JPWO2002066402A1 - 緩効性カリ肥料の製造方法および緩効性カリ肥料 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、緩効性カリ肥料の製造方法および緩効性カリ肥料に関する。
背景技術
植物の生育にとって肥料は欠かせないものであり、中でも窒素、燐酸、カリウムは三大成分として育成に合わせて施肥される。このような肥料は土壌に施され、灌水に溶解し植物の根から少しずつ時間をかけて吸収される。
これらの肥料の中で、カリウムを供給するカリ肥料としては、塩化カリや硫酸カリが多用されており、いずれも水溶性であるため流れ去る分が多く、また塩素や硫酸という塩類を含むため、土壌が酸性化したり、植物に障害をもたらすという問題があった。このため、塩素や硫酸などの塩類を含まず、1回の施肥で長期間にわたって作物を育成することができる肥料、すなわち土壌中で徐々に溶出して肥効が長期間持続する肥料(緩効性肥料)が要望されるようになってきた。
従来から、緩効性カリ肥料として、水に対して難溶であるが植物の根から分泌されるクエン酸水溶液には溶けるク溶性カリ肥料が用いられている。このようなク溶性カリ肥料は、灌水による流出が防止されるとともに、根から分泌されるクエン酸が増加するに従い、その吸収量も増加する。したがって、理想的な緩効性を示す。
このような緩効性を有するク溶性カリ肥料の製造方法として、特開昭60−127286号公報には、珪岩、高炉スラグ、ニッケル鉱スラグ、製リン鉱スラグ、および安山岩などの粉末と、炭酸カリなどのカリ原料を混合した後、この混合物を加熱して溶融する方法が示されている。また、特開昭55−51785号公報には、石灰火力発電所の集塵装置で捕集されるフライアッシュに、炭酸カリ、苛性カリなどのカリ原料を加えた後、微粉炭を加えて造粒し、この造粒物を焼成することによって、カリ原料とフライアッシュの組成物を反応させる方法が示されている。
しかしながら、上記従来技術においては、いずれも、調合した原料を反応させる際に、溶融したり、焼成したりする工程が必要であり、その加熱のために、極めて多大の熱量を要し、処理も長時間化するという問題がある。
そこで、このような問題点を解決した緩効性カリ肥料の製造方法として、特開平9−278568号公報には、溶銑上の溶融スラグにカリ原料を添加し、このカリ原料を溶融させて溶融スラグと融合させ、この融合物を冷却して固化させる方法が開示されている。この技術では、既に溶融状態のスラグにカリ原料を融合させるので、上記特開昭60−127286号公報、特開昭55−51785号公報に開示された技術に比べて加熱に要する熱量が小さく経済的であり、短時間処理が可能である。
ところで、この特開平9−278568号公報に開示された技術では、上述のような利点はあるものの、所望の特性の緩効性カリ肥料を効率良く製造するための条件については示されていない。また、この技術では、溶銑上の溶融スラグにカリ原料を融合させた融合物を冷却して固化させる際に、風砕法または水砕法により粒状化し、その粒状物を緩効性肥料として使用に供することが試みられているが、粒の形状が不規則でありまた角張った粒も存在し、取扱い性が悪いため、省力化に十分対応できず、また最近普及している施肥機への適用も困難である。このような不都合を解消するため粒状物を粉砕することも考えられるが、粉砕物は施肥時に肥料が飛散しやすく、また、施肥後には肥料が雨水で流失したり、肥料が地表を被覆して地面の通水性や通気性を阻害するおそれがある。
発明の開示
本発明は、肥料特性が優れた緩効性カリ肥料を効率良く製造することができる緩効性カリ肥料の製造方法を提供することを目的とする。また、施肥時の飛散や、雨水による流出および地面の通水性や通気性の阻害が生じず、かつ取扱い性が良好な緩効性カリ肥料を得ることができる緩効性カリ肥料の製造方法およびそのような緩効性カリ肥料を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、第1の発明群においては、以下の3つの発明を提供する。
(1)MgO、Al2O3、FetOよりなる群から選ばれた1種または2種以上の成分と、CaOおよびSiO2を含有する原料溶融物に、カリ原料を添加し、このカリ原料を溶融させて原料溶融物と融合させ、CaO/SiO2の値が0.2≦CaO/SiO2≦1.0である溶融物を形成する工程と、
この融合処理された溶融物を1000℃から800℃までの領域において、CaO/SiO2<0.5では0.5℃/min以上、CaO/SiO2≧0.5では5℃/min以上、の速度で冷却して固化させる工程と、
生成された固化物を粉砕する工程とを具備することを特徴とする緩効性カリ肥料の製造方法。
(2)溶融金属の存在下で、MgO、Al2O3、FetOよりなる群から選ばれた1種または2種以上の成分と、CaOおよびSiO2を含有する原料溶融物に、カリ原料を添加し、このカリ原料を溶融させて原料溶融物と融合させ、CaO/SiO2の値が0.2≦CaO/SiO2≦1.0である溶融物を形成する工程と、
この融合処理された溶融物を取り出し、1000℃から800℃までの領域において、CaO/SiO2<0.5では0.5℃/min以上、CaO/SiO2≧0.5では5℃/min以上、の速度で冷却して固化させる工程と、
生成された固化物を粉砕する工程とを具備することを特徴とする緩効性カリ肥料の製造方法。
(3)脱珪処理された溶銑と、この溶銑の脱珪処理の際に生成した脱珪スラグとを収納した溶銑保持容器内にカリ原料を添加する工程と、
少なくとも脱珪スラグとカリ原料とを融合させてCaO/SiO2の値が0.2≦CaO/SiO2≦1.0である溶融物を形成する工程と、
融合して生成したスラグを1000℃から800℃までの領域において、CaO/SiO2<0.5では0.5℃/min以上、CaO/SiO2≧0.5では5℃/min以上、の速度で冷却して固化させる工程と、
生成された固化物を粉砕する工程とを具備することを特徴とする緩効性カリ肥料の製造方法。
以上のような構成によれば、CaOおよびSiO2を含有する所定の溶融原料にカリ原料を添加し、このカリ原料を溶融させて原料溶融物と融合させ、融合処理された溶融物を冷却して固化させ、生成された固化物を粉砕して緩効性カリ肥料を製造するにあたり、溶融原料とカリ原料とが融合した溶融物の塩基度を0.2≦CaO/SiO2≦1.0に規定するとともに、1000℃から800℃までの領域において、CaO/SiO2<0.5では0.5℃/min以上、CaO/SiO2≧0.5では5℃/min以上、の速度で溶融物を冷却することにより、水溶性カリ化合物の生成を抑制してク溶性カリ化合物を生成させることができるので、肥料特性が優れた緩効性カリ肥料を効率良く製造することができる。
第2の発明群においては、以下の3つの発明を提供する。
(1)CaO、MgO、Al2O3、FetOよりなる群から選ばれた1種または2種以上の成分とSiO2を含有する原料溶融物に、カリ原料を添加し、このカリ原料を溶融させて原料溶融物と融合させる工程と、
この融合処理された溶融物を冷却して固化させる工程と、
生成された固化物を粉砕する工程と、
生成された粉砕物にバインダーを添加して造粒する工程とを具備することを特徴とする緩効性カリ肥料の製造方法。
(2)溶融金属の存在下で、CaO、MgO、Al2O3、FetOよりなる群から選ばれた1種または2種以上の成分とSiO2を含有する原料溶融物に、カリ原料を添加し、このカリ原料を溶融させて原料溶融物と融合させる工程と、
この融合処理された溶融物を取り出し、冷却して固化させる工程と、
生成された固化物を粉砕する工程と、
生成された粉砕物にバインダーを添加して造粒する工程とを具備することを特徴とする緩効性カリ肥料の製造方法。
(3)脱珪処理された溶銑と、この溶銑の脱珪処理の際に生成した脱珪スラグとを収納した溶銑保持容器内にカリ原料を添加する工程と、
脱珪スラグとカリ原料とを融合させる工程と、
融合して生成したスラグを冷却して固化させる工程と、
生成された固化物を粉砕する工程と、
生成された粉砕物にバインダーを添加して造粒する工程とを具備することを特徴とする緩効性カリ肥料の製造方法。
以上のような構成によれば、CaO、MgO、Al2O3、FetOよりなる群から選ばれた1種または2種以上の成分とSiO2を含有する原料溶融物、典型的には溶融スラグにカリ原料を添加し、このカリ原料を溶融させて原料溶融物と融合させてカリ化合物を形成するので、カリ原料と融合させる原料が溶融物であって、熱経済性に優れ短時間処理が可能であるとともに、粉砕した後の粉砕物にバインダーを添加して造粒するので、施肥時の飛散や、雨水による流出および地面の通水性や通気性の阻害が生じず、また規則的でかつ球状であり角張っていないため取扱い性が良好である。
第3の発明群においては、以下の2つの発明を提供する。
(1)ケイ酸カリ原料にバインダーを添加し、造粒して、粒状の緩効性カリ肥料を得ることを特徴とする緩効性カリ肥料の製造方法。
