JP3844457B2 - セメント混和材及びセメント組成物 - Google Patents

セメント混和材及びセメント組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に、土木・建築業界において使用されるセメント混和材及びセメント組成物に関する。なお、本発明における部や%は特に規定しない限り質量基準で示す。
【0002】
【従来の技術とその課題】
産業副産物である各種の鉄鋼スラグの有効利用に関して大きな関心が寄せられている。鉄鋼スラグはプロセスや設備によって、また、溶製する鋼種によって様々な組成や性状を有するスラグが副生する。
【0003】
例えば、銑鉄を調製するプロセスで用いる高炉からは高炉スラグが、銑鉄から製鋼するプロセスで用いる溶銑予備処理設備、転炉並びに電気炉からは、それぞれ、溶銑予備処理スラグ、転炉スラグ並びに電気炉スラグが副生する。
【0004】
さらに、高炉スラグには水砕スラグと徐冷スラグがあり、溶銑予備処理スラグには、脱珪スラグ、脱リンスラグ、脱硫スラグ、脱炭スラグがあり、電気炉スラグにも酸化期スラグと還元期スラグが存在する。
【0005】
また、鋼種の違いで言えば、普通炭素鋼、極低炭素鋼、特殊合金鋼、ステンレス鋼などがある。従来より、高炉より副生する高炉水砕スラグや高炉徐冷スラグはコンクリート混和材や路盤材などとして利用されている。また、転炉スラグもある程度の処理を施せば路盤材として利用できることも報告されている。
【0006】
しかしながら、前述した鉄鋼スラグと呼ばれるものは、スラグの種類、メーカー、ロットにより組成や物性が大きく異なるために再利用の用途拡大が難しいこともあり、現状では充分に再利用されているとは言えない状況にある。
【0007】
また、特に、製鋼スラグやステンレススラグは有効利用法がほとんどなく、産業廃棄物として処分される割合も大きいものであった。
【0008】
本発明で言う製鋼スラグとは、製鋼プロセスで生じるスラグの総称であり、具体的には電気炉還元期スラグ、溶銑予備処理スラグ及び転炉スラグを示すものであり、高炉水砕スラグや高炉徐冷スラグは含まない。
【0009】
これらスラグには、ダイカルシウムシリケート(2CaO・SiO2)を主要化合物としており、β-2CaO・SiO2を含むものと、γ-2CaO・SiO2を含むものとがあり、β-2CaO・SiO2を含むものについては水硬性を示すためにセメント混和材用途への利用が検討されているが、γ-2CaO・SiO2を含むものは有効な用途がなかった。
【0010】
その原因として、ダスティング現象がある。製鋼スラグ及びステンレススラグは冷却過程で、2CaO・SiO2が高温相のα相からβ相へ転移し、さらに低温相のγ相へと転移する。β相からγ相へ転移する際に、密度が大きく変化して膨張し、ダスティングと呼ばれる粉化現象を起こす。このため、製鋼スラグやステンレススラグの多くは他のスラグと異なり、塊状や粒状として得られないため、路盤材や骨材としての利用ができないことによる。
【0011】
従来より、2CaO・SiO2に起因するダスティングを防止する方法として、ホウ素化合物などの結晶安定化剤を添加してβ相として安定化させる方法などが提案された(特開昭62-162657号公報)。しかしながら、ホウ素化合物自体が高価なものであり、また、設備改善や工程改善が必要となりコスト高であった。
【0012】
一方、安定化処理を施さないまま、電気炉還元期スラグを粉末化し、これにセッコウを配合して特殊セメントとして利用することも提案されている(特公昭62-47827号公報、特公昭62-50428号公報など)。
【0013】
これは、電気炉還元期スラグが水硬性を持たないγ-2CaO・SiO2を主成分としながらも、水和活性の高い12CaO・7Al2O3固溶体も多く含有していることに着目した発明であり、セッコウを添加することでエトリンガイトを生成させ、所要の強度を発現する硬化体を得ようとするものであった。
【0014】
しかしながら、このような特殊セメントから得られる硬化体は、中性化に対する抵抗性が乏しく、ポルトランドセメント硬化体ほどの耐久性が期待できないものであった。ここで、この発明では、電気炉還元期スラグをポルトランドセメントに混和することと、その有効性について言及していない。
【0015】
