JP4057971B2 - セメント組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、主に、土木・建築業界において使用されるセメント組成物、およびそれを用いたセメントコンクリートに関する。
なお、本発明における部や%は特に規定しない限り質量基準で示す。また、本発明で言うセメントコンクリートとは、セメントペースト、モルタル、およびコンクリートを総称するものである。
近年、コンクリートの耐久性問題が大きくクローズアップされている。コンクリートの水/セメント比が耐久性に大きな影響をおよぼすことから、単位水量の低減を目的として、高性能減水剤や高性能AE減水剤の使用頻度が急激に増し、指針も出されている。しかしながら、単位水量を低減すればするほど、コンシステンシー(流動性)の経時変化が大きいために可使時間が十分にとれないという問題があり、現状では、コンシステンシーの保持と耐久性を十分に両立させる抜本的な対策はないのが実状である。
また、最近では、都市ゴミ焼却灰を原料として製造される廃棄物利用型セメント(以下、エコセメントという)が脚光を浴びており、アルカリ骨材反応を起こしにくい、環境負荷の低減につながる、ゴミ減容システムが確立できるなどの観点からも大きな期待が寄せられている(特許文献1〜3等参照)。しかしながら、このエコセメントは普通ポルトランドセメントと比較して、カルシウムアルミネート系化合物である3CaO・Al2O3や、11CaO・7Al2O3・CaCl2を多量に含んでいることから、流動性の低下が顕著であるという課題を有していた。
流動性は施工欠陥の発生と深く関連するため、極めて重要な性能である。通常セメントコンクリートは、生コンプラントから横持ちして、施工現場まで搬送し、施工するまで、所定の時間以上にわたって流動性を維持することが要求される。しかしながら、セメントコンクリートの搬送中に交通渋滞に巻き込まれたり、現場でのトラブル等により、施工までの経過時間が所定の時間を大きく上回った場合には、コンクリートの流動性が所定の規格外となってしまう場合も多い。このような場合には、高性能AE減水剤などを追加添加して再び流動化させる、いわゆる再流動化処理を行う以外に方法がない。
しかしながら、この再流動化処理は熟練者しか行えないというのが実状である。このように、今日では、流動性の低下が大きなエコセメントを用いても流動性の保持性能に優れるコンクリートの開発が強く求められている。
目下のところ、都市型廃棄物を原料として製造される、いわゆるエコセメントの流動性の経時変化を小さくする手立てとして、単位セメント量が多くなり過ぎないように配慮することが唯一の手段と考えられる。しかし、この方法では、材料分離しやすい、ポンプ圧送性が悪くなる、粘性が増して作業性が悪くなるなどの課題があった。
一方、海外ではヨーロッパ規格(EN規格)を基本的な思想とし、強度クラスに大別されたセメント材料群を目的に応じて選択できる、新しい国際規格の検討が進められている。
ヨーロッパ規格(EN規格)は32.5N/mm2クラス、42.5N/mm2クラス、および52.5N/mm2クラスに大別されている(非特許文献1等参照)。
一方、日本では、JIS規格に基づいてセメントの品質が設計されてきた。その結果、画一的な仕様の下で強度発現性が良好なセメントが良いセメントとして評価されてきた。
その結果、日本のセメントはEN規格で分類すると、42.5N/mm2クラスあるいは52.5N/mm2クラスのセメントに相当するものしか存在しない状態になっており、設計強度があまり高くないコンクリートを配合設計しようとしても、多くの場合に過剰強度となる傾向にあるのが現状である。
過剰強度の防止は、それに伴う過剰な水和発熱を防止する観点から、また、硬化前後の収縮率をできる限り小さくし、硬化後のヒビ割れを防止する観点から重要である。