(2)ケイ酸カリ原料にバインダーが添加され、造粒されてなることを特徴とする緩効性カリ肥料。
以上のような構成によれば、ケイ酸カリ原料にバインダーを添加し、造粒するので、施肥時の飛散や、雨水による流出および地面の通水性や通気性の阻害が生じず、また規則的でかつ球状であり角張っていないため取扱い性が良好な緩効性カリ肥料を得ることができる。
上記第2発明群および第3発明群において、上述のような溶融物を良好に造粒することができ、取り扱いやすい粒度とすることができるバインダーについて検討した結果、デンプン、硫酸マグネシウム、およびリグニンが適していることを見出した。一方、造粒して得られた緩効性カリ肥料は、製造中はもちろんのこと、流通から施肥までの取り扱い中に粒子が破壊しない硬度と、粒状肥料は雨や土壌中等の水分で適度な速度で崩壊し、土中に分散することが必要である。このような観点からは上記バインダーの中でもデンプンが特に好ましい。すなわち、デンプンは水分を加えることにより糊化し、その後乾燥させることにより硬く固化するので、この性質を利用して上記粉砕物を比較的容易に造粒することができ、造粒効率に優れ、十分な硬度を有し、土中および水中での崩壊性が良好な造粒物を得ることができる。また、デンプンは土中微生物等により分解されるので、植物や環境に悪影響を及ぼすこともない。したがって、造粒バインダーとしてはデンプンが極めて好ましい。
溶融スラグを原料としてク溶性カリ化合物を生成する際にSiO2分が不足する場合には、珪砂、石炭燃焼時のフライアッシュ、ごみ焼却灰などのようなSiO2分を多く含む物質を添加し、成分調整を行う。
カリ原料としては、炭酸カリ、重炭酸カリ、硫酸カリなどのカリ塩、およびカリ長石などのカリ含有鉱物を使用することができる。添加するカリ原料が、例えば、炭酸カリであれば、高温の原料溶融物に添加された時点で溶融、分解し、原料溶融物との反応が開始される。しかし、カリ原料が熱分解しにくい硫酸カリである場合には、カリ原料と共に炭素材を装入し、硫酸カリを溶融物中で還元させ、熱分解しやすい形態に変えるのがよい。
本発明において、カリ原料との反応によってク溶性カリ化合物を生成させることができる原料溶融物としては典型的には溶融スラグを挙げることができ、このような溶融スラグとしては鉄精錬の際に際に排出される高炉スラグ、転炉スラグ、電気炉スラグなどがある。これらのスラグはSiO2、およびCaO、MgO、Al2O3、FetOなどの成分を含んでいる上に、排出時には溶融状態であるので、この溶融状態のスラグにカリ原料を添加すれば、直ちに、カリ原料が溶融し、分解してク溶性カリ化合物の生成反応が開始される。特に、原料溶融物であるスラグとして、高炉から排出された溶銑を脱珪処理した際に生じる脱珪スラグを用いることが好ましい。脱珪スラグはSiO2量が多く、これにカリ原料を添加することにより、補助的な成分調整のみでク溶性カリ化合物を生成することができる。また、脱珪処理直後または脱珪処理中に脱珪スラグにカリ肥料を添加すれば、既設の製鉄設備でク溶性カリ化合物を生成することができるため一層経済的である。なお、本発明において、FetOは、鉄酸化物の総称であって、FeOおよびFe2O3のいずれをも含むものである。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係る緩効性カリ肥料の製造方法の工程図である。この実施形態においては、MgO、Al2O3、FetOよりなる群から選ばれた1種または2種以上の成分と、CaOおよびSiO2を含有する溶融スラグなどの原料溶融物にカリ原料を添加してこれを溶融させ、原料溶融物の成分と融合(反応)させて塩基度CaO/SiO2の値が0.2≦CaO/SiO2≦1.0の溶融物を得る融合処理工程ST1と、この融合処理工程ST1で融合処理された溶融物を1000℃から800℃までの温度域において、CaO/SiO2<0.5では0.5℃/min以上、CaO/SiO2≧0.5では5℃/min以上、の速度で冷却して固化させる冷却固化工程ST2と、この工程によって固化された固化物を粉砕する粉砕工程ST3とによって緩効性カリ肥料を製造する。
融合処理工程ST1において、原料溶融物とカリ原料とが融合した溶融物の塩基度CaO/SiO2の値を0.2≦CaO/SiO2≦1.0の範囲としたのは0.2未満ではCaOが少なすぎてスラグ性状が悪化し、1.0を超えると、水溶性カリ化合物が増加して緩効性肥料とならないからである。好ましくは0.3≦CaO/SiO2≦0.7である。なお、原料溶融物およびカリ原料以外に塩基度を調整するための調整剤を添加してもよい。
また、冷却固化工程ST2において、1000℃から800℃までの温度域における冷却速度を、CaO/SiO2<0.5の際は0.5℃以上で、CaO/SiO2≧0.5の際は、5℃/min以上としたのは、これより冷却速度が小さいと水溶性のカリ化合物結晶が晶出しやすく緩効性カリ肥料が得難いからである。特に、CaO/SiO2≧0.5では、結晶が生成しやすいため、より早い冷却速度が必要となる。このように冷却速度を規定する800〜1000℃の範囲は結晶が生成しやすい温度域である。
第1の実施形態においては、このように、溶融スラグのような原料溶融物にカリ原料を添加し、このカリ原料を溶融させて原料溶融物と融合させてカリ化合物を形成するので、熱経済性に優れ短時間処理が可能であるとともに、溶融原料とカリ原料とを融合させた溶融物の塩基度および冷却速度を規定して、水溶性カリ化合物の生成を抑制するので、全カリ(T−K2O)に対する水溶性カリ(W−K2O)の割合(水溶率 W−K2O/T−K2O x 100(%))が50%以下、好ましくは25%以下の肥料特性が優れた緩効性カリ肥料を効率良く製造することができる。
図2は本発明の第2の実施形態に係る緩効性カリ肥料の製造方法の工程図である。この実施形態においては、CaO、MgO、Al2O3、Fe2O3よりなる群から選ばれた1種または2種以上の成分と、SiO2を含有する溶融スラグなどの原料溶融物にカリ原料を添加してこれを溶融させ、原料溶融物の成分と反応させる融合処理工程ST1′と、この融合処理工程ST1′で融合処理された溶融物を冷却して固化させる冷却固化工程ST2′と、この工程によって固化された固化物を粉砕する粉砕工程ST3′と、この工程によって粉砕された粉砕物を造粒する造粒工程ST4によって緩効性カリ肥料を製造する。
第2の実施形態においては、溶融スラグのような原料溶融物にカリ原料を添加し、このカリ原料を溶融させて原料溶融物と融合させてカリ化合物を形成するので、熱経済性に優れ短時間処理が可能であるとともに、粉砕した後の粉砕物にバインダーを添加して造粒するので、施肥時の飛散や、雨水による流出および地面の通水性や通気性の阻害が生じず、また規則的でかつ球状であり角張っていないため取扱い性が良好である。
融合処理工程ST1′において、溶融物の塩基度には特に制限はないが、第1の実施形態のように0.2≦CaO/SiO2≦1.0とすることが好ましく、0.3≦CaO/SiO2≦0.7がより好ましい。
また、冷却固化工程ST2′において、冷却速度に特に制限はないが、第1の実施形態のように、1000℃から800℃までの温度域において、CaO/SiO2<0.5では0.5℃/min以上、CaO/SiO2≧0.5では5℃/min以上、であることが好ましい。
上記第1および第2の実施形態のいずれにおいても、溶融原料に添加するカリ原料の粒径が1〜25mmであることが好ましい。1mm未満では添加時に飛散しやすく、25mmを超えると溶け残ったK2Oが単体で残存し、水溶性カリ(w−K2O)が増加してしまう。また、カリ原料はある一定速度以上で供給することが好ましい。カリ原料の供給速度が小さすぎるとK2O歩留まりが低くなる傾向にある。また、全カリ(T−K2O)はmass%で30%以下であることが好ましい。30%を超えるとw−K2Oの割合が増加してしまう。
上記融合処理工程ST1およびST1′においては、適宜の容器に原料溶融物を装入し、その原料溶融物にカリ原料を添加するとともに、必要に応じて成分調整剤を添加して溶融物の成分調整を行う。また、必要に応じて、カリ原料を溶融させるための熱の補強を行う。
図3は上記融合処理工程ST1およびST1′を実施するための装置の一例を示す図である。この図において、10は反応槽、50は鉄鋼精錬時に発生するスラグなどの原料溶融物を示す。反応槽10は蓋11により密閉可能となっており、ガス排出口12に接続された排ガスダクトに設けられたダンパー13によって槽内の圧力状態を調整できるようになっている。また、反応槽10には蓋11を貫通して各種のランスが挿入されている。ランス14は原料溶融物50を攪拌するためのものであり、窒素ガス配管が接続されている。ランス15はカリ原料吹き込み用ランス、ランス16は成分調整剤吹き込み用ランス、ランス17は粉コークス吹き込み用ランスであり、これらのランス15,16,17にはそれぞれ窒素ガス配管が接続されている。また、ランス18は酸素ガスまたは酸素含有ガスを供給するためのランス(酸素用ランス)である。20はカリ原料ホッパー、21は成分調整剤ホッパー、22は粉コークスホッパーであり、これらのホッパー20,21,22はそれぞれフィーダー23,24,25を備えている。なお、ホッパー21、フィーダー24、ランス16によりなる成分調整剤供給系統、およびホッパー22、フィーダー25、ランス17によりなる粉コークス供給系統、および酸素ガス供給系統は必要に応じて使用される。
