JP4040542B2 - ケイ酸質肥料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、土壌中にケイ酸分を必要とする稲作等に有用な土壌改良材並びに肥料(以下、資材ということもある)として用いることのできるスラグに関する。
【0002】
【従来の技術】
稲作に有用なケイ酸質肥料として、従来からケイカルおよびケイ酸カリ肥料が用いられている。ケイカルはスラグを原料として製造され、SiO2、CaO、MgO、Al23を主成分とし、主としてアルカリ分とケイ酸を補給するための土壌改質剤である。しかし、ケイカルは塩酸可溶性ケイ酸分が30質量%を超えるものの、実際の土壌のpHに近い5〜7程度の領域では溶出量が極端に減少し、ケイ酸分の供給源としては非常に効率の悪い資材と考えられる。
【0003】
従って、実際に使用する場合には、田んぼ10a当たり200kgと大量に施肥しなくてはならず、それに要する労力が農家の大きな負担になっている。
【0004】
ケイカルの欠点であるケイ酸溶出性を改善するために種々の試みがなされている。その中でケイ酸カリ肥料のケイ酸溶出性が比較的高いことに着目してカリウム成分を加える方法に基づいた、例えばケイ燐酸カリを主成分とする新規肥料組成物(特許文献1)や緩効性溶成ケイ酸カリ苦土肥料の製造方法(特許文献2)が開示されている。
【0005】
カリウム成分は、一般に組成物をガラス化し易くし、ケイ酸溶出性を改善する。しかし、その反面、カリ原料が高価であるため得られた製品も高価になり、また、十分に高いケイ酸溶出性を確保するにはカリ含有量を高くしなければならず不経済である。また、カリウムが強アルカリであるため製造設備の炉材を浸食し、さらには、カリウムを加えると溶融物の粘度が上昇するため操業し難く、粘度を下げようとして温度を上げるとカリが揮散する等の欠点を有している。
【0006】
ケイカルは肥料の三要素のいずれをも含まない資材であるために、他の肥料と混合して使用するのが一般的であり、例えば、ようりん40kgをケイカル200kgと混合して散布する方法が広く用いられている処方である。ようりんは中性に近いpH域でケイ酸分溶出性が高いことが知られており、燐酸質肥料であると同時にケイ酸質の供給源となっていることが確認されている。
【0007】
一方、ケイ酸カリ肥料のケイ酸溶出性は、ケイカルに比べると高いことが確認されているが、ようりんと比べるとpH5〜7では劣っており十分とは言えない。ケイ酸カリ肥料も、ケイカルの場合と同様に、ようりんと混合して施肥されることが多く、ここでもようりんがケイ酸質の供給源としての役割を果たしている。
【0008】
ようりんに含まれるケイ酸分は溶出性が高く、また、植物吸収性が高いことが知られている。市販されているようりんに含まれるSiO2は20〜25質量%程度であるが、ケイ酸含有量を増やすとその溶出率が低下することが知られている。すなわち、溶成燐肥の一般的な原料配合にケイ石を加えて加熱溶融・急冷して、2%クエン酸水溶液へのケイ酸溶出性を測定した試験例(非特許文献1)によれば、2%クエン酸溶液(pHの初期値が2)へのケイ酸溶出量は30質量%程度で頭打ちになると記載されている。
【0009】
これらの課題を解決する肥料として、特許文献3に肥料と土壌改良剤が提案されている。この肥料などは主成分がMgO、SiO2、CaOからなり、MgOを1〜20mass%、SiO2を30〜50mass%含有し、かつ非晶質であることを特徴している。しかし、該肥料は土壌中における中性域でのケイ酸溶出性を高めるために非晶質としている。その結果、原料を所望組成に配合し、加熱溶融して得られる溶融物を急冷処理する特別な処理が必要であり、経済的に有用な肥料とはなっていない。
【0010】
【特許文献1】
特公平1−24759号公報
【特許文献2】
特公平2−23514号公報
【特許文献3】
特開2000−34481号公報
【非特許文献1】
工業化学雑誌第60巻1109頁1957年
