【請求項16】複素発振信号を出力する数値制御発振手段と、
入力した変調信号と前記数値制御発振手段の出力とを複素乗算する複素乗算手段と、
前記複素乗算手段の出力を基にして、前記変調信号と前記複素発振信号との位相誤差を検出する位相誤差検出手段と、
前記位相誤差をフィルターして前記数値制御発振手段を制御するループフィルタと
を備え、前記数値制御発振手段により前記変調信号の搬送波を再生する搬送波再生装置であって、
前記位相誤差検出手段は、
前記複素乗算手段の出力を基にしてシンボルを推定するシンボル推定手段と、
前記シンボル推定手段の出力のI信号成分と前記複素乗算手段の出力のQ信号成分とを乗算する第1の乗算手段と、
前記シンボル推定手段の出力のQ信号成分と前記複素乗算手段のI信号成分とを乗算する第2の乗算手段と、
前記第1の乗算手段の出力と前記第2の乗算手段の出力とを減算する減算手段と
前記シンボル推定手段の出力を基にして前記減算手段の出力振幅を正規化し、前記位相誤差を出力する振幅正規化手段と
を備える搬送波再生装置。
【請求項17】前記位相誤差検出手段は、
前記複素乗算手段の出力の実数部または虚数部の絶対値が最小符号間距離dのm倍(但し、(2^2n)QAM(n=2,3,4,…)を受信の場合は、m=2^(n−1))より大きい場合には前記受信シンボルが最外シンボルであると推定して、前記位相誤差を検出する最外シンボル推定手段
を更に備える請求項16に記載の搬送波再生装置。
【請求項18】前記位相誤差検出手段は、
前記位相誤差検出手段の出力を基にしてシンボル期間における位相誤差の変化を検出することにより周波数誤差を検出する周波数誤差検出手段を更に備え、
前記周波数誤差検出手段の出力を前記ループフィルタに入力する請求項16に記載の搬送波再生装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多値直交振幅変調(QAM)信号や、多相位相変調(PSK)信号などのディジタル変調信号を復調する場合に用いられる搬送波再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、映像のディジタル化が進み、衛星、CATV、地上波のそれぞれの放送メディアにおいてディジタル放送が各国で開始されている。その伝送方式としては、各伝送路の特徴にあった方式が選択されている。例えば、衛星放送では4PSKや8PSKなどの多相位相変調、CATVでは64QAMや256QAMなどの多値直交振幅変調が用いられている。
【0003】
このようなデジタル変調信号の復調システムについては、数々の文献で紹介されており、その一例として、「多賀、石川、小松,:“QPSK復調システムの一検討”」(テレビジョン学会技術報告,vol.15,No.46,CE’91−42(1991.08))を取り挙げて、従来の搬送波再生装置について説明する。
【0004】
図30は、従来例の搬送波再生装置の構成を示すブロック図である。図30において、従来例の搬送波再生装置は、変調信号入力端子5010と、複素乗算部5011と、アークタンジェントを演算するアークタンジェント演算部5030と、ループフィルタ5013と、数値制御発振部5014と、復調信号出力端子5015とを備える。
【0005】
なお、図30において、太線かつ“/2”で示している信号線は、複素表現される信号の信号線を示している。
【0006】
以下に上記従来例の搬送波再生回路の動作を簡単に説明する。
【0007】
図30は、受信したディジタル変調信号が前段で一旦直交検波され、変調信号入力端子5010に入力される。但し、前段で直交検波される際、直交検波する為の搬送波が必ずしも常に正確な周波数と正確な位相ではない。従って、変調信号入力端子5010に入力される信号は、周波数及び位相のずれが残留する。変調信号入力端子5010に入力された信号は、複素乗算部5011の一方の入力端子に入力される。数値制御発振部5014は、互いに直交する2つの発振信号からなる複素発振信号を出力し、それが複素乗算部5011の他方の入力端子に入力される。
【0008】
複素乗算部5011は、数値制御発振部5014の出力と変調信号入力端子5010に入力される信号とを複素乗算することによって、入力端子5010に入力される信号の周波数および位相ずれを除去して、復調信号を復調信号出力端子5015を介して出力する。
【0009】
一方、複素乗算部5011の出力である復調信号SiとSqは、アークタンジェント演算部(Tan-1)5030に入力される。アークタンジェント演算部(Tan-1)5030は、Si及びSqの値を基にしてアークタンジェントを演算して、変調信号入力端子5010に供給されているディジタル変調信号の搬送波信号と数値制御発振部5014の出力信号との位相誤差を検出する。アークタンジェント演算部5030の出力は、ループフィルタ5013に入力され、位相誤差の高周波数成分が除去される。そうして、ループフィルタ5013の出力は、数値制御発振部5014に対する制御信号として数値制御発振部5014に入力される。ループフィルタ5013の出力信号により制御された数値制御発振部5014の出力信号は、複素乗算部5011に供給される。
【0010】
尚、以上の説明では、(数1)と(数2)に示す通り、数値制御発振部5014の出力は変調信号入力端子5010に入力されている信号の搬送波信号と共役関係の(つまり周波数ずれ及び位相ずれのない)信号である場合を例示している。従って、(数1)と(数2)の関係にある時は、アークタンジェント演算部(Tan-1)5030は位相誤差ゼロを検出する。(数1)と(数2)との間に位相差が存在すると、アークタンジェント演算部(Tan-1)5030はその位相誤差に対応する信号を出力する。
【0011】
このように構成された位相制御ループによって負帰還制御ループが構成されるので、受信したディジタル変調信号に位相同期した搬送波が数値制御発振部5014で再生される。また、この再生された搬送波は、変調信号入力端子5010に入力されている信号の搬送波信号と共役関係(つまり周波数ずれ及び位相ずれのない)であり周波数誤差および位相誤差がないので、正しい復調信号を得ることが可能となる。
【0012】
上述の通り、従来の搬送波再生回路における位相誤差検出は、アークタンジェント演算部5030が複素乗算部5011の出力をアークタンジェント演算して求められる。その動作を図31を参照してさらに詳細に説明する。
【0013】
図31は、従来の位相誤差検出の動作を説明するための出力信号空間ダイヤグラムである。ここでは、受信するディジタル変調信号が4PSKの場合を仮定しており、また説明を簡単にするために第1象限のみを用いて説明する。変調信号入力端子5010に入力されたディジタル変調信号と数値制御発振部5014の出力信号との間に位相誤差Δθが存在する場合を仮定する。複素乗算部5011の出力である復調信号は、○印5041で示される。正確な搬送波が再生されていれば上述の位相誤差Δθが存在しないので、複素乗算部5011の出力である復調信号は、4PSKのシンボルの本来の位相である●印5042で示される。●印5042で示される位相は、(π/4+n・π/2)[ラジアン](n=0,1,2,3)である。しかし、位相誤差Δθが存在する場合を仮定しているので、複素乗算部5011より出力される信号は、位相φ(φ=π/4+Δθ)の位置に存在する。
【0014】
この位相誤差Δθは、複素乗算部5011の出力であるSiとSqを基にしてアークタンジェント演算することにより位相φを求め、そしてこの受信シンボルの位相φと本来の4PSKのシンボル位相(π/4)との差分を求めることにより、算出されていた。
【0015】
ところで、受信シンボルの位相φを求めるアークタンジェントの演算は、一般的にSiとSqに対して予め演算したTan-1 (Sq/Si)の値をROM等の記憶装置に格納しておき、SiとSqをアドレスにして読み出す方法がある。或いは、SiとSqを基にして2次元のベクトルの回転の計算を行い、回転した分の角度を求めるコーディック(Cordic)アルゴリズムも用いられていた。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ROMを用いてアークタンジェントを演算する方法では、膨大なROM容量が必要なので回路規模の増大が発生する。また、コーディック法では、精度を高い位相を求めるには多くのステップが必要になり、搬送波再生回路のループ内遅延の増大に伴う周波数引き込み範囲(キャプチャレンジ)が狭くなるという課題があった。
【0017】
【課題を解決するための手段】
搬送波再生装置は、
複素発振信号を出力する数値制御発振手段と、
入力した変調信号と数値制御発振手段の出力とを複素乗算する複素乗算手段と、
複素乗算手段の出力を基にして、変調信号と複素発振信号との位相誤差を検出する位相誤差検出手段と、
位相誤差をフィルターして数値制御発振手段を制御するループフィルタと
を備え、数値制御発振手段により変調信号の搬送波を再生する搬送波再生装置であって、
位相誤差検出手段は、少なくとも、複素乗算手段の出力を基にしてシンボルを推定するシンボル推定手段を備える。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図1から図29を用いて説明する。
【0019】
なお、以下の説明において、実施の形態1は本発明の基本となる搬送波再生装置である。
【0020】
実施の形態2は、実施の形態1に対し、更に多値直交振幅変調信号(QAM)受信時の周波数引き込み特性、並びに位相ジッタ特性を改善した搬送波再生装置である。
【0021】
実施の形態3は、実施の形態1および実施の形態2に対し、雑音や反射妨害を有する受信状況において周波数引き込み特性、並びに位相ジッタ特性を更に改善した搬送波再生装置である。
【0022】
実施の形態4は、実施の形態1、実施の形態2および実施の形態3に対し、16QAM、64QAM、256QAM、1024QAM等(即ち、(2^2n)QAM であって、n=2,3,4,5…)を受信する場合の、雑音や反射妨害を有する受信状況において周波数引き込み特性、並びに位相ジッタ特性を更に改善した搬送波再生装置である。
【0023】
実施の形態5は、実施の形態1、実施の形態2、実施の形態3および実施の形態4に対し、更に周波数引き込み範囲(キャプチャレンジ)を改善した搬送波再生装置である。
【0024】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る搬送波再生装置の構成を示すブロック図である。
【0025】
図1において、変調信号入力端子10と、複素乗算部11と、位相誤差検出部12aと、ループフィルタ13と、数値制御発振部14と、復調信号出力端子15とを備える。
【0026】
なお、図1において、太線かつ“/2”で示している信号線は、複素表現される信号の信号線を示している(以下、各図面において太線かつ“/2”で示している信号線は、同様である)。
【0027】
以下に実施の形態1に係る搬送波再生装置の概略を説明する。
【0028】
図1は、多値直交振幅変調または多相位相変調された信号を受信する場合を例に挙げている。受信したディジタル変調信号が前段で一旦直交検波されて、変調信号入力端子10に入力される。但し、前段で直交検波される際、直交検波する為の搬送波が必ずしも常に正確な周波数と正確な位相ではない。従って、変調信号入力端子10に入力される信号は、周波数及び位相ずれが残留する。即ち、この信号は、I(同相とも呼ばれる)信号成分をSi、Q(直交とも呼ばれる)信号成分をSqとすると、(数1)で表現できる信号である。
