JP2019172547A - リン酸質肥料の製造方法およびリン酸肥料 - Google Patents

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Abstract

【課題】製鋼スラグを原料として、ク溶性が高いリン酸及び可溶性の高い珪酸を含有するリン酸質肥料を提供する。【解決手段】製鋼精錬プロセスにおいて発生したリン含有製鋼スラグを、炭素、アルミニウムおよびシリコンのうちから選んだ少なくとも1つを含む還元剤を用いて還元処理し、該製鋼スラグ中の鉄酸化物を還元しリン含有溶融鉄として回収する第一の工程と、前記第一の工程で得られたリン含有溶融鉄を脱リン処理し、得られた高リンスラグを回収する第二の工程と、前記第二の工程で得られた高リンスラグを、1500℃以上の温度に加熱して二液相分離し、上層の超高リンスラグを回収する第三の工程と、前記第三の工程で得られた超高リンスラグに珪酸源を溶融混合してリン酸質肥料を得る第四の工程とを経て、リン酸質肥料を製造する。【選択図】なし

Description

本発明は、リン酸質肥料の製造方法およびこの方法で得られるリン酸質肥料を主原料とするリン酸肥料に関するものである。
リンの利用用途は、農業や食品、電子部品、医薬、自動車産業など多肢にわたる。しかしながら、リンの原料であるリン鉱石は、日本では全量輸入に依存している。
一方、全世界ではリン鉱石の低品位化が進んでいるが、これはリン含有量が多い鉱石の枯渇傾向のみならず、特に経済埋蔵量が世界最大となったモロッコ(非特許文献1)のリン鉱石において放射性物質やカドミウムといった有害物の含有量が高い(非特許文献2)という問題もある。リン鉱石からの有害物の除去は多くのエネルギーを必要とする。すなわち、リン鉱石自体のエネルギー消費量が上昇する中で、日本では更に輸送エネルギーを消費して全量を輸入している状況である。
こうした状況から、製鋼スラグ中のリン酸が潜在的なリン酸含有物質として見直されている。
植物の育成にとってリンは重要な元素である事は周知であり、リン鉱石の最大の用途は肥料である。近年では野菜などの短期間で消費される植物のみならず、持続的なCO2の固定効果が高い森林や水域の藻といった植物に対してもリンの施肥による育成促進が注目されている。
すなわち、これまで活用されていなかった製鋼スラグ中のリン酸を有効利用することは、前記のエネルギー消費量を削減することに加え、植物による持続的なCO2の固定の促進にも資するのである。
高炉で生産される溶銑中には、リン酸が約0.1質量%含まれているため、溶銑の精錬工程で発生する製鋼スラグのうち、転炉スラグや溶銑予備処理スラグ中には、リン酸が1〜5質量%ほど含まれている。
但し、溶銑中のリン酸濃度は約0.1質量%程度、また製鋼スラグのリン酸濃度は高々5質量%程度であり、リン酸濃度が低すぎるため、そのままではリン酸資源としての活用先はほとんどないのが実情である。しかも、スラグ中にはリン酸の溶解性を阻害するFe23やAl23が含まれていることから、リン酸が肥料として活用しきれていない。
このような現状に鑑み、活用用途の拡大に向け、製鋼スラグ中のリン酸の濃化が種々取り組まれている。
例えば、特許文献1には、P濃度が0.15質量%以下の溶銑を脱リンし、得られたリン含有スラグを溶銑浴に投入し、炭素材ならびに酸化鉄および/または酸素を供給してスラグ中のPを溶銑浴中に還元抽出して、P濃度が0.5〜3質量%の溶銑を生成する第1工程と、第1工程で生成したスラグを排滓した後、溶銑に処理後のスラグ塩基度が2〜8になるようにフラックスを添加し、さらに酸化鉄源の添加および/または酸素ガスの吹き込みを行って溶銑中に含まれる炭素濃度を1%以下まで低下させる第2工程により、処理後にリン酸濃度が10〜35質量%である高Pスラグを得る方法が提案されている。この方法で得られたスラグは、高濃度のリン酸を含み、直接、肥料として使用できるとしている。
