JP4827449B2 - 振幅位相制御装置および受信システム - Google Patents

振幅位相制御装置および受信システム Download PDF

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本発明は、入力された複素信号の振幅または位相の少なくともいずれかを制御して出力する装置に関する。
ディジタル無線通信においてはディジタル変調信号が広く用いられる。ディジタル変調信号は、1ビットあるいは複数ビットからなるディジタル符号を一単位としたシンボル符号を、所定の時間間隔を以て、搬送波の位相、その変化量、振幅等の物理量に対応付けたものである。ディジタル変調信号の方式については、シンボル符号を対応付ける搬送波の物理量によって様々なものが考えられており、例えば、シンボル符号を搬送波の位相に対応付けたPSK(Phase Shift Keying)変調方式、シンボル符号を搬送波の振幅および位相に対応付けたQAM(Quadrature Amplitude Modulation)変調方式等がある。
ディジタル変調信号の変調成分信号は、実数部を同相成分信号(以下、I信号とする。)、虚数部を直交成分信号(以下、Q信号とする。)とした複素I/Q信号で表すことができる。複素I/Q信号は複素平面上の複素ベクトルによって表すことができる。複素平面において複素ベクトルによって表される点は一般にシンボル点と称される。複素I/Q信号の複素ベクトルによって表される点は、シンボル符号を搬送波の位相、その変化量、振幅等の物理量に対応付けた時間間隔、すなわちシンボル周期で離散的に変化する。
複素I/Q信号を表す複素ベクトルの絶対値および偏角は、それぞれディジタル変調信号の振幅および位相に対応付けられる。本明細書においては、複素I/Q信号を表す複素ベクトルの絶対値および偏角を、それぞれ複素I/Q信号の振幅および位相と称し、これらを併せて振幅位相と称する。また、複素平面上でシンボル点を表す複素ベクトルの絶対値をシンボル点の絶対値と、シンボル点を表す複素ベクトルの偏角をシンボル点の位相と称する。
図4にディジタル無線通信で扱われる複素I/Q信号の構成例を示す。複素I/Q信号は単位フレーム22が時系列で配列されたものである。単位フレーム22は、参照符号フレーム22aと情報符号フレーム22bを含んで構成される。受信装置は、時系列で連なる複数の単位フレーム22のうち、予め割り当てられた単位フレーム22を受信して復調を行う。
参照符号フレーム22aは、ディジタル符号列で表された参照符号を複素I/Q信号の振幅または位相に対応付けた信号であり、情報符号フレーム22bは、ディジタル符号列で表された情報符号を複素I/Q信号の振幅または位相に対応付けた信号である。ここで、参照符号は受信装置が受信動作に関する処理を行うための符号であり、情報符号は、音声、画像、プログラム、データベース等、送信装置から受信装置に送信される実質的な情報を含む符号である。
ディジタル変調信号には、準同期検波方式を用いた際の周波数オフセットによる位相回転、送信元および受信側の装置の精度が不十分であること、電磁波の伝搬路の特性、妨害波が受信波に重畳されること等によって惹き起こされる振幅誤差、位相誤差、またはこれらの組み合わせの誤差(以下、振幅位相誤差とする。)が含まれる。そして、振幅位相誤差は複素I/Q信号のシンボル点の絶対値の誤差またはシンボル点の位相の誤差となって現れ、ディジタル符号列の復号誤りの原因となる。したがって、ディジタル変調信号に含まれる振幅位相誤差が大きい程、抽出されるディジタル信号の誤り率が増加する傾向が強くなる。