このような装置においては、まず、反応槽10に原料溶融物50を装入し、その装入量を計量しておく。次いで原料溶融物50の装入量に対する所定量のカリ原料を計算し、ホッパー20に貯留しておく。また、原料溶融物50の組成およびその受入れ量に対する所定量の成分調整剤を計量し、ホッパー21に貯留しておく。そして、ランス14から窒素ガスを吹き込んで原料溶融物50を攪拌しながら、フィーダー23およびフィーダー24を起動してホッパー20内のカリ原料およびホッパー21内の成分調整剤を抜き出し、それぞれ窒素ガスで気流輸送してランス15、ランス16から原料溶融物50中へ吹き込む。吹き込まれたカリ原料は溶融し、分解して原料溶融物50中に溶け込む。また、吹き込まれた成分調整剤も溶融して原料溶融物50中に溶け込む。この際、カリ原料の溶け込みによって溶融物の粘性が大幅に下がるので、カリ原料の吹き込み量が増加するに従って溶融物の攪拌は容易になる。
カリ原料や成分調整剤を装入することによって、原料溶融物50の温度が大きく低下する場合、フィーダー25を起動してホッパー22内の粉コークスを装入する。粉コークスは窒素ガスで気流輸送され、ランス17から原料溶融物50中へ吹き込まれる。この粉コークスの吹き込みと同時に、ランス18から酸素ガスまたは酸素含有ガスの吹き込みを開始し、原料溶融物50中で粉コークスを燃焼させる。この燃焼熱によって溶融物が加熱され、その温度が維持される。粉コークスおよび酸素ガスまたは酸素含有ガスは、溶融物の温度が所定範囲内に保たれるように、流量調節されながら供給される。カリ原料は粉コークスのようなCと反応し蒸発するので、粉コークスと酸素ガスによる加熱時期をカリ原料添加前とすることも有効である。
所定量のカリ原料および成分調整剤の装入が終了しても、ランス14からの窒素ガスの吹き込みによる溶融物の攪拌をしばらく継続して、反応槽10内に未溶融物質が存在しない状態にした後、融合処理された溶融物を排出して冷却固化工程へ送る。一方、排ガスは排ガス処理装置へ送られて浄化された後、放出される。なお、カリ原料と融合させる原料溶融物が成分調整をする必要がないものである場合には、成分調整剤の装入は行わない。
なお、カリ原料や成分調整剤を装入すると、原料溶融物50の温度が低下するが、カリ原料の溶け込みによる組成の変化によって溶融物の融点が下がるので、カリ原料の装入量が少量の場合には、溶融物は攪拌可能な溶融状態に維持される。このため、カリ原料の装入量が比較的少ない場合には、粉コークスと酸素ガスまたは酸素含有ガスの吹き込みを行わないこともある。また、カリ原料、成分調整剤、および粉コークスの添加方法は、気流輸送して原料溶融物50中に吹き込む方法に限定されるものではなく、反応槽10の上部から原料溶融物50上に添加する方法であってもよい。さらに、原料溶融物50上に吹き付けるだけでも粉コークスを燃焼させることができるので、酸素用ランス18を溶融物中に浸漬せずに、酸素ガスまたは酸素含有ガスを原料溶融物50上に吹き付けてもよい。
上記冷却固化工程ST2およびST2′における融合溶融物の冷却固化方法は、特に制限はなくどのような方法を採用してもよい。例えば、融合処理された溶融物に高圧空気を吹き付けて飛散させ、冷却するとともに粒状化する方法(風砕)、高圧水を吹き付けて飛散させ、冷却すると共に粒状化する方法(水砕)、上記溶融スラグを空気中に放置して冷却固化させる方法などがある。
例えば、上記図3の装置から冷却固化工程に送給された融合処理された溶融物が樋へ流し込まれ、この樋から落下した溶融物に高圧の空気が吹き付けられる。そして、溶融物は落下する間に飛散し、冷却されるとともに粒状化される。
上記粉砕工程ST3およびST3′における粉砕方法も特に制限はなく、どのような方法を採用してもよい。例えば、ジョークラッシャー、ロッドミル、フレッドミル、インペラブレーカーなどがある。
上記造粒工程ST4における造粒方法も特に制限はなく、一般的な造粒方法を採用することができるが、例えば上記粉砕工程によって得られた粉砕物とバインダーとを混合機で混合し、適当量の水を噴霧しながら造粒機で造粒した後に乾燥する。
造粒機としては、一般的に使用されるもの、例えば回転皿型造粒機、回転円筒型造粒機等を採用することができ、造粒後に所定の粒度範囲に入らないものは直接または粉砕などの処理をした後に再度混合機に戻し、原料の一部として再利用する連続造粒方法を採用することが好ましい。
図4は、上記造粒工程ST4を実施するための装置の一例を示す図である。この装置において、上記粉砕工程によって得られた粉砕物90がショベルローダー等によりホッパー91に装入され、計量された粉砕物90がホッパー91からコンベア92を介してドラム式回転型造粒機93に供給される。ドラム式回転型造粒機93には容器95に貯留されたバインダー94も所定量供給され、ドラム式回転型造粒機93が回転されることにより粉砕物90とバインダー94とが混合されて造粒される。その後、造粒品がドライヤー96で乾燥され、エレベーター97によりふるい98に供給されてふるい分けされ、さらにクーラー99で冷却されて造粒肥料となる。クーラーで冷却後にふるい分けして造粒肥料とすることも可能である。
図5は、上記造粒工程ST4を実施するための装置の他の例を示す図である。この装置において、上記粉砕工程によって得られた粉砕物100がホッパー101に装入され、計量された粉砕物100がホッパー101からミキサー104に装入される。また、容器103に貯留されたバインダー102も所定量ミキサー104に装入される。そして、ミキサー104において粉砕物100とバインダー102とが混合され、この混合物が皿形造粒機105に供給され、皿形造粒機105において造粒される。皿形造粒機105で造粒された造粒品はベルトコンベヤー106に載せられ、後は図4の装置と同様、ドライヤー96で乾燥され、エレベーター97によりふるい98に供給されてふるい分けされ、さらにクーラー99で冷却されて造粒肥料となる。
上記造粒工程で用いるバインダーは特に制限はなく、リン酸、粘土、ベントナイト、PVA、CMC、ポリアクリル酸、糖蜜、リグニン、硫酸マグネシウム、デンプン、およびこれらの混合物等種々のものを用いることができるが、造粒性が良く、取り扱いやすい粒度のものが得られる点においてリグニン、硫酸マグネシウム、およびデンプンが好ましく、これら単独でまたはこれらの2種以上の混合物として用いることができる。また、製造中および流通から施肥までの取り扱い中に粒子が破壊しない硬度を有し、雨や土壌中等の水分で適度な速度で崩壊し、土中に分散することが好ましいが、そのような点も加味すると特にデンプンが好ましい。
バインダーとして使用されるデンプンは、トウモロコシ、タピオカ、小麦、馬鈴薯、コメ等を原料としたものが挙げられる。これらのデンプンは、原料によって構成成分であるアミロース(d−グルコースが長い直鎖状に結合したもの)とアミロペクチン(d−グルコースが枝分かれ状に結合したもの)との割合が異なり、モチ米やモチトウモロコシ等ではアミロペクチンの割合が多い。さらに、デンプンの種類としては、そのままの生デンプンでも、熱や酸、アルカリ、塩、酵素等で処理した加工デンプンでもよい。これらのデンプンは、その種類に関わらず、糊化する性質を有しているものが造粒バインダーとして適している。
デンプンは水分を加えることにより糊化し、その後乾燥させることにより硬く固化するので、上記粉砕物であるSiO2およびK2Oを含む原料、すなわちケイ酸カリ原料を容易にかつ効率良く造粒することができる。このようにバインダーとしてデンプンを用いることにより、十分な硬度を有し、土中および水中での崩壊性が良好な粒状緩効性カリ肥料を得ることができる。また、デンプンは土中微生物等により分解されるので、植物や環境に悪影響を及ぼすこともない。
このようにして造粒された緩効性カリ肥料の形状および粒径については平均粒径は0.5〜6mmが好ましい。平均粒径が0.5mm未満では施肥する時に風に吹き飛ばされたりして取り扱い性が悪くなり、6mmを越えると均一に散布することが困難になる。より好ましい粒径は1〜5mmである。