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、土壌のpH5〜7付近でのケイ酸溶出性が高く、そのため少量の施肥で有効であり、特に土壌中にケイ酸分を必要とする稲作等に用いられるケイ酸質肥料並びに土壌改良剤を提供することを目的とする。さらに、鉄鋼製錬の工程で発生するスラグをそのまま活用すること、或いはスラグの溶融状態で簡易な処理を行うだけで、特殊な処理を必要としないので安価に製造できるケイ酸質肥料並びに土壌改良剤を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、製錬工程で発生するスラグを徐冷したスラグであって、CaOを40〜60mass%、SiO2を25〜40mass%、MgOを5〜15mass%、Al235mass%以下含み、CaO、SiO 2 、MgO、Al 2 3 が合計で90mass%以上であり、かつCaO/SiO2質量比が1.4〜2.0であり、結晶質であるスラグを含有することを特徴とするケイ酸質肥料である。
【0014】
本発明は前記スラグがステンレス鋼の精錬工程で発生するスラグであることを特徴とし、さらに前記スラグが、冷却後に粉末状となったスラグであることを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、pH=5以上の高いpH域で高い溶出性を持つSiO2を含む組成を探求した結果、非晶質ではなく、結晶質であるスラグを構成する鉱物相の中にケイ酸溶出性が高い鉱物相が存在し、特にダイカルシウムシリケート(2CaO・SiO2)が高いケイ酸溶出性を示すことを見出すことにより本発明をなしたものである。
【0019】
また、本発明者らは、元来は不溶出性のケイ酸のみを含有する石炭灰を溶融状態のスラグに混合すれば、冷却後のスラグがダイカルシウムシリケートを含むスラグであれば、石炭灰中のケイ酸が溶出性に変質することを見出すことにより本発明をなしたものである。
【0020】
本発明は、主成分がCaO、SiO2、MgO、Al23からなり、CaOを40〜60mass%、SiO2を25〜40mass%、MgOを5〜15mass%、Al23を0〜5mass%含み、かつCaO/SiO2質量比が1.4〜2.0であることを特徴とするスラグである。本発明において、スラグの主成分は、CaO、SiO2、MgO、Al23から構成され、その合計量は90mass%以上、好ましくは95mass%以上あれば良い。一般に、スラグには主成分以外に、Mn、Fe、Cr、Ti等の金属酸化物、およびCaF2、S等が含まれている。
【0021】
なお、CaOとCaF2中のCa分は分離して分析することが難しいために、CaO/SiO2質量比(一般的に、塩基度と言う)中のCaOはCaF2中のCaもCaOに換算されて求められた値となっている。
【0022】
通常、製錬工程で発生するスラグは溶銑、溶鋼から分離された後、専用容器で徐冷されるために、結晶質の鉱物相が生成する。生成する鉱物相は溶融状態のスラグ組成に依存し、主成分がCaO、SiO2、MgO、Al23からなるスラグの場合には、メルビナイト(3CaO・MgO・2SiO2)、ブレディガイト(7CaO・MgO・4SiO2)、カルシウムシリケート(CaO・SiO2)、ダイカルシウムシリケート、カルシウムアルミネート(CaO・Al23)等の鉱物相が生成する。
【0023】
これらの鉱物相の中で、pH=5〜7と高いpH域で高いケイ酸溶出性を持つ鉱物相はダイカルシウムシリケートのみであり、従来のケイカル肥料に用いられたスラグは主にカルシムシリケートおよびメルビナイトにより構成されているために、ケイ酸溶出性が低いことが確認された。
【0024】
次に、本発明者らはダイカルシウムシリケートを生成するスラグ組成条件について検討した。ダイカルシウムシリケートを生成する重要な因子はCaO/SiO2質量比であり、該質量比が1.0〜1.2の範囲ではカルシウムシリケートを生成するが、1.2を越えると次第にダイカルシウムシリケートを生成し始め、質量比の増大に伴い、ダイカルシウムシリケート量が増大し、含まれるSiO2分のpH=5〜7でのケイ酸溶出量の割合が増大する。しかし、質量比が大きくなり過ぎると、SiO2の含有量自体が低下してくるために、ケイ酸溶出量自体が低下する。