一方、強度発現性に優れるセメントを用いて、単位容積あたりのセメント量を少なくすることにより、設計強度があまり高くないコンクリートを配合設計することも考えられるが、この場合には、極度に単位セメント量が少なくなってしまい、材料分離しやすく、ブリーディング率の大きいコンクリート、いわゆる「シャブコン」になるという課題を有していた。
そして、このようなコンクリートを用いてコンクリート構造物を構築すると、巨視的な欠陥が発生しやすく、耐久性のあるコンクリート構造物を構築することが困難になるという課題を有していた。
このように、EN規格は、設計強度があまり高くないコンクリートを配合設計しやすい32.5N/mm2クラスのセメントが準備されているのが特徴である。
現在、このセメントの主流は石灰石混合セメントである。石灰石混合セメントは、ポルトランドセメントに多量の石灰石微粉末を混合したもので、過剰強度の防止と材料分離抵抗性の向上の両立を実現できるセメントである。
石灰石微粉末は強度発現性の面からは不活性な粉末とみなすことができ、材料分離抵抗性のみを与えて余計な強度や水和熱を生じないという利点を有するものである。このような背景を受けて、日本でも石灰石混合セメントの研究が盛んに行われるようになった。
ここで、都市型廃棄物を原料として製造される、いわゆるエコセメントと、石灰石微粉末を組み合わせて32.5N/mm2クラスのセメントとすれば、単位粉体量を確保しやすく、その結果として過剰なエコセメントを配合しなくてもすむと予想される。したがって、エコセメントを主体としたセメントコンクリートの流動性の経時変化は小さくすることができると考えられる。
しかしながら、石灰石は多くの産業において重要な原料である。資源の少ない我が国にとって石灰石は貴重な天然資源であり、単にコンクリートに混和するだけの利用は資源の枯渇につながることから、工業原料としてもっと有効に利用することが切望されている。さらに、石灰石混合セメントは中性化されやすいという弱点を有するものである。
本発明者は、石灰石混合セメントが抱える前記課題を解決すべく、鋭意検討した結果、これまでにセメント混和材として利用価値が見いだされずにいたγ-2CaO・SiO2が、強度発現性や材料分離抵抗性に対しては石灰石微粉末と同等であり、しかも石灰石微粉末にない中性化抑制機能を有することを知見して、先に出願した(特許文献4〜5等参照)。
このγ-2CaO・SiO2を成分とするセメント混和材は、ポルトランドセメントの中性化を抑制するばかりでなく、水和発熱をも低減する効果も得られることを知見した。すなわち、ポルトランドセメントの水和時の発熱を抑制することにより、硬化後の熱収縮を抑制し、硬化体のヒビ割れ発生を抑制することができる。
そこで本発明者は、産業副産物であってγ-2CaO・SiO2等の非水硬性物質を含有する製鋼スラグに着目し、これらの非水硬性物質を混和材とし、該混和材およびエコセメントを含有するセメント組成物の用途を検討した。
本発明の混和材を用いたセメント組成物と、石灰微粉末混和材を用いたセメント組成物をそれぞれ使用した硬化物を比較すると、混和材量が同じであれば圧縮強度は石灰微粉末混和品とほぼ同等で、かつ水和時の発熱量が少なく、石灰微粉末混和材を使用した硬化体よりも中性化抑制効果が良好であることを知見した。
また、これまで有効な活用方法が見出されていない製鋼スラグ、すなわち、電気炉還元期スラグ、ステンレススラグ、溶銑予備処理スラグ、および転炉スラグ等の有効利用にも繋がる。さらに、これらのスラグを活用することによりクリンカ配合量を低減できるために、低環境負荷型のセメント組成物となり得る点に着目した。
特開平07-165446号公報 特開平10-279332号公報 特開平11-199301号公報 国際公開03/016234号パンフレット 特願2003-084495号 後藤孝治、羽原俊祐、セメント規格の国際化−欧州規格の概要と方向性−、セメント・コンクリート、No.631、pp1〜8、1999