図6は本発明の第3の実施形態に係る緩効性カリ肥料の製造方法の工程図である。第3の実施形態では、溶融金属の存在下で、カリ原料と溶融スラグなどの原料溶融物を融合させるものであり、基本的には、MgO、Al2O3、FetOよりなる群から選ばれた1種または2種以上の成分と、CaOおよびSiO2を含有する溶融スラグなどの原料溶融物にカリ原料を添加してこれを溶融させ、原料溶融物の成分と融合(反応)させて塩基度CaO/SiO2の値が0.2≦CaO/SiO2≦1.0の溶融物を得る融合処理工程ST11と、カリ原料と原料溶融物が融合して生成した融合溶融物と溶融金属とを分離する融合物分離工程ST12と、分離された溶融物を1000℃から800℃までの温度域において、CaO/SiO2<0.5では0.5℃/min以上、CaO/SiO2≧0.5では、5℃/min以上の速度で冷却して固化させる冷却固化工程ST13と、この工程によって固化された固化物を粉砕する粉砕工程ST14とによって緩効性カリ肥料を製造する。なお、融合処理工程ST11において、原料溶融物およびカリ原料以外に塩基度を調整するための調整剤を添加してもよい。
図7は本発明の第4の実施形態に係る緩効性カリ肥料の製造方法の工程図である。第4の実施形態では、第3の実施形態と同様、溶融金属の存在下で、カリ原料と溶融スラグなどの原料溶融物を融合させるものであり、基本的には、CaO、MgO、Al2O3、FetOよりなる群から選ばれた1種または2種以上の成分と、SiO2を含有する溶融スラグなどの原料溶融物にカリ原料を添加してこれを溶融させ、原料溶融物の成分と反応させる融合処理工程ST11′と、カリ原料と原料溶融物が融合して生成した融合溶融物と溶融金属とを分離する融合物分離工程ST12′と、分離された溶融物を冷却して固化させる冷却固化工程ST13′と、この工程によって固化された固化物を粉砕する粉砕工程ST14′と、この工程によって粉砕された粉砕物を造粒する造粒工程ST15とによって緩効性カリ肥料を製造する。
融合処理工程ST11′において、溶融物の塩基度には特に制限はないが、第3の実施形態のように0.2≦CaO/SiO2≦1.0とすることが好ましく、0.3≦CaO/SiO2≦0.7がより好ましい。
また、冷却固化工程ST13′において、1000℃から800℃までの温度域における冷却速度に特に制限はないが、第3の実施形態のように、CaO/SiO2<0.5では0.5℃/min以上、CaO/SiO2≧0.5では5℃/min以上の速度が好ましい。
上記第3および第4の実施形態のいずれにおいても、第1および第2の実施形態と同様、溶融原料に添加するカリ原料の粒径が1〜25mmであることが好ましい。また、カリ原料の供給速度は、溶融金属1tあたり1kg/min以上であることが好ましい。溶融金属1tあたり1kg/min未満ではK2O歩留まりが低くなる傾向にある。さらに、全K2O(T−K2O)はmass%で30%以下であることが好ましい。
第3の実施形態および第4の実施形態のように原料溶融物とカリ原料などの添加物を融合させる際に、溶融金属を存在させることによりカリ原料や成分調整剤の装入量が多い場合でも、溶融金属が熱の補給源となって原料溶融物の温度低下を極力抑制することができ、必要な温度を確保した状態で融合反応を生じさせることができる。
上記融合処理工程ST11およびST11′は典型的には適宜の容器に装入された溶融金属上に原料溶融物を浮遊させた状態で原料溶融物にカリ原料を融合させる。必要に応じ、成分調整剤を添加して原料溶融物の成分調整を行う。また、上記原料の混合時に、粉コークスなどの炭素材を添加すると共に酸素ガスまたは酸素含有ガスを供給して、炭素材を燃焼させ、カリ原料や成分調整剤を加熱して溶融させるための熱の補強を行う。
上記融合物分離工程ST12およびST12′では、それぞれ上記融合処理工程ST11およびST11′が終了した後、例えば容器内から融合溶融物を排出することにより、融合溶融物と溶融金属とを分離する。一方、融合溶融物が分離された溶融金属は次工程へ送られるか、容器内に残留させた状態で次の融合処理に使用される。
図8は上記融合処理工程ST11(ST11′)および融合物分離工程ST12(ST12′)を実施するための装置の一例を示す図である。図8において図3と同じ部分については、同一の符号を付し説明を省略する。この例においては、反応槽10に溶融スラグなどの原料溶融物50とともに溶融金属51が装入されるようになっている。反応槽10に設けられたランス、すなわち内容物を攪拌するためのランス14、カリ原料吹き込み用のランス15、成分調整剤吹き込み用のランス16、粉コークス吹き込み用のランス17、および酸素用のランス18は溶融金属51中に挿入されるようになっている。
なお、ホッパー21、フィーダー24、ランス16によりなる成分調整剤供給系統、およびホッパー22、フィーダー25、ランス17によりなる粉コークス供給系統、および酸素ガス供給系統は必要に応じて使用される。
このような装置においては、まず、反応槽10に溶融スラグなどの原料溶融物50と溶融金属51とを装入し、溶融金属51上に原料溶融物50が浮遊した状態とするとともに、原料溶融物50の装入量を計量しておく。次いで原料溶融物の装入量に対する所定量のカリ原料を計算し、ホッパー20に貯留しておく。また必要に応じ、原料溶融物50の組成およびその受入れ量に対する所定量の成分調整剤を計量し、ホッパー21に貯留しておく。そして、ランス14から溶融金属51中へ窒素ガスを吹き込んで原料溶融物50と溶融金属51とを一緒に攪拌しながら、フィーダー23およびフィーダー24を起動してホッパー20内のカリ原料およびホッパー21内の成分調整剤を抜き出し、それぞれ窒素ガスで気流輸送してランス15、ランス16から溶融金属51中へ吹き込む。吹き込まれたカリ原料および成分調整剤は、多量に存在する溶融金属51によって加熱されて溶融し、原料溶融物50中に溶け込む。
上記のように、吹き込まれたカリ原料および成分調整剤は、溶融金属51からの熱移動によって加熱されるが、原料を装入することによって、反応槽内の溶融物の温度が低下し、溶け込みが不充分の場合、フィーダー25を起動してホッパー22内の粉コークスを装入する。粉コークスは窒素ガスで気流輸送され、ランス17から溶融金属51中へ吹き込まれる。この粉コークスの吹き込みと同時に、ランス18から酸素ガスまたは酸素含有ガスの吹き込みを開始し、溶融金属51中あるいは原料溶融物50中で粉コークスを燃焼させる。この燃焼熱によって溶融金属51および原料溶融物50が加熱され、その温度が維持される。粉コークスおよび酸素ガスは、槽内溶融物の温度が所定範囲内に保たれるように、流量調節されながら供給される。
所定量のカリ原料および成分調整剤の装入が終了しても、ランス14からの窒素ガスの吹き込みによる溶融物の攪拌をしばらく継続して、反応槽10内に未溶融物質が存在しない状態にした後、融合溶融物と溶融金属を分離する処理を行い、融合溶融物を排出する。排出された融合溶融物は冷却固化装置へ送られる。
一方、融合溶融物が分離された溶融金属は、次工程へ送られるか、あるいは、反応槽10内に残留させたまま、次の融合処理に使用される。2回目以降の融合処理においては、原料溶融物が装入された後、上記と同様の処理操作を行う。
なお、図8のランス14,15,16,17,18を溶融金属51の上方位置でかつ原料溶融物50中に挿入し、反応槽10の底部に底吹きノズルを設け窒素ガスを送付して、原料溶融物と溶融金属を別々に攪拌して実施してもよい。また、カリ原料、成分調整剤、および粉コークスの添加方法としては、気流輸送して原料溶融物50中に吹き込む方法に限定されるものではなく、反応槽10の上部から原料溶融物50上に添加する方法であってもよい。さらに、図3の装置の場合と同様、原料溶融物50上に吹き付けるだけでも粉コークスを燃焼させることができるので、酸素用ランス18を溶融物中に浸漬せずに、酸素ガスまたは酸素含有ガスを原料溶融物50上に吹き付けてもよい。
上記冷却固化工程ST13およびST13′、粉砕工程ST14およびST14′、ならびに造粒工程ST15については、第1および第2の実施形態における冷却固化工程ST2およびST2′、粉砕工程ST3およびST3′、ならびに造粒工程ST4と同様に行われる。
原料溶融物とカリ原料を融合させる処理を行う際に存在させる溶融金属としては、最も実用的な溶銑を使用するのがよい。図9および図10は高炉から排出された溶銑上のスラグを用いて本発明を実施する装置の一例を模式的に示す図であり、図9は平面図、図10は断面図を表した図である。図9、図10において、30は高炉から排出される溶銑滓を流下させる主樋、31はスキンマー部に設けられ、溶銑と高炉スラグを分離するための堰、32は分離された高炉スラグを流下させるスラグ樋である。主樋30の堰31よりも上流の箇所には、カリ原料用のランス35および成分調整剤用のランス36が設けられている。また、主樋30内では溶銑51a上に高炉スラグ50aが浮遊した状態となっており、ランス35は,高炉スラグ50aまたはその上部に、ランス36はその先端が溶銑51aが流れる深さまで差し込まれるようになっている。そして、上記窒素配管の一方には、カリ原料ホッパー40、フィーダー43よりなるカリ原料供給装置が接続され、他方には、成分調整剤ホッパー41,フィーダー44よりなる成分調整剤供給装置が接続されている。このため、流下する溶銑滓中へカリ原料および成分調整剤を吹き込むことができるようになっている。