誤り率は、受信装置の受信状態の良好度を示す指標となる。誤り率が所定値を超えると復調して得られたディジタル信号からは正確な情報が得られない。また、受信感度、妨害波耐性等の受信性能は誤り率によって評価することができる。例えば、受信信号電力が小さくなったときに誤り率が大きくなる傾向が弱い程、受信感度が良好であるといえる。また、ある一定電力の受信信号が受信されると共に妨害波が同時に受信されるという条件の下では、妨害波電力が大きくなったときに誤り率が大きくなる傾向が弱い程、妨害波耐性が良好であるといえる。
図5に従来技術における受信装置3の構成例を示す。受信装置3は、図4の複素I/Q信号をなすI信号およびQ信号によって直交変調されたディジタル変調信号を受信する。
受信装置3は、アンテナ10、無線受信部12、直交検波部14、A/D変換部16、振幅位相制御部50、符号検波部20、タイミング同期部24を備えて構成される。受信装置3は、ディジタル変調信号に含まれる振幅位相誤差の影響を低減し、誤り率が増大する傾向を抑制するために複素I/Q信号の振幅位相を制御する振幅位相制御部50を含んでいる。これによって、受信装置3の受信性能を良好にすることができる。
無線受信部12は、アンテナ10を介して受信したディジタル変調信号に対して高周波増幅、中間周波数への周波数変換、中間周波数増幅を施し、直交検波部14に入力する。直交検波部14は、入力されたディジタル変調信号からI信号およびQ信号を抽出する。
直交検波部14によって抽出されたI信号およびQ信号は、A/D変換部16に入力される。A/D変換部16は、I信号、Q信号のそれぞれをシンボルクロック信号CKに従って離散化する。そして、離散化されたI信号を実数部、離散化されたQ信号を虚数部とした複素I/Q信号を生成して振幅位相制御部50、およびタイミング同期部24に入力する。図5ではjを虚数単位とし、複素I/Q信号をI+jQと記載している。
タイミング同期部24は、A/D変換部16が出力した複素I/Q信号からシンボル周期を抽出し、これに同期したシンボルクロック信号CKを生成する。タイミング同期部24は、生成したシンボルクロック信号CKを、A/D変換部16、振幅位相制御部50、符号検波部20に入力する。A/D変換部16、振幅位相制御部50、符号検波部20のそれぞれは、シンボルクロック信号CKに従ったタイミングで動作する。
また、タイミング同期部24は、参照符号フレーム22aに対応する複素I/Q信号の波形パターンを記憶している。そして、A/D変換部16が出力した複素I/Q信号と参照符号フレーム22aに対応する複素I/Q信号との波形相関をとること等の方法で参照符号フレーム22aの入力が開始されるタイミングを検出する。タイミング同期部24は、参照符号フレーム22aの入力が開始されるタイミングを検出したときには、参照符号フレーム22aの入力が開始されるタイミングを示すタイミング情報Tを、振幅位相制御部50が備えるウェイト係数算出部28に入力する。
振幅位相制御部50は、入力された複素I/Q信号の振幅位相の制御を行い、その複素I/Q信号を符号検波部20に入力する。振幅位相制御部50には、一連の単位フレーム22としての複素I/Q信号が入力される。受信装置3は、予め割り当てられた単位フレーム22のみを復調する。このため、振幅位相制御部50は、割り当てられた単位フレーム22が入力されるたびに新たに振幅位相の制御を行う。
振幅位相制御部50は、予め複素平面上で定義された基準シンボル点に対する複素I/Q信号が示すシンボル点のずれを表す誤差信号を算出し、誤差信号が最小となるよう複素I/Q信号の振幅位相の制御を行う。
振幅位相制御部50は、乗算部26、ウェイト係数算出部28、加算部30、極性反転部32、信号選択部34、硬判定部36、参照信号生成部40を備えて構成される。
振幅位相制御部50へ入力された複素I/Q信号は、乗算部26およびウェイト係数算出部28に入力される。