特許文献1に記載の製鋼スラグは、高濃度のリン酸を含むスラグ肥料として使用できるとしているものの、ク溶性リン酸、可溶性リン酸についての言及がなく、得られたスラグがリン酸質肥料として有効な肥料効果を保持しているかは不明である。従って、製鋼スラグ中にリン酸成分が多量に含まれているとしても、有効なリサイクル技術が確立されているとは言えない。
また、特許文献2では、リンを含有する製鋼スラグを、炭素、珪素、アルミニウムなどの還元剤を用いて還元処理し、前記製鋼スラグ中の鉄酸化物及びリン酸化物をリン含有溶融鉄として還元・回収し、該リン含有溶鉄を脱リン処理し、この脱リン処理で生成する高濃度のリン酸を含有するスラグをリン酸資源として回収する技術が提案されている。そして、脱リンスラグのT.Fe濃度とMnO濃度との和が20質量%を下回ると、リン酸が濃縮されたスラグのク溶性リン酸濃度が高まり、植物の生育試験より、リン酸肥料として優れているとしている。
しかしながら、特許文献2では、従来の脱リンスラグに比してク溶性リン酸が大幅に向上する一方で、可溶性珪酸が低くなるため、肥料取締法におけるリン酸質肥料として十分な効果を有しているものではなかった。
そのため、ク溶性リン酸含有量を保持しつつ、可溶性の高い珪酸成分を具備するリン酸質肥料を得ることが望まれる。珪酸分は、リン酸の溶解性に影響を及ぼす可能性もある。
溶銑中の珪素もリン同様、脱珪処理で酸化され、スラグ中に固定される成分である。珪酸は、水田の土壌保全や老朽化水田の土壌改良材として有効である。また、珪酸が植物体を強化し、病害虫にかかり難くする作用も注目されており、水稲だけではなくキュウリなどにも珪酸が使用されている。
また、植物に必要な三要素である窒素、リン酸に並ぶカリウムの効率の良い投入が農業の省力化に貢献する。
植物によるリン酸等の有要成分の吸収は、数日から数週間かけて行われるので、この間に吸収されずに流れ去ってしまうものもある。可溶性成分が多量に含まれる肥料ではこのように流れ去る分が多く、このような肥料では少量ずつ何回も手間をかけて施肥する必要があった。リン酸とカリウムとを同時に緩効性肥料として投入できれば、長期間その効果が維持できるため、追肥の必要がなくなり省力化が達成できる。
このように、肥料の有用性は肥効成分の含有量の高さのみでは評価できず、即効性のある可溶成分と効果が持続するク溶成分の双方のバランスと、複数の肥効成分を同時に適正な比率で含有する事が施肥の省力化の観点から重要である。可溶成分とク溶成分のバランスは肥効成分以外の添加物によって調整することも可能であり、たとえば溶融方式で製造される肥料においては珪酸を添加するとリン酸のク溶性が向上する。
ここで、ク溶性リン酸とは、リン酸を含む物質が2質量%クエン酸溶液(pH=2)に可溶するリン酸である。また、可溶性珪酸とは、珪酸を含む物質を0.5N塩酸液に30℃で1時間振り混ぜた時に浸出する珪酸のことを指す。可溶性けい酸、ク溶性リン酸の分析法は、肥料分析法(農林水産省農業環境技術研究所法)に記載されている。
特開2017−53017号公報 特許第5935770号公報
U.S. Geological Survey, Mineral Commodity Summaries, Phosphate Rock, January 2017.(p.125) The World Nuclear Association, Naturally-Occurring Radioactive Materials (NORM), 2016.