【0029】
【数1】
Figure 2003077497
【0030】
(数1)で表現される信号が変調信号入力端子10に入力され、複素乗算部11の一方の入力端子に入力される。数値制御発振部14は、(数1)で示される信号の搬送波成分(exp(j(Δwt+Δθ)と共役関係の信号であるとする
と、(数2)で表現される信号を出力する。
【0031】
【数2】
Figure 2003077497
【0032】
即ち、数値制御発振部14は、互いに直交する2つの発振信号からなる複素発振信号を出力し、それが複素乗算部11の他方の入力端子に入力される。
【0033】
複素乗算部11は、数値制御発振部14の出力と変調信号入力端子10に入力される信号とを複素乗算することによって、(数3)に示す演算を実行する。
【0034】
【数3】
Figure 2003077497
【0035】
複素乗算部11は、入力端子10に入力される信号の周波数および位相ずれを除去して、復調信号(Si+jSq)を復調信号出力端子15を介して出力する。
【0036】
一方、複素乗算部11の出力である復調信号は、位相誤差検出部12aにも入力される。位相誤差検出部12aは、Si及びSqを基にして、受信したディジタル変調信号の位相誤差を検出する。位相誤差検出部12aの出力は、ループフィルタ13に入力され、位相誤差の高周波数成分が除去される。そうして、数値制御発振部14に制御信号として入力される。ループフィルタ13の出力信号により制御された数値制御発振部14の出力信号は、複素乗算部11に供給される。
【0037】
尚、以上の説明では、(数1)と(数2)に示す通り、数値制御発振部14の出力は、変調信号入力端子10に入力されている信号の搬送波信号と共役関係の(つまり周波数ずれ及び位相ずれのない)場合を例示している。従って、(数1)と(数2)の関係にある時は、位相誤差検出部12aは位相誤差ゼロを検出する。(数1)と(数2)との間に位相差が存在すると、位相誤差検出部12aはその位相誤差を検出する。
【0038】
このように構成された位相制御ループによって負帰還制御ループが構成されるので、受信したディジタル変調信号に位相同期した搬送波が数値制御発振部14で再生される。この再生された搬送波は、変調信号入力端子10に入力されている信号の搬送波信号と共役関係であり周波数誤差および位相誤差がないので、正しい復調信号を得ることが可能となる。
【0039】
図5は、図1におけるループフィルタ13の詳細な構成を示すブロック図である。ループフィルタ13は、位相誤差信号入力端子200と、直接系増幅器201と、積分系増幅器202と、第1の加算器203と、1シンボル遅延器204と、第2の加算器205と、制御信号出力端子206とを備える。
【0040】
位相誤差検出部12aの出力が位相誤差信号入力端子200に供給される。ループフィルタ13は、位相誤差信号入力端子200と、直接系207と、積分系208と、第2の加算部205と、ループフィルタ出力端子206で構成されている。そうして、直接系207は直接系増幅部201で構成されている。一方、積分系208は積分系増幅部202と第1の加算部203と1シンボル遅延部204で構成されている。
【0041】
直接系207は、増幅度がαである直接系増幅部201のみで構成されており、位相誤差信号入力端子200を介して入力された位相誤差信号を増幅度αで増幅するだけの処理を実施する。ところで、数値制御発振部14は、入力される制御信号に比例してその出力位相を進ませる(または遅らせる)形式の発振部である。従って、この直接系207は、数値制御発振部14の出力位相を位相誤差信号に対してリニアに進ませる(または遅らせる)働きをする。即ち、この直接系は、搬送波再生での位相誤差の補正に作用する系である。
【0042】
一方、積分系208では、まず積分系増幅部202が位相誤差信号入力端子200を介して入力された位相誤差信号を増幅度βで増幅する。第1の加算部203は、積分系増幅部202の出力と1シンボル遅延部204の出力を加算する。そうして、第1の加算部203の出力は1シンボル遅延部204へ入力される。従って、第1の加算部203と1シンボル遅延部204とのループで所謂積分機能を持つ。この様に、積分系208は、位相誤差信号入力端子200を介して入力された位相誤差信号を増幅度βで増幅した後、所謂積分処理を実施する。ところで、数値制御発振部14は、入力される制御信号に比例してその出力位相を進ませる(または遅らせる)形式の発振部である。従って、この積分系208は、位相誤差信号を基にして数値制御発振部14の出力周波数を制御する働きを有する。即ち、この積分系208は、搬送波再生での周波数誤差を補正に作用する系である。
【0043】
ループフィルタ13の出力信号により制御された数値制御発振部14の出力信号は、複素乗算部11に供給される。
【0044】
このように構成された位相制御ループによって負帰還制御ループが構成されるので、受信したディジタル変調信号に位相同期した搬送波が数値制御発振部14で再生される。この再生された搬送波は、変調信号入力端子10に入力されている信号の搬送波信号と共役関係であり周波数誤差および位相誤差がないので、正しい復調信号を得ることが可能となる。
【0045】
次に、図2を用いて、本発明の実施の形態1に係る搬送波再生装置の位相誤差検出部12aの動作を説明する。
【0046】
図2は図1の搬送波再生装置における位相誤差検出部12aの詳細な構成を示すブロック図である。図2において、位相誤差検出部12aは、復調信号入力端子100と、シンボル推定部101と、複素共役部102と、第2の複素乗算部103と、虚数選択部104と、位相誤差出力端子105とを備える。
【0047】
図1における数値制御発振部14の出力が変調信号入力端子10に印加されている信号の搬送波と共役関係(つまり周波数ずれ及び位相ずれのない)であれば、複素乗算部11の出力は、正しい復調信号を出力する。数値制御発振部14の出力信号の位相が変調信号入力端子10に印加されている信号の搬送波の位相と共役関係でなくなれば(つまり周波数ずれ及び位相ずれがある場合)、複素乗算部11は正しい復調信号を出力することが出来ない。
【0048】
複素乗算部11の出力は、復調信号入力端子100を介して、シンボル推定部101と第2の複素乗算部103にそれぞれ供給される。シンボル推定部101は、復調信号入力端子100より入力された復調信号を基にして、送信されたシンボルを推定し、その推定結果を出力する。
【0049】
このシンボル推定部101を図15A及び図15Bと共に詳細に説明する。図15A及び図15Bはシンボル推定部101の動作を示した図であり、図15Aは4PSKの場合、図15Bは16QAMの場合を示す。
【0050】
図15Aは、軸150はI信号軸であり、軸151はQ信号軸である。図1での数値制御発振部14の出力信号位相が、変調信号入力端子10を介して入力されている信号の搬送波の位相と共役関係でない(つまり周波数ずれ及び位相ずれがある)場合を仮定すると、●印153で示されたシンボルが送信されていても、複素乗算部11から出力される信号は○印152で示されたシンボルとなる。
【0051】
一方、図15Bは、軸154はI信号軸であり、軸155はQ信号軸である。図1での数値制御発振部14の出力信号位相が、変調信号入力端子10に入力されている信号の搬送波の位相と共役関係でない(つまり周波数ずれ及び位相ずれがある)場合を仮定すると、●印157で示されたシンボルが送信されていても、複素乗算部11から出力される信号は○印156で示されたシンボルとなる。
【0052】
尚、矢印158はI信号軸方向(軸154方向)の最小符号間距離dを、矢印159はQ信号軸方向(軸155方向)の最小符号間距離dを夫々示している。
【0053】
シンボル推定部101は、入力されている信号が図15Aの○印152のシンボルであった場合には、最も近い●印153のシンボルが送信されたものであると推定して、●印153のシンボルを出力する。シンボル推定部101は、入力されている信号が図15Bの○印156のシンボルであった場合には、最も近い●印157のシンボルが送信されたものであると推定して、●印157のシンボルを出力する。
【0054】
この様に、推定して出力される値のI信号軸の値をDi、Q信号軸の値をDqとする。従って、この出力は複素表現すると、(Di+jDq)と表示される。
【0055】
このシンボル推定部101の出力は図2の複素共役部102に入力され、複素共役部102は(Di+jDq)で表現されるシンボル推定部101の出力の複素共役をとる。つまり、複素共役部102はシンボル推定部101の出力のうちQ軸成分であるDqの符号を反転して(Di−jDq)を生成する。複素共役部102の出力は、第2の複素乗算部103に入力される。第2の複素乗算部103は、複素共役部102の出力(Di−jDq)と復調信号入力端子100より入力された復調信号(Si+jSq)と複素乗算する。従って、第2の複素乗算部103は(数4)で表現される算出結果を出力する。
【0056】
【数4】
Figure 2003077497
【0057】
第2の複素乗算部103の出力は虚数部選択部104に入力され、虚数部選択部104は(数4)の虚数部である(Sq・Di−Si・Dq)のみを選択し、位相誤差信号として出力する。
【0058】
次に、上述の位相誤差検出部12aによる位相誤差の導出原理について、図16を用いて更に説明する。図16は位相誤差検出部12aの動作を信号空間ダイヤグラムで表したものである。ここでは、受信するディジタル変調信号が4PSKの場合を仮定し、また説明を簡単にするために第1象限のみを用いて説明する。
【0059】
図16において、軸150はI信号軸、軸151はQ信号軸である。これらは図15Aの軸150、151にそれぞれ相当する。また、●印153と○印152は、図15Aの●印153と○印152に夫々相当する。○印152は、図1における複素乗算部11の出力信号である。変調信号入力端子10より入力された直交変調信号の搬送波と、数値制御発振部14の出力信号とが位相誤差Δθを有する場合を仮定している。従って、○印152は、本来のシンボルである●印153に対して位相誤差Δθを有する。即ち、図1における複素乗算部11の出力は(数5)のように表現できる。
【0060】
【数5】
Figure 2003077497
【0061】
上述の通り、図2におけるシンボル推定部101は、4点ある本来の4PSKのシンボルのうち、複素乗算部11の出力である復調信号(図15Aの○印152)に最も近いシンボルである第1象限のシンボル(図15Aの●印153)を送信されたシンボルとして推定し、出力する。シンボル推定部101の出力は、(数6)のように表現できる。
【0062】
【数6】
Figure 2003077497
【0063】
このシンボル推定部101の出力は複素共役部102で、(数7)に示すように複素共役がとられ、第2の複素乗算部103に入力される。
【0064】
【数7】
Figure 2003077497
【0065】
第2の複素乗算部103は、(数8)に示すように、複素乗算部11の出力である復調信号と複素共役部102の出力とを複素乗算する。
【0066】
【数8】
Figure 2003077497
【0067】
