JP2003192410A - セメント混和材、セメント組成物、及びそれを用いたセメントコンクリート - Google Patents
セメント混和材、セメント組成物、及びそれを用いたセメントコンクリートInfo
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Abstract
さく、中性化されにくいコンクリートとすることがで
き、高炉スラグのより高機能な用途を提供することがで
きるなどの効果を奏する、主に、土木・建築業界におい
て使用されるセメント混和材、セメント組成物、及びそ
のセメントコンクリートを提供すること。 【解決手段】 高炉水砕スラグを熱処理して結晶化させ
たメリライトを主成分とする結晶化スラグを含有するセ
メント混和材、結晶化スラグのブレーン比表面積が3,00
0cm2/g以上及び/又はガラス化率が30%以下である該セ
メント混和材、結晶化スラグから溶出する硫黄が実質的
に硫酸イオンで、その溶出量が硫黄分換算で100mg/l以
上である該セメント混和材、セメントと該セメント混和
材とを含有するセメント組成物、並びに、そのセメント
コンクリートを構成とする。
Description
業界において使用されるセメント混和材、セメント組成
物、及びそれを用いたセメントコンクリートに関する。
なお、本発明におけるセメントコンクリートとは、セメ
ントペースト、モルタル、及びコンクリートを総称する
ものである。また、本発明における部や%は特に規定し
ない限り質量基準で示す。
全産業に占める土木・建設業の割合は極めて大きく、環
境負荷の低減が切望されている。セメント産業から排出
される二酸化炭素はそのほとんどが原料である石灰石の
脱炭酸反応や燃料の燃焼に由来している。したがって、
二酸化炭素排出量を軽減するためには、セメントクリン
カの焼成量を低減することが最も有効な方法であり、各
種混合セメントの利用を推進することは極めて重要であ
る。
する面から、材料分離により生じるブリーディングの発
生を抑止することや、水和発熱を抑制することも望まれ
ている。
微粉末を多量に混合した、石灰石混合セメントが注目さ
れている。石灰石微粉末はほとんど水硬性を示さないた
め、材料分離抵抗性のみを与えて余計な水和熱を生じな
いという利点を有している。しかしながら、資源の少な
い我が国にとって石灰石は貴重な天然資源であり、単に
コンクリートに混和するだけの利用は資源の枯渇につな
がることから、工業原料としてもっと有効に利用するべ
きであるとの声も多いものであった。
やすいものであった。中性化は鉄筋コンクリート構造物
の耐久性と関連して重要であり、今日では、中性化抵抗
性に優れるISO規格32.5N/mm2クラスセメントの開発が待
たれているのが実状である。
れる高炉スラグはコンクリート分野では広範に利用され
ている。高炉スラグは、急冷されてガラス化した高炉水
砕スラグと、徐冷されて結晶化した徐冷スラグに大別さ
れる。このうち、高炉水砕スラグはアルカリ潜在水硬性
を有しており、セメントと同程度、もしくは、それ以上
に細かく粉砕されたものが高炉セメントの原料として利
用されている。また、ガラス化した高炉水砕スラグは、
潜在水硬性を有しており、セメントクリンカーに多量に
混和しても長期強度は低下しないという優れた性能を有
していることから、高強度コンクリートや高流動コンク
リートなど様々な分野での研究がなされている。
グは強度発現性を示す反面、それに伴う水和発熱と自己
収縮が大きくなるという課題を有していた。これらはひ
び割れを誘起する要因であるため、耐久的な鉄筋コンク
リート構造物を構築する上で好ましくない現象である。
ばれ、水硬性を示さない。そのため、路盤材やコンクリ
ート用骨材としての利用等、比較的消極的な使い方しか
されておらず、その有効利用方法については未だに模索
状態にある。
ついて、種々検討を重ねた結果、高炉徐冷スラグ微粉末
が、ブリーディングや中性化抑制機能を有することを、