ところで、本発明者らは、γ-2CaO・SiO2がポルトランドセメント硬化体の中性化抵抗性を有することを見出し、先に特願2001-250000号を出願した。このセメント混和材は、中性化を抑制するばかりでなく、水和発熱をも低減する効果も得られる。本発明者は、産業副産物であってγ-2CaO・SiO2を含有する、転炉スラグ、電気炉還元期スラグ並びにステンレススラグについても検討し、これをポルトランドセメントに混和して得られるセメント硬化体の中性化抵抗性を調べたところ、充分、実用に耐えうるだけの効果が得られること、水和発熱量を低減できることを見出した。
【0016】
一方、転炉スラグ、電気炉還元期スラグ、ステンレススラグなどと同様に、産業副産物である高炉水砕スラグ、フライアッシュ、及びシリカフュームについては既に有効利用が進められている。
【0017】
すなわち、高炉水砕スラグやフライアッシュ、並びにシリカフュームは、セメント混和材として、あるいは、ポルトランドセメントに混合して混合セメントとして利用され、JISにも規定されている(たとえばJIS R 5211〜5213、JIS A 6206など)。
【0018】
これら高炉水砕スラグ、フライアッシュ、及びシリカフュームは潜在水硬性を有する物質であり、アルカリ性雰囲気で水硬性を示したり、アルカリ性物質と反応したりするため、強度発現性の面からは、普通ポルトランドセメントと何ら変わらない性能を示す優れた材料である。
【0019】
また、コンクリートの耐久性を左右する因子として塩害があり、塩害とは、鉄筋コンクリート中の鉄筋が塩化物イオンの浸透により腐食される現象であり、耐塩化物浸透性に優れるコンクリート材料は塩害を受けにくいとされている。潜在水硬性を有する物質を含有してなるコンクリートは耐塩化物浸透性に優れるという一面もあり、用途によっては普通ポルトランドセメントよりも機能的な役割を担う場面も多いものであった。
【0020】
しかしながら、これらの潜在水硬性を有する物質を多量に混合した混合セメントは、コンクリートの劣化要因のひとつである、中性化が早いという課題を有していた。今日では、耐塩化物浸透性に優れ、かつ、中性化抵抗性にも優れるセメント組成物の開発が強く待たれている。
【0021】
セメントクリンカーを焼成する際に使用する燃料の燃焼から、また、原料である石灰石の脱炭酸反応から多量の二酸化炭素が放出される。したがって、できる限りセメントクリンカーの配合量を少なくすることが、環境負荷低減の観点から好ましい。
【0022】
また、水和発熱量の小さいセメントも必要とされている。これは、マスコンクリートなどの大量打設の場合、水和発熱がコンクリートに蓄熱されることによって、コンクリートの温度上昇量が大きくなり、外部温度と内部温度の勾配が生じて温度ひび割れが発生しやすくなるためである。ひび割れはコンクリート構造物の耐久性を低下させるので好ましくない。
【0023】
そこで、本発明者らは鋭意努力を重ねた結果、γ-2CaO・SiO2を含有するスラグと、高炉水砕スラグ、フライアッシュ、並びにシリカフュームを含有するセメント混和材を使用することによって前記課題が解決できること、また、これまで有効な活用方法が見出されていない転炉スラグ、電気炉還元期スラグ、及びステンレススラグの有効利用にも繋がること、さらには、低環境負荷型のセメント組成物となり得ることなどを知見し、本発明を完成するに至った。
【0024】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、セメント混和材 100 部中、高炉水砕スラグ、フライアッシュ、及びシリカフュームより選ばれる物質を1種または2種以上80 40 、並びに、γ-2CaO・SiO2を含むスラグ20 60 を含有してなるポルトランドセメント用のセメント混和材であり、γ-2CaO・SiO2を含有するスラグが製鋼スラグ及び/またはステンレススラグであることを特徴とする該セメント混和材であり、γ-2CaO・SiO2を含有するスラグのブレーン比表面積が3,000cm2/g以上であることを特徴とする該セメント混和材であり、γ-2CaO・SiO2を含有するスラグの非水硬性物質の含有量が60%以上であることを特徴とする該セメント混和材であり、ポルトランドセメントと、該セメント混和材とを含有してなるセメント組成物であり、セメント混和材が、セメント組成物100部中、10〜70部であることを特徴とする該セメント組成物であり、セメント組成物 100 部中、ポルトランドセメント90 30 と、ポゾランとスラグの合計 100 部中、高炉水砕スラグ、フライアッシュ、及びシリカフュームより選ばれる物質(ポゾラン)を1種または2種以上80 40 部とγ-2CaO・SiO2を含有するスラグ20 60 部の割合でポゾランとスラグの合計 10 70 とを含有してなるセメント組成物である。