(数8)から分かる通り、第2の複素乗算部103の出力はその位相項が位相誤差Δθのみを有する信号となる。この第2の複素乗算部103の出力は、図16において□印161で示される。(図16ではA=1としている)つまり、位相誤差検出部12aに入力された複素乗算部11の出力は、上記の第2の複素乗算部103のまでの演算により、本来の変調シンボルである●印153を中心とするベクトルから、I信号軸150の正の部分を中心とするベクトルへ移される。
【0068】
そして、虚数部選択部104は、位相誤差Δθに対応する値として、第2の複素乗算部103の出力の虚数部のみ、即ち(Sq・Di−Si・Dq)を選択する。こうすることによって、位相誤差の検出が実現される。
【0069】
次に、図3は、図1における位相誤差検出部12aの他の構成を示す。図3において、復調信号入力端子100、シンボル推定部101、複素共役部102、第2の複素乗算部103、虚数部選択104、位相誤差検出出力端子105は夫々図2と同様である。従って、これらの詳細な説明は省略する。
【0070】
複素共役部102は、復調信号入力端子100を介して入力された復調信号の複素共役をとる。第2の複素乗算部103は、シンボル推定部101の出力と、複素共役部102の出力とを複素乗算する。虚数部選択104は、第2の複素乗算部103の出力の虚数部のみを選択して出力する。符号反転部106は、虚数部選択104の出力を符号反転し、位相誤差信号として位相誤差出力端子105を介して出力する。この様にして作成される位相誤差検出出力は、図2の場合と同様に、(Sq・Di−Si・Dq)となる。
【0071】
また、図2および図3で示す位相誤差検出部12aは共に、復調信号入力端子100より入力された復調信号と、それのシンボル推定結果とを複素乗算した結果のうち、虚数部である(Sq・Di−Si・Dq)を出力するものである。
【0072】
図4は、この処理と等価な処理を実行する、他の構成を示す。図4において、復調信号入力端子100、シンボル推定部101、位相誤差検出出力端子105は夫々図2及び図3と同様である。従って、これらの詳細な説明は省略する。
【0073】
シンボル推定部101は復調信号入力端子100を経由して入力された復調信号をシンボル推定する。乗算部122は、シンボル推定部101の出力のI信号成分(Di)と、復調信号入力端子100を経由して入力された復調信号のQ信号成分(Sq)とを乗算し、(Di・Sq)を出力する。乗算部121は、シンボル推定部101の出力のQ信号成分(Dq)と、復調信号入力端子100を経由して入力された復調信号のI信号成分(Si)とを乗算し、(Dq・Si)を出力する。減算部123は、乗算部121の出力と乗算部122の出力とを減算し、位相誤差として位相誤差検出出力端子105を介して出力する。従って、位相誤差検出出力端子105から出力される位相誤差は(Sq・Di−Si・Dq)となり、図2や図3と同様に位相誤差検出が可能となる。
【0074】
以上のように、本発明の実施の形態1に係る搬送波再生装置によれば、簡単な演算で直交変調信号の位相誤差を検出することが出来るので、回路規模が小さくなると共に、また、ループ内遅延の増大に伴う周波数引き込み範囲(キャプチャレンジ)が狭くなることを防ぐことが可能となる。
【0075】
また、上記説明では4PSKを例にとり説明したが、他の多相位相変調(nPSK)や多値直交変調(nQAM)でも、同様の効果が得られることは、言うまでもない。
【0076】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る搬送波再生装置は、上記実施の形態1に係る搬送波再生装置において、更に多値直交振幅変調信号(QAM)受信時の周波数引き込み特性、並びに位相ジッタ特性を向上させるものである。
【0077】
以下、本発明の実施の形態2に係る搬送波再生装置について説明する。
【0078】
図6は、本発明の実施の形態2に係る搬送波再生装置の構成を示すブロック図である。図6において、変調信号入力端子10と、複素乗算部11と、位相誤差検出部12bと、ループフィルタ13と、数値制御発振部14と、復調信号出力端子15とを備える。
【0079】
図6に示すように、実施の形態2に係る搬送波再生装置は、上記実施の形態1に係る搬送波再生装置における位相誤差検出部12aを位相誤差検出部12bに代えた構成である。
【0080】
なお、実施の形態2に係る搬送波再生装置のその他の構成は、上記実施の形態1に係る搬送波再生装置の構成と同様であり、当該構成部分については同一の参照番号を付してその説明を省略する。
【0081】
以下、上記実施の形態1に係る搬送波再生装置と異なる位相誤差検出部12bの動作について、図7を用いて説明する。
【0082】
図7において、位相誤差検出部12bは、復調信号入力端子100と、シンボル推定部101と、複素共役部102と、第2の複素乗算部103と、虚数部選択部104と、位相誤差出力端子105と、振幅正規化部107とを備える。
【0083】
この位相誤差検出部12bは、上記実施の形態1に係る搬送波再生装置における位相誤差検出部12aに、振幅正規化部107を更に加えた構成である。その他の構成は、位相誤差検出部12aと同様であり、当該構成部分については同一の参照番号を付してその説明を省略する。
【0084】
さて、第2の複素乗算部103は、実施の形態1に係る搬送波再生装置で説明したように、復調信号入力端子100を介して入力された復調信号(Si+jSq)と複素共役部102の出力(Di−jDq)とを複素乗算する。その出力信号は(数8)で表される。この(数8)に示すように、第2の複素乗算部103の出力は、位相誤差(Δθ)と振幅値の自乗(A2)の関数である。そのため、シンボルに応じて振幅が異なるQAMを受信した場合、検出される位相誤差の利得は送信されたシンボルによって異なる。その様子を、図17と共に説明する。
【0085】
図17において、軸154はI信号軸、軸155はQ信号軸である。○印171から174は入力されているシンボル、●印175から178は送信されている本来のシンボルである。シンボルに応じてで振幅が異なるQAMを受信した場合、検出された結果である位相誤差は振幅値の自乗(A2)の関数でもあるので、検出された位相誤差の利得は送信された変調シンボルに応じて異なる。そのために、周波数が引き込みにくくなる場合がある。また、周波数引き込みが出来、位相同期が確立しても復調出力に大きな位相ジッタを生じる場合がある。そこで、実施の形態2に係る搬送波再生装置は、振幅正規化部107を更に備えている。振幅正規化部107は、検出される位相誤差がシンボルの違いによって発生する位相誤差信号の利得変動を補正する。以下、振幅補正部107の動作を説明する。
【0086】
図7において、振幅補正部107は、係数発生部109と、乗算部108とで構成される。係数発生部109はシンボル推定部101の出力を入力として、各変調シンボルの振幅に応じた係数を発生する。
【0087】
図18A、図18B及び図18Cはその係数の発生方法の一例を示している。ここでは、説明を簡単にするために、受信するディジタル変調信号が16QAMの場合を仮定し、また第1象限のみを用いて説明する(16QAMに限定するものではない。)。
【0088】
図18Aにおいて、I信号軸154、Q信号軸155、シンボル175〜178は、図17のI信号軸154、Q信号軸155、シンボル175〜178と同様である。シンボル推定部101の推定結果は、シンボル175〜178の何れかになる。各シンボル175〜178の振幅値は3種類存在する。
【0089】
以降、各シンボルの座標を(I信号成分、Q信号成分)で表現する。最外シンボルであるシンボル178は(Di、Dq)=(3、3)であり、その場合の振幅A3を「1」に正規化する。
【0090】
シンボル176は(Di、Dq)=(1、3)、シンボル177は(Di,Dq)=(3、1)であり、その正規化された振幅A2は√(5/9)である。
【0091】
シンボル175は(Di、Dq)=(1、1)であり、その正規化された振幅A1は1/3である。
【0092】
また、上記(数8)から分かる通り、第2の複素乗算部103の出力はシンボルの振幅値の自乗(A2)に比例する。そのため、係数発生部109は、以下に示すように、各シンボルにおける振幅値の自乗A2の逆数(1/A2)に相当する係数を発生する。即ち、
(Di、Dq)=(3、3)の場合は、係数として1/A2=1/(A3)2=1が発生される。
【0093】
(Di、Dq)=(1、3)及び(3、1)の場合は、係数として1/A2=1/(A2)2=9/5が発生される。
【0094】
(Di、Dq)=(1、1)の場合は、係数として1/A2=1/(A3)2=9が発生される。
【0095】
このように、位相誤差の振幅正規化のための係数は、シンボル推定部101において、シンボルが推定されれば一意に決定される。そのため、係数発生部109は図18Bに示すように、シンボル推定部101のシンボル推定結果(Di、Dq)をアドレスとして、各シンボルの振幅値の自乗(A2)の逆数(1/A2)の値を記憶するROM等の記憶装置で実現することが出来る。
【0096】
図7の係数発生部109の出力は、乗算部108に入力される。虚数部選択部104の出力は、乗算部108において係数発生部109の出力と乗算されることによって、検出される位相誤差の各変調シンボルの振幅による違いが補正される。
【0097】
図19A、図19B及び図19Cは、上記の振幅正規化部107を有する実施の形態2に係る搬送波再生における位相誤差検出部12bの動作を模式的に表した図である。図19Aは、(Di、Dq)=(3、3)の場合、図19Bは(Di、Dq)=(1、3)及び(3、1)の場合、図19Cは(Di、Dq)=(1、1)の場合における位相誤差検出の動作を示している。また、これらの図において、I信号軸154、Q信号軸155、シンボル171〜178は、それぞれ図17や図18AでのI信号軸154、Q信号軸155、シンボル171〜178と同様である。
【0098】
図6における変調信号入力端子10を介して入力された直交変調信号と数値制御発振部14の出力信号とが位相誤差Δθを有する場合、複素乗算部11の出力である復調信号(Si+jSq)は、図19Aの○印174で示されたシンボル、図19Bの○印172及び173で示されたシンボル、図19Cの○印171で示されたシンボルの何れかである。これらのシンボル171〜174のシンボル推定された結果は、図19Aの●印178で示されたシンボル、図19Bの●印176及び177で示されたシンボル、図19Cの●印175で示されたシンボルの何れかになる。これらの共役信号(Di−jDq)と復調信号(Si+jSq)とが第2の複素乗算部103で複素乗算されることによって、{(Si・Di+Sq・Dq)+j(Sq・Di−Si・Dq)}が算出される。{(Si・Di+Sq・Dq)+j(Sq・Di−Si・Dq)}で表現される値は、図19Aでの◇印191、図19Bでの◇印193、図19Cでの◇印195ある。この様に、第2の複素乗算部103の出力信号は、各シンボルの振幅値によって、その振幅の利得がそれぞれ異なる。そこで、振幅正規化部107は、各シンボルにおける振幅値の自乗(A2)の逆数(1/A2)によって、第2の複素乗算部103の出力を正規化する。即ち、振幅正規化部107は、図19Aの◇印191、図19Bの◇印193、図19Cの◇印195を図19Aの□印192、図19Bの□印194、図19Cの□印196に変換して出力する。この様にして、振幅正規化部107の出力利得は受信シンボルに左右されず一定になる。実施の形態2に係る搬送波再生における位相誤差検出部12bは、この正規化された第2複素乗算部103の出力の虚数部(図19AのQ信号軸成分197、図19BのQ信号軸成分198、図19CのQ信号軸成分199)を位相誤差として出力する。