本発明は、上述のような背景の下で開発されたもので、製鋼スラグを原料とし、ク溶性の非常に高いリン酸及び可溶性の高い珪酸成分を含有するリン酸質肥料を提供することを課題とする。
さて、本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、製鋼スラグ中のリン酸濃度を高めることでリン鉱石代替物を製造し、得られた溶融スラグ中に珪酸源を混合することより、リン酸のク溶性及び珪酸の可溶性を向上させた製鋼スラグを活用したリン酸質肥料が得られることの知見を得た。
本発明は上記知見に基づき完成されたものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.リン酸質肥料の製造方法であって、
製鋼精錬プロセスにおいて発生したリンを含有する製鋼スラグを、炭素、アルミニウムおよびシリコンのうちから選んだ少なくとも1つを含む還元剤を用いて還元処理し、該製鋼スラグ中の鉄酸化物を還元しリン含有溶融鉄として回収する第一の工程と、
前記第一の工程で得られたリン含有溶融鉄を脱リン処理し、得られた高リンスラグを回収する第二の工程と、
前記第二の工程で得られた高リンスラグを、1500℃以上の温度に加熱して二液相分離し、上層の超高リンスラグを回収する第三の工程と、
前記第三の工程で得られた超高リンスラグに珪酸源を溶融混合してリン酸質肥料を得る第四の工程と
を含むリン酸質肥料の製造方法。
2.前記製鋼スラグが、溶銑脱リンスラグ又は脱炭スラグである前記1に記載のリン酸質肥料の製造方法。
3.前記第四の工程の珪酸源として高炉スラグを用いる前記1又は2に記載のリン酸質肥料の製造方法。
4.前記第三の工程の超高リンスラグと高炉スラグの混合比が1:0.5〜1.2である前記3に記載のリン酸質肥料の製造方法。
5.前記珪酸源の他、カリウム源を溶融混合する前記1乃至4のいずれかに記載のリン酸質肥料の製造方法。
6.前記1乃至5のいずれかに記載のリン酸質肥料からなる、又は該リン酸質肥料を主原料としたリン酸肥料。
本発明によれば、製鋼精錬工程において発生する溶銑の予備脱リンスラグや転炉脱炭精錬スラグなどのリンを含有する製鋼スラグを活用し、製鋼スラグ中からリンを回収し、リンの回収された超高リンスラグを、珪酸源と溶融混合することで、リン酸のク溶性及び珪酸の可溶性を向上させた製鋼スラグ系リン酸質肥料を得ることができる。
そして、本発明に従うリン酸質肥料は、リン酸のク溶性と可溶性に優れ、しかも肥効成分となる適量の珪酸を含むことから、優れた肥料特性を有している。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
本発明では、出発原料として、溶銑予備脱リン処理時に発生する脱リンスラグや転炉での脱炭精錬において発生する転炉スラグなどのリンを含有する製鋼スラグを用いる。
ついで、製鋼スラグ中の鉄酸化物及びリン酸化物を、ロータリーキルンにて炭素、アルミニウム、シリコンのうちから選んだ少なくとも1つを用いて還元し、リン濃度が0.5質量%以上のリン含有溶融鉄を回収する。ここに、還元処理工程に使用する処理容器としては、ロータリーキルンの他、アーク炉、さらには溶銑を熱源及び種湯として保持した取鍋やトピードカーなどを用いることができる。なお、還元剤の投入量は溶融スラグ1トン当たり、炭素を用いる場合は30〜120kg、アルミを用いる場合は45〜180kg、シリコンを用いる場合は35〜145kg程度が好適である。
溶銑を熱源及び種湯として用いる場合は溶銑中の炭素の一部も還元剤として作用するので前記範囲の内で少な目に、溶銑を用いない場合は前記範囲の内で多目が良い。ただし、還元剤の過剰な投入はコストが上昇するのみならず、還元に供されずに余剰となったアルミとシリコンはリン含有融鉄中に溶解して後述する高リンスラグ中にAl23とSiO2として侵入し、P25の濃度を低下せしめたり二液相化を阻害するので望ましくない。