また、3CaO・SiO2含有量が60%以上のポルトランドセメ
ントと、高炉徐冷スラグ粉末を含有してなるセメント組
成物を使用することにより、初期強度発現性が良好で、
環境負荷の小さいセメント組成物とすることができるこ
とを、さらに、これを高流動コンクリートへ適用する
と、材料分離抵抗性と流動性の保持性能に優れ、自己収
縮が小さく、かつ、水和熱の少ない高流動コンクリート
とすることができ、また、低環境負荷型のコンクリート
となることなどを提案した(特開平2001−261415号公
報、特願2000-277493号)。
能化についてさらに研究を重ねた結果、高炉水砕スラグ
を熱処理して結晶化させた結晶化スラグが、同じように
結晶化している高炉徐冷スラグよりもセメント硬化体の
中性化を抑制する能力に優れることを見出し、本発明を
完成するに至った。
砕スラグを熱処理して結晶化させたメリライトを主成分
とする結晶化スラグを含有してなるセメント混和材であ
り、結晶化スラグのブレーン比表面積が3,000cm2/g以上
及び/又はガラス化率が30%以下である該セメント混和
材であり、結晶化スラグから溶出する硫黄が実質的に硫
酸イオンである、さらに、硫酸イオンの溶出量が硫黄分
換算で100mg/l以上である該セメント混和材であり、セ
メントと、該セメント混和材とを含有してなるセメント
組成物であり、該セメント組成物を用いてなるセメント
コンクリートである。
グを熱処理して結晶化させたスラグをいう。結晶化スラ
グの成分は高炉水砕スラグや高炉徐冷スラグと同様の組
成を有しており、具体的には、SiO2、CaO、Al2O3、及び
MgOなどを主要な化学成分とし、その他の成分として、T
iO2、MnO、Na2O、S、P2O5、及びFe2O3などの微量成分が
挙げられる。化学成分の割合は特に限定されるものでは
ないが、通常、主成分である、SiO2は25〜45%、CaOは3
0〜50%、Al2O3は10〜20%、及びMgOは3〜10%程度で
あり、微量成分はそれぞれ2%以下である。また、化合
物としては、ゲーレナイト2CaO・Al2O3・SiO2とアケルマ
ナイト2CaO・MgO・2SiO2の混晶である、いわゆるメリライ
トを主成分とし、その他、ダイカルシウムシリケート2C
aO・SiO2、ランキナイト3CaO・2SiO2、及びワラストナイ
トCaO・SiO2などのカルシウムシリケート、メルビナイト
3CaO・MgO・2SiO2やモンチセライトCaO・MgO・SiO2などのカ
ルシウムマグネシウムシリケート、アノーサイトCaO・Al
2O3・2SiO2、リューサイト(K2O、Na2O)・Al2O3・SiO2、ス
ピネルMgO・Al2O3、マグネタイトFe3O4、並びに、硫化カ
ルシウムCaSや硫化鉄FeSなどの硫化物等を含む場合があ
る。
メリライトを主成分とし、粉末X線回折法による定性分
析では、ほとんど差異が認められず、化学成分や化合物
組成では高炉徐冷スラグと判別することが困難である。
結晶化スラグは、高炉徐冷スラグや高炉水砕スラグと
は、溶解する硫黄量とその形態に顕著な差が認められる
ものである。具体的には、高炉水砕スラグからは硫黄分
の溶解はほとんど認められないのに対して、高炉徐冷ス
ラグでは、硫黄の溶解量が極めて大きく、特に、チオ硫
酸イオンの溶解量が著しい。一方、結晶化スラグも硫黄
の溶解量が多いが、高炉徐冷スラグと異なり、チオ硫酸
イオンはほとんど検出されず、硫酸イオンが多量に検出
されるものである。
は、これらスラグから溶解してくる硫黄の量とその形態
であり、結晶化スラグから溶出する硫黄の形態はほとん
どが硫酸イオンである。高炉徐冷スラグから溶出する硫
黄の形態は、70%以上がチオ硫酸イオンであり、硫酸イ
オンは溶解する全硫黄の20%程度以下である。結晶化ス
ラグからの硫酸イオンの溶出量は、粉末度によって変化
するが、概ね硫黄分換算で100mg/l以上である。
0ccに結晶化スラグ20gを入れて攪拌し、10分後に固液分