【0099】
以上のように、各シンボルにおける振幅値の自乗値の逆数を求めた結果を係数として、この係数を基に第2の複素乗算部103の出力を正規化することにより、検出される位相誤差が各変調シンボルの振幅に依存して変動することが除去出来る。
【0100】
以上のように、本発明の実施の形態2に係る搬送波装置によれば、簡単な演算で直交変調信号の位相誤差を検出することが出来るので、回路規模が小さくなると共に、また、ループ内遅延の増大に伴う周波数引き込み範囲(キャプチャレンジ)が狭くなることを防ぐことが可能となる。更に多値直交振幅変調信号(QAM)受信時の周波数引き込み特性、並びに位相ジッタ特性を向上させることが可能となる。
【0101】
ところで、図18Cは、図18Bと異なり、各シンボルの振幅の自乗値を係数としてROMが記憶している場合を示している。上記図7で示した構成の位相誤差検出部12bは、振幅正規化部107として、各シンボルにおける振幅の自乗値の逆数を係数とする係数発生部109と、乗算部108とにより構成している。しかし、乗算部108を除算部に置き換え、係数発生部109として図18C図に示すものを使用することで、同様の機能を発揮できる。
【0102】
また、各シンボルにおける振幅値の自乗(A2)の生成は、上述の構成に限られるものではなく、シンボル推定部101の出力である(Di、Dq)を基にして、(Di)2+(Dq)2を演算するものに置き換えても同様の効果が得られる。
【0103】
また、上記図7で示した構成の位相誤差検出部12bにおいて、振幅正規化部107以外の構成部分については、実施の形態1における図2の位相誤差検出部12aに基づいて説明したが、図3または図4で示す構成の位相誤差検出部12aであっても同様の効果が得られることは、言うまでもない。
【0104】
また、上記説明では16QAMを例にとり説明したが、他の直交振幅変調(32QAM、64QAM、128QAM、256QAM、512QAM、1024QAM、等)でも、同様の効果が得られることは、言うまでもない。
【0105】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係る搬送波再生装置は、上記実施の形態1及び実施の形態2に係る搬送波再生装置において、更に雑音や反射妨害を有する受信状況において周波数引き込み特性、並びに位相ジッタ特性を改善できるものである。
【0106】
以下、本発明の実施の形態3に係る搬送波再生装置について説明する。
【0107】
図8は、本発明の実施の形態3に係る搬送波再生装置の構成を示すブロック図である。図8において、実施の形態3に係る搬送波再生装置は、変調信号入力端子10と、複素乗算部11と、位相誤差検出部12cと、ループフィルタ13と、数値制御発振部14と、復調信号出力端子15とを備える。
【0108】
図8に示すように、実施の形態3に係る搬送波再生装置は、上述の実施の形態1に係る搬送波再生装置における位相誤差検出部12aを位相誤差検出部12cに代えた構成である。
【0109】
なお、実施の形態3に係る搬送波再生装置のその他の構成は、上記実施の形態1に係る搬送波再生装置の構成と同様であり、当該構成部分については同一の参照番号を付してその説明を省略する。
【0110】
以下、上記実施の形態1に係る搬送波再生装置と異なる位相誤差検出部12cの動作について、図9を用いて説明する。
【0111】
図9は、図8の搬送波再生装置における前記位相誤差検出部12cの詳細な構成を示すブロック図である。
【0112】
図9において、位相誤差検出部12cは、復調信号入力端子100と、シンボル推定部101と、複素共役部102と、第2の複素乗算部103と、虚数選択部104と、位相誤差出力端子105と、複素減算部110と、位相誤差判定部111と、選択部112と、定数発生部113とを備える。
【0113】
実施の形態3に係る搬送波再生における位相誤差検出部12cは、上記実施の形態1に係る搬送波再生装置における位相誤差検出部12aに、複素減算部110と、位相誤差判定部111と、選択部112と、定数発生部113とを更に加えた構成である。その他の構成は、位相誤差検出部12aと同様であり、当該構成部分については同一の参照番号を付してその説明を省略する。
【0114】
図9において、シンボル推定部101の出力(Di+jDq)と、復調信号入力端子100を介して入力された図8における複素乗算部11の出力である復調信号(Si+jSq)は複素減算部110に入力される。複素減算部110は、複素乗算部11の出力と、それのシンボル推定結果との複素減算を行うことによって、復調信号のI信号成分及びQ信号成分の振幅誤差(Ei+jEq)を算出する。この演算は(数9)で示される。
【0115】
【数9】
Figure 2003077497
【0116】
複素減算部110の出力(Ei+jEq)及び、シンボル推定部101の出力(Di+jDq)は、位相誤差判定部111に入力される。位相誤差判定部111は、入力されている両信号を基にして、虚数部選択部104から出力される位相誤差が位相誤差として信頼できるものかどうかを判定する。選択部112は、位相誤差判定部111の判定結果に制御されて、虚数部選択部104からの出力と定数発生部113の出力の何れか一方を選択する。
【0117】
次に、図20A及び図20Bは、図8における変調信号入力端子10を介して入力される直交変調信号に雑音や反射等の妨害信号が重畳した場合における、複素乗算部11の出力信号の様子を示す。図20A及び図20Bにおいて、I信号軸150と154、Q信号軸151と155、各●印153と175〜178、各○印152と171〜174は、夫々図16及び図17と同様である。送信された本来のシンボルである各●印153、175〜178は、位相誤差(Δθ)方向に移動することに加えて、雑音や反射等の妨害信号によって更に位相方向と振幅方向に拡散されてしまい、△印に示される受信シンボルになる。このような、拡散された受信シンボルを基にして位相誤差を検出した場合、その検出した位相誤差は誤ったものとなり、周波数が引き込みにくくなる。また、周波数引き込みが出来、位相同期が確立したとしても大きな位相ジッタが生じる場合がある。このような問題を回避するためには、位相誤差方向に回転した受信シンボルで検出した位相誤差のみを搬送波再生に用いる必要がある。その為に、図9に示した実施例では、位相誤差方向に回転した受信シンボルで位相誤差を検出したかどうかを判定する位相誤差判定部111を設けている。
【0118】
位相誤差方向に回転した受信シンボルで検出した位相誤差を判定する位相誤差判定部111としては、具体的な構成の実施例が2つ考えられる。以下、これら2つの実施例を順に説明する。
【0119】
(位相誤差判定部111の実施例1)
図22は、位相誤差判定部111の実施例1の構成を示すブロック図である。図23Aと図23Bは位相誤差判定部111の実施例1の動作を説明するための信号空間ダイヤグラムである。以下図22、図23A及び図23Bを用いて、位相誤差判定部111の実施例1の動作を説明する。なお、ここでは、説明を簡単にするために、4PSK受信時及び16QAM受信時の場合であって、且つ第1象限のみを用いて位相誤差判定部111の実施例1の動作を説明する。図23Aは4PSKの場合、図23Bは16QAMの場合を示しているが、実施例1は4PSKと16QAMに限定されるものではない。
【0120】
まず、図23Aと図23Bを用いて位相誤差判定部111の実施例1の動作原理を説明する。図23Aにおいて、I信号軸150、Q信号軸151、○印、●印は夫々図16と同様であり、詳細な説明は省略する。また、図23Bにおいて、I信号軸154、Q信号軸155、○印、●印は夫々図17と同様であり、詳細な説明は省略する。図8における複素乗算部11から出力されるシンボルのうち、位相誤差方向のみに回転したシンボルは斜線部で示す領域231と232に存在する。このことに着目し、位相誤差判定部111は、複素減算部110の出力である復調信号の振幅誤差(Ei+jEq)及びシンボル推定部101の出力(Di+jDq)を基にして、複素乗算部11の出力である復調信号が図23Aの斜線部231及び232に入る時、虚数部選択部104の出力が位相誤差信号として適切であると判定する。即ち、位相誤差判定部111は、以下の(条件1)または(条件2)の何れかに合致すれば、虚数部選択部104の出力は位相誤差信号として適切であると判定する。
(条件1)推定シンボルが第1象限(Di≧0且つDq≧0)または第3象限(Di<0且つDq<0)の時であって、Ei<0且つEq≧0、または、Ei≧0且つEq<0
(条件2)推定シンボルが第2象限(Di<0且つDq≧0)または第4象限(Di≧0且つDq<0)の時であって、Ei≧0且つEq≧0、または、Ei<0且つEq<0
(Ei+jEq)は、推定されたシンボル(Di+jDq)に対する受信シンボル(Si+jSq)の差分である。従って、4PSKにおいて上記の条件を満足する領域は図23Aの斜線領域231や232であり、16QAMにおいて上記の条件を満足する領域は図23Bの各斜線領域である。
【0121】
図22は、以上の位相誤差判定動作を実現する位相誤差判定部111の構成を示す。図22において、図9におけるシンボル推定部101の出力(Di+jDq)及び複素減算部110の出力(Ei+jEq)はそれぞれ、入力端子1110及び1111に入力される。比較器1112、1113、1114、及び1115は、Di、Dq、Ei及びEqがそれぞれ0以上かどうか判定する。比較器1112及び1113の出力はそれぞれ排他的論理和演算部1116に、比較器1114及び1115の出力はそれぞれ排他的論理和演算部1117に入力される。また排他的論理和演算部1116及び1117の出力はそれぞれ排他的論理和演算部1118に入力されて、排他的論理和演算がなされる。
【0122】
以上の構成により、上述の(条件1)または(条件2)を満足する場合のみ、位相誤差として適切であることを意味する「1」が位相誤差判定出力端子1119から出力される。上述の(条件1)と(条件2)の何れも満足しない場合は、位相誤差として適切ではないことを意味する「0」が位相誤差判定出力端子1119から出力される。
【0123】
(位相誤差判定部111の実施例2)
上記実施例1は、複素減算部110の出力である入力信号の振幅誤差(Ei+jEq)における実数部(Ei)と虚数部(Eq)の符号を用いて位相誤差判定を行なっている。位相方向の誤差を更に正確に判定するする方法を以下に示す。
【0124】
図24は、位相誤差判定部111の実施例2の構成を示すブロック図である。図25A、図25B、図25Cは位相誤差判定部111の実施例2の動作を説明するための信号空間ダイヤグラムである。以下、図24、図25A、図25B及び図25Cを用いて、位相誤差判定部111の実施例2の動作を説明する。なお、ここでは、説明を簡単にするために、4PSK受信時、及び16QAM受信時の場合であって、且つ第1象限のみを用いて位相誤差判定部111の実施例2の動作を説明する。尚、図24Aは4PSKの場合、図24Bは16QAMの場合を示しているが、実施例2は4PSKと16QAMに限定されるものではない。