ついで、得られたリン含溶融鉄に石灰を用いて脱リン処理し、CaO含有フラックス中にP25濃度が7質量%以上となるようにリン酸を濃縮させて、高リンスラグとする。なお、高リンスラグ中のP25濃度だけでなく、SiO2濃度や酸化マンガン濃度を制御するため、脱リン処理を行なう前に、脱珪処理や脱マンガン処理を行ってもよい。
ここに、石灰源の供給方法としては特に制約はなく、浸漬ランスによる溶銑中へのインジェクションや上置き装入などの任意の方法で溶銑中への供給を行うことができる。浸漬ランスによる溶銑中へのインジェクションは、固体酸素源とともに行ってもよい。また、脱リン効率を高めるために石灰源を溶銑の浴面上方からキャリアガスを用いて浴面に投射する(吹き付ける)こともできる。このキャリアガスとしては、窒素や不活性ガスあるいは気体酸素を用いることができる。
上記のようにして得られた高リンスラグを、スラグ鍋や電気炉等に移し、容器の周辺、上部もしくは下部等から熱を加え、スラグ温度が1500℃以上になる温度まで加熱して、二液相に分離させる。
得られた二液相は、比重差により、上層は、P25>25質量%、酸化鉄(FeO+Fe23:FeO換算)と金属鉄(M.Fe:FeO換算)の和≦15質量%の高リン相となる。ここで、二液相上層を超高リンスラグとする。かかる超高リンスラグとヨルダン産リン鉱石の組成を比較して表1に示す。
同表に示したとおり、超高リンスラグはリン鉱石相当のリン酸濃度を有している。
Figure 2019172547
上記した超高リンスラグの回収方法としては、溶融状態で下部の出銑口から下層の低リンスラグを抜き取り、容器内に残融した超高リンスラグを回収する方法がある。また、傾倒スラグ畑に出湯後、固体状態で上下層の境界を破断又は切断し、上層を回収するようにしても良い。
溶融状態で下部の出銑口から融体を抜き取った場合、容器に残った超高リンスラグに珪酸源を投入し、余熱を用いて1300℃以上で溶融混合する。また、固体状態で上下層の境界を破断又は切断して回収した場合、1300℃以上で再加熱してから、珪酸源を投入して溶融混合し、混合スラグとする。
なお、珪酸源投入後、カリウム源を投入することもできる。このとき、カリウム源も同様に加熱されて溶融・分解し、脱リンスラグと融合してク溶性カリウム化合物組成の溶融スラグが製造される。
珪酸源としては、珪砂、高炉水砕スラグ、高炉徐冷スラグ、フライアッシュのうち少なくとも1つを使用する。
また、カリウム源としては、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、硫酸カリウム等のカリウム塩及びカリ長石等のカリウム含有鉱物を使用する。
ここに、珪酸源およびカリウム源の投入量は、溶融スラグ1トン当たりそれぞれ、SiO2純分で100〜400kg、K2O純分で0〜230kg程度とするのが好適である。
溶融混合後、混合スラグを容器から取り出し、冷却固化させる。冷却・固化は、容器から取り出す際に行ってもよいし、取り出した混合スラグを収納した別の容器から取り出す際に行ってもよい。
冷却固化の方法としては、融体又は過冷却液体を冷却する場合には、例えば、生成した混合スラグに高圧空気を吹きつけて飛散させ、冷却するとともに粒状化する方法(風砕法)や、混合スラグに高圧水を吹きつけて飛散させ、冷却するとともに粒状化する方法(水砕法)、厚鋼板上に生成した混合スラグを流出させ、厚鋼板による強制冷却と空気への放熱により冷却する方法、などの方法を採用することができる。また、徐冷する場合には、スラグを滓ポットに受け、その後、スラグ処理場に排滓する方法が考えられる。
このような冷却固化を経て、リン酸肥料用原料である混合スラグが得られる。冷却固化後の形状が塊状等の場合には、破砕(粉砕)処理および/または整粒(篩い分けなどにより粒度調整)を行いリン酸質肥料とする。また、場合によっては他の添加成分を配合してリン酸質肥料としてもよい。
リン酸質肥料用原料の破砕(粉砕)方法には、特別な制限はなく、どのような方法を採用してもよい。例えば、ジョークラッシャー、ロッドミル、フレッドミル、インペラブレーカーなどの粉砕機を用いて粉砕処理することができる。また、整粒は任意の篩い分け装置などを用いて行えばよく、リン酸質肥料用原料を粉砕処理した後、整粒を行ってもよい。