乗算部26は入力された複素I/Q信号にウェイト係数算出部28から入力されたウェイト係数Wを乗じ、これを振幅位相制御部50の出力信号Yとして出力する。出力信号Yは、加算部30及び硬判定部36に入力される。ウェイト係数Wは複素I/Q信号の振幅位相の制御に用いられる複素数の係数である。ウェイト係数Wの絶対値は複素I/Q信号の振幅を変化させる率を表し、その偏角は複素I/Q信号の位相を変化させる角度を表す。したがって、乗算部26においてウェイト係数Wが複素I/Q信号に掛け合わされることによって、複素I/Q信号の振幅位相をウェイト係数Wに応じて変化させることができる。
硬判定部36は、出力信号Yからシンボル点の座標値を抽出し、抽出したシンボル点の座標値に対して硬判定を行い、硬判定に基づいて当該シンボル点の座標値を本来とるべき座標値に修正した硬判定信号Zを出力する。ここで、硬判定とは、判定しようとするシンボル点である被判定シンボル点の座標値に基づいて本来とるべき座標値を判定する処理をいう。その判定は、1つの区画が、変調方式によって定義されているシンボル点である基準シンボル点を1つ含むよう複素平面を区切り、1区画内に見いだされた被判定シンボル点は、その1区画内のいかなる位置に存在する場合であっても、1区画内で1つ定義されている基準シンボル点の位置に存在するものとみなすものである。例えば、図6の被判定シンボル点Aは、区画(1,−3)内の16QAM変調方式では定義されていない位置に存在する。そこで、硬判定においては区画(1,−3)内に位置する被判定シンボル点Aは、区画(1,−3)の基準シンボル点の座標点1−j3に位置するものとみなされる。
参照信号生成部40は、参照信号Vを信号選択部34に入力する。参照信号Vは、参照信号生成部40が記憶する参照符号に従ってその振幅と位相が変化する。この参照符号は、送信された参照符号フレーム22aに含まれる参照符号と同一のものであり、送信装置と受信装置3との間で予め定められた共通の符号が適用される。
信号選択部34は、硬判定信号Zおよび参照信号Vの入力を受けて、ウェイト係数算出部28から入力される切り換え情報Sに応じて硬判定信号Zまたは参照信号Vのいずれか一方を選択し、収束目標信号Rとして極性反転部32に出力する。この収束目標信号Rは、出力信号Yの振幅位相の基準となる信号である。極性反転部32は、収束目標信号Rに−1を乗じて極性を反転して加算部30へ出力する。
加算部30は、出力信号Yと極性が反転された収束目標信号Rとを加算し、誤差信号eとしてウェイト係数算出部28に入力する。極性反転部32において収束目標信号Rの極性は反転されているので、誤差信号eは、出力信号Yから収束目標信号Rを減算した信号となる。
ウェイト係数算出部28は、誤差信号eと振幅位相制御部50に入力された複素I/Q信号とに基づいて、誤差信号eを最小値へ収束させる適応化アルゴリズムを実行する。これによって、振幅位相制御部50の出力信号Yの振幅位相は、収束目標信号Rの振幅位相に収束する。適応化アルゴリズムとしては、LMSアルゴリズム、RLSアルゴリズム等を適用することが可能である。LMSアルゴリズムは、次の(1)式から(3)式に示す漸化式で表せる。
(数1) Y(i)=X(i)・W(i)* (1)
(数2) W(i+1)=w(i)−μ・X(i)・e(i)* (2)
(数3) e(i)=X(i)・W(i)*−R(i) (3)
ここに、Y(i)は振幅位相制御部50の出力信号、μは収束性や追従性を決定するための任意の定数、X(i)は振幅位相制御部50の入力信号、W(i)はウェイト係数、e(i)は誤差信号、R(i)は収束目標信号である。左上に*が付された変数は、その変数の複素共役変数であることを意味し、各変数の括弧内のiは時間と共に増加する計算ステップを表す整数である。
計算ステップを表すiは、入力される複素I/Q信号のシンボル周期ごとに1だけ増加する。この場合、(1)式から(3)式で表されるLMSアルゴリズムは、単位シンボル周期が経過するごとにアルゴリズムの単位計算ステップを実行することとなる。この点については、RLSアルゴリズム等他の適応化アルゴリズムにおいても同様である。つまり、適応化アルゴリズムを実行するステップは、シンボルクロックCKに従い、複素I/Q信号のシンボル点が現れるタイミングと同期させる。