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で使用するγ-2CaO・SiO2を含有するスラグ(以下、γ-2CaO・SiO2含有スラグという)とは特に限定されるものではなく、その具体例としては、例えば、製鋼スラグ、転炉スラグ、電気炉還元期スラグ、及びステンレススラグが挙げられる。ただし、転炉スラグ、電気炉還元期スラグ、またはステンレススラグであっても、γ-2CaO・SiO2を含有しないものは本発明の対象とはならない。これらのスラグのうち、製鋼スラグ及びはステンレススラグが入手が容易であり好ましい。
【0026】
これらスラグの成分は特に限定されるものではないが、具体的には、CaO、SiO2、Al2O3、MnO、F及びMgOなどを主要な化学成分とし、その他、TiO2、Na2O、S、P2O5、及びFe2O3などが挙げられる。
【0027】
また、化合物としては、ダイカルシウムシリケート2CaO・SiO2、トライカルシウムシリケート3CaO・SiO2、ランキナイト3CaO・2SiO2、及びワラストナイトCaO・SiO2などのカルシウムシリケート、12CaO・7Al2O3固溶体や3CaO・Al2O3などのカルシウムアルミネート、メルヴィナイト3CaO・MgO・2SiO2、アケルマナイト2CaO・MgO・2SiO2、及びモンチセライトCaO・MgO・SiO2などのカルシウムマグネシウムシリケート、ゲーレナイト2CaO・Al2O3・SiO2、及びアノーサイトCaO・Al2O3・2SiO2などのカルシウムアルミノシリケート、アケルマナイト2CaO・MgO・2SiO2とゲーレナイト2CaO・Al2O3・SiO2の混晶であるメリライト、遊離石灰、遊離マグネシア、カルシウムフェライト2CaO・Fe2O3、カルシウムアルミノフェライト4CaO・Al2O3・Fe2O3、リューサイト(K2O、Na2O)・Al2O3・SiO2、スピネルMgO・Al2O3、並びにマグネタイトFe3O4をなどが挙げられる。
【0028】
本発明のγ-2CaO・SiO2含有スラグは、γ-2CaO・SiO2などの非水硬性化合物を60%以上含有することが好ましく、非水硬性化合物を70%以上含有することがより好ましい。
【0029】
本発明で言う非水硬性化合物とは、γ-2CaO・SiO2含有スラグに含まれる、水硬性を示さない物質を指し、たとえば、γ-2CaO・SiO2、ランキナイト、ワラストナイト、メルヴィナイト、アケルマナイト、モンチセライト、ゲーレナイト、アノーサイト、並びにメリライトなどが挙げられる。
【0030】
γ-2CaO・SiO2含有スラグのブレーン比表面積は特に限定されるものではないが、3,000cm2/g以上が好ましく、4,000cm2/g〜8,000cm2/gがより好ましい。ブレーン比表面積が3,000cm2/g未満では、材料分離抵抗性が得られなかったり、中性化抵抗性が充分でない場合がある。また、8,000cm2/gを超えるように粉砕するには、粉砕動力が大きくなり不経済であり、また、γ-2CaO・SiO2含有スラグが風化しやすくなって、品質の経時的な劣化が大きくなる傾向がある。
【0031】
本発明のセメント混和材は、γ-2CaO・SiO2含有スラグと共に、高炉水砕スラグ、フライアッシュ、及びシリカフュームより選ばれる物質を1種または2種以上(以下、ポゾランという)とを併用する。γ-2CaO・SiO2含有スラグとポゾランの配合割合は特に限定されるものではないが、通常、セメント混和材100部中、γ-2CaO・SiO2含有スラグ20〜60部が好ましく、30〜50部がより好ましい。
【0032】
また、ポゾランは80〜40部が好ましく、70〜50部がより好ましい。γ-2CaO・SiO2含有スラグが20部未満であったり、ポゾランが80部を超えると、中性化抵抗性が充分に得られない場合がある。また、逆に、γ-2CaO・SiO2含有スラグが60部を超えたり、ポゾランが40部未満であると、耐塩化物浸透性が充分に得られない場合がある。