離した液相中の硫黄量を意味し、硫黄イオン、チオ硫酸
イオン、及び硫酸イオンの各濃度を測定することによっ
て求めることができる。
ましく、10%以下がより好ましい。ガラス化率が30%を
超えると水和熱が大きくなる場合がある。本発明でいう
ガラス化率(X)は、X(%)=(1−S/S0)×100として
求められる。ここで、Sは粉末X線回折法により求めら
れる結晶化スラグ中の主要な結晶性化合物であるメリラ
イト(ゲーレナイト2CaO・Al2O3・SiO2とアケルマナイト2C
aO・MgO・2SiO2の混晶)のメインピークの面積であり、S0
は結晶化スラグを1,000℃で3時間加熱し、その後、5
℃/分の冷却速度で冷却したもののメリライトのメイン
ピークの面積を表す。
のではないが、ブレーン比表面積値(以下、ブレーン値
という)で、3,000cm2/g以上が好ましく、4,000〜8,000c
m2/gがより好ましく、5,000〜8,000cm2/gが最も好まし
い。3,000cm2/g未満では、本発明の効果、即ち、材料分
離抵抗性が得られなかったり、中性化の抑制効果が充分
でない場合があり、8,000cm2/gを超えるように粉砕する
には、粉砕動力が大きくなり不経済であり、また、結晶
化スラグが風化しやすくなり、品質の経時的な劣化が大
きくなる場合がある。
という)の使用量は特に限定されるものではないが、通
常、セメント100部に対して、10〜200部が好ましく、20
〜150部がより好ましい。10部未満では水和熱を低くす
るという本発明の効果が充分に得られない場合があり、
200部を超えて使用すると、強度発現性が悪くなる場合
がある。
通、早強、超早強、低熱、及び中庸熱等の各種ポルトラ
ンドセメント、これらポルトランドセメントに、高炉ス
ラグ、フライアッシュ、又はシリカを混合した各種混合
セメント、石灰石粉末等を混合したフィラーセメント、
並びに、廃棄物利用セメント、いわゆるエコセメントな
どが挙げられ、これらのうちの一種又は二種以上が使用
可能である。
を施工時に混合してもよいし、あらかじめ一部あるいは
全部を混合しておいても差し支えない。例えば、結晶化
スラグとセメントクリンカーとセッコウを別々に粉砕し
て混合しても良いし、これらの一部あるいは全部を混合
粉砕して製造してもよい。
る目的・用途に依存するため特に限定されるものではな
いが、通常、ブレーン値で3,000〜8,000cm2/gが好まし
く、4,000〜6,000cm2/gがより好ましい。3,000cm2/g未
満では強度発現性が充分に得られない場合があり、8,00
0cm2/gを超えると作業性が悪くなる場合がある。
利等の骨材の他に、高炉水砕スラグ微粉末、高炉徐冷ス
ラグ微粉末、石灰石微粉末、フライアッシュ、及びシリ
カフュームなどの混和材料、膨張材、急硬材、減水剤、
AE減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤、消泡剤、増
粘剤、防錆剤、防凍剤、収縮低減剤、ポリマー、凝結調
整剤、ベントナイトなどの粘土鉱物、並びに、ハイドロ
タルサイトなどのアニオン交換体等のうちの一種又は二
種以上を、本発明の目的を実質的に阻害しない範囲で使
用することが可能である。
限定されるものではなく、それぞれの材料を施工時に混
合しても良いし、あらかじめ一部を、あるいは全部を混
合しておいても差し支えない。混合装置としては、既存
のいかなる装置も使用可能であり、例えば、傾胴ミキ
サ、オムニミキサ、ヘンシェルミキサ、V型ミキサ、及
びナウタミキサなどの使用が可能である。
する。
し、表2に示す量のスラグを、単位セメント組成物量35
0kg/m3、単位水量175kg/m3、s/a=46%、及び空気量4.5
±1.5%のコンクリートに配合し、圧縮強度と断熱温度
上昇量を測定した。結果を表2に併記する。また、本混
和材を混和した場合と、本混和材の代わりに石灰石微粉
末を混和した場合で中性化抵抗性を促進中性化試験にて