本発明はエコセメントを主体とし、中性化抵抗性、流動性低下抑制、環境負荷低減、過剰強度発現に伴う収縮ひび割れの防止などの特性に優れ、都市ゴミや製鋼スラグなど各種産業の副産物の有効利用につながるセメントコンクリート組成物を提供する。
本発明は、ブレーン比表面積が1500〜8000cm /gのγ−2CaO・SiO である非水硬性化合物を全体の35%以上を含有する非水硬性物質と、都市ゴミ焼却灰を原料として製造される廃棄物利用型セメントとを含有してなり、廃棄物利用型セメントと非水硬性物質の合計100部中、非水硬性物質が5〜50部であるセメント組成物であり、廃棄物利用型セメントと非水硬性物質の合計100部中、非水硬性物質が10〜30部である該セメント組成物であり、都市ゴミ焼却灰を原料として製造される廃棄物利用型セメント中のアルミネート相とフェライト相の含有量の合計が20%以上であることを特徴とする該セメント組成物であり、非水硬性化合物を含有する物質に含まれるフッ素の含有量が2%以下であることを特徴とする該セメント組成物であり、非水硬性化合物を含有する物質が製鋼スラグであることを特徴とする該セメント組成物であり、非水硬性化合物を含有する物質に含まれる、非水硬性化合物の含有量が65%以上であることを特徴とする該セメント組成物であり、該セメント組成物を含有するセメントコンクリートである。
本発明でいう都市ゴミ焼却灰を原料として製造される廃棄物利用型セメント(エコセメント)は特に限定されるものではない。エコセメントには、大別して、普通型エコセメントと速硬型エコセメントがある。
普通型エコセメントは塩素含有量が極めて少なく、アルミネート相の主体は3CaO・Al2O3であり、速硬型エコセメントは塩素含有量が高く、アルミネート相の主体は11CaO・7Al2O3・CaCl2である点で相違している。普通型エコセメントおよび速硬型エコセメントに共通しているのは、アルミネート相やフェライト相の含有量が通常のポルトランドセメントと比べて非常に多い点である。具体的には、アルミネート相とフェライト相の合計量が20%以上である。そして、アルミネート相やフェライト相が多いために、流動性の経時変化が大きく、また、中性化に対する抵抗性も小さいものである。
本発明でいうアルミネート相とはCaO・Al2O3 、12CaO・7Al2O3 、3CaO・Al2O3の総称であり、フェライト相とはカルシウムアルミノフェライト4CaO・Al2O3・Fe2O3を指すものである。
本発明のセメント組成物は、γ-2CaO・SiO2、α型ワラストナイト(α-CaO・SiO2)、メルヴィナイト3CaO・MgO・2SiO2、アケルマナイト2CaO・MgO・2SiO2、モンチセライトCaO・MgO・SiO2等のカルシウムマグネシウムシリケートから選ばれる群の1種または2種以上の非水硬性化合物を含有する物質を用いることを特徴のひとつとする。また、本発明では、これらの非水硬性化合物を含む物質(以下、単に非水硬性物質という)として、製鋼スラグを用いることも可能である。
本発明で用いる非水硬性物質はいずれもγ-2CaO・SiO2、α型ワラストナイト、および/またはカルシウムマグネシウムシリケートからなる群から選ばれる1種または2種以上の非水硬性化合物を含有しているものであればよく、特に限定されるものではない。非水硬性物質として製鋼スラグを用いる場合、製鋼スラグを1種または2種以上用いることが可能である。
本発明でいう製鋼スラグとは、製鋼プロセスで生じるスラグの総称であり、具体的には電気炉還元期スラグ、溶銑予備処理スラグ、転炉スラグ、およびステンレススラグを挙げることができる。
本発明者らは、上記製鋼スラグのうち、非水硬性化合物を含有するものであれば本発明の効果があることを見出した。すなわち、上記製鋼スラグの1つであっても、β-2CaO・SiO2を含有し、γ-2CaO・SiO2等の非水硬性化合物を含有しないものについては本発明の対象とはならず、非水硬性化合物を含有することが必要である。非水硬性化合物の含有量は65%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。非水硬性化合物の合計が65%未満では、コンシステンシーの経時変化の原因となることや、中性化抑制効果が低下することがある。