【0025】
肥料に好適なダイカルシウムシリケート量を確保する条件として、CaO/SiO2質量比で1.4〜2.0の範囲にする必要があり、かつCaOを40〜60mass%、SiO2を25〜40mass%、MgOを5〜15mass%、Al23を0〜5mass%含むスラグとする必要があることが見出された。この中で、CaOとSiO2はダイカルシウムシリケート量の確保に重要であり、MgOはダイカルシウムシリケートの生成を助長するともに、肥料成分としても有効であることから、5〜15mass%が必要である。Al23は少ないほど良いが、スラグには不可避的に含有されるために、0〜5mass%とした。
【0026】
図1にCaOを40〜60mass%、SiO2を25〜40mass%、MgOを5〜15mass%、Al23を0〜5mass%含んだ製錬工程で発生したスラグのCaO/SiO2質量比とpH=5〜7でのケイ酸溶出濃度の関係を示す。なお、ケイ酸溶出濃度は溶出前の蒸留水をpH=1〜4の範囲に調整し、溶出操作を行った後に、水溶液のpHが5〜7になった場合のみに水溶液中に含まれるケイ酸を分析した値である。図1より、CaO/SiO2質量比が本発明の条件範囲である 1.4〜2.0の範囲でケイ酸溶出濃度が10mass%以上の高位に安定することが確認された。
【0027】
石炭灰は石炭の燃え殻で微粉末状であり、主にSiO2とAl23を含有するが、石炭灰中のSiO2は不溶性であり、そのままでは肥料としては使えない。この石炭灰を室温域でスラグに混合しても、SiO2の変質は起こらず、ケイ酸溶出量が増加するようなことはない。本発明者らは、溶融状態のスラグに少量の石炭灰を混合した場合には石炭灰中のSiO2の結合状態が崩れ、結合の一部をスラグ中のCaOが代替する結合状態となることを確認した。この変質した石炭灰のSiO2は可溶性となり、ケイ酸溶出量が増大することが確認された。
【0028】
なお、一般的に石炭灰中にはSiO2が60mass%以上含まれるが、石炭の燃焼が不十分な場合に発生したものや不純物を多量に含んだもの等のSiO2が60mass%未満となる石炭灰ではケイ酸溶出量の増加代は小さいことから、スラグに混合する石炭灰はSiO2を60mass%以上含む必要がある。また、溶融状態のスラグと石炭灰を混合する操作は溶鋼からスラグを分離する際の容器に予め所定量の石炭灰を入れておくか、スラグを分離した後に、上方より石炭灰を添加するだけの簡単な操作で良いことが確認された。
【0029】
図2にCaOを52mass%、SiO2を31mass%、MgOを11mass%、Al23を3mass%含んだ製錬工程で発生したスラグの溶融状態で石炭灰を混合した場合の石炭灰のスラグに対する混合割合とpH=5〜7でのケイ酸溶出量の石炭灰無混合(0%)に対する増加濃度の関係を示す。なお、ケイ酸溶出濃度は溶出前の蒸留水をpH=1〜3の範囲に調整し、溶出操作を行った後に、水溶液のpHが5〜7になった場合のみに水溶液中に含まれるケイ酸を分析した値である。
【0030】
図2より、石炭灰の混合割合の増加に伴い、ケイ酸溶出濃度も増加するが、15%を越えると増加することなく、次第に低下する。これは、石炭灰の混合量が増加し過ぎると、石炭灰に加えられる熱量が低下して、石炭灰中のSiO2が変質しにくくなるためである。また、2%未満の石炭灰の混合割合ではケイ酸溶出濃度の増加濃度は1%以下と低いことが確認された。これより、石炭灰の混合割合は2〜15%が望ましいことが確認された。
【0031】
本発明のスラグ組成はステンレス鋼の精錬工程で発生するスラグ組成に近似する。通常、ステンレス鋼は電気炉にて溶解した粗溶鋼をAOD炉、上底吹き転炉、VOD炉にて脱炭精錬後、還元精錬を行い、目標の成分範囲となるように精錬されて、その後連続鋳造により粗鋼が得られる。