【0033】
本発明のセメント混和材(以下、本混和材という)の使用量は特に限定されるものではないが、通常、セメントと本混和材からなるセメント組成物100部中、10〜70部が好ましく、20〜60部がより好ましい。10部未満では本発明の効果が十分に得られない場合があり、70部を超えて使用すると、強度発現性が悪くなる場合がある。
【0034】
本発明で使用するポルトランドセメントとは、ポルトランドセメントを含有するセメントであり、たとえば普通、早強、超早強、低熱、または中庸熱などの各種ポルトランドセメント、これらポルトランドセメントに高炉水砕スラグ、フライアッシュ、又はシリカを混合した各種混合セメント、あるいは、ポルトランドセメントに石灰石粉末などを混合した石灰石フィラーセメントなどが挙げられる。
【0035】
本発明のセメント組成物はそれぞれの材料を施工時に混合してもよいし、あらかじめ一部あるいは全部を混合しておいても差し支えない。
【0036】
本発明のセメント組成物の粒度は、使用する目的・用途に依存するため特に限定されるものではないが、通常、ブレーン比表面積値で3,000〜8,000cm/gが好ましく、4,000〜6,000cm/gがより好ましい。3,000cm/g未満では強度発現性が十分に得られない場合があり、8,000cm/gを超えると作業性が悪くなる場合がある。
【0037】
本発明では、セメント、本混和材、砂や砂利などの骨材の他に、高炉徐冷スラグ微粉末、石灰石微粉末などの混和材料、減水剤、AE減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤、消泡剤、増粘剤、防錆剤、防凍剤、収縮低減剤、ポリマー、凝結調整剤、ベントナイトなどの粘土鉱物、並びに、ハイドロタルサイトなどのアニオン交換体などのうちの1種または2種以上を、本発明の目的を実質的に阻害しない範囲で使用することが可能である。
【0038】
本発明において、各材料の混合方法は特に限定されるものではなく、それぞれの材料を施工時に混合しても良いし、あらかじめ一部を、あるいは全部を混合しておいても差し支えない。
【0039】
混合装置としては、既存のいかなる装置も使用可能であり、例えば、傾胴ミキサ、オムニミキサ、ヘンシェルミキサ、V型ミキサ、及びナウタミキサなどの使用が可能である。
【0040】
【実施例】
以下、本発明の実験例に基づいてさらに説明する。
【0041】
実験例1
スラグA(電気炉還元期スラグ)とスラグB(ステンレススラグ)及びポゾランαを表1に示すような割合で配合してセメント混和材を調製した。このセメント混和材を、セメントとセメント混和材を1:1で混合して使用し、水/セメント組成物比が50%、セメント組成物と砂の比率が1:3のモルタルを調製し、圧縮強度、断熱温度上昇量、中性化深さ、及び塩化物浸透深さを測定した。比較のために、スラグの代わりに石灰石微粉末を使用して同様に行った。結果を表1に併記する。
【0042】
<使用材料>
セメント :普通ポルトランドセメント、電気化学工業社製、比重3.15。ブレーン比表面積3,100cm2/g。
ポゾランα:高炉水砕スラグ微粉末、ブレーン比表面積6,000cm2/g。比重2.90。
スラグA:電気炉還元期スラグ、CaO含有量52%、SiO2含有量27%、Al2O3含有量11%、MnO含有量5%、MgO含有量0.5%、S含有量0.5%。化合物相はγ-2CaO・SiO2含有量45%、ワラストナイトCaO・SiO2約25%、及び12CaO・7Al2O3固溶体約25%。ブレーン比表面積4,000cm2/g。非水硬性化合物含有量はγ-2CaO・SiO2含有量とワラストナイト含有量の合計で約68%
スラグB:ステンレススラグ、CaO含有量52%、SiO2含有量28%、MgO含有量10%、Al2O3含有量7%、Cr2O3含有量1%、Na2O含有量0.5%。化合物相はγ-2CaO・SiO2含有量35%、メルヴィナイト3CaO・MgO・2SiO2含有量約44%、12CaO・7Al2O3固溶体含有量約14%、遊離マグネシア含有量約4%。ブレーン比表面積4,000cm2/g。非水硬性化合物含有量はγ-2CaO・SiO2含有量とメルヴィナイト含有量の合計で約79%。