このような装置においては、まず、溶銑とともに流下する高炉スラグの予想流量および予想組成に基づいて算定したカリ原料の流量値および成分調整剤の流量値をフィーダー43およびフィーダー44にそれぞれ設定する。そして溶銑滓の流下中に、各窒素配管に窒素ガスを流しながら、フィーダー43、44を起動し、カリ原料および成分調整剤をランス35、36から高炉スラグ50aまたは溶銑51a中に吹き込む。吹き込まれたカリ原料および成分調整剤は、高炉スラグ50aとともに流下する間に加熱されて溶融する。
カリ原料、成分調整剤、高炉スラグの3原料が融合した融合溶融物52は、スキンマー部で溶銑51aと分離された後スラグ樋32へ分流され、冷却固化装置へ送られる。
なお、この場合には、原料配合が高炉スラグ流量の予想値を基に算出されるので、融合処理された融合溶融物の成分はある程度変動する。このため、製品の成分を厳密に管理する必要がある場合には、スラグ樋32へ分流された融合溶融物52を、上記図3に示すような装置へ装入し、不足する成分原料を添加するとともに融合処理を行い、成分調整をするのがよい。
この例においても、冷却固化工程ST13およびST13′、粉砕工程ST14およびST14′、ならびに造粒工程ST15については、第1および第2の実施形態における冷却固化工程ST2およびST2′、粉砕工程ST3およびST3′、ならびに造粒工程ST4と同様に行われる。
上記例では高炉から出銑された溶銑上の高炉スラグを用いて第3および第4の実施形態を実施したが、原料溶融物として溶銑を脱珪処理した際に生じる脱珪スラグを用いることがより好ましい。この際に、脱珪処理された溶銑と、この溶銑の脱珪処理の際に生成した脱珪スラグとを収納した溶銑保持容器内にカリ原料を添加することが好ましい。以下、このようにして緩効性カリ肥料を製造する例について図11を参照して説明する。図11は脱珪処理した溶銑上の脱珪スラグを用いて第3および第4の実施形態の方法を実施する装置の一例を模式的に示す断面図である。図11において、高炉(図示せず)から出銑された溶銑62を収納した取鍋型溶銑保持容器61は、台車63に搭載されて脱珪処理設備に搬送される。なお溶銑保持容器61は台車63にて高炉から溶銑処理設備さらには転炉(図示せず)へと搬送される。
脱珪処理設備には、上吹き酸素ランス66とインジェクションランス67とが設置されている。上吹き酸素ランス66およびインジェクションランス67は、溶銑保持容器61内において上下移動可能となっている。
また、脱珪処理設備は、貯蔵タンク70とリフトタンク73とからなる系統、貯蔵タンク71とリフトタンク74とからなる系統、貯蔵タンク72とリフトタンク75とからなる系統の3系統の原料供給系と、共通のディスペンサー76とからなる第1の原料供給装置90を有しており、インジェクションランス67はこの共通のディスペンサー76に接続されている。そして、貯蔵タンク70に収納されたカリ原料65と、貯蔵タンク71に収納された成分調整剤68と、貯蔵タンク72に収納された造滓剤69とを窒素ガスを搬送ガスとしてインジェクションランス67からその先端位置を調整しつつ溶銑62中または脱珪スラグ64中に吹き込み添加することができる。また、インジェクションランス67の先端を脱珪スラグ64の直上に配置することで、カリ原料65、成分調整剤68、および造滓剤69を窒素ガスとともに脱珪スラグ64に投射して添加することもできる。なお、貯蔵タンク70内のカリ原料65,貯蔵タンク71内の成分調整剤68、および貯蔵タンク72内の造滓剤69は、リフトタンク73,74,75にて、それぞれ独立に添加量および添加時間を制御して吹き込むことができ、また、インジェクションランス67から窒素ガスのみ吹き込み、溶銑62を攪拌することもできる。造滓剤は脱珪処理時の塩基度調整のために使用するもので、一般に生石灰が用いられる。
一方、第1の原料供給装置90と反対側に、ホッパー77,78,79と切り出し装置81,82,83と原料搬送装置84とシュート85とからなる第2の原料供給装置91が設けられており、この第2の原料供給装置91によりホッパー77内のカリ原料65,ホッパー78内の成分調整剤68、およびホッパー79内の鉄鉱石焼結粉80を溶銑保持容器61内に上置き添加することができる。
次に、このような構成の脱珪処理設備を用いて、所望の緩効性カリ肥料の組成の溶融スラグを製造する方法について説明する。
まず最初に、脱珪処理後にカリ原料65および成分調整剤68を添加して製造する方法について示す。溶銑保持容器61内で溶銑62の脱珪処理を行うが、脱珪処理の前に、溶銑保持容器61内に残留する溶銑スラグ(高炉スラグ)の量および組成を把握する。残留スラグ量は、スラグの厚さの測定または溶銑62を覆う残留スラグの面積率の目視観察により把握することができる。スラグ組成は分析により把握する。次いで脱珪処理を行うが、脱珪処理は、例えば、鉄鉱石焼結粉80をシュート85より溶銑保持容器61内に上置き添加するとともに、上吹き酸素ランス66から酸素ガスを溶銑62の湯面に吹き付け、さらにインジェクションランス67から窒素ガスを吹き込んで溶銑62と鉄鉱石焼結粉80とを攪拌混合させて行う。この脱珪処理により、酸素ガスおよび鉄鉱石焼結粉80中の酸素は、溶銑62中の珪素と反応してSiO2を生成する。生成したSiO2は残留スラグと混合・融合し、溶銑62上にSiO2を多く含む脱珪スラグ64が生成される。なお、脱珪処理は、このような方法に限るものではなく、生石灰等を造滓剤69としてインジェクションランス67にて吹き込んで行うこともあり、また、鉄鉱石焼結粉80の代わりにミルスケール等の鉄酸化物を使用しても行うことができる。
このようにして脱珪処理を行った後、脱珪処理により生成したSiO2量を把握する。生成したSiO2量は、脱珪処理前後の溶銑62の珪素濃度から把握することができる。また、酸素ガスおよび鉄鉱石焼結粉中の酸素の総酸素添加量から把握することもできる。そして、SiO2の生成量と、脱珪処理前に把握した残留スラグの量および組成とで、脱珪スラグ64の概略重量を把握する。把握した脱珪スラグ64の概略重量と概略組成とから、カリ原料65の添加量と、必要な場合には成分調整剤68の添加量とを決定する。なお、脱珪スラグ64から分析試料を採取して成分分析すれば、正確な重量および組成を把握することができる。その後、所定量のカリ原料65および必要に応じて所定量の成分調整剤68を溶銑保持容器61内に添加し、融合溶融物の製造を開始する。なお、カリ原料65の添加前にインジェクションランス67から窒素ガスを溶銑62中に吹き込むことが望ましい。窒素ガスを吹き込むことで、溶銑62と脱珪スラグ64とが攪拌され、脱珪スラグ64が溶融されるとともに、脱珪スラグ64の組成が均一化され、その後の工程が容易となるからである。
カリ原料65は、その歩留まり向上のために、シュート85から溶銑保持容器61内に上置き添加することが好ましい。その際、予めカリ原料65をブリケットにすれば粉塵の発生を防止することができる。また、粉体状のカリ原料65を添加する場合には、搬送ガスを用いて、インジェクションランス67から脱珪スラグ64中に吹き込み添加するか、もしくは脱珪スラグ64に投射して添加することが好ましい。図11はカリ原料65を上置き添加した状態を示している。カリ原料を溶銑62中に吹き込んでも良いが、カリ原料の歩留まりが低減するため、あまり好ましくはない。
成分調整剤68は、成分調整剤68の溶融が促進され、迅速に所望するすスラグ組成とするために、インジェクションランス67から溶銑62中に吹き込み添加することが好ましい。カリ原料65と成分調整剤68との添加順序は任意であるが、カリ原料65の前に所定量の成分調整剤68を添加し、その後、カリ原料65の添加を開始することが望ましい。これは、脱珪スラグ64が所定の成分に調整されているために、カリ原料65と脱珪スラグ64との融合が促進され、カリ原料65が高温の状態で保持される期間が減少してカリ原料65中のカリウムの蒸発量が少なくなり、カリ原料65の歩留りが向上するためである。
カリ原料65および成分調整剤68の添加完了後、さらにインジェクションランス67から窒素ガスを溶銑62中に吹き込み、脱珪スラグ64とカリ原料65および成分調整剤68との融合を促進するとともに、生成する溶融スラグの組成を均一化することが好ましい。
このようにして脱珪処理後に添加されたカリ原料65および成分調整剤68は脱珪スラグ64と融合し、所望のク溶性カリ化合物組成の溶融スラグが溶銑62上に製造される。