非水硬性物質中のγ-2CaO・SiO2の含有量は特に限定されないが、非水硬性物質全体の35%以上が好ましく、45%以上がより好ましい。また、γ-2CaO・SiO2の含有量の上限値は特に限定されない。製鋼スラグの中では、γ-2CaO・SiO2含有量が多い電気炉還元期スラグまたはステンレススラグが好ましい。
非水硬性物質は、γ-2CaO・SiO2を含有し、かつ、非水硬性化合物を60%以上含有することが好ましく、非水硬性化合物の含有量が70%以上含有することがより好ましい。
非水硬性物質の各々の元素成分は特に限定されるものではないが、具体的には、CaO、SiO2、Al2O3、MnO2、F、およびMgO等を主要な化学成分とし、その他、TiO2、Na2O、S、P2O5、およびFe2O3等が挙げられる。
また、非水硬性物質に含まれる上記以外の化合物は特に限定されず、本願発明の目的を阻害しない範囲であれば、少量の水硬性化合物等を含んでいてもよい。非水硬性物質に含まれる化合物としては、たとえばβ型やα型などのダイカルシウムシリケート2CaO・SiO2、トライカルシウムシリケート3CaO・SiO2やランキナイト3CaO・2SiO2やβ型のワラストナイト(β-CaO・SiO2)等のカルシウムシリケート、12CaO・7Al2O3、11CaO・7Al2O3・CaF2や3CaO・Al2O3等のカルシウムアルミネート類、ゲーレナイト2CaO・Al2O3・SiO2やアノーサイトCaO・Al2O3・2SiO2等のカルシウムアルミノシリケート類、アケルマナイト2CaO・MgO・2SiO2とゲーレナイト2CaO・Al2O3・SiO2の混晶であるメリライト、遊離石灰、遊離マグネシア、カルシウムフェライト2CaO・Fe2O3、カルシウムアルミノフェライト4CaO・Al2O3・Fe2O3、リューサイト(K2O、Na2O)・Al2O3・SiO2、スピネルMgO・Al2O3、およびマグネタイトFe3O4を含む場合がある。
また、製鋼スラグには、水硬性化合物の含有量が多いものも存在する。ここでいう水硬性化合物とは、CaO・Al2O3 、12CaO・7Al2O3 、11CaO・7Al2O3・CaF2、3CaO・Al2O3などのカルシウムアルミネート類、カルシウムアルミノフェライト4CaO・Al2O3・Fe2O3、カルシウムフェライト2CaO・Fe2O3、遊離石灰、遊離マグネシア、β型やα型などのダイカルシウムシリケート2CaO・SiO2などが挙げられる。これらの水硬性化合物は少ない方が好ましく、水硬性化合物の合計が35%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましい。水硬性化合物の合計が35%を超えると、コンシステンシーの経時変化の原因となることや、中性化抑制効果が低下することがある。
また、製鋼スラグには、フッ素含有量が多いものも存在する。フッ素を含む製鋼スラグでは、12CaO・7AlOはフッ素の固溶した11CaO・7AlO・CaFの形態で存在するほか、 γ-2CaO・SiOの一部はカスピディン(Cuspidine)(3CaO・2SiO・CaF)に変化する。また、12CaO・7AlOや11CaO・7AlO・CaFと、フッ素源として遊離CaFが共存するものもある。 γ-2CaO・SiOは顕著な中性化抑制効果を有するが、11CaO・7AlO・CaFやカスピディン等のフッ素を含む化合物は中性化抑制効果を持たないため、フッ素含有量の多い製鋼スラグは中性化抑制効果が顕著でない場合がある。
また、フッ素はポルトランドセメントの凝結・硬化を阻害するために、凝結遅延や硬化不良を起こす場合がある。さらに、フッ素は、特定化学物質の環境への排出量の把握および管理の改善の促進に関する法律(PRTR法)の規制対象物質であり、フッ素を多く含むものは環境保全の観点からも好ましくない。