【0125】
まず、図25A、図25B及び図25Cを用いて位相誤差判定部111の実施例2の動作原理を説明する。図25Aにおいて、I信号軸150、Q信号軸151、○印、●印は夫々図16と同様であり、詳細な説明は省略する。また、図25Bにおいて、I信号軸154、Q信号軸155、○印、●印は夫々図17と同様であり、詳細な説明は省略する。図8における複素乗算部11から出力されるシンボルのうち、位相誤差方向のみに回転したシンボルは斜線部で示す領域251〜255に存在する。このことに着目し、位相誤差判定部111は、複素減算部110の出力である入力信号の振幅誤差(Ei+jEq)及びシンボル推定部101の出力(Di+jDq)を基にして、複素乗算部11の出力である復調信号が図25A〜25Cの斜線部251〜255に入る時、虚数部選択部104の出力が位相誤差信号として適切であると判定する。即ち、位相誤差判定部111は、以下の(条件3)または(条件4)の何れかに合致すれば、虚数部選択部104の出力は位相誤差信号として適切であると判定する。
(条件3)推定シンボルが第1象限(Di≧0且つDq≧0)または第3象限(Di<0且つDq<0)の時であって、(−a−Ei)≦Eq≦(a−Ei) (但し、0<a<最小符号間距離d)
(条件2)推定シンボルが第2象限(Di<0且つDq≧0)または第4象限(Di≧0且つDq<0)の時であって、(−a+Ei)≦Eq≦(a+Ei) (但し、0<a<最小符号間距離d)
(Ei+jEq)は、推定されたシンボル(Di+jDq)に対する受信シンボル(Si+jSq)の差分である。従って、4PSKにおいて上記の条件を満足する領域は図25Aの斜線領域251であり、16QAMにおいて上記の条件を満足する領域は図25Bの各斜線領域252〜255である。
【0126】
図25Cは、図25Bにおける送信シンボルを中心とした拡大図である。
【0127】
図24は、以上の位相誤差判定動作を実現する位相誤差判定部111の構成を示す。図9におけるシンボル推定部101の出力(Di+jDq)及び複素減算部110の出力(Ei+jEq)はそれぞれ、入力端子1110及び1111に入力される。入力端子1110に入力されたDi及びDqは比較器111a0及び111a1に入力され、0以上かどうか判定される。比較器111a0及び111a1の出力はそれぞれ排他的論理和演算部111a2に入力され、排他的論理和演算部111a2はこれらを排他的論理和演算して、シンボル推定部101の出力(つまり図8における複素乗算部11から出力されるシンボル)の象限判定を行う。即ち、排他的論理和演算部111a2はシンボル推定部101の出力が第1象限または3象限の何れかに存在するのか、或いは、第2象限または4象限の何れかに存在するのかを判定する。
【0128】
また、入力端子1111より入力された複素減算部110の出力(Ei+jEq)のうちEiは、減算部111a4、111a7、加算部111a9、111a11にそれぞれ入力される。一方、Eqは比較器111a5、111a8、111a10、及び111a12にそれぞれ入力される。
【0129】
減算部111a4は、定数発生部111a3の出力値「a」と入力されたEiとで(a−Ei)を演算する。減算部111a7は、定数発生部111a6の出力値「−a」と入力されたEiとで(−a−Ei)を演算する。減算部111a4の出力は比較器111a5に入力される。比較器111a5は、減算部111a4の出力と比較器111a5のもう一方の入力端子に入力されたEqとを比較し、Eq≦(a−Ei)が成立する場合には「1」を出力する。成立しない場合は「0」を出力する。また、減算部111a7の出力は比較器111a8に入力される。比較器111a8は、減算部111a7の出力と比較器111a8のもう一方の入力端子に入力されたEqとを比較し、Eq≧(−a−Ei)が成立する場合には「1」を出力する。成立しない場合は「0」を出力する。比較器111a5及び比較器111a8の出力はそれぞれ、論理積演算部111a9に入力される。論理積演算部111a9は比較器111a5及び比較器111a8の出力を論理積演算し、その結果を選択部111a14に供給する。
【0130】
一方、加算部111a9は、定数発生部111a3の出力値「a」とEiとを加算して(a+Ei)を出力する。加算部111a9の出力は比較器111a10に入力される。加算部111a11は、定数発生部111a6の出力値「―a」とEiとを加算して(−a+Ei)を出力する。加算部111a11の出力は比較器111a12に入力される。比較器111a10は、加算部111a9の出力ともう一方の入力端子に入力されたEqとを比較し、Eq≦(a+Ei)が成立する場合には「1」を出力する。成立しない場合は「0」を出力する。比較器111a12は、加算部111a11の出力と比較器111a12のもう一方の入力端子に入力されたEqとを比較し、Eq≧(−a+Ei)が成立するには「1」を出力する。成立しない場合は「0」を出力する。比較器111a10及び比較器111a12の出力はそれぞれ、論理積演算部111a13に入力される。論理積演算部111a13は、比較器111a10及び比較器111a12の出力を論理積演算し、その結果を選択部111a14に入力する。
【0131】
選択部111a14は、排他的論理和演算部111a2の出力を制御信号として、入力されている2つの信号の一方を選択する。シンボル推定部101の出力(つまり図8における複素乗算部11から出力されるシンボル)の象限が第1または3象限の時、即ち排他的論理和演算部111a2が「0」を出力している時は、選択部111a14は論理積演算部111a9の出力を選択し出力する。シンボル推定部101の出力の象限が第2または4象限の時、即ち排他的論理和演算部111a2が「1」を出力している時は、選択部111a14は論理積演算部111a13の出力を選択し出力する。選択部111a14の出力は、位相誤差判定結果として出力端子1119に出力される。
【0132】
上記、実施例1及び2で示した位相誤差判定部111の出力信号は、図9の選択部112に入力される。虚数部選択部104の出力が位相誤差信号として適切な場合は、選択部112は虚数部選択部104の出力を位相誤差出力端子105に出力する。虚数部選択部104の出力が位相誤差信号として適切でない場合は、選択部112は定数発生部113の出力である“0”を位相誤差出力端子105に出力する。位相誤差判定部111は、このように選択部112を制御する。
【0133】
以上のように、本発明の実施の形態3に係る搬送波装置によれば、簡単な演算で直交変調信号の位相誤差を検出することが出来るので、回路規模が小さくなる。また、更に雑音や反射妨害を有する受信状況において周波数引き込み特性、並びに位相ジッタ特性を向上させることが可能となる。
【0134】
次に、上記図8に示した本発明の実施の形態3における搬送波再生装置に於ける位相誤差検出部12cの他の構成を図10と共に説明する。
【0135】
図10は、上記実施の形態2に係る搬送波再生装置における位相誤差検出部12bに、複素減算部110と、位相誤差判定部111と、選択部112と、定数発生部113とを更に加えた構成である。図10では、図7及または図9と同様の部分は同じ番号を付してあり、それらの個々の説明は省略する。
【0136】
図10の構成であっても、同様の効果が得られるのは言うまでもない。この場合、シンボル数が更に多値直交振幅変調信号(QAM)受信時の周波数引き込み特性、並びに位相ジッタ特性を向上させることが可能となる。
【0137】
また、上記図9及び図10の位相誤差判定部111は、象限判定をシンボル推定部101の出力を用いて行っているが、復調信号入力端子100から入力される複素乗算部11の出力である復調信号を用いて行っても同様の効果が得られる。
【0138】
また、上記図9及び図10で示した構成の位相誤差検出部12cにおいて、シンボル推定部101と、複素共役部102と、第2の複素乗算部103と、及び虚数部選択部104の構成部分については、実施の形態1における図2の位相誤差検出部12aに基づいて説明した。しかし、これらは図3または図4で示す構成の位相誤差検出部12aであっても同様の効果が得られることは、言うまでもない。
【0139】
また、上記説明では4PSK及び16QAMを例にとり説明したが、他の多相位相変調(nPSK)や多値直交振幅変調(nQAM等)でも、同様の効果が得られることは、言うまでもない。
【0140】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4に係る搬送波再生装置は、上記実施の形態1、実施の形態2及び実施の形態3に係る搬送波再生装置において、16QAM、64QAM、256QAM、1024QAM等(即ち、(2^2n)QAM であって、n=2,3,4,5…)を受信する場合、最も外側にあるシンボル(以下最外シンボルと示す)でも、正確に位相誤差検出が可能になる。更に、雑音や反射妨害を有する受信状況において周波数引き込み特性、並びに位相ジッタ特性を改善できるものである。
【0141】
以下、本発明の実施の形態4に係る搬送波再生装置について説明する。
【0142】
図26は、本発明の実施の形態4に係る搬送波再生装置の構成を示すブロック図である。図26において、実施の形態4に係る搬送波再生装置は、変調信号入力端子10と、複素乗算部11と、位相誤差検出部12dと、ループフィルタ13と、数値制御発振部14と、復調信号出力端子15とを備える。
【0143】
図26に示すように、実施の形態4に係る搬送波再生装置は、上記実施の形態1に係る搬送波再生装置における位相誤差検出部12aを位相誤差検出部12dに代えた構成である。
【0144】
なお、実施の形態4に係る搬送波再生装置のその他の構成は、上記実施の形態1に係る搬送波再生装置の構成と同様であり、当該構成部分については同一の参照番号を付してその説明を省略する。
【0145】
以下、上記実施の形態1に係る搬送波再生装置と異なる位相誤差検出部12dの動作について、図27を用いて説明する。
【0146】
図27は、図26の搬送波再生装置における前記位相誤差検出部12dの詳細な構成を示すブロック図である。
【0147】
図27において、位相誤差検出部12dは、復調信号入力端子100と、シンボル推定部101と、複素共役部102と、第2の複素乗算部103と、虚数選択部104と、位相誤差出力端子105と、最外シンボル推定部130と、選択部131とを備える。
【0148】
位相誤差検出部12dは、上記実施の形態1に係る搬送波再生装置における位相誤差検出部12aに、最外シンボル推定部130と、選択部131とを更に加えた構成である。その他の構成は、位相誤差検出部12aと同様であり、当該構成部分については同一の参照番号を付してその説明を省略する。
【0149】
図27において、復調信号入力端子100を介して入力された復調信号(Si+jSq)は、最外シンボル推定部130に入力される。
【0150】
図28は最外シンボル推定部130の更に詳細なブロック図であり、図29は最外シンボル推定部130の動作を説明するための信号空間ダイヤグラムである。以下、図28及び図29のを用いて最外シンボル推定部130の動作を説明する。
【0151】