【0032】
ステンレスの精錬工程では脱炭精錬中に酸化したクロムを還元するために、一般にフェロシリコン(Fe−Si)を添加して還元を行うために、SiO2が多量に生成する。また、還元中の脱酸・脱硫を効率的に行う目的で多量のCaOを添加する。さらに、炉体耐火物の保護のために、適度のMgOの添加を行うと共に、耐火物の溶損によりMgOがスラグ中に溶け込む。Al23は原料に含まれるAlの酸化および耐火物の溶損によりスラグ中に不可避的に含有される。
【0033】
ステンレス鋼の精錬工程で発生したスラグの中で、本発明の条件範囲に入るスラグのみを分別回収すれば、特許文献3に例示されるような無機組成物を混合、溶解して、冷却するような肥料の製造工程を要せず、目標組成の肥料が容易に得られることになる。また、スラグは産業廃棄物として取り扱われることから、資源の有効利用にも貢献することになる。
【0034】
さらに、本発明の条件範囲に入るスラグの冷却前の溶融状態で、石炭灰を適量混合すれば、さらにケイ酸溶出量の高い肥料が容易に得られる。石炭灰はスラグと同様、産業廃棄物として取り扱われることから、資源の有効利用にさらに貢献することになる。なお、石炭灰を混合するスラグは溶融状態であれば良いが、好ましくは石炭灰との混合操作を容易にするために、1350℃以上にすることが好ましいことが確認された。
なお、石炭灰を混合したスラグは白色のスラグ中に石炭灰の茶黒色の粒子が存在することより確認できる。また、図2に示されたように、同一の組成のスラグよりも、pH=5〜7の溶出ケイ酸濃度が高くなることからも、混合の可否が分別できる。
【0035】
肥料の製造では、一般に粉末状にした原料をペレタイザー等の成型機によりペレット状に成型して製造される。従来のケイカル肥料では固形スラグを粉末状にするために労力を要していた。スラグが冷却後、粉末状であればその労力を回避できる。
【0036】
ステンレス鋼の精錬工程で発生するスラグはCaO/SiO2質量比が高いほど、冷却後に粉末状になる。これは、ダイカルシウムシリケートが冷却時に固相変態により膨張することに起因する。従って、粉末の粒子が細かいスラグほどダイカルシウムシリケートの生成量が多いことに繋がる。本発明の組成範囲にあるスラグを分別回収する方法は、ステンレス鋼の精錬工程で発生するスラグで、少なくとも冷却後に粉末状となったスラグを回収すればよく、従来の肥料製造工程に比べ、省工程となり、エネルギー的にも有利となる。
【0037】
また、本発明のスラグに石炭灰を混合する処理も、石炭灰は融点が高く、溶融状態とならないために、一部は焼結状態とはなるが、容易に粉末状とすることが可能であり、新たに労力を増やすようなことはない。
【0038】
本発明の条件範囲の組成であり、ステンレス鋼の精錬工程で発生した粉末状のスラグ、あるいは溶融状態で石炭灰を適量混合したスラグはそのままでも肥料、土壌改質剤として利用できるが、更に、必要に応じて粉砕や造粒をすることにより、施肥の際に取り扱い易くした形態にして供給することもできる。また、必要に応じて、窒素、カリなどの他の肥料を混合して、所望の組成の複合肥料とすることもできる。
【0039】
【実施例】
以下、本発明例および比較例に基づいて、本発明を更に詳細に説明する。表1に本発明例と比較例の水稲用の肥料を示す。本発明例のNo.1〜4の肥料は全て、ステンレス鋼の精錬工程で発生したスラグより製造した。採取したスラグを必要な粒度に粒度調整した後に、ペレット状に加工した。なお、本発明例のNo.1では一部、塊状のスラグが存在したために、塊状部分を篩い分けし、粉状部分のみを肥料に利用した。
【0040】
また、本発明例のNo.5〜7の肥料は全て、ステンレス鋼の精錬工程で発生したスラグに、溶融状態で石炭灰を添加した後冷却した。冷却後、No.1〜4の肥料と同様に、ペレット状に加工した。
【0041】