ウェイト係数算出部28が実行する適応化アルゴリズムは、参照信号フレーム22aが入力されているときと、情報符号フレーム22bが入力されているときとでは、収束目標信号Rとして適用する信号を異にする。参照符号フレーム22aが入力されている間は、参照信号生成部40が出力する参照信号Vを収束目標信号Rとして適応化アルゴリズムを実行する引き込み処理を行う。一方、情報符号フレーム22bが入力されている間は、参照信号生成部40が出力する参照信号Vを収束目標信号Rとして適応化アルゴリズムを実行する追従処理を行う。
なお、参照符号フレーム22aが入力されている状態から情報符号フレーム22bが入力されている状態に移り変わるタイミングは、タイミング同期部24から入力されるタイミング情報Tとシンボルクロック信号CKに基づいて検出される。ウェイト係数算出部28は、タイミング情報Tに基づいて参照符号フレーム22aの入力が開始されるタイミングを把握する。そして、参照符号フレーム22aの入力が開始された時からシンボルクロック信号CKのパルス数を数え、その数が参照符号フレームに含まれているシンボル点の数に達したときに、信号選択部34が収束目標信号Rとして選択する信号を切り換えるための切り換え情報Sを信号選択部34に入力する。信号選択部34は、切り換え情報Sに従って2つの信号のうち一つを選択して出力する。
このように、参照符号フレーム22aが入力されている間には引き込み処理を行い、情報符号フレーム22bが入力されている間には追従処理を行うのは次のような理由による。振幅位相制御部50の処理を単純化するという観点からは、追従処理を行うのみとしたいところである。しかし、単位フレーム22の入力が開始されて間もない時刻、すなわち参照符号フレーム22aの先頭が受信されて間もない時刻においては、振幅位相誤差を低減させるウェイト係数Wがまだ定まっていない。したがって、このような信号に対する硬判定信号Zを収束目標信号Rとして適応化アルゴリズムを実行したとしても、誤差信号eが短時間で収束する可能性は低い。そこで、参照符号フレーム22aが受信されている間には、ウェイト係数算出部28から出力されるウェイト係数Wを十分収束させて出力信号Yの振幅位相を理想的な値に引き込む処理を行うことが好適となる。
そして、引き込み処理の後には、出力信号Yの振幅位相を理想的な値に維持する必要があるために追従処理が行われる。情報符号フレーム22bが含む情報符号は、送信装置から受信装置3に送信される実質的な情報を含む符号であるため、参照符号のようにそれ自身が振幅位相の変化パターンに関する情報を有するものではない。しかし、情報符号フレーム22bのシンボル点には、理想的には変調方式によって定められた位置に現れるという規則性があるため、追従処理は、この規則性を利用することとしている。すなわち、情報符号フレーム22bのシンボル点の絶対値の誤差およびシンボル点の位相の誤差が、複素平面上の1区画の範囲内に収まっている限りにおいては、振幅位相制御部50が出力する信号の振幅位相を理想的な値に引き込まれた状態を維持することができる。
符号検波部20は、出力信号Yからシンボル点の座標値を抽出し、抽出したシンボル点の座標値に基づいてシンボル符号からディジタル符号列を得て、これを時系列で配置したディジタル信号を出力する。
このように、受信装置3では、受信したディジタル変調信号に含まれる振幅位相誤差が、振幅位相制御部50によって低減される。これによって、符号検波部20から出力されるディジタル信号の誤り率は低減され受信性能を向上させることができる。
図5の振幅位相制御部50には適応化アルゴリズムの収束性について次のような問題があった。
