JP3725077B2 - セメント混和材及びセメント組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に、土木・建築業界において使用されるセメント混和材及びセメント組成物に関する。なお、本発明における部や%は特に規定しない限り質量基準で示す。
【0002】
【従来の技術とその課題】
鉄鋼産業の副産物である各種のスラグの有効利用に関して大きな関心が寄せられている。鉄鋼産業において、種々のプロセスや設備によって、また、溶製する鋼種によって様々な組成や性状を有するスラグを副生する。
【0003】
例えば、銑鉄を調製するプロセスで用いる高炉からは高炉スラグが、銑鉄から製鋼するプロセスで用いる溶銑予備処理設備、転炉、及び電気炉からは、それぞれ、溶銑予備処理スラグ、転炉スラグ、及び電気炉スラグが副生する。
【0004】
さらに、高炉スラグには水砕スラグ及び徐冷スラグがあり、溶銑予備処理スラグには、脱珪スラグ、脱リンスラグ、脱硫スラグ、及び脱炭スラグがあり、電気炉スラグにも酸化期スラグと還元期スラグが存在する。
【0005】
また、鋼種の違いで言えば、普通炭素鋼、極低炭素鋼、特殊合金鋼、及びステンレス鋼等がある。
【0006】
上記スラグのうち、高炉より副生する高炉水砕スラグはコンクリート混和材及び路盤材等として利用されている。しかし高炉水砕スラグ以外には、前述したスラグと呼ばれるものには未だに有効な利用方法が見出されていないものが多い。転炉スラグは脱鉄等の程度の処理を施せば路盤材として利用できることも報告されている。
【0007】
しかしながら、上記のスラグはメーカー及びロットにより組成、物性が大きく異なるために再利用の用途拡大が難しいこと、路盤材用途だけでは需要が少ないことから、現状では充分に再利用されているとは言えない状況にある。
【0008】
また、製鋼スラグ及びステンレススラグは有効利用法がなく、ほとんど産業廃棄物として処分されているのが現状である。
【0009】
本発明でいう製鋼スラグとは、製鋼プロセスで生じるスラグの総称であり、具体的には電気炉還元期スラグ、溶銑予備処理スラグ及び転炉スラグを指すものであり、高炉水砕スラグ及び高炉徐冷スラグは含まない。
【0010】
これらのスラグにはβ−2CaO・SiO2相を含むものとγ-2CaO・SiO2相を含むものがあり、β−2CaO・SiO2相を含むものは水硬性を示すためにセメント混和材用途等への利用が検討されているが、γ-2CaO・SiO2相を含むものは有効な用途がなかった。
【0011】
その原因として、ダスティング現象がある。製鋼スラグ及びステンレススラグはダイカルシウムシリケート(2CaO・SiO2)を主要化合物としており、スラグの冷却過程で、2CaO・SiO2が高温相のα相からβ相へ転移し、さらに低温相のγ相へと転移する。2CaO・SiO2がβ相から低温相のγ相へ転移する際に密度が変化して著しく膨張し、粉化する現象をダスティングと呼ぶ。
【0012】
上記ダスティング現象のため、製鋼スラグ及びステンレススラグは他のスラグと異なり、塊状や粒状として得られないため、路盤材や骨材としての利用ができない。
【0013】
従来より、2CaO・SiO2に起因するダスティングを防止する方法として、ホウ素化合物などの結晶安定化剤を添加してβ相として安定化させる方法等が提案された(特開昭62-162657号公報)。しかしながら、ホウ素化合物自体が高価なものであり、また、設備改善や工程改善が必要となりコスト高であった。
【0014】
一方、結晶安定化剤を添加せずに電気炉還元期スラグを粉末化し、これにカルシウムアルミネート12CaO・7Al2O3及びセッコウを配合した特殊セメント(特公昭62-47827号公報)、カルシウムアルミネート12CaO・7Al2O3及びCaF2の固溶体にセッコウを配合した特殊セメント(特公昭62-50428号公報等)が知られている。
【0015】
これは、電気炉還元期スラグが水硬性を持たないγ-2CaO・SiO2を主成分としながらも、水和活性の高い12CaO・7Al2O3固溶体も多く含有することに着目した発明であり、セッコウを添加することでエトリンガイトを生成させ、所要の強度を発現する硬化体を得ようとするものであった。