非水硬性物質の総フッ素含有量は、その存在形態にかかわらず2.0%以下が好ましく、1.5%以下がより好ましい。総フッ素含有量が2.0%を超えると、充分な中性化抑制効果が得られない場合があり、また、凝結・硬化性状が悪くなる場合もある。さらには、前述の通り、これを用いたポルトランドセメント硬化体からのフッ素の溶出が懸念され、環境問題の観点からも好ましくない。
製鋼スラグの中には、急結性あるいは急硬性を示す12CaO・7Al2O3あるいはフッ素の固溶した11CaO・7AlO・CaFを多く含むものが存在する。これらの化合物の含有量を少ない製鋼スラグを用いることは、凝結遅延剤を併用しなければ流動性確保の観点から、また可使時間を確保する観点から好ましい。
すなわち、製鋼スラグ中の12CaO・7Al2O3および/または11CaO・7Al2O3・CaF2の含有量は、特に制限されないが、25%以下が好ましく、15%以下がより好ましい。本混和材中の12CaO・7AlOおよび/または11CaO・7AlO・CaFの合計が25%を超えると、中性化抑制効果が小さくなったり、流動性が悪くなったり、可使時間が確保できなくなる場合があり、また、凝結遅延剤を使うと流動性の調整はできるが、適切な使用量の設定が難しく、十分な流動性保持効果が得られなかったり凝結不良となる場合がある。
非水硬性物質のブレーン比表面積は、特に限定されるものではないが、通常、1,500〜8,000cm2/g程度で用いることができ、2,000〜6,000cm2/gが好ましく、3,000〜5,000cm2/gがより好ましい。1,500cm2/g未満では充分な中性化抑制効果が得られない場合があり、8,000cm2/gを超えると作業性が悪くなる場合がある。
非水硬性物質の使用量は特に限定されるものではないが、通常、エコセメントと非水硬性物質からなるセメント組成物100部に対して、5〜50部が好ましく、10〜30部がより好ましい。5部未満では本発明の効果が十分に得られない場合があり、50部を超えて使用すると、強度発現性が悪くなる場合がある。
本発明では、本発明のセメント組成物の他に、公知のセメントを併用しても良い。公知のセメントとしては、普通、早強、超早強、低熱、および中庸熱等の各種ポルトランドセメント、これらポルトランドセメントに、高炉スラグ、フライアッシュ、またはシリカを混合した各種混合セメント、また、石灰石粉末等や高炉徐冷スラグ微粉末を混合したフィラーセメント、並びに、アルミナセメント等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上が併用可能である。
本発明のセメント組成物の粒度は、使用する目的・用途に依存するため特に限定されるものではないが、通常、ブレーン比表面積値で2,000〜8,000cm/gが好ましく、3,000〜5,000cm/gがより好ましい。2,000cm/g未満では強度発現性が十分に得られない場合があり、8,000cm/gを超えると作業性が悪くなる場合がある。
本発明では、砂や砂利などの骨材の他に、高炉水砕スラグ微粉末、石灰石微粉末、フライアッシュ、およびシリカフューム等の混和材料、減水剤、AE減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤、消泡剤、増粘剤、防錆剤、防凍剤、収縮低減剤、ポリマー、凝結調整剤、スチールファイバー、ビニロンファイバー、炭素繊維等の繊維質物質、ベントナイト等の粘土鉱物、並びに、ハイドロタルサイト等のアニオン交換体等のうちの1種または2種以上を、本発明の目的を実質的に阻害しない範囲で使用することが可能である。
本発明において、各材料の混合方法は特に限定されるものではなく、それぞれの材料を施工時に混合しても良いし、あらかじめ一部を、あるいは全部を混合しておいても差し支えない。