適応化アルゴリズムにおける新たなウェイト係数Wは、前ステップにおける誤差信号eの値に基づく補正量を用いて算出される。例えばLMSアルゴリズムでは、(2)式の右辺の第2項が新たなウェイト係数W(i+1)を導き出すための補正量であり、これは前ステップにおける誤差信号e(i)に依存する。補正量が、適応化アルゴリズムの実行ステップが増加するに従って収束していくものであれば、振幅位相制御部50の出力信号Yは振幅位相誤差の影響を低減した値に収束する。しかし、補正量の実行ステップの増加に対する変化の様子によっては、出力信号Yに含まれる振幅位相誤差の収束時間は大きく異なる。したがって、補正量は出力信号Yに含まれる振幅位相誤差を迅速に収束させるための最適な値を与えるよう定義されていることが好ましい。
無線通信においては、ディジタル変調信号に含まれる振幅位相誤差のうち、周波数オフセットによる位相回転等、位相誤差が支配的であることが多い。
誤差信号eは、位相誤差に複素I/Q信号の振幅を乗じた値であるため、これによって適応化アルゴリズムの実行ステップごとの補正量が変動する。
また、QAM変調方式等、シンボル点によって振幅が異なる変調方式が適用されている場合には、複素I/Q信号が原点から離れたシンボル点を示すとき程、誤差信号の絶対値が大きくなる傾向にある。
図7は16QAM変調方式が適用されている場合について、その様子を示したものである。複素I/Q信号が2つのシンボル点として点B1および点C1を示したとする。これらのシンボル点に対する基準シンボル点は点B0(1+j1)および点C0(3+j3)である。複素I/Q信号に含まれる振幅誤差が零であり位相誤差がΔθであるとすると、座標値が1+j1である基準シンボル点Bに対する誤差信号eBの絶対値よりも、座標値が3+j3である基準シンボル点Cに対する誤差信号eCの絶対値の方が大きいことがわかる。
複素I/Q信号はシンボル周期ごとに任意のシンボル点をとるため、原点に最も近いシンボル点を示すときもあれば、原点から最も遠いシンボル点を示すときもある。したがって、振幅位相誤差のうち位相誤差が支配的である場合、位相誤差のシンボル周期内における変化が緩慢であったとしても、複素I/Q信号の振幅によっては、シンボル周期ごと、すなわち適応化アルゴリズムの実行ステップごとに算出される誤差信号eの絶対値は大きく変動する可能性がある。これによって、適応化アルゴリズムの実行ステップごとの補正量もまた大きく変動することとなる。
そして、補正量のこのような変動が、出力信号Yに含まれる振幅位相誤差の収束時間を長引かせる原因となる場合があった。この収束時間が長い場合、例えば電力の大きい妨害波が受信されることで符号検波部20から出力されるディジタル信号の誤り率が劣化した後に、その妨害波が存在しなくなったとしても、誤り率が改善されるのに長時間を要することとなる。この問題は、無線通信システムの通信容量を増大させるためQAM変調方式の多値化を図る場合には、より顕著なものとなる。
本発明は、このような課題に対してなされたものであり、QAM変調方式等、シンボル点によっては振幅が異なる変調方式が適用されている複素信号に対しても、迅速に振幅位相を制御することが可能な振幅位相制御装置を提供する。
本発明は、入力されたQAM変調方式の複素信号に対してウェイト係数を用いた演算を施し、当該複素信号の振幅および位相を制御して出力信号とする振幅位相制御装置であって、振幅および位相の基準となる基準信号に対する前記出力信号の差異を表す信号を、当該基準信号の絶対値で規格化した規格化誤差信号を生成する規格化誤差信号生成部と、先に求められたウェイト係数を、前記複素信号前記規格化誤差信号とに基づく修正値によって修正する漸化式を用いる適応化アルゴリズムに基づいて、新たなウェイト係数を求めるウェイト係数算出部と、前記ウェイト係数算出部によって新たに求められたウェイト係数を用いた演算を前記複素信号に対して施し、前記出力信