比較検討し、同一配合で同等の圧縮強度が得られる配合
で比較を行った。結果を表2に併記する。なお、コンク
リートのスランプ値が18±1.5cmとなるように高性能A
E減水剤を使用した。
社製、比重3.15 細骨材 :新潟県姫川産砂、比重2.62 粗骨材 :新潟県姫川産砂利、砕石、比重2.64 水 :水道水 高性能AE減水剤:ポリカルボン酸系、市販品
準じて材齢28日の強度を測定 断熱温度上昇量:東京理工社製の断熱温度上昇量測定装
置を用いて打設温度20℃の条件で測定 中性化深さ:10φ×20cm供試体を作製し、材齢28日まで
20℃水中養生を施した後、30℃、相対湿度60%、及び炭
酸ガス濃度5%の環境で促進中性化を行い、6ヶ月後に
供試体を輪切りし、断面にフェノールフタレインアルコ
ール溶液を塗布して中性化深さを確認
て使用し、単位セメント量245kg/m3、単位セメント混和
材量105kg/m3、単位水量175kg/m3、s/a=46%、及び空気
量4.5±1.5%のコンクリートを調製したこと以外は実験
例1と同様に行った。結果を表3に併記する。
により、クリンカ配合量を低減できるので、低環境負荷
型のセメント組成物とすることができ、このセメント組
成物を使用することにより、水和発熱量が小さく、中性
化されにくいコンクリートとすることができる。また、
高炉スラグのより高機能な用途を提供することでさらな
る汎用にもつながるなどの効果を奏する。
Claims (7)
- 【請求項1】 高炉水砕スラグを熱処理して結晶化させ
たメリライトを主成分とする結晶化スラグを含有してな
るセメント混和材。 - 【請求項2】 結晶化スラグのブレーン比表面積が3,00
0cm2/g以上であることを特徴とする請求項1に記載のセ
メント混和材。 - 【請求項3】 結晶化スラグのガラス化率が30%以下で
あることを特徴とする請求項1又は2に記載のセメント
混和材。 - 【請求項4】 結晶化スラグから溶出する硫黄が実質的
に硫酸イオンであることを特徴とする請求項1〜3のう
ちの一項に記載のセメント混和材。 - 【請求項5】 硫酸イオンの溶出量が硫黄分換算で100m
g/l以上であることを特徴とする請求項4に記載のセメ
ント混和材。 - 【請求項6】 セメントと、請求項1〜5のうちの一項
に記載のセメント混和材とを含有してなるセメント組成
物。 - 【請求項7】 請求項6に記載のセメント組成物を用い
てなるセメントコンクリート。
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JP2001396500A JP2003192410A (ja) | 2001-12-27 | 2001-12-27 | セメント混和材、セメント組成物、及びそれを用いたセメントコンクリート |
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---|---|---|---|---|
JP2014198641A (ja) * | 2013-03-29 | 2014-10-23 | 住友大阪セメント株式会社 | 水硬性組成物 |
JP2014198640A (ja) * | 2013-03-29 | 2014-10-23 | 住友大阪セメント株式会社 | 水硬性組成物 |
JP2014198642A (ja) * | 2013-03-29 | 2014-10-23 | 住友大阪セメント株式会社 | 水硬性組成物 |
JP2021031370A (ja) * | 2019-08-29 | 2021-03-01 | 国立大学法人山口大学 | ジオポリマー用凝結遅延型活性フィラー及びその製造方法、並びにジオポリマー固化体 |
-
2001
- 2001-12-27 JP JP2001396500A patent/JP2003192410A/ja active Pending
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