【0016】
しかしながら、上記の特殊セメントから得られる硬化体は、空気中の炭酸ガスによる中性化に対する抵抗性が乏しく、ポルトランドセメントの硬化体ほどの耐久性が期待できないものであった。また上記発明では、電気炉還元期スラグをポルトランドセメント及びその主成分であるトライカルシウムシリケート3CaO・SiO2に混和することについて、また、それによって、機能性を付与できることについては何ら言及していない。
【0017】
本発明者らは上記のγ-2CaO・SiO2を主成分とするスラグに着目し、セメント混和材としての用途を検討した。ヨーロッパ規格(EN規格)を基本とした新しい国際規格への対応、セメントの水和発熱抑制、及び中性化防止という課題への適用を検討した。
【0018】
現在、海外ではヨーロッパ規格(EN規格)を基本的な思想とし、強度クラスに大別されたセメント材料群を目的に応じて選択できる、新しい国際規格の検討が進められている。
【0019】
ヨーロッパ規格(EN規格)は32.5N/mm2クラス、42.5N/mm2クラス、及び52.5N/mm2クラスに大別されている(後藤孝治、羽原俊祐、セメント規格の国際化−欧州規格の概要と方向性−、セメント・コンクリート、No.631、pp1〜8、1999)。
【0020】
一方、日本では、JIS規格に基づいてセメントの品質が設計されてきた。その結果、画一的な仕様の下で強度発現性が良好なセメントが良いセメントとして評価されてきた。
【0021】
その結果、日本のセメントはEN規格で分類すると、42.5N/mm2クラスあるいは52.5N/mm2クラスのセメントに相当するものしか存在しない状態になっており、設計強度があまり高くないコンクリートを配合設計しようとしても、多くの場合に過剰強度となる傾向にあるのが現状である。
【0022】
過剰強度の防止は、それに伴う過剰な水和発熱を防止する観点から、また、硬化前後の収縮率をできる限り小さくし、硬化後のヒビ割れを防止する観点から重要である。
【0023】
一方、強度発現性に優れるセメントを用いて、単位重量あたりのセメント量を少なくすることにより、設計強度があまり高くないコンクリートを配合設計することも考えられるが、この場合には、極度に単位セメント量が少なくなってしまい、材料分離しやすく、ブリーディング率の大きいコンクリート、いわゆる「シャブコン」になるという課題を有していた。
【0024】
そして、このようなコンクリートを用いてコンクリート構造物を構築すると、巨視的な欠陥が発生しやすく、耐久性のあるコンクリート構造物を構築することが困難になるという課題を有していた。
【0025】
このように、EN規格は、設計強度があまり高くないコンクリートを配合設計しやすい32.5N/mm2クラスのセメントが準備されているのが特徴である。
【0026】
現在、このセメントの主流は石灰石混合セメントである。石灰石混合セメントは、ポルトランドセメントに多量の石灰石微粉末を混合したもので、過剰強度の防止と材料分離抵抗性の向上の両立を実現できるセメントである。
【0027】
石灰石微粉末は強度発現性の面からは不活性な粉末とみなすことができ、材料分離抵抗性のみを与えて余計な強度や水和熱を生じないという利点を有するものである。このような背景を受けて、日本でも石灰石混合セメントの研究が盛んに行われるようになった。
【0028】
しかしながら、石灰石は多くの産業において重要な原料である。資源の少ない我が国にとって石灰石は貴重な天然資源であり、単にコンクリートに混和するだけの利用は資源の枯渇につながることから、工業原料としてもっと有効に利用することが切望されている。さらに、石灰石混合セメントは中性化されやすいという弱点を有するものである。
【0029】
本発明者は、石灰石混合セメントが抱える前記課題を解決すべく、鋭意検討した結果、これまでにセメント混和材として利用価値が見いだされずにいたγ-2CaO・SiO2が、強度発現性や材料分離抵抗性に対しては石灰石微粉末と同等であり、しかも中性化抑制機能を有することを知見して、先に特願2001-250000号を出願した。
【0030】