かくして、リン酸(P25)濃度が14〜26質量%、珪酸(SiO2)濃度が9〜21質量%、カリウム濃度が0〜23質量%のリン酸のク溶性が高くかつ珪酸の可溶性の高いリン酸質肥料を得ることができる。
以下、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
高炉から出銑された高炉溶銑をトピードカーで受銑し、トピードカーに収容された高炉溶銑に脱珪処理及び予備脱リン処理を施し、その後、高炉溶銑を溶銑鍋に移し替え、溶銑鍋内の高炉溶銑に機械攪拌式脱硫装置により脱硫処理を施し、この脱硫処理終了後の高炉溶銑を転炉に装入して転炉にて脱炭精錬を施した。このような高炉溶銑から溶鋼を溶製する製銑−製鋼工程において本発明を適用した。すなわち、出発原料として、上記の製銑−製鋼工程において生成した転炉スラグを用いた。
なお、予め、磁力が3000G、スラグの処理能力が50〜150t/Hrである磁力選別機を用いて転炉スラグを磁気分離し、転炉スラグ中の金属鉄を分離・除去した。
製鋼工程で生成したリンを含有する50トンの製鋼スラグと、還元剤として4000kgのコークス(炭素)とを、加熱バーナーを備えたロータリーキルン炉に装入し、バーナーによって製鋼スラグ及びコークスを1000℃以上に加熱して、製鋼スラグの還元処理を施した。製鋼スラグ中の酸化鉄はコークスによって還元されて、還元鉄が生成した。また、製鋼スラグ中のリンも還元され、生成するリンと還元鉄とが反応し、すなわち生成するリンが還元鉄に取り込まれて、リンを高濃度に含有するリン含有還元鉄(リン含有溶融鉄)が生成した。なお、上記の還元処理において、還元剤として珪素やアルミニウムを炭素の代わりに用いても、何ら問題なく製鋼スラグ中の酸化鉄及びリン酸化物を還元することができたが、珪素やアルミニウムを用いる場合は還元に必要な量よりも大幅に過剰に使用すると後の脱リン処理でスラグ中のSiO2やAl23が上昇して二液相やク溶性リン酸の生成を阻害するので望ましくない。
上記の還元処理によって得られたリン含有還元鉄は、リンを1.0〜4.0質量%含有していた。このリン含有還元鉄を、溶銑保持容器に収容された高炉溶銑に投入して溶解させ、リン濃度を0.5〜3.0質量%に調整したリン含有溶銑を溶製した。
このリン含有溶銑を上底吹き転炉型の反応容器に装入し、上吹きランスから酸素ガスをリン含有溶銑に向けて吹き付けると同時に、上吹きランスから酸素ガスを搬送用ガスとして粒径が1mm以下の粉状生石灰(CaO純分:95質量%程度)を、リン含有還元鉄1トン当たり25kg吹き込んで脱リン処理を実施した。なお、使用した媒溶剤は蛍石などのフッ素化合物を混合しないものである。
上記の脱リン処理によって得られた高リンスラグを、スラグ鍋や電気炉等に移し、容器の周辺から熱を加え、スラグ温度が1500℃以上になる温度まで再加熱して、二液相に分離させた。得られた二液相は、比重差により、上層は、P25>25質量%、酸化鉄と金属鉄(FeO換算)の和≦15質量%の高リン相、下層はP25<25質量%の低リン層となった。
ついで、溶融状態で下部の出銑口から融体を抜き取り、鍋に残った超高リンスラグ中に珪酸源として高炉徐冷スラグを、超高リンスラグと高炉徐冷スラグの質量比を1:0.8となるように投入し、余熱を用いて溶融混合した。投入時のスラグ温度は1450℃であった。なお、投入から1時間後のスラグ温度が1300℃未満では溶解が不十分であった。
その後、溶融混合スラグを、容器から取り出し、厚鋼板による強制冷却と空気への放熱により冷却し、放冷した。
得られたスラグを1mm以下に破砕し、これをリン酸質肥料とした。