混合装置としては、既存のいかなる装置も使用可能であり、例えば、傾胴ミキサ、オムニミキサ、ヘンシェルミキサ、V型ミキサ、およびナウタミキサ等の使用が可能である。
本発明のセメント組成物は、いわゆるエコセメントを主体とするセメントコンクリートに、流動性低下抑制、環境負荷低減、過剰強度発現に伴う収縮ひび割れの防止、都市ゴミや製鋼スラグなど各種産業の副産物の有効利用や都市型廃棄物の減容、エコセメントの中性化抵抗性などを付与することができるため、土木および建築用途に適する。
エコセメントと各種非水硬性物質を表1に示すように配合してセメント組成物を調製した。次いで、単位セメント組成物量330kg/m3、単位水量185kg/m3、s/a=46%、空気量4.5±1.5%のコンクリートを調製し、流動性の経時変化(スランプロスとして評価)の測定を行った。また、圧縮強度および中性化抵抗性についても評価した。結果を表1に併記する。なお、コンクリートのスランプ値が18±1.5cmとなるように高性能AE減水剤を使用した。
<使用材料>
エコセメント(1) :普通型エコセメント、太平洋セメント社製、3CaO・SiO2含有量45.3%、β-2CaO・SiO2含有量16.0%、3CaO・AlO含有量14.9%、4CaO・AlO・FeO含有量11.9%。アルミネート相とフェライト相の合計が26.8%。
エコセメント(2) :速硬型エコセメント、太平洋セメント社製、3CaO・SiO2含有量48.4%、β-2CaO・SiO2含有量8.5%、11CaO・7AlO・CaCl含有量16.2%、4CaO・AlO・FeO含有量6.7%。アルミネート相とフェライト相の合計が22.9%。
非水硬性物質A:γ-2CaO・SiO2、2モルの炭酸カルシウムと1モルの二酸化ケイ素を配合して1,450℃で焼成して合成。比重3.01、ブレーン比表面積4,000cm2/g。
非水硬性物質B:α型ワラストナイト、合成品。比重2.93、ブレーン比表面積4,000cm2/g。
非水硬性物質C:メルヴィナイト、合成品。比重3.33、ブレーン比表面積4,000cm2/g。
非水硬性物質D:電気炉還元期スラグ、酸化物換算CaO含有量52%、酸化物換算SiO2含有量27%、Al2O3含有量11%、MgO含有量0.5%、フッ素含有量0.7%、S含有量0.5%。主な化合物相はγ-2CaO・SiO2含有量約45%、α型ワラストナイト約20%、および12CaO・7Al2O3固溶体約25%、比重3.06、ブレーン比表面積4,000cm2/g。非水硬性化合物含有量はγ-2CaO・SiO2含有量45%とα型ワラストナイトの含有量20%の和で約65%。
非水硬性物質E:ステンレススラグ、CaO含有量52%、SiO2含有量28%、MgO含有量10%、Al2O3含有量7%、Na2O含有量0.5%、フッ素含有量0.5%。主な化合物相はγ-2CaO・SiO2含有量約35%、メルヴィナイト約44%、12CaO・7Al2O3固溶体約14%、および遊離マグネシア約4%。比重3.14、ブレーン比表面積4,000cm2/g。非水硬性化合物含有量はγ-2CaO・SiO2含有量35%とメルヴィナイトの含有量44%の和で約79%。
非水硬性物質F:電気炉還元期スラグ、酸化物換算CaO含有量53%、酸化物換算SiO2含有量35%、Al2O3含有量4%、MgO含有量6%、フッ素含有量1.5%、S含有量0.5%。主な化合物相はγ-2CaO・SiO2含有量約40%、カスピディン14%、メルヴィナイト40%、比重3.04、ブレーン比表面積4,000cm2/g。非水硬性化合物含有量はγ-2CaO・SiO2含有量40%と、カスピディン含有量の14%と、メルヴィナイト含有量40%の和で約95%。