このγ-2CaO・SiO2を成分とするセメント混和材は、ポルトランドセメントの中性化を抑制するばかりでなく、水和発熱をも低減する効果も得られることを知見した。すなわち、ポルトランドセメントの水和時の発熱を抑制することにより、硬化後の熱収縮を抑制し、硬化体のヒビ割れ発生を抑制することができる。
【0031】
そこで本発明者は、産業副産物であってγ-2CaO・SiO2を含有するスラグに着目し、混和材としての用途を検討した。
【0032】
本混和材と石灰微粉末混和材をそれぞれ使用した硬化物を比較すると、混和材量が同じであれば圧縮強度は石灰微粉末混和品とほぼ同等で、かつ水和時の発熱量が少なく、石灰微粉末混和材を使用した硬化物よりも中性化抑制効果が良好であることを知見した。
【0033】
また、これまで有効な活用方法が見出されていない電気炉還元期スラグ、ステンレススラグ、溶銑予備処理スラグ及び転炉スラグの有効利用にも繋がる。さらに、これらのスラグを活用することによりクリンカ配合量を低減できるために、低環境負荷型のセメント組成物となり得ることを知見し、本発明を完成するに至った。
【0034】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、γ-2CaO・SiO2を含み、かつブレーン比表面積が3,000cm2/g以上であるスラグを含有し、非水硬性物質の含有量が 60 %以上であることを特徴とするセメント混和材であり、スラグが製鋼スラグ及び/又はステンレススラグであることを特徴とする該セメント混和材であり、該セメント混和材及びセメントを含有することを特徴とするセメント組成物であります。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0036】
本発明で使用するスラグはいずれもγ-2CaO・SiO2を含有しているもので、比表面積が3,000cm2/g以上であればよく、特に限定されるものではない。これらのスラグは単独でも使用できるが、2種以上併用することも可能である。
【0037】
本発明者らは、γ-2CaO・SiO2を含有するスラグ、たとえば製鋼スラグ及びステンレススラグであり、比表面積が3,000cm2/g以上の微粉であれば本発明の効果があることを見出した。一方、上記スラグの1つであっても、β-2CaO・SiO2を含有してγ-2CaO・SiO2を含有しないものについては本発明の対象とはならず、γ-2CaO・SiO2を含有することが必要である。
【0038】
スラグ中のγ-2CaO・SiO2の含有量は、35%以上が好ましく、45%以上がより好ましい。また、γ-2CaO・SiO2の含有量の上限値は特に限定されない。スラグの中では、γ-2CaO・SiO2含有量が多い電気炉還元期スラグ又はステンレススラグが好ましい。
【0039】
スラグの各々の成分は、γ-2CaO・SiO2を含有すること以外に特に限定されるものではないが、具体的には、CaO、SiO2、Al2O3、MnO2、Cr2O3、F及びMgO等を主要な化学成分とし、その他、TiO2、Na2O、S、P2O5、及びFe2O3等が挙げられる。また、化合物としては、ダイカルシウムシリケート2CaO・SiO2、トライカルシウムシリケート3CaO・SiO2、ランキナイト3CaO・2SiO2、ワラストナイトCaO・SiO2等のカルシウムシリケート、12CaO・7Al2O3固溶体、12CaO・7Al2O3とCaF2の固溶体、及び3CaO・Al2O3などのカルシウムアルミネート、メルヴィナイト3CaO・MgO・2SiO2、アケルマナイト2CaO・MgO・2SiO2、モンチセライトCaO・MgO・SiO2などのカルシウムマグネシウムシリケート、ゲーレナイト2CaO・Al2O3・SiO2、アノーサイトCaO・Al2O3・2SiO2などのカルシウムアルミノシリケート、並びに、アケルマナイト2CaO・MgO・2SiO2とゲーレナイト2CaO・Al2O3・SiO2の混晶であるメリライト、遊離石灰、遊離マグネシア、カルシウムフェライト2CaO・Fe2O3、カルシウムアルミノフェライト4CaO・Al2O3・Fe2O3、、リューサイト(K2O、Na2O)・Al2O3・SiO2、スピネルMgO・Al2O3、マグネタイトFe3O4を含む場合がある。
【0040】