石灰石微粉末(LSP):石灰石微粉末、主成分炭酸カルシウム。ブレーン比表面積4,000cm2/g
水 :水道水
砂 :JIS標準砂
【0043】
<測定方法>
圧縮強度:JIS R 5201に準じて測定。
断熱温度上昇量:東京理工社製の空気循環式の断熱温度上昇試験装置を使用して測定した。
中性化深さ:材齢28日まで20℃水中養生を施した後、30℃・相対湿度60%・炭酸ガス濃度5%の環境で4週間促進中性化を行い、モルタル断面にフェノールフタレインアルコール溶液を塗布して中性化深さを確認。
塩化物浸透深さ(塩化物浸透試験):材齢28日まで20℃水中養生を施した後、20℃の擬似海水に2週間浸漬し、モルタル断面に硝酸銀水溶液を噴霧して塩化物浸透深さを測定して耐塩化物浸透性を評価した。
【0044】
【表1】
Figure 0003844457
注:表中のLSPは石灰石微粉末であることを示す。
【0045】
実験例2
スラグA(電気炉還元期スラグ)を使用し、セメント混和材中のポゾランの種類と配合量を表2に示すように変化したこと以外は実験例1と同様に行った。結果を表2に併記する。
【0046】
<使用材料>
ポゾランβ:フライアッシュII種、ブレーン比表面積4,000cm2/g。比重2.40
ポゾランγ:シリカフューム、ブレーン比表面積210,000cm2/g。比重2.20
【0047】
【表2】
Figure 0003844457
【0048】
実験例3
スラグA(電気炉還元期スラグ)40部とポゾランα60部からなるセメント混和材を使用し、セメント組成物100部中のセメント混和材の使用量を表3に示すように変化したこと以外は実験例1と同様に行った。結果を表3に併記する。
【0049】
【表3】
Figure 0003844457
【0050】
実験例4
スラグA(電気炉還元期スラグ)の粗粉を粉砕し、表4に記載した粒度とした点以外は実験例1と同様に行った。結果を表4に併記する。
【0051】
【表4】
Figure 0003844457
【0052】
【発明の効果】
本発明のセメント混和材を使用することにより、クリンカ配合量を低減できるので、低環境負荷型のセメント組成物とすることができ、このセメント組成物を使用することにより、水和発熱量が小さく、耐塩化物浸透性及び中性化抵抗性に優れるセメント組成物が得られる。また、これまで有効な用途が見出されていなかった、γ-2CaO・SiO2を含む製鋼スラグやステンレススラグの有効利用にも繋がるなどの効果を奏するため、土木または建築分野において耐久性を要求されるコンクリート構造物に適する。

Claims (7)

  1. セメント混和材 100 部中、高炉水砕スラグ、フライアッシュ、及びシリカフュームより選ばれる物質を1種または2種以上80 40 、並びに、γ-2CaO・SiO2を含有するスラグ20 60 を含有してなるポルトランドセメント用のセメント混和材。
  2. γ-2CaO・SiO2を含有するスラグが製鋼スラグ及び/またはステンレススラグであることを特徴とする請求項1に記載のセメント混和材。
  3. γ-2CaO・SiO2を含有するスラグのブレーン比表面積が3,000cm2/g以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のセメント混和材。
  4. γ-2CaO・SiO2を含有するスラグの非水硬性物質の含有量が60%以上であることを特徴とする請求項1〜請求項3のうちの1項に記載のセメント混和材。
  5. ポルトランドセメントと、請求項1〜請求項のうちの1項記載のセメント混和材とを含有してなるセメント組成物。
  6. セメント混和材が、セメント組成物100部中、10〜70部であることを特徴とする請求項に記載のセメント組成物。
  7. セメント組成物 100 部中、ポルトランドセメント90 30 と、ポゾランとスラグの合計 100 部中、高炉水砕スラグ、フライアッシュ、及びシリカフュームより選ばれる物質(ポゾラン)を1種または2種以上80 40 部とγ-2CaO・SiO2を含有するスラグ20 60 部の割合でポゾランとスラグの合計 10 70 とを含有してなるセメント組成物。
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