得られたリン酸質肥料の主な成分を表2に示す。表2には、珪酸源混合前のスラグ(水準2〜4)及び珪酸源混合後のスラグ組成(水準1)を示す。水準1に、実施例1として、珪酸源混合後のスラグの化学組成及び肥料特性を示す。また、水準2、3に比較例1、2としてそれぞれ高リンスラグ、水準4に比較例3として超高リンスラグの化学組成及び肥料特性を示す。肥料特性としては、ク溶性リン酸、可溶性リン酸、可溶性珪酸の他、リン酸ク溶率及び珪酸可溶率を示す。リン酸ク溶率はスラグ中リン酸濃度に対するク溶性リン酸の割合を示し、珪酸可溶率はスラグ中珪酸濃度に対する可溶性珪酸の値を示す。
Figure 2019172547
表2に示した水準2、3、4の比較例1〜3では、従来の溶銑予備処理スラグから、P25濃度が15%以上、酸化鉄と金属鉄濃度が15〜25%の高リンスラグと、P25濃度が30%以上、酸化鉄と金属鉄濃度が10%の超高リンスラグが製造され、リン酸含有量の向上と共にク溶性リン酸量は向上したが、可溶性珪酸は10%未満であった。可溶性珪酸が10質量%未満では、肥料取締法に規定されるリン酸質肥料の条件を満たさず、リン酸質肥料の規格製品とすることができない。
これに対し、水準1の実施例1では、ク溶性リン酸は比較例2、3に対して幾分低いものの、可溶性珪酸を10質量%以上含んでおり、リン酸のク溶率及び珪酸の可溶率の両者に優れていることが分かる。
(実施例2)
前述の方法で得られた脱リン処理後の高リンスラグを、スラグ鍋や電気炉等に移し、容器の周辺から熱を加え、スラグ温度が1500℃以上になる温度まで再加熱して、二液相に分離させた。溶融状態で下部の出銑口から融体を抜き取り、鍋に残った超高リンスラグに珪酸源として高炉徐冷スラグを、超高リンスラグと高炉徐冷スラグの質量比が1:1.2(水準5)、1:0.5(水準6)となるように投入し、余熱を用いて溶融混合した。
表3に、水準5、6のスラグの化学組成及び肥料特性を示す。なお、表3には、参考のため、超高リンスラグと高炉徐冷スラグの質量比が1:0.8である水準1の実施例1のデータも併せて示す。
Figure 2019172547
表3に示したとおり、水準5(実施例2)および水準6(実施例3)では、水準1(実施例1)と同様、ク溶性リン酸及び可溶性珪酸が十分に満足できる肥料が得られている。
なお、珪酸原として、高炉徐冷スラグに代えて、高炉水砕スラグやフライアッシュを同量混合したところ、同様の傾向の結果が得られた。
本発明によれば、P25濃度が高く、酸化鉄及び地金濃度が低く、さらに良好な可溶性珪酸を具備した肥料効果の高いリン酸質肥料を得ることができる。

Claims (6)

  1. リン酸質肥料の製造方法であって、
    製鋼精錬プロセスにおいて発生したリンを含有する製鋼スラグを、炭素、アルミニウムおよびシリコンのうちから選んだ少なくとも1つを含む還元剤を用いて還元処理し、該製鋼スラグ中の鉄酸化物を還元しリン含有溶融鉄として回収する第一の工程と、
    前記第一の工程で得られたリン含有溶融鉄を脱リン処理し、得られた高リンスラグを回収する第二の工程と、
    前記第二の工程で得られた高リンスラグを、1500℃以上の温度に加熱して二液相分離し、上層の超高リンスラグを回収する第三の工程と、
    前記第三の工程で得られた超高リンスラグに珪酸源を溶融混合してリン酸質肥料を得る第四の工程と
    を含むリン酸質肥料の製造方法。
  2. 前記製鋼スラグが、溶銑脱リンスラグ又は脱炭スラグである請求項1に記載のリン酸質肥料の製造方法。
  3. 前記第四の工程の珪酸源として高炉スラグを用いる請求項1又は2に記載のリン酸質肥料の製造方法。
  4. 前記第三の工程の超高リンスラグと高炉スラグの混合比が1:0.5〜1.2である請求項3に記載のリン酸質肥料の製造方法。
  5. 前記珪酸源の他、カリウム源を溶融混合する請求項1乃至4のいずれかに記載のリン酸質肥料の製造方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載のリン酸質肥料からなる、又は該リン酸質肥料を主原料としたリン酸肥料。
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