本発明のスラグは、非水硬性化合物の含有量が60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましい。
【0041】
本発明で言う非水硬性化合物とは、γ-2CaO・SiO2の他に、上述した化合物のうち、ランキナイト、ワラストナイト、メルヴィナイト、アケルマナイト、モンチセライト、ゲーレナイト、アノーサイト、並びにメリライトを挙げることができる。
【0042】
スラグのブレーン比表面積は特に限定されるものではないが、3,000cm2/g以上が好ましく、4,000cm2/g以上8,000cm2/g以下がより好ましく、6,000cm2/g以上8,000cm2/g以下が最も好ましい。ブレーン比表面積が3,000cm2/g未満では、材料分離抵抗性が得られなかったり、中性化の抑制効果が充分でない場合がある。また、8,000cm2/gを超えるように粉砕するには、粉砕動力が大きくなり不経済であり、また、これらのスラグが風化しやすくなり、品質の経時的な劣化が大きくなる傾向がある。
【0043】
本発明のセメント混和材(以下、本混和材という)の使用量は特に限定されるものではないが、通常、セメントと本混和材の合計100部に対して5部以上40部以下が好ましく、10部以上40部以下がより好ましい。5部未満では水和熱を低くするという本発明の効果が十分に得られない場合があり、40部を越えると強度発現性が悪くなる場合がある。
【0044】
本発明において水の使用量は特に限定されるものではなく、通常の使用範囲が使用される。具体的には、水硬性物質及び本混和材の合計100部に対して水の量は25部以上60部以下が好ましい。25部未満では充分な作業性が得られない場合があり、60部を超えると強度発現性が充分でないばかりか、中性化抑制効果が顕著に認められない場合がある。
【0045】
本発明の混和材を用いて32.5N/mm2規格に対応するにはセメント100部に対して本混和材を30部ないし40部程度混和すればよく、また42.5N/mm2規格品クラスに対応するにはセメント100部に対して10部程度を混合すればよい。
【0046】
本発明で使用するセメントとしては、普通、早強、超早強、低熱、及び中庸熱等の各種ポルトランドセメント、これらポルトランドセメントに、高炉スラグ、フライアッシュ、又はシリカを混合した各種混合セメント、都市ゴミ焼却灰や下水汚泥焼却灰などを原料として製造された廃棄物利用セメント、いわゆるエコセメント(R)、及び石灰石粉末等を混合したフィラーセメント等が挙げられ、これらのうちの一種又は二種以上が使用可能である。
【0047】
本発明のセメント組成物の粒度は、使用する目的・用途に依存するため特に限定されるものではないが、通常、ブレーン比表面積値で3,000cm2/g以上8,000cm2/g以下が好ましく、4,000cm2/g以上6,000cm2/g以下がより好ましい。3,000cm2/g未満では強度発現性が十分に得られない場合があり、8,000cm2/gを超えると作業性が悪くなる場合がある。
【0048】
本発明では、セメント、本混和材、砂や砂利などの骨材の他に、高炉水砕スラグ微粉末、石灰石微粉末、フライアッシュ、及びシリカフューム等の混和材料、膨張材、急硬材、減水剤、AE減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤、消泡剤、増粘剤、防錆剤、防凍剤、収縮低減剤、高分子エマルジョン、凝結調整剤、ベントナイト等の粘土鉱物、並びに、ハイドロタルサイト等のアニオン交換体等の添加剤等、通常のセメント材料に用いられる公知公用の添加剤、混和材、及び骨材を1種類又は2種類以上、本発明の目的を実質的に阻害しない範囲で使用することが可能である。
【0049】
本発明のセメント組成物はそれぞれの材料を施工時に混合してもよいし、あらかじめ一部あるいは全部を混合しておいても差し支えない。
【0050】
また、本発明において、各材料及び水の混合方法も特に限定されるものではなく、それぞれの材料を施工時に混合しても良いし、あらかじめ一部を、あるいは全部を混合しておいても差し支えない。また、材料の一部を水と混合した後に残りの材料を混合しても良い。
【0051】