次に、脱珪処理中にカリ原料65および成分調整剤68を供給して所望のク溶性カリ化合物組成の溶融スラグを製造する方法を以下に説明する。脱珪処理の前に上記の方法に従って残留する溶銑スラグの量および組成を把握する。そして、上記の方法に従って脱珪処理を行うが、脱珪処理中にカリ原料65および成分調整剤68をインジェクションランス67またはシュート85により添加する。この場合、カリ原料65および成分調整剤68の添加量は次のようにして決定する。まず、脱珪処理前の残留スラグの量および組成と、脱珪処理前の珪素濃度と脱珪処理後の目標珪素濃度との差から推定されるSiO2の生成量とで、脱珪処理により生成する脱珪スラグ64の概略組成および概略重量を把握し、把握した脱珪スラグ64の概略重量と概略組成とから、カリ原料65の添加量と、必要な場合には成分調整剤68の添加量とを決定する。
このようにして脱珪処理を所定時間実施して作業を終了する。脱珪処理中に添加されたカリ原料65および成分調整剤68は、脱珪スラグ64と融合し、ク溶性カリ化合物組成の溶融スラグが溶銑62上に製造される。
この例においても、冷却固化工程ST13およびST13′、粉砕工程ST14およびST14′、ならびに造粒工程ST15については、第1および第2のの実施形態における冷却固化工程ST2およびST2′、粉砕工程ST3およびST3′、ならびに造粒工程ST4と同様に行われる。
このように、脱珪スラグはSiO2量が多く、これにカリ原料を添加することにより、補助的な成分調整のみでク溶性カリ化合物を生成することができ、しかも既設の製鉄設備でク溶性カリ化合物を生成することができるため、原料溶融物として脱珪スラグを用いることが一層経済的である。
(実施例1)
製鉄所の高炉から排出された溶銑の存在下で、図6の工程にしたがって、溶融状態の高炉スラグと珪砂および炭酸カリウムとを融合させ、表1に示す種々の塩基度の溶融原料を製造し、冷却速度を表1に示すように変化させて緩効性カリ肥料を製造した。融合処理工程は図8に示す設備により行った。ただし、炭酸カルシウムは、投射による方式で添加した。
その結果、表1に示すように、塩基度CaO/SiO2の値が0.2≦CaO/SiO2≦1.0であり、冷却固化の際の1000℃から800℃までの温度域における冷却速度が、CaO/SiO2<0.5では0.5℃/min以上、CaO/SiO2≧0.5では5℃/min以上の速度の場合に、カリウムの水溶率が小さく、スラグ性状も良好であり、優れた特性の緩効性肥料が得られることが確認された。
(実施例2)
図8に示す設備により、高炉スラグと珪砂に、カリ原料である炭酸カリウムの粒径を種々変化させて添加し、ほぼ、実施例1のNo.4組成の溶融スラグを製造した。冷却固化の際の1000℃から800℃までの温度域での冷却速度を5℃/min以上として図1に示す工程に従って緩効性カリ肥料を製造した。
その際の炭酸カリウムの最大粒径とw−K2Oの割合との関係を図12に示す。図12に示すように、カリ源である炭酸カリウムの最大粒径が25mm以下であれば、極めて低いカリウム水溶率となることが確認された。
(実施例3)
図8に示す設備により、高炉スラグと珪砂、カリ原料である炭酸カリウムとして粒径が6mmのものを用い、カリ源である炭酸カリウムの投入速度を種々変化させ、ほぼ実施例1のNo.5組成の溶融スラグを製造した。冷却固化の際の1000℃から800℃までの温度域での冷却速度を5℃/min以上として図1に示す工程に従って緩効性カリ肥料を製造した。カリ原料の添加は、投射方式とした。
その際の溶銑1tあたりの炭酸カリウム投入速度とK2O歩留まりとの関係を図13に示す。図13に示すように、カリ源の投入速度が溶銑1tあたり1kg/min以上であればK2O歩留まりが高く維持されることが確認された。
(実施例4)
製鉄所の製銑工程から排出された表2に示す溶融状態の高炉スラグ(溶銑スラグ)と珪砂および炭酸カリウムを原料とし、図2に示す工程に従って緩効性カリ肥料を製造した。融合処理工程は図3に示す設備により行った。
まず、高炉スラグ100質量部を反応槽へ装入し、39.3質量部の珪砂および57.6質量部の炭酸カリウムを混合した。この際、さらに粉コークスを少量ずつ連続的に添加しながら、酸素ガスの吹き込みを行い、槽中の内容物の温度が約1400℃に保たれるようにした。このコークス添加と酸素ガス吹き込みによって槽中内容物の温度低下が防止され、珪砂および炭酸カリウムの溶融が行われた。
全ての珪砂および炭酸カリウムが高炉スラグと融合した時点で、この融合処理された溶融物を反応槽から排出し、冷却して固化させた。この融合処理された溶融物の冷却固化処理においては、高圧空気を吹き付け、飛散させて冷却するとともに粒状化装置(風砕装置)を使用し、上記溶融物を粒状化させた。
次いで、この粒状物を1mm径以下に粉砕し、この粉状体にバインダーとしてデンプンを1.0mass%添加・混合し、水分量を調整した。次いで、この混合物を試験用回転皿型造粒機で整粒し、箱型小型乾燥機内で100℃で脱水乾燥し、篩分して1〜5mm径の造粒物を得た。この造粒物を肥料として実際の使用に供したところ、肥料として適度な硬度を有しており、しかも流動性が良好であるため取扱い性が良好であった。また、施肥時の飛散や、雨水による流出および地面の通水性や通気性の阻害が生じ難いことが確認された。
一方、粉砕する前の粒状物中のカリと珪酸とを分析した結果、表3に示すようになった。表3において、T−K2Oは全カリ、c−K2Oはク溶性カリ(2%クエン酸に溶解したK2O分)、w−K2Oは水溶性カリを示す。また、T−SiO2は全珪酸、s−SiO2は可溶性珪酸(0.5M塩酸に溶解したSiO2分)を示す。この表から明らかなように、粒状物中に含まれているカリ分のうち、水溶性のものは非常に少なく、その大部分がク溶性であった。すなわち、本実施例の肥料は緩効性カリ肥料として優れた特性を有することが確認された。また、上記粒状物は、多量の可溶性珪酸を含んでおり、本実施例の肥料が珪酸の供給源としても用いることができることが確認された。
(実施例5)
製鉄所の溶銑の予備処理工程から排出された表2に示す溶融状態の脱珪スラグと炭酸カリウムを原料とし、図2に示す工程に従って緩効性カリ肥料を製造した。融合処理工程は図3に示す設備により行った。
まず、脱珪スラグ100質量部を反応槽へ装入し、粉コークスを少量ずつ連続的に添加しながら、酸素ガスの吹き込みを行い、槽中の内容物の温度を約1450℃とした。その後、41.3質量部の炭酸カリウムを少量ずつ連続的に装入し、炭酸カリウムを溶融させて脱珪スラグと融合させた。次いで、この融合処理された溶融物を反応槽から排出し、実施例1の場合と同様の操作を行って、冷却固化させ、粒状物にした。
次いで、実施例4と同様、この粒状物を1mm径以下に粉砕し、この粉状体にバインダーとしてデンプンを1.0mass%添加・混合し、水分量を調整した。次いで、この混合物を試験用回転皿型造粒機で整粒し、箱型小型乾燥機内で100℃で脱水乾燥し、篩分して1〜5mm径の造粒物を得た。この造粒物を肥料として実際の使用に供したところ、肥料として適度な硬度を有しており、しかも流動性が良好であるため取扱い性が良好であった。また、施肥時の飛散や、雨水による流出および地面の通水性や通気性の阻害が生じ難いことが確認された。
一方、粉砕する前の粒状物中のカリと珪酸とを分析した結果、表3に示すようになった。この表から明らかなように、本実施例の粒状物は実施例4の場合と同様に、カリ分の大部分がク溶性のものであり、本実施例の肥料が緩効性カリ肥料として優れた特性を有することが確認された。
(実施例6)
製鉄所の高炉から排出された溶銑の存在下で、表2に示す溶融状態の高炉スラグと珪砂及び炭酸カリウムとを融合させ、図7に示す工程に従って緩効性カリ肥料を製造した。融合処理工程および融合物分離工程は図8に示す設備により行った。
まず、高炉スラグ100質量部、溶銑400質量部を反応槽へ装入し、攪拌用ランスから窒素ガスを吹き込んでスラグを攪拌しながら、珪砂及び炭酸カリウムを少量ずつ連続的に装入し、39.3質量部の珪砂および57.6質量部の炭酸カリウムを混合した。この際、さらに粉コークスを少量ずつ連続的に添加しながら、酸素ガスの吹き込みを行い、槽中の内容物の温度が約1400℃に保たれるようにした。このコークス添加と酸素ガス吹き込みによって槽中の内容物の温度低下が防止され、珪砂および炭酸カリウムの溶融が行われた。
全ての珪砂および炭酸カリウムが高炉スラグと融合した時点で、この融合処理された溶融物を反応槽から排出して溶銑と分離し、実施例4と同じ操作を行って上記溶融物を粒状化させた。
次いで、実施例4と同様、この粒状物を1mm径以下に粉砕し、この粉状体にバインダーとしてデンプンを1.0mass%添加・混合し、水分量を調整し、実施例1と同様にして造粒物を得た。この造粒物を肥料として実際の使用に供したところ、肥料として適度な硬度を有しており、しかも流動性が良好であるため取扱い性が良好であった。また、施肥時の飛散や、雨水による流出および地面の通水性や通気性の阻害が生じ難いことが確認された。
一方、粉砕する前の粒状物中のカリと珪酸とを分析した結果、表3に示すようになった。この表から明らかなように、本実施例の粒状物は実施例1の場合と同様に、カリ分の大部分がク溶性のものであり、本実施例の肥料が緩効性カリ肥料として優れた特性を有することが確認された。