図28において、入力端子1300に入力された複素乗算部11の出力(Si+jSq)のうち、Siは絶対値算出部1301に、Sqは絶対値算出部1302にそれぞれ入力される。絶対値算出部1301はSiの絶対値を算出する。絶対値算出部1302はSqの絶対値を算出する。絶対値算出部1301の出力は比較部1307に入力され、絶対値算出部1302の出力は比較部1308に入力される。比較部1307は、|Si|≧m*dを満足する場合に「1」を出力する。満足しない場合は「0」を出力する。比較部1308は、|Sq|≧m*dを満足する場合に「1」を出力する。満足しない場合は「0」を出力する。但し、mは(2^2n)QAM(n=2,3,4,…)の場合のm=2^(n−1)であり、dは最小符号間距離である。
【0152】
論理和演算部1309は、比較部1307の出力と1308の出力とを論理和を演算し、最外シンボル選択信号を最外シンボル選択信号出力端子1312を介して出力する。
【0153】
上述の動作を、図29の空間ダイヤグラムと共に説明する。図29において、I信号軸154、Q信号軸155、各●印及び各○印は、図17のI信号軸154、Q信号軸155、各●印及び各○印と夫々同様であり、個々の詳細な説明は省略する。
【0154】
最外シンボル選択信号出力端子1312より出力された最外シンボル選択信号は、入力端子1300に入力された複素乗算部11の出力(Si+jSq)が、斜線で示す領域291内に存在しているかどうかを示す。
【0155】
また、入力端子1300に入力された複素乗算部11の出力(Si+jSq)のうち、Siは比較部1303、Sqは比較部1304に入力される。比較部1303は、入力されたSiが0以上であれば「1」を出力し、そうでなければ「0」を出力する。比較部1304は、入力されたSqが0以上であれば「1」を出力し、そうでなければ「0」を出力する。比較部1303の出力は選択部1310の選択信号として選択部1310に供給され、比較部1304の出力は選択部1311の選択信号として選択部1311に供給される。選択部1310及び1311には、最外シンボルの正の振幅値及び最外シンボルの負の振幅値が入力されている。
【0156】
最外シンボルの正の振幅値は、(m―1/2)*dである。但し、mは、(2^2n)QAM(n=2,3,4,…)の場合、m=2^(n−1)である。また、dは、最小符号間距離の値を表す。最外シンボルの正の振幅値は、定数発生部1305の出力である。
【0157】
最外シンボルの負の振幅値は、−(m―1/2)*dである。但し、mは、(2^2n)QAM(n=2,3,4,…)の場合、m=2^(n−1)である。また、dは、最小符号間距離の値を表す。最外シンボルの負の振幅値は、定数発生部1306の出力である。
【0158】
選択部1310は、比較部1303の出力(つまりSiの符号)によって制御されて、定数発生部1305の出力((m―1/2)*d)若しくは定数発生部1306の出力(−(m―1/2)*d)の何れか一方を選択する。選択部1311は、比較部1304の出力(つまりSqの符号)によって制御されて、定数発生部1305の出力((m―1/2)*d)若しくは定数発生部1306の出力(−(m―1/2)*d)の何れか一方を選択する。選択部1310の出力と選択部1311の出力は、推定最外シンボルとして、最外シンボル出力端子1313を介して出力される。
【0159】
最外シンボル選択信号出力端子1313より出力された推定最外シンボルとシンボル推定部101の出力は、図27の選択部131に入力される。選択部131は、図28の最外シンボル選択信号出力端子1312から供給されている最外シンボル選択信号によって制御され、推定最外シンボルとシンボル推定部101の出力との何れか一方を選択する。選択部131の出力は、複素共役部102に出力される。
【0160】
次に、上記で示した最外シンボル推定部130と、選択部131の動作を図29の信号空間ダイヤグラム上で模式的に説明する。最外シンボル選択信号出力端子1312から出力される最外シンボル選択信号は、複素乗算部11の出力(Si+jSq)が図29中斜線で示す領域291内存在するかどうかを示す信号である。もし、(Si+jSq)が斜線の領域291内に存在する場合は、選択部131は最外シンボル推定部130に制御されて、最外シンボル選択信号出力端子1313より出力される最外シンボルを推定シンボルとして複素共役部102に出力する。即ち、図29の★印294で示されるシンボルが推定シンボルとして複素共役部102に出力される。複素乗算部11の出力(Si+jSq)に位相回転が残留することにより、最外シンボルが図29の領域292及び領域293に存在する場合がある。しかし、このような場合でも、推定シンボルとしては、最も近いシンボル(即ち、図29の☆印で示されたシンボル295や296)ではなく、最外シンボル(即ち、図29の★印で示されたシンボル294)として推定される。そのため、位相誤差検出を正確に行うことが可能になる。
【0161】
以上のように、本発明の実施の形態4に係る搬送波装置によれば、簡単な演算で直交変調信号の位相誤差を検出することが出来るので、回路規模が小さくなる。更に、16QAM、64QAM、256QAM、1024QAM等(即ち、(2^2n)QAM であって、n=2,3,4,5…)を受信する場合、雑音や反射妨害を有する受信状況において周波数引き込み特性、並びに位相ジッタ特性を向上させることが可能となる。
【0162】
なお、上記図26に示した本発明の実施の形態4における搬送波再生装置に於ける位相誤差検出部12dを、上記実施の形態2に係る搬送波再生装置における位相誤差検出部12b、または、上記実施の形態3に係る搬送波再生装置における位相誤差検出部12cにして、最外シンボル推定部130と、選択部131とを更に加えた構成であっても同様の効果が得られるのは言うまでもない。この場合、更に多値直交振幅変調信号(QAM)受信時の周波数引き込み特性、並びに位相ジッタ特性を向上させることが可能となる。
【0163】
また、上記図26で示した構成の位相誤差検出部12dにおいて、シンボル推定部101と、複素共役部102と、第2の複素乗算部103と、及び虚数部選択部104の構成部分については、実施の形態1における図2の位相誤差検出部12aに基づいて説明した。しかし、図3または図4で示す構成の位相誤差検出部12aであっても同様の効果が得られることは、言うまでもない。
【0164】
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5に係る搬送波再生装置は、上記実施の形態1、実施の形態2、実施の形態3、及び実施の形態4に係る搬送波再生装置において、周波数引き込み範囲(キャプチャレンジ)を更に拡大することを可能にするものである。
【0165】
以下、本発明の実施の形態5に係る搬送波再生装置について説明する。
【0166】
図11は、本発明の実施の形態5に係る搬送波再生装置の構成を示すブロック図である。図11において、実施の形態5に係る搬送波再生装置は、変調信号入力端子10と、複素乗算部11と、位相誤差検出部12aと、周波数誤差検出部16と、ループフィルタ13aと、数値制御発振部14と、復調信号出力端子15とを備える。図11に示すように、実施の形態5に係る搬送波再生装置は、上記実施の形態1に係る搬送波再生装置において、周波数誤差検出部16を更に加え、ループフィルタ13をループフィルタ13aに代えた構成である。
【0167】
なお、実施の形態5に係る搬送波再生装置の周波数誤差検出部16とループフィルタ13a以外の構成は、上記実施の形態1に係る搬送波再生装置の構成と同様であり、当該構成部分については同一の参照番号を付してその説明を省略する。
【0168】
以下、上記実施の形態1に係る搬送波再生装置と異なる周波数誤差検出部16と、ループフィルタ13aの動作について説明する。
【0169】
図11において、位相誤差検出部12aより出力された位相誤差信号は、ループフィルタ13aに入力されると共に、周波数誤差検出部16に入力される。周波数誤差検出部16の出力は、ループフィルタ13aに入力される。ループフィルタ13aは、周波数誤差検出部16の出力と位相誤差検出部12aから出力された位相誤差信号とを合成し、且つ高周波数成分を除去して、制御信号として数値制御発振部14に供給する。
【0170】
図12は、図11の搬送波再生装置における周波数誤差検出部16の詳細な構成を示すブロック図である。図12を参照して、周波数誤差検出部16の動作を説明する。
【0171】
図12において、周波数誤差検出部16は、位相誤差入力端子300と、1シンボル遅延部301と、減算部302と、周波数誤差出力端子308とを備える。位相誤差入力端子300から入力された位相誤差信号は、1シンボル遅延部301に入力され、1シンボル期間遅延されて減算部302に入力される。減算部302は、シンボル遅延部301の出力信号と現在位相誤差入力端子300より入力された位相誤差信号との差分をとり、その結果を周波数誤差出力端子308を介して出力する。
【0172】
図21は上記周波数誤差検出部16の動作を信号空間ダイヤグラム上で模式的に示した図である。ここでは、受信するディジタル変調信号が4PSKの場合を仮定し、また説明を簡単にするために第1象限のみを示す。以下、図21を用いて周波数誤差検出部16の周波数誤差検出動作を説明する。
【0173】
図21において、I信号軸150、Q信号軸151、●印のシンボル153は、図16のI信号軸150、Q信号軸151、●印のシンボル153と同様であり、これらの詳細な説明は省略する。○印で示されたシンボル2101と2102は、図11における変調信号入力端子10を介して入力された信号と数値制御発振部14の出力信号とが周波数誤差を有する場合の複素乗算部11の出力信号であり、シンボル2101は時刻T1で出現したシンボルであり、シンボル2102は時刻T2で出現したシンボルである。シンボル2102はシンボル2101の次に到来したシンボルである。これらの変調信号は数値制御発振部14の出力信号に対して周波数誤差(Δf)を有する場合を仮定している。周波数誤差(Δf)を有するので、受信された直交変調信号と本来のシンボルとの位相差は1シンボル期間の間にΔθ1からΔθ2へ推移する。その周波数誤差(Δf)と、位相誤差の変化量(Δθ2−Δθ1)は(数10)で表現することが出来る。
【0174】
【数10】
Figure 2003077497
【0175】
(数10)から分かるように、位相誤差の変化量(Δθ2−Δθ1)は周波数誤差(Δf)に比例する。
【0176】
位相誤差検出部12aの出力は、図21の□印2103と2104で示される座標のQ信号軸成分である。位相誤差検出部12aの出力も、周波数誤差(Δf)が存在していることが原因して、1シンボル期間(T=T2−T1)の間に{(Sq・Di−Si・Dq)T=T2―(Sq・Di−Si・Dq)T=T1}の変化が発生する。周波数誤差(Δf)に比例する値となる。なお、(Sq・Di−Si・Dq)T=T2は時刻TがT2である時の(Sq・Di−Si・Dq)である。また、(Sq・Di−Si・Dq)T=T1は時刻TがT1である時の(Sq・Di−Si・Dq)である。従って、位相誤差検出部12aで検出した位相誤差信号の時間的な差分を算出することで、周波数誤差を検出することができる。
【0177】