比較例のNo.8〜15もステンレス鋼精錬工程で発生したスラグより製造したが、No.9とNo.10は塊状であったために、破砕した後に肥料に製造した。比較例のNo.13〜15はステンレス鋼精錬工程で発生したスラグに石炭灰を混合した。比較例のNo.16は高炉の水砕スラグ、No.17は普通鋼の転炉スラグを使用し、破砕、粒度調整を行った後に、肥料を製造した。また、比較例のNo.18は粒状の無機組成物を混合して肥料を製造した。
【0042】
【表1】
Figure 0004040542
【0043】
【表2】
Figure 0004040542
【0044】
表2に、表1の肥料を製造するために要したコストを本発明例のNo.1を100として換算した指数で示す。また、表2には前記分析方法で分析したpH=5〜7の範囲でのケイ酸の溶出濃度の分析結果および施肥効果を示す。施肥効果は同一の土壌条件およびケイ酸質肥料以外の肥料の施肥条件などは同一として、水稲を栽培し、最終的に得られた米の収量を、本発明例のNo.1を100として換算した値である。
【0045】
表2より、本発明例では粉末状のスラグを使用するために、肥料の製造コストが低位に安定しており、pH=5〜7でのケイ酸溶出濃度は10%以上に高位に安定していることから、施肥の効果が十分に得られることが確認された。また、1350℃以上の溶融状態のスラグに石炭灰を添加することで、肥料の製造コストは若干、上昇するが、ケイ酸溶出濃度が上昇し、施肥の効果がさらに向上することが確認された。
【0046】
一方、比較例では粉末状のスラグを使用した場合には製造コストが安い場合もあるが、pH=5〜7でのケイ酸溶出濃度が低いために、本発明例に比べ、施肥効果が十分ではないことが確認された。また、石炭灰を混合する場合には本発明の条件範囲外の条件であれば、十分な効果が得られないことが確認された。
【0047】
【発明の効果】
本発明のスラグは、pH=5〜7のケイ酸溶出濃度が10%以上であり、土壌中への可溶性ケイ酸を多く含むという特徴を有しているので、土壌中のケイ酸分が有用な働きをする作物、特に稲作用の土壌改良剤あるいは肥料として有用である。しかも素材形状が粉末状であることから、肥料や土壌改良剤として製造し易いという特徴を有する。また、石炭灰を適正な条件で混合すれば、さらに土壌中への可溶性ケイ酸量が増大し、有用な働きをする。
【0048】
また、本発明の肥料、土壌改質剤はいずれも、土壌中への可溶性ケイ酸を多く含むので少ない施肥量で充分であり、農家の省力化が可能となる特徴がある。
【0049】
また、燐酸分を含まない、若しくは少量であることから、各種単肥との混合散布により個々の土地に適した施肥が可能である。また、ケイ酸質の土壌への吸収性が良く作物の病虫害の発生が抑制されることにより、各種の肥料成分の吸収を助長し、作物の収量を増加させることができる。さらには、緩効性であり肥料あたりを起こさないことにより、作物の収量を増加させることができるとともに、水には難溶性であるので雨水に流亡しないので肥料散布の回数を減らすことができる等の数々の利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】スラグのCaO/SiO2質量比とpH=5〜7でのケイ酸溶出濃度の関係を示す図である。
【図2】スラグへの石炭灰の混合割合とpH=5〜7でのケイ酸溶出濃度の増加濃度の関係を示す図である。

Claims (3)

  1. 製錬工程で発生するスラグを徐冷したスラグであって、CaOを40〜60mass%、SiO2を25〜40mass%、MgOを5〜15mass%、Al235mass%以下含み、CaO、SiO 2 、MgO、Al 2 3 が合計で90mass%以上であり、かつCaO/SiO2質量比が1.4〜2.0であり、結晶質であるスラグを含有することを特徴とするケイ酸質肥料。
  2. 前記スラグがステンレス鋼の精錬工程で発生するスラグであることを特徴とする請求項1に記載のケイ酸質肥料。
  3. 前記スラグが、冷却後に粉末状となったスラグであることを特徴とする請求項に記載のケイ酸質肥料。
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