(実施例7)
ここでは、まず上記図9および図10に示す設備によって融合処理および融合物分離工程を行った。高炉スラグの組成は表2に示すとおりであった。高炉から排出された溶銑滓(スラグ比=0.32(スラグt/溶銑t))を、要諦量20t/時の流量で樋の中に流しながら、珪砂を7.9t/時の割合で吹き込み、炭酸カリウムを11.5t/時の割合で吹き込んだ。吹き込まれた珪砂と炭酸カリウムは溶融した。この添加物が吹き込まれた溶銑滓を取鍋に受けた後、融合溶融物を分離し、これを冷却固化装置へ送って固化させ、粒状物にした。
次いで、実施例4と同様、この粒状物を1mm径以下に粉砕し、この粉状体にバインダーとしてデンプンを1.0mass%添加・混合し、水分量を調整し、実施例1と同様にして造粒物を得た。この造粒物を肥料として実際の使用に供したところ、肥料として適度な硬度を有しており、しかも流動性が良好であるため取扱い性が良好であった。また、施肥時の飛散や、雨水による流出および地面の通水性や通気性の阻害が生じ難いことが確認された。
一方、粉砕する前の粒状物中のカリと珪酸とを分析した結果、表3に示すようになった。この表から明らかなように、本実施例の粒状物は実施例1の場合と同様に、カリ分の大部分がク溶性のものであり、本実施例の肥料が緩効性カリ肥料として優れた特性を有することが確認された。
(実施例8)
図11に示す脱珪処理設備にて本発明を実施した。高炉から出銑された溶銑を脱珪処理設備に搬送した。溶銑重量は150t、溶銑組成はC:4.6mass%、Si:0.24mass%、P:0.103mass%、S:0.042mass%であり、溶銑温度は1395℃であった。溶銑保持容器内には、前工程の高炉スラグ(CaO=44mass%、SiO2=35mass%、MgO=6mass%、Al2O3=13mass%)が残留し、残留スラグ量は目視観察で400kgであった。
まず、脱珪処理を行った。脱珪処理は、上吹き酸素ランスからの酸素ガス流量を800〜900Nm3/hrとして溶銑湯面に連続して吹き付け、鉄鉱石焼結粉添加速度を200〜240kg/minで連続して上置き添加し、さらに、造滓剤として生石灰を40〜50kg/minの添加速度で窒素ガスとともにインジェクションランスにて連続して溶銑中に吹き込み、5分間で脱珪処理を終了した。添加した酸素ガス総量は74Nm3、鉄鉱石焼結粉総量は1100kg、生石灰総量は220kg、脱珪処理後の溶銑温度は1337℃であった。
脱珪処理後の溶銑中珪素濃度は0.12mass%になり、脱珪処理によるSiO2生成量を、脱珪処理前後の溶銑中の珪素濃度から385kgと推定した。また、脱珪処理前の残留スラグ量400kgと、脱珪処理時添加した生石灰量220kgと、生成したSiO2量385kgとから、塩基度(CaO/SiO2;C/Sとも記す)を0.75と推定した。この塩基度から成分調整剤の添加は不要とした。カリ原料として炭酸カリウムを用い、K2Oの目標を20mass%とし、歩留まりを90%として炭酸カリウムの添加量を算出して409kgと決定した。
次いで、緩効性カリ肥料の製造を行った。まず、炭酸カリウムの添加前にインジェクションランスより窒素ガスを溶銑中に2分間吹き込み、溶銑と脱珪スラグとを攪拌して溶融させた。次いで、窒素ガスの吹き込みを停止して、約30mm直径のブリケットに予め成形した炭酸カリウムを、80〜120kg/minの添加速度で上置き添加し、5分間の連続添加で409kgを添加終了した。炭酸カリウム添加終了後、インジェクションランスより窒素ガスを2分間溶銑中に吹き込み、脱珪スラグと炭酸カリウムとの融合を促進して溶融スラグを得た。
その後、生成した溶融スラグを、溶銑保持容器から鋳鋼製の取鍋(ノロパン)内に、滓掻器を用いて一旦掻き出した。次いで、建屋内に設けられた鉄箱内に溶融滓を流し込み冷却・固化させて1258kgの塊状スラグを得た。この塊状スラグを1mm径以下に粉砕し、この粉状体にバインダーとしてデンプンを1.0mass%添加・混合し、水分量を調整し、実施例1と同様にして造粒物を得た。この造粒物を肥料として実際の使用に供したところ、肥料として適度な硬度を有しており、しかも流動性が良好であるため取扱い性が良好であった。また、施肥時の飛散や、雨水による流出および地面の通水性や通気性の阻害が生じ難いことが確認された。
次に、造粒前のスラグの組成および炭酸カリウムの歩留りを把握した。その際のスラグ組成および炭酸カリウムの歩留りを表4に示し、ク溶性カリと水溶性カリの分析値を表5に示す。
これらの表に示すように、スラグ中のカリ分のうち大部分がク溶性であり緩効性カリ肥料として優れたものであることが確認された。また、炭酸カリウム歩留まりは97%と高かった。
(実施例9)
鉄鋼スラグを主原料にしたケイ酸カリ肥料を1mm径以下に粉砕し、この粉末状ケイ酸カリ肥料を所定量秤量し、表6に示す各種のバインダーを添加・混合し、水分量を調整し、試験用回転皿型造粒機で整粒し、箱型小型乾燥機内で100℃で脱水乾燥し、篩分して1〜5mm径を有するNo.11〜No.15の試料を得た。これら試料の造粒性を評価し、さらに硬度計を用いて硬度を測定した。これらの結果を表6に併せて示す。なお、造粒性の評価では、No.11および12の試料では造粒することができなかったので造粒性を×と評価し、No.13〜15の試料では造粒することができたので造粒性を○と評価した。また、造粒することのできなかったNo.11および12の試料では硬度を測定することができなかった。
表6に示すように、バインダーとして硫酸マグネシウム、リグニン、デンプンを用いたNo.13,14,15の試料は、優れた造粒性を有していることが確認された。その中でもデンプンは特に高い硬度を示した。
(実施例10)
鉄鋼スラグを主原料にしたケイ酸カリ肥料を1mm径以下に粉砕し、この粉末状ケイ酸カリ肥料を所定量秤量し、表7に示す各種のデンプンを添加・混合し、水分量を調整するとともにデンプンが糊化しない場合には加熱処理し、試験用回転皿型造粒機で整粒し、箱型小型乾燥機内で100℃で脱水乾燥し、篩分して1〜5mm径を有するNo.16〜18の試料を得た。これらの試料について、実施例9と同様に造粒性を評価し、また、水中崩壊性を評価した。なお、水中崩壊性の評価では、試料50粒を一昼夜水中に静置した後に未崩壊粒を数えた結果、粒形は残っていたが軽く力を加えることで崩れたNo.16の試料は△と評価し、水中で完全崩壊したNo.17および18の試料は○と評価した。造粒時における加熱処理の要否、造粒性の評価結果、および、水中崩壊性の評価結果を表7に併せて示す。
表7に示すように、No.16〜18の試料ではいずれも優れた造粒性および十分な水中崩壊性を示したが、加工デンプンAおよび加工デンプンBをバインダーとしたNo.17および18の試料はより優れた水中崩壊性を示した。また、加工デンプンBをバインダーとしたNo.18の試料は加熱処理することなく造粒することができた。
(実施例11)
鉄鋼スラグを主原料にしたケイ酸カリ肥料を1mm以下に粉砕し、この粉末状ケイ酸カリ肥料を所定量秤量し、デンプンを表8に示す添加率で添加・混合し、水分量を調整し、試験用回転皿型造粒機で整粒し、箱型小型乾燥機内で100℃で脱水乾燥し、篩分して1〜5mmを有するNo.19〜24の試料を得た。得られた試料について、硬度計で粒あたりの硬度を測定し、実施例10と同様に水中崩壊性を評価した。これらの結果を表8に併せて示す。
表8に示すように、No.19〜24いずれの試料においても高い硬度および優れた水中崩壊性を得ることができたが、デンプン添加率のより高い試料ではより高い硬度が得られていた。
また、No.19の試料について土中崩壊性を評価した。土中崩壊性の評価では、試料50粒を乾土50gに加えて混合し、最大容量60%の水を添加し、1週間保持した。その後2000μmのふるいにあけ、水中で1夜静置した。その結果、50%以上の粒が崩壊し、残粒の硬度も0.1kg以下となっており、優れた土中崩壊性を有することが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、CaOおよびSiO2を含有する所定の溶融原料にカリ原料を添加し、このカリ原料を溶融させて原料溶融物と融合させ、融合処理された溶融物を冷却して固化させ、生成された固化物を粉砕して緩効性カリ肥料を製造するにあたり、溶融物の塩基度を0.2≦CaO/SiO2≦1.0に規定するとともに、溶融物の1000℃から800℃までの温度域における冷却速度を、CaO/SiO2<0.5では0.5℃/min以上、CaO/SiO2≧0.5では5℃/min以上とすることにより、水溶性カリ化合物の生成を抑制してク溶性カリ化合物を生成させることができるので、肥料特性が優れた緩効性カリ肥料を効率良く製造することができる。