混合装置としては、既存のいかなる装置も使用可能であり、例えば、傾胴ミキサ、オムニミキサ、ヘンシェルミキサ、V型ミキサ、及びナウタミキサ等の使用が可能である。
【0052】
【実施例】
以下、本発明の実験例に基づいてさらに説明する。
【0053】
実験例1
普通ポルトランドセメントと本混和材からなるセメント組成物100部中、表1に示す量の本混和材を使用して、水/セメント組成物比(W/C比)が50%、セメント組成物と砂の比率が1/3のモルタルを調製し、圧縮強度と促進中性化試験を行った。比較のために、本混和材の代わりに石灰石微粉末を使用し、同一混和材量にて比較試験を行った。結果を表1に併記する。
【0054】
<使用材料>
セメント :普通ポルトランドセメント、電気化学工業社製、比重3.15
混和材A:電気炉還元期スラグ、酸化物換算Ca(CaOとして計算)含有量52%、酸化物換算Si(SiO2として計算)含有量27%、Al2O3含有量11%、MnO2含有量5%、MgO含有量0.5%、S含有量0.5%。主な化合物相はγ-2CaO・SiO2含有量約45%、ワラストナイトCaO・SiO2約25%、及び12CaO・7Al2O3固溶体約25%。ブレーン比表面積4,000cm2/g。非水硬性物質含有量はγ-2CaO・SiO2含有量及びワラストナイトの含有量の和で約68%。
混和材B:ステンレススラグ、CaO含有量52%、SiO2含有量28%、MgO含有量10%、Al2O3含有量7%、Cr2O3含有量1%、Na2O含有量0.5%。主な化合物相はγ-2CaO・SiO2含有量約35%、メルヴィナイト3CaO・MgO・2SiO2約44%、固溶体12CaO・7Al2O3約14%、及び遊離マグネシア約4%。ブレーン比表面積4,000cm2/g。非水硬性物質含有量はγ-2CaO・SiO2含有量及びメルヴィナイトの含有量の和で約79%。
混和材C:石灰石微粉末、ブレーン比表面積4,000cm2/g。
水 :水道水
砂 :JIS標準砂
【0055】
<測定方法>
圧縮強度:JIS R 5201に準じて測定した。
断熱温度上昇量:空気循環式の断熱温度上昇試験装置(東京理工社製)を用いて測定した。
中性化深さ:材齢28日まで20℃水中養生を施した後、30℃・相対湿度60%・炭酸ガス濃度5%の環境で4週間静置して促進中性化を行った。促進中性化後、モルタル断面にフェノールフタレイン1%アルコール溶液を塗布して中性化深さを確認した。
【0056】
【表1】
注:圧縮強度は28日強度
【0057】
実験例2
実験例1で用いた混和材A(電気炉還元期スラグ)及び混和材B(ステンレススラグ)を表2に示すように内割でそれぞれ20%配合したセメント組成物を用い、各スラグのブレーン比表面積を表2に示すように変化したこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に併記する。
【0058】
【表2】
注:圧縮強度は28日強度
【0059】
【発明の効果】
本発明のセメント混和材は、産業副産物であってγ-2CaO・SiO2を含有するスラグ、特に製鋼スラグ及びステンレススラグを再利用するものであり、従来の石灰石微粉末混和材と比較すると、混和材量が同じであれば硬化体の圧縮強度が同等で、水和時の発熱量が少なく、中性化抑制効果が石灰微粉末混和品より大きい硬化体が得られる。
【0060】
また、γ-2CaO・SiO2を含有し、これまで有効な活用方法が見出されずに産業廃棄物となっていたスラグの有効利用にも繋がること、さらには、上記スラグを活用することによりクリンカ配合量を低減できるために、低環境負荷型のセメント組成物となり得るという効果を奏する。
Claims (3)
- γ-2CaO・SiO2を含み、かつブレーン比表面積が3,000cm2/g以上であるスラグを含有し、非水硬性物質の含有量が 60 %以上であることを特徴とするセメント混和材。
- スラグが製鋼スラグ及び/又はステンレススラグであることを特徴とする請求項1記載のセメント混和材。
- 請求項1又は請求項2記載のセメント混和材及びセメントを含有することを特徴とするセメント組成物。
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