号を求める振幅位相変化部と、予め設定された変化パターンに基づいて振幅または位相の少なくともいずれかが変化する参照信号を生成する参照信号生成部と、前記出力信号に対し硬判定を行い、当該硬判定の結果に基づいて前記出力信号の振幅および位相を修正する硬判定部と、を備え、前記複素信号は、参照符号が振幅および位相に対応付られた参照符号フレームと、当該参照符号フレームに対し時間的に後に配置され、情報符号が振幅および位相に対応付られた情報符号フレームとを含み、前記規格化誤差信号生成部は、前記参照符号フレームが前記振幅位相制御装置に入力されている間は、前記参照信号を前記基準信号とし、前記情報符号フレームが前記振幅位相制御装置に入力されている間は、前記硬判定部によって振幅および位相が修正された前記出力信号を前記基準信号とすることを特徴とする。
また、QAM変調信号を受信する無線受信部と、前記無線受信部が受信したQAM変調信号から同相成分信号と直交成分信号とを抽出する直交検波部と、前記同相成分信号と前記直交成分信号とから複素信号を生成し、QAM変調複素信号として出力する複素信号生成部と、前記QAM変調複素信号からディジタル信号を抽出するディジタル復調部と、を備える受信システムにおいては、本発明に係る振幅位相制御装置を、前記ディジタル復調部に適用することが好適である。
本発明によれば、複素信号に含まれる振幅位相誤差を迅速に低減することができる。また、本発明を受信装置等に適用した場合には、直交変調信号の周波数オフセットに起因する位相回転に対する耐性を大きくすることができる。
図1に本発明の実施形態に係る受信装置1の構成を示す。受信装置1は、アンテナ10、無線受信部12、直交検波部14、A/D変換部16、振幅位相制御部18、符号検波部20、タイミング同期部24を含んで構成される。図5に示す受信装置3と同一の構成部については同一の符号を付してその説明を簡略に行う。
無線受信部12は、アンテナ10を介して受信したディジタル変調信号に対して高周波増幅、中間周波数への周波数変換、中間周波数増幅を施し、直交検波部14に入力する。直交検波部14は無線受信部12から入力された信号からI信号およびQ信号を抽出し、A/D変換部16に入力する。A/D変換部16では、入力されたI信号およびQ信号をシンボルクロック信号CKに従って離散化した複素I/Q信号を生成し、振幅位相制御部18に入力する。
振幅位相制御部18は、乗算部26および44、ウェイト係数算出部28、加算部30、極性反転部32、信号選択部34、硬判定部36、参照信号生成部40、逆数参照部42を備えて構成される。図5の振幅位相制御部50と同一の構成部については同一の符号を付してその説明を省略する。
図1の振幅位相制御部18の構成のうち、図5の振幅位相制御部50と異なる箇所は、逆数参照部42および乗算部44に係る部分である。
信号選択部34が出力する収束目標信号Rは、極性反転部32のみならず逆数参照部42にも入力される。逆数参照部42は、収束目標信号Rが示すシンボル点の絶対値の逆数を乗算部44に入力する。乗算部44は加算部30から出力された誤差信号eに、逆数参照部42から入力された値を乗じてウェイト係数算出部28に入力する。
図2に逆数参照部42の構成を示す。逆数参照部42は、テーブル記憶部42a、シンボル判別部42b、テーブル参照部42cを備えて構成される。シンボル判別部42bには収束目標信号Rが入力され、逆数参照部42は、テーブル参照部42cが出力する値を出力値とする。
テーブル記憶部42aは、基準シンボル点と、その基準シンボル点の絶対値の逆数とを対応付けたテーブルを記憶している。当該テーブルは、基準シンボル点の識別情報を与えることで基準シンボル点の絶対値の逆数が得られるような形式とすることが好ましい。