周波数誤差検出部16の出力はループフィルタ13aに入力される。図14はループフィルタ13aの詳細な構成を示すブロック図である。図14において、ループフィルタ13aは、位相誤差信号入力端子200と、直接系増幅部201と、積分系増幅部202と、第1の加算部203と、1シンボル遅延部204と、第2の加算部205と、第3の加算部209と、周波数誤差増幅部211と、周波数誤差入力端子210と、制御信号出力端子206とを備える。
【0178】
図14に示すように、実施の形態5に係る搬送波再生におけるループフィルタ13aは、上記実施の形態1に係る搬送波再生装置におけるループフィルタ13に、第3の加算部209と、周波数誤差増幅部211と、周波数誤差入力端子210とを更に加えた構成である。その他の構成は、ループフィルタ13と同様であり、当該構成部分については同一の参照番号を付してその説明を省略する。
【0179】
図14において、周波数誤差検出部16の出力信号は、周波数誤差入力端子210を経由して、周波数誤差増幅部211に入力されて増幅される。周波数誤差増幅部211の出力は第3の加算部209に入力される。
【0180】
ループフィルタ13aにおいて、周波数誤差の補正に作用する積分系1401は積分系増幅部202と、周波数誤差増幅部211と、第1の加算部203と、1シンボル遅延部204と、第3の加算部209のフィードバックループによって構成される。周波数誤差検出部16が検出した周波数誤差は、第3の加算部209を介してこの積分系に入力される。検出された周波数誤差が積分されることで、位相のディメンジョンに変換される。一方、数値制御発振部14は、入力される制御信号に比例してその出力位相を進ませる(または遅らせる)形式の発振部である。従って、上述の構成により、検出された周波数誤差信号を基にして数値制御発振部14の発振位相を制御可能となる。
【0181】
このように、周波数誤差検出部16では、位相誤差検出部12aで検出した位相誤差信号により周波数誤差を検出し、それをループフィルタ13aにおいて位相誤差検出部12aで検出した位相誤差信号と合成して、数値制御発振部14の制御信号とすることにより、より大きな周波数誤差をも補正できることになる。
【0182】
以上のように、本発明の実施の形態5に係る搬送波装置によれば、簡単な演算で直交変調信号の位相誤差を検出することが出来る。その結果、回路規模が小さくなると共に、周波数引き込み範囲(キャプチャレンジ)を更に拡大することが可能になる。
【0183】
なお、上記図11に示した本発明の実施の形態5における搬送波再生装置に於ける位相誤差検出部12aを、上記実施の形態2に係る搬送波再生装置における位相誤差検出部12b、または、上記実施の形態4に係る搬送波再生装置における位相誤差検出部12dに変えた構成であっても同様の効果が得られることは言うまでもない。この場合、更に多値直交振幅変調信号(QAM)受信時の周波数引き込み特性、並びに位相ジッタ特性を向上させることが可能となる。
【0184】
また、上記図11に示した本発明の実施の形態5における搬送波再生装置に於ける位相誤差検出部12aを、上記実施の形態3に係る搬送波再生装置における位相誤差検出部12cに置き換えることも出来る。その場合、周波数誤差検出部16を図13に示された周波数誤差検出部16aに変える必要がある。
【0185】
そこで、図13を用いて、周波数誤差検出部16aの動作を説明する。図13は、周波数誤差検出部16aの詳細な構成を示すブロック図である。図13において、周波数誤差検出部16aは、位相誤差入力端子300と、1シンボル遅延部301と、減算部302と、周波数誤差出力端子308と、比較部305、306と、論理和算出部307と、選択部303と、定数発生部304とを備える。周波数誤差検出部16aは、前述の周波数誤差検出部16に、比較部305、306と、論理和算出部307と、選択部303と、定数発生部304とを更に加えた構成である。比較部305、306と、論理和算出部307と、選択部303と、定数発生部304以外は、周波数誤差検出部16と同様であり、当該構成部分については同一の参照番号を付してその説明を省略する。
【0186】
図13において、位相誤差検出部12cから位相誤差入力端子300へ位相誤差信号が供給されている。供給されている位相誤差信号は、位相誤差信号として適切と判定された場合のみ、検出された位相誤差信号が供給される。即ち、受信されている信号が図23又は図25の斜線部に存在する場合にのみ、検出された位相誤差信号が供給される。適切でないと判定された場合は、位相誤差検出部12cから定数“0”が出力されている。
【0187】
図13は、この適切でない場合の位相誤差検出部12cの出力を、周波数誤差検出に使用しないように構成されている。比較部305は1シンボル遅延部301の出力を入力し、入力された各信号が“0”でないかを比較判定する。入力された各信号が“0”でなければ「1」を出力し、“0”であれば「0」を出力する。比較部306は位相誤差入力端子300に入力される位相誤差検出部12cの出力を入力し、入力された信号が“0”でないかを比較判定する。入力された各信号が“0”でなければ「1」を出力し、“0”であれば「0」を出力する。論理和算出部307は、比較部305の出力と比較部306の出力とを論理和する。論理和算出部307の出力は、選択部303の制御信号として、選択部303に入力される。
【0188】
減算部302は、位相誤差入力端子300を介して入力されている信号から1シンボル遅延部301の出力を減算する。選択部303は、論理和算出部307の出力に制御されて、減算部302の出力と定数発生部304の出力との何れか一方を選択する。即ち、1シンボル遅延させた位相誤差検出部12cの出力と、位相誤差入力端子300より入力された現在の位相誤差検出部12cの出力とが、共に“0”でない場合のみ、選択部303は減算部302の出力を周波数誤差出力端子308に出力する。それ以外の場合は定数発生部304からの定数“0”を出力する。
【0189】
このように図11に示した本発明の実施の形態5における搬送波再生装置に於ける位相誤差検出部12aを、上記実施の形態3に係る搬送波再生装置における位相誤差検出部12cに変えた構成であっても同様の効果が得られる。この場合、更に雑音や反射妨害を有する受信状況において周波数引き込み特性、並びに位相ジッタ特性を向上させることが可能となる。
【0190】
また、上記説明では4PSK及び16QAMを例にとり説明したが、他の多相位相変調(nPSK)や多値直交振幅変調(nQAM等)でも、同様の効果が得られることは、言うまでもない。
【0191】
【発明の効果】
本発明の搬送波再生装置は、多値直交振幅変調信号や、多相位相変調信号などのディジタル変調信号を復調する為の搬送波を再生する。本発明の搬送波再生装置は、簡単な演算で変調信号の位相誤差を検出することが出来、回路規模を小さく出来、周波数引き込み特性ならびに位相ジッタ特性の改善を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の実施の形態1に係る搬送波再生装置の構成を示すブロック図
【図2】
本発明の実施の形態1に係る搬送波再生装置における位相誤差検出部12aの詳細な構成の一例を示すブロック図
【図3】
本発明の実施の形態1に係る搬送波再生装置における位相誤差検出部12aの詳細な構成の一例を示すブロック図
【図4】
本発明の実施の形態1に係る搬送波再生装置における位相誤差検出部12aの詳細な構成の一例を示すブロック図
【図5】
本発明の実施の形態1に係る搬送波再生装置におけるループフィルタ13の詳細な構成を示すブロック図
【図6】
本発明の実施の形態2に係る搬送波再生装置の構成を示すブロック図
【図7】
本発明の実施の形態2に係る搬送波再生装置における位相誤差検出部12bの詳細な構成の一例を示すブロック図
【図8】
本発明の実施の形態3に係る搬送波再生装置の構成を示すブロック図
【図9】
本発明の実施の形態3に係る搬送波再生装置における位相誤差検出部12cの詳細な構成の一例を示すブロック図
【図10】
本発明の実施の形態3に係る搬送波再生装置における位相誤差検出部12cの詳細な構成の一例を示すブロック図
【図11】
本発明の実施の形態5に係る搬送波再生装置の構成を示すブロック図
【図12】
本発明の実施の形態5に係る搬送波再生装置における周波数誤差検出部16の詳細な構成の一例を示すブロック図
【図13】
本発明の実施の形態5に係る搬送波再生装置における周波数誤差検出部16aの詳細な構成の一例を示すブロック図
【図14】
本発明の実施の形態5に係る搬送波再生装置におけるループフィルタ13aの詳細な構成を示すブロック図
【図15】
A、Bは、シンボル推定部101の動作を模式的に説明した図
【図16】
位相誤差検出部12aの動作を模式的に説明した図
【図17】
位相ずれがある入力QAM信号を信号空間ダイヤグラムで表した図
【図18】
A、B、Cは、係数発生部109における係数発生方法を示した図
【図19】
A、B、Cは、位相誤差検出部12bの動作を模式的に説明した図
【図20】
A、Bは、雑音や反射により拡散された復調信号を模式的に説明した図
【図21】
周波数誤差検出部16の動作を模式的に説明した図
【図22】
本発明の実施の形態3に係る搬送波再生装置における位相誤差判定部111の実施例1の詳細な構成を示すブロック図
【図23】
A、Bは、位相誤差判定部111の実施例1の動作を模式的に説明した図
【図24】
本発明の実施の形態3に係る搬送波再生装置における位相誤差判定部111の実施例2の詳細な構成を示すブロック図
【図25】
A、B、Cは、位相誤差判定部111の実施例2の動作を模式的に説明した図
【図26】
本発明の実施の形態4に係る搬送波再生装置の構成を示すブロック図
【図27】
本発明の実施の形態4に係る搬送波再生装置における位相誤差検出部12dの詳細な構成の一例を示すブロック図
【図28】
本発明の実施の形態4に係る搬送波再生装置における最外シンボル推定部130の詳細な構成の一例を示すブロック図
【図29】
最外シンボル推定部130の動作を模式的に説明した図
【図30】
従来例の搬送波再生装置の構成を示すブロック図
【図31】
従来例の搬送波再生装置におけるアークタンジェント演算部30の動作を模式的に説明した図
【符号の説明】
10 変調信号入力端子
11、103 複素乗算部
12a、12b、12c、12d 位相誤差検出部
13、13a ループフィルタ
14 数値制御発振部
15 復調信号出力端子
16 周波数誤差検出部
100、1300 復調信号入力端子
101 シンボル推定部
102 複素共役部
104 虚数部選択部
105 位相誤差出力端子
106 符号反転部
107 振幅正規化部
108、121、122 乗算部
109 係数発生部
110 複素減算部
111 位相誤差判定部
112、303、131、111a14、1310、1311 選択部
113、304、111a3、111a6、1305、1306 定数発生部
123、302、111a4、111a7 減算部
130 最外シンボル推定部
150、154 I信号軸
151、155 Q信号軸
152、156、171〜174、2101、2102 ○印(シンボル)
153、157、175〜178 ●印(シンボル)
161、191、194、196、2103、2104 □印
192、193、195 ◇印
158、159 矢印(最小符号間距離)
200、300 位相誤差入力端子
201 直接系増幅部
202 積分系増幅部
203、205、209、111a9、111a11 加算部