また、CaO、MgO、Al2O3、FetOよりなる群から選ばれた1種または2種以上の成分とSiO2を含有する原料溶融物、典型的には溶融スラグにカリ原料を添加し、このカリ原料を溶融させて原料溶融物と融合させてカリ化合物を形成するので、カリ原料と融合させる原料が溶融物であって、熱経済性に優れ短時間処理が可能であるとともに、粉砕した後の粉砕物にバインダーを添加して造粒するので、施肥時の飛散や、雨水による流出および地面の通水性や通気性の阻害が生じず、また規則的でかつ球状であり角張っていないため取扱い性が良好な緩効性カリ肥料を得ることができる。
ケイ酸カリ原料にバインダーを添加し、造粒するので、施肥時の飛散や、雨水による流出および地面の通水性や通気性の阻害が生じず、また規則的でかつ球状であり角張っていないため取扱い性が良好な緩効性カリ肥料を得ることができる。
さらに、バインダーとしてデンプン、硫酸マグネシウム、およびリグニンの少なくとも1種を用いることにより良好な造粒性を得ることができ、中でもデンプンは、造粒中はもちろんのこと、流通から施肥までの取り扱い中に粒子が破壊しない硬度を有し、雨や土壌中等の水分で適度な速度で崩壊し、土中に分散するので極めて良好な特性の粒状緩効性カリ肥料を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の第1の実施形態に係る緩効性カリ肥料の製造方法を示す工程図である。
第2図は、本発明の第2の実施形態に係る緩効性カリ肥料の製造方法を示す工程図である。
第3図は、本発明の第1および第2の実施形態における融合処理工程を実施するための装置の一例を示す図である。
第4図は、本発明の第2の実施形態における造粒工程を実施するための装置の一例を示す図である。
第5図は、本発明の第2の実施形態における造粒工程を実施するための装置の他の例を示す図である。
第6図は、本発明の第3の実施形態に係る緩効性カリ肥料の製造方法を示す工程図である。
第7図は、本発明の第4の実施形態に係る緩効性カリ肥料の製造方法を示す工程図である。
第8図は、本発明の第3および第4の実施形態における融合処理工程および融合物分離工程を実施するための装置の一例を示す図である。
第9図は、高炉から排出された溶銑上のスラグを用いて本発明を実施する装置の一例を模式的に示す平面図である。
第10図は、高炉から排出された溶銑上のスラグを用いて本発明を実施する装置の一例を模式的に示す断面図である。
第11図は、本発明の第3および第4の実施形態における融合処理工程および融合物分離工程を実施するための装置の他の例を示す図である。
第12図は、炭酸カリウムの最大粒径と水溶率(w−K2O/T−K2O%)との関係を示す図である。
第13図は、炭酸カリウム投入速度とK2O歩留まりとの関係を示す図である。
Claims (23)
- MgO、Al2O3、FetOよりなる群から選ばれた1種または2種以上の成分と、CaOおよびSiO2を含有する原料溶融物に、カリ原料を添加し、このカリ原料を溶融させて原料溶融物と融合させ、CaO/SiO2の値が0.2≦CaO/SiO2≦1.0である溶融物を形成する工程と、
この融合処理された溶融物を1000℃から800℃までの領域において、CaO/SiO2<0.5では0.5℃/min以上、CaO/SiO2≧0.5では、5℃/min以上、の速度で冷却して固化させる工程と、
生成された固化物を粉砕する工程とを具備する緩効性カリ肥料の製造方法。 - 溶融金属の存在下で、MgO、Al2O3、FetOよりなる群から選ばれた1種または2種以上の成分と、CaOおよびSiO2を含有する原料溶融物に、カリ原料を添加し、このカリ原料を溶融させて原料溶融物と融合させ、CaO/SiO2の値が0.2≦CaO/SiO2≦1.0である溶融物を形成する工程と、
この融合処理された溶融物を取り出し、1000℃から800℃までの領域において、CaO/SiO2<0.5では0.5℃/min以上、CaO/SiO2≧0.5では5℃/min以上、の速度で冷却して固化させる工程と、
生成された固化物を粉砕する工程とを具備することを特徴とする緩効性カリ肥料の製造方法。 - 前記溶融金属は、溶銑であることを特徴とする請求の範囲2に記載の緩効性カリ肥料の製造方法。
- 前記原料溶融物は、溶融スラグであることを特徴とする請求の範囲1から請求の範囲3のいずれか1項に記載の緩効性カリ肥料の製造方法。
- 前記溶融スラグは、高炉から排出された溶銑を脱珪処理した際に生じる脱珪スラグであることを特徴とする請求の範囲4に記載の緩効性カリ肥料の製造方法。
- 脱珪処理された溶銑と、この溶銑の脱珪処理の際に生成した脱珪スラグとを収納した溶銑保持容器内にカリ原料を添加する工程と、
少なくとも脱珪スラグとカリ原料とを融合させてCaO/SiO2の値が0.2≦CaO/SiO2≦1.0である溶融物を形成する工程と、
融合して生成したスラグを1000℃から800℃までの領域において、CaO/SiO2<0.5では0.5℃/min以上、CaO/SiO2≧0.5では5℃/min以上、の速度で冷却して固化させる工程と、
生成された固化物を粉砕する工程とを具備することを特徴とする緩効性カリ肥料の製造方法。 - 粉砕によって生成された粉砕物にバインダーを添加して造粒する工程をさらに具備することを特徴とする請求の範囲1から請求の範囲6のいずれか1項に記載の緩効性カリ肥料の製造方法。
- CaO、MgO、Al2O3、FetOよりなる群から選ばれた1種または2種以上の成分とSiO2を含有する原料溶融物に、カリ原料を添加し、このカリ原料を溶融させて原料溶融物と融合させる工程と、
この融合処理された溶融物を冷却して固化させる工程と、
生成された固化物を粉砕する工程と、
生成された粉砕物にバインダーを添加して造粒する工程とを具備することを特徴とする緩効性カリ肥料の製造方法。 - 溶融金属の存在下で、CaO、MgO、Al2O3、FetOよりなる群から選ばれた1種または2種以上の成分とSiO2を含有する原料溶融物に、カリ原料を添加し、このカリ原料を溶融させて原料溶融物と融合させる工程と、
この融合処理された溶融物を取り出し、冷却して固化させる工程と、
生成された固化物を粉砕する工程と、
生成された粉砕物にバインダーを添加して造粒する工程とを具備することを特徴とする緩効性カリ肥料の製造方法。 - 前記溶融金属は、溶銑であることを特徴とする請求の範囲9に記載の緩効性カリ肥料の製造方法。
- 前記原料溶融物は、溶融スラグであることを特徴とする請求の範囲8から請求の範囲10のいずれか1項に記載の緩効性カリ肥料の製造方法。
- 前記溶融スラグは、高炉から排出された溶銑を脱珪処理した際に生じる脱珪スラグであることを特徴とする請求の範囲11に記載の緩効性カリ肥料の製造方法。
- 脱珪処理された溶銑と、この溶銑の脱珪処理の際に生成した脱珪スラグとを収納した溶銑保持容器内にカリ原料を添加する工程と、
脱珪スラグとカリ原料とを融合させる工程と、
融合して生成したスラグを冷却して固化させる工程と、
生成された固化物を粉砕する工程と、
生成された粉砕物にバインダーを添加して造粒する工程とを具備することを特徴とする緩効性カリ肥料の製造方法。 - 前記バインダーは、デンプン、硫酸マグネシウムおよびリグニンの少なくとも一方を主体とすることを特徴とする請求の範囲7から請求の範囲13のいずれか1項に記載の緩効性カリ肥料の製造方法。
- 前記バインダーは、粉砕物に対して0.5〜6mass%の割合で添加されることを特徴とする請求の範囲7から請求の範囲14のいずれか1項に記載の緩効性カリ肥料の製造方法。
- 前記カリ原料の粒径が1〜25mmであることを特徴とする請求の範囲1から請求の範囲15のいずれか1項に記載の緩効性カリ肥料の製造方法。
- 前記カリ原料の供給速度が溶融金属1tあたり1kg/min以上であることを特徴とする請求の範囲2から請求の範囲7および請求の範囲9から請求の範囲16のいずれか1項に記載の緩効性カリ肥料の製造方法。
- ケイ酸カリ原料にバインダーを添加し、造粒して、粒状の緩効性カリ肥料を得ることを特徴とする緩効性カリ肥料の製造方法。
- 前記バインダーは、デンプン、硫酸マグネシウムおよびリグニンの少なくとも一方を主体とすることを特徴とする請求の範囲18に記載の緩効性カリ肥料の製造方法。
- 前記バインダーは、ケイ酸カリ原料に対して0.5〜6mass%の割合で添加されることを特徴とする請求の範囲18または請求の範囲19に記載の緩効性カリ肥料の製造方法。
- ケイ酸カリ原料にバインダーが添加され、造粒されてなることを特徴とする緩効性カリ肥料。
- 前記バインダーは、デンプン、硫酸マグネシウムおよびリグニンの少なくとも一方を主体とすることを特徴とする請求の範囲21に記載の緩効性カリ肥料。
- 前記バインダーは、ケイ酸カリ原料に対して0.5〜6mass%の割合で添加されることを特徴とする請求の範囲21または請求の範囲22に記載の緩効性カリ肥料。
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