シンボル判別部42bは、入力された収束目標信号Rが示すシンボル点が、複数ある基準シンボル点のうちいずれのものであるかを判別し、判別された基準シンボル点の識別情報をテーブル参照部42cに入力する。テーブル参照部42cは、入力された識別情報に基づいてテーブル記憶部42aを参照し、基準シンボル点の絶対値の逆数を取得して、その値を逆数参照部42から出力する。
このように、逆数参照部42では、記憶されたテーブルを参照することで収束目標信号が示すシンボル点の絶対値の逆数を取得するため、演算によって直接これを算出する場合に比して処理時間を短縮することができる。処理時間が問題とならないのであれば、演算によって直接シンボル点の絶対値の逆数を算出してもよい。
乗算部44は、加算部30から入力された誤差信号eに、逆数参照部42から入力された値を乗じた規格化誤差信号epをウェイト係数算出部28に入力する。
本実施形態に係る振幅位相制御部18は振幅位相制御部50と同様、参照符号フレーム22aに対する複素I/Q信号が入力されているときには引き込み処理を行い、情報符号フレーム22bに対する複素I/Q信号が入力されているときには追従処理を行う。引き込み処理においては、信号選択部34は参照信号生成部40が出力する参照信号Vを収束目標信号Rとして選択し、追従処理においては硬判定部36が出力する硬判定信号Zを収束目標信号Rとして選択する。ウェイト係数算出部28は、引き込み処理と追従処理のいずれにおいても、振幅位相制御部18に入力された複素I/Q信号および規格化誤差信号epに基づく適応化アルゴリズムを実行する。例えば、LMSアルゴリズムは、次の(4)式から(6)式に示す漸化式で表される。
(数4) Y(i)=X(i)・W(i)* (4)
(数5) W(i+1)=w(i)−μ・X(i)・ep(i)* (5)
(数6) ep(i)={X(i)・W(i)* −R(i)}/|R(i)| (6)
ここに、Y(i)は振幅位相制御部18の出力信号、μは収束性や追従性を決定するための任意の定数、X(i)は振幅位相制御部18の入力信号、W(i)はウェイト係数、ep(i)は規格化誤差信号、R(i)は収束目標信号である。左上に*が付された変数は、その変数の複素共役変数であることを意味し、各変数の括弧内のiは時間と共に増加する計算ステップを表す整数である。
本実施形態に係る振幅位相制御部18では、適応化アルゴリズムに適用する誤差信号eをシンボル点の絶対値で規格化することにより、規格化誤差信号epの変動の様子は、シンボル点が単位円上に存在する場合と同様となる。
図3は、16QAM変調方式における基準シンボル点S1〜S16が、誤差信号eの規格化により見かけ上単位円上の点D1〜点D16に集約される様子を示す。規格化誤差信号epは、複素平面上の単位円上に集約されたシンボル点の座標を起点とする複素ベクトルによって表される。
例えば図3の点Eは、硬判定により基準シンボル点S5とみなされる点である。点Eに対する誤差ベクトルは、点S5を起点、点Eを終点とする複素ベクトルe5で表される。本実施形態においては、この複素ベクトルe5が基準シンボル点S5の絶対値によって規格化され、点D5を起点、点Epを終点とする複素ベクトルe5pが規格化誤差信号として適応化アルゴリズムに供される。
点D1〜点D16のうちいずれかを起点とする複素ベクトルで表される規格化誤差信号epは、収束目標信号Rが示すシンボル点の絶対値で規格化されている。そのため、規格化誤差信号epの絶対値には、収束目標信号Rが示すシンボル点の原点からの距離が適応化アルゴリズムのステップごとに変化することに起因する変動が現れない。したがって、ウェイト係数Wの補正量に変動が現れず、出力信号Yに含まれる振幅位相誤差の収束時間が短縮される。
振幅位相制御部18は、以上のように複素I/Q信号の振幅位相の制御を行い、その複素I/Q信号を符号検波部20に入力する。符号検波部20は、入力された複素I/Q信号からシンボル点の座標値を抽出し、抽出したシンボル点の座標値に基づいてシンボル符号からディジタル符号列を得て、これを時系列で配置したディジタル信号を出力する。
