JP6102429B2 - 水硬性組成物 - Google Patents
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Description
また1980年代にはアルカリ骨材反応の問題が顕在化し、有効な対策として高炉セメントの活躍の場が一気に広がった。
近年では地球温暖化の進行を食い止めるために二酸化炭素削減が求められているが、高炉セメントはセメント製造時の二酸化炭素発生が少なく、環境対策として注目され、建築の基礎部分等へも適用範囲を広げており、需要が高まっている。
ガラス化率及び塩基度は大きいほど反応性が高く、強度発現に有効と言われている。ig.lossはスラグの風化の指標でもあり、ig.lossが高いと強度が低下するとされている。スラグ品質の指標と強度との関係についての研究報告例としては非特許文献1、非特許文献2、及び特許文献2が挙げられる。
ガラス化率はガラス化率が高いほど強度が高いとされるが、近年では、得られる高炉スラグのガラス化率は、産地や種類、ロットの相違にかかわらず、98〜100%前後と非常に高く、変動幅も少ない。
高炉スラグの塩基度についても、産地や種類、ロットの相違にかかわらず、ほとんどが1.80以上(JIS R 5211における規定値は1.6以上)と高い値を有し、変動幅も小さくなっている。しかし、これらの塩基度やガラス化率の高いスラグであっても、高炉スラグの水和活性は、高炉スラグの産地や種類で大きく異なり、高炉セメントの強度にバラツキが生じているのが現状である。
したがって、新たな高炉セメントの品質の安定化・強度増進の具体的な指標や技術が望まれている。
[2] C3Sが44.2質量%以下、C2Sが15質量%以下、C3Aが7.2質量%以下、C4AFが6.5質量%以下である[1]に水硬性組成物。
[3] 前記高炉スラグを35質量%以上含有する[1]又は[2]に記載の水硬性組成物。
[4] 普通ポルトランドセメントを65質量%以下含む[1]〜[3]のいずれかに記載の水硬性組成物。
[5] SO3を1.84〜4.0質量%、Na2Oを0.21〜0.35質量%、K2Oを0.28〜0.38質量%含有してなる[1]〜[4]のいずれかに記載の水硬性組成物。
なお、本発明における「初期材齢における強度」は、7d圧縮強度をいう。
ここで、「高炉スラグ」(blast−furnace slag)とは銑鉄製造の際に溶鉱炉(高炉)で副産される非金属の溶融鉱物をいう。
水硬性組成物中のアケルマナイトは5.1〜11質量%含有してなることが好ましく、9〜11質量%含有してなることがより好ましく、10〜11質量%含有してなることがさらに好ましい。
メルビナイトは5.1〜13質量%含有してなることが好ましく、7〜13質量%含有してなることがより好ましく、10〜13質量%含有してなることがさらに好ましい。
また、ゲーレナイトは17〜29質量%含有してなることが好ましく、17〜20質量%含有してなることがより好ましく、17〜19質量%含有してなることがさらに好ましい。
これらの成分を上記範囲で含有することで初期材齢の強度をより良好なものとすることができる。
なお、メルビナイト、ゲーレナイト、アケルマナイト、及びブレディジャイトは主に高炉スラグ中に含有されているため、これらの量を把握した上で、これらを含む高炉スラグの所定量をセメントと混合することで所望の組成の水硬性組成物とすることができる。
MgOの含有量は添加する高炉スラグの組成(MgOの量)を考慮して当該高炉スラグの量を調整することで制御することができる。MgOは原子吸光法等により測定することができる。
セメントは水硬性組成物中、65質量%以下含まれていることが好ましく、60〜65質量%含まれていることがより好ましい。また、適宜石膏が添加される。
SO3は2.0〜3.0質量%含まれていることがより好ましく、Na2Oは0.3〜0.35質量%含まれていることがより好ましく、K2Oは0.35〜0.38質量%含まれていることがより好ましい。
なお、アルカリ量を示す「R2O」は、上記Na2O及びK2Oから求められるもので、0.45〜0.6質量%であることが好ましく、0.5〜0.6質量%含まれていることがより好ましい。
また、SO3は重量法(硫酸バリウム沈殿生成)、Na2O及びK2Oは、原子吸光分析法により測定して求めることができる。
C3Sは32.5〜44.2質量%であることがより好ましく、C2Sは4.55〜15質量であることがより好ましく、C3Aは4.55〜7.2質量であることがより好ましく、C4AFが4.55〜6.5質量であることがより好ましい。
かかる組成とするには、例えば、混合する普通ポルトランドセメントの量を調整すればよい。
以下に示す高炉スラグ15種を、それぞれブレーン比表面積4400±100cm2/gに粉砕し、普通ポルトランドセメント(住友大阪セメント株式会社製 組成及びブレーン表面積は下記表1参照)を均一に混合し、実施例1〜12及び比較例1〜3に係る水硬性組成物(高炉セメント)を製造した。なお、高炉スラグ中の鉱物成分の定量値をもとに高炉スラグの配合量を調整した。各水硬性組成物中の鉱物成分量を下記表2に示す。
・測定機器:パナリティカル社製粉末X線回折装置
・リートベルト法解析ソフト
結晶構造解析用ソフトウエア(X’Part High Score Plus version 2.1b)
・精密化させるパラメーター(下記鉱物成分)
i)ゲーレナイト
ii)アケルマナイト
iii)メルビナイト
iv)ブレディジャイト
Claims (5)
- セメントと、ブレディジャイト、ゲーレナイト、アケルマナイト及びメルビナイトを含有する高炉スラグと、石膏とを含む水硬性組成物であって、
前記水硬性組成物を925℃、30分間加熱し、非晶質を結晶化させた後に、XRDによるリートベルト解析によってスラグの結晶化に由来する鉱物量を定量するという方法によって測定された前記ブレディジャイトの含有量は1.8〜5質量%であり、
前記水硬性組成物を925℃、30分間加熱し、非晶質を結晶化させた後に、XRDによるリートベルト解析によってスラグの結晶化に由来する鉱物量を定量するという方法によって測定された前記ゲーレナイトの含有量は17〜29質量%であり、
前記水硬性組成物を925℃、30分間加熱し、非晶質を結晶化させた後に、XRDによるリートベルト解析によってスラグの結晶化に由来する鉱物量を定量するという方法によって測定された前記アケルマナイトの含有量は5.1〜11質量%であり、
前記水硬性組成物を925℃、30分間加熱し、非晶質を結晶化させた後に、XRDによるリートベルト解析によってスラグの結晶化に由来する鉱物量を定量するという方法によって測定された前記メルビナイトの含有量は5.1〜13質量%である水硬性組成物。 - C3Sが44.2質量%以下、C2Sが15質量%以下、C3Aが7.2質量%以下、C4AFが6.5質量%以下である請求項1に記載の水硬性組成物。
- 前記高炉スラグを35質量%以上含有する請求項1又は2に記載の水硬性組成物。
- 普通ポルトランドセメントを65質量%以下含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の水硬性組成物。
- SO3を1.84〜4.0質量%、Na2Oを0.21〜0.35質量%、K2Oを0.28〜0.38質量%含有してなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の水硬性組成物。
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