非水硬性物質G:電気炉還元期スラグ、酸化物換算CaO含有量53%、酸化物換算SiO2含有量26%、Al2O3含有量13%、MgO含有量5%、フッ素含有量2.0%、S含有量0.5%。主な化合物相はγ-2CaO・SiO2含有量約40%、カスピディン12%、メルヴィナイト18%、および12CaO・7Al2O3固溶体約25%、比重3.03、ブレーン比表面積4,000cm2/g。非水硬性化合物含有量はγ-2CaO・SiO2含有量40%と、カスピディン含有量の12%と、メルヴィナイト含有量18%の和で約70%。
非水硬性物質H:石灰石粉、新潟県青海鉱山産の石灰石の粉砕物、比重2.71、ブレーン比表面積4,000cm2/g。
非水硬性物質I:ケイ石粉、7号ケイ砂の粉砕物、比重2.64、ブレーン比表面積4,000cm2/g。
炭酸カルシウム:試薬1級、市販品
二酸化ケイ素 :試薬1級、市販品
水 :水道水
砂 :新潟県姫川産、比重2.62
砂利 :新潟県姫川産、砕石、比重2.64
高性能AE減水剤:ポリカルボン酸系、市販品
<測定方法>
スランプロス:JIS A 1101に準じてスランプ値を測定し、練り上がりのスランプ値から60分経過後のスランプ値を差し引いて、スランプロス値とした。
圧縮強度:コンクリートを型枠に詰めて10cmφ×20cmの円柱状の成形体を作成し、材齢28日の圧縮強度をJIS A 1108に準じて測定した。
中性化抵抗性(促進中性化試験):コンクリートを型枠に詰めて10cmφ×20cmの円柱状の成形体を作成し、材齢28日まで20℃水中養生を施した後、30℃・相対湿度60%・炭酸ガス濃度5%の環境で12週間促進中性化を行った。促進中性化後、コンクリート断面にフェノールフタレイン1%アルコール溶液を塗布して中性化深さを確認し、中性化抵抗性を評価した。
Figure 0004057971
非水硬性物質Aを使用し、エコセメントと非水硬性物質からなるセメント組成物100部中の非水硬性物質の使用量を表2に示すように変化したこと以外は実験例1と同様に行った。結果を表2に併記する。なお、比較のために、非水硬性物質Hを用いた場合についても同様に行った。
Figure 0004057971
注:実験No.2-9およびNo.2-10は断面全体にわたって中性化されていたため、
中性化深さを50mm以上とした。
本発明のセメント組成物は、いわゆるエコセメントを主体とするセメントコンクリートに、中性化抵抗性、流動性低下抑制、環境負荷低減、過剰強度発現に伴う収縮ひび割れの防止などの機能や、都市ゴミや製鋼スラグなど各種産業の副産物の有効利用や都市型廃棄物の減容などの特徴を付与することなどができるため、土木および建築用途に適する。

Claims (7)

  1. ブレーン比表面積が1500〜8000cm /gのγ−2CaO・SiO である非水硬性化合物を全体の35%以上を含有する非水硬性物質と、都市ゴミ焼却灰を原料として製造される廃棄物利用型セメントとを含有してなり、廃棄物利用型セメントと非水硬性物質の合計100部中、非水硬性物質が5〜50部であるセメント組成物。
  2. 廃棄物利用型セメントと非水硬性物質を含有する物質の合計100部中、非水硬性物質が10〜30部である請求項1記載のセメント組成物。
  3. 都市ゴミ焼却灰を原料として製造される廃棄物利用型セメント中のアルミネート相とフェライト相の含有量の合計が20%以上であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のセメント組成物。
  4. 非水硬性化合物を含有する物質に含まれるフッ素の含有量が2%以下であることを特徴とする請求項1〜3のうちの1項に記載のセメント組成物。
  5. 非水硬性化合物を含有する物質が製鋼スラグであることを特徴とする請求項1〜4のうちの1項に記載のセメント組成物。
  6. 非水硬性化合物を含有する物質に含まれる、非水硬性化合物の含有量が65%以上であることを特徴とする請求項1〜5のうちの1項に記載のセメント組成物。
  7. 請求項1〜のうちの1項に記載のセメント組成物を含有するセメントコンクリート。
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