本実施形態によれば、振幅位相制御部18において実行される適応化アルゴリズムの収束時間を短縮することができる。また、従来技術における構成より大きな振幅位相誤差を低減することができる。そのためQAM変調方式等シンボル点によっては振幅が異なる変調方式においてもより安定して振幅位相制御部18を動作させることができる。
本発明の実施形態に係る受信装置の構成を示す図である。 逆数参照部の構成を示す図である。 16QAM変調方式で定義されているシンボル点が単位円上に集約されることを説明する図である。 受信装置が受信するディジタル変調信号の構成を示す図である。 従来技術による受信装置の構成を示す図である。 硬判定について説明する図である。 QAM変調方式における誤差信号の絶対値と位相誤差との関係について説明する図である。
符号の説明
1,3 受信装置、10 アンテナ、12 無線受信部、14 直交検波部、16 A/D変換部、18,50 振幅位相制御部、20 符号検波部、22 単位フレーム、22a 参照符号フレーム、22b 情報符号フレーム、24 タイミング同期部、26,44 乗算部、28 ウェイト係数算出部、30 加算部、32 極性反転部、34 信号選択部、36 硬判定部、40 参照信号生成部、42 逆数参照部、42a テーブル記憶部、42b シンボル判別部、42c テーブル参照部。

Claims (2)

  1. 入力されたQAM変調方式の複素信号に対してウェイト係数を用いた演算を施し、当該複素信号の振幅および位相を制御して出力信号とする振幅位相制御装置であって、
    振幅および位相の基準となる基準信号に対する前記出力信号の差異を表す信号を、当該基準信号の絶対値で規格化した規格化誤差信号を生成する規格化誤差信号生成部と、
    先に求められたウェイト係数を、前記複素信号前記規格化誤差信号とに基づく修正値によって修正する漸化式を用いる適応化アルゴリズムに基づいて、新たなウェイト係数を求めるウェイト係数算出部と、
    前記ウェイト係数算出部によって新たに求められたウェイト係数を用いた演算を前記複素信号に対して施し、前記出力信号を求める振幅位相変化部と、
    予め設定された変化パターンに基づいて振幅または位相の少なくともいずれかが変化する参照信号を生成する参照信号生成部と、
    前記出力信号に対し硬判定を行い、当該硬判定の結果に基づいて前記出力信号の振幅および位相を修正する硬判定部と、
    を備え、
    前記複素信号は、参照符号が振幅および位相に対応付られた参照符号フレームと、当該参照符号フレームに対し時間的に後に配置され、情報符号が振幅および位相に対応付られた情報符号フレームとを含み、
    前記規格化誤差信号生成部は、
    前記参照符号フレームが前記振幅位相制御装置に入力されている間は、前記参照信号を前記基準信号とし、前記情報符号フレームが前記振幅位相制御装置に入力されている間は、前記硬判定部によって振幅および位相が修正された前記出力信号を前記基準信号とすることを特徴とする振幅位相制御装置。
  2. QAM変調信号を受信する無線受信部と、
    前記無線受信部が受信したQAM変調信号から同相成分信号と直交成分信号とを抽出する直交検波部と、
    前記同相成分信号と前記直交成分信号とから複素信号を生成し、QAM変調複素信号として出力する複素信号生成部と、
    前記QAM変調複素信号からディジタル信号を抽出するディジタル復調部と、
    を備える受信システムであって、
    前記ディジタル復調部は、前記QAM変調複素信号の振幅および位相を制御する請求項1に記載の振幅位相制御装置を備えることを特徴とする受信システム。
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