204、301 1シンボル遅延部
206 数値制御発振部の制御信号出力端子
210 周波数誤差入力端子
211 周波数誤差増幅部
207 ループフィルタの直接系
208、1401 ループフィルタの積分系
231、232、251〜255、291〜293 領域
294 ★印
295、296 ☆印
308 周波数誤差出力端子
305、306、1112、1113、1114、1115、111a0、111a1、111a5、111a8、111a10、111a12、1307、1308、1303、1304 比較部(器)
307、1309 論理和演算部
1116、1117、1118、111a2 排他的論理和演算部
111a9、111a13 論理積演算部
1301、1302 絶対値演算部
1312 最外シンボル選択信号出力端子
1313 最外シンボル出力端子
1119 位相誤差判定出力端子
1110 推定シンボル入力端子
1111 振幅誤差入力端子

Claims (18)

  1. 複素発振信号を出力する数値制御発振手段と、
    入力した変調信号と前記数値制御発振手段の出力とを複素乗算する複素乗算手段と、
    前記複素乗算手段の出力を基にして、前記変調信号と前記複素発振信号との位相誤差を検出する位相誤差検出手段と、
    前記位相誤差をフィルターして前記数値制御発振手段を制御するループフィルタと
    を備え、前記数値制御発振手段により前記変調信号の搬送波を再生する搬送波再生装置であって、
    前記位相誤差検出手段は、
    前記複素乗算手段の出力を基にしてシンボルを推定するシンボル推定手段と、
    前記シンボル推定手段の出力と前記複素乗算手段の出力とを複素乗算する第2の複素乗算手段と
    前記第2の複素乗算手段の出力のQ信号軸成分を選択する虚数部選択手段と
    前記複素乗算手段の出力と前記シンボル推定手段の出力とを複素減算して振幅誤差を算出する複素減算手段と、
    前記振幅誤差を基にして、前記第2の複素乗算手段の出力が位相方向の誤差かどうかを判定する位相誤差判定手段と、
    前記位相誤差判定手段の出力を基にして、前記虚数部選択器の出力のうち位相方向の誤差のみを出力する選択手段と
    を備える搬送波再生装置。
  2. 前記位相誤差判定手段は、
    受信シンボルが第1象限または第3象限にある場合には前記複素減算手段の出力の実数部と虚数部とが異符号のときを前記位相方向の誤差であると判定し、前記受信シンボルが第2象限または第4象限にある場合には前記複素減算手段の出力の実数部と虚数部とが同符号のときを前記位相方向の誤差であると判定する請求項1に記載の搬送波再生装置。
  3. 前記位相誤差判定手段は、
    受信シンボルが第1象限または第3象限にある場合には前記複素減算手段の出力の実数部(Ei)と虚数部(Eq)とが、(−a−Ei)≦Eq≦(a−Ei)(但し 0<a<最小符号間距離)のときを前記位相方向の誤差であると判定し、前記受信シンボルが第2象限または第4象限にある場合には前記複素減算手段の出力の実数部(Ei)と虚数部(Eq)とが、(−a+Ei)≦Eq≦(a+Ei)(但し 0<a<最小符号間距離)のときを前記位相方向の誤差であると判定する請求項1に記載の搬送波再生装置。
  4. 前記位相誤差検出手段は、
    前記シンボル推定手段の出力を基にして前記第2の複素乗算手段の出力振幅を正規化し、前記位相誤差を出力する振幅正規化手段
    を更に備える請求項1に記載の搬送波再生装置。
  5. 前記位相誤差検出手段は、
    前記複素乗算手段の出力の実数部または虚数部の絶対値が最小符号間距離dのm倍(但し、(2^2n)QAM(n;2,3,4,…)を受信の場合は、m=2^(n−1))より大きい場合には前記受信シンボルが最外シンボルであると推定して、前記位相誤差を検出する最外シンボル推定手段
    を更に備える請求項1に記載の搬送波再生装置。
  6. 前記位相誤差検出手段は、
    前記位相誤差検出手段の出力を基にしてシンボル期間における位相誤差の変化を検出することにより周波数誤差を検出する周波数誤差検出手段を更に備え、
    前記周波数誤差検出手段の出力を前記ループフィルタに入力する請求項1に記載の搬送波再生装置。
  7. 複素発振信号を出力する数値制御発振手段と、
    入力した変調信号と前記数値制御発振手段の出力とを複素乗算する複素乗算手段と、
    前記複素乗算手段の出力を基にして、前記変調信号と前記複素発振信号との位相誤差を検出する位相誤差検出手段と、
    前記位相誤差をフィルターして前記数値制御発振手段を制御するループフィルタと
    を備え、前記数値制御発振手段により前記変調信号の搬送波を再生する搬送波再生装置であって、
    前記位相誤差検出手段は、
    前記複素乗算手段の出力を基にしてシンボルを推定するシンボル推定手段と、
    前記シンボル推定手段の出力と前記複素乗算手段の出力とを複素乗算する第2の複素乗算手段と
    前記第2の複素乗算手段の出力のQ信号軸成分を選択する虚数部選択器と
    前記シンボル推定手段の出力を基にして前記第2の複素乗算手段の出力振幅を正規化し、前記位相誤差を出力する振幅正規化手段
    を備える搬送波再生装置。
  8. 前記位相誤差検出手段は、
    前記複素乗算手段の出力の実数部または虚数部の絶対値が最小符号間距離dのm倍(但し、(2^2n)QAM(n=2,3,4,…)を受信の場合は、m=2^(n−1))より大きい場合には前記受信シンボルが最外シンボルであると推定して、前記位相誤差を検出する最外シンボル推定手段
    を更に備える請求項7に記載の搬送波再生装置。
  9. 前記位相誤差検出手段は、
    前記位相誤差検出手段の出力を基にしてシンボル期間における位相誤差の変化を検出することにより周波数誤差を検出する周波数誤差検出手段を更に備え、
    前記周波数誤差検出手段の出力を前記ループフィルタに入力する請求項7に記載の搬送波再生装置。
  10. 複素発振信号を出力する数値制御発振手段と、
    入力した変調信号と前記数値制御発振手段の出力とを複素乗算する複素乗算手段と、
    前記複素乗算手段の出力を基にして、前記変調信号と前記複素発振信号との位相誤差を検出する位相誤差検出手段と、
    前記位相誤差をフィルターして前記数値制御発振手段を制御するループフィルタと
    を備え、前記数値制御発振手段により前記変調信号の搬送波を再生する搬送波再生装置であって、
    前記位相誤差検出手段は、
    前記複素乗算手段の出力を基にしてシンボルを推定するシンボル推定手段と、
    前記シンボル推定手段の出力のI信号成分と前記複素乗算手段の出力のQ信号成分とを乗算する第1の乗算手段と、
    前記シンボル推定手段の出力のQ信号成分と前記複素乗算手段のI信号成分とを乗算する第2の乗算手段と、
    前記第1の乗算手段の出力と前記第2の乗算手段の出力とを減算する減算手段と
    前記複素乗算手段の出力と前記シンボル推定手段の出力とを複素減算して振幅誤差を算出する複素減算手段と、
    前記振幅誤差を基にして、前記減算手段の出力が位相方向の誤差かどうかを判定する位相誤差判定手段と、
    前記位相誤差判定手段の出力を基にして、前記減算手段の出力のうち位相方向の誤差のみを出力する選択手段と
    を備える搬送波再生装置。
  11. 前記位相誤差判定手段は、
    受信シンボルが第1象限または第3象限にある場合には前記複素減算手段の出力の実数部と虚数部とが異符号のときを前記位相方向の誤差であると判定し、前記受信シンボルが第2象限または第4象限にある場合には前記複素減算手段の出力の実数部と虚数部とが同符号のときを前記位相方向の誤差であると判定する請求項10に記載の搬送波再生装置。
  12. 前記位相誤差判定手段は、
    受信シンボルが第1象限または第3象限にある場合には前記複素減算手段の出力の実数部(Ei)と虚数部(Eq)とが、(−a−Ei)≦Eq≦(a−Ei)(但し 0<a<最小符号間距離)のときを前記位相方向の誤差であると判定し、前記受信シンボルが第2象限または第4象限にある場合には前記複素減算手段の出力の実数部(Ei)と虚数部(Eq)とが、(−a+Ei)≦Eq≦(a+Ei)(但し 0<a<最小符号間距離)のときを前記位相方向の誤差であると判定する請求項10に記載の搬送波再生装置。
  13. 前記位相誤差検出手段は、
    前記シンボル推定手段の出力を基にして前記第2の複素乗算手段の出力振幅を正規化し、前記位相誤差を出力する振幅正規化手段
    を更に備える請求項10に記載の搬送波再生装置。
  14. 前記位相誤差検出手段は、
    前記複素乗算手段の出力の実数部または虚数部の絶対値が最小符号間距離dのm倍(但し、(2^2n)QAM(n=2,3,4,…)を受信の場合は、m=2^(n−1))より大きい場合には前記受信シンボルが最外シンボルであると推定して、前記位相誤差を検出する最外シンボル推定手段
    を更に備える請求項10に記載の搬送波再生装置。
  15. 前記位相誤差検出手段は、
    前記位相誤差検出手段の出力を基にしてシンボル期間における位相誤差の変化を検出することにより周波数誤差を検出する周波数誤差検出手段を更に備え、
    前記周波数誤差検出手段の出力を前記ループフィルタに入力する請求項10に記載の搬送波再生装置。
  16. 複素発振信号を出力する数値制御発振手段と、
    入力した変調信号と前記数値制御発振手段の出力とを複素乗算する複素乗算手段と、
    前記複素乗算手段の出力を基にして、前記変調信号と前記複素発振信号との位相誤差を検出する位相誤差検出手段と、
    前記位相誤差をフィルターして前記数値制御発振手段を制御するループフィルタと
    を備え、前記数値制御発振手段により前記変調信号の搬送波を再生する搬送波再生装置であって、
    前記位相誤差検出手段は、
    前記複素乗算手段の出力を基にしてシンボルを推定するシンボル推定手段と、
    前記シンボル推定手段の出力のI信号成分と前記複素乗算手段の出力のQ信号成分とを乗算する第1の乗算手段と、
    前記シンボル推定手段の出力のQ信号成分と前記複素乗算手段のI信号成分とを乗算する第2の乗算手段と、
    前記第1の乗算手段の出力と前記第2の乗算手段の出力とを減算する減算手段と
    前記シンボル推定手段の出力を基にして前記減算手段の出力振幅を正規化し、前記位相誤差を出力する振幅正規化手段と
    を備える搬送波再生装置。
  17. 前記位相誤差検出手段は、
    前記複素乗算手段の出力の実数部または虚数部の絶対値が最小符号間距離dのm倍(但し、(2^2n)QAM(n=2,3,4,…)を受信の場合は、m=2^(n−1))より大きい場合には前記受信シンボルが最外シンボルであると推定して、前記位相誤差を検出する最外シンボル推定手段
    を更に備える請求項16に記載の搬送波再生装置。
  18. 前記位相誤差検出手段は、
    前記位相誤差検出手段の出力を基にしてシンボル期間における位相誤差の変化を検出することにより周波数誤差を検出する周波数誤差検出手段を更に備え、
    前記周波数誤差検出手段の出力を前記ループフィルタに入力する請求項16に記載の搬送波再生装置。
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